民法819条(単独親権制度)改正を求め共同親権・共同監護制度の導入・ハーグ条約締結の推進と活動を行っています

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私の気持ち=子どもの気持ち?「会わせたくなかった」母親の葛藤

出典:平成30年3月30日 朝日新聞

私の気持ち=子どもの気持ち?「会わせたくなかった」母親の葛藤

 将来の見通しがないまま離婚してしまったことで、様々なトラブルが生まれるケースが増えています。専門家は日本の「家制度」がもたらす「離婚は世間にさらすべきではない」という考えが強く働いていると指摘します。子どもを巡って十分な話し合いがないまま離婚に踏み切った女性は「私の気持ち=子どもの気持ち」という考えにとらわれていたと告白します。離婚をとりまく「呪縛」について話を聞きました。(朝日新聞デジタル編集部・野口みな子)

同居親の顔色をうかがう子ども
 2017年に厚生労働省がまとめた調査によると、別居している親が子どもと会う「面会交流」が現在も行われている父親は約30%。過去に行ったことがあるという父親を含めると、未成年の子どもを持つ別居の父親の3人に2人が、現在我が子に会えていないことになります。
 共同養育コンサルタントとして、別居中や離婚後の父母の相談を受けているしばはし聡子さんは、面会交流に後ろ向きだった母親としての経験もあります。
 「まず相手と関わりたくないという気持ちが大きかったんです。離婚したら二度と関わらない他人になれると思っていたし、面会交流でやりとりが発生することに離婚の渦中は気づきもしませんでした。
 親同士の関係が続くことへの心の準備が全くできていなかったので、とにかく夫を避けることしか考えていませんでした」

 厚生労働省の調査によると、面会交流について夫婦間で取り決めをしていない理由としては「相手と関わり合いたくない」「相手が面会交流を希望していない」などが多いです。一方、「子どもが会いたがらない」という回答も一定数あります。
 しばはしさんは、別居している親に「会いたくない」という子どもの心理についても指摘します。
 「子どもは年齢に限らず、同居する親の顔色を非常によく見ています。子どもも生きていかなければならないので、同居親が悲しむことや機嫌が悪くなることはしてはいけないと思って言葉を選ぶ場合があります」(しばはしさん)
 離婚後の子どもの心理に詳しい大正大学の青木聡教授は「同居する親が無自覚的に出している、元配偶者に対する嫌悪感や恐怖感を子どもが汲む形で、面会を拒絶するケースが多い」と話します。
 「別居当初は、忠誠葛藤と呼ばれるお父さんもお母さんも好きで会いたいという感情に苦しむことになります。その苦しみが深ければ深いほど、苦しみを切り捨てて『親と会いたいと思っていない自分』に同一化していくんです」(青木教授)

「私の気持ち=子どもの気持ちと思っていた」
 しばはしさんは離婚に関する問題について勉強し、相談を受けるようになった頃、自身が面会交流の問題を乗り越えられていないことに気付きます。そこで、面会交流の支援団体にボランティアとして参加することにしました。
 「子どもの受け渡しの場所に現れたのは、能面のように怒った顔をした母親でした」
 子どもを預かり、父親のもとに連れて行くと、おとなしかった子どもははじけるような笑顔で父親に抱きついたといいます。子どもが父母の間で態度を使い分けているという現実を目の当たりにしました。
 「私は今までずっと父親と子どもの関係の邪魔をしていたんだ、と。私の気持ち=子どもの気持ちと思っている部分がありました。他の家庭を見ることで気付くことができました」
 その日のうちに、面会交流について元夫に連絡をしたというしばはしさん。
 「これまでの態度を非難されるかもしれない」--しかし、元夫から帰ってきた言葉は「ありがとう」でした。
 面会交流に前向きになってから元夫との関係もよくなったと言います。息子との会話でも父親の話題も出るようになりました。
 「それまで逃げると追われるで、離婚したのにずっとその呪縛から逃れられていない気がしていました。もっと早く乗り越えていればよかった。
私自身が面会交流に後ろ向きな気持ちも理解できるので、相談に来た方には頭ごなしに『絶対面会交流するべき』と言うのではなく、『離婚しても、親子の関係は変わらない、親同士の関係も続く。夫婦と親子を切り離して考えていこう』ということを伝えていっています」

協議離婚「子どもにとって無責任な制度」
 離婚は「夫婦間」の問題と思われがちですが、それは日本の制度にも関係しています。
 日本の離婚のおよそ9割を占める「協議離婚」。夫婦間の話し合いで離婚の合意が得られた場合、離婚届を役所が受理すれば成立します。
 家族法に詳しい早稲田大学の棚村政行教授は「もともと日本は家制度によって、離婚はプライベートな問題として、世間にさらすべきではないと考えられてきた」と指摘します。
 「家族の問題を家の中に押し込んだ結果、協議離婚は十分な話し合いや将来の見通しができないまま離婚できる、子どもに対しては無責任な制度になってしまったんです」
 2012年4月施行の改正民法により、離婚の際には「子どもの利益を最優先に考えて、養育費及び面会交流について協議する」旨の規定が組み込まれました。
 離婚届にも養育費と面会交流について夫婦間で取り決めが行われたかを問うチェック欄が設けられていますが、取り決めの有無が離婚の成立に影響することはありません。
 実際、2017年に発表した厚生労働省の調査では、元配偶者と面会交流の取り決めをしていると回答した割合は、父子世帯・母子世帯ともに3割を切っています。

親子関係、子どもが成人すれば終わるものではない
 子どもへの配慮は、年齢や発達状態、それまでの親子関係によっても変わってきます。もちろん、DVの有無が問われる場合は、特に個別に判断される必要があります。
 ただDVへの対応についても、青木教授は「日本は後進国中の後進国」と指摘します。
 「日本の場合、DVの被害者は逃げるしかありません。刑事的に扱うというのが当然だと思うのですが、加害者を野放しにしてしまっています」
 一方、「DVの一言で片付けてしまっている側面もある」といいます。
 「アメリカなどではDVを5~6種類に分類して、その内容によって面会交流の可否や制限を定めています。それも監護評価者がチェック項目やフローチャートを使えば判断できるほど、議論が進んでいるのです」

 青木教授は離婚を考える夫婦に「子どもを守ることを一番に考えて」といいます。
 とはいえ、離婚した夫婦の間のこと、お互いに子育てに協力し合うのは簡単なことではありません。関わりたくない元配偶者に子どもを会わせること、たまにしか会わせてもらえない子どもに養育費を払い続けること、いずれも無理をしていては長続きしないものとなってしまいます。
 「でも、そんなことを言っていたら、子どもが置き去りになってしまいます」
 親子関係は子どもが成人すれば終わるものではありません。自分や元配偶者が再婚することになったら、子どもに孫が産まれたら……一緒に住んでいなくてもそのときそのときで、子どもと向き合い続ける必要があります。
 「子どもに影響を与えるのは離婚そのものではなく、両親の争いや、突然の別れです。子どもの人生をもっと長いスパンで、親としてどう支え、守っていくのかという公平な観点が当事者にも支援者にも必要です」

「娘見守りたい」別居する親の苦悩 離婚減も、増える「会いたい父親」

出典:平成30年3月30日 朝日新聞

「娘見守りたい」別居する親の苦悩 離婚減も、増える「会いたい父親」

 2000年代に入り、離婚の件数は減っている中、子どもとの面会を求めて調停を申し立てる親は年々増えています。「突然の子連れ別居」を恐れ、子を残してひとり家を出た父親は、離婚が成立した今も娘に会えていません。「離婚しても、子どもに会いたい」。離婚への抵抗感が薄れつつあるなかで、父親の目線から「平成の離婚」について考えてみました。(朝日新聞デジタル編集部・野口みな子)

「子ども連れ去られてしまったら…」自ら家を出た

 「娘に辛い思いをさせて、時間だけが奪われてしまった」
 関東在住、40代の会社員・武志さん(仮名)は数年前、ひとり、家を出ました。別居後に申し立てた調停中に面会して以来、小学生の娘とは1年半近く会えていません。
 武志さんが元妻と出会ったのは学生時代。「精神的に不安定なところがあった」という元妻の生い立ちや、気持ちの波があることを理解していたという武志さんは、通院や気持ちのサポートを続けてきたそうです。
 「いろいろ手策は施してきたつもり」と武志さんは振り返ります。娘が生まれ、家を購入し、少しずつ紡いでいると思われた家族の形。しかし、それはいつの間にか武志さんの心をすり減らし、元妻にとっても満足し続けられるものではありませんでした。
 家を出る直前の時期に撮っていたという動画には、「お前と離婚さえできれば」「子ども連れていなくなるわ」--大きな声で武志さんを罵倒し、壁を叩いたり、ものを投げたりする元妻の姿が映っていました。中から鍵をかけられ、家に入れてもらえなかったこともあったといいます。とても冷静な話し合いができる状態ではありませんでした。
 元妻の言葉に武志さんが危惧していたのは、「突然の子連れ別居」です。家を出た妻子の所在がわからなくなり、それ以降子どもと断絶される事例があることを知っていました。
いつ娘が奪われてしまうかわからない不安と、夫婦関係の悪化から、不眠の症状がひどくなったといいます。精神的にも限界に近かった武志さんは、自ら家を出ることしかできませんでした。
 「僕が子どもを連れて家を出て行くという選択もありました。ただ子どもには直接危害がなかったことと、転校などで環境を変えて負担をかけることはしたくありませんでした」
 家族法に詳しい早稲田大学の棚村政行教授は、「父親の育児参加が広がったり、ひとりっ子世帯が一般化したりする中で、離婚をめぐる社会的な背景が折り重なって作用している」と話します。
 これまで性別役割分業の考え方で、父親は外でお金を稼ぐのが仕事とされていました。共働きの増加から、子どもが幼い頃から育児参加する父親が増え、父親の意識が家の中へ払われるようになってきました。
 「少子化でひとりっ子を持つ核家族も増えており、父母ともに子どもひとりに対する執着度が強くなっている」と棚村教授は分析します。

離婚は微減、でも増え続ける「会いたい親」
 武志さんは、別居の数カ月後には家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。
 親権の要求はしたものの、「勝てないことはわかっていた」と話します。武志さんが離婚とともに話し合いたかったのは、子どもとの「面会交流」でした。
 「面会交流」とは、別居や離婚で、子どもと離れて暮らす親が子どもと会うことです。
 「例え一緒に暮らせなくても、養育に関わりたい。養育費を払うだけではなく、勉強を教えたり、将来のことを考えたり、娘を見守っていきたいんです」(武志さん)
 離婚件数が微減している中で、面会交流を求める調停件数は年々増加しています。2016年度は約1万2千件で、10年間で2.3倍になりました。
 これに対し、養育費の調停件数も増えていますが、10年間で1.3倍で、ここ数年はほぼ横ばいです。2016年度に終了した面会交流の審判と調停の件数で見ると、7割超が父親からの申し立てでした。
 「子どもに会いたい父親」の背景には、何があるのでしょうか。
一方、幼い子どもを持つ夫婦などは、親権は母親が持つケースが多いです。「せめて会いたい」と願う父親でも、「感情のもつれなど、夫婦関係が非常に悪い状態だと、すんなりと子どもを会わせるという合意がしにくい場合もあります」
 「夫婦の別れが、親子の別れになってしまうのです」(棚村教授)
 面会交流を求めた武志さんですが、元妻は「子どもが会いたがっていない」と主張し、1度目の離婚調停は不調に。その後も面会交流を焦点に、調停は難航します。

「もうあの時間は取り戻せない」
 調停を重ね、武志さんの離婚は成立しました。調停条項には、武志さんが学校行事に参加することや、メールなどで娘と連絡することを妨げないこと、元妻は娘の定期テストの結果や成績を伝えること、など十数条が定められました。
 面会交流の頻度は決めることができませんでしたが、段階を経て実施するよう合意。このとき、家を出て別居を始めてから3年が経とうとしていました。
 「なんで早期解決できないんだろう、調停も1~2カ月に1回でしか行われなくて……。長期の裁判に巻き込まれた子どものダメージははかりしれないし、もう取り戻せない」
 声を震わせて語る武志さんのスマートフォンの待ち受けには、「元妻にやっと送ってもらった」という娘の写真が設定されていました。別居当時は小食でやせ型なのが心配だったという娘の顔は、少しふっくらして、顔つきも大人に近付いていました。
 「もしも会えるようになったら、ちゃんと謝りたい。家を出たことも『娘のせいじゃないよ』って伝えたい。いつかわかってもらえればいいなと思います」

離婚しても「一緒に育てようよ」別居する父の思い 週2で送迎、でも目標は見えない

出典:平成30年3月29日 朝日新聞

離婚しても「一緒に育てようよ」別居する父の思い 週2で送迎、でも目標は見えない

 離婚をめぐるトラブルの背景には、女性の社会進出や男性の育児参加など、社会の変化に制度や支援体制が追いついていない現状があります。調停離婚で面会交流を求めた男性は、今、子どもに何をしてあげることが「一緒に育てる」ことになるのか悩んでいると言います。(朝日新聞デジタル編集部・野口みな子)

ある日帰ると、妻も息子もいなくなっていた
 「家に帰って誰もいないと思うと、電車の中で不意に涙が出てきました」

 関東近郊に住む、会社員・啓介さん(仮名・40代)は、ある日帰宅すると、家はもぬけの殻になっていました。1年ほど前から、経済的価値観の違いから「離婚したい」と言っていた妻は、当時4歳だった息子を連れて家を出て行きました。それ以降、啓介さんは一軒家にひとりで暮らしています。

 啓介さんは離婚に応じる意向がありましたが、気になるのは息子のこと。何度か話し合いの機会が設けられたため、「一緒に育てる方法を考えよう」と提案しました。一方、妻は「その必要はない」と応じてくれず、数カ月後に話し合いの場は調停へと移りました。

 焦点は別居する親が子どもに会う「面会交流」でした。妻が提示したのは月1回4時間。一方、啓介さんは宿泊つきの面会交流を求めました。

 「月1回4時間なんて、1カ月の息子の生活の1%にも満たないんですよ。それでは時々遊んでくれるおじさんと変わらない……私は親です。一緒にお風呂に入ったり、一緒に寝たり、子どもにとって『生活する時間』を過ごしたい」

「どんどん成長する子どもを見守れるのは、嬉しい」
 突然の別居から約1年、月2回の面会交流のうち、1回は宿泊ができる取り決めで離婚が成立しました。養育費の金額もお互い合意し、息子の銀行口座に毎月振り込んでいます。

 現在、啓介さんは、息子さんの習い事に付き合うこともでき、ほぼ週2回という頻度で会えています。

 「月1回だったときは、毎回会えた時間を計算していました。でも今は、面会交流が『スペシャルイベント』じゃなくなったんです。子どもとのふれあいに余裕が出てきて、元妻と融通し合えるようになってきました。どんどん成長する子どもを見守れるのは、嬉しい」

「共同養育」何をしていれば……
 「パパこれ食べて!」

 啓介さんの息子が差し出したのは、アイスクリームのコーン。啓介さんは「たくさん食べたね、大人みたいだね」と受け取ります。息子の習い事帰り、ショッピングモールのフードコートにいる2人は何の違和感もない「親子」です。

 啓介さんのケースは、他の事例に比べると、スムーズに進んだと言えます。お互い調停が長引くことは望んでおらず、妻とは書面のやりとり以外でも対話ができていました。

 そんな啓介さんですが、現在も子どもにいつ会えなくなるかもわからない不安は消えないといいます。

 「離婚しても2人で子どもを育てる、『共同養育』がしたいと話し合ってきましたが、目標が見えない。離婚したら単独親権になる日本の場合、何をしていれば共同養育をしていると言えるんでしょうか。養育費を払っていたら? 面会交流をしていたら、なのでしょうか? 」

「共同養育」とは…遅れている日本
 離婚後の家族問題に詳しい大正大学の青木聡教授は「日本の共同養育に関する議論は非常に遅れている」と話します。

 「欧米などではある程度『共同養育の定義』というものが固まってきています。1年の約30%、年間100日くらいの時間を共に過ごし、日常的なしつけが行える、ということです」

 具体的な数字を伴う議論が進んでいるのには、女性の社会進出などもからめて、膨大な数の離婚に関する研究が行われている背景があります。またアメリカでは、両親が教育プログラムを受講しないと、離婚の手続きが進められないなど、共同養育の意識も深まっています。

 「日本では、制度や親への教育的な支援の枠組みが十分でないために、養育費を多くしたい、面会交流を多くしたい、という議論に終始してしまっています」と指摘します。

 また共同養育コンサルタントとして、離婚を考える父母の相談を受けるしばはし聡子さんは「『ひとり親』という言葉が固定概念を生んでいる」と話します。

 「子どもと同居する親にとっても『何としてでもひとりで育てなきゃ』という気持ちにつながります。子どもにとって、別居・離婚しても親は変わらず2人います。この意識が世の中に広がれば、早い段階で夫婦の葛藤や、子どもの負担を減らすことにつながるのではないでしょうか」

(声)日本も共同親権を認めるべきだ

出典:平成30年3月27日 朝日新聞

(声)日本も共同親権を認めるべきだ

 弁護士 伊藤紘一(東京都 75)
 2010年の相対的貧困率の国際比較を見ると、日本の一人親家庭の貧困率50・8%は、OECD加盟国の平均31・0%を上回り、最も高い。
 原因は、諸外国は離婚後も父母による共同親権なのに対し、日本は片方が親権者だという制度にある。共同親権の場合、「面会交流の具体的な約束」が決まらないと離婚できない。日本は離婚届に養育費と面会交流の約束の記載欄はあるものの、おざなりだ。
 面会交流の効果として、(1)離婚に伴う子どもの悲しみが癒やされる(2)双方の親から愛されているという安心感(3)父母をモデルとした自我形成が可能(4)自尊感情の形成に役立つ、などがある。面会交流をしていれば、養育費の支払いも行われやすい。
 日本の一人親家庭が貧困であれば、生活保護による援助も必要になる。財政負担は、共同親権で面会場所を提供したり、カウンセラーの費用を負担したりするより大きい。一刻も早く共同親権にして、離婚時には(1)養育プログラム(2)養育費の支払い(3)具体的な面会交流の約束を第三者機関がチェックし、面会前の引き渡し場所の提供やカウンセリングも制度化すべきだ。

ハーグ条約 子を守るルール周知せよ

出典:平成30年3月17日 産経新聞

ハーグ条約 子を守るルール周知せよ

 離婚などで一方の親が子供を国境を越えて連れ去るトラブルが増えている。これに対処する「ハーグ条約」をめぐり最高裁は子の返還命令に応じないのは原則、違法とする初の判断を示した。
 条約に加盟している以上、妥当といえる。子供を保護する条約の趣旨を改めて国民に周知、徹底することが求められよう。
 条約は、16歳未満の子供を一方の親が無断で連れ去った場合、加盟国は子供を捜し、元の居住国に戻す義務を負うと定める。
 今回の事案は日本人同士で、米国在住の父が、次男(13)を日本に連れ帰った母に引き渡しを求め、返還命令が確定した。母親がこれに応じず、父が改めて人身保護法による返還を申し立てた。
 最高裁は、返還命令に従わないのは、特段の事情がない限り違法とした。子供をめぐる問題は、国際結婚のみならず、日本人同士の夫婦間でも起きている。
 条約が日本で発効したのは4年前だ。今年2月末までに、子の返還命令が確定したものが23件あり、このうち6件は、連れ去った親が激しく抵抗するなどして返還に至らなかったという。
 最高裁は今回、子供が意思決定に必要な情報を得ているか、連れ去った親が不当な心理的影響を及ぼしていないかなどを検討した。その上で、父と十分に意思疎通する機会がなく、「拘束」されていると厳しくみた。

 夫婦の問題は、他人が立ち入れない難しさを抱える。だが、加盟した以上、ルールを破れば国際的に強く非難されることを親は知っておくべきだ。
 欧米では両親の離婚後も自由に面会ができることが、子供のためになるという考えが強い。
 親権制度などの違いもあり、条約が日本になじむかどうか、加盟には慎重論もあった。一方、日本から連れ去られた子の返還手続きを取れるようになるなど、加盟による利点があるのは明らかだ。
 未加盟のままでは、子供を連れて日本に帰ろうとした場合に「誘拐」などと指弾され、渡航制限を受けるケースもある。
 夫の暴力などから逃れ、子供を連れて帰国する女性もいる。条約では、子に危害が及ぶ場合は返還を拒否できる。政府は家庭内暴力の相談など支援態勢をより強化すべきだ。子供の幸せを最優先とする運用が大事である。

ハーグ条約 「子の返還拒否は著しく違法」最高裁初判断

出典:平成30年3月15日 毎日新聞

ハーグ条約 「子の返還拒否は著しく違法」最高裁初判断

 国境を越えた子の連れ去り防止を定めた「ハーグ条約」に基づく裁判所の返還命令に従わないのは違法だとして、米国在住の父親が息子(13)を連れて帰国した母親に子の引き渡しを求めた人身保護請求の上告審判決で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は15日、「父親の請求を認めるべきだ」として、父親側敗訴とした1審判決を破棄し、審理を名古屋高裁に差し戻した。

父敗訴の1審破棄
 最高裁は「裁判所の返還命令に従わず子を保護下に置くことは、特段の事情がない限り著しく違法な身体拘束に当たる」との初判断を示した。国内では、子を連れ帰った親がハーグ条約に基づく裁判所の返還命令に従わないケースが相次いでおり、最高裁は条約手続きの順守を強く促した形だ。
 判決によると、争っているのは米国で暮らしていた日本人夫婦。母親が2016年に息子を連れて帰国したため、父親がハーグ条約の国内実施法に基づいて東京家裁に息子の返還を申し立てた。家裁は返還を命じたが、母親は応じず、強制執行のために執行官が自宅を訪れた際にも引き渡しを拒んだ。
 父親は息子の引き渡しを求めて人身保護請求の裁判(2審制)を起こしたが、1審の名古屋高裁金沢支部は昨年11月、「息子は自らの意思で日本に残ることを選んだ」として請求を退けた。
 これに対し最高裁は、息子の意思について「11歳で帰国して母親に依存せざるを得ず、母親の不当な心理的影響を受けていると言わざるを得ない」と指摘し、本人の自由な意思とは言えないと判断した。その上で、息子の引き渡し手続きを行わせるために高裁に差し戻した。裁判官5人全員一致の意見。
 ハーグ条約は、親の一方が断りなく16歳未満の子を国外に連れ出した場合、残された親の求めに応じ、原則として子を元の国に戻さなければならないとしている。日本は14年に加わり、昨年10月までに98カ国が加盟する。【伊藤直孝】

子巡る争い、長期化回避
 ハーグ実施法の引き渡し命令を拒むことが原則として違法になると示した15日の最高裁判決は、子を巡る親同士の争いが長期化することを避けようとする狙いがあるといえる。
 外務省によると、同法に基づく裁判所の返還命令は今年2月までに23件出された。このうち6件で引き渡しの強制執行に至ったが、いずれも親の抵抗で実現しなかった。
 人身保護請求の判決に従わない場合は、2年以下の懲役や罰金の刑事罰が科される可能性がある。条約の手続きに詳しい山本和彦一橋大教授(民事法)は「今回の判決により、両親の争いが早期に和解や調停で解決されることが期待できる。返還命令が十分履行されないと言われる現状について、制度の再考を示唆したとも言えるのではないか」と見る。
 今回のようにハーグ実施法、人身保護請求と異なる裁判を繰り返す当事者の負担は大きい。弁護士の間では、ハーグ実施法の執行手続きが「厳密すぎる」との批判もある。子の利益を最大限に重視した上で、親同士の泥沼化する争いをどう決着させればいいか、更なる議論が求められる。【伊藤直孝】

子の返還拒否「違法」ハーグ条約で最高裁初判断

出典:平成30年3月15日 日本経済新聞

子の返還拒否「違法」ハーグ条約で最高裁初判断

国境を越えて連れ去られた子供の取り扱いを定めた「ハーグ条約」を巡り、米国在住の夫が、息子(13)の返還命令を拒む妻に子の引き渡しを求めた裁判の上告審判決が15日、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)であった。同小法廷はハーグ条約に基づき確定した子供の返還命令に従わない場合、「違法な拘束にあたる」との初判断を示し、息子を夫に引き渡すことを認めた。

ハーグ条約による子供の返還が実現しないケースについて、最高裁が判決を言い渡すのは初めて。子供の引き渡しを巡る両親の争いが相次ぐ中、ハーグ条約を重視した司法判断といえ、今後、同様のケースに影響を与えそうだ。
上告審判決によると、米国で暮らしていた日本人夫婦は夫婦関係が悪化し、2016年1月に妻が、夫の同意を得ずに息子を連れて帰国した。
第1小法廷は「確定した裁判所の返還命令に従わない場合、特段の事情がないかぎり顕著な違法性があるというべきだ」として、条約に実効性を持たせる判断を示した。
妻側は「息子には日本での生活を続けたいという意思があり、違法な拘束ではない」と主張。これに対し、第1小法廷は「息子は、米国に返還された後の生活などの客観的な情報を得るのが難しい状況に置かれており、自由な意思で日本にとどまっているとはいえない」と退けた。
17年11月の一審・名古屋高裁金沢支部判決は、「夫への引き渡しは息子の意思に反する」として返還を認めず、夫が敗訴した。第1小法廷は一審判決を破棄し、審理を名古屋高裁に差し戻した。差し戻し後は、引き渡しを実現させるために息子を裁判所に出頭させて審理を進めるとみられる。
夫はハーグ条約に基づいて返還を求め、16年11月に日本の家庭裁判所で返還命令が確定した。裁判所の執行官が2階の窓から妻の自宅に入って息子の引き渡しを求めたものの、妻が激しく抵抗して実現しなかった。このため、夫はさらに、人身保護法にもとづく「人身保護請求」という別の手続きを申し立てた。

“子ども返還命令” 拒否は違法 最高裁が初判断

出典:平成30年3月15日 NHK

“子ども返還命令” 拒否は違法 最高裁が初判断

子どもを国外に連れ出した親がハーグ条約に基づく返還命令を拒否したことについて、最高裁判所は、日本の人身保護法の手続きで引き渡しを求めれば、返還の拒否は原則として違法になるという初めての判断を示しました。返還命令に実効性を持たせる判断として同様のケースに影響するものと見られます。
この裁判は、子どもを日本に連れ帰った母親が、ハーグ条約に基づく返還命令を拒否したことから、アメリカに住む父親が、日本の人身保護法に基づいて子どもを引き渡すよう求めたものです。

裁判では、引き渡しの拒否が違法な拘束といえるかどうかが争われ、名古屋高等裁判所金沢支部が「本人が日本での暮らしを望んでいる」などとして訴えを退けたため、父親が上告していました。

15日の判決で最高裁判所第1小法廷の山口厚裁判長は「子どもが国境を越えて連れ去られた場合は、本人が必要な情報を得ているかどうかなどを慎重に検討する必要がある」という判断を示し、今回のケースは母親による拘束にあたると指摘しました。

そして、条約に基づく返還命令の拒否は、人身保護法の手続き上、原則として違法になるという初めての判断を示し、子どもを父親に引き渡すべきだとして、母親と子どもを出頭させるため、名古屋高裁金沢支部に審理を差し戻しました。

ハーグ条約に基づく返還命令を拒否するケースが相次ぐ中、罰則規定のある人身保護法による引き渡しを認めた今回の判決は、返還命令に実効性を持たせる判断として同様のケースに影響するものと見られます。

ハーグ条約の運用
ハーグ条約は、国際結婚が破綻し、一方の親が相手に無断で子どもを国外に連れ出した場合、原則として元の国に戻すための手続きなどを定めたものです。

外務省によりますと、ハーグ条約に基づいて外国にいる親が日本の裁判所に子どもを返すよう申し立て、返還命令が出たケースは、日本で条約が発効した平成26年から先月末までに23件ありました。返還命令を受けた親が引き渡しに抵抗した場合は、応じるまで制裁金を科すことができるほか、裁判所の執行官が出向いて子どもを返すよう求める「代替執行」を行うこともできます。

しかし、子どもの心身に負担をかけないように配慮する必要があるため、代替執行ができるのは親と一緒にいるときに限られているうえ、力づくで引き離すこともできません。外務省によりますと、これまでに日本の裁判所が代替執行を決定したケースは6件ありますが、いずれも引き渡しが実現していないということです。

こうした中、日本の法律に基づいて子どもを連れ戻そうと、今回のように「人身保護法」に基づいて引き渡しを求めるケースもあります。

人身保護法による手続きで裁判所が審理の必要があると認めれば、当事者は裁判所に出頭しなければならず、出頭しない場合は、強制的に出頭させたり、悪質な場合は刑罰を科したりすることもできます。そして、裁判所が保護の必要があると認めれば、その場で当事者どうしを引き離すこともできます。

外務省によりますと、ハーグ条約に基づいて代替執行が決まった6件のうち、人身保護法に基づく申し立てがあったケースは、今回も含め2件あるということです。

ハーグ返還命令後の拘束 最高裁、審理差し戻し 「特段の事情ない限り違法」

出典:平成30年3月15日 産経新聞

ハーグ返還命令後の拘束 最高裁、審理差し戻し 「特段の事情ない限り違法」

 両親の離婚などにより国境を越えて連れ去られた子供の取り扱いを定めた「ハーグ条約」実施法に基づく返還命令が確定したのに、従わないのは不当として、米国在住の父が日本在住の母に次男(13)の引き渡しを求めた人身保護請求の上告審判決で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は15日、請求を認めなかった名古屋高裁金沢支部判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した。

 同小法廷は「実施法に基づく返還命令が確定したにもかかわらず、子を拘束している場合は、特段の事情がない限り、違法性がある」との判断を示した。

 ハーグ条約による返還が実現しないケースについて最高裁が判決を出すのは初めて。

子の引き渡し拒否「違法」=ハーグ条約で初判断-米在住の夫が訴え・最高裁

出典:平成30年3月15日 時事通信

子の引き渡し拒否「違法」=ハーグ条約で初判断-米在住の夫が訴え・最高裁

 結婚生活の破綻などで国外に連れ去られた子供の扱いを定めたハーグ条約に基づく返還命令に応じないのは不当だとして、米国在住の夫が日本に住む妻に息子の引き渡しを求めた人身保護請求の上告審判決で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は15日、命令に従わないのは「特段の事情がない限り違法」との初判断を示した。その上で、夫の請求を退けた一審名古屋高裁金沢支部判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した。
 争っていたのは、米国で暮らしていた日本人夫婦。関係が悪化し、妻は2016年、米国生まれの次男(13)を連れて日本に帰国した。
 夫はハーグ条約に基づき次男を米国に帰すよう求め、東京家裁が返還を命令したが妻は拒否。執行官が引き離す強制執行にも抵抗したため、夫が人身保護請求の裁判(二審制)を起こした。

 第1小法廷は、国境を越えた連れ去りでは「子が意思決定に必要な情報を偏りなく得るのは困難」と指摘。妻側は「次男は日本での生活を望んでいる」と訴えたが、帰国時に11歳だったことなどから自由意思とは言えないと退け、不当な「拘束」に当たると判断した。
 その上で、返還命令に従わないのは原則として違法と判断。次男を引き渡すには法廷に出頭させる必要があるため、審理を高裁に差し戻した。

離婚などで離れて暮らす親子 面会できる法整備求め提訴へ

出典:平成30年3月6日 NHK

離婚などで離れて暮らす親子 面会できる法整備求め提訴へ

離婚などで離れて暮らす子どもと会うことができない親たちと、支援している弁護士グループが、親子が迅速に面会交流できるようにする法律の整備を求めて国を訴える裁判を起こすことになりました。
裁判の準備を進めているのは、夫婦間の離婚や別居で子どもと離れて暮らしている親たちと、支援している弁護士グループです。
こうした「別居親」たちは、「面会交流」で子どもと定期的に会うことを望んでいますが、同居している親の反対で実現まで何年もかかったり、事前の取り決め通りに会えなかったりした経験があるということです。

弁護士グループは、家庭内暴力などの問題がないのに片方の親が一方的に子どもを連れ出したような場合でも別居親が迅速に子どもと会えないのは、面会交流に関する法律が整備されていないからだと主張して、別居親など14人を原告に、国に賠償を求める裁判を近く東京地方裁判所に起こすことを決めました。

提訴する上野晃弁護士は「定期的に親子が交流できる法制度が存在していないことで、会えずにつらい思いをしている親と子どもがいる。国会で立法措置を整えてくださいと求める思いで訴えを起こしたい」と話しています。

子の引き離し全て失敗、ハーグ条約実効性に疑問

出典:平成30年3月6日 読売新聞

子の引き離し全て失敗、ハーグ条約実効性に疑問

 結婚生活の破綻などに伴って夫妻の一方が国外に連れ去った子の扱いを定めたハーグ条約を巡る日本国内での裁判で、子を元々住んでいた国に帰す命令などが確定したのに、応じない親を子と引き離すために行われた法定手続き6件がすべて失敗していることが外務省への取材でわかった。

 条約の実効性が問われる事態で、専門家は「制度を改善すべきだ」としている。

 ハーグ条約は、片方の親が無断で子を母国に連れ帰った場合、その子を元の居住国に帰すことを原則とする国際ルール。他国在住の親から子を帰すよう申し立てを受けた家裁などが、審判などで可否を決定する。決定に反して子の引き渡しに応じない親には、制裁金が科される間接強制を経て、代替執行が行われる。

蒲田孝代弁護士「面会回数と親権者指定」事件を読んで―フレンドリーペアレンツ

出典:平成30年2月17日 名古屋ブレイブハート法律事務所ブログ

法学セミナー 2018年3月号 「最高裁判決2017——弁護士が語る」に掲載された蒲田孝代弁護士による論文『「面会回数と親権者の指定」事件 ——いわゆる100日面会提案事件』についての下記解説が名古屋ブレイブハート法律事務所のブログに掲載されましたので紹介させて頂きます。

蒲田孝代弁護士「面会回数と親権者指定」事件を読んで―フレンドリーペアレンツ

弁護士の仕事には互換性があるので、なんともいえないのだが、蒲田孝代は女性の弁護しかしないようである。そのためやや極端かつ一方的な議論が目立ち、法学セミナーに掲載されたものは残念な内容で理論的示唆を示すものではなく、裁判官に対する主観的不満を縷々述べるものに終わってしまった感が否めない。
紛争の経過は、当ブログのフレンドリーペアレンツ判決として好意的に取り上げているので、そちらを呼んで欲しい。
夫側の立証計画は、大胆なもので司法改革を迫るものといえた。
蒲田によれば、夫側が提出した証拠は、
・面会交流に関する論文
・国会での議論状況の資料
ハーグ条約関連の資料
片親疎外というテーマの資料
などを提出した。
しかし、蒲田は弁護士として、このように述べる。「日本の法制度の欠陥を指摘するために、自身の離婚事件を利用しているように妻側には映った。言うまでもなく、具体的な訴訟手続きで現行法制度を変更することはできない」というが果たしてそうだろうか。東京高裁判事の岡口基一が「裁判官、当職そこが知りたかったのです。」の中では、第一審裁判官は問題提起をすることは許されているという趣旨の発言もある。司法修習生に対する給費制の実質復活も具体的な訴訟手続きの成果そのものではないか、家事事件の場合、裁判の積み重ねが重要であるから、裁判官に個別具体的な訴訟手続きの中で問題提起を迫るのは、憲法判断すら許されている裁判官にとって、むしろ通常予定されているおり、論旨は明らかに誤謬がある。
蒲田孝代弁護士は、当事者である原告(被控訴人)を次のように「人格攻撃」するが、理屈で責められないということは、論理破綻していることの証左である。やはり、我が国でも前向きな共同養育法案を推進していく必要性があると、かえって、かような極端かつ一方的な弁護士がいると思ってしまう。神戸家裁部総括判事の永井尚子が指摘するように、親権にしても、面会交流にしても、裁判所に持ち込まれるのは中間ラインのもので熾烈なものではない。なぜなら、絶縁していれば親権争いなど置きようがないし、元来互いに愛情が深ければ面会について協議離婚の際、宿泊も含めて合意するのが普通だからである。永井部総括判事は、裁判所に持ち込まれているものが中間ラインのものであるものであることを喝破しているのだ。したがって、熾烈な争いは本来論理的に起こり得ないのであって、むしろそれを盛り立てているのは、蒲田孝代弁護士のような弁護士ではないのか。以下、彼に対する人格攻撃をみていこう。
・子を連れ去ったもの勝ちなどと侮辱している
・子のプライバシーを犠牲にしてまで自己の正当化を図っている
・マスメディアの一方的な報道で傷ついた
・面会交流を求めているのではなく、法改正の「活動家」だ
子の最善の利益の主張をしていない(何度も読むがこれは蒲田の主観的なものにすぎないだろう。)
・以上の次第で蒲田弁護士は面会交流を拒否することを決めたのだ、という。
しかしながら、DVもない案件で、なぜエフピックを利用しなければならないのか、私にもよくわからない。たしかに永井尚子も導入期が難しいと指摘し、正鵠を射るものである。双方ともリベラルさを欠いており、裁判官が両成敗をしたのは当然のことのように思えてくる。
あまりに異例な判決というが、アメリカでは、共同親権でない主たる監護者+面会交流の場合、100日くらいがベースラインだ。ゆえに、異例でもなんでもにない。しかも、これまで、全く面会交流にも応じてこなかったのであるから、相応に問題があるとマスコミが見立てるのは当然のことといえよう。蒲田はそれを「被害者」ぶっているが反駁には全く成功していないように思われる。
そして、蒲田は驚いたことに、上記で馬鹿にしていた夫側の立証に対する反駁を試み始めるのである。
・フレンドリーペアレントルールは、諸外国で大きな弊害がある(と主張するのだが、たしかにオーストラリアスウェーデンの立法政策を研究している私からすれば、リセッションはあるがそれは共同親権についてであって、フレンドリーペアレントルールに問題や弊害があるなど聴いたことがない。もしそういうものがあるとすればやはり極端かつ一方的な論者の議論なのではないか。)
しかし、判決についての論考であるのに、判決について肯定的な理論的検討がされていないことは甚だ遺憾であり、これで判例雑誌といえるのか、と思ってしまった。蒲田弁護士の一方的な罵詈雑言の類が書いてあるに過ぎない。
しかしながら、それ以上に驚いたのは、文章を拝見する限り、現在も面会交流は実現をみていないようにうかがわれることである。父母間の高葛藤は面会交流拒否事由として認められていないにもかかわらず、これが認められている誤導を前提に論を進める論者にも問題はあるが、この弁護士には面会交流について調整する能力に疑問符をつけざるを得まい。

子の引き渡し可否、最高裁判断へ ハーグ条約巡り

出典:平成30年2月13日 日本経済新聞

子の引き渡し可否、最高裁判断へ ハーグ条約巡り

両親の離婚などで国境を越えて連れ去られた子供の取り扱いを定める「ハーグ条約」に基づき、米国在住の父親の元に子を返すよう命じた家裁決定が確定した後も、返還を拒否した母親に父親が引き渡し(人身保護)を求めた裁判で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は12日までに双方の言い分を聴く審問を3月5日に開くと決めた。人身保護請求の一審名古屋高裁金沢支部は、条約に基づく司法判断と異なり子の引き渡しを認めなかった。
両親は米国で暮らしていた日本人。母親が2016年初めに次男(13)を連れて日本に帰り、父親と争いになった。父親が東京家裁に返還命令を申し立て、16年に確定。自宅を訪れた執行官に対し母親は次男の引き渡しを拒んだ。父親が人身保護請求を申し立て、17年の金沢支部判決は「次男は日本での生活を続けたいと話しており、引き渡しは意思に反する。ハーグ条約は人身保護請求の判断に影響しない」として請求を棄却した。

「子どもを元夫に会わせるのは、自分のため」慰謝料も養育費もなく離婚した妻の思い

出典:平成30年2月4日 cyzo woman

「子どもを元夫に会わせるのは、自分のため」慰謝料も養育費もなく離婚した妻の思い

 『わが子に会えない』(PHP研究所)で、離婚や別居により子どもと離れ、会えなくなってしまった男性の声を集めた西牟田靖が、その女性側の声――夫と別居して子どもと暮らす女性の声を聞くシリーズ。彼女たちは、なぜ別れを選んだのか? どんな暮らしを送り、どうやって子どもを育てているのか? 別れた夫に、子どもを会わせているのか? それとも会わせていないのか――?

第13回 尾崎豊美さん(仮名・47歳)の話(後編)
 20代後半で一目惚れした、バツイチの男性と結婚。長男を妊娠中、夫には700万円もの借金があることが発覚。夫の服を売ったほか、食品のまとめ買いや、子ども服をすべて友人からのお下がりで済ますなどして節約し、サラ金4社の借金を数年かけて返済した。しかし、子育てに一切関わらない夫は、次第に暴力を振るい始め、三男が生まれて長男が学校で荒れだすと、「お前の育て方が悪い」といって殴るので、離婚を考えだす。

私を殴る夫に、長男はおびえるようになった
――豊美さんが叩かれたとき、子どもたちはどういう反応でしたか?
 私が叩かれている姿を見て、「パパがママをいじめてる」と認識したようです。それ以来、長男は父親のことをすごく毛嫌いするようになった。それでも、会話までは拒否してませんでしたけどね。
――とすると、旦那さんと息子さんの関係は、そのまま大丈夫だったんですか?
 いえ。その後、長男は、夫におびえるようになりました。夫が珍しく「外行くか」って誘ったことがあったんです。そのとき長男は勉強中で「終わるまで待ってて」って答えたんです。すると、途端に夫が腹を立てて、「行くのか。行かねえのか」って怒鳴りながら、テレビのリモコンで長男を殴りつけたんです。殴られてからというもの、長男は夫が帰ってくるたびにビクビクするようになっちゃった。そんな長男の姿を見て私、「急いで決着をつけないと」って思いました。
――その後、家から旦那さんを追い出して、離婚したのですか?
 いえ。その前に1回、私が子どもたちを連れて、多摩にある私の実家に帰ってます。その間、彼は1年間にわたり、この一軒家にひとりで生活していました。
――お父さんが買ってくれた家なのに、豊美さんは自ら出て行ったんですね?
 夫が長男をリモコンで殴った頃から、私は心身共にガタガタでした。顔面麻痺に加えて失語症にもなって、もはや限界。そんなとき、父が「家はそこだけじゃないぞ。戻ってこい」と救いの手を差し伸べてくれました。そうして親に甘える形で、私と子ども3人は、実家に住み始めたんです。その頃、私は在宅ワークで収入を得ていて、そこから家賃や食費を親に渡していました。
――決着をつけるべく、旦那さんと話し合いをされたのですか?
 やりとりは、主にメールで行いました。私のほうから「もう限界、別れて」って離婚を切り出すと、夫は渋りました。「別居のままでいいから、離婚はしないでくれ」って。「無理です」と短く返信したんです。

父親と母親、子どもには、どちらも大事

――別居中、旦那さんと子どもたちの関係は、どうだったのでしょうか?
 月に1〜2回のペースで会わせていました。でも、夫の発言を境に、会わせなかった時期もあります。というのも、別れ話の最中、夫は私にこんなことを言ったんです。「『離婚したい』っていうのは俺の意思じゃない。本当に離婚するっていうなら、おまえが慰謝料を払うべきだし、子どもには会わせろ。だけど養育費は払わないからな」って。
 離婚を切り出さざるを得ないぐらいに私たちを追い詰めておいて、『俺の意思じゃない』って、よく言えたものですよ。これには、震えるほどの強い怒りを覚えました。頭にきた私は、それから3カ月ほど連絡を絶ったのですが、すると子どもたち3人それぞれに、「なんで最近パパと会えないの?」「このままずっとパパに会えなくなるの? やだよ、そんなの」などと言われたんです。
 それを聞いて私、思いました。「なんだったんだろう? この10年以上。借金を返してきて、一生懸命あんたたちのためにと思って頑張ってきたのに、なんで『パパ、パパ』なの?」ってやるせない気分になって、下戸なのに私、ワンワン泣きながら浴びるようにお酒を飲み続けて、泣いて泣いて泣きまくったら、明け方になってしまっていました。
 夜が明けていく中、私、達観したんです。親は子どもから愛されている。父親と母親、子どもにはどちらも大事だと。床に就く前に、夫にメールしました。「養育費も慰謝料もいらないから、家から出て行って。その代わり、子どもたちとは好きに会っていい」って。するとすぐに、承諾する旨の返事がきました。そうして、あっさり協議離婚が成立したんです。
――別れた後の心理的な変化はありましたか?
 「今後は、自分が頑張ればいいんだ」っていうことに気がついて、すごく気持ちが楽になったんです。だからなのか、子どもには「離婚して、ママもパパも優しくなった」と感謝されました。だけど、もし夫が調停や裁判を起こしてきたりして長引いたら、私もアウトだったかもしれない。
――面会は、どのような調子で行っていますか?
 リモコンで殴られたことがある長男は当初、夫に会うことを怖がっていました。それでも次第に警戒心が解けていくと、長男が面会の段取りをリードするようになりました。連絡は、夫と主に長男が話をつけてるようです。面会させて帰ってきたときに子どもの様子がおかしいといったことはないですが、「なんでパパとママは一緒に住めないの?」と何回か言われたりはします。そのときは、「地球がひっくり返っても、ママは無理。その分、いっぱい会っていいから」と言ってます。
――面会をさせて、つらくなることはありませんか?
 当初はつらかった。「なんでこんなに喜んで帰ってくるんだろう?」とか「また夫だけいいとこ取りか」とか、面会させるたびに、そんなふうに気持ちがザワザワしていました。なので面会ごとに、エステに行ったり、友達とおいしいものを食べに行ったりして、あえて気を紛らわせていました。

子どもを元夫に会わせるのは、別れた後、幸せになるため

――その後も、ずっと会わせているんですか?
 2年ほど前、夫が急に「子どもに会わなくていい」って言いだしたことがありました。たぶん彼女ができたんでしょうね。しかも、「一軒家を売りたい」って言って、それだけの理由で調停を起こされました。離婚したときは「家は私に譲る」という約束だったのに。
――そこで初めて調停なんですね。
 私、悔しくて、裁判所の調停室でワンワン泣いてしまいました。すると見かねた調停委員が、夫を注意してくれたみたいです。「今、調停をするのは、『子どもに会わせてくれ』っていう人がほとんどですよ。なのに、あなたは好きに会わせてもらって、しかも養育費も払わずに済んでるのに『家を売りたい』って主張する。いったいどういうことですか!」って。
 調停は「家は売らない」という結論で終了しました。それまで口約束だった取り決めを公正証書化し、そこには「家は私に譲渡する」という項目が含まれています。面会交流の項目も入れました。ただ、それは「最低でも夫は月に1回は子どもに会わなければ、罰金を科す」というものでした。結果的には、旦那が『家を売りたい』と言ってきたことで初めて、離婚後の約束を証書にまとめることができました。
――調停後の面会は、どのような感じですか?
 日曜日が多いかな。ご飯を食べに行きますね。長男と次男はもう大きくなっているので、昼間はパパと出歩くのは気恥ずかしいみたい。三男はもちろん、喜んで昼間から会いに行きますよ。それで夕飯には、長男と次男が合流するんです。夏なんかは一緒に、夫と泊まりでG県に行ってきたりしますよ。元義母からは、今でも電話は来ます。
――旦那さんとのやりとりはあるんですか?
 ほとんどないですが、連絡するとき、別にためらいはないです。子どもたちの父親ではあるけど、私にとっては過去の人だから。ここまで気持ちを整理するのに4年かかりました。定期的に淡々と会わせていくことで、私の中のわだかまりを消化していったんだと思う。
――今の生活はどうですか?
 育ち盛りの子どもが3人いると、何かしら出費が増えてしまって大変。だけど、結婚してたときみたいに耐えてないので楽です。家計が大変な分、子どもたちにはかわいそうな思いをさせてて、申し訳ないです。それでも学費だけは出してあげようって決めています。
――今後は何をしたいですか?
 子どもを元夫に会わせるのは、別れた後、幸せになるため。つまりは自分のためだということを、関わっている面会交流支援を通じて伝えたいです。「会わせたくない」という気持ちはすごくわかる。だけど、そのまま1人で抱え込むのは負担が大きすぎますよ。だから、私が支援している人たちには、「会わせ続けることが自分の新しい一歩になるし、自分の人生を生きることにつながるよ」って伝えています。

西牟田 靖(にしむた やすし)
1970年大阪生まれ。神戸学院大学卒。旅行や近代史、蔵書に事件と守備範囲の広いフリーライター。近年は家族問題をテーマに活動中。著書に『僕の見た「大日本帝国」』『誰も国境を知らない』『〈日本國〉から来た日本人』『本で床は抜けるのか』など。最新巻は18人の父親に話を聞いた『わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち』(PHP研究所)。数年前に離婚を経験、わが子と離れて暮らす当事者でもある。

DV認定され、9歳の娘に二度と会えない…離婚で地獄を見た男の嘆き

出典:平成30年1月30日 現代ビジネス

DV認定され、9歳の娘に二度と会えない…離婚で地獄を見た男の嘆き

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西牟田 靖
わが子に会えない夫たち
1/30(火) 11:00配信

年間21万組が離婚をする昨今において、子供の親権を巡って夫・妻双方の意見が食い違い、お互いの納得・合意が得られぬまま、裁判所の判断によって親権が決められてしまうケースが多発している。
『わが子に会えない』などの著書があり、離婚にまつわる諸問題について取材執筆を重ねているノンフィクションライターの西牟田靖氏が今回報告するのは、DVなどの理由で親権を認めてもらえなかった男性のケースだ。無論、本当にDVがあったのなら仕方がないが、この男性の場合はどうやら違うようである。
いわれのない理由で、ある日突然、最愛の娘・息子に会えなくなる――。この親権を巡る問題を西牟田氏が追う。

愛する娘に7年会えない

「離婚裁判中、妻側の弁護士らは、私が妻に配偶者暴力(DV)を振るったと断固主張し、私を社会的に抹殺しようとしました」
こう語るのは、妻に子供を"連れ去られ"、わが子と会えない状態が7年以上に渡って続いているAさん(40代)だ。
Aさんは、2016年3月に、9歳の女児を父母どちらが育てるかをめぐって争われた一審千葉家裁松戸支部で、当時一緒に生活していた母親ではなく、離れて暮らしている父親に親権が与えられた当事者である。
しかし翌17年1月、Aさんは東京高裁で逆転敗訴の判決を受け、親権者が母親となり、いまだ娘に会えないままだ。
Aさんの主張を要約すると、こうなる。
・離婚する前まで、娘を育てていたのは自分
・離婚裁判の時に、娘の親権を訴えたが全く認められなかった
・根拠とされたのはDVだが、そのような事実はない
なぜAさんの親権は認められなかったのか。Aさんは「弁護士と裁判官が結託して、結論ありきで話を進めたとしか思えない」と言う。
一見、「思い込みではないのか」とも思えるが、実はこうしたケースは多発している。今回のルポでは、Aさんの主張、同じ経験を持つBさんの話、そしてこのことを問題視している弁護士の話をもとに、離婚裁判における親権争いの問題点を指摘していきたい。
そもそもAさんの離婚問題の発端は何だったのか。結婚から別れまでの経緯をAさんに語ってもらった。
「私と妻は大学時代に知り合い、二人とも大学院を出て、私は国家公務員に、妻は国連職員になりました。2006年に結婚し、翌年に娘が産まれました。ある時、妻が義母と協力して、私の留守中を狙い家に保管していた現金を無断で持ち出したんです。
本人は後に裁判で『生活費を渡してもらえず、検診費用にすら窮したため』と主張したのですが、却下されました。その一件があって以降、私は離婚を考えていたのです。
しかし、当時、妻のお腹には娘がいました。悩みながらも、娘が成長するまでは両親が必要と考え、また義父の説得もあり、婚姻関係を継続することとしました。
妻は長女の出産後、東京の大学院に通い始めました。一方、私は出向となり、2009年から、娘とともに大阪で暮らす生活が始まりました。妻は平日を東京の実家で過ごしながら大学院へ通い、週末に大阪に来る割合が増えていきました。
1年も経つと、私が家事や育児のほとんどを担うようになっていました。その頃、保育園の送り迎えは私がやっていました。朝夕の食事や寝かし付け、入浴なども基本的に私がやっていました。
ところがその年の5月1日、連休で大阪を訪れていた妻が、『海外で働きたいので娘を連れて外国へ行く』と言い始め、朝から激しい口論となりました。
私はもう、限界でした。その日の夜、ついに離婚に向けての話し合いをしました。ただ、夫婦の切れ目を親子の切れ目にしてはならないと考えました。妻は私にとって酷い女性でも、娘にとっては大切な母親です。
そこで、私は妻に別れた後の共同養育計画を提案しました。『私が娘を育てるから、君は海外で好きなだけ仕事をすればいい。もちろん、君が日本に戻ってきた時には自由に娘と交流してほしい。養育費も含めて、全部こちらが払う』と言って書面を渡したところ、妻は『2週間考えさせて』と言いました。
その後の数日間、私たちはつかの間の平穏な時間を過ごしました。3人で喫茶店に行って和やかに過ごしたりしたんです。その頃の妻はケンカした時とは別人のように穏やかでした。私は妻が離婚について前向きに考えてくれているんだとばかり思っていました。
ところが、連休明けの5月6日、事態が動きます。私が娘を保育園に迎えに行くと、娘がいなくなっていました。保育園の先生によると、妻が迎えに来た、とのこと。しかも帰ってくると、住んでいたマンションから妻や娘の持ち物がなくなっていて、部屋がもぬけの殻になっていたんです」

家裁では親権を得たものの…

突然娘を連れ去られたAさんは、妻との離婚裁判を始める。2016年3月、千葉家裁松戸支部は、Aさんが提案した「共同養育計画」に着目した。Aさんは年間100日の面会交流を提案したのに対し、妻は月1回程度の面会としていたのだ。
この裁判で採用されたのが、「フレンドリーペアレントルール」だ。これは、別居親と友好関係を保てる親を、親権者決定の際に優先するというもので、裁判所はAさんの養育計画を評価したものと思われる。こうしてAさんは一時、愛娘の親権を得ることに成功した。ところが妻側はすぐさま控訴。裁判は東京高裁に持ち込まれた。
残念ながら続く2017年1月の東京高裁でAさんは逆転敗訴する。この裁判は一審で「フレンドリーペアレントルール」が採用されていたことなどもあり、社会的に注目されていた。勝訴した妻側は記者会見を開き、状況を説明。その時配られた資料には、次のようなことが記されている。
控訴理由骨子(妻側の主張)
(1)別居に至る状況:夫のDV(経済的、社会的、精神的、身体的)が原因
・結婚当初から、妻は夫の仕事の手助けをするなど夫をサポートしてきたが次第に両者の関係は難しくなっていった。その理由は、夫のDV・抑圧・支配である。
①経済的DV(生活費を渡さない、妊婦健診の費用も払わない)、
②社会的隔離(復職妨害、親族との交流を阻害)、
③精神的虐待、身体的DV(大声でどなる、罵倒する、人格否定や子供の前での怒号、どつく、食器を投げつける、ハサミを突きつけるなど)から4年後に別居

(3)別居時に妻が長女を連れて行ったことはむしろ当然のこと
・長女の誕生以来ほぼ全面的に育児をしてきた子を同道させたことはごく自然な成り行きであると共に、必然である

(5)夫の親権者としての不適格性
・子の健康状態や成長ぶりに無関心であり、かつ自身の意向に従わない者を激しく攻撃する特性がある。そのような性質が子供に向けられた場合は危険。
Aさんが私に話してくれたことと、記者会見で妻側の弁護士が語ったことや配られた資料と内容がどうも食い違う。どういうことだろうか。Aさんにいくつか質問をぶつけてみた。

弁護士の影

――裁判ではDVがあったことが焦点となったようですが、実のところDVはあったんですか。
「私は誓って妻や娘に暴力を振るったことはありません。確かに、妻が娘を海外に連れていくと主張し、仕事中はメイドに預けておくと平然と言った際に妻を激しく叱責したことは認めます。『娘は君のペットじゃない』と。妻側は、このような発言などもDVに該当するのであり、私にDV加害者の自覚がないと攻撃してきました」
――そもそもなぜ奥さんは娘さんを連れていったんでしょうか。
「力ずくでも子供を手元においた親のほうが、親権を勝ち取るのに有利なんです。『子供の福祉と共同親権』という日弁連の財団が作っている冊子には次のように書いてあります。『実務家である弁護士にとって、親権をめぐる争いのある離婚事件で、常識といってよい認識がある。それは、親権者の指定を受けようとすれば、まず子供を依頼者のもとに確保するということである』と。
つまり『親権を勝ち取るためには子供を連れ去ることも正当化される』というお墨付きを日弁連が与えているのです。
こうした実子誘拐行為は諸外国では重罪です。アメリカでは罰金または3年以下の禁固刑、スペインでは2~4年の禁固及び4~10年の親権剥奪などとなっているんですが、日本では子供の連れ去りは犯罪ではない。こんな状況ですから、弁護士は当然のように『子供を連れ去れ』と指導します」
Aさんは、妻が一人でこのような「連れ去り」を思いつくはずもなく、おそらく、妻側の弁護士から様々な「助言」を受けたのではないかと推測しているという。
――相手側の弁護士が奥さんに進言していた、と考えているのですね。
「そうだと思います。例えば、妻が娘を連れて出ていった時に、部屋に妻と見知らぬ男性との仲睦まじい写真がこれ見よがしに置いてあったのですが、こういうのも弁護士の指導がなければやらなかったはずです。
なぜこんな挑発的な行動を取るのか。それは、夫婦二人が協議できないほどの『高葛藤』状態であることが、裁判をするにあたって必須だからです。最愛の娘を突然奪われた上に、こんなことをされれば私も激昂します。激しいメールだって妻に書きます。そうすると、妻側の弁護士は、そのメールを『夫の性格が攻撃的』である証拠として裁判所に提出できるのです。
ストレス性腸炎の診断書を、大ゲンカする前日の4月30日にわざわざ病院まで出かけてもらいに行っていたことも気になります。ストレス性腸炎は申告すればすぐ診断書がもらえるため、DV被害を偽装する場合に使いやすいそうです。だけど一般の人はそんなこと知りませんよね。
こうしたことを総合すると、遅くとも4月半ばまでに妻が弁護士と打ち合わせて、いつ娘を連れ去るのか。その日にちについて話し合ったのではないか。連休明けの平日、5月6日なら、私は仕事なので娘と離れます。そうして5月6日をXデーとし、その日までは、私を油断させておきつつ、DV被害を主張するために診断書を準備するなどして過ごしたはずです」
――その後はどうなるのか。
「子供を連れ去った後、調停などをして1年ほど経つと、『はい、じゃあもう新しい環境になじみましたね。そこから元の環境に戻すと子供の利益になりません』という『継続性の原則』というのがあります。そうして親子の引き離しが固定化されるんです」
――離婚を考えて弁護士に相談する前から、奥様はこういった展開を考えていた、と思っていますか。
「おそらく妻は無理やりの連れ去りやDVのでっち上げまでのことは考えていなかったんだと思います。単に娘を外国に連れて行きたかっただけ。それを弁護士が自分たちのやり方で事を動かしてしまったのではないか、と思っています。それが不幸の始まりです。妻も被害者の一人なんです。こんな状況下に置かれた娘がかわいそうで仕方ありません」

わが子連れ去りの「パターン」

Aさんのほか、私はこれまで拙著『わが子に会えない』や雑誌、ウェブ媒体の取材で、この手の話をたくさん聞いている。そのパターンは次のようなものだ。
子供を連れ去られる。
→離婚等を求める訴状が届く。
→調停を手始めに法的な紛争が開始される。
→子供を取り返しに行くと逮捕されかねないため、別居親は会いに行くのを我慢して、調停や裁判を続ける。
→調停・裁判後、月1回2時間などといった短時間で何度か子供と会う。
→双方、非難の応酬となる。その結果、相手の感情が悪化。
→「子供が会いたがっていない」などと理由をつけられて、だんだんと引き離される。
→何年も経過し、「継続性の原則」が適用されて、ますます不利になる。
→結果的に何年も子供と会えなくなる。
いわゆる"連れ去り"を行なう割合は女性の方が圧倒的に多い。そのため、子供のいる場合の離婚では9割の親権を女性が取り、父親が子供と離ればなれになることが多い。
Aさんは、「ここまで妻側にとって都合よく話が進むのは、裁判所と弁護士の間で、離婚問題についてのある種の『癒着のような関係』があるからではないか、と疑っています」と語る。
「子供の連れ去りを教唆・幇助する弁護士たちは、パターンに沿って次々と一方的にアクションを起こします。そして、最後は依頼人を親権者とする完璧な判決文のドラフトが自動的に出来上がるようになっています。裁判官がやることは、それをほぼそのままコピペするだけです。子供を連れ去られた親側の主張などは、全く判決文に反映されません。本当の話が混じると矛盾した文章になってしまうので。
彼らの金儲けのために何の罪もない子供たちが犠牲になっている状況を見て見ぬふりをすることは私にはできませんでした。そこで、自分の娘も含めて、未来の子供たちを救うためにも真実を世の中に伝えようと誓いました」
こうした現状を問題視し、変えていこうとするAさんの"挑戦"は敗訴の後も続いている。2017年6月、Aさんは31人もいる妻側弁護士のうち、中心的な4人やその他の関係者を警視庁に刑事告訴した。
Aさんの主張は、果たしてどこまで認められるのか。それは、この後裁判が行われることになれば見えてくるのかもしれない。
実は、筆者はAさんと同様のケースで、親権を「奪われた」男性に取材している。後編では、Bさんの話をもとに、この問題に迫ってみたいと思う。

<後編は明日31日公開です>

Aさんの記事に関するコメント親子断絶防止法 全国連絡会のこちらのページをご覧ください。

妻がDVをでっち上げ、子ども“連れ去り”… 残された夫がまずすべきこと

出典:平成30年1月25日 AERA dot.

※本文は平成30年1月29日号 AERAと同内容です。

妻がDVをでっち上げ、子ども“連れ去り”… 残された夫がまずすべきこと

子と引き離される「元夫」の苦悩

出典:平成30年1月29日号 AERA

 昼間にベビーカーを押したり、休日に公園で子どもを遊ばせたりする父親の姿は当たり前になった。だが、夫婦関係が破綻してこじれれば、子どもに会える頻度は「月1回程度」になるのが“相場”。その落差はあまりにも大きい。
 我が子への愛には、母親も父親も変わりがない。最近は子育てに積極的な男性も多い。だが、妻との関係が破綻したら──。いくら「イクメン」を自認しても、DVやモラハラに縁遠いと思っていても、司法の前に「元夫」の立場は弱い。

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 いまや、仕事よりも育児を最優先し、子どもが「生きがい」と語る男性は珍しくない。社会や女性もそれを推奨する。だが、どんなに子どもを愛していても、ひとたび離婚となれば、親権を取れる男性は1割しかいない。離婚後の「共同親権」が法制化されていない日本では、親権は圧倒的に母親が優位だ。父親は妻子に出て行かれた瞬間に、我が子と引き裂かれる。別居に至った理由は関係なく、妻に「子どもを連れて出て行かれた」という事実をもって父と子は断絶させられ、裁判で救済されることもほとんどない。

 離婚する夫婦が、子どもと会う回数を決めるために裁判所に調停を申し立てる「面会交流調停」の件数は、年々増加している。司法統計によると、2016年に全国の家庭裁判所で申し立てられた件数は1万2341件。04年に比べて約2.7倍となった。特に目立つのは、父親からの申し立てだ。16年の1年間に調停、審判の手続きが終わった1万1470件のうち、約7割が父親からの申し立てで、04年と比較すると3.2倍となった。母親の1.7倍よりも伸び率が高い。また、厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査報告」(16年度)によると、母子家庭で「現在も面会交流を行っている」と答えたのは、29.8%にとどまる。父親の3人に1人しか、子どもに会えていない。

 昨夏、父親の親権と面会交流をめぐる重要な裁判、いわゆる「松戸裁判」が結審した。千葉家裁松戸支部が出した一審は、親権を争う母親に「年100日会わせる」と協力的な提案をした父親に親権を認める異例の判断をし、上級審にも注目が集まっていた。

 父親は、埼玉県に住む40代のキャリア官僚の男性。国際機関での勤務経験がある40代の女性と06年に結婚し、翌年に長女が生まれた。だが、キャリア形成や育児方針について意見が対立し、夫婦関係は悪化。長女が2歳のとき、女性は男性の不在中に、長女を連れて自宅を出た。男性は「不当な連れ去りであり、長女を返すべきだ」と主張。女性は「男性からはDVを受けており、子どもを連れて逃げたのはやむを得ない」と反論し、親権訴訟となった。

●民法が定める「子の利益」 一、二審で判断は全く逆に

 焦点となったのは「寛容な親の原則(フレンドリーペアレントルール)」。欧米には、親権を決める際、面会などで元配偶者へ友好的な姿勢があるほうが親としての適格性が高いと判断する基準がある。男性の「年100日面会」という提案は、これに基づいたものだ。かたや、女性側は現在の養育環境に問題はないとして「月に1回は父親と子どもを会わせる」としていた。

 12年に民法が改正され、766条では子どもの監護や面会交流について「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と明記された。裁判所は「子の利益」をどう判断したのか。

 一審では男性側の主張を「長女は両親の愛情を多く受けられ、健全に成長できる」と評価して男性を親権者とした。男性によるDVも「なかった」と認定した。一方、東京高裁は「父母の面会交流の意向だけで親権者を決めるべきでなく、他の事情よりも重要だとも言えない」と述べ、「年100日」という男性の提案は「長女の体への負担のほか、学校や友達との交流にも支障が生じる」と指摘。「月に1回程度」という女性の提案は不十分ではないとし、「母親を親権者とすべきだ」と結論づけた。DVは一審同様、「なかった」と判断された。男性は最高裁に上告したが不受理となり、昨年7月に男性側の敗訴が確定した。

 男性は裁判を振り返る。

「一審は766条の精神を忠実に守った法解釈だったが、高裁ではそれを180度転換して、条文のどこにも明記されていない『継続性の原則』を優先させた。高裁では新事実は何も出てきておらず、なぜ法解釈が変わったかの説明もしていない。改正した民法の精神よりも、裁判官たちの『現状維持』『保身』が優先された判決だ」

※以下、AERA本誌参照
20180129AERA
20180129AERA
20180129AERA

記事中の「松戸裁判」の当事者である父親の記事に関するコメント''親子断絶防止法 全国連絡会のこちらのページをご覧ください。

「10歳の壁」から貧困家庭の子どもを救え

出典:平成30年1月7日 読売新聞

「10歳の壁」から貧困家庭の子どもを救え

 貧しい家に生まれた主人公が苦学して成功する物語は多いが、現実は厳しい。小学校4年(10歳ごろ)時に、家庭の貧富の差による「学力格差」が急拡大する傾向があることが、日本財団などの調査でわかった。貧困家庭の子どもが大人になっても貧しさから脱することができない「負の連鎖」の一因とも指摘される。分析調査を行った日本財団職員の栗田 萌希(もえき)さんが解説する。

家庭の経済状況は子どもの学力に大きく影響する(写真はイメージです)

◆授業についていけない
 生活に困窮する家庭の子どもたちに食事を提供したり、勉強の手助けをしたりするボランティア活動が各地で行われている。日本財団も、そうした子どもたちに食事や学習など包括的な支援を行う児童施設を運営しているが、そこには様々な事情を抱えた子どもたちが集まってくる。

 ある小学4年の男子児童は、両親の離婚をきっかけに生活保護を受給する母親と2人暮らしになった。最近、学校の授業に「まったくついていけない」と話し、宿題や課題をすべて投げ出してしまっている。

 漢字の読み書きや四則計算などの基礎を身に付けていないため、考えること自体が面倒になっているようだ。

 同じように母親と2人暮らしの小学1年の男児もいる。父親とは死別し、今年の夏ごろから施設に通うようになった。

 こちらは生活面での課題が目立つ。深夜遅くまでゲームに熱中して睡眠時間が極端に短く、朝食はほとんど食べない。話すときは、友人たちにも大人にも命令口調だ。一般的な家庭なら「しつけ」を受けて身に付くはずの生活習慣や社会性が、欠けてしまっているのだ。

◆子どもの成績を左右する「貧富の差」
 厚生労働省が今年6月に発表した2015年の「子どもの貧困率」は13.9%。7人に1人の子どもが生活に困窮している状況だ。前回調査(12年)の16.3%からは改善したが、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均を上回り、シングルマザーなどの「ひとり親世帯」に限れば50.8%に達していた。

 ここで言う「貧困」とは、生きるために最低限必要な衣食住が不足している状態(絶対的貧困)ではなく、普通の生活を送るためのお金が十分にない状態(相対的貧困)を指す。具体的には、国民一人ひとりを所得の順に並べ、その真ん中に来る額(中央値)の半分に満たない額での生活を強いられている状況だ。15年の基準では、年122万円以下の生活水準がそれに該当した。

 家庭の経済状況は、子どもの学力に大きく影響する。お茶の水女子大が14年に行った全国学力テスト(小学6年・中学3年生)の分析では、世帯所得が最も低いグループの子どもと、最も高いグループの子どものテストの正答率の間には、約20ポイントもの開きがあった。

 なぜ、これほどの差が生まれるのか。貧困家庭の子どもの学習を妨げるものは何か。私たち日本財団のチームは、疑問に答えるべく、ある分析調査に取り組んだ。

◆「貧困と低学力」その構造に迫る
 大阪府箕面(みのお)市は、府北部に位置する人口約13万人のベッドタウンだ。市は「子ども成長見守りシステム」という仕組みを持っていて、子どもたちの学力や生活状況、家庭の経済状況などのデータやアンケート結果を、関連付け可能な形で保有している。その規模は過去3年、計2万5000人分にもなる。

 この貴重なデータを利用させてもらい、私たちのチームで詳しく分析したところ、貧困世帯の子どもが低学力に陥ってしまう「構造」が浮かび上がってきた。

◆成績急落「10歳の壁」
 貧困世帯と、そうでない世帯の子どもの学力(国語・算数の成績)は、10歳(小学4年生ごろ)の時に大きく差が開いていた。

 「10歳の壁」という言葉が、教育関係者の間で以前からささやかれている。小学4年の10歳ごろは、学習内容に応用力を問う課題が増え、子どもたちがつまずきやすくなることを意味する。箕面市のデータでは、「壁」はとりわけ貧困世帯の子どもたちの前に立ちはだかっていた。

 実は、それよりも早い段階で差が付いているとする海外の先行研究もあり、私たちのチームでも検証を進めているのだが、今回の分析で顕在化したのは「10歳の壁」だった。

◆カギは「生活習慣」
 貧困世帯の子どもたちの学習を阻む「壁」とは何か、考えてみた。ヒントは、子どもたちの生活習慣にあった。

箕面市の調査では、「スポーツや趣味などで頑張っていることがあるか」「毎日朝食を食べているか(生活習慣として身についているか)」といった問いに対し、「はい」と答えた子どもの比率は、生活保護受給世帯と、そうでない世帯の間に、小学1~2年の時点で約20ポイントもの開きがあった。

 また、「つらいこと、こまったことを先生に相談できるか」「1日の勉強時間の目安を決めているか」といった質問に「はい」と答えた子どもの比率は、小学3~4年生を境に開き始め、学年が上がるにつれて大きくなっていた。

 これらのデータから、次のような貧困世帯の子どもたちの姿が浮かんできた。小学校低学年のうちに家庭で養われるはずの生活習慣が身につかず、夢中になれるものも見つからない。やがて、高学年になると勉強の内容が理解できなくなり、悩みを先生に打ち明けることもできぬまま取り残されてしまう――そんな姿だ。

◆学力以上に重要な「非認知能力」
 正しい生活習慣や自制心などは「非認知能力」と呼ばれ、この力を幼少期に養うか否かで、その後の発達に決定的と言えるほど重要な効果をもたらすことが、海外の研究などで指摘されている。

 今回の分析は、貧困世帯の子どもの非認知能力が低い水準になりやすく、その後の学力に悪影響をもたらすおそれがあることを示唆している。

 この非認知能力は、親から子への「社会的相続」によって養われる。

 社会的相続とは、学力(認知能力)以外で子どもの将来の自立に資する能力を引き継いでいく過程のことだ。

 貧困世帯においては、親が仕事に追われて子どもと十分に接する時間を取れない、親自身も生活習慣が乱れ、子どもへの関心が低い、などの理由でこの社会的相続が十分に行われないケースが目立つ。これが、子どもが成長した後も貧困から抜け出せない「負の連鎖」を生んでいる可能性が高い。
◆貧困世帯でも高学力、背景に「社会的相続」
 福祉国家論で世界的に知られるデンマーク人の社会政策学者、イエスタ・エスピン・アンデルセン教授は「(社会的相続は)所得と同等か、それ以上に重要である」と言い切っている。

 今回の分析においても、貧困世帯であっても学力が高い子どもは、生活習慣などをしっかりと身に付けていたり、思いを伝える力などが高水準であったりすることが分かった。

 とはいえ、貧困に苦しむ親や家庭に社会的相続の全てを委ねるのには無理がある。いかにして社会が関わり、子どもたちの非認知能力を養うか。新たな対策が求められている。
◆“ツケ”は国民全体に
 「うちは貧困とは無縁だから」という人も、この問題を人ごとと捉えるべきではない。無関心のままでいると、いずれ大きな“ツケ”が本人や子ども、孫に返ってくることになる。

 日本財団と三菱UFJリサーチ&コンサルティングの共同調査による試算では、子どもの貧困による進学率等の格差を放置してしまうと、改善した場合に比べ、貧困世帯の15歳以下の子どもたちが得る生涯所得は40兆円以上減少することになる。

 これは国内市場の縮小を意味し、経済停滞を加速させる可能性がある。加えて、そうした子どもたちが生涯にわたって納めるはずだった税金や社会保険料等も大幅に減ることから、国の財政収入は約16兆円も減少すると見られる。日本の将来にとって悪いこと尽くめなのだ。

◆「子どもの貧困」解決に向けて
 私が所属する日本財団は、子どもの貧困問題に継続的に取り組んでおり、2017年11月までに、貧困世帯の低年齢期児童(小学校1~3年生)を対象に、家庭での取り組みを補完する形で「社会的相続」を提供する拠点施設を埼玉県戸田市、広島県尾道市、大阪府箕面市の3か所に開設した。

 そこでは、「読み聞かせ」の実施や、海外研究に基づく非認知能力のトレーニングプログラムの開発と試行、様々な大人と関わる機会の提供などを行うことで、「貧困の連鎖」を断ち切ることを目指している。今後、5年をめどに、全国に約100か所の拠点を設置したいと考えている。

 こうした教育投資について、海外には多数の研究事例があるが、日本にはその有効性を検証した例はまだ見当たらない。今回の取り組みでは、日本で初めて研究者を交えて長期にわたる追跡調査を行い、効果を科学的に検証したいと考えている。「貧困の連鎖」を確実に解消する方法を特定し、それが社会にどれほど有益かもわかりやすく示したいという思いからだ。

◆改めて問う日本の姿
 子どもの貧困への対策は、「かわいそうだから」といった感情論だけでなく、我が国の「将来への投資」として社会が認識すべきものだと思う。

 ノーベル経済学賞を受賞した米国の経済学者、ジェームズ・ヘックマン教授は、貧困状態にある子どもへの投資について、機会の平等といった社会正義と、経済合理性を同時に改善する、非常に稀(まれ)な政策オプションであると指摘している。

 先に述べた「社会的相続」提供施設の開設によって、科学的な裏付けとなるデータを長期にわたって取得し、それらを示すことで冷静な政策論議を喚起し、我が国の子ども関連政策や世代間の予算配分の在り方などを見直すきっかけになればと思う。

 貧困問題を冷静に議論することは難しい。短絡的な「(親の)自己責任論」や「(子どもの)自助努力論」などが声高に論じられ、建設的な意見を交わすことが難しくなってしまうからだ。

 しかし、「子どもの貧困」は国の将来を左右しかねない問題であり、私たち自身の重大な問題でもあることを忘れてはなるまい。様々な意見をお持ちの方がいると思うが、ここは一歩引いて、国の未来、私たちの社会の未来を、冷静に考えていただきたいと願っている。

参考資料:日本財団「家庭の経済格差と子どもの認知・非認知能力格差の関係分析」

https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/ending_child_poverty/index.html

参考資料:大阪府箕面市 子どもの貧困実態調査のまとめ

https://www.city.minoh.lg.jp/mimamori/documents/jittaichousa.pdf
日本財団「子どもの貧困対策プロジェクト」 栗田萌希

ハーグ条約基づく子の返還覆す 最高裁「養育環境悪化」

出典:平成29年12月28日 朝日新聞

ハーグ条約基づく子の返還覆す 最高裁「養育環境悪化」

 子どもの引き渡しに関するハーグ条約に基づき、母が米国から連れ出した子を米国在住の父に返還するよう命じた裁判所の決定について、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は「父親側の養育環境が悪化し、事情が変わった」とし、返還を認めないとする決定をした。決定は21日付。
 同条約は原則、連れ去られた子は元の居住国へ返還すると定めている。ただ、返還で子が耐え難い状況に陥る危険などがあれば例外としている。今回はこの例外が適用された形だ。外務省によると、同条約に基づき裁判所の決定の変更を求めた初のケースだったという。
 決定によると、両親は子4人と米国で同居していたが2014年7月、母が当時6~11歳の4人を連れて日本に入国。父は日本の家裁に子の返還を申し立て、16年1月に米国への返還を命じる決定が確定した。
 その後、父は競売で自宅を明け渡すことになったため、母は「決定の確定後に事情が変わった」として、決定の変更を求めていた。
 第一小法廷は「確定後、安定した住まいを確保できなくなっており、返還は子の利益にならない」と判断した。(岡本玄)

7人の父親の戦い:「私たちの子供の権利は日本でキャンセルされました」

出典:平成29年12月24日 ラ・スタンパ(イタリア紙)記事 
翻訳出典:Kizuna Child-Parent Reunion

7人の父親の戦い:「私たちの子供の権利は日本でキャンセルされました」

※日本国内で妻に子どもを連れ去られたイタリア人が、日本の子ども連れ去りの運用状況と支援などについてイタリア大統領に出した手紙に関する取材記事です。
イタリア大統領への手紙の内容は[[こちらの特集:ハーグ条約の形骸化>]]を参照ください。

親愛なるマリア、私たちは長年にわたって日本で生活• 仕事をしている、7人のイタリア人の父親の集まりです。日本には我々の家族と、合計9人の子供がいます。配偶者と離別後、私たちは親の様々な権利、それは 子供と会うことまでも、組織的•体系的に否定され続けています。私たちのうち、3人はまだ結婚しているのにです。日本では共同親権がなく、夫婦が離婚する と、父の存在は消されます。男は仕事に完全に呑み込まれるこの国では我々を必要ではないというのです。法廷は、初めに子を誘拐した者に親権を任せます。 (これはほとんどの場合、母親)イタリアでは、未成年者は父親と会えるという権利がありますが、日本ではないのです。子供が父と会わずに育てられると、そ の権利は守られないということになります。このシステムの被害者は我々だけではありません。その数はなんと、ここ20年で300万人の日本の子供達が片親 と会えずに育てられています。この悲惨な状況は、実は法律を変えてもなおらないのです。それは裁判官がこれを無視するからです。現時点では私たちの子供達 がどこにいるか分かりません。イタリア政府はこの問題を認めているのにも関わらず何も行動を起こしません。夫婦間の問題だと言って無視するのです。私たち は先日、セルジオ・マッタレッラ イタリア共和国大統領に書簡を提出しました。我々の子供達もイタリア国民であり、政府によって守られるべきです。私たちは決して諦めません。そしてこの度 の、私たちの願いは、この訴えを広めていただきたいのです。

遠い日本で、7人のイタリア人父がその9人の子供達の ために闘う、虚しいクリスマスストーリー。そこでは未成年者の親権は「連れ去った者勝ち」という、どう考えても理不尽な悪習によって支配されます。いずれ の親も、子を誘拐するかされるかのゲームなのです。これが、子供の両親に対する感情を、最初に形成する若い頃に行われ、下手すれば子供の人生がかかってい るという時にこんなゲームをしているのは、全く不愉快ではないだろうか。あなた方は正しいでしょう。イタリア政府は確かにすぐに仲介に入るべきでありま す。外交的に調停を始め、現状は認められないと主張し、「家庭内の問題」とは片付けられないと訴えるのです。日本が子供拉致問題のブラックホールと呼ばれ ていることは、忘れてはなりません。(日本国民と家族を作ろうと考えているなら、これは知っておくべきです)

日本が2014年についにハーグ条約に署名した時、新 しい時代が始まるという期待はありましたが、変化は最小限にとどまりました。条約が適用するのは、子供が海外から拉致され時、又は、常習の居所に戻されな い時です。この7人の父たちを例にとると、子供の誘拐は日本国内で行われたため、条約は適用されないのです。

日本の社会はかなり先進的であるものの、それと同時に 古典的な思想から逃れることに苦しんでいます。この国では、国連子どもの権利条約すら無視されます。それも批准しているにも関わらずです。書簡に署名した 7人の言うように、日本で法が変わっても事態に変化が見られないのは、裁判官がそれを無視し、基本的人権よりも、古びた「継続性の原則」(子供が誘拐を犯 した片親と継続して暮らすこと)に頼るからです。しかし政府は片親による未成年者誘拐の問題について、さらに新しい法を作り、介入を果たすことを迫られつ つあります。(政府は夏までにはと言います。)外国の市民のみならず、日本の父(や母)への影響も目立ってきたからです。一家心中が増加していることも忘 れてはなりません。

あなた方は、我が子がいないと最も辛いこのクリスマス の時期に大統領へ手紙を書くことにしました。彼がしっかり返答してくれることと、我が政府が私たちを守ってくれることを真摯に願います。日本ではこれは 「プライベートな問題」とあしらわれ、イタリアでは「夫婦間の問題」とみなされます。これらはどういう意味なんでしょうか、私には理解できません。この7 人の父親のうちのひとりが、日本で他人にこの状況を説明すると、あまりに普通のことであるため、「あぁはいはい、逃亡の妻ね」と返されると言っていまし た。私がイタリアの政治の方々に申し上げたいのは、海外で暮らすイタリア国民を守るのは選択肢ではありません。また、選挙直前、もしくはメディアによって 強いられた時のみに行動を起こすのも間違っています。決して行動を遅らせるようなことはしないでください。でないと「あぁはいはい、怒りの国民ね」となってしまいますよ。

日本は裏社会と外国工作員が喜ぶ失踪天国

出典:平成29年12月16日 アゴラ

日本は裏社会と外国工作員が喜ぶ失踪天国

「1年に数千人が消える…「失踪」の国・日本 なにが起きているのか?」という記事が出ていた。
[[数千人が「失踪」していく国・日本 何が起きているのか?(BuzzFeed Japan)>「1年に数千人が消える…「失踪」の国・日本 なにが起きているのか?」という記事が出ていた。
数千人が「失踪」していく国・日本 何が起きているのか?(BuzzFeed Japan)
ある日、家族や友人の前から消えて、生きているのか死んでいるのか分からない人がこの国にはやたら多い。その背景には、この国では、諸外国並みに身分証明書の携帯が義務づけないなど、どこの誰だか示さないまま生きていくことが余りにも容易である。
ヨーロッパ各国では、しょっちゅう、「公式身分証明書(フランス語で言えば]]
ある日、家族や友人の前から消えて、生きているのか死んでいるのか分からない人がこの国にはやたら多い。その背景には、この国では、諸外国並みに身分証明書の携帯が義務づけないなど、どこの誰だか示さないまま生きていくことが余りにも容易である。
ヨーロッパ各国では、しょっちゅう、「公式身分証明書(フランス語で言えばカルト・ディダンティテ。パスポートの内国版みたいなもので、学生証とか社員証などは身分証明書としては使えない)」の提示を求められるし、持っていなければ罰則が適用されたり、拘留されたりする。
クレジットカードでも暗証番号と身分証明遺書のダブルチェックが多くなってきている。さらに、現金決済は出来ないことも多い、高額紙幣も廃止の方向だ。中国ではスマホによる支払いが増えて、日本に観光に来て、久しぶりに現金を使ったなどという中国人もいる。
ともかく、日本で飛行機の予約に身分をあかさずに偽名で乗れるなど論外だと思う。新幹線でもスペインでは、アトーチャのテロ事件から予約して身分証明書と照合しないと乗れないし、中国でもそうだ。観光名所の入場も同様になってきて、紫禁城でもインターネットで事前購入しないと入れないし、そうした動きは世界に広がっている。
日本では、個人情報の保護とか、差別排除とかいって、どんどん、どこのだれか証明しなくても生きていけるようにしてしまった。それどころか、いろんなことが証明出来なくなっている。
先日も、私自身が10年ほど前にどこに住んでいたか証明が必要になったのだが、住民票データは5年経つと廃棄されているわ、戸籍は電子化のときに古い住所は廃棄されているわで、最後は、宣誓書を書いて証明なしで通った。
こういう現状は、犯罪と外国の工作員の餌食に善良な日本人をしていて危険きわまりない。なりすましも容易である。
また、家族離散を助長しているし、不動産などで所有者が不明のものも増えている。近所に長く誰も住まないままになっている家があるのでどうしたのかと思ったら、親が死んだあと兄弟の一人が失踪しているので売れないというようなこともよくある。どこの誰か分からないままの仏様も多い。
日本には同和問題という江戸時代に極限まで差別が強化された恥部があり、その解消というのが、ひとつの口実になって身元不明を容認というか推奨してきた経緯があって、それは理解できるが、それに裏社会や、外国勢力が便乗してきたということもある。
難民やテロが深刻化する前に、手を打っておかないと急に管理をできるものではないのであって、思い切った舵取りが必要だ。
もちろん、それまでの人間関係をリセットして生きたいということのメリットもあるが、諸外国に比べて安易にそれを認めすぎではないか。

離婚の際に、多くの場合、片方の親との接触が切れてしまうなどというのが、国際的に非常識であることはいうまでもない。それについては、親だけでなく、祖父母と孫の関係も切れることを意味してむごいことだ。孫を可愛がっても離婚されたら会えなったときのショックが大きいから距離を取ってるなどという人も多い。私は少子化のひとつの原因として、そのあたりもあると思っている。

日本に拉致される子供達

出典:平成29年12月15日 Sky TG24(イタリア)

日本国内で妻に子どもを連れ去られたイタリア人が、日本の子ども連れ去りの運用状況と支援などについてイタリア大統領に手紙を出しました。
その内容と日本における子どもの連れ去り問題について、イタリアのSky TG24がトップニュースで放送しました。

※日本語字幕を表示する手順:全画面表示の右下に表示されるボタン(オーディオと字幕)で「日本語」を選択してください。

イタリア大統領への手紙の内容はこちらの特集:ハーグ条約の形骸化を参照ください。

ある国立大学教授の大森貴弘氏批判への疑問 必要なことは、親子断絶の危険性についての理解あるいは、子を思う親の気持ちへの理解ではないかと思う理由

出典:平成29年10月22日 土井法律事務所(宮城県)ブログ

ある国立大学教授の大森貴弘氏批判への疑問 必要なことは、親子断絶の危険性についての理解あるいは、子を思う親の気持ちへの理解ではないかと思う理由

ある国立大の法学部教授が、朝日デジタル「私の視点」に大森貴弘氏を名指しして批判した記事が掲載されました。彼女は以下のように大森氏を批判しています。

http://digital.asahi.com/articles/DA3S13186771.html

「兵庫県伊丹市で面会交流時に起きた痛ましい子殺し事件について「原因は親子断絶による父親の精神状態の悪化にある。面会交流が継続されていれば事件は起きなかったはずで、親子断絶の問題を告発 した事件と言える」とする見解が、何でもありのネット空間ではなく、新聞に掲載されたことに、深い悲しみを覚える。

これは、大森氏の文章に対して、ネット空間のような何でもありの主張であり、新聞に掲載されることは言語道断だという、極めて辛辣な批判です。彼女のこの主張は、仲間同士の閉ざされた人間関係の中での発言ではなく、これまた新聞という不特定多数人に向けた主張のはずです。そうだとすると、なぜ、何でもありのむちゃくちゃな主張であるのか、その理由を説明しなければ、失礼であり、品位を欠くものだと、私は思います。

 その後の彼女の論は、日本の法律は家庭に入りにくい設計になっているが、設計された明治時代は家という大人数で子どもを育てていた。両親に問題があっても、他のまともな大人が子どもを守っていたという趣旨のお話をされ、現在は、その安全弁が失われ、児童虐待に対する予算も体制も日本は貧弱だと展開されています。面会交流も大事だが、加害者の加害を見抜く制度設計が必要だとして、これがない親子断絶防止法を批判します。
そして「私は伊丹市の悲劇の詳細を知らないが、仮に父親が3カ月間、子に会えなくて精神的に病んだとしても、悲劇の責任は、面会交流を試行錯誤した母親にあるのでは決してない。子を守れなかった責任は、親を放置して育児を支援しなかった、私たち日本社会の無責任な無策にある。」と結んでいるのです。

 第1に、大森氏の論考が、伊丹の事件で、子どもが死んだのが母親の責任だなどとは言っていないのですが、彼女の話の流れは、さも大森氏がそのような主張をしているように読み手に誤解を与えることになります。 私の弁護士としての体験からですが、子どもを連れて別居した母親は子どもに取って父親の愛情を受けることに、あくまでも反対だという人は少ないという実感があります。母親に対して適切な働きかけをして、周到に準備をして母親の不安を軽減した上での面会交流は例外的なケースを除いて実行されます。むしろ、母親に対して子どもを父親に合わせるなという無責任な「支援者」がいるために、面会を拒否するケースが大半です。この「支援者」として、行政や警察、弁護士や医者、学校等様々な職種の人たちが子どもが自分の親に会うことを妨害しているということが実情です。大体は、すでに論拠がないと否定されつくされているレノア・ウォーカーのお説をさらに劣化させて繰り返し母親に吹き込んでいるのです。新しいケースでデジャブ―のように聞かされるたびにうんざりしてしまいます。母親がそれを信じる原因として、夫の家族に対する日常の行動に問題がある場合もありますが、それよりも、母親の体調の問題からの精神的な不安定が要因となることが多いようです。体調の問題とは、漠然とした不安感、疎外感、孤立感です。実際の離婚事件で母親が診断された疾患として、甲状腺機能異常、産後うつ、月経前緊張症、全般性不安障害、うつ病、パニック障害などがあります。このような不安状態の中で、行政や弁護士、警察や医師、学校関係者から、会わせてはいけないとアドバイスされると、合わせること自体が不安になるということもあるでしょう。

 母親たちは、逃げることで、不安のほかに恐怖まで植え付けれられているのが実情です。現在の逃げるという政策は、即ち子どもを連れて逃げるということですから、当然に父親から子どもを引き離す政策だということを意味しています。この政策を転換するべきだということが、本来提言されるべきことだと思います。それが親子断絶防止法かといわれれば、極めて不十分であることは私も異論がありません。親子断絶防止法は、当初の案から大幅に後退してしまっており、メリットが少なくデメリットが増えてしまったと感じています。一番の問題は結論を提示しているだけで、その結論にどのように誘導するかという肝心の政策がない点です。

 第2に、彼女の論の疑問点として、親子断絶によって精神状態の悪化が起きたことを論難しているように読めることです。
 現実に、父親や母親がわが子と会えなくなることで、様々な精神症状が現れます。これまで精神科医がうつ病などの抑うつ状態、転換性障害、不眠症などと診断した人たちを実際に見ています。突如電話をしたくなり、相手の事情もかまわずに自分の不安を語りだす人、ほとんど日常的に涙目になっている人、誰彼構わずに攻撃的になる人、多かれ少なかれ、異常行動が見られます。

 日本人は、少なくとも江戸時代までは、子煩悩で有名でした。山上憶良の歌から始まり、モースの「日本その日その日」等、子どもがいかに大切にされていたかを物語る資料は尽きません。自分の一部だと思っている子どもと引き離されることで、精神的な不具合が生じることは当然なことでしょう。
 現在の母子を逃がし、父から断絶するという政策が人の精神を病ませる実例は枚挙にいとまがありません。

 家庭内暴力があり、命の危険がある場合はやむを得ないでしょう。しかし、現実に家族が分断されるケースは、私が知る限りそのような危険のないケースがほとんどです。むしろ、心身を蝕むケースの本当のDV事案では、なかなか法制度によって救済されない問題点があると感じています。支援制度を悪用して不貞相手の男性と同居していたケースも少なくありません。DVがないにもかかわらず、DVがあるように思いこんでしまっているケースも多くあります。この点の原因としては、国立大学の教授の見解が支持されるべきであり、夫婦、家族が孤立していることに問題があると私も思います。但し、孤立しているため、加害者が被害者に加害をするという単純な話ではなく、お互いが、自分を客観的に見ることができず、疑心暗鬼をだれも止めてくれないということ、ちょっとの工夫をアドバイスされれば、みんなが幸せになるのにということなのです。この違いは決定的だと思います。

 逃がす政策が人を狂わせ、凶暴化させ、あるいは破れかぶれにさせ、あるいは思考力を奪い、さらなる悲劇を生んでいるということは真実だと思います。そのような側面が確かにあり、少なくないケースで見られるにもかかわらず、なかったことにされることはどうしても納得できません。まさに数の暴力です。私は、人権侵害が行われていると思います。女性の権利を守る名目で、子どもと会えない親の人格が国家によって否定され、子どもが両親から愛情を注がれる権利が理由なく奪われ、子どもの親を絶対的な悪だと子どもに対して繰り返し吹き込む、そのような野蛮なことが横行していると声を大にして言いたいのです。

 第3に、彼女の主張で、もし、親子の引き離しによって父親の精神破綻が生じて暴力に出たということ自体を否定していたとしたら、それは元々父親は子どもを殺すような粗暴な人間だったということを主張しているのでしょうか。そのように読むと論述自体が一貫しているように読めるのです。彼女は、大森氏のどこがどのように何でもありなのか説明をしていないので、不明ではあります。しかし、もしそうだとしたら、人間観に問題があるように感じてなりません。

私は、長年刑事弁護を担当しているわけですが、生まれながらに犯罪を実行する人などいないと感じています。みんな理由があって逸脱行動にでるということです。弁護人の仕事は、罪を犯した人とその理由を考え、理由を除去し再犯を予防することだと整理できると思います。伊丹の事件の理由の一つとして、子どもと過ごすことのできない絶望感や、そのことによって発症した精神疾患ということは、可能性があることを否定する事情はないでしょう。なんでもありというような荒唐無稽の話でないことだけは確かです。

 気になるのは、彼女の論拠の背景として、妻が子どもを連れて別居するというそれだけのことから、別居の理由が夫にDVがあったからだという決めつけがないかということです。実際にそのような別居事案において暴力と呼べる自体がないことが多くあります。精神的虐待といっても、日常よくあるいさかいをもって虐待と呼んでいるケースがほとんどだと実感しています。いずれにしても、そのようないわゆるDV冤罪の事案は少なくありません。このようなDV冤罪を作り出し、父親の精神を破綻させ、子どもから父親と会う権利を奪い、子どもから父親を肯定する権利を奪う最大の原因が、このような類型的な決めつけ、ものの見方です。一言で言って差別です。

松戸家裁の事例では、父親のDVは裁判所でついに認定されませんでした。当事者がDVを裁判家庭において主張することはともかく、ひとり親支援NPOの代表や、武蔵大学社会学教授は、何も事情を知らないくせに父親をDV夫だと決めつけて、SNS等で流布したことで、刑事告訴をし受理されたとのことです。伊丹の事案は、父親も自死してしまいましたので、告訴をする人がいないのかもしれません。しかし、法律家は、事情知らない事案では、当事者を非難するコメントをしないということが最低限の矜持だと理解しています。何らかの決めつけがあったならば、法律家としてのコメントとは言えません。このルールは実務家だけで研究者は例外なのでしょうか。

 現在の親子断絶防止法を批判することは自由でしょう。しかし、そのことのために、多くの人たちが傷つくことを謙虚に考えるべきだと思いますし、実際に起きている現実をぜひ知って、みんなが幸せになる方法を考えていただきたいと考えてやみません。みんながということが無理ならば、せめて子どもが自分の親を否定することを押し付けられた場合の、子どもの将来に起きることを考えていただきたいと思います。

以下引用。

「離婚後の子育て 共同親権で親子の関係守れ」と題した大森貴弘氏の「私の視点」(9月21日付)を読んでショックを受けた。兵庫県伊丹市で面会交流時に起きた痛ましい子殺し事件について「原因は親子断絶による父親の精神状態の悪化にある。面会交流が継続されていれば事件は起きなかったはずで、親子断絶の問題を告発 した事件と言える」とする見解が、何でもありのネット空間ではなく、新聞に掲載されたことに、深い悲しみを覚える。
 先進国の家族法と日本家族法との違いは、離婚後の共同親権の有無だけではない。両親間のトラブルに対する制度設計がまったく異なっている。明治政府は30年をかけて西欧法に倣った近代法を立法した。しかし明治民法の家族法部分については、「家」の自治にすべてを委ねる、独自の極端な法を立法した。離婚を必ず裁判離婚とするような西欧法は、手間のかかる不要な国家介入だと判断したのである。当時は、まだ自営業を担う「家」が中心の社会で、人々は地域共同体や大家族に包摂されて生活しており、親に問題があっても子どもたちはまともな大人と触れあうことで健康に成長できた。この社会的安全弁は、失われた。
 戦後の民法改正は「家」の自治を当事者の自治に変えただけだ。西欧の裁判所であれば、家庭内暴力(DV)被害者が助けを求めれば、加害者に別居命令を出し、養育費を取り立て、従わなければ刑事罰を加える。しかし、日本のDV被害者に残されているのは、逃げる自由だけである。DVは深刻な児童虐待であり、脳の成長を損傷する度合いは、肉体的虐待や育児放棄よりもむしろ大きいといわれる。そして児童虐待対応にかけられている公費も、日本は西欧諸国よりはるかに少ない。
 もちろん離婚後も親子の交流があるほうが望ましく、子の奪い合いにはときに強制力のある介入も必要である。しかし、それは物理的・精神的暴力から子を守りながら行わなければならない。パーソナリティーの偏りや精神的暴力の有無などを見抜く力のある精神科医や臨床心理士などのプロが調査・介入して、加害者に働きかけてリスクを軽減して初めて可能になる。親子断絶防止法案は、これらの支援の保障なく、当事者への義務づけを定めるもので、弊害が大きい。
 私は伊丹市の悲劇の詳細を知らないが、仮に父親が3カ月間、子に会えなくて精神的に病んだとしても、悲劇の責任は、面会交流を試行錯誤した母親にあるのでは決してない。子を守れなかった責任は、親を放置して育児を支援しなかった、私たち日本社会の無責任な無策にある。

虚偽DVに対する刑事告訴

平成28年3月に千葉家裁松戸支部で「フレンドリーペアレントルール(寛容性の原則)」による親権者決定の判決を受け、一方、平成28年11月の控訴審判決で「継続性の原則」により親権を失った当事者が、虚偽の配偶者暴力(DV)をねつ造し流布したことによる元妻側弁護士等の名誉棄損に対し、平成29年9月28日に当該関係者を刑事告訴しました。
また、関連記事(下記記事)が10月17日に産経新聞WEB版に掲載されました。

詳細は、全国連絡会のホームページ(こちら)をご覧ください。

親権1、2審逆転訴訟が刑事事件に 敗訴の父親が元妻支援の弁護士ら告訴 異例の展開

出典:平成29年10月17日 産経新聞WEB版

親権1、2審逆転訴訟が刑事事件に 敗訴の父親が元妻支援の弁護士ら告訴 異例の展開

長女(9)の親権をめぐる元夫婦間の訴訟で、「家庭内暴力(DV)をしていた」などと虚偽の事実を流布されたとして、長女の父親が、母親側を支援した弁護士や女性団体役員らを名誉毀損(きそん)罪で刑事告訴し9月末、警視庁に受理された。親権訴訟が刑事事件に発展するのは異例だ。同じ状況にいる多くの当事者らが、捜査の行方を注目している。

■「DV受けた」
 刑事告訴したのは、キャリア官僚の40代の男性。
 裁判記録などによると、男性は平成18年、国際機関での勤務経験もある元妻と結婚し、翌19年に長女が生まれた。しかし不仲になり、元妻は22年5月、男性が仕事で不在のときに長女を連れて自宅を出て別居状態となった。男性は同年9月以降、長女と会っていないという。
 その後、「不当な連れ去りであり、長女を返すべきだ」と主張する男性側と、「男性から(自分は)DVを受けており、子供を連れて逃げたのはやむを得なかった」とする元妻側の間で親権訴訟に発展した。
 1審千葉家裁松戸支部で元妻側は「男性と長女の面会交流は月1回程度」と主張。一方、男性側は「親権を得たら長女を年間100日程度、元妻と面会交流させる」と提案した。
 28年3月の1審判決は、男性側の提案を「長女は両親の愛情を多く受けられ、健全に成長できる」と評価し、男性を勝訴とした。また男性によるDVは「なかった」と認定した。

■“画期的判決”と注目
 親権訴訟では、(1)成育環境が一変するのは子供に不利益との考えから、同居中の親を優先する「継続性の原則」(2)父親より母親が養育するのが望ましいとする「母親優先の原則」-などが重視される。
 この1審判決は、従来の基準ではなく、より相手に有利な条件を提示した親を優先する欧米的な「寛容な親の原則(フレンドリーペアレントルール)」を日本で初適用した事例として注目を集めた。
 しかし、控訴審の東京高裁は29年1月、「面会交流の回数を過剰に評価すべきではない」として、「継続性の原則」「母親優先の原則」を重視し、男性を逆転敗訴とした。ただ、DVについては1審同様「なかった」と判断した。男性は上告したが同年7月、最高裁は上告を棄却した。

■「名誉毀損だ」
 そして男性は刑事告訴。警視庁が受理した告訴状の概要は次の通りだ。
 (1)元妻を支援した団体の役員らが1審判決後、「元妻は男性から暴言、暴力、精神的・経済的な虐待を受けていた」などと記した署名を呼びかける書面を、不特定多数の人に配布した。
 (2)高裁判決後に元妻側が開いた記者会見で、代理人弁護士が「夫妻仲が悪くなった理由は、男性によるDVがあったため」などと記した資料を配布した。
 (3)控訴審判決について、厚生労働省が主管する男親による子育て支援活動「イクメンプロジェクト」の男性委員が、会員制交流サイト(SNS)上で「6年近く父親と別居している女の子をモラハラ夫(父)に引き渡すわけがないだろう」などと発言した。
男性は告訴状で「虚偽の内容を記した資料配布や発言により、社会的地位が傷付けられた。名誉毀損に当たる」と主張している。

■告訴の背景は…
 親権争いをめぐっては、父親側団体などが「子供の連れ去りは一種の“誘拐”なのに、『継続性の原則』により親権訴訟で有利になるのはおかしい。裁判官もDVを簡単に認定する傾向がある。これでは不当な連れ去りはなくならない」などと問題提起してきた。

一方で、母親側の団体などは「父親側は自身のDVについて無自覚だ。DVを行う父親のところに子供を残すわけにはいかず、子供を連れて行くのはやむを得ない」などと主張。両者の主張は平行線をたどる状況が続いている。
 男性は刑事告訴した意図について「親権争いをビジネスにしている勢力が一部におり、その意味では元妻も被害者だ。DV冤罪(えんざい)の問題を社会に問いたい」説明。
 その上で、「DV自体は決して許されるものではない。しかし世の中には、そのような意識を逆手に取ろうとする勢力がいることも事実だ。これまで、DVというぬれぎぬを着せられて苦しんでいた方々にも、告訴受理が一つの救いになればよいと考えている」としている。
            ◇
ドメスティックバイオレンス(DV) 暴力など「身体的虐待」▽脅迫など「精神的虐待」▽金銭を渡さない「経済的虐待」-などが該当するとされる。被害者はPTSD(心的外傷後ストレス障害)などを発症する場合がある。一方、親権争いでは、一方の親が裁判で有利になるためにDVを主張し、証拠が乏しくても認定される場合があるとされ、一部の専門家らが是正を訴えている。

父へ母へ「愛されたかった。さようなら」…虐待被害100人、醜い親への手紙

出典:平成29年9月23日 読売新聞

父へ母へ「愛されたかった。さようなら」…虐待被害100人、醜い親への手紙

 児童虐待を受けた100人が、親に宛てた手紙を集めた「日本一醜い親への手紙」(dZERO刊)が10月上旬に出版される。1997年、同じタイトルで10万部を売り上げた本の第2作。親への憎しみや愛されなかった悲しさ、決別の言葉がつづられている。寄稿者の一人は、取材に「虐待で苦しむ人たちに、『一人じゃないよ』って伝えたい」と話す。

1日かけてスマホで打った母への手紙を読み返す麻衣さん。憎しみと悲しさが入り交じった複雑な思いがつづられている

「お母さんを殺すか、自分が死ぬか…」

 「お母さんを殺すか、自分が死ぬかで何度も迷ったんですよ」

 大阪府内に住む鍼灸(しんきゅう)師の麻衣さん(32)(仮名)は、母親への手紙で、自身の生い立ちをそう振り返った。

 4歳の時、虐待が始まった。母親は出産後まもなく離婚しており、麻衣さんが「お父さんに会いたい」と伝えたところ、激怒して頬を思い切り殴られた。

 小学生になっても暴力は続き、「娘というのは、母親の機嫌次第で殴られ、蹴られるものなのだ」と思っていた。

 鍼灸師の専門学校を卒業後、家を出て開業したが、母親の過干渉でうつ病に。昨秋、医師の勧めで母親との連絡を絶った。それから1年。今はパートナーと子どもの3人で幸せに暮らす。

 手紙では、母について「もう何とも思いません。憎むことで縛られたくない」とつづる。ただ、手紙はこう締めくくられる。

 「でも、本音を言うと…悲しいし、寂しいです。お母さん、あなたに愛されたかったです。さようなら」

虐待受けながら、それでも親を愛そうと…

 手紙は4~6月にインターネット上で公募された。本に登場する100人は中学生から50歳代。性的虐待や暴力、進学に必要なお金を用意しないなど経済的な虐待を受けたケースがあった。麻衣さんは「虐待を受けている時、自分は世界にひとりぼっちだと思っていた。でも、同じように苦しむ人がいると知り、それだけで心が楽になった」と言う。

 編集は、前作から引き続きフリーライターの今一生さん(51)が担当した。今さんは「虐待を受けながら、それでも親を愛そうと、大人になって苦しむ人は多い。本には、『無理してつきあっていく必要はないんだよ』というメッセージを込めた」と話す。
 四六判264ページ、1800円(税抜き)。

こころぎふ臨床心理センターの長谷川博一センター長の話

 「虐待を受けていたのに『親とうまくいかないのは自分のせい』と自らを責めがちな人が読めば、その考えから抜け出すきっかけとなり得る。過度に親への不信感を募らせる場合もあり、悩んだら、一人で抱え込まず、専門家に相談してほしい」

(私の視点)離婚後の子育て 共同親権で親子の関係守れ 大森貴弘

出典:平成29年9月21日 朝日新聞

(私の視点)離婚後の子育て 共同親権で親子の関係守れ 大森貴弘

 離婚後の父母が共同で子を育てる共同親権制度が世界中に広がっている。離婚した父母が笑顔で子を受け渡し、子はふだん別居している親と交流する。週末や夏休みには別居親のもとで宿泊し楽しく過ごす。そんな光景が世界の国々では当たり前に見られる。
 一方、我が国は子の健全な発達には両親が必要との認識が薄く、先進国で共同親権を認めない唯一の国である。毎年約23万組が離婚し、その6割に未成年の子がいるが、離婚後は単独親権となるため、親権争いが激化しやすい。親権を失った親は、子との面会交流を拒否されるなどで、6割以上が子に会えなくなる。毎年約15万人の子が別居親との絆を断たれている。
 こうした親子の「断絶」を防ぐための法律(親子断絶防止法)を超党派の議員連盟が準備している。親子の面会交流を促進しつつ、国や自治体に親子関係の維持を促す理念法である。将来の共同親権導入を検討する旨の付則もある。
 他方、面会交流での「リスク」を理由に法案に反対する人々もいる。リスク事例として挙げるのが、今年4月に兵庫県伊丹市で起きた父子の死亡事件だ。父親は別居している長女との面会交流中に、無理心中を図ったとみられる。事件当日まで約3カ月間、面会はなく、父と娘は引き離しの状態にあった。父親は、娘と会えぬ悲しみから精神科に通院していたという。
 原因は親子断絶による父親の精神状態の悪化にある。面会交流が継続されていれば事件は起きなかったはずで、親子断絶の問題を告発した事件と言える。
 外国の例では、ドイツでは子を育成する親の権利が憲法で明文化されており、連邦憲法裁判所は、単独親権を定めた民法の規定を「憲法違反」とし、共同親権が法制化された。米国でも親の権利が憲法により導き出され、すべての州で共同親権が導入されている。
 日本は憲法に親の権利の明文規定はないが、人権の普遍性や親子の自然的関係を論じた最高裁判決などが根拠になる。親子断絶防止法は、子の利益に資するとともに、基本的人権である親の権利の具体化としても意義を持つ。かけがえのない親子の絆を守り、子の健全な発達を期するためにも早期の制定が必要だ。
 (おおもりたかひろ 常葉大学講師〈憲法学〉)

離婚後も「子どもに会いたい・・・」面会交流

出典:平成29年9月16日 NHK・おはよう日本

[番組案内]離婚後の別居親子が会う「面会交流」でトラブルが相次いでいます。今年4月には父が娘を殺害するという痛ましい事件も。離婚時に公的機関が関与し、面会交流の支援体制を整備した海外の事例や国内の取り組みを通じて、再発防止のため社会は何をすべきか考えます。

「面会交流」テーマに岡山で講演

出典:平成29年9月11日 山陽新聞

「面会交流」テーマに岡山で講演

 離婚後に離れて暮らす親子が会う「面会交流」をテーマにした講演会が10日、岡山市内であり、市民ら約90人が理解を深めた。
 面会交流の日時や場所を決めたり、付き添ったりする支援団体で、家裁の調停委員や弁護士らでつくるNPO法人岡山家族支援センターみらいが開いた。 日弁連家事法制委員会委員の片山登志子弁護士(大阪弁護士会)が講師を務め、「離婚協議では、子どもの健やかな成育環境をいかに維持するか話し合うことが大切。子どもの気持ちに寄り添ってほしい」と呼び掛けた。 面会交流の頻度や時間など合意内容が履行されないケースもあるとして、「支援団体による援助を手軽に利用できるシステムの整備が必要」と指摘。兵庫県で4月、父親が面会交流中に幼い娘を殺害して自殺したとされる事件に触れ、「両親間の争いや暴力から子どもを守れる状態か、支援団体などが見極めることも重要」と話した。

孤立するひとり親家庭を支援 自治体が手厚く「集中相談会」

出典:平成29年9月8日 毎日新聞

孤立するひとり親家庭を支援 自治体が手厚く「集中相談会」

 孤立に苦しむひとり親家庭に支援情報を確実に届けようと、児童扶養手当の現況届を役所に提出する時期にあたる8月に合わせ、自治体の間に手厚い相談体制を整備する動きが出てきた。自ら制度を知り、申し込まなければ利用できない「申請主義」を超え、積極的に手をさしのべる取り組みが広がるか、注目される。

 先進的な子育て支援策に取り組んできた兵庫県明石市では昨年と今年、多くの職場が休みになるお盆期間を含む7日間に「ひとり親家庭総合相談会」を実施した。市役所内に▽生活▽子育て▽就労▽健康▽離婚後の面会交流や養育費のガイダンス▽法律--の相談ブースを設置。市の家庭児童相談員や保健師、弁護士資格を持つ職員のほか、民間支援団体やハローワーク職員らが相談員を務めた。

 「困っている親子を見落とさない」ための工夫は随所にある。まずは多くの親に相談会場まで足を運んでもらえるよう、現況届の提出を終えた人を職員が別棟の会場まで案内。会場では初めに、事前送付していた生活上の悩みを聞くアンケートを出してもらい、その内容に従って各相談ブースを紹介する。アンケートを提出した人には、プレゼント(昨年は図書カード、今年は企業の提供によるシャンプーなどの日用品)も用意した。
 会場で目を引くのは、「まったりスペース」と名付けられた中央の大きなテーブルと椅子。親が離婚した子を主人公にした絵本など、児童向けの本や、支援情報の冊子が並べられ、相談を受ける順番待ちの間に読める。今年、会場を訪れていた中学3年の息子がいる派遣社員の母親(40)は「教育費はためてきたが、自分の老後が心配。セミナーの情報が聞けてよかった」と笑顔を見せた。今年は、児童扶養手当の受給資格を持つ約2700人のうち、3割弱にあたる約730人が相談会場に訪れた。
 東京都武蔵野市や千葉県松戸市など相談ブースを設ける自治体は増えている。厚生労働省は昨年度から、こうした集中相談に取り組む自治体に経費の半額を約150万円まで補助する事業を始めた。明石市の相談会のコーディネートや、相談対応を手がけたNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」(東京都千代田区)の赤石千衣子理事長は「普段は相談に来ることの少ない父子家庭の父親の悩みもじっくり聞けた」と効果を強調。「孤立を防ぐには『役所が頼ってもいい場所』と知ってもらうことが大切。予算もさほどかからないので、多くの自治体に広がってほしい」と期待する。【反橋希美】

国際離婚の審判 母親と父親双方の訴え認めず

出典:平成29年9月8日 NHK

国際離婚の審判 母親と父親双方の訴え認めず

アメリカで離婚したあと、子どもを連れて帰国した日本人の母親とアメリカ人の父親が争った審判で、富山家庭裁判所は、母親が求めていた子どもを養育する権利を認めない一方、父親が求めていた子どもの引き渡しも認めない決定を出しました。
これはアメリカ人の父親が東京・霞が関で会見して明らかにしたものです。それによりますと、父親はアメリカで日本人の母親と結婚し、離婚したあとは子どもと暮らしていましたが、7年前に母親が当時6歳の子どもを日本へ連れて行き、その後、子どもを養育する権利を求めて富山家庭裁判所に審判を申し立てました。

これに対して父親は、国境を越えた子どもの連れ出しを解決するためのルールを定めた「ハーグ条約」が3年前に日本でも発効したことを踏まえ、子どもを引き渡すべきだなどと主張していました。

富山家庭裁判所の原啓一郎裁判長は、今月5日付けの決定で「母親は子どものパスポートを不正に入手したうえ、アメリカの裁判所が定めた養育計画に違反して子どもを連れ去っていて、強い非難に値する」として母親が子どもを養育する権利を認めませんでした。

一方で、父親が求めていた子どもの引き渡しについても「子ども自身の意思に反する」として認めませんでした。父親は「日本の司法は違法な行為を認めていると言わざるをえない。非常につらく、悲しい」と話していました。

離婚と面会交流 子どもの幸せ最優先に

出典:平成29年8月20日 北海道新聞

離婚と面会交流 子どもの幸せ最優先に

 離婚や別居で離ればなれになった親と子が定期的に会う「面会交流」を巡り、父母がもめるケースが後を絶たない。

 全国の家裁に昨年申し立てられた調停や審判は約1万4千件にのぼり、10年前の2倍を超す。

 少子化に加えて、親権を失っても育児に参加したい父親の増加などが背景にあるという。

 面会の時間や回数、方法をどうするか。本来は父母がじっくり話し合うべきだが、当事者だけでは解決が難しいこともあろう。

 ならば、行政や民間団体をはじめ、社会全体で円滑な面会を支える。子の幸せを最優先に、そうした取り組みを充実させたい。

 欧米では、離婚後も父母双方が養育する共同親権制度の国が少なくないが、日本は父母いずれかの単独親権しか認めていない。

 このため、「子に会いたい」「会わせたくない」という問題が起こりがちだ。

 トラブルの増加を受けて2011年に改正された民法は、面会交流や養育費の分担について、子の利益を最も考慮して決めると明文化している。

 親は、この法の趣旨を忘れてはならない。子の成長にとって、離婚後も父母双方とつながりを持ち続け、愛情を実感できることは大切なことだ。

 とはいえ、核家族が当たり前のいま、父母が配偶者以外に相談したり、協力をあおいだりするのは容易なことではあるまい。

 離婚時に感情的になっていたり、そもそも連絡が途絶えたりしていれば、解決はさらに遠のく。

 そこで期待されるのが、行政や民間団体といった第三者によるサポートである。

 先進的な例が、兵庫県明石市の取り組みだ。相談対応にとどまらず、面会の場所を提供したり、父母が顔を合わせなくても済むよう、子の引き合わせを仲立ちしたりしている。

 子どもを社会全体で育もうとする施策として、うなずける。

 一方、離婚や別居の原因が家庭内暴力や児童虐待などにある場合は、細心の注意が必要だ。家裁の許可を得た面会交流であっても、子を殺害し、親も自殺するような事件が起きている。

 子が面会を嫌がったり、危害を加えられる恐れがあるときは無論、会わせるべきではない。

 痛ましい事件を繰り返さないため、関係機関は可能な限り、面会の可否を慎重に見極める。そうした対応が不可欠だ。

コトオヤネットさっぽろ・親子ネットさっぽろ:第1回~6回取材記事

出典:平成29年8月1日~11日 ウタリくらぶ

離婚訴訟が長期化、平均1年超 財産分与巡り対立

出典:平成29年7月21日 日本経済新聞

離婚訴訟が長期化、平均1年超 財産分与巡り対立 最高裁報告

 2016年に判決などで結論が出た離婚訴訟の一審の平均審理期間は12.3カ月で、離婚訴訟が家庭裁判所の管轄になった04年以降で最も長かったことが21日、最高裁の報告書で分かった。財産分与などを巡る夫婦間の対立が深まり、解決が難しい事件が多くなっているとみられる。
 報告書によると、離婚の争いが大半を占める「人事訴訟」は昨年1年間で全国の家裁に約1万件起こされた。離婚件数そのものの減少を背景に、同訴訟の件数は12年から減りつつあるが、審理期間は10年(10.4カ月)から6年連続で長くなっている。
 報告書は「財産分与のための預金取引履歴の開示を巡って夫婦が対立したり、離婚原因について主張の応酬が繰り返されたりする」と長期化の要因を分析。夫婦間の解決が難しく、双方に代理人弁護士がつく割合も増えている。
 離婚に伴う養育費の支払いや子供との面会交流に関する審判や調停の件数は右肩上がりで増えており、審理期間も長期化。16年は平均6.2カ月で、前年より0.2カ月長くなった。
 全国の家裁が扱う離婚や相続などの案件は16年に初めて年間100万件を超え、迅速な解決が課題となっている。
 報告書は03年施行の裁判迅速化法を受けて最高裁が2年に1回まとめており、今回が7回目。

離婚後の親子関係(上)(下)

出典:平成29年7月19・20日 神奈川新聞

離婚後の親子関係(上)最善へ子の思い尊重
離婚後の親子関係(下)子どもの声聞き続ける

別居の父、逆転敗訴確定 親権は同居の母に、最高裁

出典:平成29年7月14日 産経新聞

別居の父、逆転敗訴確定 親権は同居の母に、最高裁

 長女の親権をめぐり、同居の妻と別居の夫のどちらを親権者にするかが争われた離婚訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は、夫側の上告を受理しない決定をした。「年間100日程度」の面会を提案した夫に親権を認めず、逆転敗訴とした2審東京高裁判決が確定した。決定は12日付。4裁判官全員一致の結論。

 確定判決によると、平成22年、妻が夫に無断で、当時2歳4カ月の長女を連れて家を出た。妻が夫を相手取り、離婚や親権者を自分とすることなどを求めていた。

 自分が親権を持った場合、離婚後に相手方に長女を面会させる日数について、夫は「年間100日程度」、妻は「月1回、2時間程度」を提案していた。

 1審千葉家裁松戸支部は、夫が多数回の面会を約束していることなどを評価し「長女が両親の愛情を受けて健全に成長するためには夫を親権者とすべきだ」と判断。現在の成育環境を維持するため同居中の親を優先する「継続性の原則」よりも、欧米的な「フレンドリーペアレントルール」(より相手に寛容な親を優先する基準)を適用した事例として注目された。

 これに対して、2審東京高裁は「面会交流に関する事情は唯一の判断基準ではない」とし、妻が一貫して長女を養育しており、長女も妻と暮らす意向を示していることなどから、妻を親権者とすべきだと結論づけた。

 ■面会交流 離婚後や別居中に子供を引き取った親が、もう一方の親に子供を面会させたり交流させたりすること。具体的内容や方法は、あらかじめ話し合いで決めるが、話がまとまらない場合、家庭裁判所に調停や審判の申し立てができる。調停では、子供の年齢や性格、生活環境を考えて、子供に精神的負担をかけないように配慮しながら話し合いが進められる。調停が不成立になると、自動的に審判手続開始となり、裁判官が判断することになる。

司法は機能しているか?
別居時の子どもの一方的な連れ去りとその後の別居親子の断絶が社会問題とされ、多くの報道もされる中、民法(離婚後の単独親権制度等)が別居親子の基本的人権や生存権を保障する憲法違反に該当するか否かなど最高裁が審議する意義と社会的影響は大きかったですが、最高裁がそれを放棄した罪は深いと思います。

「離婚はしないがカネはくれ」婚姻費用で人生台無しになりました

出典:平成29年7月9日 現代ビジネス

「離婚はしないがカネはくれ」婚姻費用で人生台無しになりました
西牟田 靖

前編では、大手広告代理店で働くAさんが妻に子ども二人を連れ去られた後、婚姻費用(夫婦間で別居をする場合、相手の暮らしを支えるために支払う生活費)によって、貯蓄をすべて失おうとしている様子を記した。
後編では、別居後、実際に婚姻費用を支払わされている男性たちの苦闘ぶりについて、記してみたい。彼らはいったいどのような苦難を経験したのか。

交通事故が不幸の始まり
「3年前の暮れ、妻が交通事故を起こし、死亡事故の加害者となってしまいました。事故の3ヵ月後、妻の弟の結婚式があったのですが、事故のショックやご遺族のお気持ちを考えて夫婦ともに欠席しました。
そのことにメンツをつぶされたと思ったのか、義父母は私に対し大変立腹、その後、私たち一家の分断をはかりました。昨年の3月下旬の夕方、自宅アパートに帰ると、家の中はガランとしていて、妊娠中の妻はもちろん、小学生の長男と長女までもいなくなっていました」
そう話すのは東北に住む高校教師Sさん(43)である。
昨年6月、Sさんは妻から離婚の調停を申し立てられた。夫婦別居時に相手の生活費を支払う「婚姻費用」は裁判所の算定表で即座に決まった。その額はSさんの手取り29万という月給の半分以上にあたる15万円と高額である。
「月14万円では生活を維持できません。光熱費や携帯電話代、ガソリン代、水道代そして食費と支払った上に、アパートの家賃6.2万円を払うと毎月赤字になってしまいます。思い出のこもった自宅アパートで帰りを待ちたかったのですがそれは不可能です。私は隣町の実家に引っ越さざるを得ませんでした」
算定表は子どもの年齢と人数、夫と妻の賃金という要素によってほぼ自動的に決まっていく。専業主婦だったSさんの妻は別居後に働き始めたが、Sさんの支払うべき金額は変わらない。婚姻費用は妻の給料によって左右されるべきなのだが、一度決まったものはなかなか見直されない。
「妻側は離婚が成立しなくても左うちわです。婚姻費用のほかに月給はもらえていますし児童手当や児童扶養手当などといったものも入って来ます。
離婚が成立したらしたで財産分与もあります。一戸建てを建てるために私が積み立てた1000万円などがその対象になる一方、お年玉を入れていた子供用の通帳などは調停が始まる前にすべて下ろしてしまったそうですから、対象外です。
妻は離婚訴訟を起こすという話をしてきてはいます。しかし現時点では私のところに訴状は来ていません」

「結婚はリスクですよ!」
最先端チップの開発に関わる大手エンジニアのYさん(40)も前編に登場したAさん同様、心身に変調を来した妻に暴力を振るわれた末の別居であった。
「妻は11歳の娘を産んだ後、甲状腺機能亢進症という病気になり、酒の力を借りるようになりました。
それ以来、暴言や暴力が止まらなくなり、警察を呼んで仲裁に入ってもらうこともしばしばで、私は心身ともに消耗してしまいました。そして一昨年の3月、親子3人で住んでいた3LDKのマンションを1人後にしました」
Yさんの年収は総額で約700万円(手取りは約500万円)だが、婚姻費用は5万円。というのも妻の年収300万円弱が考慮されているからだろう。
彼はそのほか現在住んでいるアパートの家賃4.6万円、生活費、弁護士費用などを支払っているため、現在の手取りの月給42万円のうち10万円ほどしか残らない。
マンションの鍵は取り替えられてしまい、家に入れなくなったが、ローン+管理費等の15万円は払い続けている。
「仕事が手につかないため、降格となり、年収は100万円以上減りました。現在は、睡眠薬と抗うつ剤を服用しています。
子どもには3ヵ月に1回程度会えるかどうかという感じです。子どもが生まれるまでは仲の良い夫婦だったというのに、産後の病気によって地獄へ落とされてしまいました。
まさかこんな事になってしまうなんて思いもしませんでしたよ。結婚そのものがリスクですよ。ほんとなら出会うべきでなかったのかもしれません。首をくくりたいと衝動的に思ってしまうこともあります」

家に帰ると置き手紙が
ロボット開発を手がける大手のエンジニア、Tさん(49)はAさんやSさん同様、帰宅後、家から妻子がいなくなっていたケースだ。
「4年前、帰宅すると14歳年下の妻と生後7ヵ月の娘がいないんです。部屋には置手紙があり、『あなたは私のことを対等に見てくれませんでしたね』と書いてありました」
5年前、中国地方にある実家に妻は里帰り出産、二人が関東に戻ってきてからは育児休暇を2週間取得し、ともに育児をした。ところが翌年の始め、妻は娘を連れて突然家を出て行った。
その後、妻からは離婚や婚姻費用の調停を申し立てられる。一方、Tさんは娘との面会交流などの調停を申し立てた。離婚は成立しておらず、婚姻費用を払っている彼は、現在ひときわひどい経済的苦境に置かれている。
「今年に入ってからは、親から受け継いだ遺産や結婚前から持っていた貯金すら尽きてしまい、いまやカードローンに頼っています。面会交流の調停のおかげで、2年間で30分ずつ合計2回しか会えなかったころに比べると、昨年10月以降、2ヵ月に1回、娘に会えるようになったのは幸いです。
しかし娘に会うのに毎回かなりの出費です。飛行機だと5、6万円、新幹線で4万円前後、高速バスで3万円前後と往復でかかりますから。ドタキャンされたこともありますよ。だからキャンセルのきかない早期割引購入チケットは手を出せません」
彼の給料は総額で600~700万円。妻はパートの仕事をしており、娘1人ということで、算定表の額面通りの12万円を支払っている。
「婚姻費用はもう4年以上払っています。合計で600万円以上払っていますが、離婚はまだ成立する見込みがありません。
娘がいなければ、親権や監護権の問題が発生しないわけだし、妻の要求していた慰謝料300万円を支払って素早く離婚していたと思います。しかし、親権の決着がつかないため離婚が成立せず、婚姻費用が膨れ上がった。結局、慰謝料以上のお金を支払っています。
今後、離婚したらしたで、様々なお金が生じますので、そのときは多額の借金をする必要がでてきそうです。
着手金しかまだ払っていませんが、離婚や婚姻費用のほかに子の引き渡しや保全処分、面会交流と様々な調停を依頼しましたから、弁護士にも報酬を支払わなければなりません。離婚が成立すれば、妻の生活費を払わなくてよくなりますが、養育費は月々6、7万円発生するでしょう」

お金が欲しいので離婚はしません
次に紹介する二人は年収1000万円を超える高額所得者のケースである。一人はメガバンク、もう一人はテレビ局勤務という、人がうらやむような職業の人たちだ。エリートだから故の大変さはあるのだろうか。
「妻とは2年交際した後に結婚をしました。4年前のことです。しかし結婚期間は2週間しかありませんでした。というのも、まだ乳飲み子だった息子を妻が関西の実家に連れて帰ってしまったからです。
私の年収は約1300万円。内訳ですが、給与所得が総額1000万円で不動産収入が300万円です。一方、妻の年収は360万円と計算され、婚姻費用は11万円となりました」
そう話すのはメガバンクで働いているFさん(47歳)である。収入の割に婚姻費用が安いのは、これが3度目の結婚で、最初の結婚で長女、二回目の結婚で長男と次女という三人の子どもがすでにいるからだ。
「長女の養育費は毎月5万円です。長男と次女ですが、当初は長男のみに5万円という双方が合意した額を払っていましたが、その後、裁判で次女の養育費を3万円支払うようにという決定が出たため、二人分で8万円となりました。二人の割に安いのは、前妻の収入が約900万円あったからです」
とすると、4人合わせて毎月24万円を払っているのか。
「長女に関しては、2年前から養育費の支払いを中断しています。元妻から『もう払わなくてよい』との申し出があったためです。
ちなみに長女とは別れてから一度も会わせてもらっていません。長男と次女に関しても現在は払っていません。前妻が再婚し、二人の子は再婚相手の養子となったからです。
それを受け、裁判で養育費は0円と確定しました。ですので今は二男と妻の婚姻費用、11万円だけを払っているということになります」
結婚生活をどう振り返るのか。
「私はさんざん結婚に失敗していますが、今からでも平和な家庭を築いてパートナーと一緒に子育てしたいし、今会えていない子供たちに対しても可能な限り関わり、成長に貢献していきたいと願っています。
同居しなくても養育費以上の金を受け取れるから、妻からは離婚の申し立てはありません。今後、彼女が金持ちで都合のいい男性と出会えば、再婚するために離婚を申し立ててくるでしょうけどね」

自転車操業でなんとかやってます…
「年下の妻と結婚したのは40をすぎてからのことでした。子どもに囲まれて暮らすのを夢見ていたので、奮発して都心に近い街に4LDKのマンションを購入して結婚生活がスタート。
定年までにローンを払い終えようと、銀行から4800万円を借り入れてローンを組みました。普通よりも短い20年ローンを組んだため、結婚前のような豊かな生活とは程遠い、節約を意識しなくてはならない生活になりました」と話すのは40代後半のテレビ局に勤務するCさんだ。
多いときには年収総額が1500万円超という高額所得者であるCさんだが、年間約270万円のローンの返済に加え、管理費や駐車場代が年60万。子ども2人の保育園代年96万、学資保険代年48万などを支払うと決して生活に余裕はなかったという。
「夜の人付き合いも大事にされるテレビ業界。仕事中心になりがちで、家族の不満が溜り夫婦関係がギクシャクするというのはよくあるようです。
ウチでは、二男を出産した後、妻の精神状態は急に不安定になりました。いつも機嫌が悪く、私が遅く帰宅するたびに激怒され、平手打ちの連続なんてこともあり、とても手に負える状態ではありませんでした」
一方、彼は小遣い欲しさで始めた株の運用が成功、夫婦関係の修復のために、株取引で儲かったお金で妻に洋服を買ってあげたり、妻の実家を二世帯住宅として建て替える計画を立てたりする。
「株の含み益が数百万円になったとき、『あなたの実家を2世帯住宅に建て替え、ご両親の助けを得ながらゆとりのある環境で子育てをしよう』と提案したところ、妻は涙を浮かべて喜んでいました」
ところがその後、Cさんの夢がもろくも崩れ去っていく。
「調子が良かった銘柄が急落して半値になったんです。家を建て替えるためにはここで損をする訳にはいかない。リスクを承知でキャッシング(カードローン)して、株を買い増したところ、株価はさらに下がっていき、最終的には1000万円の借金を抱える身となってしまいました」
Cさんは妻に、育児休暇明けで仕事に復帰したら月3万円で良いので家計に入れて欲しいと懇願する。
「疑心暗鬼となった妻は、子どもを連れて実家に帰ってしまいました。その後、弁護士を通じて、『離婚に応じよ』『月額20万円の婚姻費用を支払え』と通知してきたんです」
借金と突然の別居、婚姻費用の請求、さらには愛する子どもたちに会えなくなるという四重苦に陥った。
Cさんは婚姻費用の額をめぐって調停で争うことになるが、別居時の生活費の額は婚姻費用算定表により自動的に決められてしまう。
「『株で作った借金は家を建て替える目的で行ったものであり、失敗の責任をすべて私が負うのは不公平だ。収入から損失額を差し引くなど考慮して欲しい』と懇願したんですが、一切考慮されることはありませんでした」
こうしてCさんは毎月20万円の婚姻費用を妻に支払うことが決まった。
「婚姻費用を払うために、含み損をかかえた株をすべて処分しましたが、約1000万円の借金が残りました。婚姻費用を払うと住宅ローンとカードローンが返せなくなりました。
ローン支払日が来ると、他社から借りて返済するなど自転車操業でその場その場を凌ぎました。何のために生きているのか分からなくなり、辛くて仕方がなくなりました」
その後、Cさんは自宅マンションを売却する。カードローンの借金約1000万円をすべて完済することができたが、思い出のこもったマンションと家族を失った。
「子どもの成長のために必要なお金だというのは分かっているんです。でも、毎月20万円払って、子どもたちと会えるのは月にたったの1回1時間だけというのはあんまりです」

婚姻費用という「副作用」
夫の意見ばかりを聞いているので、妻がどう思っているかはここではわからない。しかし6人が6人とも、家族が壊れるということを望んでおらず、子どもたちに愛着を示しているという点が共通していた。
一方で、離婚裁判が長引けば長引くほど、婚姻費用の総額は膨れ上がってしまう。お金のことだけ考えると、親権などの条件が悪くても、早期に離婚した方がいいとも言えるのだ。
「夫が妻の主張に対して、DVはないとか、モラハラではないとか、逆に妻に暴力を振るわれたとか、不貞は働いていないとか、子供の親権を持ちたいとか、裁判所に申し立て、法廷で戦いたいと思っても、1年、2年さらにそれ以上の年月がたてば、婚姻費用の額が慰謝料や財産分与以上の金額に膨れ上がります。
そこに係争費や家のローンや遠方への交通費などが加われば経済的な損失は相当なものです。その場合、夫が自分の言い分を裁判所で主張したいと思っても、経済的負荷に耐えられず降参――ということが起こりえます。
本来自身の主張を尽くして判断を受けるという手続が保障されているはずなのに、事実上この機会が奪われてしまうのです。一方、性別が逆のケースも中にはあります」(古賀礼子弁護士)
通常ならば、夫婦間で別居時の相手の暮らしを支えるためのお金である婚姻費用。これが、より多くのお金を得たいとか、いい条件で離婚したいなどという別の目的で使われることで、意図しない別居、そして経済的に大きな損失を夫に背負わせることになる。
これは、結婚している男なら誰にでも起こりうることだと心得てほしい。中でも子どもがいる父親、さらには高額所得者やサラリーマン、公務員といった取りっぱぐれのない職業の人たちは、そのリスクについて特に肝に銘じておいた方が良いだろう。

離婚裁判450日...はざまで揺れる少女。

出典:平成29年7月5日 フジテレビ 【みんなのニュース】

子どもの気持ちをわかった気にならないで」~親の離婚を経験した当事者たちが大人に伝えたいこと

出典:平成29年7月2日 Yahooニュース

「子どもの気持ちをわかった気にならないで」~親の離婚を経験した当事者たちが大人に伝えたいこと
大塚玲子(編集者、ライター)

 いま、年間約124万人の夫婦が離婚を選択しており、これによって毎年約23万人の子どもたちが、親の離婚を経験しています。
しかし、わたしたち大人の耳に、子どもたちの声が届くことはなかなかありません。子どもたちは本当のところ何を感じ、親や周囲の大人たちにどんなことを求めているのでしょうか。
2017年6月25日、離婚家庭の子どもを支援するNPO法人ウィーズが、講演会「離婚後の親子関係」を開催しました。登壇したのは、かつて親の離婚を経験した7人の当事者たち。年齢は19~36歳、親の離婚を経験した時期は5~21歳とさまざまです。
自身も親の離婚を経験したウィーズ副理事長・光本歩さん(28)による進行のもと、登壇者7人が、それぞれの体験や思いを率直に語ってくれました。(※以下、お名前はすべて仮名です)
*「大人の責任としてどうなのか」
最初の質問は、離れて暮らす親(別居親)とのかかわりについて。
別居親が子どもの生活を経済的にサポートする「養育費」や、子どもと別居親が時間を共有する「面会交流」について、当事者たちはどんなふうに感じているのでしょうか?
別居親(父)とはときどき会っているものの、養育費はもらっていなかったというDさん(♀・21)は、こう語ります。
「以前、探し物をしているときに、両親が養育費の約束を取り交わした書面をたまたま見つけてしまいました。離婚や再婚をしても親であることには変わりないですし、しかも約束を交わしているのに払わないというのは、大人の責任としてどうなのかと思います」
同様に、養育費はなかったものの、継続的に別居親(父)と会ってきたというAさん(♀・36)は「父から『会いたい』と言って、アクションを起こしてくれる姿勢は純粋にうれしかったし、愛情として感じられた」といいます。
一方で、別居親から子どもに対して何のサポートも働きかけもない離婚家庭も、日本ではまだ決して少なくありません。
離れて暮らす父親とは「中学のときに一度会ったきり」というCさん(♀・26)は、父親の連絡先もわからないと言います。
母親は精神的な不調を抱えており、「自分を手放さずに育ててくれたことに感謝している」というCさんは、「もしいま父親が“亡くなっている”と聞いても、正直、なんとも思わないと思う」と話します。
他方で、離別親(父)から養育費を受け取り、会いたいときに会ってきたというBさん(♀・22)は、「自分はいいケースだと思う。父にも母にも感謝している」といいます。
「父は再婚してからも、会うたびに『(きょうだいたち)みんな自分の子どもだからね』と言ってくれたし、母も内心では複雑な思いがあったのに、『わたしは止めないよ』と言ってくれていました。愛されている、ということに疑問をもったことはないです」
なお、養育費や面会交流が夫婦間で争いの種となりがちなことについては、こんな意見がありました。
「(養育費や面会交流が)子どもへの愛情の表れならいいと思うけれど、もし“両親間の葛藤を軽減するため”にあるんだったら、愛情とは受け取らないと思う」(Gさん♀・23)
子どもたちの目は、冷静です。
養育費や面会交流があったにせよ、なかったにせよ、子どもは子どもなりに、別居親や同居親のあり方や現実を、まっすぐに受け止めていることが感じられました。
*「自分の気持ちがわからない」こともある
年月を経るなかで、「親の離婚に対する見方が変わった」という声も聞かれました。
「母の不倫が、離婚のひとつの大きなきっかけだったと父からは聞いていましたが、家族の問題ってすごく複雑に絡み合っていて、一概には言えないと思うようになりました。いまは(離婚原因は)父と母と半々だと思っています」(Gさん♀・23)
社会人になって「いろんなことを客観的に見られるようになった」というAさん(♀・36)も、「父の事業がうまくいかず、金銭面の問題で離婚したと母から聞きましたが、いまは“6:4(父:母)”くらいだったと思っています。以前はもっと父の比重が高いと思っていました」と話します。
親に対する思いも、時を経るにつれて変化するようです。
たとえば、中3まで母親と暮らしていて高校からは自らの意思で父親と暮らし始めたというEさん(♀・19)。
「母(同居親)の再婚相手とどうしてもうまくいかず、大好きだった父に自分から連絡をとって、家を出ました。それまでは母を恨み続けていましたけれど、離れてからは母ともうまく付き合えるようになりました。
小2のときに親が離婚して、小さいときは“離婚してほしくなかった”と思っていましたが、いまは両親とも幸せそうに暮らしているので、これでよかったんだな、と感じています」
なかには、10年近くかかってようやく、親が離婚した事実を受け止めることができた、という人もいました。
「いつかまた両親が一緒になってくれるんじゃないか、ってずっと思っていました。でも母も父も再婚して、『やっぱり離婚したんだなぁ』と思って、大泣きして、そこでやっと、離婚の事実に目を向けられるようになった感じがします」(Bさん♀・22))
他方では、「自分の気持ちがわからなかった」という声もありました。
「わたしはずっと母(同居親)に合わせてきたところがあって、親への本当の気持ちがわからなくなっていたと思います。一緒に住んでいた頃、父を好きだったかどうかも、よくわかりません。親の感情を押し付けないでほしかったな、と思います」(Cさん♀・26)
子どもたちが当時感じたことも、いま感じていることも、当事者の本音でしょう。どちらもきちんと尊重されたいものと感じました。
また、子どもが「自分の気持ちがわからない」と感じるような状況を生まないよう、大人たちが気をつける必要性にも気付かされました。
*親の感情は子どもにダダ漏れしている
“親に言いたかったことや、これから離婚する親に伝えたいことは?”という質問に対しては、まず、「親の葛藤に子どもを巻き込まないでほしい」「相談相手が必要」といった声がありました。
「夫婦間の葛藤に子どもを巻き込まないでほしいです。自分の傷つきやフラストレーションの解消に、子どもを使わないでほしい。子どもは両親間の葛藤を見て、すごく傷が増えていくので、そういった配慮をしてもらえたらと思います」(Gさん♀・23)
「子どもは状況を一方的に押し付けられるだけ、ということを、もっと大人が理解しないといけないのかなと思います。親も大変だとは思いますが、大人は人に話したり、助けを求めたりできます。子どもは幼いほど、そういう術がありません」(Cさん♀・26)
「子どもに聞かせたくない話は、外でしてほしかったな、と思います。母と祖母は、わたしにはわからないだろうと思って話していたけれど、じつは全部わたしに聞こえていたし、内容は筒抜けだったので」(Dさん♀・21)
「隠しているつもりでも、親の“感情”は子どもにダダ漏れだということをわかってほしいです。ちょっとした空気の変化も、子どもはすぐ察します。わたしも母(同居親)も、もし相談できる第三者がいたら、もう少しよかったのかなと思います」(Aさん♀・36)
離婚で大きなストレスを抱える親たちは、どうやら気付かないうちに、子どもたちを傷つけたり、その心に負担をかけたりしているようです。
親の選択をただ受け入れるしかない子どもたち。周囲の大人たちは、そんな子どもたちの状況に、目を向けることが求められています。
*自分のフィルターを外して耳を傾けてほしい
そしてこの日、最も強く心に残ったのは、「子どもの声にもっと耳を傾けてほしい」という、当事者たちの切実な思いでした。
「もっとわたしの気持ちを、しつこいくらいに聞いてほしかったな、と思います。離婚のとき“(父と母の)どっちが好き? どっちと暮らす?”と聞かれて、わたしはどちらも好きで、その気持ちを言えませんでした。
その後、勇気をもって自分の意思を伝えたときも聞いてもらえなかったし、それ以上は言えなかった。子どもの気持ちをわかった気にはならないでほしい、と思います」(Eさん♀・19)
「父は“子どものために”という言葉を殺し文句のようにふりかざしていましたが、自分のフィルターをはずして、ちゃんと子どもの気持ちを聞いてほしかったです。子どもにとって何が一番有益で幸せか、そのために何ができるか'''、考えてほしかった」(Gさん♀・23)
「離婚自体は仕方のないことと思いますが、その選択によって、子どもの選択肢を狭めてほしくないなと思います。また、子どもが“こうしたい”と言っていることは、ちゃんとその意思を尊重してほしいです」(Fさん♂・29)
「一口に(親の)離婚を経験した人と言っても、ケースによって、その子によって、全然違います。だから、実際に親が離婚した子どもとかかわるときは、“その子が、どう思ってきたか”ということをちゃんと知ってほしい、とすごく思います」(Bさん♀・22)
また、大人の思い込みを正すような、こんな発言もありました。
「(離婚した親は)責任を感じすぎないでほしいな、と思います。親から『あのとき離婚しちゃって、ごめんね』という言葉をかけ続けられると、子どもがプレッシャーを感じてしまうこともあります。
ある程度までは責任を感じてほしいですけれど、そこから先は、親子でも“一対一の人間”として、ふつうに接してくれたらと思います」(Dさん♀・21)
このように、親が離婚した子どもたちの声からは、大人たちの思い込みに対する違和感や苛立たしさのようなものが伝わってきます。
大人たちはつい自分たちの物差しで、「子どもはこう感じているに違いない」と思い込みがちですが、実際にはそうではないことが、たびたびあるようです。
親が気にしていることを子どもは気にしておらず、子どもは子どもで、全く別の問題を感じている可能性がある、ということを、常に念頭においておく必要があるのかもしれません。
大人は、子どもの気持ちを「わかった気」にはならず、一人ひとりの子どもの声に、丁寧に耳を傾けること。
離婚をするときに限りませんが、子どもと接するすべての大人が、忘れてはいけないことなのだろうな、と感じました。

田村淳の訊きたい放題!「親子断絶防止法案とは?」

出典:平成29年7月1日 東京MXテレビ

木村氏(憲法学者)や駒崎氏が法案や家裁の運用実態を理解せず、あるいは一方的な解釈により放送された内容となりました。
※下記は、番組内容の疑義の一例です。
◆改正民法(766条等の改正)が平成24年4月に施行されており、現行民法で対応可能であり、親子断絶防止法は不要ではないか?
⇨最高裁家庭局から何度も家裁に周知されたましたが、家裁は面会交流に対する運用(月1回2時間の審判が一般的)を変えず、その実態を受け 親子断絶防止法 が国会で検討されています。
◆法律によりDV被害者が逃げられなくなるのではないか?
⇨法案は、児童虐待や真のDV被害者に対し、第9条で特別の配慮を規定しています。
◆現行民法で親権と監護権の分属ができるから親子断絶防止法は不要ではないか?
⇨民法上は親権と監護権の分属はできますが、分属により各権利の円滑な行使が父母に出来なくなるため特別の事情を除き、一本化を図るべきが裁判所の考えです。
※参考:名古屋ブレイブハート法律事務所 ホームページ
http://rikonweb.com/shinken/884.html

<子の幸せは?>「産んだ子と暮らしたい」 親権争い、母優先から変化も

出典:平成29年6月30日 東京新聞

<子の幸せは?>「産んだ子と暮らしたい」 親権争い、母優先から変化も

 子育て中の夫婦が離婚や別居をしたとき、子どもの面倒をどちらが見るのか。この問題をめぐる両親間の紛争が増えている。調停や審判では、母親を選ぶケースが多いが、割合は少ないものの、父親を選ぶケースも一定数ある。「産んだ子どもと一緒に暮らせないなんて」と母親からは嘆きの声も出ている。 (寺本康弘)
 首都圏に住む四十代の女性は三年前、長男を出産。直後から育児への不安で眠れない日が続いた。心療内科で産後うつと診断されたため、子を夫に託し、療養のため実家に戻った。
 女性によると、それを境に夫の態度が変わったという。約一カ月ぶりに自宅に戻ると追い出され、荷物も女性の実家に送り付けられた。何度か二人で会ったが、「出産後に家事をしなかった」などと責められ、話し合いにならなかった。子には会えなかった。
 女性は別居から半年ほどたった後、子どもを引き取って暮らすため、同居して面倒を見る役割の「監護者」指定を求めて家庭裁判所に申し立てた。
 しかし家裁は父親を監護者に指定した。現状では子どもが父親側に安定的に監護されており、この環境維持が子の福祉にかなうと判断したからだ。一方で母親と暮らすと、保育園を移らねばならず、子どもを不安定な状況に置くことになると女性の主張を退けた。現在も離婚はしていない。
 女性は「裁判所は継続性の重視というが、現状を追認しただけ。どちらの親が子にとって良いかはまともに比較しなかった」と批判する。
 どちらが子どもと暮らすのかをめぐる裁判所への申立件数はおおむね増加傾向だ=グラフ。少子化や、父親側が子どもと暮らしたいといった意識変化などが背景にあるとみられる。二〇一五年の司法統計によると、子のいる夫婦の離婚調停と審判の件数計一万九千八百三十六件。父親が親権者に決まったのは千九百四十七件だった。
 子の親権者や監護者は、裁判でどのように決められるのか。家族法が専門の関西学院大の山口亮子教授は「裁判所は子の最善の利益を第一に考える」と説明する。
 判断する主な要件としては「子の面倒を主に見ていた者」「継続性」「親の寛容度」「子の意思」の四つをあげる。もちろんDV(家庭内暴力)や子への虐待があれば、判断する際にマイナスに作用する。
 山口教授によると、戦後の高度経済成長期以降、母親の愛情や養育が子の利益にかなうと考えられ、子の面倒を見るのに母親が優先される傾向が強かった。しかし、最近は、子の面倒を普段見ているのはどちらかが主な条件に変わってきたという。
 判断基準が、より公正公平、客観的になってきたように映る。一方で、子どもと一緒に暮らせなくなる親には不満や悲痛な思いが残り、裁判所への不信感につながっているとの指摘もある。
 山口教授は「裁判官も相当苦労して判断していると思われるが、現在の法律ではどんな事情があっても両親のどちらか一方を親権者や監護者に決めなければならないから」と話す。

<親権と監護> 民法で規定。親権には、子どもの世話やしつけをする身上監護権と、子どもの契約に同意したり代理したりする財産管理権がある。婚姻中は父母がともに親権者となるが、離婚する際にはどちらか一方を親権者と定めなければならない。婚姻中だが別居している場合、子どもとの暮らしを認めてもらうため、監護者の指定を求めて審判を申し立てることがある。

離婚家庭の子どもの立場考える

出典:平成29年6月25日 NHK

夫婦が離婚したときに子どもとどう向き合うべきかを親の離婚を経験した人たちが、当時を振り返って子どもの立場で考えるシンポジウムが千葉市で開かれ、子どもの気持ちに寄り添うことの大切さを訴えました。

このシンポジウムは、千葉県船橋市のNPO法人が離婚した夫婦や周りの大人が子どもとどう向き合うべきか子どもの立場で考えようと開いたもので、幼いころに両親の離婚を経験した男女7人が当時の思いを語りました。
8歳のときに両親が離婚した19歳の女性は「互いの悪口を聞かされ、親に対する本当の気持ちを言いたくても言えなかった。難しいかもしれないが子どもの気持ちをしっかりと聞いてほしかった」と振り返りました。
また、小学校低学年のときに、親が離婚した26歳の女性は、「父親とは中学生のときに一度面会したきり会っていない。小さいときは同居している母親を思って父親のことを考えないようにしていた。
子どもは幼いほど、誰にも相談できないことを理解してほしい」と訴えました。
シンポジウムを主催したNPO法人「ウィーズ」の光本歩副理事長は、「子どもの気持ちは、一度では聞けないし、誰かひとりがすべてを聞くことも難しい。子どもの気持ちは、成長とともに変わっていくので周囲の大人が継続的に子どもの声に耳を傾け、何が子どもにとって必要なのか考えることが大事だ」と話しています。

「連れ去られた子ども」を苦しめる制度の正体

出典:平成29年6月13日 東洋経済オンライン

「連れ去られた子ども」を苦しめる制度の正体」 なぜ子が「別居した親」の元に戻るのか

 「タクシーに乗ってパパの家に帰ってきたとき、吐いちゃった」
服部美優ちゃん(10歳、仮名)は愛犬ジョンをなでながらつぶやいた。
都心から1時間のベッドタウンに来ていた。美優ちゃんは某社の写真記者、服部貢さん(47歳、仮名)の一人娘である。
3月末の平日、美優ちゃんはたった独りきりで、母親一家の住む団地から、父親(貢さん)とその母(美優ちゃんの祖母)の住む一軒家まで逃げ帰ってきた。
母親宅から駅までは約600メートル。そこまで歩いてタクシーを拾い、さらに十数キロ離れた父親と祖母のいる家まで乗りつけた。タクシー代は家にいた祖母に払ってもらった。というのも、逃亡を警戒した母親に財布などの所持品をすべて取り上げられていたのだ。
「ほっとしたから吐いちゃったの?」
私が尋ねると美優ちゃんは茶化すように答えた。
「嫌なことはジョンにペロペロなめられて忘れちゃった。ねえジョン」
美優ちゃんの複雑な心情を察した私はそれ以上、真意を強くは聞けなかった。

2歳のときに母親に「連れ去られた」

7年前の10月、美優ちゃんは2歳のとき、母親によって同じ県内にある母親の実家に“連れ去られ”てしまった。以後、美優ちゃんは母親や祖父らとともに暮らした。
一方、彼女の父母は泥沼の法廷闘争を行ってきた。
美優ちゃんを“連れ去って”から1カ月後、母親は父親(貢さん)に対し離婚調停を起こした。DVの証拠として母親が提出したのは、父親が母親の腕をつかんだためにできたアザの写真など。しかし、業界紙の写真記者である父親は写真のウソをはじめとする母親側のDV主張をことごとく論破、その結果、母親側の求める離婚や慰謝料の請求は退けられた。

 一方、父親(貢さん)は美優ちゃんとの面会交流などを求めて調停を申し立てた。しかし再会はなかなか実現しなかった。実現しても3カ月に1回1時間だったり、係争中に面会をキャンセルされたり、8カ月余りも会わせてもらえない時期があったりと、面会は途切れ途切れでしか行われなかった。
そんな不安定な交流ではあったが「パパのところで暮らしたい」という美優ちゃんの態度は幼児の頃から一貫していた。
「娘が小学校に通う前、ショッピングモールで会って、帰ろうとするとき、毎回のようにグズって、2時間ほども店内を逃げ回っていました」(貢さん)
美優ちゃんは面会中に「ママに何度もたたかれる」と貢さんに報告していた。そのことが美優ちゃんの一貫した態度の根底にあるのだろう。
昨年の1月、8歳になった美優ちゃんは決断をした。
宿泊面会の後、父親が美優ちゃんを駅まで車で連れて行った。すぐ前に停まっている母親の車の後に車を停めた父親は、車から降り、反対側に回り、美優ちゃんの手を引いて、すでに車を降りて待っていた母親に引き渡した。父親がその場を離れ、乗ってきた車に乗らずに様子をうかがっていたところ、美優ちゃんは予想外の行動をとった。彼女は後ろへと駆けだして、ドアロックがされていない父親の車に乗ってしまった。
「パパ、早く行って」
頑として降りようとしないため、父親は家へと連れて帰った。
数カ月後、母親のところへ娘を戻すべきいう強制執行を命ずる判決が家庭裁判所で下された。これは2週間以内に、執行官が警察官を伴って、子どもを“保護”、そして母親のところへ戻すというものである。
「指定された2週間に執行官が現れることはありませんでした」(貢さん)

戻ってくることは確信していた

それで問題が一段落するわけではなかった。翌年、間接強制という判決が下されたのだ。これは「3日以内に相手かその代理人に引き渡せ」というもの。父親が従わないと1日当たり3万円の罰金が科せられる。
「私は弁護士とともに、妻の家まで美優を連れて行きました。前の年の春からジョンを飼い始め、溺愛してましたからね。それに“パパのところがいい”と明言していたので、うちに戻ってくることは確信していました。それに強制執行の2度目はありませんし」(貢さん)
美優ちゃんが独りで戻ってくれば、母親が美優ちゃんを合法的に連れ戻すことはできなくなる。

 「必ず戻ってきてくれる」と父親は信じ、美優ちゃんを連れて行った。すると3日目の朝、冒頭に記したとおり、美優ちゃんは自分の意志で父親の家に帰ってきたのだ。
「なぜパパのところに戻ってきたの?」と私が尋ねた。すると、「その日、離任式があったんです。引っ越してきたときの担任の先生が次の学校へ移っちゃう。先生に会っておきたかった。でもいちばんはジョンを元気づけたかったこと。ジョン、なんであなたはそんなかわいいの?」
美優ちゃんは父親のことには触れず、再び茶化すようにそう言った。
貢さんに過去の写真や資料を見せてもらうため、2人で書斎へ移動した。貢さんは美優ちゃんの気持ちについて次のように代弁した。
「娘はママを裏切ってしまったことを、後悔してるんだと思います。だけど同時に、連れ戻されるんじゃないか、怒られるんじゃないかという気持ちもある。美優は私もママも両方好きなんです。それでもパパと暮らしたいと言って戻ってきてくれたのは、ママのところだと、ときどきパパに会えなくなる。だけど、パパのところだとママに自由に会える。子どもなりに考えて、どちらがいいか考えているんでしょうね。父母どちらかじゃないんですよ。娘は両方に会いたいんです」
離婚が成立し、親権は父親である貢さんへと変更された。貢さんは元妻に1カ月ぶりに娘を会わせたばかりだ。貢さんはこれからも積極的に面会を続けて行くつもりだという。

関東から長野まで電車で戻ってきた二男

十数年前のことです。長野県北部H村にあるこの家から南関東の実家へと、妻が2人の息子を“連れ去って”しまいました。当時、上の子は8歳、下の子は5歳。2人とも元いた家に戻ってきたがっていました。長男は今も妻と一緒に暮らしていますが、二男は小5のとき電車を乗り継いで、私のところへ独りで戻ってきました。運命に従ったのが長男で、刃向かったのが次男なんです」と話すのは岸良明さん(50歳、仮名)である。
二男はネットに発表した手記に次のように記している。以下は抜粋である。
「母親によって一方的に東京の母親の実家に連れ去られ、そのまま父との自由な交流ができなくなりました。その後父が尽力してくれた結果、少しずつ父親との交流ができるようになりました。しかし、継続される母親の、父との面会交流の妨害と父への悪口が嫌で、10歳のときに家出をして長野県H村の自分の家に帰宅しました」
二男同様、長男も父との自由な交流を望んでいた。しかし、彼はその気持ちを封印、母親側にとどまった。

「二男が戻ってきた後、妻は引き渡し請求審判を起こしました。原審ではそれが認められたものの、高裁では逆転、結果的に親権が私へと変更になってからは、妻から“会いたい”という意志が一度も示されなくなりました。それで二男は大いに憤慨していました。お母さんは連れ戻しに失敗したらもう会いたいとは思わないのかと。私は親権者の変更と同時に、妻に二男に面会するよう調停を起こしたんですが、不調に終わりました。次男は妻に謝ってもらいたがっていましたが、妻は“息子2人を関東へ連れ去って離婚したことを私は後悔していない”と言い続けていて、二男はそうした妻の態度にガッカリしていました」
二男は、前述の手記に次のようにも記している。
「“裁判所はなんで実の親子が会うことに制限を認めるのか”。それを思った当時の私はとてもつらかった。そんな裁判所に対して今の私は怒り心頭です。[中略]当時、裁判所が私と父との自由な面会交流を認めたならば、私はもっと安心で満たされた人生が送れていたことは明らかです」

共同親権が認められれば…

面会交流中の父親が子どもと“無理心中”するという事件が起こるたびに、「面会交流は危険」といった単純化された主張がネットを中心になされがちだ。
今後、こうした面会交流危険説が一般的となり、面会交流が制限されていけば、それはそれで大きな問題をはらむ。
子どもの意志で別居親の元に逃げ込むことはおろか、別居親に相談にのってもらうことも難しくなる。さらには、同居親からの虐待が気づかれにくくなったり、別居親からの経済的な援助を受けにくくなったり――といった事態が考えられる。
別居親にしろ、同居親にしろ、どちらもほとんどは危険とは無縁の、実の子を愛する、ごく普通の、人の親である。今後、同居親だから安全、別居親は危険とレッテル貼りをしてむやみに引き離すのではなく、子どもたちの幸せのために、本当に危険かどうかを精査したうえで原則は会わせるという方向性をできるかぎり推進していくべきだし、またその先には「別れても双方の親が育てる」という共同養育の考えが一般化されるべきではないだろうか。
しかし、それは簡単に実現できることではない。ひとつに裁判所の人手の問題がある。「親権は母親」「面会は毎月1回2時間」などという、判で押したような決定や判決が出てしまいがちなのは、それが大きな原因となっている。
もうひとつは、日本の単独親権制度の問題がある。民法第819条には、離婚後の親権者を父母どちらか一方に定める、という内容の条文が記されている。この国では離婚した場合、片方の親は親権を失ってしまうのだ。
「そもそもですよ。欧米のように共同親権なら“連れ去る”とか、親権争いといった不毛な争いはしなくていいんですけどね」(貢さん)
欧米を中心とする諸外国は離婚してもなお、両親が親権を持ち続ける。だから「離婚をしても親は親、子は子」だということが、法的に保証されている。
共同養育の考えが普及するとともに、民法第819条が改正され諸外国同様に共同親権へと変われば、片方の親が子どもを”連れ去った”り、双方の親が法廷で親権を争ったり、さらには子どもが危険を冒して別居親の親へと逃げ出すといったことがなくなっていくはずだ。
服部さんや岸さん親子の再会は美談ではない。こうしたことが起きない世の中にしていく必要がある。

面会交流のあり方は子どもが決めること…支援団体の光本さん、自身の体験踏まえ語る

出典:平成29年6月3日 弁護士ドットコム

面会交流のあり方は子どもが決めること…支援団体の光本さん、自身の体験踏まえ語る

中学2年の時に両親が離婚し、母と離れて家族3人で暮らすようになった光本歩さん(28)。現在、親の離婚・再婚・別居など家庭環境に悩む子どもたちを支援するNPO法人「ウィーズ」の副理事長として、「子どものための面会交流」支援にあたっている。離れて住む親と子どもが面会することにどんな意味があるのか。光本さんは自身の体験を踏まえて、面会交流のあり方を語る。

●「嬉しくはなかったが、会ってよかった」。3年ぶりの母との再会

2002年7月、中学2年の夏だった。母の借金が原因で、大阪府から伯母が住んでいた静岡県に父と妹と3人で夜逃げした。父は当時小学2年生だった妹には、「お母さんは後から来る」と話した。借金があることに気づいてから、父と母はいつも喧嘩が耐えなかった。自分は「もう母とはもう会えない」と状況を理解していたが、妹に「母はもう来ないよ」とは言えなかった。
新しい家で、父は度々「あいつのせいで人生めちゃくちゃだ」と母を非難した。そんな父の前では、「会いたい」とも言えなかったし、そもそも静岡県と大阪府の距離では会えるとも思っていなかった。
「会いたいという感情よりも、何しているんだろうなと気になっていた」。当時持っていたプリペイド式の携帯に、母の携帯番号を登録していたが、連絡することはなかった。 手紙は新しい家に届いたこともあったが、父は私に中身を見せることなく捨てた。
住民票を移さずに夜逃げしたので、転校手続きもしていないまま。父には家の手伝いを命じられ、気づけば学校には4ヶ月間行っていなかった。そんな中でも、美術の教師になるという夢が諦められなかった。
「そろそろ学校行かないと、やばいんじゃないの」。父を説得し、教育委員会に学校にいく手続きをしてもらった。父は中学を卒業したら働くように言ってきたが、反対を押し切って公立の進学校に進学。友人が部活や塾に通う中、土日を含んだ週5日イタリアンレストランで働き、年間11万円の学費と隣町までの通学費、携帯代の支払いに加え、毎月家に2万円を入れた。とにかく必死だった。
母に再会したのは高校2年の夏休みだった。アルバイトで貯めたお金もあるし、会いにいける。「色々と今の話を聞いてくれるかな」と、どこか期待していた。もちろん母の暮らしぶりも気になっていた。「ご飯を食べられているのだろうか」、「借金をしたのには、何か理由があったんじゃないか」。
いつしか母と自分を重ね合わせていた。片道7千円の夜行バスに乗って待ち合わせ場所の新大阪駅に着くと、そこには知らない男の人と一緒にいる母がいた。「今の彼氏」だった。
母はなに不自由なく生きていた。自分は週5で働いてお金を貯め、誰にも頼らずに大学進学を目指している。「こんなに大変なのは、そもそも誰のせい?」。そこで目が覚めたように、母を客観視できた。
今思えば再会は「最悪の形」だったが、「親と自分は違うんだ」と割り切れた。だからこそ、嬉しくはなかったが会って良かったと思っている。「それまで父からはとにかく『(母は)最悪だ』と言われていて、そのフィルターがかかっていた。面会交流は内容の良い悪いだけでなく、親がどんな人間か知るために必要」。自身の経験から、そう実感している。

●「交流のあり方は親が決めるのではなく、子どもが決めること」

政府が今年まとめた「我が国の人口動態」によると、2015年の離婚件数のうち「妻が親権をもつ」ケースが11万1428組と全体の84.3%を占める。離婚して関係がより一層こじれる中、面会交流を巡っても意見は対立しがちだ。光本さんによると、別居親は「宿泊面会や面会時間を伸ばしたい」といい、同居親は「子どもが会いたくないと言っている」と主張し、平行線をたどるケースが多いという。
支援に携わる中で、「子どもが振り回されている」と感じることは多いという。子どもにも、幼稚園や学校、友人との遊びや習い事、部活動など「子どもの生活」がある。光本さんは「子ども自身は面会の形態について細かく考えていないことが多い。それよりも子どもは両親が争っていることを見ていて、その空気が伝わってしまう。それは本当に子どものためなのでしょうか」と指摘する。
さらに、支援活動では最初から「子どもは会いたいだろう」、「子どもは会いたくないと言っているからそうだろう」と決めつけない。光本さんは「子どもは親に会いたいに決まっているかというと、そうでもないんです」という。
会いたいという感情ではなく、気になるという気持ちであったり、子ども自身本音がわからなかったりするケースも多い。円満離婚に見えるケースでも、会いたくないと子どもが主張するようであれば、子どもと面会を重ねて、まずは子どもと支援者間の関係作りを大切にする。
超党派の議員連盟は、未成年の子どもがいる夫婦が、離婚後も継続的な親子関係を維持することを促す「親子断絶防止法案」の国会提出を目指している。光本さんは「この法案が成立するメリットは、『親が離婚した後も、子にとって親であることは変わらない』ということを社会に広く周知できる点です」と話す。「紙切れ1枚で離婚ができる日本においても、両親の男女の関係と親子の関係は別物であり、離婚は子どもにとっての「縁切り」であってはならない。それを決めるのはあくまで子どもである」。法案により大人側の意識が変わることを期待している。
ただ法案の「継続的な親子交流こそが、子の最前の利益に適う」という点には違和感がある。光本さんの場合、最終的に母と縁を切りたいと思ったからだ。「交流のあり方は親が決めるのではなく、子どもが決めること」と切に感じている。
厚生労働省が2016年に行った人口動態統計によると、2015年の離婚件数は22万6215組で、うち未成年の子がいる離婚は13万2166組と全体の58.4%にも上る。にもかかわらず、「面会交流」という言葉の認知度も低く、民間の支援団体のガイドラインも策定されていない。「こういう問題があるんだと知ってもらい、正しく理解してもらうきっかけになって欲しい」。そう願っている。

海外では主流「共同親権」、日本の「単独親権」なにが問題か【棚村教授に聞く・下】

出典:平成29年5月28日 弁護士ドットコム

海外では主流「共同親権」、日本の「単独親権」なにが問題か【棚村教授に聞く・下】

いま、離婚と親子関係をめぐる法や制度の見直しに注目が集っています。日本では諸外国と比べ、離婚時に子どもの立場が尊重されない問題が指摘されていますが、子どもたちを守るためには、今後、法や制度をどのように見直していけばいいのでしょうか? 

上編(「世界の離婚事情…日本は『子どもに対する責任』が曖昧」https://www.bengo4.com/c_3/n_6138/)に続き、離婚と親子関係をめぐる法制度の問題に詳しい、早稲田大学法学学術院の棚村政行教授(家族法)に、話を聞きました。(編集&ライター・大塚玲子)

●「大人同士の争いの間に挟まれる」子どもたち
――海外で「共同親権」といわれるものは、両親ともに親としての責任があるというだけでなく、社会や国、地域にも子どもを守っていく責任がある、というのが共通認識なのですね。
はい、「子どもの権利に対応する親の責任、社会の責任、国の責任」という形で、法制度も大きく転換をしているわけです。
だから養育費や面会交流、子育ての支援を行う「家族関係支援センター」といったものも各地にありますし、面会交流の実施や養育費の取立ても社会として強化しています。そして共同で子育てできる人たちには、離婚した後も親として、結婚していた時にやっていたような役割をお子さんに対して果たしてもらおう、というふうになっている。
ところが相変わらず日本は、大人の権利が中心です。夫婦間の過去の恨みつらみ、みたいなものが噴出してくるので、お子さんは大人同士の争いの間に挟まれて、非常に苦しい状況に置かれたまま、放置されているわけです。
ただ、海外の取組みや考え方も、どうも日本では誤解をされているところがありますね。
別居親のほうは、「共同親権」や「面会交流」をやれば、すべての問題が解決するように思っていますし、一方で同居親のほうは、生活も苦しくて時間もないなか、あんな人と顔を合わせたくないから養育費ももらわなくていい、とあきらめてしまうとか、子どもの気持ちと関係なく「会わせる必要はない」と判断してしまうとか。
現状はそんなふうに、子どもをそっちのけに大人の争いに終始してしまっていて、お互いを傷つけ合うことに時間と精力が使われてしまっています。
でも本当は、離婚したあと生活が変わっていく中で、親と子の関係はどうあるべきかという、前向きな話し合いが必要です。お互いの信頼関係を回復するとか、最低限のコミュニケーションのベースを作るといった、もっと建設的な議論が必要なのに、そこにはなかなか目が向かないんですね。
●欧米は協議離婚を認めていない
――子どもたちにとっては、ものすごく迷惑な状況ですね。
子どもたちの本当の気持ちは「お互い、自分をめぐって争うことは、もうやめて欲しい」ということでしょうね。「もっと大人になってほしい」など(苦笑)、そんな思いでいる子どもたちが多いんじゃないでしょうか。
なにかというと別れた相手の悪口を言うのも、子どもを傷つけていきますよね。いくら良い夫・良い妻でなかったとしても、子どもにとってはお父さんお母さんであることに変わりないわけです。そういうことを含めて、子どもたちがいかに板挟みになって辛い状態にあるか、ということを知る必要があります。
海外では、離婚のときに親教育のガイダンスをする国もあります。「ちょっと待ってください、あなたたちがこんな風に争えば争うほど、子どもたちにこんな風に感じさせているんですよ」ということを専門の人がきちっと伝え、そのうえで親は子どもとどう関わっていけばいいかとか、親の意識を変えていくような働きかけをしている。
そういったプログラムやカウンセリングを受けて、きちっと取決めをしないと、離婚はできないことになっているんです。「親としての重い責任」という部分がありますから。
そもそも欧米の国々は、協議離婚を認めず、全部裁判離婚です。お子さんもいなくて、財産争いもない人たちは、簡単に離婚できますけれど、お子さんがいる場合には、きちっとお子さんのためになる取決めをして、養育プランのようなものをつくらないと離婚できないことになっています。そこはやっぱり、日本と大きく違いますよね。
●「親子断絶防止法案」にかけているもの
――日本では子どもがいても、すぐ離婚できますね。
日本は9割弱くらいが協議離婚ですからね。離婚届に当人たちが署名をして、未成年の子がいる場合は「親権者は誰」ということさえ書けば、簡単に受理されてしまいます。「世界でいちばん簡単な離婚」ですけれど、「世界でいちばん無責任な離婚」でもあります(苦笑)。
いま、離婚のうち未成年のお子さんがいるものは約6割です。2015年でいうと、離婚件数が226,000件で、その58%くらいに未成年のお子さんがいて、約22、23万人のお子さんたちが親の離婚に巻き込まれています。
そのなかで、養育費や面会交流について取り決めをしている割合は、法務省の数字(離婚届のチェック欄)で見ると62%くらいです(2015年)。民法改正後、比率は上がっていますが、そこでどんな内容が取り決められ、どれぐらい守られているか、ということまではわかりません。「全国母子世帯等調査」(最新が2012年)だと、すごく低い状況ですよね。
だからやはり、もう少し公的な機関が関与して、どんな取決めをしたらいいか、どういう風に取決めを守ったらいいか、といったことを支援していく必要があると思うんです。
そういう意味では、「親子断絶防止法案」(超党派の国会議員らによる議員立法)は、国や自治体、親にも責任を課し、また財政的な措置も一応定めていますから、それ自体に全く反対、というわけではないんです。ただ、面会交流などにちょっと偏っているところがあるので、もう少しバランスを取る必要があるでしょうね。
――親子断絶防止法案は、よく「全ての離婚家庭に面会交流を強制するものだ」といわれますね。最初の非公開の案は知りませんが、その後の修正案はいわゆる「理念法」です。でも原文を自分の目で確認せず「強制的だ」という話を鵜呑みにしている人が多いので、そこは誤解を解く必要があるのではないかと思います。とはいえやはり、もっと内容のバランスをとれるとよいですね。
そうですね。監護親、同居親に義務を課していたり、継続的な関係だけが非常に重視されているところがあるので、もっとお子さんの養育全体をトータルに支援をする、というスタンスが大事なのかなと思います。

世界の離婚事情…日本は「子どもに対する責任」が曖昧【棚村教授に聞く・上】

出典:平成29年5月28日 弁護士ドットコム

世界の離婚事情…日本は「子どもに対する責任」が曖昧【棚村教授に聞く・上】

離婚後の親子関係をめぐる法や制度の見直しに注目が集まっています。 とくに日本では、諸外国と比べ、離婚時に子どもの立場が尊重されないことが指摘されています。親が離婚する家庭の子どもたちを守るためには、今後、法や制度をどのように修正していけばいいのでしょうか? 

離婚と親子関係をめぐる法制度の問題に詳しい、早稲田大学法学学術院の棚村政行教授(家族法)に、お話を聞きました。(編集&ライター・大塚玲子)

●日本は「単独親権」の原則
――いま、離婚と親子関係に関する日本の法制度は、どのようになっているんでしょうか?
日本の場合にはまず、離婚後に「単独親権の原則」というものをとっています(民法819条1項)。つまり、未成年のお子さんがいて離婚する場合には、父母のいずれか一方を親権者に決めなければなりません。だから、離婚後「どちらが親権者になるか」ということで、争いが生じやすい状況があるわけですね。
それから、一方が親権者になったのち、他方(離別居親)がお子さんと自由に交流ができるかというと、それも十分ではありません。
仲が悪くて別れるので、自分たちで話し合いをして面会交流の調整をできるケースは、たぶん3分の1程度しかないんじゃないかと思うんですね。そうすると、父母が顔を合わせなくてもお子さんが別居親と交流できるよう、誰かが間に入るような仕組みや支援体制が必要なんですけれど、そこがまだ十分でない。
——海外では、どのように定められているのでしょう?
海外は「共同の親権」や「共同の子育て」がベースです離婚した後も原則、結婚しているときと同様に、父母が共同で子育てをして、子どもとかかわっていきます。また、離婚した後、親子関係のルールをどういう内容で決めていくか、ということについて細かく規定があるわけです。
そこには、1970年代末から80年代にかけて国連で提案、採択された「子ども(児童)の権利条約」が影響しています。この条約は「大人とは別に子どもの人権というものがあり、子ども自身が権利の主体・主役として大事にされなければいけない」ということを、さまざまな形で定めたものです。いま196か国ぐらいが批准、加入していて、日本も1994年に批准しているんですけれど。
夫婦は別れれば他人に戻りますが、子どもにとってはお父さんお母さんであることに変わりない。だから共同で子育てをしていこう、ということになるわけです。ただし共同での子育てが難しい場合には、一方が単独で責任を負うような形もあります。
●日本は「親の子どもに対する責任」が極めて曖昧
――日本では子どものことより、別れた夫婦の争いばかりが目立ちますね。
日本では「親権」や「監護権」というものが、「お子さんに対して親が持っている権利」というふうに理解されているんですね。それは「大人の視点」です。家制度のもとでできた民法なので、構造や仕組み全体が「大人の子どもに対する支配権」になってしまっているので。
だから紛争解決の場面でも「大人の勝ち負け」みたいなことになってしまい、子どもの存在や立場、気持ちというものが、十分に尊重されないのです。
海外でいうところの「共同親権」はそういうものではなく、「共同の親責任」といったほうが近いでしょう。ドイツでは「親の配慮」とか「共同の配慮」という言い方ですし、イギリスも「ペアレンタル・リスポンシビリティー=親の責任」というふうに言っています。
日本は、養育費や子どもとの交流(面会交流)など、「親の子どもに対する責任」という部分のルールが、極めて曖昧です。そういう中でお子さんへの責任を果たすことは、困難なところがあります。
たとえば厚生労働省が5年に1度行っている「全国母子世帯等調査」(父子家庭も含むひとり親世帯対象)によると、離別親が子どもと会えているのは、母子家庭で28%ぐらい、父子家庭でも37%ぐらいで、養育費を受け取っている母子家庭は19.7%と、2割にも満たない状況です(2012年)。
その背景には「協議離婚制度」の問題もあります。離婚のとき父母は、今後お子さんとの交流をどうするか、学校はどうするのがいいか、病気になったらどうするとか、生活していくうえで出てくるいろいろな問題について、しっかりと話し合っておく必要があるのに、それがないまま「協議離婚」という形で、かなり無責任に別れていってしまいます。
子どもにとって親の離婚は、これまであった環境が、大きく悪い方向に変わっていく可能性があることです。貧困や格差にもつながりやすく、それをなんとかしていかなければいけないから、「子どもの養育」ということを、社会や国が本気で、総合的に支援していく必要があるのです。
その点、海外の法律は「子どもの権利」というものを中心として、大人にはむしろ重い責任を定めています。シングル(非婚)親も含め、「多様な家族」に対する社会的な支援があって、子どもたちを保護するための法や支援の仕組みもできているわけですよね。
そういったことが「共同親権」とか「共同監護」というふうに言われるんですけれども、理念としては、子どもの最善の利益や子供の権利を実現するための「共同養育責任」と言えます。

離婚後の子の養育 支援不十分

出典:平成29年5月26日 読売新聞

論点「離婚後の子の養育 支援不十分」

 2015年の離婚件数は22万6000件であり、その約6割に未成年の子がいて、20万人以上の子どもたちが親の離婚に巻き込まれている。面会交流を求める調停事件は、15年には1万2000件と、この10年間で2・4倍にも増えた。 少子化が進むととに子どもがかかがえのない存在となっている。しかし、民法は離婚後、いずれか一方だけしか親権者になれないという単独親権の原則を定めているため、親権をめぐって紛争になりやすい。争いが起こると、結局、しわよせが全部、子どもにいってしまう。
 離婚時に面会交流や養育費の取り決めを行う規定も、12年に民法に明文化されたばかり。厚生労働省の調査結果でも、面会交流が行われているのは離婚後の親子の約27~37%、養育費を受け取っているのは2割に満たないという実情だ。
 離れて暮らす親子の面会交流には様々な問題が起こる。とくに子は、同居する親に配慮し、心に葛藤を抱きがちだ。面会交流に送り出す親にも、「連れ去られるのではないか」「危害を加えられるのではないか」と不安がよぎる。
 第3者が付き添う安全な場所、専門家が親子の相談に乗る体制などが必要だ。すでに、一部でNPOなどの活動がはじまっているが、こうした支援体制が十分でないため、父母間で紛争のエスカレートを招きやすい状態にある。
 17年1月、東京高裁は、9歳になる長女の親権者をめぐる争いで、母親に親権を認めた。
 1審では、子どもを無断で連れ去り、面会交流も年12回程度しか認めない母親よりも、年100回以上の面会交流と共同養育計画を提案する父親の方が親権者にふさわしいと判断していた。
 東京高裁判決は子どもの利益の観点から1審判決を覆したもので、大きく報道された。親権についての関心の高さと判断の難しさを改めて印象づけた。
 離婚後の親子の面会交流や継続的な関係を維持できるよう「親子関係維持促進法案」も超党派の議員立法として提案されようとしている。これに対しては、児童虐待、女性への家庭内暴力(DV)などがある事案への配慮に欠けているのではないか、との批判がある。
 世界的な潮流としては、「子の権利」を重視し、離婚後の「親の共同養育責任」に向けて法や支援制度の整備を進める国が増えている。離婚後の子の養育は、「大人の勝ち負け」ではなく「子どもの幸せや利益」を第一条件として考えていくという理念だ。子どもの権利として、面会交流を促進するし、養育費も取り立てる。子どもの心を傷つけないための親への教育プログラムなども実施している。
 日本でも、「子どもの養育支援基本法(仮称)」などを定め、離婚だけでなく、ひとり親を含めた子育てをする親や子どものために、国や自治体が支援の責任を果たしていくべきだ。そのうえで、面会交流や養育費など子どもの養育に関する合意形成、実現に向け、早急に取り組むべきであろう。

社会の見方・私の視点 を聴く「離婚後の親子の面会交流の重要性」

出典:平成29年5月25日 NHKマイあさラジオ

社会の見方・私の視点 を聴く「離婚後の親子の面会交流の重要性」

※音声は、こちらからお聞きできます。

大正大学心理社会学部 青木 聡 教授

社会の見方わたしの視点です。今朝のテーマは離婚後の親子の面会交流の重要性について、お話は大正大学心理社会学部教授の青木聡さんです。

今、超党派の議員連盟の間で、親子断絶防止法という法律を制定しようという動きが出てきています。

両親が離婚した後、子どもはどちらかの親と暮らすことになる訳なんですが、一緒に暮らさない親、離れて暮らしている方の親と子どもが、もっと面会したり交流したりすることを促そうという法律です。

先週は法整備を進める上での課題などについて考えてきましたが、今朝は心理学の立場から子どもの成育のために必要なことなどについて伺っていきます。

青木さん、あの、離婚したあと両親が子どもとどのように関わっていくかは子どもの成育に大きな影響を与えるそうですね。

はい、その通りです。アメリカでは1960年代から70年代にかけて離婚件数が急激に増えました。その頃から心理学の分野において膨大な数の離婚研究が行われています。その結果、離婚後の生活によく適応し、心理状態が良好な子どもは定期的な面会交流と必要十分な養育費が保護要因になっているということが実証されています。

また、離婚そのものよりも父母の衝突に晒されることが危険要因であるということが分かっています。

養育費が十分でない場合は、最近日本でも話題になっていますので生活が貧困に陥って、さまざまな困難が生じるということが理解しやすいと思います。

はい。他方、面会交流を定期的に実施しなかった場合、どうなるかというと、大きく分けて3つの結果が出ています。

一つ目は自己肯定感の低下です。自己肯定感というのは、自分に対して肯定的で好ましく思えるような自信ある態度や意識のことですが、この感覚が低いと、ひっこみ思案になって、人生に前向きに取り組めなくなります。

二つ目な基本的信頼感の低下です。基本的信頼感というのは人を信頼する力のことですが、この感覚が低いと、人間関係を築くことが苦手になります。その結果、3つ目として、社会への不適応の問題が生じます。学業成績の不振や友人関係の問題にはじまって、不登校、無気力、ひきこもり、学校中退、職場不適応、転職の繰り返し、無職、よく鬱症状、ドラッグ、アルコール依存症の割合が多くなったり、さらには世代間連鎖として、親と同じように離婚してしまう傾向が高くなることなどが報告されています。

日本でも青木さんは同じような研究をなさったんですよね。

はい。日本でも同じような傾向が見られました。別居している親と面会交流していない子どもは自己肯定感が低くなり、親和不全が高くなるという結果です。あの、親和不全というのは人とやりとりをする場合に自分の方から壁をつくって緊張して打ち解けられなかったり、深くつき合うことを恐れたりする傾向をいいます。

一方で別居している親と面会交流を続けている子どもは、両親の揃っている子どもと比較しても自己肯定感や親和不全に差がないということも明らかになりました。つまり、離婚したあと別居している親と定期的に面会交流することは基本的には子どもの成長にとって、大変重要なことだと言えると思います。

アメリカではこうした研究をふまえて、どちらの親が子どもと主に同居するかを決める時には、元夫婦としての葛藤とは切り離して、別居している親との面会交流に協力できるのか、子どもに別居している親のことを肯定的に伝えることができるのか、ということを子どもと主に同居する親を決める判断基準にしている州が多くなっています。

また、アメリカ司法省には女性に対する暴力への対策局という部署があるのですが、別居している親と子どもの関係を妨げることは情緒的虐待と明確に位置付けています。面会交流の支援は、虐待対策としての意味合いも持っている訳です。

なぜ、面会交流をするかどうかで子どもの心の成長にそこまで差が出てしまうんでしょうか?

はい。子どもは「私」というストーリーを紡ぎながら成長していきます。心理学的にいうと、「私」というのは「ストーリー」なのです。え、子どもは生活の範囲がまだ狭いので、ストーリーの大部分は家族との関連で展開します。お父さんに愛されている私、お母さんに愛されている私というふうに、まずは家族との関わりの中で私はこういうこういう人っていうアイデンティティーが作られていきます。

ところが、親が離婚してその訳も分からないまま、いきなり片方の親に会えないという状況になると、親の離婚の理由や会えない親がどうしているか、気になってしまいます。で、親に会えない喪失感の中で、なぜ親は離婚したのか、別居している親に自分はどう思われているのか、そもそも自分は生まれてきてよかったのか、と、さまざまな気持ちが渦巻くのですね。で、とりわけ年齢の小さい子どもは自分のせいで離婚したのではないか、自分が何か悪いことをしたからではないか、と自分中心に意味づけることがよく知られています。で、そのような意味づけは自己否定感にもつながってしまいます。

死別の場合は話は別です。親と死別すると、すごくつらいですし、深い悲しみに覆われますが、つらい物語としてストーリーを紡いでいける訳です。しかし、会えるのに会えない親の存在は、もやもや感が子どもの心にずっとわだかまっている状況になります。納得できる理由なく、片方の親に会えないと、両親の離婚をめぐって、私というストーリーをうまく紡げなくなるのです。

「私」の中に黒塗りになっている歴史があるような感覚になるのだと思います。しかもその黒塗りの部分に自分の人生が大きく翻弄されているという状況に置かれる訳です。

なるほど。つまり、両親の存在というのが、子どもの成育に関しては絶対といっていいほどの存在感があるということなんですね。

非常に大きい存在感ですね。

ただ、その素行に非常に問題があるような親であったとしても会うことの意味というのはあるのでしょうか?

はい。まあ虐待とかDVなどで、子どもの心身に危害が及ぶ可能性が高い場合は子どもの安全を守る為に会わせるべきではありません。しかし、そうでなければどんなにダメな親であっても、やはり会うことは大事だと思います。子どもが実際に親と会って、自分の目で見て、自分の肌で感じて、自分自信でその親についてのストーリーを紡いでいく必要があるからです。で、実際に会ってみて、どうしようもない親だっていう苦しいストーリーを抱えなければいけなくなったとしても黒塗りのままモヤモヤしているよりずっとマシな訳です。心の成長の個人差はありますが、一般的には中学生以上の子どもには会うタイミングや会い方を含めて自分で判断させた方が良いだろうとされています。

小学生以上の場合は周囲の大人がきちんと親に会えるように調整し、なぜ離婚したのか、今後どのように会っていくのか、などを説明してあげる方がよいとされています。で、乳幼児期に関しては専門家の間でも意見が分かれています。ただでさえ大変な子育ての最中に、面会交流によって同居している親の精神的負担感が増えると、子どもにマイナスの影響を与えるという説と、乳幼児期こそ、別居している親としっかりした環境を築くことがその後の子どもの心の成長を促すという説があります。

なるほど。

最近ではあの、乳幼児期からしっかりした愛着関係を築くことが重視されて宿泊の面会交流を含めてかなり頻繁な面会交流を取り決めるということが推奨されるようになってきました。それは、別居している親にとっても、親になっていくプロセスとして欠かせないと考えられています。

先ほどお話がでましたけれど、えー、暴力、いわゆるDV、家庭内暴力があった場合の対応なんですが、今年に入っても、面会交流中に元夫が元妻を殺害したり、父親が子どもと無理心中をはかったりした事件がありました。なぜ、こうした事件が起こってしまうのでしょうか?

やはり、欧米諸国と比較して、日本は離婚紛争におけるDV対策が立ち遅れているということが原因のひとつだと思います。アメリカだと、DV案件の場合、裁判所命令で、DVスクリーニングが徹底的に行われます。専門のソーシャルワーカーがいわゆる民生委員のような形で数ヶ月にわたって家族をフォローして評価していきます。で、その結果、DVで子どもの心身に危害が及ぶ可能性が高いというふうに判断されると、その程度に応じて、面会交流を一時禁止したり、あるいは厳しく制限したりします。そして加害者に対する治療的な親教育の受講とか、例えばドラッグやアルコール依存症の治療などを命じたりもします。また、監督付き面会交流といって、子どもの安全を守るために、第三者が付き沿う面会交流に制限する場合もあります。あの、日本でまだそういった制度が整理されていませんので、まあ今後、早急に全国規模で面会交流を支援する体制づくりが必要だと考えます。

で、子どもが離れて暮らす親と会えないことが多いという現実に法律や制度が対応できていない現在の状況については、一刻も早い改善が望まれます。

親子断絶防止法に関する木村草太氏のコメントに対する批判

出典:平成29年5月18日 土井法律事務所ブログ

親子断絶防止法に関する木村草太氏のコメントに対する批判

平成29年5月17日に、「親子断絶防止法の課題」と題したYouTubeがネット上に拡散されていました。NHKラジオの、社会の見方私の視点という番組の音声データのようです。

時間も限られていたことは理解できるのですが、おそらく法学者としてコメントを求められたのだと思います。この意見が法律家の意見だとされてしまうことは、問題が大きすぎると思いました。

古くからの友人にも説明をすることを要請されましたので、あまり気が進まなかったのですが、忘備録を記しておきます。

1 視点が大人の利益しかないこと

 面会交流は、子どもの健全な成長のために行うものです。確かに、子どもと別居している親が子どもに会いたいことは当然です。しかし、法律は、子どもの健全な成長のために面会交流を拡充しようとしているのです。

 そして、これは、かけがえのない親だからという抽象的な俗論ではなく、20世紀後半からの世界的な実証研究によって、離婚の子どもに与える影響が深刻であり、健全な成長を阻害するという研究結果に基づいた科学的な結論なのです。

 25年間以上にわたり60組の離婚家庭を調査したウォーラーシュタイン博士らの研究や大規模統計調査のアメイトの研究結果の報告等離婚後の子どもの心理的問題、そして、面会交流がその負担を軽減するという実証的研究結果が報告されました

 その結果を踏まえて日本の民放も改正され、子どもの健全な成長のために面会交流を促進する一つの方法として離婚届に面会交流の方法を記載することを要求するようになったのです。

 現在、裁判所も法務省も面会交流の促進をしているところです。

2 面会交流を危険視するのは科学的ではない

 次に面会交流を危険視することに対して疑問があります。

 木村氏は、今年1月に起きた長崎の事件と4月に起きた兵庫県の事件を危険の裏付けだとしています。

 これはきわめて乱暴なことでして、例えば、夜の酒場の口論から殺人事件につながった事件が多くありますが、そうだとすると、夜に酒場を営業することを禁止するような議論ではないでしょうか。

 要するに、本当に危険なのは面会交流ではなく、殺人に至る人間関係にあります。

 これはついこの間書きましたので、繰り返しません。
 
 「危険なのは面会交流ではなく、別居、離婚の仕方 先ず相互理解を試みることが円満離婚の早道」

 刑事弁護を担当する法律実務家からすれば、あまりにも当然のことです。

 なお、木村氏の論法で法律実務家からすると驚いてしまうことは、上記二つの事件について、新聞報道くらいしか知らないで発言しているということです。
 長崎の事件については、犯人が特定されたとどうやって断定するのでしょうか。

 要するに、仮にその報道が正しく、離婚した夫が犯人だとしても、面会交流の機会で起きたという情報しかないのです。
  
 殺人を犯すまで、精神的に圧迫されている場合、その精神圧迫に至る様々な要因があります。犯人の性格や考え方もあるでしょうが、被害者や第三者との関係、別離に至った原因と、方法等人が人を殺すということは簡単なことではありません。
  
 それを面会交流の時人が殺されたからといって面会交流が危険だというのは学者としての意見というのはお粗末すぎます。人間の営みに対しての敬虔な態度が欠けていると思います。

 また、彼が、このようなことを言わなければ面会交流が進んだのに過度の警戒感を持ってしまって子どもが親に会えない事態が生まれるのではないかという心配もあります。

 ちなみに、子どもに対する虐待死について父親よりも母親の方が多いことについても先ほど紹介したブログ記事の一番後ろの方に政府統計を示しています。

 また、面会交流中に暴力や虐待がしばしばあるという聞き捨てならないことも言っていましたが、統計資料などがあるなら示すべきでしょう。おそらく日本の統計資料もないままに言っているのではないかと私は疑っています。

3 同居親が自己の感情を抜きに行動しているとする点

 聞いていて開いた口が塞がらなかったのは、同居親は、子どものことを第1に考えてふるまっている。同居親が別居親に会わせたくないと言っているならば、面会交流をさせないまっとうな理由があるからだという発言です。
 これはひどい。さすがに、某私立大の教授だってここまでは言いません。こういうのを法律用語で畢竟独自(ひっきょうどくじ)の見解だというところです。

 そういうケースもまれにあるのかもしれませんが、大体は会わせることに抵抗がある会わせなければならないのはわかっているが、相手方と顔をあわせるのが嫌でどうしても具体的に約束できないということが多いと思います。
 嫌がらせで会わせないというケースよりもこういうケースが多いと私は理解しています。

 そして、それも人間なのである程度やむを得ないところがあるから、何とかそのような葛藤を鎮める方法を編み出しながら具体的な面会交流を進めているのです。

 木村氏が法律学者として発言しているならば自説に対する根拠を述べるべきです。

 何も根拠がなく、子どもたちが親に会う可能性を阻害する発言を法学者として無邪気にすることは許されることではないと思います。

 家事実務を知らないなら発言を慎むべきですし、根拠のないことは言うべきでもありません。 

4 古典的な20世紀の議論にとどまっている点

 木村氏は、面会交流の実施は同居親に心理的負担をかける、同居親に心理的負担がかかると子どもにとってもよくない、だから面会交流を努力義務でもすることはできない、子どもに強要することもできないという二つのことをいっぺんに話しているようです。

 これは、20世紀のゴールドシュミットやアンナ・フロイトの主張で、ああ、よく勉強しているなとは思います。但し残念なことに子どもの発達心理学は長足の進歩を遂げており、現代においては、定年間際の家裁の調査官くらいしか支持していない学説です。
  
 この理論は、既に心理学会でも家裁のまっとうな調査官の間でも採用されてはいません。採用されていない理由は、裏付けがないということです。科学的ではないからだということになります。  

 彼らも確かに面会交流には賛成だが、同居親の葛藤が鎮まったら面会交流をすればよいと主張します。

 しかし、その後の調査によると離婚後の相手方に対する葛藤は多くのケースでつきものであり、25年を経ても続くことが多いことがわかっています。人間ですから仕方のないこともあると思います。

 葛藤が鎮まるころには、どうしても、子どもは成人に達してしまっています。

 実質的に面会交流を否定する議論であることは理解できることだと思います。

 このような根拠のない面会交流制限から子どもたちの離婚の負の影響を軽減しようという科学者たちの様々な調査によって、現代では面会交流が進められるようになっているというのが、法律的見解として述べられなければならないのです。

 実務に携わる法律家は、調査官の方々のたゆまぬ調査研究を学んで自分の主張をしているのでして、ちょっと調べればわかることを調べないでわかったふりをしているというのが木村草太氏の発言だと感じるわけです。

 もし、木村氏が、このような科学の発展を踏まえてもなお、ゴールドシュミットらの見解を支持するというのであれば、すでに誰も支持していない説であるけれど特異な理由があって支持するということを述べるべきです。それが述べられていない以上議論の経過について知らないで発言していると評価するしかありません。

5 家庭裁判所に対する勝手な批判

 木村氏は、わずかの時間の中で様々なことを言っています。その中の一つとして、この時の木村氏の発言を象徴するような見解が述べられています。

 それは、本来面会交流がなされるべきではないが裁判所の人員不足で、DVや虐待を見抜けないために面会交流を認めてしまっている事例が多いようなことを言っていることです。

 人員不足が原因ということはどういうことでしょうか。よくわかりません。NHKで、民法のテレビ番組にも出ている学者がそのようなことを言えばみんな信じてしまう危険があります。

 よくわからない大学の教授がインターネットでつぶやいているのとはわけが違います。

 法律家が裁判所批判をする場合は、まさにそれが法律家の仕事ですからそれこそ豊富なエビデンスを示しながら行うものです。

 何も資料がなく決めつけで裁判所を批判しているのであれば、それは法学者を名乗るべきではないでしょう。

 どのケースでDVや虐待があったのに裁判所が面会交流を認めたのでしょうか。それがどれくらいの頻度があるのでしょうか。法学者として見解を述べるならばそれを明らかにするべきです。

 どちらかというと、DVや虐待が無いにもかかわらず面会交流が認められず手紙やメールのやり取りだけを強いられているというケースが実務的な実感としては多いのです。

 彼の議論の特徴はここにあります。

 私人である父親と母親の権利の調整をする場合、どちらかの意見に偏って判断することは大変危険です。

 DVや虐待が「あった」ということは大変難しいことですし、それぞれの立場によって違うということも大いにあります。そもそも日本の法律のDV概念が極めて曖昧かつ広範です。

 そういう場合でも面会交流が有効であることはランディバンクラフトの引用で何度かこのブログでも紹介しているところです。

 要するに、複雑な人間の感情を一切捨象して一方の見方だけを肯定し、他方の見方を否定してしまっては、私人間の紛争調整はできません。

6 同居親の児童虐待は国家権力の強制力によって解決するべきだという点
 
 さすが見かねたアナウンサーがいろいろ突っ込みを入れるのですが、他説を考慮しない彼の発言は意に介さないで続きます。あるいは争点があることを理解しないのかもしれません。

 アナウンサーが同居親からの児童虐待があるケースを考慮した方が良いということに対して、そのようなケースは虐待防止法や監護権の変更で対処するべきだと発言しています。まさに国家権力万能論です。
  
 面会交流が月に2回でもあれば、子どもの様子が変わったことはすぐ気が付くでしょうし、宿泊付きの面会交流があれば痣やたばこのやけどなどにも気が付くでしょう。

 そもそも、相手親に会わせることを考えれば虐待などできない心理的な担保になると思います。

 子どもも、いざとなれば別居親に逃げればよいという逃げ道を意識することができれば虐待を告発することもできるでしょう。

 虐待は、世間からわからないようになされています。法律的制度があったところで少なくならないということから法律的制度があればそれでよいということは児童の権利に対する、あまりにも無理解ではないでしょうか。

 また、そんなに簡単に保護を受けたりましてや親権変更にが実現できるというような実務的感覚はありません。これに対して子どもの親が定期的にわが子に接することの方がまっとうな解決であるし、あるべき姿だと私は思います。

7 面会施設について
  
 面会施設を作り、無償で提供するべきだということも言っています。この結論自体は賛成です。

 しかし、この人、親を見張りながら面会をさせる施設が必要だとか監視が必要だとそういう言い方をラジオでしているのです。

 一緒に暮らしていた自分の子どもが親と会うのですよ。人間の感情を傷つけることを厭わない人が法学者として語ることに抵抗を覚えます。

 結局、全件原則DV虐待事案として扱えという主張のように感じられます。

 施設が必要であることは家事調整センター企画書で述べていますが、万人が犯罪者で国家権力の強制力に服すべきだという観点からの議論ではなく、現実の人間の弱さを前提としてどうやって、大人の都合で子どもに与える負の影響を軽減するか無駄な大人同士の対立を鎮めてみんなが苦しみを少しでも和らげるという観点で述べています。

 ああそうかとここまで書いて気が付きました。彼の話は冷たいのです。

 それは別居親に対してだけ冷たいのではなく同居親に対しても自分の感情を持つことが許されず、子ども最善の利益で動かなければならないという人間像を前提とした議論になっているような冷酷さを感じます。

 どうしてNHKは彼に発言をさせたのでしょうか。それが一番の疑問かもしれません。彼の議論が法学者としての一般的な見解だと誤解を与えることはどうしても避けたいところです。

 その次の週は、家族問題に取り組んでいらっしゃる青木先生がお話しするようです。問題点に対する研究の歴然とした差が聞き比べると容易にわかることだと思います。

元夫が娘と面会中に無理心中「ごめんな。行かせてごめんな」母親が涙の告白

出典:平成29年5月17日 週刊女性

元夫が娘と面会中に無理心中「ごめんな。行かせてごめんな」母親が涙の告白

「今はまだ、娘が近くにいるような感じがするんです。だから、まだ本当に寂しいという気持ちが湧かなくって」

 娘の遺影と遺骨を前に母親の中村明子さん(仮名)は、大切な娘(当時4)が殺されたショックを、まだ実感できない。

 殺したのは父親。中村さんの元夫だ。

 4月23日、月に1度の面会交流の日の夜、兵庫県伊丹市のマンションの一室で、娘は命を奪われた。娘の首にはネクタイが巻かれ、元夫はネクタイで首をつっていた……無理心中だった。

 元夫は昨年11月、自暴自棄になり自ら離婚届を提出。その後、寂しくなったのか復縁を申し入れてきたという。

「借金はする、酒は飲む、暴言を吐く、部屋を荒らす、浮気をする。もう限界で、あのストレスの日々に戻ることは無理でした。弁護士を立て離婚調停を始めました」

 調停中だったが、昨年12月、今年1月2月と、中村さんは娘を父親に会わせている。

「本当に空気が読める子で、元夫に会って帰ってきたとき“パパ、謝ってたよ。許してあげーや”って私に言うんです。私はもう会いたくなかったので“近くだからまたすぐ会えるからなぁ。おもちゃもこっちに全部あるで”なんてごまかして……」

 必死に両親の仲をとりもとうとする娘の健気さが、その言葉からは読み取れる。

 4月に離婚調停が終わり、月1回の面会交流が決定。元夫が娘に手をかけたのは、その1回目の面会日だった。

「朝10時に、うれしそうに出かけていった娘を見たのが最後です。面会交流終了時間は午後5時だったんですが、何の連絡もなくて、午後7時ごろに警察に連絡をしました。午後9時過ぎ、元夫の兄と警察官がベランダから窓を割って部屋に入ったところ、2人が倒れていたそうです」
 後日、警察に見せてもらったマンションの防犯カメラには、うれしそうな娘の姿が残されていたという。

「映画を見て、おもちゃを買って、最後にちゃんと父親したかったんでしょうね。娘まで勝手に連れていって、最後の最後まで自己中で……」

 娘を行かせなければよかった。そんな思いはないのか。中村さんは、

「娘の遺体と対面したときは、“ごめんな。行かせてごめんな”と後悔ばかりでしたが、結局いつかは起こっていたんじゃないかと思います。弁護士さんからも“連れ去りは大丈夫ですか”と第三者が立ち会う施設の利用なんかもすすめられていましたけど、まさか自分の娘に手をかけるなんて思いもしませんでした」

 そして、今回の事件の原因についてふれる。

「彼の弱さが起こしたものだと思っています。養育費も払えないように仕事も辞めていたみたいで、私を困らせてやろうという気持ちがあったんだと思います。それと、やっぱり帰り際、子どもが可愛くなったのかもしれませんね」

 実の娘を亡くした今だからこそ、中村さんは思うところがあるという。

「子どもが会いたいと言うのなら父親には会わせるつもりでしたし、その気持ちを酌むのが親の役割。子どもに会えないのは寂しいでしょうし、子どもにとっても面会交流は必要です。私がお話をすることで、2度と同じような事件が起きないように、何かが変わればと思っています」

 児童心理学の専門家で東京国際大学の小田切紀子教授は、

「問題が起こるかもしれない。連れ去られるかもしれない。そういった場合には、家庭問題情報センター(以下、FPIC)のような第三者が立ち会っての面会交流も可能です。なにより何のために行っているのか。父母がしっかり理解することが大切です」

『親子の面会交流を実現する全国ネットワーク』略称『親子ネット』によれば、毎年約24万組の離婚が成立しているが、子どもとの面会交流ができていない親は7割、毎年約16万人の子どもが別居親との関係を断絶させられているという。夫婦は離婚すれば他人だが、子どもにとっては父親も母親も変わらぬ親。小田切教授は、

「だからこそ、夫婦の問題と親子の問題は、切り離して考えてほしい」

 と話し、さらに続ける。

「子どもにとって離婚は、青天の霹靂。妻と夫の関係を終えたとしても、父と母という役割から、子どもの負担をどうしたら減らせるか、子どもをいちばんに考えてほしい」

 とはいえ、お互いにいがみ合っている夫婦は、不寛容の感情が先走る。その結果、別居親が子どもに会えないケースが続出しているーー。

夫が語るリアルDV被害「お前が追い込んだ! 一生後悔しろ!」と殴り書きの遺書

出典:平成29年5月18日 週刊女性

夫が語るリアルDV被害「お前が追い込んだ! 一生後悔しろ!」と殴り書きの遺書

「今はまだ、娘が近くにいるような感じがするんです。だから、まだ本当に寂しいという気持ちが湧かなくって」

「毎日毎日、仕事してテレビ見る時間もないんだよ、洗濯だってしなきゃいけない、食器だって手洗いしないといけない。いい加減にしてよ。お前は結局マザコン野郎なんだよ」

「うるせぇ、本当にムカつくんだよ、この野郎」

 泥酔した妻が、空になったワインのボトルを夫に投げつけながら、そうなじる。エンジニアの山田良太さん(仮名・40代)が味わった、家庭内DVのリアルな修羅場だ。

 夫婦ゲンカは犬も食わない。そう言われていたのは遠い昔のおとぎ話。近年、夫婦ゲンカがDVと呼ばれるようになり、社会問題化した。

 警察庁の発表によると、昨年1年間に全国の警察が受け付けたDVの相談件数は6万9908件。そのうち事件として検挙された件数は8387件。いずれも過去最多となった。

 女性の被害者が全体の約8割を占めるが、男性からの相談が増加しているのも最近の傾向だ。昨年は初めて男性の相談件数が1万件を超えた。

 デートDVなどの防止啓発活動に取り組むNPO法人エンパワメントかながわの阿部真紀理事長はDVの類型を、

「身体的暴力、行動の制限、精神的暴力、経済的暴力、性的暴力の5つに分類されます」と説明したうえで、DVが深刻化する様子を次のように話す。

「なぜ、約束を守れない、お前が悪い、と最初は機嫌が悪かっただけのものが、徐々にエスカレートして、暴言や暴力へ発展します」

 そして、被害者が女性でも男性でもDVとしての構造は同じだと説明を加え、深刻化する理由について、

「暴力や暴言の後、加害者は被害者に“もうしない”“ごめんね”“本当は愛しているのよ”と謝る。そこで被害者は、約束を破り相手を悲しませた自分が悪いんだと思い込まされるんです。この繰り返しによって、徐々に被害者の自尊心を奪い、被害者をコントロールしていくんです。被害者からの相談では、“自分が悪いんです”と話す人は少なくありません」(阿部理事長)という。

「出産の翌年、甲状腺機能亢進症を発症したんです。そのせいか、思うように家事ができずアルコールを飲む機会が増えました。あるとき飲みすぎだと思い、ウイスキーのボトルを隠したんです。そうしたら妻が怒りだして……。私に文句を言い、なじるんです。家事ができないのも、お前の出来が悪いからだ、と。そんな日常の繰り返しでした」 

 エンジニアの山田さんは、大学時代に知り合った妻と、'03年に結婚。'06年には今年で11歳になる長女が誕生したが、その前後から始まっていた妻の異変は、アルコール摂取によって増幅した。

 精神的なDVが始まると同時に、妻が壊れ始めた。

 外出先で飲んで警察に保護される、家の中で暴れて包丁を持ち出す、子どもを連れて勝手に実家に帰り3か月以上も帰ってこない、医師にアルコール依存症の外来を紹介されても酒量は一向に減らなかった。そして'13年3月、

「会社に保育園から、妻が迎えに来ないという連絡があったんです。家に帰ると妻はリビングに倒れていて、大量に薬を飲んだ跡がありました。《お前の行動言動が私を追い込んだ! 自分のバカさかげんを反省しろ! 一生後悔しろ!! 》という殴り書きの遺書が残されていて……」

 山田さんが救急車を呼び一命をとりとめた。当初、妻は“お前が悪いんだ”と語っていたが、もう娘には会わせないと山田さんの母親が激怒。もう娘に会えないかもしれないと思った妻は、反省を口にするようになった。

《私はどうかしていました。今回も取り返しのつかないことをしてしまい、その事で皆様に大変迷惑をかけてしまったことを心の底から反省しています》《娘を大切にし、娘にパパの大切さを教えます。暴言を吐くようなことはしません》と反省文まで書いた。

「子どものこともあるし、今後は改善するのではないかと希望を持ちやり直すことに決めました。でも、この選択が間違いだったかもしれません」

 と山田さんは弱々しく語った。

 反省も長くは続かず娘が小学校に入学すると、再び飲酒。暴言、暴力、家出、知らない男と食事、朝帰り、出会い系サイトからのお金の振り込みや、“寝ている間に刺してやるからな”という脅迫も。400万円ほどあったはずの貯金も、知らぬ間に妻が3年間で使い切ってしまった。

「我慢するしかない」と思った山田さんは、争いを避けるため仕事から帰ると自室にこもるようになった。ドアや壁を容赦なく叩き罵声を浴びせる妻。顔を合わせればケンカし、もみ合いになったことも。

「寝室で動画を見ていたんです。するとその音がうるさいと、妻が怒りだしました。何度も何度もドアを叩いて叫ぶんです。もう我慢ができず、近くにあった手持ちのマッサージ器で威嚇するつもりが抑えきれずに妻を殴ってしまったんです。……そして妻に警察を呼ばれました。私は一方的な被害者ではなく加害者でもあることを認めます」

 '14年10月、警察ざたになる出来事があった。山田さんが深刻な表情で振り返る。

 妻からは暴行に対する手書きの謝罪文を要求された。周囲からは書くなと言われたが、家庭を壊したくないという思いから手書きで記したという。

 夫の非を責めながら、自分は朝から酒を飲んで暴れる。自分のものを隠したと夫を責める。限界を感じた山田さんは、市の福祉課や児童相談所、警察にも相談していた。

 だが、その後も妻の暴走は止まらない。寝室のドアの向こうから罵声を浴びせ続ける。

「何、無視してんだよ、いい加減にしろ。女ひとり、子ひとりてめぇが養えねぇくせに。離婚でいいよ、裁判するか。お前に慰謝料、さんざん請求してやるからな。(ドアを)開けろよ、開けろ」

 止まらない妻に耐えかね、警察を呼んだが、警察官は、

「旦那さんが今日は外で泊まってください」

 との言葉。妻に暴力をふるった反省から、暴走が止まらないときは警察を呼ぶようにしていたが、いつも外で泊まるのは山田さんだった。

 過去には翌朝に家に帰っても、チェーンがかけられ家に入れてもらえない。何度も呼びかけると再び警察を呼ばれたことも。そんな繰り返しに心も身体もボロボロだった。

 家を出よう……。他の選択肢はなかった。会社には翌朝電話をし、休職を願い出た。'15年3月16日のことだった。

 ……別居生活から2年。山田さんは今、アパートでひとり暮らしだ。妻とは娘との面会交流調停をすすめている。

「最後に娘に会ったのは、昨年10月です。11月も会う予定でしたが、直前に“娘が会いたくないと言っている”と連絡があり、それ以降、会えていません。会っても母親が一緒にいるので、会話はほとんどできませんでした。娘も察しているのか、私と目を合わせようとしないんです。今は娘に会いたい。ただそれだけです。娘が心配です」

 あの妻に娘を任せて大丈夫だろうか。そんな不安もあるが、山田さん自身も追いつめられている現状を明かす。

「妻と娘が住んでいるマンションのローンの支払いと、生活費も渡しています。加えて私のアパートの家賃、生活費、弁護士費用。お金がいくらあっても足りません。仕事も手につかなくて、上司には“職場は遊ぶ場所じゃないんだよ”と注意されています。降格し、給料も下がって。もう首をくくるしか……」

 山田さんはそういって、頭を抱える。取材中、「どうして、どうしてこんなことに……」と、うわごとのように何度も何度もつぶやいて、絞り出すように、

「出会わなければよかった。今は毎日そう思っています」

 現在、精神科へ通院し、睡眠薬と抗うつ剤を服用しているという。目の下の深いクマがその苦悩を物語っていた。

 DV事案を多数扱う森法律事務所副代表の森元みのり弁護士は、

「外面的には上品でかわいらしく、一見非の打ちどころのない女性が多いですね」

 とDV妻の特徴を説明。

「女性からのDVでは、身体的暴力よりは、精神的なものが多数を占めます。“出来が悪い”“食べるのが遅いんだクズ”“役に立たない”“家族の足手まとい”といった人格を否定する言葉が含まれるようになると問題ですね」

 山田さんのように暴力を受けるケースも増えているという。森元弁護士が続ける。

「相談に来る方は、妻からDVを受けているなんて誰も信じてくれないし、別れられないと思っている方が大半です。身体的暴力がある事例では、暴力を目撃する子どもに悪い影響があるとして離婚もできるし、親権も取れることが多い。だからこそ悩んでいる方はぜひ1度、相談していただきたい」

 DVがひどくなれば家庭は壊れる。その中で育つ子どもにも当然、悪影響を与える。

 社会心理学者の新潟青陵大学の碓井真史教授は、

「観察学習といって子どもは見たものを学びます。身近で暴力を見ることで、それが当たり前だと自然に身につけるようになる」

 夫婦間のやりとりが子どもの成育を阻害するとも話す。

「子どもにとって親というのは全世界といってもいいぐらい絶対的な存在です。大好きな両親が、お互いに悪口を言っている場合、子どもは非常に不安定な精神状態になる」

 すると、子どもは自らを安定させようと、こんな行動にでることもあると続ける。

「うまく心のバランスを保つため、母親か父親どちらかの味方につくのです。しかし結局、両方の遺伝子を引き継いでいるわけですから、自分のルーツを否定することになる。すると理想の男性像や理想の女性像を持てなくなり、自分がどんな人間になればいいかわからなくなる。現れ方はさまざまですが、情緒不安定な子どもになる可能性も」

 前出の森元弁護士は、母親が子どもに父親の悪口を言わせるケースもあると話す。

「“バカ”とか“臭い”とか子どもを使うケースもあります。ただ加害者側は決まって、私にちゃんと向き合ってほしかった。愛情表現だったと話をします。客観的に見たら、全然愛情とは逆の行動ですよと思うんですけどね。不思議です」

 夫の会社に、夫が浮気をしているとウソの連絡をして、社内で問題となり降格人事を受けた男性もいたという。

 稼ぎ頭の夫を貶めておきながら、法廷の場で話す言葉は“愛している”“別れたくない”と主張するDV妻たちは理解の範囲を超える。今日もどこかで虐げられる夫の悲痛な叫びが聞こえる。

3人の経験者が語る、離婚後の“別居親”と子どもの切ない面会交流の実態

出典:平成29年5月18日 週刊女性

3人の経験者が語る、離婚後の“別居親”と子どもの切ない面会交流の実態

「子どもにとって離婚は、青天の霹靂(へきれき)。妻と夫の関係を終えたとしても、父と母という役割から、子どもの負担をどうしたら減らせるか、子どもをいちばんに考えてほしい」

 児童心理学の専門家で東京国際大学の小田切紀子教授は言う。

 夫婦は離婚すれば他人だが、子どもにとっては父親も母親も変わらぬ親。だからこそ「夫婦の問題と親子の問題は、切り離して考えて欲しい」と小田切教授。

 とはいえ、お互いにいがみ合っている夫婦は、不寛容の感情が先走る。その結果、別居親が子どもに会えないケースが続出している。

娘は私の命です
 佐藤良子さん(仮名)は、昨年10月に面会交流調停が和解し、12歳の娘と月に5時間だけ会うことが認められた。

 職場で知り合った夫と'00年に結婚し、'05年に娘が誕生。

 '12年、娘が小学生になり少し手が離れたタイミングで、保育士の資格を取るために学校に通いたい、と夫に打ち明けたところ、予想外の反応が返ってきたという。

「保育士なんて少子化で先がないし、給料が安い。そんな仕事はやるべきじゃない、と」

 夫の反対を押し切って夜学に通い始めたことで、夫婦関係はぎくしゃくし始めた。

 “お前はバカだ”“何もわかっていない”といった言葉の暴力が始まり、仕事中の夫が家に電話をかけてきて1時間以上の罵詈雑言を浴びせることも日常茶飯事。家事は完璧にこなしていた佐藤さんだが、徐々に夫の顔色をうかがいながら暮らすようになった。

「家を出ていく」。夫がそう宣言したのは、'15年6月。引っ越し業者が夫と娘の荷物を運び出していく様子を、

「ただ立ちすくんで何もできず見ていました。私が家庭を壊したんでしょうか。何を間違えたんでしょうか。私が悪かったのでしょうか」

 今も原因がわからない。

 夫とは今、離婚訴訟中だ。お金はすべて夫が管理していたので、佐藤さんは取得した保育士の資格を生かし、保育園に勤めている。

「娘は私の命です。でも娘は父親も大好きでした。その父子の関係は壊したくない。私のところにも夫のところにも子どもの意思で行ける、本当の自由が与えられる日が来ることを望んでいます」

 昨年12月の面会時の、子どもの言葉が忘れられない。祖母のお見舞いに行った帰りの電車の中でのこと、

「私が“お父さんとも3人でご飯を食べることだってできるかもしれないよ”って話をしたら、びっくりした表情をみせた後、うつむいて“やっぱり家族は一緒がいい”ってつぶやいたんです」

 娘が帰って来ることができる場所を作っておかなくちゃ。そんな思いだけが今、佐藤さんを支えている。

子の口から知った。

どっちも選べないよ
 息子の中学入学後、夫が実家に戻り、引き止めたが息子もそのあとを追った。

 夫が離婚調停を申し立て、対抗する形で吉田さんは面会交流調停を申し立てる。

 周囲の友人などに“お父さんお母さんどっちも選べないよ”と漏らしていたという息子も、父親との暮らしが長くなるにつれ、面会で一切反応をしないように変わったという。片親疎外症候群が始まった、と吉田さんは見ていた。

 小田切教授によれば、

「簡単にいえば洗脳ですね。同居親は別居親に絶対に渡したくないわけです。別居親がどんなに悪い人間か、子どもに毎日のように吹き込んで支配していきます」

 今年3月、上告棄却で離婚が確定、親権は父親が得た。

 4月11日に面会をした息子は、次回と次々回の面会を休みたいと吉田さんに伝えた。

「連絡用にメールアドレスを教えてくれました。ただ、連絡をしても返事はありません。このまま連絡がとれなければもう会うことはできなくなるかもしれません。いつか息子の目が覚めてくれたら……」

 取材中、気丈に振る舞っていた吉田さんの目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

 高木勇樹さん(仮名)は、

 '09年に結婚し、翌年2月に長男が誕生。だが同じころに妻が多重債務者であることが発覚。歯車が狂い始めたという。

 2年かけて借金を整理したが、再び借金をしているのが発覚。'14年7月、妻の実家に相談に行ったが、「嘘をつくな」と義父が激怒。その後、長男と一緒に実家にいた妻とは一切連絡がとれなくなり、弁護士を立てた。

調停の場で知った長女の誕生
「なぜ自分の子どもなのに会えないんだ、という怒りと悲しみ……。今まで味わったことがない感情でした。街中で“パパ”って聞こえると、反射的に振り返っていました」

 長男と会えたのは1年半後。第三者立ち会いのもとだったが、「パパ~」と駆け寄る息子と抱き合うことができ、会えなかった時間を埋めるほど濃密な時間を過ごせたという。

 別居前に妊娠していた妻が長女を出産していたことがわかったのも調停の場だった。戸籍謄本を取得し、名前を知った。その娘とも'16年3月に会うことができたという。

 今年4月には面会交流調停が合意。2か月に1回、3時間だけ会えることになった。

「娘も少しずつ私になれてきているようです。やっぱり可愛いですよね」と喜ぶ一方、

「娘は今年で3歳になるのに、まだ20時間も会うことができていません。長男とももっと遊んであげたい。なにより今は一緒に生活することをしたいですね。ひとつ屋根の下で生活をする。親子なのにそのごく当たり前のことが、できないのがつらいです」

 ただ、高木さんは次のような反省も口にする。

「夫婦でいざこざがあると子どもは置き去りになる。トラブルになったとき相手を思いやることを忘れないでほしい。私にもそれがあれば、今の状態にはならなかったかもしれません。子どもからしたら、両方の親が必要なんです」

 離婚で試されているのは子どもの立場に立った愛情の注ぎ方なのかもしれない。

親子の面会交流支援10年 福岡の社団法人

出典:平成29年5月12日 読売新聞

親子の面会交流支援10年 福岡の社団法人

 福岡市中央区大名の公益社団法人「家庭問題情報センター・福岡ファミリー相談室」が、離婚で離れて暮らす親子の面会交流を支援する取り組みを始めて今年で10年目を迎えた。これまでに支援した親子は100組を超え、子どもの心のケアに役立っている。
 面会交流は、離婚や別居で一緒に暮らしていない親子が定期的に会ったり、電話などで連絡を取りあったりすること。親同士が話し合いでどのような方法で交流するかを決めるが、まとまらない場合は家裁が仲介する「調停」や「審判」で決定する。
 同相談室は元家裁調査官らが集まり、1993年に設立。離婚を考える夫婦の相談などを受け付け、2007年からは、面会がうまくいかない当事者間の調整にも取り組んできた。原則1年間、親子の面会日時を設定し、1~2か月に一度の面会に付き添う。
 付き添い回数は昨年末までに、107組で計1000回を超えた。
 九州北部に母親と暮らす小学校低学年の女児は数年前、別居する父親(40歳代)との面会を2年間続けた。最初の1年は相談室内で職員が同席した。女児は両親に気を使う場面もあったが、次第に面会を楽しみにするようになったという。
 相談員の江口朋子さん(69)は「子どもは定期的に親と会うことで愛情を感じ、健全な成長につながる」と面会の大切さを説く。
 問い合わせは平日の午前10時~午後4時、同相談室(092・734・6573)へ。

「子ども最優先に 離婚後の面会交流」(時論公論)

出典:平成29年5月4日 NHK

「子ども最優先に 離婚後の面会交流」(時論公論)

今日のテーマは、離婚した親が離れて暮らしている子どもと会う「面会交流」です。「夫や妻と別れても、わが子には会いたい」。面会交流を求めて裁判所に
調停を起こす親が増えています。その陰でトラブルが相次いでいて、先週、兵庫県では4歳の女の子が面会交流中に父親に殺害されるという痛ましい事件が起きました。親どうしの争いをなくし、子どもが安心して親に会えるようにするにはどうすればよいか考えます。

解説のポイントです。まず、面会交流をめぐり、どんな問題が起きているのか見ていきます。そして、法律や制度の整備の遅れが問題を深刻化させている現状を押さえたうえで、子どもの思いを最優先した面会交流のあり方を考えたいと思います。

こうした重大な事件には至らなくとも、面会交流をめぐる夫婦間の争いは日常的に起きています。
1万2264件。これは子どもと別れて暮らしている親が1年間に全国の家庭裁判所に面会交流の調停を申し立てた件数です。10年前の2.4倍に増えていて、父親からの申し立てが急増しています。
その背景には男性の育児参加の広がりがあります。子育てに積極的に関わる父親が多くなり、妻と別れても子どもとの面会交流は続けたいと思う男性が増えているのです。

その一方で、配偶者から暴力を受けるDV、ドメスティックバイオレンスの被害を訴えて、離婚や別居をする女性も増えています。
このため、男性の側が「自分は暴力をふるった覚えはない。だから子どもに会わせてほしい」と申し出ても、女性の側はDVの被害を受けたことを理由に「夫と関わりたくない。子どもも合わせたくない」と言って応じない。
対立が広がる中で、母親が子どもを連れて家を出て所在がわからなくなったり、父親が母親の元にいる子どもを無断で連れ戻したりするトラブルが相次ぎ、その結果、板ばさみとなって苦しむ子どもが増えています。

ここで考えなければならないのは、日本では法律や制度の整備の遅れが問題を深刻化させているということです。

欧米では離婚しても双方の親に親権を認める「共同親権」が主流です。そして、離婚は面会交流の方法や養育費の分担などを取り決めたうえで裁判所が決定する仕組みになっています。
これに対し、日本は、かつては欧米でも主流だった「単独親権」をとり続けていて、離婚すると片方の親の親権が無くなることが民法で定められています。また、夫婦の話し合いだけで離婚できる「協議離婚」の制度があり、離婚の9割を占めています。このため日本では面会交流の取り決めをしないまま離婚するケースが多く、また、親権を持つ親が子どもを会わせない場合もあることから、離婚が成立した後で子どもを奪い合う争いが起きているのです。

こうした状況を改善しようと、超党派の国会議員が「親子断絶防止議員連盟」をつくり、面会交流を促進するための法案を国会に提出する準備を進めていますが、これが波紋を広げています。
検討されている法案は、離婚後も子どもが双方の親との関係を継続できるようにすることは父母の責任であるという基本理念を掲げたうえで、離婚の際に、面会交流や養育費の分担を書面で取り決めるように求めています。
また、面会交流などの取り決めをせずに別居して、子どもが片方の親と会えなくなる事態が起きないように、国や自治体は親に対する啓発活動を行うとしています。
こうした面会交流の実施を強化する動きに、夫から暴力を受けた女性たちが強く反発しています。法案には、子どもへの虐待や配偶者に対する暴力がある場合は、面会交流を行わないなど特別な配慮をすることが盛り込まれましたが、その具体的な方法は示されていません。
このため女性たちは、DVや虐待を防ぐ対策が不十分な中で安易に面会交流を進めれば、被害が一層深刻化すると訴えているのです。
親子関係を継続することが子どもの利益にならない場合があることを考慮して慎重に議論を進める必要があります。

そうした親への教育を離婚の手続きの中に取り入れ、制度化しているのが韓国です。韓国にも協議離婚の制度がありますが、仕組みは日本とは異なります。
まず、裁判所に申請しなければなりません。そして、3か月間の熟慮期間が設けられ、その間に裁判所で離婚が子どもに与える影響や離婚後の親の役割を学びます。そのうえで面会交流や養育費の支払いについて合意した協議書をつくり、これを裁判所に提出することで離婚が成立するのです。

こうして見てきますと、欧米や韓国では、双方の親から愛情を受け続けることが子どもの利益になると考え、面会交流の取り決めを離婚の前提条件としているのに対し、日本は子どもが蚊帳の外に置かれている状態です。

必要なのは親の思いを優先するのではなく、子どもの思いや与える影響を最優先に考えて、国が早急に離婚する親と子どもを支援する体制を整えることです。
とりわけ、DVや虐待の問題を抱える親子の面会交流は、欧米のように安全を守る監督者を付けてまで行う必要があるかどうか、慎重かつ十分な議論が必要です。

日付が変わり、きょう5月5日は「こどもの日」です。子どもの人格を重んじて、子どもの幸福を考える日です。この問題に対する社会の関心が深まることを願ってやみません。
(村田 英明 解説委員)

子供“連れ去り” 国内外から日本の姿勢批判「英語では『誘拐・拉致』だ」 ハーグ条約発効3年

出典:平成29年4月16日 産経新聞

子供“連れ去り” 国内外から日本の姿勢批判「英語では『誘拐・拉致』だ」 ハーグ条約発効3年

 一方の親による子供の連れ去りをめぐり、日本の予防・解決態勢の不備を指摘する声が国内外で強まっている。今国会では「現状のままでは連れ去りが続く」との危惧が提起されたほか、子供を連れ去られた親でつくる団体も国に対策を求めた。海外では対日制裁を求める声も上がる。ハーグ条約の日本での発効から3年を迎えた中、日本の対応に注目が集まっている。(小野田雄一)
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 「日本はハーグ条約に加盟しながら、国内では連れ去りが実質的に容認され、むしろ“連れ去った者勝ち”の状態だ」「連れ去りというが、英語では『誘拐・拉致』だ。米国から子供を連れ去って国際手配された日本人女性もいる。子供の返還に応じない国への制裁を定めた『ゴールドマン法』に基づき、米国が日本を制裁する恐れもある」
 日本維新の会の松浪健太議員(45)は今国会の衆院予算委員会委や法務委員会でこう指摘した。その上で子供の親権をめぐる夫婦間の訴訟などで、子供を連れ去った側が親権を取りやすい現状を改める考えがあるか政府に問いかけた。
 安倍晋三首相(62)は「親権は個別事情を総合考慮して決定されている」と答弁。岸田文雄外相(59)も「ゴールドマン法による制裁は過去に例がない。対日制裁の可能性は低い」との認識を示した。

 松浪氏は「親権紛争の際、日本が『継続性の原則』(連れ去りの結果であっても、子供の現在の成育環境に問題がない限りは現状維持を尊重する考え方)を過剰に重視してきた結果、連れ去りがなくならないということを政府は認識すべきだ」と注文した。
 3月22日には、一方の親に子供を連れ去られた親らでつくる団体が、国に連れ去りをなくす政策の推進などを求める請願を行った。
 団体メンバーの男性は「多くの先進国では子供を連れ去ると誘拐や児童虐待で刑事罰が科される。日本の刑法でも誘拐罪などで摘発できるが、家庭内の問題とされ、実際はほぼ適用されない。日本でも刑事罰を適用し、不当な連れ去りをなくすべきだ」と話した。
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 海外では4月6日、米下院外交委員会の人権小委員会でゴールドマン法についての公聴会が開かれ、日本などに子供を連れ去られた米国人らが証言した。委員会の冒頭、議長が岸田外相の発言を『無礼だ』と述べ、「日本を制裁すべきだ」と話す場面もあった。
 日本人女性に4人の子供を連れ去られた男性も「大阪高裁は子供を返さない決定をした。ハーグ条約違反だ。トランプ大統領は先進7カ国首脳会議(G7サミット)で日本に問題提起すべきだ。対日制裁を発動すべきだ」と訴えた。

 男性の話などによると、大阪高裁は昨年1月、子供を米国へ返還することを決定。しかし妻が新たに訴訟を起こし、同高裁は今年2月、「男性には資力がなく、返還は不適切だ」との逆転判断を示した。男性は最高裁まで争うという。
 イタリアでも今年、最大手紙「ラ・スタンパ」を含む複数の新聞が、日本人妻に子供を連れ去られたイタリア人男性の記事を掲載。大きな反響を呼び、政府に日本への働きかけを求める声が高まっているという。
 こうした動きについて、外務省ハーグ条約室は「ハーグ条約は、返還で子供への不利益が生じる場合などに返還しないケースを認めている。米国人男性の条約違反という主張は遺憾だ」と指摘。また「全ての条約加盟国が実績を公表しているわけではないが、日本の姿勢や実績が加盟各国に比較して劣っているとは考えていない」としている。

子供の国際返還、実現は3割 ハーグ条約発効3年、外務省が実績取りまとめ

出典:平成29年4月16日 産経新聞

子供の国際返還、実現は3割 ハーグ条約発効3年、外務省が実績取りまとめ

 国際結婚した夫婦間などで国境をまたいだ子供の連れ去りが起きた場合、原則的に子供を元の居住国に戻すことなどを定めた「ハーグ条約」をめぐり、日本に関連する子供の返還実現率は約3割であることが15日、分かった。日本での同条約発効から4月1日で3年を迎え、外務省が3月31日までの実績をまとめた。

 同条約によると、子供を連れ去られた親は、自国や連れ去られ先の国の中央機関(日本は外務省)に子供の返還に向けた援助を申請できる。中央機関は夫婦間の交渉などを支援。交渉がまとまらなかった場合、裁判所が返還すべきかどうか判断する。返還が原則だが、(1)連れ去られ先の環境に子供が適応している(2)返還で子供の心身に悪影響や危険が生じうる(3)子供が返還を望まない-などの場合、返還しなくてよいとする例外規定がある。
 まとめによると、「日本から外国への返還に向けた援助」の申請件数は68件、「外国から日本への返還に向けた援助」の申請件数は56件。このうち「日本から外国への返還」が実現されたのは20件、「外国から日本への返還」が実現されたのは19件で、実現率はともに3割前後となった。
 一方、「日本から外国へ返還しない」と決まった事例は16件、「外国から日本へ返還しない」と決まった事例は8件だった。
 同条約は1980年に制定。国際結婚の増加に伴う子供の連れ去り問題に対応するため日本も加盟し、2014年4月に発効した。

【用語解説】ハーグ条約
 一方の親がもう一方の親の同意を得ることなく、子供を自分の母国へ連れ出す「子供の連れ去り」から子供を守るための国際ルール。連れ去られた子供は一方の親や親族、友人との交流が断絶されるほか、異なる言語や環境への適応も必要となる。生活の急変は子供に有害な影響が生じる可能性があり、原則として元の居住国へ返還することが義務付けられている。

娘との再会願い…高橋ジョージが悲痛な叫びを続ける背景

出典:平成29年4月16日 日刊ゲンダイ

娘との再会願い…高橋ジョージが悲痛な叫びを続ける背景

 自分の娘に3年も会えていない歌手の高橋ジョージ(58)が、テレビやツイッターで悲痛な叫びを続けている。現在は大阪でミュージカルに出演中なのだが、14日のツイッターで「大阪にいる間に、会えなくても、こっそりでもいいから、娘に舞台を観に来て欲しいなぁ」と、大阪に住む娘に呼びかけた。

 さらに、高橋は「舞台から客席を探して見ている。前回の舞台の時に8歳だった娘が『いつかパパとミュージカルに出たい』と言ってくれた。希望だけがこの俺を支えて来た」と切なすぎる胸の内を吐露。舞台初日の前日(1日)のツイッターでは「娘が来てくれる事、希望をもって、3年ぶりの再会を夢見て頑張ろうと思います、、、なんか、娘と同じ街にいるだけで嬉しいのです」との思いを明かしている。

■離婚後に子供と会えない親が続出

 先月31日放送のフジテレビ系「訂正させてください~人生を狂わせたスキャンダル~」に出演した際は、元妻の三船美佳(34)について「悪く書かれているが、そういう人ではない」「娘も育ててくれた」とフォローもした。では、一体なぜ、日本では離婚後に子供と会えない親が続出しているのか。

「片方の親にしか親権を認めず、育てている親の言い分ばかりを重視したり、子供の“連れ去り”を容認する現在の司法制度に問題があるんです。最近では、裁判で面会交流が認められたにもかかわらず、娘と同居する夫が応じなかったとして、妻側に1回の拒否につき100万円を支払う決定も東京家裁で出された。この決定の後、夫側は面会に応じ、妻は5年ぶりに娘と再会できた。裁判所もようやく異様な状況にあることを気付き始めています」(離婚に詳しい弁護士)

 別居や離婚の際、片方の親が子供を連れ去ったまま、もう片方の親に会わせないことは、国際的にも大問題になりつつある。今月6日に行われた米下院小委員会では、共和党のスミス委員長が連れ去りを容認する日本に対し「言語道断だ」「制裁する必要がある」「人権侵害は許されない」とトランプ政権に呼びかけた。このままいけば、国際紛争の“火種”になることは間違いないだろう。

岸田外相発言を批判=子の連れ去り問題で-米下院小委員長

出典:平成29年4月7日 時事通信

岸田外相発言を批判=子の連れ去り問題で-米下院小委員長

【ワシントン時事】米下院外交委人権小委員会で6日、米国人との結婚が破綻した外国人が子供を実家などに連れ去ってしまう問題に関する公聴会が開かれた。この中でスミス委員長(共和党)は、日本がこの問題で制裁を受ける可能性は低いとした岸田文雄外相の発言を批判し、トランプ政権に対日制裁を呼び掛けた。
 米国では2014年、米国に子供を戻すため適切な措置を取らない国に対し、連邦政府が安全保障上の支援打ち切りなどの制裁を科せるようにする法律が成立した。岸田外相は2月14日の衆院予算委員会で「これまで米国が外国に(制裁)措置を実施した例はない。わが国に適用される可能性は考えにくい」などと述べていた。 
 スミス氏は外相の発言を小委員会で紹介し、「言語道断だ」と非難。「日本を守るために命を危険にさらしている米軍人も(日本人による子供連れ去りの)犠牲者に含まれる」と指摘した上で、「日本を制裁する必要がある。日本は同盟国だから、なおのこと人権侵害は許されない」と強調した。

岡山)離婚で離ればなれ…親子の面会交流、増える橋渡し

出典:平成29年4月7日 朝日新聞

岡山)離婚で離ればなれ…親子の面会交流、増える橋渡し

 離婚後に離れて暮らす親子が会う「面会交流」。面会方法などを話し合う裁判所の調停の申し立て件数は増えているが、親同士の感情のもつれ合いから面会が実現できない場合も多い。「面会交流」の支援に取り組む団体が県内にある。支援員や親子を取材した。
 面会交流を支援しているのはNPO法人「岡山家族支援センターみらい」(岡山市中区)。2013年、弁護士や家庭裁判所の元調査官ら23人で発足した。
 2月中旬の日曜日、センターの支援員で元家裁調査官の大渕卓子さん(72)は、北区の大型商業施設のフードコートにいた。
 市内に住む40代の母親の小学生の長女と長男が、離れて暮らす父親と3カ月ぶりに会う日だった。子どもたちは父親を見つけ、「ひさしぶりじゃね」と駆け寄った。長女が手作りのバレンタインチョコを渡すと、父親はにっこりと笑った。
 同席した大渕さんにも子どもたちは親しげに話しかける。この親子の面会交流に7年以上関わってきた大渕さん。子どもたちにとって「本当のおばあちゃんのよう」(母親)だという。
■支援員立ち合い
 母親が現在センターの理事を務める大渕さんに面会交流の支援を依頼したのは離婚が成立した09年ごろ。裁判所の調停で「2カ月に1回、元夫に子どもを会わせる」という内容に合意したが、元夫と連絡を取ることも嫌だった。担当の弁護士を通じ、大渕さんに支援を依頼した。「(元夫との)会話の間に入ってくれることで気持ちがすごく楽になる。子どもたちが父親に会うのを楽しみにして心から喜んでいる姿を見て、自分の気持ちは横に置き、面会交流をする大切さを感じました」と母親は話す。
 支援員は親同士の間に入って面会の日程を調整。当日は子どもの引き渡しや、立ち会いをする。大渕さんの携帯電話には複数の親から絶えずメールが届く。「会いたくないという親同士が多いけど、子どもの視点に立って考え直してもらいたい」と大渕さん。
■信頼を取り戻し
 支援を約1年間受けた後、自分たちだけで交流ができるようになった親もいる。
 「だんだん彼への信頼が戻ってきたんです」。小学2年の長男と2歳の長女を育てる倉敷市の看護師の母親(33)は話す。離婚後、兵庫県に住む会社員の父親(34)と月1回程度、倉敷駅周辺で会っている。
 支援を依頼した15年6月当初、子どもを支援員に預ける際、父親の後ろ姿が見えただけで嫌だった。だが、支援員が要望を聞き入れ、面会時間も守ってくれ、次第に安心して任せるようになった。子どもが父親になついていることを支援員を通じて知り、「自分たちでやってみよう」と思うようになったという。
 「怒りが冷めたときに自分たちでやれるようになったんです」。そう振り返る父親は仕事で勝負どころだと思うと、ポケットに入れるものがある。長男が大好きだったバイキンマンのマグネットだ。家族が出て行った時、家に残されたままだった。
 「子どもの環境の変化は自分たちに責任がある。せめて父親としてできることをやってあげたい」
■調停増 高まるニーズ 民法一部改正など背景に
 これまで45組の親子を支援してきたセンターの近藤みち子理事長(74)は「子どもだけでなく親の成長が見られるのが私たちのやりがい」と話す。1年を目安に夫婦だけで交流できるよう自立を促すという。「夫婦の別れが親子の別れになってはいけない。子どもは自分が何者かを知るために、別れて暮らす親のことを知る必要があるんです」
 面会交流の支援のニーズは高まっている。
 面会交流の調停は、夫婦間の話し合いで面会方法がまとまらない場合などに申し立てることができる。岡山家裁によると、07年に107件だった申し立ては昨年261件と2倍以上に増えた。
 調停が増える背景のひとつが、12年施行の民法の一部改正だ。法律で面会交流について「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と明記され、家裁が離婚調停中の夫婦に積極的に勧めるようになった。離婚届にも、面会交流の取り決めの有無について新たに記載欄がつくられた。
 早稲田大学の棚村政行教授(家族法)は「共働きの夫婦が増え、子どもが小さい頃から父親が子育てに関わるなど、父親の子どもへの関心が変化してきたことが調停増加の背景にあるのではないか」と指摘。「調停での合意が守られるような支援や法整備が必要。民間ボランティアへの助成など、行政と民間が連携する必要がある」と話す。(村上友里)
■全国に40団体 4年で倍増
 棚村教授によると、面会交流の支援は、1994年に公益社団法人家庭問題情報センター(東京都)が取り組んだのが始まりだという。全国に広がり、2012年に約20団体、昨年約40団体となった。団体は、▽弁護士や元家裁調査官ら司法関係者▽離婚経験がある父母ら当事者▽臨床心理士ら心理福祉関係者、と中心となるメンバーによって3種類に大別されるという。

離婚後の親子面会交流

出典:平成29年4月7日 毎日新聞

離婚後の親子面会交流

 婚姻件数と離婚件数の比較から3組に1組が離婚するとも言われる時代、離婚した親と子どもとの面会交流のあり方が論議を呼ぶ。離婚後の別居親と子の面会交流を促す「親子断絶防止法案」が国会で議論されようとしている。「親子の交流は重要」と主張する推進派に対し、児童虐待やDV被害者への配慮が足りないと法制化を懸念する声は根強い。その議論は「家族とはなにか」を問うている。

父母対立激しい時 子に有害 小川富之・福岡大法科大学院教授

 親が離婚しても、両親と継続的に交流することが子の利益になる。だから親はその責任を果たすべきだ--。親子断絶防止法案のこうした理念は一般的に好ましく聞こえるが、法制化には賛成できない。父母が合意して面会交流できている親子には必要がないうえ、父母間の対立が激しく、家族関係に問題を抱える親子の場合には子の心身に深刻な影響を与える。
 法案は、夫婦が離婚後も子を共同で監護し、子と緊密に交流しているとされる欧米の取り組みや研究を参考に作られた。だが今、その弊害が注目されている。
 オーストラリアでは2006年、離婚後も両親が均等に子の養育にかかわることが望ましいとの理念を基に家族法が改正されたが、別居親が権利を主張しやすくなったために父母間の対立が激化し、深刻な問題が起きた。元配偶者の暴力や児童虐待を理由に面会を制限したくても、証明できなければ「相手方に協力的ではない」とされ、最悪の場合は子を育てられなくなる。そのため暴力の主張を控える親が続出した。父親が面会中の子を殺害する事件も起き、11年には父母に暴力に関する告知義務を課すなど子の安全を重視する方向で再改正された。また米国の研究では、父母間の対立が激しい場合、裁判で決められた厳密なルールによる交流がかえって子に有害であることが報告されている。
 日本では既に13年ごろから家庭裁判所の実務で、別居親と子の面会交流を原則として認める考え方が主流になってきた。昨年の千葉家裁松戸支部判決のように相手方と子の交流に協力的かどうかを親権者を決める要因として考慮したり、面会に応じない同居親に高額な制裁金の支払いを命じたりする判断も出ている。
 家裁が関与する離婚ではDVや虐待が主張されるケースは多いが、立証は必ずしも容易ではない。日本は欧米と比べ、DV被害者の保護施策が乏しく、離婚前後の家族への相談支援体制も不十分だ。今年1月には長崎市で、長男の面会交流のために元夫宅に行った女性が殺害される事件も起きた。こうした中で法案が成立し、面会を促進する流れがさらに強まれば、子の安全が脅かされる。法案はDVや虐待への配慮規定を置くが、「継続的な交流が子の最善の利益になる」との基本理念を明記する限り、不安はぬぐえない。
 また法案は、離婚前に相手方に無断で子連れ別居をさせないよう努める責任を国に課す。だが、話し合いもできないほど激しい夫婦間の紛争から家を出る必要があり、子を置いていけば養育環境が不安定になるなど、やむを得ない場合はある。別居が認められるかは、子の利益の観点からケース・バイ・ケースで判断されるべきだ。ハーグ条約は、子がそれまで住んでいた国の裁判所で事件を扱うためのルールで、国内の子連れ別居とは別問題だ。
 ただ離婚時の面会交流の取り決め率が約6割という現状は改善すべきだ。行政による啓発や必要とされる面会交流支援、相談体制の充実は急務で、それらを実現するための法案こそが求められている。【聞き手・反橋希美】

子どもが決められるように 光本歩・NPO法人ウィーズ副理事長

 離婚した両親との関わり方は、子ども自身が決められるようにすべきだ。私も中学生のころに両親が離婚し、父子家庭で育ったが、父に対しては母との関係をコントロールされたくないという思いが強かった。どんな親であっても、子が親の実像を自分の目で見ることが、離婚や自らの状況を理解して人生を歩んでいくために必要なステップになる。
 議論されている親子断絶防止法案は、離婚に際して親が子に果たすべき責任を社会に示す意義はある。修正案で「子どもの意見表明機会の確保」などが盛り込まれた点も評価する。ただ、本当に子の利益になる面会交流を実現していくための課題は山積している。
 両親の関係が険悪であるほど、面会交流の円滑な実施には、第三者の介入が欠かせない。不信感や敵意を抱き合う父母の間を行き交うことは子の大きな負担になる。味方になる存在が必要だ。NPOで面会交流を支援する活動に取り組んでいるが、会話ができる3歳以上の子どもの支援では、まずスタッフが一対一で面談し、信頼関係を築くことを重視する。別居親や交流への思い、面会を重ねる中で子どもにどんな変化があるかを注意深く見ていく必要がある。
 支援で重要性を痛感させられるのが、親の合意形成だ。交流がうまくいった事例を紹介したい。
 両親は40代で子は3歳。両親は離婚裁判の中で、双方の弁護士の支援を受けて長期的できめ細かな面会計画を作った。「第三者が付き添う交流を3回行って問題がなければ、付き添いはなくし、第三者は連絡調整や子どもの受け渡しを担当する」との内容だ。別居親は充実した面会に努力するし、同居親も先を見据えて心の準備ができる。両親が子に無理をかけないで段階的に交流を進めていく重要性を認識していたことも大きい。
 支援が難航するケースは合意形成が不十分で「月1回、2時間」などと面会の取り決めが大ざっぱなことも多い。家庭裁判所や弁護士会には、児童心理に配慮したきめ細かな合意形成の支援と、そのための人材育成をお願いしたい。
 面会交流のあり方は一様ではない。別居親が子と心中を図ったケース(未遂)では、裁判で直接の面会は危険だと判断され、手紙のやり取りにとどめる間接面会が決まった。NPOが間に立ち、手紙の内容の点検や受け渡しを担ったが、子どもの手紙からも親とつながっている安心感が読み取れた。子が自分の意思で親とどう関係するかを判断できる段階になるまで、親子を仲介する存在が必要だ。
 現状は、面会交流が当事者に任されているケースが大多数で、トラブルや面会不調につながっている。支援団体は少なく面会交流の考え方や支援方法もさまざまだ。行政が事業委託して無料で支援を受けられる自治体もあるが、団体への補助金はなく、交流支援だけでは財政的に運営が成り立たない。面会交流はどうあるべきか、どんな政策や公的援助が望ましいかといった点で社会的なコンセンサスが必要だ。法案がきっかけになり、離婚後の子の養育について議論がより深まることを期待したい。【聞き手・中川聡子】

立法化で国に施策促す 馳浩・衆院議員、親子断絶防止議員連盟事務局長

 厚生労働省の調査では、2015年の離婚件数22万6215件のうち、未成年の子どもがいるのは13万2166件。毎年20万人以上の子どもが親の離婚を経験し、そのうちの多くが別居親との関係を絶たれている。離婚の9割を占める協議離婚では、面会交流について取り決めを交わすことは求められていない。だが子どもの権利条約にある「子どもの最善の利益」を考慮した場合、このままでいいのだろうか。子どもの立場に立てば、双方の親と面会交流して愛情を受け続けることが必要だ。離婚後もきちんと子どものことを考えることは親の責任でもある。そうした問題意識をもとに当事者の声を聞き、昨年12月に親子断絶防止法案の修正案を議員連盟でまとめた。
 離婚後に親が子どもに対して持つ責任は二つある。まずは養育費の支払いだ。経済的な不安や負担を解消する責任がある。次に面会交流だ。子どもに関心を持ち続けることは親の責任であり、「学校での様子を先生に聞きたい」などの望みを持つ親も多い。養育費の支払いや回収については「母子及び父子並びに寡婦福祉法」で規定されているが、面会交流にはルールがなかった。当事者間の話し合いが難しいなら第三者や専門家が関与できるよう土俵づくりを進める一環として今回の法案がある。
 法案は面会交流について「書面による取り決めを行うよう努めるものとする」との文面にして、あくまで努力目標にとどめた。この点について、賛否双方の立場から「実効性がないのでは」との批判をいただいている。だが、離婚の事情は100人いれば100通りあり、義務化は難しい。一方で、片方の親が一方的に「DVがあった」と言って無断で子どもを連れ去り、もう一方の親と関係が途絶える事態が起きている中で、何もルールがなくていいのか。私はそうは思わない。当事者に任せれば議論は平行線をたどるだけだ。
 14年には国境を越えた子の連れ去り防止を定めた「ハーグ条約」に加盟したが、国内での体制が整備されていなかった。やはり第三者が早期に介入する必要がある。法案は罰則を持たない理念法だが、理念を掲げることで国、地方自治体に相談体制や人材育成などの施策を促す効果は大きい。
 法案に対しては「別居親たちの考えしか聞いていない」という批判もあるが、間違っている。私は10年以上前から児童虐待やDVの問題に関わり、離婚後の面会交流に対する支援が不十分だと実感してきた。原案を作った上で、懸念を表明する方々にも十分に話を聞き、文面に多くの修正を加えた。例えば「本当にDVに遭っている被害者はどうするのか」という指摘があるが、そうした声を反映し、一方的な子連れ別居について国に求められる啓発活動の目標を「早期解消」から「早期解消もしくは改善」と改めた。DV被害者の緊急避難は否定していない。
 法案は各党が意見を出す回答を待って最終案をまとめたい。会期中である以上は今国会への提出を目指すが、合意形成が大事だ。決して今国会での「成立ありき」で考えているわけではない。【聞き手・伊藤直孝】

親子断絶防止法
 「父母の離婚等の後における子と父母との継続的な関係の維持等の促進に関する法律案」。超党派の親子断絶防止議員連盟(会長・保岡興治元法相)が昨年5月に原案をまとめ、当事者団体などのヒアリングを経て12月に修正案を公表した。離婚時に面会交流や養育費負担について取り決めることを努力目標とする。親子の継続的な関係を維持するための施策を国や自治体の責務とし、相談対応や情報提供などの援助策を講じるように求める。

離婚後も親子関係は続くから - 知ってほしい「面会交流」の話

出典:平成29年3月28日 DRESS

離婚後も親子関係は続くから - 知ってほしい「面会交流」の話

親の別居や離婚を理由に離れて暮らす親(別居親)と子供が会い、交流することを「面会交流」といいます。「現状、別居や離婚後、面会交流がスムーズに行われていないケースも多い」と話すのは、面会交流普及活動に取り組む離婚・面会交流コンサルタント・しばはし聡子さん。

子供に会えずに苦悩する男性たちの声を集めた書籍『わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち』(著:西牟田靖)が話題を集めたり、離別した親と未成年の子供との関係が絶たれるのを防ぐ「親子断絶防止法案」が今国会で検討されたりと、面会交流そのものが注目される今、面会交流の重要性について、しばはしさんに話を伺いました。

■調停離婚直後、面会交流に消極的だった
しばはしさん自身、10代の子供を持つシングルマザー。離婚の危機が訪れたのは結婚14年目となる2014年のことでした。弁護士をつけ、半年で調停離婚が成立。元夫と離婚後に直接連絡をとるのをストレスに感じ、面会交流に積極的になれなかった、と当時を振り返ります。

離婚から一年ほどは、子供を元夫に会わせるのを億劫に感じ、面会日程を急に延期して、元夫から憤りのメールが来ることもありました。そんなしばはしさんにターニングポイントがやってきます。

「ある面会交流支援団体でボランティアをしていたとき、1組の家族が面会交流するシーンを目にしたんです。ただ純粋な気持ちで子供と会いたいと願うお父さん、会わせるのが嫌々ながらも仕方なく子供を連れてきたお母さん、屈託ない笑顔でお父さんとの再会を喜んでいる子供――3人を見て気づいたんです。私が元夫と関わりたくないからといって、子供と父親との関係を断ってしまうのは良くないんじゃないか、と」

無意識のうちに、同居親に気に入られるふるまいをし、自分が生き延びる道を模索するのが子供。彼らは大人よりもはるかに空気を読み、状況や人の気持ちを敏感に察知する能力を持っています。

「同居親が面会交流に否定的だと、子供に悪影響が及びます。子供は常に同居親の顔色や機嫌を伺っていますから、別居親と会いたくても『会いたい』と口に出せなくなるんです。本音も言えなくなるどころか、いつのまにか自分でも本心がわからなくなってしまうことも。もし同居親の気持ちが変わって、いざ面会交流をさせようとしても、子供の気持ちがついてこないこともあります」

本当は別居親と会いたいと思っていても、同居親に気を使って「別に会いたくないし……」と、本心とは逆の発言をする可能性もあるということです。

■別居親に子供を会わせるのは同居親のミッション
面会交流をさせよう! と思い立ってからの行動は迅速でした。元夫へ「いつでも子供とごはんに行ってね」とすぐに連絡すると、彼の第一声は「ありがとう!」。それを聞いて、しばはしさんは涙がこぼれたと言います。

もし元夫が「なんで急に?」と訝しがったり、今までのことを怒ったりしていたら、その後の面会交流は途絶えていたかもしれませんが、そこから徐々に三者が心温まる面会交流がスタートしたのでした。

「以前は元夫がうちまで子供を迎えにきても、気配を感じることすら怖くて、玄関口で送り出すこともしませんでした。帰宅した子供に対しても『どうだった?』と聞きもせず。でも、前向きに面会交流できるようになってからは、子供に『楽しかった?』『今日は何食べてきたの?』と明るく聞けるようになりました。子供も嬉しそうに答えてくれます。これまでのことを振り返ると、元夫も、そしてとくに子供も苦しかっただろうな……と思いますね」

離婚を経て相手と関わりたくなかったり、憎しみの気持ちが生まれたりしても、夫婦関係と親子関係とは切り分けて考える必要がある、としばはしさん。離婚後も子供と別居親との親子関係、そして元夫婦も親同士としての関係は続きます。子供にとって親はふたり。

別居親が子供の心身に悪影響を与えない限り、同居親はすすんで面会交流の場を設けること、そして別居親はやりとりが円滑にできるように心がけることが子供の幸せにつながるといえます。

「子供と暮らす同居親は、問題意識を持つ機会が少ないのが現状です。以前の私もそうでした。でも、親権を得ることは特権ではなく責務。どうすれば子供が幸せでいられるのかを考え、行動する必要があります。子供と別居親の架け橋というミッションを背負っているという認識を持たなくてはならないと思います」
(つづく)

しばはし聡子さん プロフィール
1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の離婚経験を生かし当事者支援として「せたがや離婚・面会交流相談室りむすび」を設立。離婚相談や面会交流普及に向け講演など発信活動に従事。
http://www.rimusubi.com/

子どもに会えない父親たち 認められない面会交流の裏側

出典:平成29年3月20日 livedoor News

子どもに会えない父親たち 認められない面会交流の裏側

 調停で離婚した夫婦の子どもの約9割は、母親が親権者になる。子どもと断絶させられた父親からの面会交流調停への申請数が増えている。

 4年前、シンジさん(48)が仕事から家に帰ると、真っ暗な部屋に一枚の置き手紙があった。

「あなたは私のことを対等に見てくれませんでしたね。子どもは連れていきます」

 生後7カ月の娘の姿はなく、その日から娘と会えない“断絶”の日々が始まった。

 14歳年下の妻とは、小笠原諸島の民宿で出会った。2人とも海が好きで、2009年に結婚。シンジさんは大手メーカーのエンジニア、妻はパティシエとして働き、夜は2人で外食するような仲のいい夫婦だった。12年6月に長女が生まれた。

「妻は人付き合いが苦手で、子ども好きというタイプではありませんでした。妊娠してからは情緒が不安定気味で里帰り出産をしましたが、それはよくあることです。東京に戻ってからは私も4カ月の育児休暇を取り、一緒に育児をしていました」

●完全なでっち上げ

 だが、しばらくたつと“事件”が勃発する。孫の様子を見に自宅に来た義母が「孫は連れて帰る!」と言ってシンジさんにつかみかかってきたという。妻も娘を強引に連れ出そうとしたので、義母を振り払って、娘を取り返した。結局、児童相談所が仲介に入ったが、児相に義母は「(シンジさんに)暴力を振るわれた」と主張していたという。

「断じて暴力など振るっていません。目の前で娘を連れ去られそうになったので、それを振りほどいただけです」

 その後、一度は妻と娘も自宅に戻り、家族再生の道を探った。だが、妻が生命保険の外交員に勧誘され、その場で契約したことを発端に、また夫婦に摩擦が生じる。シンジさんが「なぜすぐ決めるのか」と問うと、妻は「あなたは私のやりたいことを一切認めない」と口論になった。

「その時も、怒鳴ったりはしていません。実は、妻は過去にも帰省中に同級生からマルチ商法に誘われ、物品を購入したことがある。周囲に影響されやすいところは諭しました」

 こうしたことに不満を募らせたのか。約2カ月後、妻は娘を連れて家を出ていった。

 翌日、妻の弁護士から内容証明郵便が届いた。離婚事由は「精神的DV」と「経済的DV」。妻は事前に自治体の窓口でDV相談をし、弁護士も手配していた。出ていく日を決めて、一時的にシェルターに避難することで、DVを主張する「計画」が出来上がっていた、とシンジさんは主張する。

「完全なでっち上げです。住居費、生活費もほぼ私の負担で経済的DVもありえません」

 意に反して離婚調停が進むなか、シンジさんは面会交流を申し立てていたが、面会できたのは2年間で2回だけ。それも妻の地元で第三者機関の担当者を交えて60分だけという条件だった。最初は娘が1歳半のとき。殺風景な広い部屋でおもちゃで遊ぶ娘を遠くから見守るだけ。その「非日常」の雰囲気に娘は泣きだしてしまい、結局、30分で切り上げられた。9カ月後の面会も同様に泣いてしまい、30分で終了。父親だとわかってもらうこともできなかった。

「もしかしたら、妻は私が親のように諭すのが気に入らなかったのかもしれない。でも、それだけで7カ月の娘と引き離されて、2年間で会えたのはたった1時間というのはひどい」

●面会交流申請が急増

 厚生労働省の「全国母子世帯等調査」(11年度)によると、別居親と子どもの面会割合は母子世帯で27.7%、父子世帯で37.4%。別居親の6~7割は子どもと会えていない。一方で、面会交流調停への申請数は増え続けており、15年は1万2264件(司法統計)。00年と比べて5倍以上にもなっている。

 民法には面会交流の明確な規定はなかったが、12年施行の改正法で「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と明記された。こうした流れを受け、16年末、超党派の国会議員が所属する「親子断絶防止議員連盟」は、別居親との面会を促す法案をまとめた。

 ノンフィクション作家の西牟田靖さんは、今年1月、離婚前後に子どもと引き離された父親の葛藤をつづった『わが子に会えない』を出版した。

「子どもに会えない父親=妻や子に暴力を振るう男性というレッテルを貼られがちです。しかし、私が話を聞いた父親たちは、子ども思いで暴力を振るうようにも見えず、経済的に安定している方が大半でした。離婚事由として、妻から身に覚えのないDVを訴えられるケースが多く、いきなり子どもと断絶させられたうえに、どうやって“無実”を証明すればいいかもわからない。混乱の中で司法の判断だけが進み、面会交流も認められにくくなる。そうなれば円満解決はもはや困難です」

 ナオトさん(37)は、1年半前に妻に子を連れて出ていかれた。当時、長男が2歳、長女は3カ月だった。子育ては自分でやりたいという妻の意思を尊重し、代わりに掃除、洗濯、皿洗い、ごみ捨てなど家事全般を請け負う、協力し合う夫婦だった。それなのに、手紙一枚を残し、妻と子どもは突然姿を消した。

●離婚の事由がない

「『もう夫婦関係は続けていけない』とだけ書かれていました。すぐに妻に理由を聞きましたが、とにかく『離婚したい』の一点張り。今でも明確な離婚の事由は示されていません」

 思い当たる節があるとすれば、義母との関係。過干渉なくらいに家に来る義母とは折り合いが悪く、ある日、ナオトさんの実親をあしざまに言ったことに怒り、怒鳴ったことがあった。

 だが、妻にそれが理由かと問うと「違う」という返答。理由もわからないまま、調停が申し立てられた。家庭裁判所からは円満調停が言い渡され、「面会は月に1回2時間」「監護権は妻とすること」などが決まった。

「離婚の事由もないのに、子を連れて出ていかれて月に1回しか会えなくなるなんて、司法の判断は明らかにおかしい」

 ナオトさんは、親子断絶防止法案の成立を願っているという。

 ただ、同法案には不備が多いとの指摘もある。弁護士の打越さく良さんが言う。

「第8条のように『別居前に子どもの監護権や面会交流の取り決めをせよ』というのは危険な場合もあり一律には言えません。子どもの心身の安全確保のために別居しなければならないときに、事前の話し合いなど無理です。行政の窓口に行って
『事前の取り決めがないなら援助できません』となったら結局避難ができず、子どもにも酷です」

 子連れ別居や離婚の背景には、深刻なDVや虐待がある場合も多く、「子の利益」に照らし当面は別居親との面会交流を認めるべきでないケースもある。

「どのような場合が違法な連れ去りで、監護の継続性や虐待の存否など個別の事情を含めて子の利益を判断できるのは、やはり家庭裁判所。実績のある家庭裁判所の環境改善を図ることが先決です。そもそも、『児童の権利条約』では、子どもの権利の実現のため、国に適切な措置をとる義務を課している。この法案は当事者間に力の非対称性がありうることを無視して、父母に責任を負わせていることが問題です」(打越さん)

 夫婦の別離は、夫、妻の立場それぞれに“真理”がある。ただ、同意なしに子どもを連れていかれた親の苦悩も深い。「救済策」が検討される時期に来ている。(文中カタカナ名は仮名)

(編集部・作田裕史)

※AERA 2017年3月20日号

DV防止法のせいで、わが子に会えず苦しむ父親もいる

出典:平成29年3月20日 ニューズウィーク日本版

DV防止法のせいで、わが子に会えず苦しむ父親もいる

<父親たちの本音をすくい上げるノンフィクション『わが子に会えない』。気になるのは、実際には暴力をふるっていないのに「DV夫」のレッテルを貼られ、子どもに会えなくなる人もいるということだ>

『わが子に会えない――離婚後に漂流する父親たち』(西牟田靖著、PHP研究所)は、ある日突然、子どもと会えなくなってしまった父親たちの本音をすくい上げたノンフィクション――とだけ聞いてもピンとこないかもしれないが、冒頭に登場する「ある事件」についての記述を読めば、どういうことなのか推測できるはずだ。

 2013年のXマス2日前、都内の小学校の校庭で男性とその息子が発火するという事件があった。消し止められたが助からず、ふたりとも命を落としてしまった。男性はマスコミに勤務する40代。野球の練習をしていた息子を校庭の隅へと連れ出した後、自らに火をつけた。妻子と別居中だった男性は、子どもに会うことを制限されており、しばしば妻子の家や学校に現れることがあったという。(2ページ「プロローグ」より)

たしかに、そんな報道があった。痛ましい事件だったが、その背後には、子どもに会いたくても会わせてもらえない父親の苦悩があったのだ。そして忘れるべきでないのは、上記の父親のように子どもとの面会を制限され、精神的に追い詰められていく人は現実に多いのだろうということだ。なにしろ、年間20万組以上が離婚しているのだから。

なお、本書に説得力を与えている要因がある。著者自身が、上記の事件のすぐあとに当事者になってしまったということだ。

 翌年の春、妻が3歳の子どもを連れて出ていき、夫婦関係が破綻した。離婚届を受理したという通知が役所から届いたとき、一時的に記憶がなくなり、自転車をなくすほどであった。愛してやまない当時3歳の娘に会えなくなったことが、なんといってもショックだった。自分の両手をもがれてしまったような喪失感がしばらく続き、いつふらっと線路に飛び込んでもおかしくはなかった。生きている実感がまるで湧かず、体重は10キロほど落ちた。(2ページ「プロローグ」より)

そこで著者は、わらにもすがる思いで、同じように子どもと会えなくなった親たちが体験を共有する交流会に参加する。つまりそのような経緯を経て、本書は必然的に生まれたのである。

気になったことがある。身に覚えのないDV(ドメスティック・バイオレンス)を主張され、子どもに会わせてもらえず、苦しんでいる人が多いという話だ。

「数えていたわけではないが、全体の半分ぐらいはあっただろうか」と著者は記しているが、たしかに本書で紹介されている人の多くが「DV夫」としてのレッテルを貼られている(もちろん女性がその立場に立たされているケースもあるのだろうが、男性当事者の数が圧倒的であることから、本書もそちらに焦点を当てている)。

【参考記事】児童相談所=悪なのか? 知られざる一時保護所の実態

背後にあるのは、2001年にDV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)が制定されたことだ。「配偶者からの暴力に係る通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備し、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図ることを目的とする法律」[内閣府男女共同参画局HP]というもの。具体的には、次のように行使されるのだそうだ。

 ――被害者は配偶者暴力相談支援センターや警察などへ出向き、DV被害について相談する。行政は被害者の申し立てを受けて被害者の居所を秘匿する。希望者は配偶者(加害者)の暴力から逃れるためにシェルター(ほぼ女性のみが対象の一次避難施設)などに避難。地方裁判所が認めれば、加害者に対し保護命令に含まれる接近禁止令や(世帯が居住する家からの)退去命令が発令される――。(5ページ「プロローグ」より)

子どもに会えなくなる状況を生み出す原因がここにある。離婚して親権を得たいパートナーが、実際にはないDV被害を訴えることで保護を望む。行政はそれに応える。結果として、加害者扱いされた側は子どもに会う機会を失う。もちろん世の中には実際にDVに苦しんでいる人も大勢いるだろう。しかし一方には、こうした経緯により「DV夫」にされてしまう人も少なくないということ。(被害者たる)パートナーを守るための制度が、本来の目的とは違う形で使われているわけだ。

「『暴力を受けた』と言った者勝ちなんです。証拠だとはとても言えないあやふやな主張がひとつひとつ積み重ねられ、DV被害者としての肩書きというか実績がどんどん加わっていくんです。裁判でDVの認定が却下されたというのに、行政や警察は、妻の言うことすべてを鵜呑みにして、妻子の住所を私に秘匿したまま。私が調べて欲しいと言っているのに、警察が捜査をしたり話を聞きに来たりしたことは一度もありません。本当に私が暴力を振るったんなら刑事事件として立件すればいいんですよ!」 40代の会社経営者、長谷川圭佑さん。穏やかで優しそうな顔をそのときばかりは引きつらせた。(59ページより)

このように、「暴力を受けた」という一方的な主張によって追い詰められる人もいることを、本書は証明している。どうしようもできずに泣き寝入りする人がいれば、納得できないからと徹底的に争う人もいる。対抗策は人それぞれだが、一般的な感覚からすると首をかしげざるを得ないようなことが現実に起きていることだけは間違いないようだ。

ちなみに本書に登場する父親たちの大多数は、裁判所や弁護士の世話になった結果、耳を疑うようなつらい体験をしてきたのだという。裁判所に悪意があるわけではなく、それどころか彼らには善意があり、専門知識を持ったスペシャリストであるはずだ。しかし官僚組織である裁判所においては、組織として回していくことが、公平な紛争解決よりも、組織防衛上、なにより重視されるということだ。

【参考記事】家事をやらない日本の高齢男性を襲う熟年離婚の悲劇

裁判官1人あたり100件以上の訴訟案件を抱えており、さらに毎日数件のペースで案件が増えていくと聞けば、致し方ない話ではあるのかもしれない。でも、だから父親たちは我慢を強いられなければならないのだろうか? 幸いなことに、そういうわけでもなさそうだ。日本でも面会交流の拡大や共同親権制度への変更に向け、国や行政が重い腰をあげるようになってきたというのである。これはアメリカの30~40年前の動きに近いそうだが、ともあれ期待したいところである。

 これまで"離婚=親子の別れ"という考えが強く、そのために別れて暮らす子どもと別居親が会うことが困難を極めた。しかし、世の中は変わりつつある。(中略)争ってでも会おうとしている親が確実に増えてきたのだ。そうした声を受けてのことなのか。子どもと離婚に関して記した日本の民法766条が2012年に変更となった。"面会交流と養育費の分担"について追記されたのだ。 2016年10月に法務省は、養育費に関する法律解説や夫婦間で作成する合意書のひな型を掲載したパンフレットを作成し、全国の市区町村の窓口で、離婚届の用紙を交付した際に配ったり、法務省ウエブサイトで公開し始めている。また、裁判所にしても面会の"相場"をゆるめつつある。(317ページより)

戦後、日本の家族の形が変わるなかで、女性の社会進出が進み、DV防止法ができるなど、女性の権利が守られるようになった。それ自体はとてもよい傾向だ。しかし今後は、父親たちや男性たちの権利も、もっと認知されるべきだと著者は主張する。つまり、そうした権利を求める動きのひとつが、父親が子どもに会ったり共同親権を求めたりする運動だということ。

 ――男だって子どもと存分にふれ合いたいし、育てたい。親として子どもと一緒に生活することで、生きて行くことの喜びを感じたり、親として成長していきたい――。(317ページより)

著者のこの言葉にこそ、子どもに会えない父親たちの本音が集約されているのだろう。

『わが子に会えない――離婚後に漂流する父親たち』
 西牟田 靖 著
 PHP研究所

[筆者]
印南敦史
1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。現在は他に、「ライフハッカー[日本版]」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダヴィンチ」「THE 21」などにも寄稿。新刊『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)をはじめ、『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)など著作多数。

離婚は女性が超有利!養育費・親権で苦汁を飲む男たちの実例集

出典:平成29年3月18日 ダイヤモンドオンライン

離婚は女性が超有利!養育費・親権で苦汁を飲む男たちの実例集

 「あ~あ!男に産まれて損したなぁ!!」

 誰しも性別を選んで生まれてくることはできませんが、2017年の日本は残念ながら、男が生きづらい「男損時代」ではないでしょうか。最近、目に飛び込んでくるのは女性をヨイショするニュースばかり。例えば、政府が「一億総活躍社会」を打ち出し、2020年までに女性管理職を11%から30%へ。女性議員を9%(衆議院)15%(参議院)から30%へ、男性の育児休暇取得率を2%から13%へと数値目標を定めました。一方、男性はどうでしょうか?世の中の金や人、時間等は無限ではなく有限。だから、女を上げれば、その分だけ男性が下がるというゼロサムゲームなので女性優遇は「男性不遇」とセットです。

 ただでさえ「弱男強女」という昨今のバイアスのせいで男性が割を食っているのに、さらに「だから最近の男は情けないし、頼りないし、本当に使えないわ!」と追い打ちをかけるのは、まさに「死体蹴り」そのものです。

 今回は離婚経験者の男性から「男女不平等」のエピソードを集めました。逆差別によってどんな酷い目に遭ったのか、悲痛な叫びを紹介しましょう。なお、生の声を忠実に再現するため、こちらで内容を改変せず、できる限り、そのまま掲載します。そのため、少し読みにくいと感じるかもしれませんが、何卒ご容赦ください。

● 残業手当や単身赴任手当を入れず 基本給で養育費の策定を

 1.養育費の決め方が納得いきません(30代男性)

 今年7月、裁判所で裁判離婚が成立しました。しかし、私の担当弁護士、相手弁護士、裁判官と私の考え方は、まったく違うものでした。法律家の考え方では現在の収入で養育費を算定するのです。私の収入には今の段階では流動的な残業時間も含まれていました。また、私の場合は単身赴任手当も含まれた金額になり、それらを削除して計算するべきだとくり返し裁判で訴え続けましたが、まったく認めてもらえずじまいでした。

 現実社会からかけ離れた裁判の内容で進められた。もし良識ある裁判官なら、扶養手当、単身赴任手当て、残業手当を削除し、基本給だけで養育費を算出して当然です。現に私の現在の給料は、基本給とわずかな残業手当で生活しています。手取りは15万円、うち養育費は月に9万円、ボーナス時は30万円です。

 将来、基本給だけになってしまうと到底払えない金額です。裁判所が考えないで判決を下した結果です。このような世間知らずの裁判官、弁護士がいること自体が私は到底納得できません。

● 再婚して元妻に養育費支払いも 母子家庭は保育料は無料

 2.養育費を支払う側にも優遇措置を(40代男性)

 養育費を支払っている分、保育料の減額を希望します。現在月4万円を支払っています。私の手取りは20~22万円です。私は再婚し、相手との間に2人目が生まれました。本当は学資保険に加入したいのですが、ギリギリの生活で貯蓄もありません。

 生活費の補助にと保育園に預けて妻が働きに出ようにも、保育料のために働くようなものでプラスにはなりません。保育料は私の月収により決定されるため、養育費の分も含まれています。実際に手にするお金がないにもかかわらず、その分も含めて換算されるのは納得いきません。

 前妻の子のために養育費を支払うことは当然と思っていますが、このままでは養育費すら払えなくなりかねません。養育費をもらっているにもかかわらず『母子家庭』ということで保育料が免除されているのに、養育費を支払っている家庭には何もないということに疑問を感じます。養育費を支払っている家庭にも何らかの免除を希望します。

 また養育費を支払っていても、前妻の子どもとは同居していないため、家族手当などは会社から支給されません。税制面でも考慮されていないように思いますが、私の思い違いでしょうか?
● 常に養育費支払う側より もらう側が保護されている?

 3.養育費算定表の年収が総額になっているのはおかしい(20代男性)

 養育費算定表に関して大変遺憾に思います。理由は、年収計算が総額だからです。誰も総額で生活しているわけではありません。あくまでも、手取り額で生活をしているのにもかかわらず年収総額で計算する意味があるのでしょうか?

 なぜ、常に支払う側より養育費をもらうほうが保護されないといけないのでしょうか?おそらく、こういう理由からも支払いの問題が増えていくのではないでしょうか?

 4.養育費の内訳を知らせないのは我慢できない(30代男性)

 養育費を毎月30万円払っていますが、決して前妻が社会的弱者だと思いません。不当に子どもに会わせない割に高額な養育費を年収からのみ算定され払っています。養育費の内訳を知らせないのは不当に養育費を使っているんじゃないかって思ってしまいます。母子家庭という弱いイメージとはかけ離れているんじゃないかって。

 5.話し合っている最中に給料を差し押さえられるのは許せない(40代男性)

 お互い再婚していて養子縁組もしている状態で、突然、給与の差し押さえをされました。何度も元妻に話を持ちかけましたが、話し合いを拒絶されてしまいました。そんな最中です。調停証書があると、どんな経緯であっても差し押さえられてしまうという現状に愕然としました。

 もう法律の濫用としか言いようがありませんが、何も文句は言えないのです。私は真面目に誠意をもって対応しようとしていました。簡単に差し押さえができるのは女性からの離婚を助長させるだけかもしれません。どんな理由であれ離婚するときは人の力など借りず、死ぬ気で子どもたちと生き抜いていく覚悟がなければしてはダメだと思っています。

 差し押さえに関しても、経緯書を添付するとか、お互いの戸籍謄本を提出するとか、差し押さえの対象になるのかどうかぐらいの判断は裁判所にしてもらいたいです。それなのに不意打ちを食らった形で許すことはできません。

 6.親権は母親が圧倒的有利なのはおかしい(30代男性)

 法律上では「子どもの福祉にとって適切なほうが親権をとるのが望ましい」となっているようで、父親とも母親とも書いていないのですが、圧倒的に母親有利となっています。このことは逆に、女性の地位向上の妨げになっているものと思われます。

 「子どもの福祉」とは何なのか?これをもっと具体的に明記することを希望します。このままでは、父親がいくら家庭生活をがんばっても、離婚に直面した場合、子の親権はあきらめざるを得ないです。

 この事実を知ると、男性はまじめな家庭生活を営まなくなるかもしれません。女性側も多少いい加減に生活をしたとしても、子の親権を失う恐れがないのなら、まじめに生活しなくなるように思われます。

● 「子どもの福祉」とは 一体何なのか?

 7.子育てしてきたのに評価されないのは不平等(20代男性)

 離婚において女性ばかりが保護されるのはおかしい。子どもが小さいとほぼ女性が親権を獲得するようになっており、まっとうに子育てしてきた男性が親権をとれないのはおかしい。父子手当のようにもっと平等に考える必要がある。女性が弱いからといって女性過保護になっている気がします。面接交渉に関してももっと法律できちんと定めるべきです。離婚=男性が悪いという風潮を改めるべきだと思います。

 8.子どもの連れ去りが認められるのは許せない(30代男性)

 配偶者が子どもを勝手に奪っていく連れ去りが、認められるのはおかしい。無条件に、女性に偽装DVが適用されるのはおかしい。もう充分、女性は男性より強いのですから女性=弱者はおかしい。

 9.父親なのに子どもに会えないのは理不尽(30代男性)

 子どもと1ヵ月に1回会わせてもらえる約束で協議離婚したのですが、たった2回で会わせてもらえなくなりました。一方的に「もう二度と会わせない」とメールが来ました。子どもは会いたがっている様子です。

 子どもの権利と母親の面会交渉に対する態度は別にするべきです。母親が私的な理由で面会を断れないような。そして子どもの本当の幸せのために有効な法律が確定するように心から願います。

 10.お金を管理できない母親に親権や養育費を任せるのはおかしい(30代男性)

 そもそも母親が働かないこと(結婚における相互扶養義務違反)が原因で離婚しているのに、母親が有利な運用が成り立つのが不思議である。そのような母親が親権者として適切であるかどうかは、常識で考えれば大いに疑問であるが、日本では「働かない母親」は最強である。「そんなのに関わったお前が悪い」と司法は考えているのであろうか?

「子どもの福祉」という言葉のダブルスタンダードに腹が立つ。お金に関して、子どもの福祉のため、養育費は「とれるところから取る」という方針である。

 しかし、より本質的な子どもの福祉のための面会交流や共同養育について司法は全く積極的でない。金を与えれば子どもは育つのか?また、金すら稼げない母親が、子どもの養育ができるのか?

 「できる」と強弁するのであれば、親権を与える母親の想定している生活レベルの範囲で養育させればよいだろう。父親の生活レベルに合わせる必然性がない。「できない」のであれば、そもそも収入計画のない母親には親権者としての社会的責任を取る資質がないことが示唆される。

 言いたいことは、親権者にきちんとした養育資金の面での計画書を出させるべきでる。そしてそれがきちんと実現されていなければ、親権移動も可能なものとすべきである。自分一人で生きていくのも厳しい人が、親の資格があるのか?もっとこの点を重視すべきだと思われる。

 そのような親による養育の方が、将来的な不幸の連鎖を招くことは、いろいろな例で示されるであろう(離婚の“遺伝”、虐待の連鎖、などなど)。そもそも論として、共同親権になれば(親権で争う必要がなくなれば)、いろいろな問題は解決されると思われる。そして、より実質的な「子どもの福祉」のための、具体的な離婚後の養育計画を話し合う場として、司法が機能すればよいと思う。

● 離婚後の理不尽、不条理 男性たちの声に耳を

 「離婚」という修羅場で理不尽な目に遭い、不条理に悩まされ、そして辛酸を舐めた男性たち…そんな彼らが苦渋の表情を浮かべながら「こんな社会になってほしい」と願うのだから、決して軽くあしらうことはできませんし、真剣に耳を向けなければなりません。「男はつらいよ」と苦笑いするのは簡単ですが、それでは何も変わらないでしょう。こうやって誰かの耳に届くよう声に出すことが最初の第一歩になるのです。男が意見を言いにくい今日の世相だからこそ。

 少なくとも同じ悩みを抱えている人にとって「こんなにつらい思いをしているのは自分だけじゃないんだ」「結構みんな大変なんだなぁ。じゃあ、もう少し頑張ってみようか」と少しばかりの勇気を与えることはできるでしょう。

 (露木行政書士事務所代表 露木幸彦)

「息子に会いたいだけなのに、なぜ」離婚後の親子面会進まず 親の対立、揺れる司法判断

出典:平成29年3月14日 西日本新聞

「息子に会いたいだけなのに、なぜ」離婚後の親子面会進まず 親の対立、揺れる司法判断

「全く面会できていない」4割超
 離婚などで別居している親と子どもが、面会できないケースが後を絶たない。2012年の改正民法の施行により、離婚時に面会交流の内容を協議することが定められたが、決められないまま離婚したり、決めても親同士の対立関係が影響して面会が進まなかったりしている。面会交流を巡っては司法判断も揺れており、何が子どもの福祉や利益にかなうのか、議論が広がっている。

 「息子に会いたいだけなのに、なぜ認められないのか」。福岡県に住む外国籍の40代男性は憤る。5年前、日本人の妻が幼い子を連れて突然出て行った。妻は離婚届に男性の名前を勝手に署名、押印し、役所に提出。知らないうちに離婚が成立してしまっていた。妻の実家を訪ねても、会わせてもらえなかったという。

 男性は協議離婚無効の裁判を起こし、勝訴。ただ、妻はその後に離婚請求訴訟を提起し、「息子を連れ去られるおそれがある」として面会交流を拒絶しており、平行線が続いている。

 法律上、面会交流の回数や頻度など具体的な内容は、親同士で協議して決める。決められない場合、家庭裁判所に調停を申し立てることができる。

 15年に全国の家庭裁判所が受理した面会交流を巡る調停件数は1万2264件で、10年前の2・4倍。日本弁護士連合会の調査では調停で合意に至っても、同居する親が会わせてくれないなどの理由で「全く面会できていない」ケースが4割超にも上っている。

親権者を夫とする異例の判決
 子どもと別居親との面会交流はどうあるべきか-。昨春、ある家裁の判決が話題になった。

 娘を連れ出し別居した妻と、5年以上娘と会えていない夫が親権を争った裁判。千葉家裁松戸支部は「月1回の面会交流を認める」とした妻よりも、「年に100日」とした夫の提案を評価。子との交流を相手に幅広く認めた親を親権者とする「寛容性の原則」を適用し、親権者を夫とする異例の判決を出した。

 迎えた今年1月の東京高裁判決。高裁は「子の健全な成長は別居親との面会だけで確保されるわけでない。娘は妻と一緒に生活して順調に成長し、今後も同居を望んでいる」として、妻に親権を認めた。

 福岡大法科大学院の小川富之教授(家族法)は「(親同士の関係がもつれた)『高葛藤』のケースでは、面会交流が必ずしも子の利益につながるとはいえない。子の健全な成長につながるよう、高裁は事情を総合的に考慮した」と評価する。

DVや虐待が絡むケース、慎重な意見も
 子どもの視点に立ち、面会交流の支援に乗り出した自治体もある。

 兵庫県明石市は、専門家が子どもに心理的なケアを行ったり、離婚前の親向けに子どもの気持ちを考える講座を開いたりしている。昨秋からは、面会交流のコーディネート事業も始めた。市の施設を提供し、面会交流ができない親の間に入って子どもの受け渡しや付き添いを行う。同様の支援をする民間団体もあるが、同市の場合、無料で利用できるのがメリットだ。

 担当者は「子どもが別居親と会いたがっても、親同士が衝突して面会交流に至らないケースは少なくない。日程なども含めて調整し、親同士が顔を合わせることなく実施できる」と説明する。現在までに3家族が計6回利用したという。

 面会交流を促進する法制定の動きもある。超党派の議員連盟は昨年、「親子断絶防止法案」を策定。国会への提出を目指している。ただ、ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待が絡むケースもあるため、慎重な意見も根強い。

 早稲田大の棚村政行教授(家族法)は「現在の法案は、面会交流の取り決めや、実行の責任を親に課すものになっており、父母の対立をいたずらにあおってしまう。困難な家族を、国や自治体が支援できるような法律が必要ではないか」と指摘する。

日本における子供の貧困を人的資本投資、共同親権の側面から考察する

出典:平成29年3月14日 SYNODOS

日本における子供の貧困を人的資本投資、共同親権の側面から考察する

畠山勝太 / 国際教育開発

図、注釈、参考文献はこちら を参照ください。

2.なぜ日本の子供は貧しいのか?
 
2.1 若者の貧困
 
前述のとおり、日本における子供の貧困の原因は、子供が暮らす家庭の貧困、すなわち親世代である若者の貧困にある。もちろん、少子高齢化が進む日本では高所得の高齢者の存在が貧困ラインを引き上げ、若者が貧困ライン以下でカウントされやすいという事実はある。
 
しかし、国税庁の民間給与実態統計調査の結果によると、事実としてこの20年間を見ても、20代の年収は減少している(20代後半だと、平成9年の373.4万円を頂点として、平成26年には343.5万万円へと下落している)。ではなぜ日本の若者は他の先進諸国と比べて貧しいのかというと、その一因として彼/彼女らに対する人的資本投資が十分に行われていない点を挙げることができる。

上の図6は、OECD諸国の高等教育総就学率を示している。日本の高等教育総就学率は先進国の中では低い方に位置しており、若者は十分な高等教育を受けられていないことが読み取れる。アメリカイギリスでは、労働者に求める教育水準が中等教育修了で十分で、かつ肉体的な強靭さが求められるため労働者の多くが男性であった第二次産業から、労働者に求める教育水準が高等教育修了程度で、かつ肉体的な強靭さが求められない第三次産業へと主要産業が移行した際に、男性の教育水準がそれほど上昇しないという男子の落ちこぼれ問題が発生した。しかし日本の場合、国全体でこの落ちこぼれ問題を起こしている状態にあり、子供の親世代の貧困の一因になっていると考えられる。

そして上の図7は、OECD諸国の期待教育年数を示している。図6で示したように日本は高等教育の就学率が低く、結果として期待教育年数も先進国の中では低い方になっている。特に日本の16.4年という値は、先進国の上位グループから2年近く差をつけられている状態であり、若者の平均教育水準を見た時に、大学院を誰も修了していないのと、全員修了しているぐらいの差が存在していることを意味している。
 
幼い子供たちの親は、この若者たちである。つまり、日本は先進国としては若者の教育水準が低く、人的資本蓄積が低水準にとどまっていることが、日本の子供の貧困の一因となっていると考えられる。
 
 
2.2 ひとり親家庭の子供の貧困と養育費問題
 
日本の子供の貧困を考えるときに、親世代の低い人的資本水準に加えてもう一つ考慮しておくべきものがある。それはひとり親世帯の子供の貧困である。OECDの家族データベースによると、OECD諸国のひとり親世帯の相対的貧困率は、その親が仕事をしていない世帯では平均62.6%、仕事をしている世帯では平均20.0%となっている。これに対して日本のひとり親世帯の貧困率は、厚生労働省の最新の国民生活基礎調査の結果によると54.6%、総務省統計局の最新の全国消費実態調査の結果によると60.0%である。日本のシングルマザーの労働参加率は80%超(厚生労働省平成23年度全国母子世帯等調査)と先進国の中でもトップクラスであるにもかかわらず、貧困状況は先進諸国の働いていないひとり親世帯のそれとほぼ同程度となってしまっているのだ。
 
もちろんこれには、ひとり親世帯の親の教育水準が低い傾向があることや、日本の労働慣行がひとり親には厳しいことなど様々な要因を挙げることができるが(これらも字数の関係で本稿では割愛し、また別の機会に論じることとする)、その一つとして日本のひとり親世帯の養育費の受け取り率が低いことと共同親権が導入されていないことも挙げることができる。
  
前述の全国母子世帯等調査によると、日本のひとり親世帯の養育費受け取り率は、平成18年で19.0%、平成23年で19.6%となっている。これに対して上の図8はOECDの家族データベースに掲載されている2000年段階での他国の養育費受け取り率を示している。日本の現状と図8を比べると、日本の養育費の不払い率が先進国の中では高いことが読み取れる。
 
この養育費不払い問題には三つのアプローチが存在する。一つ目は政府が養育費を強制徴収する方法であるが、これを運営するためには高い行政コストが必要なのに対して回収率が見合わないという問題がある。もう一つは政府が養育費を立て替え払いする方法であるが、これが実施されているのは高負担高福祉型の国であり、高負担型の国ではない日本ではこのスキームの持続可能性に疑問が生じる。これらの他に、離婚の際の養育費の取り決めの義務化と共同親権の導入という方法も存在する。
 
日本の離婚の大半は裁判所が関与しない協議離婚であるが、この際に養育費の取り決めが曖昧なままとなり、そして親権がどちらかの親に与えられるため、与えられなかった親にとっては養育費が子供との面会を得るための手段に過ぎなくなり、結果として面会も出来ず養育費も不払いとなるケースが見られる。このような状況に対処するために共同親権の導入が検討される必要がある。以下では、アメリカでなされてきた研究の数々を紹介することで、日本での共同親権導入のインパクトについて示唆を得ることとする。
 
アメリカでも1960年代までは、現在の日本と同様に、離婚後の親権は主に母親側に与えられていた。しかし、70年代になると情勢が一変し、各州で共同親権が取り入れられた。しかし、州によってこの共同親権を導入するタイミングにバラつきが生じたため、このバラつきを利用した自然実験によって、共同親権の導入が与えるインパクトが分析された。
 
共同親権の導入は離婚後の養育費の支払いに影響を与えるが、これは一見すると共同親権導入そのものの恩恵によるものか、それともそれによる養育費徴収の強化によるものなのか判別がつかないため、日本の状況に対する政策的示唆を得ることは難しい。
 
しかし、パネルデータを用いてどちらが正しいのか検証したNepomnyaschy (2007)によると、このどちらの影響も存在している。すなわち、共同親権の導入によって離婚後の父親の子供との面会頻度が上昇し、このことが子供に対する親近感を失うことを抑止し、子供が金銭的に困らないように養育費を確実に支払うようになる。また、養育費を徴収されるようになると、支払った養育費が離婚した母親によって子供のために適切に使われているのかモニタリングする誘因が発生するため、子供との面会頻度が上昇するというわけだ。
 
一方、共同親権の導入がどの程度養育費の支払いに影響を及ぼすかについては、Allen et al. (2011) の推計によると、離婚後のシングルマザーが養育費を受け取る確率を8%程上昇させることが分かっている。
 
そして、養育費の支払いは単純にシングルマザー家計の貧困を緩和するだけでなく、この家計に属する子供の貧困を人的資本投資の増加という形で緩和することにつながる。なぜなら、養育費は他の所得源と比較したときに、より子供のために使われるという性格を持ち合わせており、養育費によって福祉の対象から抜け出せることでそこに伴うスティグマから抜け出せるからである。
 
これは具体的にどういったことかというと、日本の生活保護世帯の子供の大学進学が分かりやすい例となる。現在の日本では、子供の大学の授業料は生活保護の減額対象となるなど、いかにも教育を重視していない国らしい、人的資本投資という側面を無視した福祉行政が取られている。この行政制度もさることながら、生活保護世帯の子供が大学へ行くなんて贅沢だという残念な世論も見られる。この結果、「世帯分離」を取ることによって生活保護が減額されることなく奨学金で大学へ進学するという方法があるにもかかわらず、生活保護世帯の保護者と子供は、自分たちが大学へ行くのは贅沢・世間に申し訳ないという意識から、大学進学という選択肢を取らず就職を選ぶケースもありうる。
 
これが、福祉の対象となるスティグマであり、そしてそのスティグマが人的資本投資を阻害するケースである。そしてこれは大学進学以外にも発生しうる事象で、例えば生活保護世帯の中学生が塾に行くのは贅沢だ、小学生が博物館に行くのは贅沢だ、幼稚園児が絵本を買ってもらうのは贅沢だ、という福祉の対象に入ることによるスティグマが存在すれば、教育の投資収益率が高い早期の段階においても人的資本投資が阻害されてしまう。ところが、養育費の受け取りによって福祉の対象から抜け出せば、言及したようなスティグマから自由になることができ、生活保護による収入増加と養育費による収入増加の額が等しかったとしても、後者の方がより人的資本投資にリソースが割かれるようになるということである。
 
実際に、離婚したシングルマザーが父親による自発的な養育費の支払いを受け取っている場合、所得が上昇する効果以上に、養育費の受け取りは子供の言語能力などの学習成果を向上させることが分かっている(Argys et al. 1998)。さらにBaughman (2014)は、養育費の受け取りは健康保険への加入を促し、健康状態そのものも改善することを見出した。これらは先にも言及したように、支払われた養育費が子供のために使われているか離婚した父親による監視の目が入るため、その他の収入源によるリソースと比べてより子供のために使われる、すなわち子供の人的資本投資に回されるからである。
 
以上のことから、共同親権を日本に導入した場合に子供の貧困に対していくつかの政策的な示唆を導き出すことができる。まとめると、日本のシングルマザーの子供の貧困の度合いは深刻だが、この一因として、養育費の受け取り割合が低いことが挙げられる。共同親権の導入によって養育費の受け取り割合が上昇すれば、現在のシングルマザーの子供の貧困問題が緩和されるだけでなく、教育や保健といった人的資本投資が増加することで、未来の子供の貧困問題も緩和されることが考えられる。
 
しかし、注意しておきたいのは、共同親権の導入は現在婚姻関係にある男女間の力関係に影響を及ぼすということだ。たとえばアメリカでは共同親権の導入によって、婚姻状態にある母親の労働参加率が上昇し(Nunley and Seals 2011)、労働時間も増加したことが分かっているが(Altindag et al 2015)、これは共同親権導入以前は離婚後に父親が子供に会えなくなるという脅威の存在が婚姻状態にある母親に交渉力を与えていたが、共同親権導入後はこれが消滅するため、婚姻状態にある母親の交渉力が低減した結果だと考えられている。
 
前述の影響は女性の労働参加を促進するので好ましいものではあるが、好ましくない影響も存在する。一般的に母親の方が父親よりも子供の教育を重視するため、共同親権導入による父親側の家庭内の資源配分に対する権限強化は、私立学校への進学といった子供への教育投資額を減少させることも分かっている(Nunley and Seals 2011)。
 
また、日本の離婚理由では、身体的な暴力、精神的な虐待が少なくない割合を占めている。共同親権導入による男女間の力関係の変化は離婚前においてはDVの発生件数の上昇などの影響が考えられる。また、面会機会を契機としたストーカー殺人事件なども報告されているため、暴力や虐待により離婚した元夫婦が共同親権を持つことの危険性も考慮される必要がある。養育費の不払い問題に対処するための共同親権の導入には上記のような問題が存在するため、導入を考えるのであれば、事前に様々な対処策を講じておく必要がある点は見過ごされてはならないであろう。
 
 
3.なぜ政府は子供の貧困問題の解決を優先すべきなのか?
 
ここまで議論してきたように、日本の子供の貧困率は高く、これを阻止するためには人的資本投資の増加、制度の改善などを行う必要があり、政策的優先順位は高いと考えられる。なぜなら、子供の貧困は過小な人的資本投資を招いてしまい、将来の貧困の原因になるだけでなく、国の経済発展の足かせになる可能性があるからである。
 
日本財団子供の貧困対策チームによる『徹底調査 子供の貧困が日本を滅ぼす 社会的損失40兆円の衝撃』(文藝春秋)は、子供の貧困が招く過小な人的資本投資によって、具体的にどのような経路を辿って、どの程度の経済損失が発生するのかを推計している。この本はそれ以外にも子供の貧困について具体的な事例や解決策の提示などを行っているので、ぜひ一度目を通して頂きたいが、ここでは経済損失の部分について紹介したい。
 
日本財団子供の貧困対策チーム(2016)によると、例えば非貧困世帯出身の男性の最終学歴が中卒であるのは4.6%であるが、貧困世帯出身の男性のそれは23.8%と5倍近い差が存在したり、非貧困世帯出身の男性の最終学歴が大卒であるのは45.0%であるが、貧困世帯の男性のそれは15.0%と非貧困世帯の1/3に留まっているなど、貧困世帯の子供が受け取る人的資本投資の少なさが、人的資本投資のアウトプットの格差を引き起こしている。この人的資本投資のアウトプットの格差によって、両者の間にはアウトカムレベルで「就業率」「雇用形態」「同じ雇用形態間での所得格差」の3つの格差が生まれる。
 
この3つの格差は貧困家庭出身者の生涯所得を平均して1600万円程度押し下げ、政府に対しても、貧困家庭出身者一人当たりに追加的に600万円の支出増/収入減という影響を与える。これを子供全体の6人に1人の割合で当てはめると、個人所得が40兆円減少し、政府も16兆円の損失を受けることとなる。そして、この推計値は治安への影響を除外しているなど過小な人的資本投資が招く悪影響の全てを網羅しているわけではないことを考えると、いかに子供の貧困が招く人的資本の過少投資の影響が大きく、政府にとって優先順位の高い政策課題であるかが分かるかと思われる。
 
 
4.まとめにかえて――日本は子供の貧困を克服することで日本を取り戻せるか?
 
20年前の日本は、GDP世界一のアメリカに迫る世界の超大国であり、途上国支援のODAの額も世界一であった。しかし、現在の日本はGDPで2位の座を中国に譲っただけでなく、既に倍近い差を付けられている。国民一人当たり所得で見ても、既にOECD諸国の中でも下位に位置し、イタリアなどと同程度の水準となっている。そして、ODAの額も4位へと転落し、5位フランスに肉薄され逆転されるのも時間の問題となっている。
 
日本が超大国の座から転落しつつあるのにはもちろん様々な理由があるが、その一つに子ども・若者政策の失敗が挙げられる。日本は高等教育への公支出が少なく、若者の所得が伸びなかった。30代男性の1/3の所得が300万未満で、そのうちの2/3が未婚という現状が象徴するように、若年低所得層で未婚率が高く、出生率も改善しなかった。そして、生まれてきた数少ない子供たちが貧困に陥らないような制度整備も不十分で、人的資本蓄積のために最も重要な時期に十分な投資が行われてこなかった。この結果、稼ぎ手の数が少ないにもかかわらず、その稼ぎ手達が十分稼げず、日本は超大国の座から転落しつつある。
 
高負担・高福祉型の社会であれば、全ての人達に手厚い対策を施すことができたであろう。しかし、残念ながら日本は高負担型の社会ではないため、手厚い対策を施せる対象が限定された。ここで、未来の稼ぎ手となる子供・若者が対象として選ばれていれば、日本がここまで転落することはなかったのかもしれない。世代間対立を煽りたいわけではないが、現実は高齢者に対する支出はGDPの約11.2%にも上るのに対し、子供を含めた家族へのそれはわずか約1.3%であった。
 
「日本を取り戻す」という陳腐なスローガンをよく耳にするが、超大国の座を取り戻すためには、まず稼ぎ手の数を確保し、そしてその稼ぎ手達が十分に稼げるよう、子供・若者の貧困問題に取り組み、人的資本を質量ともに充実させる必要がある。
 
そのためには、高負担・高福祉型社会へ転換し、手厚い対策を施せる対象を拡大させるか、あるいは現行の高負担型ではない社会を続けるのであれば、手厚い対策が施される対象を子供・若者へとシフトする必要があるだろう(日本の人口ピラミッドと票田を考えると後者の方が実現可能性は低いのかもしれない)。いずれにせよ、「日本を取り戻す」ためには政治的に大きな決断が必要とされている。
 
図、注釈、参考文献はこちら を参照ください。

<社説>ハーグ条約初適用 主旨周知し子の利益守れ

出典:平成29年3月2日 琉球新報

<社説>ハーグ条約初適用 主旨周知し子の利益守れ

 不幸な境遇に置かれた子の利益を第一に考えたい。そのためにも条約の周知を徹底したい。
 県内の女性が「ハーグ条約」に基づき、米国人父親の両親と暮らす1歳の娘の返還を求めた申し立てについて、米フロリダ州連邦地裁は母親の請求を認めて娘の返還を命じる決定を出した。「子どもの通常の居住国は日本」と同地裁は判断した。
 今回の裁判は米国人と結婚し、米本土で暮らしていた女性が妊娠中に夫の暴力に遭い、帰国したことが発端となった。娘は帰国後に生まれている。その後、娘の親権を主張する父親の訴えを裁判所が認め、女性は子どもを失った。
 夫の暴力で夫婦関係が破綻した経緯を考えても、条約に基づく地裁決定は妥当だ。一日も早く、女性が娘と再会できるよう当事者や関係者の理解を求めたい。
 両親の離婚などで国境を越えて引き離された子どもの取り扱いを定めた「ハーグ条約」に日本は2014年4月に正式加盟した。条約は子どもを元の居住国に戻すことが原則で、県内からの返還申し立てが認められたのは初めてだ。
 国際結婚の増加に伴い、その後の離婚で一方の親が子どもを連れ去り、もう一方の親に面会させないという「子の連れ去り」が問題視されるようになった。
 国境を越えた連れ去りは、言葉や生活基盤など子どもを取り巻く環境を大きく変えてしまう。成長に有害な影響を与えかねない。特に家庭内暴力が要因となって国際結婚が破綻した場合、子どもの処遇は深刻な問題となる。子どもの利益を守るためにも「ハーグ条約」の円滑な運用が必要だ。
 憂慮されるのは正式加盟から約3年を経過した現在でも「ハーグ条約」の存在自体が十分に周知されていないことだ。
 沖縄のように米軍基地が集中する地域では、条約の適用対象となり得るような事案がほかにも起きている可能性がある。条約に基づく子どもの返還請求の手続きを知らないまま、当事者が泣き寝入りするようなケースを防がねばならない。
 沖縄は復帰前から国際結婚を巡る課題と向き合い、解決を模索してきた。その経験を踏まえ、「ハーグ条約」の運用にも積極的に関わる必要がある。市町村に担当窓口を置くなどの主体的な取り組みが求められる。不幸な親子を救うための手だてを急ぎたい。

家族と法(上) 離婚しても子に会いたい 交流求め、調停・審判急増

出典:平成29年2月28日 日本経済新聞

家族と法(上) 離婚しても子に会いたい 交流求め、調停・審判急増

離婚や遺産相続など全国の家庭裁判所が担当する「家事事件」が、年間100万件を超えた。離婚後の子供との面会をどうするか。介護負担を相続に反映させるべきか。紛争のかたちは複雑になっている。解決を願う当事者の思いから、司法が抱える課題を探る。

 「お父さんと会うのはイヤ。毎月100万円くれるなら会ってもいい」。北陸地方に住む50代の男性は昨年10月、送られてきた書面に印刷された「娘の言葉」に絶句した。差出人は別居中の妻の弁護士。妻は2年前、長女(8)を連れて家を出た。以来、娘の姿は一度も見ていない。

「娘の本心は?」

 2015年春、離婚を前提に長女との面会を求める調停を起こした。しかし家庭裁判所は「長女が拒んでいる。面会は認められない」と諦めるよう促した。「娘と引き離される前日まで同じ布団で並んで寝ていた。『会いたくない』が本心のはずがない」。調停は合意に至らず、今月からはより訴訟に近い形の「審判」が始まった。
 離婚前後に父母が別居したとき、どちらが子供といっしょに暮らし、離れて暮らす親との面会をどうするか。法的な争いが急増している。15年に面会をめぐる調停や審判は全国の家裁で1万4241件。10年間で約2.5倍に増えた。
 離婚で家族がばらばらになって「縁が切れる」という感覚が薄まり、離婚しても父母ともに子供と会うべきだという意識の変化が背景にある、と司法関係者はみる。
 昨秋、東京家裁が1つの決定を出した。別居中の母親に月1回娘を会わせる約束を守らない50代の父親に対し、「1回の面会拒否で100万円」の支払いを命じる決定をした。高裁で30万円に減額されたが、子供との交流を重んじた新たな判断として注目された。
 離婚紛争の専門家によると、欧米では離れた親に宿泊を伴う長期間の面会を認めるケースが多い。しかし日本の裁判所では、特に父母間の対立が激しい場合、親権を持ち同居する親との関係維持が優先されやすい。同居する側が「会わせたくない」と考えれば、一方の希望は通りにくい。
 棚村政行・早稲田大教授(家族法)は「別居前の子育てへの関わり方や親子関係を丁寧に考慮したうえで、問題がなければ少しずつ面会の実績を積み上げられるような判断が裁判所に求められている」と話す。

子の利益優先を

 人口動態調査によると、両親が離婚した子供は年間22万人。今の出生数で考えると、5人に1人が経験している計算だ。面会場所を提供するなどして離れて暮らす親子を支援する家庭問題情報センター(FPIC)の山口美智子理事は「父母にはそれぞれ葛藤があるが、子供の思いをくみ取る姿勢を親も司法も忘れないでほしい」と訴える。
 もともと面会交流の規定は民法には明確にはなかったが、12年施行の改正法に「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と明記された。超党派の議員連盟は昨年末、離婚後も親子関係が続くよう促す法案をまとめた。
 ただ離婚の背景にドメスティックバイオレンス(DV)がある場合も考えられ、反対意見も強い。法整備で面会が広まるかどうかは不透明だ。
 会いたい親、会わせたくない親。どちらも裁判所に解決を求める。親の離婚に直面した子供のため、どんな解決策を示すのか。「全員が納得するような大岡裁きを期待されても困る」(ベテラン家事裁判官)とため息が漏れるなか、きょうも「子をめぐる争い」が裁判所に持ち込まれる。

娘の返還、米地裁が認定 ハーグ条約に基づき沖縄在住女性が要求

出典:平成29年2月28日 沖縄タイムズ

娘の返還、米地裁が認定 ハーグ条約に基づき沖縄在住女性が要求

【クリッシー悦子米国通信員】国際結婚が破綻した後の子どもの扱いを定めたハーグ条約に基づき、沖縄県内に住む40代女性が米国人夫との間に生まれ、米国で夫の親族と暮らす1歳9カ月の娘の返還を求めた申し立てで、米フロリダ州連邦地裁は17日(現地時間)、女性側の要求は妥当として夫側に子どもの返還を命じた。娘が普段から住む場所(常居所)が日本国内だと認定された。女性側の代理人によると、日本がハーグ条約に加盟した2014年以降、子の返還申し立てを認めたのは県内で初めて。

 女性側代理人の武田昌則弁護士(琉球大学法科大学院教授)によると、女性は同年5月に在沖米陸軍所属の米国籍の男性と結婚。15年3月に米本土に夫と転勤転居したが、妊娠中にDV被害を受けたことなどで帰国。同年7月に長女を出産した。

 その後、夫側から「娘と親族の結婚式に参加してほしい」と懇願され、同年10月、夫の実家があるフロリダ州に渡航したが、夫から虚偽のDV告発を受けて逮捕された。娘は夫の両親に引き取られ、パスポートも夫が保管。夫側は子どもの親権を主張する訴訟を同州の裁判所に起こし、娘は夫の母親が引き取るべき、との決定が出た。

 女性は同州のシェルターに約2カ月滞在し、支援を受けながら娘の返還を求め続けたが認められず帰国。16年10月、ハーグ条約に基づき、同州連邦地裁に娘の引き渡しを申し立てた。17年1月には同裁判所での審理にも出頭。女性側は「娘は県内で出生し、国民健康保険や光熱費、住居費も母親が負担している」と訴え「結婚式のために渡米した際は、夫も、娘を連れての帰国を認めていた」などと主張した。

 夫側は「女性は米国に永住するつもりで渡米し、片道の旅券しか購入していない」などと反論したが認められなかった。

 決定を受け、女性は「大変なこともあったが、娘が帰ってくることを家族ともども喜んでいる」と語った。

 ハーグ条約は、連れ去りなどが始まった時、常居する国が条約締約国の場合、締約国に子どもを返還するよう求めている。武田弁護士は「妥当な判断。国際結婚が破綻した際のリスクを知ってほしい」と語り、今後、夫側と娘の引き渡しを調整する。一方で「同様のケースで母親の主張が認められなかった場合もあり、子どもが帰るまで安心できない」と語った。

 【ことば】ハーグ条約 正式名称は「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」。一方の親が16歳未満の子どもを配偶者に無断で国外に連れ去った場合、原則として、いったん子どもを元の居住国に戻すことなどを定めている。1980年にオランダのハーグ国際私法会議で採択され、83年に発効。日本は2014年に条約に加盟し、16年11月の時点で95カ国が締結している。

親子断絶防止法案(仮称)」 離婚後の子どもにとって最善の利益とは?

出典:平成29年2月24日 TBS 国会トークフロントライン

「親子断絶防止法案(仮称)」 離婚後の子どもにとって最善の利益とは?

ずっとやってらした「親子断絶防止法案(仮称)」が一応まとまったということで、今日はその話を伺った。

 「我が国では9割が協議離婚、残りの1割が調停離婚。私がショックだったのは、親の離婚に毎年13万~15万の未成年のお子さんが巻き込まれている。そして、養育費などの経済的問題はもちろんですが、離婚に至るまでにお父さんとお母さんの、ののしりあいやDVによって、自分が悪いんじゃないか、自分が原因ではないかと思ってしまい、トラウマやPTSDが残る。さらに離婚後、親に会えないという喪失感。離婚でいろんな問題が子どもたちに起こってくる。これを放っておいていいか、ということです」

 具体的には? 「(1)養育費、それに面会交流の回数ややり方をキチッと取り決めをして、書面に残す。(2)定期的・安定的な面会交流ができるように国や地方自治体が支援する。というのが中心です。もちろんDVや児童虐待などの特別なケースには配慮します。子どもの意見というのも大事です。ただ子どもの判断で決める、はダメです。子どもに負担を押しつけることになりますし、子どもの成長段階・発達段階で考え方が変わってきますからね」

 罰則がついていないから実効性ない? 「いや、義務ではなくて、子どもにとって親がいかに必要か、親は互いにいがみ合うのでは無く、愛情を持って子どもに接してほしいから作ったんです」

 家庭のことに国が口を出すのはいかがなものか、という意見もあるが? 「私もそう思います。ただ、私にとってこの問題、永遠のテーマなんです。児童虐待防止法、高齢者虐待防止法、いじめ防止対策推進法、発達障害者支援法などなど、20数本の議員立法に関わってきました。少数の問題であってもどれも家庭の問題に関わってくるんですよね。国が支援することはたくさんあると思います。たとえば、養育費を払わない人は7~8割もいます。面会交流をしている人は6割くらいです。これに対応するために、適正にアドバイスする資格を持った人や場所をどう作るか。DVかどうか判断するのも難しい。シェルターだって財源難で減る中、どうNPOを支援するかとか、支援体制を作ることが国の役目と思っています。この法律案は通ってから施行までに2年半の猶予をおいている珍しいものなんです。つまり、それだけ準備に時間がかかるということなんですね」

 今、超党派議連でまとめたこの法案を、各党が持ち帰って精査しているところだという。入っていない共産党にも行って笠井政調会長に説明をしてきたとのこと。「今国会で成立させたいのですが、実は付託するのが法務委員会なので、あの『テロ等組織犯罪処罰法改正案』がありますから、どうなるかなあ?」

Japanese courts rule Minnesota children will stay in Japan(日本の裁判所がミネソタ州から連れ去られた子供たちを返還させないとの判決を下す)

出典:平成29年2月17日 MPRNEWS(アメリカ)

Japanese courts rule Minnesota children will stay in Japan(日本の裁判所がミネソタ州から連れ去られた子供たちを返還させないとの判決を下す)

※下記は掲載記事の日本語訳です。

日本語訳出典:絆CPR
https://www.kizuna-cpr.org/james-cook-hague-case

日本の裁判所がミネソタ州から連れ去られた子供たちを返還させないとの判決を下す。
問題 マンダ・リリー ・ 2017年2月17日

今週金曜日、日本の裁判所は、国際的親権争いの渦中にあるミネソタ州生まれの子どもたちが日本に留まることを認める判決を出した。
ジェームズ・クックと有光ひとみ(有光工業株式会社の代表取締役の娘)は、日本か米国どちらが4人の子どもの母国であるかどうかを議論している。
この夫婦の事件は、日本の裁判所を通じて2年以上の時間を費やしてきた。金曜日の判決は、米国を子どもたちの本来の居住国として認めた前回の法的措置を覆した。

2014年7月、日本人の有光ひとみは、夫婦の4人の子どもたち(8歳と13歳の双子2組)を連れて日本に休暇で訪れていた。この夫婦の関係はこの時拗れており、子供たちと母親にとって良い休暇になることになるだろうと日本の祖父母を訪れる6週間の旅行に同意した。
それから2年以上経つが、有光と子どもたちは、まだ米国に帰っておらず、彼女とクックは子どもたちの親権のために裁判所で争い続けている。
日米両国が締結している国際条約であるハーグ条約により、クックは日本の裁判制度を利用することが認められ、裁判所は2015年1月(訳注:2016年1月の誤り)、子供たちがミネソタ州に帰るべきであると判断した。一方、同年クックは、ヘネピン郡裁判所を通じて有光との離婚を申請した。その過程で裁判官は、クックに子供たちの暫定的親権を認めた。

それ以来、有光は子どもを米国に戻すことを拒否しており、彼女は日本とミネソタの裁判所命令を侮辱していることになる。
関連:国際法がミネソタ州の親権争いを縺れさせる http://www.mprnews.org/story/2017/02/10/international-law-tangles-minnesota-custody-battle-
金曜日の判決は、日本の裁判所の2015年(訳注:2016年)の判決を覆す。大阪地方裁判所は、有光が先月提出した申立てに同意した。同氏は、クック氏は住宅や学校の費用を支払う手段がなかったため、ミネソタ州に子供たちを戻すことができなかったと書いている。それには、「米国に戻った場合、子どもたちが損なわれる重大な危険にさらされる」と書かれた。

裁判所は、クック氏には4人の子どもたちを扶養するための資金が不足していると判断したが、弁護士のビクトリア・テイラー氏は、この判決の取り消しはハーグ条約に沿わないと主張している。

「これは国際的な事件になるだろう
とテイラー氏は述べた。
テイラー氏は、依頼人のクック氏と米国国務省に連絡をとり、子どもたちの帰国を確実にするために日本に対してどのような制裁を課すことが妥当か見極めると述べた。

「全国女性シェルターネット」が展開する東京高裁への要望

出典:平成29年2月6日 月刊リベラルタイム3月号

「全国女性シェルターネット」が展開する東京高裁への要望
月刊リベラルタイム3月号「「全国女性シェルターネット」が展開する東京高裁への要望」

 米大統領選当選直後にトランプ氏と面談した安倍晋三首相が、トランプ氏の孫娘であるアラべラ・ローズちゃんのPPAP動画を話題にしたが、幼い子どもは実に可愛いものだ。まして、それが血のつながっ た肉親であればなおのこと。母親、父親にかかわらず自分の子どもはいとおしい。

 しかし、日本では親権者や養育者を決定する際には、母親が養育するのが望ま しいとする「母親優先の原則」や成育環境が変わるのは子どもに不利益との考え方から「継続性の原則」が重要な要件となっ ている。加えて、DV防止法によって、一方的に父親が悪者にされるケースもある。

 例えば、夫婦喧嘩が激しくなり、妻が子どもを連れて実家に帰り別居となった場合、子どもの親権を父親とするのはかなりの困難が伴うのだ。実家に帰った妻が病院に行き「ストレス性腸炎」等という診断書をもらっていればなおさらだ。妻がDVシェルターに入ると、裁判所は「DVがあった」と見なしてしまうケースが多い。全国女性シェルターネットというNPO(特定非営利法人)の理事である近藤恵子氏は「被害者が逃げて来たという事実が、DVの明確な証拠」と話している。実際、DVがなかった場合、なかったという事実の証明は難しい。DVがなくてもあったと見なされてしまう冤罪もある。あるいは「DVで訴えた」という事実が残る。そして、たいていの場合、DV防止法による「接近禁止命令の訴え」を妻が出す。すると裁判所はDVがあってはならないので、「接近禁止命令」を下すのだ。すると、子どもに会えない父親は「継続性の原則」から親権争いでは立場は弱くなる。

 そうなれば、離婚した夫婦間での子どもの親権争いは大きく夫に不利になる。余りにも辛いので、夫が自力で子どもを取り戻そうとすれば、妻は警察官を呼び、逮捕にでもなれば、親権争いでは負けと なる。いうまでもないことだが、これはDV等存在しない場合である。こうしたケースを未然に防ぐために「親子断絶防止法案」が検討されているが、いまや骨抜き状態になっている。前述したように子どもが可愛いと思うのは、父親も、母親も同様だろう。ところが、現状の日本ではきわめて父親に不利な状況がある。「父親は強く、母親は弱い」という固定観念から男女共同参画関係予算では「女性に対するあらゆる暴力の根絶」に一千億円を超える予算が与えられている。

 そんな予算の恩恵にあずかっている全国女性シェルターネットが、ある裁判の判決を巡って、署名活動や東京高等裁判所への要望を行っているという話が聞こえてきた。この裁判は五年以上別居状態の夫婦が長女の親権を争った裁判で、千葉家庭裁判所松戸支部は、二〇一六年三月二十九日に「夫を親権者と定め、同居する長女を夫に引き渡すよう」命じた判決を出した。妻が控訴したため、一七年一月二十六日には東京高等裁判所で判決が出ているはずだが、昨年行われた相談員研修会〜DV被害者について学ぶ〜で、全国女性シェルターネットはこの裁判の判決を妻の勝訴としたいために、高裁に圧力をかけようと署名活動を実施した。これは内閣府主催の講演会で、講師は全国女性シェルターネット理事の近藤恵子氏。国費で行う講演会で、NPOがそうした訴えをしていいのだろうか。

 この際に配布された文書には「夫からの暴言、暴力、精神的虐待、経済的虐待等から結婚四年後に別居」等と裁判では事実とは認められていない記載がある。事実がねじ曲げられている。この団体が前述裁判に血道をあげるのは、奈辺にあるのか。

面会交流 拒否1回100万円「あまりに過大」30万円に

出典:平成29年2月11日 毎日新聞

面会交流 拒否1回100万円「あまりに過大」30万円に

東京家裁決定は「1回の拒否に100万円の制裁金」
 別居している長女との月1回の面会交流が裁判で認められたのに長女と同居する夫が応じないとして、妻が1回の拒否につき100万円の制裁金の支払いを夫に命じるよう求めた裁判で、東京高裁は8日付で、請求を認めた東京家裁決定(昨年10月)を変更し、1回30万円に減額する決定を出した。川神裕裁判長は「100万円はあまりに過大で相当ではない」と指摘した。

 妻は取り決めを守らない親に裁判所が制裁金の支払いを命じる「間接強制」を申し立てた。同様のケースでは拒否1回につき5万~10万円程度が多く、家裁決定は異例の高額だとして注目された。
 高裁決定は「小額の支払いを命じるだけでは面会交流は困難」と家裁の判断を支持する一方、金額について「(面会拒否を続けた)夫の態度を考慮すると理由がないものではないが、相当ではない」と判断した。
 高裁決定などによると、夫妻は離婚裁判中で2011年から別居。東京家裁が15年に妻と長女の月1回の面会を認めて確定したが、夫は面会に応じなかった。100万円の間接強制を認める家裁決定後、妻と長女は5年ぶりに面会した。【伊藤直孝】

<子の幸せは?> 親子断絶防止法案、「面会交流」めぐり賛否

出典:平成29年2月10日 中日新聞

<子の幸せは?> 親子断絶防止法案、「面会交流」めぐり賛否

 離婚後の親子の面会を促す「親子断絶防止法案」(通称)をめぐっては、賛成と反対、双方から切実な声が聞かれる。日本では離婚の際に子どもの親権者を決める必要があるが、離婚が珍しくない時代になり、その後の面会交流をめぐる争いも多い。双方の意見を聞いた。
 「子どもの連れ去りが少しでも減ることが期待できる」。「親子断絶防止法全国連絡会」事務局長の平田晃久さん=東京都=は、法の成立に期待する。メンバーの中には、婚姻中に配偶者が子どもを連れて出ていき、なかなか会えない人が多数いるという。
 平田さんは「日本では婚姻中でも、子どもを連れて出て行かれた時点で、実質的に親権を失う」と話す。先月二十六日、別居中の夫婦が長女(9つ)の親権を争った訴訟で、東京高裁は妻と長女の面会交流を年間百日としていた夫を親権者とした一審千葉家裁松戸支部判決を変更。既に同居している妻を親権者と認めた。二審判決は、同居の親を優先する「継続性の原則」に基づいているが、親権訴訟では圧倒的にこの原則が適用されることが多い。
 別居中の親が子どもとの面会を希望し相手に応じてもらえない場合、調停で同意するか、審判で面会交流が決まるまで、ほとんど会えないという。「毎日のように絵本を読んであげたり、一緒に遊んだりしたわが子と引き離され、調停や審判で争っている間に何年もたってしまう。そんな悲劇はなくなってほしい」と訴える。
 また、調停や審判をしても、認められるのは月一回かそれ以下の面会交流だけというケースも多い。法制化によって、宿泊もできるようになるなど、面会交流の内容が充実することも望んでいる。
◆DVの場合は慎重に
 子どもと同居する親を支援する団体からは、懸念の声が上がる。
 ひとり親家庭を支援するNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」(東京都)の赤石千衣子理事長は、二〇一一年の民法改正で面会交流の規定ができて以降、裁判所の審判や調停で、「夫婦間にどんな事情があっても面会交流をするよう促されるケースが多くなった」と感じている。
 例えばドメスティックバイオレンス(DV)で被害者に近づかないよう裁判所が命じた事案でも、子どもへの暴力がないとして面会交流をさせる判断が下されているという。
 長崎市では先月、面会交流の取り決めをしていた元妻が、子どもを送り届けて元夫に刺されたとみられる殺人事件が発生。「子どもや同居親の命が危険にさらされる恐れがある」と、法制化を危惧した。
 児童精神科医にも、法案を懸念する声がある。あいち小児保健医療総合センター(愛知県大府市)の古橋功一医師は「夫婦間DVで、子どもへの直接的な暴力がなくても、子どもへの悪影響は大きい」と話す。
 夫から妻へのDVを見ていた子どもは、父親と別居した後に暴力などの行動を起こすことがあるという。「父親は『自分が離れたことで、子どもが不安定になった』と思うが、そうではない。父親が近くにいなくなり、恐怖で閉ざしていた心が動くようになったため、そうした行動がでてくる」と指摘する。
 また、中には父親の影におびえ、似た人を見たり、似た声を聞くだけで怖がる子どももいるという。その場合、面会交流が適切でないとの意見書を書くことがあるが、裁判所が面会交流をさせる決定をする例が増えているという。
 「もちろん会わせてよいケースはあるが、とにかく会わせるというのは危険」と警鐘を鳴らす。
 (寺本康弘)

【それは無能、無責任な第三者の言い訳です】「夫婦がいがみ合っているなら子どものためにも離婚した方が良い」という理論は、自殺者の意思決定過程と同一

出典:平成29年1月19日 土井法律事務所ブログ

【それは無能、無責任な第三者の言い訳です】「夫婦がいがみ合っているなら子どものためにも離婚した方が良い」という理論は、自殺者の意思決定過程と同一

良心的な人の中にも夫婦がいがみ合っているくらいなら、離婚をした方が、子どものためにも良いという人がいます。

これは、自死に踏み切るときの人の考え方と同じです。

とてもわかりやすい例なので紹介してみることにしました。

特徴的なことは、選択肢が極端に限られていることです。

選択肢A:子どもの前でいがみ合いながら夫婦生活を続ける
選択肢B:離婚する

さあどちらを選ぶということですからこれはまともな大人の思考ではありません。
選択肢Aには、バリエーションがあるはずです。

選択肢A-1
いがみ合いの原因を探究して、あるいは原因はともかくいがみ合いをやめる。
ということがまともな人間の選択肢です。

また、選択肢A-2
いがみ合いを続けながらも子どもの前では、仲良くふるまう。

あるいは,選択肢A-3
いがみ合いを弱くしつつ楽しい共同行動も増やす。

まあ、
選択肢Aー3が実際的でしょう。

そもそも、多少の軋轢があるということが普通だと思うし、それが健全な姿だと思いますよ。

全く、喧嘩もない夫婦、ニコニコと意見の違いを昇華させていく夫婦そういうのは現実的なのでしょうか。

意見の違いがあって、言いたいことを言うために。
少し相手に遠慮があるからこそ、多少の怒りという勢いが必要なのだと思います。

全くいさかいのない夫婦は、どちらかが我慢したり、あきらめたり無理をしているんじゃないかなとそう思うのは、少しひねくれていますか?

問題は、悪口言われたり、多少ひどい扱いを受けても修復する力があるかどうかということになると思います。

これは、子どもにとって、一番有益です。けんかないし、意見対立が不可避でも、それで終わりにならないということを目の前の身内を見て学習するということです。

大事なことは、嫌なことはなかったことにするということと、水に流す力ですね。
絶対一緒にいるということです。それができれば、いさかい、大いに結構だと思います。

自死の思考パターンも全く同じです。

例えば、このまま会社で苦しみ続けるか死ぬことによって苦しみから解放されるかという選択肢しかなくなってしまうのです。

当事者から聞くと、会社を退職するという選択肢も出てこないのだそうです。

もちろん、会社の人間関係を修復しよう等と言う前向きな考えにはなりません。

自死の場合は、いろいろな嫌なことがあり、自力で回復することができないという不可能感と自分には有効な味方がいないという極端な孤立感のため、だんだん焦りが高まっていきます。

落ち着いてものを考えることができなくなり、第三の選択肢が思い浮かばなくなり、自死をすることで死亡した後のこと等も漠然としか考えられなくなるようです。
何をやってもうまくいかないだろうという悲観主義的な思考も現れます。

ある意味、それは、自分がそういう立場に追い込まれているということになります。

ところが、離婚の場合は、第三者が、当事者に対して「親が喧嘩ばかりしていたら子どもも不幸でしょうと」無責任なアドバイスをしているのです。
悪魔のささやきです。

外にも選択肢があるのに、第三者がそれを切り捨てたり、目隠しをしたりしているわけです。
犯罪的だと思います。

離婚が子どもに対して、長期にわたり負の影響を与えること自体は確立した結論です。

離婚という他人の人生、特に子どもの健全な成長にかかわる弁護士、裁判所関係者は、病的な視野狭窄型の選択を迫るのではなく、一次的には、夫婦が子どもを育てていくという選択肢を追及するべきではないでしょうか。

お互いを好きあって結婚した夫婦です。不和が生まれるのには、それなりの理由が必ずあります。離婚して子どもとはなれるくらいならば、これまで生き方を我慢して修正するべきです。

そういう問題提起を専門家は行うべきです。

他人の人生なんてどうでも良い、子どもの成長も、子どもの自己責任だという大人があまりにも多く、それを自覚しない専門家が多すぎると思います。

また、人間同士の関係を修復する力が極端に弱く、夫婦というのは、憐れみの対象である被害者になりやすい依存傾向のある人間と攻撃すべき対象である自己愛型パーソナリティ障害者の組み合わせだと信じているかのような無能な専門家にはなりたくないと強く思っております。

<子の幸せは?> 離婚後も親の責任意識を

出典:平成29年2月9日 中日新聞

<子の幸せは?> 離婚後も親の責任意識を

 離婚後に別々に暮らす親子に交流を促す「親子断絶防止法案」(通称)の国会提出を、超党派の国会議員連盟が目指している。別居した親が子どもに会おうとしても同居親の同意を得られず、調停や訴訟の件数が増えていることが背景にある。ただ、ドメスティックバイオレンス(DV)の被害者には、元配偶者と子どもの面会に強い不安を感じる人も少なくない。子どもにとって何が一番良いのか。それをめぐる意見の対立も深い。議連事務局長の馳浩衆議院議員に法案の狙いを聞いた。

親子断絶防止法へ活動 馳衆院議員に聞く
 -法案の目的は。
 子どものいる夫婦が離婚した場合、養育費の支払いと面会交流を通じて子どもの成長を見守ることは親の責任として果たす必要がある。しかし、実態はいずれも十分ではない。離婚にはそれぞれの事情があるが、養育費が支払われないことで、子どもが経済的に困難になってはいけないし、両方の親と交流を続けることも必要だ。
 -法律で定める必要があるのかという意見がある。
 家庭の問題に法律が入ることは難しい。しかし、社会で一定のルールはつくっておく必要がある。法案に罰則規定はなく強制力がないといえばそれまでだが、法制化によって、養育費を払う、面会交流をするという意識を浸透させられると考えている。
 離婚やその後については、夫婦でしっかり話し合い、合意することが大切だ。だまって子どもを連れて出て行くケースがあるが、それは基本的にはいけない。話し合うのに危険があれば、児童相談所やDV被害者の支援機関に相談するなどしてほしい。第三者に入ってもらうのがよい。
 -子どもを面会交流させることに、強い不安を持つ人も少なくない。
 法案は「子どもの最善の利益を考えて」と強調している。全く会わせないことがいいという判断もあると思う。子どもへの虐待や夫婦間でのDVがあった場合についての配慮も法案には具体的に盛り込んである。
 どちら側からも法案の内容では不十分という意見がある。双方の話を聞き、原案をずいぶん修正した。各党に持ち帰ってもらっているが、全会派の合意を得て成立させたい。

養育費・面会交流 取り決め書面に
 超党派議連は二〇一四年三月に発足。自民、民進など衆参の国会議員七十人で構成している。法案は、離婚後も父母が子どもと面会交流などを通じて、継続的な関係を持ち続けることが原則として「子の最善の利益に資する」と掲げる。現状では、取り決めがないことが多い養育費の支払いや面会交流の実施について、離婚時に書面にするよう努めることを柱としている。同居親が実現するようにするとしている。
 法案が議論される背景には、父親を中心に面会を求める別居親が増えていることがある。面会交流の調停や審判を父親が申し立てる件数は、十年前の二・六倍。厚生労働省の一一年度の調査によると、父親と子どもが別居していて、定期的に面会交流をしているのは27・7%にとどまっている。
 夫婦の一方が、相手に黙って子どもを連れて出て行き、離れて暮らす親が子と会えない事態が各地で起きていることを受け、法案は国や自治体に対し、防止に向けた啓発も促す。
 議連の中で協議を重ね、法案は修正されてきた。当初、子どもの意思を重視する趣旨の条文はなかったが、面会交流の実施については、子どもの意思を確認する機会の確保に努め、その意思を考慮することを盛り込んだ。また、児童虐待や元配偶者へのDVなどがある場合は「特別の配慮がなされなければならない」としていたが、より具体的に、面会交流を行わないことを含めた特別の配慮を求めている。
 超党派議連は法案を各党に持ち帰り、議論している段階。今国会での成立を目指している。
 (寺本康弘)

離婚「裁判沙汰」抵抗なく 家裁の案件、16年100万件超

出典:平成29年2月9日 日本経済新聞

離婚「裁判沙汰」抵抗なく 家裁の案件、16年100万件超

 家庭裁判所が扱う「家事事件」が2016年に初めて100万件を超えることが確実になった。大きな要因の1つが、離婚をめぐる夫婦のトラブルが数多く家裁に持ち込まれるようになったことだ。養育費や子供との面会をめぐる争いが増えており、専門家は「対立が深まって裁判所頼みになる前に、問題を解決できる仕組みが必要」と指摘する。
 「夫婦が激しく争い、歩み寄りが難しい案件が増えた」。離婚を巡る争訟に詳しいベテラン裁判官は実感を語る。人口動態調査によると、2015年の離婚件数は約22万6千件。前年より増えたが、30万件近くあった00年代前半と比べると低い水準だ。結婚件数そのものが減っていることなどの影響とみられる。
 しかし、離婚に絡む法的な争いは増えている。例えば、子供と一緒に生活して世話をする「監護者」を定める調停と審判の申し立ては15年に4562件と、10年間で3倍以上になった。1組の夫婦が離婚や養育費の支払い、子供との面会など複数の事件で争うケースも目立つ。
 専門家は夫婦の問題が裁判沙汰になるのを敬遠した風潮が弱まり、裁判所に解決を求めていると分析する。早稲田大の棚村政行教授(家族法)は「インターネットで(調停などの)手続きや専門の弁護士を簡単に調べることができるようになり、裁判所で決めてもらおうと考える人が増えた」とみる。
 東北大の水野紀子教授(民法・家族法)は「これまでも養育費や面会を望みながら泣き寝入りしていた人は多かったはずだ」と指摘。「婚姻中から十分な生活費が渡されずに困るケースなどもあり、早い段階で行政が関わり、離婚の条件や子供の養育の問題を解決できる仕組みが必要だ」と話す。
 対策を講じた自治体もある。兵庫県明石市は14年から離婚届を出す人らに対し、養育費支払いの期限や面会の内容・頻度を書き込む合意書などを配っている。法務省は明石市の例を参考に合意書作成の手引をまとめ、全国の市区町村にこうした取り組みを促している。
 家裁は離婚のほか、後見や相続などに関わる審判や調停を中心に手がける。高齢化の進行を映して後見人の選任・監督や相続放棄なども増えており、家事事件全体の件数を押し上げた。
 一方、一般の民事事件・行政訴訟、窃盗などの刑事事件、少年事件はいずれも減少傾向にある。刑事事件についてみると、16年1~11月に全国の裁判所が受理したのは被告の人数ベースで約91万件だった。16年は初めて家事事件が刑事事件を上回る可能性がある。

“DV冤罪も…”我が子に会えない父親たちの苦しみ

出典:平成29年2月8日 BLOGOS

“DV冤罪も…”我が子に会えない父親たちの苦しみ

DV認定はされずも、親権は母親に
人口動態統計によると、日本では、年間20万件以上、つまり夫婦の3組に1組が離婚している。人口1000人あたりの離婚率は1.77(2016年)だ。そんな中、子どもと会えない親たちがいる。
先日も、別居中の夫婦が、9歳の長女の親権をめぐって争った裁判の判決があった。千葉家裁松戸支部(庄司芳男裁判官)は2016年3月、長女と別居しながらも、「年間100日、母親が子どもと面会できるようにする」と提案する父親に親権を認めていた。しかし、17年1月26日、東京高裁(菊池洋一裁判長)は、子どもと同居する母親を親権者とする判決を下した。傍聴席には、自らも子どもと会えない時期があったノンフィクション作家の西牟田靖さんが座っていた。『わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち』(PHP研究所)を上梓したばかりだ。
東京高裁での親権争いは、母親に親権を認めた結果になった。判決によると、母親は10年に長女を連れて実家に帰った。別居する父親は何度か長女と面会していたが、夫婦関係が悪化するにつれて、面会交流が難しくなっていた。この裁判では、「年間100日」という、欧米では標準的な面会交流の日数を提案している父親に親権を認める千葉家裁の判決を東京高裁がどう判断するのかが焦点だった。
いわゆる、フレンドリー・ペアレント・ルール(友好的親条項)というものがある。離婚後に子どもの親権を決める際、別居の親と子どもの面会交流に協力的か、別居の親を子どもに肯定的に伝えることができるか、など親権者として適正かどうかを判断する。千葉家裁はこのルールにそった内容だった。しかし、日本でこのルールを適用したのは異例だったと言える。
一方、東京高裁は継続性の原則を重視し、長女と同居する母親に親権を認めた。つまり、生活環境が安定していれば、現状維持となる。異例だった千葉家裁判決とは違い、これまでの判例通りの判断をした。別居時に、一方が子どもを連れて出ていくことを“連れ去り”と言われることがあるが、継続性の原則は、どんな形であれ、一緒に住んでいる親を親権者として認めるものだ。
私は判決言い渡しを傍聴していたが、西牟田さんも傍聴席にいた。その後、夫と妻それぞれの会見が司法記者クラブであったが、2人とも会見に参加した。母親に親権を認めた点に「結局、継続性の原則が勝つのか...」と思ったようだ。また、夫側の会見では、妻側が“夫はドメスティック・バイオレンス(DV)の加害者”と主張し、それを前提に署名活動が行われていた点に、弁護団は憤慨していた。裁判では証拠がなく、DVは認定されなかった。
 『わが子に会えない』でも、妻側にDVを主張されて、警察に逮捕されるケースまで描かれている。西牟田さんはDV冤罪について「人はそれなりの正義を持っている。強固であるほど意見や立場の異なる人たちに関する許容度は減るのではないか」と感想を持ったようだ。
この裁判では、夫側が判決を不服として上告した。最高裁が受理すれば、裁判は続く。私としては、夫婦の関係崩壊は仕方がないとしても、実際に子どもへの危険がない限り、親子ができるだけ自由に面会できる権利や環境整備をしてほしい、と願うばかりだ。

別居親子交流、子ども第一で

出典:平成29年2月8日 毎日新聞

別居親子交流、子ども第一で

別居中の両親が長女(9)の親権を争った訴訟の控訴審で1月、母を親権者とする判決が出た。裁判では、離れて暮らす親と子の面会のあり方が焦点の一つだった。別居親を中心に面会促進をめざす法整備を求める声が上がる中、子を尊重した面会交流をどう実現させるかの議論が広がっている。

 ●訴訟、面会焦点に
 1審・千葉家裁松戸支部と2審・東京高裁の判決によると、夫婦関係の悪化から母は2010年、当時2歳の長女を連れて実家に身を寄せた。1審で父は「自分が親権者になれば、母に年100日の面会交流を認める」という共同養育計画を提案。1審はこれを評価し、娘と離れて暮らしてきた父を親権者とする異例の判決を下した。
 しかし東京高裁は、父の計画に難色を示した。「距離の離れた父母宅を年100日往復するのは体への負担、学校や友人との交流への支障が生じる恐れがあり、長女の利益になると限らない」と判断。親権者は母親とするのが相当とした。
 父側は母親が長女を連れて別居したことを「一方的な連れ去り」と主張したが、高裁は「仕事で多忙な父に長女の監護を委ねるのは難しく、険悪な夫婦間では事前の協議も困難」と判断した。
 小川富之・福岡大法科大学院教授(家族法)は「親権者は、子の健全な成長に関する事情を考慮し、子の利益の観点から決めるべきこと、面会交流は考慮事項の一つに過ぎないことが明確に示された」と評価。配偶者から子を引き離す「子連れ別居」については、「子の利益になるかどうかを基準に判断するという姿勢が示された点も重要」と解説する。
 棚村政行・早稲田大教授(家族法)は「1審の見直しは妥当」としつつ、新しい面会交流のあり方への言及がないことを批判した。「新たな親子関係を築くための一歩踏みこんだ発想がない」
 面会交流に関する調停申し立ては近年急増。15年の受理数は1万2264件で、10年で2倍以上に増えた。子どもとの面会ルールを定めずに離婚したり、父母間で取り決めることが難しかったりする現状が背景にある。日本では離婚後は単独親権制で、親権者の約9割が母親。申し立ての大半は父親によるものとみられる。
 ●DV原因、ためらい
 当事者から法整備を求める声もあり、超党派の国会議員でつくる親子断絶防止議員連盟(会長・保岡興治衆院議員)が昨年、面会交流の促進を柱とした「親子断絶防止法案」をまとめた。
 だがDV(配偶者間暴力)や虐待がからむ離婚では、加害者に子を会わせることをためらう親も少なくない。司法統計によると、妻からの離婚調停申し立ての動機は▽生活費を渡さない▽精神的虐待▽暴力--が上位四つのうち三つを占める。このため法曹や被害者支援団体を中心に、反対意見が噴出。一部が修正されたが、「面会交流を理由に関係を維持すれば、被害が続きかねない」といった慎重論は根強い。実際、ストーカー被害を訴えた長崎市の女性が元夫に殺された1月の事件は、子の面会のため女性が元夫の所に出向いた時に発生していた。
 夫のDVが原因で離婚したある女性は、殴られた記憶がよみがえり、再び夫と関わり、子どもを面会させることが怖くて仕方ない。「裁判所もこうした気持ちには配慮してくれない」と涙ぐむ。離婚訴訟では夫のDVが認定されたものの、元夫と子どもとの月1回の面会交流が決まってしまった。面会のたびに母子ともに精神的に不安定になる。「親子の心理を丁寧にみてくれ、安心して子を預けられる環境整備が先決ではないか」
 ●少ない第三者機関
 面会交流では、面会場所の提供や立ち会い、子の受け渡しで当事者を支援する第三者機関がある。だが公益社団法人「家庭問題情報センター」など全国で約40団体のみ。行政の補助金など資金援助はほとんどなく、財政的に厳しい。利用料も1回5000~1万円ほどかかり、利用が広がらないのが現状だ。多くの面会交流は父母か代理者で行われ、当事者の自助努力しだいであることが日本で面会交流が活発化しない背景にある。
 支援団体の一つ、NPO法人ウィーズ(千葉県船橋市)の光本歩副理事長は、自身も両親の離婚を経験した立場から「親との関係性を子ども自身が決めることが大切」と考える。法案については「離婚後も、両親が子の養育に責任を果たさなければならないことに社会の関心が高まるなら歓迎だ」とした上で、「支援者や司法が両親に長期的な計画作りを促し、子の成長に応じて意思を確認することが不可欠だ」と話す。
 棚村教授は法案を発展させ、国や社会が子の養育を支える「子ども養育支援基本法」を作る必要があると提言する。「現在の法案は離婚時の面会交流・養育費の取り決めやその実行について、親個人に責任を課す法律構成。これでは父母の対立をあおり、子の利益を損ないかねない」と懸念。「子の養育の合意形成、それが適当かどうかの判断、その後の実行や生活安定に至るまで、困難を抱えた家族を国や社会が支援する法制度が必要だ」と話した。【中川聡子】

親子断絶防止法案の要旨
▽離婚後も父母と子の継続的な関係維持を促進する(基本理念)
▽父母とどう関係をもつか、子どもに意思を聞くよう努める
▽児童虐待防止法とDV防止法の趣旨を尊重する
▽離婚時に面会交流と養育費分担を書面で決める
▽子どもと暮らす親は面会交流の実現に努める
▽面会交流が子の利益に反する恐れがあれば、特別の配慮をする
▽国は離婚後の父母の共同親権制度の導入や養育費確保のあり方を検討する

離婚後の親子、交流促進を=超党派議連が議員立法

出典:平成29年2月6日 時事通信

離婚後の親子、交流促進を=超党派議連が議員立法

 自民、民進両党など超党派の「親子断絶防止議員連盟」(会長・保岡興治元法相)は、離婚や別居で婚姻関係が破綻した父母の一方と、離れ離れになった子が面会や交流を通じて、継続的な親子関係の維持を促進するための法案をまとめた。離婚の際、子の監護に要する費用の分担や子との面会頻度を、書面で取り決めるよう努力義務を課したのが柱。各党で今国会へ共同提出を目指す。
 法案は基本理念で、離婚後の継続的な親子関係の維持について「実現が図られなければならない」と規定。その上で「子に意思を表明する機会を確保するよう努め、健全な成長、人格形成が阻害されることがないようにしなければならない」とした。
 また、法案は、父母に対し、子との定期的な面会、交流を安定的に行い、親子としての良好な関係を維持するよう求めた。国は必要な啓発活動や援助を行うとし、地方自治体にも、国と同様の活動などを行う努力を促した。

親権訴訟 連れ去り後を絶たない争い 今後どうなる 1・2審逆転訴訟からひもとくと…

出典:平成29年2月5日 産経新聞

親権訴訟 連れ去り後を絶たない争い 今後どうなる 1・2審逆転訴訟からひもとくと…

 夫婦仲が悪くなるなどして別居や離婚をせざるを得なくなったとき、子供の幸せや利益はどうしたら守られるのか-。別居中の40代の夫妻が長女(9)=妻と同居中=の親権を争った訴訟で、1月26日、東京高裁で控訴審判決が言い渡された。この訴訟では、1審の千葉家裁松戸支部が従来とは異なる判断枠組みを示し、夫側を勝訴としたことで注目されていた。しかし、東京高裁は従来の判断基準を尊重し、妻を勝訴とする逆転判決を言い渡した。離婚が珍しいことではなくなり、親権争いの増加も見込まれる日本で、一つのモデルケースとなったこの訴訟を通じ、親権決定の在り方を検証する。(社会部 小野田雄一)

揺らぐ従来枠組み

 判決後、妻側は「1審判決は従来の枠組みを否定した誤った判決だった」と指摘。夫側は「従来枠組みは子供の連れ去りを助長するものだ。高裁判決は現実に起きている問題を見ていない」と批判した。この訴訟は夫側が上告し、最高裁で争われる見通しだ。

 ただ、政治の世界では夫側の問題意識に沿った立法も計画されている上、国境をまたぐ子供の連れ去りを禁じた「ハーグ条約」への加盟などで、従来枠組みの妥当性が揺らいでいるのも事実だ。

 判決によると、夫妻は平成18年に結婚し、翌年長女が生まれた。しかし長女の養育方針などをめぐって不仲となり、けんかをするようになった。22年、妻が夫の不在時に長女を連れて自宅を出た。当初、妻は夫に長女と面会させていたが、面会方法などをめぐって対立し、同年9月以降、面会は実現していない。その後、妻は夫が持つ長女の親権を渡すよう夫を提訴。夫は長女を引き渡すよう妻を反訴していた。

寛容性の原則重視の1審

 1審は、夫が「自分が親権者になったら、年間100日、妻と長女を面会させる」と訴えたことを重視。「長女が両親の愛情を受けて健全に育つためには、夫と長女の面会を月1回程度としたいと考えている妻よりも、夫に養育される方が望ましい」と判断し、夫に親権を認め、妻から夫へ長女の引き渡しを命じた。

 この1審判決は、欧米的な「フレンドリーペアレントルール」(相手の親に、より有利な条件を提示した親を有利とする基準=寛容性の原則)を重視した初の事例として注目された。

 従来、親権者を決めるにあたっては、(1)継続性の原則(現在の子供の成育環境に問題がないのであれば、その環境からあえて子供を引き離すべきではないという考え方)(2)母親優先の原則(子供は母親に育てられる方が望ましいとする考え方)(3)愛着の原則(子供がなついている親を優先すべきだとする考え方)(4)子供の意思(子供が一緒に暮らしたいと望む親を有利とする考え方)-など、複数の基準を総合的に考慮するのが判断の枠組みとなっていた。

 一方、「寛容性の原則」はこれらの基準に比べ優先度の高い基準ではなかったとされる。1審判決は、寛容性の原則を高く評価し、従来の判断枠組み上は有利だったはずの妻を敗訴としたことで注目された。

 しかし控訴審となった東京高裁の菊池洋一裁判長は、「親権者を決めるにあたっては、寛容性の原則のみを重要視するのは不適切で、さまざまな状況を総合的に判断すべきだ」と従来の枠組みに沿った判断を示した。

 その上で、長女の現在の成育状況に問題はない▽100日面会は、夫と妻の間を移動する長女にとって負担が大きい▽長女は母親と一緒に住み続けたいとの考えを持っている-ことなどを考慮。妻を親権者とすることを決定した。

 ただ、妻側は「夫からは金銭的・肉体的・精神的なドメスティックバイオレンス(家庭内暴力、DV)があった」と主張したが、菊池裁判長は「DVは認められない」と退けた。

今国会提出目指す親子断絶防止法

 夫側はこの判決を厳しく批判した。

 判決後に会見した夫側は「現実的に、子供を連れ去って学校などに入れ、DVをでっち上げ、子供に相手の親の悪口を吹き込んで子供の意思をゆがめて親権を取ろうとする行為が相次いでいる。従来基準は、連れ去りをした方が有利になるというおかしなものだ」と指摘。「寛容性の原則は、連れ去りやDV冤罪(えんざい)、子供の意思がゆがめられることなどを防ぎ、両親から子供が愛されて育つことで子供の利益を守るための概念だ。こんな判決では、連れ去りはなくならない」などと話した。

 こうした夫側の問題意識に基づく法律の制定を目指す動きも出ている。

 超党派の国会議員らでつくる「親子断絶防止議員連盟」は、親子断絶防止法案の今国会への提出を目指している。法案は(1)夫婦は別居や離婚する際は、子供と同居しない親と子供が定期的に面会できるよう、面会方法を書面で取り決める(2)国は夫婦の取り決めをサポートするというものだ。また、別居の背景にDVがあった場合や面会が子供の意思に反する場合は、配慮することも盛り込んだ。

 同法案は罰則規定のない理念法。同連盟で中心的な役割を担う馳浩・前文部科学相(55)は「日本はハーグ条約に加盟し、国際的な子供の連れ去りは認めないということになった。しかし、国内での連れ去りが後を絶たないことは問題として把握している」と指摘。「子供をどちらが取るかをめぐって、夫婦が対立するのは子供にとって望ましくない。そうした事態を防ぎ、子供が両方の親から愛される社会を目指すべきだ」と話した。

 ただ、同法案をめぐっては、一部の女性人権団体などから「離婚や別居は夫のDVが原因であることが多い。DVの本質は暴力ではなく、相手を支配しようとする欲求だ。法案はDVに配慮するとしているが信用できない。実際に成立すれば、DVをする夫にも際限なく子供との面会を認める根拠ともなりかねない。子供や女性の権利が侵害される恐れが強い」と批判の声も上がっている。

単独親権と共同親権

 1月26日の高裁判決は従来基準に沿ったものとなったが、親子断絶防止法案やハーグ条約加盟などの社会的動きは、「連れ去りは不当だ」とする夫側の主張が無視できないものになっているということを示している。さらに識者の間でも、離婚・別居する夫婦間に必要以上の対立が起きるのを避けるため、現行の単独親権を改め、欧米的な共同親権を日本にも導入すべきだという声も上がっている。

 こうした社会的動向に照らせば、子供の親権を決定する判断基準は現在、過渡期にあるといえる。両親が離婚・別居した子供にとって、何が幸せなのかという基準も一定ではない。今後、同種訴訟などで判例が積み重ねられれば、従来の判断枠組みが徐々に変わっていく可能性も十分にあるといえそうだ。

「わが子に会えない」 父親18人の苦悩をルポ

出典:平成29年2月5日 毎日新聞

「わが子に会えない」 父親18人の苦悩をルポ

 ノンフィクションライターの西牟田靖さん(46)が、離婚後に子供に会えずに苦悩する父親の姿をつづった「わが子に会えない」(PHP研究所)を出版した。自らも離婚後、一人娘に会うために苦労を重ねた西牟田さんに、父親たちに起きている現状を語ってもらった。【米田堅持】

父親からの問題提起
 西牟田さんは、神戸学院大学を卒業してIT企業に就職したが、8カ月で辞めた後、フリーのライターとなった。北方領土や竹島などを自らの足で歩いたうえで「誰も国境を知らない」(朝日文庫)▽「僕の見た『大日本帝国』」(角川ソフィア文庫)など、ニュートラルな目線のルポを書き続けてきた。最近では多数の本を収集した人たちを訪ね歩いた「本で床は抜けるのか」(本の雑誌社)のように身近な話題を掘り下げたテーマでも出版している。これらのルポも、先入観を排して一歩引いた中立的な視点で現場で奮闘する当事者たちを描いてきた。
 今回の「わが子に会えない」では、父親ばかり18人から聞き取ったエピソードがつづられており、母親サイドの話はない。これまでの西牟田さんの作品にはない、父親サイドのみで出版したことについて「母親から見た問題提起は数多くされていたが、父親から見た問題提起や体験が語られることはなかった」と執筆の動機を話す。自らも離婚を経験し「娘と面会するためにいろいろな苦労を重ねる中で、今まで見えてこなかった父親たちの言葉を形にしようと考えた」という。
父親たちのイタコとして
 父親たちは、自らが同様の境遇に置かれているので取材を受けてくれたが、それぞれの事情もあり3人が出版前に掲載を拒否したという。掲載された18人の言葉は、子供や離婚の経験の有無にかかわらず、一気に読むのは難しいほど重い。西牟田さんは「2人分はキーボードで入力したが、全員をキーボードで書き上げることは、自らの経験とも重なって手が止まってしまい不可能だった。音声入力ソフトを使って入力し、父親たちの言葉を伝える『イタコ』に徹することで書き上げることができた」と執筆時の心境を述べた。
男女同権のはずが
 取材を進めるうちに、父親たちの苦悩の背景には「硬直した既成概念が多くの苦悩と犠牲者を生んでいることに気づいた。男女同権と言いつつ、親権を例に挙げれば、個別の事情を精査せずに、(結論ありきで)母親とされるケースが圧倒的に多い」と西牟田さんは話す。
 そうした個別事情が反映されにくい背景のひとつに、西牟田さんは現場の人手不足を挙げる。「裁判所も含めて現場は圧倒的に人が足りない。親権だけでなく、子供との面会交流についても余裕がなく、実質的な審理が行われないことも珍しくない。それが『親権は母親、面会は1カ月に1度で2時間』という相場を形成し、画一的な判断が積み上げられてきた」という。そして「『勝訴の方程式』が生まれたことで、親子の幸せを無視したビジネス優先の弁護士が暗躍する土壌ともなっている」と指摘する。
共同親権をめざして
 父親たちの苦悩が表面化してきた大きな要因のひとつに、2001年の配偶者暴力防止法(DV防止法)の施行があるという。「危険な暴力から被害者や子供たちを守るべき法律が、家族を引き裂く副作用も起こしている。痴漢と同様に、DV(ドメスティックバイオレンス)といえば加害者は男性と決めつけられ、被害者が加害者になってしまうケースさえある」
 さらに西牟田さんは「男性が実質的な傷害罪の被害者だった場合でもシェルター利用のハードルは高く、加害者だった女性がDVを申し立てれば、男性側の言い分は一切無視されるのは、男性差別と言わざるを得ない」と語気を強める。また「急に子供に会えなくなるのは、父親から見れば災害にあったか拉致されたようなもの」とも語る。
 「日本では過去に家制度があり、別れたら母親は外へ出され、子供に会えない風潮があった。現在は逆になり、別れた子供に会うことを望む父親も増えている。子供は離婚しても多くは両親に会いたがるし、会わせるのが本来の姿だろう」と語る西牟田さんは、子供の気持ちを考えることが「子の福祉」を考える上で重要だと述べる。
 また、親権については「もちろん、子供や母親に危害を与えるようなケースの対策は必要だ。米国などでは親権はどちらか片方が持つのではなく、共同親権で男女の別なく子供に関わり、離婚時に行政が介入して子供の養育などについてきちんと取り組んでいる。日本でも、思考停止して親権は母親と決めつけるのではなく、共同親権を実現した上で、共同養育計画をたてていくべきだ」と提言する。
 今後については「母親サイドからも書いてほしいという声もある。男女が差別されず、離婚後も子供の幸せを一緒に考えられるようにすることに異論を挟む人はいないだろう。母親や子供の目線での取材も考えていきたい」と語った。

「100日面会」で注目の親権訴訟 背景には団体間の“代理戦争”

出典:平成29年2月4日 週刊文春

「100日面会」で注目の親権訴訟 背景には団体間の“代理戦争”

 別居中の夫妻(ともに40代)が、妻と同居する長女(9)の親権を争った訴訟の控訴審判決が1月26日、東京高裁で言い渡された。一審は、夫を親権者と認め、妻から夫へ長女を引き渡すよう命じたが、高裁は親権者を妻とする逆転判決を言い渡した。

 裁判関係者が打ち明ける。

「この訴訟は、一夫婦の争いを超え、夫妻をそれぞれ支援している団体間の“代理戦争”的な側面があるのです」

 官僚の夫と元国連職員の妻は不仲になり、2010年、妻が夫の留守中に長女を連れて家を出た。最初の数カ月、夫は長女に会えたが、それ以降の面会は途絶えた。

 その後、親権訴訟に発展。昨年3月、一審千葉家裁松戸支部は夫が「妻には長女と年100日会わせる」と約束したことを重視。「夫と長女の面会を月1回と望む妻より、夫に養育されるのが相当」とした。

「従来の親権訴訟は、現在の環境から子供を引き離すべきではないとする『継続性の原則』が重視され、同居中の親が有利でした。しかし一審判決は、相手側に寛容な親を有利とする欧米流の『寛容性の原則』を初適用し、注目されました」(司法担当記者)

 この一審判決に、妻を支援する女性団体が反発した。

「『妻は夫から家庭内暴力を受けていた。弱い立場の女性を守らず、世間一般のDV夫を有利にする不当判決だ』とする書面を高裁に提出していました」(前出・裁判関係者)

 26日の高裁判決は「現在の成育環境や長女の意思を総合的に考慮すべきだ」と指摘し、従来通りの判断を示した。ただ、夫のDVは一審に続き、認定しなかった。

「夫側は、妻に子供を連れ去られた男性らでつくる団体が支援しています。団体の主張は『子供を連れ去ってDVを捏造し、継続性の原則を悪用して親権を奪う手法が横行している』というもの。判決後、夫側は『高裁は卑劣な手法にお墨付きを与えた』と批判しました」(前出・司法担当記者)

 子供との面会交流を求めた調停の件数はこの10年で2倍以上に増えているという。

「今国会では超党派議連が面会支援の法案提出を目指しています。一方で、DVや虐待への懸念から安易な面会支援は問題だと反対する声も根強いのです」(同前)

 本訴訟は最高裁まで争われる見通しだという。

面会めぐる争い 子供の幸福を最優先に

出典:平成29年1月30日 毎日新聞(社説)

面会めぐる争い 子供の幸福を最優先に

 離婚に伴う親権、さらに離婚後の子供との面会をめぐる争いに一石を投じたのではないか。

 別居中の両親が、9歳の長女の親権を争った訴訟で、東京高裁が長女と同居する母親を親権者とする判決を言い渡した。
 この訴訟では、離れて暮らす父親が、離婚して親権を得た場合に年間100日の面会を母親に認めると1審で主張した。千葉家裁松戸支部はこれを評価し、父親の親権を認めた。相手側に友好的な「寛容性の原則」を重くみた異例の判断だった。
 一方、東京高裁は、長女が安定した学校生活を送っていることや、母親と一緒に暮らしたいと言っている事情を重くみた。従来通りの「継続性の原則」に沿った司法判断だ。
 判決の評価は難しい。父親側の代理人は、7年前に母親が無断で子供を実家に連れ帰った経緯を指摘し、「先に子供を連れ去り、もう一方の親の悪口を吹き込めばいいということになってしまう」と批判した。
 子供の平穏な生活が妨げられることは両親の本意ではないだろう。適切な面会の実現など、双方が妥協点を探ることが大切だ。
 離婚件数は年間約22万件に達する。少子化の影響もあり、子供の奪い合いも少なくない。離れて暮らす親が子供との面会交流を求め家裁に起こす調停の件数もこの10年で倍増し、年間1万2000件を超える。
 2012年に施行された改正民法で、離婚の際に子供の利益を優先して、面会交流や養育費の支払いについて取り決めることが明記された。
 だが、面会の日数でもめたり、約束した面会が実現しなかったりするケースが少なくないという。
 まず、優先すべきは争いに巻き込まれてしまう子供の意思や利益を十分に尊重し、幸福を考えることだ。
 13年に家事事件手続法が施行され、おおむね10歳以上の子供は、離婚や面会をめぐる調停に関与できるようになった。弁護士を代理人として依頼できる権限も認められた。
 両親の争いは泥仕合になりがちだ。第三者的な「子供の代理人」が入れば、子供にとってよりよい解決策を導くことが期待できる。積極的に活用すべきだ。
 争いを未然に防ぐため、公的機関を含めた相談態勢を充実させることも喫緊の課題だ。婦人相談所や各市町村などが自主的に設置する女性センターがあるが、ドメスティックバイオレンス(DV)などへの対応に追われ、面会相談まで手が回っていない。
 面会の実現を図るための法案を議員立法で今国会に提出する動きもある。結婚の破綻は子供の責任ではない。子供への悪影響を最小限に抑える方策を考えるのが大人の務めだ。

離婚後の親子関係 子どもの幸せ第一に社会支援を

出典:平成29年1月29日 愛媛新聞(社説)

離婚後の親子関係 子どもの幸せ第一に社会支援を

 離婚後の親子関係を巡ってトラブルが近年増え続けている。先週には、「年間の面会100日」を焦点とする、注目の裁判の判決が出された。
 別居中の夫婦が9歳の長女の親権を争った訴訟の控訴審判決で、東京高裁が夫を親権者とした一審判決を変更、長女と同居を続ける妻を親権者と認めた。面会交流について夫は妻に対して年間100日、妻は夫に月1回を提案。一審は子どもとの交流をより多く相手に認めたことを評価し、父親を親権者と判断したが、高裁は「子の健全な成長は別居親との面会だけで確保されるわけでない」として、別居後の成育状況や子の生活の継続性を考慮し、判断を覆した。
 長女は学校を中心に生活基盤を築いており、子の負担を考えれば「100日面会」は現実的でなく、回数重視の一審判決には疑問があった。個々の事案によって判断は難しいが、提示した面会数だけでなく、生活状況を丁寧に見なければならない。高裁が、子が安心して暮らせる環境を総合的に考えた点は納得できる。
 極端なケースに見えるが、年間の離婚件数が約23万件に上る現代、子との面会を求める親と拒否する親とのトラブルが相次ぎ、家裁での調停や審判の件数が急増している。夫婦は別れても、親子であることに変わりはない。子に不利益が生じないよう、できる限り両親から愛情と援助を受けて成長できる環境の整備を社会で進めたい。

離婚後の親子関係を考えるシンポジウム 東京

出典:平成29年1月28日 NHK

離婚後の親子関係を考えるシンポジウム 東京

夫婦が離婚したあとの子どもの支援について考えるシンポジウムが東京都内で開かれ、離婚や別居で離れて暮らす親子の「面会交流」をめぐり、子どもと別居する親と同居する親、それぞれの立場から当事者が意見を交わしました。
このシンポジウムは、離婚後の子どもの支援に取り組む研究者などのグループが主催したもので、およそ120人が参加し、離婚などで別れて暮らす親子の「面会交流」について当事者などが意見を交わしました。

この中で、子どもと別居している親の立場からは「親子断絶防止法全国連絡会」の寺前忠さんが「別居する親が養育に関われば、一人で子育てしている親にもゆとりが生じ、子どもの幸せにつながる」と双方の親が子育てに関わることの重要性を訴えました。

そのうえで、子どもに会いたくても会えないケースが少なくない現状について「一方の親が何も言わずに家を出て子どもとの面会まで断絶しようとする『連れ去り』を防ぐための新たなルールが必要だ」と主張しました。

これに対し、子どもと同居する親の立場からNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子さんが「別れて暮らす親子の関係が平和に保てることは望ましいし、親を知りたいという子どもの気持ちの面でも重要だ」と述べて、面会交流の意義を認めつつも、「離婚した当初は仕事探しなどで気持ちに余裕がないことも多く、面会を求められても難しいのが実情だ。子どもが安心して別れた親とも関係を築いていけるような支援体制を充実させてほしい」と訴えました。

専門家「子どもの利益を最優先に」

家族法が専門で今回のシンポジウムを主催した早稲田大学法学学術院の棚村政行教授は「離婚も増え、家族は多様化しているが、総合的に子どもの養育を応援するという体制は十分整っていない」としたうえで、子どもの利益を最優先に考えた法整備などを検討するべきだと指摘します。
棚村教授は「どうしても大人どうしの意見の対立になりがちだが、子どもの幸せを第一に知恵もお金もパワーも集中させる議論が必要だ。面会交流だけでなく、養育費や子育て全般などさまざまな面から支援が必要な人が多い。家庭のことだから自分たちでやりなさいということではなく、国や自治体など関係する機関が積極的に関わり、当事者や子どもの支援をする枠組みを社会全体で考えていきたい」と話しています。

超党派の国会議員が法案の準備

面会交流をめぐっては、超党派の国会議員が、別れて暮らす親と子が定期的に会い親子関係を維持することを促す法案の準備を進めています。

現在検討されている法案では、夫婦が離婚する際には、別れて暮らす親と子どもの面会交流や養育費の分担について、あらかじめ書面での取り決めをすることや、面会交流を定期的に安定して行い、面会が行われていない場合は、早期に実現されるように努めること、国や自治体は、定期的な面会についての相談や支援を充実させることなどが、盛り込まれています。

一方で、子どもに対する虐待や元の配偶者に対する暴力などの事情がある場合には、面会交流をさせないことを含めて、実施の場所や頻度など特別な配慮をするとしているほか、定期的な面会交流については、年齢や成長の発達に応じて子どもが自分の意思を表明する機会を確保するとされています。
超党派の国会議員はこの法案を今の通常国会に提出することを目指しています。

親権訴訟 面会交流重視の1審を覆す判決 東京高裁

出典:平成29年1月26日 NHK

親権訴訟 面会交流重視の1審を覆す判決 東京高裁

離婚する夫婦が子どもの親権などを争った裁判で2審の東京高等裁判所は、「子どもが育ってきた状況や現状などを総合的に考慮して決めるべきだ」として、子どもと同居している母親に親権があるとする判決を言い渡しました。1審は親子の面会の機会を多く設けることを提案した父親に親権を認めましたが、判断が覆されました。
この裁判は、7年前から別居している夫婦が、9歳の長女の親権などをめぐって争ったもので、子どもと離れて暮らす父親側は、「自分が親権を得たら母親と長女の面会交流の機会を年間100日は設ける」と提案しました。

1審の千葉家庭裁判所松戸支部は、この提案を評価して父親を親権者と定め、母親に対して、同居する長女を引き渡すよう命じる判決を言い渡し、母親側が控訴していました。

26日の2審の判決で、東京高等裁判所の菊池洋一裁判長は「子どもが育ってきた状況や現状などを総合的に考慮して親権を決めるべきで、面会交流は考慮すべき事情の1つだが、それだけで健全な成育や子どもの利益が確保されるわけではない」という判断を示しました。

そのうえで、「長女は母親のもとで安定した生活をしている。面会交流は円満な親子関係の維持のための有力な手段だが、100日の面会は子どもに負担になるおそれなどがある」として、1審判決を取り消し、母親を親権者と定めました。

1審判決は、これまでの裁判で考慮すべき要素の1つとされてきた面会交流の機会を重要な判断基準とする異例の判決として注目されましたが、2審で覆されました。

母親側「裁判所の的確な判断に感謝」

判決について母親は、弁護士を通じて「的確に判断してもらった裁判所に感謝します。娘のためにも夫婦間の争いは過去のこととして、新しい人生を歩みたいと思っています。夫にも穏やかな気持ちで娘に再会してもらいたいと願っています」というコメントを出しました。

また母親の弁護士は「親の主義主張ではなく子どもの利益を考えるという裁判所の基本的な考え方を示した判決だ。第三者の力を借りながら徐々に父親との面会を進めていき、いい関係を築いてほしい」と話しています。
父親側「早く娘を返して」
判決について父親は、「娘に対して『申し訳ない』のひと言です。最高裁判所に上告しますが、審理が長引けば、当時2歳だった娘が中学生になるかもしれない。最高裁には、迅速に審理してほしい。一刻も早く娘を私のもとに返してほしい」と述べました。

また、父親の弁護士は「東京高等裁判所は、今までの裁判と何ら変わらない判断をした。子どもを連れ去って監護している親のもとで育つのがいいという判断をしたということだ。裁判所は、モラルを放棄したと言われてもしかたがない」と話しています。

専門家「社会全体での支援が必要」

元裁判官で山梨学院大学法科大学院の秋武憲一教授は判決について、「子どもが育ってきた状況や生活環境、子ども本人の意思などを重視して親権を判断していて、これまでの裁判所の判断方法を踏襲したオーソドックスな判断だ」と話しています。

今回の裁判では子どもとの面会交流が争点の1つになりましたが、秋武教授は、「子どもが親の愛を感じて健康に成長するために面会は欠かせないもので、親の権利ではなく、子どもの権利としてとらえるべきだ」として、子どもの立場から面会交流の在り方を考えるべきだとしています。

そのうえで、「離婚が多くなり争いが増えると、全ての問題を親だけで解決するのは難しい。専門家が入った支援団体の整備など社会全体での支援が必要だ」と指摘しています。

裁判に至る経緯と双方の主張

裁判の当事者の夫婦は、7年前に別居し、長女の親権をめぐって争っています。
母親は長女を連れて家を出て、子どもを養育する権利「監護権」を求める審判で勝訴し、今も長女と暮らしていて、離婚後の親権も自分にあるとして今回の裁判を起こしました。

一方、父親は長女との面会を求め、最初の数か月間は会うことができましたが、それ以降は面会できず、裁判の中で親権を求めて争ってきました。

裁判で母親側は「別居する前に長女の世話をしていたのはほぼ自分1人で、家に置き去りにするわけにはいかなかった。長女を住み慣れた環境から引き離すのは利益に反する」と主張していました。

これに対して父親側は「子どものためには、両方の親と面会できるようにすることが大切で、長女を違法に連れ去って面会交流に応じない母親ではなく、自分が親権を持つべきだ」と主張していました。

「面会交流」調整は難航

少子化や男性の育児参加の広がりを背景に、離婚や別居をしても別れて暮らす子どもと「面会交流」を続けることを求めて裁判所に調停を起こす親は年々増えています。

離婚や別居などで別れて暮らす子どもと定期的に会う面会交流について、全国の家庭裁判所に申し立てられた調停は、おととし1万2000件余りで、10年前のおよそ2.4倍に上っています。

しかし、調停が成立した割合は58%にとどまっていて、夫婦間の感情のもつれから調整が難しいケースも多いことがうかがえます。

こうした中、面会交流の支援を行っている公益社団法人「FPIC」には、具体的なアドバイスや面会の付き添いなどを求める相談が相次いでいて、東京の相談室だけでも年間500件ほどの家族を支援しているということです。

FPICの山口美智子さんは「面会交流に対する意識が高まる中で、とりあえず合意をしたが、片方は約束を強要し、片方はいかに逃げようかと考え、結局、子どもを巻き込んだトラブルになるケースもある。長く断絶したあとの交流はとても難しいので、サポートを受けながら環境の変化に対応していくことが必要だ」と話しています。

「面会交流」の新たな法律に賛否両論

「面会交流」をめぐっては、両親の離婚後も子どもが別れて暮らす親と関わりを続けるために必要な支援を充実させようと、超党派の国会議員が新たな法律を作る準備を進めていますが、DV=ドメスティックバイオレンスや虐待などの懸念から慎重な対応を求める声もあります。

6年前の民法改正で、離婚をする場合は子どもとの面会交流について夫婦で協議することが法律に明記されました。

これを受けて、離婚届にも面会交流の取り決めをしているかチェックする欄が設けられましたが、法務省のまとめによりますと、取り決めをしているという件数は未成年の子どもがいて離婚する夫婦の60%にとどまっているということです。

こうした中、超党派の国会議員およそ70人でつくる「親子断絶防止議員連盟」では、別れて暮らす親と子が面会を続けられるよう支援を充実させる必要があるとして、離婚をする夫婦が面会交流について書面で取り決めをすることや、国や自治体が面会交流の実施に当たり相談や支援を行うことなどを促す、新たな法律を作る準備を進めていて、今の通常国会での法案の提出を目指しています。

これに対し、DVや虐待のおそれなどから、安易に面会交流をすすめることは問題だとして法整備に反対する声もあり、離婚後の親子の関わり方をめぐり議論が高まっています。

親権裁判、逆転敗訴の父「私が先に連れ去れば良かったのか」苦悩語る、母側は安堵の声

出典:平成29年1月26日 弁護士ドットコム

親権裁判、逆転敗訴の父「私が先に連れ去れば良かったのか」苦悩語る、母側は安堵の声

両親が子どもの親権をめぐって争っていた裁判で、東京高裁(菊池洋一裁判長)は1月26日、母親を親権者と判断した。一審の千葉家裁松戸支部は昨年3月、長女(当時8歳)と6年近くも会っていない父親に親権を認め、母側が控訴していた。
高裁は、親子がどれだけ多く会えるかという「寛容性」を重視した一審判決を退け、従来通り、同居している親に親権を認める「継続性」重視の判断を下した。
判決後、司法記者クラブで両者がそれぞれ会見。母親は代理人を通じ、「子どもにとって、どちらが親権者にふさわしいか的確に判断していただいた」とコメントした。対する父親は、「私が先に連れ去ったら良かったのか」と険しい表情で語り、最高裁に上告することを明かした。
●父側「両親の愛情を感じて育ってほしい
一審では、母親が父側に月1回の面会しか認めなかったのに対し、母子が年間100日面会することなどを認めた父親の提案を評価。長女が「両親の愛情を受けて健全に成長することを可能とするため」に、父親に親権を認めた。判決は「フレンドリーペアレントルールを採用した判決」として、注目された。
しかし、今回の高裁判決では、両家の距離の遠さや長女の心身の負担などが考慮され、面会が多いことが「必ずしも長女の健全な生育にとって利益になるとは限らない」と、改めて継続性が重視された。
判決に対し、父側代理人の上野晃弁護士は、「子どもを連れ去って、そのまま生活しているから、というだけの結論だ。夫婦喧嘩が起きたら、仲直りするより、先手を打つようになってしまう」と語り、「連れ去り別居」の増加を懸念した。
父側が母親に対し、面会などで寛容な条件を提示したのは、「娘に両親の愛情を感じて育ってほしい」という思いからだという。
敗訴した父親は、上告する意思を明かし、「最高裁は迅速に審議してほしい。子どもの成長は1年1年がものすごく大切。娘は父親を知らないまま、どんどん大人になってしまう」と思いを語った。
長女は今年4月から小学4年生。最高裁の判断が出るまでは、1〜2年程度かかる見通しで、仮に父親が親権者になっても、長女はより「難しい年頃」になってしまう。最後に会ったのが2歳のころなのだから、なおさらだ。
それでも、父親は、「最初は怖がるかもしれないが、数カ月すれば、分かってくれると信じている。『子の意思』というと、美しい言葉で正しいように思うけれど、『学校行きたくない』という子の意思を尊重するのか。子の健全な成長を考えるのが親の責務」と話した。
●母側は「親の利益ではなく、子どもの利益に立った判決」と評価
一方、勝訴した母親側弁護団は、安堵の表情で記者会見に臨んだ。判決について、斉藤秀樹弁護士は、「親の権利とか利益ではなく、子どもの利益に立って、親権者や面会を考えるべきだという裁判所の判断が示された」と評価した。
また、母側代理人の萩原得誉弁護士は、父親側が主張する、「連れ去り」について、育児はほぼ母親が行なっていたことから、置いていけば「置き去り」になる、と母親の思いを代弁した。
母親は弁護士を通じて、「夫にも穏やかな気持ちで娘に再会してほしいと願っています」とコメント。条件が折り合わず実現しなかったが、もともと母側は父親に対し、複数回、面会交流を提案していた。
今後は、東京家裁で続いている面会交流審判の中で、父側と面会条件の協議を進めたい考え。父子が何年も会っていないことから、第三者機関の力を借りながら、徐々に父子の信頼関係を築いてもらいたいとしている。
ただし、父側は「これまで『甘い罠』に釣られて、引き離されてきた親が何人もいる」として、最高裁の決定が出るまで、長女と面会しない考えを示している。

別居中夫婦の親権訴訟、控訴審「寛容な親優先」適用されず

出典:平成29年1月26日 TBS

別居中夫婦の親権訴訟、控訴審「寛容な親優先」適用されず

別居中の夫婦が子どもの親権を争った訴訟の控訴審で、東京高裁は子どもとの面会でより寛容な条件を提示した夫を親権者とした一審判決を変更し、子どもと一緒に暮らしている妻に親権を認める判決を言い渡しました。

 一審判決によりますと、この夫婦は関係が悪化したために2010年に妻が長女を連れて別居となり、夫は7年近く長女(9)と会っていない状態が続いています。裁判では相手方に長女を会わせる回数が争点となり、妻側が「月1回程度」としたのに対し、夫側は「年100日の面会」を提案していました。

 一審の千葉家裁松戸支部の判決では、相手方に対してより寛容な親が優先される「フレンドリーペアレントルール」と呼ばれる基準を適用し、「夫に親権がある」としましたが、26日の控訴審で、東京高裁は、「長女は妻のもとで安定した生活をし順調に成育している」「面会交流の意向だけで親権者を定める重要性は高いとは言えない」さらに、「長女も母親と暮らしたい意向を示している」として、一審判決を変更し「親権は妻にある」という判決を言い渡しました。

 夫側は、判決を不服として直ちに上告するということです。

 「私も娘との約束を果たすために、この6年、7年、頑張ってきましたけれど、娘に対して何も言えない状態」(夫)

 一方、妻は、「娘に良い報告ができることを嬉しく思っています。夫にも穏やかな気持ちで娘に再会して欲しい」とコメントしています。

面会交流の課題学ぶ 子どもの権利シンポ

出典:平成29年1月24日 わかやま新報

面会交流の課題学ぶ 子どもの権利シンポ

 離婚件数が増加する社会情勢の中、離婚後の子どもとの面会交流の権利や難しさについて考えるシンポジウム「実りある面会交流~子どもの健やかな成長のために~」が21日、和歌山市小松原通の県民文化会館で開かれ、面会交流のトラブルなどについて専門の法律家らが解説した。
 和歌山弁護士会が主催し、調停委員や弁護士、一般市民ら約80人が参加した。
 講演した大阪弁護士会子どもの権利委員会所属の莚井(むしろい)順子弁護士は、面会交流が困難になるケースとして、子どもがさまざまな事情で、親権などを持っていない非監護親との面会を拒否する事例を紹介。「アクションを起こさなければ子どもの気持ちは変わらないので、『子どもが落ち着くまでしばらく様子を見よう』というのは避けるべき」と述べた一方で、「面会を強行すれば子どもの利益を損なう結果にならないか、という視点は常に意識してほしい」と呼び掛けた。
 また、子どもの成長には、父親、母親との交流があることが重要とした上で、「子どもを相手側に会わせないようにすると、後々子どもに大きな傷を付けることになる」と述べ、離婚後も双方ができる限り歩み寄る必要性を訴えた。
 その後のパネルディスカッションでは、和歌山弁護士会子どもの権利委員会委員長の沖本易子弁護士をコーディネーターに、莚井弁護士、面会交流を支援している公益社団法人家庭問題情報センター大阪ファミリー相談室の武政司郎さん、県子ども・女性・障害者相談センター子ども診療室児童精神科医の松岡円さんがパネリストとなり、意見交換。面会交流がスムーズにいかなかった場合の仲介サポートの紹介や、子どもへの精神的支援などについてそれぞれの立場から議論を深めた。

「子供と両親の関係守れ」 超党派議連、立法の動き

出典:平成29年1月27日 産経新聞

「子供と両親の関係守れ」 超党派議連、立法の動き

 今回の訴訟は、超党派の親子断絶防止議員連盟(会長・保岡興治衆院議員)が今国会に提出を予定している「親子断絶防止法案」とも密接に関わっている。

 同法案は理念として「子供の最善の利益を実現するため、双方の親と子供の継続的な関係の維持を図る」と規定。

 具体的には(1)離婚・別居する両親は、同居しない親と子供の面会交流の実施や、養育費の分担を書面で取り決める(2)国や自治体は取り決めをサポートする-などとしている。さらに児童虐待やDVがあった場合や、取り決め内容が子供の意思に反する場合は法の適用除外とされうることも盛り込んだ。

 法案作成を中心的に担ってきた馳浩・前文部科学相(55)は「夫婦間での子供の一方的な連れ去りや奪い合いが後を絶たない。そうした事態を無くし、子供が双方の親から利益を受けられる社会を実現したい」と話した。

 ただ同法案について、女性支援団体などから「本当にDVや子供の意思が考慮されるのか。DVをする夫が多い中、問題がある夫にも子供を面会交流させる根拠になりかねない」と懸念する声も上がっている。

親権、二審は同居の妻に 面会回数重視の判断覆す

出典:平成29年1月27日 日本経済新聞

親権、二審は同居の妻に 面会回数重視の判断覆す

 別居中の40代の夫婦が長女(9)の親権を争った離婚訴訟の控訴審判決で、東京高裁(菊池洋一裁判長)は26日、夫を親権者とした一審判決を変更し、長女と暮らす妻に親権を認めた。子供との面会回数をより多く認めた方を親権者とした異例の司法判断を見直し、子供の生活の継続性を重視。同居する親に親権を認めることが多い従来の裁判例と同様の判断を示した。
 昨年3月の一審・千葉家裁松戸支部判決は「年間100日程度の長女との面会を妻に認める」とした夫の提案を重視し、長女を夫に引き渡すよう妻に命じていた。
 26日の高裁判決で、菊池裁判長は「夫婦ともに娘に深い愛情があり、養育環境にも決定的な差はない」と指摘。そのうえで▽長女は妻のもとで順調に育っている▽長女には妻と一緒に暮らす意向がある▽年間100日の面会は長女の負担になる――などの理由を挙げ、「長女の利益を最も優先すれば妻を親権者とするのが相当」と結論づけた。
 「面会は親権者を決める唯一の判断基準ではない。子供の意思や父母との関係など、他の事情よりも重要性が高いとはいえない」とも指摘した。
 一審判決によると、夫婦は2009年ごろに関係が悪化し、10年に妻が長女を連れて実家に戻った。別居は6年以上。夫と長女の面会は10年9月を最後に途絶えている。
 夫は訴訟で、離婚した場合の面会についてまとめた「共同養育計画案」を示し、隔週末や祝日など年間100日程度の面会を妻に認めることを提案。一審判決は「長女が両親から愛情を受けて健全に成長するには、夫を親権者とするのが相当」とし、妻から夫に引き渡す異例の判断をした。
 妻は夫に月1日程度の面会を認めると提案したうえで「長女は母親との暮らしを望んでいる」「年100日の面会は非現実的で長女の負担が大きい」などと主張していた。
 一審の判断から一転、26日の東京高裁判決で親権を認められた妻は「とにかく安堵した。どちらが親権者にふさわしいのか的確に判断してもらい、高裁に感謝する」とコメントした。
 記者会見した妻側代理人の斉藤秀樹弁護士は、夫の提案した年間100日程度の面会が子供のためになるのかを一審判決が考慮しなかったと指摘。「高裁判決は子供の立場に立った常識的な判断だった」と評価した。
 夫も別に会見し、「パパが必ず迎えに行くという約束を果たせると思ったのに、娘に申し訳ない。娘と自分の人生をつぶされた」と憤った。代理人の上野晃弁護士は「子供を連れて出て行けば親権者になれるという従来の家事司法の運用に、高裁がお墨つきを与えた」と批判した。夫側は上告する方針。

「6年別居」の父、逆転敗訴 親権「寛容な親」重視せず 東京高裁

出典:平成29年1月26日 産経新聞

「6年別居」の父、逆転敗訴 親権「寛容な親」重視せず 東京高裁

 40代の夫妻が長女(9)=妻と同居中=の親権を争った訴訟の控訴審判決が26日、東京高裁であった。1審は父娘の面会を月1回程度と望む妻に対し、夫が妻に年100日の面会を約束したことを評価。同居中の親を有利としてきた従来の基準を適用せず、夫を親権者とし、長女を夫に引き渡すよう妻に命令したことから注目を集めたが、東京高裁の菊池洋一裁判長は「面会の約束は他の事情より重要度が高いとはいえない」とし、親権者を妻とする逆転判決を言い渡した。
 1審千葉家裁松戸支部は昨年3月、「長女が両親の愛情を多く受けるためには多数の面会を約束した夫に養育されるべきだ」と判断。従来重視されてきた、現在の成育環境を維持するため同居中の親を優先する「継続性の原則」よりも、欧米的な「フレンドリーペアレントルール」(より相手に寛容な親を優先する基準)を重視し、初適用した事例とされていた。
 2審で妻側は「引き渡しは長女の意思に反する上、慣れた環境から子供を引き離すべきではない。100日面会は子供に負担だ」と主張。夫側は「子供の意思は周囲に影響される。環境変化に子供は適応できる。100日面会は両親からより多くの愛情を受ける利益がある」と反論していた。
 判決で、菊池裁判長は「面会の約束は考慮すべき事情の一つだが、面会だけで子供の健全成育や利益が確保されるわけではない」「長女は妻の下で安定した生活を送っている上、母親との生活を望んでいる」と指摘。「100日面会は移動の負担や、友達との関係にも支障が生じうる。妻側が望む月1回程度の面会でも子供の不利益にはならない」と判断した。
 夫妻をめぐっては、平成22年に妻が夫に無断で子供を連れて家を出た。妻側の「夫にドメスティックバイオレンス(DV)があった」との主張については、1審同様、認定されなかった。

親権訴訟で逆転判決 妻側「適切」、夫側「連れ去り助長」

出典:平成29年1月26日 産経新聞

親権訴訟で逆転判決 妻側「適切」、夫側「連れ去り助長」

 親権訴訟の控訴審で逆転判決が出たことを受け、妻側、夫側はそれぞれ東京都内で記者会見を開いた。
 妻側の弁護団は「判決を聞いてほっとした。今後は夫もおだやかな気持ちで娘と再会してほしい」とする妻のコメントを朗読。続いて「既に築かれた学校や友達との関係を考慮した適切な判決だ。1審は面会を過剰に評価した異様な判決で、実務上も多くの混乱が出た。なぜああした判決が出たのか、司法は検証すべきだ」と指摘した。
 一方、夫の代理人、上野晃弁護士は「子供を突然連れ去られ、会えずに苦しんでいる人が多い現実を無視し、従来基準に沿っただけの判決だ。この判決では、連れ去りをした方が有利になる。連れ去りを助長する不当な判決だ」と批判した。
 判決が子供の意思に触れたことについても、上野弁護士は「判決も『今後もお母さんと暮らしたい』という長女の意思は妻に影響されたと推認される、と指摘した。フレンドリーペアレントルールは、両方の親から愛されたいという子供の意思を尊重したもの。子供にどちらかを選ばせるのは適切ではない」とした。夫は「長女に対して申し訳ない。何も言えない」などと話した。夫側は上告する方針を明らかにした。

別居中の親権、同居の母に 二審は「面会交流」重視せず

出典:平成29年1月26日 朝日新聞

別居中の親権、同居の母に 二審は「面会交流」重視せず

 別居中の夫婦が長女(9)の親権と離婚をめぐって争っている訴訟で、東京高裁(菊池洋一裁判長)は26日、「母親が長女と年間100日間、子どもと面会できるようにする」と提案した父親の訴えを退け、母親を親権者とする判決を言い渡した。長女は母親と同居しており、「環境を変えることが長女の利益になるとは限らない」と述べた。
 この裁判では、離れて暮らす親に定期的に子どもに会わせる「面会交流」の条件が争点になった。父親は「年100日、母親が子どもに会えるようにする」と提案し、母親は「父親が月1回程度会えるようにする」と主張した。昨年3月の一審・千葉家裁松戸支部判決は、離れて暮らすものの、面会交流に積極的な父親に親権を認めた。対立する母親に協力的な面会交流の案を示したことを理由に、親権者としてふさわしいと判断したのは異例で注目された。しかし、この日の高裁判決はこれを変更した。
 判決によると、母親は2010年に長女を連れて実家に帰り、父親と別居。父親は数回は長女と面会できたが、その後に夫婦間の対立が深まって面会できなくなった。
 高裁判決は、親権者を決める際の基準について、「これまでの養育状況や子の現状や意思を総合的に考慮すべきだ」と指摘。面会交流は「離婚後も円満な親子関係を形成する有効な手段だ」と認めつつ、「父母の面会交流の意向だけで親権者を決めるべきではなく、他の事情より重要だとも言えない」と述べた。
 その上で、「年100日」とする父親の提案では「長女の体への負担のほか、学校や友達との交流にも支障が生じる」と指摘。「月1回程度」という母親の提案は「不十分ではない」とした。長女の現在の養育環境に問題はなく、引っ越しや転校をして環境を変える必要性もないことから、「長女の利益を最も優先して考えれば、母親を親権者とすべきだ」と結論づけた。(塩入彩)

面会交流 「寛容性の原則で父に親権」26日に控訴審判決

出典:平成29年1月23日 毎日新聞

面会交流 「寛容性の原則で父に親権」26日に控訴審判決

 家裁松戸支部、父側の「年100日」提案を評価
 別居中の両親が長女の親権を争った訴訟で、5年以上会っていない父を親権者とし、長女と暮らしてきた母に引き渡しを命じる判決が昨年、千葉家裁松戸支部で言い渡された。母と長女の面会交流を年100日程度認める父側の提案を評価した結果だった。離婚相手と子の交流を広く認める「寛容性の原則」を重視した形だが、専門家の評価も分かれる異例の判断だった。母側が控訴しており、26日に東京高裁で控訴審判決が言い渡される。

 昨年3月の1審判決によると、長女が生まれた後に夫婦の折り合いが悪くなり、母は2010年に当時2歳半の長女を連れて実家に帰った。父と長女との面会は同年9月以降、途絶えた。裁判では双方が親権を主張し、母側が父子の月1回の面会交流を提案。これに対し、父側は母子の面会を年100日程度認める計画を提出した。

 庄司芳男裁判官は父側の計画を評価し、「長女が両親の愛情を受けて健全に成長するには父を親権者とするのが相当だ」と判断。慣れ親しんだ環境から長女を引き離すのは子の福祉に反するとの母側の主張についても「父親は健全な成長を願っており、劣悪な環境に置かれるわけではない。100日に及ぶ面会交流を考慮すれば母の懸念は杞憂(きゆう)だ」と退けた。
 「寛容性の原則」は、児童虐待のように子にとって明らかな害悪がある場合以外は、離婚後も双方の親が養育に関与できるよう互いに認め合うべきだという考え方。どちらの親が親権者に適しているか裁判所が判断する要素の一つとされる。日本では従来、親子の心理的結びつきを重視して同居する親を優先させる「継続性の原則」が尊重される傾向があったが、父親は取材に「自分に親権が認められても母親との面会は保障する」と話した。
 一方、両親が争った別の家裁審判では、長女を保護、監督する監護権は母にあると認められた。監護権は親権に含まれる権利で、母側の弁護士は「どちらが親権者にふさわしいかは面会交流の回数ではなく、継続的で安定した養育環境にあるかや、子どもの意思に基づいて判断されるべきだ」と主張する。
 家族法が専門の立命館大の二宮周平教授は「1審判決は父側の養育計画の実現可能性を検討した形跡がなく、子の意思も考慮していない。裁判所は、双方の養育能力を慎重に検討する必要がある」と話し、高裁の判断に注目している。【伊藤直孝、中川聡子】

損賠訴訟 面会交流拒否で地裁が賠償命令 距離少しずつ埋めたい 息子への思い、原告男性が心境明かす /熊本

出典:平成29年1月23日 毎日新聞

損賠訴訟 面会交流拒否で地裁が賠償命令 距離少しずつ埋めたい 息子への思い、原告男性が心境明かす /熊本

 「パパと呼んでくれなくなった」。離婚後に別居した長男(12)との面会交流を求め、元妻と再婚相手に損害賠償を求めていた原告の40代男性はやりきれない胸の内を明かす。2015年10月、約3年5カ月ぶりに長男と公園で再会し、キャッチボールをした。会えなかった間に小学2年生から5年生に進級した。背は伸び、表情もりりしくなったけれど、かつて「パパ、パパ」と駆け寄ってきた息子はぎこちなかった。【柿崎誠】

 熊本地裁は再婚相手と元妻に30万円、元妻に70万円の支払いを命じた。男性は12年12月、06年の離婚調停で決めた面会交流が行われないとして、再び調停を申し立てた。調停中、早く会える環境を作ろうと月2回ほどだった面会交流の回数を年3回まで譲歩。2度目の合意は14年1月になったが、元妻の再婚相手から来るはずの候補日の連絡は滞った。

 男性は14年7月22日から15年7月6日まで計7回、熊本家裁に合意事項の履行勧告を申し立てたが、返信などはなく、「調停事項に強制力も罰則もないなら裁判に問うしかない」と訴訟を決断した。
 男性も5歳の時、両親が離婚し、母に育てられて父とは疎遠だった。10年ぶりに再会し、「優しかった父と会えてうれしい」と感じた。男性は「息子に同じ思いをさせて本当に申し訳ない」と話す。
 会えるようになって1年が過ぎてもまだパパとは呼ばれない。会えない時間が遠ざけた父子の距離は「少しずつ埋めていこう」と思う。長男は会えなかった理由を今は理解できないかもしれないけれど、長男に会う度こう伝えている。「パパはずっと会いたかったから、いろんな努力をしたんだよ」

<子供への面会拒否>元妻の再婚相手にも賠償命令 熊本地裁

出典:平成29年1月23日 毎日新聞

<子供への面会拒否>元妻の再婚相手にも賠償命令 熊本地裁

 熊本県内の40代男性が離婚後に別居した長男(12)と会えないのは元妻とその再婚相手が拒んでいるためとして、2人を相手取って慰謝料300万円の損害賠償を求めた訴訟で、熊本地裁(永田雄一裁判官)は、事前の調停で義務づけられた面会の日程調整に関する連絡義務を怠ったとして再婚相手に元妻と連帯して30万円を支払うよう命じた。元妻には70万円の支払いを命じた。離婚後に別居した子供との面会交流拒否を巡り、元配偶者の再婚相手の賠償責任を認めるのは異例。

 判決は昨年12月27日付。判決によると、男性と元妻は2006年2月の離婚調停で、親権がない男性と長男の月2回程度の面会交流に合意して離婚。当初は面会できたが、元妻の再婚後の12年7月ごろ、男性に長男と会わないよう求める連絡が元妻側からあった。

 男性は長男と面会交流できるよう熊本家裁に調停を申し立て、14年1月、再婚相手を連絡調整役として面会交流することで合意。しかし、元妻や再婚相手から連絡が滞り、日程を調整できないまま12年5月~15年10月の約3年5カ月間、男性は長男と面会できなかった。元妻は、自身の体調不良や再婚相手と長男との父子関係の確立のために面会できなかったと主張していた。

 永田裁判官は「被告の主張は面会日程を調整する協議を拒否することを正当化するものではない。長男が7歳から10歳に成長する大切な時期に交流できなかった原告の精神的苦痛は相当大きい」と指摘。元妻は日程を協議する義務を怠り、再婚相手も連絡義務に違反したとして、いずれの賠償責任も認めた。

 原告代理人の板井俊介弁護士は「再婚相手の賠償責任を認めた点で画期的だ。面会交流が父親と子供の双方にとって利益があることを示した判決としても評価できる」と話した。【柿崎誠】

◇連絡調整機関を

 棚村政行・早稲田大教授(家族法) 離婚で別居した親子の面会交流で一方の再婚相手が連絡役となるケースが増え、再婚家庭の安定と面会交流の継続を両立させるために特別の配慮が必要になっている。欧米のように面会交流の連絡調整をしたり、交流が不調だった場合にカウンセリングしたりして当事者を支援する専門機関を育成するべきだ。

面会交流 面会拒否に1回100万円 東京家裁が間接強制

出典:平成29年1月21日 毎日新聞

面会交流 面会拒否に1回100万円 東京家裁が間接強制

夫が長女連れ去り、妻の申し立て、東京家裁が決定
 別居している長女との月1回の面会交流が裁判で認められたのに、長女と同居する夫が応じないとして妻が1回の拒否につき100万円を支払うよう求める間接強制を申し立て、東京家裁がこれを請求通り認める決定を出していたことが分かった。面会交流拒否に対するものとしては異例の高額で、妻側の代理人弁護士は「画期的な決定」と評価した。これに対し、夫側は「常識外れだ」として東京高裁に抗告している。

 昨年10月4日付の家裁決定などによると、争っているのは離婚訴訟中の日本人の夫と外国籍の妻。夫は長女が7歳だった2011年に家を出た後、小学校から長女を連れ帰って転校させた。引っ越し先を妻に知らせておらず、妻が長女との面会を求めて家裁に審判を申し立てた。

 夫側は妻が長女の転校先を探して押しかけたなどと指摘して「娘が外国に連れ去られる恐れがある」と面会を拒んだものの、家裁は15年12月、月1回5時間面会させるよう決め、東京高裁も支持して確定した。しかし、夫は1回目の面会に応じず、妻が間接強制を申し立てた。
 間接強制の家裁決定で、棚橋哲夫裁判官は「夫は面会を認めない理由として既に退けられた主張を繰り返している。もはや任意で応じることは期待できず、間接強制で実現を図る必要がある」と判断。夫の収入なども参考に1回100万円とした。夫側はその後面会に応じ、妻と長女は5年ぶりに面会した。
 最高裁が13年に面会交流拒否に対する間接強制を認めた後、同様の司法判断が広がったが、額は拒否1回につき5万~10万円程度が多く、金を払ってでも面会を拒む親もいるという。妻側代理人の棚瀬孝雄弁護士は今回の決定について「『子供のために親と会わせるべきだ』と決めたのに、無視されたことに対して裁判所が毅然(きぜん)とした態度を示した。面会が実現し、子供の福祉にかなう判断だ」と述べた。
 ただ、専門家の間には金銭の力で面会を促す手法に懐疑的な声もある。夫側の代理人弁護士は「連れ去りへの恐怖から面会に応じられなかった。金額も常識外れで到底承服できない」としている。【伊藤直孝】

間接強制
 民事執行法に基づく強制執行の一種。判決や家裁審判などの取り決めを守らない当事者に対して、裁判所が「従わなければ金銭の支払いを命じる」との決定を出すことで心理的な圧力をかけ、自発的な履行を促す。

離婚で会えない親子…面会を支援 熊谷のNPO、手厚い体制で笑顔へ

出典:平成29年1月17日 埼玉新聞

離婚で会えない親子…面会を支援 熊谷のNPO、手厚い体制で笑顔へ

 離婚などによって離ればなれになった親と子が定期的に会うことを支援している熊谷市のNPO法人「面会交流支援こどものおうち」(笠間和彦代表)は、設立から3年目を迎える。このような目的で活動するNPOは県内初という。
 両親の離婚で心が傷ついた子どもたちの笑顔を取りもどすために、地道な活動を続けている。
 こどものおうちのスタッフは現在19人。全員が家事調停委員とその経験者で、数多くの離婚調停を担当している。両親の離婚後、子どもたちは一緒に暮らす親の心情を敏感に感じ取り、離れてしまった親と会いたくても会えない気持ちを押し殺して生活をしている現状が多いという。
 「自分が悪い子だから両親が別々になってしまったのでは」「(同居している)親に捨てられたらどうしよう」。子どもたちが、さまざまな不安を抱えていることを感じた。「子供たちの成長には、自分が愛されているという実感が必要」と、離れてしまった親子の面会交流を支援する活動を始めたという。
 同NPO法人は2015年4月に設立。代表の笠間さんの自宅を開放し、面会交流には2人の支援員が付き添うなど手厚い体制を取っている。場所は市内の万平公園の目の前にある閑静な住宅街。室内にはおもちゃや絵本もあり、子どもの緊張を和らげる工夫もなされている。
 他の支援団体では相談料が50分間で7千~1万円もかかるところもあるといい、シングルマザーなどには経済的な負担が重い。「こどものおうち」では、事前相談を1回1時間3千円と抑えるなど諸費用を極力抑え、継続して面会ができるように配慮している。
 また、スタッフ同士で事例研究会を月に1回開き、さまざまなケースに応じた意見交換や対策、共有事項を確認している。こうした取り組みもあって、これまで東京や神奈川の支援団体に相談していた家族らが頼るようになったという例も多い。昨年10月には第10回よみうり子育て応援大賞を受賞している。
 この活動は、来年度の熊谷市との協働事業「熊谷の力」に採択され、市民課窓口で離婚届を出した人に面会交流を促すことになった。面会交流自体を知らない人がほとんどだからだ。笠間さんは「別れて暮らす親に1人でも多くの子どもが会えるようにしたい」と話している。
 問い合わせは、笠間さん(電話048・577・3467)へ。

【ボヤキ】子ども連れ去り別居によって、二度人格を否定される。面会交流調停覚書

出典:平成29年1月17日 土井法律事務所ブログ

【ボヤキ】子ども連れ去り別居によって、二度人格を否定される。面会交流調停覚書

先日の面会交流調停が腹立たしく、というか悔しくて夜中なかなか眠れずに、じゃアブログに書いてやろうと思った次第です。

某家庭裁判所のことなのです。

前に、公務員の方が暴行にあってうつ病になった事案で、暴行自体はうつ病の原因にはならないけれど暴行後の管理職の対応がひどくてつまり被害者として扱わなかったことでうつ病になったと認定された労働災害の報告をしました。

【認定報告】地公災基金審査会で逆転認定。職場内暴行被害後、上司の事件隠ぺいによってうつ病を発症した生存事案(時間外労働40~70時間) [労災事件] [ http://doihouritu.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20

この公務員の方は二度人格を否定されたわけです。
一度目は、暴行によって二度目は、暴行後の管理職の対応によってです。

そして精神的には、暴行それ自体よりもその後の方がきつかったということになります。

こういうことは裁判所でも起こります。

ある日、会社から帰宅したら妻子がいなくなっていた行方知れずになることもあるのですが、

夫からすれば、前日まで普通に会話をして、普通に心の交流をしていたのに、ただいまと帰ったら、そこは、家庭ではなくなっていたのです。
ただの木の箱になっているのです。自分一人が取り残されてしまった。

これは、男女の別は本来関係ないのですが、男が取り残された場合は、家族から自分が夫として、男性として、人間として家族の一員として否定されたという衝撃を受けます。
存在自体が許されないと感じられるわけです。

これは、男性が妻や子供に暴力をふるった場合でも暴力などふるわかない場合でも極度の疎外感を感じることには変わりはありません。

たとえ、家族に対してよからぬことをやっている人でも、家族のために仕事をしているという意識が強くあります。
その人なりに家族を大事にしています。

それにもかかわらず、離婚調停や面会交流調停で、家庭裁判所が、連れ去られた親に対して、この疎外感について共感を示すことは滅多にありません。
まあ、、滅多にというより、ありません。

前に、面会交流調停を申し立てたら、調停委員から「なんで子供に会いたいの?」という質問をされたことがあり、比較的感情を抑えずに小さくない声で1時間ほどご説明をしたことがありました。

この事件は、調停委員の外に毎回裁判官が入るようになりました。

今回の調停も調停委員の一人が、目を座らして、当事者をじっと睨みつけているのです。

面会交流は、子どもの利益のために行うものです。

通常は別居親は会いたいし同居親は会わせないのです。

何とか、子どもの利益のために子どもを別居親に会わせようとするその方法を話し合うというのが、面会交流調停のはずです。

初めから、会うことを我慢しろということばかり言われるのです。
何のために面会交流調停を申し立てたかわかりません。
考えてみれば、金返せって話です。

コーヒーの注文を請けて、お金を払わせておいてコーヒーは胃に悪いから飲むのをやめなさいと言うようなもんでしょう。
(コーヒーが胃に悪いと言っているのではありません。この様に難癖をつけて理不尽なことをしているという 卓越した比喩ですので、ネッスルさん。)

せめて、お寂しかったでしょうとかつらい気持ちだということはわかりますとか子どもに会えない心情をいたわることはできるだろうに、裁判所は、人格を否定されたと感じている人に対して、当たり前の態度を示さないばかりか、
私から見れば、挑発し続けているというように感じられてなりません。

そしてお決まりの、「奥さんは面会交流に理解を示しています。 子どもを会わせようとしているんですよ。でも子どもが会いたくないと言っているんです。」

誰から聞いたのとその奥さんでしょとつこっみを入れる気もだんだん弱っていきます。

別件では、なんだかんだ言っても結局、同居親妻の葛藤が高すぎて面会交流に至らなかったことがはっきりしました。
本人が認めたのです。

別居妻の「言葉をストレートに」指示する。これ大事なタームなので覚えてください。

そもそも、何も話し合いもせず、不満も要求も表明せずに子どもを連れて立ち去った人です。
別居親は言葉をストレートに受け入れることはできません。

それにもかかわらず、言葉をストレートに受け止めろという結論を押し付けてくるわけです。
こちらの言葉は何らストレートに受け入れないくせにです。無力感が募っていくわけです。

子どもは、同居親が身近にいますから全うな人間として、近くにいる身内を助けようとします。
そして、子どもですからそれが別居親を傷つけるということまでは頭が回らないことが多いです。
子どもはそれでよいと思います。

問題は、会いたいと言えない子どもの代わりに大人たちが何とかしてあげるということです。

家庭裁判所には、子どもの心理等の専門職である調査官という職業があり、実際に子どもと面会をして環境や意向を調査します。

最近の面会交流調停には、調査官が立ち会うようになっているようです。
それは期待します。
家裁月報の調査官の研究論文は優れたものが多く、子どもの発達心理の勉強になります。
同居親に気を使っている子どもの心理を鋭くえぐり取って、子どもの言葉をストレートに受け止めず、真意を探り、子どもの健全な成長の観点から合理的な意見を述べてくれるだろう、

子ども健全な成長の観点から面会交流を推し進めてくれるだろうとそう思いたくなるじゃないですか。

実際、この事件についても鋭い調査がなされました。

母親が嘘をついて子どもを父親から遠ざける手法についても鋭く報告していました。
母親の面会していいんだよというストレートな言葉を子どもが額面通り受け止めずに、会いたいと言えない様子もリアルに報告していました。

で、調査官の意見は、子どもが会いたくないので、手紙や写真を別居父に渡すことが良いといっているのです。

調停の中でも面会を断念するように説得する態度に終始しているのです。

何のための調査官立ち合いなのだろう。

しかも、報告書では子どもが父親に会いたくないと言ったとは一言も言っていないのに、調停期日では、明確に会いたくないと言ったと何度も言いました。

なんで報告書に記載していないことを言うんだかわかりません。

また、子どもが父親の良いところを述べていても言葉をストレートに受け止めてはだめだというのです。

それにもかかわらず言ってもいない「会いたくない」という言葉をストレートに受け止めろというのです。

だいたい、同居親が手紙や写真を送ることがなんで、子どもの健全な成長につながるのか、面会交流の意義を理解しているとは思えません。

子どもの意見を尊重することに反対することは11月に述べた通りです。
面会交流にあたって、「子どもの意見を尊重する」ことに反対します。(あいたいと言えない子ども達のために大人がするべきこと)

連れ去られて一人ぼっちになってしまった夫は自分が心を持った人間であるということを裁判所で否定され続けるわけです。

二度人格を否定されますが、二度目は、強権力を持った国家機関から否定されます。

裁判所は人権最後の砦であり、税金で優秀な人材を集めているという信頼感があります。

その人たちに公平にされるべき自分が目を座らせて終始説得されるわけです。
一度目よりも深く傷つけられるということは簡単に理解できることでしょう。

紛争を解決しようとせず、マニュアルに従った対応で紛争を長期化、感情化させていることに裁判所が気が付かなければ悲劇は繰り返されていくことと思います。

残念でなりません。

子供たちとの再会を果たす為、日本の法律と戦う男性「日本の司法制度は、子供たちを連れ去った妻を守っている」

出典:平成29年1月6日 LA STMPA(イタリア)

子供たちとの再会を果たす為、日本の法律と戦う男性「日本の司法制度は、子供たちを連れ去った妻を守っている」

社会
スフォルツァ・フランチェスカ(FRANCESCA SFORZA)
ローマ
 

「お父さん?どこにいるかも何をしているかも分からない。」これは、日本のたくさんの子供たちが大人になった時に言う言葉である。子供にとって、両親が離婚したら、父親はどこに行ったか全く分からなくなる。でも、捨てられたわけではない、これが日本の法律だ。だが、これから何か変わるかもしれない。その場合、その正義を守るために戦っているイタリア人の父親の影響は大きいだろう。この戦いに勝つ場合、日本の家事法制を大きく変える可能性がある。日本で、離婚後の共同親権は存在していない。夫婦が離婚をする際に、親が親権を争う場合には、親権は裁判で決定される。とても稀なケース以外、子供たちの親権は母親が持つことになる。さらに、親権は最初に子供たちを連れ去った親が獲得する。その結果、もう一人の親が子供に対する権利をその瞬間に失うことになる。面会は親ではなく、子供の権利である。一日の仕事の時間が長すぎる父親達の文化、また、母親達は義理の親戚との繋がりを持つことに興味はない文化の中で、この20年の間に3百万以上の子供たちは、片親と会えない状況で育てられた。
 
「まだ離婚していないけど、子供たちはどうなっているか、去年の7月から何も分からない、2歳になった娘にお誕生日おめでとうということも言えなかった」とピエルルイージさん(仮名)は言った。イタリア人の彼と日本人の妻と子供二人は、子供たちが生まれたドイツから東京に引越した。「ここに引越した理由は、昔から日本のことを知っており、大好きな国だったから。また、日本の教育制度はとてもいいと思い子供たちの為に引っ越したのです」。しかし、引越して生活も落ち着かないうちに、彼は、妻の親戚に取り囲まれ、夫婦間の問題を解決する為に離れて生活するべきだと伝えられた。「同意しないと警察を呼ぶ」と言われたため、彼はその後、妻が子供たちと実家の長崎に引越すことを決めた。「日本について色々なことを知っていたが、婚姻中に子供の連れ去りのことは聞いたことはなかった」とピエルルイージさんは言った。「私達はまだ結婚している、また、子供たちに対しての親権はまだ持っている、ですが妻が先に子供たちを連れ去ったため、私は引き取ろうとすると捕まるのです」。日本では連れ去りは合法なのに、連れ去られた子供たちを連れ戻そうとすると違法になる。警察も現場の児童相談所も助けてくれない。全員がこれを不正義だと同意しているにもかかわらず、両親と会えないことが刑法に違法なことでもなく、また虐待としても認められていない。
 
ピエルルイージさんにとって、子供たちと一緒にいれない現状は、耐えられないものである。「子供たちと非常に良い関係にある。一緒に住んでいた時に隣の人は『あなたはまるで子供たちの母親のようだ』としばしば言われていた。別居中に子供たちと会った後一人で帰るとき、4歳半の息子は裸足で家を出て、行かないでと泣き叫んでいた光景は頭に非常に鮮明に残っている。」弁護士と一緒に練った戦略は、子供たちに会えない外国人だけではなく、法律制度により虐げられていると感じている日本人の親たちから注目されている。日本の法律制度は、親権の争いは「プライベートな問題」だとみなしており、それが「国際的な子の奪取の民事上の側面に関するハーグ条約を日本政府が締結することを遅らせた(3年前に締結されたが、締結される前のケースには効力は及ばない。)さらに言えば、この法律制度は、子供たちは母親の所有物であるとの考えや、また、父親の役割は子育てに大切ではないという考えを増長した。ピエルルイージさんの義理の母は、彼に対し「イタリア語は要らない、ここは日本だから」と言ったり、「1・2年間会わなくてもいいんじゃない?私は夫いなくても3人を育てましたよ。」と言ったという。
 
日本国内で行われている一方の親による子供の連れ去りを止めさせる為、外国政府の多くが既に圧力を日本政府にかけている。また、何人かの日本の政治家は、事態を改善する為に協力する用意はできている。日本で裁判の審理を受ける前には、注意深く計画し、多くの点に気をつけなければならない。「民法766条の解釈を明記し、子供の利益に沿って動く必要がある」。知、勇、情が求められる。我々は、彼に対し、少しでも怒りがあるのか聞いてみたところ、彼は言った。「怒りは無意味です。もし、日本の裁判所に怒りの感情を有して入ったとしたら、裁判が始まる前に既に負けています。」
 

3百万 – 最後の20年間に両親一人と会えなくなった子供たちの予想数。
 
両親 – 不当な連れ去りの犠牲者は日本人と結婚している外国人だけではなく、日本人の両親自体も含まれる。
 

時事の流れ

ピエルルイージさん(仮名)と妻は子供二人が生まれたドイツから東京に引越すことを決意

引越後すぐ、妻の親戚がピエルルイージさんに、夫婦の問題解決の為、一定期間、別居すべきと勧告。妻は子供たちを連れて実家である長崎に引越す。その7月が、ピエルルイージさんが子供たちと会える最後の機会となった

ピエルルイージさんと妻はまだ結婚している。しかし、日本の法律によれば、もし彼が子供たちを引き取るように動くならば捕まるであろう。彼のケースは、日本で増えている子供の連れ去りの多くのケースの一つである

1月の中旬に家庭裁判所はピエルルイージさんの事件を精査する予定。子供を連れ去られた日本と外国の多くの親が彼の審理を大きな希望をもって待っている。彼の事件は、日本の家事法制を大きく変化させることができるかもしれない。

これまでなかった驚き? 離婚後の子供の引渡し、ようやくルール明文化へ

出典:平成29年1月3日 ZUU online

離婚後の子供の引渡し、ようやくルール明文化へ

離婚後に親が子供を引き渡すルールに付いて、法務省の法制審議会(法相の諮問機関)で議論が本格化する。これまでは強制執行するといったルールが明確にあったわけではない。親権の無い親が引き渡しに応じない場合は「間接強制金」の導入も視野に入れているという。2018年には民事執行法の改正案提出を目指すと報じられている。
子供が「動産」?
引き渡しルールはいわゆる「ハーグ条約」にならったものだが、仮に親権のない側の親が応じない場合は、その分だけ支払い金額が毎日加算される仕組みとなる。ただこれには、強制金さえ払えば引き渡しを無視しても良いと考える親もいるという問題がある。
民事執行法には子の引き渡しの強制執行に関する規定がなく、これまでは「動産」の引き渡し規定を類推適用してきた。
問題は子どもを「動産」として扱う事に対する福祉や人道上の倫理観に対する指摘だ。最高裁によれば2015年の申し立て件数は97件程だがその内で子供が引き渡された件数は実際には27件となっている。また民事執行法に具体的な規定がないため、執行官の運用に委ねられた格好になっているのも問題だ。
今回の議論の中心は執行に関するルールづくり
離婚後に親権者や監護者となった親が、子供の引き渡しを求める裁判を起こす事はできる。だが裁判で引き渡しを命じても親が応じない場合、執行官が強制執行を最終的に行う。これまでは強制執行の実効性が低かったため、今回の議論の中心はこの執行に関するルール作りが焦点だ。
養育費を支払う約束をしても、まじめに支払い続ける人の割合はかなり低いといわれている。特に母子家庭の貧困化を防ぐためにも、支払義務がある人の財産差し押さえを容易にすることは必要かもしれない。
養育権の放棄という考えはないアメリカドイツ
海外ではどうなのだろうか。日本の離婚では父母が共同して親権を行使することはできないので、協議しいずれかが親権者と定める(民法819条1項)。または裁判上の離婚の場合には裁判所が父母の片方を親権者と定める(民法819条第2項)事になる。
まずアメリカでは離婚後の子供の親権は基本的に共同親権となる。考え方として離婚をしても親をやめるわけではないという考え方がベースにあるという。養育権の放棄というものはなく、どちらかが子供を育てながら、片方の親も養育費を払いながら育てる。仮に支払わない場合は、裁判によって相手親の銀行口座の差し押さえや給与から強制的に振り込み手続きがなされる。
それでも支払わない場合は最終的に犯罪者ということで逮捕され実刑判決が言い渡されることもあるそうだ。
ドイツの場合も離婚後は両親が親権を持つ共同親権が主流だという。母親が引き取った場合は、週末には父親が会いに来たり、一週間ごとに交互に子供の面倒をみたりといった感じだという。
日本のように一方にだけ単独親権を与える制度は世界では珍しいといわれている。子供をどちらが引き取るか決まったら終わりではない。夫婦それぞれに事情はあるだろうが、子供のすこやかな成長に少しでも資する、新しい制度を目指してほしい。(ZUU online 編集部)

離婚後の引き渡しルール明確化=民事執行法改正へ議論―法制審

出典:平成28年12月29日 時事通信

離婚後の引き渡しルール明確化=民事執行法改正へ議論―法制審

 離婚した夫婦間で子どもを引き渡すルールをめぐり、法制審議会(法相の諮問機関)の議論が来年、本格化する。

 親権を失った方の親が引き渡しに応じない場合、日数に応じて制裁金が加算される「間接強制金」の導入も視野に入れている。法務省は法制審の答申を経て、2018年の通常国会に民事執行法の改正案提出を目指す。

 同法には、子の引き渡しの強制執行について明文規定がなく、「動産」の引き渡し規定を類推適用してきた。ただ、子どもを動産として扱うことには、福祉や人道上の観点から問題も指摘されている。最高裁によると、15年の申立件数97件のうち、実際に引き渡されたのは27件にとどまっている。

 そこで論点に浮上しているのが間接強制金だ。国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めたハーグ条約と、その国内手続きを規定したハーグ条約実施法にならったもので、同居する親が引き渡しに応じるまで、金銭の支払額が日ごとに加算される仕組みだ。同実施法ではまた、子と同居している親が一緒にいるときに限り、強制執行を認めている。

 ただ、間接強制金を支払えば、子どもの引き渡しを免れると誤解する親もいるという。同居する親の目の前での引き渡しは、執行官とのもみあいになるトラブルも想定される。このため法制審は慎重に議論を進める方針だ。

親子断絶防止法 児童の利益守る規範に

出典:平成28年12月26日 河北新報

親子断絶防止法 児童の利益守る規範に

持論時論/臨床心理士/石垣秀之/(44歳、宮城県亘理町)
 
 父母の離婚や別居後も親子の交流が継続されることを目指す、通称「親子断絶防止法案」の国会提出に向け、超党派の国会議員連盟が準備を進めている。同法案は、児童の最善の利益実現のために、離婚後も両親が親としての責務を果たすよう面会交流と養育費の支払いを原則として求めている。
 「児童の権利に関する条約」第9条3項は「締約国は、児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方または双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係および直接の接触を維持する権利を尊重する」と定めている。日本以外の主要先進国はこれを受けて、離婚後も基本的に共同親権としている。
 日本でも1994年に条約が発効しているが、それから20年以上たっても単独親権を継続。2010年には、国連児童の権利委員会から、前述の児童の権利を確実に守るよう勧告を受けている。
◇   ◆   ◇
 先進諸国では、女性に対するドメステイックバイオレンス(DV)や児童虐待が議論される中でも、離婚後の面会交流が子の福祉につながるのかどうかについて、心理学や社会学の研究者たちが調査研究を行ってきた。それらが一様に認めるのは「離婚後であっても親子が継続的に面会交流をすることが子の福祉を向上させる」ということである。先進諸国はこれを受けて年間100日の面会交流を基準とするよう、そして共同親権制を取るよう法改正を進めてきた。
 私は、DV被害によってトラウマ(心的外傷)症状を呈している女性への心理治療を行っている。DV被害の女性のためにも、親子断絶防止法は必要である。DV夫に家を追い出され、乳児の顔を1年以上見せてもらえないケースがあった。連れ去りであれ、追い出しであれ、愛する子に会えないことがどれほどつらいかは、誰でも容易に理解できるだろう。
親子断絶防止法は、子どもの福祉と権利を守るための原則法であり理念法である。子どもへの虐待を行う親への面会交流を義務付けるものではない。また離婚後に親としての義務を放棄する無責任な大人への社会的圧力にもなる。
日本の家庭裁判所は、諸外国の研究実績を顧みず、いまだに面会交流は月に1~2回、2時間程度という審判を下し続けている。家裁の裁判官は、児童の最善の利益を検討してはいない。親子断絶防止法は児童の利益を実現するための審判・決定を得るための規範となる。司法の怠慢を許さないためにも必要である。
◇   ◆   ◇
 11月1日の本紙朝刊の社説は、法律よりも支援体制拡充が先決と主張している。だが私は、女性や障害者の権利と同様、条約批准と法成立によって理念が認知され、支援体制が整備されると考える。
 学校は、離婚家庭の児童に対して、これまで何も支援できずにいた。医療・福祉においても、臨床心理士の場合も、離婚家庭の子どもを支援する体制は極めて不十分だ。組織的で強力な支援を開始するためにも、一日も早い法成立が望まれる。
(投稿)

子の引き渡し 連れ去りを生まぬよう

出典:平成28年12月20日 中日新聞

子の引き渡し 連れ去りを生まぬよう
 離婚した夫婦の間で子どもの奪い合いが起きたとき、引き渡しはどうあるべきか、ルール化に向けて国の法制審議会が議論を始めた。何より、子どもの苦しみを増やさない議論を尽くしてほしい。
 離婚した夫婦が子どもの親権をめぐって争い、家裁が親権者や監護権者を確定した後も、親権者でない親が同居している子どもを引き渡さない場合がある。解決が進まないと親権者側が裁判所に「強制執行」を申し立て、裁判所の職員が子どもを引き取りにいくことになるが、現場で親ともめることが少なくない。昨年、裁判に勝って強制執行を申し立てられた九十七件のうち、子どもが引き渡されたのは二十七件のみだった。
 執行の際には、同居する親の家で、親が一緒にいるときに行うなど、無理な引き離しにならないための一定の配慮がされてきたが、子の引き渡しに関する明確な規定がないため対応はまちまちだ。
 法制審で検討される子どもの引き渡しイメージは(1)裁判決定に反して子の引き渡しに応じない場合は制裁金を科す(2)それでも応じない場合は裁判所が子どもを引き取りに行く-という二段構えだ。
 こうしたルール化の背景にあるのは二〇一四年に日本が加盟した「ハーグ条約」だ。国際結婚で離婚した夫婦間の子どもの引き渡しを決めた規定で、関連法に沿って国内ルールの整備が求められていた。裁判で子どもの引き渡しが決まっても応じない場合にまずは制裁金を科し、それでも応じない場合に強制執行へと移すのは、ハーグ条約に準じた方法である。
 条約の基本にあるのは、子どもの心身への悪影響を避けるために連れ去りを防ぎ、離婚後も夫婦が共に子どもの成長にかかわることへの配慮である。
 日本はどうか。離婚した夫婦は共同で親権を持つことができないため、離婚前から子どもを連れて家を出て、親権争いに備えた既成事実化を図る例が少なくない。
 子どもと暮らせない親が子どもとの面会を求めても親権者側が応じないケースも多い。家裁に面会交流を求める調停の申し立ては十年間で三倍に増え、一万件を超えた。
 離婚後も双方が親権者となり、同居できない親も子どもとの交流を保てるなら、子どもの奪い合いはしないだろう。子どもの引き渡しという最終局面だけでなく、離婚時に面会交流を取り決めて強制力を持たせるなど、全体に目を向けるべきだ。

「DV防止法」成立15年で急増した「冤罪DV」実態報告――西牟田靖(ノンフィクション作家)

出典:平成28年12月22日 週刊新潮

「DV防止法」成立15年で急増した「冤罪DV」実態報告――西牟田靖(ノンフィクション作家)

「DV防止法」が成立して15年。DVは犯罪となり、日々、「社会悪」として糾弾されているのは周知の通りだ。が、その陰で、法を悪用して夫を「DV男」に仕立てる“でっちあげ”が急増中。ノンフィクション作家の西牟田靖氏が「冤罪DV」の実態をレポートする。
 ***
 省庁勤務の妻を持つAさん(40代、自営業)。ある日、仕事に出ている最中、妻が1歳の息子を連れていなくなってしまった。
 以前から兆候はあった。
 夫婦仲は悪かった。Aさんから見れば、子どもが生まれても妻は育児放棄。そのくせ、職場の飲み会には、子どもを連れていきたいと言う。Aさんが抗議すると、妻は「もう家、出させてもらうわ」と逆ギレする始末。だからいつかそうなることは想定内だったのだが、唖然としたのは、
「離婚調停の場になって、突然、妻がDVを主張してきたのです。“尾骨が折れた”“10時間ほど怒鳴られた”などと。まったく身に覚えがないことです」
 ただ、思い当たる節はあった。
「以前、妻がキレたとき、咄嗟に子どもを抱きました。妻が突っかかってきたので押し返して子どもを守りました。その一件の後、妻は“家事は私がやってるよね”“あなたから暴力を受けた”とか、ありもしないことを話しかけてくるようになりました。別れた後の争いに備えて録音していたんでしょう。虚偽の暴力を元に医者に診断書を書かせていたことも後でわかりました」
 こうした“証拠”をもとに、妻は関係各所に出向いていた。
「家を出て行く直前から、警察や婦人相談所などにDVの相談に行っていたんです。私に対しての確認もなく、先方は妻の言うことを鵜呑みにしました。そして、相談に行ったという記録自体がDV被害の実績となっていきました。子どもの居所を知ろうと、役所へ行っても、DVを理由に住所の開示を拒まれる。3年経ちましたが、私は、今も息子に自由に会うことができないでいます」
 タクシー運転手のBさん(50代)も、似たような経験をした。
「タクシー会社に転職し、一家3人で会社の寮で生活を始めました。しかし、妻はここでの生活に馴染めませんでした。古くて狭い寮に嫌気が差したのか、あるとき“リフレッシュのため2週間ほど実家に帰りたい”と妻が言ったのです」
 Bさんは奥さんの希望どおり、2人を送り出した。ところがその後、一向に帰ってくる気配はなかった。
「そこで、私が月に1~2度、妻の実家を訪ねることにしたのですが、その度に帰宅を巡って妻と口論になるようになり、夫婦関係には完全にヒビが入ってしまった。“息子には会わせない”とも言われてしまいました。その後、離婚調停、そして訴訟を起こされ、“子の顔面を平手で殴打した”“痣が残る程の強さで腕をつかんできた”と主張されました」
 50歳近くでできた子どもだけに、Bさんは子どもが愛おしくて仕方なかった。家庭も大事にしていたつもりだ。そんな自分が妻子に暴力を振るうことはあり得ない、と主張する。そして、実際、裁判所では前者は通常の躾(しつけ)の範囲内、後者は判決書ではスルー、と妻側の主張は斥(しりぞ)けられた。しかし、
「妻は、警察や婦人相談所にもDVの相談に行っていました。『DV夫』と決めつけられたため、年金の扶養家族からも妻と息子は外れ、事実上の離婚状態に陥りました。妻はともかく、4歳の子どもとは会いたくて仕方がありません。別れて暮らすようになってそろそろ3年になるというのに、これまで合計でも10時間ほどしか会えていません」

「相談証明」で先手
 今、全国でこうした「冤罪DV」と言われる事態が多発している。
 共通する現象は、ある日、妻が子どもを連れて家を出て帰ってこないことだ。夫は子どもと面会もさせてもらえない。それでも引き離されたわが子に会おうとすると、突然、ありもしない「DV」を主張された……。
 このようなDVのでっちあげが目立つようになったのは、『DV防止法』が成立、施行されてからのことだ。
「昔、法は家に入らないし干渉しないものでしたが、今は違います」
 そう話すのは家事問題に詳しい、ベテランの森公任弁護士である。
 DV防止法、正確には「配偶者暴力防止法」が2001年に成立、施行されると、「被害者」は、さまざまな「権利」を与えられることになった。
 DV被害者は、まず婦人相談所や警察などで、DVについての「相談」を受け付けてもらえる。また、配偶者の暴力からとりあえず逃れるために、婦人相談所やシェルターなどで「一時保護」してもらうことも出来るようになった。
 そして、それでも近寄ってこようとする加害者に対しては、「保護命令」を申し立てることが出来る。これを裁判所が認めれば、加害者に6カ月の接近禁止命令や2カ月の退去命令が発令されるというものだ。
 これらと並行して、配偶者と離れて新しい生活を行うための「自立支援」についての情報提供もしてもらえるようになった。
 DV被害の深刻さについては、今さら説明の必要はないだろう。被害者を助けるために、こうした手厚い保護体制が整備されたのだが、これがなぜ「冤罪」まで生んでいるのか? 先の森弁護士は、
「自分はDV被害者だと妻が思い込んでいるケースのほか、子どもを会わせなくしたり、離婚を有利に行ったりするために虚偽のDVを申し立てるケースがあります」
 と解説する。
 夫婦の関係が悪化しようと親子は親子。夫にも養育や面会の権利はある。しかし、その際、「夫はDV男」だと主張すれば、妻は夫と子の引き離しが容易に出来るということだ。
 妻が子どもを連れて家を出る。そして、夫にDVを受けたと婦人相談所や警察に相談したとしよう。するとDV防止法に基づいて、根拠がいい加減であっても、余程滅茶苦茶なものでない限り、妻側の主張は夫側の反論を聞くこともなく認められ、警察による公正な捜査もないままに、婦人相談所などを通して「相談証明」という書類が作成される。
 この問題に詳しい、ジャーナリストの宗像充氏は、
「相談の履歴によって住所非開示の支援措置が開始されます。被害者支援のことしか考えられていないので事実認定もないまま加害者とされた側は異議申し立ての手続きもなく放置され、夫婦関係や子どものことを話し合おうとしても、席に着くことさえできません」
 と話す。
 相談証明は、具体的な内容が書かれていない白紙の場合でも有効。市町村役場などの行政機関へ提出すれば、妻は、夫への住民票の閲覧制限の他、夫から独立した国民健康保険への加入などの支援措置を受けることができる。
 このように妻に行政手続きで先手を打たれれば、子どもを取り戻すのは容易ではない。後に離婚調停や訴訟の場で妻側のDV被害の主張を斥けることができたとしても、別居後、子どもと暮らしてきたという妻側の実績が“評価”されるからだ。
 さらには、離婚そのものについても、妻が夫のDVを主張すれば、慰謝料の交渉を有利に進められる。
 かように、DVをでっちあげることは一石二鳥どころか、四鳥、五鳥にもなる「手」というわけなのだ。

カフェオレを無断で飲むと…
 こうした「でっちあげ」の最たるものと言えるのが、以下に紹介する事例である。
〈妻がスーパーで買ってきた総菜を「うまい」と言って食べた〉
〈妻に無断で、冷蔵庫のカフェオレを飲んでしまった〉
〈運転に集中するために、妻に話しかけられてもハンドルを握っている間は返答をしなかった〉
 胸に手を当てれば、誰にでも思い当たりそうな出来事。一言謝れば済む話であるし、最後の例などはむしろ問題なのは妻の方だが、これらが大真面目にDVと主張されているのである。
 これらは「親子の面会交流を実現する全国ネットワーク(親子ネット)」という団体が作成した、約30ページに及ぶレポートから抜粋したものだ。同団体は、配偶者と別居や離婚後、子どもと自由な面会がかなわなくなった当事者たちが結成。その会員にアンケートを取ると、先のような事例が出てきたのである。
 レポートをめくれば、
〈帰宅して「ただいま」を言わずに、風呂に入り、酒を飲み、寝た〉
〈妻が洗濯物を床に置いたので怒った〉
〈車での送迎を頼まれたが、仕事中だったので断った〉
 などなど、これがDVかと、首をひねらざるをえない例が山積みだが、
「離婚して子どもをとるというゴールに向かい、使えそうな事実を機械的に当てはめ事実関係を組み立てていく。その中でこうしたDVとはいえないものも利用される、というわけです」
 先の宗像氏はそう話す。
 成立当初、法律が定めていた「DV」は、殴る、蹴るといったいわゆる身体的暴力だった。ところが、法律は改正を重ねられ、04年には「精神的暴力」もDVに加えられた。これによって「大声でどなる」「何を言っても無視して口をきかない」「誰のおかげで生活できているんだなどと言う」といった、夫婦喧嘩のひとコマと区別のつかないような事例や、「見たくないのにポルノビデオやポルノ雑誌を見せる」「いやがっているのに性行為を強要する」など、夫婦の“秘め事”である夜の営みまでもが、何でもありで「DV」と訴えられる可能性が出てきたのだ。
 内閣府のデータによれば、02年度に婦人相談所などに寄せられたDVの相談件数は、約3万6000件。それが13年度は、約10万件と3倍近くに跳ね上がっている。警察への相談件数に至っては、01年の約3600件に対し、13年は約5万件と、14倍近い増加ぶりだ。まさか、10年余りで世の男性が10倍以上暴力的になったわけではないだろう。夫に不満を持てば、何はともあれ、まず「DV相談」という傾向が強まっていることは、数字にも明らかなのである。
 むろん、こうした「でっちあげ」は、素人だけの知恵では難しい。法手続きを知った弁護士も、虚偽と知りつつ、それを手助けしている現状がある。
 新聞記者であるCさん(40代)のケース。
「妻が“こんな家にはいられません。離婚します”と言って1人で飛び出していきました。翌日、無理矢理2歳半の娘を連れ去ってしまいました。6年前の10月のことです」
 Cさんの妻は「コーヒーカップを投げつけられたり、太ももを蹴飛ばされたりした」と離婚調停の場で主張した。そしてその調停が不調に終わると、今度は離婚訴訟を起こしてきた。裁判で妻側は、写真と診断書を証拠に出しDVを主張。しかしCさんは首をかしげた。診断書や証拠写真に不自然な点が多々見られたからだ。妻が診察を受けた病院はなぜか妻の弁護士事務所の近く。撮影場所を自宅だと主張するも背景に配管やタンクが写りこんでいて自宅でないことが明らかだった。それらを裁判で指摘すると、妻側の説明は二転三転した。
「その結果、妻の主張するDVが虚偽だということが裁判で確定したんです」
 しかし、妻側の虚偽主張は続いた。
「判決後、妻の弁護士との直接交渉がこじれ、懲戒請求をかけたんです。その過程で先方から出てきた文書には、DV被害が10項目ほど挙げてありまして、『ペットをいじめる』というものもあった。うちは何も飼ってなかったので不審に思い、ネットで検索してみると、被害者支援サイトに一字一句そのままの文章がありました。コピペで作成したんでしょう」
 弁護士にとっても、DVは美味しい商売のタネ。離婚交渉において、夫の非道を訴えるには最もわかりやすい手段だし、反証されにくく、裁判所にも受け入れられやすい。訴訟を勝利に導くための「伝家の宝刀」とも言えるのである。

“お父さんは怖い人”
 Dさん(自営業者・50代)夫妻のケースなどは、保護施設が妻の意思を無視して、DVをでっちあげてしまった例だ。
「不仲だった妻が、子ども3人を連れて出て行きました。相談人に次のように言われたそうです。“あなたは悪くない。だんなさんが悪い”“結婚指輪を質屋に入れたら生活保護を受けやすい”」
 その後、妻は相談人に紹介された保護施設へ入所した。入ってみると携帯電話を預けさせられたり、この場所を口外しないよう誓約書を書かされたりした。職員は子どもらに「お父さんは怖い人」と繰り返し言ったり、妻には「別れた方がいい」と言ったりしたという。
「そのころから妻は“なんだかおかしい”と思うようになったそうです。夫から暴力を受けたと言ってもいないのに『DV被害者女性』と見なされ、扱われていることに気がついたからです。あるとき、保護命令申立書の下書きを書くように言われました。その際、“ご主人が優しかったことは書かず、嫌だったことを誇張して書いたほうが有利になる”という助言もあったそうです。また、施設が紹介してきた弁護士は“裁判をしたら勝てる”と強く離婚を勧めてきたそうです」
 しかし奥さん自身、離婚もDV被害者として扱われることも望まず、その後、子どもとともに夫の元に帰った。流れに任せていれば、家族は望まぬ形で崩壊したままということになる。
 いかがだろうか?
 事例を見ればわかるように、こうした虚偽DVは、夫婦仲が悪くなれば、誰にでも起こりうる問題だ。
 前出の森弁護士は言う。
「本当のDVと虚偽のDVが混在しているのが実情です。子と親の関係が切断されてしまうわけですから、周囲はじっくり審議した方がいい。しかし司法関係者の数に比べ案件が多すぎます。本物のDV被害者を救うためには緊急性が求められます。それ故、ある程度の虚偽DVがどうしても発生してしまうのです」
「犬も食わない」夫婦喧嘩に法の手が入って15年。今後も法の規制強化は続いていく見通しだ。世の男性にとっては、誠に生き辛い世の中になったものである。

離婚後の子どもとの面会交流で 崩れ始めた母親優先の原則

出典:平成28年12月24日号 週刊ダイヤモンド

離婚後の子どもとの面会交流で 崩れ始めた母親優先の原則

『週刊ダイヤモンド』12月24日号の第1特集は「知らなきゃ損する 夫婦の法律相談」。今、夫婦をめぐる法律が変わろうとしている。変化する社会にマッチさせようと、法案が提出されたり、改正されたりしているのだ。その一つ、離婚の際に問題になる親権や面会交流に関して見ていくことにする。

 画期的な判決だった。今年3月、父母が長女(当時8歳)の親権をめぐって争った離婚訴訟で、千葉家庭裁判所松戸支部は、6年近くにわたって長女と別居する父親に親権を与える決定を下したのだ。
 ポイントになったのは、長女との面会交流の計画だ。母親側は月1回を提案したのに対し、父親側は年間100日にして、隔週で金曜日の夜から日曜日の夜までといった、長時間の面会交流を認めるという提案をしたのだ。
 判決では「これらの事実を総合すると、長女が両親の愛情を受けて健全に成長することを可能とするためには、被告(父親側)を親権者として指定することが相当である」と指摘。さらに同居する母親と長女を引き離すのは「子の福祉に反する」という母親側の主張は、100日という面会交流の計画を踏まえると、「杞憂にすぎない」とまで言い切っている。
 親権をめぐっては、同居してきた親が引き続き監護する「継続性の原則」と「母性優先の原則」が、これまで裁判所の判断の軸になってきた。だが、この判決は「面会交流の内容」という、新たな判断軸を加えたのだ。
 現在、東京高裁に舞台を移して係争中のため、司法としての判断が最終的に固まったわけではないが、こうした判決を受けて、親権をめぐる調停や訴訟は、今後増える可能性が出てきた。
 国会では、子どもとの面会交流を促進するための法律「親子断絶防止法」を、議員立法として制定する動きもある。
 前文部科学相で、親子断絶防止議員連盟事務局長を務める馳浩衆議院議員は、「すでに法案の大枠は固まっており、来年の通常国会への提出を目指して、条文の細かい修正作業をしている段階。いわゆる理念法で、条文上は面会交流が努力義務になっており、罰則もないため、強制力というものは一切ない。実効性が伴わないではないかという指摘もあるが、虐待や暴力を受けていた子どもはどうなるのか、という懸念もある。法案でも、そうした事情がある場合は、「特段の配慮」を求める内容にしている」と話す。
 こうした流れは加速しており、かわいいわが子と顔を合わせることができなくなるのを恐れて、離婚を踏みとどまってきた親の背中を押す可能性も高い。
 ただ、現実はそこまで甘くないようだ。
面会で合意しても 会えない厳しい現実
 谷山聡さん(仮名、38歳)は、長男(6歳)ともう3年以上会っていない。毎年10月の誕生日には玩具のプレゼントを贈っているが、元妻の側からは何の連絡もないという。
 離婚したのは4年前。子どもの教育方針が百八十度違うことが原因だった。離婚の条件で折り合わず、調停までもつれたものの、月1回2時間、長男と面会することで合意したという。
 ただ、その半年後、次回の面会交流の日時を決めようと思い電話すると、元妻から「子どもが会いたくないと言っている」と告げられた。子どもに電話を代わってくれと言っても「それも嫌だと言っている」の一点張りだった。
 前回会ったときは、満面の笑みで楽しそうに公園で遊んでいただけに、元妻の言葉がにわかには信じられなかった。
 3カ月たっても状況は変わらず、しびれを切らした谷山さんは、調停内容に基づいて裁判所に面会交流の履行勧告を申請。家裁の調査官による子どもへのヒアリングも実施してもらったが、「お子さんが強く拒否しています」とのことだった。
「どうやら近く再婚するようだ」。つい先日、元妻の友人からそうした話を聞き、面会交流を避ける理由が分かった気がした──。
 実際に、子どもが母親の顔色をうかがって、本心とは裏腹に面会交流を拒否する例は多いとされる。ただ、弁護士や調停委員によると、それが本心かどうかを、赤の他人が突然ヒアリングをしたところで、見分けるのは至難の業だ。
 そうした悲惨な事態を避けるために、大きな効力を持つのが「間接強制」だ。面会交流を実施しなかった場合に、相手方に金銭を支払わせる仕組みで、2013年に最高裁が1回につき5万円の間接強制を認める判断を示したことで、近年争うケースが増えている。
 ここで注意したいのは、間接強制が有効なのは、面会の日時や頻度だけでなく、時間の長さや引き渡しの方法などを、具体的かつ詳細に決めてある場合だ。
 これまでの判例から、少しでも曖昧な項目があると、間接強制が認められない傾向があるため、手続きに向けては、弁護士など専門家の判断をぜひ仰いでもらいたい。

面会交流に関する可児康則弁護士の論文に対する伊藤勇人弁護士の考察

出典:名古屋ブレイブハート法律事務所ホームページ

面会交流に関する可児康則弁護士の論文に対する伊藤勇人弁護士の考察

かつての同僚であった可児康則弁護士が面会交流について批判的な論文が判例時報に公表された。
彼は「こどもを中心の面会交流」でも立場性をもって論じているが、さて第一人者の彼の論文を拝見していくと、離婚=DVというドグマが激しすぎるような印象を受ける。
この点、最近は、DVでもCCV、SCV、SIV、VRに分類して危険性評価をするのが一般的であり、別居に際してのトラブルの多くがSCVであり、これをDVとするのは「レッテル貼り」の印象をぬぐえない。
現実に、名古屋地方裁判所保全部の運用は厳しく、現実には、危険度が最も高いCCV以外では発令されていないのではないかと思われるくらいである。(この点は、各庁の裁量が極めて大きい)
しかしながら、立場性もあるだろうが、互換性のある立場からいえば、今回の可児論文があまりできがよくないように思われる。
第1 軽視されるこどもの意思
 軽視されるこどもの意思という項目が立っている。たしかに、私も家事実務の中で、こどもの人権共有主体性自体が否定しているのではないか、と思ったこともあり、人間の尊厳をどう考えているのだろう、と考えたことがあった。それは具体的には、大変男性親に懐いている男の子だったのだが、その子がどれだけ声を上げても裁判所によって封殺されること自体に違法性を感じることがあった。
 しかしながら、可児弁護士は、ラジカルにいえば「洗脳」の正当化に近い。一般的には、監護親が非監護親に不安感を感じていると、その不安をこどもが敏感に感じ取り監護親の望む言動をする循環機序にあるとされている。最近では、名古屋高裁が一般論で説示するようになり、もはや経験則といっても過言ではないと思われる。この点、可児弁護士は「こどもの意思を無視した面会交流を決めても実現には困難さを伴う。」などと指摘する。
 しかし、問題なのはこどもの真意なのだと思う。私の母親はいつも強きで人の悪口をいうのが大好きな人だったが常に同調を求められていた経験がある。末っ子で家事もできない少年としては、母親のいうことにうなづくしかないだろうと思う。したがって、こどもの表面的な言動にはとらわれず、両親の紛争の経緯等から慎重に真意を見極める必要があると考えられる。ただ、調査官実務における意思の分析は私も真に疑問だと思う。調査官のある研究論文では面会交流というのは監護親と非監護親の感情の調整といった程度のレヴェルの叙述がみられるものも散見される。
 私は、これまで黙殺されてきたこどもの「声なき声」が拾われるには、ある程度真意を見極めなければならないという一般論には賛成せざるを得ないと思う。可児弁護士は面会交流ありきの方向性での調査結果しか出ない、と断じるが、大よそ2年ほど前の名古屋家裁の実務を論難するものとみられる。現在は心情面では父親とは会いたくないといった記述がされることもあり、分析・評価といえるほどのものはないように思われる。他方で、数年前に見られたのは、「血縁上のルーツを知るのはこどもの福祉に資するから面会交流を認めないのは子の福祉に反する」という血縁主義的な気持ち悪い報告書も何件か読み、その調査官が血統主義、優性主義者であるということはよくわかったが、最近のいわゆるDNA判決以降、自然血縁関係を重視した大阪家裁決定が出されるなどしており、こどもの精神状態を不安定にさせないかどうかという理論的視座から面会交流の実施の可否を判断するのが相当のように思われる。したがって、可児弁護士がいうように面会交流に向けて、結論ありきであれば、それはこどもの精神的安定を害する場合もあればそれは不当としかいいようがないように思われる。
 可児弁護士は、司法関係者は幼年心理につき素人同然というが、たしかに調査官は数年前は養育費の調査を担当していたのであり、数年経過したら「こどもの専門家」などというのは笑止というしかない。そして、こどもが面会を拒絶しているという調査報告書が出されつつも調停委員会のあっ旋で面会にこぎつけて、「面会できてよかった」と感想を漏らすこどももいる。したがって、調査官報告書の分析・評価というのは「その程度のもの」とみなければならないように思われる。
 可児は、臨床心理士など外部の機関の利用を推奨するが、私は、こどもの意向や心情調査については、弁護士を選任して、1カ月程度数回の面談を重ねるということがいいように思う。たしかに、監護親には負担だろうが非監護親からすれば15分程度の司法面談で「パパは嫌い。ママを殴るから」と覚えてきたセリフを言われて、面会交流を却下されたり、「ママは嫌い。パパと僕より不倫相手の方が好きなんだ」とやはりお決まりのセリフが登場することにはあきれ返る。そして、調査官自体が人生経験の乏しい若い少年のようなケースもあり、当事者間の納得が得られなければ、父母間の緊張関係の低下や建設的な面会交流の策定に向かわないように思われる。
 可児弁護士はこどもが示した意思の安易な分析はよくなくないというが、現実的にそのとおりだとすれば、もっとじっくりと話しを聴くという意味で、こどもの代理人制度の導入、ひいては、こどもの手続代理人制度の活用範囲を拡大するべきである。現実に間違っていた例を目の前にして、可児のいうとおり、こどもの意思の分析、評価の仕方には問題があるように思われる。
 可児弁護士の論旨は、結局、こどもの調査に多方面の外部者を入れるべきだ、という論点は正しい道筋のように思われる。
 しかしながら、それ以降のDVに関する叙述に関するものは読むに堪えない、といったレヴェルのものだと思う。
 繰り返すとおり、DVには、危険性のレベルがある。早期に警察も介入が必要であるのは、CCVのみというべきであり、SCVなど強引な子連れ別居の際の小競り合いをもって「DV」「DV」と騒ぎ続けるのは不当な「レッテル貼り」のように思われる。そして、保護命令が出た後の調停でも監護親から「生理的に嫌」など、主として、又は、専ら個人的な感情の重視が調停委員会に伝えられることもある。そうだとすれば、危険性が高ければ別論だと思うが、危険性に比例した対応を面会交流で行うというのが警察比例の原則からいっても理に適っていると思われる。そういう意味で可児が批判する「家裁はDV被害者支援の機関ではない」との指摘は正鵠を射るものであるのであって、危険性が低いDVについて警察比例の原則からいっても面会交流が相当な場合にまでネガティブと言い続けるのは、フェミニストの党派的主張と批判されても真にやむを得ないだろう。その辺りの繊細なバランシングが、可児の論文において、段階的かつ分析的に行われていないのは、彼の論文の骨子が十分成り立たないことを示すものである。
 また、可児弁護士は、どちらかといえば、片親でもいいじゃないか的発想が強いと思うが、V6の岡田もまた離婚家庭で育ち理想の父親像を考えながら過ごすのが趣味とかって新聞のコラムで紹介されていたことがあった。可児弁護士は、片親でも健全に発達しない実証はない、というが、他方では、父母両方から愛着が得られることこそ、こどもの心理に安定感を与えて、愛情豊かなこども、そして大人に育つという考え方の方が経験則には合致している。このような理論的視座から欧米では共同親権がとられているのである。欧米で一般的な考え方を「実証的根拠がない」という程度の理由では否定できないと私は考える。かつて少年付添事件で、警察の一件記録を拝見すると「欠損家庭」と書かれていたものだ。また、ある映画では父親がいないと同性愛者になるそうだ、というセリフもある。そして、これは本来的には実証が可能なことであるが、プライバシーが強いことから実証はされないだけで、例えばLGBTの人などでは片親の人が多いのはある程度は事実であるといわれている(もちろん偏見的な意味合いはない。私は平等主義者であり、米国連邦最高裁のケネディ法廷意見に賛成している。)。
 それだけに、可児の主張は、「面会ありき」といわれるが、それはビューポイントを変えるとこどもを人質にとって財産分与や慰謝料の要求の駆け引きに用いていると、大きな見方では可能になるということも、可児の主張は批判に耐えられないであろう。また、夫婦間のDVがこどもに必ずしも向かうとの的確な証拠はないように思われる。
 面前DVは児童虐待防止法に違反するものであるが、家裁のこれに対する消極姿勢には多少、私も疑問を感じるときがある。例えば、立命館大学の二宮周平の家族法では、こうしたことをもって面会交流拒否事由になると論じられている。ただ、面前DVといっても、こどもを閉じ込めてわざわざDVをするケースも少ないだろうから、やはり危険性の判断との警察比例の原則で決するべきで、可児の議論は極端かつ一方的に採用の限りではない。
 可児の分析が間違っているのは、一般的に監護親の方は、DVを主張し、非監護親の方は、児童虐待を主張するという点である。つまり児童相談所への虐待通告は非監護親から行われることも少なくないということである。
 なお、別居中の面会交流と異なり、離婚後は事情の変更があったとして、面会交流は量的拡大を目指すべきものと考えられる。今までは、離婚したら縁切りということが多いと思うが、可児の主張には、「子の最善の利益」という最も根本的な視点が欠落しているのである。DVについての事実認定は困難を伴うから、愁訴を前提に反省していないとか、どうして暴力を振るわないといえようか、という主張には論理に飛躍がある。そもそも、離婚後は親権者が指定されるから、こどもの連れ去りは刑法上の問題が生じる。面会交流といっても、不代替的作為義務であるから、こどもがいきたくないといってしまわれたらそれでおしまいであることから、面会交流親は楽しい面会交流を心掛ける必要がある。特にこどものペースに合わせてあげることが必要である。
 また、離婚後は暴力を振るえば、即逮捕という世界である。現実的な暴力が生じるとするならば、刑事的な制裁を与えるのが理に適っており、もはや家事法の領域を超える末期的病理現象を標準として議論をしている点でまた失当と云わざるを得ない。
 なお、可児が縷々述べるところをみると、かえって、その監護親は、こどもに不安を伝染させており、非監護親の悪性を吹き込んだり、悪いイメージを与えたりしているのであるから親権者として不適格ではないか、という議論が正面から会っても良いのではないか。どうも可児が縷々述べるところをみると、面会交流には不安が付きまとうというテーゼがあるように思われる。それはそのとおりであることから、それを取り戻すための調整活動をすることも弁護士の仕事のように思われる。また、可児のこどもの行動観察は、何かリーズナブルなこどもがいる、というが、こどもはそんなに合理的には行動しない。いうこともころころと変わるし、それに寄りそってあげるだけの監護能力が必要であるように思われる。
 良い面会交流と悪い面会交流があるのは事実である。ただ、私見は、共同親権に近くなるよう面会交流制度の定義づけ比較衡量が行われるべきではないかと思う。一般的に「良い面会交流」は、大人からいえばサンタさんのような面会交流になってしまう。もちろん感情的なつながりを深める場でもあるが、旅行やおいしいものを食べる場になってしまうのではないかと思う。そもそも、それが面会交流なのかということもある。例えば男の子は父親は貴重なロールモデルであって、全てがDV男ではない。だから、こどもの精神において父親の下に移転したいとか、会いたいと願うこどももたくさんいる。その反対もしかりと思われる。ただ、面会交流というのは、家裁の基本的な考え方は、アタッチメントの形成にあるものの、物や食べ物、おもちゃといったものを使わないで、それを形成できる親はあまり多くはない。だからこどもにとってアタッチメントの形成の機会ではあるものの、楽しくなく正月とお盆に会えればいいよ、となってしまうこともあるかもしれない。
 可児弁護士は、縷々面会交流について批判し、すべての離婚事件を「DV」と断じて、親子関係を断絶させるのが相当であるが、そのような考え方は、少数意見であり、本来的にはこどもをもうけた以上、「生理的に嫌」などの理由ではなく、リーズナブルに話し合っていく建設的なものとして定義づけをしていくにはどうしたら良いのか、という理論的展開が求められるといえよう。なお、今般、名古屋高裁金沢支部は引渡しの際に、面会交流親と会わなければならないことは通常甘受すべき負担と断じている。その程度の負担も甘受できないのであれば、フレンドリーペアレントルールにも反し、親権者として相応しくないというところに戻ってくるのではないだろうか。なお、面会交流親にも、こどもと会えず心身を害している方もいるわけであって、互換性をもって論じなければ、無意味のように思われる。
 可児弁護士がいうとおり、監護親や非監護親のいずれからも家裁が社会から信頼を失っていることはそのとおりであり、それは保護命令の管轄が地裁にあることが物語る。
 裁判所によって、傷つけられたこどもたちの発達の程度に応じて、その愛着が得られるような形となるよう知恵を絞るべきで、欧米のバラは曲がったら一生曲がったままだ、という否定的な論旨は、我が国の健全な社会通念には到底合わない。

“子どもの立場”から「親子断絶防止法案」はどう見える?NPO法人ウィーズ・光本歩さんに聞く(1/2)

出典:平成28年12月10日 yahooニュース

“子どもの立場”から「親子断絶防止法案」はどう見える?NPO法人ウィーズ・光本歩さんに聞く(1/2)

離婚後の親子関係の維持・促進をめざす“親子断絶防止法案”。賛否が割れ、現在修正作業が進められている模様です。
離婚または別居後に自分の子どもと会えなくなった別居親たちと、子どもと同居する親側の支援者・団体が対立する構図が続いています。
そもそも離婚時に最も守られ、尊重されるべきは、親が離婚した子どもの立場ですが、なかなかその声が聞こえてくることはありません。子どもの立場の人は、この法案やいまの状況を、どのように見ているのでしょうか?
そこで今回は、自らも親の離婚を経験し、離婚家庭の子どもたちの支援活動を続ける光本歩さん(NPO法人ウィーズ 副理事長)にお話を聞かせてもらいました。
光本さんは6年前に『親の離婚と子どもの気持ちQ&A』(共著)という本を執筆し、筆者はこの本の担当編集者として光本さんと知り合いました。

*親の責任の周知は必要だが、子どものケアを考えてほしい
――親が離婚した子どもの立場である光本さんから見て、この法案はどう感じますか?
正直、一番最初に聞いたときは“頭がついていかない感”がありました。
面会交流や養育費の問題が改善されないのは、「離婚したあとにも、両方の親に、子どもに対する責任が残る」ということが、まだ一般に浸透していないからですよね。
そこに一番問題があるので、まずその社会の認識を変えないとダメだ、と思っていて。
でもその後、いろんな方にお話を聞いて、「ああ、たしかに」と思ったのは、「この理念法ができることによって、親の離婚後の養育の在り方について周知される」という点です。それはすごくいいと思います。その観点で言えば、法整備は必要だと思うんですよね。
でも、その先の具体的なところをちゃんと大人たちが考えていかないと、せっかく作っても意味がないな、とも思います。
――その先の具体的なところ、というのは?
やっぱり面会交流を行っていくなかで、どうやって子どものケアをするのか、というところ。
「子どもの本当の気持ち」って、すごく難しいです。それぞれの子が置かれた状況も違うし、子どもによっていろんな意見をもっている。しかも発達につれて考えや気持ちが変わる。親に言えないことだっていっぱいある。
そういうなかで、長期的に子どもに寄り添って理解を示してあげられる支援者を、どうやってつけられるのか。子どもが両親間の葛藤をもろに受ける状況になってしまったら、余計、負担になってしまうので。
それから、これは推進派の方も反対派の方も言っていることですけれど、法案ができて予算がつけられるようになったら、面会交流の支援機関を増やすところに予算を割くべきだ、という話がありますよね。
それはそうなんですけれど、ただ、いまは面会交流支援についてガイドラインが何もないので、このままだと支援団体・支援員任せになってしまうのは、不安だったりします。
親の離婚や面会交流というものが、子どもにとってどういうものか、ということすらよく知られていない状況なので。
だから、もっと周知すればいいと思うんですよ。離婚しても、親はこういうふうにするものだ、ということを。いろんな方法で認識を広げていけるはずだと思うんですけれど、それがないまま、ここまで来ちゃっているので。
私も、法律ができた後にどこまでの影響力を持つのか理解しきれていない部分はありますが、周知する手段の一つとしては有効なのではないかと感じています。
――養育費も面会交流も、まだ全然“当たり前”になっていないですものね。
そうですね、全然当たり前にはなっていない。だから現時点では、この法案自体、子どもや同居親に「押し付けられるもの」という印象が生じてしまうのかもしれません。
子どもが面会交流を「押し付けられたもの」と感じてしまったら、それは「会えてよかった」とは感じづらいと思います。
*面会交流の条件闘争のなかで置き去りにされる子どもの気持ち
――そもそも「面会交流」ってへんな言葉ですよね。親と子どもが会うだけのことなのに。
そう、不自然ですよね。本来、離れていてもお父さんはお父さん、お母さんはお母さんだと思える状態が、子どもにとってはやっぱり自然だと思うので。子どもが会いたいときに会えるというのは、本来当たり前のことであって。
ただ、「会う」に固執する必要はないとも思っています。
子どもに会えない親で、けっこう回数や頻度に固執される方もいるじゃないですか。「年間100日以上、宿泊あり」とかいう条件にこだわったりして。
でも、いまの子たちってすごく忙しいです。大きい子は部活もあるし、小さい子でも、習い事をたくさんやっているとか、親せきの家に行くとか、友達の誕生日会があるとか、子どもの社会のなかでも、いろいろなことがある。
そこでもし、親の希望通り「年間100日以上」の面会交流が実現したとしても、それを子どもが義務と感じて、「押し付けられている」と思ってしまったら、いい関係は築けないと思うんですよ。もちろん、逆に「たくさん会いたい」と子どもが思うのであれば、それをできる限り叶える努力を大人がしてあげるべきです。
子どもにとって一番だいじなのは、自分が会いたいと思ったときに会えること。回数や時間にかかわらず、それがずっと続いてくこと。親が自分の都合や気分で、子どもと会うのを急にやめる・やめさせるとか、そういうのは絶対ダメです。
――夫婦喧嘩の延長で、意地になっちゃうんでしょうね。
そう、面会交流の回数を多く取ることで「勝った」気になれるというか、自分の状況をちょっとでも有利にするために、面会交流で争う、みたいになっているケースも見ました。
最初は離婚で揉めているんだけれど、連れ去ったほうが親権をとるのに有利になる現実があるなかで、離れて暮らす別居親のほうは「負けた」という感覚をもってしまうのかもしれません。子どもにとってはどちらも本当に理不尽な話です。
――大人の争いに面会交流が使われて、子どもが巻き込まれてしまっている面があるんですね。子どものことを、じつは見ていない。
子どもは結局、そこで決まった条件を突きつけられるだけですから。
「●カ月に▲回、■時間、会うことになったから」って言われて、会うだけです。
(続く)

光本 歩(みつもと あゆみ)
NPO法人ウィーズ副理事長 家族支援カウンセラー
1988年大阪府大阪市生まれ。13歳のときに両親が離婚。自らが父子家庭に育った経験から「子どもが育つ環境によって、抱く希望や夢に制限がかかってはいけない」という思いを強くし、2009年に低価格学習塾を立ち上げた。これまで延べ500名以上の子どもの声を聞き、様々な子どものための支援活動や親をはじめとする大人たちを啓発するための講演・執筆活動を行う。第三次静岡県ひとり親家庭自立促進計画委員。

<子どもに会いたい 別居後の面会交流>(下) 親の愛情を確認する機会

出典:平成28年12月9日 中日新聞

<子どもに会いたい 別居後の面会交流>(下) 親の愛情を確認する機会

「面会交流をしていると、子どもの表情は明るくなっていきます」。横浜市を拠点に、面会交流を支援する「びじっと」の代表理事、古市理奈さん(45)は、こう強調する。
 四年間、父親と離れていた五歳女児は、面会交流をすることになった当初、「嫌い。うそつき」と父親を拒絶した。しかし、二回目の面会交流に付き添っていたびじっとのスタッフは、うれしそうに父親の腕を何度もなでる女の子を見守り、ほっとしたという。
 子どもは、同居している親の影響で別居親に対して「ばか」「死ね」と汚い言葉を投げ付けることがある。また、久しぶりに会った親に戸惑う子もいる。しかし、しばらく交流を続けると関係は改善してくる。古市さんは「親が子どもを受け入れている姿勢を見せ続けることで子どもは落ち着いてくる」と話す。
 ただ、面会交流の支援などをしている公益社団法人「家庭問題情報センター」(東京都豊島区)によると、小学校高学年くらいになり自分の意思がはっきりしてくると、親子関係の修復が難しくなるケースもあるという。子どもが幼いうちに別居して、顔を合わせないまま子どもがそのくらいの年齢に達すると、面会を嫌がる子どももいるため、一日も早く定期的に会えるようにすることが重要だ。
 同センターの担当者は「別居すると、子どもは離れた方の親に見捨てられたような強い不安を感じる。そんなときでも、面会交流をすることで親の愛情を確認できて安心する」と言う。子どもが自分の親がどんな人なのかを知ることは、自分自身の存在を確認することにもつながる。
 面会交流を求めて調停を起こす親は、増え続けている=グラフ。しかし、厚生労働省の二〇一一年度の調査によると、父親と子どもが別居していて、定期的に面会交流をしているのは27.7%、一方、していないのは50.8%だった。母親が別居している世帯では、面会交流しているのが37.4%、していないのが41.0%だった。

 このため、法務省は離婚時に取り決めをしてもらおうと、面会交流や養育費について説明するパンフレットを作製。十月から地方自治体の窓口に離婚届を取りに来た人に配布している。また、超党派の国会議員が離婚後も子どもと親が継続的に会うことを促す法律の制定を目指す動きもある。
 「夫婦が別れるのは仕方ないけれど、子どもにとっては関係ない。子どもに会い続けるのは親の責務」。古市さんは力を込める。
◆別居親の非難は禁句
 家庭問題情報センターは冊子を発行し、子どもの成長の上で親が気をつけたいことを呼び掛けている。
 同居している親が子どもの前で別居中の親を非難すると、子どもは自分も一緒に非難されているように感じる場合があるという。また、別居の親について悪いイメージを抱くと、その子どもである自身にも悪い像を重ねて、自信を失っていくことにもなりかねない。
 日常会話で、別居している親についてほとんど触れない世帯もあるが、それが子どもが別居中の親に無関心ということではない。子どもながらに同居している方の親を気遣って「忘れた」と言ったり、話題にしないようにしたりしていることがあるという。
 (寺本康弘)

親子断絶防止法案】馳浩・議連事務局長「虐待やDV被害への配慮も盛り込んだ」

出典:平成28年12月8日 弁護士ドットコム

【親子断絶防止法案】馳浩・議連事務局長「虐待やDV被害への配慮も盛り込んだ」

超党派の国会議員(約70名)が所属する「親子断絶防止議員連盟」が、法案提出を目指している「親子断絶防止法案」。法案では、未成年の子どもがいる夫婦が別居、離婚する際に、面会交流や養育費の分担に関する書面での取り決めを行うことや、面会交流の定期的な実施を促す。しかし、弁護士や研究者らからは、DV被害者への配慮が不足しているなどと危惧する声もあがる。超党派議連の事務局長である馳浩衆議院議員(自民党)に、前編(馳浩・議連事務局長「養育のあり方のルールは規定すべき」
https://www.bengo4.com/c_3/n_5438/)に続き、見解を聞いた。

●「離婚のベテランはいない」

ーー面会交流の重要性を周知していくための立法ということか?

一般論として、離婚のベテランはいない。私も一度、離婚しているが、誰しも離婚のベテランではない。それぞれに離婚の背景があるものだ。しかし、離婚は子どもたちに影響を与える。

離婚がともすると、いじめの要因になることもある。また、経済的な負担によって、スポーツもできず、塾にも行けない、土日もどこにも行けないこともある。勉強ができる子、スポーツができる子が、その機会が与えられない。これは教育の機会均等に反するのではないかとも考えられる。

本来、子どもがもっている能力、教育機会均等という理念を考えたら、経済的な負担によって、自分の進路を変更をせざるをえないようにしていく必要がある。離婚にともなって子どもに影響を及ぼす問題に、社会制度として取り組む必要があるのではないか。

婚姻制度はあるが、離婚した後の未成年の子供についての制度は、残念ながらない。離婚するのには様々な事情があるが、まず離婚後の子どもを守る、子どもの安心を考えるための立法だ。

ーー養育費のほうが重要ではないのか?

両方必要だ。

子どもにとってみれば、同じようなものだと考える。経済的な基盤が安定していること、そして、両親の存在があって自分が存在するというアイデンティティーの問題だ。しかしながら、離婚した方々にとっては、養育費と面会交流は(バーターになるなどの)交渉材料になることがあるので、次元が違う話として、とらえてください、ということだ。

ーー面会交流によって、アイデンティティーの危険は補えるのか?

思春期に自分の存在とは、なぜ生まれてきたのかを考えていく中で、自己肯定感が芽生えていく。自己肯定感は、自立していく上で欠かせないものだ。成長していく段階で、母性と父性を享受する関係性は、自己肯定感につながり、自立する上でのきわめて重要なファクターだ。

●養育費の未払い問題

ーー離婚後の問題として、養育費の未払いについては、法案ではふれるのか?

面会交流と養育費はともに重要との認識でおり、法案でも養育費の必要性にはふれる。しかし、養育費の支払いと面会交流についてはなるべくリンクさせないようにする。

ーーなぜリンクさせないのか?

交渉材料にして欲しくないからだ。「金を出してくれたら、会わせる」「会わせないから、金は払わない」となって欲しくない。

ーー養育費については子どもの最善の利益を考える上で、重要な要素であるはずだが、別に法案を作る考えなのか?

社会情勢をみながら、ということになる。養育費の差し押さえについては、すでに法制審議会での議論が始まっている。私自身も問題意識はもっているが、まずはそちら(編集部注:民事執行法の改正案)でやるべきだと考えている。

ーーDV加害者との面会交流について懸念する声がある

大前提として、父親、母親の合意のもとに行う。事務局長であるので、具体的なケースについては、明確には言えない。しかし、面会交流をさせないほうがいい事案もあるのだろう。

特別な配慮が必要な事案の場合には、調停を使うこともできる。もう1つは、家裁の調停員、家事審判をする練度、熟度をあげてもらうしかない。

ーー法案への批判については、承知しているのか?

いろいろなご意見を聞いてきた。

ーー現在、法案は修正されていると聞くが、具体的に最終案はどのようなものになるのか?

言える範囲でいえば、面会交流に関して、子どもの意見表明は「確保する」と明確にした。このほかに、面会交流をスムースに進めていくための「民間団体の協力」という文言も入れた。

また、9条にもうけた「特別な配慮」を必要とケースについては、児童虐待やDVに配慮して、と明確に入れた。ここに限らず、(法案の原案を)非常に、揉んだんですよ。きゅうりを塩もみするように。

<子どもに会いたい 別居後の面会交流>(中) 不安抑えて「娘のため」

出典:平成28年12月8日 中日新聞

<子どもに会いたい 別居後の面会交流>(中) 不安抑えて「娘のため」

 離婚や別居で離れて暮らす親と子どもの面会交流には、子どもと同居している側の親の理解が不可欠だ。しかし同居の親と元パートナーの間は信頼関係が崩壊し、複雑な感情を抱いている場合が多い。そんな感情のもつれから子どもを会わせたくないという思いがある。
 北関東地方に住む女性(41)は五年前、離婚した。調停では、当時、保育園の年長だった娘の面会交流を月一回、行うと決めた。
 「会わせたくない気持ちと、子どもに父親は必要なんだろうなという思いが入り交じっていました」と、女性は振り返る。
 女性は公務員だった元夫から家庭内で「おまえのせいで仕事がうまくいかない」「妻としてやるべきことをやってない」と怒鳴られることがあった。手を出されることはなかったが、子育てと仕事で精いっぱいの中、元夫の高圧的な態度は、「精神的なDV(ドメスティックバイオレンス)」と感じられた。
 別居後、しばらく会わずにいると、元夫は実家に押しかけて玄関の戸を激しくたたいたり、親族との話し合いでも怒って怒鳴りだしたり。
 離婚調停で子どもの面会交流は第三者機関を利用して行うと主張したときは、「なぜ第三者機関を使う必要があるのか」と怒りだした。怖くて二度と会いたくないと思った。
 調停が成立して、最初に娘を会わせるときは不安でいっぱいだった。元夫がそのまま娘を連れ去ってしまうのではないか、子どもにひどいことを言うのではないか。悪いイメージばかりが膨らんだ。
 しかし、初めての面会交流を終えて無事に帰ってきた娘は、久しぶりに父親に会えたことに大喜びだった。
 面会交流の日は、手帳に書き込んでいる。初めのころは、その日が近づくと嫌で嫌でたまらなかったが、最近は特に気にならなくなった。娘と元夫が会うこと自体に問題はない。娘は小学校の担任に「もっとお父さんに会いたい」と言ったことがあり、面会交流を月二回にした時期もあったほどだ。現在は、元夫の仕事の都合で月一回だが、第三者は立ち会わず、娘自身が携帯電話で父親と連絡を取り合って、会う日を決めている。
 しかし、自分自身が会いたくないという気持ちは変わらない。面会の日に娘を送り届けるときも、顔を合わせないようにしている。自分は仕事と子育てに追われているのに、元夫は月に一度会うだけ。「いい顔ができていいね」と腹立たしくも思う。ただ、子どもが喜んでいる。その顔を見ると、これでよかったんだと思う。
 さまざまな形で面会交流の支援を行っている団体「びじっと」(横浜市)が十一月末、同居している側の親向けに開いたセミナーには約十人の母親が出席し、率直に不安を語った。
 「父親に会わせることが、本当に子どものためになるのか」「元夫に子どもを連れ去られるかもしれない」「自分の今の居場所を、元夫に知られたらという恐怖がある」
 代表理事の古市理奈さん(45)は「夫婦が別れたからといって、子どもにとって元夫が父親であることは変わらない。多くのお母さんが頭ではそのことを分かっているけれど、心はなかなか付いていかない」と話す。
 セミナーで古市さんから「別居中の親は、子どもに会えなくてどういう苦しみの中にいるのでしょうか」と尋ねられた母親は、しばらく言葉に詰まった。そして「分かってはいるけど、言葉にしようとすると心がざわざわする」と複雑な気持ちを語った。
 別居中の親が「子どもに会いたい」ともがく一方、同居の親も苦しんでいる。古市さんは「自分たちの感情を抜きにして、まずは両親が子どものための面会交流という出発点に立たないと、うまくいかない」と話す。
 (寺本康弘)

親子断絶防止法案】馳浩・議連事務局長「養育のあり方のルールは規定すべき」

出典:平成28年12月7日 弁護士ドットコム

親子断絶防止法案】馳浩・議連事務局長「養育のあり方のルールは規定すべき」

未成年の子どもをもつ夫婦が離婚後、直面しやすい2大トラブルが「養育費を支払ってもらえない」「子どもと会えない」だ。そこで現在、超党派の国会議員(約70名)が所属する「親子断絶防止議員連盟」が、面会交流の実施などを促す「親子断絶防止法案」の提出に向け、検討を重ねている。

法案は、児童の権利条約を踏まえ、離婚後も親子関係が継続することの重要性を強調。「子の最善の利益に資する」「父母がその実現についての責任を有する」などとして、離婚時に面会交流や養育費の分担に関する書面での取り決めを行うことや、面会交流の定期的な実施を促している。

法案の背景には、離婚して以後、子どもと会えなくなった側の親らからの要望がある。しかし、DVなど、夫婦関係や離婚理由によっては、面会交流が危険となるケースもあるなどとして、研究者や弁護士らかは危惧する声も出ている。

超党派議連の事務局長である馳浩衆議院議員(自民党)は、「両親の婚姻関係が破綻、離婚した後に、養育のあり方についてのルールを規定しておくべき」と話す。法案の狙いや反発の声について、見解を聞いた。

●「特別な配慮」が必要な場合には?

ーー法案のポイントはどこにあるのか?

まず、私がこの法案について取り組んだ背景から説明したい。議員になって以後、困難な課題を抱えて成長をせざるを得ない子どもたちの問題に強い関心を持ち、立法に取り組み、法律のフォローアップもしてきた。

具体的には、児童虐待防止法、発達障害支援法、いじめ防止対策推進法、ハーグ条約(の実施法)など、子どもに関する様々な立法に取り組んできた。さらに、2011年には、民法766条の改正があり、ここで養育費や面会交流について定められた(編集部注:親権停止制度の新設、離婚後の面会交流等の明文化など)。

その後も、子どもの最善の利益は何か。子どもたちの成長、発達段階に応じて、どのような対応が必要か、勉強会を開いてきた。家族の問題、それもとてもプライベートな問題だ。どこまで行政や立法が、踏み込んでいくのか。子どもの権利条約、ハーグ条約、民法などを参考に、最高裁、法務省、警察、児童相談所、学校、病院、弁護士などの話を聞いてきた。

そのような中で、両親の婚姻関係が破綻、離婚した後に、養育のあり方についてのルールを規定しておくべきではないかと考えた。

ーー 一貫して問題意識があったということか?

そうだ。また、共同親権がいいのか、単独親権がいいのかという問題意識も持っている(編集部注:日本は単独親権)。

ーー法案のポイントは何か。面会交流の実施の努力義務だけでなく、共同親権についても盛り込むことになるのか?

法案は子どもにとっての最善の利益を確保するためのものだ。婚姻制度があるように、離婚する時に子どもがいる場合にも、社会的なルールが必要だ。

面会交流は努力義務だが、「特別な配慮」が必要な場合には、面会交流は義務付けるものではない。また、正確に言えば、共同親権は「附則」(規則の規定を補うためにつけ加えた規則)につけた検討項目だ。

ーー罰則はないのか?

最初から、罰則は考えていない。罰則のある法律にはしたくなかった。この法案は、理念法だ。罰則がある形にしたら、それを交渉材料にして、スムーズに離婚できなくなるとも考えられるからだ。

ーー共同親権についてはどうか?

我が国が単独親権であることをふまえ、本当にそれでいいのか、という考えはある。いわゆる共同親権、共同養育計画まで検討を広げたほうがいいのではないかという認識はある。

ーー共同養育計画についても、法案には盛り込むのか

書いていない。

●立法する意味

ーー法案の目的は、面会交流の重要性をアピールするためということか?

その通りだ。ひとつひとつの事案が千差万別だが、立法をもって、子どもの立場に応じて、(それぞれの関係者が)対応していって欲しいということだ。

ーー罰則もない理念法なのに、立法する目的は何か?

養育費が支払われていない事案も多い。子どもの貧困、教育力の格差にもつながっている側面もあるだろう。

もし、保護者が十分に子どもの成長に配慮できない場合、また保護者が対応しているつもりでも対応できていないような場合には、行政、民間団体、弁護士ら第三者がかかわったほうがいい事例もある。

一方で、(離婚する夫婦と接点のある)市町村の窓口や、家裁の審判員、調停員などの訓練ができているのか、個別の事案に対応する人員が揃っているのか。離婚の件数、未成年の子どもを抱えたご両親の数に比べ、その数が十分に揃っているのかは疑問だ。専門的な相談にのる方、法学部の学部・大学院生、司法修習でも、こうした事案に関する研修を重ねていただきたい。

人材育成の体制づくりのためには、財政措置が必要だ。それを促す上で、立法があるのと、ないのとでは意味が違う。

ハーグ条約の前から子どもの問題に関わってきたが、ハーグ条約が第一ステップ、第二ステップが民法766条の改正、第三ステップがこの立法だと考える。もちろん、その先には第4、5ステップの目標もあるだろう。

(以上、前編。後編に続く)

<子どもに会いたい 別居後の面会交流>(上)  突然の別れ 妻拒絶でかなわぬ望み

出典:平成28年12月7日 東京新聞

<子どもに会いたい 別居後の面会交流>(上)  突然の別れ 妻拒絶でかなわぬ望み

 マンションのドアを開けると、室内は真っ暗。子どもの靴やぬいぐるみも見当たらない。「冷却期間を置かせてもらいます」。妻からの手紙がテーブルに置かれていた。一年半ほど前のことだ。
 神奈川県内の会社員男性(46)は、妻と別居中。離婚はしていない。終電で帰宅することもよくあったし、投資に失敗してからは、言い争いも頻繁だった。四歳と二歳の息子が妻の元におり、自由には会えない。
 子どもに会おうとしたが妻に拒まれ、昨年八月、家庭裁判所に調停を申し立てた。話し合いは平行線で審判に移行し、現在も続く。
 調停に入る直前ごろから、子どもたちには三回会った。ただ、三回で計二時間だけ。いずれも相手の弁護士が目を光らせる中だった。初めてのときは、それでも感動で涙がこぼれた。しかし、面会が終わると、弁護士は厳しい口調でこう言った。「子どもが動揺した。どうしてくれるのか」。父親なのになぜ、他人にこんなことを言われなくてはいけないのか。自由に子どもに会いたい。その思いは増した。
 もし、審判で子どもに会うことを認められても、実現するかは分からない。実際、調停や審判で面会交流が認められるケースは多いが、同居の親が決まったことを守らないこともある。裁判所に決定事項を守るよう履行勧告を申し立て、出されても勧告に強制力はない。それでも会わせない親に違約金のように金銭の支払いを命じる場合もあるが、応じない親もおり、審判で争っても必ず会えるとはいえないのが現状だ。
 男性も、そんな不安が頭をよぎる。「家庭内暴力も浮気もしていないのに、なぜ子どもと自由に会えないのか」と嘆く。
      ◇
 「今、会っても分からないかもしれない」。東京都内の会社員男性(46)はつぶやく。現在、小学校三年生の娘とは五年、会っていない。
 五年前の離婚直後は元妻との合意もあり、週に一度、娘と会えた。しかし途中から元妻が会わせようとしなくなり、三年前に調停を申し立てた。しかし、相手の弁護士は「子どもが会いたいと言っていない。無理です」の一点張り。今は、面会を求めて争っている。
 面会交流は二〇一一年の民法改正で、子どもの利益を最も優先して、会い方や時間などを決めるように規定された。このため同居している親が「子どもが嫌がっている」などと訴えることもある。
 街にイルミネーションが輝き始めた十一月末、男性は娘へのクリスマスプレゼントを買った。キャラクター付きの鉛筆とノート。でも、手渡せる見込みはない。「自分の気持ちを安定させる意味もあると思います」
 娘のために何かしたい。娘が幸せになる力になりたい。そんな父の思いが娘に伝わるよう願うばかりだ。
      ◇
 離婚や別居によって子どもと離れて暮らすことになった親が、子どもに会うために調停や審判を申し立てる事例が増えている。夫婦としては破綻しても、子の成長を見守りたいとの思いは切実だ。ただ、会うのは簡単ではなく、関係が断絶してしまう親子もいる。別離しても、子どもに愛情を伝え続ける方策はないのか、三回にわたって考える。
 (この連載は寺本康弘が担当します)

離婚後の子との「面会」どうあるべきか 「親子断絶防止法案」めぐり議論続く

出典:平成28年11月23日 J-CASTニュース

離婚後の子との「面会」どうあるべきか 「親子断絶防止法案」めぐり議論続く

 離婚後の父母、そして子は、いかにして付き合うべきなのか――。超党派の議員連盟により、別居親との交流などについて定める「親子断絶防止法案」の提出準備が進められている。

 正式名称は「父母の離婚等の後における子と父母との継続的な関係の維持等の促進に関する法律案」。保岡興治元法相を会長とした議連が、いまの臨時国会提出を目指している。

■目的は「子の最善の利益

 法案は、いわゆる「子どもの権利条約」を踏まえて、離婚後も父母と子が継続的関係を持つことが、子の「最善の利益」になるとの前提に立つ。その上で、夫婦は離婚する前に、定期的に子と会う「面会交流」や、養育費について書面で取り決めるよう努力義務を課し、離婚後も子と交流するよう明記している。

 法整備の機運が高まる背景には、片方の親による子の「連れ去り」「引き離し」の問題がある。単独親権の日本では、離婚後は父母どちらかのみに親権が与えられる。親権者を決めるうえで、重視されるのが「継続性」。そこで、一方の親がより有利になろうと、もう片親に会わせないケースがあるのだ。

 今回の法案は、子の立場に立った法案とされるが、反対する人も多い。たとえば朝日新聞2016年9月29日朝刊では、シングルマザーを支援するNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子理事長が、養育費不払い時の対応や、別居親と会いたくない子の存在などを挙げて、懸念を示している。

DV被害をどうするのか

 なかでも反対派から出ているのは、家庭内暴力(DV)被害にあっている親が、子を連れて別居しにくくなるのではとの意見だ。法案にはDVがある場合に「特別の配慮」をするとの条文もあるが、その具体的な内容は書かれていない。

 「特別の配慮」については赤石氏が問題視するほか、毎日新聞も10月1日朝刊で、専門家やDV被害者の弁として「DVや虐待は証明できない場合も数多くある。特別な配慮といってもあてにできない」と伝えている。武蔵大学の千田有紀教授も「Yahoo!ニュース個人」で10月中旬から4回、主にDV被害者を想定して、問題点を指摘した。

 では、これらの意見について、賛成派はどう考えているのか。臨床心理士の石垣秀之さんは、離婚父母から面会交流や監護者指定などの相談を受け、DV被害者とも接してきた立場から、この法案に賛成している。

 「本法案は、離婚や別居によっても親の責任をまっとうする社会を目指す理念法です。債務者に『養育費の支払いは当然である』と認識させるほか、養育費を『不要である』と考えたり、私物化しようとしたりする同居親を諌め、子の福祉に反映される使途を促進する社会的圧力を作り出すことができると考えられます」

 では、DVがあった場合は、どう対応すればいいのか。石垣さんは、

 「子がその影響を受けておらず、加害者が子を愛し適切な対応をしていたのであれば、子からその親を奪ってはなりません。加害者を更生させるためには加害行為についての反省が勿論必要ですが、愛する子を奪うようなやり方ではかえって恨みを助長する危険性すらあります」

 と主張する。

合理的な根拠があれば、親権の停止や剥奪も
 
 子の面前で行われたDVの場合は、子の心理的ケアや、加害者の反省や謝罪、更生がなされた後でなければ、直接的な面会交流は行うべきでないとする。ただし、子が許可するならば、写真や手紙などでの「間接交流」まで奪うことは、必ずしも子の福祉にかなうものとは言えないという。

 「一方で、子に生涯消えない身体的・心理的な傷を与え『加害者の更生が不可である』と合理的な根拠の元に判断される場合には、親権停止や剥奪を含め、毅然とした対応をもって子を守る制度が必要であることは言うまでもありません」

 条文で定められる「特別な配慮」としては、どのようなことが考えられるだろう。

 「特別な配慮とは、加害者と子を面会交流させないように禁止するものではなく、被害者が加害者によるDVの影響を免れるために、連絡調整の方法や当日の送迎・同席に関して、被害者側の意向を最大限くみながら実施することと言えます」

 一方で、石垣さんは、DV法に証拠主義を採用し、「虚偽DV」を訴えるよう教唆した人物への罰則も盛り込むべきだと主張。

 「親子の断絶を予防し、子が双方の親の愛情を受けて育つならば、次世代においてDVの加害者が生まれる世代間連鎖を断つことが可能となります」
 と語っている。

「継続性」ではなく「寛容性」の原則、別居夫に娘の親権認めた裁判の控訴審結審

出典:平成28年11月17日 弁護士ドットコム

「継続性」ではなく「寛容性」の原則、別居夫に娘の親権認めた裁判の控訴審結審

小学3年生の娘の親権をめぐり、突然の別居で約6年間面会させてもらえなかった父親と、その間、娘を育てていた母親が争っていた離婚裁判の控訴審が11月17日、東京高裁で行われ、結審した。今年3月の一審判決では、父親側に親権が認められ、「寛容性の原則(フレンドリーペアレントルール)」を採用した珍しい判決と、注目を集めていた。

これまで裁判所は、子どもの環境を大きく変えないよう「継続性」を重視し、同居している方の親(今回であれば母親側)に親権を認めることがほとんどだった。

しかし、一審の千葉家裁松戸支部は、夫婦が相手に対し、子どもと過ごす時間をどれだけ許すのかという「寛容性」を重視。母親が月1回の面会しか認めなかったのに対し、父親が年100日の面会などを認めていたことを評価し、父親に親権を認めていた。

母親側が控訴した今回の控訴審では、面会日数など「寛容性」が争われることはほとんどなく、一審判決の妥当性の判断が中心になるとみられる。判決は2017年1月26日。

面会交流にあたって、「子どもの意見を尊重する」ことに反対します。(あいたいと言えない子ども達のために大人がするべきこと)

出典:平成28年11月14日 土井法律事務所(宮城県)ブログ

面会交流にあたって、「子どもの意見を尊重する」ことに反対します。(あいたいと言えない子ども達のために大人がするべきこと)

1 親子断絶防止法の議論の中で、「子ども意見を優先して決めるべきだ」という意見が出されることがあり、条文に明記しようという意見もあるようです。
 私は、中学生以下の子どもの意見は取り上げてはならないという理由から、このような条文を盛り込むことには反対です。
 そのような意見は、子どもに責任を押し付けるものであり、強い憤りを覚えます。子どもに負担をかけるべきではないと考えます。

2 子どもの意見を尊重するというと、ハーグ条約にも定められていますし、一見、子どもの人権を尊重するかのように見えるかもしれません。
 しかし、面会交流について子どもに意見を聞くという場合は、子どもの自由な意思が表明されているとは言い難いのです。
 そもそも、離婚だったり、別居だったりについて、子どもの意見は反映されたのでしょうか。親が、子どもの意見を無視して勝手に決めたのではないでしょうか。子どもが自由に意見を言えるのであれば、また家族みんなで暮らしたいと言える機会があるのでしょうか。「家族はバラバラだ。もう一方の親とは一緒に暮らすことができない。さあ、もう一方の親と会うかあわないか。意見を述べろ」といわれていること自体が、子どもがかわいそうだと私は思います。
 子どもに対する虐待がある事案でも、子どもに意見を言わせるべきではないと考えています。親が、子どもの健全な成長を害するとして、大人として責任をもって実施の有無を決めるべきだと思います。
 面会交流事件の実務経験からすると、子どもが真意を語らない場合、語っていない場合は、よくあることです。
 調停などでも、子どもが「別居親に会いたくない」という手紙が提出されることがあります。確かに子どもの字で記載されているのですが、文面を見ると明らかに大人の事情が書かれていたり、言葉遣いが不自然に大人びていたり、不自然に幼児っぽくなっていたりします。また、その言葉は、子どもにはわからないはずだということも平気で記載されていたりします。親が書かせていることが多いわけです。
 子どもに対して虐待があったと主張された事案で、こちらも緊張して面会交流を実施したところ、子どもが父親を呼びつけにして呼びかけ、「どうして今までいなかったんだ。どこでどうしてた。」と、父親の顔を見たとたん笑顔で走ってきたケースもありました。
 これに対して、子どもが自発的に面会の拒否をしたとしても、真意で拒否しているわけではないことも多くあります。子どもが同居親に逆らえないのです。一つは、父親など別居親が自分の周囲から見えなくなったため、もう一人の母親もいなくなってしまうのではないかという不安があるようです。そのため、母親のいうことを過剰に聞いてしまうというようになります。
 また、同居親が、悲しんでいたり、怒りを持っていれば、近くにいる自分の親ですから、その感情に共感してしまいます。自分が味方になるという気持ちがわいてくることは当たり前のことなのです。近くにいる親の感情に振り回され、自分が別居親との面会を拒否することによって別居親の感情を害するということまでなかなか気が回らないことが実情です。
 ましてや、自分が別居親を懐かしがったり、心配したりして同居親からヒステリーを起こされたり、同居親が泣き出したりすれば、もう別居親のことを気にかけることはするまいと思うようになってしまいます。別居親の悪口を言ったり、別居親なんていらないという発言で同居親が喜べば、同居親を励まそうとして、そういうことを率先していってしまったりするものなのです。
 別居親と会いたくないという言葉を真に受けないことも、大人の責任です。むしろ、別居親と会いたくないという言葉を発する子どもこそ、別居親との面会が必要な子どもだというべきなのです。

3 子どもが会いたくないという意見表明をしたことによって、面会交流が実施されないことは、子どもの心理に深刻な悪影響を生じさせます。
 子どもは、別居親を独りぼっちにしたことに罪悪感を感じていることが多いです。それも自分の責任だと思うこともあります。ましてやただ会うことすら、自分の意見で実施されないということになれば、罪悪感や自責の念が高じてきてしまいます。これを軽減するために、子どもは自分自身の行為に言い訳をするわけです。それが、別居親はいかに悪い人間であり拒否は正当なんだと、自分に会えないのは別居親の自業自得だという言い訳です。自分が面会を拒否することによって被害者である同居親を守る義務があるという言い訳です。
 そうすると、自分は被害者であり、絶対的な善である同居親の子どもだという意識が強くなります。しかしそれからしばらくして思春期頃になると、自分は加害者である絶対的悪である別居親の子どもでもあることに気が付きます。絶対的善の子と絶対的悪の子という意識は極めて有害です。通常は、両親の影響を乗り越えて、自分とは何かということを思春期後期に差し掛かるときに確立していきます。しかし、矛盾する親の子という意識は、自分というイメージがつくりにくくなり、自我の形成を困難にします。自分の異性関係にも暗い影を落とします。自己肯定感も低くなることは簡単に想像できるところです。

4 子どもが虐待されていた場合も、面会交流をした方が子どもの成長に有利に働くといわれています。もっとも、無条件に合わせることはマイナスになる危険があります。会わせ方の問題です。先ず、虐待親に対して、自分のどのような行為が子どもの心にどのような影響を与えるかを学習させます。その上で、禁止事項の打ち合わせを周到に行います。その内容を子どもに告げて、子どもの安心できる対応、距離だったり、同行者だったり、いろいろな条件を整えて子どもが安心してあえる環境を作ります。そうして、虐待親に謝罪をしてもらいます。子どもが過去の虐待を忘れることはありませんが、将来に向けて歩き出すことができるようになります。もちろん、同居親が、子どもが別居親と会うことを非難するだけでなく、態度で不愉快な様子を見せないことも子どもが安心して面会をするための有効な要素となります。
 そもそも子どもは、自分がここで別居親と会わないことで、自分の健全な成長においてどのようなメリットがあり、どのようなデメリットがあるのか等ということを考える能力なんてあるわけがないのです。大人が責任をもって段取りをして会わせるということになります。即ち、どのように会わせるかという議論こそするべきです。それにもかかわらず、面会交流にあたって子どもの意見を尊重するということは、子どもに「自己責任」を負わせることにほかなりません。

5 「子どもが会いたくないと言っている。」という言葉は、面会交流調停において、必ずと言ってよいほど言われます。別居親と会わせない口実です。そういう主張がなされていても実際に面会すれば、子どもたちは、普段と同じように交流をしています。子ども意見は別居親の口実になっているということは、悪く言えば、別居親が自己の合わせたくないという感情を満足させるために、子どもという人格を利用していることになります。子どもはそれを知らされませんので、訂正する機会もありません。
 子どもの意見を尊重するということが、いかに子どもに取って有害であるかお話してきました。面会交流だけは親が責任をもって実施するべきです。もっとも、現代の孤立した家族は無防備です。なかなか会わせる方法がなく、途方に暮れる親の姿も目に浮かびます。会わせろ、会わせないというよりも、どのようにして同居親の不安をなくして、安心して面会交流が実施されるかということこそ議論するべきです。
 少なくとも、面会交流を定める法律で、条文をもって子どもの意見を聞くということ定めることがいかに愚かで残酷なことかお分かりいただけたと思います。それは面会交流を妨害するだけの効果しかありませんありません。誰が子どもの意見の真実性を判断するのでしょう。会わせない言い訳に使われるだけのことです。
 面会交流の法案について意見を述べることには反対はしません。しかし、法案の議論をするのであれば、これまでの科学や実務を正確に反映してなされなければなりません。それらを無視して、感覚だけで法律が作られてしまうのではないかというとてつもない不安を覚えてなりません。

親子断絶防止法が提出された背景と問題点、補強していく方向性

出典:平成28年11月10日 土井法律事務所(宮城県)ブログ

親子断絶防止法が提出された背景と問題点、補強していく方向性

親子断絶防止法が話題になっています。
これは、離婚後に、子どもが一緒に住んでいない方の親との交流を続けることで子どもの健全な成長を確保していこうとする法律です。
ただ、法律といっても、親に対して義務を定めたものではなく、どちらかというと国や自治体の責務を明らかにした基本法という意味あいの強い法律となっています。
http://nacwc.net/14-2016-10-10-06-05-20/8-2016-10-05-06-13-46.html

この法案が提出される背景として先ず、離婚時には、どちらか一方が親権者と定められ、通常は親権者と子どもが同居するのですが、子どもと別居する方の親が子どもと会えなくなってしまうということが社会問題化してきていることがあります。
司法統計を見ても、面会交流調停を申し立てた件数が平成12度では全国で2406件平成27年には12264件に伸びているというように、子どもに会えない親が激増しています。
いろいろな事情があるのですが、高度成長期前の離婚は、妻が夫の婚家から追放される形で行われることが多く、子どもは「家」のものだという思想から追い出した母親には会わせないというむごい傾向がありました。(今もなくなってはいません)
そのため、離婚が子どもとも永劫の別れになるという意識が潜在的に定着していったようです。
高度成長期以降は母親が子供を引き取ることが多く面会交流の要求がぼつぼつ出てきたようです。
もともと江戸幕府末期や明治初期の外国人の日本滞在記などでは日本男性の子煩悩ぶりが多く記載されています。(例えばモース「日本、その日その日」講談社学術文庫)
子どもを愛する気持ちは、最近のものではないようです。
子どもに会えないことによる親の心理は深刻です。
親として、人間として人格を全否定されたような感覚を受けるようで、それは、自分が存在することを許されないという強烈なメッセージを受けたような感覚だそうです。
自死をする事例もかなり高いです。
これまでフェイスブックで連絡を取っていた人たちがある日突然書き込みがなくなるんです。
とても怖いことです。

今回の親子断絶防止法案の提出の一つの問題の所在として、わが子に会えない父親、母親の魂の祈りがある。
法案提出に向けたエネルギーがあると言わざるを得ません。
しかし、最近は、法案推進側の人たちも学習を重ね、主張の内容が変わってきています。
これには棚瀬一代先生、青木聡先生等の先生方のご尽力があります。
一言で言えば「自分を子どもにあわせよ」という主張から「子どもを親にあわせろ」という主張への転換です。
子どもにとって、別居親からの愛情を感じることが離婚後の子どもに陥りやすい自己肯定感の低さ、自我機能の良好な発達特にゆがんだ男女関係に陥りにくいというような弊害を防止することに役に立つということが世界中の研究で明らかとなってきました。
優しい子どもさんほど離婚に伴うマイナスの影響が出てしまうようです。
このような研究が明らかになり、裏付けられてきたのは20世紀の末ころからで、それほど日がたってはいません。
それまでは、子どもの利益、健全な成長等と言う概念は離婚においてはあまりありませんでした。
最初にゴールドシュミット、アンナフロイト等と言う学者が面会交流については反対しないけれど高葛藤の母親に面会交流を強いることは葛藤を高めて、結局子どもの利益に反するという主張がなされました。
これに対して、離婚後の子どものマイナスの影響はあり、それを放置するとマイナスの影響は成人後も続くという研究がなされ、葛藤を抱えながらも面会交流をすることによって先ほどの負の影響が起きにくいという研究がされ、統計学的にも実証されるようになっていきました。
最近では、離婚そのものの負の影響ではなく、婚後も、親どうしが憎しみ合うことが子どもにとって悪い影響を与えるというように言われるようになっています。
これが、21世紀の20年弱の歩みなのです。
ようやく、このような研究、子どもの成長の視点が国家政策に反映されるというのが親子断絶防止法だと位置づけてよろしいと思っています。

それでは、問題点はどこにあるのかということですが、同居している子どものお母さん方の一番の不安は、離婚した元夫に会わなければならないのかというところにあります。
暴力があるケースもないケースも病的なまでに高葛藤となり、元夫と同じ空気を吸いたくないとか街で元夫と同じコートを着た男性を見ただけで息が止まり、脈拍が異常に上がるというまで生理的に嫌悪するということがあります。
ただ会いたくないのではなく、生理的に受け付けなくなっているという状態だと思います。
その相手と、日時場所を決めて受け渡しをしなくてはならないということであると、どうしたってやる気が起きないというかむしろ新たな不安に苦しむことになるということはよく理解できるところです。
実際、お母さん方と接していると本当は会わせたくないけれど、子どもをお父さんと併せることは仕方がないという方が殆どです。
でも、できないのです。
それなのに、会わせる義務があるようなことを言われるともう何も受け付けなくなるということはあるでしょう。
法案自体にはこのような義務を定めてはいないので実際の問題はないのですが、要綱とか概要には誤解を招く表現もあるかもしれません。
実際の面会交流を実現させるにあたっては、お母さん(同居親の多くは母)が安心して父親に子ども会わせる方法を構築してから面会交流を実現させます。
禁止事項を決めて、禁止が実現するための方法も決めて、安全確実に子どもが戻される方法も決めて誰かの協力を得て面会交流が実現します。
DVの訴えがあった事例などは私も面会交流に立ち会うこともあります。
それだけ苦労する価値のある感動を受けることができるのも面会交流です。
このような安心できる制度のサンプルを提示するということがこの法律実現の一番の近道ではないかと考えています。
これはしかるべき専門家たちが集団でサポートする必要があります。
まともにやれば費用は高額になります。
どうしても自治体の援助が必要だということになります。

もう一つの問題の所在は、じつは、家族が崩れていくことに国の関与があるのではないかという主張です。
このブログによくコメントをいただく方もそのような主張をしています。
どこまで影響があるかということで司法統計と内閣府の統計を調べた結果が下のグラフです。
面会審判申立件数はそのままの数字です。
同じグラフでわかるようにと、面会交流調停の申立件数は10分の1として配偶者暴力センターの相談件数を100分の1としてグラフ化しました。
そうしたら、面会交流調停と配偶者暴力相談センターの相談件数がぴったりとあうではないですか。
画像の説明
このグラフを作ってから、少し、心は揺らいでいます。
平成22年頃からは、配偶者暴力相談センターだけでなく民間のNPOなんかも相談に乗るようになったのではないかという気もしています。
そして、これらが、親子関係の崩壊の一因となっているのではないかとそんな考えが否定できなくなっています。
親子関係崩壊ということも、親子関係断絶防止法のワードの一つです。

この法案に積極的に反対している方は、この法案ができてしまうことは「家族や子どもをめぐる法律は、2000年代から、家族の多様性や個人を尊重し、家族内で暴力や虐待があった場合、個人を保護する方向で整備されてきた。配偶者暴力防止法や児童虐待防止法がそうだ。「父母と継続的な関係を持つことが子の最善の利益に資する」として、一方の親にだけ努力義務を課し、子の意見も聞かない法律ができれば、20年以上前に時計の針を戻すことになる。」と述べています。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12582308.html

これについては、反論もさせていただいています。
http://doihouritu.blog.so-net.ne.jp/2016-09-29-1

ここが、彼女らの主張や考えの根幹なようです。
「家族の多様性や個人の尊重」とは、家族は、父親、母親、子どもという固定観念を捨てて、父親のいない家庭を当たり前にしようということのようなそこまで過剰な主張をしていると考えることがどうやら実態からみて合理的なようです。
これまでの20年は、例えば上のグラフのような面会交流が激増するような事態を作るということだったようです。

暴力の有無にかかわらず警察や行政は、母親の子どもを連れた別居を支援しているからです。
子供にとってどちらが幸せかという科学的な調査研究の積み重ねは無視されています。
私が、彼女らの議論こそ20年前の議論に、そうですゴールドシュミットやアンナフロイトの議論に全く立ち返っていると言ったことはわかりやすいことだと思います。
20年たって、科学的には根拠がないとして葬られた学説が現在親子断絶防止法の反対意見としてなぞられるように再言されています。
「多様な家族」を作る目標こそが親子関係断絶防止法反対キャンペーンのモチベーションのような感覚も受けています。
しかし、それは国民のコンセンサスでもなければ国家等公的機関がやるべきことではありません。
親子断絶防止法は、根本的には、離婚後の家庭に対する働きかけだけではなく、現実の家族に対する向かい風をどのように克服していくかどのように男女が協力して温かい家庭を作っていくかというそして、国や自治体が押しつけがましくではなく、支持的支援を求められたら応えられるような体制を作るということまで視野に入れることが肝要なのだと思います。
離婚というのは、結果です。結果が出る前に早期に解決して早期に家族の不安や軋轢を取り除く工夫こそが国や自治体の政策として必要だと私は思います。

茨城)離婚後の養育支援考えるシンポ 茨城大学で

出典:平成28年10月17日 朝日新聞

茨城)離婚後の養育支援考えるシンポ 茨城大学で

 親が離婚した子どもの養育支援を考えるシンポジウムが16日、水戸市の茨城大学であった。水戸家庭裁判所の調査官や心理学者が登壇。離婚後も養育環境を充実させる欧米のプログラムを紹介し、貧困リスクが高まる子どもに配慮した施策の充実を訴えた。
 同大の野口康彦教授(臨床心理学)が企画。離婚が子どもの貧困を引き起こす大きな要因の一つになっている現状を前に、「離婚後も父と母の双方が責任を持って、子どもを育てる必要がある」と考えた。
 シンポではまず、心理学者2人が国内外の離婚の状況を報告。再婚家庭であっても、実の親の役割を無理に果たさなくていいといった研究内容を紹介。また、日本では離婚後の面会交流の時間が1年間で計24時間ほどにしかならないのに対し、アメリカやノルウェーでは100日を超えるほか、養育費の不払いにも強制徴収や立て替えなど対応する制度があるという。
 その後、水戸家裁の瀧川善和・主任家裁調査官も「子どもの養育に十分ではない金額ですら、(支払いが)実行されていないという現状がある」などと話した。面会交流を援助する民間組織の必要性や、養育費の支払いや面会交流の実施などについて裁判後のアフターケアの充実を訴えた。
 シンポには、親が離婚した人たちが今年4月に立ち上げた「日本離婚の子ども協会」(東京)のメンバーも駆けつけた。
 代表の中田和夫さん(45)は生後まもなく、両親が離婚して父子家庭で育った。「かつて離婚は夫と妻との間の問題で、子どもの問題は『付録』みたいな感じだった。今回のような、子どもを第一に考える集まりが開かれるのはありがたい」と話す。
 協会は同じような境遇の人との交流を進めている。問い合わせはメールで協会(brndnewmorning0228@gmail.com)へ。(村田悟)

(声)離婚後の親子の面会交流は大切

出典:平成28年10月6日 朝日新聞

(声)離婚後の親子の面会交流は大切

 元家庭裁判所調停委員 中島信子(新潟県 73)
 離婚後の「親子断絶」を防ぐ法案について論じた「あすを探る」(9月29日朝刊)を読みました。離婚で別居した親子の面会交流の推進に懸念が示されていますが、違った意見を述べます。
 私は家庭裁判所の調停委員として28年間、多くの離婚調停を担当しました。現在は、離婚後の面会交流の支援機関に携わっています。そこで、面会交流の大切さをひしひしと感じています。
 別居した親と会えずに育った人は、生涯にわたって消えない傷が残ります。人生で大きな問題にぶつかったとき、自分は何者なのか悩む人がいました。顔も知らぬ親の遺産の相続通知が来たとき、その親から愛情を受け取れなかったことへの怒りが噴き出す人も。父親に会わせてくれなかった母親を恨み、嫌悪感を募らせる人も数多く見ました。
 困難を伴うからといって、面会を避けたままでいいとは思えません。離婚後の親子の断絶を防ぐために国は予算を使い、専門家を養成してほしい。元配偶者による暴力や子の連れ去りを恐れる人には、安心して面会ができる施設を整備してほしいと願います。

【緊急】9月29日付朝日新聞赤石千衣子氏の親子断絶防止法案に対しての懸念に意見する

出典:平成28年9月29日 土井法律事務所(宮城県)ブログ

【緊急】9月29日付朝日新聞赤石千衣子氏の親子断絶防止法案に対しての懸念に意見する

平成28年9月29日付朝日新聞に赤石千衣子氏の(あすを探る 家族・生活)「親子断絶」防ぐ法案に懸念 という主張が掲載された。
私にはそのような依頼はないので、負け犬の遠吠えみたいなものだが、朝日新聞ということで、影響力もあることもあり、雀の涙程度の力でも、出さなければならないと思い、また、ちょっと仕事の関係もあり、緊急意見を出してみようと思った。

まず、「離婚後も親子関係の維持が現実には困難な場合が多い」ということはその通りかもしれない。しかしその理由が、「母親が父親から暴力を振るわれたり、子が虐待を受けたりする家庭は少なくない。」ということは一面化しすぎだろうと思う。

面会交流が進まない理由は、離婚後も元夫と元妻の間で葛藤が強い状態が維持されていることである。

DVや虐待がある場合はもちろん、ない場合もあると思いこむのは、感情が強く残っているからだ。
実は離婚以上に、この葛藤の持続が離婚後の子どもにとって悪影響があるということが近年主流の学説である。

とても疑問なのは、「家裁の調停で、DVや虐待があっても面会が行われる例は多い」と述べているが、先ず、事実関係に誤りがあるだろう。これは面会阻害事由になっている。

おそらく、DVや虐待の存在を主張しているにもかかわらず、裁判所において認められないというケースだと思われる。

また、男女参画室等が虐待の子どもに対する影響の教科書にも虐待があっても、面会交流をする方が子どもにとって好転するケースが多いと記されている。問題は面会の仕方なのである。この点、裁判所は、虐待が疑われる場合は機械的に面会をさせないという態度であるという実感こそ持っている。

赤石氏は「法案は、児童虐待などに「特別の配慮」を求めているが、具体的な配慮の内容は保障されていない。というが、これは当たり前だろう。

特別の配慮の内容は具体化することが望ましいが、ケースや性格によって全く異なる。敢えて言えば、面会交流支援の専門家を配置する等、制度的な問題であろう。法案に個別ケースに対応するような内容を規定するということはない。

赤石氏が「子と同居する親に、定期的な面会交流を維持するよう求めているが、親子関係は、一方の親の努力だけでは維持できない。別れた親にも「高額の贈り物をしない」など面会時の約束を守らせる規定も必要だろう。」と述べている。

一方の親の努力だけでは維持できないということは正に大賛成である。良い悪いにかかわらず、双方が高葛藤になった原因は双方にある。どちらが良いか悪いか等と言う無意味な詮索をやめて双方が安心できる面会交流のために努力するべきである。
そのためには、客観的に、かつ支援的に父親と母親の関係性を見ることができる第三者がきちんと支援するという制度が必要である。

私は家事調整センターという制度を提案している。
家事調整センター企画書
http://www001.upp.so-net.ne.jp/taijinkankei/kajityousei.html

赤石氏の主張で、子を連れて別居することを「連れ去り」と考え、防止を啓発するというのも現実的ではない。子の世話を主にする親が連れて家を出るのも「連れ去り」と称して防止すれば、世話が必要な子を置いて別居せざるを得なくなる。とある。ネーミングの問題で、双方の葛藤を高めない工夫は必要だろう。
しかし、どうも気になるのは、初めに別居ありき、後にも別居しか選択肢がないということは通常の夫婦ではありえない。紙数の関係かもしれないが、どうもそのような論調のような気がして心配だ。

問題が大きくなる前に適切な支援をする制度こそが必要だと思われる。今は、家族を壊す方向にだけ国家が助力している。修復する方向にこそ、国家は助力するべきだ。

また、大いに反対したいのが、「法案は、別居する親との交流も子の権利とする『子どもの権利条約』を根拠としているという。しかし、条約が保障する、子どもが『自由に自己の意見を表明する権利』には触れていない。子が『会いたくない』と思ってもその意見は聞かず、別居する親が面会を望めば従わせられるようにも読める。」とある箇所である。

子どもの年齢にもよるが、基本的に、子どもに親を選ばせたり、子どもに親を否定評価させるようなそんな犯罪的な制度を作るべきではない。この点だけは根本的に考え直すべきだ。

子どもを利用して離婚を有利にすることによって、子どもが精神的に立ち行かなくなる事態をたくさん見ている。子どもが同居親の感情を自分の感情として混乱し、自我の確立が困難になるからだ。

例えば
「両親が別居してしまった後で、子どもが同居親をかばい壊れていく現象とその理由」
http://doihouritu.blog.so-net.ne.jp/2015-06-10

自分の親の一方を悪と決めつけ絶対否定すれば後に傷つくのは子どもである。

養育費について言及しろという主張もあるが、強制執行の方法については既に法定化されている。むしろ、支払うモチベーションを高めることが親子断絶防止法案の趣旨にかなうだろう。

 親同士の対立が激しい場合、面会のための話し合いが成立しないこともある。「家庭問題情報センター」(東京都豊島区)など、相談を受けたり、面会時に付き添ってくれたりする支援機関があるが、全国に数カ所しかない。費用も1回の利用で数万円かかることもある。まずは、支援の拡充整備が必要だ。この点は、大賛成だ。先ほどの家事調整センターは、本来税金で安定的に運営されるべきだ。いろいろな善意が活動を始めている。あとは、東京オリンピックに比べれば、雀の涙の予算をけちるかどうかだけの話だ。

最後の二赤石氏は、
 そして、この法案は「家族のあり方」を問うものでもある。
 家族や子どもをめぐる法律は、2000年代から、家族の多様性や個人を尊重し、家族内で暴力や虐待があった場合、個人を保護する方向で整備されてきた。配偶者暴力防止法や児童虐待防止法がそうだ。「父母と継続的な関係を持つことが子の最善の利益に資する」として、一方の親にだけ努力義務を課し、子の意見も聞かない法律ができれば、20年以上前に時計の針を戻すことになる。と述べる。

赤石氏の主張は結局どういう家族の在り方を理想とするのか不明である。家族の解体、些細なことでも離婚を勧め、相手をののしり続けることを子どもに強いるという、今の主流の在り方が家族の在り方として肯定されてよいとは思えない。子どもの健全な成長を阻害するとしか思えない。

また、どうして20年以上前に戻るのか。不明である。総じて、離婚の子どもに与える影響とその回避のために、心ある研究者たちが実証的研究や統計的調査を行ってきているが、これらの科学の成果が、赤石氏の主張にはまるで踏まえられていない。赤石氏の主張こそが、20年前の議論そのものである。

子の最善の利益とは何か。家族とはどういうものか。幅広く、慎重な議論が行われるべきだろう。」大賛成だ。ぜひ一方通行の意見表明ではなく、幅広い意見交流を実現させていただきたい。

離婚する人に自治体窓口で「養育手引書」配布スタート「離婚前の取り決めが大切」

出典:平成28年10月1日 弁護士ドットコム

離婚する人に自治体窓口で「養育手引書」配布スタート「離婚前の取り決めが大切」

 両親が離婚した後、子どもたちが健やかに育つために、養育費や面会交流の制度があります。しかし、日本では離婚する際に、養育方針を決めることは義務ではありません。そのため、離婚後に「養育費をもらえない」「子どもと会わせてもらえない」などのトラブルが起こりやすくなっています。

 そこで法務省は、養育費や面会交流について離婚時に合意するよう促すため、養育の手引きパンフレットを作成。10月1日から順次、離婚届を取りに来た人に、全国の自治体窓口で配布していきます。

 10月1日から配布が始まる「子どもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A」(全16ページ)では、養育費、面会交流の目的や取り決め方法について、詳細に解説。また、よく寄せられる相談のQ&Aも掲載されています。

 ・「養育費の取り決めはどのようにしたらよいのですか」

 ・「金額はどのように決めればよいのですか」

 ・「面会交流に応じなければならないのですか」

 また、「子どもの養育に関する合意書」のひな形が掲載されているのも、パンフレットのポイントです。合意書には、親の氏名、住所、勤務先、親権者のほか、決めておきたいこととして次のような項目があげられています。

 ・養育費(支払い期間、金額、支払い時期、振込先)

 ・面会交流(宿泊の有無、面会の頻度)

 パンフレットを作成した法務省によれば、「離婚する際に、養育費や面会交流の取り決めをすることが重要であることを知ってほしい。どのような形式で合意すれば良いか知らない方も多いので、ひな型の記入例もあわせてご覧いただきたい」とのこと。

 日本では、離婚するカップルの内、約9割が話し合いで離婚する「協議離婚」です。弁護士を介さずに離婚することも多いため、どのように養育費や面会交流について合意すれば良いか知らない方も多かったかもしれません。しかし、離婚後も子どもが健やかに育つよう、離婚を決めたら、養育について合意書をしっかりと作成する必要があります。

※パンフレット等の詳細は、法務省の取組を参照ください。

親子面会交流 法案に懸念

出典:平成28年10月1日 毎日新聞

親子面会交流 法案に懸念

 超党派の国会議員でつくる親子断絶防止議員連盟(会長・保岡興治衆院議員)が、父母が離婚時に子との面会交流や養育費について取り決めることを努力義務とする「親子断絶防止法案」をまとめ、臨時国会への提出を目指している。しかし子供を連れての別居防止や共同親権制度の検討にも踏み込んだ内容に、DV(ドメスティックバイオレンス)被害者支援団体などから懸念の声が上がる。

●議連提出目指す

 「娘を思わない日は一日もない。親が子に会いたい、責任を果たしたいという願いがなぜ、かなわないのか。」東京都内の大手企業に勤める40代男性は、元妻のもとで育つ娘との面会交流が1年以上、実現していない。・・・
※詳細は、毎日新聞をご覧ください。

〇親子の交流に反対する団体は、DVなどを反対理由として主張しています。彼らの主張は、ことさらにDV被害と面会交流拒否を主張するだけで、DVの事実がない別居親と子どもとの交流について、子どもの最善の利益に基づきどうあるべきかについての提言はありません。
私たちは、真のDV被害者が実態不明な民間シェルターに逃げることではなく、国家により適正な手続きにより守られなければならないこと、虚偽DVを防止するためにも証拠主義に基づき警察の公平な捜査を義務づけ、DV認定手続きの公正さを確保することを前提とした真正DVの刑事罰化などDV防止法の運用の改善が必要であると考えています。

〇別居時の子の連れ去りによりわが子との交流が途絶えている全国の別居親の大多数は、DVや子への虐待がなくても、引き離され何年も交流ができない実態があります。そのような親子が永遠に断絶することを防ぐためにも「親子断絶防止法」が早期に制定されることが、子どもの健全な成長や、養育費の支払いによる子どもの貧困防止に寄与します。

政令市で初 別居親子の面会を北九州市が仲介へ 「養育費の実現に有効な施策」

出典:平成28年9月30日 西日本新聞

政令市で初 別居親子の面会を北九州市が仲介へ 「養育費の実現に有効な施策」

 北九州市は10月3日から、離婚などで父親や母親と別居して暮らす中学生までの子どもを対象に、親との面会を無料で橋渡しする事業を始める。父母が相互に不信感を持つなどして面会が困難な場合もあり、NPO法人と協力し、中立的な立場から連絡調整や付き添いを行い、愛情を子に伝える手助けをする。こうした事業は20政令市で初という。

 市が2011年に行った調査では、市内の母子・父子家庭は計約1万8千世帯で5年前から約400世帯増え、母子家庭の6割超は「養育費を受けたことがない」と回答した。11年の法務省の調査では、養育費が支払われている家庭は8割以上が面会交流をしている一方、支払われていない家庭は6割にとどまった。

 29日に会見した北橋健治市長は「面会交流は養育費の実現につながる有効な施策と思われる。精神、経済両面で健やかな育ちにつながる」と述べた。

 市内では家庭裁判所調停委員らでつくるNPO法人「北九州おやこふれあい支援センター」が13年度から同様の事業を有料で開始。1回の面会に4千~8千円かかるため断念する人もいることから、今回は同法人などに事業委託し、市が費用負担する仕組みとした。

 申し込みは父母どちらでも可能だが、双方の合意が前提。面会時は同法人のスタッフが子どもの受け渡しや付き添いを担う。子どもが市内に住み、児童扶養手当の受給者などが対象。支援は月1回、最長1年。本年度は約10組の橋渡しを想定している。

(あすを探る 家族・生活)「親子断絶」防ぐ法案に懸念 赤石千衣子

出典:平成28年9月29日 朝日新聞

(あすを探る 家族・生活)「親子断絶」防ぐ法案に懸念 赤石千衣子

 超党派の国会議員による議員連盟が、離婚後の「親子断絶」を防ぐ法案を準備し、開会中の臨時国会で提出を目指すという。「家族のあり方」を決める重要な法案であるのに、多くの問題を抱えている。

 法案は、父母の離婚や別居後も「子が両親と継続的な関係を持つこと」が「子の最善の利益に資する」とする。離婚する父母ログイン前の続きは、離婚後も子と会う「面会交流」や、養育費の分担について書面で取り決めることを努力義務とする。国や地方自治体の面会交流支援や子の連れ去り防止などの啓発も盛り込んだ。児童虐待や配偶者への暴力がある場合の「特別の配慮」も求めている。

 そもそも、なぜこうした法案が出てきたのだろうか。

 家制度のあった戦前の流れで、戦後も離婚すると婚家に子を残して家を出ざるを得ない母親が多かった。次第に子を引き取る母親が増え、現在は約8割の母親が子を引き取る。

 最近、離れた子とかかわりをもちたいという父親が増えている。家庭裁判所に面会交流をめぐって申し立てられた調停の件数は10年前の2倍以上になった。2011年の民法改正で、協議離婚の際に、面会交流と養育費について子の利益を最優先に協議で定めると明記された。家裁は調停などで原則面会交流を実施させるようになった。

 離婚後も親子関係を維持することはよいように思える。ただ、現実には困難な場合が多い。母親が父親から暴力を振るわれたり、子が虐待を受けたりする家庭は少なくない。しかし、家裁の調停で、DVや虐待があっても面会が行われる例は多い。

 法案は、児童虐待などに「特別の配慮」を求めているが、具体的な配慮の内容は保障されていない。

 子と同居する親に、定期的な面会交流を維持するよう求めているが、親子関係は、一方の親の努力だけでは維持できない。別れた親にも「高額の贈り物をしない」など面会時の約束を守らせる規定も必要だろう。

 子を連れて別居することを「連れ去り」と考え、防止を啓発するというのも現実的ではない。子の世話を主にする親が連れて家を出るのも「連れ去り」と称して防止すれば、世話が必要な子を置いて別居せざるを得なくなる。

 法案は、別居する親との交流も子の権利とする「子どもの権利条約」を根拠としているという。しかし、条約が保障する、子どもが「自由に自己の意見を表明する権利」には触れていない。子が「会いたくない」と思ってもその意見は聞かず、別居する親が面会を望めば従わせられるようにも読める。

 また、ひとり親家庭の貧困率は12年時点で54・6%(13年国民生活基礎調査)にもなる。生活の安定も「子の最善の利益」のために不可欠であるから、養育費不払い時の対応についても、法案で言及されるべきだろう。

 親同士の対立が激しい場合、面会のための話し合いが成立しないこともある。「家庭問題情報センター」(東京都豊島区)など、相談を受けたり、面会時に付き添ってくれたりする支援機関があるが、全国に数カ所しかない。費用も1回の利用で数万円かかることもある。まずは、支援の拡充整備が必要だ。

 そして、この法案は「家族のあり方」を問うものでもある。

 家族や子どもをめぐる法律は、2000年代から、家族の多様性や個人を尊重し、家族内で暴力や虐待があった場合、個人を保護する方向で整備されてきた。配偶者暴力防止法や児童虐待防止法がそうだ。「父母と継続的な関係を持つことが子の最善の利益に資する」として、一方の親にだけ努力義務を課し、子の意見も聞かない法律ができれば、20年以上前に時計の針を戻すことになる。

 子の最善の利益とは何か。家族とはどういうものか。幅広く、慎重な議論が行われるべきだろう。

 (あかいし・ちえこ 1955年生まれ。NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長)

〇親子の交流に反対する団体は、DVなどを反対理由として主張しています。彼らの主張は、ことさらにDV被害と面会交流拒否を主張するだけで、DVの事実がない別居親と子どもとの交流について、子どもの最善の利益に基づきどうあるべきかについての提言はありません。
私たちは、真のDV被害者が実態不明な民間シェルターに逃げることではなく、国家により適正な手続きにより守られなければならないこと、虚偽DVを防止するためにも証拠主義に基づき警察の公平な捜査を義務づけ、DV認定手続きの公正さを確保することを前提とした真正DVの刑事罰化などDV防止法の運用の改善が必要であると考えています。

〇別居時の子の連れ去りによりわが子との交流が途絶えている全国の別居親の大多数は、DVや子への虐待がなくても、引き離され何年も交流ができない実態があります。そのような親子が永遠に断絶することを防ぐためにも「親子断絶防止法」が早期に制定されることが、子どもの健全な成長や、養育費の支払いによる子どもの貧困防止に寄与します。

離婚後の養育で手引書=法務省

出典:平成28年9月28日 時事通信

離婚後の養育で手引書=法務省

 法務省は28日、離婚する夫婦に未成年の子どもがいる場合の養育費や面会交流に関する新たな手引書を作成した。

 10月1日から全国の自治体の戸籍窓口で対象者に配布する。

 2015年度の離婚件数は約23万件で、未成年の子どもがいたケースは約12万件。養育費の取り決めを離婚時に行っている親は6割程度にとどまっており、養育費支払いをめぐるトラブルは多発している。

 手引書は、養育費の金額や支払期間、面会交流の頻度などを文書で取り決めるよう促し、合意書のひな型も添付している。 

法制審に民事執行法見直し諮問 子供引き渡しルール明確化へ

出典:平成28年9月13日 産経新聞

法制審に民事執行法見直し諮問 子供引き渡しルール明確化へ

■不動産競売から暴力団員を排除
 金田勝年法相は12日、離婚した夫婦の子供の引き渡しルールや裁判所で行う不動産の競売から暴力団員を排除する方策、損害賠償金や子供の養育費の不払いを防ぐ規定などに関する民事執行法の見直しの要綱を法制審議会(法相の諮問機関)に諮問した。今後2年程度かけて論点を整理し、法相に答申する。

 ◆「物と同じ」に批判

 婚姻関係が破綻した夫婦の子供の引き渡しに関してルールを明確化する。

 家庭裁判所で親権者や監護権者が確定した後も、負けた方の親が子供を引き渡さないことがある。

 この場合、裁判所に「強制執行」を申し立て、裁判所の執行官が直接子供を引き取りに行く方法などがある。

 しかし、これは「動産」の引き渡しの規定を類推して適用したものだ。これまで子供に関して明文化された規定はなく、「子供を物と同じ扱いにして、子の福祉に著しく反している」などの批判があった。

 子供の引き渡しに関しては国際結婚が破綻した夫婦間でのルールの方が先に運用されている。

 子供の奪い合いが起きた際の対応を定めた「ハーグ条約」への加盟に合わせ、国内手続きを規定する関連法が平成25年に成立。法制審では、この関連法に準じる形で国内でもルールを明確化する議論が行われる。

 ◆賠償金不払い防止

 裁判で賠償金の支払いが確定したり、離婚して子供の養育費の支払い義務があったりしても、支払いが行われないケースが多数ある。こうした「不払い」を防ぐため、15年に改正された民事執行法では債務者に自身の財産を開示させる義務を負わせた。

 だが、債務者が裁判所に出頭しなかったり、虚偽の開示をしたりすることがあり、開示手続きの利用は年間1千件程度と低調。不出頭などは債務者への罰則が弱いことなどが原因との指摘があった。

 法制審では、銀行などから債務者が持っている預金口座の情報を取得するなどの方策を検討するほか、開示に応じない債務者への罰則強化なども議論する。

 ◆制限なく「抜け穴」

 暴力団が絡む不動産取引については、既に全都道府県で暴力団排除条例が施行され、所有者が暴力団事務所に使われると知りながら不動産を譲渡することなどが禁じられている。

 ところが、これまで裁判所の競売に関しては暴力団員の買い受け自体を制限する規定がなく、抜け穴とされてきた。

 買い受けられた不動産が実際に暴力団事務所として使用された例もある。長崎県佐世保市で19年、九州に本拠地を置く暴力団の関係者が担保不動産競売手続きで不動産を競落し、暴力団事務所を開設。周辺住民は仮処分と訴訟に約4年かけて使用を差し止めた。

 事務所として使用するほかにも、買い受けた不動産の転売によって暴力団が利益をあげ、活動の資金源になっているケースは多数あるとみられる。

 法制審では、いったん売却された物件を取り戻すことは困難なため、売却手続きの過程で暴力団の関与を制限する方策を検討する。警察が持っている暴力団に関する情報の活用や、競売に暴力団員やその配偶者などの関係者が参加しようとした場合の対処法などについて議論する。

離婚した夫婦間の子ども、引き渡しのルール明文化へ

出典:平成28年9月13日 朝日新聞

離婚した夫婦間の子ども、引き渡しのルール明文化へ

離婚した夫婦間の子どもを確実に引き渡す仕組みが必要だとして、金田勝年法相は12日、諮問機関の法制審議会に民事執行法の見直しを諮問した。引き渡しに従わない場合、応じるまで金銭の支払いが加算され続け、さらに裁判所の執行官が強制的に引き離す仕組みも検討する。法務省は法制審の答申を受けて2018年ごろの改正法案の国会提出を目指す。

 離婚などに際して親権者らは、子と同居するもう一方の親らに対し、子を引き渡すよう裁判所に申し立てることができる。国外に連れ出された16歳未満の子の引き渡しについては、日本が14年に加盟した「ハーグ条約」が適用され、13年に成立した国内法で手続きを定めた。一方、国内での子の引き渡しの強制執行には法律上ルールがなく、動産の引き渡しを定めた民事執行法を子に適用してきた。

 最高裁によると、子の引き渡しの強制執行を申し立てた件数は昨年全国で97件。このうち27件が実際に引き渡された。民事執行法には引き渡し方法などの規定がないため、執行官は運用で、同居する親らが一緒にいる場面に限る▽親らの自宅に限る▽子の心理についての専門家を可能な場合は同行させる――などの対応をしてきたという。

 だが、専門家からは、法律で明文化されないと対応が一律にならず、「子の心身に悪影響もありうる」との指摘が上がっていた。

 ログイン前の続き法務省は、国内での子の引き渡しについても、ハーグ条約の国内法を参考にした仕組みを検討。裁判で引き渡しが決まっても応じない場合、まず金銭を支払わせる「間接強制」を命じる。それにも従わない場合は、裁判所の執行官が子のいる場所に出向いて引き渡しを求める。子への影響を考慮し、「親などが一緒にいる時しか連れ出せない」とする規定を盛り込むことも法制審で検討する。

 このほか、今回諮問した民事執行法の見直しでは、裁判で確定した子どもの養育費や損害賠償金などが受け取れない時に、申し立てがあれば、裁判所が相手の預貯金口座の情報を金融機関に明らかにさせる制度の導入を検討する。

 また、競売物件が暴力団の事務所に使われるケースがあることから、不動産の競売から暴力団を排除する仕組みづくりも議論する。最高額の入札者が暴力団の関係者かどうかを裁判所が警察に照会し、該当すれば売却できないようにする。(金子元希)

     ◇

 〈日本弁護士連合会家事法制委員会委員を務める榊原富士子弁護士の話〉 引き渡し規定の明文化は評価したいが、子どもの気持ちに配慮をした仕組みが求められる。一定の年齢以上の子どもが「行きたくない」と言ったとき、どう対応するかが課題だ。ハーグ条約の国内法をもとに、間接強制の手続きを定め、相手と子どもが一緒にいることを条件にすると、引き渡しに時間がかかるケースも考えられる。速やかな執行につなげるため、多様な意見を踏まえた検討が必要だ。

『離婚訴訟に「共同養育計画」 内容認める判決も』 

出典:平成28年8月26日 読売新聞

『離婚訴訟に「共同養育計画」 内容認める判決も 配偶者に譲歩■子が両親に会いやすく』

 離婚・親権を巡る調停や訴訟の場で、当事者が、相手方と子供との多数回の面会などを約束する「共同養育計画書」を自ら提案する試みが注目されている。相手に大幅に譲歩することで、子供が父母の双方と関わりやすくする狙いがあり、計画書の内容を認める判決も出ている。
 <自分が親権を得られれば、妻に息子2人との面会交流を年50日程度認める。面会の実現に協力する。>
 妻との間で、離婚と幼い2人の親権を争って裁判中の兵庫県内の男性(38)が7月、大阪高裁にこんな計画書を提出した。
 妻は2年前、息子たちを連れて実家に帰ったまま、・・・
 ※以下、詳細は、記事PDFを参照ください。

離婚しても子供の養育は共同責任 子供の争奪戦を招く単独親権の見直しを 

出典:平成28年8月19日 日本時事評論

離婚しても子供の養育は共同責任 子供の争奪戦を招く単独親権の見直しを

 わが国は離婚後の親権を一方の親にしか認めない単独親権であるために、子供の親権を巡る争いが激化している。なおかつ、裁判所が別居親との面会交流にも消極的なため、離婚後が親子関係の断絶をも招いている。子供の養育は、父母の共同責任であるとの大自然の法則を遵守し、共同親権をも認めるべきである。
 
深刻な悪影響

 わが国の離婚件数は、2002年に29万組を最高として、2000年代前半は25万組を超えていた。最近では離婚件数の減少と歩調を合わせるように・・・
 ※以下、詳細は、記事PDFを参照ください。

子供の利益のため共同親権が必須 子供を傷つける激烈な争いの防止を」

 離婚に関する法律や審判がどのようになっているか、当事者や司法関係者以外に知る人は少ないです。一面の記事で指摘したように、法の欠陥、不備により、さまざまな弊害が生じています。そこで、今回は親権を巡る問題点の理解に役立つ基本的な用語を中心に解説します。
 ※以下、詳細は、記事PDF P4-5を参照ください。

離婚後の親子断絶防止目指し 超党派議連が条文案  

出典:平成28年8月26日 静岡新聞

離婚後の親子断絶防止目指し 超党派議連が条文案

 超党派の親子断絶防止議員連盟(保岡興治会長)の総会が25日、国会内で開かれた。同議連が制定を目指す親子断絶防止法について、5月に明らかにした要綱案を、その後の議論を踏まえて修正した条文案を示した。条文案の扱いは保岡会長に一任することに決めた。
 条文案は国や地方自治体に離婚後の親子関係断絶を防ぐための対策を作り、実施する責務があると規定した。要綱案では離婚時に面会交流や養育費の分担に関する取り決めを・・・
 ※詳細は、記事PDFを参照ください。

養育費の書面化、新法案まとまる  

出典:平成28年8月26日 朝日新聞

養育費の書面化、新法案まとまる

 離婚後の親子の面会交流や養育費支払いの約束が守られるように、超党派の議員連盟(会長・保岡興治元法相)は25日、書面で実効性を持たせる新法案をまとめた。市区町村への書面提出を努力義務とすることも検討したが、自治体の反発があって見送った。

 法案では、未成年の子どもがいる夫婦が離婚する場合、面会や養育ログイン前の続き費に関して書面を交わすことに「努めなければならない」と記した。子どもの貧困対策などが念頭にあり、各党内で了承が得られれば、秋の臨時国会に提出する。

 書面の提出には全国市長会や全国町村会が「合意内容を正確に反映したものかどうかの確認が難しい」などと反対。離婚届の注釈に書面化を促す記述を加えることや、書面のひな型や記入例を作成して離婚届を取りに来た人に配布することを政府が検討することになった。

親子断絶防止法が制定された時の備えは出来ているか  

出典:平成28年8月21日 BLOGOS

(早川忠孝 元衆議院議員。弁護士)
親子断絶防止法が制定された時の備えは出来ているか

弁護士会としての取り組みを始めているところは、まだどこにもない。

そもそも親子断絶防止法の仕組みを理解し、あるいは理解しようと努めている人が殆どいない。

日本の司法の最先端にいる、と自負している人が弁護士会には多いはずだが、実は立法府よりも行政府よりも、さらには裁判所よりも後れていると言わざるを得ない一面がある。

親子断絶防止法は、明らかにその一つである。

先日、親子断絶防止弁護団が発足した、という記事を書いておいたが、親子断絶防止に取り組む弁護士の数は弁護士の中ではまだ圧倒的に少ない、というのが実態である。

親子断絶防止法が成立すれば、弁護士会としても何らかの取り組みを始めるはずだが、どうせ始めるなら早い方がいい。

まずは、親子断絶防止法策を考える小委員会を司法問題委員会や法制委員会、弁護士業務改革委員会などに設置することだ。

担当委員会が決まれば、必ずシンポジウムを開くことになる。

まずは、どういう問題があるのかを知ることである。

親子断絶防止法案は、「父母の離婚や別居の後も、子供が両親と継続的に関係を持つことが「子の最善の利益に資する」という基本理念を掲げている。

子供ファースト、ということだ。

大人は、親の都合で勝手に物事を取り決めてしまうことが多いが、子供にとって何が最善か、ということを、一旦立ち止まって考えましょうよ、とみんなに呼び掛けているのがいい。

まあ、どういう法案についても反対意見が出てくるのが、言論の自由が保障された開かれた日本のいいところだが、私はこの親子断絶防止法が全会一致で成立するのを待っている。

読売が投げた一石が、日本の家族関係の在り方を変える切っ掛けになりますように。

私は、そう願っている。

【緊急提起】子どもの連れ去り虚偽DVが多発している。警察の違法、通達違反の民事介入  

出典:平成28年8月23日 土井法律事務所(宮城県)ブログ

【緊急提起】子どもの連れ去り虚偽DVが多発している。警察の違法、通達違反の民事介入

 最近毎日がデジャヴのようで、いくつかの事件が混乱することがあります。
私の事務所が、子どもを連れ去られたという夫の駆け込み寺みたいになっているからです。

しかも、そのパターンが共通しているのです。

共通項の一つとして、警察が、妻側を支援して、妻と子どもを夫から引き離し、夫に誓約書を書けなどと圧力をかけ、妻と子どもの居所を隠してしまうということを行っています。

そして、夫側に妻に対する暴力がないという特徴があります。

ところが、DV法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)は、警察が介入するのは「配偶者又は配偶者であった者からの身体に対する暴力」に限られています。(8条の2、6条1項)

平成25年12月20日付の警察庁生活安全局長等の通達によれば、犯罪に該当しない行為は警察が実効ある措置をとることが困難であることと身体に対する暴力の限定を外してしまうと警察による配偶者間の問題に対する過度の関与となり、その職の範囲を超えるおそれがあると考えられるためだとしています。

ところが、私がかかわった事件においても複数の県の警察において、身体的暴力がない事案においても、被害を自ら防止するための措置の教示(規則1条1号)住所等を知られないようにするための措置(規則1条2号)被害防止交渉を円滑に行うための措置(規則1条3号)が実施されています。

暴力をふるってもいない夫に対して、暴力をしないという誓約書を警察署の取調室において書くようにいって、書かないと帰さないと言っているようです。

夫は、書かないと勾留すると言われたと言っています。私は直接警察官に質しましたが、その点は否定していました。

しかし、警察と無縁の一般市民が勾留等と言う言葉を知っているでしょうか。甚だ疑問があります。

一般市民は、警察が自分を取り囲んで妻の居所を探したり面会したりしてはいけないと言われた場合、委縮してしまい、それ以上の気力を失い、自分は暴力夫と認定されたと落胆してしまうものです。極めて精神的侵襲が多い行為です。

これらの事案に、本当に夫の暴力はないの?と疑問に思う人もいらっしゃると思いますが、ほかならぬ、当の警察が、暴力の訴えはなかったと認める事案、後に、他の資料から妻は暴力を訴えてはいないと明言している事案、状況から見て、暴力をふるっていたのは妻だという事案ですから、暴力がなかったか暴力があったことを疑えない事案であるのです。

明確な法律違反、通達違反が行われているわけです。

では、なぜ、このような法に基づかない権力の行使が一般家庭に入ってくるのでしょうか。

警察側の事情としては、不当なレクチャーを繰り返し聞かされているところに第一の事情があります。

即ち、DVというのは、暴力に限らない、DVの被害はこれほど人を荒廃させる女性の人権を考えなければならないということが、繰り返し、長時間の研修で拘束され叩き込まれるのです。

それはそれで間違ってはいないとしても、だんだんと、法律よりも、通達よりも女性保護を優先させるべきだという錯覚が刷り込まれていきます。

通達の徹底はほとんどされていません。通達の徹底がされていないということは法律自体を知らない警察官が生活安全課を拝命しているわけです。

法律や通達に反した不当な民事介入は起こるべくして起きているわけです。

これは国会で是正しなければ是正されません。
ところが、この問題に気が付いているのは与党ばかりで野党はむしろ、この事態を是認しているところがあるように見受けられます。
法律のゆるみは憲法九条ではなくこういうところから慢性化していくのに、危機感がまるでありません。

もう一つこの事態を招く理由があります。
女性の被害援助の訴えがとても強いということです。これも共通項です。やっぱり被害があるのではないかということですが、違います。

専門医が統合失調症の疑いや境界性人格障害の疑いがあるという意見がある事案が相次いでいるのです。

極めて異常な行動をしていてご近所もよく知っているのですが、肝心の警察や弁護士はそれを知りません。

DVを長年受け続けた結果精神的に不安定になっていると解釈しているのです。

これではどうしようもありません。
せめて、夫から事情を聞くということをすればよいのですが、DV夫の話は聞く耳持たないというのがマニュアルのようです。

かくして、家族は国家権力によって違法に分断されていきます。
就労能力がない母親は、子どもを虜にして、学校にも通わせないことがあります。
子どもの貧困が権力によって作出されてしまっているのです。

子どもは、先生や友達から分断されます。分断されれば唯一の身内である母親にしがみつきます。
その結果、いじめにあったり、拒食過食を繰り返しリストカットをして引きこもり精神病院の入院、退院を繰り返すという事例も多くあります。

子どもの未来よりも、母親の被害妄想を優先する危険のあるDV法の運用を早急に見直すべきです。

現状では、稲田朋美先生にお願いするしかないのでしょうか。

離婚で別居する親子の面会を直接支援 兵庫・明石市が9月から試験的に「コーディネ-ト」

出典:平成28年8月20日 産経新聞

[離婚で別居する親子の面会を直接支援 兵庫・明石市が9月から試験的に「コーディネート」

離婚して別居する親子の面会を支援しようと、兵庫県明石市は9月から、市が面会のための仲介などを行う「面会交流コーディネート」を試験導入する。同市によると、面会を支援する取り組みは東京都や千葉県、熊本県が外部の支援機関に委託して実施しているが、自治体が直接支援するのは同市が初めてだという。

 同市によると、離婚した子供が別居中の親に会おうとした場合、親同士が直接連絡を取ることに躊躇(ちゅうちょ)したりするため、面会がスムーズにいかないことも少なくない。

 同市ではこれまで、こうした親子が面会のために市立天文科学館を利用する場合、入館料を無料にして支援してきたが、さらに面会を促進しようと、試験導入を決めた。

 対象は市内在住の中学3年までの子供がいる家庭。市では、児童扶養手当を受給している該当者が所得や生活実態を市に報告する8月中に、制度の仕組みを説明、紹介する。

 コーディネートを担当するのは市民相談室で、親からの依頼を受けた担当者が、もう一方の親に面会を打診。両親と子供の3者間で合意が得られた場合に、引き合わせる。

 引き合わせの当日はアスピア明石(同市東仲ノ町)北館の市生涯学習センターで別居中の親子が待ち合わせ。市内で行動する条件で、2~4時間程度の交流をしてもらう予定。

 試験導入は来年3月まで。市は結果を受けて本格導入するかどうか判断する。

離婚後 親子の面会促進「断絶防止」法案提出へ

出典:平成28年8月17日 読売新聞

離婚後 親子の面会促進「断絶防止」法案提出へ

超党派の「親子断絶防止議員連盟」(会長・保岡興治元法相)は、未成年の子供のいる夫婦が離婚後、親権を持たない側と子供の定期的な面会を促すことを柱とした「親子断絶防止法案」の原案をまとめた。議連は自民、民進、公明などの各党議員で構成し、議員…

※以下、記事PDF参照

「冤罪DV」の加害者にされ、子どもと引き離される夫たち…その実態と課題

出典:平成28年8月9日 弁護士ドットコム

「冤罪DV」の加害者にされ、子どもと引き離される夫たち…その実態と課題

妻が「夫から暴力を受けた」と虚偽の主張をして、夫を「DV夫」にしてしまう「冤罪DV」と呼ばれるケースが起きている。その実態と課題について、ライターの西牟田靖氏によるレポートを紹介したい。

口論の末、妻が警察に出動を要請

東海地方に住む30代の会社員、Aさんの場合、妻と子どもと暮らしてきた日常が、今年に入ってから、突然、壊れてしまった。

「年明けに口論となりました。私が謝ったところ、いったんは収まったんですが、妻はすぐに蒸し返してきまして。携帯電話で録音を始めたんです。さらには、激高して平手で叩いてきました。叩くのを止めないので、腕をつかんで止めさせました。すると妻は電話をかけ、警察に出動を要請してしまったんです」

その後、夫婦はそれぞれ警察署で事情聴取を受けた。「しばらくは別に暮らした方がいい」という警察の助言にしたがい、どちらも近所にある、それぞれの実家で過ごすこととなった。2日ほどで家に戻ってきたAさんに対し、子どもを連れて行った妻は、家に帰ってこなかった。それ以来、一緒に住むことはなくなった。

「5月に地方裁判所から出頭命令が下りました。20分ほど弁明する機会が与えられましたが、裁判官の結論は決まっていたようです。その日のうちに、私に対して保護命令(裁判所がパートナーへの暴力の加害者に対して、被害者へのつきまとい等をしてはならないことを命ずること)が発令され、事件の2日後から戻っていた自宅から、退去させられることになってしまいました」

Aさんは、その後、抗告したが、高等裁判所でも判断が覆ることはなかった。

Aさんは妻子に会いに行くことはできない。実行すれば、保護命令違反で逮捕される可能性もある。しかし、月に5万円、婚姻費用(離婚前の養育費)を振り込んでいる。また、持って行かれた車を取り戻そうともしない。

「支払いは欠かしません。車は不便ですが我慢しています。すべては子どものためです」

Aさんは、子どもに対する思いを語っている。なぜ、このような事態になってしまったのか。

妻が撮った写真で、Aさんを「暴力夫」と認定

Aさんの案件を担当した杉山程彦弁護士が語る。

「高等裁判所の裁判官が記した『決定』と記された書類があります。これには、身体精神への危険を防ぐために、6か月間の奥さんや子どもへのつきまとい、幼稚園や職場周辺の徘徊を禁じたり、自宅から2か月間退去することを命じたりする、保護命令発令の理由が記されています。

それによると、腕に10センチほどのアザのある奥さんの写真が警察によって撮られたとあり、その写真によって、Aさんが『暴力夫』だと認定されてしまいました。どの警察官が、いつどこで撮ったのかという、写真撮影証明書があるはずなんです。ところがそれがどこにもない。ですので、その写真が警察で撮られたものだとは証明ができません」

(DV防止法第14条第2項に基づいて、警察署から裁判所に送られた報告書では)「平成28年〇月×日当署において、両当事者の取り扱いがあるものの、身体に対する暴力及び生命に対する脅迫を確認できなかったため該当書面なし」とある。その書類のほかにも、争っているときに、Aさんが携帯電話で撮影したアザのない妻の腕の映像は、証拠として裁判官に採用されなかった。

Aさんは、「『決定』には、映像について『動きが素早すぎて確認できない』と書いてありました。スローモーションにするとか、一時停止すれば確認できるはずなのにですよ。妻からは警察への被害届はおろか、医者による診断書も出ていません。妻が通院した病院にカルテを出させるとか、本来、裁判所にはそこまでやってもらいたい。私の生活に制限をかけてるわけですから。人権侵害にほかならないですよ」と憤っていた。

警察へのDV相談件数が16倍に増加

2001年、DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)が制定された。この法律は当初、身体的な暴力のみを対象としていたが、後に改正され、精神的な暴力などにも範囲が広がり、近年は女性からの暴力も対象とされるようになった。主に以下の3つの命令からなっている。

・半年間、被害者へのつきまといや徘徊を禁ずる「接見禁止命令」(同法10条1項1号)

・被害者が転居する目的で2か月間、加害者を住居から退去させる「退去命令」(同法10条1項2号)

・学校や保育園などに現れ、子どもへつきまとったり、徘徊したりすることを禁ずる「子に対する接近の禁止命令」(同法10条3項)

Aさんの場合、「接見禁止命令」「子に対する接近の禁止命令」によって妻や子とは会えなくなり、「退去命令」によって家から出ざるを得なくなったのだ。

内閣府調査によれば、2002年度に婦人相談所などに寄せられたDVの相談件数は、3万5943件。それが2014年度は、10万2963件と約3倍近くに増加している。また警察への相談件数(認知件数)に至っては、2001年の3608件に対し、2014年は5万9072件と16倍あまりに跳ね上がっている。その一方で、保護命令の既済件数に関しては、2002年が1398件(270)、2008年3143件(619)、2014年3125件(597)。2002年と比べ、現在は2倍強にとどまっており、ここ7年間はほとんど横ばいである。(かっこ内は取り下げと却下の合計)。

これらの数字を比較すると、相談件数が保護命令に比べ桁違いに多いこと、保護命令が横ばいで相談件数だけが年々増えていることがわかる。つまり、保護命令には至らないような相談が増えており、この中には、冤罪DVも一定数含まれているものと考えられる。

「こうした冤罪DVの件数は近年高止まりしていると関連団体からは聞いています。残念ながら解決の目処がたたないのが現状です」(杉山弁護士)

訴えるリスクが少なく、プラスが大きい

杉山弁護士はこれまでも冤罪DVのケースを扱ってきた。今回以外にはどのようなケースがあったのか。実態を聞いた。

「『コーヒーカップを投げつけられたり、太ももを蹴飛ばされたりした』と離婚調停や訴訟の場でDVを主張されたケースでは、診断書や証拠写真に残る多数の不審点を指摘したところ、DVが虚偽だということが裁判で確定したこともありました。

ほかには、相手側が子どもを脱臼させたため、病院が子どもの診断書を出したんですが、裁判官が『夫が脱臼させた』として、保護命令を出したケースや、相手側が不利だと思ったために一方的に取り下げたというケースといったものもありました」

他の民事訴訟との相違点はあるのか。「普通の民事訴訟では、取り下げは被告の同意がいるのですが、DVの保護命令の場合はそれが必要ありません。そのため、相手方は自分が不利だと思った場合、取り下げによって、訴えていない場合と同じ状態にすることができます。さらに、妻が取り下げた場合でも、行政機関は夫に対し、妻と子の住所を秘匿し続けます。もし、DVの申し立てが虚偽だったことがわかった場合、過料10万円と決まっているのですが、実際、科されるケースがほとんどないのが現実です」(杉山弁護士)

つまり、相手方からすると、訴えるリスクが非常に少なく、成功したときのプラスがすごく大きいということだ。

問題は司法の場以外にも及んでいるという。杉山弁護士は話を続けた。

「女性センターなどの行政機関にしても、明らかに女性の意見ばかり聞きます。チェック機能は全く働きません。加害者とされる男性の意見を聞く機会はありません。冤罪をふせぐチェック機能は女性センターには制度として存在しないのです。加害者とされた側は、反論する機会さえ与えられません。だからハナからいきなり『DV夫』だということで『あなたには住所教えられません』となります」

保護命令が出れば、面会交流ができなくなるし、親権争いにもほぼ勝てなくなる。それどころか、保護命令の取り下げを行った人に対しても、住所秘匿がずっと続くということだ。

「人生を破壊するほどの弊害が、しっかりとチェックされることがないまま行われるのです。DVをやっていない人が、やったことにされて、子どもと引き離されてしまう。Aさんもそうですが、加害者とされた人の生活が変わってしまいますし、なにより子どもが一番の被害者です」(杉山弁護士)

救われるべきDV被害者はたくさんいる。しかし、しっかりとしたチェックのないまま、配偶者をDV加害者と決めつけ、人権侵害をしてしまうことは許されることではない。

「子どもの貧困対策をするつもりはない」と 対策先進市・明石市長が言う理由

出典:平成28年7月20日 yahooニュース

「子どもの貧困対策をするつもりはない」と 対策先進市・明石市長が言う理由

タコが有名で、さかなクンが「あかしタコ大使」を勤める兵庫県明石市。

人口29万人のこの町は、同時に全国に先駆けた「離婚時の養育費等取り決め」など、子どもの貧困対策の先進市でもある。

対策は、二期目に入った泉房穂市長の強力なリーダーシップの下で行われてきた。

ところが当の泉市長は「子どもの貧困対策をするつもりはない」と言い切る。

およそ謙遜するタイプには見えないマシンガントークの市長が、真顔でそのように言うワケとは? 明石市の経営戦略(「アカシノミクス!?」)とは? 泉房穂市長のロングインタビューをお届けする。

子どもはカバンじゃない!

――明石市は全国に先駆けて「離婚時の養育費等取り決め」を進めてこられました。

20年間「子どもはカバンじゃない!」と言い続けてきました。

「どっちが持って行く?」とか、そんな話ではない。モノじゃないんだから。

離婚が避けられなくなってしまっても、その影響を受ける子どもの未来にとって最善の選択肢を話し合ってから離婚すべきでしょう。

そう考えて、2014年度から離婚届を取りに来られた方たちに「こどもの養育に関する合意書」をお配りするようにしました。

養育費の額だけではなく、支払いの期間や振込口座、面会交流の方法・頻度・場所などを具体的に記入できる合意書です。

提出は義務ではありませんが、ご両親には考えていただきたかった。

もちろん、合意書を配布するだけではありません。民間団体と連携して月1回の専門相談会を開き、実効性のある取り決めがなされるようサポートします。

また、アメリカの多くの州で義務化されている「離婚前講座」も開いています。

将来的には養育費の立て替え支給も検討していきたいですね。

これらはすべて、離婚によって大きな影響を受ける子どもたちを守るためです。決して離婚を勧めているわけではありません。

――ひとり親家庭の貧困率は高く、背景の一因に養育費を受け取るひとり親(主に母子家庭)の少なさがあります。子どもの貧困問題に対する注目が高まる中で、明石市の取り組みが全国的にも採用されつつあります。

2011年の厚労省の調査では、母子家庭のうち、養育費を受け取っているのは20%、面会交流を行っているのは28%にすぎません。

子の利益が十分に守られている状態とは言えません。

明石市は一基礎自治体にすぎませんが、私は常に「普遍性」を意識して施策を打っています。

明石市にできることは今すぐにでも他の自治体もできる、今すぐにでも他の自治体でできないようなやり方はしない、このように考えながら、施策を作ってきました。

国でも超党派の「親子断絶防止議員連盟」が「明石市のやり方をナショナルスタンダードに」と言ってくれ、現在法制化作業が進行中です。

児童扶養手当のまとめ支給も先駆ける

――児童扶養手当の毎月支給にも取り組まれるご予定とか。

自治体の施策として始めるべく、準備しています。

ひとり親家庭などに支給される児童扶養手当は4か月ごとの支給ですが、それだとどうしても、日々のやりくりが足らないからまとまったお金が入る支給日に支払う、その結果次の支給日までに生活費が足りなくなる、という悪循環を生じかねません。

それなりの貯金がある方たちや、毎月決まったお給料が入る方たちにはなかなか想像しにくい不都合が生まれ、困窮の度合いを深めてしまう可能性があります。

ただし、児童扶養手当は法律で「4月、8月、12月に支給」と4か月ごとの支給が明記されていますので、自治体が勝手に毎月の支給に切り替えることはできません。

そこで明石市は、手当てを受け取るご本人の希望をうかがって、毎月児童扶養手当1か月分の貸し付けを行い、児童扶養手当の支給時にその費用を相殺するサービスを始める予定です。

もちろんただの貸し付けサービスにはしません

そのやりとりを通じて、家計管理のサポートなども行います。これは明石市社会福祉協議会(社協)にやっていただく予定です。

実は社協は、すでに認知症高齢者や障害者の方などを対象に似たような事業を行っており(日常生活自立支援事業)、そのノウハウがあります。そのノウハウを応用できます。

――しかし、そうしたサービスが必要な人ほど、自分から役所にアプローチしてこないのではないですか。

だからこそ、今年から、児童扶養手当の全受給世帯と面会できる8月の現況届の際にアンケート調査をし、希望を聞き取ります。

このように、市役所は市民との接点を数多く持っており、それを活かすことにより、様々な困難を抱えた人と接することができます。

例えば、明石市では、市内のすべての子どもの状況を確認するために、様々な機会を使いすべての子どもと面会をする取り組みを行ってきました。

もし、子どもと会えない、会わせてもらえないような場合には、18歳未満の子どものいる世帯に広く支給される児童手当の振り込みを停止し、子どもを連れてきてくれたら手渡しするようにしています。

市民との接点をフル活用

――役所の事務負担が大変ではありませんか。

そんなことはありません。

明石市では乳幼児健診を4か月児、10か月児、1歳6か月児、3歳児に実施していますが、そのときに会えれば様子がわかります。

明石市の乳幼児健診の受診率は約98%ですから、そこから漏れてしまった家庭を訪問すれば足ります。

保健師さんに訪問してもらい、その機会を活用して相談にのります。

このように、様々な機会を活用することにより、市民と接点を持つことが可能となります。

例えば、母子手帳の発行時にも、こうした相談を行おうと思っています。

――お話をうかがっていると、行政サービスを行う機会をこまめに捉えて、そこを気になるご家庭や子どもの発見や相談のチャンスとして活用しているように見えます。

おっしゃる通りです。

役所は、さまざまな行政サービスを、該当するすべての市民全員に届ける業務を日々行っています。

その機会を利用すれば、そこから漏れてしまっているご家庭や子どもを発見することができます。

そうしてヌケ・モレを防ぎながら、そこに相談機能もつけていけば、虐待や貧困の早期発見・早期対応にもつながる。

単に該当家庭に銀行振り込みをするだけでは、住民のみなさんの顔は見えてきません。

――市長はどうして、そのような発想をお持ちになったんですか。

弁護士として、市民のお困りごとの相談にのってきた経験が大きいですかね。

さまざまな困難を抱えるご家庭をたくさん見ながら、一件一件の対応には限界があると感じてきました。

弁護士は、相談に来てもらわないと対応できない。深刻な事態に立ち至る前に対応したいけど、どこにそういう人たちがいるのかわからない。

他方、行政には多様な情報が集まっている。住民と接する機会も多い。

なんでその機会をもっと有効に活用しないのか、なにやってんだ、という気持ちですね。

で、ただ文句言っているだけではしょうがないので、自分で行政をやってしまおう、と(笑)。

――なるほど。だとすると、その発想で子どもの貧困対策以外の分野でもいろいろやっておられそうですね。

はい。

全国で1万人いると言われる戸籍のない「無戸籍者」を市内で11人発見して、支援を行いました。

無戸籍者の方々は小学校にも行っておられない。「500円の2割引きと600円の3割引き、どっちが安いのかわかるようになりたい」とおっしゃったんで、教員OBの方に教育支援をしていただきました。

再犯を繰り返してしまう認知症高齢者や知的障害者などの支援を行うためのネットワーク会議も7月に始めました。これも、弁護士時代に入所中の受刑者の療育手帳取得支援などをやっていた経験からです。

また明石市は、2018年度に中核市に移行しますが、その翌年度の2019年度には中核市として今回の児童福祉法改正後全国初となる児童相談所も開設します。

子どもの貧困対策をするつもりはない

――「社会的弱者」と呼ばれる方たちに対して、とても積極的な取り組みをしておられるのですね。子どもの貧困対策もその一環ということですね。

いや、子どもの貧困対策をするつもりはありません。

――とおっしゃいますと?

貧困家庭の子どもたちだけをターゲットに施策を打っているつもりはありません。

明石市の対象はあくまで「すべての子どもたち」です。

すべての子どもの発達と未来を保障しようとする中で、残念ながら漏れやすい、行政サービスの届きにくい、また不遇な状態で育たざるを得ない子どもたちが出てくる。

それを防ごうとすると、結果的に対象者が貧困家庭の子どもとなることがある。そういうことです。

なので、児童手当を該当する市民に行き渡らせようとすれば、またその機会を活用してご家庭のお困りごとを解決していこうとすれば、結果的にそこで浮かび上がってくるのは貧困家庭の子どもたちだったりするわけですが、それは結果であって、その子たちに向けてサービスをしているわけではない。

すべての子どもたちが対象です。

――ユニバーサル(すべての子に対する)な支援ということですね。

そうです。

明石市は「こどもを核にしたまちづくり」を掲げています。

対象はすべての子。

貧困家庭の子どもたちばかりを見ているわけではなく、同時に、その子たちが排除されるのを決して放置しません。

(以下、リンク先参照))

離婚後は子どもの環境を最優先、画期的な「フレンドリーペアレントルール」

出典:平成28年7月19日 PRESIDENT Online

離婚後は子どもの環境を最優先、画期的な「フレンドリーペアレントルール」

「連れ去り勝ち」が子の養育環境を壊す

離婚に至る事情は様々だが、ある日突然、母親が子どもを連れ去って家を出て、別居が始まるケースは少なくない。子どもを連れ去られた父親は、子のために懸命に親権や面会を求めるが、実は、この時点ですでに父親は圧倒的に不利な立場に立たされている。

離婚後に共同親権が認められている欧米と違い、日本は父親か母親、どちらか片方だけに親権が認められる単独親権。どちらが親権を得るかは、様々な要素から判断されるが、なかでも「監護継続性の原則」が問題を複雑にしている。

監護継続性の原則とは、子どもの現状を尊重し、離婚後もできるだけ環境が変わらないほうに親権を認める考え方。母親が子どもを連れて別居した状況で調停や裁判に入れば、子どもはそのまま母親に養育されたほうがいいという判断に傾きがちだ。一方母親は、家に戻ると、監護継続性を理由に親権を得る戦略が取りづらくなる。そのため子どもを連れて出ていった母親は元の家に戻らず、父親に子どもを会わせようとしなくなる。古賀礼子弁護士はこう語る。

「監護継続性の原則は明文化されていませんが、調停や判決で重視される空気があるのはたしかです。監護継続性という要素が母親による子どもの連れ去りを助長している面は否めません。皮肉なことに、『別居後の子供の現状を尊重する』という姿勢が、本来の『現状』(同居時の養育環境)の破壊を容認しているのです」

離婚相手に優しい親が親権を得やすくなる

たとえ親権を得られなくても、子どもと定期的に会えるならいいという父親もいるだろう。しかし、親権のない側が子どもと会えるのはせいぜい月1~2回が相場だ。子どもを連れ去られると、残された側は親権を失い子どもにもなかなか会えない――。

じつは今年3月、そうした現状に一石を投じる判決が千葉家裁松戸支部で出た。子どもを連れ去られた夫が妻と親権を争っていた離婚訴訟で、面会交流を積極的に認めた夫に親権が認められたのだ。妻が夫に提案した面会交流は「月1回」。一方、夫は「自分が親権を取れば子を妻に年間100日程度会わせる」と主張。裁判所は夫の提案を採用したほうが、子どもは両親の愛情を受けて健全に成長すると判断したわけだ。

この判決は相手に寛容性を示した側が有利になる“フレンドリーペアレントルール”に基づいている。このルールを適用すると、親権が欲しければ相手との面会交流を増やす必要があるので、子どもは離婚後も両方の親と会える理想的な状況に近づいていく。

「調停や和解に至ったケースでは、これまでも、離婚後の両親から自然で十分な養育を受けることに重点が置かれたこともありました。フレンドリーペアレントルールという枠組み以前に、子の利益のための当たり前の価値観だからでしょう。この価値観が、今回、判決となって明らかになったのは画期的です」

「日本は返還執行に弱点」=子の連れ去り問題で報告書-米国務省 

出典:平成28年7月15日 時事通信

「日本は返還執行に弱点」=子の連れ去り問題で報告書-米国務省

【ワシントン時事】米国務省は14日までに、国際結婚の破綻に伴って片方の親が子供を母国に連れ帰ってしまう問題に関する年次報告書を発表した。日本については、ハーグ条約に基づいて米国に子供を返還するよう命じる裁判所の決定が2015年に出されたにもかかわらず、日本の当局は執行できなかったと指摘。「返還命令の執行面で日本に弱点がある可能性が顕在化した。国務省は日本の執行能力を注意深く監視していく」と記している。 

米国大使館主催:行方不明や搾取された子どもに対する米国の対応

出典:平成28年7月11日 米国大使館ホームページ

アメリカ大使館主催:行方不明や搾取された子どもに対する米国の対応~全米行方不明・被搾取児童センターの役割~

全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC)は、1984年に設立された米国の非営利団体であり、行方不明になった子どもや性的に搾取された子どもの問題に対する国の情報センターとしての役割を果しています。NCMECは、法執行機関、家族、および専門家と協力しています。

マーシャ・ギルマー=トリス氏とリネイ・ホームズ氏は、子どもの保護や、子どもとその家族の再会のためにNCMECが行った取り組みの事例を紹介し、特に親による国際的な子どもの奪取に関する事例や、家事弁護部の活動に重点を置いてお話をされます。家事弁護部では、被害児童とその家族のための支援ネットワークを提供し、家族、法執行機関、社会福祉機関、および精神衛生の専門機関への支援に積極的に取り組んでいます。また、連れ去りを経験した子どもが再び家族に溶け込めるよう、熟練した療法士による家族との再会支援を行っています。

2014年4月1日に日本が国際的な子の奪取に関するハーグ条約に加盟してから2年が経過しましたが、一部を除いてはほとんどのケースが未解決であり、連れ去りによる別離の影響を受けた親や子どもたちが何百人も存在します。両氏は、これまでのNCMECにおける家族の再会や、親と子の融和に関する最善事例のほか、1984年の設立以降同センターが自らの手続きや業務をどのように発展させてきたかについても述べる予定です。

【当講演会の動画がアップされました】

離婚後の「子の幸せ」を"第三者"に頼る親たち 「面会交流」の現場がいま、様変わりしている 

出典:平成28年7月2日 東洋経済オンライン

離婚後の「子の幸せ」を"第三者"に頼る親たち 「面会交流」の現場がいま、様変わりしている

離婚や別居により、離れて暮らすことになった親と子が、直接対面してふれあう「面会交流」が注目を集めています。離婚率の増加や少子化の影響で、面会交流そのもののニーズが高まっているだけでなく、第三者機関が支援や仲介に入って行う、新しい形の面会交流が急速に広がっているからです。

今回は、そんな面会交流の現場に立ち会わせてもらい、当事者や彼らを支援するNPO法人の方にお話を聞きました。

各人の働き方や家族の形が多様化することで「幸せの形」もひとつではなくなっている昨今。そんな中で「子どもにとっての本当の幸せ」を考えることの難しさと、重要性が浮かび上がって来ました。

6月のある日。雨が降りしきる東京郊外の屋内施設。

まだあどけない表情のDくん(7)が、NPO職員に手を引かれてやって来ました。続いて現れたのは、スーツ姿の男性・Tさん(38)。Dくんの顔を見るなり「D! 元気だったか!」と、嬉しそうです。Dくんも「お父さん!」と駆け寄って、Tさんの腕にぶら下がりました。

Tさんは「風邪ひいてないか?」などと話しかけ、のどが渇いたと言うDくんにジュースを買ってあげます。片時も離れずにじゃれ合う2人。しかし45分が経過すると、別れの時間です。TさんはDくんに「また8月ね。お父さん、仕事に行くね」と手を振って、去って行きました。Dくんも名残惜しそうに手を振ります。

■2カ月に1回半休をとり、45分間だけわが子と過ごす

TさんとDくんは血のつながった父子ですが、今は家族ではありません。TさんのDVが原因で、妻のAさん(35)と離婚。当時2歳だったDくんは、Aさんに引き取られました。

以来5年間、TさんはNPO法人「ウィーズ」の支援を受け、このような「面会交流」を続けています。2カ月に1回半休をとり、45分間だけ、公園などでDくんと触れ合うのです。

この日の面会交流を終え、Tさんは言いました。

「離婚してからも、息子に『お父さんはいるよ』『お父さんはいつも見ているよ』ということをわかってほしいんです。そして自分自身も、定期的に面会することで、父親であることを自覚したい。ですから、このような支援はありがたいです」

Tさんが立ち去った後、元妻のAさんがDくんを迎えに来ました。Aさんには暴力を振るわれた記憶が残っているので、面会交流時も決してTさんと顔を合わせないようにしています。

「今でも子どもを会わせるのは怖いし、とても不安です。正直、ジュースを買ってもらうのもイヤというのが本音です。面会中に連れ去られたらどうしよう、とも思います。でもそこに仲介の支援者が入ることで、安心できます。当事者同士だと、待ち合わせをどうしようとか、遅れたらどうするとか、やり取りするのもイヤだし、苦痛ですから」

■面会交流は「子どもが親を知って安心する」機会

この日、TさんとDくんの面会交流を仲介し、立ち会ったのは「ウィーズ」副理事長の光本歩(みつもと・あゆみ)さん。子どもが親に「直接会う」ことの重要性をこんなふうに説明します。

「子どもは、圧倒的に同居する親の影響を受けて育ちます。同居する母親から『あなたのお父さんはひどい人だ』と言われれば、子どもはそれを信じてしまうものです。しかし、直接、別居する父親に会うことができれば、一方的な視点のフィルターを通さずに、自分の親がどういう人なのかを知ることができます。面会交流は『親が子どもの成長を見る』ためだけではなく、子どもが『親を見て理解する』『親を知って安心する』ためのものでもあるのです」(光本さん)

確かに、DくんはTさんに、全身でぶつかっていくようにして遊んでいました。Tさんを知りたい、理解したいと思っていたようにも見えました。そのようなDくんを受け止めることで、Tさん自身もまた、父親としての成長を止めないでいられるのかもしれません。

「ウィーズ」ではここ数年「面会交流を仲介してほしい」という依頼が急増しています。昨年比で見ても、依頼は実に2・4倍に膨らみました。

「面会交流」そのものは、特段新しい概念ではありません。両親が離婚した子どもが、離れて暮らす親と会って1日を過ごす。身近にはなくても、映画やドラマなどで目にするシーンです。かつては両親同士が直接連絡を取って話し合い、面会交流を実現していたはずですが、今「ウィーズ」のような第三者機関の需要が高まっているのは、なぜなのでしょうか。

家族間の紛争や男女問題に詳しい専門家で、ともえ法律事務所の寺林智栄弁護士は「子と別居しても子に会いたいという親が増えた一方で、当事者間で円滑に面会交流のための協議をすることができないケースが増えている」と指摘します。

「背景としてよく言われているのは、少子化や夫の育児参加です。一人っ子であれば、そこに対し妻も夫も愛情を注ぐことになるので、それだけ双方とも子と離れがたくなります。すると、面会交流の条件で折り合いがつきにくくなるのです」(寺林弁護士)

また、寺林弁護士は「あくまでも私の推測ですが」と前置きしたうえで、次のようにも語ります。

「女性の社会的な地位が向上したことに伴って、妻が夫に対して我慢しなくなったということもあげられるのではないかと思います。子どもが会うのは仕方ないにしても『なんであんな男と私が、今さら会わなきゃならないの』と言える風潮が、日本でも出てきたのではないでしょうか。

これに加え、核家族化も影響していると思います。夫婦が子の受け渡しなどを行えない場合に、双方の両親(子にとっては祖父母)がこれを補えればいいのですが、高齢であったり遠方に住んでいたりなどの事情で、協力を得にくいということが考えられます」

■かかわる大人の数が増えるほど、面会交流は難航する

一方で、現在子育てをしている親世代に問題が起きた時に、その親たち(子供にとっては祖父母)が、過度に「口出し」「干渉」をすることで、余計に問題を複雑化させる場合もあります。「ウィーズ」の羽賀晃理事長も、実際「かかわる大人の数が増えれば増えるほど、面会交流は難航する」という実感があるそうです。

「そもそも夫婦は、激しい葛藤の末に離婚しており、面会交流についての調停が成立してもきちんと履行されないケースや、養育費の未払いにより面会交流が実現しないケース、男女間の葛藤がそのまま親としての葛藤に直結しているケースなど、さまざまです」(羽賀理事長)

最近では、当事者間での面会交流の調整が困難と思われるケースについて、裁判所が、第三者機関の利用を検討するよう促すパターンも出てきているのだそう。そんなわけで、面会交流をとりまく環境、面会交流の形態が、このところ激変しているのです。

「離婚した親が、面会交流を求める調停の申し立ては2013年に1万件を超え、この10年間で約2.5~3倍に達しています。ひと昔前に比べれば、別居している親がより積極的にわが子に会うための行動を起こしているということだと思います」(羽賀理事長)

もう一つ、面会交流の法律上の根拠になっている「民法第766条」が2011年に改正されたことも、大きな変化だったと指摘します。

民法第766条

〈改正前〉

1. 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議で定める。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。

2. 子の利益のため必要があると認めるときは家庭裁判所は子の監護をすべき者を変更し、その他監護について相当な処分を命ずることができる。

3. 前二項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更は生じない。

〈改正後〉

1. 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。

2. 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。

3. 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。

4. 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。

「これにより、子どもの成長に両親が関わることが『子の利益』や『子の健全な成長』に欠かせない、という社会的意識ができあがったことも大きな変化と言えるでしょう」(羽賀理事長)

■状況が変わっても、子どもたちが苦しいのは変わらない

ただし注意すべきなのは、面会交流を巡る「大人にとっての事情」は変化しても、子どもにとっては必ずしもそうではない、という点です。羽賀理事長は言います。「やってくる子どもたちの様子は、数年前と比べてそう変化はありません。結局、両親の争いに挟まれて苦しんでいるのは、いつの時代の子どもたちも同じなのです」。

第三者が支援、仲介する面会交流は、増加する離婚夫婦のニーズに応え、大きな役割を果たしていると言えそうです。離婚して子に会えない、子に会うための調整がうまくいかないという親にとっては、救世主のような仕組みではないでしょうか。

ただし、このような形の面会交流がすべてスムーズに行われているかというと、そうではありません。多くの困難や問題点、これからの課題も垣間見えます。次回は「楽しいだけじゃない面会交流」の現実について、「ウィーズ」で起きた実際の例をもとに、考えていきます。

【つくられた貧困】ひとり親家庭の貧困率が54・6%に上る背景とは 

出典:平成28年6月22日 西日本新聞

【つくられた貧困】ひとり親家庭の貧困率が54・6%に上る背景とは

泉房穂・兵庫県明石市長に聞く

 ひとり親家庭の貧困率が54・6%(2012年)に上る背景には、離婚で子を引き取らなかった方の親の8割が養育費を払っていないことが大きい。

 そう考え、明石市は2014年度から、養育費の額や支払期間などを記入する「合意書」を独自に作成し、離婚届を取りに来た市民に手渡すようにしている。記入は任意で法的拘束力はないが、コピーして2人が持っておけば養育費支払いの意識付けになるし、調停や公正証書作成の際の資料としても使える。

 弁護士業務をしていた1997年からの6年間、離婚調停などで多くの父親や母親の代理人を務めた。母親の依頼で小学校に子どもを迎えに行くと、「お父さんと離れたくない」と泣かれたこともある。こういった子どもの意見はだれが代弁するのか。代弁どころか、子どもの養育費や面会交流のことも決めないで別れる親が6割に上る。

 他の先進国の多くは裁判所が子どもの意見を聞くし、養育費を支払わなければ、給与口座から強制的に天引きする国もある。「相手ともう関わりたくないから養育費はいらない」と思っても、子どものために請求しなければならない類いのものだ。

 だが、日本の民法は離婚時の養育費支払いを義務付けていない。子どもの福祉を無視しており、おかしいと強く思った。

「明石モデル」を全国に

 国会議員になり、民法改正で義務化を目指す超党派の議連もでき、国会質問をしたり、法務省や厚生労働省に要望したりしたが、実現しなかった。市長になって、離婚届を受ける自治体としてできることをしようと合意書を発案した。

 同時に、子どもの気持ちが置き去りにされないよう配慮を促すための冊子「親の離婚とこどもの気持ち」を親に配り、子ども養育相談会を月1回行っている。

 合意書の成果はなかなか目に見えないが、離婚後に児童扶養手当の申請窓口にきた親が「養育費はこのように決めました」と合意書を見せてくれたと職員から聞いた。こうした市の取り組みが15年版の厚生労働白書で紹介され、東京都足立区や文京区、奈良市、鹿児島市などで同様の合意書を配ったり、窓口に置いたりし始めたとも聞く。

 今は「明石モデル」を全国に広げるよう働き掛けている。しかし、最終目標は義務化だ。子どもの貧困問題をきっかけに、養育費が支払われない状態を放置していてはいけないという機運は高まっている。あとは政治決断だ。

▼離婚と養育費

 2011年度の厚生労働省調査によると、全国で母子家庭は123万8000世帯、父子家庭は22万3000世帯。原因の8割が離婚で、死別、非婚と続く。

 離婚のうち、養育費の取り決めをした母子家庭は38%、父子家庭は18%。実際に支払いを受けているのはそれぞれ20%、4%にすぎない。養育費の平均月額は母子家庭が約4万3000円。父子家庭が約3万2000円。

 養育費の取り決めが少ないことや、不払いが多い背景には、2人の合意だけで済む協議離婚が9割を占めることがある。

 11年の民法改正で、協議離婚の際には父母が養育費などを取り決めるよう規定され、離婚届に養育費に関するチェック欄が設けられた。だが、努力義務でしかなく、実効性が疑問視されている。

調停内部資料、当事者男性に誤って渡す 津家裁、事実に反する記述も 

出典:平成28年6月15日 中日新聞

調停内部資料、当事者男性に誤って渡す 津家裁、事実に反する記述も 

津家裁が二〇一四年に扱った離婚調停の内部資料を、誤って当事者の四十代男性に手渡し、資料の中で男性について「発達障害の可能性が高い」と、事実と異なるとみられる記述をしていたことが分かった。

親権望んだ「子供連れ去り」を防げ 離婚夫婦が共に子に会える「面会交流」

出典:平成28年6月11日 JCAST ニュース

親権望んだ「子供連れ去り」を防げ 離婚夫婦が共に子に会える「面会交流」

 厚生労働省の人口動態統計(年間推計)によると、2015年の離婚件数は22万5000組にのぼる。毎年それだけの夫婦が、別々の道へと歩み始めるのだが、夫婦の縁は切れても、その子供にとっては「父親」と「母親」のままだ。

 しかし、離婚後に親権を持たない方の親が子供との面会交流を求めても、なかなか思い通りにはいかないケースがある。なかには一方の親が子供の「連れ去り」をしてしまい、もう一方との面会を拒絶することも――。別居や離婚した親子の「面会交流」を追った。

■ 日本は離婚すると片方の親だけに親権与える

 日本では現在、米国など諸外国が採用する「共同親権」ではなく、「単独親権」の制度がとられている。つまり離婚すると、片方の親だけに親権が与えられ、もう一方には親権が認められない。

 親権者を指定する上では、「主たる養育者か」や「継続性があるか」などいくつかの要件に照らして検討される。親権を望む親は、とくに継続性の面で有利になろうと「連れ去り」や「引き離し」をして、もう一方の親と面会させないケースが多々あるという。自分とだけ一緒に子供と過ごせば、継続性が生まれるからだ。

 そんな背景のもと、2008年7月に「親子の面会交流を実現する全国ネットワーク(親子ネット)」が発足した。親権をめぐり、実子との交流が困難な当事者を中心に、別居後の親子交流をすすめる法整備や、支援制度の確立を目指す団体である。

 親子ネットは定期的に、講演会を実施している。16年6月11日には東京・池袋で、上野晃弁護士(日本橋さくら法律事務所)や、東京国際大学の小田切紀子教授(心理学)らを招いて、「フレンドリー・ペアレントルール(寛容性の原則)」について参加者と情報を共有した。

■ 親権者指定に「寛容性」の基準導入

 千葉家裁松戸支部で16年3月、このフレンドリー・ペアレントルールを採用した判決が出た。同居親を決める上で、親権を認められた側が別居親の存在を肯定的に子どもへ伝えられるか、面会交流に協力できるかといった「寛容性」を判断基準にした判決で、その父親側代理人が上野弁護士だ。

 あらましは、こうだ。不仲だった夫婦のうち、母親が娘を連れ、父親に無断で実家へ帰省した。それから約5年にわたり、父親は娘に会えなくなった。父親は親権を求めて提訴。父子面会の条件として「月1回程度」を提示する母親側に対して、父親側は自分が親権者になった場合、母子面会を「年間100日程度」認めるとした。

 「継続性の要件」を採った場合には、長く同居している母親側が有利に考えられるが、松戸判決では「年間100日」の面会計画がポイントとなり、父親を親権者とし、娘の引き渡しが命じられた。すでに控訴されているが、親子ネットによると、フレンドリー・ペアレントルールを明確に採用した「国内初」の判決だそうだ。

 親権をめぐる訴訟では、もう一方が親権者として適格でないと示すため、相手を誹謗中傷することが多々あるようだ。しかし、離婚後も一緒に子供を育てる「共同養育」の考え方では、親権を奪いあう必要は少なくなる。

 「どちらかが善であって、どちらが100%の悪であるなんていう事はない。少なくとも子供との関係では、絶対にそんなことありえない。だからこそ、両親いずれかが100取るのではなく、両親のいずれも子供ときちんと関われる形を作る必要がある」(上野弁護士)

 草の根活動だけでなく、政治家も動きつつある。超党派の国会議員による「親子断絶防止議員連盟」(会長:保岡興治元法相)は2016年5月、親子関係の維持に向けた法案骨子をまとめた。松戸判決の控訴審は、7月にはじまる予定。東京高裁がどう判断するか、注目が集まっている。

薬物中毒よりつらい 清原被告を待つ“もうひとつの地獄”

出典:平成28年6月1日 日刊ゲンダイ

薬物中毒よりつらい 清原被告を待つ“もうひとつの地獄”

 覚醒剤取締法違反の罪に問われ、31日判決が下された清原和博被告(48)。溺愛する中学2年の長男と小学5年の次男は現在、離婚した元妻・亜希さん(47)とともに暮らしているが、会える日はくるのか。

 逮捕されて以降、2人の息子とは会えていない清原被告は初公判で「(息子と)会いたい。会って謝りたいです」と号泣した。しかし、亜希さんは清原被告と息子たちが会うことを希望していないという。こうした場合、清原被告は子供と会うための「面会交流」調停を起こすことになるが、極めて厳しい結果が予想される。

 「単独親権」制度を取る日本の家庭裁判所は、離れて暮らす片親に対して、異様なほど“冷酷”だからだ。しかも、罪を犯した父親に対し、簡単に面会を許すはずもない。離婚事情に詳しい上野晃弁護士はこう言う。

 「親にDVや薬物の問題がある場合、監視つきで面会する方法もありますが、これまでの家裁の流れから考えると、写真と手紙の交流だけになる可能性は高いです。しかも、『当面の間』という条件などがついて、いつになったら会えるのか分からない。その間に親子が疎遠になり、関係修復が難しくなるケースが多いんです」

 離婚後、子供と会える少年野球のある日曜日を、非常に楽しみにしていたという清原被告。今後、手紙や写真だけの交流で、精神的に“耐えられる”のか。離婚や別居を機に、子供に会えなくなることを悲観して、“心を壊す”片親は多くいる。

 「13年には、49歳の父親が東京・文京区の小学校の校庭で、9歳の息子に灯油をかけ火をつけ、無理心中を図っています。父親と息子は別居中で、事件当日、息子は校庭で野球の練習をしている最中でした。また、14年には、精力的に原発取材などを行っていた民放のテレビディレクターが、別居を機に子供たちと離ればなれになり、自宅で練炭自殺をしている。表ざたになっていませんが、こうした事件や事故は全国各地で起きているんです」(報道関係者)

 初公判で清原被告は「なかなか(覚醒剤を)やめられない自分がいて、何度も自ら命を絶つことも考えていました」と自殺願望も告白している。悪い想像はしたくないが、子供と会えない状態が続けば、清原被告が再び“おかしくなる”日は遠くない。

両親が離婚、子どもの親権の「ミカタ」

出典:平成28年5月20日 日本テレビ

両親が離婚、子どもの親権の「ミカタ」

中央大学法科大学院・野村修也教授が解説する「会議のミカタ」20日のテーマは「離婚後の親子関係」

■年間22万組が離婚→58%「未成年の子どもいる」
 今月10日、超党派の国会議員で作る親子断絶防止議員連盟が国会内で会合を開いた。テーマは「夫婦が離婚した後、親子関係をどうやって維持していくか」。法案の提出も検討されている。

 子どもにも大きく関わってくる両親の離婚。厚生労働省の人口動態調査によると、2014年には約22万組が離婚しているが、そのうち58.4%が、未成年の子どものいるケースだった。

 このような場合、現在の民法では「単独親権制度」といって、離婚する夫婦のうち、どちらか一方が親権を持つことになる。

 親権というのは、子どもの財産を管理したり、子どもの身の回りの世話や教育などを行う権限のことだ。調停や裁判で離婚する場合は、その中で親権者が決められるが、話し合いで離婚する場合でも親権者を定め、初めて離婚届が受理される。

■親権が認められなかった側はどうなる?
 離婚しても親子関係がなくなるわけではないので、子どもが20歳になるまでは扶養する義務が残る。従って、離婚時に将来の養育費の条件について詳しく決めておくことが必要だ。

 ただ、約束通り、養育費が支払われないケースもあるという。厚生労働省の調査によると、離婚した母子家庭で養育費の取り決めをしているのは全体の37.7%で、実際にもらえている人は全体の19.7%にすぎない。従って、養育費の約束をきっちり設定して支払いを確実なものとする仕組み作りも今回の会議で話題になった。

■親権を持っていなくても子どもには会える?
 親権を持たない側の親にも「面接交渉権」と言って、子どもに会ったり電話したり、学校の行事に出たりする権利が認められる。ただし、2011年の厚生労働省の調査によると、離婚して親権を失った親の中で子どもとの面会や交流ができていないケースは全体の7割となっている。

 日本には、離婚前から一方の親が子どもを連れていき、もう一方の親が子どもとの面会を希望しても拒否してしまうケースも少なくない。親権を与えられない親からは「連れ去り得ではないか」とも指摘されている。

 また、一方で親権を持つ親からは「子どものことを考えると今の状況では会わせられない」と主張し、折り合いがつかないケースがある。さらに、面接交渉権に関する法律上の根拠がはっきりしていないことがあるので、今回の会議ではその点についても議論されている。

■子どもの利益を一番に
 例えば、あるスウェーデン人女性は12年前に両親が離婚したが、その当時から今でもお互いの家で1週間ずつ過ごすなど交流を続けている。

 実はスウェーデンアメリカイギリスなどほとんどの欧米諸国では離婚する両方の親に親権を認めている。日本では、単独親権制度を取っているが、離婚後も両方の親ができる限り子どもに関われるのが望ましいと考えるようになってきている。

 先日、家庭裁判所でこんな異例の判決も出た。母親は離婚調停前に子どもをつれて出て6年近く一緒に暮らしていたため、母親に親権を認める可能性が高いと考えられていた。しかし、裁判所は父親に親権を認める判決を下した。

 その理由は、面接交渉の条件にあった。母親は月1回の監視付きでの面会を認めるという条件を出したのに対し、父親は年間100日程度の面会を母親に保証すると主張。裁判所は、子どものためには父親を親権者と指定するのが相当とした。

 いずれにしても、一番大事なことは、子どもの利益を一番に考えるにはどのような制度にするのかを議論することではないだろうか。

親権、面会多く認めた方に 家裁支部が異例の判決

出典:平成28年5月13日 日本経済新聞

親権、面会多く認めた方に 家裁支部が異例の判決

 離婚する相手と子供との面会をより積極的に認めれば、親権を持てる――。そんな異例の判決が、離婚訴訟の当事者らに反響を広げている。日本では、子供が幼いと親権は同居している方の親に認められるケースが一般的で、子供と親権を持たない親との面会は合意が守られないことも多い。関係者は「離婚後、父母ともに子育てに関わることを重視した判断」としている。

 「娘が両親の愛情を受けて健全に成長するには、夫を親権者とするのが相当」。5年以上別居している夫婦が娘の親権を争った離婚訴訟の判決で、千葉家裁松戸支部は3月29日、妻のもとで暮らす小学生の娘を夫へ引き渡すよう命じた。

 判決によると、この夫婦は2009年ごろに関係が悪化し、10年に妻が無断で娘を連れて実家に戻った。夫と娘の面会は同年9月を最後に途絶えていた。

 夫は訴訟で、離婚した場合の面会についてまとめた「共同養育計画案」を示し、隔週末や祝日など「年間100日程度」の面会を妻に認めることを提案。夫が仕事で不在の間は、同居する夫の両親が娘を世話するとした。これに対し、妻は夫に「月1日」の面会を認めたうえで、「慣れ親しんだ環境から娘を引き離すのは福祉に反する」と主張した。

 庄司芳男裁判官は夫側の提案を「整った環境で周到に娘を監護する計画と意欲がある」と評価し、妻の主張を退けた。

 夫の代理人を務めた上野晃弁護士によると、面会を重視する側に子供との同居を認める司法判断は米国などでは珍しくないが、日本では極めて異例。妻は4月、判決を不服として東京高裁に控訴した。

 長女(3)を連れて家を出た妻との離婚訴訟を抱える東京都内の男性会社員(47)は松戸支部の判決を受け、妻に年間80日程度の面会を認めるとの書面を追加提出した。「大人の男女だから別れることもあり得る。それでも子供との関係が切れないよう歩み寄りたい」と語る。

 2014年に全国の家庭裁判所に申し立てられた面会をめぐる調停は約1万1千件で、10年前と比べて倍増した。離婚や面会をめぐる争いの増加が背景にある。

 12年施行の改正民法は離婚後の面会について「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」とし、面会重視の方向性を示した。ただ、日本弁護士連合会の調査では、調停で合意した人の約4割が「全く面会できていない」と回答しており、面会の実現が課題。松戸支部の訴訟では、夫が「面会を実現できなければ親権者を妻に変更してもよい」と約束した。

 離婚訴訟に詳しい弁護士は「面会の充実に加え、養育費の分担などを子供の利益を優先して取り決めることが重要。双方の親が約束を守り続けるような裁判所の運用や行政の支援も求められる」と話している。

子供「引き離し」問題も

 日本は欧米各国と違って離婚後の「共同親権」を認めておらず、親権をめぐる夫婦の争いが激しくなりやすい。
 法廷で親権が争われた場合、裁判所の判断を左右するのは、子供の意思と養育する親の継続性。子供が幼い場合には、養育の環境を変えない「継続性」が特に重視される。
 インターネットの法律相談などでは「親権者になりたければ、子供を手元に置いて相手と別居した方が有利」といった助言が目立つ。
 暴力などやむをえない事情がないのに、子連れで無断で家を出たまま面会に応じない例については、一部の弁護士から「親権目的の子供の引き離し」との指摘もある。

親子断絶を防止 新法骨子案了承 超党派議連

出典:平成28年5月11日 産経新聞

親子断絶を防止 新法骨子案了承 超党派議連

超党派からなる親子断絶防止議員連盟は10日、総会を開き、離婚した父母双方と子供の関係維持を促す新法の骨子案を了承した。今国会の法案提出、成立を目指す。
 骨子案は、原則として未成年の子供が離婚した父母と関係を持ち続けることは「子供の最善の利益に資する」とし、その実現を図るために①子供の養育権を持たない親との面会方法を書面化し離婚届に添付②面会の実施徹底-の努力義務を父母に課した。国は必要な啓発・支援活動を行う。ドメスティックバイオレンス(DV)には、特別な配慮をすることも盛り込んだ。

離婚時、親子の面会交流取り決め 超党派議連が法案骨子

出典:平成28年5月11日 静岡新聞
離婚時、親子の面会交流取り決め 超党派議連が法案骨子

 超党派でつくる「親子断絶防止議員連盟」の総会が10日、国会内で開かれ、親子断絶防止法の骨子案が示された。離婚して子供と一方の親との関係が完全に断たれるのを防ぐため、面会交流の定期的な実施や子どもの連れ去り防止の啓発など3項目を柱とした。同議連の保岡興治会長は、今国会中の法案提出を目指す考えを示した。
 骨子案では、離婚時に面会交流や養育費の分担に関する取り決めを行い、その内容を記した書面の提出を努力規定として盛り込んでいる。子どもの連れ去り防止については、国や自治体が支援を行うと規定。ただし、児童虐待やDVの事情がある場合は「特別な配慮がなされなければならない」としている。離婚後の共同親権制度の導入について、検討項目として記された。
 総会には城内実氏(衆院静岡7区)ら自民、公明、民進など所属の国会議員が出席した。出席者からは「『離婚前の子どもの連れ去りはいけないこと』と共通認識を図る意味でも、早く法制化すべきだ」「現状を打開するために、より強制力のある規定を盛り込むことができないか」などの意見が出た。
 面会交流について、改正民法では「子どもの利益を最優先に両親が協議する」と当事者任せとしているのが現状。離別親(別居する親)の団体が面会交流の拡充などを盛り込んだ法律の制定を求めて活動を展開している。これらの声を受けて、2014年に超党派の議連が発足した。
 議連事務局長の馳浩文部科学相は「面会交流の実施が子どもの最善の利益につながるということを社会通念として浸透させたい」と法制化する意義を示した。

 ■親子断絶防止法 骨子案のポイント
 ・協議離婚する時には、面会交流および養育費の分担について、取り決めを行うよう努める
 ・面会交流が行われていない場合、できる限り早期に実現されるよう努める。国や自治体は支援を行う
 ・国や自治体は子どもの連れ去りを生じさせないよう、啓発活動および支援を行う。

離婚後の親子面会促進へ 書面にして実効性 議連が素案

出典:平成28年5月10日 朝日新聞

離婚後の親子面会促進へ 書面にして実効性 議連が素案

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     離婚した親が離れた子どもと面会交流することを拒まれたり、養育費の支払いが滞ったりしないようにする新法づくりの検討が始まった。面会交流や養育費の分担を書面にして、実効性を持たせる内容。超党派による議員連盟(会長・保岡興治元法相)が今国会への法案提出を目指し、10日に素案をまとめた。

 素案では、未成年の子どもがいる夫婦が協議離婚をする際に、子どもとの面会交流や養育費の分担に関する取り決めを書面にまとめ、離婚届に添付して市区町村に提出することを求める。努力規定にとどめて罰則も設けないが、離婚後も子どもと両親が継続的に交流することを「原則として子の最善の利益に資する」と明記。子どもの利益を守ることに対する両親の責任を明確にした。

 国や自治体は取り決めの相談に応じるなどの支援をする。児童虐待や配偶者への暴力などの事情がある場合は、子どもの利益に反しないよう特別に配慮する。

 離婚後の養育費不払いは子どもの貧困につながると指摘されている。法務省は2012年4月から面会方法や養育費の分担について取り決めができているかを記す欄を離婚届に設けたが、実効性をより高める狙いがある。保岡氏は「子どもが親からの継続的な愛情を受けられる環境を整えたい」と話している。(伊藤舞虹)

離婚後の親子断絶防止=超党派議員が法案要綱

出典:平成28年5月10日 時事通信

離婚後の親子断絶防止=超党派議員が法案要綱

 超党派の国会議員でつくる「親子断絶防止議員連盟」(会長・保岡興治元法相)は10日の総会で、離婚や別居で夫婦関係が破綻した父母が、子どもとの親子関係を維持していくための法案要綱を了承した。離婚の際に、親子の面会交流や養育費の分担を取り決め、離婚届に関係書類を添付するとの努力規定を設けることが柱。議員立法で今国会への提出を目指す。
 民法は、離婚後の親権者を一方の親に定める「単独親権制度」を採っている。このため、一方の親が子を連れ去り、もう一方の親との面会を拒絶しつつ養育を続けた場合、法的に救済する手段に乏しく、市民団体が法整備を求めていた。
 議員立法は、養育していない親と子との面会交流の実効性を上げて、絶縁状態になるのを防止するのが狙い。「父母の離婚後等でも、未成年の子が父母と親子として継続的な関係を持つことは、子の最善の利益に資する」と基本理念に明記した。国や地方自治体には、ガイドライン作成など必要な支援を行うよう定めた。

連れ去りから6年、親権を勝ち取った男性から見た離婚裁判

出典:平成28年5月10日 政治山

連れ去りから6年、親権を勝ち取った男性から見た離婚裁判

子を持つ夫婦が離婚する際、日本では一方の親だけが親権を持つ「単独親権」が民法で規定されています。欧米で一般的な「共同親権」は認められていません。離婚裁判では、たとえ妻が子どもを連れ去る形で別居した場合でも、母親側に親権が認められるケースが多く、わが子との突然の別離に苦しむ男性は少なくありません。

画期的な判決「母親でなく父親に親権」

 そんな旧態依然とした家族制度を見直し、父親である夫に親権を与える画期的な判決が3月29日、千葉家裁松戸支部(庄司芳男裁判官)で言い渡されました。

 判決によると、夫婦の間で2007年に長女が生まれたものの、妻は2010年5月6日、夫に無断で長女を連れ去り実家に戻りました。妻はその年の秋を最後に面会を拒み、夫は5年半にわたって長女と一度も会うことができません。

夫は年間100日程度の面会交流計画を提示

 訴訟で、妻は離婚を求めるとともに、別居後長女と同居してきたことを踏まえ「慣れ親しんだ環境から引き離すのは長女の福祉に反する」と主張。夫と長女の面会交流は「月1回」と提案しました。

 これに対し、夫は隔週末に48時間の面会のほか、連休や誕生日についても隔年で面会を認めるなど、妻と長女の面会交流計画を「年間100日程度」提示していました。

「寛容性の原則を初めて採用した判決」

 判決では、夫婦で長女の成長を支えるためにはより多くの面会日数を提案した夫の方が親権者にふさわしいと判断し、妻に長女を引き渡すよう命じました。判決後、記者会見した男性側代理人の上野晃弁護士は、「(子どもを見ている親が、他方の親との面会交流に協力的かどうかを親権者の適格性判断の基準とする)寛容性の原則(フレンドリー・ペアレント・ルール)を明確に採用した、おそらく初めての画期的な判決」と語りました。

 男性は突然の別離から面会交流が一切叶わず、調停と裁判を繰り返してきました。やっと長女に再会できるという喜びも束の間、妻は判決を不服として控訴し、再会はさらに遠のくこととなりました。新たな判例を背景に控訴審に臨む男性から、法曹界に対する疑問や判決に対する思いを政治山に寄稿していただきましたので、全文を下記に掲載します。

■連れ去り親が親権者として相応しくないと判断した点でも画期的

 私のこの判決は、寛容性の原則を採用しただけでなく、子どもの連れ去りと親子の引き離しをした親が親権者として相応しくないと判断した点でも画期的です。しかし、この判決内容は決して突飛なものではありません。むしろ、法に基づき適切に判断されたものです。

■法務大臣「無理して子を移動させて、後は継続…あってはいけない」

 平成24年4月、民法766条が改正され、親権・監護権の決定時に「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」とされました。この改正に伴い、法務大臣が国会で以下のように答えています。

 「面会交流に積極的な親が監護権決定に有利に働くように、あるいは面会交流を正当な理由なく破ったら監護権者の変更の重要な要素になり得る」

 「別れる場合に、子の監護者を決める。そのときに、相手に対してどちらの方がより寛容であるか。片方が、いや、月1回会わせます、もう片方は、いやいや、月に2回は会わせます、それなら、その月2回会わせる方を監護者に決めよう、そういうルールといいますか、裁判所のやり方(は)重要な指摘」

 「合意ができる前にあえて無理して子を移動させてそして自分の管理下に置けば、後は継続性の原則で守られるという、そういうことはやっぱりあってはいけない」

 この法務大臣答弁を周知徹底するため最高裁から全裁判所に対し、少なくとも3回(平成23年8月3日、平成24年3月29日、平成26年3月17日)書簡が出されています。

■最高裁長官「ハーグ条約…国際社会の潮流も見据えて検討を」

 さらに、平成26年4月1日の就任時に最高裁判所長官は「裁判所にとってハーグ条約関連法にあるように、家庭内の出来事が視野に入ってくることも普通に見られるようになっている。このような状況に対応し、司法の機能を充実、強化していくため、国内の実情はもとより国際社会の潮流も見据えて検討を深め、国民の期待と信頼に応え得るよう不断に努力を重ねていくことが求められている」旨の発言をされています。

■多くの裁判官は民法改正を徹底的に無視

 以上から明らかですが、今回の判決は、民法766条の改正を踏まえれば当然の判断です。逆に言えば、多くの裁判官は、民法改正後、本判決が出るまでの4年間、最高裁からの再三の要請にもかかわらず、この民法改正を徹底的に無視してきたということです。そして、裁判官は、子どもを奪われた親の親権を、「親子が引き離されている」ことを理由に奪い続けてきました。これがいわゆる「継続性の原則」ですが、法律上どこにも書いていません。

 このような絶望的な状況に直面し、数多くの子ども想いの親が自殺に追い込まれました。心中に及んだケースもあります。裁判官が民法改正を踏まえて判決を下していれば、少なくとも、この方たちは亡くならずに済みました。

 また、一方の親から引き離された子どもがもう一方の親らにより虐待され殺される痛ましい事件もしばしば起きています。今回の判決が命じているように、年間100日の面会交流が行われていたら、このような虐待死は起こらなかったはずです。これらのことを思うと、悔しくて仕方がありません。

■最後に

 今回の判決は、もっと早くに出ていなければならないものでした。既に亡くなられた親と、その子どもたちとの、本来あったはずの幸せな生活は残念ながら決して実現しません。

 自殺や虐待死に至らないまでも、多くの親子が、今の裁判所の運用に苦しめられています。私も、娘が連れ去られてから約6年間、一日も心休まる日はありません。娘が戻って来る日までこの苦しみは続きます。2歳で連れ去られた娘は約6年にわたり父親と全く会えずにいます。娘は、父親に捨てられたと思っているかもしれません。何ら罪のない娘にこんな状態を強いる仕組みが「子の利益」に適うとは私には到底思えません。

 このような辛い思いをする親子は2度と出てきてほしくありません。我々親子の犠牲を無駄にしないでほしいと思います。

 今回の私の判決のように、民法766条の改正趣旨に従い適切な判決が下されるだけで、多くの親子が救われます。また、これから起こりうる子どもの連れ去りや引き離しも未然に防げます。将来にわたり多くの命を救うことにもなります。ぜひ、そのように裁判所の運用が一刻も早く変わることを願います。

 同時に、社会の「常識」も変わっていってほしいと思います。夫婦の別れが親子の別れになってはいけません。離婚は仕方がない場合でも、できる限り、そのしわ寄せを子どもにいかせない努力が必要なのだと思います。ぜひ、私のこの判決を「子の利益」とは何なのかを考える契機にしていただければと思います。

子に会えない親を救済できない日本と「クレイマー・クレイマー」

出典:平成28年5月2日 法と経済のジャーナル Asahi Judiciary

子に会えない親を救済できない日本と「クレイマー・クレイマー」

日本の「クレイマー・クレイマー」-面会交流事件-
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 大島 義孝

1 子をめぐる紛争の増加

 司法統計によれば、裁判所における平成26年度の民事・行政訴訟事件の新受件数は前年に比して約4~5%減少し、この10年間で見ても民事・行政訴訟事件は半分近く減少している。
 これに対して、家庭裁判所が所管する家事事件は、平成26年度に限っては前年に比してわずかに減ったものの、この10年間は漸増し続け、10年前と比較すると事件数は約30%の増加となっている。とりわけ、家事事件の中でも、子の引渡事件、監護者の指定事件及び面会交流事件の増加が著しく、こうした事件はこの10年間で2~3倍に増加している。すなわち、別居状態にある夫婦間や離婚後の元夫婦間において、子の引渡しや監護、面会交流をめぐる紛争が著しく増加していることが統計上明らかに見て取れる。

2 面会交流事件への関与

 約15年間の弁護士生活において、主として事業再生・倒産案件やM&A案件といった企業をめぐる事件に関わってきたが、一般の民事紛争や家事紛争もそれなりに手がける機会があった。その中でも3年以上にわたって関与した面会交流の紛争事案が強く印象に残っている。

 事案の概要は以下のとおりである。依頼者の妻(当時)が、ちょっとした夫婦間の諍いを契機として当時2歳の長男を連れて実家に帰省したまま戻らなくなり別居状態になった。別居中の生活費をめぐる一方的な要求が通らないと見るや、その後妻は依頼者に対し、離婚を求めて家庭裁判所に家事調停を申し立ててきた。依頼者側としては、離婚に向けた話し合いを行うにしてもまずは突然会えなくなった長男と会えるのが先と裁判所に伝えた結果、家裁で試行的な面会が行われ、約半年ぶりの父子交流がなされた。別居中の一定額の生活費の支払いも約束した。しかし、妻側はなぜかその後態度を硬化させ、一方的に離婚を求めるのみで一切面会の話し合いに応じなくなったのである。

 当初は、家裁において根気よく協議することにより、子供との面会も可能になるのではと考えていたが、甘い見通しだったかもしれない。妻側は、途中から依頼者にDV(家庭内暴力)があると言い出したり、あるいは急用や病気を理由に調停の期日を何度も欠席したりと、家裁での調停は思うように進行せず、そうしているうちに、時間ばかりいたずらに空費され、結局子供と面会できなくなってから3年あまりが経過してしまったのである。

 日本の司法を取り巻く実情として、子を一方の配偶者に連れ去られてしまった場合、相手が頑なに面会を拒むと、これを救済する効果的な手立てがないという問題がある。子を勝手に連れ去った配偶者から勝手に奪い返そうとすると誘拐罪に問われるおそれがあり、実際に誘拐犯として片方の親が逮捕された例もある。子を連れ去った側が子の引渡しを拒みつつ養育の継続という既成事実を積み重ねると、そのことが親権の判断にとっても有利に働く。このことから、子の養育権や親権を確保するのに最も効果的な手法は、別居の際に有無をいわせず子供を連れ去って相手からの面会要請を拒否し続け、養育監護を続けてこれを既成事実化することと言われており、そのように指南する弁護士やコンサルタントも極めて残念なことに巷には存在する。この手の紛争では自力救済が司法に勝るのである。

 子を持つ親の方はよく分かると思うが、幼児期におけるわが子の日々の成長を見守るのは、親としての何よりの喜びである。にもかかわらず、子が連れ去られたまま面会もままならず、司法手続の中で時間ばかり空費していくことにより失われる価値は、何物にも代えがたく回復困難である。依頼者と同年齢の子を持つ自分にはそれが痛いほどよく理解できた。

 一方、子にとっても、幼児期において両親とひとしく交流を持つことは心身の生育にとって極めて重要であるということが今では常識となっている。幼い本人は自覚がないかもしれないが、両親の紛争のために片親と離されてしまい、見えない形で健全な生育が阻害されてしまうのは、ただでさえ両親間の紛争や一方の親との離別により不安定な心理状態に置かれる子供に対し、さらなる不利益を与えかねない。それなのに子の不利益を顧みようとせず、頑なに面会を拒否し続ける相手方に対してやり切れない思いが募るばかりであった。

3 「クレイマー・クレイマー」と面会交流

 往年の名作映画に「クレイマー・クレイマー」という作品がある。ダスティン・ホフマンが演じる父親のテッドは仕事に忙しく、家事や6歳の長男ビリーの育児はメリル・ストリープが演じる母親のジョアンナに任せきりだった。ところが、ある日ジョアンナが自分探しをしたいと言ってテッドとビリーを置いて家を飛び出す。その日からテッドをめぐる環境が激変し、テッドは家事育児と仕事との両立に悪戦苦闘しつつ、今でいうところのイクメンとして成長する。ようやくテッドとビリーの新生活も軌道に乗った頃、仕事を持ちテッドを上回るほどの収入を得るようになったジョアンナが戻ってきてビリーを引き取って暮らしたいと言い、ビリーの養育権をめぐる紛争に至るというストーリーである。姓を同じくする元夫婦間の「クレイマー対クレイマー」という事件名がそのまま映画のタイトルとなっている。

 「クレイマー・クレイマー」は1979年公開の映画だが、ある日深夜放映していたこの映画を見ていくつかの点で驚いた。第一に、非監護親のジョアンナが弁護士を立てて子供との面会を求めた際、子を監護しているテッドは面会を拒否することはできないとされ、別居にかかわらず子との面会が簡単に認められたことである。第二に、テッドの養育権は最終的に一方が獲得したものの、裁判所により養育権のない側にもビリーとの面会交流プログラムが定められ、その内容として、「隔週末の宿泊、毎週平日1回の食事、そして長期休暇の半分」の面会交流が当然に認められるとされたことである。第三に、裁判が起こされて決着に至るまでの期間は2、3か月で、きわめて短期間に司法手続を通じた決着がなされている。このように、両親が離婚しても、養育していない親との面会は当たり前に認められ、またその頻度も高く、さらには一連の紛争が司法手続の中でごく短期間に決着がついており、それが当時の米国社会のコンセンサスとなっていたことに驚かされた。

 翻ってわが国の面会交流をめぐる状況を見ると、監護している親(多くは母親)が面会交流に消極的である場合、前述のように面会交流を認めさせること自体が非常に困難を伴う。そして、家裁の調停や審判の結果として子との面会交流が認められる場合でも、せいぜい月1回の面会が通常で、よくても月2回程度、宿泊を伴った面会や長期休暇の半分などというのは夢物語である。監護親側が強く面会を拒否した場合には、間接交流として子供の写真を送付することで納得するようにとお茶を濁されることもある。さらに、子をめぐる裁判手続は長期化する傾向にあり、司法手続を通じて解決しようとしても貴重な幼年期の時間が空費されてしまう。

 かようにわが国の面会交流をめぐる状況は、制度面においても社会のコンセンサスという面においても、約35年前の1980年ころの米国に比べても著しく貧弱なものであることに愕然としたのである。

4 家族をめぐる意識の変容と司法制度

 倒産法や会社法をめぐる法制度は、整備が進み、わが国では諸外国に照らしても先進的な法制度・法体系が構築されている。一方で、国民一人一人の生活の根幹をなす家族をめぐる法律や制度について、戦後70年を経て変化してきた価値観や多様な家族のありかたに鑑みて、法制度の整備が遅れているといわざるを得ない。冒頭に引用したように、民事行政事件の減少と対照的に面会交流等の事件がこの10年で激増しているということは、こうした問題に関して司法制度が国民の権利救済手段として機能していないことの証左であるといえるのではないだろうか。

 幸いなことに、2014年のハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)の締結を契機として、子供の連れ去りや面会拒否の問題について従前よりも社会の関心が高まっており、面会交流の重要性が徐々に理解されるとともに面会交流を充実させようと活動する非監護親のネットワークやそれを支援する国会議員による新しい動きも見られるところである。また、子供の持つ固有の権利を擁護するため、「子どもの代理人」という制度も設けられた。

 なお、前述の依頼者の件においては、結局、子を面会させないという妻の強固な意思を押し切る形で面会交流を強制的に実施することは難しいものと考え、依頼者にとって苦渋の決断ではあったが、前記のような新しい動きの進展に期待しつつ、面会交流は将来の課題として依頼者は妻との離婚に応じることとなった。

 この世に生まれ、またこれから生まれてくる全ての子供たちにおいて、両親や祖父母との自由な交流が妨げられず、また彼らの愛情が子供たちにあまねく注がれるよう、いち早く制度が整備され、紛争の迅速な解決に司法手続が貢献できるようになることを願ってやまない。普段関わっている企業法務とは少し離れるかもしれないが、法律実務家として何らかの寄与ができればと思っている。

別れてもダメ男呼ばわりされる真木よう子の元夫と、「離婚=親子断絶」がフツウの日本社会

出典:平成28年4月21日 messy

別れてもダメ男呼ばわりされる真木よう子の元夫と、「離婚=親子断絶」がフツウの日本社会

 4月、入学式シーズン。週刊誌では、芸能人が我が子の幼稚園や小学校入園・入学式に出席する姿を盗撮した写真が多く出回る季節だ。都内にある有名私立小の入学式に、真木よう子(33)と長女(6)が出席していたと、「女性自身」(光文社)が伝えている。そこにはこうある。

 「ところが、その2人の隣には長身の男性の姿が。真木の元夫・片山怜雄(34)だった」

 2008年に真木の妊娠をきっかけに結婚したふたりだが、およそ6年半の結婚生活を経て、昨年9月に離婚を発表している。しかし長女の両親であることには変わりなく、どこが「ところが」なのか、筆者は戸惑いを覚えた。互いに二度と顔も見たくないほど憎み合い、会えば罵倒するほど険悪な関係ならまだしも、円満離婚と公式発表していた元夫婦である。一人娘の入学式にそろって参加するのは何らおかしなことではないと思うが。

 同記事では片山が無職・無収入だったことに批判的で、真木の仕事が多忙なことから「(娘の面倒を見させるため)真木さんにとっては不本意かもしれませんが、“別れても、あなたはパパ!”と緊急招集をかけているんでしょう」という知人のコメントを載せているが、ますます混乱する。「別れてもパパ」は当然のことだし、自分の仕事の都合で子供を元夫に預けることがあるとしたら感謝こそすれ「不本意」に思うのはおかしいだろう。それに本来、別れた親が子供と面会するのに特別な理由など必要ない。

 日本では離婚した夫婦に子供がいる場合、親権は母親か父親の一方に定めなくてはならない。子供は母親が引き取り、父親は養育費を支払うというケースが一般的だ。しかし世界を見渡すと、共同親権をとる国もある。子供と共に住む監護権を持つ親と、定期的に子供と会える面会権を得る親。子供は両方と交流しながら育てられる。学校の長期休暇が40日あるとしたら、20日を父と、残り20日を母と過ごすという具合だ。またたとえばフランスでは裁判を経ての離婚成立が原則で、法的な効力を持つ離婚協定書が発行されるので、「なんだかんだと理由をつけて子供と面会させない」「勝手に引っ越して居場所を知らせない」とか「定められた養育費を支払わない」といったことがあれば、刑罰(罰金)の対象になる。

 夫婦関係が破綻して離婚したからといって、親子関係まで断絶しなければならない理由はない。子供は誰の持ち物でもないからだ。親権を持たない側も、子供の養育にかかる義務と責任をしっかり負うことが普通になれば、シングルで子育てする親の負担も少しは軽くなるだろう。もちろん元配偶者が暴力行為などの問題を抱えていて、面会どころか居場所を知られるだけで危害を与えられる懸念がある場合はこの限りではないが。

 ただ、専業主夫と働く妻よりは圧倒的に専業主婦と働く夫の組み合わせのほうが多く、共働きでも家事育児負担の多くは妻が担うという常識が未だまかり通っている社会では、まず「共同育児」の概念が希薄で、それゆえ「共同親権」という発想にも至りにくいかもしれない。

 最後に、「女性自身」のみならず、昨年9月の離婚成立を伝えたスポーツ紙や週刊誌記事いずれにも共通していたことだが、やたらと元夫・片山を「稼がないダメ夫」として叩く論調には強い違和感を覚える。そもそも真木は「亭主がヒモなんで別れました」などと発言したことはない。どういう経緯で夫婦がすれ違い離婚に至ったのかはわからず、“稼がない夫に嫌気がさしたから”というのはマスコミが勝手につけた結論にすぎないのだ。

 女性読者を擁する週刊誌を含め、「イクメン」「カジメン」を称えたり、仕事人間で定年後に濡れ落ち葉化した夫をサゲたりするうえ、家事育児のできる男でも稼ぎがなければ魅力ナシと嘲笑するマスコミは一体何がしたいのだろうか。理解に苦しむ。

離婚後もパパとママであり続ける共同親権とは?「離婚≠永遠の決別」イタリアの考え方

出典:平成28年4月 Up to you!

離婚後もパパとママであり続ける共同親権とは?「離婚≠永遠の決別」イタリアの考え方

Ostia ローマ在住の2児のママ
2006年渡伊、2008年からローマ郊外の港町オスティアに移住。ローマっ子のダンナ、ワンパク盛りの1才と4才の息子くんを中心に、家族や友人に支えられて翻訳業と育児を両立中。楽しい”イタリア働く子育て事情♪”をお届けします!

離婚後でも、子どものために毎日連絡を取ったり会ったりするイタリア人。離婚=永遠の決別というイメージが強い日本とはかなり異なります。新しい相手との連れ子や子どもが出来ても、元夫・妻との実子と会う時間も大切にし、頻繁に交流する様子には大変驚きました。そんな日常のひとコマから日本と欧米の離婚後共同親権について考えてみました。

日本では離婚の際、子どもの親権はどちらか一方の親にのみ認められることになっています。しかし、イタリアではまったく違います。

法的な別居後も、子供は両方の親との関係を保つ権利があり、両方の親には親として平等の義務があること(Art. 155, 155 bis C.C)、又、2006年の法改正後は、子供が両方の親に委ねられる(出典:italia-ryugaku.com)

というのが大前提。これは、「共同親権」と呼ばれるものです。一方で

日本においては、婚姻中においてのみ、民法第818条第3項により、父母の共同親権が定められている。夫婦が離婚した場合にはこの共同親権を、単独親権にしなければならないため、婚姻中から子供を奪い合う紛争となることが一部で問題視(出典:ja.m.wikipedia.org)

されています。日本でも、別れた親子の面会交渉権というのか認められていますが、親権者が強制的に非親権者に、事実上面接させないという事例も多々起こっているとか。実はこの現状、先進国としては数少ないケース。

実は、世界各国の大半が離婚後も「共同親権」!

なんです。

ほぼ全ての南北アメリカ大陸諸国、ほぼ全てのヨーロッパ諸国、オセアニア両国、アジアの中国・韓国が、結婚中も離婚後も共同親権である。「2人の親を持つのは子供の権利であり、親が結婚していようと、いまいと関係がない。」とされている。(出典:ja.m.wikipedia.org)

ただし時間的、生活的な面で、双方が全ての意味で完全に親としての義務を折半することは現実的でないので、実際は、拠点としてどちらかの親に委ねられます(主要養育権)。

裁判官は、何よりも子供の権利を最優先し、主に委ねる親を選択(出典:italia-ryugaku.com)

するのです。小さい子どもほど、母親に預けられるケースが多いのですが、だからと言って父親に会わせない、なんてことはありません。子どもには自分の両親に会う権利があるからです。

同時に、両方の親が子供の成長・教育に関わることが出来るよう、子供と離れて暮らしている親との面会、養育費などについて、裁定(出典:italia-ryugaku.com)

します。例え別居・離婚後に新しいパートナーと新しい家庭を作ったとしても、子どもから見たらパパ、ママであることには変わりません。「1週間のうち何日は誰と過ごす」「1年のうち何か月は誰と過ごす」といった細かい内容が決められます。元夫・元妻との実子が、月に2回の週末に新しいパートナーと暮らす家に泊まる、なんてことも普通にあります。

養育費

養育費も、

子供が必要としているもの、両親各々の経済状況、子供がそれぞれの親と過ごす時間などに拠りますが、基本的には子供の権利、つまり両親が別居前の子供の生活スタイルを出来る限り維持することが最優先事項(出典:italia-ryugaku.com)

にして考慮されます。現在、平均的には月に約400ユーロ弱(私立幼稚園の月謝にちょっと足りないくらい)というのが6割ほどだそうです。

住居

夫婦で暮らしていた家にそのまま住む権利があるのは、子どもを主として預かる方の親です。

子供には、両親が別居前の生活スタイル(子供が成長した家)を出来るだけ維持する権利があることから、子供が主に委ねられる親側(出典:italia-ryugaku.com)

に、それまで住んでいた家に暮らし続ける権利があるからです。例えば、家主が母親でも、父親に主として子どもが委ねられることになったら、子どもと父親がこれまで暮らしていたその家に残ります。母親は自分の家から出て行かなくてはなりません。

共同親権のメリット・デメリット

欧米では1980~2000年初めにかけて制定されている共同親権。イタリアでは2006年から施行されています。次の表は、2008年から2012年までの別居数と離婚数、および共同親権の実行数を表しているもの。一番下の二項目が、別居時の共同親権数と、離婚時の共同親権数(いずれも100件につき)です。2012年には別居時には約9割、離婚時でも7.5割が共同親権を実行しています。では、そのメリット、デメリットを見てみましょう。

◎メリット

・子どもの発育に欠かせない父母の存在を確保

父親も母親も子どもの発達に重要な役割を果たしている。離婚の悪影響を最小限にするには、子どもが双方の親と、充分な関わり合いを維持することが必要である。ヨーロッパ諸国や南北アメリカ大陸諸国が共同親権に移行した最大の理由は、この点にある。(出典:ja.m.wikipedia.org)

離婚後の子供の状態に大きい影響を及ぼすのは、育児の質と経済的安定性である。共同親権では、その両者が良好となり、子供の行動、精神、学業の面で、全体と比較して遜色ない発達を示す。(出典:ja.wikipedia.org)

と考えられています。

・別居後、離婚後の元夫婦の協力体制が整う

共同親権制度により、子どもを奪い合う必要が無くなれば、双方の親が、子どもの精神的な成長のために、協力する関係が構築される。(出典:ja.m.wikipedia.org)

別れても、子どものために電話連絡を頻繁にしたり、進路相談に一緒に行ったり。離婚時に、子どもの取りあいで揉めることが少ないので、逆に良好な関係を築けるというデータもあります。

・養育費の支払いが停滞しない、支払額が増える
子どもの顔も見られない遠方から、義務に追われてただ送金する日本の養育費と異なり、離婚後も親子関係を(出来るだけ)今までのように続けるため、ちゃんと養育費が支払われる傾向にあります。

✖デメリット

・子どもが疎外感を抱いてしまう
離婚後共同親権では、父母それぞれの家庭を行き来して養育される場合が多いが、その場合、子はどちらの家庭にも属さないという疎外感を抱くことが多い。(出典:ja.m.wikipedia.org)

これは特に、もしどちらかの親が再婚し、異父・異母弟妹が生まれた場合、自分だけ二軒の家を行き来しなければならない状況に疎外感を持ってしまう傾向にあります。

・子どもにとっては辛い!?二重生活
習い事、食生活、勉強方法、しつけ・・・考え方の違う親のところを行ったり来たりするため、特に小さい子どもにとって、二重生活の苦労が問題になることも。両親の子育て方針が一致せず、合意に至らないためです。これを防ぐには、離婚前に既成の育児計画を参考にして、最初にしっかりした養育プランを作成しておくなど、色々な対策が考えられます。

・その都度、元夫婦で話し合いが必要
進学先、保護者の承諾が必要な医療行為の実施や未成年結婚などの重要事項から、子どもに着せる服、習い事、お小遣いの額に至るまで、すべて養育に関わることは片親だけで決めることは出来ません。その都度別れた元夫婦で話し合いをしなけらばならず、なかなか合意に至らない場合も。だから子どもの二重生活という事態が発生する訳です。それでも、何より子どもにとって有益なことを最優先して物事が決められます。

・遠方に引っ越しにくい
離婚後共同親権を実施している国では、親に対し転居の制限を行い、元夫、元妻の住居から離れることがないようにし、相手方の親権の行使が物理的距離のために阻害されないようにしている。このため、他の町への転居は相手方の同意と裁判所の許可を要する(出典:ja.m.wikipedia.org)

国際結婚の場合はさらに大変です。子どもを連れて、イタリア国外から出て一時帰国する際にも、当然相手方の合意が必要なのです。

裁判長の許可無く子供を国外に連れ出した場合は、ハーグ条約国際的な子の奪取の民事面に関する条約により、子供をもとの国(居住所地)に返還される可能性があり、またイタリア国内では、刑事裁判に問われる可能性、またもう一方側より、条件(委ねる親、離婚手当など)の変更を訴えられる可能性があります。(出典:italia-ryugaku.com)

何より子どものために

欧米では、共同親権により子どもの予後に悪影響が見られる場合は、裁判所が単独親権に変更する裁定を下すこともあります。また、どちらかの親にDVなどの明らかな非がある場合も、単独親権になります。だからイタリアでも上の表で別居・離婚時に100%の共同親権とはならないんですね。

子どもの権利に関する国連の委員会は、単独育児は、そうすることが子どもの最善の利益にかなう場合だけに限定しなければならないという考えを支持(出典:ja.m.wikipedia.org)

しているからです。もちろん、共同親権から単独親権に変更する際も、同居しない親と子の面会の権利と義務を認め、まったく会えない、会わせない、というような状況にはならないように決定します。

日本でも共同親権にすべきなの?

現在では離婚後共同親権については、日本の民法では不可能であり、離婚時には必ず親権者を決定する必要がある。すなわち片親の親権を剥奪する必要がある。(出典:ja.m.wikipedia.org)

というのが2016年現在の状況です。ですが、

2009年4月23日に読売テレビがスーパー・サプライズという番組で、「離婚後に共同親権を認めない国に怒る」という主張を放送したところ、番組中に寄せられた視聴者からの意見は、「分かる」という人が10220人(77%)、「分からない」という人が2976人(23%)であった(出典:ja.wikipedia.org)

2011年に産経新聞がネット上でアンケートを行い、両親ともに親権を持つ欧米型の共同親権制に移行すべきかを聞いたところ、2122人より回答があり、賛成58%、反対42%であった(出典:ja.wikipedia.org)

という世論調査の結果も出ており、国会でもだいぶ以前から議論されているテーマです。

そもそも離婚は、子どもの人生においてどんな形でも影響を及ぼさない訳にはいかない一大事。それ自体に変わりはありません。また共同親権にも長所短所があり、一概にこの形が最良、と言い切れないとも思います。ただ、できるだけ子どもの立場を考慮し、選択肢として共同親権を選べる(裁判官が裁定できる)ようになるのは悪いことではないと思いました。もちろん、この記事を読まれている方は離婚の話なんて不要、という方も大勢だと思いますが、これを機に日本と欧米の制度の違いや親権について少し考えてみて頂けたら幸いです。

急増する「妻からのDV」 相談できず傷つく男たち

出典:平成28年4月14日 yahoo!ニュース

急増する「妻からのDV」 相談できず傷つく男たち

男性が暴力で女性を支配する――。「ドメスティック・バイオレンス(DV)」と聞くと、ふつうはそんな光景を想像する。しかしだ、逆のケース、つまり男性が「被害者」となる届け出が増えているという。本来、「力」で劣るはずの女性が、男性にどんな攻撃を加えているというのだろうか。被害者の男性たちに会うと、いくつかの形が見えてきた。言葉による人格攻撃や人間性の否定、物の投げつけ、それらが休みなく続いて家で休息もできない……。自分の悩みを誰にも相談できず、じわじわ追い詰められ、苦しんでいる男たちが確かにいる。(Yahoo!ニュース編集部)

「Aさん」と、匿名でしか書けない。首都圏に住む50代の男性で、長年、メーカーに勤めていた。20年以上前に結婚し、2人の子供がいる。

その彼が家を出たのは、2013年のことだ。2人目の子供が生まれた後から始まった妻の攻撃に耐えきれなくなったからだという。

「もう絶望的な気持ちでしたね。最終的には、警察や市役所なんかにも行ったわけですけども、誰にも言えなくて。親しい友人とか、会社の友人とか誰にも言えずに、ただただ、定年を迎えて死んでいくしかないと考えていました」

最初の異変は自分への呼び方が変わったことだった。「おい」「お前」と乱暴になり、Aさんの両親が家に来るのを嫌がるようになる。

悪口も増えた。「態度が悪い」と妻に言えば、仕返しが何倍にもなったという。中でもショックだったのは、自分以外への罵倒だった、とAさんは言う。

妻が包丁を持ち出し、別居を決意

「子供のいる前で罵倒されたり、(自身の)親や親戚のことを罵倒されたりしたのが、非常に嫌でした。親が入院した時は、『お前の親なんか、死んだ方がいい』とか、『見舞いになんか行くもんか』とか。私が(内臓の)検査に行った時は『がんだったらよかったのに』みたいなことを言われ続けました。絶望的な気持ちと悲しい気持ち。精神的にどんどんダメージを受け、何をやってもしょうがない、と」

Aさんの独白によると、事態はさらに深刻になっていく。

当時は早朝に家を出て職場へ行き、深夜零時近くに戻る日々だった。夜、寝ていると、水をかけられて眠らせてもらえない。寒い夜、ベランダに締め出されたこともある。やがて、妻が包丁を持ち出すようになり、Aさんは家を出る決意を固めたという。それが3年前のこと。そのころ病院で「うつ病」と診断された。

別居後、裁判所に離婚調停を申し立てた。「今は友人の家に匿ってもらいながら、再就職した会社で働いています。DV加害者から離れるのは、たやすいことではないかもしれませんが、私は思い切って家を出てよかったと思っています」とAさんは言う。

男性のDV被害者にとって、Aさんのケースは特殊なのだろうか。それとも、これが男性被害者の一般的なケースなのだろうか。別の被害者にも取材してみた。

やはり匿名で「Bさん」としか書けない。その男性の埼玉県の実家に行き、リビングで話を聞いた。30代。結婚の翌年に子供が生まれたが、そのころから「妻の暴力」がひどくなったと言う。

「言葉に出さないんですよ。例えば、『起きて』って言わないで、暴力で起こす。最初は蹴っ飛ばすくらいだったのが、掃除機で殴るとか、リモコンを投げつけるとか。靴下の裏表を逆のまま洗濯機に入れたら、(何も言わずに)殴る。意味がわからない。今思うと育児ノイローゼもあったのかな、と思いますけど」

妻はやがて家を出て、離婚裁判になった。裁判では、妻が日常的なDVを認めたものの、裁判所はなかなか、それを重大な問題として受け止めてくれなかったという。法廷で反論を続け、最終的に和解離婚にこぎつけたBさんは振り返る。

「女性は言ったもの勝ち。『男性が暴力を受けても、我慢していればいい』という風潮があるのを強く感じました。こちらが暴言や暴力を受けているのに、お金を払って離婚してもらうっておかしな世の中ですよね」

男性の「DV被害」相談は年間7000件

家庭内の出来事だけに、DVの実態は外からなかなか見えにくい。ただ、統計は確かに「男性被害の急増」を物語っている。

警察庁のデータによると、DV被害の相談件数は2015年、男女合わせて過去最多の6万3141件に上った。もちろん、被害者は圧倒的に女性が多い。腕力ではかなわぬ男の「暴力」に苦しんでいる。実際、男性の被害は全体の12%にとどまっている。

画像の説明

しかし、男性の被害は伸びが著しい。2015年に男性が警察に相談したDV被害は7557件。5年前の2010年と比較すると、9.5倍にもなった。

なぜ、男性被害が増えてきたのか。DV被害者への支援を行う人たちは「男性の被害者が声を上げることができるようになった。その表れだ」と考えている。

横浜市に拠点を置くNPO法人「ステップ」は、DVの被害者と加害者の双方と関わる。それぞれに対する支援プログラムを持ち、さまざまな相談に乗ってきた。なぜ、男性は被害を訴えないのか。その現状について理事長の栗原加代美さんは、こう話す。

「男性は『人に悩みを相談するのが男らしくない』というジェンダー的な考えもあって、DVを受けていても人に打ち明けられないことが多い。シェルターや相談窓口もそう。女性用は増えていても、男性用はほとんどありません」

栗原さんによると、女性のDVは「言葉の暴力」が目立つ。言葉で男性を否定してゆき、男性がそれに耐えていると、DVはさらにエスカレートして、身体的な暴力に発展するケースが多いと打ち明ける。

男性のDV被害を「立証」するのは難しい

東京の証券街・茅場町の雑踏を離れ、しばらく歩くと、目指す看板が見えてきた。「森法律事務所」。この事務所の代表、森公任弁護士はDVに伴う離婚問題を数多く手掛けてきた。実は、現在受け持っているDV離婚相談の男女比はほぼ半々だという。

「昔から同じようなケースはあったと思います。ここ数年で男性の被害者が飛躍的に増えたのは、いろいろな情報をつかんで『自分は被害者なんだ』という意識を持つようになったからだと思います。助けを求めるのは恥ずかしいことではない、との意識が強くなってきました」

持ち込まれる男性の被害は多様だ。キャリアウーマンの妻から「能力がない」と罵られ続けてうつ病になった、物を投げつけられて3回も救急車で運ばれた……。そうして、精神的にも身体的にも深い傷を負った男性たちが事務所のドアを開ける。ほとんどが我慢に我慢を重ね、耐えきれなくなってから相談に来るという。

弁護士に相談すると、新たな難問にも突き当たる。森弁護士は、こう続けた。

「女性のDV被害はある程度、(裁判所に)信じてもらえるんです。女性の場合、疑わしきは認定するというのが原則になっている。しかし、男性が被害者の場合は、かなりの証拠がないと信じてもらえない。妻が怒鳴りまくっている動画や録音がないと、なかなか立証できない。それが実情です」

DV防止法に基づいて被害者が裁判所に保護命令の申し立てを行うときも、男性の場合は、なかなか保護命令が下りない。暴力を振るうとしたら男の方で、女性が男性に被害を与えることはない――。そんな認識が社会に広く残っている、と森弁護士は指摘する。行政などの相談窓口も、女性専用はあっても、男性向けはほとんどない。

「恥ずかしいという意識を捨てなさい」

男性が被害を受けたら、どうすればいいのか。女性が被害者となった場合と同じで、まずは相談することだ、と関係者は言う。

恥ずかしいという意識を捨てなさい、と話すのは森弁護士だ。

「男性には、暴力を受けているのが恥ずかしいという意識が働き、なかなか周囲に相談できない。そこは意識改革して、どんどん相談していけばいい。日常的な暴力で追い詰められていくと、冷静な判断ができなくなってしまって、男性自身が精神的に危うくなり、さらに女性に従ってしまう。だから、周囲に話すことで、正常に戻していく必要がある。話せば、自分の中で整理でき、冷静に判断できるようになります」

先に紹介したBさんは、こう振り返る。

「暴力を受けていたころは、あれが暴力ということすら分かっていなかった。何か自分が悪くて、我慢しなくちゃいけない、って思っていました。だから、本当に辛いと思ったら、誰かに冷静に客観的に聞いてもらうといい」

フィフィ、子どもと会えない高橋ジョージに思う単独親権の問題点

出典:平成28年4月8日 週刊PRIME

フィフィ、子どもと会えない高橋ジョージに思う単独親権の問題点

【タイムリー連載・フィフィ姐さんの言いたい放題】先月29日に離婚が成立した、高橋ジョージと三船美佳。長い法廷闘争の末、11歳になる長女の親権は三船が持つことになった。一方の高橋は当分のあいだ長女と面会ができず、年に2回ほどカラー写真が送られるということで和解に至った。今回の件のみならず、離婚に際し争点となる親権問題。その背景には、日本が先進国には珍しく、離婚と同時に一方の親を子どもから排除する、単独親権制度を採用している点が挙げられる。今回フィフィはその異常性に注目、単独親権がもたらす子どもへの影響について迫っていく。

親権を巡って男性の声が通りにくい社会

 高橋ジョージさんと三船美佳さんの離婚。子どもの親権は三船さんが持つことになりましたが、1年あまりもの間、親権争いが繰り広げられていました。

 そして親権争いになった場合、今回の件もそうですが、女性に親権が渡り、男性が泣き寝入りをするというケースをよく耳にします。

 私がtwitterでフォロワーに意見を呼びかけた範囲でも、子どもを一方的に連れ去られたと嘆く男性の存在は多く、親権を巡っては男性の声が通りにくい社会であることが伝わってきました。

 そもそもなぜ日本では、こうした親権争いが起きてしまうのか。その背景には、他の先進諸国のように“共同親権制度”を採用するのではなく、“単独親権制度”を採用している点が挙げられます。

 欧米では、子どもは父親と母親の両親がいなければ健全に育たないという認識がある一方、日本では片親でも十分に育つという認識があるんですね。しかし、今では日本の離婚率は上昇傾向にあり、それに伴って親権問題も増加。いつまでも単独親権制度を保守するのではなく、他の先進諸国のように、共同親権を認めるよう声を上げる動きも見受けられます。

単独親権から共同親権へ

 たとえば、共同親権法制化の運動を行っているkネットという団体。離婚を契機に子どもに会えなくなった親が多数存在する実態を危惧し、2008年から活動をはじめている団体です。

 今回このkネットさんに、高橋さんと三船さんの離婚劇について伺ってみたところ、親子関係が分断されてしまうケースは決して珍しいものではないそうです。そして共同親権が進まない理由として、子育ては女性が行うもので、男性は養育費さえ払えばオーケーだという認識が日本社会に根付いている点を指摘されていました。

 しかし同時に、共働きで子育てをする父親が増えており、夫婦のあり方は確実に変わりつつあるともおっしゃっていました。

 こうした団体の活動や、育児に積極的に参加する男性の存在によって、実際に変わりつつあるのだという好例として、3月29日にフレンドリーペアレントルールの適用判例が出たことが挙げられます。

 このフレンドリーペアレントルールとは、離婚したときに親と子どもの面会や交流に関して、許容的な姿勢を持つ方に親権者、監護権者の権利を与えるルールのこと。

 これまでの判決では、子どもと一緒に暮らしてきた実績、あるいは現状の養育環境を継続できる能力を重要視する方向でしたが、裁判所の考えがシフトしてきたことは良い前兆だと言えるのではないでしょうか。

単独親権が与える子どもへの悪影響

 そして単独親権は、子どもにとっても良い影響を与えるとは思えません。

 今回の離婚会見で三船さんは、離婚が成立したことを娘に報告すると、"本当におめでとう。よかったね"と喜んでくれたとおっしゃっていました。本当に娘さんが言ったのか真偽は定かではありませんが、仮にそう言ったのだとしたら、これは悲しいこと。

 つまり大人の事情、夫婦の間の問題に完全に巻き込まれ、父親を否定する刷り込みがなされる環境、または父親を実際に否定するほどの環境にあったと考えられますから。子どもにここまで言わせてしまう、感じ取らせてしまうのは良くないです。

 再婚といった次のステップに進んだり、新しいスタートを切りたいがために、離婚した相手との関係を無理矢理断ち切ろうとし、子どもの心を押さえ込んでしまってはいけません。

 大人の事情で子どもがどれだけ傷ついているのか、子どもの権利はしっかりと守られているのか、こうした点にもっと目を向ける必要があるのではないでしょうか。

《構成・文/岸沙織》

5年以上娘と会っていない父に親権 前代未聞 大岡裁きの裏に外圧 連れ去ったモノ勝ちはもう通じない

出典:平成28年4月8日 日刊ゲンダイ

5年以上娘と会っていない父に親権 前代未聞 大岡裁きの裏に外圧 連れ去ったモノ勝ちはもう通じない

 先月末、千葉家裁で下された画期的な判決が波紋を広げている。別居中の両親が娘(8)の親権と離婚を争った裁判で、娘と5年以上離れて暮らす父親に親権を認め、母親に娘を引き渡すように命じたのだ。このような前例はないという。「単独親権」制度をとる日本では”監護の継続性”や”母性優先”を重視。虐待などの特別な理由がない限り、監護中の母親に親権を認めるケースが大半だ。そのため、別居や離婚を求める際、親権が欲しい母親は子供を連れて家を出る例が多い。もし、父親が連れ返しに行けば、「誘拐した」として逮捕されることだってある。
 要は”連れ去ったモノ勝ち”で、最近は父親が子供を連れて家を出るケースも少なくない。
 今回の判決が下った主な理由は、子供との面会交流を相手に認める日数。「月1回」との主張に対し、父親は「年間100日程度」と提案したことが評価された。まさに”大岡裁き”と言っていい。父親の代理人を務めた上野晃弁護士はこう言うう。
 「ようやく当たり前のことが認められた形です。父親と母親が”共同”で子育てしていくことは国際社会の常識。日本の裁判所では『連れ去った側が全部正しい』というムチャクチャな論理がまかり通ってきました。2年前には国際結婚が破たんした『ハーグ条約』を日本も締結し、外国からの圧力も非常に強くなっています。裁判所としても『今のままではヤバいぞ』という思いがあったのではないでしょうか」
 母親は控訴する方針で、すぐに娘が父親の元に返ってくるわけではない。父親は2歳の時から5年以上も娘に会えていないが、裁判中も娘はすくすく育っていく。一番かわいい時に、そばにいてあげられないのだ。超党派の「親子断絶防止を考える議員連盟」会長で弁護士でもある保岡興治衆院議員はこう言う。
 「今回の判決は本当に子供のことを考えていて評価されるものです。議連としても、子の利益を最善に考えて親が行動するための『親子断絶防止法』という法案を準備している。近く議員立法として提出します」
 いち早い法案成立を祈るばかりだ。

アメリカでは、離婚後の子供の親権は共同親権 ~子供を勝手に日本に連れ帰ると誘拐犯!

出典:平成28年4月4日 Spotlight

アメリカでは、離婚後の子供の親権は共同親権 ~子供を勝手に日本に連れ帰ると誘拐犯!

国際結婚での離婚での子供の親権問題

アメリカ人と結婚して子供が生まれた場合、夫婦円満でうまくいっている間はいいのですが、万が一離婚した場合は、子供の親権に関してかなりややこしい問題が、子供が成人するまでついてきます。特にアメリカで結婚した場合、そしてアメリカで子供を産んだ場合は、離婚後の子供の養育費や移動などが厳しく法律で決めらるので要注意です。

国際結婚は2つの国の法律があるので、相手の国の法律もちゃんと知っておくべきでしょう。

アメリカの共同親権

日本では離婚後は単独親権となりますが、アメリカでは基本的に共同親権となります。

離婚は夫婦の問題であり、子供たちの父親であることと母親であることに関してはなんら変わりはないという考え方なのです。つまり「離婚したら、あなたは子供の親もやめるのですか?離婚してもあなたは間違いなく子供の親なのです。」という考え方がベースにあるのです。

”養育権の放棄”という考えは一切なく、離婚した場合は、子供たちが成人するまで、子供を引き取る母(または父)に対して、子供を引き取っていない父(または母)が養育費を毎月支払う義務があり、これは法律でも守られているので、万が一、養育費の支払いをしなかった場合は、養育費を受け取る側が法的手続きをとることができ、支払わなかった側の銀行口座の差し押さえや、給与から強制的に振り込み手続きなどが裁判所によって執り行えます。それでも支払いが滞った場合は、最終的に犯罪とみなされ、逮捕され、実刑判決が言い渡されます。

日本のように母(父)子手当といった制度はありません。”離婚しても、親が子の養育をする義務がある”という考え方なので、離婚しても国民の税金から手当などの補助は一切でないのです。

日本のような単独親権の方が世界では珍しいのです。

リロケーション

「リロケーション」とは離婚後の子供の移動のことで、アメリカでは離婚後も共同親権であるため、子供の移動、特に国境をまたぐ移動については、父母どちらか一方だけでは決められず、仮に離婚裁判で身上監護権を獲得したとしても、一時的にせよ、子供を連れて日本に帰る場合には他方の親の承認か、もしくは裁判所の許可が必要となります。

それを知らずに、あるいは、それを心理的に受け入れられずに、身上監護権を獲得とした母親(父親)が、他方の親の承諾や裁判所の許可なしに、一方的に子供を日本に連れ去ってしまい、子供の連れ去り問題=アメリカでは「誘拐」とまで発展してしまうケースがありました。

アメリカでは、離婚によって、子供を監護する権利は付与されても、子供の移動についての権利は共同のものとなることをちゃんと理解おかなければなりません。

日本で離婚して、夫(妻)が子供を自分の国に連れ去ってしまうという問題も生じる可能性があります。

ハーグ条約

2013年の第183回通常国会において、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)の締結が承認され、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(同条約実施法)が成立。その後、条約の署名,締結,公布にかかる閣議決定を行うとともに, 条約に署名を行った上で,オランダ外務省に受諾書を寄託、 日本においては、2014年4月1日、ハーグ条約が発行されました。

ハーグ条約では、どちらかの親が強制的に子供を国外に連れ出した場合、子供を元の居住国へ速やかに返還するよう定めています。子が親の都合によって、慣れ親しんだ交流関係から引き離されないよう、子供の利益を守るのが目的です。条約は子供が16歳になるまで適用されます。ハーグ条約は、加盟国間でのみ有効となります。

最後に

アメリカだけでなく、海外での法律は離婚後の子供の親権と養育問題に関して、とても厳しく定められている国が多いです。日本は、それに比べたらゆるすぎて、おまけに国が母(父)子手当まで支給するような国なので、離婚後、子供を引き取らなかった片親が養育費を支払わないどころか、子供にも会わないケースがとても多いと感じています。まさに日本は離婚したら、子供を引き取らなかった方の親は、子供に対して父(母)権利を自ら捨ててしまう国と言えるかもしれません。子供にとっては、これは深い心の傷となってしまいます。

この問題は、とても根深く複雑なものがあり、ここで語れるようなものではないのですが、日本も離婚後の子供に対する養育の権利と義務をもっと見直すべきかもしれません。

この記事を書いたユーザー

現在、米国籍。(元日本人)アメリカ生活30年を経て、日本に外国人登録をして家族とともに移住。ニューヨークでシングルマザー、会社経営、再婚、日本で末期がん&アルツハイマー認知症の父の介護生活を経験。
Amebaのブログ「ニューヨークからのエアメール ~ever since~」でニューヨーク生活時代に書き溜めていた情報をもとに、いろいろ紹介させていただきます。

母が連れ去った娘を父が取り戻す判決の衝撃

出典:平成28年4月1日 アゴラ

母が連れ去った娘を父が取り戻す判決の衝撃(八幡 和郎)

母が家を出てしばらくしてから、父と暮らしていた娘を一方的に連れ去り、父の面会を拒絶していたケースで、娘の親権を父に認める画期的な判決が千葉地裁で出された。事件から六年の年月が経過していた。

日本の場合、家庭裁判所はほとんどの場合、母親に親権を認めるし、面会権を父親に認めても反故にされるケースが多い。郷ひろみの例など典型だ。子供が嫌がっているとか、母子関係に悪影響が出るとかいうことが理由にされるが、そんなことは、母親が誘導すればさほど難しくない。

また、面会が認められても、第三者の同席が義務づけられ、それが安易に父親の言動やプレゼントすることを制限したりしている国際的に非常識極まるやり方をすることが多いのが現状である。

かつて日本では、跡取りの子の場合には、その家、つまり、婿養子でなければ父のもとに残させるのが普通であったが、跡取りでない場合には様々だった。そして、片方の親は一生会えないことが多かった。

安倍首相の父である晋太郎元外相は、幼いころに母が家を出たがその後の消息を教えてもらえず、学生時代に母が住んでいるとうわさで聞いたあたりを捜し歩き、のちに異母弟の西村興銀頭取と涙の対面をしている。また、小泉首相が離婚したとき長男と次男は父のもとに残り、三男は離婚後に出産して母のもとで育ち、互いに長年、会わなかった。

こうした習慣は、国際的にもグロテスクの極致である。ヨーロッパ在勤時に北イタリアの湖水地方のホテルで、父親と幼い娘がバカンスを過ごしているのに出会ったことがある。離婚して娘が母親のところにいるが一年のうちある期間、父親と過ごしているということで印象的だった。

欧米では離婚しても片方の親と会えないなどということは少ない。オバマ大統領も離婚したケニア人の父が小学生のころハワイに訪ねてきてかなりの期間一緒に過ごしたりしている。両親それぞれが一人ずつ引き取ったとしても、互いに会えないないということなどない。

ところが、日本人がアメリカで離婚してたのち、勝手に日本人の母親が日本に連れ帰る事件が頻発し、それでは北朝鮮の拉致も非難できないなどと批判され、それが国際的なルールとして違法に外国に連れ出された子を取り戻せるハーグ条約批准のきっかけにもなった。

そういう問題意識の変化の結果出たのが今回の判決である。この事件の当事者である父親は、ハーグ条約批准運動にも参加していたが、そこまでしないと日本人の意識が変わらないと正しく考えたからだ。

今回の判決では、母の方は夫に第三者の監視付きという条件で月に一回の面会を認めると妥協案を提案し、父は百日間の無条件での面会を母に認める提案をした。妻は夫に会わせることで不都合が生じると言い張ったが、その理由を論理的に説明できなかった。

日本でも離婚率が30%を超えているが、そういうなかで、離婚したら片方の親は会えなくなるというのでは、正常な親子関係形成の支障になるし、それが少子化の一因のようにすら思う。

欧米人の家庭に招かれると、三人子供がいて似てないので不審に思っていると、「この子は私の子、そしらは夫の子、あっちが二人の子」だとか、「この子は妻の前の結婚のときの子で父親のところにいるのだが、夏休みなんでこっちに来ている」とか子供の前で平気で言っているし、それが国際標準だ。

離婚すると片方の親と会えなくなるというのは、文明国にあるまじき蛮行だ。この案件については、わたし自身も相談にのったこともあるのだが、これを機会に国際的な常識に合致した親子関係に変化することを切に望みたいし、この判決のケースをその模範としようと両親が努力してくれれば素晴らしいことだし、子供にとっても誇らしいこととなろう。

さらにもう少し広く考えると、祖父母の面会権などというのも大事なことと思う。男親の祖父母が、「もしも子供が離婚したら会えなくなるかと思うと孫を可愛がる気になれない」という話もよく聞くが、不幸なことだ。オバマ大統領もケニアの祖母に上院議員時代に会いに行ったではないか。

八幡 和郎 氏
評論家、歴史作家、徳島文理大学大学院教授
滋賀県大津市出身。東京大学法学部を経て1975年通商産業省入省。入省後官費留学生としてフランス国立行政学院(ENA)留学。通産省大臣官房法令審査委員、通商政策局北西アジア課長、官房情報管理課長などを歴任し、1997年退官。2004年より徳島文理大学大学院教授。著書に『歴代総理の通信簿』(PHP文庫)『地方維新vs.土着権力 〈47都道府県〉政治地図』(文春新書)『吉田松陰名言集 思えば得るあり学べば為すあり』(宝島SUGOI文庫)など多数。

親権を勝ち取ったのは父親 判決を左右した「母親との100日の交流計画」

出典:平成28年3月31日 BuzzFeed Japan

親権を勝ち取ったのは父親 判決を左右した「母親との100日の交流計画」

8歳の娘を育てる権利をめぐって、父と母が争った裁判で、父親が勝利した。離婚した父母は、子どもとどんな関係をつなぐべきなのか。判決の決め手となったのは、父親が提案した、年間100日におよぶ母娘の交流計画だった。【BuzzFeed Japan / 渡辺一樹】

最後の通話「パパに会いたい」

2010年5月6日夕、仕事を終えた父親が保育所に娘を迎えに行くと、そこに娘はいなかった。

夫婦は離婚に向けて話し合いをしていた。その真っ只中で、母親が無断で娘を連れて実家に帰った。

別居した後、母親は第三者の監視付きなら面会させていいと提案してきたが、父親は「監視付きはおかしい」と拒んだ。結局、父が娘に会えたのは6回だけ。最後に会ったのは2010年9月26日だった。

週一回、土曜の朝にかかってきていた電話も、2011年1月で最後になった。「母親が横で聞いていて、不適切な発言があると切られる。最後に話したときも、娘が『パパに会いたい』と言い出したとたん切れました。それっきりです」

「継続性の原則」というハードル

娘の親権をめぐる争いは、裁判にまで至った。だが、裁判で親権を得るハードルは高かった。

娘はもう6年近く、母親のもとで暮らしている。裁判に先立って行われた審判では「監護権」が母親にあるとされた。監護権は、子どもと一緒に暮らして身の回りの世話をする権利のことだ。

母と娘は二人暮らしだが、実家が近く、祖父母のサポートがある。小学校2年の娘は元気に学校に通っている。母子関係に問題はない。

裁判では、子どもの環境はできるだけ変えないほうがいいという理由から、「現状維持」の判断がされることが多い。このような考え方を「継続性の原則」という。

裁判所がこの原則を重視すれば、母親のもとで5年以上も問題なく暮らしている以上、母親が親権を持つ、という結論になる。実際、この裁判でも母親側は、慣れ親しんだ環境から引き離すのは娘によくない、と主張した。

決定的だった面会交流の差

父親は、それでも親権をあきらめなかった。

もともと娘との関係は良く、それは母親も認めていた。父親は元気な祖父母と同居していて、子育てのサポートも十分得られる。

父母の決定的な違いは、親子の面会交流に対する姿勢だった。

母親は「月1回、2時間程度、監視付きで父と子の面会を認める」と提案していた。

父親が提案した面会交流の計画は、それを圧倒的に上回るものだった。

隔週末の48時間を基本に、ゴールデンウィークや年末、夏休みには1、2週間連続での交流を認めるなど、年間100日に及ぶプランを立てた。さらに、もしそれが守られなかった場合、親権を変更することも約束した。

なぜ「年間100日」だったのか

「年間100日」は、親権を獲得するための大盤振る舞いではなかった。

父親の代理人をつとめる上野晃弁護士によると、「年間100日」は、離婚後の共同親権が認められているアメリカなどでは、基準の一つになっているという。

面会交流は、親の離婚を経験した子供にとって、大きな意味を持つ。「子どもが、両親から愛されていると確信するために、離婚後はよりいっそう両親とかかわることが重要」という研究もある。

アメリカでは、単独親権が得られない父親たちが運動を繰り広げた結果、1979年にカリフォルニア州法が成立したことをきっかけに、離婚後の共同親権という考え方が広まった。

しかし、日本ではそうした考え方はまだ浸透していない。日本のルールでは、父か母のどちらが親権を持つのかを決めないと、離婚届が受理されない。
父親はこう話す。

「いくら私が妻を嫌いでも、娘からしてみれば大切な母親です。夫婦間の感情で、親子関係を断ち切ってしまうのはおかしい」

「娘のために、両親から愛情を受けて育ったと感じられる環境を作りたい」

「大岡裁きのような判決」

千葉家裁の庄司裁判官は、母親の提案について「監視付面会交流が子の利益に適わないことは自明」と指摘。さらに「慣れ親しんだ環境から娘を引き離すのはよくない」という懸念を、「杞憂にすぎない」と切り捨てた。

そして、父親の受け入れ態勢や計画などを踏まえると、娘が「両親の愛情を受けて健全に成長」するためには、父親を親権者にするべきだとして、判決確定後、直ちに母親に娘を引き渡すよう命じた。

判決を受け、記者会見した父親は「6年前に別れる時、娘には『必ず迎えに行く』と約束した。6年もかかって申し訳ないと娘に言いたい」と話した。

父親の代理人を務める上野晃弁護士は「父母がともに相手と面会させるという中、より交流計画が充実している方に親権を与えたのは画期的」だと判決を評価。「親権をめぐって激しく争う親よりも、寛容な親の方が、子育てをするのにふさわしい。大岡裁きのような判決」と述べた。

母親側の代理人は、BuzzFeed Newsの取材に「到底承服できる内容ではない。控訴して争う予定だ」と話している。

母子面会「年100回」 寛大な父に親権 千葉家裁松戸支部

出典:平成28年3月31日 千葉日報

母子面会「年100回」 寛大な父に親権 千葉家裁松戸支部

 5年以上別居状態の夫婦が長女(8)の親権を争った訴訟の判決で、千葉家裁松戸支部(庄司芳男裁判官)は30日までに、自分が親権を持った場合、離婚後も相手に認める長女との面会交流の日数について「年間100日間程度」を提案した夫を親権者と定め、妻に同居の長女を引き渡すよう命じた。

 妻は「月1回」を希望していた。夫の代理人弁護士によると、面会交流に寛容な点を重視し、子どもと別居中の夫を親権者とした判断は異例という。

 判決によると、夫婦は関係がうまくいかなくなり、2010年5月に妻が夫に無断で長女と実家に戻った。夫と長女が会ったのは同年9月が最後だった。

 妻が離婚や親権を求めて提訴。「長女を慣れ親しんだ環境から引き離すべきではない」と主張したが、判決は「両親の愛情を受けて健全に成長するのを可能にするために、父親を親権者とするのが相当」とした。

母子面会に寛大な父に親権 異例の判決、母優先覆す 家裁松戸支部判決「長女の健全育成目的」

出典:平成28年3月31日 産経新聞

母子面会に寛大な父に親権 異例の判決、母優先覆す 家裁松戸支部判決「長女の健全育成目的」

 長女(8)と同居し養育してきた40代の母親が別居中の父親(43)に親権を渡すよう求める一方、父親も母親に長女を引き渡すよう求めていた訴訟の判決が千葉家裁松戸支部であった。庄司芳男裁判官は「母親は父娘の面会を月1回程度にしたいと望んでいるが、父親は年100日程度の母娘の面会を約束している。長女が両親の愛情を受けて健全に成長するためには父親に養育されるのが適切だ」として、母親に対し、長女を父親へ引き渡すよう命じた。

 親権者や養育者を法的に決定する際には従来、成育環境が変わるのは子供に不利益との考えから同居中の親を優先する「継続性の原則」や、母親が養育するのが望ましいとする「母親優先の原則」などが重要な要件とされてきた。しかし29日の判決で、庄司裁判官は「母親側の『長女を慣れ親しんだ環境から引き離すのは不当』とする主張は杞憂にすぎない」と述べた。

 判決などによると、父親と母親は平成21年ごろから不仲になり、22年5月、母親が父親に無断で長女を連れて自宅を出た。母親は父娘の面会や電話での会話を拒否するようになり、父親は同年9月以降、長女と会えていないという。

 父親側代理人の上野晃弁護士は「相手に面会などをより多く認める方が有利になる『寛容性の原則』が重視される欧米とは異なり、『継続性の原則』が重視されてきた日本では画期的な判決だ。親権に関する今後の新たな基準になることを期待したい」と評価した。

別居の夫に親権認める判決 地裁支部、娘の健全成育考慮

出典:平成28年3月31日 朝日新聞

別居の夫に親権認める判決 地裁支部、娘の健全成育考慮

 別居している夫婦が娘(8)の親権と離婚をめぐって争った訴訟で、千葉家裁松戸支部(庄司芳男裁判官)は29日、離れて暮らす夫(43)を親権者とし、娘を夫に引き渡すよう妻に命じる判決を言い渡した。
 判決によると、妻は2010年、夫に無断で娘を連れて実家に帰り、娘を夫に会わせることを拒否。夫は娘に会えなくなった。
 夫は、「自分が娘を引き取った場合、妻が娘と面会できる機会を隔週の週末や年末など年間約100日確保する」という計画を家裁に提示。妻は、夫のために確保する面会を「月1回程度」とした。判決は双方の主張を比較し、「子が両親の愛情を受けて健全に育つには、夫を親権者にするのが相当」と判断した。
 30日に記者会見した夫は「娘には、双方の親から愛情を受けて育つ権利がある。100日の面会交流は負担だが、親の責任として守りたい」と話した。代理人の上野晃弁護士は「これまでは子と長く同居している親の意向が重視されてきた。双方の親の姿勢を比較し、もう一方の親も子育てに関われるよう配慮した方を、親権者としたのは画期的だ」と評価した。
 最高裁によると、14年に離婚について調停などが開かれた約1万9700件のうち、母親が親権者となる割合は約93%と、圧倒的に多い。離れて暮らす子どもとの「面会交流」や親権の問題に詳しい棚村政行・早稲田大教授(家族法)は「子どもの利益の観点から、面会交流に積極的な親を親権者に選んだのは、評価できる。『母親優先』の原則を修正したのも注目すべきだ。ただ、親権が移っても面会がどこまで実現されるかは不透明で、子の利益を第一に考え、両方の親が養育に責任を持つ制度の実現に取り組むべきだろう」と話した。(千葉雄高、市川美亜子)

別居時に妻が連れ去った娘の「親権」 5年間会えなかった「夫」が裁判で勝ち取る

出典:平成28年3月30日 弁護士ドットコム

別居時に妻が連れ去った娘の「親権」 5年間会えなかった「夫」が裁判で勝ち取る

夫婦の別居に伴い、幼い娘を妻に連れて行かれ、約5年間面会させてもらえなかった埼玉県の男性(40代)が、娘の「親権」などをめぐって妻と争っていた離婚裁判で、千葉家裁松戸支部は男性を親権者と認める判決を出した。男性側の代理人によると、子どもと一緒に暮らしていない親が親権を得るのは珍しいという。判決は3月29日付。

男性側の代理人の上野晃弁護士は3月30日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、「フレンドリーペアレントルール(寛容性の原則)を明確に採用した、おそらく初めての画期的な判決だと思う」と語った。

親権をめぐる「寛容性の原則」と「継続性の原則」

寛容性の原則とは、もう一方の親と子どもとの関係をより友好に保てる親を「親権者」とする考え方だ。これに対し、裁判所は従来、子どもと一緒に暮らしてきた「継続性の原則」を重視してきた。

上野弁護士は「これまで子どもを連れて別居した場合、その実態を重視して、理由はどうであっても、子どもはそのままそこで生活するようにしましょう、としてきた。(子どもと同居している方の)親の機嫌を損ねたら子どもの福祉を損なうという理由があった」という。

しかし、今回は、元妻が男性に対し、どれだけ子どもとの面会時間を認めたのかが、判決を大きく左右したという。

判決文などによると、男性は妻に対し、年約100日の面会を認め、約束を破った場合は親権者変更の理由になることなどを提案。これに対して、妻は月に1回、2時間程度の監視付きの面会しか認めないと主張していた。

千葉家裁松戸支部は、妻が突然、娘を連れて別居したことや、約5年間にわたり男性と面会させなかったことなども考慮し、男性を親権者とした方が、両親に会える機会が増え、娘の利益になると判断した。

この裁判は、妻が離婚を求めて提訴し、同時に娘の親権も求めていた。今回の判決で、妻の請求通り、離婚は認められたが、親権は妻ではなく、夫に認められた。

上野弁護士は「(裁判所が)これからは『もっといい親をやります』とアピールした方を親としますよ、という大岡裁きの方向性に舵を切った判決なんじゃないか」と印象を語った。

「子どもにとって最良の環境を」

記者会見に出席した男性は次のように語った。

「いくら私が妻を嫌いであっても、娘からしてみれば大切な母親。夫婦の関係は仮に切れるとしても、親子の関係は切ってはいけない。(娘が)両方の親から愛情を受けて育っていると感じられる環境を作っていきたかった」

男性が娘と最後に会ったのは、2歳のとき。娘はこの4月から小学3年生になる。男性は会見後、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「別居してからは6年になる。娘には時間がかかって申し訳ないと思う。これからの生活に不安がないといえば嘘になる。だからこそ、娘とずっと暮らしてきた元妻とは、情報の共有などで協力していかないといけない」と語った。

その上で、子どもの親権をめぐり、争っている親たちに向けて、次のようなコメントを口にした。

「離婚するのは親の勝手かもしれないが、そのしわ寄せが子どもに来てはいけない。連れ去った側は、相手が嫌いだから、なるべく子どもを会わせたくないだろう。でも、自分が嫌いだからといって、子どもにもそれを強いないでほしい。子どもにとって、最良の環境を考えてほしい」
(弁護士ドットコムニュース)

母子交流条件 父に親権 別居夫婦離婚 共同の子育て重視

出典:平成28年3月30日 読売新聞

母子交流条件 父に親権 別居夫婦離婚 共同の子育て重視

 5年以上別居している夫婦が離婚の是非と長女(8)の親権を争った訴訟で、千葉家裁松戸支部(庄司芳男裁判官)は29日、離婚を認めた上で、夫を長女の親権者とし、妻に同居の長女を引き渡すよう命じる判決を言い渡した。相手に子供との面会交流を認める日数を、「月1回」とした妻よりも、「年間100日程度」を提案した夫の方が親権者にふさわしいとする異例の判断を示した。
 日本では離婚後に父母のどちらかが親権を持つ「単独親権制度」がとられ、面会交流は夫婦が調停で合意しなければ実現しにくいが、今回の判決は面会日数や場所なども詳細に定めた。離婚後も長女が両親の愛情を受けて育つことを重視した判断だが、長く同居した親から子供を引き離すべきではないという考え方も根強く、議論を呼びそうだ。
 判決によると、妻は夫婦関係がうまくいかなくなった2010年、夫に無断で長女を連れて実家に戻った。同年9月を最後に面会を拒み続けていた。
 訴訟で、妻は離婚を求めるとともに、別居から6年近く長女と暮らしており、「長く親しんだ環境から引き離すのは長女の福祉に反する」と主張した。
 しかし、判決は、夫が妻と長女の面会交流について、隔週末に48時間のほか連休や誕生日も隔年で認めるなど、年間100日程度の計画を提示したことを評価。「長女は、父親が用意する整った環境に身を置くことになり、妻側の懸念は杞憂に過ぎない」と指摘した。
 埼玉県内に住む父は「これまでは、子供と一緒に生活している方が有利になる面があった。今回のように離婚後も両親が子供に関わる点を重くみる判断が定着してほしい」と話している。

養育費の不払い対策、各国の仕組みは 子どもと貧困

出典:平成28年3月7日 朝日新聞

養育費の不払い対策、各国の仕組みは 子どもと貧困

 これまで「子どもと貧困」の現状について伝えてきました。特に母子家庭が深刻な状態で、離婚した父親から養育費が払われていないことが多く、その取り決めや取り立てが親任せになっている現状があります。他国の状況を見ながら、日本に何が必要か考えます。
 各国の養育費政策に詳しい東北大の下夷(しもえびす)美幸教授に聞きました。

     ◇

 母子世帯の増加にともなう養育費の確保は、先進国共通の課題です。多くの国には司法による解決のほか、行政による制度があります。タイプは二つ。別れた親からの徴収を強化する国と、立て替え払いをする国です。

 徴収の典型は米国です。1960年代半ば以降、公的扶助を受給する母子世帯が増加し、財政負担が問題となったことから、父親からの養育費に関心が高まりました。75年、連邦政府に養育費庁、各州に養育費事務所が設置されました。すべての州で、非同居親の捜索、養育費の給与天引きや税還付金からの相殺などが公的な制度として行われており、応じなければ制裁もあります。

 かなり強力な制度ですが、それでも徴収されるべき金額のうち、実際に徴収できているのは6割ほどです。

 低学歴や技能を持たない父親の不払いが目立つようになり、養育費政策の一環で、父親向けの就労支援も始まりました。親子の交流がある方が支払いはよい傾向にあり、面会交流の支援も進められています。公的介入によって、「親としての責任」を果たさせる点が特徴です。

 立て替え払いの代表的な国はスウェーデンです。こちらは「子どもの権利」の保障というとらえ方です。養育費が払われない場合、社会保険事務所に申請すれば、立て替え払いとして手当が支給されます。子どもが18歳まで、学生であれば20歳まで延長されます。

 同事務所は養育費を支払うべき親から、その所得と子どもの人数に応じた額を徴収します。支払い能力が十分でなければ減額や免除があります。応じない場合は税や社会保険料などの未納金を徴収する国の機関が強制執行し、ほぼ100%徴収しています。支払えない親は国が肩代わりし、支払い能力がある親の逃げ得は許さない、という態度です。

 主要先進国はどこも行政が養育費に関与しています。子どもの生活費に関わる重大な問題だからです。

 日本では、養育費は家族内の問題という認識が強く、行政は直接関わってきませんでした。厚生労働省による全国母子世帯等調査では、83年から養育費が調査項目に入り、この時「現在も受け取っている」という人は11・3%。その後、最も受け取っている割合が高かったのは98年の20・8%です。約30年前から把握され、公表されていた問題ですが、具体的な制度の進展はありませんでした。ようやく2000年代に入り、福祉政策に「養育費の確保」が入ったものの、行政の関わりは家庭裁判所の利用手続きを助言し、裁判所での解決を後押しする程度にとどまっています。つまり、養育費は自己責任で確保せよ、ということです。

 当事者任せは、泣き寝入りや子どもの不利、親子の断絶につながっています。養育費争いをしなくてすむよう、子どもの権利の観点から、合理的に必ず確保できる仕組みをつくるべきです。養育費だけで母子家庭の貧困はなくなりませんが、親も責任を果たし、国も十分な手当を保障して、公私で子どもの生活を守る体制を整える必要があります。(聞き手・中塚久美子)

■体験に基づく提案や意見

 フォーラム面に届いた90近いメールの中に、行政の幹部、養育費の取り決めに携わる関係者、海外での離婚経験者からの、体験に基づく提案や意見がありました。

●名古屋市副市長・岩城正光さん(61) 約30年弁護士をしています。養育費を取り決めない人が多すぎます。養育費について書かれた離婚調停書や公正証書がなければ離婚届を受理しないことにし、取り決めを離婚の条件にすべきです。単独親権も問題。一方を親権者にするため、もう一方に養育の義務がないかのような錯覚を与え、養育費の不払いにつながっている。変えたほうがいいと思います。親権は「権利」ではなく「義務」ととらえるべきです。

 どちらも法改正が必要で時間がかかるでしょう。ただ自治体にも支援できる方法はあると思います。支払いがなくて生活に困窮している場合やDVで取り立てようがない場合は立て替え、債権譲渡を受けて取り立てる仕組みならできると思います。

 一方で、面会交流も大事です。私は5歳の時に両親が離婚しました。父親に引き取られ、母親に再会したのは27歳。父親とは違う太った体形にコンプレックスを持っていましたが、母親を見て、「自分のルーツはここにあったんだ」と気が楽になり、自分を受け入れられました。

 名古屋市の調査では、養育費を受け取っている母子家庭の7割弱で面会交流が続いていた。養育費の方が優先順位は高いですが、できれば面会交流と一体で考えるべきです。離婚の時は別れることに精いっぱいでしょうが、子どもに関することは冷静に考えてほしいですね。

●東日本の50代女性 養育費の取り決めに関する職務に携わっており、いくつか提案したいことがあります。

 簡単にできるのは役所の窓口での取り組みです。離婚届にある養育費、面会交流のチェック欄の「取り決めた」に記入がなければ、職員が「家庭裁判所で取り決めができます」と勧めます。家裁での調停は何度話し合っても、子ども1人なら2千円以下です。額が決まる流れも説明する資料も配ります。

 次に取り組んでほしいのは「離婚学級」の実施。韓国では離婚前に「熟慮期間」を設け、養育費や面会などを取り決めた協議書の提出を義務化しました。離婚後も子どもに愛情と責任を持ち続けるような親の意識改革が日本でも必要です。子どもへの配慮や養育費、面会交流などに関するDVDを作り、役所で見られるようにする。離婚届の提出には、視聴した証明書の添付を求めてはどうでしょう。

 将来的には、未成年の子どもがいる夫婦は調停か裁判でしか離婚できないようにし、養育費の取り決めを義務化してほしい。養育費は裁判所の口座に入金させて子どもの口座に振り替える。入金がない場合は裁判所が立て替え、マイナンバーなどを利用して徴収すればよいのでは。

 子どもには養育費を得て暮らす権利、別居親との面会について意思を尊重してもらう権利があります。子ども以外が断るのは権利の侵害。権利を保障する社会を作らない我々大人も、子どもの権利を侵害していると言えるのではないでしょうか。

●米アリゾナ州に住む自営業の男性(59) 留学で日本に来ていた米国人の女性と知り合い、1980年に結婚。米国に移住して木工関係の仕事につきましたが、気づかぬうちに夫婦の溝は広がっていました。

 私たちには娘がいて、当時14歳でした。養育費を決めた法的書類を含め、離婚申請を裁判所に出し、認められれば離婚となります。争う意思はなかったので、ミディエーターという法的仲介人に書類作成を依頼。2001年に離婚しました。

 アリゾナ州では、子どもの高校卒業まで養育費を払う責任が課され、夫婦の所得により養育費が割り当てられます。不払いになると裁判所に通告されて記録され、例えば交通違反などの取り調べで発覚すると、逮捕されることもあります。離婚申請後45日以内に、子どもに与えるストレスを学ぶ授業を受けた修了証を提出しないと、法的手続きは進められません。

 娘は1週間ごとに私と元妻の家を行ったり来たりして過ごしました。でも、3年後からは元妻のもとで暮らすことになりました。娘の負担を考えたからです。誕生日やクリスマスといった「家族の時間」は、どちらで過ごすか話し合いました。

 アカデミックグラントという奨学金を利用し、娘はしっかり勉強して基準をクリアし、州立大学に無償で通いました。返済も要りません。

 州によって細部は違いますが、親が法的責任を果たしているか確認されるのが米国の特徴だと思います。

 自分の娘を、私がサポートしないで誰がするのか、という思いで養育費を払い続けました。子どもに対する親の責任はアメリカも日本も同じ。その責任をとらない親や責任をとらせない国は残念でなりません。

■韓国では徴収支援する機関も

 日本と同じように、母子家庭の困窮と孤立が深刻な韓国では昨年3月、女性家族省のもとに養育費履行管理院が設けられました。

 2012年の調査によると、ひとり親家庭の83%が元配偶者から養育費を受け取っていませんでした。育児と仕事を抱え、養育費確保のための法的手続きには時間も知識も不足しがち。日韓の養育費問題に詳しいソウル家庭法院(家裁)の宋賢鍾(ソンヒョンジョン)調査官(46)は「養育費の相談は多く、有識者や当事者団体を中心にシンポジウムが開かれ、社会の関心も高かった。中心的な役割を担うところが必要になった」と言います。

 履行管理院の役割は相談と徴収です。申請を受けて相手の住所、財産や所得を調査、協議成立から取り立てまで支援します。「養育費は父母の最低限の義務です」と書かれた広告が地下鉄の車両に掲げられています。この1年弱で3万件以上の相談があり、履行管理院の支援で658件、約30億ウォン(2億7千万円)の養育費が支払われました。

 一方、当事者団体の「韓国ひとり親連合」代表、チョン・ヨンスンさんは「経済的理由が離婚の大きな要因。相手が支払えない場合もあり、国の一時支援も対象が限定的。困窮家庭の場合、国が責任を果たす前提を優先すべきだ」といいます。

■離婚後の親権についても考えます

 母子家庭をめぐる日本の現状を考えると、海外のように養育費の取り決め・支払いに公的機関を関与させる仕組みを導入すべきだと思いました。一方で「子どもに会わせてもらえないのに養育費を払えと言われても従うわけがない」といった声にもうなずける部分があります。養育費と面会交流を受ける「子どもの権利」を守るために、実効性のある制度の新設が必要だと感じています。寄せられた投稿には、「共同親権の海外とは環境が違う」と日本の単独親権を問題視する意見が複数ありました。そこで今度は離婚後の親権について考えます。(丑田滋)

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「イクメン」増えても…親権不平等の国・日本 ジェンダーと男性差別

出典:平成28年3月4日 日本経済新聞

「イクメン」増えても…親権不平等の国・日本 ジェンダーと男性差別

 「シングルマザー」という言葉は、現在はパートナーと離婚、死別、あるいは未婚のまま子どもを育てている女性を指すときに使われています。

 しかし、そもそも「死別」以外のケースでは「シングルマザー」など存在しないでしょう。子どもには父親が存在するからです。

 ところが実際には、離婚時に親権を得るのは圧倒的に母親です。その根本にあるのは、子どもは母親の所有物という思想、「母性優先の原則」です。この親権の問題ほど男性への差別が露骨に表れる事例はなく、先進各国は父親たちが戦って法律を変え、共同親権を得てきました。

 しかし日本はいまだに、先進国の中でもひときわ遅れた状態です。現在、政策として男性の育児休暇取得や育児支援が進められており、これは当然良い方向ではありますが、これだけでは司法の不平等は消えていきません。

■「養育費を払う父親は20%」 しかしその実態は

 日本では、離婚した父親が養育費を払っている比率が非常に低い(20%ほど)といわれます。母子家庭の貧困率は50%超と先進国の中では圧倒的に高く、大きな問題とされています。

 しかし一方で、離婚において父親の人権が非常に軽視されてきたという現状は見過ごせません。離婚したケースの多くで、母親が子どもと父親の交流を妨害したり、面会交流権を守らないという現実があります。

 浮気したのでも、暴力をふるったわけでもない父親が、離婚したというだけで子どもとの交流権やアクセス権を奪われる、欧米ではありえないようなことがこれまでは黙認されてきました。面会交流権、最低でも隔週土日は子どもを父親の元で過ごさせるという約束を守らない母親が、養育費だけは求めるというのは正当な要求ではありません。養育費が本当に子どものために使用されているか、子どもの安否すら確認できないなら、養育費を払わない父親が増えるのも当たり前です。

 米国では子どもが両方の親と交流する権利を守ることと、養育費を払うことはセットの義務であり、この両方についてそれぞれ司法が判断します。つまり、面会交流権や訪問権(ほぼ年間100日)を守らない場合、養育費などもらえないどころか、普通に親権を失い、相手に親権が移ります。 

 また、メーンの親権を失って養育費を支払う立場になった場合、養育費を払っている比率は父親のほうが圧倒的に高いのです(これは日本も欧米も同じです)。離婚後、子どもと父親が同居している場合、別居している母親が養育費を払っているパターンはかなり少数です。しかも大抵のシングルファーザーには養育費どころか、父子手当すら日本では2010年までまともに制度化されていませんでした。

■「親権における男性差別」は子どもへの虐待を生む

 離婚した母親が子どもを父親に会わせない、もしくは共同親権を渋る理由とは何なのでしょうか。実際には、単に元夫が嫌いなので自分が会わせたくない、もしくは面倒だからという理由が多いようです。欧米ではこのような親に親権がいかないように、フレンドリーペアレントルールなどを採用しています。離婚した後、子どもをもう一人の親に会わせる傾向がより高い親にメーンの親権を与えるというものです

 日本の法廷は父親がどれだけ育児をしようとも、さらに言えば浮気やDVもなく、子どもへの愛情のために働いていても、子どもと会う権利(アクセス権)を多くの父親から奪ってきたのです。欧米で、性差別だとして男性たちが最も強く改善のために戦い、そして現実に法律を変えてきたのがこの離婚時の父親差別でした。
 繰り返しますが、離婚後、自分と仲が悪いからという理由で子どもをもう一人の親に会わせないのは人権侵害、児童虐待にあたります。実際、この点がおろそかにされてきたため、日本はハーグ条約の締結を巡って世界中の男女平等先進国から批判されることになったのです。

 ハーグ条約は正式には「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」といいます。離婚した夫婦の一方が子を連れて国境を越えて移動し、もう一方の親が子に面会できなくなる、いわゆる国際的連れ去り問題に関する国際協力の仕組みを取り決めたもので、日本が締結したのはG8加盟国でもっとも遅く14年です。

 日本が関係した国際連れ去り事件では、母親による連れ去りを正当化するために虚偽のDVをでっちあげたケースもありました。日本での「慣習」となっている「離婚したら親権は母親が独占して当たり前」という差別行為を欧米でやって犯罪者として捕まったのです。

 もちろん、事態は少しずつ改善に向かっています。離婚時の面会交流権の義務化(こんなものは当たり前ですが)は日本でもようやく進んできました。

 時折報道される痛ましいニュースに、離婚した母親の子どもが、母親の恋人や新しい夫に虐待されるケースがあります。当然のことですが、離婚後も子どもが両方の実の親と交流がある方が、児童虐待は防げます。もう一方の親が虐待の可能性を察知できるからです。

 10年に法改正された父子家庭への支援も、父子家庭の父親たちが声を上げてきたからこそ実現されました。共同親権に賛成するフェミニストも大勢いましたが、どちらかといえば自分たちに有利な性差別に関しては見ぬふりをするという傾向は欧米も日本もあまり変わりません。だからこそ、男性自らが声を上げていくことが重要なのです。

久米泰介(くめ・たいすけ)
 翻訳家、男性問題研究者。1986年、愛知県生まれ。米ウィスコンシン大学スタウト校で家族学修士。訳書に『男性権力の神話』(ワレン・ファレル著、作品社)など。

ひとり親家庭、支え厚く 家庭教師や悩み相談

出典:平成28年3月2日 日本経済新聞

ひとり親家庭、支え厚く 家庭教師や悩み相談

 東京都内の自治体がひとり親家庭への支援を強化している。江戸川区は家庭教師を派遣し暮らしぶりのチェックに役立てるほか、足立区は親が気軽に情報交換できる場を設ける。家庭状況の把握に一歩踏み込み、自立を後押しする狙い。経済的に苦しい家庭の中でも、子育てに割ける時間が少なくなりがちなひとり親に対象を絞り、効果的な支援につなげる。

 江戸川区は6月、ひとり親世帯の中学生向けに家庭教師を派遣する事業を始める。塾運営の民間企業かNPO法人に業務を委託するが、何回かは区の職員である母子自立支援員が同行して親を面接。就労・健康状況を探り、報告書をつくる。この報告書をもとに、関連する部署で生活保護や就労など必要な支援を検討する。

 家庭教師の学習指導は1回あたり1時間30分。20世帯を対象に年24回予定する。もともとひとり親家庭向けの支援メニューは複数あるが、親が育児だけでなく仕事を掛け持ちするなどで役所に相談する時間がなく、支援にたどり着かない事例が多い。区児童女性課の担当者は「待ちの姿勢ではなく、こちらから出向くことも必要」と話す。

 足立区は7月までに、区の公共施設で「ひとり親家庭サロン」を開設する見込みだ。月2回程度、気軽に参加できるよう週末に開く。生活や子育ての悩みを話し合って気分転換してもらうほか、ひとり親家庭の資金管理の勉強会なども企画する予定。託児サービスの提供も検討する。

 4月には区立保育所長経験者が務める「ひとり親家庭支援員」を新設する。普段は住民が区役所に来た際や電話でちょっとした悩みを聞く同支援員がサロンにも参加。個別の事情を聞き取り、生活のケアにつなげる考えだ。

 東京都は離婚を検討中の人にも支援を広げる。4月から都ひとり親家庭支援センター(東京・新宿)で週1回、離婚を専門とする弁護士を招いて無料相談に応じる。養育費の取り決め方や子どもの面会交流について事前準備に役立ててもらう。離婚後でも利用は可能だ。1回1時間程度で、3回まで利用できる。

 親の学び直しを後押しするのは豊島区だ。高卒認定試験合格に向けた講座を終えた場合、費用の3割を支給する。試験に合格すると残りの7割を支給する。総額の上限は25万円。看護師などの資格を取得するための給付金支給事業はすでにあるが、その前に高卒の資格が必要とされる実情をくみ取った。

男は離婚で「妻子」以外に何を失うのか(上)

出典:平成28年2月20日 DIAMOND online

男は離婚で「妻子」以外に何を失うのか(上)

 世の男性たちは「妻との離婚」によって何を失うのか。今月早々、そのことを否が応でも考えさせられる事件を目にしました。そう、元プロ野球選手・清原和博容疑者の逮捕(覚せい剤取締法違反)です。

 ご存じの通り、清原容疑者は2年前に妻と離婚しました。2人の息子は妻が引き取ったのですが、薬物に手を染めるような輩は、どうせ子どものことも顧みないダメ亭主に違いないと世間的には思われがちです。しかし報道によると、清原容疑者は野球の試合に応援に行くなど息子を可愛がっていたようです。もちろん、薬物の乱用は決して正当化することはできませんが、特に子を持つ父親の立場からすると、清原容疑者を頭ごなしに責めることができないのは、彼のなかに父親らしさが垣間見えるからかもしれません。

 少し話は変わりますが、俳優の高岡奏輔も昨年末、見知らぬ男性と喧嘩沙汰になり、顔面を殴ったり、腹を蹴るなどして怪我を負わせたとして逮捕されました。当時、高岡は泥酔状態だったと報道されています。彼もやはり5年前、女優の宮崎あおいと離婚しており、「離婚→不祥事→逮捕」という流れは清原容疑者と共通しています。

離婚は男にとって「つらい過去」なのか

 遅かれ早かれ、失ったものの大きさを目の当りにして愕然とするとしたら……

 ここで考えてみたいのが、離婚は赤の他人に喧嘩を吹っかけるほど大量のアルコールを摂取したり、覚せい剤を使って一時の快楽に溺れなければならないほど、男にとって「つらい過去」なのか、ということです。どちらのケースも離婚から2~5年が経過しているのですから、そろそろ「時間が解決」しそうなものですが、むしろ「時間が悪化」させているように見えます。

「鬼嫁と離婚できて、せいせいしたわ!」
「ようやく自由の身になったから、もっといい女を探そう!
「金を家に入れなくていいから、ぜんぶ俺の小遣いだ!」

 そんなふうに「妻との離婚」を楽観的に捉え、人生の再出発だと思い、前向きに進んでいくことができれば「つらい過去」とは言えません。しかし実際にはどうでしょうか。離婚直後はまだ強がっており、「何を失ったのか」に気づいていないだけなのです。遅かれ早かれ、失ったものの大きさを目の当りにして愕然とするとしたら……離婚から時間が経てば経つほど、じわじわと心を蝕まれてもおかしくはないでしょう。まるでボクサーが打ち込むボディーブロー、いやレバーブローのように。

 では、世の離婚した男性たち何を失ったのでしょうか?今回は私のところに来た男性の相談内容のなかから、子どもがいた離婚で相談が多い(1)お金、(2)プライド、(3)育児の協力、(4)親子関係のケースを順に見ていきましょう。心の傷はどのくらい深く、大きく、暗いのか……傍から見てもピンとこないので、やはり経験者の声を聞くのが手っ取り早いでしょう。

(1)「お金」
 
 「自殺も考えましたが、なかなか踏ん切りがつきません。本当に死んだほうが楽になれるような気がします。生きていても仕方がないような気がしてならないです」

 そんなふうに苦しい胸のうちを語ってくれたのは星野雄大さん(36歳)。雄大さんはどうして精神的に追い詰められ、ここまで人生に絶望し、そして「自殺」の二文字が頭をよぎるまでになってしまったのでしょうか?

 雄大さんが元妻と離婚したのは6年前。1人息子は妻が引き取り、雄大さんは妻に対して息子さんの養育費として毎月9万円を支払うことを約束しました。雄大さんの当時の年収は600万円。毎月9万円の養育費は労せず支払える範囲だったのですが、東日本大震災をきっかけに状況が一変しました。

アルバイト、借金で養育費を工面 離婚貧乏の最たる例

 雄大さんはイベントの企画会社を経営していたのですが、震災後は仕事が激減し、収入は3分の1以下に。自分が食いつなぐので精一杯なのに、息子さんの養育費は貯金を切り崩し、アルバイトをし、さらに消費者金融で借金をして、何とか支払ってきました。しかしこのような自転車操業が長続きするわけもなく、すでに限界に達していたのです。現在はうつ状態で心療内科へ通院しているそうです。

 「どうすればいいのか……物事を考えることすら、今はしんどいです。夜も寝られず、体重も10キロもやせて、もう元には戻れないような気がします。毎日、布団の中で悩んでいるだけ。本当は先方(元妻)に頭を下げるしかないんでしょうけれど、頭では分かっていても体がついていかないんです」

 ちになる「離婚長者」など世の中にはほとんど存在せず、十中八九は離婚したせいで「離婚貧乏」に転落するのですが、雄大さんはその最たる例でしょう。

(2)「プライド」

 「僕は精神的に破壊され、今は理不尽と葛藤しながら暮らす日々です。悔しいです」

 そんなふうに「離婚の喪失感」について語ってくれたのは宮下純一さん(45歳)です。純一さんが離婚したのはちょうど3年前。結婚生活の最後の方はほとんど生き地獄も同然で、最終的には妻の不倫が発覚したのが決め手になり、離婚をせざるを得ない状況に追い込まれたそうです。

 純一さんは妻の不倫のせいで3人の息子さんと引き離され、念願のマイホームは売りに出すしかなく、実家には顔向けができないので、今は1人寂しくアパートの一室で暮らしています。そんな純一さんもやられっ放しだったわけではなく、鬱憤を晴らすべく、反撃に打って出ました。弁護士に依頼して、不倫相手の男へ慰謝料を請求したのです。

 しかし、いつまで待っても相手の男から純一さんの口座へ慰謝料が振り込まれることはなく、また弁護士に「どうなっているんですか?」と尋ねてみても「今やっているよ」「忙しいんだ」「ちょっと待ってくれ」という感じで、最低限の進捗すら教えてもらえず……。

離婚のせいで傷ついた心 時間の経過とともにますます悪化

 結局、純一さんは弁護士に見切りをつけて、今度は自力で行動を起こしたそうです。具体的には不倫相手の男の職場へ掛け合うべく、本社の人事部へ連絡をとったのですが、「プライベートな問題ですので」と取り合ってもらえず、まったく動く気配はなく、純一さんは完全に行き詰まってしまったのです。

 「僕は何もかも失いました。でも、元妻や男はどうでしょうか?何も失うことなく、今も平気な顔で暮らしていると思うとやり切れません。不倫は犯罪じゃないんですか!こんな理不尽が許されるんですか?泣き寝入りするしかないんですか!」

 このように純一さんは離婚から3年が経とうというのに、気持ちの整理ができていません。私の目には、離婚のせいで純一さんの心についた傷跡は、時間の経過とともに次第に風化するどころか、ますます酷くなっているように見受けられました。

(3)「育児の協力」

 「こんなことが許されるんでしょうか?勝手に息子を連れ出し、実家に帰って、そのまま離婚しようだなんて!」

 そんなふうに声を荒げるのは山上拓海さん(28歳)。拓海さんは専業主婦の妻、そして5歳の息子さんと暮らしていたのですが、ある日、拓海さんが仕事を終えて家に帰ると、完全にもぬけの殻。そこに妻子の姿はなく、必要な荷物は運び出されており、ダイニングテーブルには鍵が置かれていたそうです。しかも、それだけではありませんでした。

 翌日には裁判所から呼び出しの手紙が届きました。それは妻が離婚の調停を家庭裁判所へ申し立てたことを意味していたのですが、妻の計画通りだったとはいえ、次から次へと矢継ぎ早に不幸が襲ってきたので、拓海さんは自分の身に何が起こっているのか、現実を直視できるようなるまで、かなりの時間を要したようです。

 そして離婚調停の当日。ようやく拓海さんは気持ちを入れ替えて臨むことができたそうです。なぜ直前まで?拓海さんは当時のことをこのように振り返ってくれました。

 「嫁のやり方はとにかくメチャクチャですが、こんな理不尽が裁判所で通用するわけがないでしょう。僕が言うべきことを言えば、きっと息子を取り戻せるし、親権も取れるし、嫁をギャフンと言わせることができるはず!」

 拓海さんはそう信じて疑いませんでした。拓海さんは子煩悩で、息子さんが誕生してから別居の前日まで、きちんと子育てを手伝ってきたそうです。例えば、息子さんの行事には必ず参加し、保育で使う布団を用意したり、上履き入れを作ったり、育児には全面的に協力してきたという自負がありました。

「離婚=男が悪い」との決め付け「女=社会的弱者」なのか?

 それ故に、「小さい子どもには父親より母親の方が必要だから」「母親の方が家にいるから」「母親に経済力がなければ、父親に養育費を払わせればいい」などと妻が身勝手なことを言い出しても、思い通りにはならないだろうと高をくくっていたのです。

男は離婚で「妻子」以外に何を失うのか(下)

出典:平成28年2月20日 DIAMOND online

男は離婚で「妻子」以外に何を失うのか(下)

 しかし、調停の場では残念ながら、拓海さんの意見は全くといっていいほど聞き入れられなかったそうです。なぜなら、妻はあろうことかDVをでっち上げたのです。

 「旦那の暴力から逃れるため、息子を連れて実家に戻ってきました。旦那のことが怖くて仕方がないので、結婚生活を続けるのは無理です。これからは私が1人で息子を育てていきます」という具合に。

 もちろん、拓海さんには身の覚えがなく、妻の言い分は真っ赤な嘘なのは明らかなのですが、いかんせん加害者認定された拓海さんが言い訳をすればするほど胡散臭くなってきて、裁判官や調停委員は被害者である妻の方になびいていったそうです。結局、DVの真偽について触れることなく、「DVの加害者に子どもを任せられないでしょ!」と一喝されてしまい、拓海さんはほとんど何も言い返せないまま、半ば強制的に「親権は妻」という条件で離婚させられてしまったのです。

 「離婚の計画や子どもの連れ去り、そして偽装DV……いとも簡単に認められるなんて信じられません。せめて男女平等にすべきでしょう!『離婚=男が悪い』って決め付けるのもおかしいし、『女=社会的弱者』だから保護すべきだなんて、じゃぁ、男はどうなるんですか?これじゃ、完全に逆差別ですよ!許せません!!」

 拓海さんは今までの人生、清く正しく生きてきたつもりだし、相手が誰であろうと平等に接してきたそうです。それなのに離婚の件では偏見の目で見られ、差別的な扱いをされ、嘘がまかり通るという悪夢のような経験を強いられたのですが、すべて拓海さんの価値観とは正反対だったので今でも腑に落ちないようで、当時の記憶がよみがえるたびに、胸を締め付けられるような苦しい思いをしているのです。

子どもとの面会を反故にされ養育費は妻の小遣いに?

(4)「親子関係」

 「ようやく嫁と離婚できたのは良かったのですが、息子と会わせてもらえず困っています」

 そんなふうに嘆くのは福田和也さん(32歳)。和也さんは離婚してから、まだ8ヵ月目。和也さんから離婚を切り出したので、息子さんの親権は妻に譲るのも致し方ありませんでした。

 離婚時には家庭裁判所で離婚調停を申し立て、調停のなかで決めた面会の約束はきちんと書面(家庭裁判所が発行する調停調書)に残したので、和也さんは当然のように息子さんと面会できると楽観していたそうですが、蓋を開けてみたら8ヵ月もの間、一度も息子さんと会えていません。

 和也さんいわく、元妻には前もって話を通しており、当日の待ち合わせ時間や食事の場所、送迎の担当などを決めておいたそうです。それなのに元妻は前日になって、「他の用事ができたから行けなくなった」とドタキャンしてきました。最近では元妻の断り文句も巧妙になってきて「○○(息子さんの名前)が『パパに会いたくない』と言っているから」と言い出したそうです。

 「もしかして僕の悪口を息子に吹き込んでいるじゃないか」

 和也さんは気が気でならないようですが、もはや妻と息子さんとの会話を知ることすらできません。一方で和也さんは離婚から現在まで、毎月せっせと養育費を支払っているのですが、これでは和也さんが元妻に対して不信感を持つのは当然でしょう。「本当に息子のために使っているのか?お前のお小遣いじゃないんだぞ!」。

 和也さんは元妻に対して、養育費を何に使っているのか、具体的な内訳を聞き出そうとしたのですが、元妻は知らぬ存ぜぬで何も答えようとせず、挙げ句の果てには「文句があるのなら、息子に会せないからね!」と言わんばかりの態度で、まるで子どもを人質にとっているような物言いだったそうです。

 「これじゃ、息子とは『生き別れた』のも同然です。養育費だけ払わされるんじゃ納得いきませんよ。最近は僕のような父親が増えているのでしょうか?本当に頭にきます!」

 このように和也さんは「わが子に会えない寂しさ」を日に日に募らせていったのですが、そのせいで心が荒んでいくのも無理はないでしょう。

悪妻と離婚できても その存在が影を落とす

 ところで、悪妻と離婚できたとして、完全に縁を切ることができるのでしょうか?いや「妻の影」を完全に消すことは不可能で、実際には離婚したのにビクビク怯えながら暮らさなければならないケースは少なくありません。「元妻の存在」が影を落とすのですが、番外編として紹介しましょう。

 「先日、元妻から連絡があり、『会って話したい』とのこと。のこのこと会いに行った僕も悪いんですが、『よりを戻したい』と言われて困っているんです。そんなことを言われるんだったら会わなければ良かった……」

 と、困惑の表情を浮かべるのは田村健太郎さん(33歳)。健太郎さんが妻と離婚したのは昨年のこと。当時はまだ結婚3年目で、娘さんは2歳なので、ちょうど可愛い盛り。どうしてこのタイミングで離婚せざるを得なかったのでしょうか。

 「妻の暴力が離婚の原因でした。妊娠中から情緒不安定だったのですが、少しでも気に入らないことがあると手を上げるのです。僕は一切、手を出さず我慢していたのですが、出産してからも日に日にエスカレートするばかり。最後の日は叩かれるだけ叩かれ、逃げるように交番に駆け込み、助けを求めたのです」

 健太郎さんは後日、病院に行き、医者の診察を受け、その場で診断書を発行してもらい、その足で警察へ相談しに行ったそうです。しかし残念ながら、「逆DVだから、事件にするのはちょっと難しいですね。本人同士でもう少し話し合ってみてはどうですか?」と、まともに取り合ってもらえませんでした。

 健太郎さんが自宅に戻ると、妻は「ごめんなさい」と平謝りし、「もう出て行かないで」と泣き付き、「これからは心を入れ替えるわ」と反省の弁を繰り返したそうです。

こんな女と結婚したのが運の尽き? 忘れたくても忘れられない存在に

 それでも健太郎さんにとって妻の存在はただただ恐怖でしかなく、DVというトラウマを植え付けられた相手と、一つ屋根の下で暮らすことは考えられなかったそう。「また忘れた頃に手を上げるに違いない」という不信感を拭い去ることができず、最終的には離婚に踏み切ったのです。

 さて、健太郎さんは元妻からの求婚に対して、どのように答えたのでしょうか?

 「実をいうと僕には新しい彼女がいるんです。そもそも元妻のことを今はもう愛していませんよ。それに娘にはどのように説明するつもりなんでしょうか?こんなに簡単にパパとママがくっついたり、離れたりして……信じられません」

 元妻はそれでも「子どもに会ってほしい。子どものためによりを戻してほしい」とすがってきたそうで、しかも話し合いの別れ際には「もう恨みっこなしね!」と言われ、半ば強制的に握手までさせられたのです。しかし、元妻が何と言おうと健太郎さんの気持ちが変わることはありませんでした。

 結局、元妻は「あなたとは離婚して正解だったわ」とLINEで捨て台詞を吐いた後、いったん連絡は途絶え、健太郎さんは胸をなで下ろしたのです。もともと2人は「元」夫婦で、しかも元妻は健太郎さんに捨てられるような形で離婚したのですが、なぜ今さら、すり寄ってきたのでしょうか?

 健太郎さんが察するに……離婚後、元妻は新しい彼氏と付き合っていたけれど、最近、何らかの理由で振られてしまい、心寂しく、人恋しくなり、さらには経済的に厳しくなり、健太郎さんのことを思い出したのではないか、と。

 「確かに僕は娘の父親だし、彼女は母親です。そのことは一生、変わりません。しかし、僕と彼女は赤の他人です。こんな女と結婚したのが運の尽きなのでしょうか?これで最後なら良いのですが、これからも娘をダシにして好き勝手なことを言ってきそうで頭が痛いです」

 健太郎さんはようやく離婚できたのに、今でも元妻の影におびえながら、肩をすくめるように暮らしています。妻という存在は、いったん離婚したとしても、忘れたくても忘れられない存在として付きまとうのです。

離婚経験者の悲痛な叫び共感するか、開き直るか

 今回は離婚経験者の男性の悲痛な叫びを紹介してきました。「これを読んで何が変わるの?」あなたはそうやって首をかしげるかもしれません。確かに、清原容疑者や高岡奏輔のように離婚「後」に、悩んだり、苦しんだり、頭を抱えている人の「諸悪の根源」を解決するほどの効果は期待できないでしょう。

 ただ「何の意味もないのか」というと、そんなことはありません。「そう、そう、そうなんだよね」と共感できる話が1つや2つはきっと含まれているはずです。現在、苦境にある人でも、「こんなに辛い思いをしているのは自分だけじゃない」と共感することができるのではないでしょうか?

 「結構、みんな大変なんだな。じゃぁ、もう少し頑張ってみようか」と開き直ることができれば、イライラやモヤモヤが多少でも晴れて、大量のアルコールや薬物、そして暴力に頼らずに生きていけるのではないでしょうか。読者のみなさんが清原容疑者や高岡奏輔を反面教師にし、道を踏み外して人生を台無しにすることがないよう願っています。
(文中敬称略)

(私の視点)家族のあり方 親権問題にも論点広げて 古賀礼子

出典:平成28年2月19日 朝日新聞

(私の視点)家族のあり方 親権問題にも論点広げて 古賀礼子

 最高裁は先日、夫婦同姓の規定は合憲だと判断したうえで、制度のあり方は国会で議論すべきだとした。だが、家族のあり方という大きな観点から見れば、議論すべきは姓の問題だけにとどまらない。

 互いの情愛の下で人生を共にするという約束は法律婚に限られないから、もともと夫婦別姓の選択肢はだれにでもある。問題はログイン前の続き、法律婚に夫婦別姓の規定がないがゆえにそれを選ばなかった時、何を失ってしまうのかということだ。

 その一つに、法律婚をしなかった結果、生まれた子どもの親権が原則として付与されない父親の問題がある。親権のない父親は事実婚を解消すると、親としての地位がほとんど尊重されることなく、面会もままならない。子どもと引き離される父親にこそ、選択的夫婦別姓の導入を求める合理性が見いだせる。

 日本が先進国に後れをとっているのは夫婦同姓の制度だけではなく、法律婚をしていない父母に、単独の親権しか用意していないことなのだ。

 しかし、実は、法律婚の夫婦で離婚がまだ成立せず、共同の親権がある段階でも、別居した親(多くは父親)の親権の行使は事実上、否定される実態がある。親子の引き離しは、事実婚のために親権を得られなかった男性に限らない。

 共同親権を行使する父母の意見が対立した場合の手立てを、民法は何も規定していない。それにもかかわらず、一方が配偶者に無断で子どもを連れて別居した場合に、その連れ去り行為の違法性を不問にしたうえに、連れ去った親の監護の継続を尊重してしまう今の司法の運用は、問題があると言わざるを得ない。

 昨今、「イクメン」が推奨されているが、妻が思い立って別居に至れば、仕事をしながら育児にも協力していた程度では、子どもと会うことすら難しくなる事態が簡単に訪れる。
 こうしたことが頻発している事実を知ったら、男性はどう思うだろうか。男性の育児への参加意欲をそぐようなことになれば、女性の育児負担も解消されないだろう。加速するのは少子化だけだ。

 いま議論すべきは、選択的夫婦別姓の導入の是非だけではなく、親権の不平等の問題も含めた家族のあり方そのものなのだと思う。
 (こがれいこ 弁護士)

「面会交流」の議論期待

出典:平成28年2月13日 静岡新聞

「面会交流」の議論期待

離婚で親権を失った親子の面会交流が進まない問題を取り上げた連載「わが子に会いたい」を担当しました。
 きっかけは、ある父親からのメールでした。初めて会った時、「妻に暴力を受けた末、子も連れて行かれ、会えない」と泣いていました。半年後、父親は弁護士の尽力で久々に子と面会を果たしました。「母親は会わせたくなかっただろうなぁ」と思いつつ写真を見ましたが、子どもの満面の笑みは、父への思慕をはっきりと物語っていました。
 社会問題とはいえ、つぶさに見れば個々に事情が異なる家庭問題でもあります。画一的な「あるべき論」を取り払って取材を重ね「離婚後、子どもが希望していても親子の絆が絶たれる現状はおかしい」、これだけは言えると感じました。愛情を注ぐ人の多さを子が実感できる方がいいと率直に思えたことと、同居した母方で虐待を受けた子を、交流していた父が助けた事例を取材したことが大きかったです。
 両親が、一つしかない親権をめぐる対立の末に離婚し、自己判断での面会交流を強いられています。会えない上、法的限界がある離別親は言うまでもありませんが、同居親も、一人で考え、行動することはすごく苦しいと思います。閉ざされた家庭の問題とせず、2人の親と子のそれぞれに何が必要か、社会的な議論が高まっていくよう期待します。
(大須賀伸江)

<当事者の皆さま>
今回の連載記事についてのご自身の体験からの感想、継続的な取材・掲載をお願いする等の意見を静岡新聞にお寄せください。
 Tel. 0120-439-817
 E-mail. dokushasodan@shizuokaonline.com

「離婚後も子に会わせて」 増える面会調停、7割が父

出典:平成28年2月3日 朝日新聞

「離婚後も子に会わせて」 増える面会調停、7割が父

 離婚する夫婦が、子どもと会う回数を決めるために裁判所に調停を申し立てるケースが増えている。2014年は約1万1千件で、10年間で2・5倍に増えた。特に父親からの申し立ての増加が目立つという。背景には、離婚後も子育てに関わりたいという意識が父親に高まっていることがあると専門家はみている。

 「定期的に子どもに会える機会をつくれないと、片方の親の『連れ去り勝ち』になってしまう」。調停で、子どもとの面会を求めている東京都内の40代の男性は話す。

 14年10月、妻が2人の子どもを連れて家を出た。実家に戻った妻は、子どもに会わせることを拒否。男性は長男(8)の転校先を地元の教育委員会にも教えてもらえず、長女(6)の入学式にも出席できなかった。昨年5月に裁判所内の面会室で30分間だけ会えたが、その後の話し合いは進まないままだ。

 家庭内暴力(DV)があった、と主張する妻とは「感情論で対立するばかり」と男性。希望は、月に1回は子どもと会えるようになることだ。「会いたい気持ちは母親も父親も同じ。子どもは日々成長するのに、時間だけが過ぎて子どもとのつながりが薄れてしまう」と訴える。

 最高裁によると、調停で離婚した夫婦の子どもの約9割は、母親が親権者になる。この男性のように、父親が子どもと別居するケースが圧倒的に多い。

 子どもと離れて暮らす親が定期的に子どもに会う「面会交流」の回数は、離婚の際に夫婦間で決められない場合、家庭裁判所に調停を求めることができる。最高裁によると、面会交流の取り決めだけを求めた調停の申し立ては04年に約4600件だったが、11年は約8700件になった。このほか、離婚調停の中で決めることもある。

 厚生労働省の統計によると、14年の離婚件数は約22万2千件で、10年前より約5万件減ったが、調停の申し立ては逆に増えている。

 12年には民法が改正され、離婚の際には「子の利益を最も優先して面会交流を夫婦で取り決めること」が義務づけられた。離婚届にも、取り決めをしたかチェックする欄が設けられた。この改正も影響し、13年には面会交流に関する調停の申し立てが初めて1万件を超え、14年は1万1312件にのぼった。

 特に、父親からの申し立ての増加が目立つ。14年の1年間に調停が成立するなどして手続きが終わった1万563件のうち、約7割が父親からの申し立て。10年前の04年と比べると2・9倍で、母親の1・7倍よりも伸びが際立つ。家裁の経験が長い裁判官は「父親の育児への意識の高まりから、妻と別れても子どもとのつながりを求める父親が増えたのだろう」と話す。

 面会交流に関する調停申し立ては約6割が成立するが、取り決めに強制力はない。改正後の民法でも守られない場合の罰則はなく、取り決めがなくても離婚届は受理される。守らない親に金銭の支払いが命じられた例もあるが、「子どもと会う」という本来の目的は達せられない。

 離婚をめぐる協議では夫婦間の対立が激しくなる一方で、「子どもの利益」が置き去りになりがちだ。争う夫婦に、まず「親としての責任」に目を向けてもらう取り組みも進む。

 「養育費は子どもの権利です」「相手の責任を問うより、子どもに対する自分の責任を意識して」。京都家裁では昨年4月以降、調停を申し立てた夫婦に最初に約35分のDVDを見てもらう。別居や離婚が子どもに与える影響などを説明するもので、京都大の臨床心理学者の助言を受けて制作した。DVDを見た夫婦からは、「争っていること自体が子どもを傷つけていることに気づいた」といった感想が寄せられている。

 同家裁の藤田智・主任調査官は「両親の争いの中で苦しんでいる子どもたちを目の当たりにしてきた。調停は子どものためでもある、と気づいてもらえれば」と話す。

 立命館大法学部の二宮周平教授(家族法)によると、欧米や韓国では、離婚する両親が子どもの心理や親子関係について学んだり、相談したりする専門機関がある。日本では兵庫県明石市が相談窓口を設けているが、まだ少ないという。「夫婦である以前に親として、子どもの立場に立って考えられるように、支える態勢が必要だ」と指摘する。(河原田慎一)

「わが子」に会いたい~離婚と面会交流(5・完)「子の利益」当事者任せ

出典:平成28年2月3日 静岡新聞

「わが子」に会いたい~離婚と面会交流(5・完)「子の利益」当事者任せ

 面会交流について改正民法は「子どもの利益を最優先に両親が協議する」とし、実現を保障しているわけではない。当事者任せの現状で、離婚を経た両親が同じ「子の利益」を描くことは容易でなく、「会えない親子」は絶えない。こうした中、両親による子育て(共同養育)の意義を伝える取り組みが県外の自治体や民間団体によって始まっている。一方、離別親(別居する親)の団体はより踏み込んだ法制化を求めて声を上げる。
 兵庫県明石市は民法改正を受けて2014年、全国に先駆けて「こども養育支援ネットワーク」の運用を始めた。
 同市が窓口で渡す離婚届はぶ厚い。両親が面会交流の頻度や養育費の額などを書き込み、契約書とする「養育に関する合意書」や、「離れて暮らす親と気軽に会えるようにして」などと子どもの気持ちを記した冊子などが挟んであるからだ。
 市は関係機関と連携を強化。意識啓発にとどまらず、元家裁調査官らが面会交流や養育費の相談に応じる専門相談などの体制も充実させた。市民相談室の村山由希子課長は「窓口を持つ基礎自治体として、渦中の両親に関わりを持てる特徴を生かしたい」と話す。
 民間団体も先進的な取り組みを始めた。東京都の「離婚と親子の相談室らぽーる」は昨年10月、厚生労働省の調査研究事業を受託して「親教育プログラム」を開講した。参加者は離別親が多く、共同養育の意義を伝えたい同居親はわずかだが、ある父親は「少し前まで当事者間のもめ事としか見られなかった。コツコツと訴えてきて良かった」と、今後の周知に期待する。
 らぽーるはこのほか、弁護士同席の下で両親が養育計画書を作る「ADR(裁判外紛争解決手続き)」も手掛け、計画書を最終的に公正証書にするよう勧めている。
 離別親団体は活発に声を上げる。全国組織「親子ネット」と関係団体は連絡会を作り、面会交流の拡充や、離婚前の子どもの連れ去り禁止などを盛り込んだ「親子断絶防止法」の制定を求めて陳情や署名運動を展開している。これを受け14年、国会に超党派議員連盟が発足し、今年中の法案提出を目指して始動している。
 一方、県内の動きは鈍い。自治体支援は乏しく、相談、啓発、支援と網羅した「明石モデル」は見られない。面会交流支援は県外の団体が担い、知名度の向上や、支援者確保が目下の課題だ。
 団体活動も浸透の途上にある。浜松市の会社員半田伊吹さん(41)は12年、情報交換や交流を目的に「浜松親子の会」を設立したが、問い合わせは少なく、県外との温度差を感じている。半田さんは「諦めて『なかったこと』(子どもはもともといないこと)にする人が多いのかもしれない」と県内事情を推測。「こういう問題は離別親に理由があるとレッテルを貼られがち。語り合いに来る以前の問題で、誰にも言えないまま苦しんでいないか」と指摘する。
 わが子に会う―それだけのことが当たり前にできる社会になるには、まだ壁が高い。

 <メモ>県がひとり親家庭を対象に実施した2014年度の調査で、6割以上が面会交流の取り決めをせずに離婚し、面会交流を続けている家庭は4分の1程度にとどまることが分かった。離婚の9割は裁判所を介さない「協議離婚」が占める中、親権だけを決めて離婚届を出し、そのまま親子交流を絶つ事例の多さがうかがえる。こうした傾向は全国で共通し、窓口での啓発が行政課題になりつつある。

「わが子」に会いたい~離婚と面会交流(4)心の整理できずに困惑

出典:平成28年2月2日 静岡新聞

「わが子」に会いたい~離婚と面会交流(4)心の整理できずに困惑

 厚生労働省の調査によると、1950年代、親権者は父親が過半数を占めたが70年代に逆転し、90年代以降は「母親8割」の状態が続いている。面会交流を求めても会えないのは、父親が多い。親権を得た母親たちはなぜ、子どもを会わせたがらないのか。
 静岡市でシングルマザーを支援する「シングルペアレント101」は昨年、離婚数年の段階で、悩みながら面会交流を続けている母親たちの座談会を設けて実態を探った。「結婚中のつらかった出来事を思い出す」。多くがそう語り、離婚の遺恨を抱えたまま、面会交流に臨むことに困惑していることが分かった。
 県中部の30代女性は「離婚調停で絶対に顔を合わせないよう配慮してもらったのに、離婚後の面会になると『あとは2人で』と放り出される」と不満を語る。40代女性は「元夫に会うと、相手が絶対優位のパワーバランスに引き戻されて苦しい。日程調整を求める普通の文面のメールさえ『会えなければこちらから行く』と脅迫のように感じる」という。
 母親は面会交流に同伴しなくても良い。父親の中にも「同伴されると、子どもが顔色をうかがう」と反対する声が根強い。しかし母親たちは「自分が見ていないと不安」と口をそろえる。
 子どもが、面会で父親への思慕を募らせていくことに戸惑う母親も少なくない。県中部の30代女性は娘に「パパと一緒に暮らしたい」と懇願された。子どもの心情をくめば、元夫ばかりを悪者にできない。「とっさに『ママがけんかしちゃった』と自分のせいにした。気持ちのやり場がない」と話す。
 面会の翌日、息子が保育園で「パパに会えてうれしかった」と打ち明けたのを、保育士に聞いた40代女性は「心苦しかった半面、『子どもにとって良かった』と、初めて思えた」と複雑な心境を吐露した。離婚調停に際し、調停委員から面会交流が「子どもの利益」と促されても理解できなかった。「でも信頼できる保育士に聞いたらすんなり受け入れられた」。息子は最近、元夫に自分の携帯電話を介してメールを送り始めた。「まあ、いいか」と黙認できるようになった。
 「101」の田中志保代表は「日程調整や同伴を一人で行うことは、心理的な負荷が大きい。離婚から数年と間もないうちは特に、前向きにはなれない」と指摘し、第三者による継続支援の必要性を強調する。
 県内には少ないものの、面会交流の付き添いや日程調整などを、両親の同意の下で行う支援団体は各地で増えつつある。「びじっと」(横浜市)の古市理奈代表理事も「支援を受けて初めて、冷静になる親は多い」と語る。
 半年ぶりに再会したゼロ歳児が離別親に抱かれると急に泣きやんだり、会えなかった寂しさを子どもがぶつけ、絆をつくったりする場面を見てきた。古市さんは「子は親を忘れない。両親がどんな人かを知ることが子どもの自己肯定につながり、将来的な自立に結び付く」と言い切る。悩んでいる両親には、支援を新しい福祉として意義を見いだしてほしいと願っている。

 <メモ> 県内にスタッフがいる面会交流支援団体は、「びじっと」(横浜市)と「ウインク」(千葉県船橋市)の2団体がある。県内に本部を置く団体はまだないとみられる。県は本年度、(1)県内在住(2)児童扶養手当の受給と同様の所得水準である―などの条件を満たす両親を対象に、交流支援事業を実施した。

母子家庭への養育費、不払い防ぐためには 子どもと貧困

出典:平成28年2月1日 朝日新聞

母子家庭への養育費、不払い防ぐためには 子どもと貧困

 離婚した母子世帯の2割しか、元夫から養育費の支払いを受けていません。昨年12月に連載した「子どもと貧困 シングルマザー」の中でこうした現状を取り上げたところ、多くのご意見をいただきました。どうすればきちんと支払われるようになるのか、集まった意見をもとに考えます。

■受け取りは子の権利 兵庫県明石市・泉房穂市長

 兵庫県明石市は離婚後の子どもの養育を支援するため、離婚届を取りに来た人に養育費の額や支払期間など夫婦の取り決めを記入する独自の「合意書」を2014年4月から配っています。