民法819条(単独親権制度)改正を求め共同親権・共同監護制度の導入・ハーグ条約締結の推進と活動を行っています

トピック

アクセス数
総計:80925 今日:7 昨日:25

離婚と面会交流 子の権利、より重視を

出典:令和2年11月16日 茨城新聞

【論説】離婚と面会交流 子の権利、より重視を

離婚で離れ離れになった親と子、祖父母と孫が、法の不備により自由に会えなくなり精神的苦痛を受けたとして、東京や静岡、京都などの男女17人が国に損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。面会交流は幸福追求権を定める憲法13条で保障された基本的人権とし、それを不当に制限されるのは重大な人権侵害で違憲と主張している。

離婚後も父母が共に子の親権を持つ共同親権制度が主流の欧米とは異なり、日本は、どちらか一方が親権者となる単独親権制度をとっている。年間約20万組以上の離婚の9割を占める協議離婚では、夫婦が話し合いによって親権者を定め、面会交流や養育費の分担について取り決めをする。

夫婦間で話がまとまらないときは家庭裁判所が調停・審判で判断することになる。しかし、そうやって面会交流の頻度や方法などで合意しても、親権を持ち、子と同居する親が一方的に、ほごにしてしまうことも多いとされ、近年、単独親権制度は法の下の平等を定める憲法に反するなどとして国家賠償請求訴訟が相次いで提起されている。そうした中、面会交流は親同士の問題ととらえられがちだが、子にとっても、かけがえのない権利だ。法務省は有識者や関係省庁の担当者らの「家族法研究会」で共同親権導入や面会交流の促進について議論を重ねている。子の権利をより重視した仕組みにつなげていくことが求められよう。

訴状などによると、原告の40代父親の場合、2018年3月に妻が子を連れて実家に戻り、その年10月の調停による合意を経て今年3月まで月1回、7時間の面会をした。だが4月以降は新型コロナウイルスの感染拡大を理由に拒否され、会えていない。家裁に面会交流の履行勧告を出すよう申し立て認められたが、無視され続けている。

やはりコロナ禍を理由に元妻から2人の子との面会を拒否されている40代父親は「面会交流に強制力はなく事実上、同居親の自由裁量になっている」と批判している。

子の立場で原告に加わった20歳と16歳の兄弟は11年に両親が不仲になり、母親の実家に。兄はその後、不登校となり、父親の元に戻ったが、母親側から2年余りも弟との面会を拒絶された。一方、弟は母親が交際相手と同棲(どうせい)するなど育児放棄に遭い、父親とは約5年間会えなかった。兄弟は現在、父親と暮らすが、今年9月に2人とも心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。

では、どうすれば、子の人生にも大きな影響を及ぼす面会交流をスムーズに行えるか。家族法研究会では、共同親権導入の是非が焦点になっている。法務省が調べたところ、欧米やアジアなどの24カ国のうち、日本と同じ単独親権のみはインドとトルコだけだった。

ただ離婚した父母が共同で親権を行使する場合には、進学など子に関する意思決定がしにくくなったり、ドメスティックバイオレンス(DV)など夫婦間の対立が離婚後に持ち越されたりする恐れも指摘されており、慎重意見は根強い。単独か共同かを選択できるようにする案も出ている。

また面会交流の義務付けを求める親も多い。家庭内に国がどこまで介入するかという問題はあるが、少なくとも子が望むなら、その機会を万難を排して確保する道筋を見いだす必要があろう。

面会交流のルールを法制化しない国を子や親族が訴えた!

出典:令和2年11月15日 日刊ゲンダイ

面会交流のルールを法制化しない国を子や親族が訴えた!【「表と裏」の法律知識】

 親が離婚した後に、離れ離れになった親と会えないのは国が法整備を怠ったからだと、面会交流ができなかった子どもやその親族が国を訴えました。

 親権者をどちらにするかだけでなく、別居親と子どもとの面会問題は、離婚事案で争いになることが本当に多いです。

「○○してくれないなら、子との面会を拒否したい」と子どもとの面会を交渉カードにしようとする同居親を何度も目の当たりにしています。

 子どものいる夫婦が離婚しようとするとき、多くの場合どちらかが子どもを連れて家を出て別居状態になります。例えば妻が子どもを連れて家を出る場合、妻の夫に対する嫌悪感などから、夫が子どもとの面会要求をしても、これに直ちに応じないことがままあります。その場合の拒否の理由として、家庭内暴力(DV)があったこと、面会時に子どもを連れ去られてしまう危険があることのほか、子どもが面会を望んでいないなどと主張する妻もいます。

 妻が、子どもとの面会に応じさせない場合、夫は調停や審判がまとまるまで、相当長期にわたり、子どもと会うことがかなわない事態に陥ってしまいます。

 さらに、離婚後の親権・監護権について、家庭裁判所は、(さまざまな考慮要素がありますが)子どもの別居後の生活環境を変えない方が子どもの福祉に適することを重視して、子どもと一緒の親側に親権・監護権を認める判断をする傾向もあります。

 また、面会交流のルールをせっかく定めても、「急な予定が入った」「子どもの体調が悪い」「面会をすると子どもが夜寝なくなる」などの理由で、一方的に面会を拒否するケースもみられます。

 これが海外でも批判される日本の「連れ去り勝ち」の現状です。

 両親との関わり合いは、子どもの心身の発達にとても重要であることはいうまでもありません。しかし日本の法律では、別居親と子どもとの面会についての義務やルールが明確に定められていないため、別居親が子どもに全く会えない極めて理不尽な状態に陥っている場合も多いです。

 今回「面会交流をさせてもらえなかった子どもたち」が立ち上がったことは、今の日本の法律や家裁の判断に一石を投じる、重要な意味を持つでしょう。
(髙橋裕樹/弁護士)

別居親との「面会交流権」制定を 子が初の原告、国を提訴 東京地裁

出典:令和2年11月12日 毎日新聞

別居親との「面会交流権」制定を 子が初の原告、国を提訴 東京地裁

 離婚や別居によって親に会えなくなったのは、国が親子の面会交流権を定める立法を怠ったからだとして、父母の別居時に未成年だった子3人が11日、1人当たり10万円の国家賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。代理人によると、父母が原告となる同種訴訟はこれまでもあったが、子が原告になるのは初めてという。

 訴状によると、原告は0~10歳だった2008~11年、父母の事情によって片方の親と別居するようになった。当初は別居する親と面会できていた子もいたが、同居する親の妨害や別居する親の再婚によって、別居する親と面会ができなくなったとしている。いずれの家庭も父母は離婚したという。
 民法は父母が協議離婚する際、子の利益を考慮して別居する親との面会交流の仕方を取り決めるよう求めているが、具体的な権利や義務の規定はない。
 原告側は、親子が触れ合いの時間を持つことは、当然に求められる人権だと主張。子が別居する親との面会を希望しても、同居する親の同意がなければ自由な面会交流が実現できない状況が続いているとして、立法の必要性を訴えている。訴訟には、別の家庭の親や祖父母ら14人も原告に加わっている。
 10歳の時に母の実家に連れられ、父と別居した千葉県の原告男性(20)は提訴後に記者会見。父との面会は途絶え、不登校になった際も相談できなかったとし、「同居する母に気を使っていた面があったが、父に会えていれば気が楽になっていたと思う」と語った。
 法務省民事局参事官室は「訴状が届いていないのでコメントは差し控える」とした。【遠山和宏】

別居親子の面会困難「人権侵害」 子どもらが国提訴、法整備求める

出典:令和2年11月12日 東京新聞

別居親子の面会困難「人権侵害」 子どもらが国提訴、法整備求める

 離婚などで別居した親子らの面会交流について、法の不備で不自由を強いられ、憲法が保障する基本的人権を侵害されたとして、10~20代の子ども3人を含む男女17人が11日、国に1人10万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。原告側によると、面会交流を巡る訴訟は各地で起こされているが、子どもが原告となるのは初めて。
 民法では父母が協議離婚する場合、一方を親権者に定めなければならないと規定。2011年の法改正で、子どもとの面会交流は、子の利益を最も考慮して決めることが盛り込まれた。だが、実際には取り決めが守られないケースもある。

※以下、紙面を参照ください。

別居の親子いつ会える 離婚後の面会交流「不十分」提訴

出典:令和2年11月11日 朝日新聞

別居の親子いつ会える 離婚後の面会交流「不十分」提訴

 離婚などで別居した子どもと親らが定期的に会える「面会交流の制度」が不十分だとして、男女17人が11日、国に計170万円の賠償を求めて東京地裁に提訴した。子どもと会えなくなった親による同様の訴えは過去にも例があるが、この訴訟では子ども3人が初めて原告に加わった。
 面会交流をめぐっては東京高裁が8月、子どもの権利条約について「子の面会交流の権利を尊重する規定だが、親の権利を保障したものとはいえない」と判断し、親が原告となった訴えを退けた。今回は子どもが原告に参加しており、「新しい司法判断が出るかもしれない」(原告代理人の作花知志弁護士)という。
 原告側は訴状で、親子らの面会ができないのは憲法が保障する「基本的人権」を侵害するとし、離婚後の親子面会の必要性を主張した。その上で、法務省や学者らでつくる「家族法研究会」が、別居中や離婚後の子どもの養育のあり方を議論していることをふまえ、新たな面会交流の制度について「国会が立法義務を負うべきだ」と訴えている。

 提訴後の会見には、10歳のときから母の実家で過ごし、父と会えない時期があったという千葉県の男性(20)が原告の一人として参加。母に迷惑をかけたくない気持ちから父に会いたくないと思い込んでいた当時を振り返り、「別居中かどうかに関わらず、父母に甘えたい、頼りたい瞬間はある。面会制度など法律がしっかりあれば、子どもも本音を話しやすい」と話した。
 被告側の法務省は「コメントは差し控える」としている。(新屋絵理)

会えぬ父に募る不安「できるなら、毎週末、会いたい」

原告の一人で、都内に住む男子中学生のコメント(要旨)
     ◇
 僕のお母さんとお父さんは離婚して、お母さんと一緒に暮らしています。お父さんとは月に1回、会っていました。僕はお父さんのことが大好きです。会っているときは楽しいです。ゲームの話をしたり、一緒に映画を見たり、お母さんとはしない遊びをして過ごすからです。
 小学5年生の時からお父さんと会えないことが増えました。電話やメールで次に会える日を尋ねても、返事が1カ月くらいもらえないこともよくあります。会いたい、もっと会いたいと言って、会う回数が減ったら嫌だなと思い直接言ったことはありません。次はいつ会えるのか、とても気になります。
 それだけではなく、本当は、もっと会える回数を増やしたいです。裁判所の調査官の報告書には、お父さんが面会交流に消極的だから、現状を変える必要はない、と書かれていました。
できるなら、毎週末、会いたいです。お父さんと会えるなら、他の予定より優先します。
 もっとたくさん会いたい。今は不安がいっぱいです。

相談にも乗れず「親として当たり前のことすらできない」

原告で、3人の子どもと離れて暮らす千葉県の女性(38)のコメント(要旨)
     ◇
 夫の不貞が原因で、子どもを連れて別居することを決めました。しかし夫は、次女、長男、長女と次々に私の同意なく連れ去り、3年以上会うことも、声を聞くこともできません。
 夫が承諾したのは手紙の送付のみでした。
子どもたちへ「大好き」を伝えるために、毎月手作りのカードを作って送っていました。
 新型コロナウイルスの影響でマスク不足のなか、面倒を見てくれている夫の実家家族にマスクを届けたときは、「曽祖母と連絡をとるな」という連絡とマスクが着払いで送り返されてきました。
 マスクを届けた際に曽祖母から、夫は不貞相手と不貞相手の連れ子と同居していること、長男が不貞相手の子どもたちにいじめられているとも聞きました。
 母親として子どもたちの成長を見守りたい、日常や学校での様子を知りたい、困ったとき悩んでいるときに相談に乗りたい、力になりたい。そんな親として当たり前のことすらできません。離れて暮らしていても何の制限もなく子どもと会い、子どもたちに直接愛を伝えることを、当たり前のことと認めていただきたいです。

別居後の親子面会困難は「人権侵害」 子らが国提訴

出典:令和2年11月11日 日本経済新聞

別居後の親子面会困難は「人権侵害」 子らが国提訴

離婚などで別居した親子らの面会交流について、法の不備で不自由を強いられ、憲法が保障する基本的人権を侵害されたとして、10~20代の子ども3人を含む男女17人が11日、国に1人10万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。原告側によると、面会交流を巡る訴訟は各地で起こされているが、子どもが原告となるのは初めて。

 面会交流の権利が侵害されているとして国を提訴後、記者会見する原告側(11日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ)=共同
民法では父母が協議離婚する場合、一方を親権者に定めなければならないと規定。2011年の法改正で、子どもとの面会交流は子の利益を最も考慮して決めることが盛り込まれた。だが、実際には取り決めが守られないケースもある。
訴状では、両親が別居しても「親と子、祖父母と孫が触れ合いの時間を持つことは基本的人権だ」と指摘。欧米と異なり、面会交流についての権利義務関係の具体的な規定がないとし「長期間放置している国の立法不作為で違憲だ」と主張している。
原告側代理人の作花知志弁護士は「一番影響を受けるのは子どもなのに、親の都合で面会の権利を奪われている。早急な法整備を求めたい」と話した。
幼少期に両親が離婚し、母親と暮らす原告の男子中学生は父親と半年以上会えない状態が続く。提訴後、東京都内で開かれた記者会見で「次はいつお父さんに会えるのか、日にちと時間をしっかり決めてほしい」とのコメントを出した。
〔共同〕
 

「離婚後の面会交流」法整備求め子らが提訴

出典:令和2年11月11日 NHK

「離婚後の面会交流」法整備求め子らが提訴

親が離婚した後に離れて暮らす親と会えなくなったのは国が「面会交流」についての法整備を怠っているためだとして、面会交流ができない子どもや親が国に賠償を求める訴えを起こしました。
平成23年の民法の改正で、子どものいる夫婦が離婚する場合には、親子が定期的に会う「面会交流」について、子どもの利益を最優先に考えて取り決めをするよう求めていますが、義務とはされていません。

東京に住む中学生など、親の離婚後に親と会えなくなった子どもや、子どもと会えなくなった親など17人は、国が面会交流の法整備を怠り、具体的な権利や義務を決めていないため面会が実現しなかったとして、国に対し1人あたり10万円の慰謝料を求める訴えを東京地方裁判所に起こしました。

弁護団によりますと、面会交流をめぐって子どもが国を訴える裁判は初めてだということです。

子どもの立場で訴えを起こした20代の男性は会見で「離れて暮らす親の様子が分かるように面会交流ができていればここまで苦しむことはなかった。同じ体験をする子どもを増やしたくない」と話していました。

また、訴えを起こした男子中学生は「僕はお父さんのことが大好きです。いつ会えるのか、会える日にちと時間をしっかりと決めてほしいです」などとするコメントを出しました。

原告の代理人の作花知志弁護士は「面会交流に関して、日本は諸外国と比べて大きく遅れているので、この裁判で新しい判断を示してほしい」と話しています。

別居親子の面会困難「人権侵害」 子どもらが国提訴、法整備求める

出典:令和2年11月11日 共同通信

別居親子の面会困難「人権侵害」 子どもらが国提訴、法整備求める

 離婚などで別居した親子らの面会交流について、法の不備で不自由を強いられ、憲法が保障する基本的人権を侵害されたとして、10~20代の子ども3人を含む男女17人が11日、国に1人10万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。原告側によると、面会交流を巡る訴訟は各地で起こされているが、子どもが原告となるのは初めて。
 民法では父母が協議離婚する場合、一方を親権者に定めなければならないと規定。2011年の法改正で、子どもとの面会交流は、子の利益を最も考慮して決めることが盛り込まれた。だが、実際には取り決めが守られないケースもある。

面会交流の法整備求め離婚、別居した親、子、祖父母らが国家賠償提訴へ

出典:令和2年11月2日 東京新聞

面会交流の法整備求め離婚、別居した親、子、祖父母らが国家賠償提訴へ

離婚などによって別居することになった親と子の面会交流が、当初の取り決め通り果たされないケースが後を絶たない。民法に実行させる規定がないためで、面会を拒否され子と会えなくなった別居親たちが、法の整備を怠った国の責任を問うため今月、国家賠償を求める訴えを東京地裁に起こす。親子のつながりを保てる法の整備も促す。(佐藤直子)

※以下、紙面を参照ください。

親子を引き離す「単独親権制度」を放置:父母6人が国を提訴

出典:令和2年10月22日 アゴラ

親子を引き離す「単独親権制度」を放置:父母6人が国を提訴

牧野 佐千子 ジャーナリスト

夫婦が離婚する時に子どもの親権がどちらか一方にだけとなる「単独親権制度」によって、子どもと会えなくなるなどして精神的なダメージを受けたとして、子どもと引き離された経験を持つ父母6人が、こうした制度を存続させている国を相手取り、21日、慰謝料として150万円ずつ計900万円を求めた国家賠償請求訴訟を東京地裁で起こした。

離婚時の親子の引き離しや共同親権に関する国家賠償請求訴訟の動きは、2018年から沸き起こり、これで5件目。同様の訴えの動きは全国に広がっており、今後の国賠訴訟の連鎖が続きそうだ。
提訴後の記者会見では、離婚後に娘に会えなくなった原告の女性が「子どもがどんなふうに成長しているのか全然わからない。娘がどうなっているのか本当に心配。このような問題をみなさんに知ってもらいたい」と訴えた。
原告側の平岡雄一弁護士は、「憲法13条の幸福追求権には、両親が離婚しても、親子は親子であるというごく自然な『自然親子権』が保障されているはず」と主張。日本も批准している「子どもの権利条約」でも、子どもがその父母の意思に反して父母から分離されないことを確保するとしている。
だが、日本では民法819条によって夫婦のどちらか一方に親権を決める「単独親権制度」によって、離婚時に親権が一方だけに付与され、もう一方の親は、子どもと会えなくなり、連絡も取れなくなるなど、「親子の引き離し」が通例となっている。
原告側の小嶋勇弁護士は、単独親権制度は「憲法や、条約に違反する状態が続いており、この状態を放置し現在に至っている国会の立法不作為の違憲性・違法性を指摘したい」とこの訴えの意義について述べた。

近年、国際結婚の増加に伴い、日本人の配偶者に子どもを引き離される外国人当事者も増加。今年7月には、EU議会がこれについて非難決議を可決するなど、国際問題化している。

関連拙稿:「EUが日本非難!『子ども連れ去り』を止める法改正を」

実の親であっても、子どもを連れ去りもう一方の親と引き離すことは明確に違法とし、離婚後の共同養育計画書の提出を義務付けるなど、法改正を含めた早急な対策が求められている。

これまでの共同親権 / 子の連れ去り関連集団訴訟は以下の通り。(参考:作花共同親権訴訟
1. 面会交流違憲立法不作為集団訴訟
【経過】2018年3月8日東京地裁提訴、2019年11月22日棄却(前澤達朗裁判長)、2020年8月13日東京高裁棄却(白石史子裁判長)【代理人】上野晃弁護士【原告】14名
2.  共同親権訴訟(離婚後単独親権違憲訴訟)
【経過】2019年3月東京地裁提訴【代理人】作花知志弁護士 【原告】1名【次回期日】2020年11月11日(水)午前11時~ 東京地裁526号法廷
3.  養育権侵害国家賠償請求集団訴訟
【経過】2019年11月東京地裁提訴【代理人】稲坂将成弁護士・古賀礼子弁護士・富田隼弁護士【原告】12名【次回期日】2020年12月10日(木)午前10時~東京地裁803号法廷
4.【作花家族法訴訟②】子の連れ去り違憲集団訴訟
【経過】2020年2月東京地裁提訴【代理人】作花知志弁護士・大村珠代弁護士 【原告】14名【次回期日】2020年11月18日(水)午後1時30分~東京地裁626号法廷
5. 共同親権国家賠償請求集団訴訟
【経過】2020年10月21日東京地裁提訴予定【代理人】小嶋勇弁護士 ・佐田理恵弁護士・平岡雄一弁護士【原告】6名
6. 自由面会交流集団訴訟
【経過】2020年11月11日提訴予定【代理人】作花知志弁護士 【原告】十数名

離婚後の単独親権「違憲」と提訴 幸福追求権の侵害訴え

出典:令和2年10月22日 朝日新聞

離婚後の単独親権「違憲」と提訴 幸福追求権の侵害訴え

 離婚後は子どもの親権を父母の片方しか持てない単独親権制度は、幸福追求権を定めた憲法13条などに違反しているとして、東京などに住む30~50代の男女6人が21日、国を相手取り、総額900万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

 東京地裁では一昨年以降、離婚後の共同親権や面会交流を求める集団訴訟が相次ぎ、国側は「親権は憲法上の人権ではない」などと反論している。

 弁護団によると、今回の訴訟では、両親が離婚しても親子は親子であるという「自然的親子権」が、憲法13条で保障されていると主張する。

 都内で21日に記者会見した原告女性らは、「離婚後も子どもの養育に関わりたい」と訴えた。

 都内の50代の原告女性は離婚して6年間、娘の親権者だった。学校のPTA活動にも積極的に参加。子どもの成長には父親も必要だと考え、旅行や学校行事を通じて元夫と娘を交流させてきたという。

 だが、小6になった娘を一時的に元夫に預けた際に連絡を絶たれ、親権者も元夫に変更された。高校生になった娘には今も会えないままだ。「単独親権では、別居した親と交流させるかどうかは親権者の考え一つ。同じように苦しんでいる人がたくさんいることを知ってほしい」と話す。

 神奈川県の40代の原告女性は、小学生の息子2人と会えなくなっている。元夫が親権者になり、学校行事も含めて交流させると約束して離婚したのに、幼稚園からは元夫が交流を拒否しているという手紙が送られてきた。「子どもは、離婚してもパパとママの両方と過ごせることを望んでいたのに」と嘆く。

 代理人の平岡雄一弁護士は、「単独親権制度は、父母の親権争いに子どもを巻き込んでいる。国がこれを放置してきた立法不作為を訴えたい」と話した。(杉原里美)

離婚後の単独親権「違憲」 男女6人が国提訴

出典:令和2年10月21日 産経新聞

離婚後の単独親権「違憲」 男女6人が国提訴

 離婚すると父母の一方だけが親権を持つとする単独親権制度は、憲法が定める法の下の平等や、幸福追求権に反するなどとして東京都と群馬、神奈川、山梨3県の30~50代の男女6人が21日、国に1人当たり150万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 弁護団によると、6人は離婚後、元配偶者による強制的な連れ去りやドメスティックバイオレンス(DV)などが原因で子どもと離れ離れになり、親権を失った。
 原告側は「虐待などの特殊なケースを除き、離婚後も両親が共同で子どもの成長を見守るべきだ」と指摘。多くの諸外国は離婚後も共同親権とする制度を導入しているとして、単独親権を規定する民法を改正しないのは「国の立法不作為だ」と訴えている。

離婚後の単独親権は「違憲」 男女6人が国提訴、東京地裁

出典:令和2年10月21日 東京新聞

離婚後の単独親権は「違憲」 男女6人が国提訴、東京地裁

 離婚すると父母の一方だけが親権を持つとする単独親権制度は、憲法が定める法の下の平等や、幸福追求権に反するなどとして東京都と群馬、神奈川、山梨3県の30~50代の男女6人が21日、国に1人当たり150万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 弁護団によると、6人は離婚後、元配偶者による強制的な連れ去りやドメスティックバイオレンス(DV)などが原因で子どもと離れ離れになり、親権を失った。
 原告側は「虐待などの特殊なケースを除き、離婚後も両親が共同で子どもの成長を見守るべきだ」と指摘。多くの諸外国は離婚後も共同親権とする制度を導入しているとした。

結婚が破綻したとき…そこに潜む法律の“罠” 子供の連れ去り

出典:令和2年10月21日 SankeiBiz

結婚が破綻したとき…そこに潜む法律の“罠” 子供の連れ去り

 結婚-。会社の同僚や後輩から、この言葉が出た時、私たちが発する言葉は決まっています。
 「おめでとう!」
 恋愛ドラマであれば、ここでエンドロールが入ってめでたしめでたしといったところでしょうが、現実はここからが本番です。1年後、子供が生まれ、子育てに奔走する二人。抱っこをしていると、クンクン…ん? またウンチ? さっきおむつを替えたばかりなのに…。ため息をつきながらおむつを替えるその傍らで、黙々とスマホをいじる夫。「ふざけんな!」と怒り心頭の妻ですが、実は夫は取引先の急な要望に急いで返信をしていたのだとか。そんなすれ違いが積もり積もった結果、ある日、帰宅すると妻が子供を連れて家を出て行ってしまっていた。
 こんな話、聞いたことありませんか? 身近にこんな経験をした方、いませんか? 仕方ないな、元気出せよ。居酒屋のカウンターでそんな感じに励ます風景が浮かんできそうですが、実はこのいわゆる「子連れ別居」なるものが、今、国際的な大問題となっているってご存じでしょうか?

日本と海外との認識のギャップ
 今年の7月8日、EU議会は、日本国籍とEU籍の両方を持つ子供を日本人の親が連れ去ることを禁止するよう求める決議を採択しました。なんと、賛成686、反対・棄権9という圧倒的賛成多数で。このEU議会の決議について、日本ではあまり報道されていないようです。なので、多くの人が知らないのではないでしょうか。「子連れ別居」ならぬ「子供の連れ去り」。英語ではabductionと言って、「拉致」とか「誘拐」といったもっと刺激的な言葉になります。そう、欧米では他方配偶者に内緒で子供を連れて家を出ていくことは、犯罪として警察が動く事案なのです。
 この認識のギャップは、あまりにも大きく、日本の報道があまり熱心でないことも相まって、そのギャップは埋まるどころか開く一方に見えます。そして、国際結婚が破綻したとき、日本と海外との間のこの認識のギャップが一気に露呈することになるのです。EUの非難決議は、こうした日本と海外の「子連れ別居」に関する認識のギャップがもたらす悲劇なのです。
 このEUの非難決議に対して、日本政府の反応は冷ややかでした。茂木敏充外務大臣は、「決議にある『国際規約を順守していない』という指摘はまったく当たらない」とコメントし、日本が別居離婚に伴う子供の問題において、「何ら非難を受ける筋合いはない」と開き直りました。このコメントにも、その底流において、「ただの子連れ別居じゃん」という日本特有の認識が垣間見えます。たかが子連れ別居、されど子連れ別居。日本特有の慣習と言ってしまえばそれまでですが、それでもこの問題、そう一刀両断に片付けてしまってはいけない問題だと思います。なぜって、子供が関わっているから。文化とか慣習とかといった理屈抜きの言葉で押し切ってしまって、子供の本当の幸せについて考えないままで良いはずがありません。そもそも何で世界が「子連れ別居」にNO! を突き付けているのか、そのことを冷静に検討しなければなりません。もちろん、子供の視点に立って…。

「子連れ別居」という常識を疑うこと
 「子どもの権利条約」というのがあります。1989年に国連で採択され、1990年に発効、日本は、1994年に批准しています。この「子どもの権利条約」の第9条1項には、こんな規定があります。「締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する」。これが連れ去り禁止の法的な根拠です。別居などやむを得ない場合であっても、親と子が離れ離れになるためには、きちんと裁判所等で決められてからでなければなりません。「子どもの権利条約」はそのことを明記しています。
 この規定は、一貫して子供目線です。つまり、両親が離婚しようが、子供にとって親は親なのです。不条理に引き離される理由などないのです。両親が仲違いしようとも、お父さんお母さん両方の愛情に育まれながら育つことを保障してあげましょう。これが「子どもの権利条約」の意図するところです。この「子どもの権利条約」の理念が、日本では反映されていません。「子連れ別居」の名の下に。

 夫婦関係が悪くなった時、日本では、子連れ別居は非常によくある出来事です。夫が仕事に行っている間に、妻が子供を連れて実家に帰ってしまうなんて、半径3メートル以内に一例くらいはあるんじゃないかというくらい頻繁に耳にします。私は弁護士という仕事柄、こうした相談を多く耳にしますが、仕事から一歩外に出ても、こうした話はたくさん聞こえてきます。夫婦仲が非常に悪くなっていたとはいえ、突然こんな仕打ち、あんまりじゃないかと思うのですが、この子連れ別居は、いわば日本の常識となっています。
 しかし、この常識、このままで本当に良いのでしょうか。EU議会で非難決議がなされてもなお、やかましい! ここは日本だ! と言って拒絶すればよい問題なのでしょうか。「子どもの権利条約」違反だと指摘されても、だったらそんなもの脱退すればいいじゃん! なんて開き直ってしまえばよいのでしょうか。私は違うと思います。日本人は、「常識」に弱いです。「常識」と言われると、それを拒否することは「非常識」であり、社会の枠から外れてしまうのではという不安を覚えるのでしょうか。その気持ちも分からなくもないですが、時に常識を疑うということがとても重要になることもあります。特にある常識が、非常に長い時間通用している場合、その常識が、今の社会の他の常識と並べて、果たして説得力を維持できているのか、あるいは実はすでにかつての説得力を失っているのではないか、そういった検証が必要です。

 そもそもこの子連れ別居という名の常識、一体どこからやってきてどうして常識として日本全体に認められるようになったのでしょう? 実は、そこには親権争いをめぐる男女の歴史的なドラマが潜んでいるのです。
 次回のコラムでは、この点について、より突っ込んで検証してみたいと思います。

上野晃(うえの・あきら)
弁護士
神奈川県出身。早稲田大学卒。2007年に弁護士登録。弁護士法人日本橋さくら法律事務所代表弁護士。夫婦の別れを親子の別れとさせてはならないとの思いから離別親子の交流促進に取り組む。賃貸不動産オーナー対象のセミナー講師を務めるほか、共著に「離婚と面会交流」(金剛出版)、「弁護士からの提言債権法改正を考える」(第一法規)、監修として「いちばんわかりやすい相続・贈与の本」(成美堂出版)。那須塩原市子どもの権利委員会委員。

子どもの前で別居親の悪口は控えて――別居親を拒絶する「片親疎外」から子どもを守るには

出典:令和2年10月19日 Yahoo!ニュース

子どもの前で別居親の悪口は控えて――別居親を拒絶する「片親疎外」から子どもを守るには

日本では毎年約20万組が離婚し、そのうちの約6割に未成年の子どもがいる。別れた後の夫婦間のトラブルが、子どもの心身の発達に影響することも少なくない。離婚後の親子問題の一つに、「片親疎外」と呼ばれるものがある。子どもが同居親の影響を受けて、別居親を激しく拒絶する状態のことだ。かつて片親疎外になったとみられるきょうだいと母親に話を聞き、実態を探った。(取材・文:上條まゆみ/撮影:長谷川美祈/Yahoo!ニュース 特集編集部)

突然、両親が離婚

神奈川県に住む斉藤浩太さん(仮名、25歳)は、9歳のとき、両親の離婚を経験した。
浩太さんの記憶はこうだ。ある朝突然、父親の号令で、家族全員が食卓に集められた。その席で父親から、「パパとママは離婚します。ママがこの家から出ていきます」と宣言された。離婚の意味ははっきりとはわからなかったが、母親がいなくなることだけは理解した。

「母親が出ていってすぐに父方のおばあちゃんが来てくれて、家事をやってくれたし、きょうだい3人いたから特に寂しいということはなかった。数カ月も経たないうちに父親が女性を連れてきて、その人には子どもが3人いたから、家の中に子どもが6人。合宿みたいでにぎやかで、それなりに楽しく過ごしていたような気がします」

出ていった母親とは月に一度、12時間を一緒に過ごした。妹と弟も一緒で、公園に行ったり、テーマパークに行ったり。2年間は順調に面会交流が続いた。ところが、ある日を境に母親と会えなくなった。

「それから約2年間、母親とは没交渉でした。父親が母親のことを『嘘つきで浮気者』と言っていたし、僕らは捨てられたと思っていました。そのころは母親のことがはっきりと嫌いでしたね」

しかし、会えなくなる前は、月に一度の面会交流は嫌ではなかった。浩太さんに「お母さんとはなぜ突然、会えなくなったんですか」と聞くと、「よく覚えていないんです」と答えた。

浩太さんが母親と会えなくなったとき、妹の秋穂さん(仮名、22歳)は8歳だった。じつはその日、面会を禁止されたのは浩太さんだけだった。宿題をサボったことで、父親が罰として浩太さんを面会に行かせなかったのだ。

弟と2人で母親に会った秋穂さんは、母親から兄宛ての手紙を託された。母親は「(父親に)内緒で渡せたら、渡してね」と言った。秋穂さんは、父親に内緒でその手紙を兄に渡した。しかし、その手紙の存在が父親にばれた。

父親はすぐに母親に電話をして、「子どもに嘘をつかせるような母親には、今後一切、面会させることはできません」と宣告した。母親は思わず「私が嘘をつかせたわけではない」と反論した。

父親は秋穂さんに向かって、「ママがお前を嘘つきだと言ってるぞ」と言った。秋穂さんは「そんなママなら会わなくていい」と答えた。

「その事件の少し前に、父親に『会っているとき、ママはずっと携帯をいじっている』と言ったことがあるんです。特に悪気はありませんでした。そのとき、父親と新しいお母さんが、『母親の弱みを見つけた』とばかりに喜んじゃって。その姿を見て、私もうれしかったんです。新しいお母さんは躾にとても厳しくて、私はいつも叱られていました。それがこのときは褒められた。だから、手紙のときも『母親に会いたくない』と言えば、父親と新しいお母さんに褒められると思ったんです。それ以来、母親に会いたいとは全く思わなくなりました」

この“事件”を境に、秋穂さんも弟も、母親に会わなくなった。

片親疎外」とは

父母が離婚したあと、子どもが同居親の思いと病的に同一化し、虐待を受けていたなどの大きな理由がないのに別居親を拒絶する状態は、「片親疎外」と言われている。臨床心理士で大正大学教授の青木聡さんによると、「片親疎外」となる子どもの年齢は9歳(小学3年生)から15歳(中学3年生)がほとんどだという。

青木教授は、浩太さんと秋穂さんのケースについて、「軽度の『片親疎外』とみられます」と指摘する。

「ほんの数カ月前までは親のことを大好きだった子どもが、離婚後に、別居親に対して強い拒絶反応を示すようになるんです」

拒否する程度は子どもによってさまざまだ。ただ「嫌い」「会いたくない」という場合もあれば、激しく攻撃的になる場合もある。なぜそのような心理状態におちいるのだろうか。

「これまでの研究でわかっているのは、主に同居親が別居親の悪口を聞かせたり、別居親の話題を禁止したり、別居親と交流するときに悪意のある伝言を届けさせたり……といったように、子どもが相手を嫌いになるように仕向けるのが原因だと言われています」

「ただし、同居親に悪意がないケースもあります。いけないとわかっていてもついついやってしまう方、子ども相手に無意識に愚痴を言ってしまう方もいます。また、子どもの発達段階や性格特性、周囲の大人たち(別居親、祖父母、親族、離婚問題に関与する専門家など)の態度や何気ない一言も、片親疎外の悪化の要因となることがわかっています」

子どもが凶暴化することも

子どもが同調するのに気をよくして別居親の悪口を言っていたら、想像を超えるような攻撃性を見せるようになる例もあるという。

「偶然、まちなかで別居親を見かけただけで、わざわざ走っていって蹴飛ばし、『なんでここにいるんだ、ストーカーか、警察を呼ぶぞ』と騒いだ子どももいました。同居親も、『まさか子どもがここまでに(攻撃的に)なるとは思っていなかった』と」

「殺す」「死ね」などと書き連ねた手紙やメールを、別居親に送った子どももいる。

両親が離婚して不安になっている子どもは、生存を脅かされないために、同居親の歓心を得ようとする傾向にある。そこに別居親への悪口や愚痴が加わる。父母のあいだで板挟みになって苦しむ「忠誠葛藤」とは異なり、洗脳に近い状態だと青木教授は言う。

「『片親疎外』のさなかの子どもの思い込みを解くのはかなり難しいですね。年齢とともに、ものごとを多面的に見られるようになるなど、心理的な成長によって解かれることもあります。ただ、そうなると今度は、なぜ父親を、あるいは母親を、あんなに拒絶したんだろうと後悔して、苦しむ方もいます」

欧米でも片親疎外が問題に

欧米諸国では、1970年代に離婚件数が急増した際、両親の別居後や離婚後に、子どもが同居親の感情と病的に同一化して、別居親を拒絶する事例が多数の心理臨床家によって報告され、「片親疎外」と名づけられて大きな問題になった。

しかし、この「片親疎外」の概念は、監護権や面会交流をめぐる離婚紛争の法廷で濫用されることにもなった。その後、「子どもを離婚紛争の犠牲にしてはならない」という反省のもと、「子どもの最善の利益」(「子どもの権利条約」1989年採択)を中心に据え、離婚後も両親が共同で養育する制度が整備されていった。離婚する際に、子どもの発達や元配偶者と協力して子育てするためのスキルなどを学ぶ親教育プログラムの受講や、養育プランの提出を義務づけている国も少なくない。

毎年、約20万組が離婚する日本でも、片親疎外の被害は出ているが、欧米のような親教育が行われていないと青木教授は指摘する。

片親疎外が子どもに与える影響

片親疎外によって、不登校になる子が少なくない。あるいは、表面的には優等生でも、別居親のことになると目の色が変わったり、SNSの裏アカで暴言を吐いたりするなど、二面性がある場合も多い。

「片方の親を否定することは、自分の半分を自分で黒塗りにしているようなものです。そうすると、アイデンティティーの確立が難しい。寄る辺なさを抱えたり、進路で悩んだりする子が多いと思います」

自己肯定感や基本的信頼感の低さから、対人関係がうまくいきにくかったり、抑うつ傾向や依存傾向が見られたりするなど、その後の人生で生きづらさを抱えてしまうこともある。

「そうなってからでは、専門的な知識がないと対処できません。だからこそ、一次予防を目的とした離婚時の親教育が非常に重要な意味を持つのですが、日本ではそこが全然足りていない。『子どもの前だから相手の悪口は控えよう』というブレーキすらかけていない方が多いですね」

子どもたちの現在

浩太さんと秋穂さんは、現在、母親の良子さん(仮名、48歳)と共に暮らしている。
秋穂さんは、小学6年生のある日、父親と大げんかをして家出をした。

「新しいお母さんは面倒見のよい人だったけど、異常に厳しくて、私は毎日勉強づけでした。あまりに居心地が悪くて、逃げ出したんです」

浩太さんは、家を出ていく妹に「裏切り者」という言葉を投げつけた。
その浩太さんも、2年後、やはり父親とのけんかをきっかけに、母親の元にやってきた。当時をこう振り返る。

「実はそのころ、まだ母親のことは嫌いでした。でもほかに行くところもなかったし、悪い言い方をすれば、利用してやろうという気持ちもありました」

良子さんと暮らし始めた浩太さんは、ことあるごとにキレて罵倒した。

「おまえなんか俺を捨てたくせに!」

良子さんはただひたすら受け止めた。そのうちに、浩太さんの内面に変化が生じた。
「あるとき、母親の涙を見て、『こんなこと言っちゃいけない』と気づきました。母親に悪いというより、その言葉が自分自身を傷つけているような気がしたんです」

そのうち、親が何をしようと、どんな人間だろうと、自分には関係ないことだと思えるようになった。20歳になる前のことだった。

「母親と暮らすなかで、当時の話をいろいろ聞いて、僕らを捨てたわけじゃないことは理解できました。でも、離婚の原因については正直、どっちも悪いだろって思っています。『子どもに会えなくて苦しかった』と言われても、自業自得だろって」

浩太さんは今、建設関連の仕事をしている。社会人6年目、施工主と職人に挟まれて、現場をまわしていかなければいけない。肉体的にも精神的にも疲れる仕事だ。

「たくさんつらいことがあったけど、おかげで強くなれました。なんだかんだ、この両親のもとに生まれてよかったと思っています。もし両親がそろった家でのんびり育っていたら、絶対、心が折れて仕事辞めてますもん」

その横で、秋穂さんもこう言った。
「私はまだ、この環境で育ってよかったとまでは思えない。でも、たしかにメンタルは強くなったかも」

別居親の視点

良子さんは、子どもたちの片親疎外にどのように対応したのだろうか。良子さんの視点で、離婚からここまでの経緯を振り返ってもらった。

父親の号令で家族全員が食卓に集められて離婚が宣言されたとき、良子さん自身も寝耳に水だった。

「いきなりの離婚宣告に衝撃を受けながらも、仕事があるので、とりあえずその日は私も元夫も出勤し、翌日、離婚届を突きつけられました。私が近所の男性と浮気をしていると決めつけてのことでした」

良子さんに不貞行為はなかったが、2人きりで会って話をしたことがあり、それを元夫に目撃されていた。

「男性と2人で話をしていたことイコール不貞だと言われ、私が悪いんだと思ってしまい……。元夫はすぐ手が出る人で恐ろしかったこともあり、子どもにはいつでも会わせるからと言われて、元夫を親権者とする離婚届に判を押してしまったんです。あまりにも無知でした」

その後2年間は、3人の子どもと順調に面会交流ができていた。ところがある日、浩太さんだけが来なかった。良子さんは浩太さん宛ての手紙を書いて、秋穂さんに持たせた。

「私が『内緒で渡せたら、渡してね』と余計なことを言ってしまった。大人にそう言われたら子どもは『内緒にしなきゃ』と思いますよね」

結果として、元夫は激怒し、「今後一切、面会させることはできない」と宣告された。先述の“手紙事件”だ。それ以来、面会交流は途絶えた。

数カ月後、良子さんは親権者変更と面会交流を求めて家庭裁判所に調停を申し立てたが、不首尾に終わった。

良子さんは、同じ経験をした親の集まりに出かけていくようになった。自分から子どもたちに会いに行かなければと思い、小学校や中学校の校門の前や通学路に立ち、姿が見えるのを待った。

秋穂さんは、はじめのうちはそっけなかったが、少しずつわだかまりが解けていった。思春期を迎え、自分の意思が出てきた秋穂さんは、母親とときどき顔を合わせるなかで、やさしいお母さんが好きだったことを思い出した。

良子さんの場合は、苦しみながらもアプローチを続けたことが同居につながった。

青木教授は、離婚時の親教育の重要性を強調する。

片親疎外に当たる事例は本当に難しくて、子どもは傷ついているのに、『傷ついていない』と思ってしまっていることが問題なんです。傷ついていることにあとでしか気づけない。片親疎外を避けられるかどうかは、親の態度にかかっています。絶対に、相手の悪口を子どもに言わないでください。そういう、子どもを守るための基本的な親の態度を学ぶために、離婚時の親教育が必要なのですが、協議離婚(家裁の手続きを経ない離婚)が9割の日本では、ほとんど野放しです。ここを制度として整備していくと同時に、裁判所をはじめ、国や地方自治体の担当者など、離婚後の子育てにかかわる各種専門家は、親子関係に何が起きているのかをより注意深く見ていく必要があると思います」

上條まゆみ(かみじょう・まゆみ)
1966年、東京都生まれ。教育・保育・女性のライフスタイルなど、幅広いテーマでインタビューやルポを手がける。近年は、離婚や再婚、ステップファミリーなど「家族」の問題を追求している。

In Japan, divorce can mean losing access to children. Many parents want that to change.

出典:令和2年10月19日 The Washington Post

In Japan, divorce can mean losing access to children. Many parents want that to change.

By
Simon Denyer and
Akiko Kashiwagi
Oct. 19, 2020 at 6:00 p.m. GMT+9
TOKYO — When Izumi finally tired of her husband's multiple affairs, she decided it was time to separate and made plans to take their three young children with her.

以下、記事を参照ください。
https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/japan-children-custody-divorce/2020/10/18/f7421d62-077f-11eb-8719-0df159d14794_story.html

被害を訴えたもの勝ち?DV支援措置は「不貞がバレない」欠陥制度か

出典:令和2年10月16日 アゴラ

被害を訴えたもの勝ち?DV支援措置は「不貞がバレない」欠陥制度か

牧野 佐千子 ジャーナリスト

「DV被害」を受けていた女性の住所などが載った書類を、誤って「DV加害者」に送付したとして、札幌市が13日に会見し、謝罪した。メディア各社も市の会見に基づき報道。ネット上では、「下手したら命の危険性に関わる」「ミスで済まされない」と市の対応を非難する声とともに、「DV加害者」と報道されたK氏に対して「市にわざと情報漏洩されたテロリストのストーカー」などといった誹謗中傷の声もあふれている。だが、実際の経緯を詳しく聞くと、事情は異なるようだ。

札幌市の発表によると、女性Aさんは、去年12月に夫Kさんからの暴力などの被害を防ぐため、別居先の住所などが載った戸籍の附票をKさんに交付しないように、市に求めた。Kさんがその措置を不服とし審査請求をしたため、戸籍住民課の40代の女性職員が必要書類を送った際、誤って被害女性Aさんの住所などが書かれた書類を同封した、とのこと。

このニュースで、多くの一般の人が抱くイメージは、「DV夫に被害女性の情報を流した市の取り返しのつかないミス!」だろう。

だが、渦中のKさん本人に経緯を聞いてみると、状況は異なる。

夫Kさんと妻Aさんは、2018年6月に別居。翌年7月にAさんが、別居しているはずのKさんの世帯と住所を使って国保に加入しようとし、その際に住民票を異動してないことが区役所に知られ、区役所がAさんに住民票の異動を指導。

このあとAさんは、行政の配偶者暴力相談支援センターにKさんによるDVの相談をしに行き、「DV」などの「加害者」に住民票の写しや戸籍の交付を制限する「支援措置」の申出書を提出。

Aさんは別居時に不貞をしていたとして、Kさんはその事実を確認するために探偵に依頼し、今年1月の段階では、不貞の事実とAさんらの居所を知っていたという。

つまり、「妻の居所をさがすDV夫に、市が誤って妻の住所を交付してしまった」わけではないのだ。Kさんはすでに、Aさんの住所を知っていたのだから。

Kさんは「札幌市は最悪の問題解決手法を取った。そもそも、妻はDV支援措置の被害者でなく、僕は支援措置の加害者に該当しない。けれど、大した検討もせずに申出書を受ければ被害者と加害者を市町村役場が設定すること自体が間違っている。DV支援措置ではなく不貞の支援措置になっている」と憤る。

ある法律の専門家は、「加害者」とされている者に住所が知られるのを支援措置で防ぐ場合、その「加害者」がすでに住所を知っている時は、「探索目的がないので支援対象情報にする必要性がない」という。当該の札幌市の支援措置届出書にも「加害者が、その住所を探索する目的で」との記載がある。

そのうえで、「もともと情報漏洩がないので札幌市は謝罪は不要だった。また、報道機関もこんな報道をした効果は、名誉侵害だ」と指摘。Kさんは、札幌市の対応について、国家賠償請求の訴訟を起こすことも視野に入れている。

神奈川県に住む別の男性は、妻からの暴力を訴えてきたが「男性のDV被害の相談件数が少ないからか、神奈川では市区町村で支援措置は受け付けないです。県で1か所。それでも数年前よりはマシです」と話す。

支援措置の決定の際の、DVがあったかどうかの事実確認も「相手方の裏どりは全くなく、私の主張は通りました」と、「被害を訴えたもの勝ち」となっていて、十分な確認をしない制度を疑問視している。

ある市の支援措置に携わる担当者は、「今の制度では、被害者と主張する方を守ることを優先しており、その方の主張が本当であれ嘘であれ、その方の住民票を守ることになっています」と語る。本当に被害に遭っている人を緊急で守るために、「嘘か本当か確かめるのに時間を使うことはできず、今の制度が続いてしまっている」という。

深刻なDVを受けて安全な場所へ緊急避難した被害者にとっては、居場所が加害者に知られることは恐ろしい。そのような被害者を守るためにある支援制度には、自身の不貞行為を隠すために利用できる「欠陥」があることがわかった。そして、嘘か本当か確かめる時間もないままに、行政やメディアから「加害者」と決めつけられた人の深刻な人権侵害が起きているのも事実だ。

このまま欠陥を放置してしまっては、制度自体の信用性がなくなり、本当のDV被害者も救われないのではないだろうか。

別居で面会が不自由は「違憲」 離婚の十数人ら国賠提訴へ

出典:令和2年10月10日 共同通信

別居で面会が不自由は「違憲」離婚の十数人ら国賠提訴へ [#if378fd7]

 離婚などで別居する親子や祖父母と孫の面会交流について、具体的な権利義務規定がないため不自由さを強いられるのは基本的人権の侵害で違憲だとして、10~70代の男女十数人が国に1人当たり10万円の損害賠償を求めて来月にも東京地裁に提訴することが10日、分かった。

 民法では、父母が協議離婚をする場合、一方を子の親権者に定めなければならず、面会交流の条件も父母が話し合って決めるとしている。面会交流を巡る同種訴訟は他にも係争中だが、原告側によると、子ども側も原告に加わるのは初。

 代理人の作花知志弁護士は「子の健全な成長のため国は法整備を進めるべき」と話している。

※下記は、10月10日の北海道新聞 夕刊に経済された記事です。
画像の説明

離婚後の養育、子どもの目線で 面会交流を求めて、母親ら訴え

出典:令和2年10月7日 朝日新聞

離婚後の養育、子どもの目線で 面会交流を求めて、母親ら訴え

結婚が破綻(はたん)した夫婦の子どもの養育について、法務省も参加する研究会が議論をしています。父母の一方が子どもを連れて別居すると、もう片方の親と子どもが会えなくなったり、養育費が支払われなかったりすることが問題になっているためです。子どもにとって望ましい離婚後の養育制度について探りました。(杉原里美)

 ■親権争いで連れ去りも「精神的な虐待では」

「ママにも会わせて」

 「我が子に会いたい」

 9月半ば、子どもと別れて暮らしている親らでつくる「親子の面会交流を実現する全国ネットワーク」(親子ネット、会員512人)が、都内で記者会見を開いた。夫婦の離婚や別居で子どもと引き離された母親ら23人が参加。子どもとの面会を訴えるプラカードを掲げ、苦しい胸の内を語った。

 3年間、3人の子と会えていない30代の母親は、子連れで夫と別居しようとした日に、夫と義母が子どもを実家に囲い込み、引き離された。

 家庭裁判所に申し立てたが、家裁は「現在子どもは問題なく生活している」と現状を認め、別居中に子どもを監護するのは夫と指定した。

 女性は面会交流が認められず、手紙や写真の交流だけに。夫から送られてきた写真には、子どもが母親からの手紙を破っていたり、「しね」「ババア」などと書かれた紙を持っていたりする姿が写っていた。学校に相談しようとしたが、子どもと同居していないため、離婚の成立前なのに保護者と認めてもらえず、話も聞いてもらえなかった。「子どもへの精神的な虐待ではないか」と児童相談所に調査を依頼したが、「身体的な虐待ではない」と対応してもらえなかったという。

 別の30代の母親は、離婚協議中だった7年前、夫と義父母、義兄夫婦によって、当時5歳と2歳だった子どもを義兄の運転する車に押し込められて連れ去られた。夫から「有利な離婚の仕方を知っているから」と言われたことを思い出し、「このことだったのか」と気づいたという。

 彼女の場合は連れ去りが悪質だとして、家裁の審判で1年後に子どもが引き渡されたが、これは異例なことだ。

 日本では1960年代半ば以降、親権を母親が持つ離婚が増え、9割にのぼる。そのため、親子ネットは従来、子どもと会えない父親会員が主流だった。だが近年、母親会員が急増し、約3割いる。アンケートに協力した母親50人のうち、離婚や別居前に主な養育者だった人は90%、夫から暴力を受けていた人は76%にのぼる。家裁の手続きなどで子どもの引き渡しを求めたのは42人、そのうち引き渡された人は3人に過ぎない。

 武田典久代表(52)は、「子どもを手元に確保すれば、監護の継続性で親権や監護権の獲得に有利になるという情報が知られるようになり、父親による連れ去りも増えたのではないか」と話す。

 日本では、離婚届で親権者を決めて提出するだけの協議離婚が9割弱を占める。民法では、離婚時に父母との面会や交流、養育費の分担を協議すると定められているが強制力はなく、家裁の調停や審判で取り決める人はわずかだ。

 ■会う日程など書面義務化、子の心理状態を親に教育 韓国

 日本と同じように、離婚届を出すだけの協議離婚制度がある韓国では、2008年から、子どものいる夫婦については、離婚届と同時に、養育費の金額や受取口座、面会交流のスケジュールを決めて記入した養育協議書を家庭法院(家庭裁判所)に提出することが義務づけられた。

 父母の取り決めを実行させるための後押しもある。養育費には、養育費履行管理院という徴収機関が設置されている。ソウルなど8カ所にある家庭法院のうち3カ所には「面会交流センター」が併設され、月2回、最長1年まで無料で利用できる。今秋には、同センターのホームページを開設し、今後5年間で地方法院(地方裁判所)も含め12カ所に設置する計画だ。

 離婚届を提出する際には、家庭法院で子どもの心に寄り添うための親教育を受けなければならず、離婚相談も法院内で受けられる。面会交流センターを持つ仁川家庭法院のチェ・ボッキュ前院長は、「子どもの心理状態を教育することで、夫婦の葛藤が緩和され、子ども目線で考えられるようになる」と話す。

 仁川家庭法院では、年間約200件の面会交流を実施しているという。

 日本では、厚生労働省が面会交流を支援する事業を行う自治体に補助する制度があるが、利用は東京都、沖縄県、北九州市など9自治体にとどまる。親子ネットは、「養育費に比べて、面会交流の議論が進んでいない」として、支援の拡充を求めている。

 法務省や学者、弁護士らが参加する「家族法研究会」が、別居中や離婚後の子どもの養育のあり方について議論を始めたのは昨年11月だ。

 立命館大の二宮周平教授(家族法)は、「日本の協議離婚は、当事者の協議にゆだねることになっているが、実際には話し合いはできていない」と指摘。「家裁が、離婚が子どもに与える影響や基礎的な情報を父母に提供し、自治体が離婚相談に対応する仕組みを作れば、韓国のような制度は導入可能だ」と話す。

菅政権に期待できるのか? EUが自問する「日本の子供拉致」問題

出典:令和2年10月7日 NewsPhere

菅政権に期待できるのか? EUが自問する「日本の子供拉致」問題

◆日欧間だけではない子供の拉致
 子供の拉致問題は、日欧カップルだけの問題ではない。国際離婚で起こりやすい問題を挙げる『ル・フランセ・プレス』は、同じ欧州内においても、片方の親がドイツ人であるとき、監護権の問題が発生しやすいことなどを指摘している。

 また、日本国内における日本人同士の離婚でも、上に挙げた単独親権が原因で、子供とのつながりを絶たれる親は多い。「日本では6人に1人の子供が片方の親とのコンタクトを完全に失う結果」(フランス2)となっている。フランス2のドキュメンタリーは、そうした日本の親を支援するNGO団体の様子もレポートしている。

◆守るべきは子供の利益
 子供と引き離された親の嘆きには身につまされるものがあるが、ハーグ条約および児童の権利条約に立ち返り、諸々の判断の根拠としなければならないのは、子供の利益、不利益である。

 たとえば2、3歳で日本に連れ去られた子供を例に考えてみよう。その子供は、どんな不利益を被り、何を失うのか? まず、生活環境が急激に変わることで起こる諸々の負担。失うものはさらに多い。会えなくなった親や親戚から注がれるはずだった愛情を直接感じる機会を失くす。元にいた国の友人との交流、そこから得られるはずだったものすべて。獲得するはずだった言語、文化、風習、価値観、経験、そのすべてを失うことになる。言ってみれば、自分のなかにあるもう一つの国の人間というアイデンティティそのものを失くす恐れがあるのだ。

 ハーグ条約が守ろうとしているのは、子供の権利なのである。親の都合ではなく子供の利益を優先させること。これを国際条約で定めた意義は大きい。その根底を忘れてはならない。

◆国際的な枠組みの取り決め
 これを重視し、国境を越えた子供の不法な連れ去りや留置をめぐる紛争に対応するための国際的な枠組みとして定められたのが、1980年に採択された「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」だ。同条約締結国はいまでは約100ヶ国に上る。日本はG8諸国のうちでは最も遅かったが、2014年に正式な締結国となった。

 ハーグ条約は、連れ去られることで起こりうる有害な影響から子供を守ることを目的に、「原則として元の居住国に子を迅速に返還するための国際協力の仕組みや国境を越えた親子の面会交流の実現のための協力について定めて」いる(外務省ホームページ)。

 また日本はハーグ条約締結に先立ち、1989年第44回国連総会において採択された「児童の権利に関する条約」も1994年に批准している。この「児童の権利条約」8条には、「締約国は、児童が法律によって認められた国籍、氏名及び家族関係を含むその身元関係事項について不法に干渉されることなく保持する権利を尊重することを約束する」ことが、また9条3項には「締約国は、児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する」ことが明記されている。

◆日本の不履行
 つまり、もしも国際結婚をして国外に住んでいた日本人親が、外国人親の了解を得ずに子供を日本に連れ去ってしまった場合、日本はその子を元の居住国へ戻すための「すべての適当な措置をとる」立場にあることになる。

 ところが、実際には、日本はこの義務を果たしていない。少なくとも諸外国はそう見ている。たとえば、ディディエ欧州議員は、「二国間カップルの別れに際し(中略)日本の当局は必ず子供の監護を日本人親にゆだねる」(ル・ポワン誌、9/25)と、欧州議会に報告している。同誌はさらに、「外国人親に子供を訪れる権利が付与されることは決してない。ヨーロッパの裁判官による決定が下されたときも、日本の裁判所はこれを強制することがない。ひどい例としては、日本人の親の家の前に現れたヨーロッパ人の親が、警察に逮捕されたこともある」(同)現状を報道している。これは明らかに日本が批准した条約に反するというのが、ディディエ議員の訴えだ。

 フランス2テレビ局は2019年、日本人親による子供の拉致問題のドキュメンタリーを放映した。元妻が連れ去った子供に一目会いたいと、限りある予算と時間のなかで言葉の不自由な異国で奮闘し絶望する父親たちの姿は、連れ去り側の親が拒否すれば、連れ去られた側の親は、子供に近づくすべを持たないという日本の実情をよく表しており、大きな反響を呼んだ。

◆欧州議会による対日決議
 批准した条約内容を守らない日本に業を煮やした欧州議会は今年7月8日、日本に対する厳しい決議を採択した。内訳は、賛成686票、反対1票、棄権8票という圧倒的多数による決議だ。その主張は次の通り。まず、欧州議会は、「日本の親による実子の拉致増加に危惧の念を抱く」。そうして、日本は「子供の拉致について国際ルールを遵守していない」と考え、日本に「連れ去られた側の親が(中略)子供たちに近づき訪問する権利について裁判所が下した決定を効果的に執行するよう強く要請する」。さらに、「日本の欧州連合国民である子供たちは、彼らの権利を保障する国際協定が提供する保護の恩恵を受けなければならない」ことを強調する。

 かなり厳しい表現で書かれたこの決議について、茂木敏充外務相は7月14日に記者質問に答える形で、「日本としてはハーグ条約の対象となる事案については、(中略)一貫して適切に対応してきている」と発言したのみだ。つまり、日本が国際規約を遵守していないという指摘は正しくないという認識を示した形だ。

◆共同親権と単独親権の違い
 この双方かみ合わない主張の根っこには、離婚後の親権制度の違いがある。日本以外の先進国では、離婚後も父母双方が共同親権を持つのが通常なのに対し、日本では離婚後は一方の親にだけ親権を認める単独親権制度をとっている。そのため、ほかの国では、到底あってはならない「拉致」を実行する親が、日本では罪に問われることすらない。フランス2の番組内でインタビューを受けた日本の法学者、山本和彦教授は、「子供の連れ去りを推奨しているわけではないが(中略)、これは我々の法制度の派生と言える」問題だと認めている。同教授の言葉は、日本の一般的な空気を良く表している。曰く「日本では母親による子供の連れ去りは誘拐とは見なされません。深刻な犯罪とは見られないのです。日本では「誘拐」とは呼ばず「遠ざけ」と呼ばれます。良いことではありませんが、犯罪でもないのです」というものだ。「法律の改正も必要だが、人々の意識を変えるのが先決だ」とも言えよう。

 実は、日本でも父母の離婚後の子供の養育のあり方を検討する動きはある。その証拠に、今年4月には「父母の離婚後の子の養育に関する海外法制調査結果」が法務省民事局から発表されている。ただ、その動きは速いとはいえず、法の改正を待っていては、現在連れ去られている子供たちは成人してしまうのではないかと思える。

◆日欧間だけではない子供の拉致
 子供の拉致問題は、日欧カップルだけの問題ではない。国際離婚で起こりやすい問題を挙げる『ル・フランセ・プレス』は、同じ欧州内においても、片方の親がドイツ人であるとき、監護権の問題が発生しやすいことなどを指摘している。

 また、日本国内における日本人同士の離婚でも、上に挙げた単独親権が原因で、子供とのつながりを絶たれる親は多い。「日本では6人に1人の子供が片方の親とのコンタクトを完全に失う結果」(フランス2)となっている。フランス2のドキュメンタリーは、そうした日本の親を支援するNGO団体の様子もレポートしている。

◆守るべきは子供の利益
 子供と引き離された親の嘆きには身につまされるものがあるが、ハーグ条約および児童の権利条約に立ち返り、諸々の判断の根拠としなければならないのは、子供の利益、不利益である。

 たとえば2、3歳で日本に連れ去られた子供を例に考えてみよう。その子供は、どんな不利益を被り、何を失うのか? まず、生活環境が急激に変わることで起こる諸々の負担。失うものはさらに多い。会えなくなった親や親戚から注がれるはずだった愛情を直接感じる機会を失くす。元にいた国の友人との交流、そこから得られるはずだったものすべて。獲得するはずだった言語、文化、風習、価値観、経験、そのすべてを失うことになる。言ってみれば、自分のなかにあるもう一つの国の人間というアイデンティティそのものを失くす恐れがあるのだ。

 ハーグ条約が守ろうとしているのは、子供の権利なのである。親の都合ではなく子供の利益を優先させること。これを国際条約で定めた意義は大きい。その根底を忘れてはならない。

揺らぐ”親権制度” 届かなかったSOS 娘を失った男性の思い

出典:令和2年9月29日 テレビ新広島

揺らぐ”親権制度” 届かなかったSOS 娘を失った男性の思い

特集は子どもの「親権問題」について考えます。日本では夫婦が離婚した場合、片方の親を「親権者」として定める「単独親権制度」をとっていて、実は近年、離婚後に我が子に会えなくなり、悩みを抱える親が急増しています。「親権制度」に翻弄される1人の男性を取材しました。

江邑幸一さん、47歳。江邑さんには月に1度、必ず訪れる場所があります。そこに眠っているのは、16歳の若さで亡くなった長女の寛世さん。6年前、自ら命を絶ちました。

【江邑さん】
「いつもここでこうやって。ごめんなさいということで」

江邑さんは2006年に元妻との間で離婚が成立。娘2人の「親権」を失い、当時、寛世さんとは離れて暮らしていました。

【江邑さん】
「『ゴメンね』しかないですね。『ゴメンね』というのと。助けることができなかった」

深く刻まれた「後悔」と「自責」の念。江邑さんには、当時も今も「親権」の壁が立ちはだかっています。離れて暮らすようになってから、寛世さんの身に何が起きていたのか? 娘が死にいたった経緯について、語ってくれました。

【江邑さん】
「お父さん子のままで行ったので、お母さんの言うことをまず聞かない。だんだん会話もしなくなり、そういうささいなことが年月を重ねることで追い込まれていったと思う」

次第に家庭内でも孤立していったという寛世さん。中学生になる頃には児童相談所の支援を受け、児童養護施設で暮らすようになっていました。

【江邑さん】
「面会交流で月1回と決まっていたので、月1回で会ってました。その時は全然、普通の親子喧嘩というか。児相に引き取られたくらいにしか思ってなかった」

この時、江邑さんは、娘を引き取るため「親権変更」の調停を申し立てましたが、一度、失った「親権」を取り戻すことはできませんでした。

【江邑さん】
「親子関係が崩れている証拠だし、私の方に変えてくださいとしましたけど、調停員は児相で元気にしてますよと。変える必要はありませんと言われました。何で子供の意見を聞いてくれないんだろうと」

その後も母親との関係は悪化。一時保護や里親の下での暮らしを余儀なくされた寛世さんは、当時の苦しい胸の内を日記に記していました。

【日記吹き替え】
「こっちはたぶん期待してたんだ。誰かが家に帰らなくてもいい何かを提案してくれることを。信じてたのに」
【日記吹き替え】
「私は親との摩擦に心底、疲れました。もう消えてしまいたい。」

寛世さんから確かに発せられていたSOS。しかし、その情報が親権のない江邑さんのもとへ届くことはありませんでした。そして、2014年児童相談所は親元へ戻す「家庭引き取り」を決定し、寛世さんはその2ヵ月後、帰らぬ人となりました。

【江邑さん】
「まさかね…亡くなるとは…。一番は何でそうしたのとは思いますけど、逃げたかったところを逃がしてあげられなかった。子供がコチラに来るようにいろんなことを考えてできなかったかなとか」

死の2カ月後、娘の生前の記録や死の原因を知るため、児童相談所を訪ねた江邑さんでしたが…

【江邑さん】
「児相として「やることはやりました」と。「お父さんには親権がないのでそれ以上は教えられません」と。」

さらに児童相談所を所管する山口県にも情報公開を求めましたが、ここでも寛世さんの個人情報に対する「相続権」がないことなどを理由に却下され、かろうじて公開された文書は、重要な部分がほとんど黒く塗り潰されていました。悩んだ末に江邑さんは、今年3月、原因の究明などを求めて広島地裁への提訴に踏み切りました。

【江邑さん】
「事実を知りたい。子供がどうやって、どういう判断でどういう対応をされて、亡くなっていったのか。二番目は名誉回復は必ずしたい。原因が子供じゃないと。それだけを言って欲しいだけなんだと自分では思ってます」

ある日、江邑さんが訪れたのは、福山市で開かれた「交流会」。参加者はみな、離婚後に「親権」を失い、子どもとの面会が思うようにできなくなった親たちです。

【参加者】
「1年経った後に元の奥さんが再婚したんですね。再婚してそれで会わないでくれと」
【参加者】
「子供が生まれてすぐに連れ去られて全く会わせないという風に向こうがした。私と子供の時間はもう帰ってこないしなぜ何も悪いことをしていない私と子供がこのように引き離されないといけないのか」

【江邑さん】
「親権がなければ何もない。死んだ後でもこんなに冷たい仕打ち。悔しくて悔しくて」

司法統計によると、2018年度に申し立てられた子どもの「面会交流」に関する調停の数はおよそ1万3千件にのぼり、20年前の5倍以上に増加。そのため国は現在、離婚後も両親が子供の養育に関わっていく「共同親権」の導入について、研究会を立ち上げて議論を進めています。

【江邑さん】
「自由に子供が自分の意志で行ったり来たりできれば、共同親権があればこの子は助かってましたとそれは確実に言えることだと私は思っています」

2019年度の婚姻件数は約59万件。離婚件数は約21万件。夫婦の3組に1組が離婚するといわれる時代、「親権問題」は誰の身にも起こりえます。

(スタジオ)
VTRにも出てきた離婚後も両親が親権を持つ「共同親権」ですが、実は欧米諸国では主流の考え方となっています。一方、国内ではこの「共同親権」の導入には慎重な意見もあり、特に家庭内暴力などを背景に離婚した場合の安全対策などに強い懸念が示されています。

まだまだ議論は必要ですが、江邑さんと寛世さんのような悲劇を繰り返さないためにも、いま一度、子どもの視点に立ち返って、制度を見直していく必要があるのではないでしょうか。

別居・離婚で配偶者に子ども連れ去られ、会えなくなるなんて…

出典:令和2年9月28日 東京新聞 特報Web

別居・離婚で配偶者に子ども連れ去られ、会えなくなるなんて…

(2020年9月27日東京新聞に掲載)
 夫婦の別居や離婚に際して、同意なく子どもを連れ去られ、一方の親が子どもと会えなくなるケースが増える中、子どもと引き離された父母が、連れ去りを防ぐための立法を怠った国の不作為を違憲だと主張し、前例のない国家賠償請求訴訟を起こした。憲法13条(幸福追求権)などを根拠に、子どもと生き別れにならない法の整備を国に求める。(佐藤直子)

夫が不倫、暴力…そして3人の子どもたちを
 「今は3人の子と離れて暮らしています。なぜ母親の私が子どもたちと会えないのでしょうか」。長女(12)、長男(11)、次女(8つ)の母である原告の会社員ユカリさん(38)=仮名=が法廷で訴えた。7月下旬、東京地裁で開かれた第1回口頭弁論では、30~50代の原告14人のうち、2人の女性が裁判への思いを語った。
 ユカリさんは夫に子どもたちを連れ去られ、3年以上会えていない。きっかけは不倫を重ねる夫に離婚を切り出したことだった。夫は給与を家計に入れず暴力もふるった。ある日交際女性に子どもを会わせ、一緒に遊びに行っていたことが発覚。ユカリさんは同居のまま家裁に離婚調停を申し立てた。4年前のことだ。

 だが、夫は離婚を拒否。調停員はユカリさんに「別居もせず離婚は本気か」と疑問を投げかけ、調停は不成立に。ユカリさんが別居準備を始めた時に、夫は3人の子を強引に義母の家に連れて行ってしまった。
 ユカリさんは、夫が自分の母親に子どもたちを預けて交際相手と生活している証拠を、監護者(子どもと生活をともにし、世話や教育をする人)の指定を争う調停に提出。子どもを連れ戻そうとしたが、「子らは問題なく生活している」「不倫は子の福祉に影響しない」と判断され、子の監護者は夫に指定されてしまった。

「ママだいきらい」の手紙はだれが
 それだけではなかった。裁判所は母と子の面会交流も認めず、月1回の手紙のやりとりを許可しただけ。夫から送られてきた手紙には「ママだいきらい」と書かれ、同封の写真には、ユカリさんが送った手紙を子どもが破る姿、「しね」「ばばあ」と書いたメモを持っている姿が写っていた。
 父親が仕向けたのなら心理的虐待だ。離婚は成立しておらずユカリさんは今も親権者。だが、子どもの様子を知りたくて学校に相談しても「同居親ではない」との理由で何も話してもらえず、児童相談所に調査を訴えても「虐待には当たらない」と放置されたという。

親が連れて行ったから」警察にも相手にされず
 もう1人の女性原告は、オーストラリア出身の高校教師キャサリンさん(50)。17年前に来日して日本人の夫と結婚。夫婦、長女(16)と長男(11)の4人で暮らしていたが、3年前、結婚15年のお祝いの場で夫から突然離婚を切り出された。キャサリンさんが拒むと夫は単身別居を始め、2カ月後に戻ってくると離婚訴訟を提訴。昨春、キャサリンさんが仕事で不在の間に子どもたちを連れ去った。
 キャサリンさんもまた今も親権者だが、以来、子どもに一度も会えていない。警察に訴えても「親が連れて行ったんでしょ」と相手にされない。「連れ去りという手段があるなんて知らなかった。母国オーストラリアには連れ去りを防ぐ法や仕組みがあるから、離婚で子どもと引き離されるなんて私には理解できない」と怒りと悲しみを語った。

背景に単独親権制
 「同意なき連れ去り」は深刻化している。実数は不明だが、厚生労働省の調査では、年間20万件の離婚のうち子どもがいるケースは12万件。離婚や別居後に離れて暮らす子と定期的に会えている親は3割しかいない。原告らも「仕事から帰ったら家がもぬけの殻」「妻(または夫)が子どもを連れて出たきり戻ってこない」と不意打ちのように子と引き離されている。
 なぜこのような連れ去りが横行するのか。訴訟代理人の作花知志弁護士は「根底には離婚後、単独親権しか選べない日本の民法の問題がある」と指摘する。

 民法は、婚姻中は両親が共同で親権を持つが、離婚後は父母どちらかしか持てないと定める。離婚後も父母ともに親権を持つ「共同親権制度」が主流の欧米やアジア各国とは違う。」だから共同で親権を持つ婚姻中に子どもを配偶者から引き離し、別居した家庭で先に同居を始め、監護者や親権の指定を有利に得ようとする親が多い」

家裁は「連れ去った者勝ち」の傾向
 事実、「子育ての継続性」を重視する家裁は連れ去りを追認するように、子と同居中の親の方を監護者や親権者に決める傾向が強い。多くの離婚案件にかかわってきた作花氏は「連れ去った者勝ち」を肌で感じてきた。「同業の弁護士には、相談者に『子どもと暮らしたいなら先に子を連れて別居を』と助言する人もいる。だが、連れ去った者勝ちは不正義だ」
 さらに刑法上の問題もある。他人が子どもを連れ去った場合、未成年者略取・誘拐罪が適用されるが、親による連れ去りには適用されない。原告たちが警察に訴えても相手にされなかったのはそのためだ。

 作花氏によると、欧米などでは子どもから一方の親を引き離すのは虐待とみなされ、連れ去り防止のために  ①連れ去った親に刑事罰を科す ②連れ去った親を後の監護者指定で不利にする ③両親の意見が対立した際の解決ルールを設ける―などの方策が国によって定められているという。
 国際結婚した夫婦が離婚の時に子を連れ去る問題も起きて、日本は2013年、国境を越えた子の奪取を禁じた「ハーグ条約」を批准した。しかし政府は国内での連れ去りには「違法ではない」との立場を取ってきたため欧州連合(EU)から解決を迫られ、昨年から共同親権制度導入についての検討を始めた。
※以下、紙面参照

収束まで子どもに会えない離婚親の悲痛な叫び

離婚後の子の不幸は同居親への遠慮から生じる

出典:令和2年9月28日 東洋経済ONLINE

収束まで子どもに会えない離婚親の悲痛な叫び

 新型コロナウイルスは、家族関係にも大きな影響を及ぼしているようだ。外出自粛で家族が顔をつき合わせることが増え、それまで外で息を抜くことで保っていた関係が一気に煮詰まり、家族トラブルが深刻化。当初は、それこそ「コロナ離婚」が増えるのではないかと懸念された。
 ただ実際には、離婚件数はむしろ減っている。厚生労働省の調査によれば、今年1〜6月に離婚した夫婦は10万122組で、昨年同期比で1万923組少なかった。これについては、コロナ禍により夫婦の絆が強まったわけではなく、家裁調停が停止するなど社会全体が活動を自粛しているため、決断を先延ばしにしている夫婦が多いからだという見方もある。
 いま目に見えて進行しているのは、親子関係の「コロナ断絶」だ。別居・離婚後の親子がなかなか会えない。家裁での面会交流調停が滞っているほか、コロナを理由に面会交流が実施されないケースは多い。
首都圏在住の小西貴之さん(仮名、50歳)は、1年半前に離婚。元妻は、当時10歳と8歳の子どもを引き取り、四国の実家に連れて帰った。そこには高齢の両親がいる。
「人生観の違いから、互いに納得して別れました。養育費は1人月3万円ずつ、面会交流は好きなときにいつでもと、2人で話し合って決めました」
どちらが悪いというわけではない、性格の不一致による離婚。小西さんは心機一転、それまで住んでいた東海地方から首都圏に引っ越し、仕事も変えた。子どもが暮らす四国とは遠く離れているので、しょっちゅう会うことはできないが、その分、会ったときには思いきり交流を深めようと思った。
それなのに。コロナ以降、小西さんは子どもにまったく会えていない。
「4月、まだ緊急事態宣言が発令される前のこと。休みが取れたので、久しぶりに子どもたちに会いに行こうと思い、元妻に連絡したんです。そうしたら『父親が来るなと言っているので、やめてくれ』と。元妻の父親には糖尿の持病があるので、万が一にでも私から子どもを通じて感染したら困る、というわけです。もう航空券も取ってしまっていたので、相当頭にきましたが、そのときは泣く泣く諦めました」
子どもたちとは、週1回ほどスカイプを通じて交流していた。しかし、生身の交流とは違う。膝に乗せたり、プロレスごっこをしたりは、オンラインではできない。子どもたちに会いたい! 緊急事態宣言も解除された7月、小西さんは再び元妻に連絡をとった。
「そろそろ会いに行こうと思うんだけど」
元妻の返事は、「NO!」だった。
 「いつになったらいいのかと聞いたら、ワクチンができたら、と言われて絶句しました。そんなに待てませんよ! 語弊があるかもしれないが、田舎でテレビばっかり見ているせいで、必要以上にコロナを恐れている年寄りの意見を聞いていたら、永遠に子どもに会えなくなってしまう」
どんなに小西さんが頼んでも、元妻は面会を許してくれない。コロナ前には当たり前のように行われていた別居・離婚後の親子の面会交流だが、同居親の感情次第で簡単に絶たれてしまう。小西さんは、やり場のない怒りに苦しんでいる。

■ 子どもに会えない苦痛で精神科通い
離婚後、離れて暮らす親(別居親)と子どもが面会することに消極的な同居親は少なくない。関西地方在住の古川正樹さん(仮名、40歳)は、6歳の子どもの父親で、2年前に離婚した。夫婦どちらにも借金や暴力、浮気などの非はなく、離婚の理由は、性格の不一致。
「当時、息子は4歳でかわいい盛り。離れて暮らすことは耐えがたかったのですが、すでに夫婦仲は修復不可能なほどギクシャクしており、息子にも悪影響が出始めていたので、いったん私が家を出ることにしました」
別居前の話し合いでは、子どもにはいつでも会える、ということで合意していた。ところが、古川さんが家を出た途端、妻は家の鍵を閉め、電話にも出なくなった。まだ幼く、完全に同居親の監護下に置かれている子どもと別居親がつながる手段はない。古川さんは、子どもに会えなくなった。
夫婦間の葛藤が強い場合、同居親が子どもと自分を同一視し、「自分が相手に会いたくないのだから、子どもも会いたくないはず」と思ったり、自分がいやな思いをさせられている相手に子どもが懐くことを嫌がったりすることはよくある。子どもに会えるも会えないも、同居親の一存で決まってしまう。古川さんは別居親になって初めて、この現実に直面した。
「気が狂いそうになり、精神科にもカウンセリングにも通いました。その後、調停を経て正式に面会交流が決まり、いまは定期的に子どもに会えています。でも、子どもと会えないと気づいたときの恐怖感からは、2年経ついまも抜け出せていません」
離婚の際、子どもの親権が争われることがある。日本では婚姻時は父母による「共同親権」だが、離婚後は、片方の親による「単独親権」だからだ。親権を得た親は、子どもを「自分のもの」だと勘違いしてしまうことがある。「ひとり親」という言葉が、それを助長している。
しかし、死別ではない限り、離婚をしても子どもにとって親は2人。もちろん、虐待やDVなどがある場合はまた別の議論が必要だが、原則、離婚後も子どもは両方の親から経済的・精神的支援を受けて育つ権利がある。同居親の「感情」でそれを奪った場合、親子の断絶は子どもの人生に長く尾をひくこともある。
 
都内在住の杉山真帆さん(仮名、48歳)は、小学生のころに両親が離婚。母親のもとで育った。昭和の時代、面会交流などは一般的でなく、父親とは会わずに過ごした。しかし高校生になり、父親に会ってみたくなって母親に相談。母親は渋りながらも連絡をとってくれ、父親との再会を果たした。
「父はすでに別の家庭をもっていましたが、私はそんなに気になりませんでした。本をたくさん読んでいて大人びた子どもだったせいか、私って小説のヒロインみたい、と思ったくらい(笑)」
会ってみたいと思ったのは、どんな人だか自分の目で確かめたかったから。母親から聞く父親像は、「わがままで自分勝手で見えっ張り」。でも、本当はどうなのか。思春期に入り、母親に対し、女同士だからこその反発心も芽生えていた。
「母親の言葉だけを鵜呑みにするわけにはいかないと思ったんですよね」
実際の父親は、極悪人ではなく、悪いところもあればいいところもある普通の人だった。「確かに母親とは合わないな」ということだけは、よくわかった。それで真帆さんは、なんとなく納得した。
細々と交流が続き、父親は10年ほど前に亡くなった。
「亡くなって思うのは、もっと頻繁に会っていればよかった、ということ。どうしても母親に遠慮する気持ちがあって、会うのを控えてしまっていました。大人なんだから、会っても報告する義務なんてないのに、なぜか正直に言わなきゃと思い込んでいた。子どもって、同居親の気持ちを過剰におもんぱかるところがあります」 

■ 子どもへの甘え、その先に虐待も
幼い子どもは全身で親を求めてくれるから、つい親は子どもの愛に甘えてしまう。他人にはとても言えないような言葉や態度で子どもを叱ってしまうのも、こんなにしても子どもは親を好きでいてくれる、と思っているから。愛していれば何をしてもいい、子どもは私の気持ちをわかってくれるはずだ。その甘えの先に、虐待があることもある。
子どもが会いたいと言わないからそれでいい、としている同居親は多い。しかし、「子どもの本当の気持ちに気づいてほしい」と真帆さんは言う。会いたいけれど、言えないのかも。会いたいと思ってしまう自分を責めて、口をつぐんでいるのかも。嫌いになれば、自分も同居親も楽だから、無意識にそうしているのかも……。
「もちろん、子どもは会いたくても、別居親のほうに子どもへの愛情が欠けているケースもあります。でも、その事実も踏まえたうえで、子どもは自分で親への思いに決着をつけたほうがいいと思うんです。不自然に妨げられると渇望だけが募り、子どもはなかなか親から卒業できません」
親子の「コロナ断絶」で不幸になる子どもが1人でも少なくなるように。真帆さんは心から願っている。

親による「連れ去り」の当事者が語る 片親から引き離れた現実と共同親権議論の“問題点”

出典:令和2年8月23日 AERAdot.

親による「連れ去り」の当事者が語る 片親から引き離れた現実と共同親権議論の“問題点”

 今、別居に際して一方の親が子どもを“連れ去る”行為が問題となっている。国内では14人の原告による国への集団訴訟に発展し、EUからは「子どもへの虐待だ」として対日決議が出されるなど、国内外で波紋を呼んでいる。本サイトでも「親による『子の連れ去り』が集団訴訟に発展 海外からは“虐待”と非難される実態とは」の記事で取り上げた。問題の根は深く、一方の親が「これは連れ去りで、実子誘拐だ」といえば、もう片方の親は「DVを受けていた。逃れるために仕方なかった」など、通常は親同士が激しく主張をぶつけ合っている。では、当の「子ども」はどう感じているのだろうか。自らを「連れ去りの当事者だった」と語る男性に話を聞いた。

*  *  *

 家庭裁判所が親権者や監護者、または面会交流について決める際、最優先に考えるのは「子の福祉」だとされている。2012年には民法が改正され、「子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない(766条1項)」と定められた。つまり、子の監護者は、親の都合や感情ではなく、子の福祉(利益)を最優先に考えられる人物であることが法的にも求められている。これまでの“連れ去り”をめぐる裁判でも「子の福祉」は大きなテーマとなってきた。

 では、実際の「子」の立場からは、突然に一方の親と会えなくなる現実はどう映っているのだろうか。

 都内に住む30代男性・Aさんは小学6年の3月に、母親から突然こう言われた。

「中学の制服は買わなくていい。みんなと同じ中学には行けないからね」

 当時、Aさんは生まれ育った北陸地方に家族で住んでいた。当然のように友達と一緒に地元の中学に行くものだと思っていたので面食らったという。理由を聞くと、

「お父さんはもう帰ってこない。違う町に引っ越すから。お前もついて来なきゃいけない」

 母親のこの言葉にますます混乱した。確かに、単身赴任中だった父親があまり帰ってこなくなったとは感じていたが、なぜいきなり引っ越すのか。父が帰ってこないのなら、どこに行って、誰と住むことになるのか。Aさんは理解ができずに「何で?」と繰り返した。すると、母親は激高してこう言ったという。

「もし来ないなら、お前を警察に突き出すからな! そうしたら牢屋に入れられるぞ!」

 まだ12歳だったAさんは母親の言葉が現実になるのではないかとおびえ、母親に付いていくことに決めたという。というより、まだ1人で生きていく術を持たないAさんは、母親に従うしかなかった。

 一方で、父親に会えなくなることには納得できなかった。単身赴任で九州の大学に勤めていた父親は、博学でいろいろな話をしてくれた。おおらかで包容力のある父親がAさんは大好きだったという。両親がけんかをしている記憶もほとんどなく、なぜ突然父親に会えなくなるのか、まったく理解できなかった。

「子の意思とは関係なく、母の都合だけで父と会えなくなり、環境が一変してしまう。僕は、今問題になっている『連れ去り』の当事者だったのだと、後で気づきました」(Aさん)

 Aさんは3歳下の弟を連れて母親と一緒に関東地方に移住することになった。待っていたのは「新しい家族」だった。

 義父となる男性にはAさんより年上の姉弟の子どもがいた。義父、実母、義姉、義兄、実弟、Aさんの6人がいきなりひとつ屋根の下で暮らすことになった。そんな状況で心を開けるわけもなく、Aさんは「新しい家族」を避けながら生活していたという。

「基本的に義父とは一言も話さずに生活していたし、義兄もすでに大学生で年が離れていたので関係は希薄でした。義父の方針で家族全員で夕食を取ることは決められていましたが、無言の食卓でしたね。家に居場所はありませんでした」(Aさん)

 ほどなくして、夫婦関係も破綻し始める。同居から4カ月後には、義父と実母が頻繁に言い争うようになり、義父は手当たり次第にモノを投げて暴れ始めた。気の強い実母が義父に抗議をすると、今度は手を出して殴る。それをAさんがとがめると、義父はAさんのことも殴った。

「もちろん義父のことは嫌でしたが、無理やりこんな家に連れてきた母にも嫌悪感があったので、僕はどちらの味方もしませんでした。でも、けんかを止めないと安心して寝られないし、命に関わる場面もあったので、仲裁役に回ることにしました。双方の主張を聞くと、けんかの原因は僕の養育費だとわかったのです」(Aさん)

 夫婦げんかではAさんが“伝達役”にされた。義父から呼ばれると「お前にいくら金がかかると思っているんだ。もう出せる金など1円もないと(実母に)言っておけ!」と言われる。それを実母に伝えにいくと「そんなお金でやっていけるわけないでしょ! 養育費だってそんなにもらってないのに」と反論される。Aさんは義父と実母の両方から「お前のせいだ」と言われているように感じたという。

「居場所どころか、自分の存在価値まで否定された気持ちでした。僕は望んで母についてきたわけじゃないのに、なんでこんな目にあわなきゃいけないのかと。毎日が地獄のようでした」(Aさん)

 そして同居から10カ月がたった中学1年の冬、またしても家を出ることになった。ある日、母親から段ボールを渡されて「大事なものを入れろ」と命じられた。訳もわからずに段ボールに詰めると、それを運送会社に持っていかれ、そこで母親からは「もうここには戻らないから」と告げられたという。だが、せっかく新しい中学校の生活に慣れてきた時期に再び何の相談もされずに引っ越しをさせられることに、Aさんは強く反発した。親の都合で何度も環境を変えられることに、心底うんざりしていたという。

「自分は1人になっても中学1年の終業式には出る、と強硬に母に主張しました。それだけは納得してくれたようで、終業式までの3カ月間は家族3人で4畳一間の旅館のようなところを転々として、そこから学校に通いました。『最寄り駅だと義父に見つかる』と言うので、学校から離れた駅の宿に泊まって、午前4時に起きて通学していました」(Aさん)

 念願の終業式に出たAさんは、中学2年の春に再び北陸地方に戻り、祖母と4人で暮らすことになった。そこから地元の高校、東京の大学へと進学した。母親は専業主婦だったので、学費は高校は祖母が、大学は離れて暮らす実兄が用立てしてくれたという。

 そして社会人になった27歳のとき。ついに実父と会う機会を得た。ネットで名前を検索すると、タウン誌に同姓同名が掲載されていることがわかった。実兄の妻が連絡を取ったところ、本人であることがわかり、再会が実現したという。その時の様子をAさんはこう振り返る。

「両親は、僕が10歳のときにはすでに離婚が成立していたみたいです。でも、父は『子どものことは忘れたことはない』と言って、小さい頃の写真も持ってきてくれました。僕は平静を装っていましたが、泣きそうなくらいうれしかった。離婚の原因は、母の実家との確執であることもわかりました。実は弟には知的障害があるのですが、そうした子が生まれたのは父の家系のせいだと、祖母からずっと責められ続けていたようです。閉鎖的な土地柄なので、このまま一緒にいたら子どもたちにも悪い影響が及ぶかもしれないと離婚を決意したと。僕は母から『お父さんは浮気をした』と聞かされていたので驚きました。父もすでに新しい家庭を築いていて、僕にとっては妹になる女の子もいる。義母もすごくよくしてくれて、1年に1度は父の家に遊びにいく関係になりました」(Aさん)

 その一方で、実父に会いにいったことを知った母親は激怒したという。「二度とこっち(北陸地方)には帰ってくるな!」「おまえは家に入れない!」と罵倒された。だが、すでに自立しているAさんは「母も子どもの気持ちを引き留めたくて必死なんだと思います」と語るように、親と距離を置いて関係性を考えられるようになった。

 Aさんは自身の経験を踏まえて、共同親権をめぐる今の動きに対してこう話す。

「僕は共同親権の導入には賛成の立場です。一度目は同意のない『連れ去り』だと思っていて、結果的にDVまで受けることになった。二度目はDVから子どもを守るための『連れ去り』に近いと思いますが、僕の同意なく環境を変えられたことには変わりありません。何よりも15年以上も一方的に父との関係を遮断されたことは、精神的な虐待でさえあると思っています。子どもの同意なく『連れ去る』ことは心理的な虐待につながることもわかってほしいです。ただ、今の共同親権の論争については、推進派も反対派も政治闘争になっている側面があり、本質的な『子の視点』からずれてしまっているように感じます。先の集団訴訟は世間の関心を喚起するアクションだとは思いますが、子が巻き込まれる過酷な現状にまで目が向いていないのは残念です。議論から子どもを切り離さず、親からの視点ではない、本質的な『子の福祉』を考えてほしいと思っています」

 壮絶な体験をしながらも、今の共同親権の議論にも問題提起をするAさん。「賛成派」「反対派」という立場で議論を分断すべきでない、というAさんの言葉はとても重い。(取材・文=AERAdot.編集部・作田裕史)

離婚時にやめて欲しいこと!子どもの苦しみに気付いてますか?「片親サバイバー」の声。

出典:令和2年8月22日 Yahoo!ニュース

離婚時にやめて欲しいこと!子どもの苦しみに気付いてますか?「片親サバイバー」の声。

明智カイト 『NPO法人 市民アドボカシー連盟』代表理事

片親サバイバーとして子どもたちをサポートしているランさんに引き続きお話を伺いました。

離婚、再婚、連れ去り被害の経験から片親に苦しむ子どもをサポートする「片親サバイバー」とは?(明智カイト)

「片親サバイバー」とは?

ランさんは「片親サバイバー」と名乗り、片親に苦しむ子どものサポートや、「不都合な片親」だった場合に子どもがどれほど理不尽で苦しい状態に立たされているのかを伝える活動をしています。また、片親サバイバーを生み出す原因となっている「離婚後単独親権制度」の弊害や、「連れ去り別居(実子誘拐)」という違法行為についての認知普及活動など、健全で幸せな親子関係構築のお手伝いをしています。

子どもの運命も左右する第三者の存在

ランさんが大人になってから、子の連れ去りの裏には多くの場合に「第三者」が介入していることがわかってきました。たとえば友人や職場の同僚、信頼できる知人、役所の相談員や弁護士などなど、夫婦関係のことを誰に相談するかによって子どもは幸せになるか、不幸になるかが大きく変わってしまいます。少なくともランさんが子ども時代に経験してきた虐待や差別偏見を伴った「片親環境」は、適切な第三者が介入していれば生まれなかったのに、と思います。

もっと具体的に説明すると、相談する第三者が「一方の親の幸せ」を考えるのか、それとも「子どもの幸せ」を考えるのか、その視点の置き方によって子どもたちの「片親環境」は大きく左右されるのです。

気を付ける必要があるのは離婚弁護士に相談するケースです。なぜなら弁護士は客観的に見えますが「一方の親の利益」を考える存在であり、決して「子どもの利益」を優先する存在ではないからです。そして多くのケースにおいて「一方の親の利益=親権」なのです。そのため、子どもがその後どれだけ過酷な「片親環境」に置かれるかも知らず、子の連れ去りを指示するケースが後を絶ちません。子どもの幸せがないのに、幸せになる家庭などありません。

子の連れ去りは「一方の親の幸せ」に基づいた行為

『連れ去られる時に「なんで黙って出て行かなきゃいけないの?」と思っても、声に出せば母親から叩かれ、子どもながらに「不誠実な何か」をしている感覚が強くありました。「相手に見つかったらどうなるの?」「なんで誰にも言わずに出て行くの?」と真っ暗な道をあてもなく歩いているような感覚です。その闇に飲み込まれて自分がどす黒くなっているように思えて、とても恐ろしかったのを今でも覚えています。平たく言えば、犯罪者になった気分でした。』と、当時の出来事をランさんは振り返ります。

連れ去り後の片親環境は本当に過酷です。犯罪者のような思いを抱えながら生きて行くだけで、いつ心が潰れてもおかしくはありません。そのような環境下で、子どもにとって親は2人なのに、まるで1人しかいないかのように育てられます。事実、ランさんの家では「父親」の話はタブーでした。口にすれば「そんなに父親がいいならもうお前を育てない!出て行け!」「自分で金を稼げ!」「産まなきゃよかった!」「一切、ごはんを作ってやらないからな!」などと言われたそうです。実際に食事がなく、お腹を空かせたことも幾度となくありました。両親が別れるのは仕方ない…、子ども心にもそれくらいはわかります。しかし、もう一方の親に会えない理由は何度考えても答えが見つかりませんでした。

ランさんは「私の声を聞いてくれる人はいないのかな…」とよく思ったそうですが、子ども寄りの第三者がサポートしてくれていればこれほど過酷な「片親環境」もなく、親子の交流も絶たれることはなかったと言います。両親との健全な交流があるだけで子どもは後ろめたさを感じず家庭の話を友人たちにできるようになり、ずっと生きやすくなります。しかし、弁護士が介入している場合は、ほぼ親子の交流は断絶してしまいます。一方の親と別れたからもう会いたくない、そんな子どもは基本的にはいません。むしろ別れたからこそ、子どもは親に「会いたい」と思うものです。

もちろんすべての弁護士が悪いわけではなく、多角的にアドバイスをする人もいるでしょう。しかし、ランさんの知るケースでは、夫婦仲に問題がなくても強引に離婚させられたり、依頼人の意向を無視して弁護士が調停や裁判を起こしたりすることもありました。「やめたほうがいいよ」と連絡を入れる友人や知人に対して、弁護士が直接「連絡とったら訴えるぞ!」という主旨の脅迫めいたメールを送って夫婦仲が回復しないよう第三者にまで圧力をかけるケースもあります。果たしてそのようなことが行われていて、その後の家庭が幸せになるでしょうか。

無理な別れ方をすればその家庭に次の幸せは訪れない

たとえば再婚を考えている相手のことを「この人のこと、どう思う?」と、子どもに聞く親がいます。ランさんの場合は再婚相手の家に住むことになってから尋ねられましたが、「えっ、それを聞く前に、離婚の仕方に納得しているのかをなんで聞いてくれないの?」と、順番逆でしょ!と訝しく思ったそうです。

子どもにとって納得した「別れ方」ができていないのに、再婚したところで義理の親子がうまくなんていきません。むしろ険悪になります。ここでつまずいていることが、昨今のような虐待死の事件を引き起こす一因になっているとランさんは感じていました。

『夫婦の問題を解決する際、「子どもの幸せ」を中心に考えるかどうかで、子どもの幸せはもちろんその後の「片親環境」は大きく左右されてしまいます。とくに調停や裁判などは、書面上の争いが激化し、子どもにとっては「最もしんどい」環境です。その場合は弁護士だけではなく心理や児童の専門家も必ず間に入るように制度化するなど、「依頼人の幸せ」ではなく「子どもの幸せ」を中心に考える第三者が必要だと実体験も含めてつくづく思います。それが結局、家庭の幸せになるからです。間違っても、私のように「お前はどっちの親がいいんだ!」などと問われることがない環境を子どもに用意してほしいと思います。』と、ランさんは訴えていました。

親による「子の連れ去り」が集団訴訟に発展 海外からは“虐待”と非難される実態とは

出典:令和2年8月22日 AERAdot.

親による「子の連れ去り」が集団訴訟に発展 海外からは“虐待”と非難される実態とは

―別居した夫婦の子どもが一方の親に連れ去られた状態のまま放置されているのは、法の未整備が原因――こう訴える別居中の親ら14人が、国に対して原告1人あたり11万円の国家賠償を求める集団訴訟が7月29日、東京地裁で始まった。原告側は、「片方の親がもう片方の親から一方的に子どもを引き離す子の連れ去りを禁止する法規定がないのは、子を産み育てる幸福追求権を保証した憲法13条に違反し、連れ去られた子の人権も侵害している」と主張。一方、被告の国は、請求棄却を求めて争う姿勢を示している。離婚後は父母のどちらかを親権者とする「単独親権」の問題はこれまでも議論されてきたが、集団訴訟にまで発展した背景には何があるのか。
*  *  *
「法治国家なのに連れ去った者勝ちというのは、理屈からしたらおかしい。先に引き離してしまえば、親権を得るうえで断然有利になる。この状況を放置しているのは、先進国で日本だけです」

 今回の訴訟で原告側代理人を務める作花(さっか)知志弁護士は、日本の「立法の不備」を指摘する。ここでいう「連れ去り」とは配偶者の同意なく、一方的に子どもを連れて別居し、片方の親との関係を(一時的に)断ち切ることを指す。作花氏によれば、国が「連れ去り」を禁止する刑法や民法、手続法を定めていないため、子どもを「連れ去った親」に目立った問題がなければ、裁判所がそれを追認するケースがほとんどだという。

「『法がおかしい』というよりも、『法がない』と表現するのが適切です」(同)

 こうした状況下では、別居中の親が「子どもに会えない」と訴えるケースは後を絶たない。作花氏は、その原因の一つが「離婚後の単独親権制度」にあると指摘する。民法では、離婚時に一方の親にしか親権が与えられないと規定されている。ひとり親世帯のうち、別居親と子の面会交流は44・3%しか実現していない(厚労省・2016年度「全国ひとり親世帯等調査結果」)。面会交流の取り決めをしていない理由については、「相手と関わり合いたくない」という回答が約24%を占めた。

 作花氏は、日本の単独親権制度は「国際社会から逸脱しており、時代遅れだ」と指摘する。世界的には、1980~90年代にかけてアメリカをはじめ、フランスドイツなどが次々と共同親権に切り替える動きが加速。2020年現在、G7加盟国で「離婚後共同親権」の制度を採用していないのは日本だけだ。

 また、日本も批准しているハーグ条約では、片方の親が一方的に16歳未満の子を海外に連れ去った場合、残された親の求めに応じ、原則として元の居住国へ引き渡すと規定されている。国内の「連れ去り」は条約の対象ではないものの、今回の訴訟で原告団は、「日本も国境を越えた連れ去りを禁じるハーグ条約に加盟しているにもかかわらず、国内の連れ去りを放置しているのは違憲・違法である」と主張している。

 こうした状況を「子どもへの重大な虐待だ」とみなした欧州連合(EU)は7月8日、日本人の親が国内で子どもを連れ去り、別れた相手と面会させないことなどを禁止する措置を早急に講じるよう、日本政府に要請する決議案を採択した。

 EUの対日決議を機に、「ようやく動き始めたという実感があります」と語る作花氏。11月には、自由な面会交流を阻む法制度について国の責任を問う別の訴訟も控えており、原告の中には親だけでなく、片方の親に会えなくなった子どもも含まれているという。

「こうした問題は連れ去られた親の人権だけでなく、子どもの権利の問題でもあります。本来、家族法は子どものためにある。子どもの成長にとってマイナスにならないよう、国が介入していかなければならない。解決規定となる法律を、国会が制定すべきです」(同)

 民間だけでなく、国会議員から国への働きかけも活発になっている。6月25日には、約90名の議員が所属する超党派の議連「共同養育支援議員連盟」が、森雅子法務相らに対し、養育費不払い解消に関する提言書を提出。離婚の際は、養育費の支払いと面会交流の双方を含む共同養育の取り決めが、離婚成立の要件とするよう求めた。

 議連に所属する三谷英弘衆院議員は「養育費の確保と親への面会、両方が必要だ」と訴える。

「子どもにとって必要なのは、成長できる環境。お金だけあれば子どもは育つわけではなく、愛情をもらう機会も不可欠です。物理的な面と精神的な面がそろって、初めて成長できる環境が整うのです。そのため、金銭面だけでなく、子どもが親にアクセスする環境を整えていくことも我々の使命です」

 三谷氏は子どもの親権をめぐるトラブルについて、「両者が交渉を進めるうえで、対等な関係にないことは問題だ」と指摘する。

「連れ去って育てている側が、絶対的に優位な側にいる。子どもを育てている側からすると、譲歩する必要性がないのです。一方、引き離された側は、何とか下手に出て、会いたいと乞うしかない。ひとたび子どもを取られ、会うのを拒否されれば、会うための手段がないのです」

 こうした状況になれば、子どもとの面会交流にも影響を及ぼすことになる。三谷氏は「夫婦間のいざこざで、不利益を被るのは子どもです」と強調する。

「面会を拒まれれば、自分のルーツや、愛情を注がれる機会を断ち切られてしまう。離婚した親からしたら、過去を忘れたいというのが本音だと思いますが、子どもがいる以上、過去は清算できません。子どもの利益を最大化していくことが大事なので、別れてもお互いが父親であり母親なのだという意識が広がってほしいです」

 では、こうした実態を国はどう捉えているのか。

 集団訴訟について見解を問うと、法務省の担当者は「(今回の訴訟については)厳正に対処する。国として立証すべきことを果たしていく」とし、それ以上のコメントは控えた。だが「あくまでも一般論だが」と前置きしつつ、こう続けた。

「法律に不備があるとはとらえていない。離婚前後に取る手続きは、現行法でも十分に対処できる内容。その法律をどう運用するかは裁判所の判断になるが、制度がないというのは誤解」

 親権者の決め方についてもこう述べる。

「親の状況や子の状況を総合的に判断して決めるので、子を連れ去った側が自動的に親権者になるわけでは決してない」

 EUからの非難決議が出されたことについて見解を問うと、

「一つの意見としては受け止める。だが、制度に関していえば、国境をまたぐ事案も国内の事案も、条約違反であるとは認識していない」

 と答えた。ただ、「その使い勝手や運用に対して、さまざまな批判があることは認識している」とも認める。

「ただちに違憲や条約違反とはならないと捉えているが、未来永劫、今の法律が100%正しいというわけではない。今後も意見を受け止めていく」(同前)

 集団訴訟にまで発展した「連れ去り問題」は、別居後の親子関係を変える契機となるのか。裁判のゆくえが注目される。(取材・文=AERAdot.編集部・飯塚大和)

面会交流「同居親の協力が必要」当事者ら議論

出典:令和2年8月20日 沖縄タイムス

面会交流「同居親の協力が必要」当事者ら議論

 離婚などで離れて暮らす親と子が会う「面会交流」について学びを深めようと、オンライン講座「こどものための面会交流支援」が15日あった。子どもの心理に詳しい大学教員ら3人が講師を務め、両親の争いが子どもに与える影響や支援機関を整備する重要性を語った。離婚家庭の関係再構築をサポートする沖縄共同養育支援センターわらびの主催。ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使い、離婚の当事者や家族支援に携わる人など約30人が視聴した。

 公認心理師で東京国際大の小田切紀子教授は、日本の家庭裁判所で決定する面会交流の頻度について「一律に月1回、数時間程度」とされることが多いと説明。「子どもの記憶はキャパシティーが小さく1カ月に1回だと(別居親を)忘れてしまう。子の年齢に応じた取り決めが重要で同居親の協力も不可欠」と述べた。面会交流の実施が対立する父母に委ねられていることを課題に挙げ、家裁と面会交流支援機関が連携し取り決めをフォローできる制度のほか、全都道府県への支援団体の設置、行政による資金助成の必要性を訴えた。

 小田切教授はドメスティックバイオレンス(DV)などが問題になった場合、加害親を被害親と子から遠ざけ家族を解体することが主な解決方法になっているとも指摘。双方からの丁寧な聞き取りとともに「暴力の再発防止に向けた矯正プログラムが重要」とし、安全・安心を最優先しつつ親子交流を促す視点が大切と説いた。

 精神保健福祉士で沖縄大の名城健二教授は、幼少期に受けた暴力や育児放棄などで人間形成に支障をきたす「愛着障害」を解説。親など特定の人との愛情を深められずに育ったことで周囲に強い警戒心を抱いて素直な態度が取れなかったり、逆に見知らぬ人にも無警戒に接してトラブルになったりする状態で、両親の離婚も要因になりうるという。愛着障害は衝動性や多動性の側面で先天性の脳機能障害である発達障害との区別が難しく、誤認されているケースもあるだろうとの見方を示し「見立てを間違えて対応すると、子どもを傷つけてしまうことにつながる」と懸念した。

 また、名城教授は自殺願望や性依存が強かった男子大学生の事例を挙げ、小学生の頃に親が離婚し、大好きな父親と説明もなく離ればなれになった見捨てられ不安が背景にあったとおもんぱかった。「親は子どもの年齢に応じて離婚理由や今後の生活について説明しなければいけない。適切な説明がないと子どもの心に大きなしこりが残り、人格形成にも悪影響を与えかねない」と訴えた。

 公認心理師でわらび理事でもある琉球大の草野智洋准教授は面会交流の基礎的な知識を講義。スタッフが父母の間に入って連絡調整や子どもの付き添い、共同養育プログラムなどを実施するわらびの活動内容を紹介し「沖縄の子どもたちの未来のため、活動に協力と支援をお願いしたい。まずはこの問題に関心を持ってほしい」と呼び掛けた。

「あの子が死んだのかもしれません」~子の連れ去りabductionにあった母の悲しみ

出典:令和2年8月18日 Yahoo!ニュース

「あの子が死んだのかもしれません」~子の連れ去りabductionにあった母の悲しみ

田中俊英 一般社団法人officeドーナツトーク代表

■ 「こんな暑い日、あの子はどう過ごしているだろう」

前回僕は、離婚時の「連れ去り/拉致abduction」の被害にあった(子どもを一方的に連れ去られた)「別居親」の悲しみについて書いた(「パパ、神経衰弱しよう」~連れ去られた親の「抜け殻」感)。

それは父親の悲しみに若干特定してしまった感があったので、今回は母親の悲しみについて書く。

父親と同じく、理不尽な理由で離婚時に我が子を連れ去られた/拉致abductionされた母親は、数は少ないながらも存在する。

その理由はさまざまだろうが、「この場面は自分が引いたほうが子どもが悲しまないで済む」的な、女性ジェンダー的(受動的な配慮に基づく)理由もあるようだ。それは、男性元パートナーと闘うよりは自分が一歩引いたほうが子どもにとっては楽なんじゃないかという、配慮と態度だ。

その葛藤の奥には、それぞれのカップルの事情はあると思う。だから、目の前の傷ついている母に対して、カウンセラーの僕もそこまでなかなか聴くことはできない。

そのため、「別居親」に追いやられた理由に関しては、今のところその原因の一般性にまでは僕は到達していないのだが、子どもとの別居後、その子を思い日常を過ごす母たちのあり方はわかる。

それら別居母、拉致によって子どもから引き離された母たちは、日常を淡々と過ごしている。けれども、その日常には常にいなくなった子どものことが含まれている。

たとえば、

「こんな暑い日、あの子はどう過ごしているだろう」

「こんな大雪の日、あの子は無事学校から帰ることができているだろうか」

「コロナにあの子はかかってはいないだろうか」等。

■「こんなことで泣いてはいけないんですが」と言いつつ、謝る

そんな日常(どんな時も子どもを思う日々)を送っている母たちの表情からは、そのように常に子を思い子を心配する思いはなかなか読み取れない。

けれども、離婚時に子を拉致/abductionされた悲しみの傷は、常に抱き続けている。

諸事情があって、その悲しみと理不尽さをTwitterなどでは表出できないけれども、常に子を思うことに関しては、前回取り上げた別居親である父と変わりない。

実の母だもの、当たり前だ。

たとえば僕は、ある早朝に突然、Facebookのメッセンジャーを受け取ったことがある。それは、

「朝、ネットを見ていると、某県の中学で、プールでの事故があったという記事が目に入りました。その県は、私の息子が住んでいる県なのです。理性で考えるとそのプール事故で亡くなった生徒さんと私の息子が一致することはないのですが、どうしても心配してしまって」

と書いている。

何回かやりとりするうちに結局は電話することになり聞いていくと、その母は号泣してしまう。号泣しながらも僕に、「スミマセン、スミマセン」と謝る。

僕はそうした事態にはある意味慣れているため、何も謝られる必要はないが、その母たちは泣きながら謝る。

「こんなことで泣いてはいけないんですが」

と言いつつ、謝る。

■あの子は生きているのだろうか

子を授かったという喜びは、その子がいつ死んでしまうかもしれないという強迫観念に襲われ続けることと並列にある。

その強迫観念は、どんな親も抱いているのではないかと僕は想像している。こんなかわいい子どもを私は抱くことができた。今はたまたまこうして抱擁し幸福に包まれているが、この幸福はいつまで続くかはわからない。いついかなるアクシデントで、この幸福が破壊されることはありえる。

世の幸せな母たちは、子を抱擁しつつも、こうした強迫観念に苛まれていると僕は想像している。

ましてや、子どもとは関係のない夫婦間の離婚という事態で予想外に我が子と引き離された時、その強迫観念は常に別居母たちを襲い続ける。

あの子はいま何をしているのだろう?

あの子は生きているのだろうか。

あの子は死んだのかもしれない。

死んだはずはないに決まっているが、ニュースで流れるその死亡事故と、わたしの子どもの死がどうしてもつながってしまう。子どもと同居する親(元夫)に電話しても笑われるか無視されるだけなので、失礼とは思いながらもカウンセラー(僕)にメールしてしまう。結局は電話し、泣いてしまう。どうしても、プールで死んでしまった中学生と、わたしの息子の死がつながってしまうから。

その死で、わたしと彼(息子)のつながりがまったくなくなってしまうから。

そして、わたしも死にたくなるから。

そんな切実な思いを抱きつつ、子を奪われた親たちが日々過ごしていることを、子と同居している一方の親や拉致abductionを支持した弁護士は理解しているのだろうか。

早朝に目覚め、ついつい見てしまったスマホに現れたそんなニュース(プール事故等)から、ひとりベッドで泣く母たちの思いを、我々は想像することができるだろうか。

EU議会の対日決議で話題に…「共同監護」「共同親権」とは?

出典:令和2年8月18日 幻冬舎 GOLD ONLINE

EU議会の対日決議で話題に…「共同監護」「共同親権」とは?

離婚後、問題になることが多い「親権問題」。今回は世田谷用賀法律事務所の代表者、弁護士の水谷江利氏が「共同監護」「共同親権」について解説します。

日本では認められていない「共同親権」

欧州連合の欧州議会本会議が、先月7月8日、EU加盟国の国籍者と日本人の結婚が破綻した場合などに、日本人の親が日本国内で子どもを一方的に連れ去る事例について、ハーグ条約を確実に履行する措置を講じるよう日本政府に要請する決議案を採択しました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200709/k10012505591000.html

この決議は、これに進んで、日本は子の保護に関する国際ルールを遵守できていないとして、日本政府に「共同親権」を認めるよう国内法の改正を促したものとして、大々的に報道されました。

2019年3月には、「国連の児童の権利委員会」も日本政府に対して、離婚後の親子関係に関する法律を、「子供の最善の利益」に合致する場合に「共同養育権」を行使できるように改めるように勧告しています。

「共同監護」「共同親権」とは?

「共同監護」「共同親権」とは、どのようなことなのでしょうか。

日本は、先進国の中では珍しく、離婚後の両親について、一方にしか親権(親権は通常実際に子供を監護する「監護権」を含んだ概念です)を与えない法制度をとっています。これが「単独親権」です。

単独親権のみとしているのは、主要な国ではインドとトルコくらいのもので、そのほか多くの国では単独親権だけでなく共同親権をとることも認められているのです。「共同親権」というのは、別れた夫婦の双方に親権を認めるというものです。

法務省も、近年、日本の離婚後の親権をめぐる法制度と海外との比較について注目し、専門的な調査研究を進めてきました( 父母の離婚後の子の養育に関する海外法制調査結果の公表について )。

冒頭のEU決議は、あくまで、国際離婚の事案で、国を超えた子の連れ去りがハーグ条約に違反することから、これについて向けられたものですが、日本で国を超えた連れ去りが正当化されるのは、日本が単独親権という制度をとっているからで、それがけしからん、というものです。

日本において、離婚後の父母のいずれかしか子に対する親権を持つことができない「単独親権」という制度がいいのか悪いのか、「共同親権」や「共同監護」の制度を真剣に検討した方がいいのではないかということは、「諸外国がそうだから」とか「国際社会から非難されたから」ということではなく、きちんと考えなければいけないことです。

離婚弁護士から見る共同親権・共同監護

「面会拒否」で対立が深まる事例は、決して少なくない

たしかに、日本は、離婚後どちらかの親しか親権を持つことができず、親権を持つ親が子供を監護する(親権と監護権の一致)することが多いですから、片方の親は面会という手段でしか子供にアクセスすることができません。

子どもに会うという「面会」は、間接強制という金銭的な制裁以外の方法では強制することができません。

子どもを心から愛する片方の親が、離婚後、面会を取り決めてもなお子供に会うことができない事案や、子どもに会いたいけれども、片方の親が何らかの理由でこれを断固拒否して面会の調停が極めて長期化し対立が深まる、といった苦しい事案。これらの事案には、離婚弁護士として接することは決して少なくありません。

離婚後の親権が片親に与えられることの帰結というべきか、現在の日本では、共同親権・共同監護下にある子を、夫婦の一方が連れて家を出る事案は違法とはされません。これが「連れ去り」の問題です。

一方、ひとたび片方の親が子供を単独で監護するようになると、まだ離婚が成立しておらず共同親権であってもなお、そこからの子供の連れ戻しは「誘拐」となってしまいます(別居中に、一方の親が、実力で他方の親から、子を奪ったとき未成年者略取誘拐罪が成立するとした最高裁判所平成17年12月6日判決。ただし、この事案は、連れ去りの親の性質がかなり悪質だったケースのようで、すべての事案が「誘拐」ということではありません)。

離婚後の子が育つ環境をどう考えるべきか

子どもが離婚後も双方の親に触れることで安定し、愛情を感じることができ、また、メインの監護にあたる親も、もう一方の親が関与し続けてくれることでいっときの負担の軽減になるのなら、離婚後も共同して双方の親が子供にかかわることができる共同親権・共同監護の制度がよいことは当然だと思います。

弊所のある世田谷区用賀には、離婚後の面会交流を通じて共同養育をサポートする「一般社団法人りむすび」さんがあります。

この「りむすび」さんの代表のしばはし聡子さん著作の書籍『別れてもふたりで育て 知っておきたい共同養育のコツ』には、このような共同監護(共同養育)の良さ、そのために克服しなければならないことなどが平素な言葉でわかりやすくまとまっていますので、おすすめです。

本拠地が同じということもあり、「りむすび」さんとはお仕事でお互いに協力をしたり情報交換をさせていただいたりしています。

共同親権や共同監護の制度で、難しいのはどんなことか

もし、離婚後に面会を渋ったり、あまり会わせたくないという気持ちが、片親の「こちらのやり方を乱されたくない」「いいとこどりをされたくない」とか「子供がパパ(ママ)のほうになびいてしまったらどうしよう」といったような心理的な壁だけであるなら、こういった点は乗り越えていかなければならない点だと思います。

単独親権、単独監護をとるときは、やはり離婚後の子は「どちらかのもの」となってしまうので、こういった傾向を助長し、もう一方の親が入り込む余地を失わせてしまう問題があると言わざるを得ません。

一方で、共同親権、共同監護という制度にも、難しい問題があるとされます。

片方の親が監護に当たる親として何らかの不適格な点がある場合にまで共同監護を認めていいのか。あるいは、子供が双方の親の環境や考え方の違いで悩み苦しんでいるときに、親の権利を双方に認めて良いのか、子供の安定は確保されるのか、とった点などです。

日本で単独親権が長く続いてきたのは、家督制度、家制度のもとで男性優位の「X家」というファミリー感が強かったこともありますし、高度経済成長期以来、男性の長時間労働、女性は家事労働といった役割分担のもとで、ベビーシッターなどの人件費も高額な社会背景の中、実際に男性が子供を引き取ることは困難であったという社会的な背景もあるのであろうと思います。

そう考えると、単に、主要各国がそうだからという理由で共同親権が是、単独親権が否ということもできないと思います。実際、諸外国も、「共同親権」を原則とするだけではなく、共同にするか単独にするか選択制となっているところも少なくありません。

このように考えると、

(1)子どもにとって双方の親に接することが利益になるような場合には共同監護を認める、あるいは共同監護的なことができるように単独親権の制度のもとにおいても十分な面会が確保される、

(2)一方で、子供にとって双方の親を関与させてしまうとかえって子供が苦しい立場におかれるような場合には,やはり一方の親のもとで安定した環境が確保されるようにし、面会は可能な限りで行われるようにする

というのが本来の理想的な手段であるのだと思います。

「単独親権」の制度は、これに対して現在違憲訴訟が進行中でもあり、今後目を離せない論点です。

水谷 江利

世田谷用賀法律事務所 弁護士

※追記(2020年8月19日)

当記事は、 「世田谷用賀法律事務所」 掲載の記事を転載・編集部にて再編集したものです。また記事の内容は、著者が特定の見解を持っていることを示すものではありません。

面会交流の権利「憲法の保障外」、二審も請求棄却

出典:令和2年8月13日 日本経済新聞

面会交流の権利「憲法の保障外」、二審も請求棄却

離婚などで別居した子どもと定期的に会う「面会交流」を義務付ける制度が未整備で精神的苦痛を受けたとして、男女14人が国に計900万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は13日、請求を退けた一審東京地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。

民法は、離婚時に父母が協議して面会交流について決めると規定。原告側は、子と同居する親が約束を破っても罰則がないのは問題だとして、面会交流保障の法整備が不可欠だと主張した。

高裁の白石史子裁判長は一審同様、面会交流をする権利が憲法上保障されているとは言えないと指摘。その上で、父母の協議で面会交流について決めることができなければ、家裁に審判を申し立てるといった制度があるとも言及し「現行法の規定が合理性を欠くとは言えない」と結論付けた。〔共同〕

別居親子の面会交流請求、2審も棄却 東京高裁

出典:令和2年8月13日 産経新聞

別居親子の面会交流請求、2審も棄却 東京高裁

離婚などで別居した子供と定期的に会う「面会交流」を義務付ける制度が未整備で精神的苦痛を受けたとして、男女14人が国に計900万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(白石史子裁判長)は13日、請求を退けた1審東京地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。

 民法は、離婚時に父母が協議して面会交流について決めると規定。原告側は、子と同居する親が約束を破っても罰則がないのは問題だとして、面会交流保障の法整備が不可欠だと主張した。

 昨年11月の1審判決は、面会交流の実施方法は家庭の状況によって異なり、子の利益や福利を優先して検討すべきだと指摘。「面会交流をする権利が憲法上保障されているとは言えず、現行法の規定は憲法に違反しない」として請求を退けた。

養育費ビジネス化に懸念

出典:令和2年8月10日 神戸新聞

養育費ビジネス化に懸念

 明石市が7月、自治体として初めて、不払いになっている養育費を立て替える取り組みを始めた。上限5万円、わずか1カ月分だけだが、国に先駆けて踏み出した一歩は大きい。

 かたや、インターネット衣料品通販大手のZOZO(ゾゾ)の創業者前沢友作氏が設立した新会社の「養育費あんしん受取りサービス」はどうか。不払いの養育費を立て替えるまでは同じ。大きく異なるのは、毎月の養育費の15%、1年分を一括して受け取る場合は25%という保証料が必要になることだ。

 明石市の泉房穂市長は先日、養育費保証をうたう民間ビジネスが少しずつ増えている現状を「不払いの解消は、ひとり親家庭の子どもの貧困をなくすため。子どもが受け取る養育費が保証料などで目減りするのは趣旨に反する」と訴えた。

 2014年から、離婚する夫婦に養育費と面会交流を取り決める書式を配布する同市。市職員が両親同士の連絡調整や子どもの受け渡し、付き添いを担う「面会交流支援」にも取り組む。「すべては子どもの利益に」との視点で一貫している。

 利潤を追求する民間ビジネスで、その視点を持ち続けることができるのか。そもそも諸外国のように、国が養育費の不払い対策をきっちりと制度化すれば、わざわざ民間ビジネスに頼る必要はないのではないか。泉市長の興奮した口ぶりに、そんなことを考えた。

 国は重い腰をどう上げるのか。厚生労働省の調査(16年度)によると、ひとり親世帯の貧困率は5割を超え、養育費を受け取っている母子世帯は全体の4分の1以下。苦しんでいる世帯から上がる「待ったなし」の声は、警報となって今この時も鳴り続けている。

日本人の親による「子供連れ去り」にEU激怒──厳しい対日決議はなぜ起きたか

出典:令和2年8月5日 NEWSWEEK

日本人の親による「子供連れ去り」にEU激怒──厳しい対日決議はなぜ起きたか

<国際結婚と離婚の増加に伴って、日本の単独親権制度が問題に。子供に会えない悩みで自殺したフランス人男性もいる>

「まだ離婚していないのに、まだ親権を持っているのに、なぜ1年以上前から自分の子供に会えないのか」と、日本に住むあるフランス人男性が言う。2018年、長男の3歳の誕生日に彼が帰宅したら妻と2人の子供がいなくなっており、家はほぼ空っぽだった。「孫は突然連れ去られたが、日本の警察などが助けてくれないのはなぜか」と、男性の親も批判する。

2005年頃から欧米で問題になっているのが、「日本人の親による子供の連れ去り」。国際結婚が破綻した日本人(主に女性)が子供と家を出た後、配偶者を子供に会わせないケースだ。背景には、国際結婚とそれに伴う別居や離婚の増加と、親権制度の違いがある。

日本は先進国で唯一、離婚後に父母の一方にのみ親権を認める単独親権制度を取っている。「連れ去った」親は子供と同居しているため、裁判で親権が認められる可能性が高いと言われる。暴言や家庭内暴力(DV)から守る日本の法律が不十分なこともあり、被害を受けた女性が「逃げるしかない」ことも一つの原因と考えられる。

圧倒的多数で日本を批判

7月上旬、ツイッターやマスコミのウェブサイトにこんな見出しが躍った。「『親の子供連れ去り』禁止を要請 欧州議会が対日決議」

EUの欧州議会本会議は7月8日、日本に対する批判的な決議を採決した。賛成686票、反対1票、棄権8票。この決議で強調されたのは、主に以下の4点だ。

① EU市民の親の許可なしに、日本人配偶者が子供を連れ去る事件が増加している。

② 日本は子供の保護に関する国際ルールを尊重しない。EU加盟国の国籍を持つ子供の権利が保護されていない。

③ 日本の法律では、監護の共有は不可能。

④ 親権を持たない親に対する制限付き訪問権、または面会交流がほぼ認められない。

日本への要求は主に2つ。裁判の判決を必ず執行すること、日本が署名したハーグ条約をきちんと守ることだ。民主主義の国であり重要な経済パートナーの日本に対し、これほど強い批判的な表現を使うEUの決議は極めて珍しい。

決議に対し、茂木敏充外務相は「どのような根拠に基づきそのような主張をしているのか理解しかねる点は多い。国際規約を遵守していないとの指摘は全く当たらない」などと述べた。ただし、連れ去りは「子供にとって生活基盤が急変し、一方の親や親族・友人との交流が断絶される」など、有害な影響がある可能性は外務省も認めている。

こうした状況を解決するため、日本は2014年にハーグ条約の締約国になった。同条約は子供を守る目的で、元の居住国に子供を返すための手続きや、親子の面会交流を実現するための国際協力などについて定めている。双方の間で話し合いがつかない場合には裁判所が、原則として子供を元の居住国に返還することを命ずる。つまり、片親が「自分1人で子供の世話する」と決める権利はなく、子供を連れ去るのは違法だ。

だが現実には、ハーグ条約に基づいて解決されたケースは一部にとどまる。外務省によると、子供の返還などを実現するための援助の申請数は2014年度で113件。その後は、年間およそ50件。詳細を見ると、数年前から全く出口が見えないケースも残っている。

当事者であるフランス人男性がこう説明する。「日本の裁判で返還命令が出ても、なかなか執行されない。日本に連れ去られた子供は、日本人の親が返還を拒否したら返還されない。裁判で勝っても、いくら頑張っても外国人の親はもう子供に会えなくなってしまう。万が一、日本に来て子供に会おうとしたら逮捕される可能性がある。何人もそうなった。日本では強制的に子供を返還させることはしないから。国内法律を変えないとこの問題は解決できない」

「僕も自殺を考えた」

数年前には、子供に会えない悩みでフランス人男性2人が自殺した。「僕も自殺を考えたがやめた。息子に頑張っているパパの姿を見せたほうが意味がある。いつか息子が気付いてくれると期待している」と、別のフランス人男性は強調する。

外務省のハーグ条約担当者も裁判所の返還命令が執行されない例があると認め、「夫婦の関係が特に悪い事例で、解決方法がない」と言う。

ハーグ条約は、返還原則の例外も定めている。いくつかあるが、なかでも注目すべきは「返還により子が心身に害悪を受け、または他の耐え難い状態に置かれることとなる重大な危険がある場合」。これには子供への虐待やDV等が含まれる。

子供を連れ去った疑いがある日本人女性はほとんどの件で、「DVを防ぐために逃げた」と説明する。もちろんDVがあった可能性は否定できないが、逃げるより先に居住国の警察などに相談すべきだろう。また、連れ去りの理由として、DVや虐待が不正に利用されるケースがないとも言い切れない。

フランスなどでは原則として共同親権だが、裁判はケース・バイ・ケースで判断し、DVなどを理由に単独親権を決定することも珍しくない。

EUは国境を超えた事例だけでなく、EU市民に関わる日本国内で起きる連れ去りにも懸念を示す。日本で暮らす国際結婚の夫婦が破綻し、日本人の親が子供を連れ去ることも多いからだ。「妻と子供がどこに住んでいるか分からない、子供に会いたい」という外国人男性は多い。

日本人の夫が連れ去るケースもある。「日本では実子誘拐をした片親に実質的に監護権が与えられることを、自分が同じ立場に置かれるまで知らなかった」と、オーストラリア人の女性が言う。彼女は1年前から、2人の子供に会えずにいる。

共同親権についての共著がある東京都立大学の木村草太教授によると、「日本には戸籍の附票制度があり、親権者であれば子供の居住地を追跡できるので通常、『子供がどこにいるのか分からない』事態は生じない。あるとすればDV等による保護措置が出ている場合だけだ」

だが子供に会えない外国人の親全員がDV加害者とは考えにくく、日本語が読めない、話せない彼らが自分の権利や可能な手続きを分かっていない可能性がある。日本人弁護士とのコミュニケーションも一つの課題だ。多くの場合、外国人当事者と日本人弁護士の共通言語は英語で、誤解が生まれることは防げない。子供に会えない外国人の裁判を筆者が取材したところ、通訳の問題もあるし、あまりやる気のない弁護士がいることも分かった。

フランスの国会議員リシャルド・ヤングは「父親と母親の関係が悪化したとしても、国は子供の権利を守り、両親との関係継続を確保すべき」と強調し、「日本の法律を改正することが必要ではないか」と言う。

裁判の判決が守られない

多くの欧米人からすると、単独親権制度は時代錯誤なだけでなく、日本が署名した「児童の権利に関する条約」に反する。特に、第9条に定められている親と引き離されている子供が、親と定期的に会ったり連絡したりする権利が守られていない。日本人の配偶者と別れた後、子供との面会交流ができない外国人親は多い。離婚するとさらに壁が高くなる。共同親権が認められたらこの問題を解決できるというのがEUの考え方だ。

一方、共同親権は必要ないと考える木村はこう説明する。「面会交流については、親権者が自由に決められる事柄ではない。父母どちらが親権を持つかにかかわらず、『子の利益』を最優先して監護・面会交流の方法を協議で決めなくてはならない。親権を持たなくなったほうは法律上、親として扱われなくなり、子供に会うこともできなくなるという説明は誤りだ」

ただ残念なことに、裁判で「面談交流、月2回」の命令が出ても、親権を持つ親がさまざまな理由で命令に応じないことも少なくない。「新型コロナウイルス感染のリスクがあるから会わせない」と言われたフランス人男性は「妻はなんでもかんでも理由にする」と言う。「裁判の判決が必ずしも守られていない」というEU決議の指摘は、こうした問題も含めている。

崩壊した日本人夫婦の間にも同じような事態は起きるが、外国人だとさらに複雑だ。国によって国際条約の理解が若干異なるのも大きい問題だろう。子供の利益を最優先すべきと言っても、「子供の利益」とは何か、国によって答えが違うかもしれない。

今回の決議が日本でも報道されたこともあり、EUやアメリカの意見に耳を傾ける日本の議員、弁護士や当事者も出てきた。今後は建設的な議論が可能かもしれない。今のままでは連れ去りの被害者となる子供が増え、日本のイメージも悪化する一方だ。

(筆者はフランス出身、1997年より日本在住。元AFP通信東京特派員)

<2020年8月11日/18日号掲載>

「パパ、神経衰弱しよう」~連れ去られた親の「抜け殻」

出典:令和2年8月8日 Yahoo News!

「パパ、神経衰弱しよう」~連れ去られた親の「抜け殻」

田中俊英 一般社団法人officeドーナツトーク代表

■自殺の事実が、日本の単独親権の闇を示す
僕はふだんは不登校やひきこもり、発達障害の子をもつ親の面談支援を行なっている。すべて大阪市や大阪府の委託事業内で行ない、それは市民からみると通常の行政サービスに含まれる。そのため料金もすべて無料だ。
そのような看板(不登校相談等)で無料面談支援を行なっていると、時々「妻か夫に子どもを『連れ去られた』別居親」と出会うことがある。当欄でも度々指摘してきた、子どものabduction/連れ去り・拉致の被害者だ。
それらの親御さんは最初はためらってabductionの事実を伏せている。けれども話し込んでいくと、問題の本質は、離婚や別居時に起こったabduction/連れ去り・拉致であり、そのことに関して目の前のその親御さんが深く傷ついていることがわかってくる。
Twitterなどでは、連れ去ったほうの同居親(母親が多数)や弁護士に対する怒りの言葉が並ぶが、実際に面談支援の場に現れる別居親たちは怒りとは反対の悲しみに覆われている。
それは支援という角度で切り取ると、PTSDであり鬱状態なのだろう。実際、最近話題のこの記事
(日本人の親による「子供連れ去り」にEU激怒──厳しい対日決議はなぜ起きたか)でも、連れ去られた親の自殺の問題に触れている。
数年前には、子供に会えない悩みでフランス人男性2人が自殺した。「僕も自殺を考えたがやめた。息子に頑張っているパパの姿を見せたほうが意味がある。いつか息子が気付いてくれると期待している」と、別のフランス人男性は強調する。
出典:日本人の親による「子供連れ去り」にEU激怒──厳しい対日決議はなぜ起きたか

この記事でだけではなく、時に「虚偽DV」という悪質な手法のもと子どもを連れ去られ残された親が自殺に追い込まれることは、Twitterや個人ブログに溢れている(たとえばこれ。リンクされた記事群は資料的にも価値がある→人権弾圧により奪われ続ける報われない命)
むしろ、DV対策の名のもとに隠蔽されていくこうした自殺の事実が、日本の単独親権の闇を示している。
■「パパ、神経衰弱をしよう」
精神医学的にはこうした自殺の背景を、PTSDや鬱状態で説明できるのだろうが、僕が実際に親御さんたちと話していて感じるのは、独特の
「抜け殻感」
だ。別居親の方々は毎日仕事もし、がんばって生きている。けれども、面談に訪れた彼ら彼女らの話しぶりや仕草からは、独特の諦めを僕は感じてしまう。
それは、「空気=同調圧力」社会ニホンで子どもを連れ去られ、それに加えて、虚偽DVや人間性の問題まで問われてしまった人の疲れだ。生きがいや希望だった子どもを連れ去られ、完全に孤独になってしまった現状を言語化することがつらすぎる人の諦めだ。
そうした、疲れや諦めが数年単位で積み重ねっていくことで、「抜け殻」のような雰囲気が現れてくる。
決して声も荒らげないし滅多なことで感情を噴出することもない。事実を淡々としゃべる。
子どもと過ごした時間、保育園や幼稚園に迎えに行ったこと、日曜日にいっしょに遊んだこと、誕生日プレゼントにぬいぐるみを買ってあげたこと。
楽しそうに親御さんたちは語るものの、その語りには細かい部分が欠落している。細かなディテールが少ないエピソード群は、それらの過去の思い出を半透明なものにしている。
僕は、そうしたディテールの欠落をクライエントのみなさんが苦しくない範囲で聞くことも「支援」だと思っている。生活の中での細かい情景を語ることで、問題の本質が見えてくることが多く、それは100年前のフロイトの著作群などにも感じることのできる、支援の極意だと解釈している。
連れ去られたことから生じるPTSDをお持ちのため、しつこくは当然聞かないけれども、たとえば子どもと室内で遊んでいた時「どんな遊びをしました?」などと聞く。
記憶にディテールを欠いているため即答はできないが、あるタイミングでたとえば、「トランプをよくしました」等の返答がある。
どんなトランプをしましたか? と僕は続けて聞く。すると、その別居親(父の場合もあれば母の場合もある)はこんなふうに答える。
「ああ、そういえば、子どもから『パパ、神経衰弱をしよう』」とよく誘われたなあ」
■耐え続けている
そのあと、目の前の父親の目に涙が浮かび始め、神経衰弱の有様を嗚咽をこらえつつ語ってくれたりする。
「僕が誤ってジョーカーを1枚だけ入れていたら、『パパ、ジョーカーは2枚入れなくっちゃ』とよく怒られました」
目の前に座る別居親である父親は、号泣する場合もある。
それだけ、別居親たちはふだん自分の置かれた理不尽さに耐え続けている。虚偽DVや親失格等の理不尽な言葉に耐え、ひとり取り残された自宅での膨大な時間に耐え、月1回2時間しかない「面会」時間さえ延期させられてしまう事実に耐えている。
そうした忍耐を続けていくために、自分の愛する子どもたちと過ごした時間の細かいディテールをあえて消去しているように僕には思える。
辛い境遇が延々と続いていく時、その辛さの源泉にたとえば幸福な過去の子どもの映像があったとすると、その幸福さと人は向き合えないのではないかと僕は推測している。
現在の大きな停滞感を凌ぐためには、そうした過去の幸福が邪魔になってくる。何月何日にこれをした的スケジュールの記憶は残っているが、そのスケジュールの中で起こった細かい事実を思い出すことがつらい。
たとえば、神経衰弱でジョーカーが1枚なことにに文句を言うかわいい子どもの表情を思い出すことができない。思い出してしまうと、今の自分を維持することが難しいからだ。
そうした理不尽さと忍耐と悲しみに毎日「連れ去られた親たち」は耐えている。記憶を少し薄くさせて、本当はずっと覚えておきたいその子どもの笑顔がその時なぜ現れたのか、そうした細かい場面をあえて封印している。
子どもの連れ去りとは、そうした別居親たちの悲しみと涙を潜在化させているというだけで犯罪的だ。
そして同時に、子どもも傷つき、それが潜在化していることも忘れてはいけない(「親が死ぬこと」を子は想像できない

EUが日本非難!「子ども連れ去り」を止める法改正を

出典:令和2年8月1日 アゴラ

EUが日本非難!「子ども連れ去り」を止める法改正を

「もう、嘘をつかないでもらいたい」「認識があまりにも低すぎる」ーー。

国会議員らが、外務省と法務省の役人を厳しく追及する一幕があったのは、7月30日に衆議院議員会館で開かれた共同養育支援議員連盟の総会でのこと。

背景には、日本国内の離婚時の子どもの連れ去りに関して、7月8日に欧州連合(EU)議会で可決された日本への非難決議に対し、「EUの指摘には誤解されている部分が多い」「日本はきちんと対応している」とあくまで責任を回避しようとする法務省と外務省の煮え切らない態度がある。

非難決議によって、日本は「人権意識の低い国」との烙印を押され、EUと日本のパートナーシップは危機的状況にあると言っていい。このEUとの友好の危機を回避するためにはどうすれば良いか。これまでの経緯を振り返りながら考えたい。

きっかけはフランス、イタリア出身の父親の訴え

今回のEU非難決議は、EU出身者と日本人の夫婦が離婚するとき、日本人の親が日本国内で子どもを一方的に連れ去り、別れた相手と面会させないことなどを禁止する措置を迅速に講じるよう、日本政府に求めたものだ。こうした子どもの連れ去りについて「子どもへの重大な虐待」とし、子どもの権利条約に反していると指摘する。

自民党の三谷英弘・衆議院議員は、議連の総会の中で「EUがほかの国に対する非難決議行うということは、基本的にはない。北朝鮮などに対して、人道的に緊急を要する場合はあるかもしれないが、それが日本に対して出されたということは、非常に重いこと」と指摘した。

この決議の出発点は、国内で実子誘拐にあったフランスとイタリア出身の父親の訴えだ。

フランス出身のヴィンセント・フィショ氏と、イタリア出身のトッマーソ・ペリーナ氏(いずれも東京都内在住)は、ともに日本人パートナーとの子どもを連れ去られ、自分の子どもと会えないどころか、電話1本できず、写真すら見ることができない状況が続いている。

彼らは、日本国内で子どもと引き離されたほかのEU出身者と一緒に、昨年から欧州の各国政府、国連などに出向き、日本国内の連れ去りをやめるよう、日本政府に訴えかけるように働きかけを行っている。その一環で、彼らのケースを「EU請願委員会」に訴えかけた。これがEU議会での調査につながり、今回のEU決議に至ったものだ。

ペリーナ氏は、「私たちのケースを日本が調査して、子どもたちを家に帰すことで、日本が人権問題に真剣に向き合っていることを国際社会に示すことになるでしょう」と話し、フィショ氏は「私たちの子どもたちを家に戻すことは、日本国の利益。その前例をつくることで、日本のすべての子どもたちにとっても、直接的な利益になると信じています」と彼らの働きかけの意味を語った。

EU決議に対する外務省のトンチンカンな回答

EU決議について、記者会見の場で見解を求められた茂木敏充・外務大臣は「国内法制度に基づいて、国籍による区別なく、公平かつ公正に対応しており、決議にあるような国際規約を遵守していないという指摘は全く当たらない」と答え、さらに「法務省で取り組んでいることであり、法務省に聞いてもらいたい」と法務省へ責任を丸ごと押し付けた。

また、議連総会に出席していた外務省の担当者は、前出の国内で連れ去られた場合には適用されない「ハーグ条約」について、その取り組みを説明し、日本は「遵守している」と回答。

これに対して、日本維新の会の串田誠一・衆議院議員は、「EU決議が問題にしている主な問題は、(ハーグ条約の事例でなく)国内の連れ去り問題であり、国内の連れ去りは何件あって、何件返されたのか、その数字を示さないと、対策を検討すらできない」と断じた。

それに対する外務省担当者の「外国人にどうやって説明したらいいのか、法務省を連携して取り組んでいきたい」との言葉に、会場の議員席からは失笑が漏れた。

EU決議について、外務省が繰り返し「指摘は当たらない」「日本は条約を遵守している」と回答することで、日本が真剣にこの問題に向き合っていないことを示す格好になっていることを、国益を損ねる形になっていることを、外務省の役人たちは理解しているのだろうか。

「養育費」問題の解消には熱心な法務省

法務省ではこれまでに、海外の24か国を対象に、離婚後の親権制度や子どもの養育のあり方について調査をしたり、親権制度の見直しの当否を検討する「家族法研究会」を7回にわたり開くなど、対応に当たってきた。

また法務省は、厚労省と連携して積極的に、養育費の不払いの解消に向けた取り組みを進めている。自民党女性活躍推進本部の猪口邦子本部長らが6月に、首相官邸で安倍晋三首相と会い、養育費の不払い問題で対策を提言し、それに取り組む同省の検討会議は年内をめどに取りまとめを行う予定で、積極的に進めている。

この問題を国会での質疑でもたびたび取り上げてきた嘉田由紀子・参議院議員は、自身のFacebookで「日本の民法819条で単独親権が決められ、片親の親権や子どもとの交流が公的に奪われながら、養育費支払いだけを義務化することは国家の法制度としてバランスを欠いているのではないか」「養育費の義務化は共同養育や共同親権とセットだろう」と指摘。

前出の三谷議員も総会の場で、「養育費だけ進めて、面会交流がおざなりにされることがないように、確認したい」とくぎを刺した。

共同養育への法改正が、問題を打開する唯一の方法

日本国内で、一方の親から子どもを奪う人権侵害が横行しているとのEUからの指摘に、「子どもの権利条約」を管轄しているはずの外務省は「指摘は誤解だ。法務省に聞いてくれ」と逃げ、法務省は養育費の問題には熱心だが、共同養育への具体的な法改正については、いつ、どのように取り組むのか曖昧な姿勢のままだ。

このままの態度が続くのであれば、日本とEU間の政治・外交・社会関係の緊密化を目的として結ばれた「日EU戦略的パートナーシップ協定(SPA)」についても、「見直しも検討せざるを得ないだろう」と、ペリーナ、フィショ両氏は案じている。

議連の総会では、EUとの関係悪化の「問題を打開する唯一の方法は法改正だ」とし、議連の会長で自民党の馳浩・衆議院議員が、今後の方針として「連れ去り問題について、国内の無法状態についてどう対応するか検討し、離婚後の共同養育のルール化を制度としてしっかり作ること」を確認した。

日本は、EUからの指摘を真摯に受け止め、子どもの連れ去りを防ぎ、子どもたちが自分の親に自由に会える権利を制度として保証し、EUとの友好の危機を、回避できるのだろうか。EUは怒っている。時間はない。

この事態は、適切に対応することで日本が人権侵害に真摯に向き合う国だと示す好機なのだと、とらえたい。

超党派議連 離婚後も「共同養育」へ 法整備働きかけの方針確認

出典:令和2年7月30日 NHK

超党派議連 離婚後も「共同養育」へ 法整備働きかけの方針確認

結婚が破綻した場合の子どもの扱いをめぐって、超党派の議員連盟は、父母が共に子育てに関わる「共同養育」を推進するため、離婚後の面会交流の促進などに向けた法整備を急ぐよう政府に働きかけていく方針を確認しました。
離婚したあとの親権は、日本では、父母のいずれかが持つ「単独親権」が民法に規定されている一方、海外の先進国では、父母の双方が持つ「共同親権」が主流となっていて、EUの議会は、日本に「共同親権」を認める法整備などを求める決議を採択しました。

これを受けて、超党派の議員連盟は30日、国会内で会合を開き、会長を務める、馳 元文部科学大臣は、離婚したあとも父母が共に子育てに関わる「共同養育」の推進を目指す必要があるという考えを示しました。

そして、議員連盟では、離婚したあとの養育費の確保や、子どもとの安定した面会交流の促進に向けて法整備を急ぐよう、政府に働きかけていく方針を確認しました。

日本人の子ども連れ去りは国ぐるみの誘拐? 批准した国際条約、国内で適用せずは許されるのか

出典:令和2年7月26日 47NEWS

日本人の子ども連れ去りは国ぐるみの誘拐? 批准した国際条約、国内で適用せずは許されるのか

 日本は1994年に国連の子どもの権利条約を、2014年にハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)を批准した。だが、その適用が不十分で法や制度を整備する努力を怠っていると、国際社会から強く批判されている。7月初め、欧州議会で採択された、EU籍を持つ子どもを日本人の親が連れ去ることを禁止するよう求める決議もその一つだ。だが、国際社会で広く知られるようになった「日本人による子どもの連れ去り」は、日本国内でほとんど報じられず、従って知られていない。日本政府は「国内案件は国内法で公平かつ公正に対応しており、国際規約を遵守していないという指摘はまったくあたらない」という。批准した国際法が国内で反映されていないことが問題とされているのに、政府はまるでわからないようだ。(ジャーナリスト=佐々木田鶴)

▽子どもの連れ去り方を大使館と日弁連が指導?
 「パリでおかしなセミナーがあったのよ」。パリ在住の友人に教えられたのは、1年以上前のことだ。聞けば、いかにうまく子どもを連れ去り、ハーグ条約による子どもの返還裁定を回避できるかについて、具体的なテクニックを伝授するものだったという。耳を疑った。
 彼女が送ってくれた「国際結婚に伴う子の親権(監護権)とハーグ条約セミナー開催のご案内」という文書の発信元は在仏日本大使館。18年5月15日、外務省と日弁連の共催でセミナーは行われた。録音データは、アメリカの非営利団体BacHomeのサイトで公開されているので、誰でも検証できる。

 聞いてみると、驚くほど具体的で戦略的なアドバイスだ。ハーグ条約適用で返還になるのは気の毒だと決めつけ、たとえば、子どもの返還を免れるには、DVを理由にすることが有効だが、DV被害者を保護する制度がよくできているフランスのような国だと通りにくいので、度重なる警察介入や被害治療の履歴、シェルターが満員で入れなかったなどの証拠を周到に準備してから連れ去るのがよいなどと続く。
 ここでいう「連れ去り」とは、英語でいうアブダクション。国際社会では「誘拐」「拉致」のことを意味する違法な犯罪行為なのに、だ。そんな馬鹿な。これでは、国ぐるみ、法曹ぐるみの国際条約違反ではないか。

▽国と裁判所に整合性がない
 調べていくうちに、日本で行われた二つの記者会見の動画を見つけた。日本国内で、日本人妻に幼い子供たちを突然連れ去られてしまったという欧州の男性、フィショー氏(フランス人)とペリーナ氏(イタリア人)の2人 が、彼らの顧問弁護士、調停員も務める心理学者らとともに、外国人記者と日本人記者向けに別々に行ったものだ。きっといい加減なDV男なのだろうと勝手な先入観を持ちがちだった筆者は、記者会見の録画を見て考えが変わった。彼らの話からは現実を理路整然と説明する知性と、子どもへのほとばしる愛情が態度や言葉の端々に感じられたからだ。直接コンタクトして話を聞いた。誰もが知る国際企業に勤務し、日本が好きで永住権も取得しているという。彼らこそが、欧州議会の決議につながる請願をした4人の欧州人当事者のうちの2人だった。
 2人の顧問を務める上野昇弁護士は、子どもが関わる別居や離婚の家裁案件に数多く携わり、自身も「連れ去られ」の当事者だ。上野弁護士によれば、日本では「先に連れ去った者勝ち」が横行し、その理由にDVをあげていることが多い。実際、家裁案件となった連れ去りのうち70~80% が実際にDVから逃れるためとしているという(実際に認められるのは1割に過ぎない)。
 たとえ言いがかりでも、DVを理由とすれば、審議にかなりの時間がかかる。その間、子どもは連れ去った親とともにその実家などで生活することになるので、最終的に嫌疑が否定されても、裁判官は「継続性原則」によって、連れ去った方の親だけに子どもの監護権(離婚の場合は単独親権)を付与し、もう一方の親は子供から遮断される。一つ屋根の下に生活する家庭から、一方の親が独断で子どもを連れ去るのは「家庭の問題」とされ、どんなに警察に訴えても相手にしてもらえない。ところが、いったん連れ去った親と子どもが共に住み始めた実家や別の所帯に、もう一方の親が立ち入ろうとすれば、それは家の外の人間として犯罪に問われるのだとも。
 「まだ婚姻関係にあって、求められた生活費も払い続け、法律上も親権を持ち、犯罪者でもない私と、実の子どもが接触することすら許されない。私が会いに行けば、警察に捕まる。調停で決められた月2時間の面会も3回目以降は一方的に無視されたまま、3年たってしまった…」と記者会見の場でペリーナ氏は悲痛な声をあげた。「いっそ、犯罪者となって投獄されれば、子供たちに30分でも毎日接見できるというのに」とフィショー氏はつぶやいた。

記者会見動画はこちら
https://youtu.be/DJZ_Q7wpHZo

 日本は国家として批准している『国連の子どもの権利条約』を、国内での別居親の親権や監護権に適用させていない。記者会見では、上野弁護士ばかりでなく、衆議院議員で弁護士の串田誠一氏も、明らかな条約違反なのに日本の裁判所もそのことを考慮せずに判決を出していると指摘した。串田氏はその理由を「司法試験には国際条約は出ないから勉強しないし、国際条約と国内法をひも付けする仕組みもない」と説明する。東京地裁の前澤達郎裁判官は19年11月22日の判決で、国連の子どもの権利条約は、「国内において適応可能なものとは言えず、あくまで子の面会交流の権利を「尊重」する旨約(やく)したものに過ぎない」(判決文通り)としている。
 一方、ハーグ条約は、一方の親がもう一方の親の同意なしに16歳未満の子どもを連れて国境を越えた場合、子どもは生活していた元の国に戻すことを定めたものだ。両親の国籍が同じでも異なっても、定義上「国境をまたぐ案件だけ」が対象となる。
 近年では確かに同条約を遵守した「返還」審判が下されることが多くなってはいる。だが 、上野弁護士によれば、それを実行に移す制度がないために執行不可能となることが大半という。
 歴代の法務大臣は国会答弁で「連れ去り勝ち」を問われて何度も否定している。欧州議会の決議を受けて、茂木外務大臣は、「ハーグ条約の対象とならない国内事案については、国内法制度に基づいて、公正かつ適切に対応しており、(中略)国際規約を遵守していないとの指摘はまったく当たらない」と答えている。「国が国際条約に批准しても、国内に適用させる国内法がなければ裁判所は考慮しない」と上野弁護士は吐露した。

▽国際社会では通用しない日本の通念
 東京国際大学の小田切紀子教授は、日本国内で年間約22万件起きていると言われる離婚・離別の6割で、子どもたちは片方の親との接触をほぼ完全に遮断されているという。外国人が関わるのはそのごく一部に過ぎないが、外国人労働者やインバウンド旅行者を国策として受け入れていくなら無視はできない。日本では長年「仕方がない」ですまされてきた社会通念は、国際社会の人権や公平性の基準からは許されるはずはない。
 記者会見は、この社会通念を変えていくために、メディアの協力を働きかけようとしたものだった。これを受けて、数多くの外国人ジャーナリストによる記事が世界を駆け巡り、新聞、雑誌、テレビでこの問題が扱われた。筆者が見たフランス国営テレビのドキュメンタリー番組「特派員」も、イタリアのTVでのトークショーもその一部。世界のメディアは今も国際世論に訴え続けている。
 フランスやイタリアやドイツの首脳はこれに注視して、外交の場で安倍首相や大使に直接要請し始めた。欧州議会が立ち上がった。国連人権委も動き始めている。だが、昨年4月の記者会見を受けて、日本メディアが取り上げた例はなかったという。
 日本のメディアや市民は両論併記を好む。だが社会的に明らかに弱き者の権利や公平性を語る時、反対意見を併記する必要はないと筆者は感じてしまう。アメリカにおける黒人差別反対をきっかけに今や全世界な広がりを見せる反差別を求めたBLM運動(Black lives Мatter)を伝える時、白人至上主義者の言い分や「誰の命も大切」という平等論を併記するだろうか。子どもの権利も同じではないか。夫婦喧嘩も離婚も、国内か国際かの区別も「大人の都合」だ。その弊害に子どもをさらさないよう、全ての大人は「子どもの最善の利益」を中心に努めよと、子どもの権利条約は規定し、日本はこれを批准している。
 フィショー氏とペリーナ氏に「それでも日本が好き?」と問いかけてみた。するとこんな答えが返って来た。「かつては親切で正直な日本人とその社会が大好きだったけれど、その幻想は壊れてしまった。それでも、ここで踏ん張っているのは、愛する子どもたちのため。子どもたちを母親や祖父母、友達や学校やそういった全てから無理やり引き離すつもりは毛頭ない。連れ去りはどちらがやっても、子どもにとって重大なトラウマになってしまうから。両方の親とそれぞれに愛情豊かなコミュニケーションがとれて、親密な関係が築けるように、僕らは日本に住み続ける」
 関連記事はこちら→日本人親の子ども連れ去りに、世界がNO! EU議会が政府に禁止要請 変わるか社会通念

「子供の拉致国家」の汚名返上を

出典:令和2年7月19日 Viewpoint

「子供の拉致国家」の汚名返上を

高橋史朗 麗澤大学大学院特任教授

抜本的な制度改革が必要
離婚後の「共同親権」を認めよ

 欧州連合(EU)欧州議会本会議は7月8日、日本での親による子供の連れ去りから生じる子供の健康や幸福への影響について懸念を表明し、日本政府に対して、ハーグ条約を履行し、「共同親権」を認めるよう国内法の改正を促す決議を採択した。昨年3月、国連の児童の権利委員会も日本政府に対して、離婚後の親子関係に関する法律を、「子供の最善の利益」に合致する場合に「共同養育権」を行使できるように改めるよう勧告した。
 児童の権利条約第9条には、「子供がその父母から、その父母の意思に反し、切り離されてはならない」と明記されているが、わが国では、親子が交流する権利が侵害され続けている。弁護士のアドバイスによる、一方の親による子供の連れ去り、DVシェルターへの切り離しの推奨が蔓延(まんえん)している。

保障すべき「面会交流」
 この行為は刑法第224条の「未成年者略取誘拐罪」に該当することが、昨年11月27日の衆議院法務委員会で、森法相によって確認されている。しかし、一方の父母による最初の連れ去り、切り離し行為にこの刑法が適用され、警察が刑事事件として適正に捜査を行うことはほとんどない。
 欧米諸国では、離婚後も子供が両親との関係を維持することが「子供の最善の利益」の保障につながるという実証的知見を蓄積している。諸外国では国が「共同親権」と「面会交流」を保障しており、離婚後、単独親権しか選択できないのは、日本、インド、トルコ等にすぎない。
 日本では一方の親を養育から排除する「排他的単独親権・監護権」を母親が得ることが多く、この権利に基づいた子供の養育費の中から弁護士が報酬を得ることを禁じていないために、「実子誘拐ビジネス」の悪質な利権構造に巣食う人権派弁護士が後を絶たないのである。こうした世界の常識に反する日本の異常さが、世界各国から「子供の拉致国家」という極めて不名誉な対日非難の集中砲火を招いているのである。
 厚生労働省の調査によれば、子供が非監護親と面会交流をしている割合は、母子世帯で30%、父子世帯で45・5%にすぎない。両親の愛情を等しく受けて成長する権利が子供にはあるが、一方の親から引き裂かれることによって、もう一方の親との愛着形成が奪われ、自己肯定感の低下、社会的不適応、抑鬱(よくうつ)等の影響があることが、国内外の実証的研究によって明らかになっている。
 日本の制度を導入してきた台湾や韓国では、日本よりも先駆的取り組みが実施されている。韓国では、離婚意思確認の申請をし、親教育を受けてから3カ月以内に、親権者、主たる養育者、養育費の分担、面会交流の実施方法を協議しなければ、協議離婚できない法制度になっている。
 また、台湾では、中華民国民法1055条に「フレンドリーペアレント・ルール(善意父母原則)」を採用しており、父母のどちらが友好的であるかを裁判所に斟酌(しんしゃく)、評価させ、親権を定める判断根拠の一つにした。さらに注目されるのは、「親教育の受講を協議離婚の要件」とする、親教育を義務化する国家科学委員会の委託研究が進められており、親教育によって親権者の定め、面会交流等の協議と合意形成を目指していることである。
 離婚後の親教育は、1960年代後半からアメリカで開発され、家庭裁判所を中心に導入され、現在でも、離婚時に裁判所は親教育プログラムの受講を父母に義務付け、または強く奨励している。こうした海外の動向に学び、わが国でも各自治体が離婚届を渡す際に、親教育プログラムの受講を義務付ける必要があろう。
 自民党女性活躍推進本部は官邸に「養育費不払い解消対策本部」を設置し、政府の骨太の方針等に反映させるよう安倍総理に要請したが、「共同養育」「共同親権」「面会交流」とセットで議論すべきであり、欧州議会決議をはじめとする世界各国の対日非難に明確に答える必要がある。ハーグ条約を骨抜きにした国内実施法の改正と、ハーグ条約と整合性のとれた国内法の制定が必要である。

実子誘拐の刑事罰化を
 自国民による「拉致」を擁護しながら、北朝鮮に拉致された日本人を助けてくれと訴えても、一体どこの国がまともに取り合うであろうか。各国大使との十分な意見交換を踏まえて、実子誘拐の刑事罰化、共同親権制度導入(面会交流・養育費支払いの義務化)、その他の抜本的な制度改革に踏み切る決断を総理に求めたい。
(たかはし・しろう)

日本人親の子ども連れ去りに、世界がNO! EU議会が政府に禁止要請 変わるか社会通念

出典:令和2年7月15日 47NEWS

日本人親の子ども連れ去りに、世界がNO! EU議会が政府に禁止要請 変わるか社会通念

 7月8日、欧州議会は、日本国籍とEU籍の両方を持つ子どもを日本人の親が連れ去ることを禁止するよう求める決議を、圧倒的賛成多数(賛成686、反対・棄権9)で採択した。といわれても、多くの日本の読者には何のことやらわからないかもしれない。EU市民を代表する欧州議会が抗議しているのは、EU籍を持つ子どもが、日本人のひとり親 に独断で連れ去られることにより「子どもの権利」が阻害されているという点だ。国際結婚が珍しくない現在でも、家族のあり方や子どもの権利についての日本の社会通念は、旧態依然のままだと欧州から見られているのだ。(ジャーナリスト=佐々木田鶴)

 ▽5年で累計1万件の連れ去り発生?
 欧州議会には、EU市民が、直面する問題を訴え、助けを求めることのできる請願委員会というのがある。欧州市民の声を直接拾い上げる仕組みだ。今回は、フランス人、ドイツ人、イタリア人2人の合計4人の当事者による請願から始まった。彼らの日本人妻が、EU籍も持つ自身の子どもを日本に連れ去ってしまい、会うことさえままならない。日本は国境を越えた子どもの連れ去りを禁止するハーグ条約(「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」日本は2014年に批准)に違反し、国連の子どもの権利条約(日本は1994年に批准)が保証する子どもの権利を守るための法整備も怠っていると訴えた。

 請願委員会事務局によると、正確な件数はわからないものの、「欧州ばかりでなく、北米、オセアニアからなどの情報を基に推計すると、日本人による子どもの連れ去りは、ここ5年ほどの累計で1万件を超える」という。欧州で子どもの奪取問題に取り組む国際民間非営利団体(NPO)ミッシング・チルドレン・ヨーロッパのデマレ氏は、日本のような先進国相手では信じがたい数だという。
 近年、欧州各国では、核心を突く調査報道で知られるテレビ番組や特集記事などが、日本人の親による子どもの連れ去り問題をよく報じるようになった。フランス国営放送の人気番組「特派員」では、フランス人パパが連れ去られたわが子に会おうと日本に潜入する密着番組が放映され、「おもてなし」が売りの日本で、「ガイジンは嫌いだ!」と怒鳴られたり、国際法とは無縁そうな地元のおまわりさんに不審者扱いされたりする様子が物議を醸した。この番組によれば、同じような境遇で連携するフランス人の親は100人以上もいるという。アメリカの団体BacHomeでは400件以上と推計しているので、累計1万件というのも的外れではないのかもしれない。

 ▽国際政治の場でも日本批判の大合唱
 マクロン仏大統領も、メルケル独首相も、コンテ伊首相も、これまで安倍首相に直接、何度も改善を要請してきた。在日本のEU加盟国の大使たちは、連名で日本の法務大臣に法整備を促す書簡を送っている。欧州議会の「子供の権利」専任コーディネータは、2018年以来、日本の法務大臣や駐EU日本大使に当事者たちの声を届けて改善を訴えている。19年8月には、国連人権委員会にも正式な訴えが起こされた。
そして、今回の決議では、EUはあらゆる外交機会を駆使して、日本に改善要求を続けるとしている。同じような外圧は、欧州以外からも繰り返されているはずだ。だが、今回の欧州議会決議を受けても、茂木敏充外務大臣は「決議にある『国際規約に遵守していない』という指摘はまったく当たらない」と答えている。政治家や行政がどこ吹く風と無作為に徹し、国内メディアがほとんど伝えなければ、日本社会や日本人に届くわけもない。

 ▽無断で子を連れ日本の実家へ帰ると誘拐に
 筆者のように日本国外で30年も生きていれば、国際結婚の破たんを見ることは多い。そもそも同国籍、同人種間のカップルであっても、半数以上が破綻する今日では無理もない。欧州では離婚届に捺印して役所に届け出るだけでは離婚は成立しない。裁判所が介入して、子どもがいれば、必然的に親権能力が問われ、共同親権の詳細が裁定され、養育費や日常生活の分担が取り決められる。
 にもかかわらず、日本人の女性の場合、関係が決裂すると一目散に子どもを連れて日本の実家に駆け込むことが多い。日系航空会社のカウンターでは、未成年の子どもを連れていても、パスポートと供に、欧米では常識的な「もう一人の親による同意書」の提示を求められることはまずないし、その行為が「誘拐」にあたるという意識もない。法律用語では「連れ去り」「奪取」と訳されている英語の「アブダクション」という言葉は、普通は「誘拐」と訳すのが一般的だ。
 知識人といえるような友人ですら、「日本人の母親なら、どうしようもないヨーロッパ人の父親の元に子供を残しておけないと思うのが当然」などという。日本人女性は良妻賢母で、ガイジン夫は悪者と決めつけて疑いもしないようだ。
 ハーグ条約関連の案件を多く手掛けて来た日本人の女性弁護士によれば、これらは日本の社会通念では当たり前だという。
 「日本社会では長年にわたり単独親権があまりにも当然でした。父親は外で働いて家庭に生活費を入れ、母親は家で子育てという社会通念が根強い。別居や離婚の際には、母親が子どもを連れて家を出るのが当たり前。男性側が親権を求めることもなかったし、子どもに会いたがるとは考えもしない。(別れた男性は)養育費も支払わず、次の女性と結婚して新しい生活を始め、前の家庭のことは忘れようとするのが仕方ないと見なされがち。(女性側は)子どもが小さければお父さんは死んだと伝えるか、極悪人に仕立て上げるしかない。日本人の多くが、この社会通念をオカシイとして行動してこなかったために、法律も裁判所も変わってこなかったというのが実情です」
 最近では日本の裁判所でも、連れ去られた子どもの返還を命ずるケースが増えてきているという。だが、関連する国際条約の精神が求めているのは、単に子どもだけを「返還」すればよいということではない。前述のデマレさんは、「子どもの権利に重きを置いて解決するならば、大人の都合で家庭が破壊されても、子どもが両親それぞれと親密な関係を保ち続けられる環境を、大人たちが用意しなければいけないのです」という。

 ▽日本に届け欧州決議
 筆者は、当地で、刑務所に服役中の親が子どもとの関係を修復するリハビリテーションを観察させてもらったことがある。精神科医師や心理カウンセラーなどの専門家が、専門の裁判官や社会福祉士とスクラムを組んで長期にわたって慎重に進めるものだった。親にとっては更生の原動力となるかもしれず、子どもにとっては生涯に渡っての数少ない身内かもしれないからだ。
 日本人と欧州人の両親が離婚し、ほとんど母親の元で父親の悪口ばかりを聞かされながら育った少女が、成人してから、父親とのよい関係を保って生きているケースも知っている。母親ががんで亡くなり、日本にはすでに遠縁の家族しかいない。父親の女癖も、稼ぎの悪さも、母親にとっては憎しみでしかなかったろうが、今の彼女には親身になってくれる唯一の家族だ。
 大人本意で作られた古い社会通念を捨てて、「子ども本位」に変容させていかなければ、「子どもの権利」は保障できない。そのためには、メディアや政治や司法が、大衆の好みにおもねるのではなく「違うよ、この方がいいよ」と変容の方向を指し示すことが大切ではないだろうか。欧州議会の決議が、少しでも良識ある日本の人々の心に届くことを願いたい。

共同親権 導入是非含め検討「子どもの利益最優先に」森法相

出典:令和2年7月14日 NHK

共同親権 導入是非含め検討「子どもの利益最優先に」森法相

国際結婚が破綻した場合などの子どもの扱いをめぐって、EUの議会が、共同親権を認める法整備を日本に求める決議を採択したことに関連し、森法務大臣は共同親権の導入の是非を含めて検討を進めているとして「子どもの利益を最優先にさまざまな意見を聞いていきたい」と述べました。
EUの議会は先週、加盟国の国籍をもつ人と日本人の結婚が破綻した場合などに、日本人の親が、国内で子どもを一方的に連れ去るケースが相次いでいるとして、連れ去りを禁止する措置や共同親権を認める法整備などを求める決議を採択しました。

森法務大臣は記者会見で「外務省などと連携して対応しているが海外からの意見には、誤解も散見されるので、日本の法的手続きを正確に理解してもらうことが重要だ。引き続き丁寧に説明したい」と述べました。

そして、森大臣は共同親権については導入の是非を含めて検討を進めているとしたうえで「子どもの利益が最優先だという観点から、さまざまな意見にしっかり耳を傾けていきたい」と述べました。

欧州議会、日本におけるEU市民の親からの子の連れ去りに警鐘を鳴らす

出典:令和2年7月9日 駐日欧州連合代表部ホームページ

'欧州議会、日本におけるEU市民の親からの子の連れ去りに警鐘を鳴らす

Brussels, 08/07/2020 - 20:33, UNIQUE ID: 200709_8
Press releases
EU News 185/2020

<日本語仮抄訳>
欧州議会議員は、日本の当局が国際法の遵守に消極的であることで、日本において親による子の連れ去り事例が多数発生していることを懸念している。
7月8日(水)、賛成686票、反対1票、棄権8票で採択された決議において、欧州議会は、日本での親による子の連れ去りから生じる子どもの健康や幸福への影響について懸念を表明した。また日本の当局に対して、子どもの保護に関する国際法を履行し、共同親権を認めるよう法制度の変更を行うことを求めている。

国際法の履行
欧州議会は、EUの戦略的パートナーの一つである日本が、子の連れ去りに関する国際的なルールを遵守していないように見受けられることを遺憾としている。また日本の当局に対しては、国内法を国際的な公約や義務にと調和させるため、両親の婚姻関係が解消した後の子の返還や面会・訪問権に関する国内および国外の裁判所の決定を実行するよう求めている。
欧州議会議員は、子どもの最善の利益を守ることを第一に考えるべきであり、また子どもや親権のない親との将来の関係に及ぼす長期的な悪影響を避けるため、子の連れ去りの問題は、迅速に対処する必要があることを強調している。また、国連の「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」において、全ての子どもは、子の利益に反するものでない限り、両方の親との関係や直接的な交流を維持する権利があるとされていることを指摘している。

「親の子供連れ去り」禁止を要請 欧州議会が対日決議

出典:令和2年7月9日 共同通信

''「親の子供連れ去り」禁止を要請 欧州議会が対日決議

【ブリュッセル共同】欧州連合(EU)欧州議会本会議は8日、EU加盟国の国籍者と日本人の結婚が破綻した場合などに、日本人の親が日本国内で子どもを一方的に連れ去り、別れた相手と面会させないことなどを禁止する措置を迅速に講じるよう日本政府に要請する決議案を採択した。
 日本は国境を越えて連れ去られた子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」締約国だが、国内の連れ去りには適用されない。
 決議は子どもの連れ去り行為が相当数あるとした上で「子どもへの重大な虐待」と強調。EU欧州委員会や加盟国などに対しても日本側に改善を求めていくよう求めた。決議には法的強制力はない。

EU議会 日本へ一方的に子どもを連れ去る行為の禁止を求める

出典:令和2年7月9日 NHK

''EU議会 日本へ一方的に子どもを連れ去る行為の禁止を求める

国際結婚が破綻するなどした日本人が、相手の承諾を得ないで子どもを日本に連れ去るケースが続いているとして、EUの議会は、日本政府にこうした行為を禁止する措置を取るよう求める決議案を採択しました。
日本では、国際結婚が破綻した際の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」が2014年に発効しましたが、ヨーロッパでは、国際結婚が破綻したあとに、日本人の親が相手の承諾なしで、子どもを日本に連れ去るケースが続き、条約が順守されていないとして問題視されています。

こうした中、EUの議会にあたるヨーロッパ議会は8日、EU加盟国から日本へ一方的に子どもを連れ去ることを禁止する措置を取るよう日本政府に求める決議案を、賛成686票、反対1票で採択しました。

決議では子どもをEU加盟国の親の元に戻すことや、子どもに面会する権利を認めることなど、条約を順守するよう日本政府に求めているほか、EU加盟国などに対しても日本に改善を促すよう求めています。

決議に法的な拘束力はありませんが、ヨーロッパでは、ドイツフランス、イタリアの首脳が安倍総理大臣との会談でこの問題を取り上げるなど、日本政府に改善を求める圧力が高まっています。

コロナ、遠ざけた親子 離婚・別居の家族、面会中止相次ぐ 当事者団体調査

出典:令和2年5月9日 朝日新聞

コロナ、遠ざけた親子 離婚・別居の家族、面会中止相次ぐ 当事者団体調査

新型コロナウイルスの感染拡大が、離婚などで離れて暮らす親子の「面会交流」=キーワード=にも影を落としている。当事者団体の調査では3月以降、面会できなくなったり、回数が減ったりする例が増え、関係断絶を心配する声が上がる。(阿部峻介、新屋絵理)

  ■「全く会えず」44%

 当事者団体「共同親権草の根活動」が4月14〜20日にアンケート調査を実施。離婚や別居で子と離れて暮らす男女107人しか回答した。大半は月1回以上面会していたが、感染が拡大した3月以降「全く会えなくなった」人しか47人(44%)、「頻度・時間が減った」人が34人(32%)いた。
 理由は「同居している親子が面会に否定的」が最多の58%。「外出自粛要請の対象があいまい」が19%、「自分の判断」が18%と続いた。大半はテレビ電話などの代替手段が実現しておらず、外出自粛が伸びた場合の親子関係について91人(85%)が「断絶を懸念する」と答えた。
 団体側は「一度切れた人間関係を再び築くのは実の親子でも簡単ではない」と指摘。親子の交流を外出自粛の対象外にしている欧州の国々の事例をあげ、「日本の政府や自治体も面会交流の指針をはっきり示してほしい」と訴えている。
 政府の緊急事態宣言を受け、各地の家裁が裁判手続きを中止した影響も出ている。別の団体「共同親権運動・国会賠償請求訴訟を進める会」が4月20〜23日に実施したアンケートによると、家裁に調停などを申し立てた94人の約7割が期日を取り消されたという。
 同団体は先月末、「親子関係の維持、子育ての観点から『不要不急』と呼ぶ余地はない」として、最高裁に再会を求める要望書を出した。

■「面会は不要不急か」

※以下、紙面参照。

「子供に会えない」コロナで家裁調停中断、途方に暮れる親

出典:令和2年5月9日 産経新聞

「子供に会えない」コロナで家裁調停中断、途方に暮れる親

 新型コロナウイルス感染拡大を受けた緊急事態宣言で、家裁での面会交流や引き渡しをめぐる審理が中断し、親が別居中の子供に会えないケースが相次いでいる。法務省はビデオ通話での親子の交流継続を呼びかけるが、当事者団体は「オンライン交流は代替手段にすぎない」として、対面での面会に向けた具体的な指針を国や裁判所に要望している。(桑村朋)

 「このまま子供に会えないかもしれない。一体どうすれば」

 4月下旬、北陸地方に住む30代のシングルマザーが電話取材に訴えた。離婚して地元に戻ったが、実家とは別の家に暮らす。昔から両親とは仲が悪く、長年顔を合わせていなかったが、今年、単独親権を持つ小学生の子供が実家に行ったきり帰らなくなった。

 このため女性は実家側に子供の引き渡しを求め、地元の家裁に調停を申し立てた。調停は家裁の調停委員が間に入り、子供の引き渡しや住む場所について話し合いでの解決を目指すというもの。4月21日には最初の協議が予定されていた。

 だが同月8日、家裁の担当者から「新型コロナの影響で調停は電話で行う」と連絡があった。政府が先行の7都府県に緊急事態宣言を出したタイミングと重なった。その後、女性が住む自治体でも感染者は増加。期日直前には家裁から改めて連絡があり、今度は「(期日は)5月6日以降に決め直す」と告げられた。

 だが、8日時点でも家裁から連絡はない。女性は悲痛な胸の内を明かす。「このまま夏休みまで会えない可能性もある。体調管理をしてあげたいこの時期に一緒にいられずつらい」

◇7割、審理期日未定

 「共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会」がまとめたアンケート結果によると、面会交流や離婚、子供の引き渡しなどを家裁で審理中の94人のうち、約7割の66人が、取り消しや延期で、次回の審理期日が決まっていないと答えた。

 また56人が、子供に会うことができずに困っていると回答。「子供の安否が確認できない」(38人)、「相手方と連絡を取ることができない」(19人)といった意見もあった。「コロナを口実に面会交流を引き延ばされている」など、自由記述欄には切実な声も。

 同会は4月末、アンケート結果を基に、家裁審理の早期再開を求める要望書を最高裁に提出。最高裁は緊急性の高い裁判は継続審理する考えだが、8日時点で新型コロナ禍での面会交流の指針は未公表だ。

 一方、法務省は1日、面会交流が困難な親子らに向け、ビデオ通話で交流継続を呼びかける方針をホームページに公表。だが同会担当者は「あくまで重要なのは対面の面会。ビデオ通話が主流になれば、片親が今以上に会えなくなる恐れもある」と警鐘を鳴らす。

 海外では都市封鎖(ロックダウン)中も面会交流できるよう行政が指針を出す国もあると指摘。「オンライン交流なども選択肢として確保すべきだが、自宅待機中でも子供が双方の親の家に移動できるようにするなど、国や裁判所には具体的な指針を出してほしい」と訴えた。

<新型コロナ>別居中の親が子どもに会えない 家裁の審理止まり、面会交流できず

出典:令和2年5月3日 東京新聞

<新型コロナ>別居中の親が子どもに会えない 家裁の審理止まり、面会交流できず

紙面PDF

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で家裁の審理が止まるなどして、別居中の親が子どもに会えないケースが相次いでいる。面会交流や離婚などを巡って家裁で審理中の人に、市民団体が行ったアンケートでは、期日を取り消されたりして審理の見通しが立たない人が約七割に上った。専門家は「感染リスクに配慮する必要はあるにしても、司法は親子が断絶しないよう工夫すべきだ」と指摘している。(佐藤直子)

◆離婚調停の期日取り消し、娘の安否分からず
 東京都内の男性が半年ぶりのわが子との面会で、読み聞かせようと用意した絵本。出番はまだない

 「娘が元気なのか、どうしているのか。コロナ禍だというのに、安否や様子が分からない」。千葉県に住む四十代の男性会社員は不安をこぼした。昨年秋に始まった別居中の妻との離婚調停は四月に予定されていた期日を取り消され、次回は決まっていない。
 婚姻中は原則父母がともに親権者となるが、日本では離婚後、父母の一方しか親権者になれない「単独親権」のため、別居する親と子どもとの面会交流の取り決めは離婚時に父母の間で交わすことになっている。
 男性と娘の面会交流は、妻との間で暫定的に「月一回二時間」とした。だが、正式に定める調停がストップ。仲介役の支援団体も、やはりコロナ禍を理由に業務を休止し、娘とはこの二カ月、会えていない。

◆69%が「次回未定」市民団体アンケート
 男性と同じように家裁で期日を取り消された人は多い。市民団体「共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会」が四月二十日から二十三日まで会員らに行ったアンケートでは、面会交流や離婚、子の監護者指定などを巡る家事事件で審理中の九十四人が回答。69%の六十五人が取り消しや延期によって次回期日が決まっていないと答えた。
 期日の取り消しが続出するのは、最高裁が緊急時の事件処理などを定めた「新型インフルエンザ等対応業務継続計画」に基づき、全国の裁判所が業務を絞っているためだ。東京家裁は緊急事態宣言を受け、四月八日から五月六日まで緊急性が高いと判断した事件を除き、家事事件の期日を取り消した。その措置は十五日までの延長が決まった。
 最高裁家庭局は「期日の指定や取り消しは裁判官の判断で行われる。感染リスクを避けて裁判所に必要な機能を維持するためにはやむをえない」と説明する。
 しかし、期日が取り消された家事事件の多くは面会交流や離婚、養育費、父母のどちらを子の監護者にするかなどを決めるためのもので、当事者にとっては緊急性のある問題だ。

◆専門家「司法が介入して断絶防止を」
 裁判所の対応について立命館大の二宮周平教授(家族法)は「別居の親は普段会えない子どものことを心配しているし、子どもは親と会うのを楽しみにしている。面会交流は離れて暮らす親子をつなぐ権利なのに、司法はこうした大切な人権を守ろうとしていない」と指摘。「裁判官が密集を避けるために調停を開けないというなら、権利侵害を受ける人に緊急性が高い事案だとして仮処分を出すように申し立ててもらい、面会交流の頻度などを職権で仮に定める方法も考えられる」と積極介入を訴える。
 調停が終わった後でも、子どもに会えない親は多い。子どもと別居中の親を対象にした市民団体「共同親権・共同養育草の根活動」のアンケートで、百七人の回答者の76%が感染が拡大した三月以降、子どもと会えなくなったり、会う頻度や時間が減ったりした。
 二宮氏は「同居親が感染リスクを心配したり、別居親も遠慮したりしているのだろう。でも、親子を断絶させてはいけない。密集が心配なら公園で会ったり、直接会うのが難しいならオンラインのテレビ通話もできる。コロナ禍だからこそ工夫して、面会交流を続けてほしい」と話している。

DV加害者にされた男性は名誉をどう回復したか 反論できない「支援措置制度」悪用の恐ろしさ

出典:令和2年5月1日 東洋経済ONLINE

DV加害者にされた男性は名誉をどう回復したか 反論できない「支援措置制度」悪用の恐ろしさ
西牟田 靖 : ノンフィクション作家・フリーライター

3月下旬、注目された行政に対する裁判が決着を迎えた(参考記事:「突然子どもに会えなくなる『虚偽DV』の悲劇」)。訴えていたのは愛知県在住の公務員、佐久間利幸さん(仮名、40代)。決着に至るまでの年月――それは男性にとってDV加害者としてのレッテルを引き剥がし、娘との絆を取り戻すための戦いであった。
3月30日、地元の東海テレビが行政に対する裁判の結果を伝えたが、報道された内容を要約すると次のとおり。
虚偽のDV被害を申告され、提訴していた公務員男性(40代)が愛知県の半田市とこのたび和解した。「元妻が捏造した相談でDV加害者として認定され、娘に会えなくなった」として、2016年、県(県警)と妻(当時)を提訴、1審の名古屋地裁では県の過失が認められたが、2審の名古屋高裁では退けられた。その後、男性はDVを認定した半田市を提訴、3月19日半田市が謝罪し和解が成立した。

■原告が勝訴する
佐久間さんと代理人である梅村真紀弁護士に話を伺う前に、まずは前記事の内容をダイジェストで記してみよう。

静香ちゃん宛に送った郵便物はすべて戻ってきてしまったという(筆者撮影)
2012年の年末、広子さん(仮名)は利幸さんが仕事をしている間に、当時未就学児だった静香ちゃん(仮名)を連れ、愛知県内の地方都市から近隣の半田市に転居する。
面会交流調停~審判では、宿泊と日帰りが1回ずつという月2回の面会交流のほか、休み期間中に長期宿泊面会する権利が認められ、学校行事への参加や手紙のやり取りは自由に行ってよいとされた。しかし妻が審判に反して面会交流を拒絶したため、佐久間さんは、学校訪問と手紙のやり取りだけで静香ちゃんと交流していた。
2016年3月、広子さんは警察へ出向く。そこで、広子さんはDV等支援措置の申し出に必要な「支援相当」の意見書を取得し、半田市役所で支援措置の手続きを行った。これにより、利幸さんは妻や娘の住民票の開示が不可能となった。さらには、学校を訪問して娘に会ったり、学校を含む行政機関から静香ちゃんの情報を共有してもらったりすることが不可能になった。
同(2016)年8月、利幸さんは損害賠償請求を名古屋地裁に申し立てた。
被告は、「暴力被害防止目的ではない目的で援助を求めた妻(広子さん)」と「それを安易に認め『支援相当』の意見を出した警察(愛知県)」であった。
判決は原告の勝訴。2018年4月、名古屋地裁の福田千恵子裁判長は利幸さん側の損害賠償請求に対し、広子さんと県の責任を認め、55万円の支払いを命じた。

広子さんの支援措置が目的外利用だと認められたのは、住所をブロックしなければ身に危険が及ぶというDVの危険性が認められなかったからだ。
2019年1月、名古屋高裁の控訴審では原告の訴えが覆された(なお、離婚については高裁の判決前に成立)。
梅村弁護士は次のように話す。
「判決では次のように述べられました。
①『学校行事参加妨害目的』でも『暴力被害防止目的』がなかったとは言えない。
②警察には妻の申告内容の真偽を加害者のために調査する義務はないし、最終的な支援措置実施の可否を判断するのは受付市町村なので警察には責任はない。
これまで支援措置に関する裁判は、受付市町村に対して裁判を起こすのが通常でした。その場合、『警察の“支援相当”の意見に基づいて市町村は支援措置を決定しているので、市町村に責任はない』とされ、訴えが棄却されてきました。
そこで、私たちは愛知県(県警)を訴えました。すると、名古屋高裁は『警察ではなく受付市町村の問題』という判断をしました。要するに責任のたらい回しです」
さらには最高裁への上告棄却により、県(警察)に責任がないということで、確定した。

■支援措置の違法性にこだわった
今回、半田市のみを提訴したのはなぜか。
「ムダな争点を排しました。責任は受付市町村にあると高裁が判断したのですから、受け付けた半田市だけを訴えようと」(梅村弁護士)
なぜこんなに支援措置にこだわるのか。
「支援措置制度のおかしさを世に訴えたかったからです。この措置は『被害者の申告』のみに基づいて、受け付けを行います。仮にその申告内容が虚偽だったとしても、罰則が存在しないんです。
申告された相手は一方的に『DV加害者』扱いされ、反論の機会も与えられません。ですので、虚偽の場合、加害者扱いされた人は、名誉を侵害されてしまいます。
また同時に、連れ去られた子どもの情報も、公平中立であるはずの行政機関から完全に秘匿されてしまいます。妻による面会審判不履行後も最低限行うことができていた、学校訪問と手紙のやり取りによる静香ちゃんとの交流さえも、DV支援措置以降できなくなってしまっています。
これは離婚前から、親権を剥奪されるのと同じです。要するに、何の反論の余地も与えられることなく、行政機関から子の親であることを一方的に否定され、子どもと生き別れ状態にされてしまうんです」(梅村弁護士)

 佐久間さん自身、大変だったという。
「娘に会えなくなったことに加え、DV加害者という社会的なレッテルを貼られて苦しみました。昇任や昇給といった人事査定にも影響しましたし、ネット上でも相当たたかれました。とくに高裁の判決が出た後は、DV加害者と決めつけられ、いわれのない中傷が数々なされました」
彼は下血し入院を余儀なくされた。また子どもに会えないつらさも相まって、急に涙が出てきたり、仕事での集中力を欠き思うように仕事ができず、退職も考えていたそうだ。

■和解の意味
2019年3月、半田市との裁判が、名古屋地裁岡崎支部で始まった。
裁判では、半田市がさまざまな事情を知っていながら支援措置を受け付けたことが重視された。それは、面会交流審判の存在であったり、広子さんの半田市への相談内容だったり、佐久間さんがもともと知っている半田市内の住所をブロックしても暴力被害防止とはならなかったり、といったことだ。それは、警察の支援相当の意見を受けて、受理したという事情はあるにせよだ。
広子さんが暴力被害を防止する目的ではなく支援措置を申請している――そのことを半田市は知りながら受理し、住民票等を利幸さんに対してブロックした。
裁判所は、半田市に落ち度があることを指摘し、佐久間さんとともに和解勧告がなされ、両者はそれに従った。2020年3月19日のことだ。
「裁判だと判決が出るまでに時間を要しますので、和解勧告に応じました。金銭目的の裁判ではないので、金銭請求は放棄する一方、謝罪と被害内容を明確化することを求めました」(梅村弁護士)
和解条項は以下のとおりである。
1 被告は,原告に対し,原告を加害者とする住民基本台帳事務における支援措置申出につき,住民基本台帳事務処理要領に照らして不適正な取扱いを行ったことを認め,これを陳謝する。
2 被告は,支援措置の要件を満たさなかった状況において,原告について前項の支援措置における加害者であるかのような誤った印象や憶測が発生・継続したこと,原告が●●市において未成年者の法定代理人ないし直系尊属として未成年者の情報に接することが困難になったこと等を重く受け止め,今後の支援措置の実施に当たってはその適正性等につき更なる確認に努めることを確約する。(以下略)
この条項のキモは「2」である。
・佐久間さんをDV加害者だと見なし支援措置を受け付け、その措置をずっと撤回しなかったこと
・実の親が、離婚前も離婚後も、未成年である子どもに会うことはもちろん、居住地や学校などの情報にすら触れることができなくなったこと
誤った支援措置は、「名誉」と「親が子の情報に接する権利」という2つの重大な権利侵害を発生させる。
これを半田市が認めて謝罪したことにより、佐久間さんはDV加害者というレッテルを剥がし、ようやく名誉回復が図られるとともに「静香ちゃんの親」としての立場を取り戻したと言えるだろう。

 「支援措置制度によって助かるDV被害者もいるでしょう。しかし、DV被害防止目的でなく、行政を味方につけることによって子の情報を相手に遮断し、『離婚に当たって親権を確実に得る』ために制度を悪用することもできるのです。
今回の和解で、私たちは、佐久間さんの名誉回復だけでなく、『証拠不要の支援措置を悪用した親子断絶被害の存在』を行政が認めることを、賠償金なしの和解に応じる絶対条件としました。
同じような被害を受けている人は、表面化していないだけで、全国には多数存在するはずです。この和解をきっかけに『DV被害者保護の名の下、制度悪用者が現れる危険性』『加害者扱いされた被害者の存在』『DV冤罪で生き別れになった親子の存在』に、行政だけでなく世間も目を向けてほしいと思っています」(梅村弁護士)
「私は、支援措置によって『DV加害者』『性的虐待者』扱いされ、名誉だけでなく学校等を含むすべての行政機関から『親であること』まで否定され、静香との面会を実質ゼロとされました。こんな私が親としての尊厳を取り戻し、再び子どもと会えるようになるためには戦うしかない思い、自分を鼓舞してきました。また、これは誰にでも起こりうる問題。被害者をこれ以上出したくないという気持ちもありました」(佐久間さん)

■親子の再会はいつ
なお、この和解は覆すことはできない。半田市役所が認め、謝罪したからだ。
和解した半田市にコメントを求めた。すると、担当者は次のように発言した。
「(元妻と娘が)半田市から転居し支援措置が終了していたにもかかわらず、手続きを怠ってしまいました。その点について謝罪いたします」
和解条項では、支援措置を受け付けたこと自体を謝罪していたにもかかわらず、その点についての謝罪は口にしなかった。
また、広子さんの代理人である可児康則弁護士にも結果についてのコメントを求めたが、コメントは得られなかった。
最後に、佐久間さんに娘の静香ちゃんとのその後について、伺った。
「もう4年あまり、消息すらわかりません。だけど、子どもが使っていた部屋はいつ帰ってきても使えるよう、今もそのままにしています」(佐久間さん)
親子の絆はそう簡単に切れるものではない。私は親子の再会を信じている。

新型コロナで「面会交流」困難も テレビ電話など検討を 法務省

出典:令和2年5月1日 NHK

新型コロナで「面会交流」困難も テレビ電話など検討を 法務省

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、離婚などで離れて暮らす親子が定期的に会う「面会交流」が困難なケースがあることから、法務省は、ホームページでテレビ電話による面会などを検討するよう促しています。
この中で法務省は「面会交流」について、「決められた方法で実施すると、子どもの安全を確保することが困難になる場合も生じ得るものと考えられる」としています。

そのうえで、当事者による話し合いが可能な場合には、テレビ電話や電話といった代わりの方法を検討するよう促しています。

一方、話し合いが困難な場合には、弁護士など専門家に相談するようにしてほしいとしています。

森法務大臣は、記者会見で「オンラインや電話などに変えることで面会を実現することはできる。両親の話し合いが前提だが、難しい場合の相談窓口も法務省から案内したい」と述べました。

専門家「国は丁寧に説明を」
離婚などで離れて暮らす親子をつなぐ「面会交流」は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、7割以上が全く面会できなくなったり、減ったりしたことが当事者団体の調査で分かっています。

法務省が面会交流への対応を公表したことについて、家族法が専門で面会交流の問題にも詳しい、早稲田大学の棚村政行教授は「子どもの健やかな成長のために面会交流はとても大事だが、新型コロナウイルスの影響でうまくいかなくなっていることに対して、国が情報発信をしてくれたことは評価できる」と話しています。

一方で棚村教授は、アメリカイギリスなど諸外国では、面会交流の詳細な指針を示し、子どもが相談できる窓口が設けられているとして「現在のままでは、細かく指針を示せてはいない。面会交流が実際に滞っている、あるいはうまくいっていない親が、具体的に何をすればいいのかを丁寧に説明する必要がある」と指摘しています。

<以下、参考:法務省ホームページ掲載>

【新型コロナウイルス感染症関係情報】面会交流について
 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00033.html

今般の新型コロナウイルス感染症に関連して,子どもの安全の確保や感染拡大防止の観点から,事前に取り決められていた条件での面会交流を実施することが困難な状況が生じた場合にとり得る対応について,以下のとおりご案内します。

1  面会交流は,子どもの健やかな成長のために重要なものですが,新型コロナウイルス感染症の拡大が問題となっている現在の状況の下では,従前取り決められた方法で面会交流を実施すると,子どもの安全を確保することが困難になる場合も生じ得るものと考えられます。
 したがって,そのような場合には,面会交流の方法を変更すること等を検討していただく必要があるものと考えられますが,父母間で話合いをすることができる場合には,子どもの安全の確保に最大限配慮し,どのような方法で面会交流を実施するのが相当かについて話し合ってください。
 例えば,これまでは,直接会う形での交流を続けてきた場合でも,子どもの安全等を考慮して,一定の期間,通信機器等を利用した方法での交流や,手紙での交流等に変更することを検討するときには,次のような事項について話合いをすることが考えられます。

○ 代替的な交流の方法(例えば,ビデオ電話,電話,メール等)
  ※ ビデオ電話や電話等の場合にはどちらから掛けるかも決めておくとよいと考えられます。
○ 日時(例えば,毎週何曜日の何時から何時まで等)
○ 代替的な交流の方法を用いる期間
○ その他,円滑な交流のために必要と考えられる項目

2 これに対し,父母間で落ち着いた話合いをすることが困難な場合には,互いに様々な不安を抱える状況にあること等を考慮して,無理に当事者間で話し合おうとはせずに,必要に応じて弁護士等の専門家に相談するようにしてください。

3 面会交流について知りたい方は,以下のホームページをご覧ください。
 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00017.html
  また,悩んだときは,専門家に相談してください。
 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00013.html

「リモート面会」も可 離婚後の親子 法務省

出典:令和2年5月1日 時事通信

「リモート面会」も可 離婚後の親子 法務省

法務省は1日、新型コロナウイルスの感染拡大により、離婚で別居している親子の面会交流が困難なケースが生じていることを受け、ビデオ通話などによる「リモート面会」を代替手段にすることも可能との見解をホームページに掲載した。
 
 同省は「父母間で話し合いをすることができる場合は、子どもの安全確保に最大限配慮し、どのような方法で面会交流を実施するのが相当か話し合ってほしい」と呼び掛けている。

当事者/サバルタンである子どもは日本の離婚システムでは語れない~思想、裁判所、弁護士、法学者、NPO

出典:令和2年4月29日 Yahooニュース!

当事者/サバルタンである子どもは日本の離婚システムでは語れない~思想、裁判所、弁護士、法学者、NPO
田中俊英 一般社団法人officeドーナツトーク代表

■20万人の子どもの落胆
現代の日本は世界でも珍しい「単独親権」制度をとるため、両親が離婚したあと子どもはどちらかの親(多くは母)と同居し、別居するもうひとりの親とは会えて月1回のペースになる。
月1回会えればいいほうで、なかには何年も会えない別居親もいる。
また、昨今の新型コロナ禍のために同居親が慎重になったりすることから月1回の子どもとの「面会交流」(この表現には問題があると当欄で指摘したアタッチメントが「ペアレンティング・タイム」をいざなう~離婚後の「面会交流」ではなく)が滞っている別居親もたくさんいる。
それら別居親の嘆きは、ツイッターの話題検索で「面会交流」「共同親権」等で検索していただければ簡単に読むことができる(面会交流 共同親権)。
多くの別居親が月1回の子どもとの交流に期待し、喜び、落胆し、涙している。
毎年20万組の夫婦が離婚するから、 すべての夫婦に子どもはいないにしろ子どもがいる夫婦は2人以上も珍しくないため20万人程度の子どもがそうした環境(別居親との実質的別離)に追いやられている。

■虚偽DV申告アドバイス
そうした単独親権離婚を「勝ち取る」ため、「虚偽DV」が弁護士によってアドバイスされていることも当欄では触れた。そしてそれを裁判所が追認し、そうしたプロセスに疑問を抱く別居親によって訴訟が起こっていることにも。
たとえば今月号の『月刊Hanada』には、弁護士による虚偽DV申告のアドバイス的な事例も紹介されている。同記事では、DVを訴えるために必要な項目として以下のようなものがあるので注意するように、と離婚を考える一方の親たちに弁護士たちはアドバイスしているそうだ。
……弁護士の提示した三つの「証拠」は、まさに日本国内で人権派弁護士らがDVの捏造を指南する時に利用する三点セット。
 病院の診断書は、「ストレス性腸炎」などの病名で頼めばすぐに発行してもらえる。DVシェルターに「入っていた」という事実も、日本の裁判所では証拠になる。警察や婦人相談所へ「相談した」という事実も証拠として使える。この三点を使えば、まったくDVがなかったとしても簡単にDVの証拠を捏造できるし、日本の裁判所はDVの事実認定をしてくれる。
出典:ハーグ条約を“殺した”人権派弁護士たち 『月刊Hanada』6月号 池田良子
こうした「捏造」の実態は、あからさまなDVとは別に、記事にもあるような「夫婦喧嘩の過程でのどなり合い」といったシーンも多く含まれる。
夫婦喧嘩がエキサイトすると、どなり合ったり、モノを投げたり、モノや手や足で暴力に及ぶこともある。人間が遭遇する暴力の中では、意外と家族間の「喧嘩」が多く、夫婦のほかには、母子(ひきこもりや発達障害でよく見られる)、父子、兄弟などが普通に見られる。
そうした摩擦の一場面を、「法的視線」で切り取れば、それが双方向のアクションであったとしても(一方通行のアクションだと容易にDVや暴力に位置づけることができる)、たとえば上の「三点セット」や「痣の写真」などがあれば、それは即DVや虐待になる。

■「離婚複合体」が生むサバルタンとしての子ども
こうした「DV創作」も含めた、それら一連のプロセスやシステム(「単独親権離婚システム」)を思想として後押ししてきたのが「昭和フェミニズム」であると、当欄では2回言及した(虚偽DVは、「昭和フェミニズム」から生まれた 「少女フェミニズム」が単独親権を続ける)。
単独親権離婚システム、あるいはシンプルに現代の離婚システムには、このように、思想(昭和フェミニズム)、既存概念を追認する裁判所、そうした法曹界のエートスに便乗して「離婚ビジネス」を展開する弁護士、その周辺に群がる学者やNPOといったいくつかの層で構成されている。
「支える思想-追認する裁判所-ビジネスとして請け負う弁護士-周辺に群がる学者とNPO」、あの軍産複合体ではないが、「離婚複合体」のようなものが束になって日本の離婚事象を覆っている。
ここでいつも後回しにされるのが子どもで、日本は本当に当事者(この場合子ども)の人権は後回しにされる。これをポストコロニアル哲学の用語で表現すると、「サバルタン(最大の当事者)である子どもは語ることができない」という表現になる。
日本の場合、戦争でもあからさまな差別でもなく、「単独親権離婚システム」の形成によって、最大の当事者/サバルタンである子どもが語ることができない。できないどころか、子どもたちの声は「洗脳」され歪められる(「ぼくは、父(母)親に絶対会いたくありません」~「連れ去り洗脳」という児童虐待)。
日本ではやはりいつも子どもが犠牲になるが、「離婚ビジネス」で儲ける弁護士と黙認する裁判所、それらを背後で支える「昭和フェミニズム」というシステムがあることを意識しておきたい。

家裁審理が中断「早急に再開を」 別居の親、子どもに会えず

出典:令和2年4月27日 共同通信

家裁審理が中断「早急に再開を」 別居の親、子どもに会えず

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言で家裁の審理が中断し、別居中の子どもに会えないケースが相次いでいるとのアンケート結果を当事者団体がまとめ、裁判を早急に再開するよう求める要望書を27日、最高裁に郵送した。

 取りまとめたのは「共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会」。メンバーの12人は、単独親権制度が法の下の平等を保障する憲法に反するとして、国に賠償を求めて東京地裁で係争中だ。

 20~23日に実施したアンケートには、面会交流や離婚、子どもの引き渡しなどを家裁で審理中の94人が回答。7割近い65人が次回期日が決まっていないと答えた。

離れて暮らす親子の「面会交流」にも影響 新型コロナ

出典:令和2年4月26日 NHK

離れて暮らす親子の「面会交流」にも影響 新型コロナ

 感染拡大の影響は、離婚などで離れて暮らす親子をつなぐ「面会交流」にも及んでいることがわかりました。当事者団体の調査で7割以上が全く面会できなくなったり減ったりしていたということで、専門家は「子どもが親と交流することは非常に重要なことで、直接会えなくてもオンラインでの面会交流を行っていくべきだ」と指摘しています。
離婚や別居で子どもと離れて暮らす親で作る団体では、今月20日までの1週間、新型コロナウイルスの感染拡大が面会交流に影響していないか、アンケート調査を行いました。

それによりますと、回答者160人のうち107人は感染が拡大する前のことし2月までは面会交流が行われていましたが、このうち「全く実施できなくなった」と答えた人が44%「会う頻度や時間が減った」と答えた人は32%でした。

これらの人の81%は、オンラインでのビデオ通話など代わりの方法での面会交流もできていないということです。

また、このまま外出自粛が続いた場合に、子どもとの断絶が進む懸念があるかを尋ねたところ、「強く懸念される」か「やや懸念される」と答えた人が85%に上りました。

娘と離れて暮らす父親「国などが面会可能な方法示して」
千葉県に住む40代の男性は昨年、妻と離婚し、月に4回の約束で幼い娘と面会交流を続けてきましたが、元妻から新型コロナウイルスの感染拡大を理由に会わせられないと伝えられ、現在は面会交流ができていない状況だということです。

男性は「元妻から『コロナがはやっていて危ないので会わせるつもりはない』という意思表示があり、面会交流は無くなりました。面会交流に関して調停を申し立てましたが、裁判所には緊急性が無いと判断されて延期され、話し合いもできない状態です」と話しています。

そして「子どもはやっと父親が誰かを覚えたばかりです。子どもの成長を見届けてあげられないことは本当にかわいそうだと思うし、子どもに会いたいです。オンラインで面会するといった方法を国や裁判所などが方針として示してくれれば非常に助かると思います」と話しています。

専門家「オンラインでの面会交流を」
家族法が専門で面会交流や養育費の問題に詳しい早稲田大学の棚村政行教授は「離れている親にとっては子どもと会えないことで健康状態も含めて心配になることは非常に理解できるし、一方、同居している親にとっても子どもや自分の健康、それに休業に伴うさまざまな影響にストレスや不安を感じ、面会交流も大切だがそれどころではないと、精神的に追い詰められている状況にあるのではないか」と分析しています。

そのうえで「アメリカなど外国ではオンラインでの面会交流が20年ほど前から行われていて、日本はかなり遅れをとっている。面会交流は非常に重要なので、たとえ直接会えなくてもオンラインなどで会話できたほうがよい」と指摘しています。

さらに「イギリスでは面会交流は非常に重要だとして、外出制限の例外に当たると明示している。ほかにも外国ではオンラインでの交流や養育費などの問題についてもワンストップの相談窓口を設けるなど、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてきめこまやかな配慮があるとうかがえる。感染拡大がいつまで続くのかわからない中、日本の裁判所や弁護士会にも同様の取り組みが求められる」と話しています。

「ぼくは、父(母)親に絶対会いたくありません」~「連れ去り洗脳」という児童虐待

出典:令和2年4月19日 BLOGOS

「ぼくは、父(母)親に絶対会いたくありません」~「連れ去り洗脳」という児童虐待
田中俊英 一般社団法人officeドーナツトーク代表

■「おとうさん すき」から、「ぼくは、父親に絶対会いたくありません」へ
行政の子ども若者支援の委託事業をメインとして仕事をするようになったここ10年近く、僕は主として、不登校やひきこもりや発達障害をもつ親御さんの面談支援を担当している。
行政の事業なので当然無料のサービスで、区役所に置かれているチラシや広報を見てやってくる親御さんは上の3分野に限らず多様だ。あるいは、最初はたとえば子どもの不登校ということで面談に来られたものの、実は発達障害であったり夫からのDVであったり妻の不倫であったりと、真の問題に移行していくことがよくある。
そのなかでも、数は多くはないが、当欄でも度々触れている、離婚の際の「単独親権」にまつわる諸問題には深刻なケースが含まれる。
その代表が、離婚時に同居した親からの、子への「洗脳」問題がある。
Twitterに公開されているとはいえやはり究極のプライバシーだからその手紙をシェアするわけにはいけないが、今朝も、子どもからのこんな言葉を連ねたメモがツイートされていた。
「ぼくは、父親に絶対会いたくありません」
これをツイートしているのは、悲しいことに、会いたくないと言われた父親のほうだ。その父親は、10年前の手紙として、同じ子どもからの以下の言葉もツイートしている。
「おとうさん すき」
子どもは、おそらく現在が中学生、あとの言葉は10年前のものだというから5~6才の頃のものだ。
この問題は個別の事例でありながら、広く一般化できる(一般化できると思ったので、ここにも書いている)。というのも、上に書いた保護者との面談のなかで、それほど数は多くはないものの、同様の言葉を僕はこれまで何回か別の別居親たちから見せてもらったことがある。その言葉は、まるで同じ、「会いたくない」というものと「すき」というものも、まったく同じだ。
離婚の際子どもを「連れ去られ」、そのあと何年かして子どもの態度や言葉が豹変したこともまったく同じだ。
これが、連れ去り別居に伴う子どもへの「洗脳」として、現在とりあげられている問題である。

■「パパ(ママ)をきらいになることが、ママ(パパ)に気に入られるんだ」
先日、この「連れ去り」問題は基本的人権の侵害だとして集団提訴があり、その訴状には強引な連れ去りの姿が生々しく描かれている(子の連れ去り違憲訴訟)。
訴状の引用はフェアではないので控えるが、この産経新聞のネット記事(子の「連れ去り」規制を 引き離された親ら、国を集団提訴 )からも、原告側の無念さは伝わってくる。
こうした強引な「連れ去り」の結果、子どもたちにとって別居することになった親(多くは父だが、母も当然いらっしゃる)への見方が、月日をたつごとに変化していく。
その多くは、冒頭に引用したようにネガティブなものに変わる。
子どもを連れて同居する親(多くは母親だが、父もいる)は、離婚にまつわる感情的もつれから、当然元パートナーに対して悪感情を抱く。別居・離婚・連れ去りの過程を経て新しいパートナーと出会うことも珍しくはなく、その新パートナー(子どもにとってやがて新父母になっていく)とうまくやっていくためにも、旧夫・旧妻の悪口を言う。
それはたいてい、子どもの前で言われるだろう。
最近ようやく、子どもの前での夫婦げんか・DVは、「面前DV」と呼ばれ、児童虐待のひとつ(心理的虐待)としてカウントされるようになった。
それとは少し様相は異なるものの、この、子どもの前で元パートナーを否定し続けるという行為は、子どもにとっては、
「パパ(ママ」をきらいになることが、ママ(パパ)に気に入られるんだ」
という思考になる。

■踏み絵
僕もかれこれ25年ほど子ども若者支援をしてきたが、子ども(特に幼児)は、自分が「生き残っていく」ために、最も親しい大人の意見に自分を合わせようとする。
僕が敬愛するある里親の方は、もう20年ほどまえではあるが、よく僕にこう言ったものだ。
「田中くん、君が関わる子どもたちが君と仲良くなるのは、君の支援のスキルとは関係なく、子どもたちが君に合わせてくれているんだよ」
その方は、国立大学の理系の教授であり、自らも里親をされていたため、その言葉には説得力があった。
そう、子どもは、その子どもがしんどい環境に置かれていればいるほど、周囲の身近な大人に自分を合わせることで「生き残って」いこうとする。いわばこれが、子どもの「生存戦略」なのだ。
だから、
「ぼくは、父親に絶対会いたくありません」
という言葉は文面通りに受け取ることはできない。こう書くことで、こうパフォーマンスすることで、目の前の身近な大人(親と、新しくその親のパートナーになった大人)に気に入られることが目的だ。
「会いたくない」「きらい」ということで、新しい環境(住居や新しい「親」)に適応させてもらうことを子どもは無意識的に狙っている。
言い換えると、同居親はそうした効果をよく理解した上での、元パートナーへの悪口なのだ。
つまり、元パートナーの悪口を、連れてきた我が子が受け入れるかどうかは、
踏み絵
のようなものだ。
前のお父さん(お母さん)をお前は嫌いになることができる? できれば、私との新しい生活をともにしよう、というノンバーバル(言語外)なメッセージが、同居親が子に発する「おとうさん(おかあさん)は最低だった」という言葉に含まれている。
子どもの生存戦略的には、その言葉に従うしかない。その従属を言い換えると、
洗脳、
ということになる。
※Yahoo!ニュースからの転載

変化する家族のあり方 共同親権と選択的夫婦別姓の法整備を 真山勇一・参院議員

出典:令和2年4月16日 毎日新聞

変化する家族のあり方 共同親権と選択的夫婦別姓の法整備を 真山勇一・参院議員

 国会議員になってすぐに参院法務委員会に配属され、国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めたハーグ条約の承認と国内法整備に関する議論に加わった。当時はハーグ条約に未加盟だったため、子どもの連れ去りを巡る国際トラブルが発生しているとして条約加盟に向けた手続きが急がれていた。
 調べてみると、子どもの連れ去りは国際結婚だけの問題ではなく、国内でも同様の事案が起きているということが分かった。日本人同士で離婚したけれども、元配偶者がいつの間にか子どもと一緒に転居してしまい、行き先が分からず子どもに会うことができない……。こういった話を聞き、家族のあり方を巡る法整備を行う必要があると考えるようになった。
 離婚は、夫婦が役所の窓口に離婚届を提出すれば成立する。たとえ、夫婦間で子どもの扱いをどうするか話し合われていなかったとしてもだ。すると、離れて暮らす親と子どもの面会が滞る、逆に一人親となった家庭に元配偶者から養育費が支払われないといった事態が発生する。
 日本は子どもの7人に1人が貧困だと言われており、中には離婚した女性が1人で子どもを育てているケースも多い。離婚時に子どもの扱いに関する協議をするよう制度設計していけば、子どもの権利が侵害されることは防げるのではないか。
 例えばオーストラリアでは、離婚に当たって相談する専門の機関があり、子どもの養育についての取り決めやその実施をサポートしてく…
 ※以下、記事を参照ください。

離婚後も「共同親権」24カ国中22カ国 法務省、海外の法制度調査

出典:令和2年4月11日 毎日新聞

離婚後も「共同親権」24カ国中22カ国 法務省、海外の法制度調査

 法務省は10日、離婚後の親権や子の養育の法制度について海外を調査した報告書を公表した。調査した24カ国のうち22カ国が、離婚後も父母双方が子の養育に関わり、協力して教育や医療などの子の重要事項を決める「共同親権」を法的に認めていた。
 日本は民法で、離婚後は父母いずれかが親権者となる「単独親権」を定めている。報告書によると、日本と同様に単独親権のみを認めるのはインドとトルコの2カ国だけ。イタリアやドイツフランスなどは共同親権を原則としつつ、裁判所の判断に基づく単独親権を認めている。韓国やインドネシアでは実際には単独親権を選ぶ例が多かった。英国は離婚時に親権行使の具体的方法を調整し、父母がそれぞれ単独で親権を行使できる。
※以下、記事参照 
毎日新聞20200411

大半の国が共同親権採用、法務省調査 運用方法に違いも

出典:令和2年4月10日 日本経済新聞

大半の国が共同親権採用、法務省調査 運用方法に違いも

法務省は10日、離婚後も父母の双方が子どもの親権を持つ「共同親権」の導入状況について、米国や英国など24カ国を調査した結果を公表した。22カ国が採用しており、日本と同様、父母の一方を親権者と定める「単独親権」のみの国はインドとトルコだけだった。
共同親権の是非は有識者や法務省の担当者らでつくる「家族法研究会」が議論しており、調査結果を参考資料にする。法改正が必要と判断すれば、法相が法制審議会に諮問するが、父母が対立している場合は共同親権が子どもの不利益になるとの意見も根強い。
共同親権は一般的に、父母が合意して親権を行使することと考えられているが、運用方法は各国で異なる。
イタリアやオーストラリアドイツといった国は、離婚後も原則として共同親権となる。スペインは父母の合意により、単独親権とすることができる。インドネシアは共同親権を認めているとはいえ、養育している親だけが親権を行使することが多い。
共同親権の範囲は、イタリアは教育などに限定。ドイツは、子どもにとって著しく重要な事項として抽象的に定めていた。スイスなどは限定していない。
共同親権の行使で父母が対立すれば、英国やドイツブラジルをはじめ、最終的に裁判所が調整する国が多かった。調査は昨年から外務省を通じ実施していた。

共同親権、多数が採用 24カ国対象の法務省調査

出典:令和2年4月10日 時事通信

共同親権、多数が採用 24カ国対象の法務省調査

 法務省は10日、離婚後の親権制度や子の養育の在り方をめぐり、外務省を通じて行った24カ国対象の調査結果を公表した。それによると、離婚後も父母双方に親権が残る「共同親権」は、カナダや中国など多くの国で認められている。日本のように離婚後は片方の親だけが親権を持つ「単独親権」はインドとトルコの2カ国のみだった。
「単独親権は違憲」と集団提訴 子育ての権利侵害、国を相手に―東京地裁
 単独親権については、親権を失った親と子の交流機会が制限されるとの問題点が指摘されている。調査対象のほとんどの国で、離婚後の子と親の面会交流が適切に行われているかについて、公的機関が監視するなどの支援制度があるという。

共同親権、22カ国が採用 法務省調査、研究会の資料に

出典:令和2年4月10日 共同通信

共同親権、22カ国が採用 法務省調査、研究会の資料に

 法務省は10日、離婚後も父母の双方が子どもの親権を持つ「共同親権」の導入状況について、米国や英国など24カ国を調査した結果を公表した。22カ国が採用しており、日本と同様、父母の一方を親権者と定める「単独親権」のみの国はインドとトルコだけだった。
 共同親権の是非は有識者や法務省の担当者らでつくる「家族法研究会」が議論しており、調査結果を参考資料にする。法改正が必要と判断すれば、法相が法制審議会に諮問するが、父母が対立している場合は共同親権が子どもの不利益になるとの意見も根強い。
(共同)

「実子誘拐ビジネス」の闇 人権派弁護士らのあくどい手口

出典:令和2年5月1日発行 月刊『Hanada』5月号

「実子誘拐ビジネス」の闇 人権派弁護士らのあくどい手口

記事PDF

画像の説明

記事の詳細、参考情報はこちらをクリックして参照ください。

(声)涙 離婚後も孫との時間ありがとう

出典:令和2年4月4日 朝日新聞デジタル

(声)涙 離婚後も孫との時間ありがとう

■みんなで語ろう 涙

 無職 吉岡律子(福岡県 73)
 二十数年前、初孫誕生の知らせを受け、夫と雪深い東北に駆けつけました。息子も彼女も20歳、東京の大学に通う学生でした。赤ちゃんと対面した時の感動は今でも忘れません。
 大学を卒業した息子は妻と2歳児を連れて帰郷し、就職しました。それからわずか3年で離婚。孫は母親が親権を得て、父子は泣く泣く別れました。私も涙がかれるほど泣きました。その後、双方が話し合い、父親と月に1回の面会ができるように。以来毎月1、2泊で我が家に来るようになりました。
 息子が仕事で忙しい時は、私が孫を迎えに行き、駅から2人で手をつないで童謡を歌いながら家路につきました。さらに春夏冬休みの長期滞在も加わり、すっかり家族の一員に。大人になった今も遊びに来ます。
 今年の正月、「6月に結婚します」と彼女を連れて報告に来ました。私たち夫婦を「僕の両親のような存在だよ」と紹介していました。うれし涙があふれました。もちろん、女手一つで彼を立派に育て、私たちに会わせてくれた母親に、いまは感謝の気持ちでいっぱいです。

別居親 子に会えず苦悩 交流支援を望む声も

出典:令和2年4月1日 沖縄タイムズ

別居親 子に会えず苦悩 交流支援を望む声も

画像の説明

「DVの加害者と判断された」市に損害賠償求めていた公務員の46歳男性 市が謝罪し和解成立

出典:令和2年3月30日 東海テレビ

「DVの加害者と判断された」市に損害賠償求めていた公務員の46歳男性 市が謝罪し和解成立

 元妻にウソのDV被害を申告されたと訴える男性。DVの加害者だと判断した愛知県半田市を訴えていましたが、和解が成立です。

 愛知県内の公務員の男性(46)は、「元妻が捏造した相談でDV加害者として認定され、娘に会えなくなった」として、2016年、元妻と県に合わせて330万円の損害賠償を求める裁判を起こしていました。

 一審の名古屋地裁は、元妻のDVの相談が娘との面会を阻止する目的だったことと県警の過失を認めましたが、二審の名古屋高裁は、DVの判断は警察ではなく行政が下すものとして、訴えを退けました。

 これを受け、男性はDVを認定した半田市を相手に損害賠償を求めて訴えていましたが、3月19日半田市が謝罪し、和解が成立しました。

「透明」になって傷つける〜日本の離婚の専門家たち

出典:令和2年3月28日 Yahoo ニュース!

「透明」になって傷つける〜日本の離婚の専門家たち

田中俊英 | 一般社団法人officeドーナツトーク代表

■39名
前回、日本における「子ども」とは、産業革命以前の「小さな大人」でもなく近代的「権利の主体」でもなく、それはあたかも鑑賞物のような、目の前にある置物のような、主体的意思は持っているのだろうがそれ以前にこちらに従属する付属品(英語ではアタッチメント)のような、「オブジェ」のような存在ではないか、と書いてみた(子どもはオブジェ〜小さな大人でもなく、権利の主体でもなく)。
そのような客観的モノである存在であれば、子どもの意思に無断で「誘拐」することにはそれほど罪悪感は抱かないはずだ。
そう、我が国では、夫婦が離婚する際、一方の親(母が多い)が他方の親(父が多い)に無断で、子どもを連れ去ることが日常的に起こっている。日本で毎年離婚する20万組のうち、その行為は10万組とも15万組ともあると言われる。
欧米諸国からは日本のこの「連れ去り」行為は「誘拐」とみなされ、ヨーロッパ(フランスほか)を中心に、激しい抗議が毎年のように寄せられている。普通の日本国民がそれを知らないのは、単にメディアが報道しないからだ。
そうした実態について報告し、連れ去り/誘拐の代表的裁判(松戸判決〜一審では画期的な「フレンドリー・ペアレント・ルール」が採用されながら二審ではそれが破棄された「事件」。これが連れ去りの代表的な法的根拠となっている)も丁寧に説明してくれる記事が発表された(月刊Hanada2020年5月号 [雑誌花田紀凱、 月刊Hanada編集部])。
この記事は近々起こされるであろう民事訴訟をメインに取り上げ、そこでは、弁護士・裁判官・NPO・大学教授等39名もの専門家・有名人たちが名誉毀損の被告とされていることを報告する。
39名のなかで代表的な人々はすべて実名をあげられている。ここでは名前は記さないものの、その名前の半分以上は僕は以前より知っている。

■誘拐、継続性の原則、虚偽DV、人格破壊、天下り
この記事はネットに要約版が出ている(有名リベラル論客を多数提訴〜「実子誘拐」を巡る注目の裁判 - 牧野 のぞみ)。
また、珍しいことに『英語版」も公開されている(Darkness of child abduction business|Nozomi Makino)。
元読売新聞の記者の記事らしく、社会的問題としてこの裁判の意味に切り込む。それは、
1.日本の「誘拐/連れ去り」は国際問題だということ
2.「松戸判決」が重大なポイントであるが、一審は画期的判決で勝訴した父が、二審では従来の「継続性の原則」(「誘拐/連れ去り」の結果同居している親〜多くは母〜の立場を優先する)を根拠に敗訴したこと
3.一審を覆すためか、二審を根拠づけるためか、おそらく両方だろうが、二審敗訴の父を「DV父」(実際は虚偽)だとして専門家たちが追求し始めたこと
4.それは「人格破壊 Character Assassinasion」と呼ばれる、集団でこの父/原告の人間的あり方を貶めるものであったこと
5.そうした人格破壊集団(記事では「集団リンチ」と表現されている)の一員には、たとえば裁判官が含まれており(なんと松戸判決の審判書を書いた裁判官だという)、退官後は母側(父側の敵対者)の代理人の弁護士事務所に天下ったこと
等を指摘する。
これらの過程には「子どもの声」は聞こえず顔も見えない。子どもは「対象物」として裁判の一事象として潜在化させられている(ポストコロニアル哲学的には「サバルタン」化)。
同時に、紋切り的事象(DV)と紋切り的約束事(「継続性の原則」)をつなぎ合わせてひとつの典型的物語をこしらえる。それを待ったあと、「法」がなんの悩みもなく紋切り的決定「同居親の元に子は属する」を行なう。

■透明と省略の暴力
ここには、3つの問題点がある。それは、
1.最大の「当事者」である子どもを潜在化させ、近代的法システムの中では堅くて古い議論(継続性の原則)と事実ではない(虚偽)通俗的言説(DV)で、単独的事象を覆い隠す。
2.覆い隠す論者・専門家達は、自らを客観的存在とし、第三者的立場をとり公平にふるまう。この公平さにより論者(たとえばNPO代表)の顔はそこに見える割にはその論者がまとう「正義」のマントにより、「透明」な存在となる。
3.「継続性の原則」という紋切り的言説を採用することで、目の前の単独的事象について、単独的決定ができない。松戸判決の二審は「決定」とは言えず、単なる惰性であり、それは当事者たち(ここでは子と父)の「声」を隠蔽する機能を持つ。
つまり、その事例に宿る特別で単独的意味を消失させる。
消失させる人々は権力をまといながらも「透明」になって逃げている。
そして「決定」が行なわれないため、最大の当事者(子ども)がまたもや潜在化させられる。
ポストコロニアル哲学における「サバルタン」の創出は、前前世紀のインドだけにとどまらず、21世紀のニホンにおいてこのように典型的に行なわれている。
同哲学の代表的書物である『サバルタンは語ることができるか』(G.C.スピヴァク)は、同書1章において、上1と2を指摘し、あの著名な哲学者であるM.フーコーとG.ドゥルーズも「透明な存在」と化し海外の元植民地事情を捨象してフランス国内へと話題を省略化しているとする。言い換えるとその省略化は「暴力」である。

■紋切りの暴力
そうすることで、フーコーとドゥルーズは安全な高みに自らを置き、「透明な存在」となって問題を浮き上がらせる。
上の3については、J.デリダが『法の哲学』のなかで厳しく語る「決定」とはまったく逆の行ないが生じている。
世界で唯一つの単独的な事象を「決定」するためには、前例を踏襲しながらも(継続性の原則)、その単独的事象に対して世界で唯一の単独的決定を行なう必要がある。
その決定の瞬間は「幽霊が宿る」瞬間であり、それが言い換えると「脱構築」であるとデリダは語る。松戸判決ほかの、日本で日常的に行われる「継続性の原則」に則った紋切り判決は脱構築どころか、個々の当事者たちに対して圧倒的に無礼である。
その無礼さを言い換えると、その紋切り的決定は「暴力」である。
このような2種類の暴力が、当事者をサバルタン化・潜在化させている。そしてその暴力に加担しているのが、ここでは39名の専門家・著名人たちだということだ。

全ての子どもにまつわる事件の当事者の親御さんたちは、最高裁判所の動画を武器にしっかりと身に着けるべき 最高裁は私たちの味方だ!

出典:令和2年3月27日 土井法律事務所ブログ

全ての子どもにまつわる事件の当事者の親御さんたちは、最高裁判所の動画を武器にしっかりと身に着けるべき 最高裁は私たちの味方だ!

最高裁判所が動画を配信しています。
https://www.courts.go.jp/links/video/hanashiai_video/index_woc.html

ビデオ「子どもにとって望ましい話し合いとなるために」という動画があり「基本説明編」と「子どもの年代別説明編」の2本が配信されています。

子どもと言っても発育段階によって感じ方に違いがありますので、年代別説明編を作ったことはとても配慮されていると思います。
基本説明編では未就学児と小学校高学年を例に模擬事件を作ってわかりやすい説明がなされています。これはとても使えます。

面会交流調停だけでなく、親権者の指定(離婚調停、訴訟)、変更、監護者の指定、子の引き渡し全ての事件で、この動画を裏付け資料として主張を行うべきなので、内容を紹介します。

基本説明編の内容としては、大きく分けて二つの構成で、<子どもが両親の争いから受ける影響>とそれを踏まえて<子どもを両親の争いに巻き込まないために>が述べられています。

全体の章立ては、
1. 話し合いを行うときに
2. 子どもが両親の争いから受ける影響
3. 子どもを両親の争いに巻き込まないために
4. 自分自身の心の状態を知る
5. 子どもへの接し方
6. 話し合う内容と心がけること
となっており、最初の画面からその動画部分に飛べるようです。
この点もよくできています。

先ず、<子どもが両親の争いから受ける影響>が述べられています。文字ではなく動画で、しかも子役がみな素晴らしい演技をしているのでこれでもかというほどわかりやすくなっています。

10歳の子どもの場合は、一見平気そうに見えても、内面では悲しい気持ち、辛い気持ち、不満などを抱えていることがあるというようなことを説明しています。

よく調停などで、子どもは平気そうにしているから今の環境になじんでいるとか別居親と会わなくても良いから会わせないとか等と言う当事者がいるわけですが、その言い回しは間違っているということの裏付けとして使えるわけです。

まさかとは思いますけれど調査官調査報告書がこのようなトーンで書かれていたら最高裁の見解に反するという言い回しも可能になるでしょう。

もし万が一、審判でこのような能天気な理由付けがなされていたら抗告理由に私は使わせていただきます。

ビデオの内容の説明を続けます。

小学校高学年になるとどちらの親の気持ちもわかるためどちらにも気を使って板挟みになり辛い気持ちになっているということも説明されています。

そして、板挟みになることを避けるためにどちらか一方の親の肩を持つような極端な言動をすることがあるとまではっきり説明しているのです。

子どもは親に気を使うわけです。それにも関わらず、子どもの言葉を表面的にとらえて能天気な、つまり、ものを考えない結論を出してはならないと最高裁判所は考えているわけです。

また、動画は良い子にしていると両親が仲直りするのではないかと無理をして良い子にふるまうことがあるということを指摘しています。

これはよく見られる現象で勉強を頑張ったり、習い事を頑張ったり無理をする子どもたちを学校現場でもたくさん見ているそうです。

小学校低学年までは自発的に無理をする子はほかにあまりいないため無理をすればするほど成績は上がります。しかし、小学校高学年から中学年にかけてになると無理して頑張るだけでは成績はついてきません。自分にかかる歪んだ期待の大きさと、成績という現実とのギャップに子どもは苦しみます。

学校や習い事の成績がいつしか子どもにとっては自分をささえる唯一の道具になっていますから成績が頭打ちすることは精神的な打撃になるようです。

自分が無理をしないでありのままにいても尊重されるべきだという発想は、子どもには持てません。保健室登校や不登校につながる事例があるようです。

まさかとは思いますが、調査官調査や審判書などで子どもがテストでよい点数を取っているから子どもに問題が起きていないなんてことは言わないと思いますが、もし、万が一そのようなことがあれば最高裁の考え方とは全く違うということを教えてあげなければなりません。

次の大きなまとまりは<子どもを両親の争いに巻き込まないために>ですポイントとしては「心の状態を知る」「子どもへの接し方」「話し合う内容と心がけること」が挙げられています

心の状態を知るとは、親自身が自分の心の状態を知るべきだということなのだそうです。離婚の問題はこれまでになかった強いストレスを受けるので、相手の言動を実際よりも悪くとらえてしまうときちんと説明されています。

これは、とても基本的なことなのですが、これまで家裁実務では、あまり取り上げられてきませんでした。

当事者が感じたことを、すべて事実だというような扱いがされることがたびたびありました。裏付けもないのに暴力があった等と言う認定はないと信じたいのですが、それに似たようなことはたくさん目にしています。事実でないことで不利な決定を受けた方は防ぎようのない攻撃を受けることになります。
ビデオでは悲嘆反応にまで言及しています。

次は子どもへの接し方です。

子どもに親の争いを見せないということが一番に出てきます。これはとても大切なことです。これは同居時に子どもの前で喧嘩しないということが勿論一番ですが、別居した後でも、子どもの前で、相手の悪口を言うとか、別居してよかったとかそういう話をするということも同じだと思います。

昔は、親の親、子どもから見れば祖父母は相手の悪口を子どもの前で言うことを良しとしない風潮がありましたが、今の祖父母は、子どもの前で平気でその子どもの血を分けた親の悪口を言っているという嘆かわしい世の中に日本はなっているようです。

嘘でも良いから相手の良いところだけを子どもには知らせるべきでそれをする能力がないならせめて悪口を言わないということをするべきです。

子どもの心に目をくばり、逆に子どもに悩みの相談に乗ってもらってはいけないということが言われています。

また、一方の親に気を使って一方の親が悪くない、相手が悪い等と子どもが言ったらそれをやめさせるべきであることが情感豊かに描かれています。

これからの生活の見通しを述べることが子どもの気持ちの安定のためには有効であることが述べられています。
そうであるならば子どもに何らの説明もしないで転校を余儀なくする引っ越しを突然することはこの観点からも子どもの心に負担が生じることだということが導かれます。

子の福祉にとって有害なことのカタログのようなビデオです。大いに活用できると思います。もっとも、相手を攻撃するために使うのではなく自戒のためのビデオなので念のため。最後は話し合う内容と心がけることについてです。子どものために何を話し、何を決めるのかということをまず考えなくてはならないと言っています。

ところが、家庭裁判所では、子どもの利益があまり話題にならないように感じています。親同士が、私は私はということで争っていることが多いのではないでしょうか。

子どもという一つの人格が無視されているということに警鐘を鳴らす内容となっています。

離婚となった場合は、当然に面会交流をするという流れにもなっています。これは全て子どもの利益であり、親ならば最優先しなければならないとビデオは訴えているように思われます。

ところが、地方の裁判所では、まだまだ面会交流を当然行うべきだという流れにはならず、同居親の葛藤が高ければ実施できないとか間接面会交流にしなさいと言ってきたりするところもあります。最高裁の考え方とまるっきり違うわけです。

また、間接面会交流の意味ですが子どもが読むことすら見通しがないにもかかわらずに別居親が一方的に手紙などを出してそれで終わりという無責任な方法を面会交流だと勘違いしている関係者も多くいます。交流ですらないと思います。

ビデオでは、面会交流は、離れて暮らす親も自分に愛情を注いでくれると実感することが子どもにとって大切だと言っています。

届かない手紙を出すことは面会交流とは言いません。子どもが読まないから仕方がない等と言う人もいますが、子どもは気を使って読まないのです。
養育費についても子どもが愛情を実感するという利益があることを述べています。

最後に子どもの「将来のために」何が必要かという視点が必要だと力説している要に私は感じました。

大事なことは、子どもの場合今だけでなく子どもは成長する存在であり、それに応じた配慮が必要だと説得的に述べています。

家庭裁判所の話し合いも当然にその視点で行わなければならないはずです。

年代別の動画も基本的には今述べてきた内容を子どもの年齢に応じた発達段階に合わせて丁寧に解説されています。ポイントと対応方法をきちんと整理してわかりやすいです。またどの子役の方々も演技が素晴らしい。

ご自分のお子さんの年齢の部分は私がこのブログで抜き書きしたように抜き書きして手元に置いて調停に臨むべきです。

家事調停は、事件ごとにいろいろな顔があります。必ずしも法律で画一的に調停の流れを決めることはできません。それはそうでしょう。

しかし、現実の家事調停の多くが、何らよるべき基準を設けず、調停委員や、裁判官、調査官の個人的考えに従ってフリーハンドで行われているのではないかという危機感があります。

最大の問題は子どもの将来が全く考えられていないということです。

家裁月報や「子どものための法律と実務」安倍嘉人、西岡清一郎監修(日本加除出版社)等、勉強する文献はたくさんありますが、その成果がコンセンサスになっていないのではないかと感じてなりません。

今回おそらく建前としては一般国民を対象として最高裁は動画配信を行ったのでしょう。しかし、一般国民に向けてこのような内容の動画を作るということは、ほかならぬ裁判所は、この動画と同じ考えで、家裁の手続きを行うということを宣言したに等しいと考えるべきだと思います。

全ての子どもの事件の当事者の皆さんが、この動画をよく観て、内容を自分のものにするべきです。

もし家庭裁判所がこの動画に反する行動をとったならば動画の内容を教えるべきだと思います。そして動画を見ることを提案してください。

この先、長い目で見れば子どもの権利はますます拡充していくことと思います。そうなれば、この動画でも不十分な点が感じられるかもしれません。

しかし、現時点においてはこれは強力な武器です。それだけこの動画とは異なる考えで実務は動いてしまっているということです。

おそらく最高裁の真意は一般国民に向けてというよりも家事実務の在り方に対して動画という形であるべき形を示したのではないかと考えたくなっている次第です。

いずれも、このような動画は、最高裁判所が配信しているものです。最高裁判所は私たちの味方だということに確信を持つべきだと思います。

《感想》『有名リベラル論客を多数提訴〜「実子誘拐」を巡る注目の裁判 - 牧野 のぞみ』

出典:令和2年3月27日 ishiimasa's blog

《感想》『有名リベラル論客を多数提訴〜「実子誘拐」を巡る注目の裁判 - 牧野 のぞみ』

ライター ユニークフェイス 石井政之

月刊『Hanada』5月号

当該の記事をKindleで購入して読みました。 冤罪DVはゼロだった、という主張を書いている有識者がいたのは、新鮮な驚き。 無理な発言をしていると訴えられる、ということが分かっていなかったようだ。

虚偽DVによる家庭崩壊。被害者は夫が多い、という構造的な社会問題については、さまざまな人が取材して記事にしていく必要があると思う。これは少子化、ひとり親の貧困化の強力なトリガーになっている。リベラルな人たちがつくりあげた、「夫のDV。妻の被害」という構造は、不正確であることは間違いない。

仮定として。10年くらいかけて出来上がった「夫のDV。妻の被害。悪いのは100パーセント男だ」という虚構の世論は、10年くらい時間をかけないと、虚構の世論は一層できない、と私は想像する。長丁場になる。

日本のフェミニストのダークサイド。それは「夫のDV。妻の被害。悪いのは100パーセント男だ」という虚構を、さまざまな関係者に信じさせたことだろう。この虚構で、多くの家庭がこわれて、少子化と貧困化が進んだ。のこるのは生活保護や政府の優遇をもとめる、自立心無きひとり親と、そのストレスのなかで生きる子どもたち。

「夫のDV。妻の被害。悪いのは100パーセント男だ」という虚構。嘘つきが多い世界に接すると、燃えますね。若手の記者には、ここに日本の家族制度の闇があり、読者のニーズがある、と熱く語りたいですね。そういう勉強会もやっていきたい。#共同親権研究会

冤罪DVはゼロでした。という情報は、虚構。安倍総理の虚偽答弁と同じレベル。日本のフェミニストに自浄作用はないのだろうか。

バカも休み休み言え。虚偽DVも休み休み言え。
100パーセントのバカはいない。
100パーセントの離婚男がDVをしているわけがない。

追記。「月刊Hanada」 は、ネトウヨ雑誌。この雑誌の編集方針は容認できない。しかし、読みたい記事があるときは買う。

当該記事の英文は、以下のリンクで公開。
https://hanada-plus.jp/articles/311

有名リベラル論客を多数提訴〜「実子誘拐」を巡る注目の裁判 --- 牧野 のぞみ

出典:令和2年3月26日 アゴラ

有名リベラル論客を多数提訴〜「実子誘拐」を巡る注目の裁判 - 牧野 のぞみ

■日本では知られていない「実子誘拐」
日本人による「実子誘拐ビジネス」は、日本ではあまり報道されないが、実はそれが原因で諸外国から「日本は子どもの拉致国家だ」と繰り返し非難されるほどの大きな外交問題になっている。
では、外交問題にまでなっている「実子誘拐」とは何なのか。
ある日、家に帰ってくると子どもが突然いなくなっている。そして、その子どもを連れ去ったのは、もう一方の親である。欧米などの先進国の大半では、これは誘拐罪に該当する重罪である。
しかし日本においては、実子誘拐は罪に問われず日常的に行われている。突然愛するわが子を奪われ、子どもに会えなくなり養育費だけを支払い続けることで、精神的、経済的に追い込まれ自殺する親も後を絶たない。

■実子連れ去り被害の男性が訴えた注目の裁判
そのような実子誘拐に関連して、注目すべき民事訴訟が始まろうとしている。
この訴訟は、実子を離婚した元妻に連れ去られた男性Aさん(仮名)が、裁判所で別に争った自身の離婚訴訟に関連し「妻に暴力をふるうDV夫に仕立て上げられ名誉を傷つけられた」として39人を相手に民事訴訟を起こした。訴状ではこの行為を「集団リンチ」と非難している。
被告人が誰なのかは、26日発売の月刊『Hanada』5月号で主だった面々を実名で書いているが、39人の中には、「人権派」弁護士の大物をはじめとして、保守系メディアから「リベラル系論客」としてよく批判される著名人も多数含まれている。
たとえば、弁護士では、元千葉県弁護士会会長も歴任したK氏(女性)、A氏の離婚訴訟の元担当裁判官で、A氏敗訴の判決を下し、退官後はA氏の妻の代理人の弁護士事務所に所属しているY氏(男性)がいる。
社会起業家では、厚生労働省の「イクメン(育 MEN)プロジェクト推進委員会」委員をつとめるK氏(男性)や、シングルマザーを支援し、養育費の取立て運動を行っているC氏(女性)などがメディアでしばしば登場する人も。ほかにも安倍政権の憲法解釈などをマスコミでたびたび批判し、民放報道番組のコメンテーターを務めたこともある若手の憲法学者など、錚々たる者が並ぶ。

■男性は「人権派」の虎の尾を踏んだ?
なぜ、原告のA氏は39人もの者から「集団リンチ」を受けたと主張しているのか。それは「実子誘拐」をあたかもビジネスのように生業とする弁護士らの虎の尾を踏んだからだと見ているからのようだ。
この問題を取材して弁護士の世界の「常識」だとわかったが、弁護士が一方の親に子どもを誘拐するようそそのかし裁判を提起させれば、裁判官が「継続性の原則」(別居した夫婦の間の子どもが、一定期間一方の親と同居し、安定した生活を送っている場合は、その現状維持が子どもの利益となるという考え方)に基づき親権を与える段取りとなっている。
勝訴した弁護士は、親権を奪われた親から奪い取った子どもの養育費の一部を「成功報酬」として懐に入れる。取材を進めると、弁護士側勝訴の判決を下した裁判官の中には、そのお礼として退官後に弁護士事務所に天下りすることもあるという信じがたい話もあった。
なお、今回の原告、A氏の離婚訴訟の1審判決は「継続性の原則」を採用しない画期的なものであった。この判決が最高裁で確定し先例となれば、子どもたちが両親と離婚後も普通に会える社会に変わることが予想された。それは子どもの利益に資するものである。
しかし、「実子誘拐ビジネス」に関わる人たちにとって、実子誘拐をした親が裁判で親権をとれないことになれば、ビジネスは壊滅的ダメージを受け多大な不利益を被る。それは断じて許すわけにはいかないわけだ。

■国連子どもの権利委が対日勧告:新たな流れ
これはあくまでA氏側の主張だが、彼らが共謀し、A氏を二審及び最高裁で敗訴させるため、また、一審判決が不当なものであるとの印象操作をするため、A氏をDV夫に仕立て上げ社会的に抹殺しようとした、と訴状で提起している。

もしかしたら、A氏の新たな訴訟が始まれば、被告の属性もあって「保守VSリベラル」的なイデオロギー論争になってしまいかねないが、本質的な問題から目を背けてはなるまい。
冒頭で「外交問題」と書いたが、実子の連れ去りは「親権」と密接に絡んでいる。国連子どもの権利委員会は昨年2月、日本政府に対し、共同親権を認めるために、離婚後の親子関係に関する法律を改正するよう勧告した。
今後の動きを占う上で、いま何が起きているか。詳細については月刊『Hanada』5月号をご覧いただきたい。

月刊『Hanada』5月号

子供を連れ去って不倫男と暮らす妻に、毎月10万円を払う不条理

出典:令和2年3月26日 PRESIDENT Online

子供を連れ去って不倫男と暮らす妻に、毎月10万円を払う不条理

■「妻の不倫」で離婚しても、夫は親権を取れない

 日本では離婚した場合、子供の親権は両親のどちらかに移る。親権が争われた場合、圧倒的に有利なのは女性だ。厚労省の統計によれば、親権者が母親となるケースは8割に上る。

 個別のケースを調べると離婚事由が妻側にあっても、親権者が母親となるケースが多い。例えば、妻が不倫をして離婚することになっても、夫は親権を取れない恐れが強いのだ。

 田村仁志さん(44=仮名)のケースを紹介しよう。仁志さんは都内の有名私大を卒業後に、一部上場の大手電子機器系メーカーに就職。現在の年収は約800万円のサラリーマンだ。

 9歳下の妻・かな子さんとは、12年に友人の紹介で知り合い、翌年に結婚。二人の子宝(現在は長男5歳と長女3歳)に恵まれた。しかし、妻が職場に復帰する頃になると、子供の育児をめぐって、夫婦関係は悪化していった。

■妻はスマホに「今度いつ遊べる? ? 」というLINEの通知が

 「私は子供たちに規則正しい生活のリズムを付けて欲しかったのですが、妻は食事を与える時間や子供たちを寝かしつける時間などがバラバラでした。食事内容も、極力、手料理を食べさせたかったのですが、妻は週2~3回はコンビニやファストフード店で、家でもレトルトや冷凍食品で、手料理はほとんどありませんでした」(仁志さん)

 現在行われている離婚調停で、妻側はコンビニやファストフード店の利用は2週間に1度で、ほぼ毎日手料理を食べさせていた、と主張しているという。どちらの主張が正しいのか定かではないが、夫婦関係が悪化していたことは間違いなかった。

 仁志さんが妻の不審な行動が気になり始めたのは、17年の夏頃だった。家族で遊園地に出かけた際に、妻が頻繁にスマホを操作していた。その後、妻はスマホを肌身離さず持ち歩くようになり、仁志さんは「おかしい」と感じ始めた。あるとき、妻のスマホに着信がきたタイミングで、画面を見た。男性と思しき名前の送信者から「今度いつ遊べる? ? 」というLINEのメッセージがきていたという。

 「探偵会社に妻の素行調査を依頼しました。結果は黒。妻が男のマンションに出入りする姿がバッチリ映っている写真を探偵から見せられ、どこか予感はしていたのですが、やはりショックでした」(仁志さん)

■長男と遊園地に行くはずの日に不倫男と会っていた

 すぐに、仁志さんは妻を問いただしたというが、妻は宿泊の事実は認めたものの、不貞行為は否定。だが、その後の探偵会社の調査により、不倫相手が妻の職場の上司であることがわかった。男に損害賠償を請求すると、男は不貞行為を認め、100万円の和解金を提示してきたという。

 「妻が不倫していたことは大きなショックでしたが、妻はまだ若いですし、一度くらいは大目にみようと思ったんです。ただ、妻が不倫男と会っていた日は、長男と遊園地に行くはずの日だったんです。妻は女友達と旅行にいくと言っていましたが、男と会っていた。子供たちとの行事より、不倫相手を優先したってことじゃないですか。それがどうしても許せませんでした」

 しかし、子供のことを考えると、仁志さんはなかなか離婚へ向けて踏み出すことができなかったという。

 「子供たちは夫婦仲のいい、あたたかい家庭で育てたかった。その一心で、不倫の事実を受け入れ、なんとか妻との関係改善を試みました。しかし、妻とやり直さなきゃと頭ではわかっていても、気持ちはついていかなかった。妻に対して感情的になってしまうこともあり、妻も不倫をやめるそぶりがまったくなく、関係改善には向かいませんでした」(仁志さん)

■「妻と子供が行方不明」と相談したが、警察は取り合わず

 不倫発覚から5カ月後、予想外のことが起きた。妻が無断で子供を連れて別居を開始したのだ。その当時、お互い冷静になるため、仁志さんは週に2~3日は自身の実家に泊まっていた。妻が子供を連れだしたのは、そんな日だった。

 「後で、マンションの防犯カメラの映像を確認すると、深夜2時頃に妻の母と、妻の兄がトラックでやってきて、自宅から家財道具を搬出。妻は寝ている子供たちを抱きかかえて、家から出ていく姿が確認できました」(仁志さん)

 妻は転居先を隠し、仁志さんは子供たちと会えない状況となった。子供たちも突然、父親と会えなくなり、長男は保育園を転園せざるを得なくなったという。仁志さんはすぐさま警察に駆け込み、妻と子供が行方不明になったと相談したが取り合ってくれず、途方に暮れているところに妻の弁護士から通知が届いた。

■子供たちの養育費と妻の生活費として毎月10万円を支払う

 そこには、離婚調停、別居中の生活費である婚姻費用調停を申立てる旨と、妻、子供に接近禁止を求めると書かれていた。仁志さんは弁護士に相談し、家庭裁判所に子供の引き渡し審判と、子の監護者指定審判を申し立てた。

 仁志さんは子供に自由に会えなくなってしまったが子供たちの養育費と妻の生活費として毎月10万円を支払っている。

 妻側に不貞行為があったのだから、仁志さんは「当然、親権はとれる」と考えていた。しかし、実際は違う。離婚問題に詳しいレイ法律事務所の松下真由美弁護士がこう解説する。

 「妻が子を連れて出ていって時間も経っているとなると、仁志さんが親権を取れる可能性は5%もないと思います。家庭裁判所は、よき妻であることと、よき母であることは別として考え、親権者を決める際に子の福祉を一番重要視します。妻が不貞行為をしたからといって、ただちに男性側が監護権、親権を獲得できるわけではありません。子供に対する監護実績や監護能力等を比較し、父母のどちらと生活することが子の福祉に資するかという点で判断をします。つまり、夫と妻のどちらが、より、子供たちの世話をしていたか、また、今後世話をできるかということですね」

■なぜ「連れ去り勝ち」が横行しているのか

 仁志さんは妻と同居中に、子供のお風呂、歯磨き、寝かしつけや、妻が仕事の日は一日、面倒を見るなど育児にも積極的に参加していたが、今回のケースではさらにもう一つ、妻側が有利な事情があるという。

 「妻が現に子供と生活している点です。子供の環境を無理に変えることは、子供にも負担がかかります。そのため、家庭裁判所は、現在の子供の監護状況に問題がなければ、現に子供と同居している親を親権者に指定する傾向が強いんです。調停や裁判が長引けば長引くほど、子供は現在の環境になじんでいき、妻側が有利となってしまいます。今回の事案は、妻側に育児放棄や虐待のような事実がない限り、仁志さんが親権を獲得するのは難しいかもしれません」(松下真由美弁護士)

 つまり、親権争いになった際、自分が不利になると思ったら、子供を連れ去り、監護実績を積み重ねる。そして、調停、裁判にできる限り長い時間をかければ、子供が環境に馴染んでいると認められ、親権獲得に有利な状況となりうるのだ。これは男性が子供を連れ去った場合も同じ。このため“連れ去り勝ち”が横行しているといわれる。

■妻の「転居先」は、不倫男の自宅の近所だった

 「また、今回の事案はお子さんがまだ5歳と3歳と幼い。家庭裁判所は、子どもが幼いと、母親の必要性を優先する傾向があります。お子さんの意思も大切ですが、幼いうちは明確に意思表示もできませんので、結局母親が優先されることが多いといえるでしょう。私自身、男性側の代理人として裁判所に立つ機会もありますが、正直なところ、母性優先という結論ありきの判決なのではないかと、悔しい思いをしたこともあります」(松下真由美弁護士)

 仁志さんは探偵の調査により妻の転居先を知り、さらに打ちのめされることになる。妻の転居先は不倫男の自宅の近所だったのだ。そこで不倫相手に、示談金の交渉と子供への接触禁止を要求したが、男は既に仁志さんの妻の家に出入りしており、それには応じられないとの返答だった。

 「私は、自分の愛すべき子供たちに会うために、様々な制限がありますし、会いたいときに会えるわけではありません。それなのに、不倫男は子供たちが住むアパートに好きに出入りしている。こんなことが許されるなんて……」

 「私は大人ですから感情を抑えられます。でも子供たちは保育園と自宅、近くの公園という狭い世界を突然奪われ、知らない環境で生活せざるを得なくなっています。さらに見ず知らずの男と一緒に生活する、となれば恐怖でしかない。昨今の『連れ子虐待』のニュースを見るたびに、気が気ではありません」

■「妻の機嫌を損なえば子供に会えなくなると思うと…」

 今後、妻と離婚が成立し、仁志さんが親権を失えば、不倫男が子供たちと養子縁組をすることを仁志さんは拒否できない。仁志さんに残された権利は、子供との面会交流と妻の不貞行為に対する慰謝料の請求だ。しかし、その権利も声高に主張ができない事情があるという。

 「妻は子供を連れ去ったあと、私の渡す生活費で不倫相手と生活し、たまに面会交流で子供たちと会えるという飴をちらつかせて、離婚を迫ってくる。面会交流に関して調停の場でルールが決まっていない現状では子供に会えるかどうかは妻の気分次第です」

 「妻の機嫌を損なえば子供に会えなくなると思うと、こちらから慰謝料など請求できるはずもありませんし、面会交流に関しても妻の事情を考慮して主張せざるをえません。まるで子供を人質に取られたみたいです」

■突然1カ月に2時間しか子供に会えなくなる別居親の苦痛

 ひとり親家庭の大多数が貧困に陥っていることから、国や自治体はひとり親家庭の支援に躍起になっている。子供の福祉のために、養育費の不払いを解消していくことが必須であることは間違いない。

 しかし、その一方で、仁志さんのように、子供の親権を取りたくても取れない別居親が大勢いる。家庭裁判所によれば、子供と離れて暮らす別居親たちが子供に会えるのは、1カ月に1回2時間が6割だという。毎日一緒に生活をしていた子供たちと突然、1カ月に2時間しか会えなくなる別居親の苦痛は計り知れない。

 親権は母親有利。その根底には、子供の養育には母親との関りが重要だとする母性神話がある。しかし、時代は変わり、男女ともに仕事をし、ともに育児をするという家庭も増えた。それにもかかわらず、いまだに家庭裁判所は“育児は女性の仕事”とし、親権争いの場で母親を優遇している。

 仁志さんのように、「妻が不倫し、家庭を顧みなかった」という状況でも、子供の親権は取れず、子供に会えるのは1カ月に2時間となる恐れが強い。このような現状で、強制力のある養育費の取り立て方法だけが決まっていっていいのだろうか。養育費の支払い義務を負う、別居親の声に耳を傾ける必要があるのではないだろうか。


松本 朔太郎(まつもと・さくたろう)
フリーライター
自身の離婚経験を機に親子断絶、連れ去り問題などの家族問題をテーマに取材活動を行う。ツイッター:@korokoropo

離婚後の共同親権、是非は 法制化を望む声の一方で慎重論も

出典:令和2年3月20日 西日本新聞

離婚後の共同親権、是非は 法制化を望む声の一方で慎重論も

 離婚後も父母の両方が子どもの親権を持つ「共同親権」制度を巡る議論が本格化している。日本では離婚後は父母のどちらかを親権者とする「単独親権」を採用する中、親権を持たない親たちが「子育てに関われない」と共同親権の実現を求める一方で、ひとり親や識者からは慎重な声も聞かれる。国も制度の在り方について検討を始めた。
 「離婚で子どもたちと会えなくなるなんて考えもしなかった」。12日、東京地裁の法廷で柳原賢さん(57)=富山県=は訴えた。柳原さんら男女12人は、民法の単独親権制度は、子育てする権利を侵害し、幸福追求権などを定めた憲法に違反しているとして、昨年11月、国に損害賠償を求める訴訟を起こした。
 妻と離婚し、当時小学生と園児の娘2人と離れて暮らし12年。調停で年3回の面会交流が決まったものの、守られたことはない。遠くから見るだけでも、と子どもの学校の学習発表会に足を運んだ時は、元妻と教師にすぐ追い出された。
 柳原さんは「同じように苦しむ人はたくさんいる。離婚は夫婦の別れであって、親子の別れではない」と制度の不備を訴える。一方、国側は答弁書で原告の子育て機会が阻まれているのは「(同居する)親の意向によるものと思われ、国に賠償請求する根拠が不明」と反論している。
     **
 本紙の「あなたの特命取材班」にも、共同親権を求める親たちから声が届いている。妻と別居中の大分県の男性(35)は2年前、仕事を終えて帰宅すると、家具と共に妻と子ども2人が消えていた。
 自身の預金口座から多額を引き出され、妻の不貞行為も判明。調停で子の引き渡しや、監護者の指定を求めたが認められず、月に1回の面会交流だけが心の支えだ。「子の養育環境が変わるのは良くないと、同居親に親権が認められる場合が多い。子を連れ去った方が勝つという状況を国が追認するのはおかしい」。男性は2月26日、「連れ去り」の規制を求めて、同じ状況の親13人と東京地裁に国家賠償を求め提訴した。
 日本も加盟する「ハーグ条約」は、片方の親が16歳未満の子を国外に連れ去った場合、もう一方の親の求めに応じて原則、元の居住国へ引き渡さなければならない。ただ、国内の連れ去りは対象外だ。原告側は、子を育てる権利を侵害され、子の人権も侵害していると訴えている。
 原告代理人の作花知志弁護士は「共同親権を採用する欧米では、連れ去りにペナルティーが課され、親権争いで不利になる。国内法を整備してこなかった国の責任を問いたい」と話す。
     **
 民法は、離婚時に親子の面会交流を取り決めると定めるが、強制力はない。厚生労働省の2016年度調査では、別居する親と定期的に面会しているのは母子家庭で29・8%、父子家庭で45・5%に過ぎない。
 共働き世帯が増え、男性の育児参加が進む中、離婚後も子育てに関わりたいと望む親は増えている。離婚件数は減少しているのに対し、監護者指定や面会交流、子の引き渡しを求める調停・審判は、いずれもこの10年間で倍増している。
 海外では欧米を中心に、離婚後も共同で養育する国が主流だ。早稲田大の棚村政行教授(家族法)によると、米カリフォルニア州が1979年に「共同監護」を導入し、全米に拡大。90年代からは「子どもの権利」として父母双方と関わり続けることを尊重する風潮が世界的に広まった。
 昨年2月には国連の「子どもの権利委員会」が離婚後の共同養育を認めるよう日本に勧告。法務省は11月に有識者による研究会を立ち上げ、共同親権の是非や法制度の議論を始めた。
 棚村教授は「離婚後も両親が共同で責任を持つという考え方は大切」としつつも、共同親権の導入は慎重にすべきだと主張する。裁判所が全ての離婚に関わり、DVや児童虐待への対策も講じている欧米と異なり、紙一枚で協議離婚できる日本では対策が不十分と考えるからだ。「親ではなく子の権利を最優先と法律に明記し、離婚後の養育計画に公的機関が介入する仕組みを整えるなど、まずは相談、支援体制を充実させる必要がある」と話している。 (新西ましほ)

単独親権制度 違憲訴訟始まる

出典:令和2年3月13日 日本経済新聞

単独親権制度 違憲訴訟始まる

離婚すると父母の一方しか子どもの親権を持てない単独親権制度は、法の下の平等や幸福追求権を保障する憲法の規定に反するとして、8都道府県の男女12人が国に総額1200万円の賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が12日、東京地裁(下沢良太裁判長)であり、国は請求棄却を求めた。原告側は「子育ての権利を奪われた」と意見陳述した。
国は答弁書で「仮に権利侵害があるとしても、原因は他方親の意向によるもので、国に賠償を求める根拠は不明だ」と反論した。

離婚後「子どもと会えない」母親の悲痛 単独親権が壁に?

出典:令和2年3月9日 信濃毎日新聞

離婚後「子どもと会えない」母親の悲痛 単独親権が壁に?

「子どもと最後に会えたのは1年半以上前です」。県内の30代女性から本紙「声のチカラ」(コエチカ)取材班に悲痛な声が届いた。離婚後、面会できることを条件に息子2人の親権を元夫に譲ったが、元夫の意向次第で会えないことが多くなったという。民法は、離婚後に一方の親にしか親権を認めない単独親権制度を採り、女性と同様のケースは多数ある。「共同親権」を求める訴訟も起きており、国も導入の是非を議論している。(奥川瑞己)
 女性は2003年に県外で男性と結婚し、息子2人を授かった。だが、元夫と折り合いがつかなくなり、長男が6歳、次男が3歳だった10年夏、離婚を切り出した。元夫は息子2人と出ていった。
 家庭裁判所での調停の末、同年12月に離婚が成立。当初は「面会交流」という形で月1、2回、自宅や実家などで息子たちに会うことができた。ただ、14年8月に女性に交際相手ができたことを知ると、元夫は「もう会わなくていいだろう」と言った。
 「(近くにいても)会えないのだから」。女性は身を切られる思いを振り切るように引っ越しを決意し、県内に移り住んだ。
 それでも会いたいという気持ちは止められなかった。元夫に知られないよう学校帰りの息子たちに会いに行った。5年前には長男の修学旅行先を訪ねた。この頃、密かに会っていることを元夫に知られ、面会を拒否されるように。それ以来、会えたのは18年7月の1度だけだ。
   ◇
 この女性のようなケースで子どもに会えないのは「民法の単独親権に問題がある」。県内で双方が親権を持つ共同親権の実現を求める運動に取り組む、著述業の宗像充さん(44)=下伊那郡大鹿村=は訴える。民法は婚姻中は共同で親権を持ち、離婚後は一方を親権者にすると定める。親権を手放した親は子どもとの関係が断たれやすく、調停で面会交流の回数や時間を決めても、実際には会えなくなる傾向があるという。
 宗像さんの場合、元妻が親権を持っている。娘との面会は月1回、4時間以内に制限された他、元妻の意向で会えない時期もあった。
   ◇
 女性は離婚から間もなく10年。長男は高校1年、次男は中学1年になった。周囲からは「子どもを引き取れないのはひどい母親だからだ」「また産めばいい」と言われ、傷つくこともあった。
 それでも女性を支えたのは、息子2人の言葉などを書き留めた「育児日記」と長男からもらったお守りがあったからだ。「母ちゃんの夢、いっつも見るよ」「母ちゃんのご飯が一番」。育児日記を読み返すと涙があふれる。お守りはかつて会いに行った際、長男が修学旅行のお土産としてそっと渡してくれた。「幸せを呼ぶ」と書かれている。
 女性は支援団体や弁護士に相談し、昨年4月、面会を求める調停を家裁に申し立てた。調停中のため、女性の意向で元夫の話は聞けなかったが、元夫は「子どもが会いたくないと言っている」と主張し、協議が続いている。
   ◇
【審判・調停申し立て、県内も増加】
 子どもとの面会交流を巡る審判や調停の申し立て件数は近年増えている。裁判所がまとめた司法統計によると、全国では2008年度の7281件が、18年度には1万4943件へと増加。県内も08年度の89件から18年度は2・6倍の233件になっている=グラフ。
 早稲田大の棚村政行教授(家族法)は、背景に単独親権への不満があると分析。「共働きで育児も共同で行う家庭が多くなり、離婚後も子どもに関わりたいと考える親が増えている」と指摘する。
 昨年11月、宗像さんを含む8都道府県の父母12人は、単独親権は法の下の平等を定めた憲法に違反し、子どもと自由に会えない―などとして、国に損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。第1回口頭弁論は3月12日の予定。
 国も共同親権導入の是非について検討を始めた。法務省は昨年11月、弁護士や大学教授らの研究会を発足。議論は1年程度かかるとみられるが、海外の実態などを参考に報告書をまとめるという。
 共同親権を巡っては、家庭内暴力(DV)が原因の離婚などで問題が生じるとして、慎重意見がある。だが、棚村教授は「両方の親の援助を受けることができるなど、離婚後も両親が共同で責任を持つ考え方は大事」と強調。欧米のように両者の間に入って支援する機関を設けることを提案している。
   ◇
 [単独親権]
 離婚後の子育てに関して、欧米では共同で養育するのが主流だが、日本は単独親権制度を採用している。民法819条は、父母が協議上の離婚をする時は一方を親権者と定めなければならない―と規定。単独親権は教育や住居、医療などの方針を決定しやすい利点もあるが、面会交流の回数や時間などは親権者側の意向が大きく働き、面会が実現していないケースもある。

「単独親権は違憲」の集団訴訟、国が争う姿勢 東京地裁で初弁論

出典:令和2年3月12日 産経新聞

「単独親権は違憲」の集団訴訟、国が争う姿勢 東京地裁で初弁論

 離婚すると父母の一方しか子供の親権を持てない「単独親権」制度は法の下の平等や幸福追求権を保障する憲法に違反し、子育てする権利を侵害しているとして、8都道府県の男女12人が国に計1200万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が12日、東京地裁(下沢良太裁判長)であった。国は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。
 原告らは離婚で親権を失うなどして子供と別居している。訴訟発起人のフリーライター、宗像充さんが意見陳述し、子供と同居する親側の意向などで面会交流が実施されないケースがあると指摘。「親同士の関係と親子関係は別物。同じ境遇の親子は年々増えている」とし、制度に不備があると訴えた。
 訴状によると、原告らは子育ての意思があるのに「司法に救済を求めても、わずかな面会交流しか認められない」などと主張。国側は答弁書で、原告側の養育機会が阻まれているのは「(同居する)親の意向によるものと思われ、国に賠償請求する根拠が不明」と反論している。

”じぃじ”と”ばぁば”に会いたい!連れ去りに遭った孫と祖父母が会えなくなる日本の悲劇。

出典:令和2年3月12日 Yahoo!ニュース

”じぃじ”と”ばぁば”に会いたい!連れ去りに遭った孫と祖父母が会えなくなる日本の悲劇。

明智カイト 『NPO法人 市民アドボカシー連盟』代表理事

先日、事前に何の協議もなく妻によって5歳の息子を連れ去られる被害に遭った雷鳥風月さん(仮名・40代)の記事を書きました。
妻に子どもが連れ去られたら父親として認めない!?イクメン、男性育休を推進する日本社会の矛盾。(明智カイト)
日本では離婚すると単独親権のため片方の親が親権者となりますが、雷鳥風月さんの場合はまだ離婚が成立していないため、正確にはまだ親権者です。しかし、日本では「子どもを連れ去った側の親」の言いなりにならなければならない現実があります。
現在、雷鳥風月さんは離婚後共同親権の実現に取り組んでいます。最近の主な活動として街中でチラシを配布しているそうです。チラシには『”じぃじ”と”ばぁば”に会いたい!』と大きく書いてあるためか、街中で配ると高齢者が中心にチラシを受け取ってくれます。今回は、このチラシに込めた想いについて雷鳥風月さんにお聞きしました。

間接的面会交流って何?
間接的面会交流とは何らかの事情で、子どもと直接会う形での面会交流が認められない場合であっても、子どもと手紙のやり取りをしたり、誕生日等にプレゼントを贈ったり、監護親から定期的に写真等を送ってもらったりするなどの方法で子どもと交流をもつことです。
前回の記事でも雷鳥風月さんが子どもの誕生日にプレゼントを贈った話題について触れました。その後の調停で雷鳥風月さんは子どもとクリスマスの面会交流や、年末年始の宿泊面会交流をお願いしたのに却下されたといいます。結局、クリスマスのプレゼントは郵送のみ許可されています。
しかし、それでも雷鳥風月さんはまだ良いケースのようです。たとえば別居親から届けられた子どもへのプレゼントを同居親が受け取りを拒否して問答無用で捨ててしまったり、あるいは送り返すことがあるそうです。

両親の離婚で祖父母に会えない子どもたち
しかし、ここでも子どもを連れ去られた側の親には大きな壁が立ちはだかってきます。家庭裁判所の面会交流では祖父母が対象とされていません。そして、祖母にあたる雷鳥風月さんの母親もまた連れ去られた後はお孫さんと会えなくなりました。
子どもは祖母とはとても仲良しで「ばあちゃんに会いたい」と話しているそうです。しかし、お互いに会いたいと望んでいても今の日本では両者が会うことは叶わないのです。こうして祖母は唯一の孫と会えなくなったのです。
そしてこれは祖父母と孫だけの関係に留まりません。他の親族とも会えなくなってしまいます。たとえば祖父の13回忌、実兄の危篤や葬儀のときに別居している妻へどんなにお願いをしても、子どもに来てもらう事は叶いませんでした。
雷鳥風月さんには子どもが妻に連れ去られた後から祖母が急に老け込んでしまったように見えました。食事の量も減り、口数も減ってしまい、祖母に精神的負担を掛けてしまっている事を申し訳なく感じる日々を過ごしています。
「70歳を超えた母親にこんな思いをさせてしまっている事を心苦しく感じている、なんとか子ども(孫)と自由に会わせてあげたい。」と考えていましたが、母親から見れば雷鳥風月さんは昨年長男が亡くなり残された唯一の息子。その子どもが実の子どもに会えずに苦しんでいる姿を見る事も、それに対して自分が何も出来ないという事も母親をより苦しめてしまっているという事に今更ながら気付きました。
「現状、定期的に顔を出す事ぐらいしか出来ていない。なんとか親孝行をしたいという思いは募るが、子どもが自由に祖母に会える、別居親に自由に会える。この実現が唯一の親孝行」だと雷鳥風月さんは考えています。
そんな雷鳥風月さんの想いが通じたのか、祖母には孫の運動会を観る許可がでました。運動会中に子どもへ話し掛けることは「保育園の規則で出来ない」と言われたため、本当に観ているだけでしたが。
雷鳥風月さんは妻に対して子どもの事を最優先に考えて欲しいと願っています。たとえ夫婦が離婚をしてしまったとしても子どもの親である事には変わりがありません。子どもは両親から養育を受ける権利を持っています。子どもの事を考えお互いを尊重することができれば、みんながもっと幸せを感じる事が出来るはず。今のままでは誰も幸せになれません。
子どもが会いたいと希望しているにもかかわらず、別居親だけではなく親戚や祖父母にも会えないことは大人だけの都合で決められた話であり、それが子どもたちの犠牲の上に成り立っていることを私たちは忘れてはなりません。
離婚によって「親権」を奪い合うのは先進国で日本だけです。親権を失った側の祖父母には孫に会う法的な権利はありません。主要先進国では、離婚した夫婦が子どもたちに対して、お互いが保護者の責任を果たしていけるように「共同親権制度」を採用しています。
「離婚しても パパはパパ、ママはママ 」、子どもが大人のエゴに巻き込まれない様な親権制度が日本にも必要なのです。

離婚後の親子「面会交流」支援

出典:令和2年3月10日 読売新聞

”離婚後の親子「面会交流」支援

 離婚後、一緒に暮らしていない親子が定期的に接する「面会交流」への関心が高まっている。子どもの健やかな成長を助けるといった効用があり、支援の動きも広がる。離婚後も両親が子育てに関わる「共同養育」の第一歩といえる。(及川昭夫)

 2月上旬、東京都内の飲食店で、離婚した親たちの交流会が開かれた。離れて暮らす我が子の共同養育をどうすれば実現できるかといった問題や悩みを語り合った。1年半前に離婚した男性会社員(33)は「なかなか会えないが、自分も父親として息子の養育に関わりたい」と打ち明けた。
 別居中や離婚後の子育てに悩む人への助言や、面会交流支援を行う一般社団法人「りむすび」(東京)が主催した。悩みや経験を共有しながら、共同養育の前向きな環境を作ることが狙いだ。代表のしばはし聡子さんは「離婚しても子どもにとっては親は2人。子どもの気持ちを第一に考えることが、子育ての負担減にもつながる」と話す。
※以下、記事PDF参照。

離婚後の共同親権法制化「慎重な議論を」 法相に署名1万人

出典:令和2年2月28日 産経新聞

離婚後の共同親権法制化「慎重な議論を」 法相に署名1万人

 ひとり親世帯らの支援を行う「シングルマザーサポート団体全国協議会」は28日、離婚後も父母の両方が子供の親権を持つ「共同親権」の法制化に慎重な議論を求める1万708人分の署名と要望書を森雅子法相に提出した。
 共同親権をめぐっては法務省が昨年、導入の是非などを議論する研究会を立ち上げている。署名はドメスティックバイオレンス(DV)や虐待の被害者らでつくるグループが平成30年3月からインターネットを通じて募り、同協議会に託された。署名は現在も増え続けているという。
 同協議会は共同親権について、子供やDV被害者の安全が確保されていない現状では法制化を進めないことを要望。さらに、DV防止法を改正し、保護命令対象に社会的・経済的DVを加えることなどを求めた。
 同協議会の赤石千衣子代表は「DVや虐待の被害者は、加害者からの追跡におびえながら暮らしている」と説明。「声をあげることが困難だったり、危険だったりする人たちの声がまだまだ国会や関係省庁などに届いていない。そうした中で、共同親権導入に向けた議論が進んでいる」と危機感をあらわにした。

子どもの連れ去り、放置しないで 14人が国を提訴

出典:令和2年2月26日 朝日新聞

子どもの連れ去り、放置しないで 14人が国を提訴

 国内で別居した夫婦の子どもが一方の親に連れ去られた状態のまま放置されているのは法の未整備が原因だとして、子と離れて暮らす親ら14人が26日、計約150万円の国家賠償を求めて東京地裁に提訴した。
 国境を越えた子の連れ去りについて引き渡しのルールを定めた「ハーグ条約」では、一方的に子が海外に連れ去られた場合、元の居住国へ引き渡すことを規定する。訴状では、日本もハーグ条約に加盟しているのに、「国内では同様の規定がない」と主張。原告の男女14人は「国内での子の連れ去りが放置されており、幸福追求権を定めた憲法13条に違反している」などとして、1人あたり11万円の支払いを国に求めている。
 離婚が成立した夫婦間の子の引き渡しについては、ルールを明確化した改正民事執行法が今年4月に施行される。だが、原告側は離婚成立前の子の連れ去りについての法整備が不十分だと主張している。(新屋絵理)

夫婦の別居で「子の連れ去りが横行」「国は規制を怠った」当事者が集団提訴

出典:令和2年2月26日 弁護士ドットコム

夫婦の別居で「子の連れ去りが横行」「国は規制を怠った」当事者が集団提訴

子どものいる夫婦が、不和による別居をするにあたっては、どちらか一方が子どもとともに家を出ることが多い。子どもと離れて暮らす親14人が2月26日、子の「連れ去り」を防止する立法措置を国が怠り多大な精神的苦痛を被ったとして、国家賠償法1条1項に基づき、1人あたり11 万円の国家賠償を求めて集団提訴した。
原告らは、一方の親が、もう一方の親の同意を得ずに子どもを連れて別居することを「連れ去り」と表現している。提訴後、東京・霞が関で会見を開いた代理人の作花知志弁護士は「子どもの連れ去りが日本では横行しているが、それを防ぐための立法措置を講じていない国会の責任を問う裁判だ」と語った。

●「ハーグ条約に適合する国内法」を求める
訴状などによれば、原告は「配偶者に子を連れ去られた(引き離された)結果、憲法13条(幸福追求権、人格権)、憲法24条1項により保障されている(1)リプロダクティブ権(子を産み育てるかどうかを意思決定する権利)、(2)親権、(3)監護権の基本的人権を、それぞれ侵害された」としている。
日本が加盟する「ハーグ条約」は原則として、片方の親が16歳未満の子を国外に連れ去った場合、親の求めに応じて元の居住国へ引き渡す。ハーグ条約では国内については対象ではない。
作花弁護士は「この裁判を通して法律が変わり、ハーグ条約に適合する国内法になること。いわば親による子どもの誘拐、無法地帯のような状態をなくすことがこの裁判の最大の目的だ」と話した。

子の「連れ去り」規制を 引き離された親ら、国を集団提訴

出典:令和2年2月26日 産経新聞

子の「連れ去り」規制を 引き離された親ら、国を集団提訴

 夫婦の一方が相手に黙って子供と家を出る「連れ去り」を国が規制しないのは違法として、子供を連れ去られたとする日本籍や外国籍の男女14人が26日、国に計約150万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 訴状によると、原告らは子を連れ去られて別居している間、裁判所が連れ去った親側に監護権を認めるなどしたため子供に会えなくなったと主張。会えても月1回数時間程度で、親が子を育てる権利を侵害されたほか、両親の監護を受ける権利がある子供側の利益も侵害したと訴えている。
 ハーグ条約の規定では、一方の親が子を国外へ連れ出した場合、原則、元の居住国へ返還するとしているが、日本国内での連れ去りは対象にならない。訴状では、国に「国内で連れ去られた親の権利侵害も防ぐ義務がある」とも指摘する。
 提訴後、会見した原告の女性(37)は、夫や夫の親に子供3人を引き離され監護権を失ったといい、「連れ去りが違法になれば子供の寂しさや悲しさを減らすことができ、自分も夫の支配から解放される。この事実を問題として受け止めてほしい」と涙を浮かべながら訴えた。
 家事手続き上の親権争いでは、子供にとって育成環境が変わるのは不利益との考えから、同居する親を優先する「監護の継続性」に重きが置かれるとされる。一方で、無断で連れ去ったこと自体にペナルティーはなく、原告代理人の作花知志(さっか・ともし)弁護士は「完全な無法地帯で、連れ去った者勝ちの状態だ」と話した。

 
以前の記事(平成30年4月1日以降)はこちらまで

以前の記事(平成30年3月31日まで)はこちらまで

更新 2020-11-16 (月) 23:39:21
a:80925 t:7 y:25

powered by Quick Homepage Maker 5.2
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional