民法819条(単独親権制度)改正を求め共同親権・共同監護制度の導入・ハーグ条約締結の推進と活動を行っています

トピック

目黒5歳女児を継父と実母で虐待死 結愛ちゃんの実父が語った胸の内

出典:平成30年8月21日・28日号 週刊女性

目黒女児虐待死、実父の親族「雄大も優里も殺してやりたい」結愛ちゃんの遺骨は今

「自分でお腹を痛めて産んだ子なのに、なんで助けんかったんか。結愛もきっと最後の力を振り絞って書いたんや。
 私らも報道を見るたびに何もできんかった自分を恥じよる。優里ちゃんの実家を訪ねたり、ちゃんと面倒をみているのか、知る努力をするべきやった。結愛に謝っても謝りきれん」
 と、打ちひしがれるのは香川県内に住む結愛ちゃんの実父方の曾祖母(71)。曾祖父(72)も「報道で結愛が出るたびに泣いとった」と力なく話した。

「雄大も優里も殺してやりたい」
 東京都目黒区の船戸結愛ちゃん(5)に対する、保護責任者遺棄致死の疑いで、警視庁が継父の雄大容疑者(33)と実母の優里容疑者(25)を逮捕したのは6月6日のこと。
 3月に傷害で逮捕されていた雄大容疑者は2月末ごろ結愛ちゃんの顔面を殴るなどし、結愛ちゃんは寝たきりの状態に。嘔吐なども繰り返していたという。
 優里容疑者は結愛ちゃんを病院へ連れて行かなかった理由について「虐待がばれ、立場が危うくなると思った」などと供述したという。
 まだ外も暗い朝の4時。結愛ちゃんは毎朝その時間に起き、ひらがなの練習をさせられていたという。
《もっとあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるしてください ゆるしてください お願いします》
 その小さな手で両親に許しを請う言葉を綴ったノートを残し、結愛ちゃんは3月2日に息を引き取った。
 この事件を受け、政府は7月20日、児童虐待の緊急総合対策をまとめた。社会が変わろうとしているが、
「政治家は票集めにもっともらしいことを言う。法律や制度ができたら虐待死が減るかもしれん。ただ、申し訳ないが、俺らからしたら終わったこと。結愛は帰ってこんきに」
 そう話すのは、結愛ちゃんの実父方の祖父(43)だ。
「児童相談所が強制的に結愛を確認していれば死ななかった。様子を見に行って確認できませんでしたと帰ってくることがおかしい。
 新聞の勧誘やないんやけ。新しく法律や制度が変わっても建前にしか思えん。すでに児相というシステムがあるのに、なんで助けられんかったんや」
 と祖父は吐き捨てる。さらに両容疑者について、
「雄大も優里も殺してやりたい。殺せるもんなら殺してやりたいよ。結愛が感じたのと同じか、それ以上の恐怖を与えてやりたい。どれだけ怖かったんやろうか。毎日そんな恐怖が続いていたなんて……」
 体格のいい祖父は、肩を震わせ、顔を真っ赤にし、詰まりながらも言葉を絞り出す。
 事件後に息子(結愛ちゃんの実父)と食事をしたという。
「息子はな、気を遣ってかなんも言いよらん。俺も思い出させるのはかわいそうやけ、あえて触れんようにしとる。ずっと抱えて生きるのはあまりにかわいそうやけ」(祖父)
 ただ、実父がずっと胸に秘める思いがあるのだという。
「離婚後にな、息子が小さい子どもの面倒を見よったときがあった。そしたら“オレ、別れてから(結愛のことを思い)涙が出よった”ってポツリと言ったんや。大事に思っていたし、会いたかったと思うよ。でも、優里に男ができたら会いにいけんやろう……」
 結愛ちゃんは“前のパパがよかった”ともこぼしていた。実父はどのような思いで報道を見ていたのか。
「もうそっとしておいてほしいんや。何をしたって結愛は帰ってこんきに」
 と祖父は涙をぬぐった。
 実母である優里容疑者の父親は、
「結愛を最後に見たのは東京へ送り出したときです。もしおかしなことがあれば止めていた。優里がどういう状況に置かれていたかわかりませんし、これ以上、お話しすることはありません。後は裁判で明らかになると思います」
 結愛ちゃんの遺骨が納められた墓石には、“行年7才”と刻まれていた。それはあまりにも短い生涯であり、同時につらく長い時間だった。

『共同親権』の導入で“親都合の離婚”に苦しむ子どもは救われる? 当事者の声を聞く

出典:平成30年8月14日号 週刊女性

『共同親権』の導入で“親都合の離婚”に苦しむ子どもは救われる? 当事者の声を聞く

《離婚後も双方に親権残る「共同親権」検討…法相》
 7月中旬、読売新聞の朝刊一面に、政府が共同親権の導入を検討していることが報じられた。
 離婚後、親権の奪い合いの裁判でもめたり、誘拐にも似た強引な引き離しが行われるなど、子どもが親の争いの犠牲になるケースが後を絶たない。政府は2019年にも、親権制度を見直す民法改正について法制審議会に諮問する見通しだ。
『共同親権』の導入で何が変わる?
『共同親権』について、離婚後の家族問題に詳しい大正大学の青木聡教授は、『親権』という言葉を『親責任』と置き換えるとわかりやすいとし、次のように説明する。
「『共同親責任』は、離婚しても父母が共同で親としての責任を果たしていきましょうという意味です。メリットは、離婚後も子どもが心理的・経済的に安定し、子どもに与えるさまざまな悪影響を減らせる点です。離婚しても父母が争わずに養育していれば、子どもは両親のそろった子どもと変わりなく育っていきます」
 現在の民法は、離婚後の親権はどちらかの親が持つ単独親権。そのため、強引な手法がとられることもあるという。
 都内在住の熊田南海子さん(34)は、強制的に子どもと引き離された経験がある。現在は、長男の有希くん(9)と次男の祥希くん(6)と暮らす熊田さんだが、離婚劇は夫側の一方的な手口で口火が切られた。
「'13年10月15日に、子ども2人を連れ去られたんです」という熊田さん。夫とその両親、兄夫婦が一緒に来て、義母と熊田さんが口論している間に、義兄夫婦が子どもを連れ去ったという。
「警察も呼んだのですが、義母と元夫が、3日後に子どもは帰る予定と説明して、警察が連れ去りを止めることはありませんでした。3日後には戻ってきませんでした。後からわかりましたが、連れ去りの翌日には別の幼稚園に通う手はずになっていました。
 夫の実家から、何度もお金を無心されたことなどが原因で離婚したいと伝えたとき、“有利な離婚の仕方を知っているから”と。何を言っているのかなと思っていたのですが……」
子どもの引き渡しを求めた審判を申し立て、熊田さんが2人の息子に面会できたのは、連れ去り後から3か月後のこと。
「裁判所の試行面会でやっと会えたのですが、私のことを警戒した様子でした」
 会えなかった間、父親は母親にまつわるエピソードを捏造し子どもに刷り込んだ。
 連れ去りから約1年後に離婚が確定し、親権は熊田さんのもとに。連れ去られた側に親権が認められるのは珍しいケースだ。
「共同親権になれば、私のように、子どもを連れ去って親権を獲得する“有利な離婚”ができなくなると思います」と法改正に期待する。同時に、
「面会交流権は親が子どもに会う権利だけではなく、子どもが親に会う権利でもあるんです。新しい家族を大切にしてほしいと思いますが、この子たちにも会ってほしいと思います」
 熊田さんがそう訴えるのは、離婚後、週に2~3回会いに来ていた元夫が再婚後、だんだんと子どもに会いに来なくなり、息子が送るLINEにも既読スルー……。
 2人の子どもは無邪気で「お父さん大好き!」と声をそろえる。昨年の11月、有希くんの誕生日のお祝い以来、会えていないという。
「パパに会いたいよ」
 遠慮がちに有希くんが伝えた言葉が切なかった。
 再婚後の親権選択について前出・青木教授が説明する。
「欧米では、共同親権を持つ父母が子どもの意見を聞きながら、再婚後の養育についてどうするかを話し合い、親権のあり方を再度、選択することになります」

親同士の関係構築が必須
 元夫への恐怖感、拒絶感が強く「離婚後も連絡をとる必要があるとは思いもしなかった」と話すのは一般社団法人『りむすび』の、しばはし聡子代表。別居・離婚後に子育てする親をサポートする共同養育コンサルタントを務めているが、ご自身も何の知識もなく離婚に踏み切り、憂うつな思いをしたことがあったという。
「離婚はできましたが、調停で面会交流が月に1~4回という取り決めがなされた。息子に会いに来るたび、頭を抱えていました。元夫に息子を会わせるのが嫌でした」
 と振り返る。
 離婚したのに元夫と関わりたくない。だが、息子は父親と会うことを喜んでいる……。
 そこで、しばはしさんは夫婦問題カウンセラーの資格を取ることを決意。面会交流を見学するなどした結果、自分自身が変わって、子どもの父親である元夫に向き合わなければいけないと思ったという。
「子どもの情報を夫に伝えようと連絡をとることにしたのです。劇的に関係は改善しました。元夫も憤りが静まり、“ありがとう”と言ってくれる。“ありがとう”ともっと言わせたいと思ったら、苦しかった気持ちがスッと楽になったんです」
 現在は月に2回、子どもは元夫の家に泊まりに行く。しばはしさんが仕事で忙しいときは預かってもらい、学校の保護者会に行けないときは出席してほしいと伝え、学校から子どものことを注意されたら、それを父親から伝えてもらうなど、
「育児のいいところだけでなく、たいへんなところも分担してもらうようにしています」
 共同親権には賛成の立場だ。
「共同養育するために離婚後の親同士の関係構築は必須です。公的な支援も、ひとり親支援は充実していますが、共同親権になれば支援体制も変わってくると考えています。
 子どもは離婚後も共同で育てていくのが当たり前だと認知され、社会に浸透すれば、離婚すると親はひとりという固定概念が払拭されていく」

「パパとママの離婚は私が原因でしょう」
 都内の出版社に勤める水戸耀司さん(仮名、50)は現在、小学6年生になった娘(11)と暮らすが、彼女が2歳半のときに、夫婦のいさかいは始まった。離婚裁判や面会交流調停など長い不毛な戦いを余儀なくされた水戸さんは、
「共同親権であれば、裁判をすることだってなかった。今まで裁判費用で500万円ほど使いました。バカげたお金ですよ」
 と精根使い果たした長期戦を回想。娘はのびのびと元気に過ごしているが、最近言われたことが心に刺さっている。
「“パパとママが離婚したのは、私の取り合いが原因なんでしょう”と自分を責めることを言うんです。違うよと伝えてはいるのですが……」
 2歳半の娘を連れ去った元妻は、夫からDV被害を受けていると警察に通報し、DVを理由に離婚裁判を申し立てた。結果、DVがでっち上げだと証明され、離婚は認められなかった。判決まで2年の月日を要した。水戸さんが、可愛い盛りの娘に会うことができたのは、娘が連れ去られてから1年2か月後だった。
「私と会わせて大丈夫か確認をする試行面会で会えました。最初、きょとんとした顔をしていました。肩車をすると、“パパ”って言ってくれたんです。娘は肩車が好きでいつもせがまれていましたから」
 面会交流も、“病気だ”“運動会がある”などと嘘の言い訳をでっち上げられ、8か月間も会えなかったことも。
 妻が申し立てた2度目の離婚裁判で、離婚が認められ、娘の親権は母親が持つことに。
「娘に対して、私の悪口をひどく吹き込んでいたようなのです。娘はそのたびに“パパはそんな人じゃない”と、嫌な気持ちになったと話していました。
 面会交流が終わり引き渡すときに娘は、毎回帰るのを渋るのです。泣きじゃくったこともありました」
 娘を妻に引き渡した際、妻の手を振り払い水戸さんの車に乗り込んできた。そして“パパ、早く車を動かして”と叫ぶ娘の声を聞き、水戸さんはとっさの判断で車を発進させ、娘を家に連れ帰った。
 それから1年以上、父親のもとで暮らしていたが、親権のある妻は引き渡しを求める。引き渡しをしない親が引き渡すまでの間、1日ごとに裁判所に定められた金額を支払わなければならなかった。
「子どもを返還しない場合は1日3万円の罰金が科せられるのです。致し方なく、娘を妻のもとへ連れて行きました」
 娘はその3日後、再び自分の意思で、父親と祖母が住む家に帰ってきたという。
 その後、元妻とは和解。そのかわり、子どもには会わせることを条件としていた。
「娘が母親に会いたくないと言っているんです。私としては母親を嫌いにならない方向にもっていきたいと思っています。子どもには、パパもママも大好きでいてほしいんです。パパとママは娘のことを愛している、宝物だと思っていることを知ってほしい」
 そう胸の内の葛藤を明かしてくれた。
夫婦と親子の関係は別もの
 青木教授によれば、ノルウェーでは離婚裁判になると子どもは父母から引き離され、里親委託養育になる。そのため、子どもと離れたくない父母は、裁判にならないように離婚を進めていくという。
 離婚経験があり、“離婚後子育て応援弁護士”として活動する稲坂将成法律事務所の古賀礼子弁護士も、元夫と元妻、元夫と子どもの関係は別ものと訴える。
 すでに元夫とは離婚が成立していたが、養育費の見直しの提案をすると“小学校は義務教育だからお金はかからない”と元夫は渋りはじめた。
「話が平行線だったため、元夫に養育費の支払いの調停を申し立て、調停の場に携わったのが、私の弁護士としての初仕事でした」
 息子は、“養育費はいらないからパパとの時間が大切”と訴え、古賀弁護士は板挟みに。
 結局、以前と変わらぬ金額で合意したが、調停では父母は今後一切、連絡をとらないこと、面会は父子が直接やりとりをする決まりに。
 父子の関係は良好で、
「私は見ていませんが、面会の別れ際には親子で熱い抱擁があったりと、血のつながった親子の絆というのは深いものなのだなと感じています」
 共同親権については、
「私のように父母は決して仲はよくないが、父子の仲は非常にいいケースがあることを知ってほしい。必ずしも離婚した夫婦が仲よく協力しなければならないわけではない。
 離婚後も親という意識を持つことで、適正な分担のもとで育児が行われ、社会の意識も変わり、男性の育児休暇取得率も上がると思います」
 前夫との間にできた妻の子を虐待死させた東京・目黒区女児虐待死についても、親権の問題が関係していると分析し、
「親権という重荷を背負わされ、本当の父親にとって代わって行動したのですが、それが間違った方向に向かってしまった」
 そのうえで、
「母になるための支援機関は多く存在するが、継父などへの支援はほとんどない。この点も問題かなと思っています」
 都内在住の40代女性は、成長した娘と父親を会わせようと元夫を訪ねたことがある。
「お前は母親として何をしたんだって、文句を言われましたからね。養育費は月2万円しか払っていない男にですよ! 月々2万円で子どもが育つかよ、って逆に腹が立ちました。娘には、父親のことは忘れなさいと伝えました」
 腹立たしい気持ちが、思い出すたび今も消えないそうだ。
 '16年度に厚生労働省が行った全国ひとり親世帯等調査では、母子家庭で父親から養育費の支払いを受けているのは約2割。共同親権の導入に期待がかかる。

子どもは一方のものじゃない――離婚親の「共同親権」への期待

出典:平成30年8月13日 Yahoo!ニュース

子どもは一方のものじゃない――離婚親の「共同親権」への期待

会いたいのに会えない──。離婚後、子どもと暮らしていない親の多くが口にする言葉だ。日本では結婚時は「共同親権」だが、離婚後は「単独親権」となる。親権を持てなかった親は自由に子どもに面会できず、苦しむ。苦悩する離婚後の当事者と親権の問題を追った。(ライター・すずきまゆみ/Yahoo!ニュース 特集編集部)

思うように長女と会えない
「結婚した時は、いまのような苦しみは想像もしていませんでした」
東京郊外に暮らす高地侑子さん(仮名・50)は涙ながらに振り返る。2000年、32歳でアメリカ人男性と結婚。2人の間にできた長女は、いま彼女の元にはいない。
高地さんの夫は3年前、当時10歳の長女を連れて強引に別居。今年3月、長女の親権を夫(父親)とする離婚訴訟の判決が下された。判決に納得できない高地さんは、現在控訴中である。

2005年、37歳で長女を出産。2011年に東日本大震災が起きた頃から、次第に夫婦関係が悪化する。放射能の影響を恐れての避難をめぐる考え方の違いや、震災の被害を目のあたりにした高地さんがキリスト教に傾倒したことなどがきっかけとなり、価値観の違いが浮き彫りとなったためだ。高地さんが以前からの夢を叶えるために、夫の反対を押し切って大学の夜学に通ったことも夫婦の溝を深くしたという。
高地さんに離婚の意思はなかったため、カウンセリングに通うなど夫婦関係修復の道を探っていた。しかし、夫は協力的ではなかった。
「夫婦でもめていた当時、相談していた弁護士さんには『このままお嬢さんを連れて逃げてください』と言われたんです。でも、私は娘と夫の仲を裂くようなこと、したくなかった。そうしたら2015年6月、私からしてみたら突然、彼が娘を連れて出ていってしまったのです。親権をめぐる司法の判断は『現状維持』を重んじる傾向があるため、連れ去った者勝ちだとよく言われますが、本当にそうだと思いました」

別居以降、娘との面会交流は月1回程度、許された。しかし、面会の日程や時間、場所などはすべて夫の意向に沿わなければ実現できなかった。「本当はもっとたくさん、もっと長い時間、一緒に過ごしたかった」。
そして今年6月、夫は長女を連れてハワイへと転居。面会の機会は遠のいた。結局、この3年間、高地さんは長女と思うように会えていない。

半数以上の別居親が子どもと日常的に交流できず
親権をめぐる離婚後の親たちの苦悩は深い。親権とは、未成年の子どもを育てるために認められた親の権利と義務である。日本においては、結婚時は共同親権、離婚後は単独親権となることが民法で定められている。
厚生労働省の調査によると、2016年の離婚件数21万6798組のうち、親権の対象となる未成年の子がいるのは約58%。そのうちの約84%が子どもの親権を母親がもつ。
一方で、子どもの親権や面会交流など、子どもをめぐる家事事件は増加している。最近は、父親側が子の親権・監護権(監督し保護する権利・義務)や面会交流を強く求めるケースが増えた。男性の子育てへの参加意識が高まってきたことによる流れだ。
しかし、現実には、子どもと離れて暮らす別居親が離婚後も面会交流を行っているのは、母子家庭で29.8%、父子家庭で45.5%にすぎない(2016年)。男女どちらにしても、半数以上の別居親が子どもとの日常的な交流ができていない現状がある。

子どもにとっては何が最善か
「離婚するほどの仲なのだから、面会交流がうまく実施できないのは当然です」
そう話すのは、千葉県の寺院の僧で、離婚後の親子の面会交流支援を行う一般社団法人びじっと代表・古市理奈さん(46)だ。
「たとえ面会交流について取り決めをしていても、両親の感情的な理由から反故にされることも多い。でも面会交流は、親ではなく子どもの権利。少しでも子どもが親に会いやすくするためには、第三者の介入が必要です」
びじっとは「子ども優先」をモットーに、親子の面会の「連絡調整」「受け渡し」「付き添い」などの支援を行っている。子どもが幼い場合、面会交流を行うには当然、親同士の協力が必要だが、「互いに顔を見たくもない相手との歩み寄りは無理」だと考え、面会支援団体を立ち上げた。親同士の感情のもつれによって面会がかなわず、交流のもてない親子を1組でも救いたいという思いからだ。
離婚後も、別居親が子どもに定期的にかかわることで、同居親の子育ての負担が軽減され、親子の孤立を防ぐ効果も期待できる。
「離婚して子どもの親権をもつ同居親は、別居親に会わせることによって『子どもが別居親のほうが好きだと言ったらどうしよう』などと考えて面会を躊躇しがちです。でも、子どもは親の所有物ではありません。子どもにとって何が最善か、ぜひ考えてほしい」

できれば定期的に会ってやってほしい
裁判離婚でない場合、細かい取り決めがなく面会交流が実現しないことが多い。親権を持つ親が、持たない親に面会交流を働きかけても、実現しないケースもある。
埼玉県草加市在住の安藤一浩さん(44)は、4歳11カ月の長女を育てるシングルファーザーだ。長女の母親である元妻は、当時生後2カ月の長女の親権を安藤さんに渡して家を出ていった。
「精神的に不安定だったのかもしれません。僕自身は父親になれたことが嬉しかったので、子育てを担うことに躊躇はありませんでした」
乳飲み子を託された安藤さんは、子育てがしやすいように、当時住んでいた静岡県から埼玉県の実家に引っ越した。同時に、勤めていた会社は退職し、定時に帰れる職に就いた。粉ミルクで育て、抱っこひもで連れ歩いた長女は2020年に小学生になる。
「元妻には毎年母の日に、娘の名前でメッセージを送っています。返事はあったり、なかったり……。面会交流が子にとって必要だと考え、離婚したときから面会交流を相手に勧めましたが、今のところ元妻が応じたことはありません」
一時期は元妻を憎む気持ちもあったが、この5年間でそうした気持ちは減ったという。
「子どもには父親、母親両方の存在が必要と思っているので、元妻が応じてくれたら子どもにとっていいのに、と思うことはあります。でも、相手を憎む気持ちはもうありません。子どもが幸せに育つことを優先に考えています」

日本だけが単独親権
子どもにとって、離婚した親との幸せな関係はどこにあるのか。
「離婚した父母両方が親としての責任を継続する『共同親権(共同監護)』が世界の潮流となっています。欧米はもちろん、アジアでもその選択が広がっています。しかし、日本の制度は、今でも『単独親権』以外の選択肢がない。その点でガラパゴス化しているとも言えそうです」
そう指摘するのは、家族社会学を専門とする明治学院大学社会学部の野沢慎司教授だ。
明治期に制定された旧民法下では、結婚している夫婦の場合でも子どもは父親の家に属していた(単独親権制)。それが、戦後、男女平等をうたう新憲法下となって、婚姻中の父母が共同で子どもの親権を行使できるようになった。ただし、離婚した場合には、父母のどちらかが親権を失う単独親権制が採用された。
この単独親権という制度が残されたことが、親側のさまざまな問題につながっているという見方もある。
「親権をめぐる苦悩や葛藤、養育費や面会交流をめぐる諍い。あるいは、親権をもつ親がひとりで責任を抱え込んで起こす虐待……。こうした問題の背景には、『単独親権制』の前提にある『離婚したら子どもは一方の親だけのもの』とみなす考え方がある」
そこには、子ども側に立った視点が不足している。親が離婚しようと再婚しようと、子どもにとってはふたりとも親であることに変わりはないからだ。
「そう考えると、子どもが父母のどちらかから切り離されやすい『単独親権制』には、大きな欠陥があることに気づくはずです」

「共同親権」を待ち望む人々
2018年7月15日、読売新聞東京本社版朝刊の1面に「離婚後も『共同親権』検討」という大見出しが躍った。記事によれば、政府は親権制度を見直す民法改正について、2019年にも法制審議会に諮問する見通しだという。
親子の面会交流を実現する全国ネットワーク「親子ネット」の会員が参加するSNSグループは、共同親権を待ち望む親たちの喜びの声で沸き立った。
「早く実現するといい」
「離婚している場合も、申し立てれば共同親権にできるようにしてほしい」
会員の多くは、離婚によって子どもと別れた親たちだ。同会では、離婚した父母が協力して子育てができるようにする「共同養育支援法」の制定を目指して活動している。政府による「共同親権」の検討は、それを「大きく後押しする」と会員たちは期待している。
ただ、DVや虐待がある場合に安易に面会交流を認めると、被害が深刻化するという指摘もある。今後の法整備には慎重な議論が求められている。

子どもにとって最善の選択を
「共同親権」の実現を前に現時点で、親権にこだわらず、共同で子育てをしている「元夫婦」はいる。
広島県在住の石田まりさん(仮名・45)は親権をもたない母親だ。
石田さんが離婚したのは2015年。長女は当時7歳だった。長女はそのまま地元の小学校に通い続けたいと希望。本人の意思を尊重し、親権は元夫がもち、石田さんが家を出た。
しばらく一人暮らしをしていたが、2017年3月、石田さんは離婚した状態のまま元夫と長女が住む家に同居することにした。子どものためには父母のどちらの存在も必要と考え、元夫婦で話し合ったうえでの選択だ。家計は別々。食事は交代で子どもと食べる。3人での外出はする。夫婦の時間はもたない。
籍を抜いて他人になったことで遠慮が生まれ、けんかはなくなったと石田さんは言う。
「娘は離婚したことを理解しており、『お母さんとお父さん、仲良しじゃないよね』などと言いますが、さっぱりしたこの関係に大きなストレスはないようです。先のことは分かりませんが、父母として協力し合って暮らすこのやり方は、いまの私たちには合っていると思います」

すずきまゆみ
1966年、東京都生まれ。大学卒業後、会社員を経てライターとして活動。教育・保育・女性のライフスタイルなど、幅広いテーマでインタビューやルポを手がける。

目黒5歳女児虐待事件に潜む、親子制度の問題

出典:平成30年7月27日 アゴラ

目黒5歳女児虐待事件に潜む、親子制度の問題

山本ひろこ 目黒区議会議員

 記憶に新しい目黒区の幼児虐待事件。その後、目黒区議会でも「虐待のない目黒区を目指す決議」が採択されました。結愛ちゃんの残したあまりにも切ないノートの内容が涙を誘い、社会問題化したこの事件ですが、本当に問題なのは行政対応だけなのでしょうか?児童相談所間や警察との連携不足が大きく問題視され、厚労省は児童相談所に警察との連携強化を求めました。
近年、東京都23区では児童相談所の都から区への移管が話題になっています。2016年6月の児童福祉法改正により、特別区に児童相談所を設置することが可能となりましたが、人材・財源・場所など様々な課題があることから、区によって設置予定時期が異なります。
1300万人を抱える東京都が、基礎自治体レベルの細やかな住民ケアができるわけがなく、東京都からすれば、「何町の何丁目」がリアルではありませんが、基礎自治体からすれば、リアルにその地域を把握しているわけです。
それゆえに、地域の子どものセンシティブな問題を取り扱う児童相談所などは基礎自治体が所管するのが妥当で、東京都からの移管は望ましいことだと考えます。目黒区では移管の具体的時期がまだ未確定の状態ですが、早期移管を求めて区議会からも決議文を出しました。
ただ、今回の事件で母親として一番気になるのは、連れ子にだけ虐待を行ったという点です。実父かそうでないかによって、子供へ対応レベルが異なりやすいというリスクについては、米国の研究などでも証明されています。
もちろん児童相談所対応が至らなかったのは致命的ですが、被疑者の父親には実子もいて、その子は虐待されることなく育てられており、連れ子の結愛ちゃんだけが虐待されていた今回のケースなどは、日本の親子制度のありかたそのものにも焦点があたるべきところを、幼児虐待に対する児童相談所対応だけの問題にすり替えられてしまっています。
連れ子も実子も同じように虐待をしているのであれば、幼児虐待だけが問題となりますし、もちろん、ハイリスクだと言っても、一般的には連れ子も実子も同様に接している円満ケースが大半です。一方で、今回のケースでは連れ子にだけ虐待を行っている点からして、虐待の原因として、実子かどうかが大きく影響していることがわかります。
現在の日本は、単独親権制度を採用しており、離婚して親権を失えば親の責任がなくなるどころか、懇願しても会えなという断絶状態が散見されています。共同親権制度により、実夫に離婚後も子供の養育の義務があれば、結愛ちゃんのSOSが伝わり、虐待死に至る前に救えたかもしれません。
欧米諸国では、共同親権が採用されています。もちろん、別れても住所が追跡されるなどのデメリットもありますが、子どもの権利や利益を中心に考えると、共同親権が妥当ではないでしょうか。日本でも共同親権化に向けて、動き出しました。
子どもにとって一番大切なことは、たくさんの選択肢があることです。親の都合で離婚したとしても、子どもには両方の親に世話をしてもらえる権利があります。幼いうちに、どちらかを選ぶことなんてできません。大きくなっても、どちらかを選ぶというのは、究極の選択にしか過ぎません。離婚により親権を失えば、子どもに対する義務も責任も無くなる、というのは大人都合のルールです。子どもは自立するまで両親に育ててもらう権利を持っているという、子ども中心のルール作りが必要ではないでしょうか。

親子を引き離し、関係をこじれさせることで儲ける“離婚ビジネス”の実態

出典:平成30年7月21日 ハーバー・ビジネス・オンライン

親子を引き離し、関係をこじれさせることで儲ける“離婚ビジネス”の実態

「親から子どもを引き離したほうが弁護士はカネになります」

 そう断言するのは「男の離婚相談」を掲げる五領田有信弁護士。受け持った事件の中で特に理不尽に感じるのは、妻が浮気して出ていった場合の妻側弁護士の対応だという。この場合、妻のほうに原因があるので、夫が拒否すれば普通は離婚できない。

「しかし『子どもの養育をともに担えるなら』と、妻に愛想をつかした夫も離婚に同意しようとします。その場合、養育を等分に分け合うなら養育費は当然発生しません」(五領田弁護士)

◆弁護士は、離婚時の養育費算定が多いほど利益を得られる

 政府は現在、日本以外では朝鮮(いわゆる「北朝鮮」)やイスラム諸国、アフリカ諸国に残存する単独親権制度を転換。離婚後も両親が養育にかかわる共同親権制度に向けて、民法改正の検討を始めた。共同親権の国では珍しくなく、単独親権の日本でも制度上は否定されているわけではない。しかし、子どもが手元にいる妻側の弁護士は「そんなことは聞いたことがない」と強く出る。

 そうなると、夫の側は子どもとの絆が断たれることを恐れて親権を手放さず、離婚に同意しない。

「関係を壊した妻側が、婚姻費用を請求してくる。離婚しないならカネを払え……と。妻側の弁護士はまるで暴力団です」(同)

 さらに五領田さんが疑問視するのは、法律サービスを身近なものにするために政府が設けた日本司法支援センター(「法テラス」)の成功報酬基準だ。

 離婚時に起こした養育費請求調停で、夫から毎月10万円の養育費を受け取る約束ができたとする。法テラスの算定基準では養育費の2年分が「受けた利益」として報酬算定される。たとえば月額養育費が10万円であれば、「10万円×24か月=240万円の10%+税」が報酬になる。

「子どものためのお金なのに、弁護士がやっていることはピンハネ。月々10万円をとれるクライアントを10人見つければ、月10万円が固定収入になる。顧問契約の2件分です。国が作った機関が、養育費から報酬を得られるようにするなんて、離婚を奨励しているようなものです」

◆弁護士が「事件を作っている」という批判も

 法テラスを利用すると、30分の相談が3回まで無料だ。一方、弁護士は1回の相談につき5000円を法テラスから受け取る。相談者が法テラスの弁護士に依頼すると事件の種類に応じて決まった額の着手金が弁護士に支払われ、依頼者は分割で法テラスに償還する。中でも扶養料や慰謝料の請求は成功報酬の対象になる。

 母親が主婦のまま子連れで別居して、生活保護を受けていれば法テラスへの支払いも免除される。「クライアントは金銭負担を感じることなく、弁護士をつけて調停・裁判を起こせる」と解説するのは、親子関係回復のための面会交流事件を多く手がける古賀礼子弁護士だ。

 例えば生活保護を15万円受けている母子家庭で、婚姻費用を請求して月々10万円を受け取ることができたとする。「実際は回収した婚姻費用は収入に認定され、生活保護費からの国庫への返還になるので、母親が得る生活費は変わりません」(古賀弁護士)。

 しかし父親からの婚姻費用の支払い先は母親側の弁護士の口座が指定され、そこで1万円が差し引かれ。残りの9万円分が生活保護費から返還されることになる。

「父親からしてみれば婚姻費用を支払っているのに、子どもには会えず、妻も子どもも全然生活水準が上がらないということになります」(同)

 それなのに、なぜ婚姻費用を申し立てるのだろうか。

「夫の側は、妻の扶養分を減額するために早く離婚しようと考える場合があるからです。本来婚姻費用の分担は、婚姻した夫婦がお互い協力しあうことが前提の制度なのに、離婚を促すために使われているのが現状です」(同)

 弁護士があえて「事件」を作り出し、売上を得る仕組みを「離婚ビジネス」と酷評するのは笹木孝一さん(仮名、50歳)。妻側の弁護士から、婚姻費用の支払い先を弁護士の口座に指定された。

 妻側の弁護士は家事事件について「国内トップレベル」を標榜する弁護士だった。笹木さんの場合、別居時に妻が5歳の息子名義の口座を持っていったので、婚姻費用はその口座に支払っていたのだ。

 笹木さん夫婦はもともと共働きで、生活に必要な諸経費は笹木さんが支払い、笹木さんの預金に余裕ができたら妻の口座に移動していた。摂食障害のある妻のために、食事も笹木さんが作っていたという。

 妻側に経済的な不満があるようには思えないが、「妻は精神的に不安定で離婚を口走り、子どもにも暴力を振るいました」という。困った笹木さんは円満調停を家庭裁判所に申し立てた。「有利な証拠を得るためか、妻はリビングに録音機を置きました」(笹木さん)。

◆子どもに会うために、毎回1万5000円を公益法人に払う

 2016年のある日、保育園に子どもを送り届けた後、妻と子どもがそのまま行方不明になった。すぐに妻側の代理人を名乗る弁護士から「妻子や親族に連絡を取ろうとするとあなたが不利になる」と連絡が入った。

 その後家庭裁判所で調停になり、担当の女性裁判官は「裁判所が関与すべきものではない」と事件性を否定。隔週で6時間という父子交流を取り決めた。ところが高裁では月に1回3時間の交流に短縮され、どちらかが望めば父子交流に付き添いを付けることが可能になった。「つきそいを望むのは母親しかいない。監視ですよね」と笹木さんが嘆息する。

 母親側が指定してきたのは、面会交流の支援を手がける家庭問題情報センター(FPIC=エフピック)だ。「FPICのスタッフには『私たちのところを利用するようにという審判書になったわね』と笑われました」。FPICは月に1回3時間までしか面会交流の支援をしない。

「妻側はエフピック以外では会わせないと言ってきましたから、選択の余地はありません。にもかかわらず、当初1回1万5000円の利用料は、相手方弁護士の主張で全額を私が払わされました」(笹木さん)

「子どもに会うのにその都度カネを払わないと会えないなんて屈辱そのもの」と憤るのは先の五領田弁護士。「司法によって利用が指示されるなら、それは裁判所や行政の仕事。なぜ公益社団法人がそれを肩代わりしているんでしょうか」

 FPICは家庭裁判所の調査官OBによる公益社団法人。2015年から3年間、養育費相談支援事業などに1億5400万円を国から得ている。「家庭裁判所職員の再雇用先確保のためのカモにされているとしか思えません」と笹木さんも指摘する。

 笹木さんとの交流場所はFPICが児童館を指定した。理由について笹木さんが聞くと、「子どもの安全のためという。これは私が危険だということですから、FPICに抗議したのです。そうすると『信頼関係がない』と援助を引きあげられました」。現在、笹木さんは息子さんに会えていない。離婚も裁判で決着した。

「営利目的で子どもを連れ去り、親同士の関係を壊して親子を引き離し、子どもの貧困を招く。そんな奴らが裁判所を闊歩しているなんて」

 共同親権は、離婚ビジネスが生み出す子どもの貧困を根絶できるだろうか。
<取材・文/宗像充>

ハーグ条約>子を返還するよう命じる判決 差し戻し審

出典:平成30年7月18日 毎日新聞

<ハーグ条約>子を返還するよう命じる判決 差し戻し審

 国境を越えた子の連れ去り防止を定めた「ハーグ条約」に基づく裁判所の返還命令に従わないのは違法として、米国在住の父親が息子(13)を連れて帰国した母親に息子の引き渡しを求めた人身保護請求の差し戻し審で、名古屋高裁は17日、父親の請求を認める判決を言い渡した。

 戸田久裁判長は、息子が「米国での生活に不安があり、日本に残りたい」と話しているとしつつも「来日以来、母親に大きく依存して生活せざるを得ない状況にあり、母親のもとにとどまるかどうか決めるための多面的な情報を十分に得るのは困難だった」と判断し、母親の不当な心理的影響も指摘した。

 その上で、母親が返還命令に従わず、息子を父親に引き渡さないのは明らかに違法と結論づけた。

 争っているのは米国で暮らしていた日本人夫婦。母親が2016年に息子を連れて帰国し、父親がハーグ条約の国内実施法に基づいて東京家裁に息子の返還を申し立てた。家裁は返還を命じたが母親は応じず、父親は息子の引き渡しを求め人身保護請求の裁判(2審制)を起こした。

 1審の名古屋高裁金沢支部は昨年11月、「息子は自らの意思で日本に残ることを選んだ」と請求を退けたが、最高裁は今年3月、母親の不当な心理的影響を受けていると言わざるを得ないとして破棄し、審理を名古屋高裁に差し戻した。

 ハーグ条約は、親の一方が断りなく16歳未満の子を国外に連れ出した場合、残された親の求めに応じ、原則として子を元の国に戻さなければならないとしている。【野村阿悠子】

「離婚で子供に会えない」を減らすための、ある弁護士の試み

出典:平成30年7月17日 週刊現代

「離婚で子供に会えない」を減らすための、ある弁護士の試み 新たな解決方法を模索して

 西牟田 靖

離婚を巡る夫婦の話し合い。円滑に進めばよいのだが、特に子供がいる場合は、親権を巡って夫と妻の間で激しい争いとなってしまうケースが多い。近年では、弁護士が依頼者に強く肩入れして、決して子供と夫婦のためにはならないような「助言」を行うこともあるのだという。
妻と離婚し、その後、子どもに会えなくなったというAさんの話と、「円満な離婚」を推進するため、新たな取り組みを行っている横粂勝仁弁護士の話から、いまの「離婚紛争の問題点」と改善策について考えてみたい。

■別れるつもりはなかったのに
「13年前、妻と息子二人と一緒に暮らしていたときのこと。ある日、妻が浮気をしているかもしれないことに気づきました。携帯を置いたまま外出した妻の携帯がチカチカ光っていて、画面には、知らない男の名前が表示されているんです。浮気じゃないかと疑った私は、本人に問いただしました。すると妻は男との一定の関係は認めたうえで、『一線は越えてない』と言い張りました。
同居している義父母を交えて話し合ったのですが、妻を叱ってくれるどころか逆にかばってしまい、なぜか私が悪者に……。結果、妻や義父母との仲がこじれてしまいました」
こう話すのは、離婚後、息子と会えなくなってしまったAさんだ。妻をかばう義父母らによって家に居づらくなったため、その日、Aさんはやむなく実家に泊まった。それ以来、妻の実家に戻ることはできず、別居状態となった。なんとか子供にだけは会いたいと、毎週末、妻の自宅へ戻ったが、そのうちわざと留守にされるなど、子供たちから遠ざけられたという。
別居して10ヵ月あまりが過ぎたある日、その関係に突然変化が訪れる。
「妻は離婚について弁護士に相談していました。ある日、妻側の弁護士から夫婦関係調整調停の申立書というものが届いたのです。そこには調停の日時や場所が記されていました。要は、家から荷物を全部移して、離婚をしてくれ、ということです。私は弁護士を雇い、指定された裁判所へ出向いて、こう主張しました。
『子供たち二人がまだ小さい。だから別れる気はありません。住んでいる家から荷物を移す必要も感じません』と。
するとその場にいた妻側の女性弁護士が突然怒りだし、私や私の担当弁護士に『あんた民法知ってんの? こうなったら訴訟だ!』と叫んで、話し合いが行われていた調停室から、調停委員会の許可なく退出してしまったのです。唖然とするほかありませんでした」
その後、妻側の弁護士は離婚等を求める訴訟の書面を出してきた。その文面を確認したAさんは目を疑った。
「一審の家庭裁判所での妻側の離婚訴訟の書面には、私が妻や子に振るったとする、DVの事例がいくつも記されていました。
例えば、離婚訴訟中に子供を連れて結婚式に行ったとき、前泊したホテルで子供がベッドから落ちたんですが、それを私のDVが原因だと主張されたんです。こうした事例が家庭裁判所にDVとして認められてしまい、その結果、私はDV夫と見なされ、親権を妻に取られてしまったんです。
納得できるはずもなく、私はすぐに東京高等裁判所に控訴しました。ところが審理は一度も行われず、なぜか裁判官から『裁判所に来るように』と呼び出されました。それを受け、私が裁判所の和解室に出向くと、裁判官が私に和解を勧めてきたんです」
以下は、その裁判官との和解室での会話を再現したものだ。
裁判官「旦那さん、あなたがDVするから奥さんが浮気したんでしょ。慰謝料、大幅減額してあげるから和解しなさいよ。いくらなら払えますか?」
Aさん「大幅減額って、(DV)やってないんですから減額も何もないじゃないですか。慰謝料なんて払う気はありません」
裁判官「家庭裁判所でそう決まりましたよ」
Aさん「だから控訴してるんじゃないですか。(裁判中の)今現在でさえ、私が子供に会いに行っても妻は子供に会わせないんですから、(離婚したら)ますます会わせなくしますよ」
裁判官「あ~あ、じゃあ、判決書くしかないかな……。旦那さん、お子さんに会えてないんでしょ。じゃあ会えるように(和解調書に)書いてあげるから、(和解に応じるかどうか)1週間考えてくださいよ」
Aさん「裁判官がそう仰るのでしたら考えます」
1週間後、Aさんは裁判所に再び向かう。そして同じ裁判官と和解室で、再び対峙する。裁判官はAさんに向かって、作成した和解調書を読み上げた。
そこには「(子供との面会交流は)1ヵ月に2回実施、ただし、熱が37℃以上あったり、子供が望まなかったりした場合は実施しない。また(子供に会えなかった場合)代替日は求めない」という条項が列挙されていた。月2回の面会を認めてはいるものの、これでは妻の気持ちひとつで、子どもに会えない可能性がある。この条件はとても飲めない、とAさんは思った。
以下はそのAさんと裁判官との2度目のやりとりである。
Aさん「こんな条項を入れていたら、これを理由に子供に会わせない事ができるじゃないですか。これ(熱があったり、子供が望まなかったりした場合は実施せず、代替日もない、という条項)は外してください」
裁判官「この条項の意味は、例えばお子さんだって、2週間に1度会っていても、たまには気分が乗らない事とか、友達と遊びたいという時だってあるでしょ。そういう意味で、普通、和解調書に入れるんですよ。これでお子さんに会えますよ」
Aさん「(裁判官がそういうのなら)そうですか。わかりました」
以上のやりとりを経て、結局Aさんは和解に応じた。早くわが子に会いたい、という気持ちが日増しに強くなっていたからだ。わが子に会えるなら、それ以上のことはない。だからこらえようと、Aさんは思ったという。

■子供とは会えないままで
その後の状況について、Aさんに詳しく話を聞いた。
――その後、お子さんとは会えたんですか。
「最初の6ヵ月は飛び飛びで面会できていました。しかしその後は『子供が熱を出した』『予定を入れた』『お腹が痛い』『会いたくない』などの理由で毎回キャンセルされるようになりました。
そこで私は、妻側の弁護士に抗議しました。『毎回、面会を休むのはヘンです。診断書を出してください』と。しかし、その提案は無視されてしまいました。私は『これでお子さんに会えますよ』という裁判官の甘言に釣られてしまいました。子供たちとはもう10年もの間会っていません」
――それで和解した後はどうされたのですか。
「『あんた民法知ってんの?』という暴言を吐いたりするなど、妻側の弁護士の言動に承服しがたいものがあった。そこでその弁護士が所属する弁護士会に懲戒請求(※)をかけたんです。しかし、その弁護士会に却下されてしまいました」
(※懲戒請求――弁護士法によると「何人も、弁護士又は弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは、その事由の説明を添えて、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会にこれを懲戒することを求めることができる」(第58条)とある。)
Aさんはその却下を不服とし、日本弁護士連合会(日弁連)に異議を申し出た。それを受け、後日、日弁連の懲戒委員会で審査が行われた。
「日弁連が、調停中の妻側弁護士の『民法知ってるの』などといった暴言を問題視したようです。その結果、懲戒請求が元の弁護士会に差し戻されまして、懲戒委員会が開かれました。それがこの議事録です」
そこには次のようなことが記されていた。括弧内に原文を要約してみよう。これは、妻側の弁護士が、懲戒委員会で発言したものだ。
「どうしても子供とAさんとの面会交流をさせたくないという強い希望が(依頼者であるAさんの妻から)ありました。和解の中で、面会の条項を定めることも彼女は嫌がっていた。当日、話し合いの場に彼女がいなかったので、裁判官が私の携帯電話を通じて、長い時間をかけて説得をし、『こういう条項を入れるからどうですか』みたいなご提案をされて、それでようやく決まった条項なのだと認識しています」
これをかみ砕いて、第三者の目で書くと次のように解釈できる。
「どうすればAさんと子供を会わせないで済むか、裁判所の和解室で妻側の弁護士と裁判官が協議した。その結果、『形式的には面会交流を認めるものの、条項を設けておくことで、Aさんと子供を会わせなくて済むようにする』という内容で話がまとまった。
妻側の弁護士は確認のため、自分の携帯電話を使い、依頼人であるAさんの妻に電話。ところが、面会交流自体を認めたくない妻を説得しきれなかった。
そこで、その妻側の弁護士は、裁判官に自分の携帯電話を渡し、Aさんの妻を直接説得してもらった。『面会交流は認めるものの、但し書き条項を入れることで、それを理由に会わせなくて済むんですよ』という言葉を裁判官から聞いたAさんの妻はようやく納得し、電話を切った。そうやって決まった条項だった」
その後、Aさんは、裁判官の和解提案に応じた。もちろんそのとき、Aさんは知らなかった。妻側弁護士と裁判官がこんな話し合いをしていたことを。
結局、Aさんは10年もの間、子供たちと会えないままだという。

■時間が経てば経つほど
日本では離婚した後に、片方の親が親権を持つという、単独親権制度がとられている。別居した後、親同士がもめてしまい、法廷での紛争(調停、審判、裁判)に持ち込まれた場合、子供と一緒に暮らしている親が引き続き、一緒に暮らしたり、親権をとることが通例となっている(継続性の原則)。
そのためなのだろう。子供の親権を持ち、子供と一緒に暮らしたい親が、片方の親を追い出したり、子供を連れて別居したり、という手段に出ることがよくある。紛争(調停や審判、裁判)で双方に弁護士がついたことから、状況が複雑化、あることないことがごちゃ混ぜの“泥沼の戦い”に突入してしまったりすることが珍しくない。
そうした現状を疑問視する弁護士もいる。その一人が、"離婚と親子の相談室らぽーる"でADR(裁判外紛争解決手続)に関わっており、離婚紛争において発生する親権問題に詳しい、横粂勝仁弁護士だ。
横粂弁護士に、諸々の問題について訊ねてみた。
――調停や裁判といった紛争の中で、親権獲得を有利にするために、弁護士が親と子供を引き離したり、連れ去ったりするという手法を示唆することは、実際にある話なのですか?
「引き離し罪や連れ去り罪といったものはありませんし、Aさんのケースのように、夫と子供が引き離されることも、それ自体は犯罪ではありません。弁護士は依頼者を勝たせることが何より大事ですから、よくあると言えるかは分かりませんが、そうした手法が採られることは、現実的にあります。
長く監護した親のほうに親権や監護権を認めるという『継続性の原則』がありまして、離婚時に、親権や監護権を得たいと依頼してきた方に、積極的に『連れ去れ』とは言わなくても、
『相手は子育てに積極的、しかも実家は近くですので、相手が子供の監護をすることが十分可能ですね。これはあくまで一般論ですが、連れ去っちゃった人が親権や監護権を認められるというケースはたくさんありますよ』
というふうに一般論として説明して、『先に連れ去ったほうが有利』ということをほのめかすことはあるかもしれません」
拙著『わが子に会えない』にも記したが、離婚紛争の途中で、相手側から身に覚えのない暴力を主張された、と話す人が実に多い。罰則がないので、虚偽だと判明しても、それを主張した側にはなんのお咎めもない。そうした“嘘”について反論しているうちに、別居状態がさらに長引くことになる。いわゆる、「虚偽DV」と呼ばれている問題だ。
もちろん、子供や配偶者に対するDVは許されるものではない。本人が否定していも、実際にはDVを行っているケースもあるだろう。しかし、現実に「虚偽DV」という問題は存在すると横粂弁護士は指摘する。
「まず、DVの問題は非常にセンシティブです。深刻なDVに悩んでいる方が多くいることは認識していますし、絶対に許されない行為です。また、おっしゃる通りDVを行ったにもかかわらず、加害者がそれを否定するというケースもあるので、とても難しい問題です。その判断は慎重になされるべきです。
しかしながら、恒常的な暴力はなかったにもかかわらず、裁判で『DVがあった』と認定されるケースも一部存在していることもまた事実です。
弁護士は依頼者の要望通りに事を進めるために、相談の中で、どういったことを主張すればいいのか提案していくわけですが、離婚がテーマの場合、特に重要となるのが、『相手が不利となるような証拠』です。つまり、浮気やDVの『証拠』があれば、依頼者に有利な形で離婚裁判を進めることができます。
しかし、証拠がないとなかなか認められない。そこで、
『暴言を吐いた様子の録音などといった証拠を集めてから、離婚を申し立てるのがいいんじゃないですか』
と弁護士が依頼者に伝えることもあるでしょう。その『助言』を受けて、依頼者が、それならわざと相手を怒らせて、その声を録音して証拠にしよう……と考えても不思議ではありません」
たった一度でも暴言や怒鳴り声をあげてしまい、それが証拠として提出された場合、裁判官の心証は大変悪くなる、という。
「どんなに温厚な人でも、罵倒され続けると腹が立ちますよね。罵倒を続けて、堪忍袋の緒が切れて『いいかげんにしろ』と怒鳴ったところを録音される。
そしてそれを証拠に、『DVを受けた』と主張されてしまったりすることがあります。こうした手法は法律で禁止されている訳ではないのです」
違法でなければ、テクニックとして、そうした方法を使うことも辞さない――そうした手法が採られることもある、ということを横粂弁護士は暗にほのめかした。
――親権を取られたとしても、子供と定期的に会い、育児に関わることが出来れば、まだ納得がいきます。しかし別居親の中には、育てることどころか、会うことすら出来ていない人が多くいる。これはなぜでしょうか。
「子供を連れ去られた、と主張する側が面会交流や離婚の調停中に定期的な面会を求めたとしても、言い分はほとんど却下されます。面会が決まったとしても、それは月に1回か2回、2時間ずつといった短時間が相場です。
また、面会がうまくいくとは限りません。相手に『お父さん(お母さん)が悪い』『お父さん(お母さん)はひどい人』などと吹き込まれた子供が、敵意や警戒心を持ってしまったり、それがなくても空白を埋めるのが大変だったり、会う時間が短すぎてうまくコミュニケーションがとれなかったりするからです。
それを受けて『親として不適格』ということで面会がどんどん減らされたり、あるいは『子供が会いたがらない』『病気になった』『時間が合わない』という理由で面会がキャンセルされ、再会が先延ばしになったりすることも少なくありません。
母親が会わせたくないばかりに、毎回何かと理由をつけて会わせない等々、時間が経つにつれて、親子関係が断絶してしまうということが多々あるのです」

■よりよい解決法は…?
――現在の調停や裁判のやり方は、ケースによっては家族関係を破壊している側面もあるようにも見えるが。
「同じ裁判でも、たとえばおカネをめぐる訴訟とか、企業間の訴訟とかであれば、いわゆる弁護技術として、先に相手が不利になるような『既成事実』を作った上で戦ったり、相手を陥れたり、といったことはあるかもしれません。もちろん法律違反はしてはいけませんが、そういった戦略自体は、『弁護技術』ということで、なかば社会に認められていることでもあります。
しかし、家族を巡る問題で、そのような弁護技術を使ってまでして、弁護士が一方に加担するのはいかがなものか、と私は思っています。いろいろな形がある家族を、一つの方程式に投げ込むだけでは、おかしな答えが出てきてしまうからです。
そのような裁判の過程で、離婚を決意した時よりも夫婦の『溝』が深まってしまい、なおさら『この人には子供を会わせたくない』という気持ちが強くなってしまうこともある。結果、家族の間に拭いがたい傷をもたらします。
子供はすぐに成長します。ですから、裁判で形だけでも会わせるような合意をさせて、実際はほとんど会わせない……といった手法は、人としてやってはいけないことだと思います。相手をどれだけ憎んでもいいですが、相手に子供を会わせるかどうかは、一方だけで決めていい問題ではないでしょう」
――こうした現状を変えていくことはできないのか。
「子供を連れ去った方が有利だという現状や、DVについては被害を訴える側に最大限配慮したうえで、しっかりと証拠を確認するなど、そういうことを取り決めた、弁護士界全体の紳士協定のようなものが必要ではないか、と思います。
たとえば諸外国では、子供の連れ去りが犯罪とされていたり、離婚した後にも両親には共同親権が認められていたりします。今後、日本でも諸外国同様のシステムへと法改正していく必要があると思います。
もちろん、本当に配偶者や子供がDVの被害を受けている場合もあるので、慎重な議論が必要です。被害者の安全は十分に確保しながら、プロが入って、当事者同士の関係の折り合いをつけていったり、DVの実態を調査したり、面会交流の仕組みを決めていったり……といった細やかな配慮が必要でしょう。
実際、そういった仕組みを作っている国もありますし、双方の親が年の半分ずつ子供の面倒を見るのが当たり前という国もあります。日本はまだそうした国に比べると、法が実態に追いついていないというのが現状です」
横粂弁護士の話からも、弁護士が「連れ去り」を「示唆」したり、あるいは離婚裁判を依頼者の有利なように進めるために具体的な指示を出すケースが、一部では存在することが分かった。しかし、これはともすると夫婦の仲を決定的に悪化させることにもつながっているのではないだろうか。
私はこれまで、数多くの離婚問題を取材してきた。話を聞いてきた人の中には、相手方の弁護士を強く恨んだり、裁判所へ失望したという感情をあらわにする人が珍しくなかった。その中には「弁護士が夫婦の仲を引き裂いた」と思っている人もいるだろう。
ひどく痛ましい話だが、実際、離婚訴訟において、相手方の弁護士を殺害する事件も過去には起こっている(「弁護士殺害で無期懲役判決、横浜地裁 (日本経済新聞2011年3月1日)」)。
今後、弁護士は夫婦間の憎しみを増幅させるような手法を慎み、円満離婚を手がける文字通りの"別れさせ屋"として活路を開いていくべきではないか。可能であれば、離婚前に弁護士が入って共同養育計画書を作らせ、そこに弁護士が関わることを義務化するなど、離婚のプロセスを変革していくべきだろう。
昨今、共同親権についての議論が活発化しているが、実は、弁護士が円満離婚を手がける取り組みは、横粂弁護士がすでにその一端を拓いている。ひと言でいえば、それは「裁判に寄らない、夫婦間の紛争解決の新しい形」を目指したものだという。
「私が関わっている"離婚と親子の相談室らぽーる"では、裁判所のように離婚問題に勝ち負けをつけるのではなく、子供にとって一番良いと思える解決案を作ろうという、ADR(裁判外紛争解決手続)を行なっています。
そこでは弁護士資格を持った仲裁人と、離婚問題に携わった経験のある相談員が、中立的な態度で夫婦間の話し合いの場に立ち会い、別れた後、どうやって面会交流をしていくのか、など、なるべく細かい条件まで詰めていきます。そうして出来上がった共同養育計画合意書は、公正証書化します。
裁判所のような強制力がない分、夫婦二人ともが話し合いの場に出席するとは限りません。しかし、強制ではない分、自発的なやりとりが期待できますし、合意した内容にも満足してもらっています」
現状の裁判の制度では、必ずしも「幸せな離婚」ができるというわけではなさそうだ。特に子供のいる場合、その問題点が顕在化する。横粂弁護士が提示したような、新たな仕組みや枠組みが必要とされているのではないか。
また、離婚を考えている既婚者は、まずは子供の将来のことを考えて行動してほしいと切に思う。一番の被害者は夫でも妻でもなく、子供なのだ、と考えると、離婚は避けられなかったとしても、また別の、よりよい解決方法が浮かんでくるのではないだろうか。

離婚後も双方に責任を…「共同親権」新制度検討

出典:平成30年7月15日 読売新聞

離婚後も双方に責任を…「共同親権」新制度検討

 政府が、離婚後に父母のいずれか一方が親権を持つ「単独親権」制度の見直しを検討していることがわかった。離婚後も双方に親権が残る「共同親権」を選べる制度の導入が浮上している。父母とも子育てに責任を持ち、親子の面会交流を促すことで、子どもの健全な育成を目指す。

 法務省は親権制度を見直す民法改正について、2019年にも法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する見通しだ。

 1896年(明治29年)制定の民法は、家制度を色濃く反映している。親権が子どもに対する支配権のように誤解され、児童虐待につながっているとの指摘もある。親権は2012年施行の改正民法で「子の利益のため」と明記されており、政府はこの観点から更なる法改正に着手する方向だ。

アンジェリーナ・ジョリー、ブラッド・ピットとの面会をめぐり親権を失う可能性も!

出典:平成30年7月140日 ELLE girl

アンジェリーナ・ジョリー、ブラッド・ピットとの面会をめぐり親権を失う可能性も!

アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットには養子と実子を合わせて6人の子どもがいるが、物理的な親権は一時的に母親が保有している。そのため、子どもたちと一緒に暮らし、養育しているのはアンジーだけれど、親権を剥奪される可能性が浮上! ニュースサイト「The Blast」は、ある裁判書類を入手。「父親と会えないのは子どもたちにとって有害」「父親と母親の両方と健全で、強い関係を持つことが子どもたちにとって重要」とする判事の見解が記載されているという。
つまりアンジーが子どもたちとブラッドの面会を制限しているため、「子どもたちが父親と連絡することができないままであれば、状況に応じて子どもたちが母親と過ごす時間を減らし、物理的な親権を父親に与える」ことに! 判事はアンジーに対して「子どもたちの携帯電話の番号をブラッドに教え、ブラッドがいつでも電話をかけていいようにする」「ブラッドと子どもたちとのテキストメッセージを勝手に読まない。通話も監視しない」と忠告している。
さらに裁判所は、ブラッドと子どもたちの面会も細かく指示。6月8日から17日にかけては現在アンジーと子どもたちが住んでいるロンドンで、1日1人から2人の子どもと4時間程度面会。6月末から7月初めにかけては1日10時間、7月8日から14日にかけては4日間連続で会うことができるという。また7月末には、ブラッドの住んでいるカリフォルニアで子どもと過ごすことができるものの、いずれの場合もセラピストが同席する予定。ちなみに長男マドックスは16歳なので、自分で父親と会うかどうか決めていいことになっているそう。
子どもたちがブラッドと過ごしている間、アンジーは1日1回あらかじめ決められた時間にしか電話できないという。関係者によると「アンジーは子どもたちのことだけに集中している状態」。そんな彼女にとっては耐えられないようなスケジュールだろうけれど、これを守らない限り、親権がブラッドに移ってしまうのもあり得る話。ブラッドとの離婚申請後、公の場にたびたび子どもたちを連れて登場しているアンジー、何よりも6人の子どもたちの幸せを最優先にしてほしい。

突然子どもに会えなくなる「虚偽DV」の悲劇

出典:平成30年7月12日 東洋経済ONLINE

突然子どもに会えなくなる「虚偽DV」の悲劇

名古屋地方裁判所は4月、「DV加害者」と不当に認定された夫側の主張を認め、妻と県に55万円の賠償を命じる判決を下した。
これまで、離婚して子どもを引き取った側がDV等支援措置を使って面会交流を妨害することがあっても、被害者の申し立ての真偽や、身の危険が本当に及ぶのかという緊急性についてはほとんど考慮されてこなかった。その意味では画期的な判決である。
本裁判の経緯を当事者の夫と妻側の弁護士に話を聞いた。

 仕事から帰ってくると、妻と子がいない。突然のことに呆然としているうちに、離婚調停を求める書類が届く。妻と子の消息をたどるために役所に行くと、住所がブロックされ消息がわからなくなっていた――。

 結婚したカップルのうち3分の1が離婚する現代。こうした話は珍しくない。典型的なのが、住民基本台帳事務におけるDV等支援措置(以下、DV等支援措置)を使っての親子引き離しである。

 この措置は本来、DV加害者がDV被害者の居所を探索することを防止し、被害者保護を図るためのもの。いったんこの措置が取られると、管轄の市区町村が“被害者”の住民票や戸籍をブロックする。そのため加害者は被害者の消息を追えなくなる。
 被害者の申し立ての真偽や、身の危険が本当に及ぶのかという緊急性についてはほとんど考慮されない。加害者による異議の申し立てを受け付けることもない。虚偽であったとしても“被害者”として虚偽申告した者に対して何の罰則もない。

 離婚紛争においてこうした制度の欠陥を“悪用”し、面会交流を妨害するケースが後を絶たず、減る兆しはこれまでまるでなかった。

 そうした中、今年4月、名古屋地方裁判所でこれまでになかった判決が下された。
 「虚偽DV見逃しは違法 妻と愛知県に異例の賠償命令 名古屋地裁 支援悪用、父子関係絶つ」(5月8日付産経新聞)

 記事の内容は次のとおり。

 DVの話を警察官が鵜呑みにした結果、不当にDV加害者と認定され子どもに会えなくなってしまったと夫側は主張、妻と県に損害賠償を求めた。名古屋地裁は夫の主張を認め、妻と県に55万円の賠償を命じる判決を下した。

 ニュースを知って私は驚いた。措置によって子どもと会えなくなったという話は当事者の口から何度も聞いてきた。しかし、こんな形で「DV加害者」の主張が認められる判決は一度も聞いたことがなかったからだ。

 詳細を知りたいと思った私は、名古屋へ行き、双方の代理人と父親に話を聞いた。

■帰ってきたら妻と娘がいなかった

 「夜、仕事から帰ってきたら家の中が真っ暗でした。ガランとしていて、妻と娘は家にいない。その日の夜はショックで一睡もできませんでした。仕事に行っても集中することが全然できなくてミスばかり。突然、涙があふれてくることも当時はありました。別居の4日前には、妻の希望で2泊3日の家族旅行を楽しんだ直後のことでした。今考えると、計画的な行動だったのではないかと、妻の行動に恐怖さえ感じています」
 そう話すのは公務員の佐久間利幸さん(40代、仮名)である。

 2006年、利幸さんは広子さん(40代、仮名)と結婚。翌2007年9月には長女の静香ちゃん(10歳、仮名)が誕生する。2012年の年末、3人での共同生活に終止符が打たれる。それは利幸さんが留守をしている間に、広子さんが当時まだ5歳の静香ちゃんを連れて、別の町にある実家に身を寄せたからだ(2013年3月、母子はアパートに移転)。

 「娘の写真を見るのがつらいです。元気ではつらつとした子どもだったのに、広子の弁護士から送られてくる今の娘の表情は虚ろなんです」
 アンパンマンのようにふっくらとして、いかにも優しそうな利幸さんは、そう言って肩を落とした。

 利幸さんの代理人、梅村真紀弁護士に別居後の経緯を聞いた。

 「2013年3月に離婚と面会交流という2つの調停が始まり、同年5月に裁判所で試行面会が実施されました。これは面会室で30分だけ会わせ、その後の面会交流の方針を決めていくというもの。静香ちゃんはすごくお父さん子でしたから再会できてとても喜んでいました」
 裁判所にも関係良好と認められる。7月には「審判で面会が決まる前の段階であっても月に1回は会わせるように」と裁判官は広子さんに約束させた。

 面会の様子について利幸さんは語る。

 「2013年8月からは月1回、娘と会いました。別居する前と同様に祖父母やいとこといった親戚と過ごしたり、プールに行ったり。家に戻ってきたときは、自分の部屋のいすに座ってぐるぐる回ったり、自分のおもちゃで遊んだり、毎回楽しく過ごしました」

 面会交流の実績が評価されたのか、2014年5月末の審判は利幸さんにとってかなり好条件な取り決めとなった。第1週末は宿泊、第3週は日帰りという月2回の面会交流のほか、春夏冬休み期間中の長期宿泊面会、学校行事への参加や手紙や贈り物を送ったりする権利が認められた。

 その後はどうなったのか。梅村弁護士は続ける。

■娘を「精神的に不安定」として通院させ始めた

 「審判確定の3日後、広子さんは『娘は精神的に不安定』として静香ちゃんを通院させ始めました。主治医に面会交流に関する意見を書いてもらおうとしたんです。それから1週間後の6月第1週、宿泊面会が実施されました。ところが面会はそれっきり。『子どもが精神的に不安定』『主治医の許可が下りるまで面会は不可』といった理由で拒絶されてしまったんです。
 そこで翌7月、間接強制を申し立てました。これは面会交流を不履行するごとに間接強制金という“罰金”を支払うというもの。9月に申し立てが裁判所に認められ、広子さんは1回の拒絶につき1万円の“罰金”が科せられることになりました(額はその後1回につき4万円と増額)」(梅村弁護士)

 10月に入ると突然、児童相談所から電話がかかってくる。利幸さんは話す。

 「“夫の性的虐待の疑い”で静香を一時保護したとのこと。期間は2カ月。それまでの面会交流審判や間接強制決定の際、広子からそういった主張は一切ありませんでしたし、もちろん僕には身に覚えがありません。そもそも別れて暮らしているのにどうやって性的虐待を働くのでしょうか。まるでタヌキに化かされたような気分でした。
 静香がどこに保護されているのか、児童相談所は教えてくれません。『妻が娘を通院させている病院と関係あるんですか』と聞くと、『通院させている病院は一切かかわっていません』と説明されました」(利幸さん)

 一時保護は2カ月超、実施された。「お父さんのところに帰りたい」と訴えた静香ちゃんの意思は尊重されず、広子さんのところへ戻された。当然ながら、利幸さんからの性的虐待は確認されなかった。

 静香ちゃんの一時保護先は、広子さんが通院させていた病院であった。児童相談所は虚偽の説明を行っていたのだ。

 2015年1月、利幸さんは静香ちゃんの授業参観に駆けつける。

 「休み時間に『今度いつパパのところにお泊まりができるの?』と娘に聞かれました。『お母さんが認めてくれたらね』と答えると、娘は、さっそく妻のところへ聞きに行きました。しばらくして泣きじゃくる娘の声が廊下から聞こえきました。『どうしたの?』と聞くと、娘は『ママが……ママがお家に泊まるの……だめって言うの……』としゃくり上げていました」(利幸さん)
 静香ちゃんは荒れた。

■児相に一時保護を要請し、抗精神病薬も飲ませる

 手を焼いた広子さんは、反抗して暴れるようになった静香ちゃんの一時保護を児童相談所に要請したり、抗精神病薬を飲ませたりするようになった。小学校には行けたとしても遅れて登校したり、保健室にずっといたりという状態だった。

 記事に記された損害賠償請求訴訟は2016年8月、名古屋地裁で始まっている。梅村弁護士は話す。

 「審判で決まった面会交流や間接強制。広子さんはこれらから免れる目的で動きました。2016年3月末、広子さんはDV等支援措置の申し出を行い、静香ちゃんとともに転居してしまいます。これにより利幸さんは住民票などの閲覧をブロックされるようになりました。私たちが損害賠償請求を起こしたのは、制度を悪用して利幸さんと静香ちゃんの面会交流を妨害し、名誉を毀損した広子さんの行為に対してです」(梅村弁護士)
 県も訴えている。

 「広子さんが支援措置を受けるための要件を満たしていないことを認識しえたはずなのに、県警は『要件を満たす』との意見を安易に付しました。学校行事参加や手紙などの送付という、審判で確定した権利が利幸さんにあることを知ってもなお『住所秘匿』を認める支援措置の意見を撤回せず名誉を毀損し続けたんです。だからこそ県も訴えることにしたんです」(梅村弁護士)

 2018年4月、名古屋地裁の福田千恵子裁判長は利幸さん側の損害賠償請求に対し、広子さんによるDV等支援措置の目的外使用を認定した。また愛知県に対してもDV支援措置の要件を満たすか否かの通常尽くすべき調査義務を尽くしていないとして違法性を認め、広子さんと県に対し請求した金額330万円のうち55万円の支払いを命じたのだった。

■妻とその代理人の主張

 妻の広子さんやその代理人は、どのようなことを主張しているのだろうか。2012年から広子さんの代理人を務める可児(かに)康則弁護士に話を聞いた。損害賠償を求められたとき、何を主張したのか。

 「まず申し上げたいのは、広子さんが支援措置の申し立てを行ったことは違法ではない、ということです。同居中に彼女は身体的暴力を複数回、暴言は日常的に受けていました(被害者要件)。そのことから別居後3年経っても、利幸さんに対する恐怖や不安感をぬぐえずにいました(危険性要件)。DV等支援措置が取られる要件(被害者・危険性要件)はどちらとも満たしていたんです」(可児弁護士)
 2014年5月、宿泊付きの面会を含む月2回の面会や学校行事への参加などという条件で取り決めが行われた。しかし2016年2月、静香ちゃんの主治医から『当面、面会(直接)交流は控えるべき』という意見書が出た。「3月に広子さんがDV等支援措置を申し立てた時点で、利幸さんの面会交流や学校行事への参加は子の福祉の観点から認められない状況にあったと考えます。広子さんは住民票を移していません。だから支援措置がかかっているかどうかは別として母子の住所を利幸さんが知ることはできません」(可児弁護士)。
 行方不明者届の不受理届を出すため広子さんは警察署に行った。理由は、静香ちゃんの学校行事に夫の利幸さんが参加することに静香ちゃんが拒否的な反応を示したこと、夫に知られた住所で暮らすことに母子ともに限界を感じ、引っ越すことにしたからだという。

 「警察に転居のことなどを話し、行方不明者届の不受理届の提出をお願いしたところ、担当の警察官から『支援措置を使ったほうがいいですよ』と親身なアドバイスをもらいました。それを受け、彼女は警察に備え付けてあった支援措置の申出書をもらって、必要事項を書き、警察に意見をもらったうえで、市役所に提出しました。このとき警察のアドバイスがなければ広子さんが支援措置を申し立てることはなかったと考えています」(可児弁護士)

 支援措置に加害者の主張が考慮されていない現状について、可児弁護士はどう考えるのか。

 「この依頼者に限らず、一般的にDV被害者は、恐怖や不安を感じているということを理解していただきたいと思っています。第三者からすると『それほどでもないんじゃないか』と思うことはあるかもしれませんが、本人は、言い知れぬ恐怖や不安を抱いているのです。

 今後、被害者が支援措置を申し出るとき、『危ないかどうかは自分できちっと判断しないと後で責任を問われる可能性が出てきます』と言われたり、今回のように後で損害賠償が普通に認められたりしたら、ただでさえ恐怖や不安を持つ被害者は、怖くて、誰も、支援措置の申し出ができなくなってしまいます」(可児弁護士)
 論理的で理路整然としている可児弁護士の話を聞くと、なぜこんな判決になったのかわからなくなってしまう。そこで梅村弁護士に再び質問をした。警察のアドバイスがあったからこそ広子さんは支援措置を申し立てたのではないのだろうか。

 梅村弁護士によると、別居して以来、彼女は何度か警察に相談に行っていた。その相談時期はいずれも、裁判などで自分の言い分が通らず不利益な取り扱いを受けた後だった。2013年7月に『同居中に暴力を受けた』と警察に相談に行っているが、その直前、警察から、彼女自身が静香ちゃんへの虐待の疑いで質問をされていた。
 「2015年6月には『夫に住所がばれた』『夫が学校行事に参加する』ということを彼女は警察に相談しています。その直前、面会交流審判の不履行1回につき4万円の間接強制金を払えとの裁判所の決定が出ています。

 2016年3月末、警察を訪れたことで、支援措置が取られました。実はその前の1月末、利幸さんが授業参観に参加し途中で帰った後、静香ちゃんは学校内で広子さんに攻撃的な態度を取ったそうなんです」(梅村弁護士)

■これ以上学校に来てほしくないと考えて取った措置

 不利益を打開するために警察に行ったということなのだろうか。しかしそれだけでは、警察からアドバイスされて支援措置を取ったという説を覆せないのではないか。そんな私の疑問に梅村弁護士は続ける。

 「2015年の訪問時、広子さんは警察官から『110番すればすぐに警察が訪問するようにできます。あと保護命令という制度もあります』と提案されています。そのとき彼女は『何か具体的な行動を彼が取ってくるわけでもない。だから結構です』と言って提案の実施を断っています。

 2016年3月に警察に相談へ行ったときは態度が一変、結果的に支援措置を申請しています。1月末の授業参観で利幸さんが途中で帰った後、静香ちゃんは広子さんに攻撃的な状態になったから、広子さんは、これ以上、利幸さんに学校に来てほしくないと考えました。そのために実行したのが転居と支援措置の申請だったのです。そして実際、学校や教育委員会は措置を受け、利幸さんに静香ちゃんの学校情報を秘匿するようになりました」(梅村弁護士)
 なるほど、住民票を移動させないなら、住民票で転居先がバレないので支援措置の必要はない。学校行事への参加等を妨害する目的があったと考えるのが普通だろう。

 学校行事へ参加したときを含め、これまでに、利幸さんによるDVは本当になかったのだろうか。

 「審判のとき、妻側は面会を拒絶する理由として同居中のDV被害を主張していました。しかし、利幸さんが詳細に反論したところ、同主張を主たる争点とするのをやめてしまいました。でも支援措置では利幸さんに反論の機会はありませんし、この時点で別居して4年経っています。万一、同居中の暴力があったとしても、それをもって『現在もDV被害を受ける危険性がある』と考えるのは無理があります」(梅村弁護士)
 広子さんが警察を2度目に訪れた2015年6月から3度目の2016年3月まで、その間に差し迫った暴力の危険はまったくなかったのか。それについて梅村弁護士はこう説明する。

 「2016年3月の県警の相談票には『引っ越します』とだけ記載されていました。実際、DV被害について広子さんから警察に説明することも、逆に警察から広子さんに聞くこともなかったそうです。県警は過去にDV相談の実績が存在すればどれだけ時間が経過しようとも『現在もDV被害を受ける危険性あり』という意見書を出してしまうのです」(梅村弁護士)
 そういう意味でも今回の判決は画期的と言えるだろう。今後、支援措置の目的外使用というのはなくなっていくのではないだろうか。

 判決を出した福田千恵子裁判長は『支援措置はDV被害防止目的のために用いられるべきもの』『支援措置の不正目的使用は社会問題。それは県もわかっているはず』と発言したという。つまりこの紛争を利幸さんだけの特別な事案ではなく一般化できる問題だと判断したということだ。

 「これは地味だけれど現在支援措置の目的外使用により被害を受けている人すべてに適用できる画期的な判決。絶対維持しなきゃいけない判決だと思っています」(梅村弁護士)

2016年3月に警察に相談へ行ったときは態度が一変、結果的に支援措置を申請しています。1月末の授業参観で利幸さんが途中で帰った後、静香ちゃんは広子さんに攻撃的な状態になったから、広子さんは、これ以上、利幸さんに学校に来てほしくないと考えました。そのために実行したのが転居と支援措置の申請だったのです。そして実際、学校や教育委員会は措置を受け、利幸さんに静香ちゃんの学校情報を秘匿するようになりました」(梅村弁護士)
 なるほど、住民票を移動させないなら、住民票で転居先がバレないので支援措置の必要はない。学校行事への参加等を妨害する目的があったと考えるのが普通だろう。

 学校行事へ参加したときを含め、これまでに、利幸さんによるDVは本当になかったのだろうか。

 「審判のとき、妻側は面会を拒絶する理由として同居中のDV被害を主張していました。しかし、利幸さんが詳細に反論したところ、同主張を主たる争点とするのをやめてしまいました。でも支援措置では利幸さんに反論の機会はありませんし、この時点で別居して4年経っています。万一、同居中の暴力があったとしても、それをもって『現在もDV被害を受ける危険性がある』と考えるのは無理があります」(梅村弁護士)
 広子さんが警察を2度目に訪れた2015年6月から3度目の2016年3月まで、その間に差し迫った暴力の危険はまったくなかったのか。それについて梅村弁護士はこう説明する。

 「2016年3月の県警の相談票には『引っ越します』とだけ記載されていました。実際、DV被害について広子さんから警察に説明することも、逆に警察から広子さんに聞くこともなかったそうです。県警は過去にDV相談の実績が存在すればどれだけ時間が経過しようとも『現在もDV被害を受ける危険性あり』という意見書を出してしまうのです」(梅村弁護士)
 そういう意味でも今回の判決は画期的と言えるだろう。今後、支援措置の目的外使用というのはなくなっていくのではないだろうか。

 判決を出した福田千恵子裁判長は『支援措置はDV被害防止目的のために用いられるべきもの』『支援措置の不正目的使用は社会問題。それは県もわかっているはず』と発言したという。つまりこの紛争を利幸さんだけの特別な事案ではなく一般化できる問題だと判断したということだ。

 「これは地味だけれど現在支援措置の目的外使用により被害を受けている人すべてに適用できる画期的な判決。絶対維持しなきゃいけない判決だと思っています」(梅村弁護士)

■相談内容の真偽にかかわらず支援措置が受けられる現状

 ただし、この判決だけで警察が大きく変わるとは梅村弁護士は考えていないという。

 「警察はDVの訴えが虚偽か否かを調査することよりも、コストや手間を優先するでしょう。門前払いした相談者がその後、被害に遭った場合、安くても数千万円以上という損害賠償請求を県は受けるかもしれません。そうなるぐらいなら、利幸さんのような支援措置悪用による被害者を作り続けたほうが55万円程度と安上がりですし、調査の手間もかかりません」(梅村弁護士)
 仮に警察が支援措置の要件をしっかり吟味するようになったとしてもあまり期待はできない。被害者が配偶者暴力相談支援センターに相談するという別の方法があるからだ。ここに相談に行けば『相談証明書』という書類を必ずもらえ、これさえあれば、相談内容の真偽にかかわらず支援措置が受けられるという。

 どう転んでも虚偽DVはなくならないのだろうか――。だが、梅村弁護士は光も見出している。

 「救いだったのは福田裁判長が『加害者とされた者に反論する機会を与えるなどDV防止法の制度の根本を見直したほうがいい』ということを判決に書いてくれたことです。本来、男性女性関係なく、DV被害者は保護されるべきですし、制度を悪用する者はそれが女性であっても厳しく対応されるべきです」(梅村弁護士)
 最後に当事者の利幸さんに、今後この問題をどのように解決していきたいかを聞いた。

 「判決にもあるとおり、法制度を変えてほしいと思います。これは僕だけの問題じゃない、誰にも起こりうる問題なんですから。娘にとっては母親だけでなく、父親やほかの親族も大事な存在ですし、大切な財産です。制度を悪用してでも子どもを支配下に置いた者が優先される世の中ではなく、父母に祖父母、いとこたちという、静香が大好きな親族たちにいつでも会える環境をつくってやりたいです。それが親としての子どもに対する本当の責任・義務だと思っています。養育費を支払うことだけが父親の義務ではありません」(利幸さん)
 4月末に判決が出たのと同じ月に、実は支援措置が延長されていた。そう考えると、利幸さんが損害賠償に勝訴したからといって、自動的に会えるようになるというわけではないのだ。利幸さんと静香ちゃん、そして広子さん。3人が納得し、円満な形で会えるようになることを私は祈っている。

西牟田 靖 :ノンフィクション作家・フリーライター

ハーグ条約の執行を円滑に

出典:平成30年7月6日 日本経済新聞

ハーグ条約の執行を円滑に

 国境を越えた子どもの連れ去りを解決するための国際ルール「ハーグ条約」について、国内の実施法を見直す議論が始まった。
 法制審議会の部会がこのほど、改正の試案をまとめた。子どもの負担にならないよう十分に配慮しながら、円滑に執行できるような改正をしてほしい。
 国際結婚の破綻などで、片方の親が無断で子どもを自分の母国などに連れていくケースは少なくない。原則として子どもをもとの居住国に戻すのが、ハーグ条約のルールだ。日本では2014年に条約が発効した。
 住み慣れた居住国にいるのが子の利益になる、という考え方が基本にある。もとの居住国で虐待の危険などがある場合には、返還はされない。最終的には、裁判所が返還の可否を判断する。
 問題は、返還が確定したのに、実現しないケースが相次いでいることだ。例えば、裁判所の執行官が連れ去った親のもとに子どもを引き取りにいく強制執行の仕組みがある。その際、親と子が一緒にいなければ強制執行は認めない。その場で親が子どもを抱え込む場合は、引き離すことはできない。
 試案では、連れ帰った親がその場にいなくても、もう一方の親が立ち会えばよい、などの見直しを盛り込んだ。国内の夫婦同士の離婚でも、親権を失った親が親権者に子どもを引き渡さないことがある。法制審ではこれについても同様の法整備を行う方向だ。
 ハーグ条約をめぐっては、米国務省が日本を「不履行国」と認定するなど、国際的な批判が起きていた。執行力を高め、実効性を確保するのは妥当だろう。
 一方、何より大事なのは、親の間で板挟みになっている子どもの負担をできる限り軽減することだ。強制執行にあたっては、子どもの心情に十分配慮し、丁寧な対応を徹底してほしい。
 強制執行に至る前に、早期に問題が解決できるよう、条約に基づく父母の話し合いの支援なども充実させたい。

39歳「離婚」の親権争いに敗れた男が見た真実

出典:平成30年7月6日 東洋経済ONLINE

39歳「離婚」の親権争いに敗れた男が見た真実

単純計算すると3組に1組の夫婦が離婚している日本。そこにいたるまでの理由は多種多様だ。そもそも1組の男女が、どこでどうすれ違い、離婚という選択肢を選んだのか。それを選択した一人ひとりの人生をピックアップする本連載の第2回。現代社会が抱える家族観や結婚観の揺らぎを追う。

■「お父さんに挨拶してほしい」がすべての始まり

 「離婚してから、8年間、子どもに会わせてもらえなかったんです。本当に会えたのはつい最近なんですよ」
 大地さんは、関東地方の某ファミレスで、おもむろにそう切り出した。

 鈴木大地さん(39歳、仮名)は、8年前に2歳下の妻と離婚。短髪の黒髪でがっちり体形だが、元保育士という職業柄なのか、つねに穏やかでおっとりした話し方で、優しいオーラを醸し出している男性だ。誰からも好かれそうな好感が持てる雰囲気がある。

 なぜ、大地さんが、妻である里美さん(当時24歳、仮名)と離婚することになったのか、その壮絶な軌跡を追った。
 小さい頃から、子どもが大好きだった大地さんは、大学を卒業後、公営施設の保育士という職に就いた。当時、男性保育士は、まだまだ珍しいという時代。働き始めて、2年後に友人の紹介で出会ったのが、同業者の里美さんだった。

 里美さんは、かわいかったが、とにかく押しが強い女性だった。勢いに押されて付き合い、1年が経ったころ、里美さんから「お父さんに挨拶してほしい」と切り出された。いつの間にか、あれよあれという間に、結婚まで話が進んでいた。
 「結婚まで何回か、ちょっと急ぎすぎじゃないかと感じたんですけど、指輪がどうとか、式がどうとか、その流れを自分で止められないんですよ。妻は別れるか、結婚するかと、2択を突きつけてくれるんですよね。自分から主体的に結婚したいというよりは、向こうに乗っかっちゃったという感じですね。『勢いで結婚』ってこういうことなのかと思ってました」

 大々的に結婚式を行った後、あまり間を置かずに、第1子の息子が生まれた。その1年間は、いちばん幸せな時間だったと大地さんは振り返る。当時は、イクメンという言葉が世の中に出始めた走りでもあった。保育士という職業は、ある意味、子育てのプロである。大地さんは、平日でも帰宅すると息子を寝かしつけ、休日も家事に育児にと奔走した。

 大地さんは、まさに世間がイメージする、イクメン像そのものであった。フルタイムの共働きということもあり、家事も育児も完全に妻と分担して行い、そこには男女の差などないと思っていた。大地さんは公務員で、経済的にも安定しており、特に不満もなく幸せの絶頂だった。今の時代、はたから見たら、誰もが羨む勝ち組夫婦に見えただろう。

 そんな夫婦生活に綻びが見え始めたのは、里美さんが、「仕事を辞めたい」と言い出したことだった。里美さんは、第1子を抱えながらも、数カ月後には職場復帰を果たしていたが、子育てと仕事の両立に悩んでいた。息子のために、少しでも早く帰宅しようとする里美さんを職場の上司は、事あるごとに責め立てた。いわゆる、パワハラだ。
 精神的に病んでしまった里美さんは、大地さんとも話し合い、職場を退職することにした。くじけずに、また新しい職場で働けばいい、そう思っていた。しかし、一度職を辞めてしまうと里美さんは、なかなか職を探そうとはしなかった。

 日中は子どもと一緒にいてダラダラとしているだけで、時間を持て余してボーッとしている。さらに、ネットゲームに夢中になり、何時間もパソコンの前に陣取っていた。

■マルチ商法にハマり、食事は何種類ものサプリ
 そのうち、まるで空虚な心のすき間を埋めるかのように、健康食品のマルチ商法にのめり込むようになった。気がつくと、家中、高額なサプリやフライパンなどの調理器具で埋め尽くされていた。

 「退職してから、妻の交友関係がガラリと変わったんです。健康食品のボス格の人の怪しげなセミナーとか、『女の幸せは家族の健康のために生きることなのよ』というセミナーに、すごく楽しそうに出るようになったんです。これはヤバイと思って、それはおかしいよと説得しようとしたんです。
 でも元妻も理論武装して、『これは、普通の空気清浄機とは違って、良いものが発生して子どものためにもいいんだよ』と言って、絶対に聞かない。いくら言ってもまるで洗脳されているようで、まったく聞き入れてくれないんです」

 いつの間にか、家庭の食事は、何種類もののサプリに変化していた。息子が生まれた直後は、毎日離乳食を作っていたが、そのうち息子の食事も毎食数粒のサプリと特製ドリンクで代用させるようになった。

 「2歳とか、3歳の子どものご飯が、皿に何粒かのサプリですよ。さすがにマズイと思って、『こういうものを子どもに食べさせてるのは、俺はいいと思わないよ』と言ったんです。だけど、彼女の理論は、これでビタミンとかミネラルとか、人間に必要なすべての栄養がまかなえるんだから、これほどいいものはないと力説するんです。やはりそれだけではお腹が空いたのか、子どもたちはお菓子を食べていましたね」

 こんなものは、毎日は食べられない――、何度も夫婦で話し合ったが、体に良い、と一点張り。それどころか、サプリを食べようとしない大地さんに怒り狂った里美さんは、突然目の前の皿をつかんでたたきつけたこともある。
 「なんでわかってくれないの!」

 大地さんは、かろうじて皿が当たるのを避けることができたが、頭にでも当たっていれば大ケガになるところだった。

 入所時は手取り約20万円だった大地さんの給料は、公務員でしかも管理職まで順調に上り詰めたということもあり、数年後には約35万円まで昇給していた。しかし、その財布を握っているのは、里美さんだった。大地さんには、月3万円の小遣いが渡されるだけで、ほかの支出にはいっさい手をつけることができなかった。
 新築で購入した分譲マンションのローン返済は8万円。しかし、それ以外の収入のほとんどが、高額なマルチ商法の商品に費やされていった。夏と冬のボーナスも、空気清浄機や鍋セットなどの高額商品に、おカネが湯水のように消えていく。大地さんは何度もそのおカネの使い道に異議を唱えた。

 「値段を聞くと、10万円のフライパンとか当たり前のように買ってるんです。ありえないってなるじゃないですか。『なんでこんな高いもの買ってきてんの?』と言い合いになるんです。でも妻も強い思いをぶつけてくるので、どっちかが折れるしかないんですよ。
 おかしいと言えば『責めてる』となじられるし、でも言わなきゃ自分の好きなようにおカネを使われて、それこそ貯金もなくなる。ただ、自分から積極的に別れたかったわけじゃないので、向こうの機嫌を損ねたくなかったんですよ。でも、改善はしてほしいから、なんて言っていいのかわからなかったんです。本当に、どうしようもなかった」

 そう言って、大地さんはうなだれた。何とか夫婦の関係を修復させようとしている矢先に第2子の妊娠がわかった。

■第2子出産に立ち会わなかったことを根に持つ妻

 第2子の出産には、大地さんももちろん立ち会う予定だった。しかし、運の悪いことに大地さんは胃腸風邪にかかってしまい、医師に、立ち会いは断られた。そのため、泣く泣く出産に立ち会うことができなかった。

 「勤務先の保育園でうつされたのか、下痢と嘔吐がひどかったんです。妻にも、本当に悪いと思ったんですが、行けなかったことを、すごく根に持っていましたね。『私が大変なときに、どうしてあなたは病気になったの!  ほかのパパは、毎日仕事帰りに寄ってくれたのに、私だけ誰も来なかったからすごく寂しい思いをしたんだから!』と怒り狂ってました。よりによって、なんでこんなタイミングで病気になったのか、確かに僕自身も反省するところもありましたけど、しょうがないですよね」
 里美さんは一種の被害妄想のごとく、当時のことを蒸し返しては、大地さんをことあるごとに責め立てた。待望の第2子は、男の子だったが、生まれてから、溝が埋まるどころか、2人の間は、ますます冷めきっていくばかりだった。その頃からすでにセックスレスとなっていた。

 第2子出産を境に、里美さんのマルチ商法の波がいったん収まると、まるで埋め合わせるかのように、今度は狂ったような夜遊びが始まった。

 大地さんが仕事から帰ってくると、里美さんが入れ代わりに出ていって朝方まで帰ってこない、そんな日が週5日くらい続く。そのうち、土日も大地さんに子どもを預けて、日中は独身の友達と遊びに行くようになる。
 当時、里美さんは20代後半、地元の同級生たちは独身生活を謳歌していた。そんな生活が無性に羨ましく感じていたのかもしれない。

 「それこそ、学生みたいに夜中に海に遊びに行ったりしてましたね。あとは、飲み会や、クラブとかに行っていたみたいです。百歩譲って、子育ての息抜きにもそういう時間は必要かもしれないと僕は思ったんです。

 ただ、子どもが夜起きると、『ママがいないよぉ』と泣きだすんですよ。いい加減にしてほしいって思いましたね。俺は保育士だから子どもの面倒は見られるけど、この子たちは、起きたときにママがいない、寂しいって泣いてるから、せめて夜は出ていかないでくれと、何度も話したんです。だけど、それをいくら言っても構わず出ていってしまうんです」

 里美さんの夜遊びはとどまることを知らなかった。まるでそれは遅れて咲いた青春の徒花ようだった。「私は、昼間、子どもの面倒を見てるんだから、あなたは夜見ればいいじゃない――」。そう言い放って、子どもが泣いていても、構わず家を飛び出していった。もうそれを止めることはできなかった。

 ある夜、大地さんは、見知らぬ男の車に乗っている里美さんを偶然に家の近くで発見した。里美さんは、大地さんに見せたこともないような笑顔を振りまき、男の車に乗り込んでいった。あっという間に、車は都会の喧騒の中に消え去っていく。まさか、と思ったが、どうしても信じたくなかった。
 ある日、日課の掃除をしていると1枚のプリクラが落ちているのが目に入った。男とピースサインをしている無邪気な顔の妻がそこには写っていた。その頃から、妻の浮気は疑惑から確信へと変わっていった。

 休日はよく、親戚の法事で出かけると言って出ていった。数日後、義母から電話がかかってきて、「この前は法事で大変でしたね」と言うと、「ええ?  法事なんか、ここ数年1度もないわよ」と驚かれた。

 「これまでの話は、全部うそだったのか、と思ったんです。今思うと、その頃にはすでに男ができていたんだと思います」
■シングルマザー支援団体との出会い

 里美さんは、二人姉妹の長女として育った。親は厳格で、特に母親には厳しく門限も決められていた。女たるもの、家事も育児も完璧にこなしてこそ一人前、そういう教えをたたきこまれた。里美さんは、そんな家庭環境で育ったため、結婚は、異様に厳格な母親から逃れるための唯一の逃避だったのかもしれない。

 実家暮らしだった里美さんは、母親から逃れるためには、結婚して、家を出るしかなかった。
 「私は、あんな母親にはなりたくない!」

 それが里美さんの口癖だった。自由に生きたいし、自由に子どもたちを育てたい――。里美さんが長年背負っていたのは、重い母の幻影であった。

 その幻影を、里美さんは大地さんにふと、見たのかもしれない、あるいは、結婚制度そのものに見たのかもしれない。母から逃れるための結婚が、皮肉にも今度は、里美さんをがんじがらめに追い詰めていた。

 「子どものために、そばにいてほしい」という大地さんの言葉は、まさに里美さんの自由を奪う憎むべきものだった。そうまるで、あのときの母のように、また私を縛ろうとしている――。

 里美さんは、いつしか、ことあるごとにうつろな目で「離婚したい、別れたい」という言葉を口にするようになった。もちろん、浮気相手の男性がいたということもあった。しかし、それは一過性のものだった。決定的だったのは離婚を後押しする支援者がいたことだ。

 その頃から、里美さんは、過激な思想を持つシングルマザーの支援団体の活動にのめり込むようになっていったのではないかと、大地さんは考えている。それは、かつて里美さんがマルチ商法にハマったときとそっくりの熱を帯びていたからだ。
 「彼女にとってマルチ商法に代わるものが、シングルマザーの支援団体だったんですよ。我慢して結婚生活を続けるよりも、一人で自分らしく生きたほうがいいという思想のおばさんたちにつかまっちゃったんです。『子どものためにも、離婚しないでほしい』とお願いすると、『私を束縛するのか』『自由を奪う憎いやつ』と言って、僕を敵視して、にらみつけるようになったんです。

 僕は、『自分がやりたいことがあればやればいいよ、それは応援する。でも、もし俺のことが嫌いじゃなかったら別れなくてもやれるはず』と、彼女を何度も説得したんです。でも、『ここにいて私は幸せじゃない。自分が幸せなら、子どもたちも幸せになれるから、だから別れなきゃいけない』と、まるで洗脳されたかのように同じことを繰り返すだけなんですよ」
 結婚は、自分を縛るもの――、それから解き放たれないと自由になれない。そんな里美さんの強い思いは、いくら大地さんが説得してもまったく揺るぎようがなかった。

 お互いの両親を挟んでの話し合いの機会が幾度となく繰り返された。しかし、両親を交えての話し合いは、皮肉にも逆に泥沼と化して、火に油を注ぐこととなる。

 「妻の言い分としては、『子育てのはけ口として遊んでいただけで、浮気なんかしてない』という主張の一点張りでした。実の娘がそう言うので、親心としては信じたかったんでしょうね。

 義理の両親はむしろ俺の親に対して、『お宅の息子さんは、うちの娘を大切にしてない』と責めるんです。そうすると、うちの親もいい気はしない。結果的に、親同士も険悪な雰囲気になって、離婚ムードが加速していったんです」

■モラハラ夫の烙印

 この段階で、ようやく大地さんの中で、離婚という二文字が現実味を帯びてきた。親同士も激しくののしり合っているし、離婚はもはや避けようがない。

 しかし、せめて、1歳と3歳の子どもたちは絶対に自分が引き取って育てたい――。そう思うようになった。
 親権には、「監護継続性」、つまり、現在子どもと同居している親の現状を尊重するという原則がある。

 里美さんはそれを察知してか、離婚調停が始まる矢先に、何の予兆もなく、実家に子ども2人を連れ去った。明らかにシングルマザーの支援団体の入れ知恵によるものだと、大地さんは直感した。

 大地さんが親権を取るには、何とかして妻の不貞やこれまでの子どもへのかかわり方を証明する必要がある。その頃から、何か証拠になるものはないだろうかと大地さんは、身の回りを気にし始めた。お互いの予定を書き込んだカレンダーは、妻が毎日遊び歩いていた証拠になるはずだった。
 さらに、床に無造作に置かれた里美さんの携帯電話――。そこには、不倫相手とのメールのやり取りがつぶさに残っているはずだった。しかし、里美さんは、大地さんより何枚も上手だった。

 「これは、調停で争いになるなと思ったときには、カレンダーが突然家から消えていたんです。彼女の携帯電話も、中身は全部データが消去されていた。僕が気づいたときには、彼女の不倫の証拠になりそうなものは、すべてなくなっていた。男とのプリクラは、日付がなかったので、証拠としてはまったく扱ってもらえなかったんです。
 メールのやり取りも、深夜に何度も『子どもが泣いてるから帰ってこい』というメールが僕の携帯には入ってるのに、それは僕の携帯だから、証拠にはならなかったんです。やられた感は、半端なかったですよ」

 それどころか、子どもたちを実家に連れ去られた後に、何度も里美さんに電話をかけたことを逆手に取られ、大地さんはモラハラ夫の烙印を押されてしまった。

 担当の調停委員は、60代と思しき、頭が固そうな男女だった。子どもたちの親権を取るつもりだった大地さんだが、調停委員は旧態依然とした考え方で、男性の子育てに関してはまったく理解がなかった。

 「調停委員は最初から『え?  あなたに子どもが育てられるの?』という態度なんです。幼少期は母が育てるものだと当たり前のように言われましたね。60歳くらいのじいさんがそう頭ごなしに言ってくるんですよ。そりゃあ、あなたの時代は、男が外で働いて母が家庭と子育てという家族モデルかもしれませんが、僕らは核家族で共働きで、僕は保育士だし、バリバリ子育てしている。でも、いくら訴えても、まったく通じないんです。法律界はそんな古い社会常識が規範になっているので、本当に、悔しい思いをしましたね」
 もし子どもたちの親権を取れたら、昼間大地さんが仕事している日中は、両親が全面的にバックアップして、面倒を見ると両親は快諾してくれていた。しかし、調停員たちは、大地さんが「男」というだけで、全然納得しなかった。

 「調停委員に、『日中も自分で子どもの面倒は見るべきでしょ』と言われるんです。昼は、仕事をしているからどう考えても無理ですよね。収入はむしろ、僕のほうが多いんですが、妻は経済的には、義父の援助があり、日中も育てられるというとその主張がそのまま通ってしまった。それまで彼女は、結婚期間は子育てをあまりしなかったと言っても、改心したと言ってますよ、となる。結局、彼らにとって母親が親権を取るのは、出来レースなんですよ」
 結局、調停でも妻の言い分が認められ、裁判官は、事務的に親権は母親だと告げた。なぜ、男親というだけで認められないのか――。逆差別ではないのか。あまりに理不尽で非情な裁判所の判断に、大地さんは大きなショックを受けて、崩れ落ちた。親権を争って、さらに裁判まで持ち込むこともできたが、もはや精神的にも肉体的にも、限界が近づいていた。これ以上はもはや争えない――、そう絶望して結果を受け入れるしかなかった。

■子どもとは8年間会えず
 離婚してからも大地さんの苦難は続いた。

 調停では、子どもたちとは、定期的な面会交流の約束があったが、結果としてそれが守られることはなかった。大地さんは何度も何度も、せめて子どもに会わせてほしいと里美さんに懇願したが、次第に音信不通になることが多くなり、しまいには、住所も変わってしまい、どこに住んでいるかもわからなくなった。そのため、大地さんは、この約8年間つい最近まで子どもと一度も会えなかった。

 それでも、大地さんは毎月養育費を支払い続けてきた。毎月1人当たり3万円で、計6万円。これまで一度も滞ったことはない。そして、片時も子どもたちのことを忘れたことはなかった。

 「子どもの成長はFecebookにあげるから、そこで見ればいいんじゃない?」

 数年ぶりに、気まぐれで連絡があった里美さんから一方的にそう告げられると、大地さんは、毎日、スマホの画面越しに子どもの成長を食い入るように見つめる日々が続いた。里美さんのFecebookページには、子どもたちのことだけでなく、里美さんのプライベートな男性関係が書かれていることもあった。里美さんは、大地さんと離婚後、別の男と結婚と離婚を繰り返していた。もしかしたら経済的にも困っているかもしれない、逆にここがチャンスだと思った。
 「お願いだから、子どもに会わせてほしい。何かあったら、子どもたちに経済的にも援助してあげられるから!!」

 そう懇願すると、里美さんはあっけなく要求に応じた。8年ぶりに飲食店に現れた子どもたちは、離れ離れになったときの乳飲み子ではなく、しっかりとした子どもに成長して、キラキラして、まぶしかった。

 上の子は小学6年生で、思春期に入ったばかりでやんちゃさが目立っている。大きくなったなぁ、ちゃんと育ててくれたんだと、大地さんは、素直にそう思うと感極まった。
 「子どもたちは僕にすごく自然に接してくれましたね。本当に、普通に家族みたいな感じ。というか、家族だったんです。それを思うと、この8年間は本当になんだったんだろう、不毛な時間を過ごしていたと思わざるをえませんでした」

 そう言って、大地さんは、あふれ出る涙をぬぐった。

■離婚調停の9割以上が親権は母親

 大地さんは、保育士を辞め、現在は司法書士として、事務所を立ち上げて活動している。

 司法書士の資格を取ったのは、自分自身が、法的な知識に耳を傾けてもらえる地位にないと、何を言うにも説得力がないと感じたからだ。離婚に関しても、あまりにも無知で悔しい思いをした。保育士を辞めて3年間、死に物狂いで勉強をして、資格を取った。大地さんは、これまでの経験を通じて、子どもと自由に面会ができなかったというつらい思いが根底にある。

 「今となっては、元妻が悪かったとは思わないです。彼女は彼女で自分を守ろうとしたんだと思いますね。だから、恨みとかそういう感情はないんです。ただ、子どもとの面会が自由にできなかったのは、ずっと、トラウマとして僕の心に影を落としているんです。子どもには、一生会えないんじゃないかと思っていた。それを考えると、やっぱり社会もおかしいと思います。

 ママが子どもを取り上げられる悲しみは耐えがたいと思うんですが、パパもそれは一緒なんですよ。なのに、公的機関のジャッジは偏っていると思うんです。男女平等にみてくれない。それには、本当に今でも、憤りを感じているんです。ただ、そんな社会は少しでも変えていければと思っています」
 離婚問題に詳しい元裁判官の男性によると、「母親の親権がデフォルトで、父親については問題点をあげつらうのが慣例となっている」という。「建前では、子どもの親権は性別ではなく、どちらが適切に養育できるかだが、明確にそこには男女差別がある」と断言する。今もなお、母親が子どもを虐待しているなど、よほどのことが明らかにならないかぎり、父親が親権を取れる望みは少ないのが実態だそうだ。

 裁判所の統計によると、離婚調停(またはそれに代わる審判事件)で子ども親権が母親に渡るのがほとんど。父親に親権が渡るのは1割以下だ。
 保育士でもあり、イクメン世代の走りである大地さんが離婚で感じた憤りと理不尽は、現代社会の家族のあり方が大きく変化している中で、個別のケースに真摯に対応できていないずさんな離婚調停の結果でもある。これも離婚というドラマの過酷な現実の1つなのだ。
菅野 久美子 :フリーライター

ハーグ条約の執行を円滑に

出典:平成30年6月30日 日本経済新聞

子の引き渡し 意思尊重が課題 ハーグ条約対応へ法制審議論

 国際結婚の破綻などによる夫婦間の子どもの引き渡しを迅速にするため、法制審議会(法相の諮問機関)は29日、民事執行法部会で議論を開始した。国境を越えた子どもの引き渡しを定めるハーグ条約に沿い、裁判所に引き渡しを命じられた親の立ち会いがなくても、申し立てをした親がその場にいれば保護を可能にする。子どもの意思をどう尊重するかが課題となる。

 1983年に発効したハーグ条約は子どもをめぐる国境を越えた争いを解決するルールを定める。2018年6月21日時点で98カ国・地域が加盟している。一方の親が他方の親の同意なく、国をまたいで子どもを母国に連れ帰った場合、元の居住国に戻す「強制執行」の手続きを定める。慣れ親しんだ国にまず戻し、子の育つ環境を裁判や当事者間の協議で決める。
 法制審が29日に示した新たなルールのたたき台は、子どもの心情に配慮し、執行官が無理やり子どもを引き離せない規定は維持した。返還を拒む親の説得や自宅の捜索は可能となるものの、子どもを力ずくで連れ出すなど「威力の行使」は認めない。米国や英国と比べると強制力が弱いとの批判もあるが、子どもの精神面への影響を防ぐことを最優先する。
 両親の関係が破綻する中で、子どもの意思をどう酌み取るかは大きな課題だ。国際結婚が破綻した場合、実際の親権や子どもが育つ環境については元の居住国へ帰国後、決める。もう一方の親の同意なく連れ帰った親が裁判で「子どもの意思だった」と主張することもある。強制力を高めた結果、子どもの意向が度外視されないよう、生育環境には最大限配慮する。
 上川陽子法相は29日の閣議後の記者会見で「子どもが混乱しないよう、心身の負担に最大限配慮する」と強調した。執行官などが「子の心身に有害な影響を及ぼさないよう配慮しなければならない」との規定を盛り込む方向だ。
 政府は早ければ19年の通常国会に、国内の夫婦について明文化する民事執行法と、国際事案についてのハーグ条約実施法の改正案を提出する。

子供の連れ戻し親不在でも 法務省、ハーグ条約に対応

出典:平成30年6月27日 日本経済新聞

子供の連れ戻し親不在でも 法務省、ハーグ条約に対応

法務省は国際結婚の破綻などで一方の親が母国に連れ帰った子どもを元の国に連れ戻すための関連法改正を検討する。虐待などの危険があってもすぐに保護できないとの日本への国際的な批判に対応する。2019年にも国境を越えた子の引き渡しを定めるハーグ条約に沿った国内の関連法改正をめざす。

上川陽子法相は26日の閣議後の記者会見で「国際的な子の引き渡しについて、必要な規律の見直しを検討する」と明らかにした。連れ帰った親がその場にいなくても連れ戻せるようにする。

秋にも要綱案を取りまとめる法制審議会(法相の諮問機関)の民事執行法部会で改正案の細部を詰める。国境を越えた子の引き渡しに関するハーグ条約実施法と、国内の夫婦間の引き渡しに同様の規定を設ける民事執行法を改正する。

迅速保護可能に

ハーグ条約には一方の親がもう一方の親の同意なく国をまたいで母国に連れ帰った子どもを、元の居住国に戻す強制執行の手続きがある。もう一方の親の申し立てで家庭裁判所の執行官が代わりに子を保護し、元の国に連れ戻す。日本は14年に加盟した。
現在の日本のルールは連れ帰った親がその場にいなければ、家庭裁判所の執行官は子を保護できない。強制執行による子の保護は、引き渡しに応じない親に制裁金を科した上で一定期間が経過した時に限っている。こうした日本独自のルールは引き渡しまでに時間がかかる。
厚生労働省の人口動態調査によると、夫妻のいずれかが外国人の国際結婚は1989年以降、2016年まで2万件以上で推移している。グローバル化で多様な家族が増え、国境を越えた紛争も生じやすくなるとみて、法整備を急ぐ。

虐待など条件

法務省が検討する新たなルールは(1)連れ帰った親が経済的に裕福または極端に困窮しているなど、制裁金を科しても引き渡しに応じないとみられる(2)虐待や育児放棄など、子どもへの急迫の危険を防止する必要がある――場合にも強制執行を可能にする内容だ。
執行官は申し立てをした親がその場にいれば子どもを保護できるようにする。従来は虐待や十分な教育を受けさせていないようなケースでも、連れ帰った親が故意に隠れてしまえば保護はできなかった。申し立てた親が病気や経済的事情で来られなくても、裁判所の判断で子の親族などが代理人になれる。
連れ帰った親が自分以外の住居に子をかくまい、連れ戻しに同意しないよう頼んでいても、もう一方の親の申し立てがあれば連れ戻しをできるようにする。
子どもの意思を尊重するため、従来と同様、一定の年齢に達した子どもが連れ戻しを拒否すれば、強制執行できない。連れ戻しで子どもに重大な危険が及んだり、申し立てた親が元の国で子どもの世話や教育などをしていなかったりすれば、強制執行は認められない。
米国務省は迅速な引き渡しができないとして5月に日本を「条約の不履行国」と認定。国際的な非難が高まっていた。

国連人権理事会(第38会期) 「子供の連れ去り問題」に関する藤木俊一氏によるスピーチ

出典:平成30年6月26日公開 テキサス親父日本事務局

【動画解説】

第38会期国連人権理事会で、初めて「子供の連れ去り問題」に関するスピーチを行いました。
この問題は、複雑で、法律を悪用する悪徳弁護士たちの稼ぎ口になっており、その影では、親と引き離された子供の多くが泣いており、これが原因で悲惨な結末を迎える子供達も絶えない。

普段は、人権が~!と言っている人権屋弁護士達、人権擁護を銘打っているNPOも、この子供の連れ去り事件に関してはダンマリを決め込んでいる。

その理由は、彼等の連れ去りビジネス、離婚ビジネスの種だからだ。

他人を不幸に陥れて金を稼ぐ弁護士やNPOを許す事はできない。

これは、法の抜け目を利用したものであり、日本政府は、これらの被害者に目を向けて、早急な対応をすべきである。

弁護士が増えすぎたことの弊害でもあるが、プロ意識のない弁護士や食えない弁護士が増えたことも、これらの問題が発生する原因であり、根本的な法体系の見直しが急がれる問題である。

日本は、共同親権を認める様にすべきであり、さらに、ハーグ条約の履行をいち早く行うべきである。

離婚夫婦、子供引き渡し迅速に ハーグ条約実施法改正へ 法制審部会が試案取りまとめ

出典:平成30年6月26日 産経新聞

離婚夫婦、子供引き渡し迅速に ハーグ条約実施法改正へ 法制審部会が試案取りまとめ
記事PDF

 海外での結婚生活が破綻するなどした親が日本に子供に連れ帰る事例が国際問題化する中、法制審(法相の諮問機関)の部会が、引き渡し(返還)が確定した子供を、連れ帰られた親に渡す実効性を高めるための試案をまとめる方針を固めたことが25日、分かった。連れ帰った親本人がいなくても、裁判所の執行官が子供を連れ出せるようにすることなどを盛り込み、今夏にも民事執行法・ハーグ条約実施法改正の要綱案をまとめる。
 現状では手続きの煩雑さのため、引き渡し確定後も子供がそのまま日本で暮らすことが多く、国際社会から制度の見直しが求められていた。
 ハーグ条約は国際的な子供の連れ帰りに関する国際条約で、日本は平成26年に締結。だが、実効性が不十分だとして、今年5月に公表された米国務省の年次報告書では、日本は「条約不履行国」に分類されている。
 法制審民事執行法部会は国内の連れ帰り事案を対象に、引き渡しの実効性を高めるために民事執行法の改正を検討。国境を越えた連れ帰り事案はハーグ条約実施法が適用されるが、問題点に類似性があることから、一括して要綱案を取りまとめる。
 一方の親が子供を日本に連れ帰った場合、現行制度では引き渡しまでに、(1)連れ帰られた親が引き渡しを申し立てる(2)引き渡し命令が確定する(3)連れ帰った親に、引き渡すまで制裁金を支払わせる「間接強制」を申し立てる(4)間接強制が確定する(5)相手が従わない場合、裁判所に引き渡しの「代替執行」を申し立てる(6)裁判所の執行官が(代替)執行する-という複雑な手続きが必要だ。
 間接強制の手続きが必要となるために時間がかかる上、代替執行の際には子供と連れ帰った親が一緒にいることが引き渡しの必須条件になっていることから、親が子供を隠すなどして抵抗した場合は執行ができなかった。
 法制審の改正試案では、間接強制の手続きを原則不要とする▽連れ帰った側の親と子供が一緒にいなくても代替執行できるようにする▽代替執行の際は原則、連れ帰られた親側を立ち会わせる-が柱で、一連の手続きに際しては子供の利益に配慮することを求めている。 
      ◇
 現状では、子供の引き渡しの代替執行が確定した例のうち、半数以上のケースでは引き渡されていない。こうした状況になった場合、現状では全く異なる裁判手続きが必要となるが、ハーグ条約実施法の改正により、手続きはスムーズに進むことになりそうだ。
ハーグ条約は、「16歳未満の子供を一方の親が無断で連れ帰った場合、加盟国は子供を捜し、元の居住国に戻す義務を負う」などと定めている。
 しかし、日本は条約にのっとっていないのが現状だ。外務省によると、ハーグ条約が発効した平成26年4月から今年6月までに、裁判で引き渡しの命令が確定したのは23件。このうち7件で代替執行が認められたが、7件のうち4件では引き渡しに至っていない。
 現行制度では、代替執行を申し立てる前に「間接強制」の手続きを取ることが必須で、引き渡しの足かせになっている。この手続きが前提なのは、「いきなり代替執行をすると、子供に負担を与える恐れがあるから」(法務省幹部)だが、裁判の終了までには相当の時間を要することもある。
 加えて、代替執行の際は子供と連れ帰った親が一緒にいることが条件で、一緒にいても親が抵抗すると「子供に悪影響を与える」などとして執行ができず、連れ帰った側の“抵抗得”になっている。
 抵抗などで代替執行がうまくいかない場合は、不当に拘束された人の釈放を求める「人身保護請求」という全く別の裁判を起こすことが一般的となっている。
 最高裁は今年3月、人身保護請求の上告審判決で、「確定した引き渡しの命令に従わないのは原則違法」との判断を示した。引き渡しを求める側にとっては追い風とみられるが、国外にいる親が、日本で新たな裁判を起こす負担は依然として大きい。
 一方、連れ帰った親にしてみれば、「子供のため」という思いが強い。最高裁判決の事案でも、連れ帰った母親は「子供の意思で日本にいる」「無理に連れ帰ろうとしているのはむしろ父親だ」と主張していた。
 夫婦間には他人が立ち入れない難しさがある。手続きの迅速化だけでなく、引き渡しには子供の利益への配慮が求められる。(半田泰)

離婚夫婦間、親権ない親不在でも子引き渡し明記 法制審部会 要綱案

出典:平成30年6月23日 読売新聞

離婚夫婦間、親権ない親不在でも子引き渡し明記 法制審部会 要綱案
記事PDF

 法制審議会(法相の諮問機関)の民事執行法部会は、離婚した夫婦間で子供を引き渡す際のルールを明確化する要綱案をまとめる方針を固めた。現状では裁判所の執行官が、親権を失った状態で子供と同居する親に拒まれ引き渡しに至らないケースが大半だが、要綱案には、親権のない親の自宅不在時でも執行官が親権を持つ親に子供を引き渡せることなどが明記される見通し。法務省は来年中の同法改正を目指す。
 離婚を巡る家裁の審判や調停の結果、親権を失った親から、親権を認められた親に子供をどう引き渡すのかを定めた規定は現行法にはない。裁判所が子供を引き渡すよう命じても、同居の親が従わない場合、執行官が自宅などに出向くが、親が不在だったり拒んだりした場合は断念する運用を続けてきた。

※以下、記事PDF参照

「パパ、ママいらん」でも「帰りたい」 亡くなった5歳児が、児相で語っていたこと

出典:平成30年6月7日 HUFFPOST

「パパ、ママいらん」でも「帰りたい」 亡くなった5歳児が、児相で語っていたこと

東京都目黒区で3月、船戸結愛ちゃん(5)が死亡した。虐待をしていた疑いで、父・ 雄大容疑者(33)と母・ 優里容疑者(25)が警視庁に逮捕された。

結愛ちゃんは、2018年1月に東京に来るまで、一家で香川県善通寺市に住んでいた。

県や児童相談所は、どのように対応してきたのか。

県の記録からは、一家のいびつな関係が浮かび上がってきた。

「子どもの泣き声がひどい」

県西部子ども相談センター(児童相談所)が、初めて虐待の疑いを認知したのは、2016年の夏だった。

この年、優里容疑者は雄大容疑者と再婚。

雄大容疑者は4月に隣の三豊市の会社で働き始めたという。

8月25日、近所の人が「子どもの泣き声がひどい」と児相に通報した。

優里容疑者は、19歳で結愛ちゃんを妊娠したとき「若年妊婦」として善通寺市の保健師がケアしていた。児相は市の保健師に問い合わせたが、出産当時の記録では、虐待をする兆候や育児に困っているような相談歴もなかった。

児相は、結愛ちゃんが通う幼稚園に問い合わせたが、園の回答は「特に問題はない」。家を訪ねたが不在だった。

これらの情報から、児相は保護ではなく「簡易相談事案」として様子を見ることにした。

クリスマス、結愛ちゃんを一時保護

翌9月には、弟が生まれた。

9月5日の記録には「第2子出産のため、検診などで結愛ちゃんのフォローを」などと記された。

その後は通報なども無かったが、12月25日のクリスマスの日に、結愛ちゃんが一人で外に出されているところを、近所の人が目撃。通報から香川県警が結愛ちゃんを保護し、児相が対応することになった。

この時、病院では「下唇が切れ、まぶたの上にはたんこぶがあった」と診断された。担当した医師は「日常的な虐待の傾向がある」と診断書に記した。

結愛ちゃんは軽度の傷ではあったが、虐待ケースとして児相に一時保護された。

一時保護施設では、担当の職員にとてもなついており、楽しそうに過ごしていたという。

担当職員は結愛ちゃんについて「かわいらしく、よく甘えてくる子だった。そして明るく、とても人懐っこい子どもだった」という印象を持っていた。

結愛ちゃん「うまく言えない」と父に手紙

年が明けた2017年の1月29日、親子面談があった。お父さんへ言いたいことはないか、と問われた結愛ちゃんは「気持ちを口でうまく言えない」と言った。

雄大容疑者は結愛ちゃんに手を挙げたことを認め、「悪かった」「もうしない。できるだけ優しくするから、いい子にしててくれ」などと謝った。

結愛ちゃんは、久しぶりに会った両親を「バイバイ」と、元気に見送った。言えない気持ちは「手紙にする」と話し、覚えたての文字ですらすらと手紙を書いていたという。

この親子面談の様子、そして幼稚園での見守りで毎日様子を確認できるという判断で、2月1日、一時保護が解除された。結愛ちゃんは自宅に戻った。

雄大容疑者は、香川県警に傷害容疑で書類送検されたが、のちに不起訴になった。

初めての一時保護だったので、指導措置は付かなかった。この措置が付くと、保護者は児童福祉司の指導を受けることになり、従わない場合は子どもが一時保護されたり、強制入所させられたりする。

「措置がないからと言って、何も無いわけではありません。常に様子を見て、とにかく本人確認ができる体制を整えるため、家庭訪問をつづけ、民間との連携を進めていた」と県の職員は話す。「この頃は、行政の呼び出しや指導にも、拒否することなく応じていた」という。

2月23日、幼稚園からの聞き取りでは「元気で変わりないが、食べすぎる傾向があった」と報告されている。

父親は、普段は仕事で忙しく、帰宅は深夜に及ぶことが多かった。そのため、子どもたちと話す時間はほとんどなかった。

その後、3月14日の家庭訪問では「徐々に父子関係に改善が見えてきていた」という。

パトロール中の警官が見つけ、2回目の保護

児相から一家を注視するよう伝えられていた地元の丸亀署では、警官が頻繁に見回りにまわっていたという。

3月19日、一人で外にいた結愛ちゃんを警官が目撃した。

母は「一緒に遊んでいて、私だけちょっと家に戻っていただけだった」と話した。

しかし、結愛ちゃんはけがをしている様子で、署で身柄を保護し、病院での診察をすることになった。

舌が切れて唇に赤い傷があり、両膝には擦り傷、お腹には5cm程度のアザがみられた。

傷について問われた結愛ちゃんは、病院の医師に「お父さんに叩かれた」と訴えた。

だが、両親は「転んだだけ」「叩いたわけでない」と否定した。

この件を受けて、2回目の一時保護が決定した。

このころ、結愛ちゃんは「パパ、ママいらん」「前のパパが良かった」と言うようになっていた。

だが、5月14日の親子面談では、一時保護所の心理士に「おもちゃもあるし、お家に帰りたい」と話すこともあった。

児相は、育児支援対策室やこどもメンタルヘルス科のある善通寺市の四国こどもとおとなの医療センターに協力をあおぎ、結愛ちゃんが病院のセラピーを受けることや、祖父母の家に定期的に預けること、叩かないことなど五つの約束を両親ととりつけた。

雄大容疑者は5月にも傷害容疑で書類送検されていたが、再び不起訴になっていた。

そして児相は、7月31日に、指導措置付きで保護を解除した。

5歳児に対し過大な期待「モデル体型を維持」

父親は、児相の聞き取りに対し「きちんとしつけないといけないから」と繰り返し説明していた。

県の職員は「5歳児に対して、父親が過大な期待をしていた。とにかく養育や作法について、強いこだわりが見えた」という。

細かなこだわりは、結愛ちゃんの言動からも推し量られた。結愛ちゃんは職員に対し「勉強しないと怒られるから」と伝えていた。

人に会うときは、しっかりおじぎをして、あいさつをしないといけない。

ひらがなの練習をしないといけない。

はみがきは自分でやり、怠ってはいけない。

太りすぎてはいけない。

また、雄大容疑者は体重に対しても異常に気にするそぶりがあり、優里容疑者に「子どもはモデル体型でないと許さない。おやつのお菓子は、市販のものはダメだ。手作りしろ。野菜中心の食事を作れ」と言っていたという。

また、一時保護を解除したときにした「祖父母の家に定期的に預ける」という約束も、「祖父母は子どもを甘やかす。歯磨きすら一人でできなくなる。だからもう行かせたくない」などと言い、だんだんと預けることがなくなったという。

虐待の兆候が見分けにくかった

結愛ちゃんは、家に戻されてからも、週に1~2回程度、善通寺市の子ども課(児童センター)か四国こどもとおとなの医療センターに通うようになった。

一時保護が解除されて一週間ほど経った8月8日、児童センターに結愛ちゃんと優里容疑者が来なかったことを不審に思った職員は、児相に連絡を入れた。

だが、特に虐待の兆候が見られたわけではなく、8月中も結愛ちゃんは4回児童センターへ来た。

その後「児童センターは遠くて通いにくい」という優里容疑者の申し出から、家に近い医療センターへ通うことになった。

8月30日、医療センターに訪れた結愛ちゃんを、医師が診察したところ、けがをしていることが分かった。

医療センターは児相へ報告。「こめかみにアザがあり、太ももにもアザがある」と伝えた。

優里容疑者は、けがを特に隠す様子はなく「気が付かなかった。私は見ていないので、分からない」と返答。

しかし、結愛ちゃんは「お父さんが叩いたの。お母さんもいたんだ」と訴えた。

これに対し、優里容疑者は「最近、結愛はよく嘘をつく。家ではしつけも厳しいし、一時保護所の居心地が良かったので、そこに行きたいがためにそういうことを言っている」と説明をした。

アザは数cmであったことと説明などから、児相は虐待と判断するかどうか見極めが厳しかったという。

なにより、一時保護をしたくても、2カ月以内の短期的な親子分離はできるが、長期的な分離を考えたとき「家庭裁判所の許可が下りないレベル」(記事末尾の【補足追記】を参照)と判断。

親との関係性を築き始めたなかで、無理やり一時的に親子を引き離す「介入的関わり方」をした場合、対立的関係になり、かえって親の児相に対する反発を強めて、児相が関われなくなる恐れがある。

寄り添って親のケアを含めて関係を切らないことが安全だとし、引き続き、医療センターなどを通じて見守りをしていくことに決めた。

引き続き、医療センターなどを通じて見守りをしていくことに決めた。

この騒動後、児相は9月8日に家庭訪問をしている。

このとき、優里容疑者は結愛ちゃんの最近の様子について職員に「父親が怖い、という気持ちはあると思う。だけど、父親は遅くに帰ってくるので、接する時間が少ない。なので、ぎこちないけれど話をすることもある」「土日には祖父母のところに行っている」と言った。

父親の雄大容疑者についても「できないと、すぐ怒って手を上げてしまっていた以前とは、違うように接している」と説明した。この日、結愛ちゃんにアザは見られなかった。

ただ、9月13日に様子を確認した際に、太ももにまたアザが見られた。しかし、この日結愛ちゃんは、父親に殴られたとは言わなかった。8月末と同じように、一時保護ができるレベルではなかったという。

幼稚園を辞め、日々の確認も難しくなったので、警察署や病院、市の子ども課と連携をし、定期的に結愛ちゃんの様子を直接確認できるように体制を強化した。

これ以降、結愛ちゃんにアザなどのけがは確認されなかった。

週2回ほどのアートセラピーが好きだった

このころ、結愛ちゃんは医療センターで行われていたアートセラピーが好きで、週に2回ほどの頻度で通っていたという。

このセラピーは、言葉でうまく気持ちを表現できない子どもや、自己主張が苦手な大人でも利用される手法のひとつだ。

アート(芸術)とサイコセラピー(精神療法)の二つの要素を併せ持ち、絵を描いたり話したりしながら、自分の思いを表現していく。

結愛ちゃんの生活にも、改善の兆しが見えていた。

10月23日の家庭訪問では、ニコニコと笑顔を見せて会話をし、月末に訪問した時は、「どうぞ」と元気よく玄関を開け、職員を迎え入れてくれたという。

アートセラピーについては「いろいろ話を聞いてもらえる」ととても気に入った様子だったという。

だが、優里容疑者は「もうすぐ仕事の都合で、東京へ引っ越すことになっている」と話すようになっていた。

優里容疑者は「引っ越しても、同じような病院を紹介してもらう」と職員へ伝えていた。しかし、「もうすぐ小学生にあがるので、期間が短いし、幼稚園や保育園には預けるつもりはない」とも言っていた。

転居によりケアが途切れることを恐れた児相職員は「社会的なつながりが途絶えてしまう」と懸念し、園に入るよう強く勧めた。

雄大容疑者が先に東京へ、体重も増えてきた

11月末の家庭訪問では、少し陰った表情をしていたという結愛ちゃん。しかし12月に入り、雄大容疑者は先に東京へ引っ越した。

週1回ほどのペースで体重を量っており、だんだんと体重は増え、2018年1月上旬には16kgを超えていた。

結愛ちゃんにけがもなく、健康的な生活ができていたため、検診をした1月4日、児相は所内協議をして指導措置を解除した。「父親がいなくなったからもう大丈夫、などという安易な判断ではなかった。親子としての改善ができてきたように見えていた」という。

児相は解除の理由について「指導ではなく、ケアや支援が必要なケースだった」と話す。

緊急性が高いケースとして移管

結愛ちゃんたちは後追いで「1月8日に引っ越す」と優里容疑者は伝えていたが、転居先についてはかたくなに言わなかった。

1月中旬に結愛ちゃんと弟を連れ、優里容疑者は東京へ行った。それを受け、児相は1月18日に市を経由して転居先を調べた。

1月23日に転居先が分かり、すぐに管轄である品川児童相談所へ連絡をした。

1月29日には「緊急性の高い案件」としてケース移管することになった。担当者は「すぐにでも本人に会って確認をしてほしい。指導措置は4日に解除になっているが、指導を積極的に続けてほしい」と伝え、数百ページあった2016年8月からの全記録を送付した。

弟の健診もあるため、引継ぎの際には「健診の時に結愛ちゃんの確認をして」とも頼んでいた。

品川児相は「転居で環境も変化している。どこまでできるか分からないが、対応は考える」と答えた。品川児相では緊急受理会議が開かれ、ケース移管の受理が決定した。

しかし、その後2回ほど「ケース移管でしたか?情報提供でしたか?」と問い合わせがあるなど、すれ違いが見られた。

県はそのたびに、「ケース移管であり、緊急性が高い。終結したケースではない。早く会って本人確認を」と伝え、2月5、6日には母親に電話を入れた。

しかし、優里容疑者が電話に出ないため、7日に雄大容疑者へ電話をした。

雄大容疑者は児相を拒否

品川児相に引き続きケアをお願いしている旨を伝えると、雄大容疑者は「それはなんなんだ。強制なのか?任意なのか?」と憤りを見せた。「あいさつもしており、地域の行事にも参加している。近所とのかかわりもあるのに、児相の職員が訪ねてくるなんて、周りから変な目で見られるので嫌だ」と受け入れる余地がなかった。

県は「引っ越したばかりで落ち着かないだろうから、香川県の児相もまだ関りを持たせてもらいます」と伝え、品川児相についての紹介をした。

しかし、2月9日に品川児相が家庭訪問をした際、結愛ちゃんには会えなかった。訪問の連絡をしていなかったこともあり、対応した優里容疑者は「弟はいるが、結愛は出かけていていない」と答えた。

連休が明けた2月13日、県が品川児相へ確認の連絡を入れると「信頼を築くにはまだ時間がかかる。警戒されてしまった部分がある」と伝えられた。

県の職員は焦りを募らせていた。この職員は取材に「指導措置があるから対応する、措置がないから安全というわけではないのは、分かっていると思っていた。香川にいたときは少なくとも週に1~2回は本人に会えていたので、かなり心配な状態だった」と話した。

一方で、医療センターも「母親と連絡が取れない」と心配し、品川児相にいままでのアートセラピーの情報やあちらの医療機関について伝えるため、資料提供を申し出ていた。

姿を見せない結愛ちゃん

すでに結愛ちゃんが東京へ引っ越してから、1か月が経とうとしていた。

幼稚園や保育園にも通わされず、ほとんど周囲とのつながりを断たれていたとみられる結愛ちゃんは、弟の健診にも、そして2月20日にあった小学校の説明会にも、現れることはなかった。

この間、品川児相が本人の姿を確認することは一度もなかった。

そして、3月2日、結愛ちゃんは12キロまで痩せた状態で亡くなった。

品川児相は3月に事件が発覚した際、取材に対し「香川県から援助を引き継いだものがなかった。そのため品川児相の援助方針が決まってないなかった」などと回答していた。

なぜこのような痛ましい事件を防げなかったのか。現在、香川県と東京都で、検証が進んでいる。

訂正の連絡はこちら
【補足追記】

厚生労働省によると、長期にわたって親子分離をしようとするには、施設へ入所させるなどの措置をとるが、その場合、原則として親権者の同意が必要だ。

一時保護は児相の判断で実行できるが、児童福祉法に基づき、原則2カ月以内と定められている。

その期間内に子どもを家に戻すかどうかを、児相は判断しなければいけない。

親権者などが長期の分離に同意しない場合、児童相談所の所長が、家庭裁判所に「児童福祉法28条1項の承認の審判」(28条審判)を申し立て、そこで承諾を得る必要がある。

家庭裁判所が審判で承認を出す条件は、「児童を虐待し、著しく監護を怠り、保護者に監護させることが著しく児童の福祉を害する場合」。

今回のケースで、香川県の児相(西部子どもセンター)が、「家庭裁判所の許可が下りない」としたのは、結愛ちゃんの虐待について把握した事実では、「28条審判」を申し立てても、家裁の審判で長期分離が認められる条件を満たさないだろう、と判断したことを指す。

5歳児「おねがい、ゆるして」 遺棄致死疑いで両親逮捕

出典:平成30年6月6日 日本経済新聞

5歳児「おねがい、ゆるして」 遺棄致死疑いで両親逮捕

 東京都目黒区で娘の船戸結愛ちゃん(5)を虐待して父親が起訴された事件で、警視庁捜査1課は6日、結愛ちゃんを放置して死亡させたとして、無職、雄大容疑者(33)と母親の無職、優里容疑者(25)を保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕した。2人は容疑を認めている。
 逮捕容疑は、1月下旬ごろから、結愛ちゃんに十分な食事を与えずに栄養失調状態に陥らせたうえ、雄大容疑者が殴るなど虐待。発覚を恐れ、妻と共謀して医師の診察を受けさせずに放置し、肺炎に基づく敗血症で結愛ちゃんを死亡させた疑い。
 同課によると、結愛ちゃんは1月下旬から1日1回しか食事が与えられない日もあり、死亡時の体重は5歳児の平均を約7キロ下回る約12キロだった。
 雄大容疑者は結愛ちゃんを毎日午前4時ごろに起床させ、ノートに文字の書き取りをさせていた。ノートには「きょうよりかもっともっとあしたはできるようになるから。もうおねがい、ゆるして、おねがいします」などと書き残されていた。
 同課によると、香川県から転居した後、結愛ちゃんを太ったと思った雄大容疑者がダイエットさせるためにノートに体重を記録させるなどしていたという。
 雄大容疑者は2月に結愛ちゃんを殴って負傷させたとして、傷害容疑で逮捕、起訴されていた。

 死亡した結愛ちゃんが大学ノートにつづっていた文章は次の通り。
 もうパパとママにいわれなくても しっかりとじぶんから もっともっときょうよりかあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします
 ほんとうにもうおなじことはしません ゆるして きのうぜんぜんできなかったこと これまでまいにちやってきたことをなおす
 これまでどんだけあほみたいにあそんだか あそぶってあほみたいだからやめるので もうぜったいぜったいやらないからね ぜったいぜったいやくそくします

死亡の5歳、ノートに「おねがいゆるして」両親虐待容疑

出典:平成30年6月6日 朝日新聞

死亡の5歳、ノートに「おねがいゆるして」両親虐待容疑

 東京都目黒区で虐待を受けたとされる船戸結愛(ゆあ)ちゃん(5)が3月に死亡した事件で、警視庁は6日、すでに傷害罪で起訴されている父親の無職船戸雄大容疑者(33)を、保護責任者遺棄致死の疑いで再逮捕し、母親の優里容疑者(25)も同容疑で新たに逮捕した。同日発表した。2人とも容疑を認めているという。
 捜査1課によると、2人は1月下旬ごろから結愛ちゃんに十分な食事を与えずに栄養失調状態に陥らせ、2月下旬ごろには結愛ちゃんが衰弱して嘔吐(おうと)するなどしたにもかかわらず、虐待の発覚を恐れて病院を受診させることをせずに放置。3月2日に低栄養状態などで起きた肺炎による敗血症で死亡させた疑いがある。
 雄大容疑者は2月末ごろに結愛ちゃんを殴ってけがをさせたとして傷害容疑で逮捕、起訴されていた。
 結愛ちゃんの体重は死亡時、同年代の平均の約20キロを下回る12・2キロだった。部屋からは、「もっとあしたはできるようにするからもうおねがいゆるして」などと結愛ちゃんが書いたノートが見つかっていた。毎朝4時ごろに起床し、平仮名の練習をさせられていたという。
 都や一家が以前住んでいた香川県などによると、結愛ちゃんは同県で2016年と17年に計2回、県の児童相談所で一時保護された。2回目の保護が解除された後の同年8月末には、病院から「こめかみ付近と太ももにあざがある」と児相に通報があり、結愛ちゃんは「パパに蹴られた」と話したが、県は一時保護の必要はないと判断していた。
 一家は今年1月に目黒区に転居。県の児相から引き継ぎを受けた品川児相が2月9日に家庭訪問していたが、優里容疑者とは会えたものの、結愛ちゃんには会えなかったという。
 雄大容疑者については、結愛ちゃんに暴行を加えてけがをさせたとして香川県警が昨年2月と5月に傷害容疑で書類送検していたが、いずれも不起訴になっている。

衰弱させた状態で放置、5歳虐待死で両親逮捕

出典:平成30年6月6日 読売新聞

衰弱させた状態で放置、5歳虐待死で両親逮捕

 東京都目黒区で今年3月、虐待を受けた女児(当時5歳)が死亡した事件で、警視庁は6日、父親で無職の船戸雄大被告(33)(傷害罪で起訴)と、母親の優里容疑者(25)を保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕した。

 直接の死因は暴行によるものではなかったが、衰弱させて放置したことで死亡したと判断した。女児はネグレクト(育児放棄)も受け、ノートには謝罪の言葉が並んでいたという。

 発表によると、両親は今年1月下旬以降、長女の結愛(ゆあ)ちゃんに十分な食事を与えず、2月下旬には船戸被告から暴力を受けた結愛ちゃんが極度に衰弱し、嘔吐(おうと)するなどしたのに病院に連れて行かずに放置した疑い。結愛ちゃんは3月2日に死亡。死因は、低栄養状態や免疫力低下で引き起こされた肺炎による敗血症だった。

子供連れ去り巡るハーグ条約 日本を「不履行国」認定 米国務省

【ワシントン=時事】米国務省は16日、国際結婚破綻時の子供連れ去りに関する年次報告を公表し、日本を連れ去り問題の解決手続きを定めた「ハーグ条約」に基づく義務の「不履行国」に認定した。
 日本が認定されるのは、同条約に加盟した2014年以降で初めて。条約順守を求める圧力が高まる可能性がある。
 年次報告は日本に関し、連れ去りが報告された子供の数が14年以降で44%減少するなど「重要な前進があった」と指摘。連れ去り防止や当事者間の仲介で、日米両政府の「強力かつ生産的な関係が、問題解決を後押ししてきた」と一定の評価を示した。
 一方で、子供の返還を命じる司法判断が出ても「命令を執行する効果的手段がない」ことを問題視。その結果、連れ去り事案のうち22%は解決に1年超を要し「執行プロセスが過度に長期化している」と記した。
 今年の報告では、中国、インド、ブラジル、アルゼンチンなど、日本を含め計12カ国が義務不履行国として記載されている。
 日本にいる息子の返還を求めるジェフリー・モアハウスさんは年次報告を受け、取材に「日本政府が自国の司法判断を執行できない現状の改革に取り組む機会になる」と期待を示した。娘との再会を願うポール・トーランドさんは「日本は家族に関する法制度を見直す必要があるし、子供が、離婚した親の両方を知り愛する権利についても、見方を改めてほしい」と語った。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

※以下、Youtube掲載の米議会の動画です。
米国務省はショーン・アンド・デイビッド・ゴールドマン国際児童虐待防止・帰還法に違反して日本を非合法と認めた。議会は日本に対する制裁措置を求めている。

日本、ハーグ条約「不履行国」に=加盟後初、子供連れ去り年次報告―米国務省

出典:平成30年5月17日 時事通信

日本、ハーグ条約「不履行国」に=加盟後初、子供連れ去り年次報告―米国務省

 【ワシントン時事】米国務省は16日、国際結婚破綻時の子供連れ去りに関する年次報告を公表し、日本を連れ去り問題の解決手続きを定めた「ハーグ条約」に基づく義務の「不履行国」に認定した。

 日本が認定されるのは、同条約に加盟した2014年以降で初めて。条約順守を求める圧力が高まる可能性がある。

 年次報告は日本に関し、連れ去りが報告された子供の数が14年以降で44%減少するなど「重要な前進があった」と指摘。連れ去り防止や当事者間の仲介で、日米両政府の「強力かつ生産的な関係が、問題解決を後押ししてきた」と一定の評価を示した。

 一方で、子供の返還を命じる司法判断が出ても「命令を執行する効果的手段がない」ことを問題視。その結果、連れ去り事案のうち22%は解決に1年超を要し「執行プロセスが過度に長期化している」と記した。

ハーグ条約「日本は取り組み不十分」米認定

出典:平成30年5月17日 日本テレビ

ハーグ条約「日本は取り組み不十分」米認定

アメリカ政府は16日、国境を越えて連れ出された子どもの返還を定める「ハーグ条約」に関する報告書を公表し、日本を初めて「取り組みが不十分な国」に認定した。

ハーグ条約」は国際結婚の破綻などで配偶者の了解を得ずに子どもを国外に連れ出した場合、子どもを元の国に戻すことを定めたもので、日本も加盟している。アメリカ国務省は16日、各国の対応状況に関する報告書を公表し、日本や中国など12か国を「取り組みが不十分」と認定した。

日本の認定は初めてで、政府の取り組みに「進展がみられる」とする一方、「子どもを連れ去った親が返還命令に従わない場合、強制執行する方法がない」と問題視している。その結果、返還命令の22%が、1年以上、未解決のままになっており、去年は5人の子どもが「日本に連れ去られた」としている。

離婚・再婚 分野横断的な新学会を設立 11月に研究大会

出典:平成30年5月16日 毎日新聞

離婚・再婚 分野横断的な新学会を設立 11月に研究大会

離婚・再婚に伴う親権や養育費などの法律問題から、子どもへの精神的な影響や支援の在り方まで、分野横断的に研究する新しい学会「日本離婚・再婚家族と子ども研究学会」が先月設立された。11月には、茨城大水戸キャンパス(水戸市)で研究大会を開催する予定だ。学会の発起人で代表理事を務める茨城大の野口康彦教授(臨床心理学)に、日本における離婚・再婚家族の問題や学会が目指す方向性を聞いた。【聞き手・吉田卓矢】

--学会を作ることになった社会的背景を教えてほしい
 日本は、離婚後も両親が親権を持つ選択的共同親権制度を採用している米国などと違い、どちらか一方が親権を持つ単独親権制度だ。しかし、子どもの権利である面会交流の実施や養育費の支払いなどがきちんとされないケースも多い。離婚が貧困に直結したり、子どもの発達への影響なども考えられる。
--なぜ養育費の支払いや面会交流がきちんとされないケースが多いのか
 日本では離婚の約9割が司法や行政が介入しない協議離婚だ。民法766条では、協議離婚の際、面会交流や養育費などについて、子どもの利益を最優先に考慮しなければならないと定めているが、紙1枚で離婚でき、罰則規定なども無いため、事実上、口約束になっている。
--離婚・再婚にまつわるさまざまな問題を議論する場として学会を作ったのか
 さまざまな問題がある一方で、この分野の研究自体が少なく、心理学、社会学、法学、医学などの研究者と家裁調査官などの実務者、離婚家族の支援者などが一堂に会して議論する場も無かった。法律・制度の在り方と支援の在り方が共有されず、議論の材料さえ十分に無い状態だった。学会を作ることで議論の素地となる調査・研究を蓄積させたい。
--11月の大会はどんな内容になるのか
 11月3、4日に行う予定で、現在、発起人6人で議論しているが、研究発表と、当事者支援団体などのワークショップ、シンポジウムの3本立てになるだろう。メインのシンポジウムでは、おそらく面会交流の実情と課題がテーマになる。海外のシステムや制度と比較して日本では何が足りず、何が課題になっているのかを研究者らに発表してもらい議論するような形になると思う。
--学会の入会募集はいつから始めるのか
 募集は6月ごろから始める。入会金は2000円で、年度会費は5000円(学生2000円)。多くの研究者や学生、実務家らに参加してもらいたい。
     ◇
 学会の問い合わせ先は、野口教授(yasuhiko.noguchi.8215@vc.ibaraki.ac.jp)。

ハーグ条約違反! 日本が「国際的な子の奪取」を看過する理由

出典:平成30年5月13日 COURRiER

ハーグ条約違反! 日本が「国際的な子の奪取」を看過する理由

ハーグ条約と日本の民法のギャップ

クックなどの「子供を連れ去られた親たち」によると、問題の核心は、日本が、ほかのハーグ条約締結国とは異なり、条約の規定を履行する手段を持たないことにあるという。

「絆・チャイルド・ペアレント・リユニオン」という団体の代表としてクックの活動を支援している米国人ジョン・ゴメスは言う。

「強制力が重要な問題のひとつです。どの国も、命令を実行させるための条約実施法を作らなければなりません。しかし、日本の場合、命令に強制力がないのが実状です」

日本政府がハーグ条約締結のために作った条約実施法では、実力行使は禁止されており、子供の引き渡しは、「同居親」の家ですることになっている。「同居親」の同席も必要だ。

裁判所の執行官は、洗濯機の差し押さえには慣れているが、関係者が感情的になりがちな子供の引き渡しには不慣れな人が少なくない。

つまり、強制力といっても、子供と「同居親」がいる家の門前から、子供に出てくるよう執行官が呼びかける程度なのだ。

日本の親権法に詳しい同志社大学法科大学院教授のコリン・ジョーンズは言う。

「すべて予測できたことです。強制執行の手段をなんとかしないかぎり、クック家のような事案が出てくるのは時間の問題でした」

米国政府は、日本政府のハーグ条約の履行に関して懸念を表明している。「国際的な子の連れ去り」に関する2017年の米国務省の年次報告書にはこう記されている。

「返還命令を迅速かつ一貫して執行する日本の能力について、(米国の)国務省は憂慮している」

一方、日本政府によると、状況はいい方向に進んでいるという。日本の外務省でハーグ条約室長を務める上田肇は言う。

「日本がハーグ条約に加盟してからまだ3年です。時間がかかってしまうのは、どの事案にも固有の事情があるからです。その点から見れば、日本はいい仕事をしています」

上田の話によると、日本のハーグ条約加盟後、すでに5件の事案について8人の子供たちが米国に返還されたという。

日本国内ではハーグ条約加盟前に条約締結に反対する声がかなりあり、条約加盟は大きな政治的問題だった。そのため、日本では2014年に条約に加盟したことだけでも大業だった。

専門家によると、ほかのハーグ条約締結国でも、条約の規定を履行するための国内法の改正に時間がかかった事例がある。ドイツの場合は5年かかったという。

日米で異なる「親権」観

現在、在日米国大使館が取り扱っている子供の連れ去りの事案は約70件だ。そのうちの42件は、日本がハーグ条約に加盟してから申し立てがあったものだ。米国に子供を返還するように要求している事案は10件だ。

そのほかの事案は、単に子供との面会交流を求めるものだ。だが、日本では共同親権の概念が浸透しておらず、子供との面会交流も一筋縄ではいかない。

日本では結婚が破綻したあと、子供が両方の親と会い続けるのは、子供の心をかき乱し、精神的混乱をもたらす、という考え方が主流だ。そのため片親(母親である場合がほとんど)が、単独で親権者となる。親権を失ったもう一方の親は、毎月2時間ほど面会交流することが多い。

前出のコリン・ジョーンズは言う。

「日本の最大の問題は面会交流です。返還命令の多くは、実は面会交流を求めているものなのです。非親権者の親が、親子関係をなんとか維持したいと願っているわけです」

前出のジョン・ゴメスの調査によると、日本では、両親の離婚後に片親と交流がなくなった子供がこの20年で約300万人いるとのこと。1年当たり約15万人の計算である。

現行制度では、子供が16歳を過ぎると、返還申請は却下される。親権争いの当事者たちに話を聞くと、この期限も子供を連れ去った親の側に有利に働くという。

専門家によると、日本国内の制度が単独親権制から変わらないかぎり、国際離婚の際の親権問題の解消は期待できないとのことだ。

しかし、日本国内の単独親権制を変えるのは簡単ではない。日本には戸籍制度があり、それが各種証明書類の基礎となっているからだ。ひとりの人間は、ひとつの戸籍にしか入れない。日本では両親が離婚すると、子供は父親の戸籍から除かれ、母親の戸籍に移される場合が多い。

「非親権者は親としての権利をすべて失い、子供に対して実質上、他人同然になってしまいます」

こう語るのはブルース・ガーベッティだ。彼は前出の「絆・チャイルド・ペアレント・チャイルド・レユニオン」を通して、現状を変えるために活動を続けている「子供を連れ去られた親」のひとりだ。

ガーベッティによると、日本国内で共同親権が当たり前にならないかぎり、国際離婚の場で共同親権の適用は期待できないとのことだ。

そのため、冒頭のジェームズ・クックは、医療装置の会社で仕事を見つけたにもかかわらず、いまもミネソタの自宅で、子供といっさい面会できない暮らしを続けている。クックは言う。

「こんなゴタゴタになってしまって悲しいです。子供たちのことが心配でなりません。これが子供を連れ去られた親の悲痛な思いです」

調査せず県警がDV認定 地裁、愛知県と妻に賠償命令

出典:平成30年5月8日 日本経済新聞

調査せず県警がDV認定 地裁、愛知県と妻に賠償命令

記事pdf

 妻が申し出たドメスティックバイオレンス(DV)被害を愛知県警が調査せずに認めたのは不当だとして、夫が妻と県に計330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が8日までに、名古屋地裁であった。福田千恵子裁判長(鈴木尚久裁判長代読)は「警察が事実確認を怠ってDVと認め、夫の名誉が傷つけられた」として妻と県に計55万円の支払いを命じた。

 判決は4月25日付。妻と県は控訴した。

 福田裁判長は「DVの主張が事実無根とは言えないが、診断書がなく誇張した可能性がある」と述べ、妻が子供と夫との面会を阻むためにDV被害を訴えたと判断。県警が必要な調査を怠ってDVと判断したのは違法だと結論づけた。

 福田裁判長はさらに「別居する親と子供の面会を妨害するためのDV支援制度の悪用が問題になっている」と言及。「加害者とされる側にも配慮した制度が期待される」と見直しを求めた。

 判決によると、2012年に妻は子供を連れて別居した。夫の申し立てを受けて家裁が夫と子供の面会交流を命じたが、16年に妻がDV防止法に基づく支援を求め、県警は「支援の要件を満たす」との意見書を作成。これを受けて自治体が妻の住民基本台帳の閲覧を制限したため、夫は子供と会えなくなった。

 妻側は訴訟で「DVがあったことは事実だ」と主張し、県側も「被害者保護のためにDVと判断したことに問題はなかった」と反論していた。

DV面会禁止、愛知県に賠償命令 名古屋地裁

出典:平成30年5月8日 中日新聞

DV面会禁止、愛知県に賠償命令 名古屋地裁

別居中の妻が申告した家庭内暴力(DV)について、警察が十分確認しないまま認めたため娘に会えなくなったなどとして、愛知県岡崎市に住む40代の夫が40代の妻と同県に330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決があり、名古屋地裁は55万円の支払いを命じた。判決は4月25日。

 福田千恵子裁判長は判決理由で「夫の暴力が誇張されている可能性は否定できない。妻は娘の面会を阻止する目的で申し出た」とした。

 判決によると、妻が娘を連れて別居した2年後の2014年、夫の申し立てで名古屋家裁半田支部が、夫と娘に面会交流をさせるよう妻に命じていた。

 だが、妻は16年に転居し、DV防止法に基づき、住所を知られない措置を県警に申請して認められた。警察の意見を基に自治体は対応するため、夫は娘に会えなくなった。

 判決は、県警が「妻の申告をうのみにし、必要な調査を尽くさなかった」と指摘。一方で「(悪用を防ぐため)被害者の安全を確保しつつ加害者にも配慮し、警察署員に過大な負担をかけない制度設計があるはず」と言及した。

 妻と県は既に控訴した。県警は「係争中のためコメントは差し控える」とした。

夫側「子との面会の不当な阻止、誰でも起こりえる」

出典:平成30年5月8日 産経新聞

夫側「子との面会の不当な阻止、誰でも起こりえる」

記事pdf

 誇張された申告でドメスティックバイオレンス(DV)加害者と認定され、子供と面会できなくなったなどとして愛知県と妻に慰謝料を求め訴えた県内の40代男性と代理人が8日、名古屋市内で記者会見し「制度の不備が原因で面会を不当に阻止されることは、誰にでも起こり得る」と述べ、制度の改善を訴えた。

 梅村真紀弁護士によると、DV防止法に基づく住所秘匿などの支援措置は被害者保護を目的とし、相手側への聞き取りは必要とされないため、一方的な訴えだけで面会が遮断される恐れがあるという。

 名古屋地裁判決は「DV被害は誇張された可能性があり、妻が面会を阻止する目的で警察に支援を申請したと認められる」と判断、計55万円の賠償を命じた。

 梅村弁護士は「離婚を巡る裁判では支援を申請しているケースが多い。本当の被害者は保護する必要があるが、他にも制度を悪用したケースがあるのではないか」と指摘した。

<名古屋地裁>「誇張のDV被害、妻が面会阻止目的で申告」

出典:平成30年5月8日 毎日新聞

<名古屋地裁>「誇張のDV被害、妻が面会阻止目的で申告」

◇妻と愛知県に55万円の支払い命令

 別居中の妻が虚偽のドメスティックバイオレンス(DV)被害を申告し、愛知県警の不十分な調査で加害者と認定され娘に会えなくなったとして、愛知県の40代の夫が妻と県に慰謝料など計330万円を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁(福田千恵子裁判長)は計55万円の支払いを命じた。夫側弁護士が8日、明らかにした。妻は控訴している。

 4月25日付の判決によると、妻が長女を連れて別居後、夫の申し立てで名古屋家裁半田支部が2014年、長女と夫の面会などをさせるよう妻に命じた。妻は16年、夫に住所などを知られないようにする支援を申請し、県警の意見を基に自治体が住民基本台帳の閲覧を制限した。

 判決は「DV被害は事実無根と言えないが誇張された可能性はあり、妻が面会阻止目的で申告した」と認定した。県警については、被害者の安全確保が最優先で多角的な調査を常に行う義務はないとしつつ「支援制度の目的外利用も念頭に置くべきなのに、事実確認を全くしなかった」と賠償責任を認めた。

 さらに「支援制度悪用が社会問題化している。加害者とされる者にも配慮する制度設計があるはずで、検討が期待される」とした。夫側弁護士は「支援制度の不備に踏み込んだ画期的な判決」と話した。【野村阿悠子】

「妻が虚偽のDV申告」名古屋地裁で異例の判決 「制度見直し」への言及も

出典:平成30年5月8日 名古屋テレビ

「妻が虚偽のDV申告」名古屋地裁で異例の判決 「制度見直し」への言及も

妻の虚偽の申告により、不当にDV(家庭内暴力)の加害者とされ、子どもに会えなくなったなどとして愛知県内の40代の夫が妻と県に慰謝料などを求めた裁判で、名古屋地裁が55万円の賠償を命じていたことが分かりました。

この裁判は、夫には別居中の子どもと面会する権利などがあったにもかかわらず、妻が虚偽のDVの申告をして愛知県警が鵜呑みにしたことで、子どもとの交流が絶たれたなどとして妻と愛知県に対し、約330万円の損害賠償を求めていたものです。4月25日に言い渡された判決で、名古屋地裁は妻に対し「DVの申告は夫からの暴力を避けるためではなく、夫が子どもと面会することを阻止するためであった」と指摘。また、県に対しては「愛知県警は不審・疑問な点がないか確認する義務があった」などと県警の過失を認定し、妻と県に対し、55万円の損害賠償を命じました。さらに判決の中で名古屋地裁は、「現在のDV防止法に基づく措置では、加害者とされる人の手続き保障がなく、事実誤認があった際の簡易迅速な救済制度もない」として、制度の見直しが必要とする異例の言及をしました。今回の判決を受け、訴えを起こした夫は、「法律の欠点の改善や親子関係を最優先にした運用に変わっていってほしい」と話しています。

虚偽DV見逃しは違法 妻と愛知県に異例の賠償命令 名古屋地裁 支援悪用、父子関係絶つ

出典:平成30年5月8日 産経新聞

虚偽DV見逃しは違法 妻と愛知県に異例の賠償命令 名古屋地裁 支援悪用、父子関係絶つ

記事pdf

 子供を連れて別居中の妻が捏造(ねつぞう)した家庭内暴力(DV)の話を警察官がうのみにした結果、不当にDV加害者と認定され、子供と会えなくなったとして、愛知県に住む40代の夫が、40代の妻と県に慰謝料など計330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁(福田千恵子裁判長、小林健留裁判官代読)が夫側の主張を認め、妻と県に計55万円の賠償を命じていたことが7日、分かった。判決は4月25日付。社会問題化している“虚偽DV”をめぐり、相手親と行政側の賠償責任を認定した判決は極めて異例とみられる。

 福田裁判長は「DV被害者の支援制度が、相手親と子供の関係を絶つための手段として悪用される事例が問題化している。弊害の多い現行制度は改善されるべきだ」と言及。この訴訟は個別事例ではないと指摘し、制度見直しを求めた。

 判決によると、夫妻は平成18年に結婚。翌年に子供が生まれたが、24年に妻が子供を連れて別居した。夫の申し立てを受けた名古屋家裁半田支部は26年、妻に夫と子供を定期的に交流(面会・手紙のやり取りなど)させるよう命じた。

 しかし28年、妻は愛知県警を訪れ、DV防止法に基づき夫に住所などを知られないようにする支援を申請。対応した警察官は「妻はDV被害者で、今後もDVを受ける危険がある。支援の要件を満たしている」との意見書を作成した。

 意見書に基づき自治体が支援を開始した結果、夫は妻の住所が記載された住民基本台帳の閲覧などができなくなり、子供との交流が絶たれた。

 夫は「妻のDV主張は虚偽なのに警察は調査せず事実だと認定した。名誉を毀損(きそん)された上、子供と会えなくなった」として妻と県を提訴。妻側は「過去のDVや今後もDVの危険があることは事実だ」、県側も「県警の認定に問題はなかった」と反論していた。

 福田裁判長は「妻側の主張するDVは診断書などがなく、誇張された可能性がある。妻は子供と夫の交流を絶つ意図で支援を申請したと認められ、制度の目的外使用だ」と認定した。

 県警の対応についても「虚偽DVが社会問題化している以上、制度の目的外使用の可能性も念頭に、妻の説明の不審点や疑問点を確認する義務があった」と指摘。「現在もDVの危険があるかどうかは客観的な時系列や事実関係から判断できる。しかし今回、県警は事実確認を一切行わなかった」と過失を認定した。

 ■DV防止法による支援

 被害者から支援申請を受けた警察や婦人相談所などの相談機関は、支援要件(過去のDV歴・緊急性の高さ・今後のDVの恐れなど)を満たすかどうかを判断し、意見書を作成する。意見書を基に、自治体はシェルター(避難所)の提供や、加害者による住民基本台帳の閲覧申請の却下などを行う。ただ、意見書作成の実務では被害者の主張が重視される一方、加害者とされる側の権利保護が考慮されないことが多いとされ、「虚偽DV」「冤罪(えんざい)DV」の温床となっているとの指摘が出ている。

虚偽DV訴訟、親権のための法的テクニック 社会問題化「制度見直すべきだ」

 「より良い制度に向けた検討が期待される」。今回の判決で、福田千恵子裁判長はそう踏み込んだ。この提言は(1)DV(家庭内暴力)被害者の支援制度が、子供と相手親を引き離す手段として悪用されている(2)加害者とされる側の権利を守る手続きがなく、虚偽DVの温床となっている-などの問題意識を反映したものだ。この判決は今後、制度の在り方をめぐる議論につながる可能性もある。

 子供をめぐる夫婦間トラブルで多い類型は、一方の親が相手親に無断で子供を連れ去り、その理由として「DVを受けていた」と主張する-というものだ。

 従来は、たとえ連れ去りの結果であっても、現在の子供の成育環境の維持を考慮する考え方(継続性の原則)などが重視され、連れ去られた側が不利となる事例が多かった。さらに相手からDVを主張された場合、子供との交流の頻度や方法を決める際にも不利に扱われやすいとされる。

 DV主張は覆すのが困難で、実務上、証拠が乏しくてもDVが認定されることが多い。実際、裁判記録などによると、DV認定を抗議した夫に警察官は「女性がDVを訴えたら認定する」と発言。法廷でも「支援申請を却下したことは一度もない」と証言した。

 この問題に詳しい上野晃弁護士は「こうした運用は愛知県警だけでなく、全国的に同様だ。警察は申請を却下した後に事件などが起き、責任追及されるのを恐れるためだ」と分析する。

 一方で近年では、「親権や慰謝料を勝ち取る法的テクニックとして、DVの捏造(ねつぞう)が横行している」「連れ去りをした側が有利な現状はおかしい」との指摘も出ていた。

 国会でも平成27年4月、ニュースキャスター出身の真山勇一参院議員が、現行制度下で子供の連れ去りや虚偽DVが横行している問題を指摘した。

 福田裁判長は「いったんDV加害者と認定されれば容易に覆らない現行制度は見直すべきだ。まず被害者を迅速に保護して支援を開始した上で、加害者とされた側の意見もよく聞き、その結果に応じて支援の在り方を見直していく制度にすれば、社会問題化している制度悪用の弊害を防げる」と指摘。司法府が立法府に注文をつけるのは異例だ。

 原告側代理人の梅村真紀弁護士は「(判決が)子供第一の協議が行われるきっかけになってほしい」と話す。

 妻側は既に控訴しており、上級審の判断が注目される。(小野田雄一)

親の離婚・再婚で悩む子を支援する学会設立

出典:平成30年4月14日 NHK

日本人妻の子供連れ去り問題、イタリア人父親も訴訟|イタリアメディアが報じる

出典:平成30年4月14日 リンキエスタ(イタリア)

日本人妻の子供連れ去り問題、イタリア人父親も訴訟|イタリアメディアが報じる

日本人妻による「国際的な子の奪取」に直面し、訴訟を起こしている外国人の夫たちがいる。そのうちのあるイタリア人の父親の場合を、イタリアメディア「リンキエスタ」が取り上げた──。

日本人の妻と結婚し離婚したあと、子供と面会する権利があるのに、会うことを許されずにいる、日本在住イタリア人の父親たちがいる。

日本で離婚時の片親による子供連れ去りが非常に複雑で微妙な問題であることは、海外ではほとんど知られていない。

ジャンルカ・サライスは、43歳のイタリア人で日本在住。彼は日本人女性と結婚したが、その妻は、生まれたばかりの息子レオナルド・ルイを連れて家を出ていったきり、息子に会わせてくれない。

ジャンルカには息子との面会の権利があるはずなのに、2015年9月5日、付き添い人たちに監視された状況で55分間会ったのが最後だ。

そんなジャンルカに起こった出来事を数ヵ月にわたり追った──。

2年以上も息子に会えずにいるジャンルカ

ジャンルカと妻との裁判はいまから約3年前に始まった。

東京で暮らしていた2人のあいだに息子レオナルド・ルイが生まれると、初めの2ヵ月は北海道にいた妻の母が上京して手伝っていたが、実家で娘を手伝うほうがよいと、娘と孫を連れて北海道に戻っていった。

妻は北海道へ戻って間もなく、よりよい環境のなかで息子を育てたいと、東京には戻らないことを決めた。

ジャンルカも、家族のそばにいるため、東京での仕事や家を捨て、北海道移住を決めた。妻が欲しがっていた車を買い、妻と息子を迎えるための家まで準備した。

だが、彼女たちが引っ越してくる数日前、ひとりの女性が訪ねてきて、イタリア語でこう伝えに来た。

「私たちのことは忘れて、イタリアに帰って!」

そして、妻からの離婚申立と息子との面会禁止を言い渡したのだ。

この出来事でジャンルカは壊れてしまった。こうして離婚後の、子供との面会交流権、親権を巡る長い法廷での闘いが始まった。

日本での国際結婚の場合、一般的には日本人の配偶者の姓を選ぶことが多いが、彼らは結婚の際、ジャンルカの姓を選んだので、息子の姓もサライスとなった。だが離婚後、妻は旧姓に戻り、息子の姓も妻の旧姓に変えられた。

日本の離婚に関する法律では「共同親権」の定めがなく、父母のどちらか一方が親権を持ち、その親権者が子の姓の変更を申請できるのだ。

結果、ジャンルカは子供に関するすべての権利を失うこととなる。いまも、妻と息子の住所さえわからずにいる。息子は、AIRE(イタリア人海外居住者戸籍簿)に登録されているにもかかわらずだ。

法廷闘争は現在進行形なのに、親権をめぐる手続きは先に進んでしまっている。事実、妻から彼に対して出された告発はすべて退けられ、どの判決でも勝ったはずなのに、いまだに息子に会う権利を行使できないでいる。

ジャンルカは怒りをぶちまけ、こう語った。

「息子との面会に関していえば、仲裁でもそれに続く審判手続きでも、裁判官は、私が息子に月1回1時間会うという条件を命じました。

日本ではその条件が慣例ですが、妻がこの権利すら拒否したので告訴しました。

私たちはここ日本にいて、日本の法律を受け入れねばなりません。ですが、これほど人として不正なことを見過ごすわけにはいきません!

この法的慣例は、子が制限なく親に会うという神聖な権利に反しています。どんな場合であれ、親は親であり続けるべきです。

妻はこの月1回1時間の面会まで拒否しているのです、2つの判決が出ているにもかかわらず。

だから、彼女が判決に従うよう裁判所に命じてもらうため、控訴しました」

控訴した札幌の高等裁判所は、2017年12月22日、息子との面会交流権をジャンルカに認める、前回と同じ判決を下した。

この判決に不服だった妻は、さらに東京の最高裁判所へと上訴した。この判決が下るとき、最終的な結論が出ることになる。

ジャンルカは言う。

日本のハーグ条約履行に不備も=子供連れ去りで米国務省

出典:平成30年4月12日 時事通信

日本のハーグ条約履行に不備も=子供連れ去りで米国務省

 【ワシントン時事】米国務省は11日、国際結婚破綻時の子供連れ去りに関する「ハーグ条約」加盟後の日本の取り組みについて、一定の前進は見られるものの、依然として「条約履行上の深刻な不備がある」という認識を示した。

 下院外交委員会人権小委員会の公聴会で、同省のローレンス特別顧問が表明した。

 ローレンス氏は公聴会に寄せた書面で、日本のハーグ条約加盟から3年間に報告された子供連れ去り事案が、加盟前3年間と比べ46%減少したと説明。連れ去りに関する啓発活動が進んだほか、問題発生後の解決でも「著しい改善が見られた」と評価した。

 一方で、子供を日本へ連れ帰った親が返還命令を拒否した場合、「日本当局が命令を執行する手段は極めて限られている」とも指摘。「(そうした事態は)受け入れられないし、日本に条約上の義務不履行のパターンがあることを深く懸念する」と表明した。 

旭川家裁、離婚調停に「親ガイダンス」導入 道内初、子どもへの影響説明

出典:平成30年4月8日 北海道新聞

旭川家裁、離婚調停に「親ガイダンス」導入 道内初、子どもへの影響説明

 【旭川】旭川家裁は今月から離婚調停に入る夫婦を対象に「親ガイダンス」を導入した。裁判所の調査官が、両親の離婚に伴う子どもの心への影響などを説明し、養育環境への配慮を促す。道内初の取り組みで、旭川家裁は「子ども目線で離婚を考えるきっかけに」と期待する。

■養育環境への配慮促す
 親ガイダンスは、離婚調停の初回に家裁の面接室で夫婦別々に約30分間行う。スライドを上映し、離婚や別居が子どもに及ぼす影響、親権や養育費などを巡る争いで板挟みになる子どもの心情などを説明。離れて暮らす親と面会して交流することの子どもにとっての大切さや、養育費の支払い義務などについても解説する。ガイダンスは、強制ではなく任意で、未成年の子どもがいる夫婦に勧める。

 この取り組みは盛岡家裁が2012年に国内で初めて実施した。11年の民法改正で離婚の際は「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と明記されたことがきっかけ。その後、京都家裁や大阪家裁などにも広がっている。

 旭川家裁は2年前から導入に向けて検討を開始し、かつて大阪家裁堺支部で導入に関わった、坂井義宏首席調査官らが準備を進めてきた。

 昨年11月から試行を行ったところ、19組がガイダンスを受け、「子どもへの影響が心配になった」「自分にできることを考えたい」などの意見が聞かれたという。

 夫婦の間に入って話し合いを進める調停委員らでつくる、旭川調停協会連合会の柏川法潤会長は、親ガイダンスの効果について「夫婦が、親権を争う時も感情的になりすぎず、子どもの将来を立ち止まって考えるケースが増えた」と話している。(山村晋)

■協議離婚でも普及を

 北海道大大学院法学研究科の藤原正則教授(民法)の話 親ガイダンスは欧米では普及しており、子どもにとって一番いい養育環境を考える機会になる。欧米では離婚後、父親と母親の双方が子どもを養育する共同親権が一般的。日本ではそのいずれかによる単独親権しか認められておらず、子どもにどう配慮するかが課題になっている。裁判所は、協議離婚する夫婦にもガイダンスを受ける場を設け、普及に努めるべきだ。

 <ことば>離婚調停 夫婦の話し合いによる協議離婚がまとまらない場合、当事者は家庭裁判所に調停を申し立てることができる。裁判官や調査官、調停委員が間に入り問題解決を図る。離婚のほか、親権者の決定や財産に関する問題も扱う。厚生労働省によると、2016年の離婚は全国で21万6798件。大半は協議離婚で、調停は約1割となっている。

共同親権導入への見解ただす 民進党の真山勇一氏

出典:平成30年4月6日 神奈川新聞

共同親権導入への見解ただす 民進党の真山勇一氏

 民進党の真山勇一氏(参院神奈川選挙区)が5日の参院法務委員会で、「離婚が増えるに従い、親子の交流の問題も増えている」と指摘。離婚後に別居する親が子どもと継続的に交流する「面会交流」の推進や、共同親権導入に対する上川陽子法相の見解をただした。

 法相は「現状で面会交流を強制させることはできないが、離婚時に双方でしっかり話し合ってもらい、子の利益を優先することが大事だ」と答弁。共同親権導入については「一般論として、適切な形で養育に関わることは子の利益の観点から重要だ」と述べるにとどめた。

EU26カ国大使が上川法相宛に書簡提出

出典:平成30年4月2日 在日フランス大使館ホームページ

EU26カ国大使が上川法相宛に書簡提出

 ヨーロッパ連合(EU)加盟26カ国の駐日大使は、国際離婚後の子どもの親権に関する裁判所の決定が十分に実行されない事例に対する懸念を表明するため、上川陽子法務大臣宛に3月6日付で書簡を提出しました。

 EU加盟各国の駐日大使は、国際離婚後の子どもの親権に関する書簡を上川陽子法務大臣宛に提出しました。
 この共同の働きかけによって、EU加盟国は一部のヨーロッパ市民が遭遇している極めて困難な状況に対し、日本当局の注意を喚起することを望みました。これらの市民は日本人と離婚し、裁判所の決定で認められたにもかかわらず、面会と宿泊の権利を尊重させるにの苦労し、その結果として子どもとの関係を維持することが不可能な状態に置かれています。
 在日フランス大使館はこの働きかけを支持するとともに、日本当局の主権に配慮しつつ、日本で生活して家庭を築くことを選択したフランス人の権利を尊重するよう呼びかけます。

 

以前の記事は【過去の記事】まで

更新 2018-08-18 (土) 12:36:37
a:65765 t:1 y:8

powered by Quick Homepage Maker 5.2
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional