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トピック

ある国立大学教授の大森貴弘氏批判への疑問 必要なことは、親子断絶の危険性についての理解あるいは、子を思う親の気持ちへの理解ではないかと思う理由

出典:平成29年10月22日 土井法律事務所(宮城県)ブログ

ある国立大学教授の大森貴弘氏批判への疑問 必要なことは、親子断絶の危険性についての理解あるいは、子を思う親の気持ちへの理解ではないかと思う理由

ある国立大の法学部教授が、朝日デジタル「私の視点」に大森貴弘氏を名指しして批判した記事が掲載されました。彼女は以下のように大森氏を批判しています。

http://digital.asahi.com/articles/DA3S13186771.html

「兵庫県伊丹市で面会交流時に起きた痛ましい子殺し事件について「原因は親子断絶による父親の精神状態の悪化にある。面会交流が継続されていれば事件は起きなかったはずで、親子断絶の問題を告発 した事件と言える」とする見解が、何でもありのネット空間ではなく、新聞に掲載されたことに、深い悲しみを覚える。

これは、大森氏の文章に対して、ネット空間のような何でもありの主張であり、新聞に掲載されることは言語道断だという、極めて辛辣な批判です。彼女のこの主張は、仲間同士の閉ざされた人間関係の中での発言ではなく、これまた新聞という不特定多数人に向けた主張のはずです。そうだとすると、なぜ、何でもありのむちゃくちゃな主張であるのか、その理由を説明しなければ、失礼であり、品位を欠くものだと、私は思います。

 その後の彼女の論は、日本の法律は家庭に入りにくい設計になっているが、設計された明治時代は家という大人数で子どもを育てていた。両親に問題があっても、他のまともな大人が子どもを守っていたという趣旨のお話をされ、現在は、その安全弁が失われ、児童虐待に対する予算も体制も日本は貧弱だと展開されています。面会交流も大事だが、加害者の加害を見抜く制度設計が必要だとして、これがない親子断絶防止法を批判します。
そして「私は伊丹市の悲劇の詳細を知らないが、仮に父親が3カ月間、子に会えなくて精神的に病んだとしても、悲劇の責任は、面会交流を試行錯誤した母親にあるのでは決してない。子を守れなかった責任は、親を放置して育児を支援しなかった、私たち日本社会の無責任な無策にある。」と結んでいるのです。

 第1に、大森氏の論考が、伊丹の事件で、子どもが死んだのが母親の責任だなどとは言っていないのですが、彼女の話の流れは、さも大森氏がそのような主張をしているように読み手に誤解を与えることになります。 私の弁護士としての体験からですが、子どもを連れて別居した母親は子どもに取って父親の愛情を受けることに、あくまでも反対だという人は少ないという実感があります。母親に対して適切な働きかけをして、周到に準備をして母親の不安を軽減した上での面会交流は例外的なケースを除いて実行されます。むしろ、母親に対して子どもを父親に合わせるなという無責任な「支援者」がいるために、面会を拒否するケースが大半です。この「支援者」として、行政や警察、弁護士や医者、学校等様々な職種の人たちが子どもが自分の親に会うことを妨害しているということが実情です。大体は、すでに論拠がないと否定されつくされているレノア・ウォーカーのお説をさらに劣化させて繰り返し母親に吹き込んでいるのです。新しいケースでデジャブ―のように聞かされるたびにうんざりしてしまいます。母親がそれを信じる原因として、夫の家族に対する日常の行動に問題がある場合もありますが、それよりも、母親の体調の問題からの精神的な不安定が要因となることが多いようです。体調の問題とは、漠然とした不安感、疎外感、孤立感です。実際の離婚事件で母親が診断された疾患として、甲状腺機能異常、産後うつ、月経前緊張症、全般性不安障害、うつ病、パニック障害などがあります。このような不安状態の中で、行政や弁護士、警察や医師、学校関係者から、会わせてはいけないとアドバイスされると、合わせること自体が不安になるということもあるでしょう。

 母親たちは、逃げることで、不安のほかに恐怖まで植え付けれられているのが実情です。現在の逃げるという政策は、即ち子どもを連れて逃げるということですから、当然に父親から子どもを引き離す政策だということを意味しています。この政策を転換するべきだということが、本来提言されるべきことだと思います。それが親子断絶防止法かといわれれば、極めて不十分であることは私も異論がありません。親子断絶防止法は、当初の案から大幅に後退してしまっており、メリットが少なくデメリットが増えてしまったと感じています。一番の問題は結論を提示しているだけで、その結論にどのように誘導するかという肝心の政策がない点です。

 第2に、彼女の論の疑問点として、親子断絶によって精神状態の悪化が起きたことを論難しているように読めることです。
 現実に、父親や母親がわが子と会えなくなることで、様々な精神症状が現れます。これまで精神科医がうつ病などの抑うつ状態、転換性障害、不眠症などと診断した人たちを実際に見ています。突如電話をしたくなり、相手の事情もかまわずに自分の不安を語りだす人、ほとんど日常的に涙目になっている人、誰彼構わずに攻撃的になる人、多かれ少なかれ、異常行動が見られます。

 日本人は、少なくとも江戸時代までは、子煩悩で有名でした。山上憶良の歌から始まり、モースの「日本その日その日」等、子どもがいかに大切にされていたかを物語る資料は尽きません。自分の一部だと思っている子どもと引き離されることで、精神的な不具合が生じることは当然なことでしょう。
 現在の母子を逃がし、父から断絶するという政策が人の精神を病ませる実例は枚挙にいとまがありません。

 家庭内暴力があり、命の危険がある場合はやむを得ないでしょう。しかし、現実に家族が分断されるケースは、私が知る限りそのような危険のないケースがほとんどです。むしろ、心身を蝕むケースの本当のDV事案では、なかなか法制度によって救済されない問題点があると感じています。支援制度を悪用して不貞相手の男性と同居していたケースも少なくありません。DVがないにもかかわらず、DVがあるように思いこんでしまっているケースも多くあります。この点の原因としては、国立大学の教授の見解が支持されるべきであり、夫婦、家族が孤立していることに問題があると私も思います。但し、孤立しているため、加害者が被害者に加害をするという単純な話ではなく、お互いが、自分を客観的に見ることができず、疑心暗鬼をだれも止めてくれないということ、ちょっとの工夫をアドバイスされれば、みんなが幸せになるのにということなのです。この違いは決定的だと思います。

 逃がす政策が人を狂わせ、凶暴化させ、あるいは破れかぶれにさせ、あるいは思考力を奪い、さらなる悲劇を生んでいるということは真実だと思います。そのような側面が確かにあり、少なくないケースで見られるにもかかわらず、なかったことにされることはどうしても納得できません。まさに数の暴力です。私は、人権侵害が行われていると思います。女性の権利を守る名目で、子どもと会えない親の人格が国家によって否定され、子どもが両親から愛情を注がれる権利が理由なく奪われ、子どもの親を絶対的な悪だと子どもに対して繰り返し吹き込む、そのような野蛮なことが横行していると声を大にして言いたいのです。

 第3に、彼女の主張で、もし、親子の引き離しによって父親の精神破綻が生じて暴力に出たということ自体を否定していたとしたら、それは元々父親は子どもを殺すような粗暴な人間だったということを主張しているのでしょうか。そのように読むと論述自体が一貫しているように読めるのです。彼女は、大森氏のどこがどのように何でもありなのか説明をしていないので、不明ではあります。しかし、もしそうだとしたら、人間観に問題があるように感じてなりません。

私は、長年刑事弁護を担当しているわけですが、生まれながらに犯罪を実行する人などいないと感じています。みんな理由があって逸脱行動にでるということです。弁護人の仕事は、罪を犯した人とその理由を考え、理由を除去し再犯を予防することだと整理できると思います。伊丹の事件の理由の一つとして、子どもと過ごすことのできない絶望感や、そのことによって発症した精神疾患ということは、可能性があることを否定する事情はないでしょう。なんでもありというような荒唐無稽の話でないことだけは確かです。

 気になるのは、彼女の論拠の背景として、妻が子どもを連れて別居するというそれだけのことから、別居の理由が夫にDVがあったからだという決めつけがないかということです。実際にそのような別居事案において暴力と呼べる自体がないことが多くあります。精神的虐待といっても、日常よくあるいさかいをもって虐待と呼んでいるケースがほとんどだと実感しています。いずれにしても、そのようないわゆるDV冤罪の事案は少なくありません。このようなDV冤罪を作り出し、父親の精神を破綻させ、子どもから父親と会う権利を奪い、子どもから父親を肯定する権利を奪う最大の原因が、このような類型的な決めつけ、ものの見方です。一言で言って差別です。

松戸家裁の事例では、父親のDVは裁判所でついに認定されませんでした。当事者がDVを裁判家庭において主張することはともかく、ひとり親支援NPOの代表や、武蔵大学社会学教授は、何も事情を知らないくせに父親をDV夫だと決めつけて、SNS等で流布したことで、刑事告訴をし受理されたとのことです。伊丹の事案は、父親も自死してしまいましたので、告訴をする人がいないのかもしれません。しかし、法律家は、事情知らない事案では、当事者を非難するコメントをしないということが最低限の矜持だと理解しています。何らかの決めつけがあったならば、法律家としてのコメントとは言えません。このルールは実務家だけで研究者は例外なのでしょうか。

 現在の親子断絶防止法を批判することは自由でしょう。しかし、そのことのために、多くの人たちが傷つくことを謙虚に考えるべきだと思いますし、実際に起きている現実をぜひ知って、みんなが幸せになる方法を考えていただきたいと考えてやみません。みんながということが無理ならば、せめて子どもが自分の親を否定することを押し付けられた場合の、子どもの将来に起きることを考えていただきたいと思います。

以下引用。

「離婚後の子育て 共同親権で親子の関係守れ」と題した大森貴弘氏の「私の視点」(9月21日付)を読んでショックを受けた。兵庫県伊丹市で面会交流時に起きた痛ましい子殺し事件について「原因は親子断絶による父親の精神状態の悪化にある。面会交流が継続されていれば事件は起きなかったはずで、親子断絶の問題を告発 した事件と言える」とする見解が、何でもありのネット空間ではなく、新聞に掲載されたことに、深い悲しみを覚える。
 先進国の家族法と日本家族法との違いは、離婚後の共同親権の有無だけではない。両親間のトラブルに対する制度設計がまったく異なっている。明治政府は30年をかけて西欧法に倣った近代法を立法した。しかし明治民法の家族法部分については、「家」の自治にすべてを委ねる、独自の極端な法を立法した。離婚を必ず裁判離婚とするような西欧法は、手間のかかる不要な国家介入だと判断したのである。当時は、まだ自営業を担う「家」が中心の社会で、人々は地域共同体や大家族に包摂されて生活しており、親に問題があっても子どもたちはまともな大人と触れあうことで健康に成長できた。この社会的安全弁は、失われた。
 戦後の民法改正は「家」の自治を当事者の自治に変えただけだ。西欧の裁判所であれば、家庭内暴力(DV)被害者が助けを求めれば、加害者に別居命令を出し、養育費を取り立て、従わなければ刑事罰を加える。しかし、日本のDV被害者に残されているのは、逃げる自由だけである。DVは深刻な児童虐待であり、脳の成長を損傷する度合いは、肉体的虐待や育児放棄よりもむしろ大きいといわれる。そして児童虐待対応にかけられている公費も、日本は西欧諸国よりはるかに少ない。
 もちろん離婚後も親子の交流があるほうが望ましく、子の奪い合いにはときに強制力のある介入も必要である。しかし、それは物理的・精神的暴力から子を守りながら行わなければならない。パーソナリティーの偏りや精神的暴力の有無などを見抜く力のある精神科医や臨床心理士などのプロが調査・介入して、加害者に働きかけてリスクを軽減して初めて可能になる。親子断絶防止法案は、これらの支援の保障なく、当事者への義務づけを定めるもので、弊害が大きい。
 私は伊丹市の悲劇の詳細を知らないが、仮に父親が3カ月間、子に会えなくて精神的に病んだとしても、悲劇の責任は、面会交流を試行錯誤した母親にあるのでは決してない。子を守れなかった責任は、親を放置して育児を支援しなかった、私たち日本社会の無責任な無策にある。

虚偽DVに対する刑事告訴

平成28年3月に千葉家裁松戸支部で「フレンドリーペアレントルール(寛容性の原則)」による親権者決定の判決を受け、一方、平成28年11月の控訴審判決で「継続性の原則」により親権を失った当事者が、虚偽の配偶者暴力(DV)をねつ造し流布したことによる元妻側弁護士等の名誉棄損に対し、平成29年9月28日に当該関係者を刑事告訴しました。
また、関連記事(下記記事)が10月17日に産経新聞WEB版に掲載されました。

詳細は、全国連絡会のホームページ(こちら)をご覧ください。

親権1、2審逆転訴訟が刑事事件に 敗訴の父親が元妻支援の弁護士ら告訴 異例の展開

出典:平成29年10月17日 産経新聞WEB版

親権1、2審逆転訴訟が刑事事件に 敗訴の父親が元妻支援の弁護士ら告訴 異例の展開

長女(9)の親権をめぐる元夫婦間の訴訟で、「家庭内暴力(DV)をしていた」などと虚偽の事実を流布されたとして、長女の父親が、母親側を支援した弁護士や女性団体役員らを名誉毀損(きそん)罪で刑事告訴し9月末、警視庁に受理された。親権訴訟が刑事事件に発展するのは異例だ。同じ状況にいる多くの当事者らが、捜査の行方を注目している。

■「DV受けた」
 刑事告訴したのは、キャリア官僚の40代の男性。
 裁判記録などによると、男性は平成18年、国際機関での勤務経験もある元妻と結婚し、翌19年に長女が生まれた。しかし不仲になり、元妻は22年5月、男性が仕事で不在のときに長女を連れて自宅を出て別居状態となった。男性は同年9月以降、長女と会っていないという。
 その後、「不当な連れ去りであり、長女を返すべきだ」と主張する男性側と、「男性から(自分は)DVを受けており、子供を連れて逃げたのはやむを得なかった」とする元妻側の間で親権訴訟に発展した。
 1審千葉家裁松戸支部で元妻側は「男性と長女の面会交流は月1回程度」と主張。一方、男性側は「親権を得たら長女を年間100日程度、元妻と面会交流させる」と提案した。
 28年3月の1審判決は、男性側の提案を「長女は両親の愛情を多く受けられ、健全に成長できる」と評価し、男性を勝訴とした。また男性によるDVは「なかった」と認定した。

■“画期的判決”と注目
 親権訴訟では、(1)成育環境が一変するのは子供に不利益との考えから、同居中の親を優先する「継続性の原則」(2)父親より母親が養育するのが望ましいとする「母親優先の原則」-などが重視される。
 この1審判決は、従来の基準ではなく、より相手に有利な条件を提示した親を優先する欧米的な「寛容な親の原則(フレンドリーペアレントルール)」を日本で初適用した事例として注目を集めた。
 しかし、控訴審の東京高裁は29年1月、「面会交流の回数を過剰に評価すべきではない」として、「継続性の原則」「母親優先の原則」を重視し、男性を逆転敗訴とした。ただ、DVについては1審同様「なかった」と判断した。男性は上告したが同年7月、最高裁は上告を棄却した。

■「名誉毀損だ」
 そして男性は刑事告訴。警視庁が受理した告訴状の概要は次の通りだ。
 (1)元妻を支援した団体の役員らが1審判決後、「元妻は男性から暴言、暴力、精神的・経済的な虐待を受けていた」などと記した署名を呼びかける書面を、不特定多数の人に配布した。
 (2)高裁判決後に元妻側が開いた記者会見で、代理人弁護士が「夫妻仲が悪くなった理由は、男性によるDVがあったため」などと記した資料を配布した。
 (3)控訴審判決について、厚生労働省が主管する男親による子育て支援活動「イクメンプロジェクト」の男性委員が、会員制交流サイト(SNS)上で「6年近く父親と別居している女の子をモラハラ夫(父)に引き渡すわけがないだろう」などと発言した。
男性は告訴状で「虚偽の内容を記した資料配布や発言により、社会的地位が傷付けられた。名誉毀損に当たる」と主張している。

■告訴の背景は…
 親権争いをめぐっては、父親側団体などが「子供の連れ去りは一種の“誘拐”なのに、『継続性の原則』により親権訴訟で有利になるのはおかしい。裁判官もDVを簡単に認定する傾向がある。これでは不当な連れ去りはなくならない」などと問題提起してきた。

一方で、母親側の団体などは「父親側は自身のDVについて無自覚だ。DVを行う父親のところに子供を残すわけにはいかず、子供を連れて行くのはやむを得ない」などと主張。両者の主張は平行線をたどる状況が続いている。
 男性は刑事告訴した意図について「親権争いをビジネスにしている勢力が一部におり、その意味では元妻も被害者だ。DV冤罪(えんざい)の問題を社会に問いたい」説明。
 その上で、「DV自体は決して許されるものではない。しかし世の中には、そのような意識を逆手に取ろうとする勢力がいることも事実だ。これまで、DVというぬれぎぬを着せられて苦しんでいた方々にも、告訴受理が一つの救いになればよいと考えている」としている。
            ◇
ドメスティックバイオレンス(DV) 暴力など「身体的虐待」▽脅迫など「精神的虐待」▽金銭を渡さない「経済的虐待」-などが該当するとされる。被害者はPTSD(心的外傷後ストレス障害)などを発症する場合がある。一方、親権争いでは、一方の親が裁判で有利になるためにDVを主張し、証拠が乏しくても認定される場合があるとされ、一部の専門家らが是正を訴えている。

父へ母へ「愛されたかった。さようなら」…虐待被害100人、醜い親への手紙

出典:平成29年9月23日 読売新聞

父へ母へ「愛されたかった。さようなら」…虐待被害100人、醜い親への手紙

 児童虐待を受けた100人が、親に宛てた手紙を集めた「日本一醜い親への手紙」(dZERO刊)が10月上旬に出版される。1997年、同じタイトルで10万部を売り上げた本の第2作。親への憎しみや愛されなかった悲しさ、決別の言葉がつづられている。寄稿者の一人は、取材に「虐待で苦しむ人たちに、『一人じゃないよ』って伝えたい」と話す。

1日かけてスマホで打った母への手紙を読み返す麻衣さん。憎しみと悲しさが入り交じった複雑な思いがつづられている

「お母さんを殺すか、自分が死ぬか…」

 「お母さんを殺すか、自分が死ぬかで何度も迷ったんですよ」

 大阪府内に住む鍼灸(しんきゅう)師の麻衣さん(32)(仮名)は、母親への手紙で、自身の生い立ちをそう振り返った。

 4歳の時、虐待が始まった。母親は出産後まもなく離婚しており、麻衣さんが「お父さんに会いたい」と伝えたところ、激怒して頬を思い切り殴られた。

 小学生になっても暴力は続き、「娘というのは、母親の機嫌次第で殴られ、蹴られるものなのだ」と思っていた。

 鍼灸師の専門学校を卒業後、家を出て開業したが、母親の過干渉でうつ病に。昨秋、医師の勧めで母親との連絡を絶った。それから1年。今はパートナーと子どもの3人で幸せに暮らす。

 手紙では、母について「もう何とも思いません。憎むことで縛られたくない」とつづる。ただ、手紙はこう締めくくられる。

 「でも、本音を言うと…悲しいし、寂しいです。お母さん、あなたに愛されたかったです。さようなら」

虐待受けながら、それでも親を愛そうと…

 手紙は4~6月にインターネット上で公募された。本に登場する100人は中学生から50歳代。性的虐待や暴力、進学に必要なお金を用意しないなど経済的な虐待を受けたケースがあった。麻衣さんは「虐待を受けている時、自分は世界にひとりぼっちだと思っていた。でも、同じように苦しむ人がいると知り、それだけで心が楽になった」と言う。

 編集は、前作から引き続きフリーライターの今一生さん(51)が担当した。今さんは「虐待を受けながら、それでも親を愛そうと、大人になって苦しむ人は多い。本には、『無理してつきあっていく必要はないんだよ』というメッセージを込めた」と話す。
 四六判264ページ、1800円(税抜き)。

こころぎふ臨床心理センターの長谷川博一センター長の話

 「虐待を受けていたのに『親とうまくいかないのは自分のせい』と自らを責めがちな人が読めば、その考えから抜け出すきっかけとなり得る。過度に親への不信感を募らせる場合もあり、悩んだら、一人で抱え込まず、専門家に相談してほしい」

(私の視点)離婚後の子育て 共同親権で親子の関係守れ 大森貴弘

出典:平成29年9月21日 朝日新聞

(私の視点)離婚後の子育て 共同親権で親子の関係守れ 大森貴弘

 離婚後の父母が共同で子を育てる共同親権制度が世界中に広がっている。離婚した父母が笑顔で子を受け渡し、子はふだん別居している親と交流する。週末や夏休みには別居親のもとで宿泊し楽しく過ごす。そんな光景が世界の国々では当たり前に見られる。
 一方、我が国は子の健全な発達には両親が必要との認識が薄く、先進国で共同親権を認めない唯一の国である。毎年約23万組が離婚し、その6割に未成年の子がいるが、離婚後は単独親権となるため、親権争いが激化しやすい。親権を失った親は、子との面会交流を拒否されるなどで、6割以上が子に会えなくなる。毎年約15万人の子が別居親との絆を断たれている。
 こうした親子の「断絶」を防ぐための法律(親子断絶防止法)を超党派の議員連盟が準備している。親子の面会交流を促進しつつ、国や自治体に親子関係の維持を促す理念法である。将来の共同親権導入を検討する旨の付則もある。
 他方、面会交流での「リスク」を理由に法案に反対する人々もいる。リスク事例として挙げるのが、今年4月に兵庫県伊丹市で起きた父子の死亡事件だ。父親は別居している長女との面会交流中に、無理心中を図ったとみられる。事件当日まで約3カ月間、面会はなく、父と娘は引き離しの状態にあった。父親は、娘と会えぬ悲しみから精神科に通院していたという。
 原因は親子断絶による父親の精神状態の悪化にある。面会交流が継続されていれば事件は起きなかったはずで、親子断絶の問題を告発した事件と言える。
 外国の例では、ドイツでは子を育成する親の権利が憲法で明文化されており、連邦憲法裁判所は、単独親権を定めた民法の規定を「憲法違反」とし、共同親権が法制化された。米国でも親の権利が憲法により導き出され、すべての州で共同親権が導入されている。
 日本は憲法に親の権利の明文規定はないが、人権の普遍性や親子の自然的関係を論じた最高裁判決などが根拠になる。親子断絶防止法は、子の利益に資するとともに、基本的人権である親の権利の具体化としても意義を持つ。かけがえのない親子の絆を守り、子の健全な発達を期するためにも早期の制定が必要だ。
 (おおもりたかひろ 常葉大学講師〈憲法学〉)

離婚後も「子どもに会いたい・・・」面会交流

出典:平成29年9月16日 NHK・おはよう日本

[番組案内]離婚後の別居親子が会う「面会交流」でトラブルが相次いでいます。今年4月には父が娘を殺害するという痛ましい事件も。離婚時に公的機関が関与し、面会交流の支援体制を整備した海外の事例や国内の取り組みを通じて、再発防止のため社会は何をすべきか考えます。

「面会交流」テーマに岡山で講演

出典:平成29年9月11日 山陽新聞

「面会交流」テーマに岡山で講演

 離婚後に離れて暮らす親子が会う「面会交流」をテーマにした講演会が10日、岡山市内であり、市民ら約90人が理解を深めた。
 面会交流の日時や場所を決めたり、付き添ったりする支援団体で、家裁の調停委員や弁護士らでつくるNPO法人岡山家族支援センターみらいが開いた。 日弁連家事法制委員会委員の片山登志子弁護士(大阪弁護士会)が講師を務め、「離婚協議では、子どもの健やかな成育環境をいかに維持するか話し合うことが大切。子どもの気持ちに寄り添ってほしい」と呼び掛けた。 面会交流の頻度や時間など合意内容が履行されないケースもあるとして、「支援団体による援助を手軽に利用できるシステムの整備が必要」と指摘。兵庫県で4月、父親が面会交流中に幼い娘を殺害して自殺したとされる事件に触れ、「両親間の争いや暴力から子どもを守れる状態か、支援団体などが見極めることも重要」と話した。

孤立するひとり親家庭を支援 自治体が手厚く「集中相談会」

出典:平成29年9月8日 毎日新聞

孤立するひとり親家庭を支援 自治体が手厚く「集中相談会」

 孤立に苦しむひとり親家庭に支援情報を確実に届けようと、児童扶養手当の現況届を役所に提出する時期にあたる8月に合わせ、自治体の間に手厚い相談体制を整備する動きが出てきた。自ら制度を知り、申し込まなければ利用できない「申請主義」を超え、積極的に手をさしのべる取り組みが広がるか、注目される。

 先進的な子育て支援策に取り組んできた兵庫県明石市では昨年と今年、多くの職場が休みになるお盆期間を含む7日間に「ひとり親家庭総合相談会」を実施した。市役所内に▽生活▽子育て▽就労▽健康▽離婚後の面会交流や養育費のガイダンス▽法律--の相談ブースを設置。市の家庭児童相談員や保健師、弁護士資格を持つ職員のほか、民間支援団体やハローワーク職員らが相談員を務めた。

 「困っている親子を見落とさない」ための工夫は随所にある。まずは多くの親に相談会場まで足を運んでもらえるよう、現況届の提出を終えた人を職員が別棟の会場まで案内。会場では初めに、事前送付していた生活上の悩みを聞くアンケートを出してもらい、その内容に従って各相談ブースを紹介する。アンケートを提出した人には、プレゼント(昨年は図書カード、今年は企業の提供によるシャンプーなどの日用品)も用意した。
 会場で目を引くのは、「まったりスペース」と名付けられた中央の大きなテーブルと椅子。親が離婚した子を主人公にした絵本など、児童向けの本や、支援情報の冊子が並べられ、相談を受ける順番待ちの間に読める。今年、会場を訪れていた中学3年の息子がいる派遣社員の母親(40)は「教育費はためてきたが、自分の老後が心配。セミナーの情報が聞けてよかった」と笑顔を見せた。今年は、児童扶養手当の受給資格を持つ約2700人のうち、3割弱にあたる約730人が相談会場に訪れた。
 東京都武蔵野市や千葉県松戸市など相談ブースを設ける自治体は増えている。厚生労働省は昨年度から、こうした集中相談に取り組む自治体に経費の半額を約150万円まで補助する事業を始めた。明石市の相談会のコーディネートや、相談対応を手がけたNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」(東京都千代田区)の赤石千衣子理事長は「普段は相談に来ることの少ない父子家庭の父親の悩みもじっくり聞けた」と効果を強調。「孤立を防ぐには『役所が頼ってもいい場所』と知ってもらうことが大切。予算もさほどかからないので、多くの自治体に広がってほしい」と期待する。【反橋希美】

国際離婚の審判 母親と父親双方の訴え認めず

出典:平成29年9月8日 NHK

国際離婚の審判 母親と父親双方の訴え認めず

アメリカで離婚したあと、子どもを連れて帰国した日本人の母親とアメリカ人の父親が争った審判で、富山家庭裁判所は、母親が求めていた子どもを養育する権利を認めない一方、父親が求めていた子どもの引き渡しも認めない決定を出しました。
これはアメリカ人の父親が東京・霞が関で会見して明らかにしたものです。それによりますと、父親はアメリカで日本人の母親と結婚し、離婚したあとは子どもと暮らしていましたが、7年前に母親が当時6歳の子どもを日本へ連れて行き、その後、子どもを養育する権利を求めて富山家庭裁判所に審判を申し立てました。

これに対して父親は、国境を越えた子どもの連れ出しを解決するためのルールを定めた「ハーグ条約」が3年前に日本でも発効したことを踏まえ、子どもを引き渡すべきだなどと主張していました。

富山家庭裁判所の原啓一郎裁判長は、今月5日付けの決定で「母親は子どものパスポートを不正に入手したうえ、アメリカの裁判所が定めた養育計画に違反して子どもを連れ去っていて、強い非難に値する」として母親が子どもを養育する権利を認めませんでした。

一方で、父親が求めていた子どもの引き渡しについても「子ども自身の意思に反する」として認めませんでした。父親は「日本の司法は違法な行為を認めていると言わざるをえない。非常につらく、悲しい」と話していました。

離婚と面会交流 子どもの幸せ最優先に

出典:平成29年8月20日 北海道新聞

離婚と面会交流 子どもの幸せ最優先に

 離婚や別居で離ればなれになった親と子が定期的に会う「面会交流」を巡り、父母がもめるケースが後を絶たない。

 全国の家裁に昨年申し立てられた調停や審判は約1万4千件にのぼり、10年前の2倍を超す。

 少子化に加えて、親権を失っても育児に参加したい父親の増加などが背景にあるという。

 面会の時間や回数、方法をどうするか。本来は父母がじっくり話し合うべきだが、当事者だけでは解決が難しいこともあろう。

 ならば、行政や民間団体をはじめ、社会全体で円滑な面会を支える。子の幸せを最優先に、そうした取り組みを充実させたい。

 欧米では、離婚後も父母双方が養育する共同親権制度の国が少なくないが、日本は父母いずれかの単独親権しか認めていない。

 このため、「子に会いたい」「会わせたくない」という問題が起こりがちだ。

 トラブルの増加を受けて2011年に改正された民法は、面会交流や養育費の分担について、子の利益を最も考慮して決めると明文化している。

 親は、この法の趣旨を忘れてはならない。子の成長にとって、離婚後も父母双方とつながりを持ち続け、愛情を実感できることは大切なことだ。

 とはいえ、核家族が当たり前のいま、父母が配偶者以外に相談したり、協力をあおいだりするのは容易なことではあるまい。

 離婚時に感情的になっていたり、そもそも連絡が途絶えたりしていれば、解決はさらに遠のく。

 そこで期待されるのが、行政や民間団体といった第三者によるサポートである。

 先進的な例が、兵庫県明石市の取り組みだ。相談対応にとどまらず、面会の場所を提供したり、父母が顔を合わせなくても済むよう、子の引き合わせを仲立ちしたりしている。

 子どもを社会全体で育もうとする施策として、うなずける。

 一方、離婚や別居の原因が家庭内暴力や児童虐待などにある場合は、細心の注意が必要だ。家裁の許可を得た面会交流であっても、子を殺害し、親も自殺するような事件が起きている。

 子が面会を嫌がったり、危害を加えられる恐れがあるときは無論、会わせるべきではない。

 痛ましい事件を繰り返さないため、関係機関は可能な限り、面会の可否を慎重に見極める。そうした対応が不可欠だ。

コトオヤネットさっぽろ・親子ネットさっぽろ:第1回~6回取材記事

出典:平成29年8月1日~11日 ウタリくらぶ

離婚訴訟が長期化、平均1年超 財産分与巡り対立

出典:平成29年7月21日 日本経済新聞

離婚訴訟が長期化、平均1年超 財産分与巡り対立 最高裁報告

 2016年に判決などで結論が出た離婚訴訟の一審の平均審理期間は12.3カ月で、離婚訴訟が家庭裁判所の管轄になった04年以降で最も長かったことが21日、最高裁の報告書で分かった。財産分与などを巡る夫婦間の対立が深まり、解決が難しい事件が多くなっているとみられる。
 報告書によると、離婚の争いが大半を占める「人事訴訟」は昨年1年間で全国の家裁に約1万件起こされた。離婚件数そのものの減少を背景に、同訴訟の件数は12年から減りつつあるが、審理期間は10年(10.4カ月)から6年連続で長くなっている。
 報告書は「財産分与のための預金取引履歴の開示を巡って夫婦が対立したり、離婚原因について主張の応酬が繰り返されたりする」と長期化の要因を分析。夫婦間の解決が難しく、双方に代理人弁護士がつく割合も増えている。
 離婚に伴う養育費の支払いや子供との面会交流に関する審判や調停の件数は右肩上がりで増えており、審理期間も長期化。16年は平均6.2カ月で、前年より0.2カ月長くなった。
 全国の家裁が扱う離婚や相続などの案件は16年に初めて年間100万件を超え、迅速な解決が課題となっている。
 報告書は03年施行の裁判迅速化法を受けて最高裁が2年に1回まとめており、今回が7回目。

離婚後の親子関係(上)(下)

出典:平成29年7月19・20日 神奈川新聞

離婚後の親子関係(上)最善へ子の思い尊重
離婚後の親子関係(下)子どもの声聞き続ける

別居の父、逆転敗訴確定 親権は同居の母に、最高裁

出典:平成29年7月14日 産経新聞

別居の父、逆転敗訴確定 親権は同居の母に、最高裁

 長女の親権をめぐり、同居の妻と別居の夫のどちらを親権者にするかが争われた離婚訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は、夫側の上告を受理しない決定をした。「年間100日程度」の面会を提案した夫に親権を認めず、逆転敗訴とした2審東京高裁判決が確定した。決定は12日付。4裁判官全員一致の結論。

 確定判決によると、平成22年、妻が夫に無断で、当時2歳4カ月の長女を連れて家を出た。妻が夫を相手取り、離婚や親権者を自分とすることなどを求めていた。

 自分が親権を持った場合、離婚後に相手方に長女を面会させる日数について、夫は「年間100日程度」、妻は「月1回、2時間程度」を提案していた。

 1審千葉家裁松戸支部は、夫が多数回の面会を約束していることなどを評価し「長女が両親の愛情を受けて健全に成長するためには夫を親権者とすべきだ」と判断。現在の成育環境を維持するため同居中の親を優先する「継続性の原則」よりも、欧米的な「フレンドリーペアレントルール」(より相手に寛容な親を優先する基準)を適用した事例として注目された。

 これに対して、2審東京高裁は「面会交流に関する事情は唯一の判断基準ではない」とし、妻が一貫して長女を養育しており、長女も妻と暮らす意向を示していることなどから、妻を親権者とすべきだと結論づけた。

 ■面会交流 離婚後や別居中に子供を引き取った親が、もう一方の親に子供を面会させたり交流させたりすること。具体的内容や方法は、あらかじめ話し合いで決めるが、話がまとまらない場合、家庭裁判所に調停や審判の申し立てができる。調停では、子供の年齢や性格、生活環境を考えて、子供に精神的負担をかけないように配慮しながら話し合いが進められる。調停が不成立になると、自動的に審判手続開始となり、裁判官が判断することになる。

司法は機能しているか?
別居時の子どもの一方的な連れ去りとその後の別居親子の断絶が社会問題とされ、多くの報道もされる中、民法(離婚後の単独親権制度等)が別居親子の基本的人権や生存権を保障する憲法違反に該当するか否かなど最高裁が審議する意義と社会的影響は大きかったですが、最高裁がそれを放棄した罪は深いと思います。

「離婚はしないがカネはくれ」婚姻費用で人生台無しになりました

出典:平成29年7月9日 現代ビジネス

「離婚はしないがカネはくれ」婚姻費用で人生台無しになりました
西牟田 靖

前編では、大手広告代理店で働くAさんが妻に子ども二人を連れ去られた後、婚姻費用(夫婦間で別居をする場合、相手の暮らしを支えるために支払う生活費)によって、貯蓄をすべて失おうとしている様子を記した。
後編では、別居後、実際に婚姻費用を支払わされている男性たちの苦闘ぶりについて、記してみたい。彼らはいったいどのような苦難を経験したのか。

交通事故が不幸の始まり
「3年前の暮れ、妻が交通事故を起こし、死亡事故の加害者となってしまいました。事故の3ヵ月後、妻の弟の結婚式があったのですが、事故のショックやご遺族のお気持ちを考えて夫婦ともに欠席しました。
そのことにメンツをつぶされたと思ったのか、義父母は私に対し大変立腹、その後、私たち一家の分断をはかりました。昨年の3月下旬の夕方、自宅アパートに帰ると、家の中はガランとしていて、妊娠中の妻はもちろん、小学生の長男と長女までもいなくなっていました」
そう話すのは東北に住む高校教師Sさん(43)である。
昨年6月、Sさんは妻から離婚の調停を申し立てられた。夫婦別居時に相手の生活費を支払う「婚姻費用」は裁判所の算定表で即座に決まった。その額はSさんの手取り29万という月給の半分以上にあたる15万円と高額である。
「月14万円では生活を維持できません。光熱費や携帯電話代、ガソリン代、水道代そして食費と支払った上に、アパートの家賃6.2万円を払うと毎月赤字になってしまいます。思い出のこもった自宅アパートで帰りを待ちたかったのですがそれは不可能です。私は隣町の実家に引っ越さざるを得ませんでした」
算定表は子どもの年齢と人数、夫と妻の賃金という要素によってほぼ自動的に決まっていく。専業主婦だったSさんの妻は別居後に働き始めたが、Sさんの支払うべき金額は変わらない。婚姻費用は妻の給料によって左右されるべきなのだが、一度決まったものはなかなか見直されない。
「妻側は離婚が成立しなくても左うちわです。婚姻費用のほかに月給はもらえていますし児童手当や児童扶養手当などといったものも入って来ます。
離婚が成立したらしたで財産分与もあります。一戸建てを建てるために私が積み立てた1000万円などがその対象になる一方、お年玉を入れていた子供用の通帳などは調停が始まる前にすべて下ろしてしまったそうですから、対象外です。
妻は離婚訴訟を起こすという話をしてきてはいます。しかし現時点では私のところに訴状は来ていません」

「結婚はリスクですよ!」
最先端チップの開発に関わる大手エンジニアのYさん(40)も前編に登場したAさん同様、心身に変調を来した妻に暴力を振るわれた末の別居であった。
「妻は11歳の娘を産んだ後、甲状腺機能亢進症という病気になり、酒の力を借りるようになりました。
それ以来、暴言や暴力が止まらなくなり、警察を呼んで仲裁に入ってもらうこともしばしばで、私は心身ともに消耗してしまいました。そして一昨年の3月、親子3人で住んでいた3LDKのマンションを1人後にしました」
Yさんの年収は総額で約700万円(手取りは約500万円)だが、婚姻費用は5万円。というのも妻の年収300万円弱が考慮されているからだろう。
彼はそのほか現在住んでいるアパートの家賃4.6万円、生活費、弁護士費用などを支払っているため、現在の手取りの月給42万円のうち10万円ほどしか残らない。
マンションの鍵は取り替えられてしまい、家に入れなくなったが、ローン+管理費等の15万円は払い続けている。
「仕事が手につかないため、降格となり、年収は100万円以上減りました。現在は、睡眠薬と抗うつ剤を服用しています。
子どもには3ヵ月に1回程度会えるかどうかという感じです。子どもが生まれるまでは仲の良い夫婦だったというのに、産後の病気によって地獄へ落とされてしまいました。
まさかこんな事になってしまうなんて思いもしませんでしたよ。結婚そのものがリスクですよ。ほんとなら出会うべきでなかったのかもしれません。首をくくりたいと衝動的に思ってしまうこともあります」

家に帰ると置き手紙が
ロボット開発を手がける大手のエンジニア、Tさん(49)はAさんやSさん同様、帰宅後、家から妻子がいなくなっていたケースだ。
「4年前、帰宅すると14歳年下の妻と生後7ヵ月の娘がいないんです。部屋には置手紙があり、『あなたは私のことを対等に見てくれませんでしたね』と書いてありました」
5年前、中国地方にある実家に妻は里帰り出産、二人が関東に戻ってきてからは育児休暇を2週間取得し、ともに育児をした。ところが翌年の始め、妻は娘を連れて突然家を出て行った。
その後、妻からは離婚や婚姻費用の調停を申し立てられる。一方、Tさんは娘との面会交流などの調停を申し立てた。離婚は成立しておらず、婚姻費用を払っている彼は、現在ひときわひどい経済的苦境に置かれている。
「今年に入ってからは、親から受け継いだ遺産や結婚前から持っていた貯金すら尽きてしまい、いまやカードローンに頼っています。面会交流の調停のおかげで、2年間で30分ずつ合計2回しか会えなかったころに比べると、昨年10月以降、2ヵ月に1回、娘に会えるようになったのは幸いです。
しかし娘に会うのに毎回かなりの出費です。飛行機だと5、6万円、新幹線で4万円前後、高速バスで3万円前後と往復でかかりますから。ドタキャンされたこともありますよ。だからキャンセルのきかない早期割引購入チケットは手を出せません」
彼の給料は総額で600~700万円。妻はパートの仕事をしており、娘1人ということで、算定表の額面通りの12万円を支払っている。
「婚姻費用はもう4年以上払っています。合計で600万円以上払っていますが、離婚はまだ成立する見込みがありません。
娘がいなければ、親権や監護権の問題が発生しないわけだし、妻の要求していた慰謝料300万円を支払って素早く離婚していたと思います。しかし、親権の決着がつかないため離婚が成立せず、婚姻費用が膨れ上がった。結局、慰謝料以上のお金を支払っています。
今後、離婚したらしたで、様々なお金が生じますので、そのときは多額の借金をする必要がでてきそうです。
着手金しかまだ払っていませんが、離婚や婚姻費用のほかに子の引き渡しや保全処分、面会交流と様々な調停を依頼しましたから、弁護士にも報酬を支払わなければなりません。離婚が成立すれば、妻の生活費を払わなくてよくなりますが、養育費は月々6、7万円発生するでしょう」

お金が欲しいので離婚はしません
次に紹介する二人は年収1000万円を超える高額所得者のケースである。一人はメガバンク、もう一人はテレビ局勤務という、人がうらやむような職業の人たちだ。エリートだから故の大変さはあるのだろうか。
「妻とは2年交際した後に結婚をしました。4年前のことです。しかし結婚期間は2週間しかありませんでした。というのも、まだ乳飲み子だった息子を妻が関西の実家に連れて帰ってしまったからです。
私の年収は約1300万円。内訳ですが、給与所得が総額1000万円で不動産収入が300万円です。一方、妻の年収は360万円と計算され、婚姻費用は11万円となりました」
そう話すのはメガバンクで働いているFさん(47歳)である。収入の割に婚姻費用が安いのは、これが3度目の結婚で、最初の結婚で長女、二回目の結婚で長男と次女という三人の子どもがすでにいるからだ。
「長女の養育費は毎月5万円です。長男と次女ですが、当初は長男のみに5万円という双方が合意した額を払っていましたが、その後、裁判で次女の養育費を3万円支払うようにという決定が出たため、二人分で8万円となりました。二人の割に安いのは、前妻の収入が約900万円あったからです」
とすると、4人合わせて毎月24万円を払っているのか。
「長女に関しては、2年前から養育費の支払いを中断しています。元妻から『もう払わなくてよい』との申し出があったためです。
ちなみに長女とは別れてから一度も会わせてもらっていません。長男と次女に関しても現在は払っていません。前妻が再婚し、二人の子は再婚相手の養子となったからです。
それを受け、裁判で養育費は0円と確定しました。ですので今は二男と妻の婚姻費用、11万円だけを払っているということになります」
結婚生活をどう振り返るのか。
「私はさんざん結婚に失敗していますが、今からでも平和な家庭を築いてパートナーと一緒に子育てしたいし、今会えていない子供たちに対しても可能な限り関わり、成長に貢献していきたいと願っています。
同居しなくても養育費以上の金を受け取れるから、妻からは離婚の申し立てはありません。今後、彼女が金持ちで都合のいい男性と出会えば、再婚するために離婚を申し立ててくるでしょうけどね」

自転車操業でなんとかやってます…
「年下の妻と結婚したのは40をすぎてからのことでした。子どもに囲まれて暮らすのを夢見ていたので、奮発して都心に近い街に4LDKのマンションを購入して結婚生活がスタート。
定年までにローンを払い終えようと、銀行から4800万円を借り入れてローンを組みました。普通よりも短い20年ローンを組んだため、結婚前のような豊かな生活とは程遠い、節約を意識しなくてはならない生活になりました」と話すのは40代後半のテレビ局に勤務するCさんだ。
多いときには年収総額が1500万円超という高額所得者であるCさんだが、年間約270万円のローンの返済に加え、管理費や駐車場代が年60万。子ども2人の保育園代年96万、学資保険代年48万などを支払うと決して生活に余裕はなかったという。
「夜の人付き合いも大事にされるテレビ業界。仕事中心になりがちで、家族の不満が溜り夫婦関係がギクシャクするというのはよくあるようです。
ウチでは、二男を出産した後、妻の精神状態は急に不安定になりました。いつも機嫌が悪く、私が遅く帰宅するたびに激怒され、平手打ちの連続なんてこともあり、とても手に負える状態ではありませんでした」
一方、彼は小遣い欲しさで始めた株の運用が成功、夫婦関係の修復のために、株取引で儲かったお金で妻に洋服を買ってあげたり、妻の実家を二世帯住宅として建て替える計画を立てたりする。
「株の含み益が数百万円になったとき、『あなたの実家を2世帯住宅に建て替え、ご両親の助けを得ながらゆとりのある環境で子育てをしよう』と提案したところ、妻は涙を浮かべて喜んでいました」
ところがその後、Cさんの夢がもろくも崩れ去っていく。
「調子が良かった銘柄が急落して半値になったんです。家を建て替えるためにはここで損をする訳にはいかない。リスクを承知でキャッシング(カードローン)して、株を買い増したところ、株価はさらに下がっていき、最終的には1000万円の借金を抱える身となってしまいました」
Cさんは妻に、育児休暇明けで仕事に復帰したら月3万円で良いので家計に入れて欲しいと懇願する。
「疑心暗鬼となった妻は、子どもを連れて実家に帰ってしまいました。その後、弁護士を通じて、『離婚に応じよ』『月額20万円の婚姻費用を支払え』と通知してきたんです」
借金と突然の別居、婚姻費用の請求、さらには愛する子どもたちに会えなくなるという四重苦に陥った。
Cさんは婚姻費用の額をめぐって調停で争うことになるが、別居時の生活費の額は婚姻費用算定表により自動的に決められてしまう。
「『株で作った借金は家を建て替える目的で行ったものであり、失敗の責任をすべて私が負うのは不公平だ。収入から損失額を差し引くなど考慮して欲しい』と懇願したんですが、一切考慮されることはありませんでした」
こうしてCさんは毎月20万円の婚姻費用を妻に支払うことが決まった。
「婚姻費用を払うために、含み損をかかえた株をすべて処分しましたが、約1000万円の借金が残りました。婚姻費用を払うと住宅ローンとカードローンが返せなくなりました。
ローン支払日が来ると、他社から借りて返済するなど自転車操業でその場その場を凌ぎました。何のために生きているのか分からなくなり、辛くて仕方がなくなりました」
その後、Cさんは自宅マンションを売却する。カードローンの借金約1000万円をすべて完済することができたが、思い出のこもったマンションと家族を失った。
「子どもの成長のために必要なお金だというのは分かっているんです。でも、毎月20万円払って、子どもたちと会えるのは月にたったの1回1時間だけというのはあんまりです」

婚姻費用という「副作用」
夫の意見ばかりを聞いているので、妻がどう思っているかはここではわからない。しかし6人が6人とも、家族が壊れるということを望んでおらず、子どもたちに愛着を示しているという点が共通していた。
一方で、離婚裁判が長引けば長引くほど、婚姻費用の総額は膨れ上がってしまう。お金のことだけ考えると、親権などの条件が悪くても、早期に離婚した方がいいとも言えるのだ。
「夫が妻の主張に対して、DVはないとか、モラハラではないとか、逆に妻に暴力を振るわれたとか、不貞は働いていないとか、子供の親権を持ちたいとか、裁判所に申し立て、法廷で戦いたいと思っても、1年、2年さらにそれ以上の年月がたてば、婚姻費用の額が慰謝料や財産分与以上の金額に膨れ上がります。
そこに係争費や家のローンや遠方への交通費などが加われば経済的な損失は相当なものです。その場合、夫が自分の言い分を裁判所で主張したいと思っても、経済的負荷に耐えられず降参――ということが起こりえます。
本来自身の主張を尽くして判断を受けるという手続が保障されているはずなのに、事実上この機会が奪われてしまうのです。一方、性別が逆のケースも中にはあります」(古賀礼子弁護士)
通常ならば、夫婦間で別居時の相手の暮らしを支えるためのお金である婚姻費用。これが、より多くのお金を得たいとか、いい条件で離婚したいなどという別の目的で使われることで、意図しない別居、そして経済的に大きな損失を夫に背負わせることになる。
これは、結婚している男なら誰にでも起こりうることだと心得てほしい。中でも子どもがいる父親、さらには高額所得者やサラリーマン、公務員といった取りっぱぐれのない職業の人たちは、そのリスクについて特に肝に銘じておいた方が良いだろう。

離婚裁判450日...はざまで揺れる少女。

出典:平成29年7月5日 フジテレビ 【みんなのニュース】

子どもの気持ちをわかった気にならないで」~親の離婚を経験した当事者たちが大人に伝えたいこと

出典:平成29年7月2日 Yahooニュース

「子どもの気持ちをわかった気にならないで」~親の離婚を経験した当事者たちが大人に伝えたいこと
大塚玲子(編集者、ライター)

 いま、年間約124万人の夫婦が離婚を選択しており、これによって毎年約23万人の子どもたちが、親の離婚を経験しています。
しかし、わたしたち大人の耳に、子どもたちの声が届くことはなかなかありません。子どもたちは本当のところ何を感じ、親や周囲の大人たちにどんなことを求めているのでしょうか。
2017年6月25日、離婚家庭の子どもを支援するNPO法人ウィーズが、講演会「離婚後の親子関係」を開催しました。登壇したのは、かつて親の離婚を経験した7人の当事者たち。年齢は19~36歳、親の離婚を経験した時期は5~21歳とさまざまです。
自身も親の離婚を経験したウィーズ副理事長・光本歩さん(28)による進行のもと、登壇者7人が、それぞれの体験や思いを率直に語ってくれました。(※以下、お名前はすべて仮名です)
*「大人の責任としてどうなのか」
最初の質問は、離れて暮らす親(別居親)とのかかわりについて。
別居親が子どもの生活を経済的にサポートする「養育費」や、子どもと別居親が時間を共有する「面会交流」について、当事者たちはどんなふうに感じているのでしょうか?
別居親(父)とはときどき会っているものの、養育費はもらっていなかったというDさん(♀・21)は、こう語ります。
「以前、探し物をしているときに、両親が養育費の約束を取り交わした書面をたまたま見つけてしまいました。離婚や再婚をしても親であることには変わりないですし、しかも約束を交わしているのに払わないというのは、大人の責任としてどうなのかと思います」
同様に、養育費はなかったものの、継続的に別居親(父)と会ってきたというAさん(♀・36)は「父から『会いたい』と言って、アクションを起こしてくれる姿勢は純粋にうれしかったし、愛情として感じられた」といいます。
一方で、別居親から子どもに対して何のサポートも働きかけもない離婚家庭も、日本ではまだ決して少なくありません。
離れて暮らす父親とは「中学のときに一度会ったきり」というCさん(♀・26)は、父親の連絡先もわからないと言います。
母親は精神的な不調を抱えており、「自分を手放さずに育ててくれたことに感謝している」というCさんは、「もしいま父親が“亡くなっている”と聞いても、正直、なんとも思わないと思う」と話します。
他方で、離別親(父)から養育費を受け取り、会いたいときに会ってきたというBさん(♀・22)は、「自分はいいケースだと思う。父にも母にも感謝している」といいます。
「父は再婚してからも、会うたびに『(きょうだいたち)みんな自分の子どもだからね』と言ってくれたし、母も内心では複雑な思いがあったのに、『わたしは止めないよ』と言ってくれていました。愛されている、ということに疑問をもったことはないです」
なお、養育費や面会交流が夫婦間で争いの種となりがちなことについては、こんな意見がありました。
「(養育費や面会交流が)子どもへの愛情の表れならいいと思うけれど、もし“両親間の葛藤を軽減するため”にあるんだったら、愛情とは受け取らないと思う」(Gさん♀・23)
子どもたちの目は、冷静です。
養育費や面会交流があったにせよ、なかったにせよ、子どもは子どもなりに、別居親や同居親のあり方や現実を、まっすぐに受け止めていることが感じられました。
*「自分の気持ちがわからない」こともある
年月を経るなかで、「親の離婚に対する見方が変わった」という声も聞かれました。
「母の不倫が、離婚のひとつの大きなきっかけだったと父からは聞いていましたが、家族の問題ってすごく複雑に絡み合っていて、一概には言えないと思うようになりました。いまは(離婚原因は)父と母と半々だと思っています」(Gさん♀・23)
社会人になって「いろんなことを客観的に見られるようになった」というAさん(♀・36)も、「父の事業がうまくいかず、金銭面の問題で離婚したと母から聞きましたが、いまは“6:4(父:母)”くらいだったと思っています。以前はもっと父の比重が高いと思っていました」と話します。
親に対する思いも、時を経るにつれて変化するようです。
たとえば、中3まで母親と暮らしていて高校からは自らの意思で父親と暮らし始めたというEさん(♀・19)。
「母(同居親)の再婚相手とどうしてもうまくいかず、大好きだった父に自分から連絡をとって、家を出ました。それまでは母を恨み続けていましたけれど、離れてからは母ともうまく付き合えるようになりました。
小2のときに親が離婚して、小さいときは“離婚してほしくなかった”と思っていましたが、いまは両親とも幸せそうに暮らしているので、これでよかったんだな、と感じています」
なかには、10年近くかかってようやく、親が離婚した事実を受け止めることができた、という人もいました。
「いつかまた両親が一緒になってくれるんじゃないか、ってずっと思っていました。でも母も父も再婚して、『やっぱり離婚したんだなぁ』と思って、大泣きして、そこでやっと、離婚の事実に目を向けられるようになった感じがします」(Bさん♀・22))
他方では、「自分の気持ちがわからなかった」という声もありました。
「わたしはずっと母(同居親)に合わせてきたところがあって、親への本当の気持ちがわからなくなっていたと思います。一緒に住んでいた頃、父を好きだったかどうかも、よくわかりません。親の感情を押し付けないでほしかったな、と思います」(Cさん♀・26)
子どもたちが当時感じたことも、いま感じていることも、当事者の本音でしょう。どちらもきちんと尊重されたいものと感じました。
また、子どもが「自分の気持ちがわからない」と感じるような状況を生まないよう、大人たちが気をつける必要性にも気付かされました。
*親の感情は子どもにダダ漏れしている
“親に言いたかったことや、これから離婚する親に伝えたいことは?”という質問に対しては、まず、「親の葛藤に子どもを巻き込まないでほしい」「相談相手が必要」といった声がありました。
「夫婦間の葛藤に子どもを巻き込まないでほしいです。自分の傷つきやフラストレーションの解消に、子どもを使わないでほしい。子どもは両親間の葛藤を見て、すごく傷が増えていくので、そういった配慮をしてもらえたらと思います」(Gさん♀・23)
「子どもは状況を一方的に押し付けられるだけ、ということを、もっと大人が理解しないといけないのかなと思います。親も大変だとは思いますが、大人は人に話したり、助けを求めたりできます。子どもは幼いほど、そういう術がありません」(Cさん♀・26)
「子どもに聞かせたくない話は、外でしてほしかったな、と思います。母と祖母は、わたしにはわからないだろうと思って話していたけれど、じつは全部わたしに聞こえていたし、内容は筒抜けだったので」(Dさん♀・21)
「隠しているつもりでも、親の“感情”は子どもにダダ漏れだということをわかってほしいです。ちょっとした空気の変化も、子どもはすぐ察します。わたしも母(同居親)も、もし相談できる第三者がいたら、もう少しよかったのかなと思います」(Aさん♀・36)
離婚で大きなストレスを抱える親たちは、どうやら気付かないうちに、子どもたちを傷つけたり、その心に負担をかけたりしているようです。
親の選択をただ受け入れるしかない子どもたち。周囲の大人たちは、そんな子どもたちの状況に、目を向けることが求められています。
*自分のフィルターを外して耳を傾けてほしい
そしてこの日、最も強く心に残ったのは、「子どもの声にもっと耳を傾けてほしい」という、当事者たちの切実な思いでした。
「もっとわたしの気持ちを、しつこいくらいに聞いてほしかったな、と思います。離婚のとき“(父と母の)どっちが好き? どっちと暮らす?”と聞かれて、わたしはどちらも好きで、その気持ちを言えませんでした。
その後、勇気をもって自分の意思を伝えたときも聞いてもらえなかったし、それ以上は言えなかった。子どもの気持ちをわかった気にはならないでほしい、と思います」(Eさん♀・19)
「父は“子どものために”という言葉を殺し文句のようにふりかざしていましたが、自分のフィルターをはずして、ちゃんと子どもの気持ちを聞いてほしかったです。子どもにとって何が一番有益で幸せか、そのために何ができるか'''、考えてほしかった」(Gさん♀・23)
「離婚自体は仕方のないことと思いますが、その選択によって、子どもの選択肢を狭めてほしくないなと思います。また、子どもが“こうしたい”と言っていることは、ちゃんとその意思を尊重してほしいです」(Fさん♂・29)
「一口に(親の)離婚を経験した人と言っても、ケースによって、その子によって、全然違います。だから、実際に親が離婚した子どもとかかわるときは、“その子が、どう思ってきたか”ということをちゃんと知ってほしい、とすごく思います」(Bさん♀・22)
また、大人の思い込みを正すような、こんな発言もありました。
「(離婚した親は)責任を感じすぎないでほしいな、と思います。親から『あのとき離婚しちゃって、ごめんね』という言葉をかけ続けられると、子どもがプレッシャーを感じてしまうこともあります。
ある程度までは責任を感じてほしいですけれど、そこから先は、親子でも“一対一の人間”として、ふつうに接してくれたらと思います」(Dさん♀・21)
このように、親が離婚した子どもたちの声からは、大人たちの思い込みに対する違和感や苛立たしさのようなものが伝わってきます。
大人たちはつい自分たちの物差しで、「子どもはこう感じているに違いない」と思い込みがちですが、実際にはそうではないことが、たびたびあるようです。
親が気にしていることを子どもは気にしておらず、子どもは子どもで、全く別の問題を感じている可能性がある、ということを、常に念頭においておく必要があるのかもしれません。
大人は、子どもの気持ちを「わかった気」にはならず、一人ひとりの子どもの声に、丁寧に耳を傾けること。
離婚をするときに限りませんが、子どもと接するすべての大人が、忘れてはいけないことなのだろうな、と感じました。

田村淳の訊きたい放題!「親子断絶防止法案とは?」

出典:平成29年7月1日 東京MXテレビ

木村氏(憲法学者)や駒崎氏が法案や家裁の運用実態を理解せず、あるいは一方的な解釈により放送された内容となりました。
※下記は、番組内容の疑義の一例です。
◆改正民法(766条等の改正)が平成24年4月に施行されており、現行民法で対応可能であり、親子断絶防止法は不要ではないか?
⇨最高裁家庭局から何度も家裁に周知されたましたが、家裁は面会交流に対する運用(月1回2時間の審判が一般的)を変えず、その実態を受け 親子断絶防止法 が国会で検討されています。
◆法律によりDV被害者が逃げられなくなるのではないか?
⇨法案は、児童虐待や真のDV被害者に対し、第9条で特別の配慮を規定しています。
◆現行民法で親権と監護権の分属ができるから親子断絶防止法は不要ではないか?
⇨民法上は親権と監護権の分属はできますが、分属により各権利の円滑な行使が父母に出来なくなるため特別の事情を除き、一本化を図るべきが裁判所の考えです。
※参考:名古屋ブレイブハート法律事務所 ホームページ
http://rikonweb.com/shinken/884.html

<子の幸せは?>「産んだ子と暮らしたい」 親権争い、母優先から変化も

出典:平成29年6月30日 東京新聞

<子の幸せは?>「産んだ子と暮らしたい」 親権争い、母優先から変化も

 子育て中の夫婦が離婚や別居をしたとき、子どもの面倒をどちらが見るのか。この問題をめぐる両親間の紛争が増えている。調停や審判では、母親を選ぶケースが多いが、割合は少ないものの、父親を選ぶケースも一定数ある。「産んだ子どもと一緒に暮らせないなんて」と母親からは嘆きの声も出ている。 (寺本康弘)
 首都圏に住む四十代の女性は三年前、長男を出産。直後から育児への不安で眠れない日が続いた。心療内科で産後うつと診断されたため、子を夫に託し、療養のため実家に戻った。
 女性によると、それを境に夫の態度が変わったという。約一カ月ぶりに自宅に戻ると追い出され、荷物も女性の実家に送り付けられた。何度か二人で会ったが、「出産後に家事をしなかった」などと責められ、話し合いにならなかった。子には会えなかった。
 女性は別居から半年ほどたった後、子どもを引き取って暮らすため、同居して面倒を見る役割の「監護者」指定を求めて家庭裁判所に申し立てた。
 しかし家裁は父親を監護者に指定した。現状では子どもが父親側に安定的に監護されており、この環境維持が子の福祉にかなうと判断したからだ。一方で母親と暮らすと、保育園を移らねばならず、子どもを不安定な状況に置くことになると女性の主張を退けた。現在も離婚はしていない。
 女性は「裁判所は継続性の重視というが、現状を追認しただけ。どちらの親が子にとって良いかはまともに比較しなかった」と批判する。
 どちらが子どもと暮らすのかをめぐる裁判所への申立件数はおおむね増加傾向だ=グラフ。少子化や、父親側が子どもと暮らしたいといった意識変化などが背景にあるとみられる。二〇一五年の司法統計によると、子のいる夫婦の離婚調停と審判の件数計一万九千八百三十六件。父親が親権者に決まったのは千九百四十七件だった。
 子の親権者や監護者は、裁判でどのように決められるのか。家族法が専門の関西学院大の山口亮子教授は「裁判所は子の最善の利益を第一に考える」と説明する。
 判断する主な要件としては「子の面倒を主に見ていた者」「継続性」「親の寛容度」「子の意思」の四つをあげる。もちろんDV(家庭内暴力)や子への虐待があれば、判断する際にマイナスに作用する。
 山口教授によると、戦後の高度経済成長期以降、母親の愛情や養育が子の利益にかなうと考えられ、子の面倒を見るのに母親が優先される傾向が強かった。しかし、最近は、子の面倒を普段見ているのはどちらかが主な条件に変わってきたという。
 判断基準が、より公正公平、客観的になってきたように映る。一方で、子どもと一緒に暮らせなくなる親には不満や悲痛な思いが残り、裁判所への不信感につながっているとの指摘もある。
 山口教授は「裁判官も相当苦労して判断していると思われるが、現在の法律ではどんな事情があっても両親のどちらか一方を親権者や監護者に決めなければならないから」と話す。

<親権と監護> 民法で規定。親権には、子どもの世話やしつけをする身上監護権と、子どもの契約に同意したり代理したりする財産管理権がある。婚姻中は父母がともに親権者となるが、離婚する際にはどちらか一方を親権者と定めなければならない。婚姻中だが別居している場合、子どもとの暮らしを認めてもらうため、監護者の指定を求めて審判を申し立てることがある。

離婚家庭の子どもの立場考える

出典:平成29年6月25日 NHK

夫婦が離婚したときに子どもとどう向き合うべきかを親の離婚を経験した人たちが、当時を振り返って子どもの立場で考えるシンポジウムが千葉市で開かれ、子どもの気持ちに寄り添うことの大切さを訴えました。

このシンポジウムは、千葉県船橋市のNPO法人が離婚した夫婦や周りの大人が子どもとどう向き合うべきか子どもの立場で考えようと開いたもので、幼いころに両親の離婚を経験した男女7人が当時の思いを語りました。
8歳のときに両親が離婚した19歳の女性は「互いの悪口を聞かされ、親に対する本当の気持ちを言いたくても言えなかった。難しいかもしれないが子どもの気持ちをしっかりと聞いてほしかった」と振り返りました。
また、小学校低学年のときに、親が離婚した26歳の女性は、「父親とは中学生のときに一度面会したきり会っていない。小さいときは同居している母親を思って父親のことを考えないようにしていた。
子どもは幼いほど、誰にも相談できないことを理解してほしい」と訴えました。
シンポジウムを主催したNPO法人「ウィーズ」の光本歩副理事長は、「子どもの気持ちは、一度では聞けないし、誰かひとりがすべてを聞くことも難しい。子どもの気持ちは、成長とともに変わっていくので周囲の大人が継続的に子どもの声に耳を傾け、何が子どもにとって必要なのか考えることが大事だ」と話しています。

「連れ去られた子ども」を苦しめる制度の正体

出典:平成29年6月13日 東洋経済オンライン

「連れ去られた子ども」を苦しめる制度の正体」 なぜ子が「別居した親」の元に戻るのか

 「タクシーに乗ってパパの家に帰ってきたとき、吐いちゃった」
服部美優ちゃん(10歳、仮名)は愛犬ジョンをなでながらつぶやいた。
都心から1時間のベッドタウンに来ていた。美優ちゃんは某社の写真記者、服部貢さん(47歳、仮名)の一人娘である。
3月末の平日、美優ちゃんはたった独りきりで、母親一家の住む団地から、父親(貢さん)とその母(美優ちゃんの祖母)の住む一軒家まで逃げ帰ってきた。
母親宅から駅までは約600メートル。そこまで歩いてタクシーを拾い、さらに十数キロ離れた父親と祖母のいる家まで乗りつけた。タクシー代は家にいた祖母に払ってもらった。というのも、逃亡を警戒した母親に財布などの所持品をすべて取り上げられていたのだ。
「ほっとしたから吐いちゃったの?」
私が尋ねると美優ちゃんは茶化すように答えた。
「嫌なことはジョンにペロペロなめられて忘れちゃった。ねえジョン」
美優ちゃんの複雑な心情を察した私はそれ以上、真意を強くは聞けなかった。

2歳のときに母親に「連れ去られた」

7年前の10月、美優ちゃんは2歳のとき、母親によって同じ県内にある母親の実家に“連れ去られ”てしまった。以後、美優ちゃんは母親や祖父らとともに暮らした。
一方、彼女の父母は泥沼の法廷闘争を行ってきた。
美優ちゃんを“連れ去って”から1カ月後、母親は父親(貢さん)に対し離婚調停を起こした。DVの証拠として母親が提出したのは、父親が母親の腕をつかんだためにできたアザの写真など。しかし、業界紙の写真記者である父親は写真のウソをはじめとする母親側のDV主張をことごとく論破、その結果、母親側の求める離婚や慰謝料の請求は退けられた。

 一方、父親(貢さん)は美優ちゃんとの面会交流などを求めて調停を申し立てた。しかし再会はなかなか実現しなかった。実現しても3カ月に1回1時間だったり、係争中に面会をキャンセルされたり、8カ月余りも会わせてもらえない時期があったりと、面会は途切れ途切れでしか行われなかった。
そんな不安定な交流ではあったが「パパのところで暮らしたい」という美優ちゃんの態度は幼児の頃から一貫していた。
「娘が小学校に通う前、ショッピングモールで会って、帰ろうとするとき、毎回のようにグズって、2時間ほども店内を逃げ回っていました」(貢さん)
美優ちゃんは面会中に「ママに何度もたたかれる」と貢さんに報告していた。そのことが美優ちゃんの一貫した態度の根底にあるのだろう。
昨年の1月、8歳になった美優ちゃんは決断をした。
宿泊面会の後、父親が美優ちゃんを駅まで車で連れて行った。すぐ前に停まっている母親の車の後に車を停めた父親は、車から降り、反対側に回り、美優ちゃんの手を引いて、すでに車を降りて待っていた母親に引き渡した。父親がその場を離れ、乗ってきた車に乗らずに様子をうかがっていたところ、美優ちゃんは予想外の行動をとった。彼女は後ろへと駆けだして、ドアロックがされていない父親の車に乗ってしまった。
「パパ、早く行って」
頑として降りようとしないため、父親は家へと連れて帰った。
数カ月後、母親のところへ娘を戻すべきいう強制執行を命ずる判決が家庭裁判所で下された。これは2週間以内に、執行官が警察官を伴って、子どもを“保護”、そして母親のところへ戻すというものである。
「指定された2週間に執行官が現れることはありませんでした」(貢さん)

戻ってくることは確信していた

それで問題が一段落するわけではなかった。翌年、間接強制という判決が下されたのだ。これは「3日以内に相手かその代理人に引き渡せ」というもの。父親が従わないと1日当たり3万円の罰金が科せられる。
「私は弁護士とともに、妻の家まで美優を連れて行きました。前の年の春からジョンを飼い始め、溺愛してましたからね。それに“パパのところがいい”と明言していたので、うちに戻ってくることは確信していました。それに強制執行の2度目はありませんし」(貢さん)
美優ちゃんが独りで戻ってくれば、母親が美優ちゃんを合法的に連れ戻すことはできなくなる。

 「必ず戻ってきてくれる」と父親は信じ、美優ちゃんを連れて行った。すると3日目の朝、冒頭に記したとおり、美優ちゃんは自分の意志で父親の家に帰ってきたのだ。
「なぜパパのところに戻ってきたの?」と私が尋ねた。すると、「その日、離任式があったんです。引っ越してきたときの担任の先生が次の学校へ移っちゃう。先生に会っておきたかった。でもいちばんはジョンを元気づけたかったこと。ジョン、なんであなたはそんなかわいいの?」
美優ちゃんは父親のことには触れず、再び茶化すようにそう言った。
貢さんに過去の写真や資料を見せてもらうため、2人で書斎へ移動した。貢さんは美優ちゃんの気持ちについて次のように代弁した。
「娘はママを裏切ってしまったことを、後悔してるんだと思います。だけど同時に、連れ戻されるんじゃないか、怒られるんじゃないかという気持ちもある。美優は私もママも両方好きなんです。それでもパパと暮らしたいと言って戻ってきてくれたのは、ママのところだと、ときどきパパに会えなくなる。だけど、パパのところだとママに自由に会える。子どもなりに考えて、どちらがいいか考えているんでしょうね。父母どちらかじゃないんですよ。娘は両方に会いたいんです」
離婚が成立し、親権は父親である貢さんへと変更された。貢さんは元妻に1カ月ぶりに娘を会わせたばかりだ。貢さんはこれからも積極的に面会を続けて行くつもりだという。

関東から長野まで電車で戻ってきた二男

十数年前のことです。長野県北部H村にあるこの家から南関東の実家へと、妻が2人の息子を“連れ去って”しまいました。当時、上の子は8歳、下の子は5歳。2人とも元いた家に戻ってきたがっていました。長男は今も妻と一緒に暮らしていますが、二男は小5のとき電車を乗り継いで、私のところへ独りで戻ってきました。運命に従ったのが長男で、刃向かったのが次男なんです」と話すのは岸良明さん(50歳、仮名)である。
二男はネットに発表した手記に次のように記している。以下は抜粋である。
「母親によって一方的に東京の母親の実家に連れ去られ、そのまま父との自由な交流ができなくなりました。その後父が尽力してくれた結果、少しずつ父親との交流ができるようになりました。しかし、継続される母親の、父との面会交流の妨害と父への悪口が嫌で、10歳のときに家出をして長野県H村の自分の家に帰宅しました」
二男同様、長男も父との自由な交流を望んでいた。しかし、彼はその気持ちを封印、母親側にとどまった。

「二男が戻ってきた後、妻は引き渡し請求審判を起こしました。原審ではそれが認められたものの、高裁では逆転、結果的に親権が私へと変更になってからは、妻から“会いたい”という意志が一度も示されなくなりました。それで二男は大いに憤慨していました。お母さんは連れ戻しに失敗したらもう会いたいとは思わないのかと。私は親権者の変更と同時に、妻に二男に面会するよう調停を起こしたんですが、不調に終わりました。次男は妻に謝ってもらいたがっていましたが、妻は“息子2人を関東へ連れ去って離婚したことを私は後悔していない”と言い続けていて、二男はそうした妻の態度にガッカリしていました」
二男は、前述の手記に次のようにも記している。
「“裁判所はなんで実の親子が会うことに制限を認めるのか”。それを思った当時の私はとてもつらかった。そんな裁判所に対して今の私は怒り心頭です。[中略]当時、裁判所が私と父との自由な面会交流を認めたならば、私はもっと安心で満たされた人生が送れていたことは明らかです」

共同親権が認められれば…

面会交流中の父親が子どもと“無理心中”するという事件が起こるたびに、「面会交流は危険」といった単純化された主張がネットを中心になされがちだ。
今後、こうした面会交流危険説が一般的となり、面会交流が制限されていけば、それはそれで大きな問題をはらむ。
子どもの意志で別居親の元に逃げ込むことはおろか、別居親に相談にのってもらうことも難しくなる。さらには、同居親からの虐待が気づかれにくくなったり、別居親からの経済的な援助を受けにくくなったり――といった事態が考えられる。
別居親にしろ、同居親にしろ、どちらもほとんどは危険とは無縁の、実の子を愛する、ごく普通の、人の親である。今後、同居親だから安全、別居親は危険とレッテル貼りをしてむやみに引き離すのではなく、子どもたちの幸せのために、本当に危険かどうかを精査したうえで原則は会わせるという方向性をできるかぎり推進していくべきだし、またその先には「別れても双方の親が育てる」という共同養育の考えが一般化されるべきではないだろうか。
しかし、それは簡単に実現できることではない。ひとつに裁判所の人手の問題がある。「親権は母親」「面会は毎月1回2時間」などという、判で押したような決定や判決が出てしまいがちなのは、それが大きな原因となっている。
もうひとつは、日本の単独親権制度の問題がある。民法第819条には、離婚後の親権者を父母どちらか一方に定める、という内容の条文が記されている。この国では離婚した場合、片方の親は親権を失ってしまうのだ。
「そもそもですよ。欧米のように共同親権なら“連れ去る”とか、親権争いといった不毛な争いはしなくていいんですけどね」(貢さん)
欧米を中心とする諸外国は離婚してもなお、両親が親権を持ち続ける。だから「離婚をしても親は親、子は子」だということが、法的に保証されている。
共同養育の考えが普及するとともに、民法第819条が改正され諸外国同様に共同親権へと変われば、片方の親が子どもを”連れ去った”り、双方の親が法廷で親権を争ったり、さらには子どもが危険を冒して別居親の親へと逃げ出すといったことがなくなっていくはずだ。
服部さんや岸さん親子の再会は美談ではない。こうしたことが起きない世の中にしていく必要がある。

面会交流のあり方は子どもが決めること…支援団体の光本さん、自身の体験踏まえ語る

出典:平成29年6月3日 弁護士ドットコム

面会交流のあり方は子どもが決めること…支援団体の光本さん、自身の体験踏まえ語る

中学2年の時に両親が離婚し、母と離れて家族3人で暮らすようになった光本歩さん(28)。現在、親の離婚・再婚・別居など家庭環境に悩む子どもたちを支援するNPO法人「ウィーズ」の副理事長として、「子どものための面会交流」支援にあたっている。離れて住む親と子どもが面会することにどんな意味があるのか。光本さんは自身の体験を踏まえて、面会交流のあり方を語る。

●「嬉しくはなかったが、会ってよかった」。3年ぶりの母との再会

2002年7月、中学2年の夏だった。母の借金が原因で、大阪府から伯母が住んでいた静岡県に父と妹と3人で夜逃げした。父は当時小学2年生だった妹には、「お母さんは後から来る」と話した。借金があることに気づいてから、父と母はいつも喧嘩が耐えなかった。自分は「もう母とはもう会えない」と状況を理解していたが、妹に「母はもう来ないよ」とは言えなかった。
新しい家で、父は度々「あいつのせいで人生めちゃくちゃだ」と母を非難した。そんな父の前では、「会いたい」とも言えなかったし、そもそも静岡県と大阪府の距離では会えるとも思っていなかった。
「会いたいという感情よりも、何しているんだろうなと気になっていた」。当時持っていたプリペイド式の携帯に、母の携帯番号を登録していたが、連絡することはなかった。 手紙は新しい家に届いたこともあったが、父は私に中身を見せることなく捨てた。
住民票を移さずに夜逃げしたので、転校手続きもしていないまま。父には家の手伝いを命じられ、気づけば学校には4ヶ月間行っていなかった。そんな中でも、美術の教師になるという夢が諦められなかった。
「そろそろ学校行かないと、やばいんじゃないの」。父を説得し、教育委員会に学校にいく手続きをしてもらった。父は中学を卒業したら働くように言ってきたが、反対を押し切って公立の進学校に進学。友人が部活や塾に通う中、土日を含んだ週5日イタリアンレストランで働き、年間11万円の学費と隣町までの通学費、携帯代の支払いに加え、毎月家に2万円を入れた。とにかく必死だった。
母に再会したのは高校2年の夏休みだった。アルバイトで貯めたお金もあるし、会いにいける。「色々と今の話を聞いてくれるかな」と、どこか期待していた。もちろん母の暮らしぶりも気になっていた。「ご飯を食べられているのだろうか」、「借金をしたのには、何か理由があったんじゃないか」。
いつしか母と自分を重ね合わせていた。片道7千円の夜行バスに乗って待ち合わせ場所の新大阪駅に着くと、そこには知らない男の人と一緒にいる母がいた。「今の彼氏」だった。
母はなに不自由なく生きていた。自分は週5で働いてお金を貯め、誰にも頼らずに大学進学を目指している。「こんなに大変なのは、そもそも誰のせい?」。そこで目が覚めたように、母を客観視できた。
今思えば再会は「最悪の形」だったが、「親と自分は違うんだ」と割り切れた。だからこそ、嬉しくはなかったが会って良かったと思っている。「それまで父からはとにかく『(母は)最悪だ』と言われていて、そのフィルターがかかっていた。面会交流は内容の良い悪いだけでなく、親がどんな人間か知るために必要」。自身の経験から、そう実感している。

●「交流のあり方は親が決めるのではなく、子どもが決めること」

政府が今年まとめた「我が国の人口動態」によると、2015年の離婚件数のうち「妻が親権をもつ」ケースが11万1428組と全体の84.3%を占める。離婚して関係がより一層こじれる中、面会交流を巡っても意見は対立しがちだ。光本さんによると、別居親は「宿泊面会や面会時間を伸ばしたい」といい、同居親は「子どもが会いたくないと言っている」と主張し、平行線をたどるケースが多いという。
支援に携わる中で、「子どもが振り回されている」と感じることは多いという。子どもにも、幼稚園や学校、友人との遊びや習い事、部活動など「子どもの生活」がある。光本さんは「子ども自身は面会の形態について細かく考えていないことが多い。それよりも子どもは両親が争っていることを見ていて、その空気が伝わってしまう。それは本当に子どものためなのでしょうか」と指摘する。
さらに、支援活動では最初から「子どもは会いたいだろう」、「子どもは会いたくないと言っているからそうだろう」と決めつけない。光本さんは「子どもは親に会いたいに決まっているかというと、そうでもないんです」という。
会いたいという感情ではなく、気になるという気持ちであったり、子ども自身本音がわからなかったりするケースも多い。円満離婚に見えるケースでも、会いたくないと子どもが主張するようであれば、子どもと面会を重ねて、まずは子どもと支援者間の関係作りを大切にする。
超党派の議員連盟は、未成年の子どもがいる夫婦が、離婚後も継続的な親子関係を維持することを促す「親子断絶防止法案」の国会提出を目指している。光本さんは「この法案が成立するメリットは、『親が離婚した後も、子にとって親であることは変わらない』ということを社会に広く周知できる点です」と話す。「紙切れ1枚で離婚ができる日本においても、両親の男女の関係と親子の関係は別物であり、離婚は子どもにとっての「縁切り」であってはならない。それを決めるのはあくまで子どもである」。法案により大人側の意識が変わることを期待している。
ただ法案の「継続的な親子交流こそが、子の最前の利益に適う」という点には違和感がある。光本さんの場合、最終的に母と縁を切りたいと思ったからだ。「交流のあり方は親が決めるのではなく、子どもが決めること」と切に感じている。
厚生労働省が2016年に行った人口動態統計によると、2015年の離婚件数は22万6215組で、うち未成年の子がいる離婚は13万2166組と全体の58.4%にも上る。にもかかわらず、「面会交流」という言葉の認知度も低く、民間の支援団体のガイドラインも策定されていない。「こういう問題があるんだと知ってもらい、正しく理解してもらうきっかけになって欲しい」。そう願っている。

海外では主流「共同親権」、日本の「単独親権」なにが問題か【棚村教授に聞く・下】

出典:平成29年5月28日 弁護士ドットコム

海外では主流「共同親権」、日本の「単独親権」なにが問題か【棚村教授に聞く・下】

いま、離婚と親子関係をめぐる法や制度の見直しに注目が集っています。日本では諸外国と比べ、離婚時に子どもの立場が尊重されない問題が指摘されていますが、子どもたちを守るためには、今後、法や制度をどのように見直していけばいいのでしょうか? 

上編(「世界の離婚事情…日本は『子どもに対する責任』が曖昧」https://www.bengo4.com/c_3/n_6138/)に続き、離婚と親子関係をめぐる法制度の問題に詳しい、早稲田大学法学学術院の棚村政行教授(家族法)に、話を聞きました。(編集&ライター・大塚玲子)

●「大人同士の争いの間に挟まれる」子どもたち
――海外で「共同親権」といわれるものは、両親ともに親としての責任があるというだけでなく、社会や国、地域にも子どもを守っていく責任がある、というのが共通認識なのですね。
はい、「子どもの権利に対応する親の責任、社会の責任、国の責任」という形で、法制度も大きく転換をしているわけです。
だから養育費や面会交流、子育ての支援を行う「家族関係支援センター」といったものも各地にありますし、面会交流の実施や養育費の取立ても社会として強化しています。そして共同で子育てできる人たちには、離婚した後も親として、結婚していた時にやっていたような役割をお子さんに対して果たしてもらおう、というふうになっている。
ところが相変わらず日本は、大人の権利が中心です。夫婦間の過去の恨みつらみ、みたいなものが噴出してくるので、お子さんは大人同士の争いの間に挟まれて、非常に苦しい状況に置かれたまま、放置されているわけです。
ただ、海外の取組みや考え方も、どうも日本では誤解をされているところがありますね。
別居親のほうは、「共同親権」や「面会交流」をやれば、すべての問題が解決するように思っていますし、一方で同居親のほうは、生活も苦しくて時間もないなか、あんな人と顔を合わせたくないから養育費ももらわなくていい、とあきらめてしまうとか、子どもの気持ちと関係なく「会わせる必要はない」と判断してしまうとか。
現状はそんなふうに、子どもをそっちのけに大人の争いに終始してしまっていて、お互いを傷つけ合うことに時間と精力が使われてしまっています。
でも本当は、離婚したあと生活が変わっていく中で、親と子の関係はどうあるべきかという、前向きな話し合いが必要です。お互いの信頼関係を回復するとか、最低限のコミュニケーションのベースを作るといった、もっと建設的な議論が必要なのに、そこにはなかなか目が向かないんですね。
●欧米は協議離婚を認めていない
――子どもたちにとっては、ものすごく迷惑な状況ですね。
子どもたちの本当の気持ちは「お互い、自分をめぐって争うことは、もうやめて欲しい」ということでしょうね。「もっと大人になってほしい」など(苦笑)、そんな思いでいる子どもたちが多いんじゃないでしょうか。
なにかというと別れた相手の悪口を言うのも、子どもを傷つけていきますよね。いくら良い夫・良い妻でなかったとしても、子どもにとってはお父さんお母さんであることに変わりないわけです。そういうことを含めて、子どもたちがいかに板挟みになって辛い状態にあるか、ということを知る必要があります。
海外では、離婚のときに親教育のガイダンスをする国もあります。「ちょっと待ってください、あなたたちがこんな風に争えば争うほど、子どもたちにこんな風に感じさせているんですよ」ということを専門の人がきちっと伝え、そのうえで親は子どもとどう関わっていけばいいかとか、親の意識を変えていくような働きかけをしている。
そういったプログラムやカウンセリングを受けて、きちっと取決めをしないと、離婚はできないことになっているんです。「親としての重い責任」という部分がありますから。
そもそも欧米の国々は、協議離婚を認めず、全部裁判離婚です。お子さんもいなくて、財産争いもない人たちは、簡単に離婚できますけれど、お子さんがいる場合には、きちっとお子さんのためになる取決めをして、養育プランのようなものをつくらないと離婚できないことになっています。そこはやっぱり、日本と大きく違いますよね。
●「親子断絶防止法案」にかけているもの
――日本では子どもがいても、すぐ離婚できますね。
日本は9割弱くらいが協議離婚ですからね。離婚届に当人たちが署名をして、未成年の子がいる場合は「親権者は誰」ということさえ書けば、簡単に受理されてしまいます。「世界でいちばん簡単な離婚」ですけれど、「世界でいちばん無責任な離婚」でもあります(苦笑)。
いま、離婚のうち未成年のお子さんがいるものは約6割です。2015年でいうと、離婚件数が226,000件で、その58%くらいに未成年のお子さんがいて、約22、23万人のお子さんたちが親の離婚に巻き込まれています。
そのなかで、養育費や面会交流について取り決めをしている割合は、法務省の数字(離婚届のチェック欄)で見ると62%くらいです(2015年)。民法改正後、比率は上がっていますが、そこでどんな内容が取り決められ、どれぐらい守られているか、ということまではわかりません。「全国母子世帯等調査」(最新が2012年)だと、すごく低い状況ですよね。
だからやはり、もう少し公的な機関が関与して、どんな取決めをしたらいいか、どういう風に取決めを守ったらいいか、といったことを支援していく必要があると思うんです。
そういう意味では、「親子断絶防止法案」(超党派の国会議員らによる議員立法)は、国や自治体、親にも責任を課し、また財政的な措置も一応定めていますから、それ自体に全く反対、というわけではないんです。ただ、面会交流などにちょっと偏っているところがあるので、もう少しバランスを取る必要があるでしょうね。
――親子断絶防止法案は、よく「全ての離婚家庭に面会交流を強制するものだ」といわれますね。最初の非公開の案は知りませんが、その後の修正案はいわゆる「理念法」です。でも原文を自分の目で確認せず「強制的だ」という話を鵜呑みにしている人が多いので、そこは誤解を解く必要があるのではないかと思います。とはいえやはり、もっと内容のバランスをとれるとよいですね。
そうですね。監護親、同居親に義務を課していたり、継続的な関係だけが非常に重視されているところがあるので、もっとお子さんの養育全体をトータルに支援をする、というスタンスが大事なのかなと思います。

世界の離婚事情…日本は「子どもに対する責任」が曖昧【棚村教授に聞く・上】

出典:平成29年5月28日 弁護士ドットコム

世界の離婚事情…日本は「子どもに対する責任」が曖昧【棚村教授に聞く・上】

離婚後の親子関係をめぐる法や制度の見直しに注目が集まっています。 とくに日本では、諸外国と比べ、離婚時に子どもの立場が尊重されないことが指摘されています。親が離婚する家庭の子どもたちを守るためには、今後、法や制度をどのように修正していけばいいのでしょうか? 

離婚と親子関係をめぐる法制度の問題に詳しい、早稲田大学法学学術院の棚村政行教授(家族法)に、お話を聞きました。(編集&ライター・大塚玲子)

●日本は「単独親権」の原則
――いま、離婚と親子関係に関する日本の法制度は、どのようになっているんでしょうか?
日本の場合にはまず、離婚後に「単独親権の原則」というものをとっています(民法819条1項)。つまり、未成年のお子さんがいて離婚する場合には、父母のいずれか一方を親権者に決めなければなりません。だから、離婚後「どちらが親権者になるか」ということで、争いが生じやすい状況があるわけですね。
それから、一方が親権者になったのち、他方(離別居親)がお子さんと自由に交流ができるかというと、それも十分ではありません。
仲が悪くて別れるので、自分たちで話し合いをして面会交流の調整をできるケースは、たぶん3分の1程度しかないんじゃないかと思うんですね。そうすると、父母が顔を合わせなくてもお子さんが別居親と交流できるよう、誰かが間に入るような仕組みや支援体制が必要なんですけれど、そこがまだ十分でない。
——海外では、どのように定められているのでしょう?
海外は「共同の親権」や「共同の子育て」がベースです離婚した後も原則、結婚しているときと同様に、父母が共同で子育てをして、子どもとかかわっていきます。また、離婚した後、親子関係のルールをどういう内容で決めていくか、ということについて細かく規定があるわけです。
そこには、1970年代末から80年代にかけて国連で提案、採択された「子ども(児童)の権利条約」が影響しています。この条約は「大人とは別に子どもの人権というものがあり、子ども自身が権利の主体・主役として大事にされなければいけない」ということを、さまざまな形で定めたものです。いま196か国ぐらいが批准、加入していて、日本も1994年に批准しているんですけれど。
夫婦は別れれば他人に戻りますが、子どもにとってはお父さんお母さんであることに変わりない。だから共同で子育てをしていこう、ということになるわけです。ただし共同での子育てが難しい場合には、一方が単独で責任を負うような形もあります。
●日本は「親の子どもに対する責任」が極めて曖昧
――日本では子どものことより、別れた夫婦の争いばかりが目立ちますね。
日本では「親権」や「監護権」というものが、「お子さんに対して親が持っている権利」というふうに理解されているんですね。それは「大人の視点」です。家制度のもとでできた民法なので、構造や仕組み全体が「大人の子どもに対する支配権」になってしまっているので。
だから紛争解決の場面でも「大人の勝ち負け」みたいなことになってしまい、子どもの存在や立場、気持ちというものが、十分に尊重されないのです。
海外でいうところの「共同親権」はそういうものではなく、「共同の親責任」といったほうが近いでしょう。ドイツでは「親の配慮」とか「共同の配慮」という言い方ですし、イギリスも「ペアレンタル・リスポンシビリティー=親の責任」というふうに言っています。
日本は、養育費や子どもとの交流(面会交流)など、「親の子どもに対する責任」という部分のルールが、極めて曖昧です。そういう中でお子さんへの責任を果たすことは、困難なところがあります。
たとえば厚生労働省が5年に1度行っている「全国母子世帯等調査」(父子家庭も含むひとり親世帯対象)によると、離別親が子どもと会えているのは、母子家庭で28%ぐらい、父子家庭でも37%ぐらいで、養育費を受け取っている母子家庭は19.7%と、2割にも満たない状況です(2012年)。
その背景には「協議離婚制度」の問題もあります。離婚のとき父母は、今後お子さんとの交流をどうするか、学校はどうするのがいいか、病気になったらどうするとか、生活していくうえで出てくるいろいろな問題について、しっかりと話し合っておく必要があるのに、それがないまま「協議離婚」という形で、かなり無責任に別れていってしまいます。
子どもにとって親の離婚は、これまであった環境が、大きく悪い方向に変わっていく可能性があることです。貧困や格差にもつながりやすく、それをなんとかしていかなければいけないから、「子どもの養育」ということを、社会や国が本気で、総合的に支援していく必要があるのです。
その点、海外の法律は「子どもの権利」というものを中心として、大人にはむしろ重い責任を定めています。シングル(非婚)親も含め、「多様な家族」に対する社会的な支援があって、子どもたちを保護するための法や支援の仕組みもできているわけですよね。
そういったことが「共同親権」とか「共同監護」というふうに言われるんですけれども、理念としては、子どもの最善の利益や子供の権利を実現するための「共同養育責任」と言えます。

離婚後の子の養育 支援不十分

出典:平成29年5月26日 読売新聞

論点「離婚後の子の養育 支援不十分」

 2015年の離婚件数は22万6000件であり、その約6割に未成年の子がいて、20万人以上の子どもたちが親の離婚に巻き込まれている。面会交流を求める調停事件は、15年には1万2000件と、この10年間で2・4倍にも増えた。 少子化が進むととに子どもがかかがえのない存在となっている。しかし、民法は離婚後、いずれか一方だけしか親権者になれないという単独親権の原則を定めているため、親権をめぐって紛争になりやすい。争いが起こると、結局、しわよせが全部、子どもにいってしまう。
 離婚時に面会交流や養育費の取り決めを行う規定も、12年に民法に明文化されたばかり。厚生労働省の調査結果でも、面会交流が行われているのは離婚後の親子の約27~37%、養育費を受け取っているのは2割に満たないという実情だ。
 離れて暮らす親子の面会交流には様々な問題が起こる。とくに子は、同居する親に配慮し、心に葛藤を抱きがちだ。面会交流に送り出す親にも、「連れ去られるのではないか」「危害を加えられるのではないか」と不安がよぎる。
 第3者が付き添う安全な場所、専門家が親子の相談に乗る体制などが必要だ。すでに、一部でNPOなどの活動がはじまっているが、こうした支援体制が十分でないため、父母間で紛争のエスカレートを招きやすい状態にある。
 17年1月、東京高裁は、9歳になる長女の親権者をめぐる争いで、母親に親権を認めた。
 1審では、子どもを無断で連れ去り、面会交流も年12回程度しか認めない母親よりも、年100回以上の面会交流と共同養育計画を提案する父親の方が親権者にふさわしいと判断していた。
 東京高裁判決は子どもの利益の観点から1審判決を覆したもので、大きく報道された。親権についての関心の高さと判断の難しさを改めて印象づけた。
 離婚後の親子の面会交流や継続的な関係を維持できるよう「親子関係維持促進法案」も超党派の議員立法として提案されようとしている。これに対しては、児童虐待、女性への家庭内暴力(DV)などがある事案への配慮に欠けているのではないか、との批判がある。
 世界的な潮流としては、「子の権利」を重視し、離婚後の「親の共同養育責任」に向けて法や支援制度の整備を進める国が増えている。離婚後の子の養育は、「大人の勝ち負け」ではなく「子どもの幸せや利益」を第一条件として考えていくという理念だ。子どもの権利として、面会交流を促進するし、養育費も取り立てる。子どもの心を傷つけないための親への教育プログラムなども実施している。
 日本でも、「子どもの養育支援基本法(仮称)」などを定め、離婚だけでなく、ひとり親を含めた子育てをする親や子どものために、国や自治体が支援の責任を果たしていくべきだ。そのうえで、面会交流や養育費など子どもの養育に関する合意形成、実現に向け、早急に取り組むべきであろう。

社会の見方・私の視点 を聴く「離婚後の親子の面会交流の重要性」

出典:平成29年5月25日 NHKマイあさラジオ

社会の見方・私の視点 を聴く「離婚後の親子の面会交流の重要性」

※音声は、こちらからお聞きできます。

大正大学心理社会学部 青木 聡 教授

社会の見方わたしの視点です。今朝のテーマは離婚後の親子の面会交流の重要性について、お話は大正大学心理社会学部教授の青木聡さんです。

今、超党派の議員連盟の間で、親子断絶防止法という法律を制定しようという動きが出てきています。

両親が離婚した後、子どもはどちらかの親と暮らすことになる訳なんですが、一緒に暮らさない親、離れて暮らしている方の親と子どもが、もっと面会したり交流したりすることを促そうという法律です。

先週は法整備を進める上での課題などについて考えてきましたが、今朝は心理学の立場から子どもの成育のために必要なことなどについて伺っていきます。

青木さん、あの、離婚したあと両親が子どもとどのように関わっていくかは子どもの成育に大きな影響を与えるそうですね。

はい、その通りです。アメリカでは1960年代から70年代にかけて離婚件数が急激に増えました。その頃から心理学の分野において膨大な数の離婚研究が行われています。その結果、離婚後の生活によく適応し、心理状態が良好な子どもは定期的な面会交流と必要十分な養育費が保護要因になっているということが実証されています。

また、離婚そのものよりも父母の衝突に晒されることが危険要因であるということが分かっています。

養育費が十分でない場合は、最近日本でも話題になっていますので生活が貧困に陥って、さまざまな困難が生じるということが理解しやすいと思います。

はい。他方、面会交流を定期的に実施しなかった場合、どうなるかというと、大きく分けて3つの結果が出ています。

一つ目は自己肯定感の低下です。自己肯定感というのは、自分に対して肯定的で好ましく思えるような自信ある態度や意識のことですが、この感覚が低いと、ひっこみ思案になって、人生に前向きに取り組めなくなります。

二つ目な基本的信頼感の低下です。基本的信頼感というのは人を信頼する力のことですが、この感覚が低いと、人間関係を築くことが苦手になります。その結果、3つ目として、社会への不適応の問題が生じます。学業成績の不振や友人関係の問題にはじまって、不登校、無気力、ひきこもり、学校中退、職場不適応、転職の繰り返し、無職、よく鬱症状、ドラッグ、アルコール依存症の割合が多くなったり、さらには世代間連鎖として、親と同じように離婚してしまう傾向が高くなることなどが報告されています。

日本でも青木さんは同じような研究をなさったんですよね。

はい。日本でも同じような傾向が見られました。別居している親と面会交流していない子どもは自己肯定感が低くなり、親和不全が高くなるという結果です。あの、親和不全というのは人とやりとりをする場合に自分の方から壁をつくって緊張して打ち解けられなかったり、深くつき合うことを恐れたりする傾向をいいます。

一方で別居している親と面会交流を続けている子どもは、両親の揃っている子どもと比較しても自己肯定感や親和不全に差がないということも明らかになりました。つまり、離婚したあと別居している親と定期的に面会交流することは基本的には子どもの成長にとって、大変重要なことだと言えると思います。

アメリカではこうした研究をふまえて、どちらの親が子どもと主に同居するかを決める時には、元夫婦としての葛藤とは切り離して、別居している親との面会交流に協力できるのか、子どもに別居している親のことを肯定的に伝えることができるのか、ということを子どもと主に同居する親を決める判断基準にしている州が多くなっています。

また、アメリカ司法省には女性に対する暴力への対策局という部署があるのですが、別居している親と子どもの関係を妨げることは情緒的虐待と明確に位置付けています。面会交流の支援は、虐待対策としての意味合いも持っている訳です。

なぜ、面会交流をするかどうかで子どもの心の成長にそこまで差が出てしまうんでしょうか?

はい。子どもは「私」というストーリーを紡ぎながら成長していきます。心理学的にいうと、「私」というのは「ストーリー」なのです。え、子どもは生活の範囲がまだ狭いので、ストーリーの大部分は家族との関連で展開します。お父さんに愛されている私、お母さんに愛されている私というふうに、まずは家族との関わりの中で私はこういうこういう人っていうアイデンティティーが作られていきます。

ところが、親が離婚してその訳も分からないまま、いきなり片方の親に会えないという状況になると、親の離婚の理由や会えない親がどうしているか、気になってしまいます。で、親に会えない喪失感の中で、なぜ親は離婚したのか、別居している親に自分はどう思われているのか、そもそも自分は生まれてきてよかったのか、と、さまざまな気持ちが渦巻くのですね。で、とりわけ年齢の小さい子どもは自分のせいで離婚したのではないか、自分が何か悪いことをしたからではないか、と自分中心に意味づけることがよく知られています。で、そのような意味づけは自己否定感にもつながってしまいます。

死別の場合は話は別です。親と死別すると、すごくつらいですし、深い悲しみに覆われますが、つらい物語としてストーリーを紡いでいける訳です。しかし、会えるのに会えない親の存在は、もやもや感が子どもの心にずっとわだかまっている状況になります。納得できる理由なく、片方の親に会えないと、両親の離婚をめぐって、私というストーリーをうまく紡げなくなるのです。

「私」の中に黒塗りになっている歴史があるような感覚になるのだと思います。しかもその黒塗りの部分に自分の人生が大きく翻弄されているという状況に置かれる訳です。

なるほど。つまり、両親の存在というのが、子どもの成育に関しては絶対といっていいほどの存在感があるということなんですね。

非常に大きい存在感ですね。

ただ、その素行に非常に問題があるような親であったとしても会うことの意味というのはあるのでしょうか?

はい。まあ虐待とかDVなどで、子どもの心身に危害が及ぶ可能性が高い場合は子どもの安全を守る為に会わせるべきではありません。しかし、そうでなければどんなにダメな親であっても、やはり会うことは大事だと思います。子どもが実際に親と会って、自分の目で見て、自分の肌で感じて、自分自信でその親についてのストーリーを紡いでいく必要があるからです。で、実際に会ってみて、どうしようもない親だっていう苦しいストーリーを抱えなければいけなくなったとしても黒塗りのままモヤモヤしているよりずっとマシな訳です。心の成長の個人差はありますが、一般的には中学生以上の子どもには会うタイミングや会い方を含めて自分で判断させた方が良いだろうとされています。

小学生以上の場合は周囲の大人がきちんと親に会えるように調整し、なぜ離婚したのか、今後どのように会っていくのか、などを説明してあげる方がよいとされています。で、乳幼児期に関しては専門家の間でも意見が分かれています。ただでさえ大変な子育ての最中に、面会交流によって同居している親の精神的負担感が増えると、子どもにマイナスの影響を与えるという説と、乳幼児期こそ、別居している親としっかりした環境を築くことがその後の子どもの心の成長を促すという説があります。

なるほど。

最近ではあの、乳幼児期からしっかりした愛着関係を築くことが重視されて宿泊の面会交流を含めてかなり頻繁な面会交流を取り決めるということが推奨されるようになってきました。それは、別居している親にとっても、親になっていくプロセスとして欠かせないと考えられています。

先ほどお話がでましたけれど、えー、暴力、いわゆるDV、家庭内暴力があった場合の対応なんですが、今年に入っても、面会交流中に元夫が元妻を殺害したり、父親が子どもと無理心中をはかったりした事件がありました。なぜ、こうした事件が起こってしまうのでしょうか?

やはり、欧米諸国と比較して、日本は離婚紛争におけるDV対策が立ち遅れているということが原因のひとつだと思います。アメリカだと、DV案件の場合、裁判所命令で、DVスクリーニングが徹底的に行われます。専門のソーシャルワーカーがいわゆる民生委員のような形で数ヶ月にわたって家族をフォローして評価していきます。で、その結果、DVで子どもの心身に危害が及ぶ可能性が高いというふうに判断されると、その程度に応じて、面会交流を一時禁止したり、あるいは厳しく制限したりします。そして加害者に対する治療的な親教育の受講とか、例えばドラッグやアルコール依存症の治療などを命じたりもします。また、監督付き面会交流といって、子どもの安全を守るために、第三者が付き沿う面会交流に制限する場合もあります。あの、日本でまだそういった制度が整理されていませんので、まあ今後、早急に全国規模で面会交流を支援する体制づくりが必要だと考えます。

で、子どもが離れて暮らす親と会えないことが多いという現実に法律や制度が対応できていない現在の状況については、一刻も早い改善が望まれます。

親子断絶防止法に関する木村草太氏のコメントに対する批判

出典:平成29年5月18日 土井法律事務所ブログ

親子断絶防止法に関する木村草太氏のコメントに対する批判

平成29年5月17日に、「親子断絶防止法の課題」と題したYouTubeがネット上に拡散されていました。NHKラジオの、社会の見方私の視点という番組の音声データのようです。

時間も限られていたことは理解できるのですが、おそらく法学者としてコメントを求められたのだと思います。この意見が法律家の意見だとされてしまうことは、問題が大きすぎると思いました。

古くからの友人にも説明をすることを要請されましたので、あまり気が進まなかったのですが、忘備録を記しておきます。

1 視点が大人の利益しかないこと

 面会交流は、子どもの健全な成長のために行うものです。確かに、子どもと別居している親が子どもに会いたいことは当然です。しかし、法律は、子どもの健全な成長のために面会交流を拡充しようとしているのです。

 そして、これは、かけがえのない親だからという抽象的な俗論ではなく、20世紀後半からの世界的な実証研究によって、離婚の子どもに与える影響が深刻であり、健全な成長を阻害するという研究結果に基づいた科学的な結論なのです。

 25年間以上にわたり60組の離婚家庭を調査したウォーラーシュタイン博士らの研究や大規模統計調査のアメイトの研究結果の報告等離婚後の子どもの心理的問題、そして、面会交流がその負担を軽減するという実証的研究結果が報告されました

 その結果を踏まえて日本の民放も改正され、子どもの健全な成長のために面会交流を促進する一つの方法として離婚届に面会交流の方法を記載することを要求するようになったのです。

 現在、裁判所も法務省も面会交流の促進をしているところです。

2 面会交流を危険視するのは科学的ではない

 次に面会交流を危険視することに対して疑問があります。

 木村氏は、今年1月に起きた長崎の事件と4月に起きた兵庫県の事件を危険の裏付けだとしています。

 これはきわめて乱暴なことでして、例えば、夜の酒場の口論から殺人事件につながった事件が多くありますが、そうだとすると、夜に酒場を営業することを禁止するような議論ではないでしょうか。

 要するに、本当に危険なのは面会交流ではなく、殺人に至る人間関係にあります。

 これはついこの間書きましたので、繰り返しません。
 
 「危険なのは面会交流ではなく、別居、離婚の仕方 先ず相互理解を試みることが円満離婚の早道」

 刑事弁護を担当する法律実務家からすれば、あまりにも当然のことです。

 なお、木村氏の論法で法律実務家からすると驚いてしまうことは、上記二つの事件について、新聞報道くらいしか知らないで発言しているということです。
 長崎の事件については、犯人が特定されたとどうやって断定するのでしょうか。

 要するに、仮にその報道が正しく、離婚した夫が犯人だとしても、面会交流の機会で起きたという情報しかないのです。
  
 殺人を犯すまで、精神的に圧迫されている場合、その精神圧迫に至る様々な要因があります。犯人の性格や考え方もあるでしょうが、被害者や第三者との関係、別離に至った原因と、方法等人が人を殺すということは簡単なことではありません。
  
 それを面会交流の時人が殺されたからといって面会交流が危険だというのは学者としての意見というのはお粗末すぎます。人間の営みに対しての敬虔な態度が欠けていると思います。

 また、彼が、このようなことを言わなければ面会交流が進んだのに過度の警戒感を持ってしまって子どもが親に会えない事態が生まれるのではないかという心配もあります。

 ちなみに、子どもに対する虐待死について父親よりも母親の方が多いことについても先ほど紹介したブログ記事の一番後ろの方に政府統計を示しています。

 また、面会交流中に暴力や虐待がしばしばあるという聞き捨てならないことも言っていましたが、統計資料などがあるなら示すべきでしょう。おそらく日本の統計資料もないままに言っているのではないかと私は疑っています。

3 同居親が自己の感情を抜きに行動しているとする点

 聞いていて開いた口が塞がらなかったのは、同居親は、子どものことを第1に考えてふるまっている。同居親が別居親に会わせたくないと言っているならば、面会交流をさせないまっとうな理由があるからだという発言です。
 これはひどい。さすがに、某私立大の教授だってここまでは言いません。こういうのを法律用語で畢竟独自(ひっきょうどくじ)の見解だというところです。

 そういうケースもまれにあるのかもしれませんが、大体は会わせることに抵抗がある会わせなければならないのはわかっているが、相手方と顔をあわせるのが嫌でどうしても具体的に約束できないということが多いと思います。
 嫌がらせで会わせないというケースよりもこういうケースが多いと私は理解しています。

 そして、それも人間なのである程度やむを得ないところがあるから、何とかそのような葛藤を鎮める方法を編み出しながら具体的な面会交流を進めているのです。

 木村氏が法律学者として発言しているならば自説に対する根拠を述べるべきです。

 何も根拠がなく、子どもたちが親に会う可能性を阻害する発言を法学者として無邪気にすることは許されることではないと思います。

 家事実務を知らないなら発言を慎むべきですし、根拠のないことは言うべきでもありません。 

4 古典的な20世紀の議論にとどまっている点

 木村氏は、面会交流の実施は同居親に心理的負担をかける、同居親に心理的負担がかかると子どもにとってもよくない、だから面会交流を努力義務でもすることはできない、子どもに強要することもできないという二つのことをいっぺんに話しているようです。

 これは、20世紀のゴールドシュミットやアンナ・フロイトの主張で、ああ、よく勉強しているなとは思います。但し残念なことに子どもの発達心理学は長足の進歩を遂げており、現代においては、定年間際の家裁の調査官くらいしか支持していない学説です。
  
 この理論は、既に心理学会でも家裁のまっとうな調査官の間でも採用されてはいません。採用されていない理由は、裏付けがないということです。科学的ではないからだということになります。  

 彼らも確かに面会交流には賛成だが、同居親の葛藤が鎮まったら面会交流をすればよいと主張します。

 しかし、その後の調査によると離婚後の相手方に対する葛藤は多くのケースでつきものであり、25年を経ても続くことが多いことがわかっています。人間ですから仕方のないこともあると思います。

 葛藤が鎮まるころには、どうしても、子どもは成人に達してしまっています。

 実質的に面会交流を否定する議論であることは理解できることだと思います。

 このような根拠のない面会交流制限から子どもたちの離婚の負の影響を軽減しようという科学者たちの様々な調査によって、現代では面会交流が進められるようになっているというのが、法律的見解として述べられなければならないのです。

 実務に携わる法律家は、調査官の方々のたゆまぬ調査研究を学んで自分の主張をしているのでして、ちょっと調べればわかることを調べないでわかったふりをしているというのが木村草太氏の発言だと感じるわけです。

 もし、木村氏が、このような科学の発展を踏まえてもなお、ゴールドシュミットらの見解を支持するというのであれば、すでに誰も支持していない説であるけれど特異な理由があって支持するということを述べるべきです。それが述べられていない以上議論の経過について知らないで発言していると評価するしかありません。

5 家庭裁判所に対する勝手な批判

 木村氏は、わずかの時間の中で様々なことを言っています。その中の一つとして、この時の木村氏の発言を象徴するような見解が述べられています。

 それは、本来面会交流がなされるべきではないが裁判所の人員不足で、DVや虐待を見抜けないために面会交流を認めてしまっている事例が多いようなことを言っていることです。

 人員不足が原因ということはどういうことでしょうか。よくわかりません。NHKで、民法のテレビ番組にも出ている学者がそのようなことを言えばみんな信じてしまう危険があります。

 よくわからない大学の教授がインターネットでつぶやいているのとはわけが違います。

 法律家が裁判所批判をする場合は、まさにそれが法律家の仕事ですからそれこそ豊富なエビデンスを示しながら行うものです。

 何も資料がなく決めつけで裁判所を批判しているのであれば、それは法学者を名乗るべきではないでしょう。

 どのケースでDVや虐待があったのに裁判所が面会交流を認めたのでしょうか。それがどれくらいの頻度があるのでしょうか。法学者として見解を述べるならばそれを明らかにするべきです。

 どちらかというと、DVや虐待が無いにもかかわらず面会交流が認められず手紙やメールのやり取りだけを強いられているというケースが実務的な実感としては多いのです。

 彼の議論の特徴はここにあります。

 私人である父親と母親の権利の調整をする場合、どちらかの意見に偏って判断することは大変危険です。

 DVや虐待が「あった」ということは大変難しいことですし、それぞれの立場によって違うということも大いにあります。そもそも日本の法律のDV概念が極めて曖昧かつ広範です。

 そういう場合でも面会交流が有効であることはランディバンクラフトの引用で何度かこのブログでも紹介しているところです。

 要するに、複雑な人間の感情を一切捨象して一方の見方だけを肯定し、他方の見方を否定してしまっては、私人間の紛争調整はできません。

6 同居親の児童虐待は国家権力の強制力によって解決するべきだという点
 
 さすが見かねたアナウンサーがいろいろ突っ込みを入れるのですが、他説を考慮しない彼の発言は意に介さないで続きます。あるいは争点があることを理解しないのかもしれません。

 アナウンサーが同居親からの児童虐待があるケースを考慮した方が良いということに対して、そのようなケースは虐待防止法や監護権の変更で対処するべきだと発言しています。まさに国家権力万能論です。
  
 面会交流が月に2回でもあれば、子どもの様子が変わったことはすぐ気が付くでしょうし、宿泊付きの面会交流があれば痣やたばこのやけどなどにも気が付くでしょう。

 そもそも、相手親に会わせることを考えれば虐待などできない心理的な担保になると思います。

 子どもも、いざとなれば別居親に逃げればよいという逃げ道を意識することができれば虐待を告発することもできるでしょう。

 虐待は、世間からわからないようになされています。法律的制度があったところで少なくならないということから法律的制度があればそれでよいということは児童の権利に対する、あまりにも無理解ではないでしょうか。

 また、そんなに簡単に保護を受けたりましてや親権変更にが実現できるというような実務的感覚はありません。これに対して子どもの親が定期的にわが子に接することの方がまっとうな解決であるし、あるべき姿だと私は思います。

7 面会施設について
  
 面会施設を作り、無償で提供するべきだということも言っています。この結論自体は賛成です。

 しかし、この人、親を見張りながら面会をさせる施設が必要だとか監視が必要だとそういう言い方をラジオでしているのです。

 一緒に暮らしていた自分の子どもが親と会うのですよ。人間の感情を傷つけることを厭わない人が法学者として語ることに抵抗を覚えます。

 結局、全件原則DV虐待事案として扱えという主張のように感じられます。

 施設が必要であることは家事調整センター企画書で述べていますが、万人が犯罪者で国家権力の強制力に服すべきだという観点からの議論ではなく、現実の人間の弱さを前提としてどうやって、大人の都合で子どもに与える負の影響を軽減するか無駄な大人同士の対立を鎮めてみんなが苦しみを少しでも和らげるという観点で述べています。

 ああそうかとここまで書いて気が付きました。彼の話は冷たいのです。

 それは別居親に対してだけ冷たいのではなく同居親に対しても自分の感情を持つことが許されず、子ども最善の利益で動かなければならないという人間像を前提とした議論になっているような冷酷さを感じます。

 どうしてNHKは彼に発言をさせたのでしょうか。それが一番の疑問かもしれません。彼の議論が法学者としての一般的な見解だと誤解を与えることはどうしても避けたいところです。

 その次の週は、家族問題に取り組んでいらっしゃる青木先生がお話しするようです。問題点に対する研究の歴然とした差が聞き比べると容易にわかることだと思います。

元夫が娘と面会中に無理心中「ごめんな。行かせてごめんな」母親が涙の告白

出典:平成29年5月17日 週刊女性

元夫が娘と面会中に無理心中「ごめんな。行かせてごめんな」母親が涙の告白

「今はまだ、娘が近くにいるような感じがするんです。だから、まだ本当に寂しいという気持ちが湧かなくって」

 娘の遺影と遺骨を前に母親の中村明子さん(仮名)は、大切な娘(当時4)が殺されたショックを、まだ実感できない。

 殺したのは父親。中村さんの元夫だ。

 4月23日、月に1度の面会交流の日の夜、兵庫県伊丹市のマンションの一室で、娘は命を奪われた。娘の首にはネクタイが巻かれ、元夫はネクタイで首をつっていた……無理心中だった。

 元夫は昨年11月、自暴自棄になり自ら離婚届を提出。その後、寂しくなったのか復縁を申し入れてきたという。

「借金はする、酒は飲む、暴言を吐く、部屋を荒らす、浮気をする。もう限界で、あのストレスの日々に戻ることは無理でした。弁護士を立て離婚調停を始めました」

 調停中だったが、昨年12月、今年1月2月と、中村さんは娘を父親に会わせている。

「本当に空気が読める子で、元夫に会って帰ってきたとき“パパ、謝ってたよ。許してあげーや”って私に言うんです。私はもう会いたくなかったので“近くだからまたすぐ会えるからなぁ。おもちゃもこっちに全部あるで”なんてごまかして……」

 必死に両親の仲をとりもとうとする娘の健気さが、その言葉からは読み取れる。

 4月に離婚調停が終わり、月1回の面会交流が決定。元夫が娘に手をかけたのは、その1回目の面会日だった。

「朝10時に、うれしそうに出かけていった娘を見たのが最後です。面会交流終了時間は午後5時だったんですが、何の連絡もなくて、午後7時ごろに警察に連絡をしました。午後9時過ぎ、元夫の兄と警察官がベランダから窓を割って部屋に入ったところ、2人が倒れていたそうです」
 後日、警察に見せてもらったマンションの防犯カメラには、うれしそうな娘の姿が残されていたという。

「映画を見て、おもちゃを買って、最後にちゃんと父親したかったんでしょうね。娘まで勝手に連れていって、最後の最後まで自己中で……」

 娘を行かせなければよかった。そんな思いはないのか。中村さんは、

「娘の遺体と対面したときは、“ごめんな。行かせてごめんな”と後悔ばかりでしたが、結局いつかは起こっていたんじゃないかと思います。弁護士さんからも“連れ去りは大丈夫ですか”と第三者が立ち会う施設の利用なんかもすすめられていましたけど、まさか自分の娘に手をかけるなんて思いもしませんでした」

 そして、今回の事件の原因についてふれる。

「彼の弱さが起こしたものだと思っています。養育費も払えないように仕事も辞めていたみたいで、私を困らせてやろうという気持ちがあったんだと思います。それと、やっぱり帰り際、子どもが可愛くなったのかもしれませんね」

 実の娘を亡くした今だからこそ、中村さんは思うところがあるという。

「子どもが会いたいと言うのなら父親には会わせるつもりでしたし、その気持ちを酌むのが親の役割。子どもに会えないのは寂しいでしょうし、子どもにとっても面会交流は必要です。私がお話をすることで、2度と同じような事件が起きないように、何かが変わればと思っています」

 児童心理学の専門家で東京国際大学の小田切紀子教授は、

「問題が起こるかもしれない。連れ去られるかもしれない。そういった場合には、家庭問題情報センター(以下、FPIC)のような第三者が立ち会っての面会交流も可能です。なにより何のために行っているのか。父母がしっかり理解することが大切です」

『親子の面会交流を実現する全国ネットワーク』略称『親子ネット』によれば、毎年約24万組の離婚が成立しているが、子どもとの面会交流ができていない親は7割、毎年約16万人の子どもが別居親との関係を断絶させられているという。夫婦は離婚すれば他人だが、子どもにとっては父親も母親も変わらぬ親。小田切教授は、

「だからこそ、夫婦の問題と親子の問題は、切り離して考えてほしい」

 と話し、さらに続ける。

「子どもにとって離婚は、青天の霹靂。妻と夫の関係を終えたとしても、父と母という役割から、子どもの負担をどうしたら減らせるか、子どもをいちばんに考えてほしい」

 とはいえ、お互いにいがみ合っている夫婦は、不寛容の感情が先走る。その結果、別居親が子どもに会えないケースが続出しているーー。

夫が語るリアルDV被害「お前が追い込んだ! 一生後悔しろ!」と殴り書きの遺書

出典:平成29年5月18日 週刊女性

夫が語るリアルDV被害「お前が追い込んだ! 一生後悔しろ!」と殴り書きの遺書

「今はまだ、娘が近くにいるような感じがするんです。だから、まだ本当に寂しいという気持ちが湧かなくって」

「毎日毎日、仕事してテレビ見る時間もないんだよ、洗濯だってしなきゃいけない、食器だって手洗いしないといけない。いい加減にしてよ。お前は結局マザコン野郎なんだよ」

「うるせぇ、本当にムカつくんだよ、この野郎」

 泥酔した妻が、空になったワインのボトルを夫に投げつけながら、そうなじる。エンジニアの山田良太さん(仮名・40代)が味わった、家庭内DVのリアルな修羅場だ。

 夫婦ゲンカは犬も食わない。そう言われていたのは遠い昔のおとぎ話。近年、夫婦ゲンカがDVと呼ばれるようになり、社会問題化した。

 警察庁の発表によると、昨年1年間に全国の警察が受け付けたDVの相談件数は6万9908件。そのうち事件として検挙された件数は8387件。いずれも過去最多となった。

 女性の被害者が全体の約8割を占めるが、男性からの相談が増加しているのも最近の傾向だ。昨年は初めて男性の相談件数が1万件を超えた。

 デートDVなどの防止啓発活動に取り組むNPO法人エンパワメントかながわの阿部真紀理事長はDVの類型を、

「身体的暴力、行動の制限、精神的暴力、経済的暴力、性的暴力の5つに分類されます」と説明したうえで、DVが深刻化する様子を次のように話す。

「なぜ、約束を守れない、お前が悪い、と最初は機嫌が悪かっただけのものが、徐々にエスカレートして、暴言や暴力へ発展します」

 そして、被害者が女性でも男性でもDVとしての構造は同じだと説明を加え、深刻化する理由について、

「暴力や暴言の後、加害者は被害者に“もうしない”“ごめんね”“本当は愛しているのよ”と謝る。そこで被害者は、約束を破り相手を悲しませた自分が悪いんだと思い込まされるんです。この繰り返しによって、徐々に被害者の自尊心を奪い、被害者をコントロールしていくんです。被害者からの相談では、“自分が悪いんです”と話す人は少なくありません」(阿部理事長)という。

「出産の翌年、甲状腺機能亢進症を発症したんです。そのせいか、思うように家事ができずアルコールを飲む機会が増えました。あるとき飲みすぎだと思い、ウイスキーのボトルを隠したんです。そうしたら妻が怒りだして……。私に文句を言い、なじるんです。家事ができないのも、お前の出来が悪いからだ、と。そんな日常の繰り返しでした」 

 エンジニアの山田さんは、大学時代に知り合った妻と、'03年に結婚。'06年には今年で11歳になる長女が誕生したが、その前後から始まっていた妻の異変は、アルコール摂取によって増幅した。

 精神的なDVが始まると同時に、妻が壊れ始めた。

 外出先で飲んで警察に保護される、家の中で暴れて包丁を持ち出す、子どもを連れて勝手に実家に帰り3か月以上も帰ってこない、医師にアルコール依存症の外来を紹介されても酒量は一向に減らなかった。そして'13年3月、

「会社に保育園から、妻が迎えに来ないという連絡があったんです。家に帰ると妻はリビングに倒れていて、大量に薬を飲んだ跡がありました。《お前の行動言動が私を追い込んだ! 自分のバカさかげんを反省しろ! 一生後悔しろ!! 》という殴り書きの遺書が残されていて……」

 山田さんが救急車を呼び一命をとりとめた。当初、妻は“お前が悪いんだ”と語っていたが、もう娘には会わせないと山田さんの母親が激怒。もう娘に会えないかもしれないと思った妻は、反省を口にするようになった。

《私はどうかしていました。今回も取り返しのつかないことをしてしまい、その事で皆様に大変迷惑をかけてしまったことを心の底から反省しています》《娘を大切にし、娘にパパの大切さを教えます。暴言を吐くようなことはしません》と反省文まで書いた。

「子どものこともあるし、今後は改善するのではないかと希望を持ちやり直すことに決めました。でも、この選択が間違いだったかもしれません」

 と山田さんは弱々しく語った。

 反省も長くは続かず娘が小学校に入学すると、再び飲酒。暴言、暴力、家出、知らない男と食事、朝帰り、出会い系サイトからのお金の振り込みや、“寝ている間に刺してやるからな”という脅迫も。400万円ほどあったはずの貯金も、知らぬ間に妻が3年間で使い切ってしまった。

「我慢するしかない」と思った山田さんは、争いを避けるため仕事から帰ると自室にこもるようになった。ドアや壁を容赦なく叩き罵声を浴びせる妻。顔を合わせればケンカし、もみ合いになったことも。

「寝室で動画を見ていたんです。するとその音がうるさいと、妻が怒りだしました。何度も何度もドアを叩いて叫ぶんです。もう我慢ができず、近くにあった手持ちのマッサージ器で威嚇するつもりが抑えきれずに妻を殴ってしまったんです。……そして妻に警察を呼ばれました。私は一方的な被害者ではなく加害者でもあることを認めます」

 '14年10月、警察ざたになる出来事があった。山田さんが深刻な表情で振り返る。

 妻からは暴行に対する手書きの謝罪文を要求された。周囲からは書くなと言われたが、家庭を壊したくないという思いから手書きで記したという。

 夫の非を責めながら、自分は朝から酒を飲んで暴れる。自分のものを隠したと夫を責める。限界を感じた山田さんは、市の福祉課や児童相談所、警察にも相談していた。

 だが、その後も妻の暴走は止まらない。寝室のドアの向こうから罵声を浴びせ続ける。

「何、無視してんだよ、いい加減にしろ。女ひとり、子ひとりてめぇが養えねぇくせに。離婚でいいよ、裁判するか。お前に慰謝料、さんざん請求してやるからな。(ドアを)開けろよ、開けろ」

 止まらない妻に耐えかね、警察を呼んだが、警察官は、

「旦那さんが今日は外で泊まってください」

 との言葉。妻に暴力をふるった反省から、暴走が止まらないときは警察を呼ぶようにしていたが、いつも外で泊まるのは山田さんだった。

 過去には翌朝に家に帰っても、チェーンがかけられ家に入れてもらえない。何度も呼びかけると再び警察を呼ばれたことも。そんな繰り返しに心も身体もボロボロだった。

 家を出よう……。他の選択肢はなかった。会社には翌朝電話をし、休職を願い出た。'15年3月16日のことだった。

 ……別居生活から2年。山田さんは今、アパートでひとり暮らしだ。妻とは娘との面会交流調停をすすめている。

「最後に娘に会ったのは、昨年10月です。11月も会う予定でしたが、直前に“娘が会いたくないと言っている”と連絡があり、それ以降、会えていません。会っても母親が一緒にいるので、会話はほとんどできませんでした。娘も察しているのか、私と目を合わせようとしないんです。今は娘に会いたい。ただそれだけです。娘が心配です」

 あの妻に娘を任せて大丈夫だろうか。そんな不安もあるが、山田さん自身も追いつめられている現状を明かす。

「妻と娘が住んでいるマンションのローンの支払いと、生活費も渡しています。加えて私のアパートの家賃、生活費、弁護士費用。お金がいくらあっても足りません。仕事も手につかなくて、上司には“職場は遊ぶ場所じゃないんだよ”と注意されています。降格し、給料も下がって。もう首をくくるしか……」

 山田さんはそういって、頭を抱える。取材中、「どうして、どうしてこんなことに……」と、うわごとのように何度も何度もつぶやいて、絞り出すように、

「出会わなければよかった。今は毎日そう思っています」

 現在、精神科へ通院し、睡眠薬と抗うつ剤を服用しているという。目の下の深いクマがその苦悩を物語っていた。

 DV事案を多数扱う森法律事務所副代表の森元みのり弁護士は、

「外面的には上品でかわいらしく、一見非の打ちどころのない女性が多いですね」

 とDV妻の特徴を説明。

「女性からのDVでは、身体的暴力よりは、精神的なものが多数を占めます。“出来が悪い”“食べるのが遅いんだクズ”“役に立たない”“家族の足手まとい”といった人格を否定する言葉が含まれるようになると問題ですね」

 山田さんのように暴力を受けるケースも増えているという。森元弁護士が続ける。

「相談に来る方は、妻からDVを受けているなんて誰も信じてくれないし、別れられないと思っている方が大半です。身体的暴力がある事例では、暴力を目撃する子どもに悪い影響があるとして離婚もできるし、親権も取れることが多い。だからこそ悩んでいる方はぜひ1度、相談していただきたい」

 DVがひどくなれば家庭は壊れる。その中で育つ子どもにも当然、悪影響を与える。

 社会心理学者の新潟青陵大学の碓井真史教授は、

「観察学習といって子どもは見たものを学びます。身近で暴力を見ることで、それが当たり前だと自然に身につけるようになる」

 夫婦間のやりとりが子どもの成育を阻害するとも話す。

「子どもにとって親というのは全世界といってもいいぐらい絶対的な存在です。大好きな両親が、お互いに悪口を言っている場合、子どもは非常に不安定な精神状態になる」

 すると、子どもは自らを安定させようと、こんな行動にでることもあると続ける。

「うまく心のバランスを保つため、母親か父親どちらかの味方につくのです。しかし結局、両方の遺伝子を引き継いでいるわけですから、自分のルーツを否定することになる。すると理想の男性像や理想の女性像を持てなくなり、自分がどんな人間になればいいかわからなくなる。現れ方はさまざまですが、情緒不安定な子どもになる可能性も」

 前出の森元弁護士は、母親が子どもに父親の悪口を言わせるケースもあると話す。

「“バカ”とか“臭い”とか子どもを使うケースもあります。ただ加害者側は決まって、私にちゃんと向き合ってほしかった。愛情表現だったと話をします。客観的に見たら、全然愛情とは逆の行動ですよと思うんですけどね。不思議です」

 夫の会社に、夫が浮気をしているとウソの連絡をして、社内で問題となり降格人事を受けた男性もいたという。

 稼ぎ頭の夫を貶めておきながら、法廷の場で話す言葉は“愛している”“別れたくない”と主張するDV妻たちは理解の範囲を超える。今日もどこかで虐げられる夫の悲痛な叫びが聞こえる。

3人の経験者が語る、離婚後の“別居親”と子どもの切ない面会交流の実態

出典:平成29年5月18日 週刊女性

3人の経験者が語る、離婚後の“別居親”と子どもの切ない面会交流の実態

「子どもにとって離婚は、青天の霹靂(へきれき)。妻と夫の関係を終えたとしても、父と母という役割から、子どもの負担をどうしたら減らせるか、子どもをいちばんに考えてほしい」

 児童心理学の専門家で東京国際大学の小田切紀子教授は言う。

 夫婦は離婚すれば他人だが、子どもにとっては父親も母親も変わらぬ親。だからこそ「夫婦の問題と親子の問題は、切り離して考えて欲しい」と小田切教授。

 とはいえ、お互いにいがみ合っている夫婦は、不寛容の感情が先走る。その結果、別居親が子どもに会えないケースが続出している。

娘は私の命です
 佐藤良子さん(仮名)は、昨年10月に面会交流調停が和解し、12歳の娘と月に5時間だけ会うことが認められた。

 職場で知り合った夫と'00年に結婚し、'05年に娘が誕生。

 '12年、娘が小学生になり少し手が離れたタイミングで、保育士の資格を取るために学校に通いたい、と夫に打ち明けたところ、予想外の反応が返ってきたという。

「保育士なんて少子化で先がないし、給料が安い。そんな仕事はやるべきじゃない、と」

 夫の反対を押し切って夜学に通い始めたことで、夫婦関係はぎくしゃくし始めた。

 “お前はバカだ”“何もわかっていない”といった言葉の暴力が始まり、仕事中の夫が家に電話をかけてきて1時間以上の罵詈雑言を浴びせることも日常茶飯事。家事は完璧にこなしていた佐藤さんだが、徐々に夫の顔色をうかがいながら暮らすようになった。

「家を出ていく」。夫がそう宣言したのは、'15年6月。引っ越し業者が夫と娘の荷物を運び出していく様子を、

「ただ立ちすくんで何もできず見ていました。私が家庭を壊したんでしょうか。何を間違えたんでしょうか。私が悪かったのでしょうか」

 今も原因がわからない。

 夫とは今、離婚訴訟中だ。お金はすべて夫が管理していたので、佐藤さんは取得した保育士の資格を生かし、保育園に勤めている。

「娘は私の命です。でも娘は父親も大好きでした。その父子の関係は壊したくない。私のところにも夫のところにも子どもの意思で行ける、本当の自由が与えられる日が来ることを望んでいます」

 昨年12月の面会時の、子どもの言葉が忘れられない。祖母のお見舞いに行った帰りの電車の中でのこと、

「私が“お父さんとも3人でご飯を食べることだってできるかもしれないよ”って話をしたら、びっくりした表情をみせた後、うつむいて“やっぱり家族は一緒がいい”ってつぶやいたんです」

 娘が帰って来ることができる場所を作っておかなくちゃ。そんな思いだけが今、佐藤さんを支えている。

子の口から知った。

どっちも選べないよ
 息子の中学入学後、夫が実家に戻り、引き止めたが息子もそのあとを追った。

 夫が離婚調停を申し立て、対抗する形で吉田さんは面会交流調停を申し立てる。

 周囲の友人などに“お父さんお母さんどっちも選べないよ”と漏らしていたという息子も、父親との暮らしが長くなるにつれ、面会で一切反応をしないように変わったという。片親疎外症候群が始まった、と吉田さんは見ていた。

 小田切教授によれば、

「簡単にいえば洗脳ですね。同居親は別居親に絶対に渡したくないわけです。別居親がどんなに悪い人間か、子どもに毎日のように吹き込んで支配していきます」

 今年3月、上告棄却で離婚が確定、親権は父親が得た。

 4月11日に面会をした息子は、次回と次々回の面会を休みたいと吉田さんに伝えた。

「連絡用にメールアドレスを教えてくれました。ただ、連絡をしても返事はありません。このまま連絡がとれなければもう会うことはできなくなるかもしれません。いつか息子の目が覚めてくれたら……」

 取材中、気丈に振る舞っていた吉田さんの目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

 高木勇樹さん(仮名)は、

 '09年に結婚し、翌年2月に長男が誕生。だが同じころに妻が多重債務者であることが発覚。歯車が狂い始めたという。

 2年かけて借金を整理したが、再び借金をしているのが発覚。'14年7月、妻の実家に相談に行ったが、「嘘をつくな」と義父が激怒。その後、長男と一緒に実家にいた妻とは一切連絡がとれなくなり、弁護士を立てた。

調停の場で知った長女の誕生
「なぜ自分の子どもなのに会えないんだ、という怒りと悲しみ……。今まで味わったことがない感情でした。街中で“パパ”って聞こえると、反射的に振り返っていました」

 長男と会えたのは1年半後。第三者立ち会いのもとだったが、「パパ~」と駆け寄る息子と抱き合うことができ、会えなかった時間を埋めるほど濃密な時間を過ごせたという。

 別居前に妊娠していた妻が長女を出産していたことがわかったのも調停の場だった。戸籍謄本を取得し、名前を知った。その娘とも'16年3月に会うことができたという。

 今年4月には面会交流調停が合意。2か月に1回、3時間だけ会えることになった。

「娘も少しずつ私になれてきているようです。やっぱり可愛いですよね」と喜ぶ一方、

「娘は今年で3歳になるのに、まだ20時間も会うことができていません。長男とももっと遊んであげたい。なにより今は一緒に生活することをしたいですね。ひとつ屋根の下で生活をする。親子なのにそのごく当たり前のことが、できないのがつらいです」

 ただ、高木さんは次のような反省も口にする。

「夫婦でいざこざがあると子どもは置き去りになる。トラブルになったとき相手を思いやることを忘れないでほしい。私にもそれがあれば、今の状態にはならなかったかもしれません。子どもからしたら、両方の親が必要なんです」

 離婚で試されているのは子どもの立場に立った愛情の注ぎ方なのかもしれない。

親子の面会交流支援10年 福岡の社団法人

出典:平成29年5月12日 読売新聞

親子の面会交流支援10年 福岡の社団法人

 福岡市中央区大名の公益社団法人「家庭問題情報センター・福岡ファミリー相談室」が、離婚で離れて暮らす親子の面会交流を支援する取り組みを始めて今年で10年目を迎えた。これまでに支援した親子は100組を超え、子どもの心のケアに役立っている。
 面会交流は、離婚や別居で一緒に暮らしていない親子が定期的に会ったり、電話などで連絡を取りあったりすること。親同士が話し合いでどのような方法で交流するかを決めるが、まとまらない場合は家裁が仲介する「調停」や「審判」で決定する。
 同相談室は元家裁調査官らが集まり、1993年に設立。離婚を考える夫婦の相談などを受け付け、2007年からは、面会がうまくいかない当事者間の調整にも取り組んできた。原則1年間、親子の面会日時を設定し、1~2か月に一度の面会に付き添う。
 付き添い回数は昨年末までに、107組で計1000回を超えた。
 九州北部に母親と暮らす小学校低学年の女児は数年前、別居する父親(40歳代)との面会を2年間続けた。最初の1年は相談室内で職員が同席した。女児は両親に気を使う場面もあったが、次第に面会を楽しみにするようになったという。
 相談員の江口朋子さん(69)は「子どもは定期的に親と会うことで愛情を感じ、健全な成長につながる」と面会の大切さを説く。
 問い合わせは平日の午前10時~午後4時、同相談室(092・734・6573)へ。

「子ども最優先に 離婚後の面会交流」(時論公論)

出典:平成29年5月4日 NHK

「子ども最優先に 離婚後の面会交流」(時論公論)

今日のテーマは、離婚した親が離れて暮らしている子どもと会う「面会交流」です。「夫や妻と別れても、わが子には会いたい」。面会交流を求めて裁判所に
調停を起こす親が増えています。その陰でトラブルが相次いでいて、先週、兵庫県では4歳の女の子が面会交流中に父親に殺害されるという痛ましい事件が起きました。親どうしの争いをなくし、子どもが安心して親に会えるようにするにはどうすればよいか考えます。

解説のポイントです。まず、面会交流をめぐり、どんな問題が起きているのか見ていきます。そして、法律や制度の整備の遅れが問題を深刻化させている現状を押さえたうえで、子どもの思いを最優先した面会交流のあり方を考えたいと思います。

こうした重大な事件には至らなくとも、面会交流をめぐる夫婦間の争いは日常的に起きています。
1万2264件。これは子どもと別れて暮らしている親が1年間に全国の家庭裁判所に面会交流の調停を申し立てた件数です。10年前の2.4倍に増えていて、父親からの申し立てが急増しています。
その背景には男性の育児参加の広がりがあります。子育てに積極的に関わる父親が多くなり、妻と別れても子どもとの面会交流は続けたいと思う男性が増えているのです。

その一方で、配偶者から暴力を受けるDV、ドメスティックバイオレンスの被害を訴えて、離婚や別居をする女性も増えています。
このため、男性の側が「自分は暴力をふるった覚えはない。だから子どもに会わせてほしい」と申し出ても、女性の側はDVの被害を受けたことを理由に「夫と関わりたくない。子どもも合わせたくない」と言って応じない。
対立が広がる中で、母親が子どもを連れて家を出て所在がわからなくなったり、父親が母親の元にいる子どもを無断で連れ戻したりするトラブルが相次ぎ、その結果、板ばさみとなって苦しむ子どもが増えています。

ここで考えなければならないのは、日本では法律や制度の整備の遅れが問題を深刻化させているということです。

欧米では離婚しても双方の親に親権を認める「共同親権」が主流です。そして、離婚は面会交流の方法や養育費の分担などを取り決めたうえで裁判所が決定する仕組みになっています。
これに対し、日本は、かつては欧米でも主流だった「単独親権」をとり続けていて、離婚すると片方の親の親権が無くなることが民法で定められています。また、夫婦の話し合いだけで離婚できる「協議離婚」の制度があり、離婚の9割を占めています。このため日本では面会交流の取り決めをしないまま離婚するケースが多く、また、親権を持つ親が子どもを会わせない場合もあることから、離婚が成立した後で子どもを奪い合う争いが起きているのです。

こうした状況を改善しようと、超党派の国会議員が「親子断絶防止議員連盟」をつくり、面会交流を促進するための法案を国会に提出する準備を進めていますが、これが波紋を広げています。
検討されている法案は、離婚後も子どもが双方の親との関係を継続できるようにすることは父母の責任であるという基本理念を掲げたうえで、離婚の際に、面会交流や養育費の分担を書面で取り決めるように求めています。
また、面会交流などの取り決めをせずに別居して、子どもが片方の親と会えなくなる事態が起きないように、国や自治体は親に対する啓発活動を行うとしています。
こうした面会交流の実施を強化する動きに、夫から暴力を受けた女性たちが強く反発しています。法案には、子どもへの虐待や配偶者に対する暴力がある場合は、面会交流を行わないなど特別な配慮をすることが盛り込まれましたが、その具体的な方法は示されていません。
このため女性たちは、DVや虐待を防ぐ対策が不十分な中で安易に面会交流を進めれば、被害が一層深刻化すると訴えているのです。
親子関係を継続することが子どもの利益にならない場合があることを考慮して慎重に議論を進める必要があります。

そうした親への教育を離婚の手続きの中に取り入れ、制度化しているのが韓国です。韓国にも協議離婚の制度がありますが、仕組みは日本とは異なります。
まず、裁判所に申請しなければなりません。そして、3か月間の熟慮期間が設けられ、その間に裁判所で離婚が子どもに与える影響や離婚後の親の役割を学びます。そのうえで面会交流や養育費の支払いについて合意した協議書をつくり、これを裁判所に提出することで離婚が成立するのです。

こうして見てきますと、欧米や韓国では、双方の親から愛情を受け続けることが子どもの利益になると考え、面会交流の取り決めを離婚の前提条件としているのに対し、日本は子どもが蚊帳の外に置かれている状態です。

必要なのは親の思いを優先するのではなく、子どもの思いや与える影響を最優先に考えて、国が早急に離婚する親と子どもを支援する体制を整えることです。
とりわけ、DVや虐待の問題を抱える親子の面会交流は、欧米のように安全を守る監督者を付けてまで行う必要があるかどうか、慎重かつ十分な議論が必要です。

日付が変わり、きょう5月5日は「こどもの日」です。子どもの人格を重んじて、子どもの幸福を考える日です。この問題に対する社会の関心が深まることを願ってやみません。
(村田 英明 解説委員)

子供“連れ去り” 国内外から日本の姿勢批判「英語では『誘拐・拉致』だ」 ハーグ条約発効3年

出典:平成29年4月16日 産経新聞

子供“連れ去り” 国内外から日本の姿勢批判「英語では『誘拐・拉致』だ」 ハーグ条約発効3年

 一方の親による子供の連れ去りをめぐり、日本の予防・解決態勢の不備を指摘する声が国内外で強まっている。今国会では「現状のままでは連れ去りが続く」との危惧が提起されたほか、子供を連れ去られた親でつくる団体も国に対策を求めた。海外では対日制裁を求める声も上がる。ハーグ条約の日本での発効から3年を迎えた中、日本の対応に注目が集まっている。(小野田雄一)
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 「日本はハーグ条約に加盟しながら、国内では連れ去りが実質的に容認され、むしろ“連れ去った者勝ち”の状態だ」「連れ去りというが、英語では『誘拐・拉致』だ。米国から子供を連れ去って国際手配された日本人女性もいる。子供の返還に応じない国への制裁を定めた『ゴールドマン法』に基づき、米国が日本を制裁する恐れもある」
 日本維新の会の松浪健太議員(45)は今国会の衆院予算委員会委や法務委員会でこう指摘した。その上で子供の親権をめぐる夫婦間の訴訟などで、子供を連れ去った側が親権を取りやすい現状を改める考えがあるか政府に問いかけた。
 安倍晋三首相(62)は「親権は個別事情を総合考慮して決定されている」と答弁。岸田文雄外相(59)も「ゴールドマン法による制裁は過去に例がない。対日制裁の可能性は低い」との認識を示した。

 松浪氏は「親権紛争の際、日本が『継続性の原則』(連れ去りの結果であっても、子供の現在の成育環境に問題がない限りは現状維持を尊重する考え方)を過剰に重視してきた結果、連れ去りがなくならないということを政府は認識すべきだ」と注文した。
 3月22日には、一方の親に子供を連れ去られた親らでつくる団体が、国に連れ去りをなくす政策の推進などを求める請願を行った。
 団体メンバーの男性は「多くの先進国では子供を連れ去ると誘拐や児童虐待で刑事罰が科される。日本の刑法でも誘拐罪などで摘発できるが、家庭内の問題とされ、実際はほぼ適用されない。日本でも刑事罰を適用し、不当な連れ去りをなくすべきだ」と話した。
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 海外では4月6日、米下院外交委員会の人権小委員会でゴールドマン法についての公聴会が開かれ、日本などに子供を連れ去られた米国人らが証言した。委員会の冒頭、議長が岸田外相の発言を『無礼だ』と述べ、「日本を制裁すべきだ」と話す場面もあった。
 日本人女性に4人の子供を連れ去られた男性も「大阪高裁は子供を返さない決定をした。ハーグ条約違反だ。トランプ大統領は先進7カ国首脳会議(G7サミット)で日本に問題提起すべきだ。対日制裁を発動すべきだ」と訴えた。

 男性の話などによると、大阪高裁は昨年1月、子供を米国へ返還することを決定。しかし妻が新たに訴訟を起こし、同高裁は今年2月、「男性には資力がなく、返還は不適切だ」との逆転判断を示した。男性は最高裁まで争うという。
 イタリアでも今年、最大手紙「ラ・スタンパ」を含む複数の新聞が、日本人妻に子供を連れ去られたイタリア人男性の記事を掲載。大きな反響を呼び、政府に日本への働きかけを求める声が高まっているという。
 こうした動きについて、外務省ハーグ条約室は「ハーグ条約は、返還で子供への不利益が生じる場合などに返還しないケースを認めている。米国人男性の条約違反という主張は遺憾だ」と指摘。また「全ての条約加盟国が実績を公表しているわけではないが、日本の姿勢や実績が加盟各国に比較して劣っているとは考えていない」としている。

子供の国際返還、実現は3割 ハーグ条約発効3年、外務省が実績取りまとめ

出典:平成29年4月16日 産経新聞

子供の国際返還、実現は3割 ハーグ条約発効3年、外務省が実績取りまとめ

 国際結婚した夫婦間などで国境をまたいだ子供の連れ去りが起きた場合、原則的に子供を元の居住国に戻すことなどを定めた「ハーグ条約」をめぐり、日本に関連する子供の返還実現率は約3割であることが15日、分かった。日本での同条約発効から4月1日で3年を迎え、外務省が3月31日までの実績をまとめた。

 同条約によると、子供を連れ去られた親は、自国や連れ去られ先の国の中央機関(日本は外務省)に子供の返還に向けた援助を申請できる。中央機関は夫婦間の交渉などを支援。交渉がまとまらなかった場合、裁判所が返還すべきかどうか判断する。返還が原則だが、(1)連れ去られ先の環境に子供が適応している(2)返還で子供の心身に悪影響や危険が生じうる(3)子供が返還を望まない-などの場合、返還しなくてよいとする例外規定がある。
 まとめによると、「日本から外国への返還に向けた援助」の申請件数は68件、「外国から日本への返還に向けた援助」の申請件数は56件。このうち「日本から外国への返還」が実現されたのは20件、「外国から日本への返還」が実現されたのは19件で、実現率はともに3割前後となった。
 一方、「日本から外国へ返還しない」と決まった事例は16件、「外国から日本へ返還しない」と決まった事例は8件だった。
 同条約は1980年に制定。国際結婚の増加に伴う子供の連れ去り問題に対応するため日本も加盟し、2014年4月に発効した。

【用語解説】ハーグ条約
 一方の親がもう一方の親の同意を得ることなく、子供を自分の母国へ連れ出す「子供の連れ去り」から子供を守るための国際ルール。連れ去られた子供は一方の親や親族、友人との交流が断絶されるほか、異なる言語や環境への適応も必要となる。生活の急変は子供に有害な影響が生じる可能性があり、原則として元の居住国へ返還することが義務付けられている。

娘との再会願い…高橋ジョージが悲痛な叫びを続ける背景

出典:平成29年4月16日 日刊ゲンダイ

娘との再会願い…高橋ジョージが悲痛な叫びを続ける背景

 自分の娘に3年も会えていない歌手の高橋ジョージ(58)が、テレビやツイッターで悲痛な叫びを続けている。現在は大阪でミュージカルに出演中なのだが、14日のツイッターで「大阪にいる間に、会えなくても、こっそりでもいいから、娘に舞台を観に来て欲しいなぁ」と、大阪に住む娘に呼びかけた。

 さらに、高橋は「舞台から客席を探して見ている。前回の舞台の時に8歳だった娘が『いつかパパとミュージカルに出たい』と言ってくれた。希望だけがこの俺を支えて来た」と切なすぎる胸の内を吐露。舞台初日の前日(1日)のツイッターでは「娘が来てくれる事、希望をもって、3年ぶりの再会を夢見て頑張ろうと思います、、、なんか、娘と同じ街にいるだけで嬉しいのです」との思いを明かしている。

■離婚後に子供と会えない親が続出

 先月31日放送のフジテレビ系「訂正させてください~人生を狂わせたスキャンダル~」に出演した際は、元妻の三船美佳(34)について「悪く書かれているが、そういう人ではない」「娘も育ててくれた」とフォローもした。では、一体なぜ、日本では離婚後に子供と会えない親が続出しているのか。

「片方の親にしか親権を認めず、育てている親の言い分ばかりを重視したり、子供の“連れ去り”を容認する現在の司法制度に問題があるんです。最近では、裁判で面会交流が認められたにもかかわらず、娘と同居する夫が応じなかったとして、妻側に1回の拒否につき100万円を支払う決定も東京家裁で出された。この決定の後、夫側は面会に応じ、妻は5年ぶりに娘と再会できた。裁判所もようやく異様な状況にあることを気付き始めています」(離婚に詳しい弁護士)

 別居や離婚の際、片方の親が子供を連れ去ったまま、もう片方の親に会わせないことは、国際的にも大問題になりつつある。今月6日に行われた米下院小委員会では、共和党のスミス委員長が連れ去りを容認する日本に対し「言語道断だ」「制裁する必要がある」「人権侵害は許されない」とトランプ政権に呼びかけた。このままいけば、国際紛争の“火種”になることは間違いないだろう。

岸田外相発言を批判=子の連れ去り問題で-米下院小委員長

出典:平成29年4月7日 時事通信

岸田外相発言を批判=子の連れ去り問題で-米下院小委員長

【ワシントン時事】米下院外交委人権小委員会で6日、米国人との結婚が破綻した外国人が子供を実家などに連れ去ってしまう問題に関する公聴会が開かれた。この中でスミス委員長(共和党)は、日本がこの問題で制裁を受ける可能性は低いとした岸田文雄外相の発言を批判し、トランプ政権に対日制裁を呼び掛けた。
 米国では2014年、米国に子供を戻すため適切な措置を取らない国に対し、連邦政府が安全保障上の支援打ち切りなどの制裁を科せるようにする法律が成立した。岸田外相は2月14日の衆院予算委員会で「これまで米国が外国に(制裁)措置を実施した例はない。わが国に適用される可能性は考えにくい」などと述べていた。 
 スミス氏は外相の発言を小委員会で紹介し、「言語道断だ」と非難。「日本を守るために命を危険にさらしている米軍人も(日本人による子供連れ去りの)犠牲者に含まれる」と指摘した上で、「日本を制裁する必要がある。日本は同盟国だから、なおのこと人権侵害は許されない」と強調した。

岡山)離婚で離ればなれ…親子の面会交流、増える橋渡し

出典:平成29年4月7日 朝日新聞

岡山)離婚で離ればなれ…親子の面会交流、増える橋渡し

 離婚後に離れて暮らす親子が会う「面会交流」。面会方法などを話し合う裁判所の調停の申し立て件数は増えているが、親同士の感情のもつれ合いから面会が実現できない場合も多い。「面会交流」の支援に取り組む団体が県内にある。支援員や親子を取材した。
 面会交流を支援しているのはNPO法人「岡山家族支援センターみらい」(岡山市中区)。2013年、弁護士や家庭裁判所の元調査官ら23人で発足した。
 2月中旬の日曜日、センターの支援員で元家裁調査官の大渕卓子さん(72)は、北区の大型商業施設のフードコートにいた。
 市内に住む40代の母親の小学生の長女と長男が、離れて暮らす父親と3カ月ぶりに会う日だった。子どもたちは父親を見つけ、「ひさしぶりじゃね」と駆け寄った。長女が手作りのバレンタインチョコを渡すと、父親はにっこりと笑った。
 同席した大渕さんにも子どもたちは親しげに話しかける。この親子の面会交流に7年以上関わってきた大渕さん。子どもたちにとって「本当のおばあちゃんのよう」(母親)だという。
■支援員立ち合い
 母親が現在センターの理事を務める大渕さんに面会交流の支援を依頼したのは離婚が成立した09年ごろ。裁判所の調停で「2カ月に1回、元夫に子どもを会わせる」という内容に合意したが、元夫と連絡を取ることも嫌だった。担当の弁護士を通じ、大渕さんに支援を依頼した。「(元夫との)会話の間に入ってくれることで気持ちがすごく楽になる。子どもたちが父親に会うのを楽しみにして心から喜んでいる姿を見て、自分の気持ちは横に置き、面会交流をする大切さを感じました」と母親は話す。
 支援員は親同士の間に入って面会の日程を調整。当日は子どもの引き渡しや、立ち会いをする。大渕さんの携帯電話には複数の親から絶えずメールが届く。「会いたくないという親同士が多いけど、子どもの視点に立って考え直してもらいたい」と大渕さん。
■信頼を取り戻し
 支援を約1年間受けた後、自分たちだけで交流ができるようになった親もいる。
 「だんだん彼への信頼が戻ってきたんです」。小学2年の長男と2歳の長女を育てる倉敷市の看護師の母親(33)は話す。離婚後、兵庫県に住む会社員の父親(34)と月1回程度、倉敷駅周辺で会っている。
 支援を依頼した15年6月当初、子どもを支援員に預ける際、父親の後ろ姿が見えただけで嫌だった。だが、支援員が要望を聞き入れ、面会時間も守ってくれ、次第に安心して任せるようになった。子どもが父親になついていることを支援員を通じて知り、「自分たちでやってみよう」と思うようになったという。
 「怒りが冷めたときに自分たちでやれるようになったんです」。そう振り返る父親は仕事で勝負どころだと思うと、ポケットに入れるものがある。長男が大好きだったバイキンマンのマグネットだ。家族が出て行った時、家に残されたままだった。
 「子どもの環境の変化は自分たちに責任がある。せめて父親としてできることをやってあげたい」
■調停増 高まるニーズ 民法一部改正など背景に
 これまで45組の親子を支援してきたセンターの近藤みち子理事長(74)は「子どもだけでなく親の成長が見られるのが私たちのやりがい」と話す。1年を目安に夫婦だけで交流できるよう自立を促すという。「夫婦の別れが親子の別れになってはいけない。子どもは自分が何者かを知るために、別れて暮らす親のことを知る必要があるんです」
 面会交流の支援のニーズは高まっている。
 面会交流の調停は、夫婦間の話し合いで面会方法がまとまらない場合などに申し立てることができる。岡山家裁によると、07年に107件だった申し立ては昨年261件と2倍以上に増えた。
 調停が増える背景のひとつが、12年施行の民法の一部改正だ。法律で面会交流について「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と明記され、家裁が離婚調停中の夫婦に積極的に勧めるようになった。離婚届にも、面会交流の取り決めの有無について新たに記載欄がつくられた。
 早稲田大学の棚村政行教授(家族法)は「共働きの夫婦が増え、子どもが小さい頃から父親が子育てに関わるなど、父親の子どもへの関心が変化してきたことが調停増加の背景にあるのではないか」と指摘。「調停での合意が守られるような支援や法整備が必要。民間ボランティアへの助成など、行政と民間が連携する必要がある」と話す。(村上友里)
■全国に40団体 4年で倍増
 棚村教授によると、面会交流の支援は、1994年に公益社団法人家庭問題情報センター(東京都)が取り組んだのが始まりだという。全国に広がり、2012年に約20団体、昨年約40団体となった。団体は、▽弁護士や元家裁調査官ら司法関係者▽離婚経験がある父母ら当事者▽臨床心理士ら心理福祉関係者、と中心となるメンバーによって3種類に大別されるという。

離婚後の親子面会交流

出典:平成29年4月7日 毎日新聞

離婚後の親子面会交流

 婚姻件数と離婚件数の比較から3組に1組が離婚するとも言われる時代、離婚した親と子どもとの面会交流のあり方が論議を呼ぶ。離婚後の別居親と子の面会交流を促す「親子断絶防止法案」が国会で議論されようとしている。「親子の交流は重要」と主張する推進派に対し、児童虐待やDV被害者への配慮が足りないと法制化を懸念する声は根強い。その議論は「家族とはなにか」を問うている。

父母対立激しい時 子に有害 小川富之・福岡大法科大学院教授

 親が離婚しても、両親と継続的に交流することが子の利益になる。だから親はその責任を果たすべきだ--。親子断絶防止法案のこうした理念は一般的に好ましく聞こえるが、法制化には賛成できない。父母が合意して面会交流できている親子には必要がないうえ、父母間の対立が激しく、家族関係に問題を抱える親子の場合には子の心身に深刻な影響を与える。
 法案は、夫婦が離婚後も子を共同で監護し、子と緊密に交流しているとされる欧米の取り組みや研究を参考に作られた。だが今、その弊害が注目されている。
 オーストラリアでは2006年、離婚後も両親が均等に子の養育にかかわることが望ましいとの理念を基に家族法が改正されたが、別居親が権利を主張しやすくなったために父母間の対立が激化し、深刻な問題が起きた。元配偶者の暴力や児童虐待を理由に面会を制限したくても、証明できなければ「相手方に協力的ではない」とされ、最悪の場合は子を育てられなくなる。そのため暴力の主張を控える親が続出した。父親が面会中の子を殺害する事件も起き、11年には父母に暴力に関する告知義務を課すなど子の安全を重視する方向で再改正された。また米国の研究では、父母間の対立が激しい場合、裁判で決められた厳密なルールによる交流がかえって子に有害であることが報告されている。
 日本では既に13年ごろから家庭裁判所の実務で、別居親と子の面会交流を原則として認める考え方が主流になってきた。昨年の千葉家裁松戸支部判決のように相手方と子の交流に協力的かどうかを親権者を決める要因として考慮したり、面会に応じない同居親に高額な制裁金の支払いを命じたりする判断も出ている。
 家裁が関与する離婚ではDVや虐待が主張されるケースは多いが、立証は必ずしも容易ではない。日本は欧米と比べ、DV被害者の保護施策が乏しく、離婚前後の家族への相談支援体制も不十分だ。今年1月には長崎市で、長男の面会交流のために元夫宅に行った女性が殺害される事件も起きた。こうした中で法案が成立し、面会を促進する流れがさらに強まれば、子の安全が脅かされる。法案はDVや虐待への配慮規定を置くが、「継続的な交流が子の最善の利益になる」との基本理念を明記する限り、不安はぬぐえない。
 また法案は、離婚前に相手方に無断で子連れ別居をさせないよう努める責任を国に課す。だが、話し合いもできないほど激しい夫婦間の紛争から家を出る必要があり、子を置いていけば養育環境が不安定になるなど、やむを得ない場合はある。別居が認められるかは、子の利益の観点からケース・バイ・ケースで判断されるべきだ。ハーグ条約は、子がそれまで住んでいた国の裁判所で事件を扱うためのルールで、国内の子連れ別居とは別問題だ。
 ただ離婚時の面会交流の取り決め率が約6割という現状は改善すべきだ。行政による啓発や必要とされる面会交流支援、相談体制の充実は急務で、それらを実現するための法案こそが求められている。【聞き手・反橋希美】

子どもが決められるように 光本歩・NPO法人ウィーズ副理事長

 離婚した両親との関わり方は、子ども自身が決められるようにすべきだ。私も中学生のころに両親が離婚し、父子家庭で育ったが、父に対しては母との関係をコントロールされたくないという思いが強かった。どんな親であっても、子が親の実像を自分の目で見ることが、離婚や自らの状況を理解して人生を歩んでいくために必要なステップになる。
 議論されている親子断絶防止法案は、離婚に際して親が子に果たすべき責任を社会に示す意義はある。修正案で「子どもの意見表明機会の確保」などが盛り込まれた点も評価する。ただ、本当に子の利益になる面会交流を実現していくための課題は山積している。
 両親の関係が険悪であるほど、面会交流の円滑な実施には、第三者の介入が欠かせない。不信感や敵意を抱き合う父母の間を行き交うことは子の大きな負担になる。味方になる存在が必要だ。NPOで面会交流を支援する活動に取り組んでいるが、会話ができる3歳以上の子どもの支援では、まずスタッフが一対一で面談し、信頼関係を築くことを重視する。別居親や交流への思い、面会を重ねる中で子どもにどんな変化があるかを注意深く見ていく必要がある。
 支援で重要性を痛感させられるのが、親の合意形成だ。交流がうまくいった事例を紹介したい。
 両親は40代で子は3歳。両親は離婚裁判の中で、双方の弁護士の支援を受けて長期的できめ細かな面会計画を作った。「第三者が付き添う交流を3回行って問題がなければ、付き添いはなくし、第三者は連絡調整や子どもの受け渡しを担当する」との内容だ。別居親は充実した面会に努力するし、同居親も先を見据えて心の準備ができる。両親が子に無理をかけないで段階的に交流を進めていく重要性を認識していたことも大きい。
 支援が難航するケースは合意形成が不十分で「月1回、2時間」などと面会の取り決めが大ざっぱなことも多い。家庭裁判所や弁護士会には、児童心理に配慮したきめ細かな合意形成の支援と、そのための人材育成をお願いしたい。
 面会交流のあり方は一様ではない。別居親が子と心中を図ったケース(未遂)では、裁判で直接の面会は危険だと判断され、手紙のやり取りにとどめる間接面会が決まった。NPOが間に立ち、手紙の内容の点検や受け渡しを担ったが、子どもの手紙からも親とつながっている安心感が読み取れた。子が自分の意思で親とどう関係するかを判断できる段階になるまで、親子を仲介する存在が必要だ。
 現状は、面会交流が当事者に任されているケースが大多数で、トラブルや面会不調につながっている。支援団体は少なく面会交流の考え方や支援方法もさまざまだ。行政が事業委託して無料で支援を受けられる自治体もあるが、団体への補助金はなく、交流支援だけでは財政的に運営が成り立たない。面会交流はどうあるべきか、どんな政策や公的援助が望ましいかといった点で社会的なコンセンサスが必要だ。法案がきっかけになり、離婚後の子の養育について議論がより深まることを期待したい。【聞き手・中川聡子】

立法化で国に施策促す 馳浩・衆院議員、親子断絶防止議員連盟事務局長

 厚生労働省の調査では、2015年の離婚件数22万6215件のうち、未成年の子どもがいるのは13万2166件。毎年20万人以上の子どもが親の離婚を経験し、そのうちの多くが別居親との関係を絶たれている。離婚の9割を占める協議離婚では、面会交流について取り決めを交わすことは求められていない。だが子どもの権利条約にある「子どもの最善の利益」を考慮した場合、このままでいいのだろうか。子どもの立場に立てば、双方の親と面会交流して愛情を受け続けることが必要だ。離婚後もきちんと子どものことを考えることは親の責任でもある。そうした問題意識をもとに当事者の声を聞き、昨年12月に親子断絶防止法案の修正案を議員連盟でまとめた。
 離婚後に親が子どもに対して持つ責任は二つある。まずは養育費の支払いだ。経済的な不安や負担を解消する責任がある。次に面会交流だ。子どもに関心を持ち続けることは親の責任であり、「学校での様子を先生に聞きたい」などの望みを持つ親も多い。養育費の支払いや回収については「母子及び父子並びに寡婦福祉法」で規定されているが、面会交流にはルールがなかった。当事者間の話し合いが難しいなら第三者や専門家が関与できるよう土俵づくりを進める一環として今回の法案がある。
 法案は面会交流について「書面による取り決めを行うよう努めるものとする」との文面にして、あくまで努力目標にとどめた。この点について、賛否双方の立場から「実効性がないのでは」との批判をいただいている。だが、離婚の事情は100人いれば100通りあり、義務化は難しい。一方で、片方の親が一方的に「DVがあった」と言って無断で子どもを連れ去り、もう一方の親と関係が途絶える事態が起きている中で、何もルールがなくていいのか。私はそうは思わない。当事者に任せれば議論は平行線をたどるだけだ。
 14年には国境を越えた子の連れ去り防止を定めた「ハーグ条約」に加盟したが、国内での体制が整備されていなかった。やはり第三者が早期に介入する必要がある。法案は罰則を持たない理念法だが、理念を掲げることで国、地方自治体に相談体制や人材育成などの施策を促す効果は大きい。
 法案に対しては「別居親たちの考えしか聞いていない」という批判もあるが、間違っている。私は10年以上前から児童虐待やDVの問題に関わり、離婚後の面会交流に対する支援が不十分だと実感してきた。原案を作った上で、懸念を表明する方々にも十分に話を聞き、文面に多くの修正を加えた。例えば「本当にDVに遭っている被害者はどうするのか」という指摘があるが、そうした声を反映し、一方的な子連れ別居について国に求められる啓発活動の目標を「早期解消」から「早期解消もしくは改善」と改めた。DV被害者の緊急避難は否定していない。
 法案は各党が意見を出す回答を待って最終案をまとめたい。会期中である以上は今国会への提出を目指すが、合意形成が大事だ。決して今国会での「成立ありき」で考えているわけではない。【聞き手・伊藤直孝】

親子断絶防止法
 「父母の離婚等の後における子と父母との継続的な関係の維持等の促進に関する法律案」。超党派の親子断絶防止議員連盟(会長・保岡興治元法相)が昨年5月に原案をまとめ、当事者団体などのヒアリングを経て12月に修正案を公表した。離婚時に面会交流や養育費負担について取り決めることを努力目標とする。親子の継続的な関係を維持するための施策を国や自治体の責務とし、相談対応や情報提供などの援助策を講じるように求める。

離婚後も親子関係は続くから - 知ってほしい「面会交流」の話

出典:平成29年3月28日 DRESS

離婚後も親子関係は続くから - 知ってほしい「面会交流」の話

親の別居や離婚を理由に離れて暮らす親(別居親)と子供が会い、交流することを「面会交流」といいます。「現状、別居や離婚後、面会交流がスムーズに行われていないケースも多い」と話すのは、面会交流普及活動に取り組む離婚・面会交流コンサルタント・しばはし聡子さん。

子供に会えずに苦悩する男性たちの声を集めた書籍『わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち』(著:西牟田靖)が話題を集めたり、離別した親と未成年の子供との関係が絶たれるのを防ぐ「親子断絶防止法案」が今国会で検討されたりと、面会交流そのものが注目される今、面会交流の重要性について、しばはしさんに話を伺いました。

■調停離婚直後、面会交流に消極的だった
しばはしさん自身、10代の子供を持つシングルマザー。離婚の危機が訪れたのは結婚14年目となる2014年のことでした。弁護士をつけ、半年で調停離婚が成立。元夫と離婚後に直接連絡をとるのをストレスに感じ、面会交流に積極的になれなかった、と当時を振り返ります。

離婚から一年ほどは、子供を元夫に会わせるのを億劫に感じ、面会日程を急に延期して、元夫から憤りのメールが来ることもありました。そんなしばはしさんにターニングポイントがやってきます。

「ある面会交流支援団体でボランティアをしていたとき、1組の家族が面会交流するシーンを目にしたんです。ただ純粋な気持ちで子供と会いたいと願うお父さん、会わせるのが嫌々ながらも仕方なく子供を連れてきたお母さん、屈託ない笑顔でお父さんとの再会を喜んでいる子供――3人を見て気づいたんです。私が元夫と関わりたくないからといって、子供と父親との関係を断ってしまうのは良くないんじゃないか、と」

無意識のうちに、同居親に気に入られるふるまいをし、自分が生き延びる道を模索するのが子供。彼らは大人よりもはるかに空気を読み、状況や人の気持ちを敏感に察知する能力を持っています。

「同居親が面会交流に否定的だと、子供に悪影響が及びます。子供は常に同居親の顔色や機嫌を伺っていますから、別居親と会いたくても『会いたい』と口に出せなくなるんです。本音も言えなくなるどころか、いつのまにか自分でも本心がわからなくなってしまうことも。もし同居親の気持ちが変わって、いざ面会交流をさせようとしても、子供の気持ちがついてこないこともあります」

本当は別居親と会いたいと思っていても、同居親に気を使って「別に会いたくないし……」と、本心とは逆の発言をする可能性もあるということです。

■別居親に子供を会わせるのは同居親のミッション
面会交流をさせよう! と思い立ってからの行動は迅速でした。元夫へ「いつでも子供とごはんに行ってね」とすぐに連絡すると、彼の第一声は「ありがとう!」。それを聞いて、しばはしさんは涙がこぼれたと言います。

もし元夫が「なんで急に?」と訝しがったり、今までのことを怒ったりしていたら、その後の面会交流は途絶えていたかもしれませんが、そこから徐々に三者が心温まる面会交流がスタートしたのでした。

「以前は元夫がうちまで子供を迎えにきても、気配を感じることすら怖くて、玄関口で送り出すこともしませんでした。帰宅した子供に対しても『どうだった?』と聞きもせず。でも、前向きに面会交流できるようになってからは、子供に『楽しかった?』『今日は何食べてきたの?』と明るく聞けるようになりました。子供も嬉しそうに答えてくれます。これまでのことを振り返ると、元夫も、そしてとくに子供も苦しかっただろうな……と思いますね」

離婚を経て相手と関わりたくなかったり、憎しみの気持ちが生まれたりしても、夫婦関係と親子関係とは切り分けて考える必要がある、としばはしさん。離婚後も子供と別居親との親子関係、そして元夫婦も親同士としての関係は続きます。子供にとって親はふたり。

別居親が子供の心身に悪影響を与えない限り、同居親はすすんで面会交流の場を設けること、そして別居親はやりとりが円滑にできるように心がけることが子供の幸せにつながるといえます。

「子供と暮らす同居親は、問題意識を持つ機会が少ないのが現状です。以前の私もそうでした。でも、親権を得ることは特権ではなく責務。どうすれば子供が幸せでいられるのかを考え、行動する必要があります。子供と別居親の架け橋というミッションを背負っているという認識を持たなくてはならないと思います」
(つづく)

しばはし聡子さん プロフィール
1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の離婚経験を生かし当事者支援として「せたがや離婚・面会交流相談室りむすび」を設立。離婚相談や面会交流普及に向け講演など発信活動に従事。
http://www.rimusubi.com/

子どもに会えない父親たち 認められない面会交流の裏側

出典:平成29年3月20日 livedoor News

子どもに会えない父親たち 認められない面会交流の裏側

 調停で離婚した夫婦の子どもの約9割は、母親が親権者になる。子どもと断絶させられた父親からの面会交流調停への申請数が増えている。

 4年前、シンジさん(48)が仕事から家に帰ると、真っ暗な部屋に一枚の置き手紙があった。

「あなたは私のことを対等に見てくれませんでしたね。子どもは連れていきます」

 生後7カ月の娘の姿はなく、その日から娘と会えない“断絶”の日々が始まった。

 14歳年下の妻とは、小笠原諸島の民宿で出会った。2人とも海が好きで、2009年に結婚。シンジさんは大手メーカーのエンジニア、妻はパティシエとして働き、夜は2人で外食するような仲のいい夫婦だった。12年6月に長女が生まれた。

「妻は人付き合いが苦手で、子ども好きというタイプではありませんでした。妊娠してからは情緒が不安定気味で里帰り出産をしましたが、それはよくあることです。東京に戻ってからは私も4カ月の育児休暇を取り、一緒に育児をしていました」

●完全なでっち上げ

 だが、しばらくたつと“事件”が勃発する。孫の様子を見に自宅に来た義母が「孫は連れて帰る!」と言ってシンジさんにつかみかかってきたという。妻も娘を強引に連れ出そうとしたので、義母を振り払って、娘を取り返した。結局、児童相談所が仲介に入ったが、児相に義母は「(シンジさんに)暴力を振るわれた」と主張していたという。

「断じて暴力など振るっていません。目の前で娘を連れ去られそうになったので、それを振りほどいただけです」

 その後、一度は妻と娘も自宅に戻り、家族再生の道を探った。だが、妻が生命保険の外交員に勧誘され、その場で契約したことを発端に、また夫婦に摩擦が生じる。シンジさんが「なぜすぐ決めるのか」と問うと、妻は「あなたは私のやりたいことを一切認めない」と口論になった。

「その時も、怒鳴ったりはしていません。実は、妻は過去にも帰省中に同級生からマルチ商法に誘われ、物品を購入したことがある。周囲に影響されやすいところは諭しました」

 こうしたことに不満を募らせたのか。約2カ月後、妻は娘を連れて家を出ていった。

 翌日、妻の弁護士から内容証明郵便が届いた。離婚事由は「精神的DV」と「経済的DV」。妻は事前に自治体の窓口でDV相談をし、弁護士も手配していた。出ていく日を決めて、一時的にシェルターに避難することで、DVを主張する「計画」が出来上がっていた、とシンジさんは主張する。

「完全なでっち上げです。住居費、生活費もほぼ私の負担で経済的DVもありえません」

 意に反して離婚調停が進むなか、シンジさんは面会交流を申し立てていたが、面会できたのは2年間で2回だけ。それも妻の地元で第三者機関の担当者を交えて60分だけという条件だった。最初は娘が1歳半のとき。殺風景な広い部屋でおもちゃで遊ぶ娘を遠くから見守るだけ。その「非日常」の雰囲気に娘は泣きだしてしまい、結局、30分で切り上げられた。9カ月後の面会も同様に泣いてしまい、30分で終了。父親だとわかってもらうこともできなかった。

「もしかしたら、妻は私が親のように諭すのが気に入らなかったのかもしれない。でも、それだけで7カ月の娘と引き離されて、2年間で会えたのはたった1時間というのはひどい」

●面会交流申請が急増

 厚生労働省の「全国母子世帯等調査」(11年度)によると、別居親と子どもの面会割合は母子世帯で27.7%、父子世帯で37.4%。別居親の6~7割は子どもと会えていない。一方で、面会交流調停への申請数は増え続けており、15年は1万2264件(司法統計)。00年と比べて5倍以上にもなっている。

 民法には面会交流の明確な規定はなかったが、12年施行の改正法で「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と明記された。こうした流れを受け、16年末、超党派の国会議員が所属する「親子断絶防止議員連盟」は、別居親との面会を促す法案をまとめた。

 ノンフィクション作家の西牟田靖さんは、今年1月、離婚前後に子どもと引き離された父親の葛藤をつづった『わが子に会えない』を出版した。

「子どもに会えない父親=妻や子に暴力を振るう男性というレッテルを貼られがちです。しかし、私が話を聞いた父親たちは、子ども思いで暴力を振るうようにも見えず、経済的に安定している方が大半でした。離婚事由として、妻から身に覚えのないDVを訴えられるケースが多く、いきなり子どもと断絶させられたうえに、どうやって“無実”を証明すればいいかもわからない。混乱の中で司法の判断だけが進み、面会交流も認められにくくなる。そうなれば円満解決はもはや困難です」

 ナオトさん(37)は、1年半前に妻に子を連れて出ていかれた。当時、長男が2歳、長女は3カ月だった。子育ては自分でやりたいという妻の意思を尊重し、代わりに掃除、洗濯、皿洗い、ごみ捨てなど家事全般を請け負う、協力し合う夫婦だった。それなのに、手紙一枚を残し、妻と子どもは突然姿を消した。

●離婚の事由がない

「『もう夫婦関係は続けていけない』とだけ書かれていました。すぐに妻に理由を聞きましたが、とにかく『離婚したい』の一点張り。今でも明確な離婚の事由は示されていません」

 思い当たる節があるとすれば、義母との関係。過干渉なくらいに家に来る義母とは折り合いが悪く、ある日、ナオトさんの実親をあしざまに言ったことに怒り、怒鳴ったことがあった。

 だが、妻にそれが理由かと問うと「違う」という返答。理由もわからないまま、調停が申し立てられた。家庭裁判所からは円満調停が言い渡され、「面会は月に1回2時間」「監護権は妻とすること」などが決まった。

「離婚の事由もないのに、子を連れて出ていかれて月に1回しか会えなくなるなんて、司法の判断は明らかにおかしい」

 ナオトさんは、親子断絶防止法案の成立を願っているという。

 ただ、同法案には不備が多いとの指摘もある。弁護士の打越さく良さんが言う。

「第8条のように『別居前に子どもの監護権や面会交流の取り決めをせよ』というのは危険な場合もあり一律には言えません。子どもの心身の安全確保のために別居しなければならないときに、事前の話し合いなど無理です。行政の窓口に行って
『事前の取り決めがないなら援助できません』となったら結局避難ができず、子どもにも酷です」

 子連れ別居や離婚の背景には、深刻なDVや虐待がある場合も多く、「子の利益」に照らし当面は別居親との面会交流を認めるべきでないケースもある。

「どのような場合が違法な連れ去りで、監護の継続性や虐待の存否など個別の事情を含めて子の利益を判断できるのは、やはり家庭裁判所。実績のある家庭裁判所の環境改善を図ることが先決です。そもそも、『児童の権利条約』では、子どもの権利の実現のため、国に適切な措置をとる義務を課している。この法案は当事者間に力の非対称性がありうることを無視して、父母に責任を負わせていることが問題です」(打越さん)

 夫婦の別離は、夫、妻の立場それぞれに“真理”がある。ただ、同意なしに子どもを連れていかれた親の苦悩も深い。「救済策」が検討される時期に来ている。(文中カタカナ名は仮名)

(編集部・作田裕史)

※AERA 2017年3月20日号

DV防止法のせいで、わが子に会えず苦しむ父親もいる

出典:平成29年3月20日 ニューズウィーク日本版

DV防止法のせいで、わが子に会えず苦しむ父親もいる

<父親たちの本音をすくい上げるノンフィクション『わが子に会えない』。気になるのは、実際には暴力をふるっていないのに「DV夫」のレッテルを貼られ、子どもに会えなくなる人もいるということだ>

『わが子に会えない――離婚後に漂流する父親たち』(西牟田靖著、PHP研究所)は、ある日突然、子どもと会えなくなってしまった父親たちの本音をすくい上げたノンフィクション――とだけ聞いてもピンとこないかもしれないが、冒頭に登場する「ある事件」についての記述を読めば、どういうことなのか推測できるはずだ。

 2013年のXマス2日前、都内の小学校の校庭で男性とその息子が発火するという事件があった。消し止められたが助からず、ふたりとも命を落としてしまった。男性はマスコミに勤務する40代。野球の練習をしていた息子を校庭の隅へと連れ出した後、自らに火をつけた。妻子と別居中だった男性は、子どもに会うことを制限されており、しばしば妻子の家や学校に現れることがあったという。(2ページ「プロローグ」より)

たしかに、そんな報道があった。痛ましい事件だったが、その背後には、子どもに会いたくても会わせてもらえない父親の苦悩があったのだ。そして忘れるべきでないのは、上記の父親のように子どもとの面会を制限され、精神的に追い詰められていく人は現実に多いのだろうということだ。なにしろ、年間20万組以上が離婚しているのだから。

なお、本書に説得力を与えている要因がある。著者自身が、上記の事件のすぐあとに当事者になってしまったということだ。

 翌年の春、妻が3歳の子どもを連れて出ていき、夫婦関係が破綻した。離婚届を受理したという通知が役所から届いたとき、一時的に記憶がなくなり、自転車をなくすほどであった。愛してやまない当時3歳の娘に会えなくなったことが、なんといってもショックだった。自分の両手をもがれてしまったような喪失感がしばらく続き、いつふらっと線路に飛び込んでもおかしくはなかった。生きている実感がまるで湧かず、体重は10キロほど落ちた。(2ページ「プロローグ」より)

そこで著者は、わらにもすがる思いで、同じように子どもと会えなくなった親たちが体験を共有する交流会に参加する。つまりそのような経緯を経て、本書は必然的に生まれたのである。

気になったことがある。身に覚えのないDV(ドメスティック・バイオレンス)を主張され、子どもに会わせてもらえず、苦しんでいる人が多いという話だ。

「数えていたわけではないが、全体の半分ぐらいはあっただろうか」と著者は記しているが、たしかに本書で紹介されている人の多くが「DV夫」としてのレッテルを貼られている(もちろん女性がその立場に立たされているケースもあるのだろうが、男性当事者の数が圧倒的であることから、本書もそちらに焦点を当てている)。

【参考記事】児童相談所=悪なのか? 知られざる一時保護所の実態

背後にあるのは、2001年にDV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)が制定されたことだ。「配偶者からの暴力に係る通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備し、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図ることを目的とする法律」[内閣府男女共同参画局HP]というもの。具体的には、次のように行使されるのだそうだ。

 ――被害者は配偶者暴力相談支援センターや警察などへ出向き、DV被害について相談する。行政は被害者の申し立てを受けて被害者の居所を秘匿する。希望者は配偶者(加害者)の暴力から逃れるためにシェルター(ほぼ女性のみが対象の一次避難施設)などに避難。地方裁判所が認めれば、加害者に対し保護命令に含まれる接近禁止令や(世帯が居住する家からの)退去命令が発令される――。(5ページ「プロローグ」より)

子どもに会えなくなる状況を生み出す原因がここにある。離婚して親権を得たいパートナーが、実際にはないDV被害を訴えることで保護を望む。行政はそれに応える。結果として、加害者扱いされた側は子どもに会う機会を失う。もちろん世の中には実際にDVに苦しんでいる人も大勢いるだろう。しかし一方には、こうした経緯により「DV夫」にされてしまう人も少なくないということ。(被害者たる)パートナーを守るための制度が、本来の目的とは違う形で使われているわけだ。

「『暴力を受けた』と言った者勝ちなんです。証拠だとはとても言えないあやふやな主張がひとつひとつ積み重ねられ、DV被害者としての肩書きというか実績がどんどん加わっていくんです。裁判でDVの認定が却下されたというのに、行政や警察は、妻の言うことすべてを鵜呑みにして、妻子の住所を私に秘匿したまま。私が調べて欲しいと言っているのに、警察が捜査をしたり話を聞きに来たりしたことは一度もありません。本当に私が暴力を振るったんなら刑事事件として立件すればいいんですよ!」 40代の会社経営者、長谷川圭佑さん。穏やかで優しそうな顔をそのときばかりは引きつらせた。(59ページより)

このように、「暴力を受けた」という一方的な主張によって追い詰められる人もいることを、本書は証明している。どうしようもできずに泣き寝入りする人がいれば、納得できないからと徹底的に争う人もいる。対抗策は人それぞれだが、一般的な感覚からすると首をかしげざるを得ないようなことが現実に起きていることだけは間違いないようだ。

ちなみに本書に登場する父親たちの大多数は、裁判所や弁護士の世話になった結果、耳を疑うようなつらい体験をしてきたのだという。裁判所に悪意があるわけではなく、それどころか彼らには善意があり、専門知識を持ったスペシャリストであるはずだ。しかし官僚組織である裁判所においては、組織として回していくことが、公平な紛争解決よりも、組織防衛上、なにより重視されるということだ。

【参考記事】家事をやらない日本の高齢男性を襲う熟年離婚の悲劇

裁判官1人あたり100件以上の訴訟案件を抱えており、さらに毎日数件のペースで案件が増えていくと聞けば、致し方ない話ではあるのかもしれない。でも、だから父親たちは我慢を強いられなければならないのだろうか? 幸いなことに、そういうわけでもなさそうだ。日本でも面会交流の拡大や共同親権制度への変更に向け、国や行政が重い腰をあげるようになってきたというのである。これはアメリカの30~40年前の動きに近いそうだが、ともあれ期待したいところである。

 これまで"離婚=親子の別れ"という考えが強く、そのために別れて暮らす子どもと別居親が会うことが困難を極めた。しかし、世の中は変わりつつある。(中略)争ってでも会おうとしている親が確実に増えてきたのだ。そうした声を受けてのことなのか。子どもと離婚に関して記した日本の民法766条が2012年に変更となった。"面会交流と養育費の分担"について追記されたのだ。 2016年10月に法務省は、養育費に関する法律解説や夫婦間で作成する合意書のひな型を掲載したパンフレットを作成し、全国の市区町村の窓口で、離婚届の用紙を交付した際に配ったり、法務省ウエブサイトで公開し始めている。また、裁判所にしても面会の"相場"をゆるめつつある。(317ページより)

戦後、日本の家族の形が変わるなかで、女性の社会進出が進み、DV防止法ができるなど、女性の権利が守られるようになった。それ自体はとてもよい傾向だ。しかし今後は、父親たちや男性たちの権利も、もっと認知されるべきだと著者は主張する。つまり、そうした権利を求める動きのひとつが、父親が子どもに会ったり共同親権を求めたりする運動だということ。

 ――男だって子どもと存分にふれ合いたいし、育てたい。親として子どもと一緒に生活することで、生きて行くことの喜びを感じたり、親として成長していきたい――。(317ページより)

著者のこの言葉にこそ、子どもに会えない父親たちの本音が集約されているのだろう。

『わが子に会えない――離婚後に漂流する父親たち』
 西牟田 靖 著
 PHP研究所

[筆者]
印南敦史
1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。現在は他に、「ライフハッカー[日本版]」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダヴィンチ」「THE 21」などにも寄稿。新刊『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)をはじめ、『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)など著作多数。

離婚は女性が超有利!養育費・親権で苦汁を飲む男たちの実例集

出典:平成29年3月18日 ダイヤモンドオンライン

離婚は女性が超有利!養育費・親権で苦汁を飲む男たちの実例集

 「あ~あ!男に産まれて損したなぁ!!」

 誰しも性別を選んで生まれてくることはできませんが、2017年の日本は残念ながら、男が生きづらい「男損時代」ではないでしょうか。最近、目に飛び込んでくるのは女性をヨイショするニュースばかり。例えば、政府が「一億総活躍社会」を打ち出し、2020年までに女性管理職を11%から30%へ。女性議員を9%(衆議院)15%(参議院)から30%へ、男性の育児休暇取得率を2%から13%へと数値目標を定めました。一方、男性はどうでしょうか?世の中の金や人、時間等は無限ではなく有限。だから、女を上げれば、その分だけ男性が下がるというゼロサムゲームなので女性優遇は「男性不遇」とセットです。

 ただでさえ「弱男強女」という昨今のバイアスのせいで男性が割を食っているのに、さらに「だから最近の男は情けないし、頼りないし、本当に使えないわ!」と追い打ちをかけるのは、まさに「死体蹴り」そのものです。

 今回は離婚経験者の男性から「男女不平等」のエピソードを集めました。逆差別によってどんな酷い目に遭ったのか、悲痛な叫びを紹介しましょう。なお、生の声を忠実に再現するため、こちらで内容を改変せず、できる限り、そのまま掲載します。そのため、少し読みにくいと感じるかもしれませんが、何卒ご容赦ください。

● 残業手当や単身赴任手当を入れず 基本給で養育費の策定を

 1.養育費の決め方が納得いきません(30代男性)

 今年7月、裁判所で裁判離婚が成立しました。しかし、私の担当弁護士、相手弁護士、裁判官と私の考え方は、まったく違うものでした。法律家の考え方では現在の収入で養育費を算定するのです。私の収入には今の段階では流動的な残業時間も含まれていました。また、私の場合は単身赴任手当も含まれた金額になり、それらを削除して計算するべきだとくり返し裁判で訴え続けましたが、まったく認めてもらえずじまいでした。

 現実社会からかけ離れた裁判の内容で進められた。もし良識ある裁判官なら、扶養手当、単身赴任手当て、残業手当を削除し、基本給だけで養育費を算出して当然です。現に私の現在の給料は、基本給とわずかな残業手当で生活しています。手取りは15万円、うち養育費は月に9万円、ボーナス時は30万円です。

 将来、基本給だけになってしまうと到底払えない金額です。裁判所が考えないで判決を下した結果です。このような世間知らずの裁判官、弁護士がいること自体が私は到底納得できません。

● 再婚して元妻に養育費支払いも 母子家庭は保育料は無料

 2.養育費を支払う側にも優遇措置を(40代男性)

 養育費を支払っている分、保育料の減額を希望します。現在月4万円を支払っています。私の手取りは20~22万円です。私は再婚し、相手との間に2人目が生まれました。本当は学資保険に加入したいのですが、ギリギリの生活で貯蓄もありません。

 生活費の補助にと保育園に預けて妻が働きに出ようにも、保育料のために働くようなものでプラスにはなりません。保育料は私の月収により決定されるため、養育費の分も含まれています。実際に手にするお金がないにもかかわらず、その分も含めて換算されるのは納得いきません。

 前妻の子のために養育費を支払うことは当然と思っていますが、このままでは養育費すら払えなくなりかねません。養育費をもらっているにもかかわらず『母子家庭』ということで保育料が免除されているのに、養育費を支払っている家庭には何もないということに疑問を感じます。養育費を支払っている家庭にも何らかの免除を希望します。

 また養育費を支払っていても、前妻の子どもとは同居していないため、家族手当などは会社から支給されません。税制面でも考慮されていないように思いますが、私の思い違いでしょうか?
● 常に養育費支払う側より もらう側が保護されている?

 3.養育費算定表の年収が総額になっているのはおかしい(20代男性)

 養育費算定表に関して大変遺憾に思います。理由は、年収計算が総額だからです。誰も総額で生活しているわけではありません。あくまでも、手取り額で生活をしているのにもかかわらず年収総額で計算する意味があるのでしょうか?

 なぜ、常に支払う側より養育費をもらうほうが保護されないといけないのでしょうか?おそらく、こういう理由からも支払いの問題が増えていくのではないでしょうか?

 4.養育費の内訳を知らせないのは我慢できない(30代男性)

 養育費を毎月30万円払っていますが、決して前妻が社会的弱者だと思いません。不当に子どもに会わせない割に高額な養育費を年収からのみ算定され払っています。養育費の内訳を知らせないのは不当に養育費を使っているんじゃないかって思ってしまいます。母子家庭という弱いイメージとはかけ離れているんじゃないかって。

 5.話し合っている最中に給料を差し押さえられるのは許せない(40代男性)

 お互い再婚していて養子縁組もしている状態で、突然、給与の差し押さえをされました。何度も元妻に話を持ちかけましたが、話し合いを拒絶されてしまいました。そんな最中です。調停証書があると、どんな経緯であっても差し押さえられてしまうという現状に愕然としました。

 もう法律の濫用としか言いようがありませんが、何も文句は言えないのです。私は真面目に誠意をもって対応しようとしていました。簡単に差し押さえができるのは女性からの離婚を助長させるだけかもしれません。どんな理由であれ離婚するときは人の力など借りず、死ぬ気で子どもたちと生き抜いていく覚悟がなければしてはダメだと思っています。

 差し押さえに関しても、経緯書を添付するとか、お互いの戸籍謄本を提出するとか、差し押さえの対象になるのかどうかぐらいの判断は裁判所にしてもらいたいです。それなのに不意打ちを食らった形で許すことはできません。

 6.親権は母親が圧倒的有利なのはおかしい(30代男性)

 法律上では「子どもの福祉にとって適切なほうが親権をとるのが望ましい」となっているようで、父親とも母親とも書いていないのですが、圧倒的に母親有利となっています。このことは逆に、女性の地位向上の妨げになっているものと思われます。

 「子どもの福祉」とは何なのか?これをもっと具体的に明記することを希望します。このままでは、父親がいくら家庭生活をがんばっても、離婚に直面した場合、子の親権はあきらめざるを得ないです。

 この事実を知ると、男性はまじめな家庭生活を営まなくなるかもしれません。女性側も多少いい加減に生活をしたとしても、子の親権を失う恐れがないのなら、まじめに生活しなくなるように思われます。

● 「子どもの福祉」とは 一体何なのか?

 7.子育てしてきたのに評価されないのは不平等(20代男性)

 離婚において女性ばかりが保護されるのはおかしい。子どもが小さいとほぼ女性が親権を獲得するようになっており、まっとうに子育てしてきた男性が親権をとれないのはおかしい。父子手当のようにもっと平等に考える必要がある。女性が弱いからといって女性過保護になっている気がします。面接交渉に関してももっと法律できちんと定めるべきです。離婚=男性が悪いという風潮を改めるべきだと思います。

 8.子どもの連れ去りが認められるのは許せない(30代男性)

 配偶者が子どもを勝手に奪っていく連れ去りが、認められるのはおかしい。無条件に、女性に偽装DVが適用されるのはおかしい。もう充分、女性は男性より強いのですから女性=弱者はおかしい。

 9.父親なのに子どもに会えないのは理不尽(30代男性)

 子どもと1ヵ月に1回会わせてもらえる約束で協議離婚したのですが、たった2回で会わせてもらえなくなりました。一方的に「もう二度と会わせない」とメールが来ました。子どもは会いたがっている様子です。

 子どもの権利と母親の面会交渉に対する態度は別にするべきです。母親が私的な理由で面会を断れないような。そして子どもの本当の幸せのために有効な法律が確定するように心から願います。

 10.お金を管理できない母親に親権や養育費を任せるのはおかしい(30代男性)

 そもそも母親が働かないこと(結婚における相互扶養義務違反)が原因で離婚しているのに、母親が有利な運用が成り立つのが不思議である。そのような母親が親権者として適切であるかどうかは、常識で考えれば大いに疑問であるが、日本では「働かない母親」は最強である。「そんなのに関わったお前が悪い」と司法は考えているのであろうか?

「子どもの福祉」という言葉のダブルスタンダードに腹が立つ。お金に関して、子どもの福祉のため、養育費は「とれるところから取る」という方針である。

 しかし、より本質的な子どもの福祉のための面会交流や共同養育について司法は全く積極的でない。金を与えれば子どもは育つのか?また、金すら稼げない母親が、子どもの養育ができるのか?

 「できる」と強弁するのであれば、親権を与える母親の想定している生活レベルの範囲で養育させればよいだろう。父親の生活レベルに合わせる必然性がない。「できない」のであれば、そもそも収入計画のない母親には親権者としての社会的責任を取る資質がないことが示唆される。

 言いたいことは、親権者にきちんとした養育資金の面での計画書を出させるべきでる。そしてそれがきちんと実現されていなければ、親権移動も可能なものとすべきである。自分一人で生きていくのも厳しい人が、親の資格があるのか?もっとこの点を重視すべきだと思われる。

 そのような親による養育の方が、将来的な不幸の連鎖を招くことは、いろいろな例で示されるであろう(離婚の“遺伝”、虐待の連鎖、などなど)。そもそも論として、共同親権になれば(親権で争う必要がなくなれば)、いろいろな問題は解決されると思われる。そして、より実質的な「子どもの福祉」のための、具体的な離婚後の養育計画を話し合う場として、司法が機能すればよいと思う。

● 離婚後の理不尽、不条理 男性たちの声に耳を

 「離婚」という修羅場で理不尽な目に遭い、不条理に悩まされ、そして辛酸を舐めた男性たち…そんな彼らが苦渋の表情を浮かべながら「こんな社会になってほしい」と願うのだから、決して軽くあしらうことはできませんし、真剣に耳を向けなければなりません。「男はつらいよ」と苦笑いするのは簡単ですが、それでは何も変わらないでしょう。こうやって誰かの耳に届くよう声に出すことが最初の第一歩になるのです。男が意見を言いにくい今日の世相だからこそ。

 少なくとも同じ悩みを抱えている人にとって「こんなにつらい思いをしているのは自分だけじゃないんだ」「結構みんな大変なんだなぁ。じゃあ、もう少し頑張ってみようか」と少しばかりの勇気を与えることはできるでしょう。

 (露木行政書士事務所代表 露木幸彦)
 

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更新 2017-10-23 (月) 22:03:30
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