民法819条(単独親権制度)改正を求め共同親権・共同監護制度の導入・ハーグ条約締結の推進と活動を行っています

アメリカ

アメリカの離婚後の親権・養育制度

出典:「平成26年度法務省委託 各国の離婚後の親権制度に関する調査研究業務報告書」一般財団法人比較法研究センター(2014年)P.83~128
報告書PDF

アメリカの共同監護立法化の流れ

法律規定内容
1957年ノース・カロライナ州法子どもの監護権の決定に関し、共同監護を選択肢とする
1968年統一子どもの監護権管轄法子どもの監護権の決定に関し、州際間の管轄権に関する法律。50 州及びコロンビア特別区で採択(統一法)
1979年カリフォルニア州法離婚後も子どもが親と頻繁かつ継続して会うことを州の基本政策として取り入れた。共同監護を法制化し共同監護を定義づけ。この後、共同監護が全米に広がる
1980年子どもの誘拐防止法子どもが6ヶ月間継続して居住していた州で決定された監護命令について、連れ去り後の地区の裁判所での承認を義務付けする法律(連邦法)

アメリカの家族法と裁判所・各州の関わり

  • 合衆国憲法に基づき、合衆国最高裁判所において違憲とされる州法が書き換えられ家族法が進展した。
  • 家族法に関しては合衆国憲法第14 修正により定められている平等保護と適正手続に基づき親の権利が保障されている。
  • アメリカ法でいう“ parental rights”は、憲法上保障された親の権利であり、親であることにより有するものである。日本民法のように婚姻関係と連動するものではない。
  • 子どもの権利について合衆国最高裁判所はまだ憲法上の権利としては認めていないが、代理人制度の充実を目指して、子どもの手続保護や子の意思の尊重を整備している。また、州が子どもの利益の擁護者となって、各種の子どもの利益の尊重や保護のための規定が確立している。
  • 多くの州では、子どもが両親と交流をすることを子の最善の利益と認め、これを促進させるために裁判所内外で様々な政策を取って子の利益を保護している。
  • 法に基づく親の権利と子どもの精神に関する科学的に証明された根拠に基づき、親の権利と責任が継続することが州の政策とされている。両親は一定の州法の定める手続の中で、子どもにとって最善の利益となる方策を取決めていくことになる。
  • 親子の関係は親の離婚とは関連しておらず、子どもと離れて暮らしていても、子どもと会うことは当然の利益及び権利とされている。
  • 裁判所において個人の手続が保障されており、手続を進めるために支援する裁判所内外の体制が整っている。
  • 離婚後の取決めを考える親は自らの意思や裁判所の命令により、離婚カウンセリングや親教育を受けている。ファミリー・コーディネーター、メディエーター、親教育のクラス等を利用して、離婚後の子の養育計画や養育費等を取り決めている。
  • ウェブサイト上における親教育や養育計画のプログラムサイトも活用されており、必要であれば面会交流時に監督者を活用する手段もある。
  • 裁判で必要があると判断されれば、心理学者や精神医学者等、精神保健の専門家による家族の鑑定・子の鑑定が行われ、子の代理人や子の弁護士が指名されることもある。
  • 養育費履行については、福祉補助を提供する行政が父親探索の任務も行っており、履行義務については検察官あるいは州の代理人が義務者を追求して裁判を行う組織が全米で構築されている。

連邦法と統一法および州法

  • アメリカは連邦制であり、家族法は州法に属する。50州及びコロンビア特別区においてそれぞれ家族法を持ち、独立している。各州の判例及び合衆国最高裁判所による州家族法規定の違憲訴訟等により、各州は互いに影響しあっている。
    【連邦法】
    ・「Parental Kidnapping Prevention Act= PKPA( 親による子奪取防止法)」・・・子の奪取について規定
    【統一法】
    ・州知事あるいは議会の承認により選出された裁判官、弁護士、研究者等で構成される「統一州法委員会全国会議」により制定される統一法が全米では家族法の支配的立法である。
    ・「Uniform Parentage Act=UPA(統一子監護事件管轄法)」・・・1968 年に成立し、50 州及びコロンビア特別区で採択されている。
    ・子の監護権の管轄に関する「Uniform ChildCustody Jurisdiction and Enforcement Act=UCCJEA( 監護権の管轄と執行に関する統一法)」・・・2009 年時点で48 州が採用している。

監護者の決定要件

  • 「監護権」は監護責任、決定責任、親の養育時間、監護責任等と州法により様々に規定されている。
  • 子どもの監護権は裁判所を通して決定されることを立法は定めている。多くの州では、父母間の協議に基づいて一定の書面を裁判所へ提出することを求めているが、日本の協議離婚と異なるのは、全て裁判所が関与することである。
  • 協議する際に、子どもに対して親の責任や子の利益のために必要な両親の対応、子の健全な成長発達のために知っておくべき子の利益等、挿絵や写真を含めたPDF のパンフレットや音声を発するビデオ等がウェブサイトを通して提供されている。
  • 立法及び裁判所による子どもの監護者指定において考慮されるのは、子どもの最善の利益である。それは各種要件を比較考量することで相対的に監護者として有力な親を測っている。
  • 母親優先の原則・・・1960 年代より徐々に立法・判例法により廃止されている。有名なケースは、1981 年のアラバマ州最高裁の判例であり、州最高裁は、この原則は反証可能な推定則ではあっても、ジェンダーに基づいた差別を生じさせるものであって、憲法違反であるとしている。
  • 主たる養育者の原則・・・性別に基づく母親優先の原則が廃止されたとしても、実質上子の養育を行っているのは母親が多いことから、やはりジェンダーに基づくものであるとして、現在はこれを唯一の要件とするには批判が大きい。現在各州法においては、これを考慮要件の一つとしたり、監護者決定に推定される要件としている。
  • 監護環境
  • きょうだい不分離
  • 友好的な親・・・子と両親との関係を頻繁かつ継続した交流は、子どもの最善の利益にかなうとする立法を持つ州は多い。親子の交流を促進させるため、監護権者決定基準において、一方配偶者と子との親密かつ継続した関係を促進できる友好的な親(friendly parent)を要件に挙げている州も多い。
  • 子の意思・・・ほとんどの州法は、子の意思を考慮要件としているが、多くの州は一定の年齢は設けていない。
      カリフォルニア州法(Cal.Fam.Code §3042)・・・「監護権について常識的に選好を表明するに十分な年齢と能力」とし、子の意思表明の年齢は設けていない。
      裁判所では、概ね10 歳以上の子の選好を尊重しており、幼い年齢であれば、その子の選好を取り入れても、その子の最善の利益を判断できないとしている。裁判所が子の表明した選好を考慮する際には、その理由を表明された言葉と同様、隠された気持ちも含めて調査する。
  • 親のDV・・・多くの州ではDV 法を成立させており、DV により現に危険が生じている場合には、一方当事者の請求による差止命令又は保護命令を規定しており、保護命令手続の一部として監護権又は面会交流を付与している所は多い。
  • 片親疎外(parental alienation=PA)
  • 親としての適切さ・・・子どものニーズに応えられるか否かが検討対象となる。また、子どもの健康問題や学習問題に対処する親の適格さも考慮する。

共同監護

  • カリフォルニア州では、 1979年に共同監護を法制化し、離婚後も子どもが親と頻繁かつ継続して会うことを州の基本政策として取り入れ、共同監護を定義づけ、付与基準について詳細な規定を挙げた。これを契機に共同監護は1980年以降全米へ広がった。
  • 共同監護を立法上及び判例法上否定する州はなく、その付与基準は、おおよそ次の三つのタイプに分けることができる。①共同監護が子の最善の利益にかなうという推定則を持つ州、②父母が合意していれば子どもの利益にかなうと推定する州、③単独監護との優劣の差を設けない。
     ①のタイプを取っている州は12州、②は5州であり、カリフォルニア州はこれにあたる。③がその他の州である。もっとも、いずれであっても面会交流等を通して親子の交流は強く勧められている。
  • 法的共同監護(joint legal custody)
     -カリフォルニア州法は、法的共同監護は双方の親が、「子の健康、教育及び福祉に関する決定に対し権利と責任を持つこと( Cal. Fam. Code §3003)」と規定し、身上共同監護とは、それぞれの親が「身上監護のかなりの期間を持つこと。身上共同監護は子が双方の親と頻繁かつ継続して交流することを確保するような方法で親により共有されなければならない(Cal. Fam. Code §3004) 」と規定している。
     -ミシシッピ州は、法的・身上共同監護のいずれにおいても、両親は情報を交換する義務があることを定めている。
  • 身上共同監護(joint physical custody)
     -重要なことは、子どもが充実した頻繁かつ継続した、あるいは実質的に等しい期間双方の親から養育されることであるとされている。身上単独監護の内容は父母の住居や子どもの年齢、州の裁判所の方針等により、かなりの多様性に富む。
  • 共同監護が付与されるためには、次の四つの基準がある。
      ① 両親とも適格である。
      ② 両親とも子育てに積極的にかかわり続けていく希望を持っている。
      ③ 両親とも子の最善の利益に関し共に相当の決定を行っていくことができる。
      ④ 共同監護の方が、別の監護権よりも親子関係を壊さない、というものであるが、立法・判例において、共同監護が子の最善の利益にかなうことがその要件とされている。
  • 判例法も見渡すと、優先基準の区別にはかかわらず父母間で子どもの養育を共同・分担することが全米の動きである。

<共同監護合意のチェックリスト>
① 子についての身上監護のパターンを決める(子はいつどこに住むか)。
② 一定の住居パターンを決める。
③ 身上監護が一方の親にある場合、他の親との特定の面会交流を決める。
 1. 週ごとの期間( 隔週末と集の中日)
 2. 学校の休みの期間
 3. 母の日、父の日や、各親の誕生日
 4. 子の誕生日
 5. 夏休み
④ 休暇で子を連れて州外へ旅行する場合に 、他方の親に相応の通知をするという規定を置く。
⑤ 両親間で合意が必要なら、宗教教育等についての条項を入れる。
⑥ 医療、歯科治療の費用負担の割合を決める。
⑦ 身上監護を交代にする場合 、さらに詳細な養育費を決める。
⑧ 生命保険料の受取人を決める。
⑨ 裁判所命令がない限り、子を連れて当法域から恒久的に移動ができないという規定を入れる。
⑩ どちらかの親が当法域から移動する場合、監護及び面会交流の取決めについて両者が調停を行うという規定を入れる。
※特徴的なことは、子どもを連れての無断の旅行・転居が制限されていることである。子どもを連れての転居は子の奪取事件を誘発してしまうことになるからである。

養育計画

  • アメリカ各州法が離婚及び子の監護が裁判所事項であるとしても、全て裁判所が決定するわけではなく、事前に両親間の合意に基づき、裁判所がそれをチェックする。
  • 協議する主な内容は、監護権をいかに分担するかであり、それは単に法的共同監護、身上共同監護という画一的な内容ではなく、養育計画として個々具体的に取決めていくようになっている。
  • 別居時には暫定的養育計画書が、離婚時は最終的な養育計画書を両親が協議して作成し、裁判所へ提出することが求められている。
  • 詳細かつ機能的に離婚後の法律関係と生活環境を把握するため、養育計画(parentingplan)、養育時間(parenting time)、養育責任( parenting responsibility) などという言葉を用いて、取り決める内容を詳細に文書化している。
  • 各州、各郡において独自にフォーマットが作成されており、十数枚のボリュームとなっている。“ parenting plan”とは、「子どもに関する監護の責任と決定責任の分担について、及び両親間の将来の紛争の解決についての取決め規定」とされている。

親教育プログラム

  • フロリダ州では、離婚に先立ち両親は子どもや両親に対する離婚の影響について学習をする親教育を最低4 時間受けなければならない。そこでは、子どもと両親との関係の法的側面、子どもに対して与える心理的側面、子どもに対する経済的責任等を学ぶ。このコースに参加しなかった場合には、裁判所侮辱罪に問われるか、分担親責任や面会交流が否定され得る。
  • オレゴン州では養育計画書を作成するに当たり、低料金のリーガルサービスを受けるか、教育プログラムに参加してメディエーションを受けるか、あるいは裁判所の家族法問題進行役(family law facilitator)に相談することができる。
  • 親教育では、年齢別における子ども期の特徴や、離婚後いかに子ども期において親の愛情と養育が必要か、子どもが捨てられたという感情を抱かないために、親はどのように子どもにかかわっていくべきか、親以外の祖父母やきょうだいとの交流が子どもにどのような効果をもたらすか、子どもに対して親は養育と扶養の責任があること等が教えられる。
  • 用意されている養育計画のパンフレットには、親子のかかわりあう時間について年齢別にサンプルが提示される。

養育費

  • 全米において、司法だけでなく、社会保障、行政が一体となって養育費制度を整えている。1975年に連邦により「養育費履行強制制度(Child Support Enforcement Program)」が創設され、1996年に社会保障の「貧困家庭への一時扶助( Temporary Assistance for Needy Families:TANF)」が成立している。
  • 共同監護か頻繁な面会交流があると8割以上は受給しているとされており、カリフォルニア州の調査では、法的共同監護であれば96%が裁判所から養育費支払い命令を受けている。
  • 身上共同監護の場合は、それぞれにおいて子どもの養育費を負担しているため、養育費を相手へ渡す必要はなく、養育費は発生しないか、極めて限られた金額となる。
  • 合意したまたは裁判所で命じられた金額の養育費が支払われない場合、監護親は州の養育費履行強制局で履行手続きを行う。

面会交流~親子の交流の原則・面会交流の権利性

  • 合衆国最高裁判所において、親には子どもを養育する自由があること、子の教育を管理する権限があることが示されてきた。Meyer v. Nebraska, 262 U.S. 390 (1923) では、婚姻し、家庭を設け、子を養育することが合衆国憲法第14 修正の自由に当たることが宣言され、Pierce v. Society of Sisters, 268 U.S. 510 (1925) は、「子を養育し、その運命を決定する者は、子自身が将来になうべき義務を認識させ、その準備をさせる義務を伴う権利を有している」としている。
  • 学説は、非監護親の面会交流の性質について、婚姻し生物学的繋がりもあり、なおかつ養育を通して精神的繋がりのある親子は、離婚によっても親子の血縁関係及び心理的結びつき、扶養、法的監護権が消失するはずはないのであるから、両親とも離婚後においても子どもと会い、子どもを育てる権利と義務を憲法上保障される権利として依然として持ち続けていると主張している。
  • 1970年代より発達した子どもの心理学や行動科学の研究・調査により、子ども期における親との愛着は子どもの成長のために必要であり、離婚後も子どもが両親から愛され、大事にされていることを確信するために、両親が共により一層子どもとかかわり養育していくことが重要であるということが明らかになった。
  • これらの調査・研究により、離婚後の親子の交流は子どもの最善の利益にかなうというコンセンサスが形成された。そこでアメリカ各州法では一般に、離婚後、子どもと両親との頻繁かつ継続した交流を確保することを州の公的政策としており、離婚後の親子の交流を積極的に認めている。全ての州において別居時及び離婚時に非監護親には相当な面会交流が付与される旨が規定されており、離婚後の親子の交流は当然のこととされている。

面会交流の妨害に対する法的対応

  • 裁判所侮辱罪・・・取り決められた面会交流計画について監護親が違反した場合にまず用いられるのが、裁判所侮辱罪の申立てである。
    -非監護権者が、監護権者は面会交流に協力的でなかったとか、面会交流を妨害したということを裁判所へ訴えると、裁判所はまず召喚状を送達し、なぜ裁判所命令に違反したのかの「理由開示命令」を求める。被申立人が可能な裁判命令であるにもかかわらず故意に命令に従わなかったことが認められれば、制裁金か拘禁が科される。
  • 監護権変更・・・子どもの最善の利益にかなう場合には、非監護権者から監護権変更が申立てに対して認められることもある。
  • 養育費の停止・・・州法において、養育費と面会交流との関係を規定しているが、多くは養育費支払いは監護親の面会交流妨害に影響を受けないと規定している。養育費の支払いを終了させることはできないが、妨害されている最中に停止することができる。オレゴン州法はより厳格で、監護権者が他方親の子どもと過ごす権利(parenting time rights) を正当な理由なく妨害した場合に、裁判所は養育費の支払い命令を変更するか終了することができると規定している。
  • イリノイ州家族法の「面会交流命令の執行、面会交流濫用」規定は、非監護権者が監護権者からの面会交流を拒否されたり、妨害されたりした場合には、家庭裁判所に命令違反を訴えることができるとしている。なお、イリノイ州ではこの民事規定に加えて、刑法の誘拐罪の中にも面会交流侵害が規定されており、軽罪を構成している。

面会交流~面会交流の制限

  • 別居後及び離婚後の親子の交流はいずれの州においても基本的に認められており、面会交流に反対する監護親は有害性の立証を行わなければならない。
  • カリフォルニア州法では、「その面会交流が子どもの最善の利益に害であるとの証明がない限り、裁判所は親に相当な面会交流を付与しなければならない( Cal. Fam. Code§3100( a) )」と定めている。
  • 性的虐待・・・親に性的虐待の認定がなされた場合においても、完全に面会交流を終了することは原則としてない。ましてや性的虐待が確認されなかったり、ただ単に疑いがある場合、また過去に継子やその友達に対し性的虐待の事実はあるが実子にはない場合など、面会交流を制限する理由にはなっていない。
  • DV・・・ほとんどの州でDV は監護権及び面会交流付与の考慮要件となっており、子どもを保護するため監督付き面会交流を認めている。
    -現在多くの州で裁判所が命じるDV の加害者に対してカウンセリングと治療を規定している。
    ※DV が裁判所に認定されるためには、DV を主張する被害者はそのための証拠を提出しなければならず、病院の診断書、警察への通報記録等の証拠書類が必要となる。

面会交流~ 監督付きの面会交流

  • 非監護権者の面会交流を全面的に否定するのは極めてまれなことであり、子どもに危険が及ぶ可能性がある場合には、誰かがその面会交流を監視する監督付き面会交流が取り入れられている。
    -カリフォルニア州裁判所規則では監督者となる者の要件や監督時の行動等、詳細な規定を置いている。
  • 監督者には一般人、専門家、治療専門家が想定されている。
    -専門家・治療専門家(精神保健専門家、精神科医、心理学者、臨床ケースワーカー、婚姻・家族カウンセラー等)は、専門家としての役割、児童虐待通告法、記録保持手続、面会交流のスクリーニング・モニタリング・面会交流の終了、子どもの発達ニーズ、監督者の法的責任と義務、文化的知識、利益の対立、秘密保持、薬物中毒・虐待・性的虐待・DVに関する問題等について研修を受けなければならない。
    -監督者は最初の面会交流前に個々の当事者に会い、危険性の性質と程度について把握しなければならない。

子どもの奪い合い紛争~子の引渡請求

【別居中の父母間における子どもの奪取-暫定的監護命令】

  • アメリカでは、別居時にも裁判所による子どもの監護命令が必要とされているので、別居中に他方の親から子が奪取された場合、残された親は子の引渡しを求める権利を得るために、まず家庭裁判所で暫定的監護権を請求しなければならない。
  • 虐待やDV 等がない状態で、一方の親が両親間の合意がないまま無断で子どもを家庭から引き離すことは子どもにとって有害であり、他方の親の権利を侵害しているとみなされるので、残された親は暫定的監護権を得やすい立場にある。
    【裁判所侮辱罪】
  • 裁判所の監護命令に違反して子どもの返還がなされなかったり子が奪取された場合、アメリカで一般的には、裁判所侮辱罪が適用される。
  • 裁判所は拘束者に弁護の機会を与えるために裁判所へ召喚し、この手続において拘束者が理由なく監護命令に従わなかったことが認められれば、裁判官は裁判所侮辱罪として制裁金か拘禁を命じる。
  • 裁判所侮辱罪で拘禁が命じられた場合は、当地区の保安官が被告人を勾引し、そこにいる子どもは申立人の親のもとへ返還されることになる。
    【家庭裁判所による監護命令の執行】
  • 監護権者が家庭裁判所に監護命令を執行する訴えを申し立てることができる州もある。例えば、イリノイ州の「監護命令の執行」規定によると、裁判所は監護命令の執行を命じ、子どもを連れ戻す親を補佐するために、保安官又は法執行官を任命することができる旨定めている(750 ILCS5/611( a))。ここで法執行官とは警察官を指す。家庭裁判所が子どもの監護決定のみならず、監護権の執行を含めて一連の問題に対処できることが立法により確保されている。
    【人身保護手続】
  • 50州が独立した立法を持つアメリカでは、一方の親が子どもを連れて他州で子どもの監護権を得た場合、どこの裁判所の決定が有効であるかという州際間の管轄権に関する法的問題が生じる。
    この問題を解決するために1969 年に「統一子どもの監護権管轄法」が、1980年に連邦「子どもの誘拐防止法」が制定された。
    -これにより、子どもが他州へ行っている場合にも、子どもが6ヶ月間継続して居住していた州で決定された監護命令は、現在子どもがいる地区の裁判所で承認されなければならないとされている。

【検察官による監護命令の執行-カリフォルニア州】

  • 全ての州で、親による子の奪取は刑法上の罪に問われるため、アメリカでは親による奪取を民事・刑事の両面で対応することが可能である。
    -イリノイ州刑法(7 2 0 I L C S 5 / 1 0 - 5( b)( 6)) では、一方の親が1 5 日間子どもを隠し、他方の親に相当な通知をしない場合は児童誘拐にあたると定義している。
  • カリフォルニア州は1976 年から、子どもの監護命令の執行に、検察官が民事・刑事のあらゆる手段を用いて行動することを家族法で規定している(Cal. Fam.Code §3131)。
  • 残された親が警察へ子どもの奪取を届け出ると、警察はカリフォルニア州の58 郡のいずれかの「子どもの奪取専門の検察官事務所」に連絡を入れることになる。
  • 検察官は、子どもを奪取された親が婚姻中や未婚時など、特に裁判所による監護命令がない場合は、すぐに暫定的監護権を得るよう勧め(Cal. Fam. Code §3132)、そして可能であれば、子どもを奪取している親又はその弁護士とも連絡を取る。子どもの捜査の初期の段階で、検察官は子どもの「保護監護令状」を家庭裁判所に求めて、子どもを連れ戻す令状を得る(Cal. Fam. Code §3134.5( a))。
  • 通告される奪取事件の90%は、検察官が訴える親と奪取した親との双方に電話でアドバイスすることによって解決しているとされている。親が子どもを連れ去り、拘束し、あるいは隠していることが刑法上の行為を構成することが分かれば、多くの親は子どもを返還するという。

子どもの奪い合い紛争~監護親の転居制限

  • 全ての州法又は判例法により、別居・離婚後、同居親は他方の親に法的監護権が有る無しにかかわらず、非同居親の同意を得ずに子どもを転居させることが制限されている。子どもの奪取を防止するためと、子どもが非同居親との継続かつ頻繁な交流を維持するためである。
  • アメリカのrelocation ルールは、判例の進展により1990 年より制定法が整ってきたとされている。
  • アメリカ婚姻法弁護士アカデミーが各州の判例法を検討した上で、モデル法を1997 年に出し、8件の考慮要件を挙げている。
    -(考慮要件の例)子の年齢、生育段階、必要性、及び子の特別の必要性を考慮した上で、転居が子の身体的、教育的、心理的発達に与える影響
  • 国際的な移動に関しても、アメリカは1988 年にハーグ条約を批准しており、子どもの渡航に関し厳格な方針をとっており、16 歳以下の子のパスポートチェックがなされ、両親のサインがなければ出国できない。

2015-11-08 (日) 21:38:23
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