過去の記事3
以前の記事(令和4年3月31日まで)はこちらまで
以前の記事(平成30年3月31日まで)はこちらまで
仏当局、日本人女性に逮捕状 フランス人の夫が「子供の連れ去り」訴え
出典:令和3年12月1日 BBC
仏当局、日本人女性に逮捕状 フランス人の夫が「子供の連れ去り」訴え
フランスの司法当局は、子供2人をフランス人の父親から引き離したとされる日本人の妻に対し、親による誘拐などの容疑で国際逮捕状を発行した。AFP通信が30日に報じた。
この事案は、結婚生活が破綻した場合の共同親権という概念がない日本において、「親による誘拐」をめぐる議論を再燃させた。
フランス人のヴァンサン・フィショ氏は、日本人の妻が3年前に2人の子供を連れて東京の自宅から姿を消して以来、子供に会えていないと訴えている。
フィショ氏は今年夏に東京オリンピックが開催される中、3週間のハンガーストライキを行い国際的注目を集めた。
日本の法律には、結婚生活が破綻した場合に夫婦が親権を共有することについての規定がない。
日本の当局は、一方の親が、もう一方の親と子供の接触を妨害しても見て見ぬふりしていると批判されている。人権団体の推計によると、日本では毎年約15万人の18歳未満の子供たちが親と強制的に引き離されているという。
フランス当局の逮捕状は、フィショ氏の妻が未成年者を危険にさらしたともしている。
フィショ氏の妻の弁護人はAFP通信に対し、「離婚手続きが進行中であり、法廷外で争うつもりはない」と述べた。
(英語記事 France issues warrant over Japan 'parental kidnap')
仏・日本人妻に逮捕状「子供連れ去った疑い」
出典:令和3年12月1日 TBSNEWS
フランス・パリの裁判所は、フランス人男性との結婚生活が破綻した日本人の妻が子供2人を男性に会わせないのは未成年者略取の疑いがあるとして、妻の逮捕状を出しました。
東京に住むフランス人ヴァンサン・フィショさんは、日本人の妻との結婚生活が破綻し、妻が息子と娘を連れ去ったため、子供と3年以上会えていないと訴えています。フィショさんはおととし告訴、パリの裁判所は11月30日までに、未成年者略取容疑などで妻の逮捕状を出しました。2人は現在、日本で離婚手続き中だということです。
ヴァンサン・フィショさん
「未成年者略取容疑で逮捕状が出ている母親に、裁判官が親権を与えるようなことがあれば、おかしいと思います」
一方、妻の弁護士はAFP通信の取材に対し、「法廷外で争うつもりはない」と話したということです。
仏当局が日本人女性に逮捕状 フランス人の夫が子の「連れ去り」訴え
出典:令和3年12月1日 朝日新聞DIGITL
仏当局が日本人女性に逮捕状 フランス人の夫が子の「連れ去り」訴え
記事PDF
フランス人の夫に子どもを会わせていないとして、フランスの司法当局が妻の日本人女性に対し、子どもを連れ去った疑いがあるなどとして逮捕状を出したことがわかった。30日、AFP通信が報じた。
同通信によると、夫は日本に暮らすバンサン・フィショさん(39)で、2019年に仏当局に告訴していた。この夏には、東京五輪が開催されるのにあわせ、3週間のハンガーストライキを決行。6歳と4歳の子どもへの面会を求めている。逮捕状の発行で、女性がフランスに入国すれば、逮捕される恐れがある。
AFP通信によると、フィショさんは女性が日本で逮捕されることを望んでいるわけではなく、日本の裁判所の離婚手続きで親権を決める際、逮捕状が妻に出ていることを考慮してもらうことを期待しているという。
離婚後の子どもの養育をめぐっては、欧米では父母の双方が親権を持つ「共同親権」が主流だが、日本で父母のどちらかしか親権を持てない「単独親権」だ。国際結婚が破綻(はたん)して子どもを日本に連れ帰ることで、子どもを連れ去ったとして犯罪とみなされるケースも起きている。(パリ=疋田多揚)
仏裁判所が日本人女性に逮捕状…国際結婚が破綻、子供の面会許さない「連れ去り」容疑
出典:令和3年11月30日 読売新聞
仏裁判所が日本人女性に逮捕状…国際結婚が破綻、子供の面会許さない「連れ去り」容疑
【パリ=山田真也】AFP通信は30日、フランスの裁判所が、日本に住んでいる仏男性と日本人の妻との結婚生活が破綻した後、妻が子供2人を連れ去って男性に面会させないのは略取容疑などにあたるとして、逮捕状を出したと報じた。
仏男性は子供と会えない状況が続いているといい、2019年にフランスで刑事告訴していた。両親は離婚に向けた手続きを進めているという。
日本では、父母双方が離婚後に親権を持つ「共同親権」が認められていない。日本人が国際結婚の破綻に伴い、相手の子供との面会を拒否することが、欧米などでは「連れ去り」として問題視されるケースがある。
日本人女性に逮捕状 「子連れ去り」容疑―仏
出典:令和3年11月30日 時事通信
【パリ時事】フランスの司法当局は、日本に住むフランス人のバンサン・フィショさん(39)の妻が、夫婦関係破綻後に子供を連れ去ってフィショさんに会わせないのは未成年略取容疑などに当たるとして、日本人の妻に逮捕状を出した。AFP通信が30日、報じた。
AFPによると、フィショさんは息子(6)と娘(4)と3年以上会っておらず、連絡も取れない状況だという。フィショさんは2019年、パリで刑事告訴。20年末に捜査が開始された。
妻の弁護士はAFPに対し、「離婚手続きが進行中であり、法廷外で争うつもりはない」と説明。逮捕状に関するコメントは避けた。
仏当局、日本女性に逮捕状 両国籍の子連れ去り容疑
出典:令和3年11月30日 東京新聞
仏当局、日本女性に逮捕状 両国籍の子連れ去り容疑」
記事PDF
パリの裁判所は30日までに、東京在住のフランス人男性(39)と日本人の妻の結婚生活破綻後、妻が子どもたちを連れ去って男性に会わせないのは略取容疑などに当たるとして、妻の逮捕状を出した。関係者が明らかにした。日本人の片方の親が子を連れ去り、欧州連合(EU)市民の親に会わせないケースの多発は日欧間の主要外交問題だが、逮捕状発付は異例。
事件は男性が2019年に告訴。連れ去られた長男(6)と長女(4)は日仏両国籍を持つため、フランス当局に捜査権限があるという。男性は警視庁にも立件するよう求めたが、妻が子どもを連れて別居するのは普通のことだとして退けられた。
仏当局、日本女性に逮捕状 両国籍の子連れ去り容疑
出典:令和3年11月30日 共同通信
パリの裁判所は30日までに、東京在住のフランス人男性(39)と日本人の妻の結婚生活破綻後、妻が子どもたちを連れ去って男性に会わせないのは略取容疑などに当たるとして、妻の逮捕状を出した。関係者が明らかにした。日本人の片方の親が子を連れ去り、欧州連合(EU)市民の親に会わせないケースの多発は日欧間の主要外交問題だが、逮捕状発付は異例。
事件は男性が2019年に告訴。連れ去られた長男(6)と長女(4)は日仏両国籍を持つため、フランス当局に捜査権限があるという。男性は警視庁にも立件するよう求めたが、妻が子どもを連れて別居するのは普通のことだとして退けられた。
離婚後の共同親権、静岡県内賛否 法制審、8月中間試案
出典:令和4年7月13日 静岡新聞
離婚後の父母の双方に親権を認める「共同親権」を導入する案などを盛り込んだ家族法制の見直しに関する中間試案を、法相の諮問機関である法制審議会の家族法制部会が8月にも取りまとめる。静岡県内では親権を失った別居親を中心に共同親権の実現を求める動きが活発化しており、推進派、反対派の双方が「正念場」と法制化の行方を注視している。
「親として、子に関わりたい」。県東部の別居親の50代男性は思いを吐露した。家庭裁判所の審判で定期的な面会交流の約束をしたが、子どもと2年以上会えていない。
2020年に全国の別居親らと「単独親権制により人権侵害を受けている」として国に損害賠償を求める集団訴訟を東京地裁に起こした県東部の40代男性は、新型コロナウイルスの感染拡大で面会が制限されるなど影響を感じていて、「法的な枠組みを変えないと、親なのに部外者扱いのまま」と話す。
静岡県内には別居親の活動組織として「静岡親子の会」「浜松親子の会」があり、計40人が参加する。地方から声を上げる全国運動と連動し、県や市町の議会に国への意見書提出を求める活動に取り組む。「面会交流支援に必要な法整備」や「共同養育の実現」などを盛り込んだ意見書案は昨年9月までに、県議会や静岡市議会など八つの議会で採択された。
一方、単独親権者であるひとり親の支援団体からは「中間試案は共同親権ありきで、当事者の実態を踏まえていない」との指摘がある。静岡市の支援団体「シングルペアレント101」は「離婚で両親の対立から免れた子どもたちが、共同親権導入によって再び渦中に引き戻され、葛藤にさらされる」と懸念を示す。
家族法制部会の中間試案は、共同親権を原則とする案と、現行民法の単独親権を維持する案の両論併記になる見通しだ。共同親権について部会は①父母双方が合意した場合②裁判所が子の利益に必要と判断した場合―などで認めるケースを想定する。中間試案の取りまとめ後、パブリックコメント(意見公募)を経て答申案を決定する。
<メモ>厚生労働省の人口動態統計によると、2020年に婚姻した夫婦は52万組あり、離婚した夫婦は19万組と、約3組に1組が離婚している。日本は民法で婚姻中は共同親権、離婚後は単独親権制度を採る。
フランス当局が日本人妻に逮捕状発行で注目の”連れ去り”離婚訴訟 敗訴の夫側は
出典:令和4年7月7日 デイリー新潮
フランス当局が日本人妻に逮捕状発行で注目の”連れ去り”離婚訴訟 敗訴の夫側は
夫側の母国であるフランス司法当局が「実子を誘拐した」として日本人妻に逮捕状を出したことで注目を集めた離婚訴訟の判決公判が7月7日、東京家庭裁判所で開かれた。裁判所は妻側が訴えていたDVについては認定しなかったが、親権を妻に定める従来通りの判決を言い渡した。(ライター・上條まゆみ)
***
フランス大使館職員も傍聴
「主文。原告と被告とを離婚する。原告と被告の間の長男および長女の親権者をいずれも母である原告と定める」
東京家庭裁判所141号法廷。裁判長の判決言い渡しを、被告の在日フランス人のヴィンセント・フィショさんはみじろぎせず聞いていた。傍聴には、被告側の支援者やフランス大使館職員も駆けつけた。一方、妻側は弁護士も含めて欠席した。
ヴィンセントさんは昨年の東京五輪期間中に国立競技場前で「連れ去り被害」を訴え、3週間のハンガーストライキを敢行したことで注目を浴びた。4年前、離婚問題について話し合いをしている最中、妻が黙って二人の子供を連れ去ってしまったというのがヴィンセントさん側の訴えだ。
一方、妻側は夫によるDVから逃れるために仕方なく取った避難行動であったと主張。妻側が離婚を求めて起こした訴訟で、親権が争われていた。判決では親権は妻に定められたが、妻側が主張していたDVについては認められなかった。
昨年11月、フランス司法当局が日本人妻に対して「未成年者拉致の罪」(未成年者略取及び誘拐)と「未成年者を危険にさらした罪」で逮捕状を発行したことでもより大きな注目を集めた今回の判決公判。判決後に司法記者クラブで開かれた会見には、「ル・フィガロ」「ル・モンド」などのフランス主要メディアも駆けつけた。
「子供たちも負けたのです」
会見でヴィンセントさんは判決への不満をこう訴えた。
「裁判で負けたのは私だけではない。私の子供たちも負けたのです。子供たちは父親なしで生きていかなければならない。なぜ裁判所は、私がDVをしていないとしながらも『連れ去り』を見逃すのでしょうか。フランス政府が要請し、インターポール(国際刑事警察機構)から逮捕状も出ている妻に親権を認めるのか。納得できません。控訴して戦います」
会見に同席した上野晃弁護士はこう述べた。
「今日、夫のDVはなかったと認められた。つまり、妻は理由もなく子供を連れ去ったことになる。にもかかわらず、子供の連れ去りについての評価はスルーされたのです。今、法制審議会で親権問題が議論されている中に、子供の連れ去り問題も入っています。裁判所がこの問題にまったく頓着しない判決を出したことに、私たちは大いに失望しています」
離婚トラブルの温床と言われる「単独親権」
離婚後のトラブルが絶えない温床になっているのが、日本の親権制度である。現状、日本は父母のどちらかが親権を持つ「単独親権」。世界の先進国のほとんどは、離婚後も子供の親権を父母がもつ「共同親権」。日本でもこの「共同親権」を導入すべきだという声が高まっている。
親権というと、いかにも親の「権利」のようだが、親が果たすべき責任とも言える。離婚後も子どもが両親から経済的、精神的支援を受けながら育つことが子供の最善の利益につながるという考え方が「共同親権」を求める声の背景にある。1994年に日本も批准している「国連子どもの権利条約」には、「子供が父母と引き離されないことを確保する」と示されている。
一方、共同親権になってしまうと、離婚をするほど仲の悪い両親の間に挟まれた子供が不利益を被る、あるいはDV親との縁が切れず子供が危険にさらされるという意見もある。故に、断固として共同親権に反対する声は大きい。
法制審議会で進む議論
現在、法務省内の法制審議会家族法制部会において、父母の離婚後等の親権者に関する規律等についての議論が進んでおり、今夏に中間試案が公表される予定だ。部会資料によれば、中間試案では「共同親権」という文言は採用されているものの、選択的共同親権の採用や単独での監護権を認めており、「骨抜き」になる可能性が高い。そうなると、これまでと同様、別居親との親子断絶や監護権を有利とするための子どもの連れ去りは防げない。
そこで立ち上がったのが、国内外の研究者や弁護士らでつくる民間団体だ。テレビ等でも活躍する北村晴男弁護士が部会長を務める。「法制審の案は、婚姻中の家族のあり方まで変更する恐れがある」として、独自に取りまとめた中間試案を自民党の高市早苗政調会長に提出した。団体側は、法制審の部会が発表する試案と団体側の試案を与党内で比較・審査したうえで、欧米諸国や韓国、台湾などが採用している離婚後の「共同親権・共同監護」制度を創設するよう求めた。
離婚後の単独親権、それを発端とする子どもの連れ去りについては、諸外国からも強く非難されている。2020年にはEU議会が日本に対し「子の連れ去りに関する国際的なルールを遵守していないように見受けられる」と非難決議を表明している。
=========
上條まゆみ(かみじょう・まゆみ) ライター。東京都生まれ。大学卒業後、会社員を経てライターとして活動。教育・保育・女性のライフスタイル等、幅広いテーマでインタビューやルポを手がける。近年は、結婚・離婚・再婚・子育て等、家族の問題にフォーカス。現代ビジネスで『子どものいる離婚』、サイゾーウーマンで『2回目だからこそのしあわせ~わたしたちの再婚物語』を連載中。
「子どもの連れ去り」訴えたフランス人夫に親権認めず 東京家庭裁判所判決 妻に逮捕状など国際問題に
出典:令和4年7月7日 TBS NEWS DIG
「子どもの連れ去り」訴えたフランス人夫に親権認めず 東京家庭裁判所判決 妻に逮捕状など国際問題に
日本人の妻が別居の際に無断で子どもを連れて出て行ったのは「子どもの連れ去りだ」としてフランス人の夫が訴え国際的に問題になっていた夫婦の離婚訴訟で東京家庭裁判所は子どもの親権を日本人の妻に認める判決を言い渡しました。
この裁判は、日本人の妻が都内に住むフランス人の夫に対する離婚と、その後の子どもの親権などを東京家庭裁判所に訴えていたものです。妻側は「夫による妻へのDVや子どもへの厳しいしつけがあった」「妻が一貫して育児を行ってきた」として2人の子どもの親権を主張しDVなどを否定する夫側と争っていました。
東京家庭裁判所はきょう午後の判決で、妻が訴えていたDVについて主張については「暴行された事実は認められない」としたものの、「子どもたちの発育は順調で、妻の監護状況に特段の問題は見られない」という裁判所の調査官の意見をもとに子ども2人の親権者を妻とする判決を言い渡しました。一方で調査で子どもが夫に対して否定的な感情を示さなかったことから「妻が夫と子らとの面会交流を妨げていることは問題である」とも指摘。しかし離婚後も父親と母親が親権をもつ共同親権の制度が認められていない日本では「面会交流は今後2人が協議や調停などを通じて実現していくべき」としました。夫は妻が子どもを連れて家を出ていったことについて「一方的な連れ去りで一度も会うことができず連絡も取れていない」と訴えていました。
未成年者略取にあたるとした夫の告訴をうけ、フランス司法当局は去年、妻の逮捕状を出したほか、AFP通信によりますと去年7月、オリンピックで来日したフランスのマクロン大統領が日本政府に問題提起をするなどしていました。
日本では離婚後どちらか片方の親が親権をもつ「単独親権」が定められていますがフランスなど欧米では共同親権が主流です。また子どもを片方の親が、もう一方の同意なく連れ去ることを認めないケースも多いため、日本人との国際結婚が破綻した際「日本人の配偶者に子どもを連れ去られた」という訴えが後を絶たず、外交問題となっています。
子連れ別居日本人妻に親権 仏男性が争い、東京家裁
出典:令和4年7月7日 産経新聞
日本人の妻が子2人を連れて家を出て、子と面会させないと抗議してきたフランス人のバンサン・フィショーさん(40)=東京都内在住=が、妻と親権などを争った訴訟の判決で、東京家裁は7日、妻に親権があると判断した。一方で妻が面会交流を妨げていることは問題だと指摘した。妻が訴訟を起こし、離婚も認めた。フィショーさん側は控訴するとしている。
この問題を通じ、日本人と欧州連合(EU)市民の国際結婚が破綻し、日本人の親が子に面会させないケースがクローズアップされ、外交問題になっている。日本は海外主要国と異なり、離婚後に両親双方が親権を持つ「共同親権」を認めていない。小河原寧裁判長はこの現状を踏まえ、2人が協議などをして子の福祉を慎重に模索するよう求めた。
判決などによると、2人は平成21年に結婚し都内で生活。30年8月、妻が子を連れて出て別居が始まった。フィショーさんは子を連れ去られたと訴え、パリの裁判所は昨年10月、逮捕状を発付し、妻は国際指名手配を受けている。
子連れ別居の日本人妻に親権、東京家裁 国際結婚破綻で
出典:令和4年7月7日 日本経済新聞
別居している日本人の妻が連れて出た子2人に面会させないとして、フランス人の夫、バンサン・フィショーさん(40)=東京都内在住=と妻が親権などを争った訴訟の判決で、東京家裁は7日、妻に親権があると判断した。
妻が離婚を求めて提訴した。家裁は離婚も認めたが、一方で、妻が面会交流を妨げていることは問題だと指摘した。夫側は判決後、控訴すると明らかにした。
判決などによると、2人は2009年に結婚し都内で生活。18年8月、妻が子を連れて出て別居が始まった。夫は子を連れ去られたと訴え、パリの裁判所は21年10月、逮捕状を発付し、妻は国際指名手配を受けている。
夫側は、妻が親権者になれば国際的な批判が免れないなどと訴えたが、判決は妻の監護状況に問題はなく「不適格ではない」と結論付けた。夫に暴行されたとの妻側の主張は認めなかった。
日本人と欧州連合(EU)市民の国際結婚が破綻し、日本人の親が子に面会させないケースは国際問題化している。日本は海外主要国と異なり、離婚後に両親双方が親権を持つ「共同親権」を認めておらず、法制審議会(法相の諮問機関)で共同親権導入の是非を含めた議論が始まっている。
小河原寧裁判長はこうした現状を踏まえ、2人が協議などをして子の福祉を慎重に模索するよう求めた。〔共同〕
離婚後の「共同親権」導入は是か非か、歓迎論と慎重論が交錯
出典:令和4年6月26日 FNNプライムオンライン
家族法制の見直しについて議論している法制審議会(法相の諮問機関)の家族法制部会に対し、法務省が6月21日「離婚した父母双方を親権者にできる『共同親権』の導入」案を提示した。日本では現在、離婚すると父母のどちらかに親権を与える単独親権の一択しかなく、熾烈な親権争いが繰り広げられる原因となっていた。
議論の結果は、8月にも民法改正の駐韓試案として取りまとめられる見通し。
こうした動きを受け、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)では、6月26日、有識者たちが「離婚後の共同親権」の是非について議論した。
ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、「子どもの幸せ、健全な養育、成長を考えると絶対に共同親権にしなければいけない」と強調した。
弁護士の本田正男氏は、家庭内暴力(DV)や児童虐待がある家庭では、共同親権制度を採用した場合、被害の継続や拡大が危惧されることを念頭に、「反対というか、きちんと考えたほうがいい。個別的に考える必要がある」と述べ、離婚後の共同親権の導入に慎重な姿勢を示した。
タレントで羽衣国際大学現代社会学部教授のにしゃんた氏は、多くの国、とりわけ先進国では共同親権制度を採用していることを踏まえ、「当然、共同親権があるべき姿でもっとも理想的な形だ」と断じた。
離婚後の共同養育を支援している、しばはし聡子氏は離婚する夫婦が「共同親権」と「単独親権」を選択できる制度の導入を主張した。
以下、番組での主なやりとり。
松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
6月21日に法務省が法制審議会の部会に離婚後の共同親権導入などを盛り込んだ中間試案のたたき台を提示した。共同親権を導入すべきだと考えるか。
櫻井よしこ氏(ジャーナリスト、国家基本問題研究所理事長):
子どもの幸せ、健全な養育、成長を考えると絶対に共同親権にしなければいけない。問題点があれば、個々の問題として解決することが大事なのであり、父母がともに子どもに愛情を注ぎ、注意をし、養育し、励まし、時には叱り、そして子どもの成長を一緒に見届けるという意味での共同親権は本当に大事だ。
松山キャスター:
本田さんは共同親権に反対する署名活動もしている。なぜ反対するのか。
本田正男氏(弁護士):
反対というか、きちんと考えた方がよいと思っている。3点申し上げる。一点は家族の形は様々で共同親権になったらこうなるというような算数の問題を解くように簡単に答えが出るわけではない。非常に個別的に考える必要がある。2点目は、裁判所のインフラが非常に脆弱だ。日本の裁判所は米国のように非常に細かくは全くできない。丁寧にやれば裁判所に負荷がかかりすぎてしまい、できない。3点目だが、子どもは生まれた時は親なしでは生存できず、親のほうが子どもを自由に操作できるような感覚になり、勘違いしてしまう。どうしても子どもにプレッシャーを与えすぎてしまう感じになってしまう。もう少し子どもの意向が汲めるような状態を出さなければいけない。
しばはし聡子氏(共同養育サポートりむすび代表):
数々の懸念事項あるとは思う。離婚しても子どもにとり親が二人であるというすごく当たり前のことを浸透させるという意味でも共同親権が選択できる制度を導入するべきだ。ただ、両方選択できるというときに逆に親権を巡って争う構造になることが懸念される。
にしゃんた氏(タレント、羽衣国際大学現代社会学部教授):
当然、共同親権があるべき姿であり、もっとも理想的な形だ。現状は「三方良し」になっていない。親権を持つ片親だけが喜び、往々にして子どもと親権のない親が泣き寝入りしている。「両親良し、子どももよし」、あるいは、「子ども良し、親も良し、社会も良し」までもっていく必要があり、今回良いチャンスが巡ってきているのではないか。
櫻井氏:
裁判官、司法の方が、裁判官を増やすことにずっと反対してきたという実態があり、裁判官の数が足りない現実がある。裁判官が足りない現実に合わせて子どものことを、家庭のことを今の歪な単独親権の形にしておくのは、本末転倒で子どものことを考えていない議論だ。
松山キャスター:
共同親権を考える上でDVの問題がある。DVが本当にあったのか、あるいは、DVがあったと主張した場合の子どもの親権をどう考えるか。
しばはし氏:
身体的暴力は割と白黒が分かりやすい。多分一番ここで問題になっているのがモラハラと言われる精神的なDVだ。それは夫婦間ではすごく尺度が違い、指標がない。DVをされたと訴える母親、DVはしていないという父親というのはよくある。どちらが嘘をついているわけでもなく、それぞれが違う物語だというところがある。モラハラはDVだから子どもを合わせないほうがいいと決めてしまうのはちょっと行きすぎだ。一方で、実際に本当に精神的なDVを受けて相手と関わるのが難しい方については、第三者の支援を入れるなりして、子どもをきちんと面会させるという部分は切り分けて考えていく必要がある。
松山キャスター:
DVが実際にあったかどうかを認定できる制度が日本に整っているかかという問題がある。
櫻井氏:
男が子どもを連れさられて、妻からDV夫だと言われる。本人はもうびっくりする。DVした記憶はない。暴力的にもない、言葉の上でもやった記憶はないのにDV夫だと言われ、子どもを連れさられて、離婚になり、親権を取られて、十何年も子どもに会えていない。最高裁まで争ったケースだ。あなた(山田氏)は妻の側に立った弁護士の一人だ。最高裁まで行って夫のDVは認められなかった。DVをされたという申告だけで日本ではDV夫、DV妻だ。DVは絶対許してはならないことは確かだ。DVをした夫や妻はきちんと罰せられるべきだ。DVは本当にあったのかということについて欧米などではすぐに警察を入れる。DV助けてくださいと言えば、すぐに来て現場で当事者の話を聞いたり、近所の話を聞いたりして事実認定をする。DVがあれば夫を家から放逐するとか、妻や子どもに接触させないなどの罰がある。日本では片親がいない間にもう一人の片親が子どもを連れて逃げ、DVがあったと申し立てるケースがある。DVが本当にあったかについて客観的な第三者が調査する仕組みを確立していかなければフェアではない。
本田氏:
もちろん殴るなどは論外だが、子どもにプレッシャーを与えてしまうことがある。精神的な部分で目に見えない。言葉により目に見えないとしても、さまざまなトラウマを抱えている人はいっぱいいる。私の依頼者の中で40歳になっても50歳になっても親子関係の葛藤に苦しんでる人は大勢いる。DVというと典型的な殴る蹴るだけではない。もう少し幅広く精神的なダメージを与えるような有害な状況が家庭の中にある場合があるというところを見てもらいたい。
松山キャスター:
共同親権か単独親権かを選べるようにするという考えも出てきてた。
櫻井氏:
共同親権を基本にするというところをはっきりさせたほうがいい。片方の親が性犯罪をしたとか、DVをしているとか、どうしても許せない状況がある場合は、もう片方の親に任せるという意味の単独親権があっていいとは思う。けれども、法体系としては共同親権を基本とするところに軸足を置かないと。法務省の提案にも一応、共同親権という言葉は入っているが、これはものすごく狭い範囲の共同親権だ。学校をどこにするか、何か大きな病気をした時の治療法をどうするか。共同親権は父母両方が子どもに関わり、時間を共に過ごし、子どもの顔を見ながら、子どもの声を聞きながら、子どもの心理を推測しながら、本当にそこに大人の親としての愛情や配慮を注いでいくということが共同親権だ。どこの学校にするか、大病したからどうするか、宗教をどこにするか、キリスト教にするか、仏教にするのかを決めるときに共同親権と言っているが、それはごく一部のことだ。法制審の華族制度部会の委員にはすごくリベラルな人権派と言われる人たちがいて、その人たちが主導してシングルマザーだけを応援するというような傾向がなきにしもあらずだ。シングルマザーの応援はとても大事だと思うが、もっと視野を広げて、子どもの幸せ、子どもの健全な育成を考えたところに、わが国の法律は立脚しないといけない。その意味では、共同親権か一部単独親権かではなく、「原則共同親権」だ。しかし、どうしても親に問題があるときは、これは単独親権だね、という工夫がなされるような法制度にしないといけない。
本田氏:
結局調整のところで揉めてしまう。例えば、学校の話があったが、横浜市の隣にあるA小学校とB小学校のどちらに入るかでもめている。相手方代理人は「裁判所で決着すればいいのではないか」と言う。そんなこと言ったら4月になってしまう。本来は二人が調整できることが大前提だが、イコールの関係がないとただもめるだけだ。そのもめる家庭の嵐の雨風を浴びるのは子どもだ。離婚で裁判になるのなんて1%ほどだが、結局我々(弁護士)のところに来るようなのはものすごい嵐が吹いているような状態なので、むしろそういう状態から切り離されている方が子どもにとっては幸せなのではないか。
しばはし氏:
実際、裁判所を通して離婚調停などを行っていくと別居前よりも関係が悪化する事例がよくある。どちらが親権をとるかもそうだが、離婚は破綻主義ではなく有責主義となると、相手が悪いから離婚すると。書面で相手の批判をしていく。そうなると別居前よりもより関係が悪くなって離婚後にとても共同養育できるような関係にならないというケースもある。むしろ大事なことは、親権をどちらにするか選択することよりも、別居後にすぐに子どもと会える環境をまず制度として作ること。離婚後も共同養育できる関係性をつくっていくために例えば裁判所にカウンセリングの制度を設けるなど、そういう環境をつくっていくことの方が大事だ。
議論沸騰「共同親権問題」 あの「行列」の顔「北村晴男弁護士」が本気で取り組むワケ
出典:令和4年6月22日 デイリー新潮
議論沸騰「共同親権問題」 あの「行列」の顔「北村晴男弁護士」が本気で取り組むワケ
共同親権――離婚後も両親が子供の親権を持ち、それぞれが子を見守り、監護すること。先進国の多くで採用されている制度だが、日本は、離婚すると親権はどちらか一方にしか認めない「単独親権制」を採用している。これにより、共同親権を採用する国の人と日本人が国際結婚して子供をもうけ、離婚する場合、日本人親が突然子供を連れて帰国し、残された親が「誘拐罪」で日本人親を告訴するケースが後を絶たない。こういう子の連れ去り行為は国際的には誘拐罪に他ならず、日本は「拉致国家」との強い非難を受けている。
そのため、「共同親権の導入を」と、国際的な圧力が高まるなか、日本でも導入すべきか議論する動きが出ている。しかし――。
異例中の異例
制度改正の議論を行っているのは、法務省の諮問機関、法制審議会の「家族法制部会」。昨年3月にスタートし、今夏、中間試案が発表される見込みだが、この試案を巡って動いたのが、日本テレビの人気番組「行列のできる相談所」でもおなじみの、北村晴男弁護士(66)、そして彼が率いる「民間法制審議会家族法制部会」という団体だった。この団体が先月31日、法務省の部会版とは異なる、独自の試案を作成し、自民党に提出。比較して議論を進めるよう高市早苗政務調査会長に提言した。
法務省担当記者が言う。
「法務省の法制審があり、審議を進めているにも関わらず、それとは別に、民間団体が独自の法制審を立ち上げ、提言を行うなんて、異例中の異例です。しかもあの人気弁護士の北村先生が旗振り役なので話題になりました」
なぜ「行列」のあの人が動いたのか。北村弁護士ご本人に、直接話を伺った。
――共同親権問題に取り組むようになったきっかけは。
「長いこと弁護士業務をするなかで、何度も、単独親権制の問題点を痛感させられてきました。例えば、妻の浮気など圧倒的に妻の責任で離婚に至るケースで、妻が子を連れて別居してしまう。その後、離婚の協議に入るわけですが、夫は私に、『先生、妻の浮気が原因ですから、当然、子供の親権はとれますよね?』と言う」
日本はこんな法律でいいの?
「でも、日本は単独親権制で、その上、裁判所には『小さな子供には母親が必要』という認識があり、監護実績を重視するという判断基準もあるため、父親が親権を取るのは、ほとんど不可能。『それでもお願いします』と言われるものの、結局親権を取れずに、月に1度、数時間程度の面会交流を確約してもらうために、相場よりも高い養育費を払うことになるわけです。おまけに、犯罪者でもないのに、第三者による監視付き面会とせざるを得ないことも多い。これにより、親権を奪われた側の祖父母は孫と全く会えなくなる。諸外国の共同親権制度では、両親や祖父母は子の成長をずっと見守る事が出来、子供も多くの大人に見守られ、愛情をたっぷりと注がれながら成長することが出来る。法律家として、仕事はするけど、そもそも、日本はこんな法律でいいの? という疑問が、ずっと頭にありました。単独親権制は、親子関係を破壊し、子供、親権を奪われた親、祖父母など多くの人の幸せを奪う、とんでもない悪法です。
そんな中、今年に入って、ある弁護士さんがうちの事務所にいらして、この方が共同親権の実現を目指して一生懸命やっておられる方で、『是非とも応援してほしい』と言われ、微力ながら、力になれればと思った次第です」
夫婦喧嘩でも……
――法務省の法制審が公開しようとしている試案の、どの点が問題なのでしょうか。
「まず、一番の問題は、父親と母親が合意したら共同親権を認める、という点です。『子供を元配偶者に合わせたくない』という親は合意しませんから、この制度ではこれまで同様、不幸な子供、不幸な親、絶望する祖父母を生み出し続けることになります。原則共同親権とする制度にしないと全く意味がない。そして二つ目は、監護権と親権を切り離したうえで、監護は単独で行います、というところ。監護、つまり、一緒に住んで見守る権利は一方にしか与えられない。そして、子供がどこに住むかを決める居所指定権も、監護権に付与する、と。こうなってしまうと、これは、今問題になっている“子の連れ去り”を合法化するための巧妙な仕掛けです。しかもですよ、その監護権を、婚姻中にもどちらか片方に付与することができるように議論を進めている節がある。夫婦喧嘩をし、かっとなったどちらかが訴えると、監護権を片方にのみ設定できるわけで、現行法よりもさらに早く親子関係を破壊する可能性が高い」
子供の幸せに責任を
――北村先生たちが提案している試案について教えてください。
「まず、離婚後も原則共同親権とします。未成年の子供がいる夫婦が離婚をする場合、子供を父母がそれぞれどういう割合で監護するかなどについて具体的に定めた計画、『共同監護計画』の提出を義務付けよう、というのが基本です。離婚する二人の事情は様々ですから、多様な場面に対応可能なガイドラインも作成します。当然ながら、DV被害者を守るための制度設計も重要ですからそれについても十分に検討しています。
さらに、我々が提案しているのは、離婚するのであれば、子供の心理について講座を設けるので勉強してください、と。例えば、片親疎外症候群というのですが、一泊二日で父親の元に行き、母親のところに帰って来たとします。そして子供が『楽しかったよ』と報告したときに、母親が顔を曇らせると、大好きな父親を嫌いにならなければいけない心理状況に追い込まれることになる。その結果本当に父親を毛嫌いするようになるケースもある。そうした複雑な心理環境に子供を追い込むのは子の虐待に等しい。そういうことをきちんと勉強して、共同監護をしましょう、ということです。親の都合で離婚するわけですから、それによる子供への精神的負担を出来る限り軽減し、子供の幸せに最大限責任をもちましょうよ、と。共同親権を導入している先進国の制度を参考に、作成しました。どちらの案が、子供の幸せ、親の幸せに結びつくかは火を見るより明らかだと私は思っています」
二つの試案は、法改正にどのような影響を及ぼすか――。
デイリー新潮編集部
自民プロジェクトチームが共同親権提言 「家族の分断ないように」
出典:令和4年6月22日 中日新聞
自民プロジェクトチームが共同親権提言 「家族の分断ないように」
民法の家族法制のあり方を検討してきた自民党のプロジェクトチーム(PT)は二十一日、夫婦の離婚後、一方のみに認める親権制度を改め、双方が親権を持つ「共同親権」導入の提言書を古川禎久法相に提出した。「家族の分断」を生じさせない法制を求めるとした。
※以下、記事を参照ください。
離婚後の「共同親権」導入へ試案 法制審、8月末にも
出典:令和4年6月22日 時事通信
家族法制の見直しについて議論している法制審議会(法相の諮問機関)の家族法制部会は、離婚後も父母の双方に親権を認める「共同親権」導入などを盛り込んだ中間試案を8月末にも取りまとめる。中間試案は、共同親権を原則とするか、現行民法の「単独親権」を維持するかの両論併記となる見通しだ。
民法は、父母の婚姻中は共同で親権を持つが、離婚する場合はどちらか一方を親権者と定める「単独親権」制度を規定している。
厚生労働省の人口動態統計によると、2020年に婚姻した夫婦約52万組に対し、離婚した夫婦は約19万組。約3組に1組が離婚に至っている状況があり、離婚後の養育費未払いが社会問題となっている。また、共同親権が一般的な欧米諸国と日本の親権制度の違いから、国際結婚が破綻した日本人の親による「子ども連れ去り」問題も指摘されている。
こうした近年の家族の状況を受け、法制審部会では、共同親権を認める際は(1)父母双方が合意した場合(2)裁判所が子の利益のため必要があると判断した場合―などを想定。離婚後に日常の世話や教育の仕方について決める「監護権」を持つ「監護者」については、父母双方が共同で監護者となる選択肢も検討する。法制審は中間試案の取りまとめ後、意見公募(パブリックコメント)を経て答申案を決定する。
共同親権をめぐっては、自民党法務部会も21日、制度導入を求める提言書を古川禎久法相に提出した。離婚後の養育費負担や面会交流などについて定める「共同養育計画」の作成などを義務付けることも提起した。
離婚後の共同親権を提言 自民・法務部会 「子の最善の利益確保」
出典:令和4年6月21日 毎日新聞
離婚後の共同親権を提言 自民・法務部会「子の最善の利益確保」
自民党法務部会は21日、父母の離婚に伴う子の養育を巡る法制度の見直しについて、提言書を古川禎久法相に提出した。「離婚後の共同親権を導入すべきだ」としている。
同部会の「家族法制のあり方検討PT(プロジェクトチーム)」がまとめた提言書は、父母が離婚した後の子の養育について「子の最善の利益を確保するため、子を真ん中に置いた議論をしなければならない」と記載。離婚後の単独親権を定めた現行民法に触れ「原則として、父母がそれぞれ引き続き子に対して親としての責務を果たすため、離婚後共同親権制度を導入すべきだ」としている。
また、父母が離婚する場合に、子の養育費の負担や親子の交流について取り決める「共同養育計画」の作成を課すべきだと提案。一方で、家庭内暴力(DV)や児童虐待がある家庭を念頭に、子の安全や安心を確保する観点から「丁寧に対応する規律を設けるべきだ」としている。
法制審議会(法相の諮問機関)の部会は現在、離婚後の親権のあり方を含めた家族法制の見直しを議論している。【山本将克】
共同親権の制度 導入すべき” 自民の作業チームが法相に提言
出典:令和4年6月21日 NHK
“共同親権の制度 導入すべき” 自民の作業チームが法相に提言
離婚後の子どもの養育の在り方などをめぐり、自民党の作業チームは、原則として、父親と母親が引き続き責務を果たすため、双方が親権を持つ「共同親権」の制度を導入すべきだなどとした提言をまとめ、古川法務大臣に提出しました。
親が離婚したあとの養育費の不払いや親権の在り方など、子どもの養育をめぐる課題の解消に向けて、法務大臣の諮問機関である法制審議会の部会は制度の見直しに向けた議論を行っています。
こうした中、自民党の法務部会の作業チームは子どもの養育の在り方などをめぐって提言をまとめ、21日、古川法務大臣に提出しました。
この中では、離婚した場合、原則として父親と母親が引き続き子どもに対し責務を果たすため、双方が親権を持つ「共同親権」の制度を導入すべきだとしています。
また、離婚する場合、父親と母親が子どもの養育を適切に行うため「監護割合」や養育費などについて定める「共同養育計画」の作成など、必要な事項について一定の責務を課すべきだとしています。
さらに「共同親権」の制度の導入に伴い、父親と母親の一方がDV=ドメスティック・バイオレンスや児童虐待を働いているなど、原則どおりに適用すると不都合が生じ得るケースについて、安心・安全の観点から丁寧に対応する規律を設けるべきだなどとしています。
自民が古川法相に離婚後の共同親権・共同監護を提言
出典:令和4年6月21日 産経新聞
自民党の山田美樹法務部会長は21日、法務省で古川禎久法相と面会し、同部会の「家族法制のあり方検討プロジェクトチーム」がまとめた父母が離婚した後の子供の養育に関する提言を手渡した。提言は「子の最善の利益を確保する」として、離婚後の父母が共に親権や子供の身の回りの世話や教育をする「監護権」を持つ「共同親権・共同監護」制度を導入するよう求めた。ドメスティックバイオレンス(DV)や児童虐待がある場合に対応した規律を設けることも訴えた。
同席者によると、古川氏は「子供の最善の利益を追求することは共通した思いだ」と応じた。
離婚後の“共同親権”に向け制度設計へ 現在は父母いずれかの“単独親権”
出典:令和4年6月21日 日本経済新聞
離婚後の“共同親権”に向け制度設計へ 現在は父母いずれかの“単独親権”
法務省は離婚した父母の双方が親権を持ち続けることを可能にする法改正を法制審議会(法相の諮問機関)に提案する。法制審が8月をメドにまとめる中間試案に盛り込む見通しだ。現行法の維持などと合わせた選択肢のひとつとして記す。
民法は婚姻中の父母が共同で親権を持つと認める半面、離婚後はどちらかだけが親権者となる単独親権を定める。法制審は2021年3月に家族法制部会を立ち上げ、離婚後の共同親権の採用を巡り議論してきた。
法務省と法制審の部会は中間試案に向け、父母の合意や裁判所の判断といった共同親権を採用する条件などを協議する。単独親権を原則として維持する案も含め、複数の選択肢を併記する方向だ。
日常の子どもの世話を決める「監護権」の範囲も検討事項にする。法務省は部会がまとめた試案を意見募集(パブリックコメント)にかける。
離婚後の共同親権の導入は部会の委員の間でも賛否が割れる。
病気の治療など子どもにとって重要な事項は父母双方が親権に基づいて熟慮することが適当とみる声がある。一方で同居する親が単独で決めた方が判断が安定するとの意見もある。
離婚後の「共同親権」日本での導入は? 現在の民法では父母いずれかの「単独親権」 それぞれの「課題」と「今後の議論」
出典:令和4年6月20日 TBS
離婚後の「共同親権」日本での導入は? 現在の民法では父母いずれかの「単独親権」 それぞれの「課題」と「今後の議論」
近年「3組に1組が離婚する」という言葉もある中、離婚した後「子どもをどう育てていくのか」が重要視されます。現在の民法では父母いずれかの「単独親権」で、「母に親権」が渡るケースが9割以上です。離婚後の父親と母親が、子どもの親権を共同で持つ「共同親権」を日本でも導入するかについて、法務省の専門家会議が具体的な制度の議論を進めていることが分かりました。親権をめぐる課題や今後の議論について見ていきます。
■ 子どもの「共同親権」導入なるか? 日本の民法は「単独親権」
ホラン千秋キャスター: 「共同親権」について考えます。今後、日本でも導入されるんでしょうか?
離婚した後に2人で共同親権を持って育てていこうというものです。
まず、婚姻届を出したカップルを見ていきましょう。
2020年婚姻届を提出したのは52万5507組。
そして、離婚届を提出したのは、19万3253組となるわけです。(厚労省 人口動態統計2020年)
近年「3組に1組が離婚する」という言葉もあるわけですが、離婚した後、お子さんをどう育てていくのかというところが重要視されるわけですよね。
その上で、現状、日本は単独親権ですので、離婚の場合、どちらが親権を持つのかということが議論に上がります。
親権とは、子どもの利益のために監護・教育を行ったり、子どもの財産を管理したりする権限・義務のことなわけです。
では、改めて日本の現状というのを見ていきましょう。
現在の民法では、単独親権のみが認められています。ですので、お父さん・お母さんが離婚した場合、そのどちらかが親権を持つ単独親権ということになるわけなんですよね。
では、お父さん・お母さんそれぞれ親権を持つ件数というのはどれくらい違うのかというのを見てみると
父に親権…1635件、
母に親権…1万6908件
(2020年度司法統計より)
圧倒的に母親に親権が渡ることの方が多いわけなんです。
この現状を見てみまして海外と比べましても「共同親権」ということを考えていく必要があるのではないかということで議論が行われています。
法務省の専門家会議が行っている議論なんですが、離婚した後も、どちらかだけに親権が渡るのではなく2人協力して育てていきましょう、というものが共同親権なわけなんですが、法務省の法制審議会の部会は「子どもの貧困や虐待を防ぐ上で離婚した後も双方が最後まで責任を持つべき」だとして、「共同親権」について検討しているわけなんです。
■ 「単独親権」「共同親権」それぞれの課題
ホランキャスター:
では、日本が今認めている「単独親権」、そして導入が考えられている「共同親権」、それぞれの課題というものを見ていきましょう。
萩谷麻衣子弁護士によると「子どもにとっての幸せを考え議論をしていくことは必要」ということです。
【単独親権の課題】
・子どもとの関わりが少ないため、養育費がきちんと支払われない
ちなみに母子家庭で養育費を受け取っている家庭は24%ということですので、その数字というものも課題になっているのかもしれません。
逆に
・養育費を支払っていても子どもとの面会・交流が極端に少ない など
養育費を支払っていても、払っていなくても課題があるというのが「単独親権」のようです。
【共同親権の課題】
感情的に対立して離婚に至るということが多く、子どものためとはいえ、割り切って簡単に協力できるものではない(教育・大きな病気の治療など意見が対立しやすい)
「共同親権」というものを導入したとしても、何らかの支援制度が必要なのではないかと話しています。
井上貴博キャスター: DVなどの問題もありますし、もう本当ケースバイケースで一概に言うことはできませんが、夫婦が離婚したとしても子どもの親であることは変わりませんので、選択肢が増えるというのは、進めていただきたいなとは感じます。
スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん: 私もそう思います。選択肢が増えるということはつまり、その議論が増えるということなので、議論をしないと何が課題で、どちらにメリット・デメリット、両方メリット・デメリットあるねみたいな話をすることが大事ですから、共同親権の話が出ることはとても賛成です。 一方で、課題はそのご夫婦によって違うということがまず大前提ですけれど、もう一つ、大前提は子どもという「宝」。資本という言い方もできるかもしれませんが、子どもは社会にとってのとても大事な宝ですから、どのように社会が育んでいくかということが前提で話し合われることが大事だなと思います。 つまり、ご夫婦のどちらかに責任を持つべきという言い方よりは、子どもを育てるということは実は大人の人間的成長にも、とても大切なもので、誰かの子どもだとして、みんなで、どのように子どもを育んでいくかという中での共同親権なんだという俯瞰的な見方をすることで、また違った解決策が出てくるということもあろうかと思います。
井上キャスター: 家族単位だけではなくて社会全体というか、それを綺麗ごとではなくて全体として社会として国としてどういうふうに子ども育んでいけばよいでしょうか。
スポーツ心理学者 田中さん:
例えば、離婚は駄目だとか、結婚は良いことだではなくて、社会で子どもを育てるとはどういうことかということから話し合われていくこともすごく大事だと思います。
■ 夏にも中間的な案の取りまとめ
ホランキャスター: 法務省での部会で行われている議論も、共同親権だけにしましょうということではなくて、様々な形というのが話し合われています。 今まで通り単独親権の方がいいんじゃないかというような議論であったり、共同親権を原則にするという話、それから双方を組み合わせるのはどうだろうかなど話し合われているということなんですね。
そして、共同親権を導入した場合、お父さん・お母さん、2人に親権がありますので
日常的に子どもの面倒を見るのはどちらになるのか、それを監護者と呼ぶということですが、その監護者をどう決めていくのかも議論されているそうです。
そして夏にも中間的な案の取りまとめを行い、国民の意見も募集するということだそうです。
井上キャスター: この共同親権はもちろんのことですけど、先ほど広い話でいうと、例えば養育費についても、周りでも実際に受け取れない人がいて、でもそれをしっかりと養育費を支払わなければならないという仕組み作りも少し日本は遅れている。そういうところも含めて議論を進めていただきたいなと思います。
スポーツ心理学者 田中さん: 大きな議論から細かい課題の解決ということは必要です。例えば、養育費も今は男性が、ではなく女性が養育費を支払うことも当然あるわけで、社会進出の仕方も変わってきましたし、細かいことをこれからしっかり決めなきゃいけないんですよね。
井上キャスター: ウルヴェさん自身は国際結婚されてますので、そこの考え方はかなりフレキシブルですか? スポーツ心理学者 田中さん: 元々、日本人だったので本当にびっくりすることは、例えばフランスでは婚姻届を出していないカップルもたくさんいらっしゃいますし、例えばお1人のお子さんを3組ぐらいのカップルが、それぞれが一緒に育てるみたいな体系になったりもしています。大切なことは、お子さんにとって何が幸せかって、彼女たち・彼らたちが決められなかったりもするので、どのようにあると良いかってことを大人がいろいろなところから解決を考えていくってのが大事かと思います。
井上キャスター: 日本はまだまだ「家族はこうあるべきだ」というのが強い気はします。
離婚後の“共同親権”に向け制度設計へ 現在は父母いずれかの“単独親権”
出典:令和4年6月20日 TBS
離婚後の“共同親権”に向け制度設計へ 現在は父母いずれかの“単独親権”
離婚後の父親と母親が、子どもの親権を共同で持つ「共同親権」を日本でも導入するかについて、法務省の専門家会議が具体的な制度の議論を進めていることが分かりました。専門家会議は、この夏にも中間試案をまとめる方針です。 現在の民法では離婚後の子どもの親権者は父親か母親、どちらかになる「単独親権」になっています。 これに対し、有識者からなる法務省の法制審議会の部会では「子どもの貧困や虐待を防ぐ上で離婚したあとも、双方が最後まで責任を持つべき」という議論があり、「共同親権」について検討がされてきました。 関係者によりますと、部会の議論では・現状のまま単独親権とするのか、・共同親権を原則とするのか、・両者を組み合わせるのかの議論が行われています。 その上で、共同親権を導入した場合、例えば、離婚で父親と母親が別居した際には、どちらかを日常的に子どもの面倒をみる「監護者」とする制度をつくるのか、などが議論されています。 部会はこの夏にも中間試案をとりまとめ、国民から意見を公募する方針です。
離婚後の共同親権を提案へ 法務省、法制審部会に 8月にも試案討議
出典:令和4年6月20日 毎日新聞
離婚後の共同親権を提案へ 法務省、法制審部会に 8月にも試案
法務省は、家族法制の見直しを議論している法制審議会(法相の諮問機関)の部会に、離婚した父母双方を親権者にできる「離婚後の共同親権」の導入を提案する方針を固めた。現行民法は離婚後の単独親権を定めており、部会は民法改正の中間試案を8月をめどに取りまとめる。その上で意見を公募するパブリックコメントを実施し、詰めの議論に入る。
民法は、婚姻中の父母の共同親権を定める一方、離婚後はいずれかが親権者となる単独親権を採用する。日本では近年、年間20万組前後、おおよそ3組に1組が離婚しており、離婚後の養育費の不払いや親子交流の断絶が社会問題化している。
一方で、女性の社会進出や男性の育児参加が進み、「離婚して子との関わりを絶ち、親の役割を放棄するのは無責任だ」との声があり、離婚後の親権の奪い合いや他方の親の同意を得ずに子と家を出る「子の連れ去り」も頻発している。国際的には、離婚後の共同親権が主流となっている。
関係者によると、同省が提案する内容は、父母双方が子に関わり続けることが「子の最善の利益にかなう」ケースを念頭に、父母が話し合いや裁判所の判断で共同親権を選択できるようにするもの。具体的には、子の進路や病気の治療方針について父母双方が共同親権に基づき、子のために熟慮して決定するような仕組みが想定される。このような共同親権を原則とする案と、単独親権を原則とする案が示される模様だ。
また、離婚した父母は多くの場合は別居し、一方の親が子と同居して暮らすことが多い。このため、離婚後の共同親権を選んだ場合に、子の日常の世話について決める「監護権」を持つ親である「監護者」を置く制度も議論されるという。共同親権と監護権の役割分担をどうするかは今後の焦点になりそうだ。
さらに、離婚しても子が普段は同居親と生活し、休暇中は別居親と過ごすといった良好な親子関係もあるため、共同親権を前提に、両者が監護者になる「離婚後の共同監護」も選択肢として示される見通し。
一方、家庭内暴力(DV)や激しいいがみ合いが続く父母が共同親権を選ぶと、子に関わる重要な決定ができなくなるとの懸念もある。家族を巡る価値観は多様であることを踏まえ、単独親権のみの現行制度を維持する案も議論されるという。【山本将克】
「共同親権」参院選を前に静かなる“ヤマ場”、自民党が民間試案を討議
出典:令和4年6月6日 SAKISIRU
「共同親権」参院選を前に静かなる“ヤマ場”、自民党が民間試案を討議
法務省法制審案と合わせ異例の検討、カギとなるDV対策は?
SAKISIRU編集部
親が離婚した後の子育てについて、G7で唯一、単独親権制度しか認めていない日本で、国際的なルールに合わせた共同親権・共同養育を認めるべきか、参院選を前に政策的なヤマ場が生まれつつある。
■「法務省 vs. 民間」2つの法制審
日本では片親が子どもを一方的に連れ去る事案が後を絶たない。日本は2013年に「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」(ハーグ条約)に批准した後も、親権制度がこの国際的なルールに適応する形で変更されておらず、日本人の配偶者による連れ去り事案が相次いだ欧州では、EU議会が日本に対し「子の連れ去りに関する国際的なルールを遵守していないように見受けられる」と決議している。
国際的な圧力もかかってきたことで近年、日本側も制度改正を検討し始め、法務省の諮問機関、法制審議会の家族法制部会が昨年3月から検討を進めてきた。しかし、同部会の委員には、共同親権導入に抵抗する左派の人権派有識者もいるためか、現行の親権制度の見直し案は国際基準から程遠い「骨抜き」になりつつある。
審議中の資料などから浮かび上がってくるのは、共同親権は形式的には認めるものの、監護権は引き続き片親のみに認めるとする案に固まりつつあり、共同親権推進派からは「家族制度が崩壊する」などの懸念が示されている。
これに対し、推進派は、弁護士・大学教授などがつくる民間法制審議会の家族法制部会が別の制度案を提起し、法務省案に対抗する構えに打って出た。5月31日には同部会長で、テレビ番組でも知られる北村晴男弁護士らが記者会見。独自の「中間試案」を発表し、自民党の高市政調会長にも提出した。
民間側の試案では、
1.全ての欧米諸国、台湾や韓国も採用する離婚後『共同親権・共同監護』制度の創設
2.婚姻中の家族の在り方を規定する現行の民法体系と整合性のとれた制度の創設
3.父母が配偶者暴力(DV)や児童虐待を行っている場合など、特殊な事例にも対応した制度の創設
4.ハーグ条約(国際的な子の連れ去りを禁止する条約)不履行国と国際的に非難される原因となっている国内法の改正
がポイントに挙げている。(1)や(4)が示すように国際基準に則った内容になっているのが特徴だ。
■ 実効性あるDV対策、自民は異例の対応
一方で、日本で共同親権導入が進まなかった大きな要因としてはDV(配偶者暴力)だ。例えば、離婚後共同親権に反対する市民の会は「加害者は子どもと会う権利や機会を利用し、支配を続けようとする」(公式サイト)などと主張し、根強く抵抗している、
このDV問題をどうするか。(3)で提起しているDVなどの問題事案への対応について、試案の詳細版では、両親が離婚する際に「共同監護計画」の作成と公正証書化を義務付けた上で、「離婚後の面会交流、養育費に関する規律」を要求。
父母の一方が、配偶者暴力防止法の規定に基づく保護命令を裁判所に申し立てたときは、裁判所は、当該父母に対し、婦人相談所等が提供する父母間の連絡調整及び子の受渡し支援サービスの利用を命ずる規律を設ける。
などと提起している。関係者は「民間法制審案は、DVの申し立てがあれば配偶者との接触は禁止するが、親子の交流は継続しなければならない規定になっている」と説明する。
DV問題に関連して、これまで一部の親が相手と子どもの面会を拒絶したいがために、実態がないDVを主張するケースもあったが、この民間法制審案を導入した場合は、手続きに第三者が入ることで、関係者は「子どもをもう一方の親と会わせない理由としてDVは使えなくなる。本当にDVを受けていた人にはメリットがある一方で、嘘のDVを申し立てていた人には、デメリットばかり増えることになる」と実効性を期待している。
民間法制審の中間試案の影響力は小さくない。試案を受け取った自民党サイドは、法務省の法制審案と比較検討して今後の立法化を進めるという異例の対応をする方針を示している。
党政調会法務部会(部会長:山田美樹衆院議員)は7日、民間法制審の試案を俎上に載せて討議した。参院選での政策論議や、秋の臨時国会以後に新たな展開があるのか注目される。
家族解体へ進む法改正
出典:令和4年6月6日 産経新聞
世間の目がウクライナ侵略戦争に、片や国会議員の関心が参院選に集中する中、法務省で家族をバラバラにする法改正が進んでいる。法制審議会(法相の諮問機関)の家族法制部会(以下法制審)がこの夏にまとめる予定の「父母の離婚に伴う子の養育の在り方」に関する中間試案のことである。
法制審には、認定NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子理事長らをはじめ、いわゆる人権派の人物が名を連ね、シングルマザーの立場に肩入れするあまり、一方の親を排除して子供の独占を促進するかのような議論がなされていた。
家族の在り方を変える法改正を一方的な意見に基づいて進めることは社会の基盤である家族の形をゆがめるものだ。私は昨年8月20日、上川陽子法相(当時)を訪ね、幅広い考え方を基に家族法制を定めるよう要望した。上川氏は「ご心配なく」と、断固とした自負を見せた。
※以下、紙面を参照ください。
離婚後も「共同監護を」民間団体が独自試案とりまとめ
出典:令和4年5月31日 産経新聞
法務省法制審議会家族法制部会が今夏にも発表する見込みの共同親権に関する中間試案を巡り、国内外の研究者や弁護士らでつくる民間団体が31日、「法制審の案は、婚姻中の家族の在り方まで変更する恐れがある」として、独自に取りまとめた中間試案を自民党の高市早苗政調会長に提出した。
団体側は、法制審の部会が発表する試案と団体側の試案を与党内で比較・審査した上で、欧米諸国や韓国、台湾などが採用している離婚後の「共同親権・共同監護」制度を創設するよう求めている。
試案の提出後、東京都内で会見した部会長の北村晴男弁護士は、法制審で議論されている、離婚後に一方の親のみを子供の監護者とする案について「国際的に批判されている、一方の親による子供の連れ去りを追認するものだ」と批判。「今も子供の成長を見守れない親がたくさんいる。その思いに応える制度設計をすべきだ」と訴えた。
髙橋史朗68 – 国連が勧告した日本の「実子連れ去り」家族の絆を取り戻す法改正の緊急課題
出典:令和4年5月19日 モラロジー道徳教育財団
髙橋史朗68 – 国連が勧告した日本の「実子連れ去り」家族の絆を取り戻す法改正の緊急課題
髙橋史朗 モラロジー道徳教育財団 道徳科学研究所教授
●欧州議会本会議対日非難決議「日本は子供の拉致国家」
櫻井よしこ「『家族』壊す保守政治家」(産経新聞令和3年7月6日付)によれば、毎年15万から16万人の子供が片方の親に連れ去られたり、片方の親から切り離される悲劇が起きているという。令和2年7月、欧州本会議は「日本は子供の拉致国家」であるとして、次のような日本における子供の連れ去りに関する非難決議を圧倒的多数で可決した。
「日本が子供の連れ去り案件に対し国際規約を遵守していないと遺憾を示すとともに、ハーグ条約の下で子供の送還が効果的に執行されるように国内法制度を改正するよう促す。……日本当局に対し、共同親権の可能性に向けた国内法令改正を促す」
父親も育児に積極的に参画し共同して監護する「家庭における男女共同参画」が推進されている中で、離婚という夫婦間の事情で親権(母親が9割以上取得している)を一方の親から奪い、一方の親を子育てから排除する社会制度や慣行は、男女のどちらか一方を不利にする状況をもたらし、男女共同参画の趣旨に反する。
また、養育費の義務化のみをことさらに主張して「共同養育」を軽視し、共同親権に反対する主張を一部の女性団体などがしているが、これは「男性は仕事だけしてお金だけ出せばよい」という、男女共同参画の理念に反する差別意識が背景にある。
このような歪んだ「逆差別」意識を解消していく必要がある。男性をATMのように扱う主張は明らかな人権侵害であり、このような考え方が男性差別であるという認識を社会に広く浸透させる必要があろう。
日本大学の先崎彰容教授は、「リベラルVS保守の立場を超えて、あまりにも単純な男女観、父母観から抜け出さねばならない」「男女平等とは何か」「家族とは何か」こそが問われていると次のように訴えているが、核心を突いた指摘といえる。
第一に、子供たちは母親を愛するのと同様に、父親を愛する権利をもっている。ところが、私たちは母親が女性というだけの理由で、養育するのを「常識」にしている。だがこれは究極の男女不平等ではないか。
また、男女の機会均等や不平等をめぐる議論は、圧倒的に「女性の権利が奪われている」という図式でなされる。それが逆転した男女差別が、この「単独親権」なのである。夫=男性=親権不適格者という「図式」だけでは解決が不可能になったのだ。リベラルな立場の人たちは究極の男女平等を追求するために、ぜひとも父母双方に子供と交流する機会を!と訴えてほしい。
第二に、夫が男というだけで養育の権利を奪われ、「家族」が解体してしまうことが問題である。家庭裁判所の現場でも、未だに「単独親権」、つまり母親の権利だけが重視されている。裁判官までもが女性=親権を持つべきだという男女観、無意識の「常識」に取り込まれている。
(産経新聞、令和元年9月16日付「正論」、「司法は『家族』を取り戻せるか」)
●左派団体に不都合な国連勧告を無視
「こども基本法」が浮上した背景には、過去5回、国連の児童の権利委員会(CRC)から日本政府に出された国連勧告がある。日本の左派NGOや日教組、日本弁護士連合会などが強調している国連勧告の中に、彼らにとって都合の悪い勧告が含まれている。児童相談所を中心とした「社会的養護」利権にかかわる問題である。
まず、この問題に関する2019年3月の国連勧告(日本の第4、5回合併定期報告書に関する総括所見)を抜粋しよう。
<家族環境>
「家族を支援し、強化すること」「子供の遺棄および施設措置を予防する」「親との個人的関係および直接の交流を維持する子供の権利が定期的に行使できることを保障する」
<家庭環境を奪われた子供たち>
⑴ 多数の子供たちが家族から引きはがされているとの報告があり、その引きはがしは司法令状のないままですることができ、しかも児童相談所に最大2ヶ月収容されることになること
⑵ 多数の子供たちが、不適切な水準にあり、児童虐待の事案が報告されており、しかも外部による監督と評価の機構がない施設に依然として収容されていること
⑶ 児童相談所がより多くの児童を受け入れることに対する強力な金銭的インセンティブを有する疑惑があること
⑷ 施設措置された子供たちが、その生みの親との接触を維持する権利をはく奪されていること(以下、略)
<子供の代替的養護に関する指針(国連総会決議)に対する強い要求>
⑴ 子供が家族から引きはがされるべきか否かの決定に際して、義務的司法審査を導入し、子供の引きはがしについて明確な基準を設定し、そして子供たちを親から引き離すのは、それを保護するため必要で子供の最善の利益にかなっている時に、子供とその親を聴聞したあと、最後の手段としてのみなされるのを保障すること
⑵ 子供の速やかな脱施設化および里親機関の設置を保障すること
⑶ 児童相談所において子供たちを一時保護するやり方を廃止すること(以下、略)
このような国連勧告が出された背景には、「児童被害を撲滅する会」など、児童相談所に家族を破壊された被害団体が国連の同委員会に2回提出したレポートが影響を与えたものと思われる。左派団体は国連勧告を自分たちの主張を正当化するために利用し、このような児童相談所の家族破壊に関する国連児童の権利委員会の事実認定と勧告が出ると、児童相談所の拡大・強化を支持する日教組や日弁連などは、従来の国連に対する態度を、手のひらを返したように無視する戦術を展開している。
児童の権利条約第18条には、「締約国は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために最善の努力を払う。父母又は場合により法廷保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有する」と明記されている。
●家族破壊による「子供の商品化」
児童相談所は、軽微な冤罪「虐待」事案を口実に家族から切り離した子供たちを、児童養護施設などの「社会的養護」施設に流し込むが、虐待死のような凶悪事案は一向に根絶されない。児童養護施設に強制入所された子供たちには、児童虐待防止法第12条によって面会禁止処分が加えられることもあり、子供は家族から断絶され「人工孤児」となる。
これにより、社会的養護を提供する児童養護施設などの利益集団が、家族から切り離された子供たちを使って経済的利益をむさぼっているのである。一方、子供たちは、児童養護施設職員による性的暴行に晒されている。「子供の最善の利益」の保障が求められている児童養護施設が利権のとりことなって、家族破壊による「子供の商品化」に拍車がかかっているのである。
もともと、児童福祉法の下で利権化した児童養護施設の業界は、戦争孤児が成人した後、空きベッドを埋めるため「子供よこせ」運動を展開していた。児童相談所はもともと敗戦直後に戦争孤児をケアするためにできた行政機関で、戦争孤児が成人するとともにその本来の機能を失った。しかし、その後も存続し、経済の高度成長期には不登校児など細々と扱っていたが、1980年代冒頭の臨調行革の中でリストラの嵐に翻弄された。
そこで、厚生省が「児童虐待」に着目し、これを児童相談所に担当させることにして、息を吹き返した。戦争孤児時代の児童福祉法第33条をそのまま使い、児童の権利条約第9条1項には以下のように書かれているにもかかわらず、この条項に違反して、軽微な冤罪の「虐待」事案で、家族から子供を引きはがし拉致を強行し、これによって全国で家族破壊が広がっている。
「締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用のある法律及び手続に従いその分離が児童の最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りではない。このような決定は、父母が児童を虐待し若しくは放置する場合又は父母が別居しており児童の居住地を決定しなければならない場合のような特定の場合において必要となることがある」
●国連も指摘した「拉致ノルマ」という「社会的養護」利権
児童相談所の「一時保護所」では、子供たちを学校に通わせず、性的暴行、向精神薬投与など数々の人権侵害が横行し、そのため国連児童の権利委員会から前述したように閉鎖勧告が出されたのである。児童相談所の年間予算には「一時保護見込み数」(児相被害者は「拉致ノルマ」と呼んでいる)が組み込まれており、予算額を達成できるだけの数の児童を家族から引き離す経済的インセンティブ(人々の意思決定や行動を変化させるような要因)を持つことは国連児童権利委員会も指摘し、厚労省の専門官も同委員会の答弁で認めている。
児童相談所に「拉致」された後、多くの場合、子供たちは児童養護施設に送り込まれ、家族破壊が長期化し、子供が「家に帰りたい」と訴えても帰さない。その意味で、児童相談所は「社会的養護」利権への「取児口」(水岡不二雄・南出喜久治『児相利権:「子ども虐待防止」の名でなされる児童相談所の人権蹂躙と国民統制』八翔社、参照)の機能を果たしている。
それ故に、水岡不二雄一橋大名誉教授は、児童相談所は増設ではなく廃止し、刑法犯罪に類する凶悪虐待事案は警察に移管すべきだと言う。児童相談所から「一時保護」の権限を奪い、純粋な育児支援機関に衣替えしないと、子育てをする家族は、わが子が奪われるのが怖くて行政の子育てサービスを利用できなくなると水岡名誉教授は警告する。
数値比較で日本の「社会的養護」が遅れていると批判する人々は、日本の制度自体が著しく国際人権規範から立ち遅れている現実を決して見ようとはしない。この現実を厳しく批判した国連勧告を無視する背景には「社会的養護」利権への忖度があることは明白である。
●「懲戒権」削除の民法改正と「教育虐待」の浸透が教育荒廃に拍車をかける
自民党の24条改憲案には、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される」と明記されており、高市早苗政調会長が構想する「家族基本法」の制定こそ喫緊の課題といえる。実親養育中心主義を明確に規定し、児童相談所が家族に介入し、子供を連れ去り「親子の絆」を蹂躙している現状を改革しなければならない。
1月5日の新聞報道によれば、「親が子を戒めることを認める民法の『懲戒権』の規定の見直しを議論する法務大臣の諮問機関である法制審議会の担当部会は、同規定を削除し、体罰の禁止を明示する規定を盛り込む方針を固めた」という。この民法改正案は通常国会に提出され成立する見通しであるが、これによって親が子供をしつけることの法的根拠がなくなることになる。これまで民法の「懲戒権」は、児童相談所による野放図な子供の拉致や家族破壊の歯止めとして機能してきたが、「懲戒権」がなくなれば、少しでも子供に厳しいことを言うと、直ちに家族が切り離されて児童相談所に連れて行かれ、さらに児童養護施設に送り込まれてしまう現実的危険が生じる。
親による過剰な責や受験圧力などは「心理的虐待」と見做され、2020年に警察が児童虐待の疑いで児童相談所に通告した子供約1万千人のうち、約7万8千人を「心理的虐待」が占めている。こども庁・子ども基本法論議をリードしてきた早稲田大学の喜多明人名誉教授は、こうした家庭における「心理的虐待」と学校における精神的暴力を一つのつながりのある事象と捉え、「エデュケーショナル(教育的)ハラスメント」(略称・エデュハラ)として捉える新たな視点を提唱している。
こうした「教育虐待」という新たな視点から家庭と学校における指導や躾る権利(親権)に歯止めをかけ、子供の意見を尊重するという大義名分によって「反差別的取り扱い」として、法的措置を含めた対立を持ち込もうとしているのである。「子供の最善の利益」の名の下に、児童の権利条約が認めている父母の教育権や養育責任が否定されれば、教育荒廃にますます拍車がかかることは火を見るより明らかである。
最後に、5月17日の参議院法務委員会で嘉田由紀子議員(元滋賀県知事)が「離婚後の子供の養育の在り方」に関する法制審議会家族法部会が今夏に提出予定の中間試案は「親子関係を根底から覆す恐れがある」として、⑴性別による役割分担を固定化し、男女共同参画という時代のニーズに逆行、⑵EU議会の対日非難決議に見られるように国際的潮流に逆行、⑶児童の権利条約9条違反、⑷憲法第24条違反だと批判した。私も同趣旨の同試案の懸念事項を4月26日に提出しているが、紙面が尽きたので、これについては稿を改めたい。
(令和4年5月19日)
長谷川京子 離婚後に変わった2人の子どもの育児スタイル「シェアしていくっていう形で」
出典:令和4年5月18日 スポニチ
長谷川京子 離婚後に変わった2人の子どもの育児スタイル「シェアしていくっていう形で
女優の長谷川京子(43)が17日放送のフジテレビ系「セブンルール」(火曜後11・00)に出演。離婚後の2人の子どもの育児について赤裸々に語った。
長谷川は2008年、30歳の時にロックバンド「ポルノグラフィティ」のギタリスト、新藤晴一と結婚し、12歳の長男と9歳の長女をもうけるも、昨年10月、新藤と離婚。今年2月には23年間所属したレプロエンタテインメントとのマネジメント契約を終了し、フリーで活動している。
番組では、独立後の2カ月半に密着。持ち歩くかばんからはなぜかテレビのリモコンが。「子どもが家にいるので、無制限でテレビを見てしまうので、子どもが自発的にテレビを見ずに宿題をやるのがゴールなんですよ。子ども同士のケンカみたいなところで、例えば引き出しの棚に隠していっても、絶対に見つけるから、持っていくしかないですよね」と母の顔をのぞかせた。
これまでどんなに忙しくても大切にしてきた子どもたちとの時間。それも離婚で変わったそうで「パパとママで育てていきたいという意味では、1週間の中で(育児を)シェアしていくっていう形で今はやっています」と離婚後の育児スタイルを告白。「これも子どもがどんどん大きくなっていくので、親の言いなりにはもうならないから、“こうしたい”“ああしたい”っていう提案があったら、聞いていきたいと思う」とも明かした。
別居母親 事例3 引き離しの背後に義母がいる
出典:令和4年5月16日 note
上篠まゆみ
別居母親や親子の引き離しの取材をしていて感じるのは、配偶者から子どもを引き離す人の背後に、ほぼ必ず義母の存在があるということだ。とくに夫の場合、夫本人というより義母が扇動していることが多いような気がする。そして、子育てを取り仕切る。
家庭のなかで「母」という立場は、ある種の権力だ。その権力をもう一度、取り戻したいのか。息子の子ども(孫)のうえに母として君臨したいのか。
実際、取材のなかで息子とその子ども(孫)を抱え込んだ義母が、自分のことを「ママ」と呼ばせているという話も聞いたことがある。
マサコさんのケースも、義母が大きな役回りをつとめている。
別居に夫も了承したのに…
マサコさん(仮名・46歳)は、13歳の息子の母親だ。夫と別居しひとり暮らしを始めて6年、子どもは父親の元にいる。子どもの世話は、同居の義母がしている。
マサコさんが望んだ形ではない。マサコさんは、子どもと一緒に暮らしたかった。しかし、夫と義母にそれを阻止された。
夫と義母、子どもが住んでいる家と土地は、マサコさんも半分の名義を持っている。にもかかわらず、出入りを禁止されており、子どもとも月1回4時間と決められた枠の中でしか会えないでいる。
マサコさんは看護師で、夫は薬品会社の営業マン。友だちを通して知り合い、結婚した。共働きをしながら出産。慌ただしくも充実した日々だった。
家を建てるときに、ひとり暮らしをしていた義母を引き取り、同居を始めた。このあたりから、夫婦の歯車が狂い始めた。
「家庭は夫婦2人で築いていくものなのに、夫は常に義母ありきでものを言う。共働きだから家事も育児も2人で分担したいのに、私が夫に頼んだことを夫は義母に丸投げしてしまう。それは違うんじゃないかな、ということが増えてきて。しまいには、家の中で大事なことも私抜きで、夫と義母が話をして決めるようになってしまいました」
マサコさんも気が弱いほうではないから、はっきりと夫に改善を求めた。「あなたは誰と生活していきたいの」。しかし、夫も頑固で、「態度を変える気はない」と言う。
「このまま生活していくのはしんどいなと思い、私は別居を提案したんです。夫も了承したので、実際にアパートの部屋を借り、子どもを連れて出ていきました。子どもが学校を変わりたくないと言うので同じ校区内、住んでいた家から10分足らずのところ。夫婦仲と親子関係は別物ですから、別居をしても子どもと父親の関係を切るつもりはありませんでした」
引っ越しは、子どもの学校の夏休み中にした。当時、子どもは7歳。マサコさんは看護師という専門職で、十分な収入を得ている。この先、離婚をして母子2人暮らしになっても、充分に暮らしていけると考えていた。
ところが。
別居開始からわずか2日後、夫はマサコさんに無断で、子どもを学童から連れ帰ってしまった。母子2人暮らしはここで終わった。
義母が子どもを家の中に軟禁
「私が子どもを連れて家を出ていくとき、夫はごくふつうに『じゃあ!』と話していたので、まさか子どもを連れて行ってしまうなんて思いもしませんでした」
夫は子どもを義母に預け、義母は親戚の家に逃げ込み、マサコさんが手出しできないようにした。
子どもといきなり引き離されて、マサコさんはどうしたらいいかまったく分からなかった。
ただ、相手方が『弁護士!裁判所!』としか言わないので困り果て、何件かの弁護士事務所に相談したが、「連れ去られ案件は勝てる見込みがないから難しい」と言われ、なかなか引き受け手が見つからない。焦燥感に駆られて過ごした。
「夏休みが終わるころには家に戻ってきましたが、一日中、義母が子どもを家の中に軟禁して一歩も家から出さないんです。子どもに会いたくて家に行ったら、義母が『助けてーっ! ママに殺されるー!』と叫び、窓に近寄ってきた子どもを2階に追い立てました。子どもは耳を塞いでいました。更に、警察まで呼び、警察には、『私は関係ない!』と叫ぶ始末。呼ばれた警察もただ立っているだけの、家と土地の所有者である私に、何も出来ず…の膠着状態…」
想像するだけでやりきれない光景である。
以降、マサコさんは、子どもの気持ちを考え、家に近づかなくなった。
子どもに会わせないのは復讐?
その後、ようやく引き受けてくれる弁護士が見つかり、子どもの監護者指定と引渡しを求めて家庭裁判所に調停を申し立てた。相手も弁護士を立てて応戦してきた。が、そもそも話し合う気がない夫との調停は、2年ほどかかったが、不成立に終わってしまう。
「夫は、私が頭がおかしくなって家を出ていった、精神科に行って病気を治したら話を聞いてやる、と言うんです。もともと自分のテリトリー内にいる人は可愛がるけど、それ以外の人は徹底的に排除する気質のある人でした。自分の言うことを聞かず家を出ていった私は、夫にとって敵なんでしょうね。私から子どもを取り上げることで復讐をしているつもりなんだと思いますし、自分は正しいので、やって当たり前なのだと信じているのだと思います…」
マサコさんは、とにかく子どもに会いたかった。それまで一緒に暮らしていたのにいきなり会えなくなって、自分も辛いが、子どもはどんな思いだろう。切なさに叫び出しそうになった。それでも、いつか子どもを引き取って一緒に暮らせる日が来るかもしれないと思うと、仕事は辞められない。
精神的にズタズタな状態で仕事に行くのは、過酷ではあるが、逆に救いでもあった。
「仕事に集中している間は、子どもと会えない苦しさを忘れていられました」
マサコさんが子どもに会わせてほしいと頼んでも、夫は無視。面会交流調停を申し立てたが、のらりくらりと交わされるばかり。その間にも、子どもと会えない時間が積み重なっていく。
マサコさんにできるのは、学校や保育園の行事にこまめに参加して、子どもの顔を見ることだけだった。子どもは困惑した顔を見せた。
「夫や義母が、ママが来ても無視するようにと言っているのだな、と思いました」
4年後にようやく月1回の面会が可能に
4年もかかってようやく高等裁判所の判断がつき、マサコさんは月1回4時間、子どもと会えることになった。あまりにわずかな時間だが、会えないよりはずっといい。ちなみに離婚はしていない。
「2年半の間、学校行事のほかは家庭裁判所での試行面会をしたり、弁護士2名が付き添っての面会交流だったり…。だから、誰も第三者がいない場所で子どもと会うのは本当に久しぶりでした。どうなるかとドキドキしていたら、子どもは来るなり弾丸トーク。『ママ、あれがね』『ママ、これがね』って。私を好きで、私を信頼している、私の子どもが変わらずそこにいました」
面会交流をめぐる調停や裁判で、夫が出してくる書面には「子どもは母親に会いたくないと言っている」などと書かれていた。別居するまでの親子関係は良好だったから、そんなはずはないと思っても、やはり凹むし、深く傷付く…。
「子どもの気持ちがわからなくて疑心暗鬼になってしまい、正直、子どもを精神的に手放したら楽になるのかなと思ったこともありました。でも、子どもは私を信じてくれていた。これはもう、子どもとの関係を諦めずに頑張るしかないと思っています」
離婚後の共同親権、超党派議連が法相に要望 「親として当然の責務」
出典:令和4年4月22日 毎日新聞
離婚後の共同親権、超党派議連が法相に要望 「親として当然の責務」
父母の離婚後の子の養育を巡り、超党派の「共同養育支援議員連盟」(会長・柴山昌彦元文部科学相)は22日、離婚後の共同親権を認める制度の導入を求める提言書を古川禎久法相に提出した。
現行民法は、父母が離婚した場合、いずれかが親権者となる「単独親権」を採用する。法制審議会(法相の諮問機関)は現在、父母の離婚に伴う子の養育や親権のあり方について見直しの議論をしている。
議連は提言で、離婚後も父母双方が子の養育に関わって責任を果たすことは「親としての当然の責務で、国際的潮流だ」と指摘。離婚の原因にDV(家庭内暴力)があるような例外的な場合を除いて、離婚後も共同親権・共同養育を認める検討を進めるよう訴えている。
また、父母が離婚した子の健全な成長のためには、確実な養育費の支払いと安全・安心な親子交流の実施が「車の両輪のように不可欠」とし、両者のいずれかを優先するのではなく、足並みをそろえて検討を進めることも求めた。
古川法相は「何よりも子の利益の観点が一番大事。政府全体で取り組んでいく大きな課題だ」と述べた。【山本将克】
「共同親権の導入検討を」超党派議連が提言、連れ去り助言の弁護士敗訴判決も追い風
出典:令和4年4月14日 SAKISIRU
「共同親権の導入検討を」超党派議連が提言、連れ去り助言の弁護士敗訴判決も追い風
マスコミ各社黙殺の異様、当事者ネット発信活発化
SAKISIRU編集部
夫婦間の対立や離婚に際し、片方の親の同意なしに子どもの連れ去りが相次いでいる問題は、捜査機関や司法の対応に変化が生まれ、政治レベルでも親権制度の見直しに向けた機運が着実に強まっている。
超党派の国会議員有志でつくる「共同養育支援議員連盟」は12日、親子交流の推進や共同親権の導入などを求める緊急提言をまとめた。近く政府に提出する。
■離婚後の単独親権見直し提言
親権制度のあり方を巡っては、法務省の諮問機関、法制審議会の家族法制部会が昨年3月から検討を進めており、中間取りまとめが近く行われる見通しだ。議連も同部会と並行し、これまでに月1回のペースで総会を開催。今回の緊急提言はこのスケジュールを見越したもので、法制審に対しては「離婚後の共同養育が当然であることの認識の下、養育費の支払いと親子交流のいずれを優先するのではなく、両者足並みを揃えて少しでも早く検討を進め、 答申すること」と要望した。
さらに、3月下旬には親権のある男性が、子どもを連れ去った元妻を訴えた裁判で「異例の判決」が出たことにも言及。この民事訴訟では、元妻とともに訴えられた代理人弁護士に対しても違法な連れ出しを教唆したとして東京地裁が損害賠償を命じる判決が出ている。
これを受け、提言では以下のように共同親権制導入に向けた検討も要請した。
代理人弁護士の不法行為責任が認められた地裁判決も出るに至っていることも踏まえるならば、海外の制度を調査し、日本の諸制度と比較検討した上で、離婚後に単独親権制度しか認められない現行制度を早急に見直し、DV などの例外的な事象を除き、離婚後においても共同親権が認められる制度の導入についての検討を進めること
このほか「親子交流支援の実態調査や現行の支援事業の抜本的拡充に加え、親子交流を支援する民間の団体を所管する官庁を明確に定め、民間の親子交流支援機関の展開・充実に早急に取り組むこと」も必要だと主張している。
議連の2月の総会では、警察庁の担当者が同意のない片親の連れ去りについて「正当な理由のない限り未成年者略取罪に当たる」と明言したことが注目され(関連記事)、その後、正式な通達が全国の警察本部に周知された。
幹事長を務める牧原秀樹衆院議員は12日夜のツイッターで「新たな流れができつつあります」と手応えを述べた。
共同養育議員連盟にて決議書を採択。審議会における親子交流と養育費の並行議論の要請、共同親権導入の検討、親子交流促進支援が柱です。
親子断絶を唆した弁護士にも損害賠償命令が出た判決、未成年者略取誘拐罪に該当しうる警察の通知発出など新たな流れができつつあります。
維新の石井苗子参院議員は総会後、DVなどの「特別な配慮が必要な別離にも十二分な配慮を」という但し書きをしながらも、「悲しむ親子を減らすためにも、共同養育へと舵を切ることに躊躇してはいけません」と強調した。
共同親権に関する議連へ参加。
現在日本では単独親権しか認められておらず、離婚で引き裂かれる親子が多くいます。
悲しむ親子を減らすためにも、共同養育へと舵を切ることに躊躇してはいけません。
ただしDVで苦しむなど、特別な配慮が必要な別離にも十二分な配慮を。
選択的共同養育へ向けて。
議連会長の柴山昌彦元文科相は連れ去り被害者からの相談が続出し、心が痛むと綴った。ただ「政府への要請や立法が国会議員の仕事なので、この欄の記載などをご参考に是非弁護士に相談して下さい」と投稿し、当面の対策に役立ててもらう意向を示した。
(補足)多くの方から連日「子供が連れ去られましたがどうしたらいいでしょうか?」という個別相談を山ほどいただいています。深刻な案件ばかりで心が痛みますが、政府への要請や立法が国会議員の仕事なので、この欄の記載などをご参考に是非弁護士に相談して下さい。
■圧力にビビる報道、当事者はネットで抗戦
「面会交流調停をやっても、相手側が虚偽の主張であっても、子どもとは会えない」。数年前に2歳と5歳の子どもを元妻に連れ去られたという男性は現在の裁判所の対応や制度面の限界に憤る。他方、この問題が新聞やテレビ局などの記者クラブメディアでほとんど報道されず、世間の関心が高まらないために事態が進展しないことにも不信感を募らせている。
実際、昨年もある大手メディアの言論サイトで連れ去り被害者側のインタビュー記事が掲載直後に削除された「事件」があったが、事情通によれば編集部に対し、猛烈な圧力がかかったと言われる。
それでも当事者はゲリラ的にSNSで積極的に想いを伝え続けている。柴山氏や牧原氏らのツイッター投稿に対し、連れ去り被害者と見られるアカウントから取り組みへの謝意とともに「将来の日本を背負うこどもの為に1日でも早く助けて下さい」などの要望が相次いだ。彼らは時に共同親権反対派の左派系アカウントとの論戦も辞さない。
日本が「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」(ハーグ条約)に批准して10年近く。それでも単独親権制度を継続し、同意なき連れ去りが止まないことから、EU議会が日本に対し「子の連れ去りに関する国際的なルールを遵守していないように見受けられる」と決議するなど国際的な圧力もかかっている。反対派は、法制審の議論での巻き返しを図っているが、参院選に向けて当事者の尊厳をかけた政治闘争はさらに続きそうだ。
「子供とって最適な形で」日本でも“共同親権”導入の是非検討…単独親権との違いと課題
出典:令和3年11月9日 FNNプライムオンライン
「子供とって最適な形で」日本でも“共同親権”導入の是非検討…単独親権との違いと課題
現在日本においても導入の是非が検討されている共同親権。
それは「子に対する親権を父母の双方が持っていること」又は「父母が共同し、合意に基づいて子に対し親権を行うこと」を指します。
一方、現在の日本で認められている単独親権は、離婚の際に父母のどちらかに親権を与える制度(民法819条1項)です。
日本の民法は時代の波に対応できていない
すでに共同親権制度は先進国のほとんどで採用されていますが、日本では、今のところ、離婚すると単独親権の一択しかなく、熾烈な親権争いが繰り広げられる原因となっています。
現在の民法はそもそも1896年(明治29年)に制定されたものであり、何度か改正はされたものの、いまだ女性が家事や育児をやるのは当然だという旧態依然の男女の役割分担の意識が強く反映されたままです。
つまり、少子化や共働き世帯の増加、父親の育児参加などの子供を取り巻く状況の変化や時代の波に対応しきれていないのです。
いまや、時代の風潮にあった法律の改正が必要であることは明らかであり、その大きな議題として、共同親権制度への移行が議論されているのです。
世界で認められている「共同親権制度」とは
ここで、共同親権について世界の情勢を見てみましょう。
法務省の調査によると、日本以外ではインド及びトルコが単独親権制度を採用していますが、その他多くの先進国は離婚後の共同親権も認めています。つまり先進国では、単独親権制度を採用しているのは日本くらいなのです。
運用は国ごとに差異があるものの、裁判所の判断等がない限り、原則として共同親権とする国(ドイツ、オーストラリア等)、父母の協議により単独親権とすることもできる国(カナダのブリティッシュコロンビア州、スペイン等)、父母のいずれもがそれぞれの親権を単独で行使できる国(イギリスのイングランド及びウェールズ、南アフリカ等)があります。
日本で繰り広げられる離婚時の「親権」をめぐる大変さ
単独親権を採用する日本では、夫と妻がともに親権を希望した場合は容易ではない道のりが待っています。
まず、日本では離婚時には必ず子供の親権を父母のどちらかに決めないと離婚することができません。したがって、父と母がともに親権を希望すると、“親権争い”をしなければなりません。
父母間の協議で話がつかない場合、裁判所に調停を申し立てることになりますが、調停も所詮は話し合いの場です。決着がつかない場合には、最終的に離婚訴訟までもつれこむことになります。お互いに相手が「親権者にふさわしくない」と言った激しい攻撃や相手からの攻撃に対する防御を繰り返した挙句、裁判所の判決により親権者が指定されることになります。
家庭裁判所の調査官が子供の養育環境を調査するため家庭訪問をしたり、関係各所に話を聞いたり、子供の意向を確認したりすることも必要となってきます。本格的に争った場合、1年以上の時間がかかることも珍しいことではありません。もちろん、弁護士を依頼した場合は少なからず弁護士費用もかかることになります。
また、判決が出て親権者がどちらかに決まったとしても、すべてがうまくいくわけではありません。訴訟で攻撃や防御を繰り返したことで、父母間の感情的な対立は非常に悪化しています。
親権を取った側は、子供の親権を争った相手には子供と面会交流させたくないと思いがちですし、子供と面会交流をさせてもらえない相手は、養育費なんて支払いたくないと思うことが多いです。
つまり、どちらが勝っても負けても、面会交流を実施してもらえなかったり、養育費を支払ってもらえないなど、お互いに禍根を残すことになってしまうのです。加えて、板挟みになった子供にも大きな精神的な負担がかかることは言うまでもありません。
共同親権の課題
2011年(平成23年)に民法が改正された際に、「親権は子供の利益のためのもの」であることが確認されました。
日本の法律で共同親権が採用された場合は、非親権者が子供の個人情報すら教えてもらえないといった現在の状況は大幅に改善されるでしょうし、父母ともに子供に対する責任感が生じてきやすいと思われます。
ただ、共同親権にも課題がないわけではありません。
おおよそ次の問題があるとされています。
1つ目は子供の教育方針です。父母の対立は根本的に緩和されず残存しています。そもそも離婚するくらいですからお互い相入れない意見を持っている可能性が高いため、子供をめぐる意思決定に時間がかかると思われます。特に、子供の教育方針について意見が対立した場合など、意思決定が遅れることで子供への悪影響も懸念されます。
2つ目はDVや児童虐待です。DVや児童虐待等の問題があった配偶者の場合、共同親権では離婚しても縁が切れず、関係が継続することになります。DVや児童虐待の問題の解決は難しく、共同親権制度を採用することで被害の継続・拡大が危惧されます。
3つ目は負担が子供にもかかることです。父母の共同親権のもと、子供が頻繁に父母の家を行き来するようになると、子供の負担が大きくなります。子供が父母の家のどちらが自分の家かわからなくなり、精神的な安心感を得られなくなることもあるでしょう。また父母間の家の移動に時間がかかるなど、子供の時間を奪うことにもなり、体力的にも精神的にも疲弊することが懸念されます。
今後、こうした課題を解決するためには、「子供の利益」という観点から、個別具体的に対応策を議論すべきだと思われます。共同親権を導入するか否かという法改正の是非のみならず、共同親権を採用したとして、どのように運営していくのかを行政機関の対応も含めて慎重に議論する必要があるでしょう。
2021年(令和3年)2月には上川陽子法相(当時)が法制審議会に諮問をしており、「共同親権を含む家族法制の見直し」については法制審が議論を開始しています。
日本で共同親権制度を導入するのか、導入するとしてどのような形で施行するのかについては、日本の家族制度のあり方自体を大きく変えることになります。共同親権制度を採用するのであれば、子供とって最適な形で実施することが望まれます。
特に、離婚原因がDVや児童虐待などであった場合は、被害を受けていた側は二度と接点を持ちたくないと考えるのは当然のことです。離婚後も積極的に自分の子供に関わっていきたいと「共同親権」を望む声もありますが、今後日本において共同親権制度を導入する際には、共同親権者として明らかにふさわしくないと客観的に判断されるような親については例外規定を設けることも慎重に検討する必要があるものと考えます。
後藤千絵
京都生まれ。大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に入社するも、5年で退職。大手予備校での講師職を経て、30歳を過ぎてから法律の道に進むことを決意。派遣社員やアルバイトなどさまざまな職業に就きながら勉強を続け、2008年に弁護士になる。荒木法律事務所を経て、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所設立。離婚・DV・慰謝料・財産分与・親権・養育費・面会交流・相続問題など、家族の事案をもっとも得意とする。なかでも、離婚は女性を中心に、年間300件、のべ3,000人の相談に乗っている。
フェリーチェ法律事務所:https://felice-houritsu.jp/
DV不認定、面会指示も息子に会えず 小牧の男性「元妻が制度悪用」
出典:令和3年11月4日 中日新聞
DV不認定、面会指示も息子に会えず 小牧の男性「元妻が制度悪用」
記事PDF
ドメスティックバイオレンス(DV)被害者からの申請に基づき、元配偶者らへの住民票の写し交付などを自治体が制限できる「支援措置」。加害者が被害者を捜すのを防ぐ目的だが、裁判でDVが否定されても措置は解除されない。愛知県小牧市の自営業の男性(53)は、実の息子と十五年以上も会えておらず「制度が悪用されたらどうすることもできないのはおかしい」と訴える。 (水谷元海)
男性は二〇〇五年、職場で知り合った元妻と結婚した。しかし元妻は翌年、一歳になったばかりの息子を連れて突然姿を消し、間もなく、弁護士を通じて調停を申し立てた。理由には身に覚えのない「暴力」とあった。
息子の居場所を探ろうと、半年ほどしてから市役所に住民票の写しの交付を求めたが拒否された。「支援措置」で、住民基本台帳の閲覧が制限されていた。元妻が転居先の自治体に申請し、小牧市も情報共有して対応したとみられる。
〇九年、元妻が離婚を求めて裁判を起こしたが、判決は「被告(男性)に身体的暴力などの有責行為は認められない」と訴えを棄却。さらに、元妻の側に不貞行為を認め、元妻が慰謝料を払う形で一九年に離婚が成立した。
続きは記事を参照ください。
離婚後の「単独親権」規定 2審も憲法違反認めず 東京高裁
出典:令和3年10月28日 NHK
裁判で離婚が成立する際に、裁判所が父親か母親の一方を子どもの親権者と決める民法の規定が憲法違反かどうかが争われた裁判で、東京高等裁判所は憲法違反にはあたらないと判断し、親権を持てなかった父親の訴えを退けました。
離婚後に2人の子どもの親権を失った都内の50代の男性は、裁判で離婚が成立した場合に裁判所が父親か母親のどちらか一方を親権者と決める民法の「単独親権」の規定は法の下の平等などを定めた憲法に違反するとして国を訴えました。
28日の2審の判決で、東京高等裁判所の石井浩裁判長は、「規定は、子どもの世話や教育について適切に決められない事態を避けるために、裁判所がふさわしい方を親権者に指定するもので、子どもの利益を守るという立法目的から考えても合理的だ」と指摘しました。
そのうえで、「離婚後も両方の親が親権を持つ『共同親権』を認めるかどうかは国会の裁量に委ねる段階にとどまっていると言わざるを得ない」と述べ、いまの規定は憲法違反にはあたらないと判断し、1審に続いて男性の訴えを退けました。
親権のあり方など離婚後の子どもの養育をめぐっては法制審議会で法制度に関する議論が行われています。
米前駐日大使、日本の人質司法を批判 「ケリー被告を守る必要」
出典:令和3年10月21日 毎日新聞
米前駐日大使、日本の人質司法を批判 「ケリー被告を守る必要」
米国のハガティ上院議員(前駐日大使)が20日の上院外交委員会の公聴会で、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)に問われている日産自動車元代表取締役のグレッグ・ケリー被告について「弁護人は無罪を確信している。不当な扱いを受けるケリー氏を守る必要がある。懸念は日本の閣僚レベルにも伝えてきた」と訴える一幕があった。
ハガティ氏は、次期駐日大使に指名されたエマニュエル前シカゴ市長の公聴会で、刑事事件の容疑者や被告が長期間拘束されやすい日本の司法制度が「人質司法とも呼ばれ、時代遅れだ」と批判。日産前会長のカルロス・ゴーン被告が主導したとされる役員報酬の虚偽記載についても「仏ルノーとの統合への反対派によるクーデターだった」とのゴーン前会長側の主張を紹介し、「米国は日本への最大の投資国だ。米国の経営者たちが日本でのビジネスを再考し出すことを懸念している」と述べた。
ケリー元代表取締役の事件への対応を求められたエマニュエル氏は「既に調べ始めている。大使として承認されれば、最優先事項にする」と述べた。ハガティ氏は南部テネシー州選出で、ケリー元代表取締役もテネシーに居住していたという。
公聴会ではメネンデス外交委員長が、国境を越えた子の連れ去り防止を定めた「ハーグ条約」に関しても、日本の取り組みが不十分だと不満を表明した。エマニュエル氏は「条約は履行されるべきだ」と述べた。【ワシントン秋山信一】
更新 2023-08-27 (日) 15:08:41
a:152 t:2 y:0