民法819条(単独親権制度)改正を求め共同親権・共同監護制度の導入・ハーグ条約締結の推進と活動を行っています

「離別と共同養育」要点

「離別と共同養育」要点

善積教授の研究に長年接してきた当会の会員が、各章ごとにまとめた要点及び読み方を紹介します。
本を持っていることを前提とした説明のため、詳細は購読のうえ確認をお願いします。
「離別と共同養育」表紙

「離別と共同養育」紹介-1 はじめに・あとがき

シリーズで下記の本の紹介をしていきます。
ただし、本を持っていることを前提とした説明です。

離別と共同養育―スウェーデンの養育訴訟にみる「子どもの最善」
http://www.amazon.co.jp/gp/product/toc/4790715868/ref=dp_toc?ie=UTF8&n=465392

紹介-1
「はじめに」の4行目から日本を強く意識した内容であることが分かります。
最初の画像はその4行目から1ページの最後までです。
知識のない議員その他の人には、この部分だけまず見てもらってもいいと思います。
「ここは日本だから関係ない」と言われることへの対策にもなります。

なお、2ページの冒頭からハーグ条約について書かれていますが、今年の加盟に関することは出ていません。
「あとがき」の日付が2012年12月1日で、衆議院選挙より前に書かれたためです。

2つ目の画像は2ページの下の部分で、「子どもの最善」最優先の「親子法」の概要です。
この部分も知識のない議員その他の人に向いていると思います。

「はじめに」は6ページあり、各章の概要が紹介されています。
本書を読む場合、やはり最初に「はじめに」を全部読んでおくのがいいと思います。

「あとがき」は5ページあり、まえがきの次に読んでおくのがいいと思います。
その中で、3つ目の画像の部分が紹介用に使えると思います。

なお、3つ目の画像のすぐ上に、ペーパー離婚を断念された話が書かれています。

「離別と共同養育」紹介-2 資料編 訴訟事例ケースの概要

紹介-2

本書を読むとき、「はじめに」と「あとがき」の次に「資料編」を眺めておくのがいいと思うので、先に紹介します。
「あとがき」の後ろで合計59ページありますが、字も行間も小さいので大量のデータがあります。
(1行の字数と行数を数えて計算してみると、113ページ分に相当します。)

この資料編は、いわば「判例集」です。
たとえ日本の裁判所での調停・審判・訴訟でも、子どものためにどうするのがよいのか主張する材料に使えるもの(自分のケースに近いもの)を探すとよいと思います。

なお、画像は日本の裁判所ではありえない「交替居住」の判決のものです。
現状が「共同養育、交替居住」で、母が交替居住をやめて「母居所」にすることを訴え、判決は「交替居住」になった訴訟についてポイントが書かれています。

資料編の表の「ケース番号」は、本文では「No.○○○」という形で示されています。
本文を読んでいるとき、「No.○○○」の全体がどのようなものか知りたければ、資料編を見ればよいことになります。

「離別と共同養育」紹介-3 索引

本書を読むとき、「索引」も先に眺めておくのがいいと思うので、先に紹介します。

索引は3ページだけで、短時間で見れます。
そして大部分は意味の分かる言葉で、出ているページがすべて列挙されています。

日本人になじみのない言葉は「サムボ」くらいです。
これは最初9ページに出ていますが、法律婚ではない同棲のことです。
スウェーデンではサムボが法的にも認められ、サムボを経て法律婚に進むのが多いパターンとのことです。
この言葉だけ覚えておけば、本書はスムーズに読めると思います。

「離別と共同養育」紹介-4 第1章 スウェーデンの家族変容

本書を読むとき、「はじめに」と「あとがき」の次に「資料編」と「索引」を眺めて、あとは前から順に読んでいくのがいいと思います。

まず「第1章 スウェーデンの家族変容」です。

第1節 統計からみた家族の変化 8
第2節 異性カップルの共同生活 14
第3節 同性カップルの共同生活 18
第4節 パートナー関係解消後の養育 22

ここは訴訟ではないのですが、統計データで特に注目したいのは画像の表1-7です。
2004年に離婚・離別したカップルの養育権が翌年3月にどうなっているかを示しています。
見やすくするため年齢別・性別の部分はカットしました。
「サムボ」は法律婚ではない同棲のことです。

【転載】
スウェーデンでは共同養育が基本原則とされ、離別後も共同養育を保持するケースが多く、表1-7のように、法律婚カップルでは96.3%、サムボカップルでは90.4%が、離別後も共同養育権を持っている。

「離別と共同養育」紹介-5 第2章 養育規定と養育訴訟を扱う機関

紹介-5

「第2章 養育規定と養育訴訟を扱う機関」です。

第1節 親子法の変遷 28
第2節 養育権・居所・面会に関する養育規定 39
第3節 裁判所 46
第4節 社会福祉サービス機関としての家族法事務所 49

最初の画像は「親子法の年表」の一部ですが、日本と違って必要に応じて何度もいい方向に法改正が続いています。
共同養育が登場したのは40年も前です。

次の画像は「裁判のプロセス」の図ですが、裁判所とは別に「社会福祉サービス機関」(家族法事務所)があります。
そこには、わかりやすく言うと日本の調停委員や調査官の役割をする人がいて、日本よりずっといい中身で充実しています。
(日本では同じ建物の中で調停委員・調査官・裁判官が協力して引離しを推進するようになっていますたらーっ(汗))
なお、著者の善積教授の研究は主としてこの図の一番右下の「b.裁判官の判決」です。

「離別と共同養育」紹介-6 第3章 「子どもの最善」からみた養育裁判

紹介-6

「第3章 「子どもの最善」からみた養育裁判」です。

第1節 研究方法と事例ケースの特徴 65
第2節 「子どもの最善」1 ─ 養育権判決における判断 79
第3節 「子どもの最善」2 ─ 居所判決における判断 84
第4節 「子どもの最善」3 ─ 面会判決における判断 86
第5節 システム論およびジェンダー論からの考察 89

この章から、実際の裁判の記録の分析結果です。
スウェーデン人ではなく日本人によるという点がビックリです。)
中心は「事例ケース」と呼んでいる詳細な記録のあるケースで、全ケースの概要が巻末の資料編に出ています。

事例ケースは深刻な争いが多く、最初の画像の左側のようにたいてい弁護士を付けています。
表のデータから原告と被告を合わせて計算すると、代理人なしの本人訴訟はわずか9%です。

この章では養育権・居所・面会の3種類について、双方の主張・現状・判決・判決理由などで多くの数字の表があります。
全体を見渡せるものは2つ目の画像で、2ページにまたがった表が3つあります。

これらについて独断でひとことでまとめると、「いろいろなパターンがあり、変な偏りはない」と言えます。
「先に子どもを連れ去った親(多くは母)が勝つ」という整理で話が一瞬に終わってしまう日本とは様子が全く違います。

「離別と共同養育」紹介-7 第4章 「子どもの最善」と「ジェンダー公平性」からみたDVケースの扱い

紹介-7

「第4章 「子どもの最善」と「ジェンダー公平性」からみたDVケースの扱い」です。

第1節 研究目的と分析方法 92
第2節 養育訴訟でのDVの扱い 97
第3節 DVのリスク判断回避の言説 105

第4章の冒頭で日本の状況について画像のように説明されています。

DVケースの扱いは日本と全く異なります。

簡単に説明すると、
・妻が夫のDVを主張しても、夫がDVで起訴され有罪になっていない限り認められない。
・たとえ有罪判決があっても「過去の出来事」「一過性の出来事」と判断される場合は「養育者として不適任」とされない。
・DVの子どもへの悪影響があっても面会が必ず否定されるわけではなく、コンタクトパーソンを付ける。

詳細は本を参照してください。

DVケースのグラフ(「離別と共同養育」紹介-7の補足)

紹介-7 補足

「第4章 「子どもの最善」と「ジェンダー公平性」からみたDVケースの扱い」の94ページで説明されている数字をグラフ化しました。
%の数字は計算で出したもので、本に出ているわけではありません。

裁判官が判決を出した「事例ケース」全体から見て、
・DVの記述がないのは白い部分で61%
・DVの主張があるのは残りの色のある部分で39%
・DVで有罪になったのは左上の濃い色の部分で21%

グラフ化していませんが、シェルターへの入所があったのは
・「事例ケース」全体から見て8% (→DVで有罪の21%よりかなり少ない)
・DVの主張があるケースのうち22%

なお、事例ケースは話し合いで解決できなかったもので、日本で言えば次の2種類が該当と考えていいと思います。
・調停が不調で審判になった場合
・訴訟で和解できず判決になった場合

2つ目の画像は本書の数字ではなく私が参考のため作成したものですが、

国会議員の半分近くが女性であるスウェーデンでは
・妻が夫のDVを主張しても、夫がDVで起訴され有罪になっていない限り認められない。
・たとえ有罪判決があっても「過去の出来事」「一過性の出来事」と判断される場合は「養育者として不適任」とされない。
・DVの子どもへの悪影響があっても面会が必ず否定されるわけではなく、コンタクトパーソンを付ける。

ところが国会議員の大部分が男性である日本では
・妻がDVを主張すれば、まともな証拠がなくてもシェルター以降も「行方不明」にしてもらえる。
・妻がDVを主張すれば、まともな証拠がなくても裁判所で勝てる。
・妻がDVを主張すれば、まともな証拠がなくても子どもと父親は会えない場合が多い。

本当にひどい話です。

「離別と共同養育」紹介-8 第5章 養育訴訟における「子どもの意思」の尊重

紹介-8

「第5章 養育訴訟における「子どもの意思」の尊重」です。

第1節 養育規定における「子どもの最善」と「子どもの意思」 116
第2節 分析対象とする事例ケース 123
第3節 養育訴訟における「子どもの意思」の扱い事例 127
第4節 「子どもの意思」の扱いの特徴 152

第5章の冒頭で日本の状況について画像のように触れられています。

124ページからの表5-1は各ケースについて子どもの意思と判決内容の概要がまとめられるとともに、次の分類がされています。
◎ 判決での考慮あり
○ 子どもの意思と結果的に一致
△ 部分的に考慮
× 子どもの意思と反対の判決

この分類は「養育権」・「居所」・「面会」のそれぞれに付与されていて、たとえば養育権は○、面会は×というケースもあります。
すべての◎○△×の数の合計から見てそれぞれ何%かを求めてみると、◎56%、○28%、△13%、×3%です。

×の1件は養育権は○で面会は×というもので、表5-1によると、
子どもの年齢は9歳
主訴は「父から共同養育と面会」
養育権での子どもの意思は母単独で○
面会での子どもの意思は父との面会拒否で×
子どもの意思は「娘は共同養育を望まず、父との面会を拒否するが、その理由を父が厳しいという説明しかできず」
判決内容は「母単独養育維持、父母の争いに子を巻き込まないことを前提に、父との面会を許可」
面会についての詳しい説明は2つ目の画像です。

「離別と共同養育」紹介-9 第6章 「子どもの最善」をめぐる父母の攻防

紹介-9

「第6章 「子どもの最善」をめぐる父母の攻防」です。

第1節 分析方法と分析対象ケース 156
第2節 父母の主張のレトリック1 ─ 養育権の訴訟 157
第3節 父母の主張のレトリック2 ─ 居所の訴訟 165
第4節 父母の主張のレトリック3 ─ 面会の訴訟 168
第5節 裁判所における「子どもの最善」の判断の変動 174

画像はこの章の冒頭の部分です。
ここに書かれているように父親と母親の主張は非常に異なっています。

ところで、私の感想は、父親も母親もそれぞれ日本の場合と非常に似ています。
日本は先進国と(文化よりも)法制度が大きく異なるため「結果」が大きく異なるわけです。

面会に関しては2つ目の画像のような状況です。

「離別と共同養育」紹介-10 第7章 家族変容下の養育訴訟,そして日本の親権・監護法制

紹介-10

「第7章 家族変容下の養育訴訟,そして日本の親権・監護法制」です。

第1節 養育訴訟に映し出される家族変容 177
第2節 日本の親権・監護法制の現状と問題点 189
第3節 今後の改革の方向性 198

この章の第2節と第3節は合計14ページありますが、そのまま議員やマスコミへの詳しい説明用に使えると思います。
それぞれの目次を載せておきます。

第2節 日本の親権・監護法制の現状と問題点 189
 1 共同親権を婚姻内に限定-離婚後は単独親権 190
 2 面会交流の実現システムが不十分 193
 3 面会制限の理由にされる「子どもの福祉」の内実 194
 4 親権・面会に関する調査の不十分さ 196

第3節 今後の改革の方向性 198
 1 離婚後の共同親権・共同監護に向けた法改正 198
 2 面会交流を原則とする法改正と面会支援のシステム 199
 3 養育問題に関する調査機構の充実 199
 4 親教育・啓発活動 201

画像は、最後の「親教育・啓発活動」の一部分です。

「離別と共同養育」紹介-11 補章 スウェーデンの家族政策、注、引用・参考文献

紹介-11

補章 スウェーデンの家族政策
第1節 家族政策の定義 203
第2節 家族政策の歩み 206
第3節 スウェーデンの家族政策の特徴と評価 212
第4節 これからの親子関係 221
注 225
引用・参考文献 231

本書の紹介はこれが最終回で、今回は残りの部分ですが、ちょっと注目した部分を紹介しておきます。

まず、「注」は6ページだけなので先に読んでおいてもいいほどです。
第2章の(4)の注によると、離婚について、16歳未満の子どもがいる場合は夫婦の合意があっても6カ月間の考慮期間が設けられます。

引用・参考文献は外国語のものも多いのですが、親子ネットのものもあったりします。

「補章 スウェーデンの家族政策」では、画像の「離婚における慰謝料廃止」にびっくりしました。

これに限らず「補章 スウェーデンの家族政策」や「第1章 スウェーデンの家族変容」には親子引離しに直接の関係はないことでも興味を引かれる話がいろいろあるので、
時間に余裕があれば一通り読んでみるのがおすすめです。

2013-05-12 (日) 14:25:51
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