民法819条(単独親権制度)改正を求め共同親権・共同監護制度の導入・ハーグ条約締結の推進と活動を行っています

事例集(子虐待)

【事例1 単独親権制度の功罪】
『堺1歳虐待死「助けられなくてごめんな」…実父、後悔と決意』
再婚家庭での子ども虐待が増えています。平成22年5月4日に読売新聞に掲載された記事です。離婚により親権を失った実のお父さんが、前妻の同居人の虐待によりお子さんが亡くなったとの事実を突然知らされました。お父さんの無念さを私達はわが身のように感じています。日本は単独親権制度であり、親権を失った親は子どもの成長に関わることが極めて困難です。共同親権・共同養育制度は、非同居親がわが子の安全を確認できるセーフティネットとなります。

「助けられなくてごめんな」。堺市堺区で1歳6か月の岩本隆雅ちゃんが母親(21)の同居の男(23)に虐待され死亡した事件で、実父の岩本恭介さん(21)(大阪府羽曳野市)が読売新聞の取材に応じ、息子への思いを語った。血縁関係のない同居人による虐待事件が相次いでいることを悲しみ、「親には体を張って子供を守る責任がある」と自戒を込めて胸の内を明かした。
4月15日、大阪府松原市で営まれた仮通夜。恭介さんは、離婚から4か月ぶりに息子と向き合った。
隆雅ちゃんは前日早朝、母親の通報で病院に運ばれたが死亡した。死因は、腹部を押さえつけられ、内臓が損傷したことによる出血性ショック。府警は、同居人の古田島昂志容疑者を傷害容疑で逮捕し、傷害致死容疑に切り替えて捜査を進める。
恭介さんが仮通夜で対面した隆雅ちゃんは、会わない間に一回り小さくなっていた。おてこに青々としたあざが残っているのに気付き、「ごめん」と繰り返すことしかできなかった。
思い出は尽きない。母親が働き始めた昨夏以降、勤務先の自転車配送工場の帰りに保育園に迎えに行くのが恭介さんの日課になった。隆雅ちゃんは恭介さんを見つけると、はいはいをして近寄ってきて、柵につかまり抱っこをせがんだ。
野球好きの恭介さんに似たのか、ボール投げが大好きで、30分でも1時間でもボールを投げて遊んだ。恭介さん自身、慣れない子育てにいらつき、手を上げそうになったこともあったが、愛くるしい瞳で見つめられるとそんな思いも消えた。
夫婦仲が悪くなって離婚後、隆雅ちゃんに会いに行くことはなかった。「母親に会うのを嫌がられていたとはいえ、どうして行ってやらなかったのか」と悔やむ。「虐待される子供がいなくなるように何か行動したい」。恭介さんはそう決意する。

【事例2 虐待の世代間連鎖】
『虐待女の熱血父“身元引受”拒否「この期に及んでも家庭顧みず」』
一人親家庭での子ども虐待が増えるとともに、虐待の世代間連鎖が指摘されています。平成22年9月4日に産経ニュースで報道された記事です。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100904/crm1009041605016-n1.htm
離婚により親権を失った子どもたちの実の父親は、子どもの虐待の事実を知っていたのでしょうか。虐待で死亡する子どもは年間約50人(1週間に1人)ですが、祖父母でさえも虐待のセーフティネットにならない中、離婚後も両親が子どもの成長に強制的に責任を持つ制度があれば、幼い子どもたちの虐待は少しでも防げるのでないでしょうか。

猛暑のマンションの1室に、3歳の長女と1歳の長男を2カ月近く放置し死亡させたとして、殺人容疑で逮捕された風俗店従業員、下村早苗容疑者(23)。現在は大阪府警本部に拘置されているが、府警との連絡窓口となる親族代表の役割を、実の父親が拒んでいたことが分かった。下村容疑者の人格形成には、父親の放任が影響したと言われているが、逮捕後も放任状態は続いているようだ。(夕刊フジ)

 犯罪で逮捕された容疑者に関しては、親族の代表者が警察とのやり取りや容疑者の所持品引き取り、生活必需品の差し入れなどを引き受けるのが一般的。だが、下村容疑者の父親は大阪府警の要請を拒否したという。母親は容疑者が幼いころに離婚しており音信不通とされている。

 「責任放棄とも言えます。下村容疑者の父親は勤務先の高校のラグビー部指導に入れあげて家庭を顧みる余裕がなかった。離婚後は小学生だった容疑者が妹2人の世話をしていたそうです。結局、容疑者は中学入学後、素行不良になった。さらに高校卒業後、父親は容疑者を東京の知人に預けてしまった。そうした経緯がある娘へのかかわりを、父親は拒んでいるのです」(捜査関係者)

【事例3 離婚後も共同養育で子どもを見守ることが大切】
『救え幼い命:児童虐待の現場から/6 離婚後も協力を』
一人親家庭での子ども虐待が増えるとともに、虐待の世代間連鎖が指摘されています。平成22年9月6日に毎日新聞(大阪)で報道された記事 です。
http://mainichi.jp/kansai/news/20100906ddn041040012000c.html
多くの虐待のニュースから離婚後も共同養育で子どもを見守ることが大切だと指摘しています。

◇一人親、手を上げる前に
 「息子さんの体にあざがあったという情報があります」。今年2月、京都市の主婦(38)は電話で告げられた。前夫(48)が引き取った長男(10)と長女(7)が通う静岡県内の小学校の教諭からだった。
 前夫は結婚当初から家庭で敬語を使うよう強制し、ささいな失敗に激しく怒った。しつけにも厳しく、子どもにも手を上げた。精神的に耐えられず離婚を決意。子どもは引き取るつもりだったが、長男が転校を嫌がった。前夫は子どもと暮らしたいと懇願し「しかり方を改める。子どもに月1回会わせる」と約束したため、まかせることにした。
 ところが前夫が約束を守ったのは最初の半年だけ。次第に面会に難色を示し、学校が長期休みの時しか会わせなくなった。この夏休み、1日だけ会えた長男は「お父さんにはよく怒られるけど、謝っておけば大丈夫だから。まだ我慢できる」と話した。前夫に「虐待」を問いただしたり、親権者変更を求めれば、逆上して子どもが更に危険になる気がする。「次に会えるのは冬休み」と涙をぬぐった。
   ■   ■
 7月初め、東京都内の公園で、幼い兄弟が小川の水を浴びて遊んでいた。2人を見守る両親のそばには、離婚後の親子の面会を仲介する「NPOびじっと」(横浜市中区)の古市理奈理事長(39)がいた。離婚した夫婦の対立が激しいと、子どもの面会で協力できない。間に立って調整するという。
 虐待防止が活動目的の一つで、「一人親はストレスがたまりやすい。手を上げてしまう前に、もう一人の親にSOSを発信して」と呼び掛ける。面会では親子でプールに入るなど、できるだけ子どもの体をチェックする機会を設けるという。「離婚しても父と母が子どもの養育にかかわり、成長を見守ることが大切」と訴える。
   ■   ■
 「お母さんにはいつでも会っていいよ」。奈良県の会社員男性(39)は長女(10)と長男(5)にこう話している。離婚して子どもと暮らす父子家庭だ。
 元妻(37)は子どもに厳しくあたった。甘えてまとわりつくとたたいたり、怒鳴ることも日常茶飯事。精神的に不安定で、約4年前、子どもを連れて家出した時、男性から離婚を申し入れた。親権を求めたが、家裁の審判で「子どもが幼い」と親権は元妻に。それから2年後、大阪高裁の判決で元妻の体罰などが問題視され、ようやく子どもを引き取れた。
 親権は得たが「子どもには母親の姿を知って育ってほしい」と、月1回以上、泊まり掛けで元妻に会わせている。「今度、お母さんと会う時に着て行く服を買おう」などと、元妻との面会を嫌がっていないと態度で示すようにしている。
 「行ってきまーす」。元気よく母親の元に向かう子どもたち。近所からも「今どき、近所のおっちゃん、おばちゃんとこんなにしゃべってくれる子はおらん」と可愛がられている。【児童虐待取材班】

更新 2010-09-12 (日) 17:15:29
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