民法819条(単独親権制度)改正を求め共同親権・共同監護制度の導入・ハーグ条約締結の推進と活動を行っています

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子供の引き渡し、強制執行「成功」は3割 最高裁

出典:令和3年2月22日 産経新聞

子供の引き渡し、強制執行「成功」は3割 最高裁

 離婚や別居に伴う子供の引き渡しをめぐり、裁判所の執行官が司法判断に従わない親から子供を直接連れ戻すために昨年末までの過去5年間で対応した計477件の強制執行のうち、連れ戻しに「成功」したのは約3割にとどまることが22日、最高裁の調べで分かった。昨年4月の法改正で同居中の親が不在でも執行可能となったが、現場では困難も多く、法の実効性が問われている。(桑村朋)

 日本では、離婚すると父母の一方しか子供の親権が持てない「単独親権」制度が採用されている。子供を養育する監護権と親権を、父母で分けることも可能だ。婚姻中の父母は別居中でも共同で親権を持つが、裁判所が片方の監護権を認めることもある。

 最高裁によると、裁判所の審判や判決で子供の引き渡しが確定したのに片親が従わず、強制執行へ発展した件数は、昨年は計51件だった。これらは強制執行のうち、相手に直接的に義務を履行させる「直接強制」に該当する。強制執行の結果、引き渡しが成功した「完了」は33・3%の17件。実現しなかった「不能」は41・1%の21件で、何らかの理由で執行が中止となった「取下げ」が25・4%の13件だった。

 昨年は新型コロナウイルスの影響で、強制執行は例年の半数程度。ただ、昨年末までの過去5年間をみると、強制執行件数は計477件で、このうち「完了」の割合は昨年単年と同水準の32・2%、件数は154件だった。強制執行中に任意で引き渡されることもあり、この場合は「取下げ」に含まれる。

 法曹関係者によると、現場では執行官の前で子供本人が泣き叫んだり、親が理由をつけて強硬に拒んだりすることもあり、強制執行できない原因とされる。

 昨年4月施行の改正民事執行法では、強制執行の際に同居中の親の立ち合いが不要となり、執行官が学校や保育園で子供をそのまま連れ戻すことも可能となった。それでも同居が長期に及んでいる場合、現地の生活に子供自身が慣れていることも多く、子の福祉の観点からも執行官が無理に連れ帰ることは難しい。

 子供の監護の問題に詳しい谷英樹弁護士(大阪弁護士会)は「同居する親との生活に慣れ、長く離れたもう片方の親との新たな生活について不安を抱く子供は多い。面会交流を十分に保障して子供の不安を解消するなど、子の利益を最優先にする工夫をし、改正法の実効性を高めるべきだ」としている。

 親同士の関係性が極度に悪化した末、片方の親が黙って子供を連れて家を出る「連れ去り」により、子供の引き渡しが困難となるケースは後を絶たない。裁判資料や関係者への取材から、ある家庭の実情に迫った。

 《娘が大泣き。『ママが殺し屋に頼んでパパを殺す話をしてたのを思い出して怖くなった』とのこと》

 大阪府の40代女性は昨年秋以降、娘を連れて京都府内で別居する夫のこんなツイッターを見つけた。「小学校低学年だった娘はそんな言葉を知らないはず。娘を装った嘘の投稿だ」と憤る。

 別れ話を始めていた平成30年3月、東京出張から戻ると、夫と娘が家からいなくなっていた。夫による連れ去りだった。

 女性は、娘の引き渡しを求める審判を家裁に申し立て、令和元年5月に「監護権者は妻」とする判決が大阪高裁で確定。だが夫は従わず、同年9月に確定した1日1万円の支払いを課す間接強制決定にも、「娘は自分の意思で(夫の下に)とどまっている」と支払いを拒み続けている。

 執行官による直接強制は2度行われたが、「娘が泣いている」などの夫の訴えでいずれも失敗した。

 女性は京都地裁に人身保護請求も行い、娘の引き渡しを命じる判決が出た。今年1月には、ツイッターへの投稿が名誉毀(き)損(そん)罪などに当たるとして告訴したが、状況は好転していない。

 女性は「これは誘拐と同じ。監護権者は私なのに。法や仕組みに何か不備があるのでは」とし、「娘の心が離れないうちに連れ戻したい。法的に正しい側が、泣き寝入りしない世の中であってほしい」と願っている。

 夫の代理人弁護士は産経新聞の取材に対し、「妻に引き渡すべく努力しているが、妻により強制執行や人身保護請求が繰り返され、娘は加療が必要になった。妻に強い拒否感を抱いており、これは全て妻の行動に起因するものだ」と書面で回答している。

 直接強制 民事執行法に基づく強制執行の一つ。判決などで命じられた債務を履行しない相手に対し、強制的に義務を履行させること。地裁の決定に不服がある場合、執行抗告して高裁判断を仰ぐことができる。高裁決定に対する不服申し立てもできる。強制執行には、裁判所が一定の金銭を支払うよう命じることで心理的に圧力をかける間接強制や、債務者以外の第三者が代行する「代替執行」などがある。

「離婚後も子育ては2人で」シンママの声 共同親権・養育の行方はを

出典:令和3年2月22日 AERA

「離婚後も子育ては2人で」シンママの声 共同親権・養育の行方は

 離婚した後も父母の双方が子の親権を持つ「共同親権」制度は、日本でも認められるのか。
 
 2月10日、上川陽子法相は親が離婚した子の養育等に関する法制度の見直しを法制審議会に諮問した。議論の焦点の一つが、この共同親権導入の是非だ。父母のどちらかしか親権を持てない現行の「単独親権」制度は、離れて暮らす親(別居親)と子の交流を妨げ、親子の断絶を生むとして、これまで別居親が中心となり導入を求めてきた。しかし今、子どもと同居するシングルマザーからも、共同親権や、父母が子育てに関わり続ける「共同養育」を望む声が出てきている。共同養育や共同親権が子どもや別居親にとってばかりでなく、シングルマザーにとってもプラスが多いとする、その声とは。

「とにかく元夫に娘を会わせたくない、という気持ちが強かった」

 面会交流や共同養育をサポートするNPO法人を運営する築城由佳さん(大阪府在住、40代)は、離婚調停を行っていた7年前のことを振り返る。

 弁護士に促され、支援を受けながら月1回元夫と当時1歳の娘との面会交流を行っていた。しかし「連れ去られたり悪口を吹き込まれたりしたらどうしよう」と思い悩み、「面会交流に行くまでの間、吐き気やめまいがひどかった」と話す。元夫を父親として認めたくない気持ちも強く、「娘に彼の血が流れているというのも嫌で、その事実を消そうとさえしていました」。

 母の思いを察してか、2歳になった娘は元夫と会う際「楽しくない、行きたくない」と泣き、その姿に「行きたくないのに行かされてかわいそう」と胸を痛めた。そんな状態が3年続いた後、大きな転機が訪れた。法人所属の社会保険労務士として仕事と育児に追われるなか、シングルマザーに密着するテレビの取材を受ける。その放送で見た、疲弊した自分の姿にショックを受けたのだ。

「すごくしんどそうで、笑顔がない。これは本来の自分ではないと。会社に『すみません』と言いながら仕事を残して定時で帰って、なんでこんなに謝っているんだろうって……」

 やがてシングルマザーを支援する社会保険労務士として独立する、という夢を持つようになり、そのことが築城さんを大きく変えた。

 夢の実現に向け自分の気持ちに向き合うなか、元夫への憎しみが心の大きな重しになっていることに気付く。「憎しみを手放すために、まず面会交流に肯定的になってみよう」と決意。娘が元夫に会う際には「楽しかったね」などの言葉をかけるように心掛けた。

 すると娘も父と会うことを喜ぶようになり、帰宅後も「今度いつ会えるの?」と笑顔をみせるようになった。

「自分の気持ち=子どもの気持ちだと思っていました。『子どものため』と思っていたけれど、子どもの気持ちをコントロールし、嫌だと思わせながら面会交流をさせていたのではないかと。初めから楽しい時間を過ごせるようお互い努力するべきでした」

 東京で離れて暮らす元夫と娘の面会交流も今では宿泊付きとなり、元夫とは直接LINEでやりとりする。娘と元夫が会っている間、築城さんは自分のために時間を使えるようになり、仕事も順調にまわりだした。元夫への憎しみ、怒りは自然とはがれ、「自分自身非常に楽になった」という。養育費も途絶えることなく続いている。

「苦しんでいた時を知るママ友に会うと、『別人だ』と言われますし、面会交流をやめていたら今の私はなかった。面会交流は10年後、20年後の子どもの成長を父母が見守っていくことに必要なこと。だから面会交流や共同養育は大切なのだと。そのことを知っていれば、自分も最初から違っていたはず」。そう痛感する築城さんは2019年にNPO法人「ハッピーシェアリング」を設立。面会交流支援や離婚後の親としての心構えを学ぶ講座などに力を入れている。

「お母さん一人で仕事して、育児して、子どもを養わなくてはいけないという社会構造ができあがっていることも問題で、これはしんどく、貧困に陥ったり子どもがほったらかしになって非行に走ったりなどいろんなことに関わってくると思います。離婚後もお父さんも子育てに関わって、お母さんの負担を解消していくことが社会的文化として当たり前になることも望んでいます」

 共同養育を円滑に進め、子どもが安心して育つためには「制度としての共同親権が欠かせない」と強く訴えるシングルマザーもいる。

「離婚届にサインをする時、親権は1人しか持てないことを知って衝撃でした」。そう語るのは東京都在住のA子さん(40代)だ。「『単独親権』って、片方の親の、子どもを養育する義務の放棄じゃないですか。そんな不安定な状態に子どもを置くことを国が強いるなんてありえない」と憤る。

 離婚原因は元夫の不倫。元夫から申し立てられた調停は長引き、その間娘(当時10歳)から父を奪ってしまっていいのか悩み続けた。元夫は娘を非常にかわいがり、娘も父を大好きなことはよく分かっていた。仕事が多忙なA子さんには育児を一人で担うことへの戸惑いもあった。

 そんななか、「共同養育」の存在を知る。目の前の霧が晴れた瞬間だった。「別れても2人で娘を育てられるんだ」。「羽が生えたように心が軽く」なり、調停もスムーズに。和解調書では共同養育を行うことを明記し、3年半前に離婚が成立した。だがそこで再びショックを受けたのが、親権者を1人に選ばなくてはならない離婚届だった。A子さんが親権を持つことになったものの「なぜ1人に絞らなくてはならないのか」と今も納得できていない。

 現在、中学2年生になる娘と元夫は自由に会い、今も非常に仲が良い。娘が元夫宅に行っている間、A子さんは仕事をしたり、趣味に時間を費やしたりと大切な息抜きの時間になっている。

「『親権』は『子どもを養育する親の義務』のこと。単独親権のままでは法的な縛りがなく、親権を持たない親は嫌になったら逃げることができてしまう。不利益をこうむるのは子どもです」とA子さん。DV被害者保護等の観点から共同親権の導入には慎重論が根強いことについて、「DVを受けた人たちも安心できるように制度を整え、そうしたケースは単独親権も選べるようにしつつ原則共同親権にしていくことが大切だと思う」。シングルマザーとして、共同親権を求める活動にも積極的に参加している。

 共同養育支援を行う一般社団法人「りむすび」のしばはし聡子代表は、「女性の相談者は以前は『元夫に子どもを会わせたくないが取り決めで会わせなくてはならないから』という方が多かった。ただ、ここ1年は共同養育を希望して相談される方が増えています」と変化を指摘する。

「『共同養育』という言葉が普及し始めて、そんな方法で離婚することができるんだと気付いた層が増えた。夫のことは嫌いだけど子どもと父親を引き離したいわけではなく、育児分担をしたい。仕事もしたいしキャリアも積みたい、という女性たちに共同養育という価値観がマッチしたという印象を受けます。安易に離婚に進みやすくなるのならそれは懸念しますが。」と話す。自身も2015年に離婚後、共同養育を実践中だ。

 共同養育は、子育てに関わり続けたい別居親や、両親からの愛情を感じながら成長し続けられるなど、子どもにとってのプラス面が多く指摘されるが、シングルマザーやファーザー(同居親)にとっても利点は多いという。

「何よりワンオペ育児で疲弊することから逃れることができる。自分自身が疲弊しないことで子どもにやさしくできるし、責任分担もできる。元夫や妻の養育費を払うモチベーションも当然上がる。そして自分にもしものことがあった時に命に代えてでも子どもを守ってくれる人がいるというのは大切です」

 海外では共同養育や共同親権を採用している国は多いが、日本ではなかなか認識自体が大きく広がらない。その背景には、現行の単独親権制度をバックにした「離婚すると子どもはひとりで育てるもの」という意識が根強く、行政サポートも「ひとり親支援」ばかりであることや、元夫婦間の葛藤を解消し、親同士としてかかわる関係性をつくっていく支援が非常に少ないこと等があると、しばはしさんは指摘する。

 今後は「ふたり親支援」という共同養育の視点を持って対応できる体制を行政で築き、国も発信していくこと、葛藤を下げる作業から行えるような協議離婚の制度を作っていくこと等が求められているという。

「原則共同親権とすることで二人で育てる基盤が広がると思いますが、今でもできることとして共同養育を進めていくことが必要だと思います。元夫婦として、親同士として、育児というチームをまた他人として築いていくという発想にそれぞれが変わっていくことが最終的に子どものためになり、自分の時間の確保になる。一方で離婚したら子どもに会わなくていいっていうお父さんがいたとしたら、離婚をしてもきちんと子育てをしなくちゃいけないんだよ、という自覚にもつながるので、離婚をしても共同養育というのがあたり前のように行われていくといいなと思います」

 子どもの成長にとって望ましい離婚後の親子、元夫婦のあり方とは何か、幅広い議論が求められている。

◆離婚した親子を取り巻く現状
日本のひとり親世帯の相対的貧困率は5割近くにのぼる(OECD、2016年)。厚生労働省の2016年度調査によると、養育費を受け取っている母子世帯は全体の4分の1以下である一方、別居する親と定期的に面会しているのは母子世帯で29.8%、父子世帯で45.5%に過ぎない。昨年法務省が公表した資料によると、欧州、アジアなど調査した24カ国のうち22カ国が共同親権を採用。日本と同様に単独親権のみの国はインドとトルコだけだったが、日本への共同親権導入に関してはDV被害者保護の観点等から慎重論も根強い。(藤岡敦子)

社説:民法の親子 見直しに弱い立場の声を

出典:令和3年2月21日 京都新聞

社説:民法の親子 見直しに弱い立場の声を

 連続テレビ小説「おちょやん」は先週、親と子がテーマだった。子にとって親とは、親にとって子とは。

 さて、いま法律上の親子をめぐる議論が始まっている。

 後を絶たない親による体罰、虐待、離婚後の子をめぐる親権争い、養育費の不払い、母子家庭にみられる子どもの貧困、無戸籍の子…。

 社会が向き合い解決すべき問題だが、壁にぶつかることがある。明治期から続く民法の家族規定が、現代に合っていないからだ。

 法律の不備が、子や親の幸福への道を阻んでいないか。

 ようやく、動きが出てきた。上川陽子法相は今月10日、離婚後の「共同親権」や養育費不払い問題を視野に、家族法制の見直しを法制審議会に諮問した。

 その前日、別の法制審議会の部会が、子の父を決める民法の「嫡出推定」を見直し、無戸籍解消の道を開く中間試案をまとめた。試案では、しつけと称する虐待にも目を向け、民法が認める親の「懲戒権」の是非や、体罰禁止の明文化も検討するとした。

 国連で1989年に採択された「子どもの権利条約」を、日本は94年に批准している。しかし、日本の改善は遅く、国連から親の「懲戒権」や、子どもに親の選択を強いる「単独親権」を見直すよう勧告されている。

 欧米では、離婚した男女が「共同親権」を持ち、同じように子の養育に責任を負う。国際結婚で、親権のない親が海外に子を連れ出す事件が相次いだことから、欧州連合(EU)議会が「共同親権への変更」を日本に求める決議をしている。

 一昨年中に離婚した夫婦は、20万組超にもなる。親のトラブルで、子どもたちの未来を暗くしてはいけない。

 親権者の80%超が母親だ。母子家庭となり、養育費を受け取っているのはわずか24%、貧困率は50%近くにもなる。子どもの健やかな成長のために、急いで民法を見直し、養育費請求権を明記する必要がある。

 子どもが会いたくても、面会を取り決めているのは母子家庭で30%のみ。暴力を振るう前夫から逃れるため、生まれた子を届けられずに無戸籍に。子への暴力を「懲戒権」で正当化する―さまざまな事情があるだろうが、振り回され傷つくのは子どもたちだ。

 「いやだったことは、どちらと住むかを選ばされたこと」。民間団体が集めた、親が離婚した子どもたちの声だ。「親に心配かけないように、いい子を演じてきました」

 子どもの権利条約は児童の「意見表明権」(12条)をうたっている。条約の児童とは18歳未満とされ、年齢や成熟度に相応して、行政上の手続きでも聴取される機会が与えられるとしている。

 民法の見直しという難しい議論だが、専門家や大人の意見だけでなく、子どもたちの声にも耳を傾けてもらいたい。

 子どもを守り、育てるのは、親の深い愛だが、地域や社会も子どもたちの成長を見守ることが大切だ。親子をめぐる議論は法律にとどまらない。

離婚後単独親権「規定に合理性」 東京地裁判決

出典:令和3年2月18日 毎日新聞

離婚後単独親権「規定に合理性」 東京地裁判決

 離婚後に父母の一方を子の親権者とする民法の単独親権の規定は憲法に反するとして、東京都内の男性が国に165万円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は17日、男性の請求を棄却した。松本真裁判長は「親権は子のための権利で、憲法が定める人権として保障されていると解することは甚だ困難。規定には合理性がある」と述べた。

 男性側は「規定は個人の尊重を定めた憲法に反し、父母間を差別的に取り扱っている」と訴えていた。
 松本裁判長は、親には子の養育を通じて自らの人格を発展させる利益があることは認めた。ただ、離婚で親権を失っても親であることに変わりはなく、単独親権によって、その利益が失われることはないと指摘。規定の趣旨は、子の監護や教育について適時適切な判断を可能にする点にあり、立法目的には合理性があると述べた。家族制度の根幹をなす親子のあり方や離婚後の共同親権を認めるかどうかは、国会の裁量に委ねられている段階だとした。
 上川陽子法相は今月、父母の離婚に伴う子の養育のあり方に関する法制度の見直しを法制審議会(法相の諮問機関)に諮問しており、共同親権についても議論される。【遠山和宏】

離婚後の単独親権は「合憲」 東京地裁、原告男性が敗訴

出典:令和3年2月17日 産経新聞

離婚後の単独親権は「合憲」 東京地裁、原告男性が敗訴

 裁判上で離婚となる場合に、裁判所が父母の一方を子供の親権者かと定める民法の「単独親権」制度は憲法に違反するとして、東京都に住む50代男性が国に165万円の損害賠償の支払いを求めた訴訟の判決が17日、東京地裁であり、松本真裁判長は「違憲とはいえない」として請求を棄却した。男性の代理人によると、単独親権をめぐる同種訴訟での判決は初めて。

 訴状によると、男性は元妻との間の子供2人の親権を争った離婚訴訟で敗訴が確定し、親権を失った。松本裁判長は判決理由で、「親権は子の利益のために行使する特殊な権限で、憲法が定める他の人権とは本質が異なる」と指摘。「より適格性がある者を裁判所が判断し、親権者に指定する規定には合理性がある」として制度を合憲とした。

 また、離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」制度を国が創設しないのは立法不作為だとした男性の主張については、「親子のあり方と親権の内容をどうとらえるかは、国会の裁量権に委ねる段階にとどまる」と言及した。

 主要国の多くでは共同親権が採用されており、今月10日には上川陽子法相が共同親権の是非を含む家族法制の見直しなどを法制審議会に諮問した。代理人の作花知志(さっか・ともし)弁護士は今後控訴する方針とした上で、「今回の判決では親子の養育関係が互いの人格的な利益だと認定されており、法制審での議論の進展にも期待したい」と話した。

離婚後の単独親権「合憲」 賠償請求は棄却、東京地裁

出典:令和3年2月17日 日本経済新聞

離婚後の単独親権「合憲」 賠償請求は棄却、東京地裁

離婚すると父母の一方しか子どもの親権が持てない「単独親権」制度は憲法に違反するとして、東京都の男性会社員が国に165万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は17日、請求を棄却した。同制度について「合理性が認められ、違憲とは言えない」とし、合憲との判断を示した。
松本真裁判長は、単独親権を定めた民法の規定は離婚した父母が通常別居し、関係が必ずしも良好でないことが前提で「子どもの監護や教育について適時に適切な判断ができるようにする目的がある」と指摘した。
その上で「子の利益を損なう事態を避けるため、父母のうち、より適格な者を親権者に指定する規定に合理性はある」と判断した。
男性は、単独親権について「幸福追求権や法の下の平等に反する」と主張。離婚後も父母が共に親権を持つ「共同親権」制度を創設しないのは立法不作為だと訴えたが、判決は「共同親権を認めるか否かは、国会の合理的な裁量権の行使に委ねるべきだ」と退けた。
判決によると、男性は離婚訴訟で敗訴が確定し、元妻との間の子ども2人の親権を失った。
男性の代理人は、単独親権に関する同様の訴訟は複数あり、判決は初めてとしている。
親権制度を巡っては海外主要国の多くが共同親権を認めており、上川陽子法相は10日、家族法制の見直しなどを法制審議会に諮問した。養育費の確保策と並び、共同親権も論点の一つとなる見通しだが、父母の対立が続く場合、子が混乱して不安定になる、と懸念する声も根強くある。〔共同〕

離婚後の単独親権「合憲」と判断 男性の賠償請求棄却、東京地裁

出典:令和3年2月17日 共同通信

離婚後の単独親権「合憲」と判断 男性の賠償請求棄却、東京地裁

 離婚すると父母の一方しか子どもの親権が持てない「単独親権」制度は憲法に違反するとして、東京都の50代の男性会社員が国に165万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は17日、請求を棄却した。同制度について「合理性が認められ、違憲とは言えない」とし、合憲との判断を示した。

 松本真裁判長は「子の利益を損なう事態を避けるため、父母のうち、より適格な者を親権者に指定する規定に合理性はある」と判断した。

 男性は、単独親権について「幸福追求権や法の下の平等に反する」と主張。離婚後も父母が共に親権を持つ「共同親権」制度を創設しないのは立法不作為だと訴えていた。

離婚後の単独親権「合憲」と判断 男性の賠償請求棄却、東京地裁

出典:令和3年2月17日 東京新聞

離婚後の単独親権「合憲」と判断 男性の賠償請求棄却、東京地裁

 離婚すると父母の一方しか子どもの親権が持てない「単独親権」制度は憲法に違反するとして、東京都の50代の男性会社員が国に165万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は17日、請求を棄却した。同制度について「合理性が認められ、違憲とは言えない」とし、合憲との判断を示した。

 松本真裁判長は「子の利益を損なう事態を避けるため、父母のうち、より適格な者を親権者に指定する規定に合理性はある」と判断した。

 男性は、単独親権について「幸福追求権や法の下の平等に反する」と主張。離婚後も父母が共に親権を持つ「共同親権」制度を創設しないのは立法不作為だと訴えていた。

単独親権 憲法に違反せず” 父親の訴え退ける 東京地裁

出典:令和3年2月17日 NHK

” 単独親権 憲法に違反せず” 父親の訴え退ける 東京地裁

夫婦が裁判で離婚した場合に裁判所が父親か母親のどちらか一方を子の親権者と決めるとした民法の規定をめぐって、親権を失った父親が国を訴えた裁判で、東京地方裁判所は規定は憲法に違反しないと判断し訴えを退けました。
都内の50代の男性は裁判で離婚が成立した際、2人の子どもの親権者は元妻とされ、裁判所が父親か母親のどちらか一方を親権者と決めるとした民法の単独親権の規定は法の下の平等を定めた憲法に違反するとして国を訴えました。

判決で、東京地方裁判所の松本真裁判長は「別居後の父と母が子の養育に関して適切に合意できず、子の利益を損なうことを避けるための規定で合理的だ。離婚した父と母が共同で親権を持つことを認めるかどうかは国会の裁量に委ねるべきだ」と指摘して、憲法に違反しないと判断し訴えを退けました。

共同親権を認めるべきかどうかなど離婚した後の子の養育の在り方については今月、上川法務大臣が法制審議会に諮問し今後、幅広く議論が行われる見通しです。

離婚後の単独親権は合憲「親と子であること変わりない」

出典:令和3年2月17日 朝日新聞

離婚後の単独親権は合憲「親と子であること変わりない」

 離婚したら父母のどちらかしか子どもの親権を持てない民法の「単独親権制度」は、法の下の平等を定める憲法に反するなどとして、東京都の50代男性が165万円の賠償を国に求めた訴訟の判決が17日、東京地裁(松本真裁判長)であった。判決は民法の規定を合憲と判断し、原告の訴えを退けた。原告は2019年の離婚で息子2人の親権を失ったことに精神的苦痛を負ったと訴えていた。

 判決は、親子の交流を通じて子どもが成長したり親の人格が発展したりすることについて、「親権を持たないとしても親と子であることに変わりはなく、そうした人格的利益は失われない」と指摘。その上で、単独親権制度は父母関係が良好でない場合も踏まえた合理的なものとし、憲法に反すると言えないとした。

 離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」を認めるかについては、「国会の裁量権に委ね、その行使を待つ段階」と述べた。

 共同親権を含めた離婚後の子どもの養育のあり方をめぐっては、上川陽子法相が10日に法制審議会に諮問し議論が始まるが、結論が出るまでの期間は定まっていない。東京地裁では、共同親権や面会交流制度の整備を国に求める集団訴訟が相次いでいる。(新屋絵理)

単独親権、違憲と認めず 国賠訴訟、原告男性敗訴 東京地裁

出典:令和3年2月17日 時事通信

単独親権、違憲と認めず 国賠訴訟、原告男性敗訴 東京地裁

 離婚後は片方の親だけが親権を持つ「単独親権」を定めた民法の規定は憲法違反などとして、親権者になれなかった男性が国を相手取り、165万円の賠償を求めた訴訟の判決が17日、東京地裁であった。

 松本真裁判長は「違憲が明白とは言えない」として、請求を棄却した。

 松本裁判長は、親権は子どもの利益のために行使しなければならない制約があり、憲法が定める他の人権とは本質が異なると指摘。民法で定めた単独親権の趣旨は、離婚後の父母の関係が良好でないことを前提に、子どもの教育などで適切な判断ができるようになる点にあるとし、「立法目的に合理性が認められる」と判断した。

 その上で、父母双方に親権が残る「共同親権」については「国会による合理的な裁量権の行使に委ね、待つ段階にとどまる」と言及し、単独親権は違憲との主張を退けた。

 法務省は現在、共同親権導入の可否について検討している。 

養育費不払い解消 法整備 法制審に諮問 共同親権も議論へ

出典:令和3年2月11日 産経新聞

 上川陽子法相は10日、離婚した親の都合で子の健全な成長が妨げられないよう、家族法制の見直しを法制審議会(会長・内田貴早稲田大特命教授)に諮問した。養育費不払いの解消策をはじめ、親と子の面会交流、共同親権の是非、財産分与の在り方といった離婚後の課題を網羅的に検討する。
 法務省の検討会議が昨年12月にまとめた報告書では、母子世帯が離婚した父親から養育費を受け取っている割合は24%。検討会議は、養育費請求権の民法への明記や、離婚届と併せて支払いに関する取り決めを届け出る制度などを提案しており、法制審でも論点となる見直し。
 現行法制が親権について定めているのは、離婚協議で父母のどちらかを決める「単独親権」制度。法制審は、主要国の多くが採用する父母双方による「共同親権」の是非を検討する。
 また、離れて暮らす親と子の面会交流については、離婚時の計画作成を促進する方策などを議論。財産分与は、婚姻中に夫婦で築いた財産を離婚時に半分ずつに分ける「2分の1ルール」の制度化を検討する。
 未成年養子縁組は、再婚相手の子を養子とする際、子供の利益が十分に考慮されない事例があることなどから、対応策を話し合う。

離婚関連規定見直し 諮問 法制審に 養育費不払い問題など

出典:令和3年2月11日 読売新聞

上川法相は10日、法制審議会(法相の諮問機関)の総会で、親が離婚した子供の養育が適切に行われるよう、離婚に関わる民法や民事執行法の規定の見直しを諮問した。養育費の不払い問題や財産分与の明確化などが議論される見直しだ。
 養育費については、民法に請求権を明記することや、離婚時に支払いに関する取り決めを交わすことの制度化などが焦点となる。法務省の有識者会議が昨年12月にまとめた報告書によると、養育費を受け取っている母子世帯は24%にとどまり、養育費の不払いによるひとり親家庭の貧困などが社会問題化している。
 親と子が円滑に面会交流できるよう離婚時に取り決めることや、父母双方が親権を持つ「共同親権」の導入についても検討する。財産分与に関しては、判例上、夫婦で築いた財産は離婚の際に折半するものと見なされており、このルールを民法に明記することなどが審議される予定だ。
 法務省は答申を踏まえ、関連する法律の改正を検討する。上川氏は総会で、「離婚後の養育に関する法制度には、様々な問題点が指摘されている。子供を第一に考え、実態に即した検討をしてほしい」と述べた。

子どもの養育費不払い問題など解消へ 法制審に諮問へ

出典:令和3年2月10日 テレビ朝日

子どもの養育費不払い問題など解消へ 法制審に諮問

 夫婦が離婚した後の子どもの養育費の不払い問題などを解消するため、上川法務大臣は法制審議会に関連する制度の見直しを諮問しました。

 10日に法務省で開かれた法制審議会の総会で、上川法務大臣は「女性の社会進出や父親の育児への関与の高まりで養育の在り方や国民意識が多様化している」「子どもを第一に考える視点で幅広く実態に即した検討をお願いしたい」と諮問しました。

 夫婦の離婚後に子どもの養育費が支払われないことで生じる貧困問題や離れて暮らす親子の面会交流が適切に行われていないと指摘されていることなどが背景となっています。

 法制審議会では離婚する時の取り決めを促進するための方策や離婚後の親権を両親で持つ共同親権制度の是非など、関連する法制度について議論される見通しです。

養育費不払い解消策を法制審に諮問 「共同親権」も議論へ

出典:令和3年2月10日 毎日新聞

養育費不払い解消策を法制審に諮問 「共同親権」も議論へ

 上川陽子法相は10日、父母の離婚に伴う子の養育のあり方に関する法制度の見直しを法制審議会に諮問した。約140万とされるひとり親世帯の半数が貧困状態にあり、離婚後の養育費不払いがその要因の一つとなっている実態を踏まえ、養育費不払い解消に向けた方策が主な論点となる。夫婦双方が子の養育に携わる「共同親権」を離婚後も認めるかどうかについても議論される見込み。

離婚後の養育めぐる課題解消に向け制度見直しを諮問 上川法相

出典:令和3年2月10日 NHK

離婚後の養育めぐる課題解消に向け制度見直しを諮問 上川法相

養育費の不払いや、離れて暮らす親子が定期的に会う「面会交流」が実施されない問題など、親が離婚したあとの子どもの養育をめぐる課題の解消に向けて、上川法務大臣は、法制審議会に対し、関連する制度の見直しを諮問しました。

親が離婚したあとの子どもの養育をめぐっては、養育費の不払いによる母子世帯の貧困や、離れて暮らす親子が定期的に会う「面会交流」が実施されない問題、それに、父親か母親のどちらか一方しか持つことができない「単独親権」の在り方など、さまざまな課題が指摘されています。

10日、開かれた法制審議会の総会で、上川法務大臣は「女性の社会進出や父親の育児への関与で、養育の在り方や国民意識は多様化しており、子どもの最善の利益をはかる観点から、実態に即した検討をお願いしたい」と述べ、関連する制度の見直しを諮問しました。

法制審議会では、養育費や「面会交流」を適切に確保するための取り決めや、父親と母親の双方が子どもの親権を持つ「共同親権」の導入の是非なども含め、離婚したあとの子どもの養育の在り方について、幅広く議論される見通しです。

また、相続税の「非課税枠」を増やす目的で孫を養子にするケースがあるとして、未成年の養子制度に目的などを追加することや、夫婦で築いた財産を離婚の際に半分に分けるルールを、法律で規定することなどについても議論される見通しです。

「離婚後の養育費・親権 制度をどうすべき?」(ここに注目!)へ

出典:令和3年2月10日 NHK

「離婚後の養育費・親権 制度をどうすべき?」(ここに注目!)

夫婦が離婚した後の子どもの養育費や親権について、制度の見直しも含めた議論が法制審議会で始まります。
そのポイントを解説します。

【議論のきっかけは】
離婚する夫婦は、養育費の支払いや、親権をどちらが持つのかといった、さまざまな問題を抱えます。
中には制度を変えなければ解決できない問題もあるという声が高まっていて、法改正を検討する法制審議会で議論されることになりました。

【養育費をめぐる論点】
まずは養育費です。
離婚にあたっては、子どもを引き取る方が、相手から毎月いくら受け取るのか決めておくのが望ましいのですが、義務ではありません。
取り決めをしているのは母子世帯の42.9%、父子世帯の20.8%にとどまっています。
取り決めをしていても受け取れないケースが多いのが実状で、収入の少ない母子世帯は、コロナの影響もあって、深刻な状況に追い込まれています。
そこで法制審議会では、取り立てをしやすくする方法などについて議論される見通しです。

【親権をめぐる論点】
親権は、子どもを育てたり教育を受けさせたりする権利や義務のことです。
日本では、離婚後はどちらか片方が親権を持つ形です。
親権を失った親の立場からは、海外のように「共同親権」、つまり双方が親権を持つようにして、子どもと同居していない親も面会したり教育に関わったりできるようにすべきだという声が上がっています。
一方で、反対意見もあります。
DV=ドメスティック・バイオレンスがあったようなケースでは、接点ができて再び被害に遭うおそれがあるといった懸念の声があります。

【議論で大切なことは】
今後の議論では、「親が何を望むのか」という視点で意見を交わすと、対立するおそれがあると思います。
やはり、「子どもに対する責任」をどう果たすべきなのかということを最優先に考えるべきだと思います。
子どもの立場に立って、成長の過程で父親と母親がどう関わるのが一番いいのか、十分に議論してほしいと思います。
(山形 晶 解説委員)

【速報】離婚後の養育費 強制徴収も “不払い”改善 家族法改正諮問

出典:令和3年2月10日 FNNプライムオンライン

【速報】離婚後の養育費 強制徴収も “不払い”改善 家族法改正諮問

「養育費の不払い問題」で、国の議論が始まった。

親が離婚した子どもの養育をめぐっては、養育費の不払いによるひとり親家庭の貧困や、同居していない方の親が面会できないなど、さまざまな問題が浮上し、これまで有識者会議などで議論されてきた。

これを受けて、法務省は、子どもの利益を確実に確保するため、家族法の見直しを法制審議会に諮問。

今後、法制審では、養育費を強制的に徴収する手続きや、同居していない方の親との面会交流を的確に実施する仕組み、そして、離婚したあとでも、父母の両方が子どもの養育に関わる共同親権の在り方などが検討される見通し。

養育費不払い解消へ法制審に諮問

出典:令和3年2月10日 ロイター

養育費不払い解消へ法制審に諮問

 上川陽子法相は10日、離婚した親の都合で、子の健全な成長が妨げられないよう、家族法制の見直しを法制審議会(会長・内田貴早稲田大特命教授)に諮問した。養育費不払いの解消策をはじめ、親と子の面会交流、親権制度、財産分与の在り方といった離婚後の課題を網羅的に検討する。
 法務省の検討会議が昨年まとめた報告書では、母子世帯が離婚した父親から養育費を受け取っている割合は24%。養育費請求権の民法への明記や、離婚届と併せて支払いに関する取り決めを届け出る制度、不払い時に裁判手続きを取った場合の負担軽減や審理の迅速化などを提案しており、法制審でも論点となる見通し。
【共同通信】

養育費不払い解消へ法制審に諮問 面会交流や共同親権も議論

出典:令和3年2月10日 東京新聞

養育費不払い解消へ法制審に諮問 面会交流や共同親権も議論

 上川陽子法相は10日、離婚した親の都合で、子の健全な成長が妨げられないよう、家族法制の見直しを法制審議会(会長・内田貴早稲田大特命教授)に諮問した。養育費不払いの解消策をはじめ、親と子の面会交流、親権制度、財産分与の在り方といった離婚後の課題を網羅的に検討する。
 法務省の検討会議が昨年まとめた報告書では、母子世帯が離婚した父親から養育費を受け取っている割合は24%。養育費請求権の民法への明記や、離婚届と併せて支払いに関する取り決めを届け出る制度、不払い時に裁判手続きを取った場合の負担軽減や審理の迅速化などを提案しており、法制審でも論点となる見通し。

養育費不払い解消へ法制審に諮問 面会交流や共同親権も議論

出典:令和3年2月10日 共同通信

養育費不払い解消へ法制審に諮問 面会交流や共同親権も議論

 上川陽子法相は10日、離婚した親の都合で、子の健全な成長が妨げられないよう、家族法制の見直しを法制審議会(会長・内田貴早稲田大特命教授)に諮問した。養育費不払いの解消策をはじめ、親と子の面会交流、親権制度、財産分与の在り方といった離婚後の課題を網羅的に検討する。

 法務省の検討会議が昨年まとめた報告書では、母子世帯が離婚した父親から養育費を受け取っている割合は24%。養育費請求権の民法への明記や、離婚届と併せて支払いに関する取り決めを届け出る制度、不払い時に裁判手続きを取った場合の負担軽減や審理の迅速化などを提案しており、法制審でも論点となる見通し。

上川法相、養育費不払い問題で民法改正を法制審に諮問へ

出典:令和3年1月15日 毎日新聞

上川法相、養育費不払い問題で民法改正を法制審に諮問へ

 上川陽子法相は15日、父母の離婚に伴う子の養育の在り方に関する法制度の見直しを2月の法制審議会(法相の諮問機関)に諮問することを明らかにした。子と別居する親による養育費の不払いを解消したり、離婚時の取り決めを促したりするための民法改正などが論点となる見込みだ。

 民法は、離婚時に養育費や別居する親子の面会交流などを父母の合意で取り決めると規定。ただし強制力はなく、2016年の厚生労働省の調査によると、養育費の取り決めをしたひとり親世帯は、母子世帯で42・9%、父子世帯で20・8%にとどまる。不払いも横行し、約140万のひとり親世帯のほぼ半数が、相対的貧困状態とされる。

 法務省の有識者会議が20年12月にとりまとめた報告書は、養育費に関して民法に請求権を規定するなど、子の権利として明確化することの検討を求めた。離婚届と合わせて養育費の取り決めを届け出れば、メリットとして取り決めに執行力を付与する制度や、強制執行手続きの負担を軽減する措置も検討項目に挙げられており、法制審は議論の参考とする。離婚後も父母双方が養育に関わる共同親権を導入するかどうかなど、親権や監護権の在り方も論点となる見通し。

 日本は結婚している間は共同親権で、離婚すると父母いずれかを親権者とする単独親権になるが、欧米では離婚後も共同親権を認める国が多く、日本での導入を求める声がある。一方、ドメスティックバイオレンス(DV)や児童虐待が理由で離婚した当事者には導入に慎重意見が根強く、専門家の間でも意見が割れている。法制審は、離婚制度全般の見直しなどさまざまな観点を踏まえて検討するとみられる。

 上川法相は閣議後の記者会見で「養育費の不払いや親子交流の断絶といった父母の離婚に伴う深刻な影響が指摘され、女性の社会進出、父親の育児関与の高まりなど養育の在り方も多様化している。子の最善の利益を図る観点から、離婚に関する課題を幅広く検討すべき段階だ」と述べた。【村上尊一】

養育費不払い解消を諮問へ 法制審、共同親権も議論

出典:令和3年1月15日 日本経済新聞

養育費不払い解消を諮問へ 法制審、共同親権も議論

上川陽子法相は15日の閣議後記者会見で、離婚後の子の養育に関する問題を解消するため、2月の法制審議会(法相の諮問機関)総会に、家族法制の見直しを諮問すると明らかにした。元夫から養育費が支払われず、母子世帯が貧困に苦しんだり、子が離れて暮らす親と面会できず、成長の上で問題だと指摘する意見が出たりしており、法整備の検討を求める声が強まっていた。

上川氏は「女性の社会進出や父親の育児への関与の高まりから、子の養育の在り方も多様化している」とした上で「チルドレン・ファーストの観点で法改正に向けた検討を行うため、諮問することとした」と述べた。

法務省の検討会議が昨年12月にまとめた報告書では、母子世帯が養育費を受け取っている割合は24%。法制審は、民法で養育費請求権を規定することや、離婚届提出時に養育費の支払いについて届け出た場合にメリットを与える制度の創設などを議論する。

面会交流は、やり方を取り決めている割合が30%を下回っており、離婚時の協議を促す方策を検討する。

離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」制度もテーマの一つに。ただ、父母が対立する場合には子が不安定な立場に置かれるとする懸念もあり、法務省の担当者は「丁寧な議論が必要だ」としている。

〔共同〕

離婚後の養育課題解消へ “法律改正へ来月にも諮問” 法相

出典:令和3年1月15日 NHK

離婚後の養育課題解消へ “法律改正へ来月にも諮問” 法相

養育費の不払いによる貧困や、離れて暮らす親子が定期的に会う「面会交流」が困難となる問題など、親が離婚したあとの子どもの養育をめぐる課題の解消に向けて、上川法務大臣は、必要な法律を改正するため、2月にも、法制審議会に諮問することを明らかにしました。

親が離婚したあとの子どもの養育をめぐっては、養育費の不払いによる母子世帯の貧困や、離れて暮らす親子が定期的に会う「面会交流」が困難となる問題、それに、父親か母親のどちらか一方しか持つことができない「単独親権」の在り方など、さまざまな課題が指摘されています。

上川法務大臣は、記者会見で「父母の離婚で子どもは心身に大きな影響を生じ、親子の交流の断絶など深刻な影響も指摘されている。女性の社会進出や父親の育児への関与の高まりなど、養育の在り方も多様化している」と述べました。

そのうえで「チルドレンファーストの観点で具体的な検討を行っていただきたい」と述べ、民法などの必要な法律を改正するため、来月にも、法制審議会に諮問することを明らかにしました。

法制審議会では、養育費や「面会交流」を適切に確保するための取り決めや、父親と母親の双方が子どもの親権を持つ「共同親権」の導入の是非なども含め、離婚したあとの子どもの養育の在り方について幅広く議論される見通しです。

また、相続税の「非課税枠」を増やす目的で孫を養子にするケースがあるとして、未成年の養子制度に目的などを追加することや、夫婦で築いた財産を離婚の際に半分に分けるルールを法律で規定することなどについても議論される見通しです。

養育費確保で法制審諮問へ 上川法相―民法への請求権明記を議論

出典:令和3年1月15日 時事通信

養育費確保で法制審諮問へ 上川法相―民法への請求権明記を議論

 上川陽子法相は15日の記者会見で、父母の離婚後の子どもの養育費を確保するため、民法などの見直しを法制審議会(法相の諮問機関)に諮問すると発表した。2月に法制審の総会を開き、離婚や子どもの養育に関する法制度について幅広い議論を求める。
 離婚時に養育費の取り決めがある母子世帯は4割程度で、父子世帯では2割にとどまる。養育費の不払いは、ひとり親家庭の貧困の要因と指摘されている。法務省の有識者会議は昨年12月にまとめた報告書で、民法に養育費の請求権に関する規定を明文化するよう求めている。
 子と離婚した親の適切な面会交流についても、法制審で議論される。面会交流の取り決めは、母子世帯で約25%、父子世帯で約27%となっており、離婚時の取り決めの促進などが論点となる見通しだ。

共同親権や養育費不払いを議論へ 離婚後めぐり法制審

出典:令和3年1月15日 朝日新聞

共同親権や養育費不払いを議論へ 離婚後めぐり法制審

 子の利益を守るため親の離婚後の養育はどうあるべきか、法制審議会で議論されることになった。上川陽子法相は15日、2月の法制審総会で諮問することを明らかにした。父母の双方が親権を持つ「共同親権」や養育費の不払い、面会交流の機会の確保など幅広い論点について、どんな法制が必要か検討してもらい、早期の取りまとめを目指す。

 現行の民法は「単独親権」を採用している。母親が子を引き取るケースが圧倒的に多いなか、厚生労働省の調査では、母子世帯の7割以上が養育費を受け取っておらず、子の貧困は深刻な状況にある。離婚時に取り決めをしているのが4割余りと不十分なことが一因に指摘されている。面会交流の取り決めはさらに少なく24%にとどまり、46%で一度も父と子の面会交流が行われていないという。

 こうした現状を受けて法制審では、取り決めを促進するための方策や、配偶者からの暴力(DV)がある場合にどう対応するかといった点についても議論する。上川氏は15日の記者会見で、「離婚に伴い養育への深刻な影響が指摘され、女性の社会進出や父親の育児への関与の高まりから養育のあり方も多様化している」と指摘。「喫緊の課題。チルドレンファーストの観点から実態に即した検討がなされることを期待している」と語った。

 また、上川氏は会見で、担保法制の見直しも法制審に諮問する考えを示した。融資時の担保に、企業の持つ土地などの有形資産や経営者の個人保証が充てられることが多い現状を改め、商品などの動産や売り掛け債権を対象とする制度の整備を目指す。収益を生み出す事業そのものを対象にできないかも検討課題になる。(伊藤和也)

離婚後養育費不払い解消、諮問へ 面会交流や共同親権も、法制審で

出典:令和3年1月15日 共同通信

離婚後養育費不払い解消、諮問へ 面会交流や共同親権も、法制審で

 上川陽子法相は15日の閣議後記者会見で、離婚後の子の養育に関する問題を解消するため、2月の法制審議会(法相の諮問機関)総会に、家族法制の見直しを諮問すると明らかにした。元夫から養育費が支払われず、母子世帯が貧困に苦しんだり、子が離れて暮らす親と面会できず、成長の上で問題だと指摘する意見が出たりしており、法整備の検討を求める声が強まっていた。

 法務省の検討会がまとめた報告書では、母子世帯が養育費を受け取っている割合は24%。法制審は、民法で養育費請求権を規定することや、離婚届提出時に養育費の支払いを届け出た場合にメリットを与える制度の創設などを議論する。

離婚後養育費不払い解消、諮問へ 面会交流や共同親権も、法制審で

出典:令和3年1月15日 東京新聞

離婚後養育費不払い解消、諮問へ 面会交流や共同親権も、法制審で

 上川陽子法相は15日の閣議後記者会見で、離婚後の子の養育に関する問題を解消するため、2月の法制審議会(法相の諮問機関)総会に、家族法制の見直しを諮問すると明らかにした。元夫から養育費が支払われず、母子世帯が貧困に苦しんだり、子が離れて暮らす親と面会できず、成長の上で問題だと指摘する意見が出たりしており、法整備の検討を求める声が強まっていた。

 法務省の検討会がまとめた報告書では、母子世帯が養育費を受け取っている割合は24%。法制審は、民法で養育費請求権を規定することや、離婚届提出時に養育費の支払いを届け出た場合にメリットを与える制度の創設などを議論する。

共同親権になっても別居親は「子どもに会えない」? 共同養育ができる親の“資質”とは

出典:令和2年12月27日 AERA.dot

共同親権になっても別居親は「子どもに会えない」? 共同養育ができる親の“資質”とは

 近年、離婚をしたら父母のどちらかしか子の親権を持てない民法の単独親権制度の見直しを求める声が強まっている。離婚後の単独親権は親の子育ての権利を侵害しているとして、最近は違憲性を問う国家賠償訴訟が続いている。現在進行中の訴訟だけでも6件、今秋には、子どもが原告となって国を提訴したことも話題となった。

 世界の先進国のなかで、離婚後の単独親権制度をとっているのは日本だけ。これに対して、最近は諸外国からも非難の声が上がっている。2月には、国連の「子どもの権利委員会」が日本政府に対し、外国籍の親も含め離婚後の共同養育を認める法改正や別居親との接触を続ける方策を実現するよう求めた。

 こうした動きもあり、共同親権の法制度化の機運は高まりつつある。なかでも、離婚・別居後の面会交流が遂行されず、「子どもに会えない」と嘆く別居親たちの期待は大きい。

「共同親権制度にさえなれば、子どもに会えるようになる!」

 との声はよく聞かれる。

 しかし、家族間の紛争を多く手がける弁護士の土井浩之氏は、「共同親権制度に過度な期待は禁物だ」と警鐘を鳴らす。

「外圧をかわすためのトリックとして、たとえば“選択的”共同親権といった骨抜きの制度になってしまうのがいちばん心配です。これだと夫婦間の同意がなければ共同親権にならないわけなので、いまよりむしろ係争が増えてしまう可能性もある。離婚・別居後も両親が子育てに関わるためには、原則的共同親権でなければ意味がない。当事者は、子どもの健全な成長のために実効性のある法律ができるよう、しっかりと声をあげていくべきでしょう」

共同親権=共同養育ではない

 そもそも、共同親権制度が実現すれば、別居親が「子どもに会えない」状況がすぐに解消されるわけではない。なぜなら、まだ離婚していない、つまり子どもの親権をもっている別居親であっても、同居親によって子どもに会わせてもらえないケースは多いからだ。

「子どもの連れ去りの目的が親権獲得であるとしたら、離婚後の単独親権というゴールがなくなることには大きな意味があると思います。でも、子どもを連れて逃げる親は、とにかく相手から離れたいという切羽詰まった気持ちであることも多いので、法律が変わったからといって『そうですか、では一緒に子育てしましょう』とはならないでしょうね」(土井氏)

「離婚しても親はふたり」というスローガンを掲げ、離婚・別居後も両親が子育てにかかわる共同養育サポートを行う一般社団法人りむすび代表のしばはし聡子氏も「共同親権=共同養育ではない」と言う。

「もちろん共同親権になることで、離婚後も両親が子どもを育てることが当たり前だという意識が世の中に浸透していけば、共同養育のキックオフがスムーズになるというメリットはあると思います。しかし、法律だけで人の心を動かすことはできません。子どもが親の顔色を見ずに自由に行き来でいるような共同養育を実践するためには、計画書をつくるだけではなく、破綻した夫婦が親同士として関係を再構築していくための努力が必要です」

争うより歩み寄り

 では、破綻した夫婦が、夫婦としてではなく、親同士として関係を再構築していくにはどうしたらいいのだろうか。離婚する夫婦の1割が調停離婚だと言われているが、土井氏は安易な調停の利用に懸念を示す。

「昔の日本では、親戚や近所の人、職場の上司など身近な人たちが、夫婦がうまくやるための知恵をつけてくれたり、もめごとの仲裁をしてくれたりしていました。今はそれがなくなり、夫婦のいさかいがいきなり調停の場に移ってしまうこともある。調停は本来、第三者の立ち会いのもとで夫婦間の冷静な話し合いを持つための場です。でも実際には、離婚したいかしたくないか、離婚するなら慰謝料や養育費はどうするかという現実的な話し合いが始まり、少しでもよい条件を得るために相手を攻撃し合う場になってしまっている。これでは、むしろ夫婦の葛藤は上がってしまいます」

しばはし氏は、土井氏の意見に同意したうえで、こう続ける。

「調停中に対立構造が深まり、別居前よりも関係が悪化しているケースは多くあります。関係を再構築をするためには、相手に正論をぶつけて責めたり追い詰めたりせず、お互いの気持ちを尊重する作業も大切。拳を下げれば相手の態度は次第に軟化するでしょう。たとえば、妻が離婚したい意向が固いにもかかわらず、自分は悪くないから絶対に応じないとかたくなに粘っている間は、妻の心は離れていくばかり。いったん『離婚したいという気持ちはわかったよ』と受け止めると、妻は『初めて私の言うことを理解してくれた』と思えて、心を開き始めることもあるのです。一方で同居親は、子どものために自分の感情と親子関係を切り分けることが必要。共同養育に前向きな姿勢を見せることで相手も穏やかになっていくでしょう」

「ありがとう」「わかった」を意識して

 しばはし氏によれば、歩み寄りに必要なのは、“感謝”と“尊重”のコミュニケーションだ。

「夫婦の感覚を引きずっていると、つい言い返したり思い通りにしようとしてしまいがちですが、否定せずにまずは『わかった』『ありがとう』と受け止めること。そして、相手を変えようと説得するのではなく、自分自身が共同養育しやすい相手に変わることが結果して共同養育への近道になるのです」(しばはし氏)

 特に男性は「譲歩すること=負け」と捉えがちだが、裁判では関係ないという。

「謝ると調停や裁判で不利になると思い込んで、絶対に謝らない人もいますが、そんなことはないんですよ。虚偽DVなどを主張され、自分にはまったく非がないと思える場合でも『個別の出来事について、相手の言い分を認められなくても、その時の相手の気持ちがそういうものだったかもしれない』などと言い方を工夫すれば、いくらでも謝ることはできると思います」(土井氏)

 子どもがいて離婚する場合、相手に勝つことを目的にしてはいけない。正論を振りかざし、たとえ相手をこてんぱんにやっつけることができたとしても、相手は子どもの親なのだ。子どもの親同士として最低限かかわれる関係性を保つことが結局は、自分も子どもも幸せにする。

 共同親権制度が、共同養育の土台になることは間違いない。しかしそこには、制度だけでは解決できない心の問題が厳然としてある。離婚・別居後の子どもの幸せのために、私たちにできることは何なのだろうか。(取材・文=上條まゆみ)

離婚しても両親で子育て

出典:令和2年12月25日 日本経済新聞

離婚しても両親で子育て 共同養育を推進、「りむすび」しばはし代表に聞く 「夫婦の感情と切り分けて」

離婚をすると一人で子育てをする親が多い。別居した親と子供の「面会交流」をしていない世帯も半数以上にのぼる。離婚した夫婦双方が子供の養育に関わる「共同養育」を推進している、りむすび(東京・世田谷)のしばはし聡子代表に現状や課題を聞いた。

――自身の離婚の経験が活動の原点となっている。

「息子が小学校4年生のとき、夫へのわだかまりが残ったまま調停離婚をした。息子と夫の面会交流の実施は取り決めたが、夫に...

以下、紙面を参照ください。

身の毛もよだつ写真に絶句……浪費と浮気の果てに夫に子供を連れ去られた妻の後悔

出典:令和2年12月18日 デイリー新潮

身の毛もよだつ写真に絶句……浪費と浮気の果てに夫に子供を連れ去られた妻の後悔

■連れ去り 我が子に会えない親たちの告白3

 ある日突然、妻や夫が子供を連れて家を出てしまう。その日から“制度の壁”が立ちはだかり、我が子に会えなくなる。日本で横行している「連れ去り」の“被害者”は夫ばかりではない。今回は、子供たちを連れて家を出ようとしたものの、夫に見つかってしまい、逆に子供たちを連れ去られてしまった妻の話を紹介する。

■中指を立てた写真

 異様な子供の様子を収めたアルバムがある。

 上から順に、小学6年生の女児、5年生の男児、3年生の女児。彼らの3年間に及ぶ成長の記録だ。アルバムの中には“笑顔”がない。そればかりか、そっぽを向いたり、後ろ姿だったり、顔が見切れたりする写真ばかり目立つのだ。ページをめくっていくと衝撃的な写真に行きつく。

 長男が中指を突き立てて挑発的な目で睨みつけている。隣に立つ次女とともに手に持っているのは、幼い筆致で文字が書かれたメモ用紙だ。目を凝らして文面を確かめると、思わず身の毛がよだつ。

〈死ねくそばばあ しね〉
〈くそあほバー〉

 これらの写真は、3人の子供を連れ去った夫が妻に送ってきたものだ。つまり、この恐ろしいメッセージは、幼い子らが実の母親に向けて送ったものなのである。

 妻は家庭裁判所に子供たちとの面会交流を求めたが認められなかった。代わりに家裁が提案したのが、月に1度、妻が子供らに手紙を送り、夫が子供らの写真を妻に送るという「間接交流」だった。家裁が「子の福祉」を優先して考え、斡旋した結果が、この写真だというのである。

 写真を送られた山中亜希子(30代・仮名)が語る。彼女は3年以上子供に会えていない連れ去り”被害者”だ。

「中指の写真を見た時はショックで思わず仰け反りました。久しぶりに子供たちと“逢える”と、ときめきながら封を開き、出てきたのがこの写真だったので……。悲しみの後、湧いたのが、憤りと不安でした。あの子たちが自発的にこんなメッセージを書くわけがありません。どうしてこんな残酷なことを子供たちにさせるのだろうか。子供たちが心配でなりませんでした」

■できちゃった婚で入籍

 亜希子が夫の龍太(30代・仮名)と出会ったのは、15年前に遡る。関東地方の地方都市で生まれ育った彼女は、地元の高校を卒業後、大手住宅設備機器メーカーに勤務していた。

「夫とは、地元の先輩の紹介で知り合いました。しばらくは友達としてグループ交際していましたが、4年ほど経った頃、男女として付き合うように。私は優柔不断なタイプなんですが、グイグイ引っ張ってくれる彼に惹かれました」

 交際から1年ほどで、妊娠が判明。2007年12月に、新居も定まらないまま新婚生活がスタートした。

「当時は、帰宅が深夜にさしかかるほど仕事が忙しかったので、ちゃんとデートしたことは数えるくらいしかありませんでした。一緒に住んだこともなかったので、よく彼のことを知らないまま結婚してしまったのです。入籍して2ヶ月後に同居するようになって、すぐに彼の問題点に気づきました。まず、ひどかったのは金遣いの荒さでした」

■欲しいものは何でもカードで

 夫はトラックの運転手で、月給は手取りで30万円ほどだったというが、

「貯金はゼロ。車好きで、結婚前から乗っていた『アルファード』の月々7万円のローンが、2年も残っている状態だった。にもかかわらず、『結婚して子供も産まれるんだから新車を購入したい』と言うのです。そして600万円もする『ヴェルファイア』を、ローンを組み直して買ってしまった。一方の私は、どちらかというと倹約家で、貯金は300万円くらいありました。だから、『まあ何とかなるか』と甘やかして買ってしまったのです」

 それだけでなく、買い食いなどの浪費癖もひどく、

「弁当と水筒を持たせても、それでは足りないとコンビニでお菓子やらジュースやらタバコやらと、じゃんじゃん1日2000円くらい使ってしまい、小遣いが足らなくなる。さらに欲しいものは、カードで歯止めなく買う始末。新居に越した際の電気製品や家具などもすべて私の貯金から買い揃えました。出産前に私が会社を辞めて収入が途絶えてしまうと、あれよこれよと、ついには2年ほどで蓄えも尽きてしまいました」

■“裸で待っていてね”浮気相手に送ったメール

 さらに亜希子を悩ませたのが、女癖の悪さであった。

「出産前からすでに、女性の影がありました。夜、電話しながら帰ってくるので、誰だろうと思って、風呂に入っている間に、携帯を盗み見ると、女性と『会いたい』などとメールをしているのです。最初は、子供が生まれて自覚が出れば治るだろう、くらいに思って見過ごしていたのですが、出産日も外泊しようとしたことに気づき、私もブチ切れた。その時、彼は泣きながら土下座し、『もうしません、許してください』と謝ったのです」

 ただ、それはポーズだけで、次の日も同じ女性に連絡していたという。

「その後も『裸で待っていてね』とか、気持ちの悪いメールを送っていました。やがて、私は第二子の長男を妊娠するのですが、まだ浮気が止まらなかったので、その女性に直接電話して『既婚者だから二度と夫と連絡しないでください』と訴えました。でも、一時的に鳴りを潜めても、すぐに浮気を再開。さらに、別の女性とも密会していることまで発覚してしまった」

■義母は言った「避妊手術をしなさい」

 だが、亜希子はひたすら耐え抜こうとした。

「結局のところ、デタラメな夫を受け入れてしまった私も悪かったと思っています。結婚して間もなく最愛の母を亡くしてしまった私は、家庭を守っていきたいという思いが強かった。また私が生来、我慢強い性格だったのも夫を増長させたのかもしれません。私自身は小遣いが月に5000円くらいしかなくても平気で、外に出て働くことも苦ではありませんから」

 長男を出産後、生命保険会社で正社員として働くようになると、

「私が家を開けることをいいことに、彼はどんどん浮気を重ねていきました。金遣いもどんどんひどくなり、クレジットカードの利用額が7万円にも達するように。私が働いても足りないので、夫の実家に無心しなければやっていけないのですが、彼はそれを私にやらせるのです。義母からはやりくりできない私が悪いくらいの言い方をされました。その後、第三子となる次女を身ごもったのですが、義母からは『子供ができないように避妊手術をしなさい』とまで言われました」

■スナックで働き出すと逆に夫が浮気を疑い出した

 11年に次女を出産した時には家計は火の車で、亜希子は日中働いた後、午後10時からスナックでアルバイトをしなければならなくなった。

「夫は時給が2000円と聞くと、『いいじゃないか』と賛成した。義母も『若いうちにしかできない仕事だから頑張りなさい』と反対しなかった」

 この頃、亜希子は生命保険会社を辞め、不動産会社に転職していた。

「この頃の私は、完全にうつ状態になっていました。昼の仕事から夕方、家に戻り、子供たちの食事、入浴を済ませてからの夜のバイトです。一方で、夫の浮気はどんどんエスカレートしていく。昼の仕事が長引いたりすると、夫は子供たちを連れて、浮気相手とその子供たちと一緒に食事するなど、やりたい放題でした。次第に私は家庭に居場所を見出せなくなり、朝食の準備や保育園の送りはやり通しましたが、夜は夫と夫の実家に任せてしまうようになった。すると……」

 今度は夫が亜希子の浮気を疑い出したのである。

「相談相手だった職場の男性と一緒に、夫の浮気現場を抑えようと、夫の跡をつけたことがあったのですが、夫がその人との関係を勘ぐったのです。その人と私が会っていたことを知った夫が、烈火のごとく怒り出して、私を玄関の外に投げ飛ばすという暴力沙汰も起きた」

■連れ去りを決行したが、逆に連れ去られてしまった

 もう離婚しかないと思った亜希子は、16年11月に、夫と同居しながら、家庭裁判所に離婚調停を申し立てた。

「『別居もしないで離婚調停ですか?』と驚かれたくらいレアなケースだったようです。そのくらい私は、この問題について無知でした。子供たちは夫に懐いていましたし、ちゃんと家族が話し合って納得するかたちで離婚したいと、バカ正直に考えていたんです」

 離婚調停が不調に終わって間もなく、亜希子は子供を連れて家を出る決心を固める。だが、計画は準備不足で失敗に終わってしまう。

「荷物をまとめている途中、夫にバレてしまった。そして、一番下の次女が預けられていた保育園に2人が駆け込んで子供を奪い合う事態になったのです。警察を呼んで、すったもんだした挙句、次女は夫の実家に連れて行かれました。その後、小学1年生だった長男も連れ去られ、唯一、小学2年生だった長女だけが『ママといたい』と私についたので、私と長女だけがアパートに別居することになりました」

 本連載を読んできた読者ならば、彼女が明らかに戦略に欠いていたことがお分かりであろう。是非は置いて、彼女にはほぼ確実に子供を奪われずに別居・離婚ができる方法があった。

 まず女性相談所に駆け込み、夫のDVを訴え、シェルターを確保すべきだった。そうすれば、夫がいくら役所で騒ごうとも住民票が閲覧できなくなり、所在がつかめなくなる。そのままひっそり別居生活を積み重ねることで、子供の「監護者」としての権利を勝ち取れる実態が、日本の法制度の中に存在することを彼女は知らなかったのだ。

 もっともこのような「連れ去り」勝ちな現実があるからこそ、日本社会において、子と親が断絶してしまう悲劇が蔓延しているのであり、深刻なDV被害で逼迫している状況でない限り、このような「連れ去り」は間違っている。とはいえ、いま現実として連れ去られた側に立たされた彼女は、中途半端な連れ去りをしてしまったことを後悔しないでいられないのだ。

「実は、当時私は女性相談所にも相談済みで、相談員からシェルターに入ることも勧められていました。けれど、子供たちが友人たちと離れたがっていない様子を知り、思いとどまっていたのです。シェルターに入れば、子供たちは転校を余儀なくされます。長女は保育園時代に仲がよかった友達と中学校で再会することを楽しみにしていました。次女も保育園の友達とずっと離れたくないと言っていましたので……」

■次女が楽しみにしていた遠足

 そうして、夫婦のみならず兄妹までも別々に暮らす新たな生活が始まった。亜希子は毎日のように夫の実家に通い詰めて、2人の子供を返して欲しいと訴え続けたが、まったく取り合ってもらえなかった。次女は『パパに殴られる。ママと一緒に帰りたい』と泣き出したことがあったというが、

「この時も私は強引に連れ戻すことはしませんでした。次女が楽しみにしていた保育園行事の遠足が控えていたからです。それまでは穏便に話し合いを継続していこうと考えました」

 結局、事態が一向に進展しなかったため、17年5月に亜希子は、長男と次女の引き渡しを求める審判と、3人の子供の監護者を自分と定めるよう求める審判を家庭裁判所に申し立てた。同時に2人への面会調停も申し立てた。

■長女までも夫に連れ去られてしまった

 ところが、この頃、新たな問題が発生してしまう。唯一、同居していた長女が学校で授業中にトイレにこもるなどの問題行動を繰り返すようになってしまったのだ。

「かわいそうなことに、長女は、大好きだった弟と妹と会えなくなってしまい、精神的に不安定になってしまったのです。そして、別居から3ヶ月ほど経った7月、彼女はかつて同居していた自宅に1人戻ったところを夫に見つかり、実家に連れ去られてしまいました」

 こうして最後の長女までをも失い、亜希子は独りになってしまったのである。以来、彼女は3年以上、3人の子供たちに会わせてもらっていない。

「長女には私たち夫婦の問題に巻き込んでしまい、申し訳なかったと思っています。兄弟が再び一緒になれたこと自体は良かったのかもしれません。ただ、その後、調べると、子供たち3人は義母の実家で義母が育て、私がこれまで住んでいた家で、夫は浮気相手とその連れ子たちと同棲していることがわかった。つまり、夫は連れ去りをしておきながら、子供たちと暮らしていなかったのです」

■パパに話すように頼まれたことがある

 亜希子は家裁にこのような夫の生活実態も訴えたが、結局、翌18年3月、3人とも監護者を夫とし、引き渡しを却下する審判が下った。亜希子は即時抗告して高裁で争ったが、覆ることはなかった。

「どうして母親なのに監護者になれないの、とよく聞かれるのですが、結局、離婚後は単独親権制度しか認められていない日本では、別居してどちらかを監護者として選ばなければならなくなった際、父母に関係なく、連れ去った者が優位になる仕組みが出来上がっているのです」

 この間に、家裁の調査員調査が入り、子供の聴取も行われたが、

「子供たちは『パパがいい』『ママが嫌いになってきた』などと答えています。ただ、これは彼らの本心ではないのです。それは誰よりも、彼らと暮らしてきた私自身がよくわかっています。彼らは同居している夫や義母の顔色をどうしても伺い、そう言わされているに違いありません」

 調査員がまとめた調査報告書には、このような記述がある。

〈長男は「お話しできたら、パパがトイザらスで玩具を買ってくれる。」と答えた。「パパに話すよう頼まれたことがあるのかな。」と聞くと、ある、と言うので、長男に「パパに話すよう頼まれたことを話して。」と伝えると、長男は「●●(地名)のうちにいるときにママからちょっとしたことで髪を引っ張られたり、パンチされたりした。」、「宿題するのが遅いと言って、げんこつされた。」と話した〉

■浮気は監護者の適性には関係ないと指摘した裁判所

 亜希子は語気を強める。

「夫がおもちゃで子供を釣って、母親を悪く言うよう仕向けているのは明白です。明らかな片親疎外(※同居親が子供に不適切な言動などを取ることで、別居親との関係が破壊されること)が起きているにもかかわらず、裁判所はそこに一切注目せず、監護者を変更すると、子供たちの心身の安定が損なわれると言うのです」

 争点の一つである夫の浮気については、家裁では認められなかったが、高裁では認められた。だが、判決文にはこうある。

〈(不倫が)不適切な行為であることは当然であるが、このことにより直ちに相手方が未成年者らの監護者として不相応となるわけではない〉

 この指摘についても、

「到底納得できません。いま彼は、子供たちと事実上、別居しており、不倫女性と同居生活を続けているんです。そんな父親が本当に正当な監護者と言えるのでしょうか。子供たちは母だけでなく、父も共に失っているような状況にありながらも、裁判所は問題ないと言っているのです」

■破り捨てられた手作りの手紙

 この間、平行して行っていた面会交流調停では、18年5月に、手紙や写真を送り合う「間接交流」で暫定的に合意した。
 毎月1度、亜希子が手紙を書いて送り、夫も子供たちの写真を送るという取り決めだ。だが、冒頭で紹介した通り、送られてきた写真は、母を拒み、憎むような仕草をばかりした子供たちの姿だった。

「こういう写真を送りつけられることで私がショックを受けるのを狙った、夫の嫌がらせなのでしょう。送られてきた写真の中には、私が送った手作りの手紙を子供たちが手で引き裂いたり、ハサミで切り刻んでいる様子が写ったものもあります」

 このような行為をさせていることが、「子供の福祉」に反しているのは言うまでもあるまい。亜希子は昨年、2回目の面会交流調停を申し立てた際に、この写真についても訴えたが、

「逆に裁判所は、このような間接交流は良くないといって、写真を2ヶ月に1回に減らしてしまったのです。明らかな『片親疎外』が起きているのですから、すぐにでも面会交流を行い、母子関係を修復すべきでしょう。日本の家庭裁判所は目が曇っているとしか言いようがありません」

■連れ去りは残酷な行為です

 子供らと会えなくなって3年以上になるが、いまも彼女は毎月、欠かさず子供たちへ手紙を書き続けている。離婚はできない。なぜなら、離婚後は単独親権制度となっている日本では、離婚と同時に親権も失ってしまい、法廷闘争で不利な立場に立たされてしまうからだ。

 いま亜希子は再度、面会交流調停を申し立てる準備に入っている。また昨年から今年にかけて、同じような連れ去り被害に遭っている父母らとともに、国の不作為を問う国家賠償請求訴訟を2件起こした。

「絶望的な状況ではありますが、ここであきらめてしまえば子供たちとのつながりが切れてしまう。あの子たちのためにも、やれることは全てやろうと思います。おそらく子供たちは、夫から相当なことを吹き込まれ続けているでしょうから、私を憎んでいるかもしれません。でも、彼らは何があっても私にとって大切な子供たちです」

 亜希子が返す返すも後悔するのは、用意周到に「連れ去り」を決行しなかったことである。

「子供を第一に考え過ぎた結果、こうなってしまいました。子供たちには夫婦の争いに巻き込んでしまい、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。ただ誓って言えるのは、もし私の連れ去りが成功していたとしても、子供たちを夫や義母に自由に会わせていたと思います」

 なぜなら、と亜希子は言葉を継ぐ。

「私にとって最悪な夫ではありましたが、彼らにとっては父親に違いないからです。私がいま、身をもって経験していますが、子供と親を引き裂く連れ去りは本当に残酷なことです。人間である限り、夫婦の仲が壊れることはいつ何時でも起こりえる。このような悲劇が起きない社会になってほしいと切に願っています」

週刊新潮WEB取材班

「お父さん、次はいつ会える?」 自由な面会求め、子どもが国を提訴

出典:令和2年12月16日 47NEWS

「お父さん、次はいつ会える?」 自由な面会求め、子どもが国を提訴

 夫婦の離婚などで一緒に住めなくなった親子をつなぐ「面会交流」。2020年11月、別居中の親子ら17人が「法の不備で自由に面会交流できないのは憲法違反だ」と、東京地裁に国家賠償請求訴訟を起こした。これまでも同種の訴訟はあったが、子どもが原告に加わるのは初めて。「お父さん、次はいつ会える?」。原告たちは取材に、幼い頃に家族がばらばらになり、心に負った深い傷を明かしてくれた。背景には親の立場を重視し、片方にしか親権を認めない「単独親権」という法的枠組みがあり、国は見直しに慎重だ。他方、子どもの権利を尊重し、先んじて面会交流支援に乗り出した自治体もある。(共同通信=寺田佳代)

 ▽離れ離れの生活がフラッシュバック

 「もっと面会交流が多く実施されていれば、ここまで苦しまなかったかも」。原告の一人の千葉県の男性(20)は提訴後に記者会見し、家族と会いたくても会えなかった過去を振り返り、せきを切ったように話した。

 2011年、両親が不仲となり、男性は弟と一緒に千葉県の自宅から母の実家がある北海道へ連れて行かれた。当初は新生活にわくわくしていたが、やがて千葉にいる父や友人を思い出し「今はどうしているのか」と不安が募った。中学進学後、気づけば学校に通えなくなっていた。独りで千葉の父親の元へ戻ったが、母側代理人から面会を拒絶され、今度は弟とも会えなくなった。

 中学3年の時に再び北海道に戻ると、母は知らない男性と一緒に住んでいた。母は外泊も多く、弟が家で1人の日も多かったという。  現在は父側に親権が認められ、父と弟と3人で暮らす。だが家族が離れ離れだった昔の生活のフラッシュバックに苦しみ、動悸(どうき)も激しくなるという。弟も育児放棄などによる精神的ダメージを受けたとみられ、今年9月に兄弟ともに心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。

 男性は「当時は、『父に会いたい』と言うことが、母の負担になるのではないか、と思っていた」と話す。「自由に面会できれば素直に本音がさらけ出せたかもしれない。離れていても、家族に気持ちを伝えたい瞬間はあるはず」と訴えた。

 ▽離婚、次第に会えなくなり…

 12歳の中学1年の男子生徒も、提訴前に取材に応じてくれた。原告最年少だ。10年前に両親が離婚し母親に引き取られたが、父親とは月1回会っていた。朝、生徒の家の最寄り駅に待ち合わせ、街をぶらぶらしながら夕方に別れるのがいつものコースだった。

 ところが小学5年のころから「次はいつ会える?」と聞いてもはっきりと返事がなく、その後面会を断られることが増えた。「お父さんは信頼できる存在。面会交流の日は毎回、次も会えると思っていた」と話す。

 母親によると、元夫は別の女性と再婚し、養育費の減額も求めてきたという。母親は「親の感情や状況の変化で、面会が不安定になるのは良くない。安定して会える基準がほしい」と話す。「本当はもっと会える回数を増やしたい」。生徒は心の内を漏らした。

 ▽世界の主流は、離婚後も双方に親権

 「面会交流の頻度で1番影響を受けるのは子どもなのに、日本の法制度は、子を個人として見ておらず、意見が尊重されない」と原告側代理人の作花知志弁護士は訴える。日本の民法は、離婚すると父母の一方しか子の親権を持てない「単独親権」を採用。親権がない親は子育てに関われず、面会も十分にできないケースがよくある。

 一方、海外は離婚後も父母の双方が親権を持つ「共同親権」が主流だ。法務省の調査では、欧米やアジアなどの24カ国中、日本と同様に単独親権のみの国はインドとトルコだけだった。

 「離婚で親権を失い子育てに関われなくなった」、「国は共同親権制度の立法を怠った責任がある」。近年、離婚した親らが、単独親権は法の下の平等などを定めた憲法に反するとし、国に損害賠償を求める訴訟が相次いで起こされている。

 共同親権導入に向け活動する「子育て改革のための共同親権プロジェクト」発起人の松村直人さん(48)は、離婚後は母側に親権が渡り女性が子育てをするケースが多いとし、「単独親権が男女不平等を招き、男性の育休取得推進や女性の活躍をうたう、時代の流れと矛盾している」と主張する。

 ▽「子どもに悪影響」と慎重論も

  国も重い腰をあげた。2019年11月から法務省は、共同親権導入の是非について、各省庁担当者や有識者らによる「家族法研究会」を発足させ、議論を重ねている。ただ、共同親権は父母の対立や虐待、ドメスティックバイオレンス(DV)などがあった場合、問題が離婚後も持ち越されて子どもに悪影響が生じる恐れがあるとして慎重意見も根強い。

  一般社団法人「ひとり親支援協会」(大阪市)の今井智洋代表理事もその一人。「元配偶者のDVやモラルハラスメントに悩み、子どもに波及することを心配するシングルマザーは多い。共同親権の導入を議論するにしても、そうしたケースへの配慮は絶対に必要だ」と話す。一方で「離婚後も父母がともに子育てにかかわる『共同養育』がうまく行くケースもある。子どもの権利である養育費の確保は大前提の上、離婚前後の状況によって面会交流を個々に検討できる仕組み作りが大切」と指摘する。

 ▽自治体が面会支援に汗

  直接の話し合いが難しい両親の間に入る形で面会交流を支援しようと、新たな取り組みを始めた自治体がある。兵庫県明石市は市内の中学生以下の子どもを対象に、別居の親との面会交流を深める場として、市立天文科学館を無料で観覧できる事業を実施。また親子交流支援アドバイザーらが面会の日程調整などを助け、2017年以降、17組の親子が170回以上面会したという。

 厚生労働省も自治体による面会場所のあっせんや付き添いなどの支援事業費を補助。18年は9自治体が利用した。明石市の担当者は「なかなか他の自治体が後に続いていないのが実情。子どもが精神的にも経済的にも影響を受けないよう、国や県はもっと体制づくりをしてほしい」と話す。

 早稲田大の棚村政行教授(家族法)は、親同士の対立から子を守る視点で、支援者の養成や行政の助成が必要だと指摘。親の立場を基に、親権制度を発想している日本の実情を踏まえ「単独親権と共同親権の選択制が適しているのではないか」と話している。(おわり)

「わが子に会えぬ」悲痛な訴え 新型コロナ、別居親子の「面会交流」に影響 「感染防止」理由に拒否も

出典:令和2年12月15日 千葉日報

「わが子に会えぬ」悲痛な訴え 新型コロナ、別居親子の「面会交流」に影響 「感染防止」理由に拒否も

 収束のめどが立たない新型コロナウイルスは、離婚などにより別居する親子らが定期的に会う「面会交流」にも影響を及ぼしている。感染防止を理由に子どもと同居する配偶者から面会を拒否されるケースが多く、オンラインでの交流ができなくなっている人もいる。「わが子がどのような環境に置かれているのか分からない」と親からは悲痛な声が上がっている。

 13日、千葉市中央区のJR千葉駅前。オレンジ色のジャンパーやズボン、マスクを身に着けた県内外の約20人が集まり、離婚後も両親がともに子どもの親権者となる「共同親権制度」の導入を街頭で呼び掛けた。

 会場には夫や妻との離婚は成立していないものの別居中で、子どもとの面会交流が途絶えている人の姿も。市原市内の実家に身を寄せている30代女性は、会員制交流サイト(SNS)で街頭活動を知り母親と参加した。

 女性は東京都内で夫と子ども2人の4人で暮らしていたが、今年1月に子どもたちと引き離された。弁護士を依頼し夫側と協議した結果、2、3月に子どもたちと面会できた。だが、4、5月は新型コロナを理由に会わせてもらえなかった。

 6月以降は直接会ったりテレビ電話で子どもたちの様子を知ることができたが、11月中旬の面会を最後にテレビ電話での交流も一方的に打ち切られてしまった。女性は「長男とは生後3カ月で別れた。2人の誕生日を祝うこともできず、今はどのような状況にいるのか全く分からない」と苦しい胸の内を明かした。

 茨城県から駆け付けた40代男性も長女と交流できない状態が続いている。長女とは今年3月まで定期的に面会してきた。4月に入ると新型コロナの感染拡大に伴う緊急事態宣言が出され、妻側は宣言発令などを理由に面会を拒否してきた。

 男性は長女とのオンラインでの面会交流や携帯電話での会話を求めたものの、実現していないという。11月、別居中の親子らが法の不備で自由に面会交流できないのは違憲として、国家賠償請求訴訟を起こした。男性は訴訟の原告の一人で「コロナの感染拡大を機に子どもとの交流を断絶させられている人は多い」と指摘する。

 千葉県内の40代男性は4年前から3人の子どもと別居している。子どもたちとは1カ月に2回の面会交流が決まっていたが、今は自由に会えていないという。

 子どもたちは近くに住んでおり、公共交通機関は使わず自分の車で送迎するなど感染対策には注意を払ってきた。それでも、妻は感染防止を理由に子どもに会わせるのを拒否。男性はオンラインでの面会交流も検討したというが「1回でもオンラインで面会すれば、そのまま会う機会がなくなり、ビデオ通話だけで済まされてしまうかもしれない」と不安を口にした。

離婚後も親子が会える「共同親権社会」の実現を、「プペル」で支援しよう

出典:令和2年11月16日 アゴラ

離婚後も親子が会える「共同親権社会」の実現を、「プペル」で支援しよう

牧野 佐千子 ジャーナリスト

夫婦が離婚したあとも、子どもに対して父親と母親の両方が親権を持つ「共同親権」化への法改正に向けて、全国各地でイベントや街宣活動等が行われ、国家賠償訴訟も次々と提訴されている。離婚後も親子が当たり前に会える共同親権社会の実現に向けて、今、大きな「うねり」が起きている(拙稿:親子を引き離す「単独親権制度」を放置:父母6人が国を提訴参照)。

日本ではこれまで、離婚すると夫婦のどちらかだけが親権を持つことになる「単独親権」制度のもと、離婚後に子どもが一方の親と会えなくなったり、一方の親が親権を取るために無理やり子どもを連れ去るなど、子どもの人権を無視した制度が問題となっていた。EUやアメリカオーストラリアからも、親と引き離されない権利などを謳った「子どもの権利条約」等に反すると日本政府に非難の声があがっている。(EUが日本非難!「子ども連れ去り」を止める法改正を
これまでは、子どもに会えなくなった別居親に対して「家庭内暴力(DV)など、問題がある親」だから会えなくしているとの誤解が多く広まっており、共同親権を推進する別居親らの当事者団体の活動も、多くは「DV親が子どもと逃げた母親を脅している」などと中傷されてきた。(被害を訴えたもの勝ち?DV支援措置は「不貞がバレない」欠陥制度か
そこに立ち上がったのは、離婚しても夫婦の関係は子どもに持ち込まず、協力して子どもを育てたいという「シングルマザー」や「別居親の母」たちだった。(新法務大臣・上川氏は、親子引き離し当事者の声に答えられるか
このほど、「離婚後も協力して子どもを育てたい」との想いを共有するシングルマザー団体と別居親団体が協力し、5400人のひとり親家庭の子どもに、一冊ずつ絵本『えんとつ町のプペル』を贈るクラウドファンディング・プロジェクト「I’m poupelle project」を立ち上げた。

なぜこの絵本なのかというと、プペルの物語は「父を失い母と二人で暮らす少年が、父の魂に出会える物語だから」だという。吉本興業発のクラウドファンディング『シルクハット』上で絵本を贈る資金を募る。支援は、2500円から30万円までリターンに応じて選ぶことができる。12月25日までで、目標金額は13,500,000円。
絵本はこちらのサイトで全編公開されている。
プロジェクト立案者の尾崎さんは、一般社団法人「ハートフルファミリー」のボランティアスタッフとしてシングルマザーの自立支援の仕事をしており、プロジェクトは同団体の協力を得て企画されたもの。
同団体代表理事の藤澤哲也さんは、自身も幼少期に両親が離婚。会いたいと願いつつも父親に会えず、大人になってからようやく父親と再会できた経験がある。プロジェクトの話を聞き、「子どもは父親に会いたいと思ってる。父親が会いたいと思い続けていれば、それは子どもに必ず伝わるはず」と、協力を快諾した。
尾崎さんは、「『えんとつ町のプペル』を子ども達や大人が読む事で、世の中がもっと優しくなれると信じています。会えなくても子どもを思うパパがいること、パパに会いたいのに会えない子どもたちがいることを、このプロジェクトを通じて多くのひとに知って頂ければと願っています」と話す。
引き離されて、それでも会いたい多くの父と母、子どもたちの想いを乗せて、共同親権の社会は、もう目の前に来ている。

離婚と面会交流 子の権利、より重視を

出典:令和2年11月16日 茨城新聞

【論説】離婚と面会交流 子の権利、より重視を

離婚で離れ離れになった親と子、祖父母と孫が、法の不備により自由に会えなくなり精神的苦痛を受けたとして、東京や静岡、京都などの男女17人が国に損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。面会交流は幸福追求権を定める憲法13条で保障された基本的人権とし、それを不当に制限されるのは重大な人権侵害で違憲と主張している。

離婚後も父母が共に子の親権を持つ共同親権制度が主流の欧米とは異なり、日本は、どちらか一方が親権者となる単独親権制度をとっている。年間約20万組以上の離婚の9割を占める協議離婚では、夫婦が話し合いによって親権者を定め、面会交流や養育費の分担について取り決めをする。

夫婦間で話がまとまらないときは家庭裁判所が調停・審判で判断することになる。しかし、そうやって面会交流の頻度や方法などで合意しても、親権を持ち、子と同居する親が一方的に、ほごにしてしまうことも多いとされ、近年、単独親権制度は法の下の平等を定める憲法に反するなどとして国家賠償請求訴訟が相次いで提起されている。そうした中、面会交流は親同士の問題ととらえられがちだが、子にとっても、かけがえのない権利だ。法務省は有識者や関係省庁の担当者らの「家族法研究会」で共同親権導入や面会交流の促進について議論を重ねている。子の権利をより重視した仕組みにつなげていくことが求められよう。

訴状などによると、原告の40代父親の場合、2018年3月に妻が子を連れて実家に戻り、その年10月の調停による合意を経て今年3月まで月1回、7時間の面会をした。だが4月以降は新型コロナウイルスの感染拡大を理由に拒否され、会えていない。家裁に面会交流の履行勧告を出すよう申し立て認められたが、無視され続けている。

やはりコロナ禍を理由に元妻から2人の子との面会を拒否されている40代父親は「面会交流に強制力はなく事実上、同居親の自由裁量になっている」と批判している。

子の立場で原告に加わった20歳と16歳の兄弟は11年に両親が不仲になり、母親の実家に。兄はその後、不登校となり、父親の元に戻ったが、母親側から2年余りも弟との面会を拒絶された。一方、弟は母親が交際相手と同棲(どうせい)するなど育児放棄に遭い、父親とは約5年間会えなかった。兄弟は現在、父親と暮らすが、今年9月に2人とも心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。

では、どうすれば、子の人生にも大きな影響を及ぼす面会交流をスムーズに行えるか。家族法研究会では、共同親権導入の是非が焦点になっている。法務省が調べたところ、欧米やアジアなどの24カ国のうち、日本と同じ単独親権のみはインドとトルコだけだった。

ただ離婚した父母が共同で親権を行使する場合には、進学など子に関する意思決定がしにくくなったり、ドメスティックバイオレンス(DV)など夫婦間の対立が離婚後に持ち越されたりする恐れも指摘されており、慎重意見は根強い。単独か共同かを選択できるようにする案も出ている。

また面会交流の義務付けを求める親も多い。家庭内に国がどこまで介入するかという問題はあるが、少なくとも子が望むなら、その機会を万難を排して確保する道筋を見いだす必要があろう。

面会交流のルールを法制化しない国を子や親族が訴えた!

出典:令和2年11月15日 日刊ゲンダイ

面会交流のルールを法制化しない国を子や親族が訴えた!【「表と裏」の法律知識】

 親が離婚した後に、離れ離れになった親と会えないのは国が法整備を怠ったからだと、面会交流ができなかった子どもやその親族が国を訴えました。

 親権者をどちらにするかだけでなく、別居親と子どもとの面会問題は、離婚事案で争いになることが本当に多いです。

「○○してくれないなら、子との面会を拒否したい」と子どもとの面会を交渉カードにしようとする同居親を何度も目の当たりにしています。

 子どものいる夫婦が離婚しようとするとき、多くの場合どちらかが子どもを連れて家を出て別居状態になります。例えば妻が子どもを連れて家を出る場合、妻の夫に対する嫌悪感などから、夫が子どもとの面会要求をしても、これに直ちに応じないことがままあります。その場合の拒否の理由として、家庭内暴力(DV)があったこと、面会時に子どもを連れ去られてしまう危険があることのほか、子どもが面会を望んでいないなどと主張する妻もいます。

 妻が、子どもとの面会に応じさせない場合、夫は調停や審判がまとまるまで、相当長期にわたり、子どもと会うことがかなわない事態に陥ってしまいます。

 さらに、離婚後の親権・監護権について、家庭裁判所は、(さまざまな考慮要素がありますが)子どもの別居後の生活環境を変えない方が子どもの福祉に適することを重視して、子どもと一緒の親側に親権・監護権を認める判断をする傾向もあります。

 また、面会交流のルールをせっかく定めても、「急な予定が入った」「子どもの体調が悪い」「面会をすると子どもが夜寝なくなる」などの理由で、一方的に面会を拒否するケースもみられます。

 これが海外でも批判される日本の「連れ去り勝ち」の現状です。

 両親との関わり合いは、子どもの心身の発達にとても重要であることはいうまでもありません。しかし日本の法律では、別居親と子どもとの面会についての義務やルールが明確に定められていないため、別居親が子どもに全く会えない極めて理不尽な状態に陥っている場合も多いです。

 今回「面会交流をさせてもらえなかった子どもたち」が立ち上がったことは、今の日本の法律や家裁の判断に一石を投じる、重要な意味を持つでしょう。
(髙橋裕樹/弁護士)

別居親との「面会交流権」制定を 子が初の原告、国を提訴 東京地裁

出典:令和2年11月12日 毎日新聞

別居親との「面会交流権」制定を 子が初の原告、国を提訴 東京地裁

 離婚や別居によって親に会えなくなったのは、国が親子の面会交流権を定める立法を怠ったからだとして、父母の別居時に未成年だった子3人が11日、1人当たり10万円の国家賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。代理人によると、父母が原告となる同種訴訟はこれまでもあったが、子が原告になるのは初めてという。

 訴状によると、原告は0~10歳だった2008~11年、父母の事情によって片方の親と別居するようになった。当初は別居する親と面会できていた子もいたが、同居する親の妨害や別居する親の再婚によって、別居する親と面会ができなくなったとしている。いずれの家庭も父母は離婚したという。
 民法は父母が協議離婚する際、子の利益を考慮して別居する親との面会交流の仕方を取り決めるよう求めているが、具体的な権利や義務の規定はない。
 原告側は、親子が触れ合いの時間を持つことは、当然に求められる人権だと主張。子が別居する親との面会を希望しても、同居する親の同意がなければ自由な面会交流が実現できない状況が続いているとして、立法の必要性を訴えている。訴訟には、別の家庭の親や祖父母ら14人も原告に加わっている。
 10歳の時に母の実家に連れられ、父と別居した千葉県の原告男性(20)は提訴後に記者会見。父との面会は途絶え、不登校になった際も相談できなかったとし、「同居する母に気を使っていた面があったが、父に会えていれば気が楽になっていたと思う」と語った。
 法務省民事局参事官室は「訴状が届いていないのでコメントは差し控える」とした。【遠山和宏】

別居親子の面会困難「人権侵害」 子どもらが国提訴、法整備求める

出典:令和2年11月12日 東京新聞

別居親子の面会困難「人権侵害」 子どもらが国提訴、法整備求める

 離婚などで別居した親子らの面会交流について、法の不備で不自由を強いられ、憲法が保障する基本的人権を侵害されたとして、10~20代の子ども3人を含む男女17人が11日、国に1人10万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。原告側によると、面会交流を巡る訴訟は各地で起こされているが、子どもが原告となるのは初めて。
 民法では父母が協議離婚する場合、一方を親権者に定めなければならないと規定。2011年の法改正で、子どもとの面会交流は、子の利益を最も考慮して決めることが盛り込まれた。だが、実際には取り決めが守られないケースもある。

※以下、紙面を参照ください。

別居の親子いつ会える 離婚後の面会交流「不十分」提訴

出典:令和2年11月11日 朝日新聞

別居の親子いつ会える 離婚後の面会交流「不十分」提訴

 離婚などで別居した子どもと親らが定期的に会える「面会交流の制度」が不十分だとして、男女17人が11日、国に計170万円の賠償を求めて東京地裁に提訴した。子どもと会えなくなった親による同様の訴えは過去にも例があるが、この訴訟では子ども3人が初めて原告に加わった。
 面会交流をめぐっては東京高裁が8月、子どもの権利条約について「子の面会交流の権利を尊重する規定だが、親の権利を保障したものとはいえない」と判断し、親が原告となった訴えを退けた。今回は子どもが原告に参加しており、「新しい司法判断が出るかもしれない」(原告代理人の作花知志弁護士)という。
 原告側は訴状で、親子らの面会ができないのは憲法が保障する「基本的人権」を侵害するとし、離婚後の親子面会の必要性を主張した。その上で、法務省や学者らでつくる「家族法研究会」が、別居中や離婚後の子どもの養育のあり方を議論していることをふまえ、新たな面会交流の制度について「国会が立法義務を負うべきだ」と訴えている。

 提訴後の会見には、10歳のときから母の実家で過ごし、父と会えない時期があったという千葉県の男性(20)が原告の一人として参加。母に迷惑をかけたくない気持ちから父に会いたくないと思い込んでいた当時を振り返り、「別居中かどうかに関わらず、父母に甘えたい、頼りたい瞬間はある。面会制度など法律がしっかりあれば、子どもも本音を話しやすい」と話した。
 被告側の法務省は「コメントは差し控える」としている。(新屋絵理)

会えぬ父に募る不安「できるなら、毎週末、会いたい」

原告の一人で、都内に住む男子中学生のコメント(要旨)
     ◇
 僕のお母さんとお父さんは離婚して、お母さんと一緒に暮らしています。お父さんとは月に1回、会っていました。僕はお父さんのことが大好きです。会っているときは楽しいです。ゲームの話をしたり、一緒に映画を見たり、お母さんとはしない遊びをして過ごすからです。
 小学5年生の時からお父さんと会えないことが増えました。電話やメールで次に会える日を尋ねても、返事が1カ月くらいもらえないこともよくあります。会いたい、もっと会いたいと言って、会う回数が減ったら嫌だなと思い直接言ったことはありません。次はいつ会えるのか、とても気になります。
 それだけではなく、本当は、もっと会える回数を増やしたいです。裁判所の調査官の報告書には、お父さんが面会交流に消極的だから、現状を変える必要はない、と書かれていました。
できるなら、毎週末、会いたいです。お父さんと会えるなら、他の予定より優先します。
 もっとたくさん会いたい。今は不安がいっぱいです。

相談にも乗れず「親として当たり前のことすらできない」

原告で、3人の子どもと離れて暮らす千葉県の女性(38)のコメント(要旨)
     ◇
 夫の不貞が原因で、子どもを連れて別居することを決めました。しかし夫は、次女、長男、長女と次々に私の同意なく連れ去り、3年以上会うことも、声を聞くこともできません。
 夫が承諾したのは手紙の送付のみでした。
子どもたちへ「大好き」を伝えるために、毎月手作りのカードを作って送っていました。
 新型コロナウイルスの影響でマスク不足のなか、面倒を見てくれている夫の実家家族にマスクを届けたときは、「曽祖母と連絡をとるな」という連絡とマスクが着払いで送り返されてきました。
 マスクを届けた際に曽祖母から、夫は不貞相手と不貞相手の連れ子と同居していること、長男が不貞相手の子どもたちにいじめられているとも聞きました。
 母親として子どもたちの成長を見守りたい、日常や学校での様子を知りたい、困ったとき悩んでいるときに相談に乗りたい、力になりたい。そんな親として当たり前のことすらできません。離れて暮らしていても何の制限もなく子どもと会い、子どもたちに直接愛を伝えることを、当たり前のことと認めていただきたいです。

別居後の親子面会困難は「人権侵害」 子らが国提訴

出典:令和2年11月11日 日本経済新聞

別居後の親子面会困難は「人権侵害」 子らが国提訴

離婚などで別居した親子らの面会交流について、法の不備で不自由を強いられ、憲法が保障する基本的人権を侵害されたとして、10~20代の子ども3人を含む男女17人が11日、国に1人10万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。原告側によると、面会交流を巡る訴訟は各地で起こされているが、子どもが原告となるのは初めて。

 面会交流の権利が侵害されているとして国を提訴後、記者会見する原告側(11日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ)=共同
民法では父母が協議離婚する場合、一方を親権者に定めなければならないと規定。2011年の法改正で、子どもとの面会交流は子の利益を最も考慮して決めることが盛り込まれた。だが、実際には取り決めが守られないケースもある。
訴状では、両親が別居しても「親と子、祖父母と孫が触れ合いの時間を持つことは基本的人権だ」と指摘。欧米と異なり、面会交流についての権利義務関係の具体的な規定がないとし「長期間放置している国の立法不作為で違憲だ」と主張している。
原告側代理人の作花知志弁護士は「一番影響を受けるのは子どもなのに、親の都合で面会の権利を奪われている。早急な法整備を求めたい」と話した。
幼少期に両親が離婚し、母親と暮らす原告の男子中学生は父親と半年以上会えない状態が続く。提訴後、東京都内で開かれた記者会見で「次はいつお父さんに会えるのか、日にちと時間をしっかり決めてほしい」とのコメントを出した。
〔共同〕
 

「離婚後の面会交流」法整備求め子らが提訴

出典:令和2年11月11日 NHK

「離婚後の面会交流」法整備求め子らが提訴

親が離婚した後に離れて暮らす親と会えなくなったのは国が「面会交流」についての法整備を怠っているためだとして、面会交流ができない子どもや親が国に賠償を求める訴えを起こしました。
平成23年の民法の改正で、子どものいる夫婦が離婚する場合には、親子が定期的に会う「面会交流」について、子どもの利益を最優先に考えて取り決めをするよう求めていますが、義務とはされていません。

東京に住む中学生など、親の離婚後に親と会えなくなった子どもや、子どもと会えなくなった親など17人は、国が面会交流の法整備を怠り、具体的な権利や義務を決めていないため面会が実現しなかったとして、国に対し1人あたり10万円の慰謝料を求める訴えを東京地方裁判所に起こしました。

弁護団によりますと、面会交流をめぐって子どもが国を訴える裁判は初めてだということです。

子どもの立場で訴えを起こした20代の男性は会見で「離れて暮らす親の様子が分かるように面会交流ができていればここまで苦しむことはなかった。同じ体験をする子どもを増やしたくない」と話していました。

また、訴えを起こした男子中学生は「僕はお父さんのことが大好きです。いつ会えるのか、会える日にちと時間をしっかりと決めてほしいです」などとするコメントを出しました。

原告の代理人の作花知志弁護士は「面会交流に関して、日本は諸外国と比べて大きく遅れているので、この裁判で新しい判断を示してほしい」と話しています。

別居親子の面会困難「人権侵害」 子どもらが国提訴、法整備求める

出典:令和2年11月11日 共同通信

別居親子の面会困難「人権侵害」 子どもらが国提訴、法整備求める

 離婚などで別居した親子らの面会交流について、法の不備で不自由を強いられ、憲法が保障する基本的人権を侵害されたとして、10~20代の子ども3人を含む男女17人が11日、国に1人10万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。原告側によると、面会交流を巡る訴訟は各地で起こされているが、子どもが原告となるのは初めて。
 民法では父母が協議離婚する場合、一方を親権者に定めなければならないと規定。2011年の法改正で、子どもとの面会交流は、子の利益を最も考慮して決めることが盛り込まれた。だが、実際には取り決めが守られないケースもある。

面会交流の法整備求め離婚、別居した親、子、祖父母らが国家賠償提訴へ

出典:令和2年11月2日 東京新聞

面会交流の法整備求め離婚、別居した親、子、祖父母らが国家賠償提訴へ

離婚などによって別居することになった親と子の面会交流が、当初の取り決め通り果たされないケースが後を絶たない。民法に実行させる規定がないためで、面会を拒否され子と会えなくなった別居親たちが、法の整備を怠った国の責任を問うため今月、国家賠償を求める訴えを東京地裁に起こす。親子のつながりを保てる法の整備も促す。(佐藤直子)

※以下、紙面を参照ください。

親子を引き離す「単独親権制度」を放置:父母6人が国を提訴

出典:令和2年10月22日 アゴラ

親子を引き離す「単独親権制度」を放置:父母6人が国を提訴

牧野 佐千子 ジャーナリスト

夫婦が離婚する時に子どもの親権がどちらか一方にだけとなる「単独親権制度」によって、子どもと会えなくなるなどして精神的なダメージを受けたとして、子どもと引き離された経験を持つ父母6人が、こうした制度を存続させている国を相手取り、21日、慰謝料として150万円ずつ計900万円を求めた国家賠償請求訴訟を東京地裁で起こした。

離婚時の親子の引き離しや共同親権に関する国家賠償請求訴訟の動きは、2018年から沸き起こり、これで5件目。同様の訴えの動きは全国に広がっており、今後の国賠訴訟の連鎖が続きそうだ。
提訴後の記者会見では、離婚後に娘に会えなくなった原告の女性が「子どもがどんなふうに成長しているのか全然わからない。娘がどうなっているのか本当に心配。このような問題をみなさんに知ってもらいたい」と訴えた。
原告側の平岡雄一弁護士は、「憲法13条の幸福追求権には、両親が離婚しても、親子は親子であるというごく自然な『自然親子権』が保障されているはず」と主張。日本も批准している「子どもの権利条約」でも、子どもがその父母の意思に反して父母から分離されないことを確保するとしている。
だが、日本では民法819条によって夫婦のどちらか一方に親権を決める「単独親権制度」によって、離婚時に親権が一方だけに付与され、もう一方の親は、子どもと会えなくなり、連絡も取れなくなるなど、「親子の引き離し」が通例となっている。
原告側の小嶋勇弁護士は、単独親権制度は「憲法や、条約に違反する状態が続いており、この状態を放置し現在に至っている国会の立法不作為の違憲性・違法性を指摘したい」とこの訴えの意義について述べた。

近年、国際結婚の増加に伴い、日本人の配偶者に子どもを引き離される外国人当事者も増加。今年7月には、EU議会がこれについて非難決議を可決するなど、国際問題化している。

関連拙稿:「EUが日本非難!『子ども連れ去り』を止める法改正を」

実の親であっても、子どもを連れ去りもう一方の親と引き離すことは明確に違法とし、離婚後の共同養育計画書の提出を義務付けるなど、法改正を含めた早急な対策が求められている。

これまでの共同親権 / 子の連れ去り関連集団訴訟は以下の通り。(参考:作花共同親権訴訟
1. 面会交流違憲立法不作為集団訴訟
【経過】2018年3月8日東京地裁提訴、2019年11月22日棄却(前澤達朗裁判長)、2020年8月13日東京高裁棄却(白石史子裁判長)【代理人】上野晃弁護士【原告】14名
2. 共同親権訴訟(離婚後単独親権違憲訴訟)
【経過】2019年3月東京地裁提訴【代理人】作花知志弁護士 【原告】1名【次回期日】2020年11月11日(水)午前11時~ 東京地裁526号法廷
3. 養育権侵害国家賠償請求集団訴訟
【経過】2019年11月東京地裁提訴【代理人】稲坂将成弁護士・古賀礼子弁護士・富田隼弁護士【原告】12名【次回期日】2020年12月10日(木)午前10時~東京地裁803号法廷
4.【作花家族法訴訟②】子の連れ去り違憲集団訴訟
【経過】2020年2月東京地裁提訴【代理人】作花知志弁護士・大村珠代弁護士 【原告】14名【次回期日】2020年11月18日(水)午後1時30分~東京地裁626号法廷
5. 共同親権国家賠償請求集団訴訟
【経過】2020年10月21日東京地裁提訴予定【代理人】小嶋勇弁護士 ・佐田理恵弁護士・平岡雄一弁護士【原告】6名
6. 自由面会交流集団訴訟
【経過】2020年11月11日提訴予定【代理人】作花知志弁護士 【原告】十数名

離婚後の単独親権「違憲」と提訴 幸福追求権の侵害訴え

出典:令和2年10月22日 朝日新聞

離婚後の単独親権「違憲」と提訴 幸福追求権の侵害訴え

 離婚後は子どもの親権を父母の片方しか持てない単独親権制度は、幸福追求権を定めた憲法13条などに違反しているとして、東京などに住む30~50代の男女6人が21日、国を相手取り、総額900万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

 東京地裁では一昨年以降、離婚後の共同親権や面会交流を求める集団訴訟が相次ぎ、国側は「親権は憲法上の人権ではない」などと反論している。

 弁護団によると、今回の訴訟では、両親が離婚しても親子は親子であるという「自然的親子権」が、憲法13条で保障されていると主張する。

 都内で21日に記者会見した原告女性らは、「離婚後も子どもの養育に関わりたい」と訴えた。

 都内の50代の原告女性は離婚して6年間、娘の親権者だった。学校のPTA活動にも積極的に参加。子どもの成長には父親も必要だと考え、旅行や学校行事を通じて元夫と娘を交流させてきたという。

 だが、小6になった娘を一時的に元夫に預けた際に連絡を絶たれ、親権者も元夫に変更された。高校生になった娘には今も会えないままだ。「単独親権では、別居した親と交流させるかどうかは親権者の考え一つ。同じように苦しんでいる人がたくさんいることを知ってほしい」と話す。

 神奈川県の40代の原告女性は、小学生の息子2人と会えなくなっている。元夫が親権者になり、学校行事も含めて交流させると約束して離婚したのに、幼稚園からは元夫が交流を拒否しているという手紙が送られてきた。「子どもは、離婚してもパパとママの両方と過ごせることを望んでいたのに」と嘆く。

 代理人の平岡雄一弁護士は、「単独親権制度は、父母の親権争いに子どもを巻き込んでいる。国がこれを放置してきた立法不作為を訴えたい」と話した。(杉原里美)

離婚後の単独親権「違憲」 男女6人が国提訴

出典:令和2年10月21日 産経新聞

離婚後の単独親権「違憲」 男女6人が国提訴

 離婚すると父母の一方だけが親権を持つとする単独親権制度は、憲法が定める法の下の平等や、幸福追求権に反するなどとして東京都と群馬、神奈川、山梨3県の30~50代の男女6人が21日、国に1人当たり150万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 弁護団によると、6人は離婚後、元配偶者による強制的な連れ去りやドメスティックバイオレンス(DV)などが原因で子どもと離れ離れになり、親権を失った。
 原告側は「虐待などの特殊なケースを除き、離婚後も両親が共同で子どもの成長を見守るべきだ」と指摘。多くの諸外国は離婚後も共同親権とする制度を導入しているとして、単独親権を規定する民法を改正しないのは「国の立法不作為だ」と訴えている。

離婚後の単独親権は「違憲」 男女6人が国提訴、東京地裁

出典:令和2年10月21日 東京新聞

離婚後の単独親権は「違憲」 男女6人が国提訴、東京地裁

 離婚すると父母の一方だけが親権を持つとする単独親権制度は、憲法が定める法の下の平等や、幸福追求権に反するなどとして東京都と群馬、神奈川、山梨3県の30~50代の男女6人が21日、国に1人当たり150万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 弁護団によると、6人は離婚後、元配偶者による強制的な連れ去りやドメスティックバイオレンス(DV)などが原因で子どもと離れ離れになり、親権を失った。
 原告側は「虐待などの特殊なケースを除き、離婚後も両親が共同で子どもの成長を見守るべきだ」と指摘。多くの諸外国は離婚後も共同親権とする制度を導入しているとした。

結婚が破綻したとき…そこに潜む法律の“罠” 子供の連れ去り

出典:令和2年10月21日 SankeiBiz

結婚が破綻したとき…そこに潜む法律の“罠” 子供の連れ去り

 結婚-。会社の同僚や後輩から、この言葉が出た時、私たちが発する言葉は決まっています。
 「おめでとう!」
 恋愛ドラマであれば、ここでエンドロールが入ってめでたしめでたしといったところでしょうが、現実はここからが本番です。1年後、子供が生まれ、子育てに奔走する二人。抱っこをしていると、クンクン…ん? またウンチ? さっきおむつを替えたばかりなのに…。ため息をつきながらおむつを替えるその傍らで、黙々とスマホをいじる夫。「ふざけんな!」と怒り心頭の妻ですが、実は夫は取引先の急な要望に急いで返信をしていたのだとか。そんなすれ違いが積もり積もった結果、ある日、帰宅すると妻が子供を連れて家を出て行ってしまっていた。
 こんな話、聞いたことありませんか? 身近にこんな経験をした方、いませんか? 仕方ないな、元気出せよ。居酒屋のカウンターでそんな感じに励ます風景が浮かんできそうですが、実はこのいわゆる「子連れ別居」なるものが、今、国際的な大問題となっているってご存じでしょうか?

日本と海外との認識のギャップ
 今年の7月8日、EU議会は、日本国籍とEU籍の両方を持つ子供を日本人の親が連れ去ることを禁止するよう求める決議を採択しました。なんと、賛成686、反対・棄権9という圧倒的賛成多数で。このEU議会の決議について、日本ではあまり報道されていないようです。なので、多くの人が知らないのではないでしょうか。「子連れ別居」ならぬ「子供の連れ去り」。英語ではabductionと言って、「拉致」とか「誘拐」といったもっと刺激的な言葉になります。そう、欧米では他方配偶者に内緒で子供を連れて家を出ていくことは、犯罪として警察が動く事案なのです。
 この認識のギャップは、あまりにも大きく、日本の報道があまり熱心でないことも相まって、そのギャップは埋まるどころか開く一方に見えます。そして、国際結婚が破綻したとき、日本と海外との間のこの認識のギャップが一気に露呈することになるのです。EUの非難決議は、こうした日本と海外の「子連れ別居」に関する認識のギャップがもたらす悲劇なのです。
 このEUの非難決議に対して、日本政府の反応は冷ややかでした。茂木敏充外務大臣は、「決議にある『国際規約を順守していない』という指摘はまったく当たらない」とコメントし、日本が別居離婚に伴う子供の問題において、「何ら非難を受ける筋合いはない」と開き直りました。このコメントにも、その底流において、「ただの子連れ別居じゃん」という日本特有の認識が垣間見えます。たかが子連れ別居、されど子連れ別居。日本特有の慣習と言ってしまえばそれまでですが、それでもこの問題、そう一刀両断に片付けてしまってはいけない問題だと思います。なぜって、子供が関わっているから。文化とか慣習とかといった理屈抜きの言葉で押し切ってしまって、子供の本当の幸せについて考えないままで良いはずがありません。そもそも何で世界が「子連れ別居」にNO! を突き付けているのか、そのことを冷静に検討しなければなりません。もちろん、子供の視点に立って…。

「子連れ別居」という常識を疑うこと
 「子どもの権利条約」というのがあります。1989年に国連で採択され、1990年に発効、日本は、1994年に批准しています。この「子どもの権利条約」の第9条1項には、こんな規定があります。「締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する」。これが連れ去り禁止の法的な根拠です。別居などやむを得ない場合であっても、親と子が離れ離れになるためには、きちんと裁判所等で決められてからでなければなりません。「子どもの権利条約」はそのことを明記しています。
 この規定は、一貫して子供目線です。つまり、両親が離婚しようが、子供にとって親は親なのです。不条理に引き離される理由などないのです。両親が仲違いしようとも、お父さんお母さん両方の愛情に育まれながら育つことを保障してあげましょう。これが「子どもの権利条約」の意図するところです。この「子どもの権利条約」の理念が、日本では反映されていません。「子連れ別居」の名の下に。

 夫婦関係が悪くなった時、日本では、子連れ別居は非常によくある出来事です。夫が仕事に行っている間に、妻が子供を連れて実家に帰ってしまうなんて、半径3メートル以内に一例くらいはあるんじゃないかというくらい頻繁に耳にします。私は弁護士という仕事柄、こうした相談を多く耳にしますが、仕事から一歩外に出ても、こうした話はたくさん聞こえてきます。夫婦仲が非常に悪くなっていたとはいえ、突然こんな仕打ち、あんまりじゃないかと思うのですが、この子連れ別居は、いわば日本の常識となっています。
 しかし、この常識、このままで本当に良いのでしょうか。EU議会で非難決議がなされてもなお、やかましい! ここは日本だ! と言って拒絶すればよい問題なのでしょうか。「子どもの権利条約」違反だと指摘されても、だったらそんなもの脱退すればいいじゃん! なんて開き直ってしまえばよいのでしょうか。私は違うと思います。日本人は、「常識」に弱いです。「常識」と言われると、それを拒否することは「非常識」であり、社会の枠から外れてしまうのではという不安を覚えるのでしょうか。その気持ちも分からなくもないですが、時に常識を疑うということがとても重要になることもあります。特にある常識が、非常に長い時間通用している場合、その常識が、今の社会の他の常識と並べて、果たして説得力を維持できているのか、あるいは実はすでにかつての説得力を失っているのではないか、そういった検証が必要です。

 そもそもこの子連れ別居という名の常識、一体どこからやってきてどうして常識として日本全体に認められるようになったのでしょう? 実は、そこには親権争いをめぐる男女の歴史的なドラマが潜んでいるのです。
 次回のコラムでは、この点について、より突っ込んで検証してみたいと思います。

上野晃(うえの・あきら)
弁護士
神奈川県出身。早稲田大学卒。2007年に弁護士登録。弁護士法人日本橋さくら法律事務所代表弁護士。夫婦の別れを親子の別れとさせてはならないとの思いから離別親子の交流促進に取り組む。賃貸不動産オーナー対象のセミナー講師を務めるほか、共著に「離婚と面会交流」(金剛出版)、「弁護士からの提言債権法改正を考える」(第一法規)、監修として「いちばんわかりやすい相続・贈与の本」(成美堂出版)。那須塩原市子どもの権利委員会委員。

子どもの前で別居親の悪口は控えて――別居親を拒絶する「片親疎外」から子どもを守るには

出典:令和2年10月19日 Yahoo!ニュース

子どもの前で別居親の悪口は控えて――別居親を拒絶する「片親疎外」から子どもを守るには

日本では毎年約20万組が離婚し、そのうちの約6割に未成年の子どもがいる。別れた後の夫婦間のトラブルが、子どもの心身の発達に影響することも少なくない。離婚後の親子問題の一つに、「片親疎外」と呼ばれるものがある。子どもが同居親の影響を受けて、別居親を激しく拒絶する状態のことだ。かつて片親疎外になったとみられるきょうだいと母親に話を聞き、実態を探った。(取材・文:上條まゆみ/撮影:長谷川美祈/Yahoo!ニュース 特集編集部)

突然、両親が離婚

神奈川県に住む斉藤浩太さん(仮名、25歳)は、9歳のとき、両親の離婚を経験した。
浩太さんの記憶はこうだ。ある朝突然、父親の号令で、家族全員が食卓に集められた。その席で父親から、「パパとママは離婚します。ママがこの家から出ていきます」と宣言された。離婚の意味ははっきりとはわからなかったが、母親がいなくなることだけは理解した。

「母親が出ていってすぐに父方のおばあちゃんが来てくれて、家事をやってくれたし、きょうだい3人いたから特に寂しいということはなかった。数カ月も経たないうちに父親が女性を連れてきて、その人には子どもが3人いたから、家の中に子どもが6人。合宿みたいでにぎやかで、それなりに楽しく過ごしていたような気がします」

出ていった母親とは月に一度、12時間を一緒に過ごした。妹と弟も一緒で、公園に行ったり、テーマパークに行ったり。2年間は順調に面会交流が続いた。ところが、ある日を境に母親と会えなくなった。

「それから約2年間、母親とは没交渉でした。父親が母親のことを『嘘つきで浮気者』と言っていたし、僕らは捨てられたと思っていました。そのころは母親のことがはっきりと嫌いでしたね」

しかし、会えなくなる前は、月に一度の面会交流は嫌ではなかった。浩太さんに「お母さんとはなぜ突然、会えなくなったんですか」と聞くと、「よく覚えていないんです」と答えた。

浩太さんが母親と会えなくなったとき、妹の秋穂さん(仮名、22歳)は8歳だった。じつはその日、面会を禁止されたのは浩太さんだけだった。宿題をサボったことで、父親が罰として浩太さんを面会に行かせなかったのだ。

弟と2人で母親に会った秋穂さんは、母親から兄宛ての手紙を託された。母親は「(父親に)内緒で渡せたら、渡してね」と言った。秋穂さんは、父親に内緒でその手紙を兄に渡した。しかし、その手紙の存在が父親にばれた。

父親はすぐに母親に電話をして、「子どもに嘘をつかせるような母親には、今後一切、面会させることはできません」と宣告した。母親は思わず「私が嘘をつかせたわけではない」と反論した。

父親は秋穂さんに向かって、「ママがお前を嘘つきだと言ってるぞ」と言った。秋穂さんは「そんなママなら会わなくていい」と答えた。

「その事件の少し前に、父親に『会っているとき、ママはずっと携帯をいじっている』と言ったことがあるんです。特に悪気はありませんでした。そのとき、父親と新しいお母さんが、『母親の弱みを見つけた』とばかりに喜んじゃって。その姿を見て、私もうれしかったんです。新しいお母さんは躾にとても厳しくて、私はいつも叱られていました。それがこのときは褒められた。だから、手紙のときも『母親に会いたくない』と言えば、父親と新しいお母さんに褒められると思ったんです。それ以来、母親に会いたいとは全く思わなくなりました」

この“事件”を境に、秋穂さんも弟も、母親に会わなくなった。

片親疎外」とは

父母が離婚したあと、子どもが同居親の思いと病的に同一化し、虐待を受けていたなどの大きな理由がないのに別居親を拒絶する状態は、「片親疎外」と言われている。臨床心理士で大正大学教授の青木聡さんによると、「片親疎外」となる子どもの年齢は9歳(小学3年生)から15歳(中学3年生)がほとんどだという。

青木教授は、浩太さんと秋穂さんのケースについて、「軽度の『片親疎外』とみられます」と指摘する。

「ほんの数カ月前までは親のことを大好きだった子どもが、離婚後に、別居親に対して強い拒絶反応を示すようになるんです」

拒否する程度は子どもによってさまざまだ。ただ「嫌い」「会いたくない」という場合もあれば、激しく攻撃的になる場合もある。なぜそのような心理状態におちいるのだろうか。

「これまでの研究でわかっているのは、主に同居親が別居親の悪口を聞かせたり、別居親の話題を禁止したり、別居親と交流するときに悪意のある伝言を届けさせたり……といったように、子どもが相手を嫌いになるように仕向けるのが原因だと言われています」

「ただし、同居親に悪意がないケースもあります。いけないとわかっていてもついついやってしまう方、子ども相手に無意識に愚痴を言ってしまう方もいます。また、子どもの発達段階や性格特性、周囲の大人たち(別居親、祖父母、親族、離婚問題に関与する専門家など)の態度や何気ない一言も、片親疎外の悪化の要因となることがわかっています」

子どもが凶暴化することも

子どもが同調するのに気をよくして別居親の悪口を言っていたら、想像を超えるような攻撃性を見せるようになる例もあるという。

「偶然、まちなかで別居親を見かけただけで、わざわざ走っていって蹴飛ばし、『なんでここにいるんだ、ストーカーか、警察を呼ぶぞ』と騒いだ子どももいました。同居親も、『まさか子どもがここまでに(攻撃的に)なるとは思っていなかった』と」

「殺す」「死ね」などと書き連ねた手紙やメールを、別居親に送った子どももいる。

両親が離婚して不安になっている子どもは、生存を脅かされないために、同居親の歓心を得ようとする傾向にある。そこに別居親への悪口や愚痴が加わる。父母のあいだで板挟みになって苦しむ「忠誠葛藤」とは異なり、洗脳に近い状態だと青木教授は言う。

「『片親疎外』のさなかの子どもの思い込みを解くのはかなり難しいですね。年齢とともに、ものごとを多面的に見られるようになるなど、心理的な成長によって解かれることもあります。ただ、そうなると今度は、なぜ父親を、あるいは母親を、あんなに拒絶したんだろうと後悔して、苦しむ方もいます」

欧米でも片親疎外が問題に

欧米諸国では、1970年代に離婚件数が急増した際、両親の別居後や離婚後に、子どもが同居親の感情と病的に同一化して、別居親を拒絶する事例が多数の心理臨床家によって報告され、「片親疎外」と名づけられて大きな問題になった。

しかし、この「片親疎外」の概念は、監護権や面会交流をめぐる離婚紛争の法廷で濫用されることにもなった。その後、「子どもを離婚紛争の犠牲にしてはならない」という反省のもと、「子どもの最善の利益」(「子どもの権利条約」1989年採択)を中心に据え、離婚後も両親が共同で養育する制度が整備されていった。離婚する際に、子どもの発達や元配偶者と協力して子育てするためのスキルなどを学ぶ親教育プログラムの受講や、養育プランの提出を義務づけている国も少なくない。

毎年、約20万組が離婚する日本でも、片親疎外の被害は出ているが、欧米のような親教育が行われていないと青木教授は指摘する。

片親疎外が子どもに与える影響

片親疎外によって、不登校になる子が少なくない。あるいは、表面的には優等生でも、別居親のことになると目の色が変わったり、SNSの裏アカで暴言を吐いたりするなど、二面性がある場合も多い。

「片方の親を否定することは、自分の半分を自分で黒塗りにしているようなものです。そうすると、アイデンティティーの確立が難しい。寄る辺なさを抱えたり、進路で悩んだりする子が多いと思います」

自己肯定感や基本的信頼感の低さから、対人関係がうまくいきにくかったり、抑うつ傾向や依存傾向が見られたりするなど、その後の人生で生きづらさを抱えてしまうこともある。

「そうなってからでは、専門的な知識がないと対処できません。だからこそ、一次予防を目的とした離婚時の親教育が非常に重要な意味を持つのですが、日本ではそこが全然足りていない。『子どもの前だから相手の悪口は控えよう』というブレーキすらかけていない方が多いですね」

子どもたちの現在

浩太さんと秋穂さんは、現在、母親の良子さん(仮名、48歳)と共に暮らしている。
秋穂さんは、小学6年生のある日、父親と大げんかをして家出をした。

「新しいお母さんは面倒見のよい人だったけど、異常に厳しくて、私は毎日勉強づけでした。あまりに居心地が悪くて、逃げ出したんです」

浩太さんは、家を出ていく妹に「裏切り者」という言葉を投げつけた。
その浩太さんも、2年後、やはり父親とのけんかをきっかけに、母親の元にやってきた。当時をこう振り返る。

「実はそのころ、まだ母親のことは嫌いでした。でもほかに行くところもなかったし、悪い言い方をすれば、利用してやろうという気持ちもありました」

良子さんと暮らし始めた浩太さんは、ことあるごとにキレて罵倒した。

「おまえなんか俺を捨てたくせに!」

良子さんはただひたすら受け止めた。そのうちに、浩太さんの内面に変化が生じた。
「あるとき、母親の涙を見て、『こんなこと言っちゃいけない』と気づきました。母親に悪いというより、その言葉が自分自身を傷つけているような気がしたんです」

そのうち、親が何をしようと、どんな人間だろうと、自分には関係ないことだと思えるようになった。20歳になる前のことだった。

「母親と暮らすなかで、当時の話をいろいろ聞いて、僕らを捨てたわけじゃないことは理解できました。でも、離婚の原因については正直、どっちも悪いだろって思っています。『子どもに会えなくて苦しかった』と言われても、自業自得だろって」

浩太さんは今、建設関連の仕事をしている。社会人6年目、施工主と職人に挟まれて、現場をまわしていかなければいけない。肉体的にも精神的にも疲れる仕事だ。

「たくさんつらいことがあったけど、おかげで強くなれました。なんだかんだ、この両親のもとに生まれてよかったと思っています。もし両親がそろった家でのんびり育っていたら、絶対、心が折れて仕事辞めてますもん」

その横で、秋穂さんもこう言った。
「私はまだ、この環境で育ってよかったとまでは思えない。でも、たしかにメンタルは強くなったかも」

別居親の視点

良子さんは、子どもたちの片親疎外にどのように対応したのだろうか。良子さんの視点で、離婚からここまでの経緯を振り返ってもらった。

父親の号令で家族全員が食卓に集められて離婚が宣言されたとき、良子さん自身も寝耳に水だった。

「いきなりの離婚宣告に衝撃を受けながらも、仕事があるので、とりあえずその日は私も元夫も出勤し、翌日、離婚届を突きつけられました。私が近所の男性と浮気をしていると決めつけてのことでした」

良子さんに不貞行為はなかったが、2人きりで会って話をしたことがあり、それを元夫に目撃されていた。

「男性と2人で話をしていたことイコール不貞だと言われ、私が悪いんだと思ってしまい……。元夫はすぐ手が出る人で恐ろしかったこともあり、子どもにはいつでも会わせるからと言われて、元夫を親権者とする離婚届に判を押してしまったんです。あまりにも無知でした」

その後2年間は、3人の子どもと順調に面会交流ができていた。ところがある日、浩太さんだけが来なかった。良子さんは浩太さん宛ての手紙を書いて、秋穂さんに持たせた。

「私が『内緒で渡せたら、渡してね』と余計なことを言ってしまった。大人にそう言われたら子どもは『内緒にしなきゃ』と思いますよね」

結果として、元夫は激怒し、「今後一切、面会させることはできない」と宣告された。先述の“手紙事件”だ。それ以来、面会交流は途絶えた。

数カ月後、良子さんは親権者変更と面会交流を求めて家庭裁判所に調停を申し立てたが、不首尾に終わった。

良子さんは、同じ経験をした親の集まりに出かけていくようになった。自分から子どもたちに会いに行かなければと思い、小学校や中学校の校門の前や通学路に立ち、姿が見えるのを待った。

秋穂さんは、はじめのうちはそっけなかったが、少しずつわだかまりが解けていった。思春期を迎え、自分の意思が出てきた秋穂さんは、母親とときどき顔を合わせるなかで、やさしいお母さんが好きだったことを思い出した。

良子さんの場合は、苦しみながらもアプローチを続けたことが同居につながった。

青木教授は、離婚時の親教育の重要性を強調する。

片親疎外に当たる事例は本当に難しくて、子どもは傷ついているのに、『傷ついていない』と思ってしまっていることが問題なんです。傷ついていることにあとでしか気づけない。片親疎外を避けられるかどうかは、親の態度にかかっています。絶対に、相手の悪口を子どもに言わないでください。そういう、子どもを守るための基本的な親の態度を学ぶために、離婚時の親教育が必要なのですが、協議離婚(家裁の手続きを経ない離婚)が9割の日本では、ほとんど野放しです。ここを制度として整備していくと同時に、裁判所をはじめ、国や地方自治体の担当者など、離婚後の子育てにかかわる各種専門家は、親子関係に何が起きているのかをより注意深く見ていく必要があると思います」

上條まゆみ(かみじょう・まゆみ)
1966年、東京都生まれ。教育・保育・女性のライフスタイルなど、幅広いテーマでインタビューやルポを手がける。近年は、離婚や再婚、ステップファミリーなど「家族」の問題を追求している。

In Japan, divorce can mean losing access to children. Many parents want that to change.

出典:令和2年10月19日 The Washington Post

In Japan, divorce can mean losing access to children. Many parents want that to change.

By
Simon Denyer and
Akiko Kashiwagi
Oct. 19, 2020 at 6:00 p.m. GMT+9
TOKYO — When Izumi finally tired of her husband's multiple affairs, she decided it was time to separate and made plans to take their three young children with her.

以下、記事を参照ください。
https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/japan-children-custody-divorce/2020/10/18/f7421d62-077f-11eb-8719-0df159d14794_story.html

被害を訴えたもの勝ち?DV支援措置は「不貞がバレない」欠陥制度か

出典:令和2年10月16日 アゴラ

被害を訴えたもの勝ち?DV支援措置は「不貞がバレない」欠陥制度か

牧野 佐千子 ジャーナリスト

「DV被害」を受けていた女性の住所などが載った書類を、誤って「DV加害者」に送付したとして、札幌市が13日に会見し、謝罪した。メディア各社も市の会見に基づき報道。ネット上では、「下手したら命の危険性に関わる」「ミスで済まされない」と市の対応を非難する声とともに、「DV加害者」と報道されたK氏に対して「市にわざと情報漏洩されたテロリストのストーカー」などといった誹謗中傷の声もあふれている。だが、実際の経緯を詳しく聞くと、事情は異なるようだ。

札幌市の発表によると、女性Aさんは、去年12月に夫Kさんからの暴力などの被害を防ぐため、別居先の住所などが載った戸籍の附票をKさんに交付しないように、市に求めた。Kさんがその措置を不服とし審査請求をしたため、戸籍住民課の40代の女性職員が必要書類を送った際、誤って被害女性Aさんの住所などが書かれた書類を同封した、とのこと。

このニュースで、多くの一般の人が抱くイメージは、「DV夫に被害女性の情報を流した市の取り返しのつかないミス!」だろう。

だが、渦中のKさん本人に経緯を聞いてみると、状況は異なる。

夫Kさんと妻Aさんは、2018年6月に別居。翌年7月にAさんが、別居しているはずのKさんの世帯と住所を使って国保に加入しようとし、その際に住民票を異動してないことが区役所に知られ、区役所がAさんに住民票の異動を指導。

このあとAさんは、行政の配偶者暴力相談支援センターにKさんによるDVの相談をしに行き、「DV」などの「加害者」に住民票の写しや戸籍の交付を制限する「支援措置」の申出書を提出。

Aさんは別居時に不貞をしていたとして、Kさんはその事実を確認するために探偵に依頼し、今年1月の段階では、不貞の事実とAさんらの居所を知っていたという。

つまり、「妻の居所をさがすDV夫に、市が誤って妻の住所を交付してしまった」わけではないのだ。Kさんはすでに、Aさんの住所を知っていたのだから。

Kさんは「札幌市は最悪の問題解決手法を取った。そもそも、妻はDV支援措置の被害者でなく、僕は支援措置の加害者に該当しない。けれど、大した検討もせずに申出書を受ければ被害者と加害者を市町村役場が設定すること自体が間違っている。DV支援措置ではなく不貞の支援措置になっている」と憤る。

ある法律の専門家は、「加害者」とされている者に住所が知られるのを支援措置で防ぐ場合、その「加害者」がすでに住所を知っている時は、「探索目的がないので支援対象情報にする必要性がない」という。当該の札幌市の支援措置届出書にも「加害者が、その住所を探索する目的で」との記載がある。

そのうえで、「もともと情報漏洩がないので札幌市は謝罪は不要だった。また、報道機関もこんな報道をした効果は、名誉侵害だ」と指摘。Kさんは、札幌市の対応について、国家賠償請求の訴訟を起こすことも視野に入れている。

神奈川県に住む別の男性は、妻からの暴力を訴えてきたが「男性のDV被害の相談件数が少ないからか、神奈川では市区町村で支援措置は受け付けないです。県で1か所。それでも数年前よりはマシです」と話す。

支援措置の決定の際の、DVがあったかどうかの事実確認も「相手方の裏どりは全くなく、私の主張は通りました」と、「被害を訴えたもの勝ち」となっていて、十分な確認をしない制度を疑問視している。

ある市の支援措置に携わる担当者は、「今の制度では、被害者と主張する方を守ることを優先しており、その方の主張が本当であれ嘘であれ、その方の住民票を守ることになっています」と語る。本当に被害に遭っている人を緊急で守るために、「嘘か本当か確かめるのに時間を使うことはできず、今の制度が続いてしまっている」という。

深刻なDVを受けて安全な場所へ緊急避難した被害者にとっては、居場所が加害者に知られることは恐ろしい。そのような被害者を守るためにある支援制度には、自身の不貞行為を隠すために利用できる「欠陥」があることがわかった。そして、嘘か本当か確かめる時間もないままに、行政やメディアから「加害者」と決めつけられた人の深刻な人権侵害が起きているのも事実だ。

このまま欠陥を放置してしまっては、制度自体の信用性がなくなり、本当のDV被害者も救われないのではないだろうか。

別居で面会が不自由は「違憲」 離婚の十数人ら国賠提訴へ

出典:令和2年10月10日 共同通信

別居で面会が不自由は「違憲」離婚の十数人ら国賠提訴へ [#if378fd7]

 離婚などで別居する親子や祖父母と孫の面会交流について、具体的な権利義務規定がないため不自由さを強いられるのは基本的人権の侵害で違憲だとして、10~70代の男女十数人が国に1人当たり10万円の損害賠償を求めて来月にも東京地裁に提訴することが10日、分かった。

 民法では、父母が協議離婚をする場合、一方を子の親権者に定めなければならず、面会交流の条件も父母が話し合って決めるとしている。面会交流を巡る同種訴訟は他にも係争中だが、原告側によると、子ども側も原告に加わるのは初。

 代理人の作花知志弁護士は「子の健全な成長のため国は法整備を進めるべき」と話している。

※下記は、10月10日の北海道新聞 夕刊に経済された記事です。
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離婚後の養育、子どもの目線で 面会交流を求めて、母親ら訴え

出典:令和2年10月7日 朝日新聞

離婚後の養育、子どもの目線で 面会交流を求めて、母親ら訴え

結婚が破綻(はたん)した夫婦の子どもの養育について、法務省も参加する研究会が議論をしています。父母の一方が子どもを連れて別居すると、もう片方の親と子どもが会えなくなったり、養育費が支払われなかったりすることが問題になっているためです。子どもにとって望ましい離婚後の養育制度について探りました。(杉原里美)

 ■親権争いで連れ去りも「精神的な虐待では」

「ママにも会わせて」

 「我が子に会いたい」

 9月半ば、子どもと別れて暮らしている親らでつくる「親子の面会交流を実現する全国ネットワーク」(親子ネット、会員512人)が、都内で記者会見を開いた。夫婦の離婚や別居で子どもと引き離された母親ら23人が参加。子どもとの面会を訴えるプラカードを掲げ、苦しい胸の内を語った。

 3年間、3人の子と会えていない30代の母親は、子連れで夫と別居しようとした日に、夫と義母が子どもを実家に囲い込み、引き離された。

 家庭裁判所に申し立てたが、家裁は「現在子どもは問題なく生活している」と現状を認め、別居中に子どもを監護するのは夫と指定した。

 女性は面会交流が認められず、手紙や写真の交流だけに。夫から送られてきた写真には、子どもが母親からの手紙を破っていたり、「しね」「ババア」などと書かれた紙を持っていたりする姿が写っていた。学校に相談しようとしたが、子どもと同居していないため、離婚の成立前なのに保護者と認めてもらえず、話も聞いてもらえなかった。「子どもへの精神的な虐待ではないか」と児童相談所に調査を依頼したが、「身体的な虐待ではない」と対応してもらえなかったという。

 別の30代の母親は、離婚協議中だった7年前、夫と義父母、義兄夫婦によって、当時5歳と2歳だった子どもを義兄の運転する車に押し込められて連れ去られた。夫から「有利な離婚の仕方を知っているから」と言われたことを思い出し、「このことだったのか」と気づいたという。

 彼女の場合は連れ去りが悪質だとして、家裁の審判で1年後に子どもが引き渡されたが、これは異例なことだ。

 日本では1960年代半ば以降、親権を母親が持つ離婚が増え、9割にのぼる。そのため、親子ネットは従来、子どもと会えない父親会員が主流だった。だが近年、母親会員が急増し、約3割いる。アンケートに協力した母親50人のうち、離婚や別居前に主な養育者だった人は90%、夫から暴力を受けていた人は76%にのぼる。家裁の手続きなどで子どもの引き渡しを求めたのは42人、そのうち引き渡された人は3人に過ぎない。

 武田典久代表(52)は、「子どもを手元に確保すれば、監護の継続性で親権や監護権の獲得に有利になるという情報が知られるようになり、父親による連れ去りも増えたのではないか」と話す。

 日本では、離婚届で親権者を決めて提出するだけの協議離婚が9割弱を占める。民法では、離婚時に父母との面会や交流、養育費の分担を協議すると定められているが強制力はなく、家裁の調停や審判で取り決める人はわずかだ。

 ■会う日程など書面義務化、子の心理状態を親に教育 韓国

 日本と同じように、離婚届を出すだけの協議離婚制度がある韓国では、2008年から、子どものいる夫婦については、離婚届と同時に、養育費の金額や受取口座、面会交流のスケジュールを決めて記入した養育協議書を家庭法院(家庭裁判所)に提出することが義務づけられた。

 父母の取り決めを実行させるための後押しもある。養育費には、養育費履行管理院という徴収機関が設置されている。ソウルなど8カ所にある家庭法院のうち3カ所には「面会交流センター」が併設され、月2回、最長1年まで無料で利用できる。今秋には、同センターのホームページを開設し、今後5年間で地方法院(地方裁判所)も含め12カ所に設置する計画だ。

 離婚届を提出する際には、家庭法院で子どもの心に寄り添うための親教育を受けなければならず、離婚相談も法院内で受けられる。面会交流センターを持つ仁川家庭法院のチェ・ボッキュ前院長は、「子どもの心理状態を教育することで、夫婦の葛藤が緩和され、子ども目線で考えられるようになる」と話す。

 仁川家庭法院では、年間約200件の面会交流を実施しているという。

 日本では、厚生労働省が面会交流を支援する事業を行う自治体に補助する制度があるが、利用は東京都、沖縄県、北九州市など9自治体にとどまる。親子ネットは、「養育費に比べて、面会交流の議論が進んでいない」として、支援の拡充を求めている。

 法務省や学者、弁護士らが参加する「家族法研究会」が、別居中や離婚後の子どもの養育のあり方について議論を始めたのは昨年11月だ。

 立命館大の二宮周平教授(家族法)は、「日本の協議離婚は、当事者の協議にゆだねることになっているが、実際には話し合いはできていない」と指摘。「家裁が、離婚が子どもに与える影響や基礎的な情報を父母に提供し、自治体が離婚相談に対応する仕組みを作れば、韓国のような制度は導入可能だ」と話す。

菅政権に期待できるのか? EUが自問する「日本の子供拉致」問題

出典:令和2年10月7日 NewsPhere

菅政権に期待できるのか? EUが自問する「日本の子供拉致」問題

◆日欧間だけではない子供の拉致
 子供の拉致問題は、日欧カップルだけの問題ではない。国際離婚で起こりやすい問題を挙げる『ル・フランセ・プレス』は、同じ欧州内においても、片方の親がドイツ人であるとき、監護権の問題が発生しやすいことなどを指摘している。

 また、日本国内における日本人同士の離婚でも、上に挙げた単独親権が原因で、子供とのつながりを絶たれる親は多い。「日本では6人に1人の子供が片方の親とのコンタクトを完全に失う結果」(フランス2)となっている。フランス2のドキュメンタリーは、そうした日本の親を支援するNGO団体の様子もレポートしている。

◆守るべきは子供の利益
 子供と引き離された親の嘆きには身につまされるものがあるが、ハーグ条約および児童の権利条約に立ち返り、諸々の判断の根拠としなければならないのは、子供の利益、不利益である。

 たとえば2、3歳で日本に連れ去られた子供を例に考えてみよう。その子供は、どんな不利益を被り、何を失うのか? まず、生活環境が急激に変わることで起こる諸々の負担。失うものはさらに多い。会えなくなった親や親戚から注がれるはずだった愛情を直接感じる機会を失くす。元にいた国の友人との交流、そこから得られるはずだったものすべて。獲得するはずだった言語、文化、風習、価値観、経験、そのすべてを失うことになる。言ってみれば、自分のなかにあるもう一つの国の人間というアイデンティティそのものを失くす恐れがあるのだ。

 ハーグ条約が守ろうとしているのは、子供の権利なのである。親の都合ではなく子供の利益を優先させること。これを国際条約で定めた意義は大きい。その根底を忘れてはならない。

◆国際的な枠組みの取り決め
 これを重視し、国境を越えた子供の不法な連れ去りや留置をめぐる紛争に対応するための国際的な枠組みとして定められたのが、1980年に採択された「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」だ。同条約締結国はいまでは約100ヶ国に上る。日本はG8諸国のうちでは最も遅かったが、2014年に正式な締結国となった。

 ハーグ条約は、連れ去られることで起こりうる有害な影響から子供を守ることを目的に、「原則として元の居住国に子を迅速に返還するための国際協力の仕組みや国境を越えた親子の面会交流の実現のための協力について定めて」いる(外務省ホームページ)。

 また日本はハーグ条約締結に先立ち、1989年第44回国連総会において採択された「児童の権利に関する条約」も1994年に批准している。この「児童の権利条約」8条には、「締約国は、児童が法律によって認められた国籍、氏名及び家族関係を含むその身元関係事項について不法に干渉されることなく保持する権利を尊重することを約束する」ことが、また9条3項には「締約国は、児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する」ことが明記されている。

◆日本の不履行
 つまり、もしも国際結婚をして国外に住んでいた日本人親が、外国人親の了解を得ずに子供を日本に連れ去ってしまった場合、日本はその子を元の居住国へ戻すための「すべての適当な措置をとる」立場にあることになる。

 ところが、実際には、日本はこの義務を果たしていない。少なくとも諸外国はそう見ている。たとえば、ディディエ欧州議員は、「二国間カップルの別れに際し(中略)日本の当局は必ず子供の監護を日本人親にゆだねる」(ル・ポワン誌、9/25)と、欧州議会に報告している。同誌はさらに、「外国人親に子供を訪れる権利が付与されることは決してない。ヨーロッパの裁判官による決定が下されたときも、日本の裁判所はこれを強制することがない。ひどい例としては、日本人の親の家の前に現れたヨーロッパ人の親が、警察に逮捕されたこともある」(同)現状を報道している。これは明らかに日本が批准した条約に反するというのが、ディディエ議員の訴えだ。

 フランス2テレビ局は2019年、日本人親による子供の拉致問題のドキュメンタリーを放映した。元妻が連れ去った子供に一目会いたいと、限りある予算と時間のなかで言葉の不自由な異国で奮闘し絶望する父親たちの姿は、連れ去り側の親が拒否すれば、連れ去られた側の親は、子供に近づくすべを持たないという日本の実情をよく表しており、大きな反響を呼んだ。

◆欧州議会による対日決議
 批准した条約内容を守らない日本に業を煮やした欧州議会は今年7月8日、日本に対する厳しい決議を採択した。内訳は、賛成686票、反対1票、棄権8票という圧倒的多数による決議だ。その主張は次の通り。まず、欧州議会は、「日本の親による実子の拉致増加に危惧の念を抱く」。そうして、日本は「子供の拉致について国際ルールを遵守していない」と考え、日本に「連れ去られた側の親が(中略)子供たちに近づき訪問する権利について裁判所が下した決定を効果的に執行するよう強く要請する」。さらに、「日本の欧州連合国民である子供たちは、彼らの権利を保障する国際協定が提供する保護の恩恵を受けなければならない」ことを強調する。

 かなり厳しい表現で書かれたこの決議について、茂木敏充外務相は7月14日に記者質問に答える形で、「日本としてはハーグ条約の対象となる事案については、(中略)一貫して適切に対応してきている」と発言したのみだ。つまり、日本が国際規約を遵守していないという指摘は正しくないという認識を示した形だ。

◆共同親権と単独親権の違い
 この双方かみ合わない主張の根っこには、離婚後の親権制度の違いがある。日本以外の先進国では、離婚後も父母双方が共同親権を持つのが通常なのに対し、日本では離婚後は一方の親にだけ親権を認める単独親権制度をとっている。そのため、ほかの国では、到底あってはならない「拉致」を実行する親が、日本では罪に問われることすらない。フランス2の番組内でインタビューを受けた日本の法学者、山本和彦教授は、「子供の連れ去りを推奨しているわけではないが(中略)、これは我々の法制度の派生と言える」問題だと認めている。同教授の言葉は、日本の一般的な空気を良く表している。曰く「日本では母親による子供の連れ去りは誘拐とは見なされません。深刻な犯罪とは見られないのです。日本では「誘拐」とは呼ばず「遠ざけ」と呼ばれます。良いことではありませんが、犯罪でもないのです」というものだ。「法律の改正も必要だが、人々の意識を変えるのが先決だ」とも言えよう。

 実は、日本でも父母の離婚後の子供の養育のあり方を検討する動きはある。その証拠に、今年4月には「父母の離婚後の子の養育に関する海外法制調査結果」が法務省民事局から発表されている。ただ、その動きは速いとはいえず、法の改正を待っていては、現在連れ去られている子供たちは成人してしまうのではないかと思える。

◆日欧間だけではない子供の拉致
 子供の拉致問題は、日欧カップルだけの問題ではない。国際離婚で起こりやすい問題を挙げる『ル・フランセ・プレス』は、同じ欧州内においても、片方の親がドイツ人であるとき、監護権の問題が発生しやすいことなどを指摘している。

 また、日本国内における日本人同士の離婚でも、上に挙げた単独親権が原因で、子供とのつながりを絶たれる親は多い。「日本では6人に1人の子供が片方の親とのコンタクトを完全に失う結果」(フランス2)となっている。フランス2のドキュメンタリーは、そうした日本の親を支援するNGO団体の様子もレポートしている。

◆守るべきは子供の利益
 子供と引き離された親の嘆きには身につまされるものがあるが、ハーグ条約および児童の権利条約に立ち返り、諸々の判断の根拠としなければならないのは、子供の利益、不利益である。

 たとえば2、3歳で日本に連れ去られた子供を例に考えてみよう。その子供は、どんな不利益を被り、何を失うのか? まず、生活環境が急激に変わることで起こる諸々の負担。失うものはさらに多い。会えなくなった親や親戚から注がれるはずだった愛情を直接感じる機会を失くす。元にいた国の友人との交流、そこから得られるはずだったものすべて。獲得するはずだった言語、文化、風習、価値観、経験、そのすべてを失うことになる。言ってみれば、自分のなかにあるもう一つの国の人間というアイデンティティそのものを失くす恐れがあるのだ。

 ハーグ条約が守ろうとしているのは、子供の権利なのである。親の都合ではなく子供の利益を優先させること。これを国際条約で定めた意義は大きい。その根底を忘れてはならない。

揺らぐ”親権制度” 届かなかったSOS 娘を失った男性の思い

出典:令和2年9月29日 テレビ新広島

揺らぐ”親権制度” 届かなかったSOS 娘を失った男性の思い

特集は子どもの「親権問題」について考えます。日本では夫婦が離婚した場合、片方の親を「親権者」として定める「単独親権制度」をとっていて、実は近年、離婚後に我が子に会えなくなり、悩みを抱える親が急増しています。「親権制度」に翻弄される1人の男性を取材しました。

江邑幸一さん、47歳。江邑さんには月に1度、必ず訪れる場所があります。そこに眠っているのは、16歳の若さで亡くなった長女の寛世さん。6年前、自ら命を絶ちました。

【江邑さん】
「いつもここでこうやって。ごめんなさいということで」

江邑さんは2006年に元妻との間で離婚が成立。娘2人の「親権」を失い、当時、寛世さんとは離れて暮らしていました。

【江邑さん】
「『ゴメンね』しかないですね。『ゴメンね』というのと。助けることができなかった」

深く刻まれた「後悔」と「自責」の念。江邑さんには、当時も今も「親権」の壁が立ちはだかっています。離れて暮らすようになってから、寛世さんの身に何が起きていたのか? 娘が死にいたった経緯について、語ってくれました。

【江邑さん】
「お父さん子のままで行ったので、お母さんの言うことをまず聞かない。だんだん会話もしなくなり、そういうささいなことが年月を重ねることで追い込まれていったと思う」

次第に家庭内でも孤立していったという寛世さん。中学生になる頃には児童相談所の支援を受け、児童養護施設で暮らすようになっていました。

【江邑さん】
「面会交流で月1回と決まっていたので、月1回で会ってました。その時は全然、普通の親子喧嘩というか。児相に引き取られたくらいにしか思ってなかった」

この時、江邑さんは、娘を引き取るため「親権変更」の調停を申し立てましたが、一度、失った「親権」を取り戻すことはできませんでした。

【江邑さん】
「親子関係が崩れている証拠だし、私の方に変えてくださいとしましたけど、調停員は児相で元気にしてますよと。変える必要はありませんと言われました。何で子供の意見を聞いてくれないんだろうと」

その後も母親との関係は悪化。一時保護や里親の下での暮らしを余儀なくされた寛世さんは、当時の苦しい胸の内を日記に記していました。

【日記吹き替え】
「こっちはたぶん期待してたんだ。誰かが家に帰らなくてもいい何かを提案してくれることを。信じてたのに」
【日記吹き替え】
「私は親との摩擦に心底、疲れました。もう消えてしまいたい。」

寛世さんから確かに発せられていたSOS。しかし、その情報が親権のない江邑さんのもとへ届くことはありませんでした。そして、2014年児童相談所は親元へ戻す「家庭引き取り」を決定し、寛世さんはその2ヵ月後、帰らぬ人となりました。

【江邑さん】
「まさかね…亡くなるとは…。一番は何でそうしたのとは思いますけど、逃げたかったところを逃がしてあげられなかった。子供がコチラに来るようにいろんなことを考えてできなかったかなとか」

死の2カ月後、娘の生前の記録や死の原因を知るため、児童相談所を訪ねた江邑さんでしたが…

【江邑さん】
「児相として「やることはやりました」と。「お父さんには親権がないのでそれ以上は教えられません」と。」

さらに児童相談所を所管する山口県にも情報公開を求めましたが、ここでも寛世さんの個人情報に対する「相続権」がないことなどを理由に却下され、かろうじて公開された文書は、重要な部分がほとんど黒く塗り潰されていました。悩んだ末に江邑さんは、今年3月、原因の究明などを求めて広島地裁への提訴に踏み切りました。

【江邑さん】
「事実を知りたい。子供がどうやって、どういう判断でどういう対応をされて、亡くなっていったのか。二番目は名誉回復は必ずしたい。原因が子供じゃないと。それだけを言って欲しいだけなんだと自分では思ってます」

ある日、江邑さんが訪れたのは、福山市で開かれた「交流会」。参加者はみな、離婚後に「親権」を失い、子どもとの面会が思うようにできなくなった親たちです。

【参加者】
「1年経った後に元の奥さんが再婚したんですね。再婚してそれで会わないでくれと」
【参加者】
「子供が生まれてすぐに連れ去られて全く会わせないという風に向こうがした。私と子供の時間はもう帰ってこないしなぜ何も悪いことをしていない私と子供がこのように引き離されないといけないのか」

【江邑さん】
「親権がなければ何もない。死んだ後でもこんなに冷たい仕打ち。悔しくて悔しくて」

司法統計によると、2018年度に申し立てられた子どもの「面会交流」に関する調停の数はおよそ1万3千件にのぼり、20年前の5倍以上に増加。そのため国は現在、離婚後も両親が子供の養育に関わっていく「共同親権」の導入について、研究会を立ち上げて議論を進めています。

【江邑さん】
「自由に子供が自分の意志で行ったり来たりできれば、共同親権があればこの子は助かってましたとそれは確実に言えることだと私は思っています」

2019年度の婚姻件数は約59万件。離婚件数は約21万件。夫婦の3組に1組が離婚するといわれる時代、「親権問題」は誰の身にも起こりえます。

(スタジオ)
VTRにも出てきた離婚後も両親が親権を持つ「共同親権」ですが、実は欧米諸国では主流の考え方となっています。一方、国内ではこの「共同親権」の導入には慎重な意見もあり、特に家庭内暴力などを背景に離婚した場合の安全対策などに強い懸念が示されています。

まだまだ議論は必要ですが、江邑さんと寛世さんのような悲劇を繰り返さないためにも、いま一度、子どもの視点に立ち返って、制度を見直していく必要があるのではないでしょうか。

別居・離婚で配偶者に子ども連れ去られ、会えなくなるなんて…

出典:令和2年9月28日 東京新聞 特報Web

別居・離婚で配偶者に子ども連れ去られ、会えなくなるなんて…

(2020年9月27日東京新聞に掲載)
 夫婦の別居や離婚に際して、同意なく子どもを連れ去られ、一方の親が子どもと会えなくなるケースが増える中、子どもと引き離された父母が、連れ去りを防ぐための立法を怠った国の不作為を違憲だと主張し、前例のない国家賠償請求訴訟を起こした。憲法13条(幸福追求権)などを根拠に、子どもと生き別れにならない法の整備を国に求める。(佐藤直子)

夫が不倫、暴力…そして3人の子どもたちを
 「今は3人の子と離れて暮らしています。なぜ母親の私が子どもたちと会えないのでしょうか」。長女(12)、長男(11)、次女(8つ)の母である原告の会社員ユカリさん(38)=仮名=が法廷で訴えた。7月下旬、東京地裁で開かれた第1回口頭弁論では、30~50代の原告14人のうち、2人の女性が裁判への思いを語った。
 ユカリさんは夫に子どもたちを連れ去られ、3年以上会えていない。きっかけは不倫を重ねる夫に離婚を切り出したことだった。夫は給与を家計に入れず暴力もふるった。ある日交際女性に子どもを会わせ、一緒に遊びに行っていたことが発覚。ユカリさんは同居のまま家裁に離婚調停を申し立てた。4年前のことだ。

 だが、夫は離婚を拒否。調停員はユカリさんに「別居もせず離婚は本気か」と疑問を投げかけ、調停は不成立に。ユカリさんが別居準備を始めた時に、夫は3人の子を強引に義母の家に連れて行ってしまった。
 ユカリさんは、夫が自分の母親に子どもたちを預けて交際相手と生活している証拠を、監護者(子どもと生活をともにし、世話や教育をする人)の指定を争う調停に提出。子どもを連れ戻そうとしたが、「子らは問題なく生活している」「不倫は子の福祉に影響しない」と判断され、子の監護者は夫に指定されてしまった。

「ママだいきらい」の手紙はだれが
 それだけではなかった。裁判所は母と子の面会交流も認めず、月1回の手紙のやりとりを許可しただけ。夫から送られてきた手紙には「ママだいきらい」と書かれ、同封の写真には、ユカリさんが送った手紙を子どもが破る姿、「しね」「ばばあ」と書いたメモを持っている姿が写っていた。
 父親が仕向けたのなら心理的虐待だ。離婚は成立しておらずユカリさんは今も親権者。だが、子どもの様子を知りたくて学校に相談しても「同居親ではない」との理由で何も話してもらえず、児童相談所に調査を訴えても「虐待には当たらない」と放置されたという。

親が連れて行ったから」警察にも相手にされず
 もう1人の女性原告は、オーストラリア出身の高校教師キャサリンさん(50)。17年前に来日して日本人の夫と結婚。夫婦、長女(16)と長男(11)の4人で暮らしていたが、3年前、結婚15年のお祝いの場で夫から突然離婚を切り出された。キャサリンさんが拒むと夫は単身別居を始め、2カ月後に戻ってくると離婚訴訟を提訴。昨春、キャサリンさんが仕事で不在の間に子どもたちを連れ去った。
 キャサリンさんもまた今も親権者だが、以来、子どもに一度も会えていない。警察に訴えても「親が連れて行ったんでしょ」と相手にされない。「連れ去りという手段があるなんて知らなかった。母国オーストラリアには連れ去りを防ぐ法や仕組みがあるから、離婚で子どもと引き離されるなんて私には理解できない」と怒りと悲しみを語った。

背景に単独親権制
 「同意なき連れ去り」は深刻化している。実数は不明だが、厚生労働省の調査では、年間20万件の離婚のうち子どもがいるケースは12万件。離婚や別居後に離れて暮らす子と定期的に会えている親は3割しかいない。原告らも「仕事から帰ったら家がもぬけの殻」「妻(または夫)が子どもを連れて出たきり戻ってこない」と不意打ちのように子と引き離されている。
 なぜこのような連れ去りが横行するのか。訴訟代理人の作花知志弁護士は「根底には離婚後、単独親権しか選べない日本の民法の問題がある」と指摘する。

 民法は、婚姻中は両親が共同で親権を持つが、離婚後は父母どちらかしか持てないと定める。離婚後も父母ともに親権を持つ「共同親権制度」が主流の欧米やアジア各国とは違う。」だから共同で親権を持つ婚姻中に子どもを配偶者から引き離し、別居した家庭で先に同居を始め、監護者や親権の指定を有利に得ようとする親が多い」

家裁は「連れ去った者勝ち」の傾向
 事実、「子育ての継続性」を重視する家裁は連れ去りを追認するように、子と同居中の親の方を監護者や親権者に決める傾向が強い。多くの離婚案件にかかわってきた作花氏は「連れ去った者勝ち」を肌で感じてきた。「同業の弁護士には、相談者に『子どもと暮らしたいなら先に子を連れて別居を』と助言する人もいる。だが、連れ去った者勝ちは不正義だ」
 さらに刑法上の問題もある。他人が子どもを連れ去った場合、未成年者略取・誘拐罪が適用されるが、親による連れ去りには適用されない。原告たちが警察に訴えても相手にされなかったのはそのためだ。

 作花氏によると、欧米などでは子どもから一方の親を引き離すのは虐待とみなされ、連れ去り防止のために  ①連れ去った親に刑事罰を科す ②連れ去った親を後の監護者指定で不利にする ③両親の意見が対立した際の解決ルールを設ける―などの方策が国によって定められているという。
 国際結婚した夫婦が離婚の時に子を連れ去る問題も起きて、日本は2013年、国境を越えた子の奪取を禁じた「ハーグ条約」を批准した。しかし政府は国内での連れ去りには「違法ではない」との立場を取ってきたため欧州連合(EU)から解決を迫られ、昨年から共同親権制度導入についての検討を始めた。
※以下、紙面参照

収束まで子どもに会えない離婚親の悲痛な叫び

離婚後の子の不幸は同居親への遠慮から生じる

出典:令和2年9月28日 東洋経済ONLINE

収束まで子どもに会えない離婚親の悲痛な叫び

 新型コロナウイルスは、家族関係にも大きな影響を及ぼしているようだ。外出自粛で家族が顔をつき合わせることが増え、それまで外で息を抜くことで保っていた関係が一気に煮詰まり、家族トラブルが深刻化。当初は、それこそ「コロナ離婚」が増えるのではないかと懸念された。
 ただ実際には、離婚件数はむしろ減っている。厚生労働省の調査によれば、今年1〜6月に離婚した夫婦は10万122組で、昨年同期比で1万923組少なかった。これについては、コロナ禍により夫婦の絆が強まったわけではなく、家裁調停が停止するなど社会全体が活動を自粛しているため、決断を先延ばしにしている夫婦が多いからだという見方もある。
 いま目に見えて進行しているのは、親子関係の「コロナ断絶」だ。別居・離婚後の親子がなかなか会えない。家裁での面会交流調停が滞っているほか、コロナを理由に面会交流が実施されないケースは多い。
首都圏在住の小西貴之さん(仮名、50歳)は、1年半前に離婚。元妻は、当時10歳と8歳の子どもを引き取り、四国の実家に連れて帰った。そこには高齢の両親がいる。
「人生観の違いから、互いに納得して別れました。養育費は1人月3万円ずつ、面会交流は好きなときにいつでもと、2人で話し合って決めました」
どちらが悪いというわけではない、性格の不一致による離婚。小西さんは心機一転、それまで住んでいた東海地方から首都圏に引っ越し、仕事も変えた。子どもが暮らす四国とは遠く離れているので、しょっちゅう会うことはできないが、その分、会ったときには思いきり交流を深めようと思った。
それなのに。コロナ以降、小西さんは子どもにまったく会えていない。
「4月、まだ緊急事態宣言が発令される前のこと。休みが取れたので、久しぶりに子どもたちに会いに行こうと思い、元妻に連絡したんです。そうしたら『父親が来るなと言っているので、やめてくれ』と。元妻の父親には糖尿の持病があるので、万が一にでも私から子どもを通じて感染したら困る、というわけです。もう航空券も取ってしまっていたので、相当頭にきましたが、そのときは泣く泣く諦めました」
子どもたちとは、週1回ほどスカイプを通じて交流していた。しかし、生身の交流とは違う。膝に乗せたり、プロレスごっこをしたりは、オンラインではできない。子どもたちに会いたい! 緊急事態宣言も解除された7月、小西さんは再び元妻に連絡をとった。
「そろそろ会いに行こうと思うんだけど」
元妻の返事は、「NO!」だった。
 「いつになったらいいのかと聞いたら、ワクチンができたら、と言われて絶句しました。そんなに待てませんよ! 語弊があるかもしれないが、田舎でテレビばっかり見ているせいで、必要以上にコロナを恐れている年寄りの意見を聞いていたら、永遠に子どもに会えなくなってしまう」
どんなに小西さんが頼んでも、元妻は面会を許してくれない。コロナ前には当たり前のように行われていた別居・離婚後の親子の面会交流だが、同居親の感情次第で簡単に絶たれてしまう。小西さんは、やり場のない怒りに苦しんでいる。

■ 子どもに会えない苦痛で精神科通い
離婚後、離れて暮らす親(別居親)と子どもが面会することに消極的な同居親は少なくない。関西地方在住の古川正樹さん(仮名、40歳)は、6歳の子どもの父親で、2年前に離婚した。夫婦どちらにも借金や暴力、浮気などの非はなく、離婚の理由は、性格の不一致。
「当時、息子は4歳でかわいい盛り。離れて暮らすことは耐えがたかったのですが、すでに夫婦仲は修復不可能なほどギクシャクしており、息子にも悪影響が出始めていたので、いったん私が家を出ることにしました」
別居前の話し合いでは、子どもにはいつでも会える、ということで合意していた。ところが、古川さんが家を出た途端、妻は家の鍵を閉め、電話にも出なくなった。まだ幼く、完全に同居親の監護下に置かれている子どもと別居親がつながる手段はない。古川さんは、子どもに会えなくなった。
夫婦間の葛藤が強い場合、同居親が子どもと自分を同一視し、「自分が相手に会いたくないのだから、子どもも会いたくないはず」と思ったり、自分がいやな思いをさせられている相手に子どもが懐くことを嫌がったりすることはよくある。子どもに会えるも会えないも、同居親の一存で決まってしまう。古川さんは別居親になって初めて、この現実に直面した。
「気が狂いそうになり、精神科にもカウンセリングにも通いました。その後、調停を経て正式に面会交流が決まり、いまは定期的に子どもに会えています。でも、子どもと会えないと気づいたときの恐怖感からは、2年経ついまも抜け出せていません」
離婚の際、子どもの親権が争われることがある。日本では婚姻時は父母による「共同親権」だが、離婚後は、片方の親による「単独親権」だからだ。親権を得た親は、子どもを「自分のもの」だと勘違いしてしまうことがある。「ひとり親」という言葉が、それを助長している。
しかし、死別ではない限り、離婚をしても子どもにとって親は2人。もちろん、虐待やDVなどがある場合はまた別の議論が必要だが、原則、離婚後も子どもは両方の親から経済的・精神的支援を受けて育つ権利がある。同居親の「感情」でそれを奪った場合、親子の断絶は子どもの人生に長く尾をひくこともある。
 
都内在住の杉山真帆さん(仮名、48歳)は、小学生のころに両親が離婚。母親のもとで育った。昭和の時代、面会交流などは一般的でなく、父親とは会わずに過ごした。しかし高校生になり、父親に会ってみたくなって母親に相談。母親は渋りながらも連絡をとってくれ、父親との再会を果たした。
「父はすでに別の家庭をもっていましたが、私はそんなに気になりませんでした。本をたくさん読んでいて大人びた子どもだったせいか、私って小説のヒロインみたい、と思ったくらい(笑)」
会ってみたいと思ったのは、どんな人だか自分の目で確かめたかったから。母親から聞く父親像は、「わがままで自分勝手で見えっ張り」。でも、本当はどうなのか。思春期に入り、母親に対し、女同士だからこその反発心も芽生えていた。
「母親の言葉だけを鵜呑みにするわけにはいかないと思ったんですよね」
実際の父親は、極悪人ではなく、悪いところもあればいいところもある普通の人だった。「確かに母親とは合わないな」ということだけは、よくわかった。それで真帆さんは、なんとなく納得した。
細々と交流が続き、父親は10年ほど前に亡くなった。
「亡くなって思うのは、もっと頻繁に会っていればよかった、ということ。どうしても母親に遠慮する気持ちがあって、会うのを控えてしまっていました。大人なんだから、会っても報告する義務なんてないのに、なぜか正直に言わなきゃと思い込んでいた。子どもって、同居親の気持ちを過剰におもんぱかるところがあります」 

■ 子どもへの甘え、その先に虐待も
幼い子どもは全身で親を求めてくれるから、つい親は子どもの愛に甘えてしまう。他人にはとても言えないような言葉や態度で子どもを叱ってしまうのも、こんなにしても子どもは親を好きでいてくれる、と思っているから。愛していれば何をしてもいい、子どもは私の気持ちをわかってくれるはずだ。その甘えの先に、虐待があることもある。
子どもが会いたいと言わないからそれでいい、としている同居親は多い。しかし、「子どもの本当の気持ちに気づいてほしい」と真帆さんは言う。会いたいけれど、言えないのかも。会いたいと思ってしまう自分を責めて、口をつぐんでいるのかも。嫌いになれば、自分も同居親も楽だから、無意識にそうしているのかも……。
「もちろん、子どもは会いたくても、別居親のほうに子どもへの愛情が欠けているケースもあります。でも、その事実も踏まえたうえで、子どもは自分で親への思いに決着をつけたほうがいいと思うんです。不自然に妨げられると渇望だけが募り、子どもはなかなか親から卒業できません」
親子の「コロナ断絶」で不幸になる子どもが1人でも少なくなるように。真帆さんは心から願っている。

親による「連れ去り」の当事者が語る 片親から引き離れた現実と共同親権議論の“問題点”

出典:令和2年8月23日 AERAdot.

親による「連れ去り」の当事者が語る 片親から引き離れた現実と共同親権議論の“問題点”

 今、別居に際して一方の親が子どもを“連れ去る”行為が問題となっている。国内では14人の原告による国への集団訴訟に発展し、EUからは「子どもへの虐待だ」として対日決議が出されるなど、国内外で波紋を呼んでいる。本サイトでも「親による『子の連れ去り』が集団訴訟に発展 海外からは“虐待”と非難される実態とは」の記事で取り上げた。問題の根は深く、一方の親が「これは連れ去りで、実子誘拐だ」といえば、もう片方の親は「DVを受けていた。逃れるために仕方なかった」など、通常は親同士が激しく主張をぶつけ合っている。では、当の「子ども」はどう感じているのだろうか。自らを「連れ去りの当事者だった」と語る男性に話を聞いた。

*  *  *

 家庭裁判所が親権者や監護者、または面会交流について決める際、最優先に考えるのは「子の福祉」だとされている。2012年には民法が改正され、「子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない(766条1項)」と定められた。つまり、子の監護者は、親の都合や感情ではなく、子の福祉(利益)を最優先に考えられる人物であることが法的にも求められている。これまでの“連れ去り”をめぐる裁判でも「子の福祉」は大きなテーマとなってきた。

 では、実際の「子」の立場からは、突然に一方の親と会えなくなる現実はどう映っているのだろうか。

 都内に住む30代男性・Aさんは小学6年の3月に、母親から突然こう言われた。

「中学の制服は買わなくていい。みんなと同じ中学には行けないからね」

 当時、Aさんは生まれ育った北陸地方に家族で住んでいた。当然のように友達と一緒に地元の中学に行くものだと思っていたので面食らったという。理由を聞くと、

「お父さんはもう帰ってこない。違う町に引っ越すから。お前もついて来なきゃいけない」

 母親のこの言葉にますます混乱した。確かに、単身赴任中だった父親があまり帰ってこなくなったとは感じていたが、なぜいきなり引っ越すのか。父が帰ってこないのなら、どこに行って、誰と住むことになるのか。Aさんは理解ができずに「何で?」と繰り返した。すると、母親は激高してこう言ったという。

「もし来ないなら、お前を警察に突き出すからな! そうしたら牢屋に入れられるぞ!」

 まだ12歳だったAさんは母親の言葉が現実になるのではないかとおびえ、母親に付いていくことに決めたという。というより、まだ1人で生きていく術を持たないAさんは、母親に従うしかなかった。

 一方で、父親に会えなくなることには納得できなかった。単身赴任で九州の大学に勤めていた父親は、博学でいろいろな話をしてくれた。おおらかで包容力のある父親がAさんは大好きだったという。両親がけんかをしている記憶もほとんどなく、なぜ突然父親に会えなくなるのか、まったく理解できなかった。

「子の意思とは関係なく、母の都合だけで父と会えなくなり、環境が一変してしまう。僕は、今問題になっている『連れ去り』の当事者だったのだと、後で気づきました」(Aさん)

 Aさんは3歳下の弟を連れて母親と一緒に関東地方に移住することになった。待っていたのは「新しい家族」だった。

 義父となる男性にはAさんより年上の姉弟の子どもがいた。義父、実母、義姉、義兄、実弟、Aさんの6人がいきなりひとつ屋根の下で暮らすことになった。そんな状況で心を開けるわけもなく、Aさんは「新しい家族」を避けながら生活していたという。

「基本的に義父とは一言も話さずに生活していたし、義兄もすでに大学生で年が離れていたので関係は希薄でした。義父の方針で家族全員で夕食を取ることは決められていましたが、無言の食卓でしたね。家に居場所はありませんでした」(Aさん)

 ほどなくして、夫婦関係も破綻し始める。同居から4カ月後には、義父と実母が頻繁に言い争うようになり、義父は手当たり次第にモノを投げて暴れ始めた。気の強い実母が義父に抗議をすると、今度は手を出して殴る。それをAさんがとがめると、義父はAさんのことも殴った。

「もちろん義父のことは嫌でしたが、無理やりこんな家に連れてきた母にも嫌悪感があったので、僕はどちらの味方もしませんでした。でも、けんかを止めないと安心して寝られないし、命に関わる場面もあったので、仲裁役に回ることにしました。双方の主張を聞くと、けんかの原因は僕の養育費だとわかったのです」(Aさん)

 夫婦げんかではAさんが“伝達役”にされた。義父から呼ばれると「お前にいくら金がかかると思っているんだ。もう出せる金など1円もないと(実母に)言っておけ!」と言われる。それを実母に伝えにいくと「そんなお金でやっていけるわけないでしょ! 養育費だってそんなにもらってないのに」と反論される。Aさんは義父と実母の両方から「お前のせいだ」と言われているように感じたという。

「居場所どころか、自分の存在価値まで否定された気持ちでした。僕は望んで母についてきたわけじゃないのに、なんでこんな目にあわなきゃいけないのかと。毎日が地獄のようでした」(Aさん)

 そして同居から10カ月がたった中学1年の冬、またしても家を出ることになった。ある日、母親から段ボールを渡されて「大事なものを入れろ」と命じられた。訳もわからずに段ボールに詰めると、それを運送会社に持っていかれ、そこで母親からは「もうここには戻らないから」と告げられたという。だが、せっかく新しい中学校の生活に慣れてきた時期に再び何の相談もされずに引っ越しをさせられることに、Aさんは強く反発した。親の都合で何度も環境を変えられることに、心底うんざりしていたという。

「自分は1人になっても中学1年の終業式には出る、と強硬に母に主張しました。それだけは納得してくれたようで、終業式までの3カ月間は家族3人で4畳一間の旅館のようなところを転々として、そこから学校に通いました。『最寄り駅だと義父に見つかる』と言うので、学校から離れた駅の宿に泊まって、午前4時に起きて通学していました」(Aさん)

 念願の終業式に出たAさんは、中学2年の春に再び北陸地方に戻り、祖母と4人で暮らすことになった。そこから地元の高校、東京の大学へと進学した。母親は専業主婦だったので、学費は高校は祖母が、大学は離れて暮らす実兄が用立てしてくれたという。

 そして社会人になった27歳のとき。ついに実父と会う機会を得た。ネットで名前を検索すると、タウン誌に同姓同名が掲載されていることがわかった。実兄の妻が連絡を取ったところ、本人であることがわかり、再会が実現したという。その時の様子をAさんはこう振り返る。

「両親は、僕が10歳のときにはすでに離婚が成立していたみたいです。でも、父は『子どものことは忘れたことはない』と言って、小さい頃の写真も持ってきてくれました。僕は平静を装っていましたが、泣きそうなくらいうれしかった。離婚の原因は、母の実家との確執であることもわかりました。実は弟には知的障害があるのですが、そうした子が生まれたのは父の家系のせいだと、祖母からずっと責められ続けていたようです。閉鎖的な土地柄なので、このまま一緒にいたら子どもたちにも悪い影響が及ぶかもしれないと離婚を決意したと。僕は母から『お父さんは浮気をした』と聞かされていたので驚きました。父もすでに新しい家庭を築いていて、僕にとっては妹になる女の子もいる。義母もすごくよくしてくれて、1年に1度は父の家に遊びにいく関係になりました」(Aさん)

 その一方で、実父に会いにいったことを知った母親は激怒したという。「二度とこっち(北陸地方)には帰ってくるな!」「おまえは家に入れない!」と罵倒された。だが、すでに自立しているAさんは「母も子どもの気持ちを引き留めたくて必死なんだと思います」と語るように、親と距離を置いて関係性を考えられるようになった。

 Aさんは自身の経験を踏まえて、共同親権をめぐる今の動きに対してこう話す。

「僕は共同親権の導入には賛成の立場です。一度目は同意のない『連れ去り』だと思っていて、結果的にDVまで受けることになった。二度目はDVから子どもを守るための『連れ去り』に近いと思いますが、僕の同意なく環境を変えられたことには変わりありません。何よりも15年以上も一方的に父との関係を遮断されたことは、精神的な虐待でさえあると思っています。子どもの同意なく『連れ去る』ことは心理的な虐待につながることもわかってほしいです。ただ、今の共同親権の論争については、推進派も反対派も政治闘争になっている側面があり、本質的な『子の視点』からずれてしまっているように感じます。先の集団訴訟は世間の関心を喚起するアクションだとは思いますが、子が巻き込まれる過酷な現状にまで目が向いていないのは残念です。議論から子どもを切り離さず、親からの視点ではない、本質的な『子の福祉』を考えてほしいと思っています」

 壮絶な体験をしながらも、今の共同親権の議論にも問題提起をするAさん。「賛成派」「反対派」という立場で議論を分断すべきでない、というAさんの言葉はとても重い。(取材・文=AERAdot.編集部・作田裕史)

離婚時にやめて欲しいこと!子どもの苦しみに気付いてますか?「片親サバイバー」の声。

出典:令和2年8月22日 Yahoo!ニュース

離婚時にやめて欲しいこと!子どもの苦しみに気付いてますか?「片親サバイバー」の声。

明智カイト 『NPO法人 市民アドボカシー連盟』代表理事

片親サバイバーとして子どもたちをサポートしているランさんに引き続きお話を伺いました。

離婚、再婚、連れ去り被害の経験から片親に苦しむ子どもをサポートする「片親サバイバー」とは?(明智カイト)

「片親サバイバー」とは?

ランさんは「片親サバイバー」と名乗り、片親に苦しむ子どものサポートや、「不都合な片親」だった場合に子どもがどれほど理不尽で苦しい状態に立たされているのかを伝える活動をしています。また、片親サバイバーを生み出す原因となっている「離婚後単独親権制度」の弊害や、「連れ去り別居(実子誘拐)」という違法行為についての認知普及活動など、健全で幸せな親子関係構築のお手伝いをしています。

子どもの運命も左右する第三者の存在

ランさんが大人になってから、子の連れ去りの裏には多くの場合に「第三者」が介入していることがわかってきました。たとえば友人や職場の同僚、信頼できる知人、役所の相談員や弁護士などなど、夫婦関係のことを誰に相談するかによって子どもは幸せになるか、不幸になるかが大きく変わってしまいます。少なくともランさんが子ども時代に経験してきた虐待や差別偏見を伴った「片親環境」は、適切な第三者が介入していれば生まれなかったのに、と思います。

もっと具体的に説明すると、相談する第三者が「一方の親の幸せ」を考えるのか、それとも「子どもの幸せ」を考えるのか、その視点の置き方によって子どもたちの「片親環境」は大きく左右されるのです。

気を付ける必要があるのは離婚弁護士に相談するケースです。なぜなら弁護士は客観的に見えますが「一方の親の利益」を考える存在であり、決して「子どもの利益」を優先する存在ではないからです。そして多くのケースにおいて「一方の親の利益=親権」なのです。そのため、子どもがその後どれだけ過酷な「片親環境」に置かれるかも知らず、子の連れ去りを指示するケースが後を絶ちません。子どもの幸せがないのに、幸せになる家庭などありません。

子の連れ去りは「一方の親の幸せ」に基づいた行為

『連れ去られる時に「なんで黙って出て行かなきゃいけないの?」と思っても、声に出せば母親から叩かれ、子どもながらに「不誠実な何か」をしている感覚が強くありました。「相手に見つかったらどうなるの?」「なんで誰にも言わずに出て行くの?」と真っ暗な道をあてもなく歩いているような感覚です。その闇に飲み込まれて自分がどす黒くなっているように思えて、とても恐ろしかったのを今でも覚えています。平たく言えば、犯罪者になった気分でした。』と、当時の出来事をランさんは振り返ります。

連れ去り後の片親環境は本当に過酷です。犯罪者のような思いを抱えながら生きて行くだけで、いつ心が潰れてもおかしくはありません。そのような環境下で、子どもにとって親は2人なのに、まるで1人しかいないかのように育てられます。事実、ランさんの家では「父親」の話はタブーでした。口にすれば「そんなに父親がいいならもうお前を育てない!出て行け!」「自分で金を稼げ!」「産まなきゃよかった!」「一切、ごはんを作ってやらないからな!」などと言われたそうです。実際に食事がなく、お腹を空かせたことも幾度となくありました。両親が別れるのは仕方ない…、子ども心にもそれくらいはわかります。しかし、もう一方の親に会えない理由は何度考えても答えが見つかりませんでした。

ランさんは「私の声を聞いてくれる人はいないのかな…」とよく思ったそうですが、子ども寄りの第三者がサポートしてくれていればこれほど過酷な「片親環境」もなく、親子の交流も絶たれることはなかったと言います。両親との健全な交流があるだけで子どもは後ろめたさを感じず家庭の話を友人たちにできるようになり、ずっと生きやすくなります。しかし、弁護士が介入している場合は、ほぼ親子の交流は断絶してしまいます。一方の親と別れたからもう会いたくない、そんな子どもは基本的にはいません。むしろ別れたからこそ、子どもは親に「会いたい」と思うものです。

もちろんすべての弁護士が悪いわけではなく、多角的にアドバイスをする人もいるでしょう。しかし、ランさんの知るケースでは、夫婦仲に問題がなくても強引に離婚させられたり、依頼人の意向を無視して弁護士が調停や裁判を起こしたりすることもありました。「やめたほうがいいよ」と連絡を入れる友人や知人に対して、弁護士が直接「連絡とったら訴えるぞ!」という主旨の脅迫めいたメールを送って夫婦仲が回復しないよう第三者にまで圧力をかけるケースもあります。果たしてそのようなことが行われていて、その後の家庭が幸せになるでしょうか。

無理な別れ方をすればその家庭に次の幸せは訪れない

たとえば再婚を考えている相手のことを「この人のこと、どう思う?」と、子どもに聞く親がいます。ランさんの場合は再婚相手の家に住むことになってから尋ねられましたが、「えっ、それを聞く前に、離婚の仕方に納得しているのかをなんで聞いてくれないの?」と、順番逆でしょ!と訝しく思ったそうです。

子どもにとって納得した「別れ方」ができていないのに、再婚したところで義理の親子がうまくなんていきません。むしろ険悪になります。ここでつまずいていることが、昨今のような虐待死の事件を引き起こす一因になっているとランさんは感じていました。

『夫婦の問題を解決する際、「子どもの幸せ」を中心に考えるかどうかで、子どもの幸せはもちろんその後の「片親環境」は大きく左右されてしまいます。とくに調停や裁判などは、書面上の争いが激化し、子どもにとっては「最もしんどい」環境です。その場合は弁護士だけではなく心理や児童の専門家も必ず間に入るように制度化するなど、「依頼人の幸せ」ではなく「子どもの幸せ」を中心に考える第三者が必要だと実体験も含めてつくづく思います。それが結局、家庭の幸せになるからです。間違っても、私のように「お前はどっちの親がいいんだ!」などと問われることがない環境を子どもに用意してほしいと思います。』と、ランさんは訴えていました。

親による「子の連れ去り」が集団訴訟に発展 海外からは“虐待”と非難される実態とは

出典:令和2年8月22日 AERAdot.

親による「子の連れ去り」が集団訴訟に発展 海外からは“虐待”と非難される実態とは

―別居した夫婦の子どもが一方の親に連れ去られた状態のまま放置されているのは、法の未整備が原因――こう訴える別居中の親ら14人が、国に対して原告1人あたり11万円の国家賠償を求める集団訴訟が7月29日、東京地裁で始まった。原告側は、「片方の親がもう片方の親から一方的に子どもを引き離す子の連れ去りを禁止する法規定がないのは、子を産み育てる幸福追求権を保証した憲法13条に違反し、連れ去られた子の人権も侵害している」と主張。一方、被告の国は、請求棄却を求めて争う姿勢を示している。離婚後は父母のどちらかを親権者とする「単独親権」の問題はこれまでも議論されてきたが、集団訴訟にまで発展した背景には何があるのか。
*  *  *
「法治国家なのに連れ去った者勝ちというのは、理屈からしたらおかしい。先に引き離してしまえば、親権を得るうえで断然有利になる。この状況を放置しているのは、先進国で日本だけです」

 今回の訴訟で原告側代理人を務める作花(さっか)知志弁護士は、日本の「立法の不備」を指摘する。ここでいう「連れ去り」とは配偶者の同意なく、一方的に子どもを連れて別居し、片方の親との関係を(一時的に)断ち切ることを指す。作花氏によれば、国が「連れ去り」を禁止する刑法や民法、手続法を定めていないため、子どもを「連れ去った親」に目立った問題がなければ、裁判所がそれを追認するケースがほとんどだという。

「『法がおかしい』というよりも、『法がない』と表現するのが適切です」(同)

 こうした状況下では、別居中の親が「子どもに会えない」と訴えるケースは後を絶たない。作花氏は、その原因の一つが「離婚後の単独親権制度」にあると指摘する。民法では、離婚時に一方の親にしか親権が与えられないと規定されている。ひとり親世帯のうち、別居親と子の面会交流は44・3%しか実現していない(厚労省・2016年度「全国ひとり親世帯等調査結果」)。面会交流の取り決めをしていない理由については、「相手と関わり合いたくない」という回答が約24%を占めた。

 作花氏は、日本の単独親権制度は「国際社会から逸脱しており、時代遅れだ」と指摘する。世界的には、1980~90年代にかけてアメリカをはじめ、フランスドイツなどが次々と共同親権に切り替える動きが加速。2020年現在、G7加盟国で「離婚後共同親権」の制度を採用していないのは日本だけだ。

 また、日本も批准しているハーグ条約では、片方の親が一方的に16歳未満の子を海外に連れ去った場合、残された親の求めに応じ、原則として元の居住国へ引き渡すと規定されている。国内の「連れ去り」は条約の対象ではないものの、今回の訴訟で原告団は、「日本も国境を越えた連れ去りを禁じるハーグ条約に加盟しているにもかかわらず、国内の連れ去りを放置しているのは違憲・違法である」と主張している。

 こうした状況を「子どもへの重大な虐待だ」とみなした欧州連合(EU)は7月8日、日本人の親が国内で子どもを連れ去り、別れた相手と面会させないことなどを禁止する措置を早急に講じるよう、日本政府に要請する決議案を採択した。

 EUの対日決議を機に、「ようやく動き始めたという実感があります」と語る作花氏。11月には、自由な面会交流を阻む法制度について国の責任を問う別の訴訟も控えており、原告の中には親だけでなく、片方の親に会えなくなった子どもも含まれているという。

「こうした問題は連れ去られた親の人権だけでなく、子どもの権利の問題でもあります。本来、家族法は子どものためにある。子どもの成長にとってマイナスにならないよう、国が介入していかなければならない。解決規定となる法律を、国会が制定すべきです」(同)

 民間だけでなく、国会議員から国への働きかけも活発になっている。6月25日には、約90名の議員が所属する超党派の議連「共同養育支援議員連盟」が、森雅子法務相らに対し、養育費不払い解消に関する提言書を提出。離婚の際は、養育費の支払いと面会交流の双方を含む共同養育の取り決めが、離婚成立の要件とするよう求めた。

 議連に所属する三谷英弘衆院議員は「養育費の確保と親への面会、両方が必要だ」と訴える。

「子どもにとって必要なのは、成長できる環境。お金だけあれば子どもは育つわけではなく、愛情をもらう機会も不可欠です。物理的な面と精神的な面がそろって、初めて成長できる環境が整うのです。そのため、金銭面だけでなく、子どもが親にアクセスする環境を整えていくことも我々の使命です」

 三谷氏は子どもの親権をめぐるトラブルについて、「両者が交渉を進めるうえで、対等な関係にないことは問題だ」と指摘する。

「連れ去って育てている側が、絶対的に優位な側にいる。子どもを育てている側からすると、譲歩する必要性がないのです。一方、引き離された側は、何とか下手に出て、会いたいと乞うしかない。ひとたび子どもを取られ、会うのを拒否されれば、会うための手段がないのです」

 こうした状況になれば、子どもとの面会交流にも影響を及ぼすことになる。三谷氏は「夫婦間のいざこざで、不利益を被るのは子どもです」と強調する。

「面会を拒まれれば、自分のルーツや、愛情を注がれる機会を断ち切られてしまう。離婚した親からしたら、過去を忘れたいというのが本音だと思いますが、子どもがいる以上、過去は清算できません。子どもの利益を最大化していくことが大事なので、別れてもお互いが父親であり母親なのだという意識が広がってほしいです」

 では、こうした実態を国はどう捉えているのか。

 集団訴訟について見解を問うと、法務省の担当者は「(今回の訴訟については)厳正に対処する。国として立証すべきことを果たしていく」とし、それ以上のコメントは控えた。だが「あくまでも一般論だが」と前置きしつつ、こう続けた。

「法律に不備があるとはとらえていない。離婚前後に取る手続きは、現行法でも十分に対処できる内容。その法律をどう運用するかは裁判所の判断になるが、制度がないというのは誤解」

 親権者の決め方についてもこう述べる。

「親の状況や子の状況を総合的に判断して決めるので、子を連れ去った側が自動的に親権者になるわけでは決してない」

 EUからの非難決議が出されたことについて見解を問うと、

「一つの意見としては受け止める。だが、制度に関していえば、国境をまたぐ事案も国内の事案も、条約違反であるとは認識していない」

 と答えた。ただ、「その使い勝手や運用に対して、さまざまな批判があることは認識している」とも認める。

「ただちに違憲や条約違反とはならないと捉えているが、未来永劫、今の法律が100%正しいというわけではない。今後も意見を受け止めていく」(同前)

 集団訴訟にまで発展した「連れ去り問題」は、別居後の親子関係を変える契機となるのか。裁判のゆくえが注目される。(取材・文=AERAdot.編集部・飯塚大和)

面会交流「同居親の協力が必要」当事者ら議論

出典:令和2年8月20日 沖縄タイムス

面会交流「同居親の協力が必要」当事者ら議論

 離婚などで離れて暮らす親と子が会う「面会交流」について学びを深めようと、オンライン講座「こどものための面会交流支援」が15日あった。子どもの心理に詳しい大学教員ら3人が講師を務め、両親の争いが子どもに与える影響や支援機関を整備する重要性を語った。離婚家庭の関係再構築をサポートする沖縄共同養育支援センターわらびの主催。ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使い、離婚の当事者や家族支援に携わる人など約30人が視聴した。

 公認心理師で東京国際大の小田切紀子教授は、日本の家庭裁判所で決定する面会交流の頻度について「一律に月1回、数時間程度」とされることが多いと説明。「子どもの記憶はキャパシティーが小さく1カ月に1回だと(別居親を)忘れてしまう。子の年齢に応じた取り決めが重要で同居親の協力も不可欠」と述べた。面会交流の実施が対立する父母に委ねられていることを課題に挙げ、家裁と面会交流支援機関が連携し取り決めをフォローできる制度のほか、全都道府県への支援団体の設置、行政による資金助成の必要性を訴えた。

 小田切教授はドメスティックバイオレンス(DV)などが問題になった場合、加害親を被害親と子から遠ざけ家族を解体することが主な解決方法になっているとも指摘。双方からの丁寧な聞き取りとともに「暴力の再発防止に向けた矯正プログラムが重要」とし、安全・安心を最優先しつつ親子交流を促す視点が大切と説いた。

 精神保健福祉士で沖縄大の名城健二教授は、幼少期に受けた暴力や育児放棄などで人間形成に支障をきたす「愛着障害」を解説。親など特定の人との愛情を深められずに育ったことで周囲に強い警戒心を抱いて素直な態度が取れなかったり、逆に見知らぬ人にも無警戒に接してトラブルになったりする状態で、両親の離婚も要因になりうるという。愛着障害は衝動性や多動性の側面で先天性の脳機能障害である発達障害との区別が難しく、誤認されているケースもあるだろうとの見方を示し「見立てを間違えて対応すると、子どもを傷つけてしまうことにつながる」と懸念した。

 また、名城教授は自殺願望や性依存が強かった男子大学生の事例を挙げ、小学生の頃に親が離婚し、大好きな父親と説明もなく離ればなれになった見捨てられ不安が背景にあったとおもんぱかった。「親は子どもの年齢に応じて離婚理由や今後の生活について説明しなければいけない。適切な説明がないと子どもの心に大きなしこりが残り、人格形成にも悪影響を与えかねない」と訴えた。

 公認心理師でわらび理事でもある琉球大の草野智洋准教授は面会交流の基礎的な知識を講義。スタッフが父母の間に入って連絡調整や子どもの付き添い、共同養育プログラムなどを実施するわらびの活動内容を紹介し「沖縄の子どもたちの未来のため、活動に協力と支援をお願いしたい。まずはこの問題に関心を持ってほしい」と呼び掛けた。

「あの子が死んだのかもしれません」~子の連れ去りabductionにあった母の悲しみ

出典:令和2年8月18日 Yahoo!ニュース

「あの子が死んだのかもしれません」~子の連れ去りabductionにあった母の悲しみ

田中俊英 一般社団法人officeドーナツトーク代表

■ 「こんな暑い日、あの子はどう過ごしているだろう」

前回僕は、離婚時の「連れ去り/拉致abduction」の被害にあった(子どもを一方的に連れ去られた)「別居親」の悲しみについて書いた(「パパ、神経衰弱しよう」~連れ去られた親の「抜け殻」感)。

それは父親の悲しみに若干特定してしまった感があったので、今回は母親の悲しみについて書く。

父親と同じく、理不尽な理由で離婚時に我が子を連れ去られた/拉致abductionされた母親は、数は少ないながらも存在する。

その理由はさまざまだろうが、「この場面は自分が引いたほうが子どもが悲しまないで済む」的な、女性ジェンダー的(受動的な配慮に基づく)理由もあるようだ。それは、男性元パートナーと闘うよりは自分が一歩引いたほうが子どもにとっては楽なんじゃないかという、配慮と態度だ。

その葛藤の奥には、それぞれのカップルの事情はあると思う。だから、目の前の傷ついている母に対して、カウンセラーの僕もそこまでなかなか聴くことはできない。

そのため、「別居親」に追いやられた理由に関しては、今のところその原因の一般性にまでは僕は到達していないのだが、子どもとの別居後、その子を思い日常を過ごす母たちのあり方はわかる。

それら別居母、拉致によって子どもから引き離された母たちは、日常を淡々と過ごしている。けれども、その日常には常にいなくなった子どものことが含まれている。

たとえば、

「こんな暑い日、あの子はどう過ごしているだろう」

「こんな大雪の日、あの子は無事学校から帰ることができているだろうか」

「コロナにあの子はかかってはいないだろうか」等。

■「こんなことで泣いてはいけないんですが」と言いつつ、謝る

そんな日常(どんな時も子どもを思う日々)を送っている母たちの表情からは、そのように常に子を思い子を心配する思いはなかなか読み取れない。

けれども、離婚時に子を拉致/abductionされた悲しみの傷は、常に抱き続けている。

諸事情があって、その悲しみと理不尽さをTwitterなどでは表出できないけれども、常に子を思うことに関しては、前回取り上げた別居親である父と変わりない。

実の母だもの、当たり前だ。

たとえば僕は、ある早朝に突然、Facebookのメッセンジャーを受け取ったことがある。それは、

「朝、ネットを見ていると、某県の中学で、プールでの事故があったという記事が目に入りました。その県は、私の息子が住んでいる県なのです。理性で考えるとそのプール事故で亡くなった生徒さんと私の息子が一致することはないのですが、どうしても心配してしまって」

と書いている。

何回かやりとりするうちに結局は電話することになり聞いていくと、その母は号泣してしまう。号泣しながらも僕に、「スミマセン、スミマセン」と謝る。

僕はそうした事態にはある意味慣れているため、何も謝られる必要はないが、その母たちは泣きながら謝る。

「こんなことで泣いてはいけないんですが」

と言いつつ、謝る。

■あの子は生きているのだろうか

子を授かったという喜びは、その子がいつ死んでしまうかもしれないという強迫観念に襲われ続けることと並列にある。

その強迫観念は、どんな親も抱いているのではないかと僕は想像している。こんなかわいい子どもを私は抱くことができた。今はたまたまこうして抱擁し幸福に包まれているが、この幸福はいつまで続くかはわからない。いついかなるアクシデントで、この幸福が破壊されることはありえる。

世の幸せな母たちは、子を抱擁しつつも、こうした強迫観念に苛まれていると僕は想像している。

ましてや、子どもとは関係のない夫婦間の離婚という事態で予想外に我が子と引き離された時、その強迫観念は常に別居母たちを襲い続ける。

あの子はいま何をしているのだろう?

あの子は生きているのだろうか。

あの子は死んだのかもしれない。

死んだはずはないに決まっているが、ニュースで流れるその死亡事故と、わたしの子どもの死がどうしてもつながってしまう。子どもと同居する親(元夫)に電話しても笑われるか無視されるだけなので、失礼とは思いながらもカウンセラー(僕)にメールしてしまう。結局は電話し、泣いてしまう。どうしても、プールで死んでしまった中学生と、わたしの息子の死がつながってしまうから。

その死で、わたしと彼(息子)のつながりがまったくなくなってしまうから。

そして、わたしも死にたくなるから。

そんな切実な思いを抱きつつ、子を奪われた親たちが日々過ごしていることを、子と同居している一方の親や拉致abductionを支持した弁護士は理解しているのだろうか。

早朝に目覚め、ついつい見てしまったスマホに現れたそんなニュース(プール事故等)から、ひとりベッドで泣く母たちの思いを、我々は想像することができるだろうか。

EU議会の対日決議で話題に…「共同監護」「共同親権」とは?

出典:令和2年8月18日 幻冬舎 GOLD ONLINE

EU議会の対日決議で話題に…「共同監護」「共同親権」とは?

離婚後、問題になることが多い「親権問題」。今回は世田谷用賀法律事務所の代表者、弁護士の水谷江利氏が「共同監護」「共同親権」について解説します。

日本では認められていない「共同親権」

欧州連合の欧州議会本会議が、先月7月8日、EU加盟国の国籍者と日本人の結婚が破綻した場合などに、日本人の親が日本国内で子どもを一方的に連れ去る事例について、ハーグ条約を確実に履行する措置を講じるよう日本政府に要請する決議案を採択しました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200709/k10012505591000.html

この決議は、これに進んで、日本は子の保護に関する国際ルールを遵守できていないとして、日本政府に「共同親権」を認めるよう国内法の改正を促したものとして、大々的に報道されました。

2019年3月には、「国連の児童の権利委員会」も日本政府に対して、離婚後の親子関係に関する法律を、「子供の最善の利益」に合致する場合に「共同養育権」を行使できるように改めるように勧告しています。

「共同監護」「共同親権」とは?

「共同監護」「共同親権」とは、どのようなことなのでしょうか。

日本は、先進国の中では珍しく、離婚後の両親について、一方にしか親権(親権は通常実際に子供を監護する「監護権」を含んだ概念です)を与えない法制度をとっています。これが「単独親権」です。

単独親権のみとしているのは、主要な国ではインドとトルコくらいのもので、そのほか多くの国では単独親権だけでなく共同親権をとることも認められているのです。「共同親権」というのは、別れた夫婦の双方に親権を認めるというものです。

法務省も、近年、日本の離婚後の親権をめぐる法制度と海外との比較について注目し、専門的な調査研究を進めてきました( 父母の離婚後の子の養育に関する海外法制調査結果の公表について )。

冒頭のEU決議は、あくまで、国際離婚の事案で、国を超えた子の連れ去りがハーグ条約に違反することから、これについて向けられたものですが、日本で国を超えた連れ去りが正当化されるのは、日本が単独親権という制度をとっているからで、それがけしからん、というものです。

日本において、離婚後の父母のいずれかしか子に対する親権を持つことができない「単独親権」という制度がいいのか悪いのか、「共同親権」や「共同監護」の制度を真剣に検討した方がいいのではないかということは、「諸外国がそうだから」とか「国際社会から非難されたから」ということではなく、きちんと考えなければいけないことです。

離婚弁護士から見る共同親権・共同監護

「面会拒否」で対立が深まる事例は、決して少なくない

たしかに、日本は、離婚後どちらかの親しか親権を持つことができず、親権を持つ親が子供を監護する(親権と監護権の一致)することが多いですから、片方の親は面会という手段でしか子供にアクセスすることができません。

子どもに会うという「面会」は、間接強制という金銭的な制裁以外の方法では強制することができません。

子どもを心から愛する片方の親が、離婚後、面会を取り決めてもなお子供に会うことができない事案や、子どもに会いたいけれども、片方の親が何らかの理由でこれを断固拒否して面会の調停が極めて長期化し対立が深まる、といった苦しい事案。これらの事案には、離婚弁護士として接することは決して少なくありません。

離婚後の親権が片親に与えられることの帰結というべきか、現在の日本では、共同親権・共同監護下にある子を、夫婦の一方が連れて家を出る事案は違法とはされません。これが「連れ去り」の問題です。

一方、ひとたび片方の親が子供を単独で監護するようになると、まだ離婚が成立しておらず共同親権であってもなお、そこからの子供の連れ戻しは「誘拐」となってしまいます(別居中に、一方の親が、実力で他方の親から、子を奪ったとき未成年者略取誘拐罪が成立するとした最高裁判所平成17年12月6日判決。ただし、この事案は、連れ去りの親の性質がかなり悪質だったケースのようで、すべての事案が「誘拐」ということではありません)。

離婚後の子が育つ環境をどう考えるべきか

子どもが離婚後も双方の親に触れることで安定し、愛情を感じることができ、また、メインの監護にあたる親も、もう一方の親が関与し続けてくれることでいっときの負担の軽減になるのなら、離婚後も共同して双方の親が子供にかかわることができる共同親権・共同監護の制度がよいことは当然だと思います。

弊所のある世田谷区用賀には、離婚後の面会交流を通じて共同養育をサポートする「一般社団法人りむすび」さんがあります。

この「りむすび」さんの代表のしばはし聡子さん著作の書籍『別れてもふたりで育て 知っておきたい共同養育のコツ』には、このような共同監護(共同養育)の良さ、そのために克服しなければならないことなどが平素な言葉でわかりやすくまとまっていますので、おすすめです。

本拠地が同じということもあり、「りむすび」さんとはお仕事でお互いに協力をしたり情報交換をさせていただいたりしています。

共同親権や共同監護の制度で、難しいのはどんなことか

もし、離婚後に面会を渋ったり、あまり会わせたくないという気持ちが、片親の「こちらのやり方を乱されたくない」「いいとこどりをされたくない」とか「子供がパパ(ママ)のほうになびいてしまったらどうしよう」といったような心理的な壁だけであるなら、こういった点は乗り越えていかなければならない点だと思います。

単独親権、単独監護をとるときは、やはり離婚後の子は「どちらかのもの」となってしまうので、こういった傾向を助長し、もう一方の親が入り込む余地を失わせてしまう問題があると言わざるを得ません。

一方で、共同親権、共同監護という制度にも、難しい問題があるとされます。

片方の親が監護に当たる親として何らかの不適格な点がある場合にまで共同監護を認めていいのか。あるいは、子供が双方の親の環境や考え方の違いで悩み苦しんでいるときに、親の権利を双方に認めて良いのか、子供の安定は確保されるのか、とった点などです。

日本で単独親権が長く続いてきたのは、家督制度、家制度のもとで男性優位の「X家」というファミリー感が強かったこともありますし、高度経済成長期以来、男性の長時間労働、女性は家事労働といった役割分担のもとで、ベビーシッターなどの人件費も高額な社会背景の中、実際に男性が子供を引き取ることは困難であったという社会的な背景もあるのであろうと思います。

そう考えると、単に、主要各国がそうだからという理由で共同親権が是、単独親権が否ということもできないと思います。実際、諸外国も、「共同親権」を原則とするだけではなく、共同にするか単独にするか選択制となっているところも少なくありません。

このように考えると、

(1)子どもにとって双方の親に接することが利益になるような場合には共同監護を認める、あるいは共同監護的なことができるように単独親権の制度のもとにおいても十分な面会が確保される、

(2)一方で、子供にとって双方の親を関与させてしまうとかえって子供が苦しい立場におかれるような場合には,やはり一方の親のもとで安定した環境が確保されるようにし、面会は可能な限りで行われるようにする

というのが本来の理想的な手段であるのだと思います。

「単独親権」の制度は、これに対して現在違憲訴訟が進行中でもあり、今後目を離せない論点です。

水谷 江利

世田谷用賀法律事務所 弁護士

※追記(2020年8月19日)

当記事は、 「世田谷用賀法律事務所」 掲載の記事を転載・編集部にて再編集したものです。また記事の内容は、著者が特定の見解を持っていることを示すものではありません。

面会交流の権利「憲法の保障外」、二審も請求棄却

出典:令和2年8月13日 日本経済新聞

面会交流の権利「憲法の保障外」、二審も請求棄却

離婚などで別居した子どもと定期的に会う「面会交流」を義務付ける制度が未整備で精神的苦痛を受けたとして、男女14人が国に計900万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は13日、請求を退けた一審東京地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。

民法は、離婚時に父母が協議して面会交流について決めると規定。原告側は、子と同居する親が約束を破っても罰則がないのは問題だとして、面会交流保障の法整備が不可欠だと主張した。

高裁の白石史子裁判長は一審同様、面会交流をする権利が憲法上保障されているとは言えないと指摘。その上で、父母の協議で面会交流について決めることができなければ、家裁に審判を申し立てるといった制度があるとも言及し「現行法の規定が合理性を欠くとは言えない」と結論付けた。〔共同〕

別居親子の面会交流請求、2審も棄却 東京高裁

出典:令和2年8月13日 産経新聞

別居親子の面会交流請求、2審も棄却 東京高裁

離婚などで別居した子供と定期的に会う「面会交流」を義務付ける制度が未整備で精神的苦痛を受けたとして、男女14人が国に計900万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(白石史子裁判長)は13日、請求を退けた1審東京地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。

 民法は、離婚時に父母が協議して面会交流について決めると規定。原告側は、子と同居する親が約束を破っても罰則がないのは問題だとして、面会交流保障の法整備が不可欠だと主張した。

 昨年11月の1審判決は、面会交流の実施方法は家庭の状況によって異なり、子の利益や福利を優先して検討すべきだと指摘。「面会交流をする権利が憲法上保障されているとは言えず、現行法の規定は憲法に違反しない」として請求を退けた。

養育費ビジネス化に懸念

出典:令和2年8月10日 神戸新聞

養育費ビジネス化に懸念

 明石市が7月、自治体として初めて、不払いになっている養育費を立て替える取り組みを始めた。上限5万円、わずか1カ月分だけだが、国に先駆けて踏み出した一歩は大きい。

 かたや、インターネット衣料品通販大手のZOZO(ゾゾ)の創業者前沢友作氏が設立した新会社の「養育費あんしん受取りサービス」はどうか。不払いの養育費を立て替えるまでは同じ。大きく異なるのは、毎月の養育費の15%、1年分を一括して受け取る場合は25%という保証料が必要になることだ。

 明石市の泉房穂市長は先日、養育費保証をうたう民間ビジネスが少しずつ増えている現状を「不払いの解消は、ひとり親家庭の子どもの貧困をなくすため。子どもが受け取る養育費が保証料などで目減りするのは趣旨に反する」と訴えた。

 2014年から、離婚する夫婦に養育費と面会交流を取り決める書式を配布する同市。市職員が両親同士の連絡調整や子どもの受け渡し、付き添いを担う「面会交流支援」にも取り組む。「すべては子どもの利益に」との視点で一貫している。

 利潤を追求する民間ビジネスで、その視点を持ち続けることができるのか。そもそも諸外国のように、国が養育費の不払い対策をきっちりと制度化すれば、わざわざ民間ビジネスに頼る必要はないのではないか。泉市長の興奮した口ぶりに、そんなことを考えた。

 国は重い腰をどう上げるのか。厚生労働省の調査(16年度)によると、ひとり親世帯の貧困率は5割を超え、養育費を受け取っている母子世帯は全体の4分の1以下。苦しんでいる世帯から上がる「待ったなし」の声は、警報となって今この時も鳴り続けている。

日本人の親による「子供連れ去り」にEU激怒──厳しい対日決議はなぜ起きたか

出典:令和2年8月5日 NEWSWEEK

日本人の親による「子供連れ去り」にEU激怒──厳しい対日決議はなぜ起きたか

<国際結婚と離婚の増加に伴って、日本の単独親権制度が問題に。子供に会えない悩みで自殺したフランス人男性もいる>

「まだ離婚していないのに、まだ親権を持っているのに、なぜ1年以上前から自分の子供に会えないのか」と、日本に住むあるフランス人男性が言う。2018年、長男の3歳の誕生日に彼が帰宅したら妻と2人の子供がいなくなっており、家はほぼ空っぽだった。「孫は突然連れ去られたが、日本の警察などが助けてくれないのはなぜか」と、男性の親も批判する。

2005年頃から欧米で問題になっているのが、「日本人の親による子供の連れ去り」。国際結婚が破綻した日本人(主に女性)が子供と家を出た後、配偶者を子供に会わせないケースだ。背景には、国際結婚とそれに伴う別居や離婚の増加と、親権制度の違いがある。

日本は先進国で唯一、離婚後に父母の一方にのみ親権を認める単独親権制度を取っている。「連れ去った」親は子供と同居しているため、裁判で親権が認められる可能性が高いと言われる。暴言や家庭内暴力(DV)から守る日本の法律が不十分なこともあり、被害を受けた女性が「逃げるしかない」ことも一つの原因と考えられる。

圧倒的多数で日本を批判

7月上旬、ツイッターやマスコミのウェブサイトにこんな見出しが躍った。「『親の子供連れ去り』禁止を要請 欧州議会が対日決議」

EUの欧州議会本会議は7月8日、日本に対する批判的な決議を採決した。賛成686票、反対1票、棄権8票。この決議で強調されたのは、主に以下の4点だ。

① EU市民の親の許可なしに、日本人配偶者が子供を連れ去る事件が増加している。

② 日本は子供の保護に関する国際ルールを尊重しない。EU加盟国の国籍を持つ子供の権利が保護されていない。

③ 日本の法律では、監護の共有は不可能。

④ 親権を持たない親に対する制限付き訪問権、または面会交流がほぼ認められない。

日本への要求は主に2つ。裁判の判決を必ず執行すること、日本が署名したハーグ条約をきちんと守ることだ。民主主義の国であり重要な経済パートナーの日本に対し、これほど強い批判的な表現を使うEUの決議は極めて珍しい。

決議に対し、茂木敏充外務相は「どのような根拠に基づきそのような主張をしているのか理解しかねる点は多い。国際規約を遵守していないとの指摘は全く当たらない」などと述べた。ただし、連れ去りは「子供にとって生活基盤が急変し、一方の親や親族・友人との交流が断絶される」など、有害な影響がある可能性は外務省も認めている。

こうした状況を解決するため、日本は2014年にハーグ条約の締約国になった。同条約は子供を守る目的で、元の居住国に子供を返すための手続きや、親子の面会交流を実現するための国際協力などについて定めている。双方の間で話し合いがつかない場合には裁判所が、原則として子供を元の居住国に返還することを命ずる。つまり、片親が「自分1人で子供の世話する」と決める権利はなく、子供を連れ去るのは違法だ。

だが現実には、ハーグ条約に基づいて解決されたケースは一部にとどまる。外務省によると、子供の返還などを実現するための援助の申請数は2014年度で113件。その後は、年間およそ50件。詳細を見ると、数年前から全く出口が見えないケースも残っている。

当事者であるフランス人男性がこう説明する。「日本の裁判で返還命令が出ても、なかなか執行されない。日本に連れ去られた子供は、日本人の親が返還を拒否したら返還されない。裁判で勝っても、いくら頑張っても外国人の親はもう子供に会えなくなってしまう。万が一、日本に来て子供に会おうとしたら逮捕される可能性がある。何人もそうなった。日本では強制的に子供を返還させることはしないから。国内法律を変えないとこの問題は解決できない」

「僕も自殺を考えた」

数年前には、子供に会えない悩みでフランス人男性2人が自殺した。「僕も自殺を考えたがやめた。息子に頑張っているパパの姿を見せたほうが意味がある。いつか息子が気付いてくれると期待している」と、別のフランス人男性は強調する。

外務省のハーグ条約担当者も裁判所の返還命令が執行されない例があると認め、「夫婦の関係が特に悪い事例で、解決方法がない」と言う。

ハーグ条約は、返還原則の例外も定めている。いくつかあるが、なかでも注目すべきは「返還により子が心身に害悪を受け、または他の耐え難い状態に置かれることとなる重大な危険がある場合」。これには子供への虐待やDV等が含まれる。

子供を連れ去った疑いがある日本人女性はほとんどの件で、「DVを防ぐために逃げた」と説明する。もちろんDVがあった可能性は否定できないが、逃げるより先に居住国の警察などに相談すべきだろう。また、連れ去りの理由として、DVや虐待が不正に利用されるケースがないとも言い切れない。

フランスなどでは原則として共同親権だが、裁判はケース・バイ・ケースで判断し、DVなどを理由に単独親権を決定することも珍しくない。

EUは国境を超えた事例だけでなく、EU市民に関わる日本国内で起きる連れ去りにも懸念を示す。日本で暮らす国際結婚の夫婦が破綻し、日本人の親が子供を連れ去ることも多いからだ。「妻と子供がどこに住んでいるか分からない、子供に会いたい」という外国人男性は多い。

日本人の夫が連れ去るケースもある。「日本では実子誘拐をした片親に実質的に監護権が与えられることを、自分が同じ立場に置かれるまで知らなかった」と、オーストラリア人の女性が言う。彼女は1年前から、2人の子供に会えずにいる。

共同親権についての共著がある東京都立大学の木村草太教授によると、「日本には戸籍の附票制度があり、親権者であれば子供の居住地を追跡できるので通常、『子供がどこにいるのか分からない』事態は生じない。あるとすればDV等による保護措置が出ている場合だけだ」

だが子供に会えない外国人の親全員がDV加害者とは考えにくく、日本語が読めない、話せない彼らが自分の権利や可能な手続きを分かっていない可能性がある。日本人弁護士とのコミュニケーションも一つの課題だ。多くの場合、外国人当事者と日本人弁護士の共通言語は英語で、誤解が生まれることは防げない。子供に会えない外国人の裁判を筆者が取材したところ、通訳の問題もあるし、あまりやる気のない弁護士がいることも分かった。

フランスの国会議員リシャルド・ヤングは「父親と母親の関係が悪化したとしても、国は子供の権利を守り、両親との関係継続を確保すべき」と強調し、「日本の法律を改正することが必要ではないか」と言う。

裁判の判決が守られない

多くの欧米人からすると、単独親権制度は時代錯誤なだけでなく、日本が署名した「児童の権利に関する条約」に反する。特に、第9条に定められている親と引き離されている子供が、親と定期的に会ったり連絡したりする権利が守られていない。日本人の配偶者と別れた後、子供との面会交流ができない外国人親は多い。離婚するとさらに壁が高くなる。共同親権が認められたらこの問題を解決できるというのがEUの考え方だ。

一方、共同親権は必要ないと考える木村はこう説明する。「面会交流については、親権者が自由に決められる事柄ではない。父母どちらが親権を持つかにかかわらず、『子の利益』を最優先して監護・面会交流の方法を協議で決めなくてはならない。親権を持たなくなったほうは法律上、親として扱われなくなり、子供に会うこともできなくなるという説明は誤りだ」

ただ残念なことに、裁判で「面談交流、月2回」の命令が出ても、親権を持つ親がさまざまな理由で命令に応じないことも少なくない。「新型コロナウイルス感染のリスクがあるから会わせない」と言われたフランス人男性は「妻はなんでもかんでも理由にする」と言う。「裁判の判決が必ずしも守られていない」というEU決議の指摘は、こうした問題も含めている。

崩壊した日本人夫婦の間にも同じような事態は起きるが、外国人だとさらに複雑だ。国によって国際条約の理解が若干異なるのも大きい問題だろう。子供の利益を最優先すべきと言っても、「子供の利益」とは何か、国によって答えが違うかもしれない。

今回の決議が日本でも報道されたこともあり、EUやアメリカの意見に耳を傾ける日本の議員、弁護士や当事者も出てきた。今後は建設的な議論が可能かもしれない。今のままでは連れ去りの被害者となる子供が増え、日本のイメージも悪化する一方だ。

(筆者はフランス出身、1997年より日本在住。元AFP通信東京特派員)

<2020年8月11日/18日号掲載>

「パパ、神経衰弱しよう」~連れ去られた親の「抜け殻」

出典:令和2年8月8日 Yahoo News!

「パパ、神経衰弱しよう」~連れ去られた親の「抜け殻」

田中俊英 一般社団法人officeドーナツトーク代表

■自殺の事実が、日本の単独親権の闇を示す
僕はふだんは不登校やひきこもり、発達障害の子をもつ親の面談支援を行なっている。すべて大阪市や大阪府の委託事業内で行ない、それは市民からみると通常の行政サービスに含まれる。そのため料金もすべて無料だ。
そのような看板(不登校相談等)で無料面談支援を行なっていると、時々「妻か夫に子どもを『連れ去られた』別居親」と出会うことがある。当欄でも度々指摘してきた、子どものabduction/連れ去り・拉致の被害者だ。
それらの親御さんは最初はためらってabductionの事実を伏せている。けれども話し込んでいくと、問題の本質は、離婚や別居時に起こったabduction/連れ去り・拉致であり、そのことに関して目の前のその親御さんが深く傷ついていることがわかってくる。
Twitterなどでは、連れ去ったほうの同居親(母親が多数)や弁護士に対する怒りの言葉が並ぶが、実際に面談支援の場に現れる別居親たちは怒りとは反対の悲しみに覆われている。
それは支援という角度で切り取ると、PTSDであり鬱状態なのだろう。実際、最近話題のこの記事
(日本人の親による「子供連れ去り」にEU激怒──厳しい対日決議はなぜ起きたか)でも、連れ去られた親の自殺の問題に触れている。
数年前には、子供に会えない悩みでフランス人男性2人が自殺した。「僕も自殺を考えたがやめた。息子に頑張っているパパの姿を見せたほうが意味がある。いつか息子が気付いてくれると期待している」と、別のフランス人男性は強調する。
出典:日本人の親による「子供連れ去り」にEU激怒──厳しい対日決議はなぜ起きたか

この記事でだけではなく、時に「虚偽DV」という悪質な手法のもと子どもを連れ去られ残された親が自殺に追い込まれることは、Twitterや個人ブログに溢れている(たとえばこれ。リンクされた記事群は資料的にも価値がある→人権弾圧により奪われ続ける報われない命)
むしろ、DV対策の名のもとに隠蔽されていくこうした自殺の事実が、日本の単独親権の闇を示している。
■「パパ、神経衰弱をしよう」
精神医学的にはこうした自殺の背景を、PTSDや鬱状態で説明できるのだろうが、僕が実際に親御さんたちと話していて感じるのは、独特の
「抜け殻感」
だ。別居親の方々は毎日仕事もし、がんばって生きている。けれども、面談に訪れた彼ら彼女らの話しぶりや仕草からは、独特の諦めを僕は感じてしまう。
それは、「空気=同調圧力」社会ニホンで子どもを連れ去られ、それに加えて、虚偽DVや人間性の問題まで問われてしまった人の疲れだ。生きがいや希望だった子どもを連れ去られ、完全に孤独になってしまった現状を言語化することがつらすぎる人の諦めだ。
そうした、疲れや諦めが数年単位で積み重ねっていくことで、「抜け殻」のような雰囲気が現れてくる。
決して声も荒らげないし滅多なことで感情を噴出することもない。事実を淡々としゃべる。
子どもと過ごした時間、保育園や幼稚園に迎えに行ったこと、日曜日にいっしょに遊んだこと、誕生日プレゼントにぬいぐるみを買ってあげたこと。
楽しそうに親御さんたちは語るものの、その語りには細かい部分が欠落している。細かなディテールが少ないエピソード群は、それらの過去の思い出を半透明なものにしている。
僕は、そうしたディテールの欠落をクライエントのみなさんが苦しくない範囲で聞くことも「支援」だと思っている。生活の中での細かい情景を語ることで、問題の本質が見えてくることが多く、それは100年前のフロイトの著作群などにも感じることのできる、支援の極意だと解釈している。
連れ去られたことから生じるPTSDをお持ちのため、しつこくは当然聞かないけれども、たとえば子どもと室内で遊んでいた時「どんな遊びをしました?」などと聞く。
記憶にディテールを欠いているため即答はできないが、あるタイミングでたとえば、「トランプをよくしました」等の返答がある。
どんなトランプをしましたか? と僕は続けて聞く。すると、その別居親(父の場合もあれば母の場合もある)はこんなふうに答える。
「ああ、そういえば、子どもから『パパ、神経衰弱をしよう』」とよく誘われたなあ」
■耐え続けている
そのあと、目の前の父親の目に涙が浮かび始め、神経衰弱の有様を嗚咽をこらえつつ語ってくれたりする。
「僕が誤ってジョーカーを1枚だけ入れていたら、『パパ、ジョーカーは2枚入れなくっちゃ』とよく怒られました」
目の前に座る別居親である父親は、号泣する場合もある。
それだけ、別居親たちはふだん自分の置かれた理不尽さに耐え続けている。虚偽DVや親失格等の理不尽な言葉に耐え、ひとり取り残された自宅での膨大な時間に耐え、月1回2時間しかない「面会」時間さえ延期させられてしまう事実に耐えている。
そうした忍耐を続けていくために、自分の愛する子どもたちと過ごした時間の細かいディテールをあえて消去しているように僕には思える。
辛い境遇が延々と続いていく時、その辛さの源泉にたとえば幸福な過去の子どもの映像があったとすると、その幸福さと人は向き合えないのではないかと僕は推測している。
現在の大きな停滞感を凌ぐためには、そうした過去の幸福が邪魔になってくる。何月何日にこれをした的スケジュールの記憶は残っているが、そのスケジュールの中で起こった細かい事実を思い出すことがつらい。
たとえば、神経衰弱でジョーカーが1枚なことにに文句を言うかわいい子どもの表情を思い出すことができない。思い出してしまうと、今の自分を維持することが難しいからだ。
そうした理不尽さと忍耐と悲しみに毎日「連れ去られた親たち」は耐えている。記憶を少し薄くさせて、本当はずっと覚えておきたいその子どもの笑顔がその時なぜ現れたのか、そうした細かい場面をあえて封印している。
子どもの連れ去りとは、そうした別居親たちの悲しみと涙を潜在化させているというだけで犯罪的だ。
そして同時に、子どもも傷つき、それが潜在化していることも忘れてはいけない(「親が死ぬこと」を子は想像できない

EUが日本非難!「子ども連れ去り」を止める法改正を

出典:令和2年8月1日 アゴラ

EUが日本非難!「子ども連れ去り」を止める法改正を

「もう、嘘をつかないでもらいたい」「認識があまりにも低すぎる」ーー。

国会議員らが、外務省と法務省の役人を厳しく追及する一幕があったのは、7月30日に衆議院議員会館で開かれた共同養育支援議員連盟の総会でのこと。

背景には、日本国内の離婚時の子どもの連れ去りに関して、7月8日に欧州連合(EU)議会で可決された日本への非難決議に対し、「EUの指摘には誤解されている部分が多い」「日本はきちんと対応している」とあくまで責任を回避しようとする法務省と外務省の煮え切らない態度がある。

非難決議によって、日本は「人権意識の低い国」との烙印を押され、EUと日本のパートナーシップは危機的状況にあると言っていい。このEUとの友好の危機を回避するためにはどうすれば良いか。これまでの経緯を振り返りながら考えたい。

きっかけはフランス、イタリア出身の父親の訴え

今回のEU非難決議は、EU出身者と日本人の夫婦が離婚するとき、日本人の親が日本国内で子どもを一方的に連れ去り、別れた相手と面会させないことなどを禁止する措置を迅速に講じるよう、日本政府に求めたものだ。こうした子どもの連れ去りについて「子どもへの重大な虐待」とし、子どもの権利条約に反していると指摘する。

自民党の三谷英弘・衆議院議員は、議連の総会の中で「EUがほかの国に対する非難決議行うということは、基本的にはない。北朝鮮などに対して、人道的に緊急を要する場合はあるかもしれないが、それが日本に対して出されたということは、非常に重いこと」と指摘した。

この決議の出発点は、国内で実子誘拐にあったフランスとイタリア出身の父親の訴えだ。

フランス出身のヴィンセント・フィショ氏と、イタリア出身のトッマーソ・ペリーナ氏(いずれも東京都内在住)は、ともに日本人パートナーとの子どもを連れ去られ、自分の子どもと会えないどころか、電話1本できず、写真すら見ることができない状況が続いている。

彼らは、日本国内で子どもと引き離されたほかのEU出身者と一緒に、昨年から欧州の各国政府、国連などに出向き、日本国内の連れ去りをやめるよう、日本政府に訴えかけるように働きかけを行っている。その一環で、彼らのケースを「EU請願委員会」に訴えかけた。これがEU議会での調査につながり、今回のEU決議に至ったものだ。

ペリーナ氏は、「私たちのケースを日本が調査して、子どもたちを家に帰すことで、日本が人権問題に真剣に向き合っていることを国際社会に示すことになるでしょう」と話し、フィショ氏は「私たちの子どもたちを家に戻すことは、日本国の利益。その前例をつくることで、日本のすべての子どもたちにとっても、直接的な利益になると信じています」と彼らの働きかけの意味を語った。

EU決議に対する外務省のトンチンカンな回答

EU決議について、記者会見の場で見解を求められた茂木敏充・外務大臣は「国内法制度に基づいて、国籍による区別なく、公平かつ公正に対応しており、決議にあるような国際規約を遵守していないという指摘は全く当たらない」と答え、さらに「法務省で取り組んでいることであり、法務省に聞いてもらいたい」と法務省へ責任を丸ごと押し付けた。

また、議連総会に出席していた外務省の担当者は、前出の国内で連れ去られた場合には適用されない「ハーグ条約」について、その取り組みを説明し、日本は「遵守している」と回答。

これに対して、日本維新の会の串田誠一・衆議院議員は、「EU決議が問題にしている主な問題は、(ハーグ条約の事例でなく)国内の連れ去り問題であり、国内の連れ去りは何件あって、何件返されたのか、その数字を示さないと、対策を検討すらできない」と断じた。

それに対する外務省担当者の「外国人にどうやって説明したらいいのか、法務省を連携して取り組んでいきたい」との言葉に、会場の議員席からは失笑が漏れた。

EU決議について、外務省が繰り返し「指摘は当たらない」「日本は条約を遵守している」と回答することで、日本が真剣にこの問題に向き合っていないことを示す格好になっていることを、国益を損ねる形になっていることを、外務省の役人たちは理解しているのだろうか。

「養育費」問題の解消には熱心な法務省

法務省ではこれまでに、海外の24か国を対象に、離婚後の親権制度や子どもの養育のあり方について調査をしたり、親権制度の見直しの当否を検討する「家族法研究会」を7回にわたり開くなど、対応に当たってきた。

また法務省は、厚労省と連携して積極的に、養育費の不払いの解消に向けた取り組みを進めている。自民党女性活躍推進本部の猪口邦子本部長らが6月に、首相官邸で安倍晋三首相と会い、養育費の不払い問題で対策を提言し、それに取り組む同省の検討会議は年内をめどに取りまとめを行う予定で、積極的に進めている。

この問題を国会での質疑でもたびたび取り上げてきた嘉田由紀子・参議院議員は、自身のFacebookで「日本の民法819条で単独親権が決められ、片親の親権や子どもとの交流が公的に奪われながら、養育費支払いだけを義務化することは国家の法制度としてバランスを欠いているのではないか」「養育費の義務化は共同養育や共同親権とセットだろう」と指摘。

前出の三谷議員も総会の場で、「養育費だけ進めて、面会交流がおざなりにされることがないように、確認したい」とくぎを刺した。

共同養育への法改正が、問題を打開する唯一の方法

日本国内で、一方の親から子どもを奪う人権侵害が横行しているとのEUからの指摘に、「子どもの権利条約」を管轄しているはずの外務省は「指摘は誤解だ。法務省に聞いてくれ」と逃げ、法務省は養育費の問題には熱心だが、共同養育への具体的な法改正については、いつ、どのように取り組むのか曖昧な姿勢のままだ。

このままの態度が続くのであれば、日本とEU間の政治・外交・社会関係の緊密化を目的として結ばれた「日EU戦略的パートナーシップ協定(SPA)」についても、「見直しも検討せざるを得ないだろう」と、ペリーナ、フィショ両氏は案じている。

議連の総会では、EUとの関係悪化の「問題を打開する唯一の方法は法改正だ」とし、議連の会長で自民党の馳浩・衆議院議員が、今後の方針として「連れ去り問題について、国内の無法状態についてどう対応するか検討し、離婚後の共同養育のルール化を制度としてしっかり作ること」を確認した。

日本は、EUからの指摘を真摯に受け止め、子どもの連れ去りを防ぎ、子どもたちが自分の親に自由に会える権利を制度として保証し、EUとの友好の危機を、回避できるのだろうか。EUは怒っている。時間はない。

この事態は、適切に対応することで日本が人権侵害に真摯に向き合う国だと示す好機なのだと、とらえたい。

超党派議連 離婚後も「共同養育」へ 法整備働きかけの方針確認

出典:令和2年7月30日 NHK

超党派議連 離婚後も「共同養育」へ 法整備働きかけの方針確認

結婚が破綻した場合の子どもの扱いをめぐって、超党派の議員連盟は、父母が共に子育てに関わる「共同養育」を推進するため、離婚後の面会交流の促進などに向けた法整備を急ぐよう政府に働きかけていく方針を確認しました。
離婚したあとの親権は、日本では、父母のいずれかが持つ「単独親権」が民法に規定されている一方、海外の先進国では、父母の双方が持つ「共同親権」が主流となっていて、EUの議会は、日本に「共同親権」を認める法整備などを求める決議を採択しました。

これを受けて、超党派の議員連盟は30日、国会内で会合を開き、会長を務める、馳 元文部科学大臣は、離婚したあとも父母が共に子育てに関わる「共同養育」の推進を目指す必要があるという考えを示しました。

そして、議員連盟では、離婚したあとの養育費の確保や、子どもとの安定した面会交流の促進に向けて法整備を急ぐよう、政府に働きかけていく方針を確認しました。

日本人親の子ども連れ去りに、世界がNO! EU議会が政府に禁止要請 変わるか社会通念

出典:令和2年7月15日 47NEWS

日本人親の子ども連れ去りに、世界がNO! EU議会が政府に禁止要請 変わるか社会通念

 7月8日、欧州議会は、日本国籍とEU籍の両方を持つ子どもを日本人の親が連れ去ることを禁止するよう求める決議を、圧倒的賛成多数(賛成686、反対・棄権9)で採択した。といわれても、多くの日本の読者には何のことやらわからないかもしれない。EU市民を代表する欧州議会が抗議しているのは、EU籍を持つ子どもが、日本人のひとり親 に独断で連れ去られることにより「子どもの権利」が阻害されているという点だ。国際結婚が珍しくない現在でも、家族のあり方や子どもの権利についての日本の社会通念は、旧態依然のままだと欧州から見られているのだ。(ジャーナリスト=佐々木田鶴)

 ▽5年で累計1万件の連れ去り発生?
 欧州議会には、EU市民が、直面する問題を訴え、助けを求めることのできる請願委員会というのがある。欧州市民の声を直接拾い上げる仕組みだ。今回は、フランス人、ドイツ人、イタリア人2人の合計4人の当事者による請願から始まった。彼らの日本人妻が、EU籍も持つ自身の子どもを日本に連れ去ってしまい、会うことさえままならない。日本は国境を越えた子どもの連れ去りを禁止するハーグ条約(「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」日本は2014年に批准)に違反し、国連の子どもの権利条約(日本は1994年に批准)が保証する子どもの権利を守るための法整備も怠っていると訴えた。

 請願委員会事務局によると、正確な件数はわからないものの、「欧州ばかりでなく、北米、オセアニアからなどの情報を基に推計すると、日本人による子どもの連れ去りは、ここ5年ほどの累計で1万件を超える」という。欧州で子どもの奪取問題に取り組む国際民間非営利団体(NPO)ミッシング・チルドレン・ヨーロッパのデマレ氏は、日本のような先進国相手では信じがたい数だという。
 近年、欧州各国では、核心を突く調査報道で知られるテレビ番組や特集記事などが、日本人の親による子どもの連れ去り問題をよく報じるようになった。フランス国営放送の人気番組「特派員」では、フランス人パパが連れ去られたわが子に会おうと日本に潜入する密着番組が放映され、「おもてなし」が売りの日本で、「ガイジンは嫌いだ!」と怒鳴られたり、国際法とは無縁そうな地元のおまわりさんに不審者扱いされたりする様子が物議を醸した。この番組によれば、同じような境遇で連携するフランス人の親は100人以上もいるという。アメリカの団体BacHomeでは400件以上と推計しているので、累計1万件というのも的外れではないのかもしれない。

 ▽国際政治の場でも日本批判の大合唱
 マクロン仏大統領も、メルケル独首相も、コンテ伊首相も、これまで安倍首相に直接、何度も改善を要請してきた。在日本のEU加盟国の大使たちは、連名で日本の法務大臣に法整備を促す書簡を送っている。欧州議会の「子供の権利」専任コーディネータは、2018年以来、日本の法務大臣や駐EU日本大使に当事者たちの声を届けて改善を訴えている。19年8月には、国連人権委員会にも正式な訴えが起こされた。
そして、今回の決議では、EUはあらゆる外交機会を駆使して、日本に改善要求を続けるとしている。同じような外圧は、欧州以外からも繰り返されているはずだ。だが、今回の欧州議会決議を受けても、茂木敏充外務大臣は「決議にある『国際規約に遵守していない』という指摘はまったく当たらない」と答えている。政治家や行政がどこ吹く風と無作為に徹し、国内メディアがほとんど伝えなければ、日本社会や日本人に届くわけもない。

 ▽無断で子を連れ日本の実家へ帰ると誘拐に
 筆者のように日本国外で30年も生きていれば、国際結婚の破たんを見ることは多い。そもそも同国籍、同人種間のカップルであっても、半数以上が破綻する今日では無理もない。欧州では離婚届に捺印して役所に届け出るだけでは離婚は成立しない。裁判所が介入して、子どもがいれば、必然的に親権能力が問われ、共同親権の詳細が裁定され、養育費や日常生活の分担が取り決められる。
 にもかかわらず、日本人の女性の場合、関係が決裂すると一目散に子どもを連れて日本の実家に駆け込むことが多い。日系航空会社のカウンターでは、未成年の子どもを連れていても、パスポートと供に、欧米では常識的な「もう一人の親による同意書」の提示を求められることはまずないし、その行為が「誘拐」にあたるという意識もない。法律用語では「連れ去り」「奪取」と訳されている英語の「アブダクション」という言葉は、普通は「誘拐」と訳すのが一般的だ。
 知識人といえるような友人ですら、「日本人の母親なら、どうしようもないヨーロッパ人の父親の元に子供を残しておけないと思うのが当然」などという。日本人女性は良妻賢母で、ガイジン夫は悪者と決めつけて疑いもしないようだ。
 ハーグ条約関連の案件を多く手掛けて来た日本人の女性弁護士によれば、これらは日本の社会通念では当たり前だという。
 「日本社会では長年にわたり単独親権があまりにも当然でした。父親は外で働いて家庭に生活費を入れ、母親は家で子育てという社会通念が根強い。別居や離婚の際には、母親が子どもを連れて家を出るのが当たり前。男性側が親権を求めることもなかったし、子どもに会いたがるとは考えもしない。(別れた男性は)養育費も支払わず、次の女性と結婚して新しい生活を始め、前の家庭のことは忘れようとするのが仕方ないと見なされがち。(女性側は)子どもが小さければお父さんは死んだと伝えるか、極悪人に仕立て上げるしかない。日本人の多くが、この社会通念をオカシイとして行動してこなかったために、法律も裁判所も変わってこなかったというのが実情です」
 最近では日本の裁判所でも、連れ去られた子どもの返還を命ずるケースが増えてきているという。だが、関連する国際条約の精神が求めているのは、単に子どもだけを「返還」すればよいということではない。前述のデマレさんは、「子どもの権利に重きを置いて解決するならば、大人の都合で家庭が破壊されても、子どもが両親それぞれと親密な関係を保ち続けられる環境を、大人たちが用意しなければいけないのです」という。

 ▽日本に届け欧州決議
 筆者は、当地で、刑務所に服役中の親が子どもとの関係を修復するリハビリテーションを観察させてもらったことがある。精神科医師や心理カウンセラーなどの専門家が、専門の裁判官や社会福祉士とスクラムを組んで長期にわたって慎重に進めるものだった。親にとっては更生の原動力となるかもしれず、子どもにとっては生涯に渡っての数少ない身内かもしれないからだ。
 日本人と欧州人の両親が離婚し、ほとんど母親の元で父親の悪口ばかりを聞かされながら育った少女が、成人してから、父親とのよい関係を保って生きているケースも知っている。母親ががんで亡くなり、日本にはすでに遠縁の家族しかいない。父親の女癖も、稼ぎの悪さも、母親にとっては憎しみでしかなかったろうが、今の彼女には親身になってくれる唯一の家族だ。
 大人本意で作られた古い社会通念を捨てて、「子ども本位」に変容させていかなければ、「子どもの権利」は保障できない。そのためには、メディアや政治や司法が、大衆の好みにおもねるのではなく「違うよ、この方がいいよ」と変容の方向を指し示すことが大切ではないだろうか。欧州議会の決議が、少しでも良識ある日本の人々の心に届くことを願いたい。

共同親権 導入是非含め検討「子どもの利益最優先に」森法相

出典:令和2年7月14日 NHK

共同親権 導入是非含め検討「子どもの利益最優先に」森法相

国際結婚が破綻した場合などの子どもの扱いをめぐって、EUの議会が、共同親権を認める法整備を日本に求める決議を採択したことに関連し、森法務大臣は共同親権の導入の是非を含めて検討を進めているとして「子どもの利益を最優先にさまざまな意見を聞いていきたい」と述べました。
EUの議会は先週、加盟国の国籍をもつ人と日本人の結婚が破綻した場合などに、日本人の親が、国内で子どもを一方的に連れ去るケースが相次いでいるとして、連れ去りを禁止する措置や共同親権を認める法整備などを求める決議を採択しました。

森法務大臣は記者会見で「外務省などと連携して対応しているが海外からの意見には、誤解も散見されるので、日本の法的手続きを正確に理解してもらうことが重要だ。引き続き丁寧に説明したい」と述べました。

そして、森大臣は共同親権については導入の是非を含めて検討を進めているとしたうえで「子どもの利益が最優先だという観点から、さまざまな意見にしっかり耳を傾けていきたい」と述べました。

欧州議会、日本におけるEU市民の親からの子の連れ去りに警鐘を鳴らす

出典:令和2年7月9日 駐日欧州連合代表部ホームページ

'欧州議会、日本におけるEU市民の親からの子の連れ去りに警鐘を鳴らす

Brussels, 08/07/2020 - 20:33, UNIQUE ID: 200709_8
Press releases
EU News 185/2020

<日本語仮抄訳>
欧州議会議員は、日本の当局が国際法の遵守に消極的であることで、日本において親による子の連れ去り事例が多数発生していることを懸念している。
7月8日(水)、賛成686票、反対1票、棄権8票で採択された決議において、欧州議会は、日本での親による子の連れ去りから生じる子どもの健康や幸福への影響について懸念を表明した。また日本の当局に対して、子どもの保護に関する国際法を履行し、共同親権を認めるよう法制度の変更を行うことを求めている。

国際法の履行
欧州議会は、EUの戦略的パートナーの一つである日本が、子の連れ去りに関する国際的なルールを遵守していないように見受けられることを遺憾としている。また日本の当局に対しては、国内法を国際的な公約や義務にと調和させるため、両親の婚姻関係が解消した後の子の返還や面会・訪問権に関する国内および国外の裁判所の決定を実行するよう求めている。
欧州議会議員は、子どもの最善の利益を守ることを第一に考えるべきであり、また子どもや親権のない親との将来の関係に及ぼす長期的な悪影響を避けるため、子の連れ去りの問題は、迅速に対処する必要があることを強調している。また、国連の「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」において、全ての子どもは、子の利益に反するものでない限り、両方の親との関係や直接的な交流を維持する権利があるとされていることを指摘している。

「親の子供連れ去り」禁止を要請 欧州議会が対日決議

出典:令和2年7月9日 共同通信

''「親の子供連れ去り」禁止を要請 欧州議会が対日決議

【ブリュッセル共同】欧州連合(EU)欧州議会本会議は8日、EU加盟国の国籍者と日本人の結婚が破綻した場合などに、日本人の親が日本国内で子どもを一方的に連れ去り、別れた相手と面会させないことなどを禁止する措置を迅速に講じるよう日本政府に要請する決議案を採択した。
 日本は国境を越えて連れ去られた子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」締約国だが、国内の連れ去りには適用されない。
 決議は子どもの連れ去り行為が相当数あるとした上で「子どもへの重大な虐待」と強調。EU欧州委員会や加盟国などに対しても日本側に改善を求めていくよう求めた。決議には法的強制力はない。

EU議会 日本へ一方的に子どもを連れ去る行為の禁止を求める

出典:令和2年7月9日 NHK

''EU議会 日本へ一方的に子どもを連れ去る行為の禁止を求める

国際結婚が破綻するなどした日本人が、相手の承諾を得ないで子どもを日本に連れ去るケースが続いているとして、EUの議会は、日本政府にこうした行為を禁止する措置を取るよう求める決議案を採択しました。
日本では、国際結婚が破綻した際の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」が2014年に発効しましたが、ヨーロッパでは、国際結婚が破綻したあとに、日本人の親が相手の承諾なしで、子どもを日本に連れ去るケースが続き、条約が順守されていないとして問題視されています。

こうした中、EUの議会にあたるヨーロッパ議会は8日、EU加盟国から日本へ一方的に子どもを連れ去ることを禁止する措置を取るよう日本政府に求める決議案を、賛成686票、反対1票で採択しました。

決議では子どもをEU加盟国の親の元に戻すことや、子どもに面会する権利を認めることなど、条約を順守するよう日本政府に求めているほか、EU加盟国などに対しても日本に改善を促すよう求めています。

決議に法的な拘束力はありませんが、ヨーロッパでは、ドイツフランス、イタリアの首脳が安倍総理大臣との会談でこの問題を取り上げるなど、日本政府に改善を求める圧力が高まっています。

コロナ、遠ざけた親子 離婚・別居の家族、面会中止相次ぐ 当事者団体調査

出典:令和2年5月9日 朝日新聞

コロナ、遠ざけた親子 離婚・別居の家族、面会中止相次ぐ 当事者団体調査

新型コロナウイルスの感染拡大が、離婚などで離れて暮らす親子の「面会交流」=キーワード=にも影を落としている。当事者団体の調査では3月以降、面会できなくなったり、回数が減ったりする例が増え、関係断絶を心配する声が上がる。(阿部峻介、新屋絵理)

  ■「全く会えず」44%

 当事者団体「共同親権草の根活動」が4月14〜20日にアンケート調査を実施。離婚や別居で子と離れて暮らす男女107人しか回答した。大半は月1回以上面会していたが、感染が拡大した3月以降「全く会えなくなった」人しか47人(44%)、「頻度・時間が減った」人が34人(32%)いた。
 理由は「同居している親子が面会に否定的」が最多の58%。「外出自粛要請の対象があいまい」が19%、「自分の判断」が18%と続いた。大半はテレビ電話などの代替手段が実現しておらず、外出自粛が伸びた場合の親子関係について91人(85%)が「断絶を懸念する」と答えた。
 団体側は「一度切れた人間関係を再び築くのは実の親子でも簡単ではない」と指摘。親子の交流を外出自粛の対象外にしている欧州の国々の事例をあげ、「日本の政府や自治体も面会交流の指針をはっきり示してほしい」と訴えている。
 政府の緊急事態宣言を受け、各地の家裁が裁判手続きを中止した影響も出ている。別の団体「共同親権運動・国会賠償請求訴訟を進める会」が4月20〜23日に実施したアンケートによると、家裁に調停などを申し立てた94人の約7割が期日を取り消されたという。
 同団体は先月末、「親子関係の維持、子育ての観点から『不要不急』と呼ぶ余地はない」として、最高裁に再会を求める要望書を出した。

■「面会は不要不急か」

※以下、紙面参照。

「子供に会えない」コロナで家裁調停中断、途方に暮れる親

出典:令和2年5月9日 産経新聞

「子供に会えない」コロナで家裁調停中断、途方に暮れる親

 新型コロナウイルス感染拡大を受けた緊急事態宣言で、家裁での面会交流や引き渡しをめぐる審理が中断し、親が別居中の子供に会えないケースが相次いでいる。法務省はビデオ通話での親子の交流継続を呼びかけるが、当事者団体は「オンライン交流は代替手段にすぎない」として、対面での面会に向けた具体的な指針を国や裁判所に要望している。(桑村朋)

 「このまま子供に会えないかもしれない。一体どうすれば」

 4月下旬、北陸地方に住む30代のシングルマザーが電話取材に訴えた。離婚して地元に戻ったが、実家とは別の家に暮らす。昔から両親とは仲が悪く、長年顔を合わせていなかったが、今年、単独親権を持つ小学生の子供が実家に行ったきり帰らなくなった。

 このため女性は実家側に子供の引き渡しを求め、地元の家裁に調停を申し立てた。調停は家裁の調停委員が間に入り、子供の引き渡しや住む場所について話し合いでの解決を目指すというもの。4月21日には最初の協議が予定されていた。

 だが同月8日、家裁の担当者から「新型コロナの影響で調停は電話で行う」と連絡があった。政府が先行の7都府県に緊急事態宣言を出したタイミングと重なった。その後、女性が住む自治体でも感染者は増加。期日直前には家裁から改めて連絡があり、今度は「(期日は)5月6日以降に決め直す」と告げられた。

 だが、8日時点でも家裁から連絡はない。女性は悲痛な胸の内を明かす。「このまま夏休みまで会えない可能性もある。体調管理をしてあげたいこの時期に一緒にいられずつらい」

◇7割、審理期日未定

 「共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会」がまとめたアンケート結果によると、面会交流や離婚、子供の引き渡しなどを家裁で審理中の94人のうち、約7割の66人が、取り消しや延期で、次回の審理期日が決まっていないと答えた。

 また56人が、子供に会うことができずに困っていると回答。「子供の安否が確認できない」(38人)、「相手方と連絡を取ることができない」(19人)といった意見もあった。「コロナを口実に面会交流を引き延ばされている」など、自由記述欄には切実な声も。

 同会は4月末、アンケート結果を基に、家裁審理の早期再開を求める要望書を最高裁に提出。最高裁は緊急性の高い裁判は継続審理する考えだが、8日時点で新型コロナ禍での面会交流の指針は未公表だ。

 一方、法務省は1日、面会交流が困難な親子らに向け、ビデオ通話で交流継続を呼びかける方針をホームページに公表。だが同会担当者は「あくまで重要なのは対面の面会。ビデオ通話が主流になれば、片親が今以上に会えなくなる恐れもある」と警鐘を鳴らす。

 海外では都市封鎖(ロックダウン)中も面会交流できるよう行政が指針を出す国もあると指摘。「オンライン交流なども選択肢として確保すべきだが、自宅待機中でも子供が双方の親の家に移動できるようにするなど、国や裁判所には具体的な指針を出してほしい」と訴えた。

<新型コロナ>別居中の親が子どもに会えない 家裁の審理止まり、面会交流できず

出典:令和2年5月3日 東京新聞

<新型コロナ>別居中の親が子どもに会えない 家裁の審理止まり、面会交流できず

紙面PDF

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で家裁の審理が止まるなどして、別居中の親が子どもに会えないケースが相次いでいる。面会交流や離婚などを巡って家裁で審理中の人に、市民団体が行ったアンケートでは、期日を取り消されたりして審理の見通しが立たない人が約七割に上った。専門家は「感染リスクに配慮する必要はあるにしても、司法は親子が断絶しないよう工夫すべきだ」と指摘している。(佐藤直子)

◆離婚調停の期日取り消し、娘の安否分からず
 東京都内の男性が半年ぶりのわが子との面会で、読み聞かせようと用意した絵本。出番はまだない

 「娘が元気なのか、どうしているのか。コロナ禍だというのに、安否や様子が分からない」。千葉県に住む四十代の男性会社員は不安をこぼした。昨年秋に始まった別居中の妻との離婚調停は四月に予定されていた期日を取り消され、次回は決まっていない。
 婚姻中は原則父母がともに親権者となるが、日本では離婚後、父母の一方しか親権者になれない「単独親権」のため、別居する親と子どもとの面会交流の取り決めは離婚時に父母の間で交わすことになっている。
 男性と娘の面会交流は、妻との間で暫定的に「月一回二時間」とした。だが、正式に定める調停がストップ。仲介役の支援団体も、やはりコロナ禍を理由に業務を休止し、娘とはこの二カ月、会えていない。

◆69%が「次回未定」市民団体アンケート
 男性と同じように家裁で期日を取り消された人は多い。市民団体「共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会」が四月二十日から二十三日まで会員らに行ったアンケートでは、面会交流や離婚、子の監護者指定などを巡る家事事件で審理中の九十四人が回答。69%の六十五人が取り消しや延期によって次回期日が決まっていないと答えた。
 期日の取り消しが続出するのは、最高裁が緊急時の事件処理などを定めた「新型インフルエンザ等対応業務継続計画」に基づき、全国の裁判所が業務を絞っているためだ。東京家裁は緊急事態宣言を受け、四月八日から五月六日まで緊急性が高いと判断した事件を除き、家事事件の期日を取り消した。その措置は十五日までの延長が決まった。
 最高裁家庭局は「期日の指定や取り消しは裁判官の判断で行われる。感染リスクを避けて裁判所に必要な機能を維持するためにはやむをえない」と説明する。
 しかし、期日が取り消された家事事件の多くは面会交流や離婚、養育費、父母のどちらを子の監護者にするかなどを決めるためのもので、当事者にとっては緊急性のある問題だ。

◆専門家「司法が介入して断絶防止を」
 裁判所の対応について立命館大の二宮周平教授(家族法)は「別居の親は普段会えない子どものことを心配しているし、子どもは親と会うのを楽しみにしている。面会交流は離れて暮らす親子をつなぐ権利なのに、司法はこうした大切な人権を守ろうとしていない」と指摘。「裁判官が密集を避けるために調停を開けないというなら、権利侵害を受ける人に緊急性が高い事案だとして仮処分を出すように申し立ててもらい、面会交流の頻度などを職権で仮に定める方法も考えられる」と積極介入を訴える。
 調停が終わった後でも、子どもに会えない親は多い。子どもと別居中の親を対象にした市民団体「共同親権・共同養育草の根活動」のアンケートで、百七人の回答者の76%が感染が拡大した三月以降、子どもと会えなくなったり、会う頻度や時間が減ったりした。
 二宮氏は「同居親が感染リスクを心配したり、別居親も遠慮したりしているのだろう。でも、親子を断絶させてはいけない。密集が心配なら公園で会ったり、直接会うのが難しいならオンラインのテレビ通話もできる。コロナ禍だからこそ工夫して、面会交流を続けてほしい」と話している。

DV加害者にされた男性は名誉をどう回復したか 反論できない「支援措置制度」悪用の恐ろしさ

出典:令和2年5月1日 東洋経済ONLINE

DV加害者にされた男性は名誉をどう回復したか 反論できない「支援措置制度」悪用の恐ろしさ
西牟田 靖 : ノンフィクション作家・フリーライター

3月下旬、注目された行政に対する裁判が決着を迎えた(参考記事:「突然子どもに会えなくなる『虚偽DV』の悲劇」)。訴えていたのは愛知県在住の公務員、佐久間利幸さん(仮名、40代)。決着に至るまでの年月――それは男性にとってDV加害者としてのレッテルを引き剥がし、娘との絆を取り戻すための戦いであった。
3月30日、地元の東海テレビが行政に対する裁判の結果を伝えたが、報道された内容を要約すると次のとおり。
虚偽のDV被害を申告され、提訴していた公務員男性(40代)が愛知県の半田市とこのたび和解した。「元妻が捏造した相談でDV加害者として認定され、娘に会えなくなった」として、2016年、県(県警)と妻(当時)を提訴、1審の名古屋地裁では県の過失が認められたが、2審の名古屋高裁では退けられた。その後、男性はDVを認定した半田市を提訴、3月19日半田市が謝罪し和解が成立した。

■原告が勝訴する
佐久間さんと代理人である梅村真紀弁護士に話を伺う前に、まずは前記事の内容をダイジェストで記してみよう。

静香ちゃん宛に送った郵便物はすべて戻ってきてしまったという(筆者撮影)
2012年の年末、広子さん(仮名)は利幸さんが仕事をしている間に、当時未就学児だった静香ちゃん(仮名)を連れ、愛知県内の地方都市から近隣の半田市に転居する。
面会交流調停~審判では、宿泊と日帰りが1回ずつという月2回の面会交流のほか、休み期間中に長期宿泊面会する権利が認められ、学校行事への参加や手紙のやり取りは自由に行ってよいとされた。しかし妻が審判に反して面会交流を拒絶したため、佐久間さんは、学校訪問と手紙のやり取りだけで静香ちゃんと交流していた。
2016年3月、広子さんは警察へ出向く。そこで、広子さんはDV等支援措置の申し出に必要な「支援相当」の意見書を取得し、半田市役所で支援措置の手続きを行った。これにより、利幸さんは妻や娘の住民票の開示が不可能となった。さらには、学校を訪問して娘に会ったり、学校を含む行政機関から静香ちゃんの情報を共有してもらったりすることが不可能になった。
同(2016)年8月、利幸さんは損害賠償請求を名古屋地裁に申し立てた。
被告は、「暴力被害防止目的ではない目的で援助を求めた妻(広子さん)」と「それを安易に認め『支援相当』の意見を出した警察(愛知県)」であった。
判決は原告の勝訴。2018年4月、名古屋地裁の福田千恵子裁判長は利幸さん側の損害賠償請求に対し、広子さんと県の責任を認め、55万円の支払いを命じた。

広子さんの支援措置が目的外利用だと認められたのは、住所をブロックしなければ身に危険が及ぶというDVの危険性が認められなかったからだ。
2019年1月、名古屋高裁の控訴審では原告の訴えが覆された(なお、離婚については高裁の判決前に成立)。
梅村弁護士は次のように話す。
「判決では次のように述べられました。
①『学校行事参加妨害目的』でも『暴力被害防止目的』がなかったとは言えない。
②警察には妻の申告内容の真偽を加害者のために調査する義務はないし、最終的な支援措置実施の可否を判断するのは受付市町村なので警察には責任はない。
これまで支援措置に関する裁判は、受付市町村に対して裁判を起こすのが通常でした。その場合、『警察の“支援相当”の意見に基づいて市町村は支援措置を決定しているので、市町村に責任はない』とされ、訴えが棄却されてきました。
そこで、私たちは愛知県(県警)を訴えました。すると、名古屋高裁は『警察ではなく受付市町村の問題』という判断をしました。要するに責任のたらい回しです」
さらには最高裁への上告棄却により、県(警察)に責任がないということで、確定した。

■支援措置の違法性にこだわった
今回、半田市のみを提訴したのはなぜか。
「ムダな争点を排しました。責任は受付市町村にあると高裁が判断したのですから、受け付けた半田市だけを訴えようと」(梅村弁護士)
なぜこんなに支援措置にこだわるのか。
「支援措置制度のおかしさを世に訴えたかったからです。この措置は『被害者の申告』のみに基づいて、受け付けを行います。仮にその申告内容が虚偽だったとしても、罰則が存在しないんです。
申告された相手は一方的に『DV加害者』扱いされ、反論の機会も与えられません。ですので、虚偽の場合、加害者扱いされた人は、名誉を侵害されてしまいます。
また同時に、連れ去られた子どもの情報も、公平中立であるはずの行政機関から完全に秘匿されてしまいます。妻による面会審判不履行後も最低限行うことができていた、学校訪問と手紙のやり取りによる静香ちゃんとの交流さえも、DV支援措置以降できなくなってしまっています。
これは離婚前から、親権を剥奪されるのと同じです。要するに、何の反論の余地も与えられることなく、行政機関から子の親であることを一方的に否定され、子どもと生き別れ状態にされてしまうんです」(梅村弁護士)

 佐久間さん自身、大変だったという。
「娘に会えなくなったことに加え、DV加害者という社会的なレッテルを貼られて苦しみました。昇任や昇給といった人事査定にも影響しましたし、ネット上でも相当たたかれました。とくに高裁の判決が出た後は、DV加害者と決めつけられ、いわれのない中傷が数々なされました」
彼は下血し入院を余儀なくされた。また子どもに会えないつらさも相まって、急に涙が出てきたり、仕事での集中力を欠き思うように仕事ができず、退職も考えていたそうだ。

■和解の意味
2019年3月、半田市との裁判が、名古屋地裁岡崎支部で始まった。
裁判では、半田市がさまざまな事情を知っていながら支援措置を受け付けたことが重視された。それは、面会交流審判の存在であったり、広子さんの半田市への相談内容だったり、佐久間さんがもともと知っている半田市内の住所をブロックしても暴力被害防止とはならなかったり、といったことだ。それは、警察の支援相当の意見を受けて、受理したという事情はあるにせよだ。
広子さんが暴力被害を防止する目的ではなく支援措置を申請している――そのことを半田市は知りながら受理し、住民票等を利幸さんに対してブロックした。
裁判所は、半田市に落ち度があることを指摘し、佐久間さんとともに和解勧告がなされ、両者はそれに従った。2020年3月19日のことだ。
「裁判だと判決が出るまでに時間を要しますので、和解勧告に応じました。金銭目的の裁判ではないので、金銭請求は放棄する一方、謝罪と被害内容を明確化することを求めました」(梅村弁護士)
和解条項は以下のとおりである。
1 被告は,原告に対し,原告を加害者とする住民基本台帳事務における支援措置申出につき,住民基本台帳事務処理要領に照らして不適正な取扱いを行ったことを認め,これを陳謝する。
2 被告は,支援措置の要件を満たさなかった状況において,原告について前項の支援措置における加害者であるかのような誤った印象や憶測が発生・継続したこと,原告が●●市において未成年者の法定代理人ないし直系尊属として未成年者の情報に接することが困難になったこと等を重く受け止め,今後の支援措置の実施に当たってはその適正性等につき更なる確認に努めることを確約する。(以下略)
この条項のキモは「2」である。
・佐久間さんをDV加害者だと見なし支援措置を受け付け、その措置をずっと撤回しなかったこと
・実の親が、離婚前も離婚後も、未成年である子どもに会うことはもちろん、居住地や学校などの情報にすら触れることができなくなったこと
誤った支援措置は、「名誉」と「親が子の情報に接する権利」という2つの重大な権利侵害を発生させる。
これを半田市が認めて謝罪したことにより、佐久間さんはDV加害者というレッテルを剥がし、ようやく名誉回復が図られるとともに「静香ちゃんの親」としての立場を取り戻したと言えるだろう。

 「支援措置制度によって助かるDV被害者もいるでしょう。しかし、DV被害防止目的でなく、行政を味方につけることによって子の情報を相手に遮断し、『離婚に当たって親権を確実に得る』ために制度を悪用することもできるのです。
今回の和解で、私たちは、佐久間さんの名誉回復だけでなく、『証拠不要の支援措置を悪用した親子断絶被害の存在』を行政が認めることを、賠償金なしの和解に応じる絶対条件としました。
同じような被害を受けている人は、表面化していないだけで、全国には多数存在するはずです。この和解をきっかけに『DV被害者保護の名の下、制度悪用者が現れる危険性』『加害者扱いされた被害者の存在』『DV冤罪で生き別れになった親子の存在』に、行政だけでなく世間も目を向けてほしいと思っています」(梅村弁護士)
「私は、支援措置によって『DV加害者』『性的虐待者』扱いされ、名誉だけでなく学校等を含むすべての行政機関から『親であること』まで否定され、静香との面会を実質ゼロとされました。こんな私が親としての尊厳を取り戻し、再び子どもと会えるようになるためには戦うしかない思い、自分を鼓舞してきました。また、これは誰にでも起こりうる問題。被害者をこれ以上出したくないという気持ちもありました」(佐久間さん)

■親子の再会はいつ
なお、この和解は覆すことはできない。半田市役所が認め、謝罪したからだ。
和解した半田市にコメントを求めた。すると、担当者は次のように発言した。
「(元妻と娘が)半田市から転居し支援措置が終了していたにもかかわらず、手続きを怠ってしまいました。その点について謝罪いたします」
和解条項では、支援措置を受け付けたこと自体を謝罪していたにもかかわらず、その点についての謝罪は口にしなかった。
また、広子さんの代理人である可児康則弁護士にも結果についてのコメントを求めたが、コメントは得られなかった。
最後に、佐久間さんに娘の静香ちゃんとのその後について、伺った。
「もう4年あまり、消息すらわかりません。だけど、子どもが使っていた部屋はいつ帰ってきても使えるよう、今もそのままにしています」(佐久間さん)
親子の絆はそう簡単に切れるものではない。私は親子の再会を信じている。

新型コロナで「面会交流」困難も テレビ電話など検討を 法務省

出典:令和2年5月1日 NHK

新型コロナで「面会交流」困難も テレビ電話など検討を 法務省

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、離婚などで離れて暮らす親子が定期的に会う「面会交流」が困難なケースがあることから、法務省は、ホームページでテレビ電話による面会などを検討するよう促しています。
この中で法務省は「面会交流」について、「決められた方法で実施すると、子どもの安全を確保することが困難になる場合も生じ得るものと考えられる」としています。

そのうえで、当事者による話し合いが可能な場合には、テレビ電話や電話といった代わりの方法を検討するよう促しています。

一方、話し合いが困難な場合には、弁護士など専門家に相談するようにしてほしいとしています。

森法務大臣は、記者会見で「オンラインや電話などに変えることで面会を実現することはできる。両親の話し合いが前提だが、難しい場合の相談窓口も法務省から案内したい」と述べました。

専門家「国は丁寧に説明を」
離婚などで離れて暮らす親子をつなぐ「面会交流」は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、7割以上が全く面会できなくなったり、減ったりしたことが当事者団体の調査で分かっています。

法務省が面会交流への対応を公表したことについて、家族法が専門で面会交流の問題にも詳しい、早稲田大学の棚村政行教授は「子どもの健やかな成長のために面会交流はとても大事だが、新型コロナウイルスの影響でうまくいかなくなっていることに対して、国が情報発信をしてくれたことは評価できる」と話しています。

一方で棚村教授は、アメリカイギリスなど諸外国では、面会交流の詳細な指針を示し、子どもが相談できる窓口が設けられているとして「現在のままでは、細かく指針を示せてはいない。面会交流が実際に滞っている、あるいはうまくいっていない親が、具体的に何をすればいいのかを丁寧に説明する必要がある」と指摘しています。

<以下、参考:法務省ホームページ掲載>

【新型コロナウイルス感染症関係情報】面会交流について
 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00033.html

今般の新型コロナウイルス感染症に関連して,子どもの安全の確保や感染拡大防止の観点から,事前に取り決められていた条件での面会交流を実施することが困難な状況が生じた場合にとり得る対応について,以下のとおりご案内します。

1  面会交流は,子どもの健やかな成長のために重要なものですが,新型コロナウイルス感染症の拡大が問題となっている現在の状況の下では,従前取り決められた方法で面会交流を実施すると,子どもの安全を確保することが困難になる場合も生じ得るものと考えられます。
 したがって,そのような場合には,面会交流の方法を変更すること等を検討していただく必要があるものと考えられますが,父母間で話合いをすることができる場合には,子どもの安全の確保に最大限配慮し,どのような方法で面会交流を実施するのが相当かについて話し合ってください。
 例えば,これまでは,直接会う形での交流を続けてきた場合でも,子どもの安全等を考慮して,一定の期間,通信機器等を利用した方法での交流や,手紙での交流等に変更することを検討するときには,次のような事項について話合いをすることが考えられます。

○ 代替的な交流の方法(例えば,ビデオ電話,電話,メール等)
  ※ ビデオ電話や電話等の場合にはどちらから掛けるかも決めておくとよいと考えられます。
○ 日時(例えば,毎週何曜日の何時から何時まで等)
○ 代替的な交流の方法を用いる期間
○ その他,円滑な交流のために必要と考えられる項目

2 これに対し,父母間で落ち着いた話合いをすることが困難な場合には,互いに様々な不安を抱える状況にあること等を考慮して,無理に当事者間で話し合おうとはせずに,必要に応じて弁護士等の専門家に相談するようにしてください。

3 面会交流について知りたい方は,以下のホームページをご覧ください。
 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00017.html
  また,悩んだときは,専門家に相談してください。
 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00013.html

「リモート面会」も可 離婚後の親子 法務省

出典:令和2年5月1日 時事通信

「リモート面会」も可 離婚後の親子 法務省

法務省は1日、新型コロナウイルスの感染拡大により、離婚で別居している親子の面会交流が困難なケースが生じていることを受け、ビデオ通話などによる「リモート面会」を代替手段にすることも可能との見解をホームページに掲載した。
 
 同省は「父母間で話し合いをすることができる場合は、子どもの安全確保に最大限配慮し、どのような方法で面会交流を実施するのが相当か話し合ってほしい」と呼び掛けている。

当事者/サバルタンである子どもは日本の離婚システムでは語れない~思想、裁判所、弁護士、法学者、NPO

出典:令和2年4月29日 Yahooニュース!

当事者/サバルタンである子どもは日本の離婚システムでは語れない~思想、裁判所、弁護士、法学者、NPO
田中俊英 一般社団法人officeドーナツトーク代表

■20万人の子どもの落胆
現代の日本は世界でも珍しい「単独親権」制度をとるため、両親が離婚したあと子どもはどちらかの親(多くは母)と同居し、別居するもうひとりの親とは会えて月1回のペースになる。
月1回会えればいいほうで、なかには何年も会えない別居親もいる。
また、昨今の新型コロナ禍のために同居親が慎重になったりすることから月1回の子どもとの「面会交流」(この表現には問題があると当欄で指摘したアタッチメントが「ペアレンティング・タイム」をいざなう~離婚後の「面会交流」ではなく)が滞っている別居親もたくさんいる。
それら別居親の嘆きは、ツイッターの話題検索で「面会交流」「共同親権」等で検索していただければ簡単に読むことができる(面会交流 共同親権)。
多くの別居親が月1回の子どもとの交流に期待し、喜び、落胆し、涙している。
毎年20万組の夫婦が離婚するから、 すべての夫婦に子どもはいないにしろ子どもがいる夫婦は2人以上も珍しくないため20万人程度の子どもがそうした環境(別居親との実質的別離)に追いやられている。

■虚偽DV申告アドバイス
そうした単独親権離婚を「勝ち取る」ため、「虚偽DV」が弁護士によってアドバイスされていることも当欄では触れた。そしてそれを裁判所が追認し、そうしたプロセスに疑問を抱く別居親によって訴訟が起こっていることにも。
たとえば今月号の『月刊Hanada』には、弁護士による虚偽DV申告のアドバイス的な事例も紹介されている。同記事では、DVを訴えるために必要な項目として以下のようなものがあるので注意するように、と離婚を考える一方の親たちに弁護士たちはアドバイスしているそうだ。
……弁護士の提示した三つの「証拠」は、まさに日本国内で人権派弁護士らがDVの捏造を指南する時に利用する三点セット。
 病院の診断書は、「ストレス性腸炎」などの病名で頼めばすぐに発行してもらえる。DVシェルターに「入っていた」という事実も、日本の裁判所では証拠になる。警察や婦人相談所へ「相談した」という事実も証拠として使える。この三点を使えば、まったくDVがなかったとしても簡単にDVの証拠を捏造できるし、日本の裁判所はDVの事実認定をしてくれる。
出典:ハーグ条約を“殺した”人権派弁護士たち 『月刊Hanada』6月号 池田良子
こうした「捏造」の実態は、あからさまなDVとは別に、記事にもあるような「夫婦喧嘩の過程でのどなり合い」といったシーンも多く含まれる。
夫婦喧嘩がエキサイトすると、どなり合ったり、モノを投げたり、モノや手や足で暴力に及ぶこともある。人間が遭遇する暴力の中では、意外と家族間の「喧嘩」が多く、夫婦のほかには、母子(ひきこもりや発達障害でよく見られる)、父子、兄弟などが普通に見られる。
そうした摩擦の一場面を、「法的視線」で切り取れば、それが双方向のアクションであったとしても(一方通行のアクションだと容易にDVや暴力に位置づけることができる)、たとえば上の「三点セット」や「痣の写真」などがあれば、それは即DVや虐待になる。

■「離婚複合体」が生むサバルタンとしての子ども
こうした「DV創作」も含めた、それら一連のプロセスやシステム(「単独親権離婚システム」)を思想として後押ししてきたのが「昭和フェミニズム」であると、当欄では2回言及した(虚偽DVは、「昭和フェミニズム」から生まれた 「少女フェミニズム」が単独親権を続ける)。
単独親権離婚システム、あるいはシンプルに現代の離婚システムには、このように、思想(昭和フェミニズム)、既存概念を追認する裁判所、そうした法曹界のエートスに便乗して「離婚ビジネス」を展開する弁護士、その周辺に群がる学者やNPOといったいくつかの層で構成されている。
「支える思想-追認する裁判所-ビジネスとして請け負う弁護士-周辺に群がる学者とNPO」、あの軍産複合体ではないが、「離婚複合体」のようなものが束になって日本の離婚事象を覆っている。
ここでいつも後回しにされるのが子どもで、日本は本当に当事者(この場合子ども)の人権は後回しにされる。これをポストコロニアル哲学の用語で表現すると、「サバルタン(最大の当事者)である子どもは語ることができない」という表現になる。
日本の場合、戦争でもあからさまな差別でもなく、「単独親権離婚システム」の形成によって、最大の当事者/サバルタンである子どもが語ることができない。できないどころか、子どもたちの声は「洗脳」され歪められる(「ぼくは、父(母)親に絶対会いたくありません」~「連れ去り洗脳」という児童虐待)。
日本ではやはりいつも子どもが犠牲になるが、「離婚ビジネス」で儲ける弁護士と黙認する裁判所、それらを背後で支える「昭和フェミニズム」というシステムがあることを意識しておきたい。

家裁審理が中断「早急に再開を」 別居の親、子どもに会えず

出典:令和2年4月27日 共同通信

家裁審理が中断「早急に再開を」 別居の親、子どもに会えず

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言で家裁の審理が中断し、別居中の子どもに会えないケースが相次いでいるとのアンケート結果を当事者団体がまとめ、裁判を早急に再開するよう求める要望書を27日、最高裁に郵送した。

 取りまとめたのは「共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会」。メンバーの12人は、単独親権制度が法の下の平等を保障する憲法に反するとして、国に賠償を求めて東京地裁で係争中だ。

 20~23日に実施したアンケートには、面会交流や離婚、子どもの引き渡しなどを家裁で審理中の94人が回答。7割近い65人が次回期日が決まっていないと答えた。

離れて暮らす親子の「面会交流」にも影響 新型コロナ

出典:令和2年4月26日 NHK

離れて暮らす親子の「面会交流」にも影響 新型コロナ

 感染拡大の影響は、離婚などで離れて暮らす親子をつなぐ「面会交流」にも及んでいることがわかりました。当事者団体の調査で7割以上が全く面会できなくなったり減ったりしていたということで、専門家は「子どもが親と交流することは非常に重要なことで、直接会えなくてもオンラインでの面会交流を行っていくべきだ」と指摘しています。
離婚や別居で子どもと離れて暮らす親で作る団体では、今月20日までの1週間、新型コロナウイルスの感染拡大が面会交流に影響していないか、アンケート調査を行いました。

それによりますと、回答者160人のうち107人は感染が拡大する前のことし2月までは面会交流が行われていましたが、このうち「全く実施できなくなった」と答えた人が44%「会う頻度や時間が減った」と答えた人は32%でした。

これらの人の81%は、オンラインでのビデオ通話など代わりの方法での面会交流もできていないということです。

また、このまま外出自粛が続いた場合に、子どもとの断絶が進む懸念があるかを尋ねたところ、「強く懸念される」か「やや懸念される」と答えた人が85%に上りました。

娘と離れて暮らす父親「国などが面会可能な方法示して」
千葉県に住む40代の男性は昨年、妻と離婚し、月に4回の約束で幼い娘と面会交流を続けてきましたが、元妻から新型コロナウイルスの感染拡大を理由に会わせられないと伝えられ、現在は面会交流ができていない状況だということです。

男性は「元妻から『コロナがはやっていて危ないので会わせるつもりはない』という意思表示があり、面会交流は無くなりました。面会交流に関して調停を申し立てましたが、裁判所には緊急性が無いと判断されて延期され、話し合いもできない状態です」と話しています。

そして「子どもはやっと父親が誰かを覚えたばかりです。子どもの成長を見届けてあげられないことは本当にかわいそうだと思うし、子どもに会いたいです。オンラインで面会するといった方法を国や裁判所などが方針として示してくれれば非常に助かると思います」と話しています。

専門家「オンラインでの面会交流を」
家族法が専門で面会交流や養育費の問題に詳しい早稲田大学の棚村政行教授は「離れている親にとっては子どもと会えないことで健康状態も含めて心配になることは非常に理解できるし、一方、同居している親にとっても子どもや自分の健康、それに休業に伴うさまざまな影響にストレスや不安を感じ、面会交流も大切だがそれどころではないと、精神的に追い詰められている状況にあるのではないか」と分析しています。

そのうえで「アメリカなど外国ではオンラインでの面会交流が20年ほど前から行われていて、日本はかなり遅れをとっている。面会交流は非常に重要なので、たとえ直接会えなくてもオンラインなどで会話できたほうがよい」と指摘しています。

さらに「イギリスでは面会交流は非常に重要だとして、外出制限の例外に当たると明示している。ほかにも外国ではオンラインでの交流や養育費などの問題についてもワンストップの相談窓口を設けるなど、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてきめこまやかな配慮があるとうかがえる。感染拡大がいつまで続くのかわからない中、日本の裁判所や弁護士会にも同様の取り組みが求められる」と話しています。

「ぼくは、父(母)親に絶対会いたくありません」~「連れ去り洗脳」という児童虐待

出典:令和2年4月19日 BLOGOS

「ぼくは、父(母)親に絶対会いたくありません」~「連れ去り洗脳」という児童虐待
田中俊英 一般社団法人officeドーナツトーク代表

■「おとうさん すき」から、「ぼくは、父親に絶対会いたくありません」へ
行政の子ども若者支援の委託事業をメインとして仕事をするようになったここ10年近く、僕は主として、不登校やひきこもりや発達障害をもつ親御さんの面談支援を担当している。
行政の事業なので当然無料のサービスで、区役所に置かれているチラシや広報を見てやってくる親御さんは上の3分野に限らず多様だ。あるいは、最初はたとえば子どもの不登校ということで面談に来られたものの、実は発達障害であったり夫からのDVであったり妻の不倫であったりと、真の問題に移行していくことがよくある。
そのなかでも、数は多くはないが、当欄でも度々触れている、離婚の際の「単独親権」にまつわる諸問題には深刻なケースが含まれる。
その代表が、離婚時に同居した親からの、子への「洗脳」問題がある。
Twitterに公開されているとはいえやはり究極のプライバシーだからその手紙をシェアするわけにはいけないが、今朝も、子どもからのこんな言葉を連ねたメモがツイートされていた。
「ぼくは、父親に絶対会いたくありません」
これをツイートしているのは、悲しいことに、会いたくないと言われた父親のほうだ。その父親は、10年前の手紙として、同じ子どもからの以下の言葉もツイートしている。
「おとうさん すき」
子どもは、おそらく現在が中学生、あとの言葉は10年前のものだというから5~6才の頃のものだ。
この問題は個別の事例でありながら、広く一般化できる(一般化できると思ったので、ここにも書いている)。というのも、上に書いた保護者との面談のなかで、それほど数は多くはないものの、同様の言葉を僕はこれまで何回か別の別居親たちから見せてもらったことがある。その言葉は、まるで同じ、「会いたくない」というものと「すき」というものも、まったく同じだ。
離婚の際子どもを「連れ去られ」、そのあと何年かして子どもの態度や言葉が豹変したこともまったく同じだ。
これが、連れ去り別居に伴う子どもへの「洗脳」として、現在とりあげられている問題である。

■「パパ(ママ)をきらいになることが、ママ(パパ)に気に入られるんだ」
先日、この「連れ去り」問題は基本的人権の侵害だとして集団提訴があり、その訴状には強引な連れ去りの姿が生々しく描かれている(子の連れ去り違憲訴訟)。
訴状の引用はフェアではないので控えるが、この産経新聞のネット記事(子の「連れ去り」規制を 引き離された親ら、国を集団提訴 )からも、原告側の無念さは伝わってくる。
こうした強引な「連れ去り」の結果、子どもたちにとって別居することになった親(多くは父だが、母も当然いらっしゃる)への見方が、月日をたつごとに変化していく。
その多くは、冒頭に引用したようにネガティブなものに変わる。
子どもを連れて同居する親(多くは母親だが、父もいる)は、離婚にまつわる感情的もつれから、当然元パートナーに対して悪感情を抱く。別居・離婚・連れ去りの過程を経て新しいパートナーと出会うことも珍しくはなく、その新パートナー(子どもにとってやがて新父母になっていく)とうまくやっていくためにも、旧夫・旧妻の悪口を言う。
それはたいてい、子どもの前で言われるだろう。
最近ようやく、子どもの前での夫婦げんか・DVは、「面前DV」と呼ばれ、児童虐待のひとつ(心理的虐待)としてカウントされるようになった。
それとは少し様相は異なるものの、この、子どもの前で元パートナーを否定し続けるという行為は、子どもにとっては、
「パパ(ママ」をきらいになることが、ママ(パパ)に気に入られるんだ」
という思考になる。

■踏み絵
僕もかれこれ25年ほど子ども若者支援をしてきたが、子ども(特に幼児)は、自分が「生き残っていく」ために、最も親しい大人の意見に自分を合わせようとする。
僕が敬愛するある里親の方は、もう20年ほどまえではあるが、よく僕にこう言ったものだ。
「田中くん、君が関わる子どもたちが君と仲良くなるのは、君の支援のスキルとは関係なく、子どもたちが君に合わせてくれているんだよ」
その方は、国立大学の理系の教授であり、自らも里親をされていたため、その言葉には説得力があった。
そう、子どもは、その子どもがしんどい環境に置かれていればいるほど、周囲の身近な大人に自分を合わせることで「生き残って」いこうとする。いわばこれが、子どもの「生存戦略」なのだ。
だから、
「ぼくは、父親に絶対会いたくありません」
という言葉は文面通りに受け取ることはできない。こう書くことで、こうパフォーマンスすることで、目の前の身近な大人(親と、新しくその親のパートナーになった大人)に気に入られることが目的だ。
「会いたくない」「きらい」ということで、新しい環境(住居や新しい「親」)に適応させてもらうことを子どもは無意識的に狙っている。
言い換えると、同居親はそうした効果をよく理解した上での、元パートナーへの悪口なのだ。
つまり、元パートナーの悪口を、連れてきた我が子が受け入れるかどうかは、
踏み絵
のようなものだ。
前のお父さん(お母さん)をお前は嫌いになることができる? できれば、私との新しい生活をともにしよう、というノンバーバル(言語外)なメッセージが、同居親が子に発する「おとうさん(おかあさん)は最低だった」という言葉に含まれている。
子どもの生存戦略的には、その言葉に従うしかない。その従属を言い換えると、
洗脳、
ということになる。
※Yahoo!ニュースからの転載

変化する家族のあり方 共同親権と選択的夫婦別姓の法整備を 真山勇一・参院議員

出典:令和2年4月16日 毎日新聞

変化する家族のあり方 共同親権と選択的夫婦別姓の法整備を 真山勇一・参院議員

 国会議員になってすぐに参院法務委員会に配属され、国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めたハーグ条約の承認と国内法整備に関する議論に加わった。当時はハーグ条約に未加盟だったため、子どもの連れ去りを巡る国際トラブルが発生しているとして条約加盟に向けた手続きが急がれていた。
 調べてみると、子どもの連れ去りは国際結婚だけの問題ではなく、国内でも同様の事案が起きているということが分かった。日本人同士で離婚したけれども、元配偶者がいつの間にか子どもと一緒に転居してしまい、行き先が分からず子どもに会うことができない……。こういった話を聞き、家族のあり方を巡る法整備を行う必要があると考えるようになった。
 離婚は、夫婦が役所の窓口に離婚届を提出すれば成立する。たとえ、夫婦間で子どもの扱いをどうするか話し合われていなかったとしてもだ。すると、離れて暮らす親と子どもの面会が滞る、逆に一人親となった家庭に元配偶者から養育費が支払われないといった事態が発生する。
 日本は子どもの7人に1人が貧困だと言われており、中には離婚した女性が1人で子どもを育てているケースも多い。離婚時に子どもの扱いに関する協議をするよう制度設計していけば、子どもの権利が侵害されることは防げるのではないか。
 例えばオーストラリアでは、離婚に当たって相談する専門の機関があり、子どもの養育についての取り決めやその実施をサポートしてく…
 ※以下、記事を参照ください。

離婚後も「共同親権」24カ国中22カ国 法務省、海外の法制度調査

出典:令和2年4月11日 毎日新聞

離婚後も「共同親権」24カ国中22カ国 法務省、海外の法制度調査

 法務省は10日、離婚後の親権や子の養育の法制度について海外を調査した報告書を公表した。調査した24カ国のうち22カ国が、離婚後も父母双方が子の養育に関わり、協力して教育や医療などの子の重要事項を決める「共同親権」を法的に認めていた。
 日本は民法で、離婚後は父母いずれかが親権者となる「単独親権」を定めている。報告書によると、日本と同様に単独親権のみを認めるのはインドとトルコの2カ国だけ。イタリアやドイツフランスなどは共同親権を原則としつつ、裁判所の判断に基づく単独親権を認めている。韓国やインドネシアでは実際には単独親権を選ぶ例が多かった。英国は離婚時に親権行使の具体的方法を調整し、父母がそれぞれ単独で親権を行使できる。
※以下、記事参照 
毎日新聞20200411

大半の国が共同親権採用、法務省調査 運用方法に違いも

出典:令和2年4月10日 日本経済新聞

大半の国が共同親権採用、法務省調査 運用方法に違いも

法務省は10日、離婚後も父母の双方が子どもの親権を持つ「共同親権」の導入状況について、米国や英国など24カ国を調査した結果を公表した。22カ国が採用しており、日本と同様、父母の一方を親権者と定める「単独親権」のみの国はインドとトルコだけだった。
共同親権の是非は有識者や法務省の担当者らでつくる「家族法研究会」が議論しており、調査結果を参考資料にする。法改正が必要と判断すれば、法相が法制審議会に諮問するが、父母が対立している場合は共同親権が子どもの不利益になるとの意見も根強い。
共同親権は一般的に、父母が合意して親権を行使することと考えられているが、運用方法は各国で異なる。
イタリアやオーストラリアドイツといった国は、離婚後も原則として共同親権となる。スペインは父母の合意により、単独親権とすることができる。インドネシアは共同親権を認めているとはいえ、養育している親だけが親権を行使することが多い。
共同親権の範囲は、イタリアは教育などに限定。ドイツは、子どもにとって著しく重要な事項として抽象的に定めていた。スイスなどは限定していない。
共同親権の行使で父母が対立すれば、英国やドイツブラジルをはじめ、最終的に裁判所が調整する国が多かった。調査は昨年から外務省を通じ実施していた。

共同親権、多数が採用 24カ国対象の法務省調査

出典:令和2年4月10日 時事通信

共同親権、多数が採用 24カ国対象の法務省調査

 法務省は10日、離婚後の親権制度や子の養育の在り方をめぐり、外務省を通じて行った24カ国対象の調査結果を公表した。それによると、離婚後も父母双方に親権が残る「共同親権」は、カナダや中国など多くの国で認められている。日本のように離婚後は片方の親だけが親権を持つ「単独親権」はインドとトルコの2カ国のみだった。
「単独親権は違憲」と集団提訴 子育ての権利侵害、国を相手に―東京地裁
 単独親権については、親権を失った親と子の交流機会が制限されるとの問題点が指摘されている。調査対象のほとんどの国で、離婚後の子と親の面会交流が適切に行われているかについて、公的機関が監視するなどの支援制度があるという。

共同親権、22カ国が採用 法務省調査、研究会の資料に

出典:令和2年4月10日 共同通信

共同親権、22カ国が採用 法務省調査、研究会の資料に

 法務省は10日、離婚後も父母の双方が子どもの親権を持つ「共同親権」の導入状況について、米国や英国など24カ国を調査した結果を公表した。22カ国が採用しており、日本と同様、父母の一方を親権者と定める「単独親権」のみの国はインドとトルコだけだった。
 共同親権の是非は有識者や法務省の担当者らでつくる「家族法研究会」が議論しており、調査結果を参考資料にする。法改正が必要と判断すれば、法相が法制審議会に諮問するが、父母が対立している場合は共同親権が子どもの不利益になるとの意見も根強い。
(共同)

「実子誘拐ビジネス」の闇 人権派弁護士らのあくどい手口

出典:令和2年5月1日発行 月刊『Hanada』5月号

「実子誘拐ビジネス」の闇 人権派弁護士らのあくどい手口

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(声)涙 離婚後も孫との時間ありがとう

出典:令和2年4月4日 朝日新聞デジタル

(声)涙 離婚後も孫との時間ありがとう

■みんなで語ろう 涙

 無職 吉岡律子(福岡県 73)
 二十数年前、初孫誕生の知らせを受け、夫と雪深い東北に駆けつけました。息子も彼女も20歳、東京の大学に通う学生でした。赤ちゃんと対面した時の感動は今でも忘れません。
 大学を卒業した息子は妻と2歳児を連れて帰郷し、就職しました。それからわずか3年で離婚。孫は母親が親権を得て、父子は泣く泣く別れました。私も涙がかれるほど泣きました。その後、双方が話し合い、父親と月に1回の面会ができるように。以来毎月1、2泊で我が家に来るようになりました。
 息子が仕事で忙しい時は、私が孫を迎えに行き、駅から2人で手をつないで童謡を歌いながら家路につきました。さらに春夏冬休みの長期滞在も加わり、すっかり家族の一員に。大人になった今も遊びに来ます。
 今年の正月、「6月に結婚します」と彼女を連れて報告に来ました。私たち夫婦を「僕の両親のような存在だよ」と紹介していました。うれし涙があふれました。もちろん、女手一つで彼を立派に育て、私たちに会わせてくれた母親に、いまは感謝の気持ちでいっぱいです。

別居親 子に会えず苦悩 交流支援を望む声も

出典:令和2年4月1日 沖縄タイムズ

別居親 子に会えず苦悩 交流支援を望む声も

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「DVの加害者と判断された」市に損害賠償求めていた公務員の46歳男性 市が謝罪し和解成立

出典:令和2年3月30日 東海テレビ

「DVの加害者と判断された」市に損害賠償求めていた公務員の46歳男性 市が謝罪し和解成立

 元妻にウソのDV被害を申告されたと訴える男性。DVの加害者だと判断した愛知県半田市を訴えていましたが、和解が成立です。

 愛知県内の公務員の男性(46)は、「元妻が捏造した相談でDV加害者として認定され、娘に会えなくなった」として、2016年、元妻と県に合わせて330万円の損害賠償を求める裁判を起こしていました。

 一審の名古屋地裁は、元妻のDVの相談が娘との面会を阻止する目的だったことと県警の過失を認めましたが、二審の名古屋高裁は、DVの判断は警察ではなく行政が下すものとして、訴えを退けました。

 これを受け、男性はDVを認定した半田市を相手に損害賠償を求めて訴えていましたが、3月19日半田市が謝罪し、和解が成立しました。

「透明」になって傷つける〜日本の離婚の専門家たち

出典:令和2年3月28日 Yahoo ニュース!

「透明」になって傷つける〜日本の離婚の専門家たち

田中俊英 | 一般社団法人officeドーナツトーク代表

■39名
前回、日本における「子ども」とは、産業革命以前の「小さな大人」でもなく近代的「権利の主体」でもなく、それはあたかも鑑賞物のような、目の前にある置物のような、主体的意思は持っているのだろうがそれ以前にこちらに従属する付属品(英語ではアタッチメント)のような、「オブジェ」のような存在ではないか、と書いてみた(子どもはオブジェ〜小さな大人でもなく、権利の主体でもなく)。
そのような客観的モノである存在であれば、子どもの意思に無断で「誘拐」することにはそれほど罪悪感は抱かないはずだ。
そう、我が国では、夫婦が離婚する際、一方の親(母が多い)が他方の親(父が多い)に無断で、子どもを連れ去ることが日常的に起こっている。日本で毎年離婚する20万組のうち、その行為は10万組とも15万組ともあると言われる。
欧米諸国からは日本のこの「連れ去り」行為は「誘拐」とみなされ、ヨーロッパ(フランスほか)を中心に、激しい抗議が毎年のように寄せられている。普通の日本国民がそれを知らないのは、単にメディアが報道しないからだ。
そうした実態について報告し、連れ去り/誘拐の代表的裁判(松戸判決〜一審では画期的な「フレンドリー・ペアレント・ルール」が採用されながら二審ではそれが破棄された「事件」。これが連れ去りの代表的な法的根拠となっている)も丁寧に説明してくれる記事が発表された(月刊Hanada2020年5月号 [雑誌花田紀凱、 月刊Hanada編集部])。
この記事は近々起こされるであろう民事訴訟をメインに取り上げ、そこでは、弁護士・裁判官・NPO・大学教授等39名もの専門家・有名人たちが名誉毀損の被告とされていることを報告する。
39名のなかで代表的な人々はすべて実名をあげられている。ここでは名前は記さないものの、その名前の半分以上は僕は以前より知っている。

■誘拐、継続性の原則、虚偽DV、人格破壊、天下り
この記事はネットに要約版が出ている(有名リベラル論客を多数提訴〜「実子誘拐」を巡る注目の裁判 - 牧野 のぞみ)。
また、珍しいことに『英語版」も公開されている(Darkness of child abduction business|Nozomi Makino)。
元読売新聞の記者の記事らしく、社会的問題としてこの裁判の意味に切り込む。それは、
1.日本の「誘拐/連れ去り」は国際問題だということ
2.「松戸判決」が重大なポイントであるが、一審は画期的判決で勝訴した父が、二審では従来の「継続性の原則」(「誘拐/連れ去り」の結果同居している親〜多くは母〜の立場を優先する)を根拠に敗訴したこと
3.一審を覆すためか、二審を根拠づけるためか、おそらく両方だろうが、二審敗訴の父を「DV父」(実際は虚偽)だとして専門家たちが追求し始めたこと
4.それは「人格破壊 Character Assassinasion」と呼ばれる、集団でこの父/原告の人間的あり方を貶めるものであったこと
5.そうした人格破壊集団(記事では「集団リンチ」と表現されている)の一員には、たとえば裁判官が含まれており(なんと松戸判決の審判書を書いた裁判官だという)、退官後は母側(父側の敵対者)の代理人の弁護士事務所に天下ったこと
等を指摘する。
これらの過程には「子どもの声」は聞こえず顔も見えない。子どもは「対象物」として裁判の一事象として潜在化させられている(ポストコロニアル哲学的には「サバルタン」化)。
同時に、紋切り的事象(DV)と紋切り的約束事(「継続性の原則」)をつなぎ合わせてひとつの典型的物語をこしらえる。それを待ったあと、「法」がなんの悩みもなく紋切り的決定「同居親の元に子は属する」を行なう。

■透明と省略の暴力
ここには、3つの問題点がある。それは、
1.最大の「当事者」である子どもを潜在化させ、近代的法システムの中では堅くて古い議論(継続性の原則)と事実ではない(虚偽)通俗的言説(DV)で、単独的事象を覆い隠す。
2.覆い隠す論者・専門家達は、自らを客観的存在とし、第三者的立場をとり公平にふるまう。この公平さにより論者(たとえばNPO代表)の顔はそこに見える割にはその論者がまとう「正義」のマントにより、「透明」な存在となる。
3.「継続性の原則」という紋切り的言説を採用することで、目の前の単独的事象について、単独的決定ができない。松戸判決の二審は「決定」とは言えず、単なる惰性であり、それは当事者たち(ここでは子と父)の「声」を隠蔽する機能を持つ。
つまり、その事例に宿る特別で単独的意味を消失させる。
消失させる人々は権力をまといながらも「透明」になって逃げている。
そして「決定」が行なわれないため、最大の当事者(子ども)がまたもや潜在化させられる。
ポストコロニアル哲学における「サバルタン」の創出は、前前世紀のインドだけにとどまらず、21世紀のニホンにおいてこのように典型的に行なわれている。
同哲学の代表的書物である『サバルタンは語ることができるか』(G.C.スピヴァク)は、同書1章において、上1と2を指摘し、あの著名な哲学者であるM.フーコーとG.ドゥルーズも「透明な存在」と化し海外の元植民地事情を捨象してフランス国内へと話題を省略化しているとする。言い換えるとその省略化は「暴力」である。

■紋切りの暴力
そうすることで、フーコーとドゥルーズは安全な高みに自らを置き、「透明な存在」となって問題を浮き上がらせる。
上の3については、J.デリダが『法の哲学』のなかで厳しく語る「決定」とはまったく逆の行ないが生じている。
世界で唯一つの単独的な事象を「決定」するためには、前例を踏襲しながらも(継続性の原則)、その単独的事象に対して世界で唯一の単独的決定を行なう必要がある。
その決定の瞬間は「幽霊が宿る」瞬間であり、それが言い換えると「脱構築」であるとデリダは語る。松戸判決ほかの、日本で日常的に行われる「継続性の原則」に則った紋切り判決は脱構築どころか、個々の当事者たちに対して圧倒的に無礼である。
その無礼さを言い換えると、その紋切り的決定は「暴力」である。
このような2種類の暴力が、当事者をサバルタン化・潜在化させている。そしてその暴力に加担しているのが、ここでは39名の専門家・著名人たちだということだ。

全ての子どもにまつわる事件の当事者の親御さんたちは、最高裁判所の動画を武器にしっかりと身に着けるべき 最高裁は私たちの味方だ!

出典:令和2年3月27日 土井法律事務所ブログ

全ての子どもにまつわる事件の当事者の親御さんたちは、最高裁判所の動画を武器にしっかりと身に着けるべき 最高裁は私たちの味方だ!

最高裁判所が動画を配信しています。
https://www.courts.go.jp/links/video/hanashiai_video/index_woc.html

ビデオ「子どもにとって望ましい話し合いとなるために」という動画があり「基本説明編」と「子どもの年代別説明編」の2本が配信されています。

子どもと言っても発育段階によって感じ方に違いがありますので、年代別説明編を作ったことはとても配慮されていると思います。
基本説明編では未就学児と小学校高学年を例に模擬事件を作ってわかりやすい説明がなされています。これはとても使えます。

面会交流調停だけでなく、親権者の指定(離婚調停、訴訟)、変更、監護者の指定、子の引き渡し全ての事件で、この動画を裏付け資料として主張を行うべきなので、内容を紹介します。

基本説明編の内容としては、大きく分けて二つの構成で、<子どもが両親の争いから受ける影響>とそれを踏まえて<子どもを両親の争いに巻き込まないために>が述べられています。

全体の章立ては、
1. 話し合いを行うときに
2. 子どもが両親の争いから受ける影響
3. 子どもを両親の争いに巻き込まないために
4. 自分自身の心の状態を知る
5. 子どもへの接し方
6. 話し合う内容と心がけること
となっており、最初の画面からその動画部分に飛べるようです。
この点もよくできています。

先ず、<子どもが両親の争いから受ける影響>が述べられています。文字ではなく動画で、しかも子役がみな素晴らしい演技をしているのでこれでもかというほどわかりやすくなっています。

10歳の子どもの場合は、一見平気そうに見えても、内面では悲しい気持ち、辛い気持ち、不満などを抱えていることがあるというようなことを説明しています。

よく調停などで、子どもは平気そうにしているから今の環境になじんでいるとか別居親と会わなくても良いから会わせないとか等と言う当事者がいるわけですが、その言い回しは間違っているということの裏付けとして使えるわけです。

まさかとは思いますけれど調査官調査報告書がこのようなトーンで書かれていたら最高裁の見解に反するという言い回しも可能になるでしょう。

もし万が一、審判でこのような能天気な理由付けがなされていたら抗告理由に私は使わせていただきます。

ビデオの内容の説明を続けます。

小学校高学年になるとどちらの親の気持ちもわかるためどちらにも気を使って板挟みになり辛い気持ちになっているということも説明されています。

そして、板挟みになることを避けるためにどちらか一方の親の肩を持つような極端な言動をすることがあるとまではっきり説明しているのです。

子どもは親に気を使うわけです。それにも関わらず、子どもの言葉を表面的にとらえて能天気な、つまり、ものを考えない結論を出してはならないと最高裁判所は考えているわけです。

また、動画は良い子にしていると両親が仲直りするのではないかと無理をして良い子にふるまうことがあるということを指摘しています。

これはよく見られる現象で勉強を頑張ったり、習い事を頑張ったり無理をする子どもたちを学校現場でもたくさん見ているそうです。

小学校低学年までは自発的に無理をする子はほかにあまりいないため無理をすればするほど成績は上がります。しかし、小学校高学年から中学年にかけてになると無理して頑張るだけでは成績はついてきません。自分にかかる歪んだ期待の大きさと、成績という現実とのギャップに子どもは苦しみます。

学校や習い事の成績がいつしか子どもにとっては自分をささえる唯一の道具になっていますから成績が頭打ちすることは精神的な打撃になるようです。

自分が無理をしないでありのままにいても尊重されるべきだという発想は、子どもには持てません。保健室登校や不登校につながる事例があるようです。

まさかとは思いますが、調査官調査や審判書などで子どもがテストでよい点数を取っているから子どもに問題が起きていないなんてことは言わないと思いますが、もし、万が一そのようなことがあれば最高裁の考え方とは全く違うということを教えてあげなければなりません。

次の大きなまとまりは<子どもを両親の争いに巻き込まないために>ですポイントとしては「心の状態を知る」「子どもへの接し方」「話し合う内容と心がけること」が挙げられています

心の状態を知るとは、親自身が自分の心の状態を知るべきだということなのだそうです。離婚の問題はこれまでになかった強いストレスを受けるので、相手の言動を実際よりも悪くとらえてしまうときちんと説明されています。

これは、とても基本的なことなのですが、これまで家裁実務では、あまり取り上げられてきませんでした。

当事者が感じたことを、すべて事実だというような扱いがされることがたびたびありました。裏付けもないのに暴力があった等と言う認定はないと信じたいのですが、それに似たようなことはたくさん目にしています。事実でないことで不利な決定を受けた方は防ぎようのない攻撃を受けることになります。
ビデオでは悲嘆反応にまで言及しています。

次は子どもへの接し方です。

子どもに親の争いを見せないということが一番に出てきます。これはとても大切なことです。これは同居時に子どもの前で喧嘩しないということが勿論一番ですが、別居した後でも、子どもの前で、相手の悪口を言うとか、別居してよかったとかそういう話をするということも同じだと思います。

昔は、親の親、子どもから見れば祖父母は相手の悪口を子どもの前で言うことを良しとしない風潮がありましたが、今の祖父母は、子どもの前で平気でその子どもの血を分けた親の悪口を言っているという嘆かわしい世の中に日本はなっているようです。

嘘でも良いから相手の良いところだけを子どもには知らせるべきでそれをする能力がないならせめて悪口を言わないということをするべきです。

子どもの心に目をくばり、逆に子どもに悩みの相談に乗ってもらってはいけないということが言われています。

また、一方の親に気を使って一方の親が悪くない、相手が悪い等と子どもが言ったらそれをやめさせるべきであることが情感豊かに描かれています。

これからの生活の見通しを述べることが子どもの気持ちの安定のためには有効であることが述べられています。
そうであるならば子どもに何らの説明もしないで転校を余儀なくする引っ越しを突然することはこの観点からも子どもの心に負担が生じることだということが導かれます。

子の福祉にとって有害なことのカタログのようなビデオです。大いに活用できると思います。もっとも、相手を攻撃するために使うのではなく自戒のためのビデオなので念のため。最後は話し合う内容と心がけることについてです。子どものために何を話し、何を決めるのかということをまず考えなくてはならないと言っています。

ところが、家庭裁判所では、子どもの利益があまり話題にならないように感じています。親同士が、私は私はということで争っていることが多いのではないでしょうか。

子どもという一つの人格が無視されているということに警鐘を鳴らす内容となっています。

離婚となった場合は、当然に面会交流をするという流れにもなっています。これは全て子どもの利益であり、親ならば最優先しなければならないとビデオは訴えているように思われます。

ところが、地方の裁判所では、まだまだ面会交流を当然行うべきだという流れにはならず、同居親の葛藤が高ければ実施できないとか間接面会交流にしなさいと言ってきたりするところもあります。最高裁の考え方とまるっきり違うわけです。

また、間接面会交流の意味ですが子どもが読むことすら見通しがないにもかかわらずに別居親が一方的に手紙などを出してそれで終わりという無責任な方法を面会交流だと勘違いしている関係者も多くいます。交流ですらないと思います。

ビデオでは、面会交流は、離れて暮らす親も自分に愛情を注いでくれると実感することが子どもにとって大切だと言っています。

届かない手紙を出すことは面会交流とは言いません。子どもが読まないから仕方がない等と言う人もいますが、子どもは気を使って読まないのです。
養育費についても子どもが愛情を実感するという利益があることを述べています。

最後に子どもの「将来のために」何が必要かという視点が必要だと力説している要に私は感じました。

大事なことは、子どもの場合今だけでなく子どもは成長する存在であり、それに応じた配慮が必要だと説得的に述べています。

家庭裁判所の話し合いも当然にその視点で行わなければならないはずです。

年代別の動画も基本的には今述べてきた内容を子どもの年齢に応じた発達段階に合わせて丁寧に解説されています。ポイントと対応方法をきちんと整理してわかりやすいです。またどの子役の方々も演技が素晴らしい。

ご自分のお子さんの年齢の部分は私がこのブログで抜き書きしたように抜き書きして手元に置いて調停に臨むべきです。

家事調停は、事件ごとにいろいろな顔があります。必ずしも法律で画一的に調停の流れを決めることはできません。それはそうでしょう。

しかし、現実の家事調停の多くが、何らよるべき基準を設けず、調停委員や、裁判官、調査官の個人的考えに従ってフリーハンドで行われているのではないかという危機感があります。

最大の問題は子どもの将来が全く考えられていないということです。

家裁月報や「子どものための法律と実務」安倍嘉人、西岡清一郎監修(日本加除出版社)等、勉強する文献はたくさんありますが、その成果がコンセンサスになっていないのではないかと感じてなりません。

今回おそらく建前としては一般国民を対象として最高裁は動画配信を行ったのでしょう。しかし、一般国民に向けてこのような内容の動画を作るということは、ほかならぬ裁判所は、この動画と同じ考えで、家裁の手続きを行うということを宣言したに等しいと考えるべきだと思います。

全ての子どもの事件の当事者の皆さんが、この動画をよく観て、内容を自分のものにするべきです。

もし家庭裁判所がこの動画に反する行動をとったならば動画の内容を教えるべきだと思います。そして動画を見ることを提案してください。

この先、長い目で見れば子どもの権利はますます拡充していくことと思います。そうなれば、この動画でも不十分な点が感じられるかもしれません。

しかし、現時点においてはこれは強力な武器です。それだけこの動画とは異なる考えで実務は動いてしまっているということです。

おそらく最高裁の真意は一般国民に向けてというよりも家事実務の在り方に対して動画という形であるべき形を示したのではないかと考えたくなっている次第です。

いずれも、このような動画は、最高裁判所が配信しているものです。最高裁判所は私たちの味方だということに確信を持つべきだと思います。

《感想》『有名リベラル論客を多数提訴〜「実子誘拐」を巡る注目の裁判 - 牧野 のぞみ』

出典:令和2年3月27日 ishiimasa's blog

《感想》『有名リベラル論客を多数提訴〜「実子誘拐」を巡る注目の裁判 - 牧野 のぞみ』

ライター ユニークフェイス 石井政之

月刊『Hanada』5月号

当該の記事をKindleで購入して読みました。 冤罪DVはゼロだった、という主張を書いている有識者がいたのは、新鮮な驚き。 無理な発言をしていると訴えられる、ということが分かっていなかったようだ。

虚偽DVによる家庭崩壊。被害者は夫が多い、という構造的な社会問題については、さまざまな人が取材して記事にしていく必要があると思う。これは少子化、ひとり親の貧困化の強力なトリガーになっている。リベラルな人たちがつくりあげた、「夫のDV。妻の被害」という構造は、不正確であることは間違いない。

仮定として。10年くらいかけて出来上がった「夫のDV。妻の被害。悪いのは100パーセント男だ」という虚構の世論は、10年くらい時間をかけないと、虚構の世論は一層できない、と私は想像する。長丁場になる。

日本のフェミニストのダークサイド。それは「夫のDV。妻の被害。悪いのは100パーセント男だ」という虚構を、さまざまな関係者に信じさせたことだろう。この虚構で、多くの家庭がこわれて、少子化と貧困化が進んだ。のこるのは生活保護や政府の優遇をもとめる、自立心無きひとり親と、そのストレスのなかで生きる子どもたち。

「夫のDV。妻の被害。悪いのは100パーセント男だ」という虚構。嘘つきが多い世界に接すると、燃えますね。若手の記者には、ここに日本の家族制度の闇があり、読者のニーズがある、と熱く語りたいですね。そういう勉強会もやっていきたい。#共同親権研究会

冤罪DVはゼロでした。という情報は、虚構。安倍総理の虚偽答弁と同じレベル。日本のフェミニストに自浄作用はないのだろうか。

バカも休み休み言え。虚偽DVも休み休み言え。
100パーセントのバカはいない。
100パーセントの離婚男がDVをしているわけがない。

追記。「月刊Hanada」 は、ネトウヨ雑誌。この雑誌の編集方針は容認できない。しかし、読みたい記事があるときは買う。

当該記事の英文は、以下のリンクで公開。
https://hanada-plus.jp/articles/311

有名リベラル論客を多数提訴〜「実子誘拐」を巡る注目の裁判 --- 牧野 のぞみ

出典:令和2年3月26日 アゴラ

有名リベラル論客を多数提訴〜「実子誘拐」を巡る注目の裁判 - 牧野 のぞみ

■日本では知られていない「実子誘拐」
日本人による「実子誘拐ビジネス」は、日本ではあまり報道されないが、実はそれが原因で諸外国から「日本は子どもの拉致国家だ」と繰り返し非難されるほどの大きな外交問題になっている。
では、外交問題にまでなっている「実子誘拐」とは何なのか。
ある日、家に帰ってくると子どもが突然いなくなっている。そして、その子どもを連れ去ったのは、もう一方の親である。欧米などの先進国の大半では、これは誘拐罪に該当する重罪である。
しかし日本においては、実子誘拐は罪に問われず日常的に行われている。突然愛するわが子を奪われ、子どもに会えなくなり養育費だけを支払い続けることで、精神的、経済的に追い込まれ自殺する親も後を絶たない。

■実子連れ去り被害の男性が訴えた注目の裁判
そのような実子誘拐に関連して、注目すべき民事訴訟が始まろうとしている。
この訴訟は、実子を離婚した元妻に連れ去られた男性Aさん(仮名)が、裁判所で別に争った自身の離婚訴訟に関連し「妻に暴力をふるうDV夫に仕立て上げられ名誉を傷つけられた」として39人を相手に民事訴訟を起こした。訴状ではこの行為を「集団リンチ」と非難している。
被告人が誰なのかは、26日発売の月刊『Hanada』5月号で主だった面々を実名で書いているが、39人の中には、「人権派」弁護士の大物をはじめとして、保守系メディアから「リベラル系論客」としてよく批判される著名人も多数含まれている。
たとえば、弁護士では、元千葉県弁護士会会長も歴任したK氏(女性)、A氏の離婚訴訟の元担当裁判官で、A氏敗訴の判決を下し、退官後はA氏の妻の代理人の弁護士事務所に所属しているY氏(男性)がいる。
社会起業家では、厚生労働省の「イクメン(育 MEN)プロジェクト推進委員会」委員をつとめるK氏(男性)や、シングルマザーを支援し、養育費の取立て運動を行っているC氏(女性)などがメディアでしばしば登場する人も。ほかにも安倍政権の憲法解釈などをマスコミでたびたび批判し、民放報道番組のコメンテーターを務めたこともある若手の憲法学者など、錚々たる者が並ぶ。

■男性は「人権派」の虎の尾を踏んだ?
なぜ、原告のA氏は39人もの者から「集団リンチ」を受けたと主張しているのか。それは「実子誘拐」をあたかもビジネスのように生業とする弁護士らの虎の尾を踏んだからだと見ているからのようだ。
この問題を取材して弁護士の世界の「常識」だとわかったが、弁護士が一方の親に子どもを誘拐するようそそのかし裁判を提起させれば、裁判官が「継続性の原則」(別居した夫婦の間の子どもが、一定期間一方の親と同居し、安定した生活を送っている場合は、その現状維持が子どもの利益となるという考え方)に基づき親権を与える段取りとなっている。
勝訴した弁護士は、親権を奪われた親から奪い取った子どもの養育費の一部を「成功報酬」として懐に入れる。取材を進めると、弁護士側勝訴の判決を下した裁判官の中には、そのお礼として退官後に弁護士事務所に天下りすることもあるという信じがたい話もあった。
なお、今回の原告、A氏の離婚訴訟の1審判決は「継続性の原則」を採用しない画期的なものであった。この判決が最高裁で確定し先例となれば、子どもたちが両親と離婚後も普通に会える社会に変わることが予想された。それは子どもの利益に資するものである。
しかし、「実子誘拐ビジネス」に関わる人たちにとって、実子誘拐をした親が裁判で親権をとれないことになれば、ビジネスは壊滅的ダメージを受け多大な不利益を被る。それは断じて許すわけにはいかないわけだ。

■国連子どもの権利委が対日勧告:新たな流れ
これはあくまでA氏側の主張だが、彼らが共謀し、A氏を二審及び最高裁で敗訴させるため、また、一審判決が不当なものであるとの印象操作をするため、A氏をDV夫に仕立て上げ社会的に抹殺しようとした、と訴状で提起している。

もしかしたら、A氏の新たな訴訟が始まれば、被告の属性もあって「保守VSリベラル」的なイデオロギー論争になってしまいかねないが、本質的な問題から目を背けてはなるまい。
冒頭で「外交問題」と書いたが、実子の連れ去りは「親権」と密接に絡んでいる。国連子どもの権利委員会は昨年2月、日本政府に対し、共同親権を認めるために、離婚後の親子関係に関する法律を改正するよう勧告した。
今後の動きを占う上で、いま何が起きているか。詳細については月刊『Hanada』5月号をご覧いただきたい。

月刊『Hanada』5月号

子供を連れ去って不倫男と暮らす妻に、毎月10万円を払う不条理

出典:令和2年3月26日 PRESIDENT Online

子供を連れ去って不倫男と暮らす妻に、毎月10万円を払う不条理

■「妻の不倫」で離婚しても、夫は親権を取れない

 日本では離婚した場合、子供の親権は両親のどちらかに移る。親権が争われた場合、圧倒的に有利なのは女性だ。厚労省の統計によれば、親権者が母親となるケースは8割に上る。

 個別のケースを調べると離婚事由が妻側にあっても、親権者が母親となるケースが多い。例えば、妻が不倫をして離婚することになっても、夫は親権を取れない恐れが強いのだ。

 田村仁志さん(44=仮名)のケースを紹介しよう。仁志さんは都内の有名私大を卒業後に、一部上場の大手電子機器系メーカーに就職。現在の年収は約800万円のサラリーマンだ。

 9歳下の妻・かな子さんとは、12年に友人の紹介で知り合い、翌年に結婚。二人の子宝(現在は長男5歳と長女3歳)に恵まれた。しかし、妻が職場に復帰する頃になると、子供の育児をめぐって、夫婦関係は悪化していった。

■妻はスマホに「今度いつ遊べる? ? 」というLINEの通知が

 「私は子供たちに規則正しい生活のリズムを付けて欲しかったのですが、妻は食事を与える時間や子供たちを寝かしつける時間などがバラバラでした。食事内容も、極力、手料理を食べさせたかったのですが、妻は週2~3回はコンビニやファストフード店で、家でもレトルトや冷凍食品で、手料理はほとんどありませんでした」(仁志さん)

 現在行われている離婚調停で、妻側はコンビニやファストフード店の利用は2週間に1度で、ほぼ毎日手料理を食べさせていた、と主張しているという。どちらの主張が正しいのか定かではないが、夫婦関係が悪化していたことは間違いなかった。

 仁志さんが妻の不審な行動が気になり始めたのは、17年の夏頃だった。家族で遊園地に出かけた際に、妻が頻繁にスマホを操作していた。その後、妻はスマホを肌身離さず持ち歩くようになり、仁志さんは「おかしい」と感じ始めた。あるとき、妻のスマホに着信がきたタイミングで、画面を見た。男性と思しき名前の送信者から「今度いつ遊べる? ? 」というLINEのメッセージがきていたという。

 「探偵会社に妻の素行調査を依頼しました。結果は黒。妻が男のマンションに出入りする姿がバッチリ映っている写真を探偵から見せられ、どこか予感はしていたのですが、やはりショックでした」(仁志さん)

■長男と遊園地に行くはずの日に不倫男と会っていた

 すぐに、仁志さんは妻を問いただしたというが、妻は宿泊の事実は認めたものの、不貞行為は否定。だが、その後の探偵会社の調査により、不倫相手が妻の職場の上司であることがわかった。男に損害賠償を請求すると、男は不貞行為を認め、100万円の和解金を提示してきたという。

 「妻が不倫していたことは大きなショックでしたが、妻はまだ若いですし、一度くらいは大目にみようと思ったんです。ただ、妻が不倫男と会っていた日は、長男と遊園地に行くはずの日だったんです。妻は女友達と旅行にいくと言っていましたが、男と会っていた。子供たちとの行事より、不倫相手を優先したってことじゃないですか。それがどうしても許せませんでした」

 しかし、子供のことを考えると、仁志さんはなかなか離婚へ向けて踏み出すことができなかったという。

 「子供たちは夫婦仲のいい、あたたかい家庭で育てたかった。その一心で、不倫の事実を受け入れ、なんとか妻との関係改善を試みました。しかし、妻とやり直さなきゃと頭ではわかっていても、気持ちはついていかなかった。妻に対して感情的になってしまうこともあり、妻も不倫をやめるそぶりがまったくなく、関係改善には向かいませんでした」(仁志さん)

■「妻と子供が行方不明」と相談したが、警察は取り合わず

 不倫発覚から5カ月後、予想外のことが起きた。妻が無断で子供を連れて別居を開始したのだ。その当時、お互い冷静になるため、仁志さんは週に2~3日は自身の実家に泊まっていた。妻が子供を連れだしたのは、そんな日だった。

 「後で、マンションの防犯カメラの映像を確認すると、深夜2時頃に妻の母と、妻の兄がトラックでやってきて、自宅から家財道具を搬出。妻は寝ている子供たちを抱きかかえて、家から出ていく姿が確認できました」(仁志さん)

 妻は転居先を隠し、仁志さんは子供たちと会えない状況となった。子供たちも突然、父親と会えなくなり、長男は保育園を転園せざるを得なくなったという。仁志さんはすぐさま警察に駆け込み、妻と子供が行方不明になったと相談したが取り合ってくれず、途方に暮れているところに妻の弁護士から通知が届いた。

■子供たちの養育費と妻の生活費として毎月10万円を支払う

 そこには、離婚調停、別居中の生活費である婚姻費用調停を申立てる旨と、妻、子供に接近禁止を求めると書かれていた。仁志さんは弁護士に相談し、家庭裁判所に子供の引き渡し審判と、子の監護者指定審判を申し立てた。

 仁志さんは子供に自由に会えなくなってしまったが子供たちの養育費と妻の生活費として毎月10万円を支払っている。

 妻側に不貞行為があったのだから、仁志さんは「当然、親権はとれる」と考えていた。しかし、実際は違う。離婚問題に詳しいレイ法律事務所の松下真由美弁護士がこう解説する。

 「妻が子を連れて出ていって時間も経っているとなると、仁志さんが親権を取れる可能性は5%もないと思います。家庭裁判所は、よき妻であることと、よき母であることは別として考え、親権者を決める際に子の福祉を一番重要視します。妻が不貞行為をしたからといって、ただちに男性側が監護権、親権を獲得できるわけではありません。子供に対する監護実績や監護能力等を比較し、父母のどちらと生活することが子の福祉に資するかという点で判断をします。つまり、夫と妻のどちらが、より、子供たちの世話をしていたか、また、今後世話をできるかということですね」

■なぜ「連れ去り勝ち」が横行しているのか

 仁志さんは妻と同居中に、子供のお風呂、歯磨き、寝かしつけや、妻が仕事の日は一日、面倒を見るなど育児にも積極的に参加していたが、今回のケースではさらにもう一つ、妻側が有利な事情があるという。

 「妻が現に子供と生活している点です。子供の環境を無理に変えることは、子供にも負担がかかります。そのため、家庭裁判所は、現在の子供の監護状況に問題がなければ、現に子供と同居している親を親権者に指定する傾向が強いんです。調停や裁判が長引けば長引くほど、子供は現在の環境になじんでいき、妻側が有利となってしまいます。今回の事案は、妻側に育児放棄や虐待のような事実がない限り、仁志さんが親権を獲得するのは難しいかもしれません」(松下真由美弁護士)

 つまり、親権争いになった際、自分が不利になると思ったら、子供を連れ去り、監護実績を積み重ねる。そして、調停、裁判にできる限り長い時間をかければ、子供が環境に馴染んでいると認められ、親権獲得に有利な状況となりうるのだ。これは男性が子供を連れ去った場合も同じ。このため“連れ去り勝ち”が横行しているといわれる。

■妻の「転居先」は、不倫男の自宅の近所だった

 「また、今回の事案はお子さんがまだ5歳と3歳と幼い。家庭裁判所は、子どもが幼いと、母親の必要性を優先する傾向があります。お子さんの意思も大切ですが、幼いうちは明確に意思表示もできませんので、結局母親が優先されることが多いといえるでしょう。私自身、男性側の代理人として裁判所に立つ機会もありますが、正直なところ、母性優先という結論ありきの判決なのではないかと、悔しい思いをしたこともあります」(松下真由美弁護士)

 仁志さんは探偵の調査により妻の転居先を知り、さらに打ちのめされることになる。妻の転居先は不倫男の自宅の近所だったのだ。そこで不倫相手に、示談金の交渉と子供への接触禁止を要求したが、男は既に仁志さんの妻の家に出入りしており、それには応じられないとの返答だった。

 「私は、自分の愛すべき子供たちに会うために、様々な制限がありますし、会いたいときに会えるわけではありません。それなのに、不倫男は子供たちが住むアパートに好きに出入りしている。こんなことが許されるなんて……」

 「私は大人ですから感情を抑えられます。でも子供たちは保育園と自宅、近くの公園という狭い世界を突然奪われ、知らない環境で生活せざるを得なくなっています。さらに見ず知らずの男と一緒に生活する、となれば恐怖でしかない。昨今の『連れ子虐待』のニュースを見るたびに、気が気ではありません」

■「妻の機嫌を損なえば子供に会えなくなると思うと…」

 今後、妻と離婚が成立し、仁志さんが親権を失えば、不倫男が子供たちと養子縁組をすることを仁志さんは拒否できない。仁志さんに残された権利は、子供との面会交流と妻の不貞行為に対する慰謝料の請求だ。しかし、その権利も声高に主張ができない事情があるという。

 「妻は子供を連れ去ったあと、私の渡す生活費で不倫相手と生活し、たまに面会交流で子供たちと会えるという飴をちらつかせて、離婚を迫ってくる。面会交流に関して調停の場でルールが決まっていない現状では子供に会えるかどうかは妻の気分次第です」

 「妻の機嫌を損なえば子供に会えなくなると思うと、こちらから慰謝料など請求できるはずもありませんし、面会交流に関しても妻の事情を考慮して主張せざるをえません。まるで子供を人質に取られたみたいです」

■突然1カ月に2時間しか子供に会えなくなる別居親の苦痛

 ひとり親家庭の大多数が貧困に陥っていることから、国や自治体はひとり親家庭の支援に躍起になっている。子供の福祉のために、養育費の不払いを解消していくことが必須であることは間違いない。

 しかし、その一方で、仁志さんのように、子供の親権を取りたくても取れない別居親が大勢いる。家庭裁判所によれば、子供と離れて暮らす別居親たちが子供に会えるのは、1カ月に1回2時間が6割だという。毎日一緒に生活をしていた子供たちと突然、1カ月に2時間しか会えなくなる別居親の苦痛は計り知れない。

 親権は母親有利。その根底には、子供の養育には母親との関りが重要だとする母性神話がある。しかし、時代は変わり、男女ともに仕事をし、ともに育児をするという家庭も増えた。それにもかかわらず、いまだに家庭裁判所は“育児は女性の仕事”とし、親権争いの場で母親を優遇している。

 仁志さんのように、「妻が不倫し、家庭を顧みなかった」という状況でも、子供の親権は取れず、子供に会えるのは1カ月に2時間となる恐れが強い。このような現状で、強制力のある養育費の取り立て方法だけが決まっていっていいのだろうか。養育費の支払い義務を負う、別居親の声に耳を傾ける必要があるのではないだろうか。


松本 朔太郎(まつもと・さくたろう)
フリーライター
自身の離婚経験を機に親子断絶、連れ去り問題などの家族問題をテーマに取材活動を行う。ツイッター:@korokoropo

離婚後の共同親権、是非は 法制化を望む声の一方で慎重論も

出典:令和2年3月20日 西日本新聞

離婚後の共同親権、是非は 法制化を望む声の一方で慎重論も

 離婚後も父母の両方が子どもの親権を持つ「共同親権」制度を巡る議論が本格化している。日本では離婚後は父母のどちらかを親権者とする「単独親権」を採用する中、親権を持たない親たちが「子育てに関われない」と共同親権の実現を求める一方で、ひとり親や識者からは慎重な声も聞かれる。国も制度の在り方について検討を始めた。
 「離婚で子どもたちと会えなくなるなんて考えもしなかった」。12日、東京地裁の法廷で柳原賢さん(57)=富山県=は訴えた。柳原さんら男女12人は、民法の単独親権制度は、子育てする権利を侵害し、幸福追求権などを定めた憲法に違反しているとして、昨年11月、国に損害賠償を求める訴訟を起こした。
 妻と離婚し、当時小学生と園児の娘2人と離れて暮らし12年。調停で年3回の面会交流が決まったものの、守られたことはない。遠くから見るだけでも、と子どもの学校の学習発表会に足を運んだ時は、元妻と教師にすぐ追い出された。
 柳原さんは「同じように苦しむ人はたくさんいる。離婚は夫婦の別れであって、親子の別れではない」と制度の不備を訴える。一方、国側は答弁書で原告の子育て機会が阻まれているのは「(同居する)親の意向によるものと思われ、国に賠償請求する根拠が不明」と反論している。
     **
 本紙の「あなたの特命取材班」にも、共同親権を求める親たちから声が届いている。妻と別居中の大分県の男性(35)は2年前、仕事を終えて帰宅すると、家具と共に妻と子ども2人が消えていた。
 自身の預金口座から多額を引き出され、妻の不貞行為も判明。調停で子の引き渡しや、監護者の指定を求めたが認められず、月に1回の面会交流だけが心の支えだ。「子の養育環境が変わるのは良くないと、同居親に親権が認められる場合が多い。子を連れ去った方が勝つという状況を国が追認するのはおかしい」。男性は2月26日、「連れ去り」の規制を求めて、同じ状況の親13人と東京地裁に国家賠償を求め提訴した。
 日本も加盟する「ハーグ条約」は、片方の親が16歳未満の子を国外に連れ去った場合、もう一方の親の求めに応じて原則、元の居住国へ引き渡さなければならない。ただ、国内の連れ去りは対象外だ。原告側は、子を育てる権利を侵害され、子の人権も侵害していると訴えている。
 原告代理人の作花知志弁護士は「共同親権を採用する欧米では、連れ去りにペナルティーが課され、親権争いで不利になる。国内法を整備してこなかった国の責任を問いたい」と話す。
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 民法は、離婚時に親子の面会交流を取り決めると定めるが、強制力はない。厚生労働省の2016年度調査では、別居する親と定期的に面会しているのは母子家庭で29・8%、父子家庭で45・5%に過ぎない。
 共働き世帯が増え、男性の育児参加が進む中、離婚後も子育てに関わりたいと望む親は増えている。離婚件数は減少しているのに対し、監護者指定や面会交流、子の引き渡しを求める調停・審判は、いずれもこの10年間で倍増している。
 海外では欧米を中心に、離婚後も共同で養育する国が主流だ。早稲田大の棚村政行教授(家族法)によると、米カリフォルニア州が1979年に「共同監護」を導入し、全米に拡大。90年代からは「子どもの権利」として父母双方と関わり続けることを尊重する風潮が世界的に広まった。
 昨年2月には国連の「子どもの権利委員会」が離婚後の共同養育を認めるよう日本に勧告。法務省は11月に有識者による研究会を立ち上げ、共同親権の是非や法制度の議論を始めた。
 棚村教授は「離婚後も両親が共同で責任を持つという考え方は大切」としつつも、共同親権の導入は慎重にすべきだと主張する。裁判所が全ての離婚に関わり、DVや児童虐待への対策も講じている欧米と異なり、紙一枚で協議離婚できる日本では対策が不十分と考えるからだ。「親ではなく子の権利を最優先と法律に明記し、離婚後の養育計画に公的機関が介入する仕組みを整えるなど、まずは相談、支援体制を充実させる必要がある」と話している。 (新西ましほ)

単独親権制度 違憲訴訟始まる

出典:令和2年3月13日 日本経済新聞

単独親権制度 違憲訴訟始まる

離婚すると父母の一方しか子どもの親権を持てない単独親権制度は、法の下の平等や幸福追求権を保障する憲法の規定に反するとして、8都道府県の男女12人が国に総額1200万円の賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が12日、東京地裁(下沢良太裁判長)であり、国は請求棄却を求めた。原告側は「子育ての権利を奪われた」と意見陳述した。
国は答弁書で「仮に権利侵害があるとしても、原因は他方親の意向によるもので、国に賠償を求める根拠は不明だ」と反論した。

離婚後「子どもと会えない」母親の悲痛 単独親権が壁に?

出典:令和2年3月9日 信濃毎日新聞

離婚後「子どもと会えない」母親の悲痛 単独親権が壁に?

「子どもと最後に会えたのは1年半以上前です」。県内の30代女性から本紙「声のチカラ」(コエチカ)取材班に悲痛な声が届いた。離婚後、面会できることを条件に息子2人の親権を元夫に譲ったが、元夫の意向次第で会えないことが多くなったという。民法は、離婚後に一方の親にしか親権を認めない単独親権制度を採り、女性と同様のケースは多数ある。「共同親権」を求める訴訟も起きており、国も導入の是非を議論している。(奥川瑞己)
 女性は2003年に県外で男性と結婚し、息子2人を授かった。だが、元夫と折り合いがつかなくなり、長男が6歳、次男が3歳だった10年夏、離婚を切り出した。元夫は息子2人と出ていった。
 家庭裁判所での調停の末、同年12月に離婚が成立。当初は「面会交流」という形で月1、2回、自宅や実家などで息子たちに会うことができた。ただ、14年8月に女性に交際相手ができたことを知ると、元夫は「もう会わなくていいだろう」と言った。
 「(近くにいても)会えないのだから」。女性は身を切られる思いを振り切るように引っ越しを決意し、県内に移り住んだ。
 それでも会いたいという気持ちは止められなかった。元夫に知られないよう学校帰りの息子たちに会いに行った。5年前には長男の修学旅行先を訪ねた。この頃、密かに会っていることを元夫に知られ、面会を拒否されるように。それ以来、会えたのは18年7月の1度だけだ。
   ◇
 この女性のようなケースで子どもに会えないのは「民法の単独親権に問題がある」。県内で双方が親権を持つ共同親権の実現を求める運動に取り組む、著述業の宗像充さん(44)=下伊那郡大鹿村=は訴える。民法は婚姻中は共同で親権を持ち、離婚後は一方を親権者にすると定める。親権を手放した親は子どもとの関係が断たれやすく、調停で面会交流の回数や時間を決めても、実際には会えなくなる傾向があるという。
 宗像さんの場合、元妻が親権を持っている。娘との面会は月1回、4時間以内に制限された他、元妻の意向で会えない時期もあった。
   ◇
 女性は離婚から間もなく10年。長男は高校1年、次男は中学1年になった。周囲からは「子どもを引き取れないのはひどい母親だからだ」「また産めばいい」と言われ、傷つくこともあった。
 それでも女性を支えたのは、息子2人の言葉などを書き留めた「育児日記」と長男からもらったお守りがあったからだ。「母ちゃんの夢、いっつも見るよ」「母ちゃんのご飯が一番」。育児日記を読み返すと涙があふれる。お守りはかつて会いに行った際、長男が修学旅行のお土産としてそっと渡してくれた。「幸せを呼ぶ」と書かれている。
 女性は支援団体や弁護士に相談し、昨年4月、面会を求める調停を家裁に申し立てた。調停中のため、女性の意向で元夫の話は聞けなかったが、元夫は「子どもが会いたくないと言っている」と主張し、協議が続いている。
   ◇
【審判・調停申し立て、県内も増加】
 子どもとの面会交流を巡る審判や調停の申し立て件数は近年増えている。裁判所がまとめた司法統計によると、全国では2008年度の7281件が、18年度には1万4943件へと増加。県内も08年度の89件から18年度は2・6倍の233件になっている=グラフ。
 早稲田大の棚村政行教授(家族法)は、背景に単独親権への不満があると分析。「共働きで育児も共同で行う家庭が多くなり、離婚後も子どもに関わりたいと考える親が増えている」と指摘する。
 昨年11月、宗像さんを含む8都道府県の父母12人は、単独親権は法の下の平等を定めた憲法に違反し、子どもと自由に会えない―などとして、国に損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。第1回口頭弁論は3月12日の予定。
 国も共同親権導入の是非について検討を始めた。法務省は昨年11月、弁護士や大学教授らの研究会を発足。議論は1年程度かかるとみられるが、海外の実態などを参考に報告書をまとめるという。
 共同親権を巡っては、家庭内暴力(DV)が原因の離婚などで問題が生じるとして、慎重意見がある。だが、棚村教授は「両方の親の援助を受けることができるなど、離婚後も両親が共同で責任を持つ考え方は大事」と強調。欧米のように両者の間に入って支援する機関を設けることを提案している。
   ◇
 [単独親権]
 離婚後の子育てに関して、欧米では共同で養育するのが主流だが、日本は単独親権制度を採用している。民法819条は、父母が協議上の離婚をする時は一方を親権者と定めなければならない―と規定。単独親権は教育や住居、医療などの方針を決定しやすい利点もあるが、面会交流の回数や時間などは親権者側の意向が大きく働き、面会が実現していないケースもある。

「単独親権は違憲」の集団訴訟、国が争う姿勢 東京地裁で初弁論

出典:令和2年3月12日 産経新聞

「単独親権は違憲」の集団訴訟、国が争う姿勢 東京地裁で初弁論

 離婚すると父母の一方しか子供の親権を持てない「単独親権」制度は法の下の平等や幸福追求権を保障する憲法に違反し、子育てする権利を侵害しているとして、8都道府県の男女12人が国に計1200万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が12日、東京地裁(下沢良太裁判長)であった。国は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。
 原告らは離婚で親権を失うなどして子供と別居している。訴訟発起人のフリーライター、宗像充さんが意見陳述し、子供と同居する親側の意向などで面会交流が実施されないケースがあると指摘。「親同士の関係と親子関係は別物。同じ境遇の親子は年々増えている」とし、制度に不備があると訴えた。
 訴状によると、原告らは子育ての意思があるのに「司法に救済を求めても、わずかな面会交流しか認められない」などと主張。国側は答弁書で、原告側の養育機会が阻まれているのは「(同居する)親の意向によるものと思われ、国に賠償請求する根拠が不明」と反論している。

”じぃじ”と”ばぁば”に会いたい!連れ去りに遭った孫と祖父母が会えなくなる日本の悲劇。

出典:令和2年3月12日 Yahoo!ニュース

”じぃじ”と”ばぁば”に会いたい!連れ去りに遭った孫と祖父母が会えなくなる日本の悲劇。

明智カイト 『NPO法人 市民アドボカシー連盟』代表理事

先日、事前に何の協議もなく妻によって5歳の息子を連れ去られる被害に遭った雷鳥風月さん(仮名・40代)の記事を書きました。
妻に子どもが連れ去られたら父親として認めない!?イクメン、男性育休を推進する日本社会の矛盾。(明智カイト)
日本では離婚すると単独親権のため片方の親が親権者となりますが、雷鳥風月さんの場合はまだ離婚が成立していないため、正確にはまだ親権者です。しかし、日本では「子どもを連れ去った側の親」の言いなりにならなければならない現実があります。
現在、雷鳥風月さんは離婚後共同親権の実現に取り組んでいます。最近の主な活動として街中でチラシを配布しているそうです。チラシには『”じぃじ”と”ばぁば”に会いたい!』と大きく書いてあるためか、街中で配ると高齢者が中心にチラシを受け取ってくれます。今回は、このチラシに込めた想いについて雷鳥風月さんにお聞きしました。

間接的面会交流って何?
間接的面会交流とは何らかの事情で、子どもと直接会う形での面会交流が認められない場合であっても、子どもと手紙のやり取りをしたり、誕生日等にプレゼントを贈ったり、監護親から定期的に写真等を送ってもらったりするなどの方法で子どもと交流をもつことです。
前回の記事でも雷鳥風月さんが子どもの誕生日にプレゼントを贈った話題について触れました。その後の調停で雷鳥風月さんは子どもとクリスマスの面会交流や、年末年始の宿泊面会交流をお願いしたのに却下されたといいます。結局、クリスマスのプレゼントは郵送のみ許可されています。
しかし、それでも雷鳥風月さんはまだ良いケースのようです。たとえば別居親から届けられた子どもへのプレゼントを同居親が受け取りを拒否して問答無用で捨ててしまったり、あるいは送り返すことがあるそうです。

両親の離婚で祖父母に会えない子どもたち
しかし、ここでも子どもを連れ去られた側の親には大きな壁が立ちはだかってきます。家庭裁判所の面会交流では祖父母が対象とされていません。そして、祖母にあたる雷鳥風月さんの母親もまた連れ去られた後はお孫さんと会えなくなりました。
子どもは祖母とはとても仲良しで「ばあちゃんに会いたい」と話しているそうです。しかし、お互いに会いたいと望んでいても今の日本では両者が会うことは叶わないのです。こうして祖母は唯一の孫と会えなくなったのです。
そしてこれは祖父母と孫だけの関係に留まりません。他の親族とも会えなくなってしまいます。たとえば祖父の13回忌、実兄の危篤や葬儀のときに別居している妻へどんなにお願いをしても、子どもに来てもらう事は叶いませんでした。
雷鳥風月さんには子どもが妻に連れ去られた後から祖母が急に老け込んでしまったように見えました。食事の量も減り、口数も減ってしまい、祖母に精神的負担を掛けてしまっている事を申し訳なく感じる日々を過ごしています。
「70歳を超えた母親にこんな思いをさせてしまっている事を心苦しく感じている、なんとか子ども(孫)と自由に会わせてあげたい。」と考えていましたが、母親から見れば雷鳥風月さんは昨年長男が亡くなり残された唯一の息子。その子どもが実の子どもに会えずに苦しんでいる姿を見る事も、それに対して自分が何も出来ないという事も母親をより苦しめてしまっているという事に今更ながら気付きました。
「現状、定期的に顔を出す事ぐらいしか出来ていない。なんとか親孝行をしたいという思いは募るが、子どもが自由に祖母に会える、別居親に自由に会える。この実現が唯一の親孝行」だと雷鳥風月さんは考えています。
そんな雷鳥風月さんの想いが通じたのか、祖母には孫の運動会を観る許可がでました。運動会中に子どもへ話し掛けることは「保育園の規則で出来ない」と言われたため、本当に観ているだけでしたが。
雷鳥風月さんは妻に対して子どもの事を最優先に考えて欲しいと願っています。たとえ夫婦が離婚をしてしまったとしても子どもの親である事には変わりがありません。子どもは両親から養育を受ける権利を持っています。子どもの事を考えお互いを尊重することができれば、みんながもっと幸せを感じる事が出来るはず。今のままでは誰も幸せになれません。
子どもが会いたいと希望しているにもかかわらず、別居親だけではなく親戚や祖父母にも会えないことは大人だけの都合で決められた話であり、それが子どもたちの犠牲の上に成り立っていることを私たちは忘れてはなりません。
離婚によって「親権」を奪い合うのは先進国で日本だけです。親権を失った側の祖父母には孫に会う法的な権利はありません。主要先進国では、離婚した夫婦が子どもたちに対して、お互いが保護者の責任を果たしていけるように「共同親権制度」を採用しています。
「離婚しても パパはパパ、ママはママ 」、子どもが大人のエゴに巻き込まれない様な親権制度が日本にも必要なのです。

離婚後の親子「面会交流」支援

出典:令和2年3月10日 読売新聞

”離婚後の親子「面会交流」支援

 離婚後、一緒に暮らしていない親子が定期的に接する「面会交流」への関心が高まっている。子どもの健やかな成長を助けるといった効用があり、支援の動きも広がる。離婚後も両親が子育てに関わる「共同養育」の第一歩といえる。(及川昭夫)

 2月上旬、東京都内の飲食店で、離婚した親たちの交流会が開かれた。離れて暮らす我が子の共同養育をどうすれば実現できるかといった問題や悩みを語り合った。1年半前に離婚した男性会社員(33)は「なかなか会えないが、自分も父親として息子の養育に関わりたい」と打ち明けた。
 別居中や離婚後の子育てに悩む人への助言や、面会交流支援を行う一般社団法人「りむすび」(東京)が主催した。悩みや経験を共有しながら、共同養育の前向きな環境を作ることが狙いだ。代表のしばはし聡子さんは「離婚しても子どもにとっては親は2人。子どもの気持ちを第一に考えることが、子育ての負担減にもつながる」と話す。
※以下、記事PDF参照。

離婚後の共同親権法制化「慎重な議論を」 法相に署名1万人

出典:令和2年2月28日 産経新聞

離婚後の共同親権法制化「慎重な議論を」 法相に署名1万人

 ひとり親世帯らの支援を行う「シングルマザーサポート団体全国協議会」は28日、離婚後も父母の両方が子供の親権を持つ「共同親権」の法制化に慎重な議論を求める1万708人分の署名と要望書を森雅子法相に提出した。
 共同親権をめぐっては法務省が昨年、導入の是非などを議論する研究会を立ち上げている。署名はドメスティックバイオレンス(DV)や虐待の被害者らでつくるグループが平成30年3月からインターネットを通じて募り、同協議会に託された。署名は現在も増え続けているという。
 同協議会は共同親権について、子供やDV被害者の安全が確保されていない現状では法制化を進めないことを要望。さらに、DV防止法を改正し、保護命令対象に社会的・経済的DVを加えることなどを求めた。
 同協議会の赤石千衣子代表は「DVや虐待の被害者は、加害者からの追跡におびえながら暮らしている」と説明。「声をあげることが困難だったり、危険だったりする人たちの声がまだまだ国会や関係省庁などに届いていない。そうした中で、共同親権導入に向けた議論が進んでいる」と危機感をあらわにした。

子どもの連れ去り、放置しないで 14人が国を提訴

出典:令和2年2月26日 朝日新聞

子どもの連れ去り、放置しないで 14人が国を提訴

 国内で別居した夫婦の子どもが一方の親に連れ去られた状態のまま放置されているのは法の未整備が原因だとして、子と離れて暮らす親ら14人が26日、計約150万円の国家賠償を求めて東京地裁に提訴した。
 国境を越えた子の連れ去りについて引き渡しのルールを定めた「ハーグ条約」では、一方的に子が海外に連れ去られた場合、元の居住国へ引き渡すことを規定する。訴状では、日本もハーグ条約に加盟しているのに、「国内では同様の規定がない」と主張。原告の男女14人は「国内での子の連れ去りが放置されており、幸福追求権を定めた憲法13条に違反している」などとして、1人あたり11万円の支払いを国に求めている。
 離婚が成立した夫婦間の子の引き渡しについては、ルールを明確化した改正民事執行法が今年4月に施行される。だが、原告側は離婚成立前の子の連れ去りについての法整備が不十分だと主張している。(新屋絵理)

夫婦の別居で「子の連れ去りが横行」「国は規制を怠った」当事者が集団提訴

出典:令和2年2月26日 弁護士ドットコム

夫婦の別居で「子の連れ去りが横行」「国は規制を怠った」当事者が集団提訴

子どものいる夫婦が、不和による別居をするにあたっては、どちらか一方が子どもとともに家を出ることが多い。子どもと離れて暮らす親14人が2月26日、子の「連れ去り」を防止する立法措置を国が怠り多大な精神的苦痛を被ったとして、国家賠償法1条1項に基づき、1人あたり11 万円の国家賠償を求めて集団提訴した。
原告らは、一方の親が、もう一方の親の同意を得ずに子どもを連れて別居することを「連れ去り」と表現している。提訴後、東京・霞が関で会見を開いた代理人の作花知志弁護士は「子どもの連れ去りが日本では横行しているが、それを防ぐための立法措置を講じていない国会の責任を問う裁判だ」と語った。

●「ハーグ条約に適合する国内法」を求める
訴状などによれば、原告は「配偶者に子を連れ去られた(引き離された)結果、憲法13条(幸福追求権、人格権)、憲法24条1項により保障されている(1)リプロダクティブ権(子を産み育てるかどうかを意思決定する権利)、(2)親権、(3)監護権の基本的人権を、それぞれ侵害された」としている。
日本が加盟する「ハーグ条約」は原則として、片方の親が16歳未満の子を国外に連れ去った場合、親の求めに応じて元の居住国へ引き渡す。ハーグ条約では国内については対象ではない。
作花弁護士は「この裁判を通して法律が変わり、ハーグ条約に適合する国内法になること。いわば親による子どもの誘拐、無法地帯のような状態をなくすことがこの裁判の最大の目的だ」と話した。

子の「連れ去り」規制を 引き離された親ら、国を集団提訴

出典:令和2年2月26日 産経新聞

子の「連れ去り」規制を 引き離された親ら、国を集団提訴

 夫婦の一方が相手に黙って子供と家を出る「連れ去り」を国が規制しないのは違法として、子供を連れ去られたとする日本籍や外国籍の男女14人が26日、国に計約150万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 訴状によると、原告らは子を連れ去られて別居している間、裁判所が連れ去った親側に監護権を認めるなどしたため子供に会えなくなったと主張。会えても月1回数時間程度で、親が子を育てる権利を侵害されたほか、両親の監護を受ける権利がある子供側の利益も侵害したと訴えている。
 ハーグ条約の規定では、一方の親が子を国外へ連れ出した場合、原則、元の居住国へ返還するとしているが、日本国内での連れ去りは対象にならない。訴状では、国に「国内で連れ去られた親の権利侵害も防ぐ義務がある」とも指摘する。
 提訴後、会見した原告の女性(37)は、夫や夫の親に子供3人を引き離され監護権を失ったといい、「連れ去りが違法になれば子供の寂しさや悲しさを減らすことができ、自分も夫の支配から解放される。この事実を問題として受け止めてほしい」と涙を浮かべながら訴えた。
 家事手続き上の親権争いでは、子供にとって育成環境が変わるのは不利益との考えから、同居する親を優先する「監護の継続性」に重きが置かれるとされる。一方で、無断で連れ去ったこと自体にペナルティーはなく、原告代理人の作花知志(さっか・ともし)弁護士は「完全な無法地帯で、連れ去った者勝ちの状態だ」と話した。

プレゼントを捨てられる〜単独親権の悲劇

出典:令和2年2月11日 Yahoo!ニュース

プレゼントを捨てられる〜単独親権の悲劇

田中俊英 一般社団法人officeドーナツトーク代表

■離婚に伴う「別居親」の悲劇
DVや児童虐待が注目されるため、離婚に伴う「別居親」の悲劇はそこに回収され見えにくくなる。我が国の年間の離婚件数は3組に1組で20万組強、そのなかでどれだけの「悲劇」が隠されているかはわからないが、DVや児童虐待よりは確実に多いはずだ。
こういきなり一般化してもなかなか想像できないが、DV・虐待等の特殊事例以外の、多くの離婚カップルに見られる「連れ去り別居」に伴う悲劇は、メディアではほぼ報じられていない。
それは、DV・虐待のハードな事例の影響もあるのだが、「離婚過程ではたいていは女性が弱者」という固定観念や、それとほぼ同じだが「離婚に至る原因はほぼ夫側が悪い」といったこれも固定観念が背景にあると思う。
現実は、妻側が泥沼離婚を避けるため一歩引いたのだが、日本の単独親権制度のリジッドな壁に阻まれ、日々涙するというパターンもある。また、妻側の祖父母と結託して元夫を排除し、妻-妻の父母という三角形が子を取り込んでいくパターンも珍しくない。
メディアでは報じられない+「離婚したのは別居された側が悪い」という根拠のない批判から、いわゆる別居親は社会的ポジションを失い、鬱に追い込まれる。
■自死を選んでしまった別居親
また、少数のDV等事例を根拠に発信していくNPOの存在感にそれら別居親は追い込まれている。そうしたNPOは、DV支援をする立場から目立ちにくい事例(DVはないが排斥された別居親)を「ないもの」として処理していく。
DV被害者たちを守るためにそれらNPOは極端な議論に走る。DV被害者を守れ、そして加害者を糾弾せよ。
そうした単純な議論が、多数の「潜在化される別居親」の声を隠していく。
僕はそうした別居親たちへの面談支援を時々行なうが、テレビや新聞という「オールドメディア」ではなかなか報じられない悲劇が面談中には溢れている。
別居親たちは涙している。それを具体的に書くとかなりの個人情報に触れるため表現が難しいのだが、とにかく泣いている。
そのことを、僕は知ってほしいと思う。
極端な事例では、送ったプレゼント(多くは誕生日プレゼント)を、義理の祖父母が子の目の前で破壊したり捨てる場合がある。
そこまでいかずとも、別居親から届けられたプレゼントを、問答無用で送り返すことはよくある行為だ。
こうした行為の積み重ねに衝撃を受け、自死を選んでしまったであろう別居親も少なからず存在するだろうが、メディアでは伝えられない。
■思い切って子にプレゼント(アナユキグッズとか)を送ってみたけれども、送り返されてしまった
こうなると、DVや虐待といった「派手な」事例にのみ着目するNPOは、それら派手な事例に引っ張られてしまう罪作りな存在なのかもしれない。
DVや虐待は当然防止する必要があり、そのためのそれらNPOの存在なのだろう。
けれども、それらの影に隠れて日々泣いている別居親たちが存在する。
自分は、DVも虐待も関係ない。けれども、離婚の理由にそれらを相手方に持ってこられ、真偽を確定されないうちに子を連れ去られてしまった。
そして、想像もしていなかった長期間、我が子と会うことができない。
この事態は何なのだろうか。
思い切って子にプレゼント(アナユキグッズとか)を送ってみたけれども、送り返されてしまった。
最悪の場合は、目の前で捨てられることもある。「紙」のプレゼントであれば、別居親の目の前で(そして子の目の前で)そのプレゼントは破棄あるいは破り捨てられる。
そんな権利は誰にある?
「連れ去ったもの」がその権利を持つのだろうか?

離婚後共同親権の導入検討=福岡大教授・小川富之氏

出典:令和2年2月11日 毎日新聞

離婚後共同親権の導入検討=福岡大教授・小川富之氏

 法務省が離婚後の子育てに関する法制度を検討する研究会を設置した。論点の一つが親権=1=制度だ。日本は父母が離婚した場合、一方が親権を持つ「単独親権」制度だが、離婚後共同親権の導入に向けた国会議員の活動が活発化し、肯定的な報道も相次いでいる。問題はないのか。欧米の家族法制に詳しい福岡大・小川富之教授(家族法)に聞いた。【聞き手・中川聡子】
※以下、紙面参照

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大きく後れを取る日本の養育費制度、海外では給与から天引き徴収も

出典:令和2年2月9日 マネーポストWEB

大きく後れを取る日本の養育費制度、海外では給与から天引き徴収も

「こんなひどい国は先進国で日本だけ」――これは、養育費の未払い問題に関する兵庫県明石市の泉房穂市長の発言だ。日本では母子家庭で養育費を受け取っている割合は24.3%に過ぎない現実がある(厚生労働省『平成28年度全国ひとり親世帯等調査』より)。
 だが、16年ぶりに最高裁判所が養育費算定表を改定、新算定表では増額傾向となり、また、自治体が回収代行や公文書作成費用補償などの支援開始を準備始めた例もある。明石市もそうだ。はたして日本は「ひどい」のか。確かにOECD(経済協力開発機構)の調べによると、日本のひとり親世帯の相対性貧困率は54.6%と、先進国の中では群を抜いて高い。
 アメリカイギリスオーストラリアでは養育費を給与から天引きして強制的に徴収するほか、フランススウェーデンでは国が立て替えている。韓国では、受取率が17%くらいしかなかったのが、2015年3月からアジア初の養育費確保の支援機関ができて、養育費回収率が33%程度にまで上がった。
 滞納した場合は、不払い者の運転免許の停止やパスポートの停止など、厳しいペナルティーが待っている。なかでもアメリカでは不払いの親がピザを注文した場合、宅配されたピザの箱に顔写真付きで「養育費を払いなさい」と書かれた紙が貼られることもあり、韓国では「バッドファーザーズ」として、不払いの親の身元をネット公開することが“公益のため”とされているほど。

「養育費も面会交流も子供の権利だという意識が徹底されています。義務教育と同じ扱いで、国は無償で保障しなければならない。だからそこに税金を使ってもいいという国民の同意があるんです。面会交流施設も身近にあって、元夫婦が顔を合わせなくても安全に面会できます。
 日本は、まだまだ離婚は当事者が悪い、という個人責任論が多い。養育費を支払うのは親の義務という教育と、それをサポートする国の体制づくりが必要だと思います」(離婚問題に詳しい榊原富士子弁護士)
 ただ、諸外国と比較すると、離婚後も父母両方が子供に対する親権を持つ「共同親権」が導入されている点が、「単独親権」をとる日本とは大きく異なる。2019年11月22日には、親権を失った親が子供との交流を絶たれるのは違憲だとし、別居親らが東京地裁に集団訴訟を行った。
 子の養育に必要なことは何か──少しずつではあるが、潮目は変わり始めている。
※女性セブン2020年2月13日号

子の連れ去り規制、「国は未整備」 当事者ら集団提訴へ

出典:令和2年2月9日 朝日新聞

子の連れ去り規制、「国は未整備」 当事者ら集団提訴へ

 国は子の連れ去りを規制する法を整備せず、立法義務を怠っている――。配偶者らに子を連れ去られたと訴える男女14人が近く、国に国家賠償を求める集団訴訟を東京地裁に起こす。国境を越えた連れ去りについて定めたハーグ条約に加盟しているのに、国内の連れ去りを「放置」しているのは違憲・違法だとし、国の責任を問うという。

 ハーグ条約の定めでは、片方の親が一方的に16歳未満の子を国外に連れ去った場合、残された親の求めに応じ、原則として元の居住国へ引き渡す。ただ、国内の連れ去りについては条約の対象ではない。
 原告は配偶者との間に未成年の子がいる日本籍や外国籍の14人。配偶者に子を連れ去られ、親権や監護権が侵害されていると主張。国内での一方的な連れ去りを禁止する法規定がなく、「子を産み育てる幸福追求権を保障した憲法13条に違反し、連れ去られた子の人権も侵害している」として、原告1人あたり11万円の支払いを求める。
※以下、紙面を参照ください。
20200209朝日新聞

円満離婚へADR助成 港区「子どもの健全な成長のため」

出典:令和2年2月1日 東京新聞

円満離婚へADR助成 港区「子どもの健全な成長のため」 [#v323e3ed]

 港区は三十一日、親の離婚によって子どもの生活が不安定にならないよう、離婚前後の弁護士への相談費用や、裁判でなく第三者が関与して話し合いで解決する「裁判外紛争解決手続き(ADR)」を利用する際の費用の一部を助成する。
 区によると、区内の離婚率は2・32%と二十三区では中央区に次いで二位。区に寄せられる家庭相談でも「約束した養育費を払ってくれない」などといった相談が目立つという。
 離婚に際して夫婦が取り決めをする子どもの親権や養育費、面会などについて弁護士や、都内四カ所ある民間のADRを利用する際に費用の一部を補助。そのほか民間の保証会社を利用して養育費の保証契約を結ぶ際にも補助する。区役所で行う弁護士への相談は無料、ADRは初期費用と一回目までの相談費用の一部を助成する。
 子どもの心理面での負担を最小限にするためにも、別居した親との定期的な面会も支援する。民間の支援機関が面会交流を支えており、初回相談料と十二回分の費用を支援する。
 区の担当者は「子どもの健全な成長のため、ひとり親支援ネットワークを構築し情報提供したい」と話した。 (市川千晴)

東京都港区、離婚トラブルのADR費用を助成 20年度

出典:令和2年1月31日 日本経済新聞

東京都港区、離婚トラブルのADR費用を助成 20年度

東京都港区は31日、養育費不払いなどの離婚トラブルの解決を支援する事業を2020年度に始めると発表した。裁判外紛争解決手続き(ADR)の費用を一部助成するほか、中学生以下の子どもと別居する親との面会も手助けする。養育費の不払いなどが原因でひとり親世帯が経済困窮するのを防ぐとともに、子どもへの心理・経済的な負担をやわらげる。
ADRは裁判ではなく第三者を交えての話し合いで問題を解決する仕組み。申し立てと1回目の相談の費用を5万円まで助成する。同区によるとADRの費用助成は全国で初めてだ。
離婚の際には養育費の支払いや子どもとの面会などについて、夫婦間できちんと取り決めがされないまま別れるケースがある。ADRを通じて解決を促す。
ADRを使わず、養育費の不払い分の立て替えと離婚相手から回収する契約を保証会社と結ぶ場合にも、5万円を上限に助成する。
また、離婚後に別居している子どもとの面会のルールを決めている親を対象に、面会のコーディネートをする。親同士で取り決めをしていても何らかの事情で会えない場合があり、円滑な面会を支援する。
離婚を考えている人が弁護士に相談できる体制もつくる。同区は離婚に関する支援事業に20年度予算案で367万円を計上した。

「離婚国家」の親権は?

出典:令和2年1月26日 Yahoo!ニュース

「離婚国家」の親権は?

田中俊英 一般社団法人officeドーナツトーク代表

■変な国
日本はやはり変な国で、その変な国をリードする霞が関も変な行政組織だ。
それは、ここ数日報道されている「養育費を行政予算で」という政治家や民間からの要望に前向きな法務省の姿を見てもわかる(離婚後の養育費不払い 国が立て替える制度導入を要望)。
当欄でも度々触れているように、養育費等の離婚後の補償問題を考える時、その「離婚」のかたちがポイントになる。
日本はそのかたちが「単独親権」であり、離婚後はどちらかの親に親権が偏ってしまう。
この単独親権国家は世界でも珍しく、「北朝鮮と日本だけ」はオーバーにしろ、G20のなかでの単独親権国家は、日本・インド・サウジアラビア・トルコ程度なのだそうだ(法務省も研究会立ち上げへ!離婚後の親権制度、日本ではどうあるべき?単独親権派と共同親権派が討論)。
養育費を考える時、離婚後の親のあり方をまずは考え尽くす、という態度が僕には当たり前のように思える。
夫婦は、その夫婦なりの理由があるとはいえ、とにかく離婚することになった。そうなった時、日本は「単独親権」に移行し、親権を奪われた親(父親が大半)は親としてのすべての権利を剥奪される。
この離婚に至るエピソードに、不倫やDV、児童虐待も含まれるため、我が国ではなんとなく「離婚したのなら親権がなくなってもしかたないだろう」という風潮が蔓延している。そうした風潮をもとに、離婚後単独親権のシステムは我が国にでは明治以来変わらない。
■『離婚国家」
離婚した方ならわかるだろうが(ちなみに僕もバツイチ)、その原因はなかなか一つに絞り込むことは難しい。法律情報サイトの調査によると、心理的暴力(ことばの暴力)も含んだ暴力に関する離婚原因は半数近くに及ぶ(妻からの離婚理由離婚原因ランキングと裁判で認められやすい離婚原因)。
けれどもこの調査は重複原因も認めているので、やはり離婚原因をひとつに絞り込むのは難しい。日本はすでに 3組のうち1組が離婚する「離婚国家」になっており、それが30%にまで登ってしまうと、もはや「結婚とはそもそも破綻するもの」といってよく、その原因に関して細かく分析しても仕方ないのかもしれない。
とにかく、結婚すると、その1/3は別れる。その原因はさまざまにしろ、別れる。中には激しいDVや虐待も含まれるが、それは福祉+警察案件だ。そのなかには事件化してしまう場合もあるだろうが、年間20万件の離婚数と比較すると少数案件だと思われる。
その場合は、他の事件と同じように警察案件化するしかない。親権云々を語るのとは別のレベルで、逮捕・送検・裁判というコースを辿るしかない。こうした特殊事例を元にして、「親権」問題(単独親権か共同親権か)を語るのは、議論のレベルが異なる(ちなみに僕は虐待犯罪も熟考している→ことばの苦しさ〜児童虐待死が迫ってくる)。
■カントと「親権」
だから、まずは「親権」問題が先にある。単独親権派は、上に書いた警察案件をまずは心配している。DVや虐待の支援を行なうNPOや弁護士からすると当たり前かもしれない。
けれどもそれは、親権という「基礎的レベル」を議論する場所とは別の次元にある。暴力と警察案件は、親権という基礎的レベルと同じレベルで語ることはできない。
親権という「基礎」「土台」は、まずはそれ自体で語り考え結論づける必要がある。それは、その土台の「上」で生じるであろうさまざまな出来事に影響されてはいけない。
それはまるで、カントが『純粋理性批判』や『実践理性批判』で基礎づけした理性や道徳と同じだ。時間と空間や絶対道徳は、すべての問題の「先」にある。すべてのものを基礎付けるものとしてそれらは存在している。家族関係・問題における「親権」とは、カントの時空や道徳と同じ位置にある。
だから、「養育費」は、そうした基礎的問題を位置づけたあとに現れる事柄なのだ。家族や親権問題でいうと、親権を「共同親権」か「単独親権」か、その土台と基礎を位置づけたあとにやっと現れる問題である。
この「順番」が、弁護士やNPOたちにはわからない。目先の訴えに気軽に飛びつく。その訴えをしている人々も看過はできないが、その訴えの影に隠れた何十倍もの「(離婚)当事者たち」をスルーする。離婚し、親権を奪われ、現在話題の「子どもの連れ去り(誘拐)」の被害に遭い、日々泣いている別居親たちがそこにいる。
別居親たちの「涙」を救済するには、養育費の問題の前に、「親権」をどう位置づけるか、という重要問題がある。まずは、他のG20なみに共同親権にする時がいまやってきている。

子どもを訪ねて有罪に…在日豪州人サッカー記者が逮捕。問われるべき日本の重大な人権問題

出典:令和2年1月26日 Yahoo!ニュース(フットボールチャンネル)

子どもを訪ねて有罪に…在日豪州人サッカー記者が逮捕。問われるべき日本の重大な人権問題

 日本を拠点に活動するオーストラリア人のフットボールジャーナリスト、スコット・マッキンタイア氏のことを知る者は少ないだろう。彼は自分の子どもに会おうとした行動を咎められ逮捕されたうえ、45日間の勾留の末、先ごろ裁判で有罪判決を下された。なぜそのような事態に至ったのだろうか。キーワードは「片親誘拐」。スポーツ界にとどまらず、スコットが身を以て問いかけるのは日本社会が黙認、そして放置してきた重大な人権問題だ。(取材・文:植松久隆【オーストラリア】)

スコット・マッキンタイア氏のツイッターでの最後の投稿は昨年11月24日のものだ【写真:Twitter(@mcintinhos)】

●「片親誘拐」と書かれたTシャツを着て

 1月16日、某英字紙のウェブニュースに上がった一枚の写真に心を揺さぶられた。

「こんな彼の姿を見ても、何も行動しないままでいいのか…」

 そんな自問が浮かび、消えなかった。

 当稿でこれから語る事件の発生を知ってから約1ヶ月、ようやく今「自分のやれることで彼の力になろう」と意を決して、この原稿の筆を起こすことができた。

 その写真に写った男は、誰の目にも明らかなくらいに憔悴している。いくら暖冬とは言えども、真冬の日本には似つかわしくないカーキ色のロングTシャツ。その胸には「片親誘拐」と手書きで書かれている。その表情には、ただやつれているだけではない、内に秘めた闘志と諦めない強い意志が強い眼光と併せて、しっかりと見て取れる。

 ところで、この記事をここまで読み進めた読者のどれだけが、この写真の人物にどんな災禍が降り掛かったかを知っているのだろうか……その答えは、残念ながら極々わずかに留まる。

 というのも、この写真の人物に関わる記事が、日本の日本語メディアで活字になるのは、おそらく、今読み進めているこの記事が初めてで、日本のメインストリームのメディアは一切関心を示さずスルーしているからだ。

 男の名は、スコット・マッキンタイア。46歳のオーストラリア人で、フリーランスのジャーナリストを生業としている。その専門はフットボールで、本国や英字メディア業界ではアジアのフットボール通としてとみに知られた存在だ。

 母国・豪州の準国営放送『SBS』勤務時には、同国で長く愛されるフットボール情報番組『ザ・ワールド・ゲーム』に出演していたので、それで彼を知る豪州滞在経験者も多少はいるだろうか。ちなみに、筆者と彼は、かつて同じ豪州をベースにしていた同業者として良く知る仲だ。

●突然の逮捕。そして45日間におよんだ勾留

 そんなスコットにまつわる予期せぬニュースが飛び込んできたのは、昨年12月19日。英字紙『ガーディアン』の日本特派員ジャスティン・マッカーリーによる記事だった。そこには、スコットが2015年から活動のベースとしていた東京で11月28日に逮捕され、およそ3週間が経ってもまだ勾留されているという衝撃の事実が綴ってあった。

 その罪状は「住居侵入罪」、いわゆる不法侵入。昨年5月、日本人の妻が突然どこかへと連れ去って以来、行方が分からない2人の子どもたちの所在を確認するために、都内に住む義理の両親のマンションの共用スペースに入ったことを咎められたものだ。

 本来であれば、逮捕すらしないような状況で通報を受けた警察が具体的に動いたのは、不可解なことに実際のマンション“訪問”から、およそ1ヶ月後。スコットは、突然自宅にやってきた警察に逮捕拘引された。

 この経緯を踏まえても、この逮捕には作為的なものを感じずにはいられない。仮に、同じ状況が日本人男性によって引き起こされたとして、その日本人男性は1ヶ月後に突然、拘引されたりするだろうか。さらには、後述するような長きに渡る勾留を強いられるだろうか。

 筆者は、スコットの今回の事件がどうしても他人事には思えなかった。それはニュースになった当の本人をよく知っているからという“同情心”だけでは決してない。筆者とスコットには、共通点が多くある。まずは、同い年。そして、共に日豪ハーフの2人の子どもの父親で、フットボールを愛し、上述したようにフットボールをメインに執筆する書き手としての同業のよしみもある。

 スコットに起きたことは、立場を変えれば筆者にだって起こりうる。関係がうまくいかなくなった国際結婚のカップル間で大きな問題になる、いわゆる「片親による子どもの連れ去り」は、どの国際結婚カップルにとっても決して「対岸の火事」たり得ない。筆者の知る範囲でも、離婚・別居後の子どもの養育をめぐって鋭く対立する破綻した国際結婚カップル、そこからエスカレートしての連れ去りというケースは決して少なくない。

●国際社会から非難を浴びる日本のロジック

 国際結婚カップルの破綻後の子どもの庇護養育に関する問題は、過去最高ともいわれる日豪関係で捕鯨問題と共に数少ない対立項として存在する。日豪両国の子どもの連れ去りに関しての法的な解釈の違いをここで詳述する必要はないが、現実問題として、日本はハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)締結国ながら、日本人の親(そのほとんどが母親が日本人というケース)による「連れ去り」が後を絶たないという現実を直視しなければならない。

 そういった日本人の親の国内での連れ去りが犯罪とならないのには、からくりがある。日本でも「国内で子である未成年者を略取、誘拐」すれば犯罪(刑法224条)なのだが、「母親が子を連れて実家に帰る、どこかへ逃げる」といったケースが犯罪にならないのは、普通はその行為が暴力を用いて連れ去る「略取」にも、嘘や甘言を用いて連れ去る「誘拐」にも該当しないからというロジックがある。

 それがゆえに、日本はハーグ条約の締結国でありながら、実際的には条約の不履行が横行しているとの批判を、連れ去られた側の親の出身国を中心とした各国から浴び続けている。そして今回のスコットのケースも、まさにその最新事例の1つということになる。

 今回のケースで、スコットの妻子は突然、姿を消した。夫婦間での婚姻関係のあり方に関わる話し合いは始まっていたとは言えど、彼の立場からすれば、突然の失踪だけに妻が子どもを「誘拐」したという認識になる。

 これに関しては、妻側の主張が聞こえてこないのでバランスを欠くと言われる可能性はある。ただ、姿を消してからは、妻の携帯電話、メールなどの連絡先はすべて変えられ、妻からの連絡もすべて代理人である弁護士を通じてに限られるところに、妻の意志が透けて見える。

●日本は真の意味で「近代的国家」なのか?

 2015年に日本に居を移してからのスコットは、本業以上に2人の子どもの養育に力を入れていたと共通の知人づてに聞いていた。そんな彼が子どもを心から愛していることに疑いの余地はない。それでも、1月15日の公判では、「禁錮6ヶ月、執行猶予3年」の執行猶予付きの有罪判決が下された。連れ去られた我が子の行方を知りたかっただけのスコットは「犯罪者」になってしまった。

 執行猶予がついてようやく自由の身になれたものの、実に45日間にも渡った勾留期間でスコットが心身ともに受けた大きなダメージは測り知れない。まずは、その回復こそが先決だ。しかも、彼は勾留期間中に家族で住んでいた住居の退去を余儀なくされて、住むところもなく、今は、支援者である友人の家で居候の身。収入の道も断たれ、今後の子どもたちを取り戻すための活動の資金も友人たちが立ち上げたファンド・レイジングや豪州の家族頼みとならざるを得ない。その前途は決して楽観できるものではない。

 それでも、スコットは諦めない。そのシャツの胸に書かれていた「片親誘拐」の文字に彼の不退転の決意が透けて見える。8ヶ月以上会うことも許されない子どもたちの居場所を突き止めて、何とか自分の元に取り戻すという強い気持ち。そして、自分だけではなく同じ苦しみを持つ多くの人々のために決して諦めないという強い意志、さらには、どこかでその写真を見るであろう妻への牽制の意味も込められているのかも知れない。

 近しい友人で、豪州から支援を続ける同じフットボール・ジャーナリストのポール・ウィリアムスは、スコットのこれからの動きの展望を以下のように語ってくれた。

「今回の問題は、もうスコット個人の問題というレベルでは収まらない。というのも、世界では何千人もの親たちが同じような状況下に置かれていて、そのこと自体がとても心を裂かれるようなことなのに、近代的国家であるはずの日本では、そういう事実がまったく反映されていない。(中略)スコットは、まずは自分の生活を取り戻しつつ、引き続き子どもたちを取り戻すために闘い続けると同時に、多くの親たちがその子どもと再び一緒になれるように働きかけていくだろう。そして、私や彼の世界中の友人の全ては彼のその闘いを心からサポートしていくことになる」

●「時間的空白」を埋め、幸せを取り戻すために

 今回、この記事を書くにあたって、スコット本人にメールで報告するとすぐに丁寧な返事が戻ってきた。

 私信ではあるが、一部をここで公開しよう。

「タカ、温かいメッセージをありがとう。日本語で、どんなものでも書いてもらいたい。というのも、多くの一般の日本人はこの問題(筆者注:片親による子どもの連れ去り)についてまったく知らないし、それを知ったときにはショックを受けるはず。だから、日本に(この件に関しての)どんな関心でも惹き起こすことは、僕らの子どもたちすべてにとって歓迎すべきことなんだ。(中略)まずは、住むところを見つけて、しっかりと落ち着かなきゃだけど、なんとかすぐにそれらの心配が片付くように願っている。そうしたら、またゆっくり話そう」

 この原稿を書いている間に、スコットのツイッター・アカウント(@mcintinhos)を久々に覗いてみた。これまでは日本をはじめとしたアジアのフットボールネタが頻繁に更新されていたアカウントの最後の更新は、2019年11月24日。彼の突然の逮捕のわずか4日前だ。

 その後、45日間も勾留されていたので、当然ながら、その間のツイッターの更新はない。この時間的空白が彼の苦難が続いていることを示す1つの指標となるのかも知れない。彼が、ツイッターでまた愛するフットボールのことを気楽につぶやけるような日は訪れるのだろうか……。

 スコット自身の名誉回復と、父親としての権利回復への長い闘いは始まったばかりだ。彼は、その闘いの有り様を、フットボールに替わる彼自身のほとばしるジャーナリズムの情熱の対象として、書き記していくことでアピールしていくのだろうか。なるべく近い将来、彼が求めるものを手に入れたその時、誇らしげなツイートがまた投稿されると信じて待つことにしよう。

 Never give up, mate. We football family are always with you.

<追記>
公判で、検察側はスコット・マッキンタイアの家庭内暴力を主張。なお、マッキンタイア氏は、公判後の日本外国特派員協会での会見で記者の質問に答えるかたちでも、そのことを明確に否定している。

(取材・文:植松久隆【オーストラリア】)

子供訪ね住居侵入で起訴の豪男性、日本で有罪 共同親権訴え

出典:令和2年1月23日 BBC NEWS JAPAN

子供訪ね住居侵入で起訴の豪男性、日本で有罪 共同親権訴え

子供を訪ねて、義理の両親が住むマンション共用部分に侵入したとして、住居侵入罪に問われた日本在住のオーストラリア人男性が15日、東京地裁で懲役6カ月、執行猶予3年の有罪判決を受けた。
豪民放SBSのサッカー・ジャーナリストだったスコット・マッキンタイヤ氏は昨年11月、義理の両親が暮らすマンションの共用スペースに侵入したとして逮捕された。
家族との関係が破綻した5月以降、子供に会っていなかったという。
日本は先進国としては珍しく、父母が婚姻していないと、共同親権が認められない。

「文明社会の一員になってほしい」
マッキンタイヤ氏は、不法侵入について謝罪。10月に日本を襲った台風19号「ハギビス」の後、子供たちが無事だったかを確かめたかったと話した。
妻について、現在11歳と8歳の子供を誘拐し、連絡を取れなくしたと非難している。
一方、マッキンタイヤ氏の元パートナーは、同氏に暴力を振るわれたとしている。同氏はこれを否定している。
同氏は逮捕から裁判まで1カ月以上勾留された。照明がついたままの部屋に閉じ込められ、風呂は不定期にしか入れなかったという。

判決の言い渡しで、東京地裁の多田裕一裁判官は、「この刑は軽いものではない」と述べた。
一方、「侵入場所は共用スペースで、無理やり押し入ったわけでもない。前科もなく、二度と同じことはしないと法廷で誓った」として、情状を酌量した。
判決後、マッキンタイヤ氏は「私や他の親たちは、日本が文明社会の一員となり、共同親権のシステムを導入してほしいと願っている」と語った。
「私は、声を上げられない誘拐された子供たちに代わってここにいる。現代社会はこうあるべきではない。子供には2人の親が必要だ」
(英語記事 Man freed after arrest in Japan child custody row

日本のシステムはクレイジー」海外メディア 我が子の安否確認に行き有罪 豪男性はもう1人のゴーンか?

出典:令和2年1月21日 Yahoo!ニュース

日本のシステムはクレイジー」海外メディア 我が子の安否確認に行き有罪 豪男性はもう1人のゴーンか?

飯塚真紀子(在米ジャーナリスト)

 日本の司法制度の問題が世界に露呈されてしまったカルロス・ゴーン氏の逃亡劇。
 ゴーン氏は会見で、日本の司法制度を痛烈に批判し、自分は日本の司法制度の犠牲者だと主張したが、同様の思いを抱いているのは同氏だけではないようだ。
 オーストラリアのSBSネットワークの元スポーツ・ジャーナリスト、スコット・マッキンタイヤ氏もまた、日本の司法制度の問題を訴え、同氏の声は米紙ニューヨーク・タイムズや英BBCニュースなど欧米のメディアで報じられた。

我が子の無事を確認に行ったら、不法侵入に
 マッキンタイヤ氏は、昨年10月末、大型の台風19号が東京を襲った後、妻に連れ去られたという子供たち(11歳の娘と7歳の息子)の無事を確認に、子供たちが住むアパートの共有エリアに入った。しかし、それから約1ヶ月経った昨年11月28日、不法侵入の容疑で逮捕され、44日間拘留されてしまったのだ。
 1月10日、マッキンタイヤ氏は保釈金を払って釈放された。1月15日に東京地裁で行われた裁判で、検察側は同氏が娘に暴力をふるったと主張したが、同氏はそれを否定。結局、同氏には懲役6ヶ月、執行猶予3年の有罪判決が言い渡された。
 裁判所から出てきた同氏は、共同親権制度がない日本の問題を強く訴えた。
「子供たちにはもう250日間会えていない。何の説明もなく、妻に“誘拐”された。家庭裁判所は親による子供の連れ去りを調査しようとしない。僕の場合、警察に何度も行き、調査するように頼んだが、警察は何もしなかった。日本の親権法は子供の“誘拐”を助長している。連れ去られたのは日本に共同親権制度がないからだ。共同親権は基本的人権だ。僕は、子供が連れ去られたフランスやイタリア、ドイツアメリカ、カナダ、アジア、アフリカなどの国々の親たちのために立ち上がっている。何より、日本の親たちのために立ち上がっている。日本は文明社会の一員となって、共同親権制度を導入してほしい」
 なぜ、同氏が不法侵入から1ヶ月以上も経ってから逮捕され、長期間拘留されたのかは不明だ。また、最初に同氏が保釈金による釈放を求めた時は、証拠隠滅や国外逃亡の恐れがあるという理由で、釈放が認められなかったという。
 この事件について、米紙ワシントン・ポストは「日本、子供たちに会おうとしたオーストラリア人を有罪に」というタイトルで、US News and World Reportは「オーストラリア人男性、日本で、子供を探すために侵入、逮捕された後、釈放される」というタイトルで、日本の司法制度や共同親権制度がない問題を報じている。
 マッキンタイヤ氏は昨年5月まで妻や子供たちと一緒に暮らしていた。しかし、妻が両親と一緒に住みたいという理由で子供たちを連れ去り、それ以来、妻とコンタクトが取れず、子供たちに会うことができない状況だ。警察や妻の弁護士(同氏と妻は離婚調停中だった)に子供たちの無事を教えてほしいとリクエストしたが、拒否されてしまったという。
 同氏は拘留中の体験をこう語っている。
「24時間、灯りがつけられた。弁護士が同席することなく、尋問された」
 これは、ゴーン氏が記者会見でした主張と重なる。

日本の司法制度はクレイジー
 このマッキンタイヤ氏の逮捕・拘留について、オーストラリアのABCニュースは「日本の司法制度はクレイジーだ」と非難する同氏の両親のコメントを伝えた。
「第一、アパートに入っただけで拘留されるなんて信じられません。オーストラリアなら、これは軽犯罪で、100ドル払えば釈放されます。日本では、事情を説明する機会さえ与えられず、何ヶ月も拘留されます。クレイジーなシステムです」
 また、同ニュースは「先進国とは違い、日本には共同親権制度(離婚後も父母の両方が親権を持つ権利)がなく、裁判所が命じた面会権(離婚した親が、他方の親の元にいる子どもに会う権利)はしばしば無視され、それにより処罰を受けることもない」と司法制度における日本の後進国ぶりを批判している。

安倍首相に問題提起
 片方の親が、もう片方の親の同意なく、子供を連れ去った場合、国際的にそれは“誘拐”あるいは“拉致”と見なされる。日本にはそのようなケースが多数あり、子供を連れ去られた親の方は子供に会えない状況となる。昨年11月には、子どもの養育に関われなくなった親たちが、単独親権制度は違憲であるとして、国家賠償訴訟も起こした。
「日本には親権を擁護しようという意思がなく、このことは国際的に批判されています。日本の法律は非常に旧態然としている。アメリカドイツなど他の国々もかつては片方の親が親権を持つ単独親権制度を採用していましたが、30年前に法律を変えたのです。日本は遅れを取らないようにする必要がある」
と共同親権導入に取り組む串田誠一議員は前述のABCニュースで主張している。
 昨年、EU加盟国の大使20名以上が日本政府に文書を送り、子供が親に会う権利を尊重するよう日本側に求めた。フランスのマクロン大統領とイタリアのコンテ首相も、安倍首相にこの問題を提起したという。
 日本の司法制度の後進国ぶりは、ゴーン氏の逃亡劇を機に、マッキンタイヤ氏のように日本で人権無視のような拘留劇や親権問題を目の当たりにした外国人の声も加わって、これからも世界に露呈されて行くかもしれない。

豪男性、日本で45日間勾留執行猶予付きの実刑

出典:令和2年1月17日 NICHIGO PRESS

豪男性、日本で45日間勾留執行猶予付きの実刑

元妻のハーグ条約違反で拉致された子供を捜し

 2015年以来日本に住んでいるジャーナリストのオーストラリア人男性は、別離した妻が子供2人を祖父母のところに連れて行ったまま、二度と帰って来ず、連絡も絶ったため、面会権など父親としての権利を否定された男性は、妻の弁護士、警察などに被害を訴えた。しかし、何の進展もないため、妻の祖父母が住んでいるアパートの共有部分に入り、祖父母のドアをノックし、子供の安否を尋ねた。その後、1か月してから、「家宅不法侵入罪」で逮捕され、45日間勾留の上、弁護士の付き添いなしで取り調べを受けるなどした。日本人妻が子供を連れて日本に逃げ帰る事件は頻発しており、日本国内では連れ帰った女性側に有利な法的慣習があることとオーストラリアでは既に過去のものになったような日本の司法制度が再び先進諸国の関心を集めている。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。

 この男性、スコット・マッキンタイア氏は、結局、裁判で禁固6か月、執行猶予3年の判決を受けた。国際結婚が破綻し、片親が子供を連れて出身国に帰ってしまう事例が大きな問題になっている。そのために、1980年に「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」通称ハーグ条約が採択され、1983年に発効している。また、日本は長年抵抗していたが2013年に国会で条約承認、2014年発効に至っている。しかし、日本の条約承認は形ばかりであり、現実には条約違反が横行しているとの批判は以前から根強い。

 マッキンタイア氏は東京に本拠を置くスポーツ・ジャーナリストで、オーストラリアの弁護士や法律問題専門家は、「日本ではドメスティック・バイオレンスが関わっているかどうかと無関係に片親による拉致が司法によって大目に見られており、子供との面会の権利を奪われた側が子供に面会しようとしたり、元の状態に復帰させようとすると逮捕されることになる」と語っている。

 日本の司法制度は、元日産会長のカルロス・ゴーン氏の長期拘留で世界の先進国の注意を惹いたばかりで、日本の司法制度が再びネガティブな注目を浴びることになった。
■ソース
Australian father Scott McIntyre freed in Japan after arrest for seeking kids

国際結婚の破綻、国内で紛争に 豪男性、子に会おうと妻の実家に侵入

出典:令和2年1月11日 朝日新聞

国際結婚の破綻、国内で紛争に 豪男性、子に会おうと妻の実家に侵入

 国際結婚の破綻(はたん)が増える中、日本国内で、外国人と日本人の夫婦の子どもをめぐるトラブルが起きている。欧米と日本では家族をめぐる法制度や考え方の違いが大きいからだ。刑事事件に発展するケースもあり、海外メディアも注目し始めている。

 10日、別居した子ども2人に会おうとして、住居侵入の罪に問われたオーストラリア人のスポーツジャーナリストの男性(45)の初公判が東京地裁であった。
 男性は2007年にオーストラリアで日本人女性と結婚。15年に来日して日本で暮らし始めたが、昨年5月、妻が子ども2人を連れて別居し、居場所がわからなくなった。離婚は成立していない。
 同10月、子どもの安否を尋ねようと妻の両親が住む都内のマンションを訪問。オートロックを解錠した住民の後に続いて共用部分に入ったとして逮捕された。
 男性はこの日の法廷で、妻の実家を訪ねた理由について「大きな台風があったので、子どもたちが無事かどうか知りたかった」と語り、「子どもの連れ去りは誘拐だ」とも主張した。だが、検察側は長女に対し男性のDVがあったと主張。懲役6カ月を求刑した。
 離婚後も両親が共同で親権を持つことが主流の欧米では、片方の親が無断で子どもを連れて別居すると誘拐罪に問われることもある。さらに、日本も13年にハーグ条約=キーワード=を批准。国境を越えて子どもを連れ去られた場合は連れ戻せる仕組みができたのに、双方が日本国内にいると適用されないため、日本にいる外国人が不満をより強く感じる原因になっている。
 事件についてオーストラリアでは「日本は共同監護権を認めない世界でも数少ない先進国の一つ」などと報じられ、英仏の主要紙でも取り上げられている。
 奈良大の床谷文雄教授(家族法)は「結婚が国際化する中、今後、日本の法制度と条約をどう調和させていくのか議論が必要だ」と話す。(杉原里美)

 ◆キーワード
 <ハーグ条約> 一方の親が無断で16歳未満の子を国外に連れ去った場合、残された親の求めに応じて、原則として元の居住国へ返還することや、親子の面会交流を支援することなどを定めている。日本を含む101カ国が締約している。外国人が当事者でも、日本国内の紛争には適用されない。

世界から『日本は拉致国家』と非難を浴びている、国際的な子の連れ去り問題について

出典:令和2年1月6日 Yahoo!ニュース

世界から『日本は拉致国家』と非難を浴びている、国際的な子の連れ去り問題について

みなさんは日本人による国際的な子の連れ去りが、日本と諸外国の間で国際問題となっていることをご存知でしょうか。
1970年には年間5,000件程度だった日本人と外国人の国際結婚は、1980年代の後半から急増し、2005年には年間4万件を超えました。これに伴い国際離婚も増加し、結婚生活が破綻した際、一方の親がもう一方の親の同意を得ることなく、子を自分の母国へ連れ出し、もう一方の親に面会させないといった「子の連れ去り」が問題視されているのです。
つい先日、イタリア政府などは一方の親が日本人である場合、日本へ行くと子どもが誘拐されるかもしれないと、渡航に関する注意喚起をしました。イタリアなどでは一方の親による子どもの連れ去りは犯罪行為ですが、日本国内では容認されてしまっていることが原因のようです。

日本における国際的な子の連れ去り
日本における国際的な子の連れ去り(以下、拉致とも)とは、もともとの居住地から日本への違法な拉致を指すものであり、ほとんどの場合は元居住国裁判所が発行した面会交流または共同親権命令に反し、子を日本に連れて行くことです。
例外的な状況を除いて、児童拉致の影響は一般的に子の福祉への有害性が指摘されているにもかかわらず拉致は行われ、被害親とその親族の生活にも壊滅的な影響を与えているのです。
もともと日本の家庭裁判所は民事訴訟における強制的執行を好まない傾向にあり、両親による和解を強く推奨して面会交流や育児支援にはほとんど介入してきませんでした。そして、外国人親が自力救済として日本に連れてこられた子を取り戻そうとすると、本来、日本にいる事が「拉致拘禁状況」に該当しているにもかかわらず、日本の警察によって逮捕され、刑事訴追される可能性があります。
また、外国の父親が子どもを自国に連れ帰ろうとすれば、「所在国外移送目的略取及び誘拐」(刑法第226条第1項)も追加され、2年以上の懲役刑が科される可能性すらあるのです。刑法第226条は元来、中国等へ未成年者が性的奴隷として誘拐される事を防止するための特別法でしたが、現在は外国人親による子の連れ戻しを防止するための有力な手段として使用されています。

ハーグ条約」へ加盟した日本に集まる国際社会の非難
離婚などに伴う国境を越えた子どもの連れ去りを防止する「ハーグ条約」に日本は加盟していますが、条約の履行が不十分として国際社会から非難を集めています。
ハーグ条約では拉致された子どもたちは、拉致前に「本来居住していた家」に戻されることになっています。子どもの拉致を重罪と規定している国に対しては、監護親を拉致犯として通知することができ、拉致親は他国滞在中に逮捕される可能性もあります。条約は、当事国の家庭裁判所の判決を他の国が認めることを必要とせず、署名国が拉致された児童の所在を知覚した場合には、速やかに本来の居住地に戻すことを要求しています。
もともと日本の家族法はハーグ条約の各条項と整合性がなく、日本が署名するためには法律の抜本的な改正や新法導入が必要でした。日本の民法は、両親間の合意によって決定されない場合、子の最善の利益に基づいて問題を解決することが強調されていますが、家庭裁判所の判決に強い強制力はなく、遵守するかどうかは本質的に両親の自主性に任されていて、両親の合意がなければ判決を下すことも極めて困難なようです。

日本を拉致国家と呼ばせないためには
最大の障害となっているのは子どもの親権に対する法制度の変更です。日本の法曹関係者の多くは離婚後共同親権・共同監護の重要性を認識してきませんでした。日本はハーグ条約に先立ち「子どもの権利条約」に署名しており、同条約第9条に定められている通り、日本は非親権者の面会交流を子どもの権利として認めなければなりません。しかし、日本国最高裁判所は、非親権者は子どもと会う権利はなく、国家による面会交流の強制は、親や子どもの権利ではないと裁定しています。この裁定により、事実上、親権者の協力なしには、面会交流は不可能となっているのです。
フランスアメリカなどの一部の国では、子どもがいる夫婦の離婚の場合、両親の共同養育が法律で定められていますが、日本の法律ではこのような取り決めはありません。離婚後の子どもの親権を両親それぞれが維持するという考え方は、日本人の文化や歴史にはないため、日本法にそのような思想はほぼ皆無なのです。日本では結婚が合法的に解消されると、一方の親にのみ親権が与えられ、分離された「非監護親」は肉親であるにもかかわらず子どもから完全に分離されます。
ハーグ条約批准国82か国の間でも、親権に関する取扱は国によって異なります。日本においては、戦後高度成長期に母親が通常単独または主たる監護権を得る形が一般的でしたが、その間に他の先進国では共同養育および共同親権に移行する機運が高まっていきました。日本も世界から拉致国家と呼ばせないために、離婚後共同親権に関する議論を進める時期にきています。
参考文献:外務省HP

明智カイト氏:
『NPO法人 市民アドボカシー連盟』代表理事
定期的な勉強会の開催などを通して市民セクターのロビイングへの参加促進、ロビイストの認知拡大と地位向上、アドボカシーの体系化を目指して活動している。「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」を立ち上げて、「いじめ対策」「自殺対策」などのロビー活動を行ってきた。著書に『誰でもできるロビイング入門 社会を変える技術』(光文社新書)。日本政策学校の講師、NPO法人「ストップいじめ!ナビ」メンバー、ホワイト企業の証しである「ホワイトマーク」を推進している安全衛生優良企業マーク推進機構の顧問などを務めている。

社会の「絶対的断絶」に泣けてくる~NPO代表や離婚弁護士や

出典:令和2年1月5日 BLOGOS

社会の「絶対的断絶」に泣けてくる~NPO代表や離婚弁護士や

■ 小さな我が子とともに微笑む
某有名NPO代表が小さな我が子とともに微笑む写真がある。その写真を中心として、「貧困支援」の意味についてその代表はエッセイを綴る。
自分の子どもは幸いにも、(自分たちという)両親が揃い2人とも働いており(ということはそこそこの収入もあり)住居も確保できている。
それに比べて、現代の貧困世帯の子どもには、これらが揃っていないことも珍しくない。だからこそ、子どもたちを支援しなければいけない。
その代表が言う「支援」の中身は、当欄でも僕が指摘した、袋菓子やレトルト食品だったりする(「ジャンク支援」~貧困層の主食のお菓子を「宅食」する意味)。それらは僕が書いたように、貧困世帯とは親和性がある。そうした袋菓子を子どもたちは日常的に食べ、カップ麺やレトルト食品を日々食べている。
貧困のリアルな食生活とはそんなものだ。
そうした袋菓子やレトルト食品が箱一杯に詰まった「食糧提供支援」を、収入も家もそれなりに揃うその代表の団体が行なう。代表は、赤ちゃんの我が子を抱きしめ、日本の貧困問題について怒り、問題提起する。

■ 当事者たちは、「違う」と明言しないままひっそりとその場を退場する
その代表の行ない自体、なんら悪くない。日本のソーシャルセクターをここ15年引っ張ってきた自負もあるだろうし、それだけの実績ももつ。
けれども、我が子を抱きしめた写真を顔出しで公開し、我が子は満たされているが満たされていない子どもたちがたくさんがおり、自分はそれら満たされていない子どもたちのために支援をしたいと意思表明するその文章や顔写真自体に拒否反応を示す人々がいる。
なんとなく「違うだろ?」と人々は拒否するのだ。そしてその中でも、「当事者」と呼ぶしかない貧困世帯当事者たちは、違うと明言しないままひっそりとその場を退場していく。
またたとえば、「連れ去り離婚」を手助けするいわゆる「離婚弁護士」のなかには、自分の子どもが習い事などに通う写真を意気揚々とSNSに掲げる人がいる。
そんな写真を見て、我が子を連れ去られた「別居親」たちは、複雑な感情を抱く。
Twitterにはこんな叫びが満ち溢れる。
『時々、親子引き離しで有名な弁護士先生が自身の子どもの発表会(ピアノ等)の様子を楽しげにSNSで書いていたりします。悔しくて、悔しくて。涙が出ました。』

この「悔しくて悔しくて」に、僕は打たれる。自分たちは子を連れ去られ、多くても月に2時間程度しか子どもと「面会」できない。その苦難さを打開するために、「共同親権」の確立に向けて動いている。
その一方で、連れ去りのベースにある「単独親権」に乗り、その仕組みの中で弁護し収入を得、子どもとの習い事の写真をSNSに投稿する弁護士がいる。
なんという落差だろう。

■ 自分の体臭が自分では嗅ぎとれないように
話はNPOに戻るが、いまだ「起業」をすすめるNPO代表がいる。自分たちの「夢」を起業することで叶えようというわけだが、現実の起業のほとんどは失敗する。
また、そんな競争の中でもたまたま生き残ったNPOに就職しそのNPO内で出世したいと夢見る学生もいる。
が、NPO内の20代スタッフの年収は概ね低く(社会保険等を合わせた総額でも250万程度)、30代からの昇給カーブも緩いところも珍しくはない。
起業は困難であり、年収も低い。つまりは「やりがい搾取」の代表が現在のNPOなわけだが、起業をすすめる代表たちは決してそうした事実は語らない。あくまでも、「夢」を語る。
これらは一部の例であり、また本当に社会の役に立っている場合もあるだろう。
けれども、何か「断絶」してしまっている。生活保護や困窮層の子どもや若者、子を連れ去られた孤独な別居親が毎日感じているその感覚とは何かが決定的に引き離れズレまくっている。
そのズレは、社会の困った人たちからのニーズに「本気で」答えようとしているそうした偽善的な人々には感じることができない。また、自分たちの振る舞いや考え方から「当事者たち」が逃げていくことの意味もよくわからないのかもしれない。
階級社会や単独親権社会の「勝ち組」サイドからものごとを見て判断して行動するとはそういうことかもしれない。
ここではたまたまTwitterなどで目についた代表や弁護士を例にとったが、こうした勝ち組、マジョリティが無意識的に醸し出すその立ち振る舞いは、勝った者にはわからないのかもしれない。自分の体臭が自分では嗅ぎとれないように。
そこには「絶対的断絶」がある。僕は朝っぱらからTwitterを見てこの断絶を叩きつけられ、不覚にもうっすらと泣いてしまった。

養育費の算定基準改定への疑問、特に養育費を支払う方の女性には地獄となる。家族解体という思想を隠して離婚後のバラ色の生活の誤解による離婚への誘導から、あなたと家族を守らなくてはならないということ。

出典:令和元年12月23日 土井法律事務所ブログ

養育費の算定基準改定への疑問、特に養育費を支払う方の女性には地獄となる。家族解体という思想を隠して離婚後のバラ色の生活の誤解による離婚への誘導から、あなたと家族を守らなくてはならないということ。

最高裁は、令和元年12月23日、
養育費の算定基準を見直した。

多くのケースで養育費が増額されるらしい。

その目的は、新聞報道によると
「最新の家庭の支出動向を反映させた結果、全体的に月額で数万円程度、増額される傾向となった。子どもの貧困対策の必要性が指摘される中、ひとり親家庭を支援する見直しになりそうだ。」
とされている。

ちなみに、離婚前は、婚姻費用(婚費)分担と言い、子どもの費用と相手方の費用も含まれて金額が決まるが離婚後は、相手方の生活に対する費用分担は原則なく文字通り、子どもを養育する費用ということになる。

このような基準を変えることは、常にメリットデメリットがある。今回の養育費等の増額についても、それによってなるほど一方で、シングルマザーの生活が幾分向上するかもしれないが当然のことながら支払者の負担も増額する。

最高裁は、税制の変更などを理由に挙げるがどの税制の変更が、どのように考量されたのかの説明がない。給与所得者などの税制が軽減されたということはないだろう。説明になっていない。

また、スマートフォン使用の低年齢化等子どもの費用が高額になったということが挙げられているが、それは、別居親だけが負担することなのだろうか。それではまるで、携帯電話会社の収益を上げるために支払額を増やそうとしているだけではないかと疑いをもってしまう。

私は様々な理由から中学生までは原則としてスマートフォンは与えるべきではないと考えている。これは別の論点なので詳述はしない。

そして、極めつけなのは最高裁は認めていないと思うが、今回の基準改定が子どもの貧困対策だと報道しているが、そのことについては疑問も大きい。

実務的観点からいくつかの疑問を述べたい。

1 離婚、別居は、必然的に貧困に向かう

人権相談には、離婚後に子どもを抱えた母親から相談が入る。「役所に言われた通り離婚をしたが、生活は楽にならず、とても苦しい
話が違う。
離婚しなければ良かったと役所に問い合わせたら、『離婚はあなたが決めたことです。』と言われて電話を切られてしまった。」ということが典型的な相談である。

確かに見通しが甘く離婚に踏み切ってしまった本人にも落ち度はあるだろう。
しかし、どうやら、「離婚調停を申し立てれば慰謝料はもらえるし、養育費ももらえる。今夫から渡されている生活費で生活するよりよっぽど経済的にも楽な、もちろん精神的にも楽な生活ができるようになる。」という未来を示されて離婚に踏み切った人が多いようなのだ。

何人かの「こんなはずはなかった」ということから逆算して考えると浮かび上がってくるのはそういうことだ。

そしてその支援者たちが間違ったことを言う原因も少しずつ分かってきている。

第1に、個別事情を無視した画一的なマニュアルアドバイスだ。

妻が悩んでいると本当は、自分の精神的な問題、体調の問題なのに、「それはあなたは悪くない。夫のDVだ。」と決めつけてアドバイスがなされることが多すぎる。

言われた通り、保護命令を申し立て、離婚調停を申し立てても、保護命令事由がないとして却下され、離婚理由がないということで離婚が認められなかったり慰謝料が認められないことが多い。妻に嘘をつかれて窮地に追い込まれた夫は妻を許さないし精神的に破たんして就労不能になる場合もある。

理由のない離婚請求なので当然夫は抵抗する。おそらく妻は2,3月で離婚後の明るい生活が始まると思っているようで、調停がそれ以上続くことで、疑問がわき、焦りがでてくる。

暴行などの事実がないので離婚原因を立証できないし、主張もできない。無理に暴力をでっちあげるから嘘がばれる裁判所の心象も悪くなる。

画一的なアドバイスをした支援者は、離婚が成立して、わずかな養育費での生活となっても、責任をとることはない。

第2に、経済的問題で言えば、例えば「夫から月3万円しか生活費が渡されていない。」と聞くとそれは経済的DVだとアドバイスをする支援者が多いようだ。

よくよく話を聞いてみると、光熱費、子どもの学費等の必要経費は夫の通帳から引き落とされており、食料もほとんどが夫の実家から送られてくる。その他の食材や生活に必要な物は週末夫と買い出しに行って夫が支払う。3万円は妻の小遣いみたいなものだった。

そして、夫の収入が手取りで20万円にも満たないで、夫は毎日500円くらいを持たされて昼食を食べているということが明らかになっていく。

見通しが甘いのは妻ではなく妻に対するアドバイスをした者のことが実に多い。

このような経済状態で別居してしまうと夫も妻子も生活が成り立たなくなってしまう。そういうケースが実に多い。

ちなみに、このような見通しの甘い妻は家計簿をつけていない。

こういうケースは少なくない。少ない夫の収入の中からどんなに割合を大きくしても養育費が必要な額に達することはない。

本質的な問題は労働者の低賃金の蔓延化なのである。あるいは離婚後の女性の不平等な低賃金なのである。そのことを離婚のセールスマンたちは絶対に言わない。全てを夫の責任にしようとする。

いずれにしても、少ない収入の中で、別居して経費が二倍になれば当然貧困に向かっていく。

それでも妻を誤解させて離婚に向かわせているのが国や自治体ならば、労働者の低賃金、女性の低賃金の不具合は国や自治体が補填することが筋であろうと思われる。

調停も一回で終了して裁判に進められて離婚させられるわけがわかならないまま離婚となり、子どもにも会えないのに養育費だけを払わなければならないそんな中でメンタルをやられてしまっているそんな夫だけに責任を負わせることは、あまりにも過酷で不合理だ。

離婚は必然的に貧困に向かうのだから、離婚を進めておいて養育費の割合を増やしても解決はしない。

2 一方的な離婚を後押しする婚費の制度

婚費の決め方は税込みの年収額だけの突合せだけで決まる。

住宅ローンがあって夫が支払っていてもそれは月々の金額に考慮されない。妻が使用する自動車のローンを夫が支払っていても妻がその自動車を使用しなくなるのであればやはり考慮はされない。

その他、今後も共同生活を続けるという前提で様々な月払いが行われているのが現実の夫婦だ。しかし、それらは考慮されない。現実の生活が無視されて婚費や養育費は定められる。

そういうことをここで持ち出すには理由がある。子連れ別居から離婚に向かう事案の少なくない割合で新居を建築し、住宅ローンが発生した直後という事情があるからだ。

子連れ別居のケースでよくあるのは、第1に妻の体調からの精神状態、第2に子どもに障害がある場合、第3に住宅ローンである。

新居移転を目前にして、あるいは引っ越しのさなか子連れ別居は起きている。

別居して離婚することが確定なら住宅は手放すことも合理的かもしれない。しかし、突然理由も告げず子どもを連れて家から去り、わけがわからないうちに裁判所に呼び出されて、住宅ローンの支払いなど関係なく月額の支払いが定められるもう離婚しか選択肢がないように思わされる。

現実問題として住宅を手放さなければならなくなる。

子どもたちの生活も待ったなしだが住宅ローンも待ったなしである。

しかし、住宅を手放しても住宅ローンはなくならない。中には、住宅ローンを支払いながら思い出の詰まった家に住み続けるしかない夫たちもいる。住宅ローンと家賃の二重払いこそ無理だからである。極めて精神状態に悪い。

これが婚姻費用分担や養育費の支払いが住宅ローンの存在を無視して行われる結果である。

この住宅ローンの支払いは本当に無視されてよいのだろうか。夫が一方的に住宅の新築をしたというならともかく、多くの事例では妻が新築を希望して無理して住宅ローンを組んで家が建てられているのである。

住宅ローンはマイナス財産として財産分与では考慮されるが、実際には住宅ローンを支払わなければならないから養育費などのねん出が難しいということなのである。

第三者から見ると婚姻費用や養育費の算定方法はこういう事情で無理を強いる場合が多い。

今回の基準の見直しでさらに金額が上がってしまうとさらに無理が大きくなることは間違いない。

婚姻費用の分担は特に住宅ローンがある場合はこのように、今後同居しないということが前提となっているように感じられる。

離婚をするかしないか、やり直すとしたらどうすればよいかやり直さないとしてもどのように子どもの共同養育をしていくかそういうことを話し合うために、離婚は訴訟から行うことができず、
話し合いの手続きである調停から行わなければならないとしている。現行の婚姻費用の決め方は一部その制度と矛盾し、一方が離婚を求めていることを後押しをする制度になっていると感じる。

3 養育費を支払っている女性を無視している。

今回の基準改定で一番影響があるのは養育費を支払っている女性の負担が大きくなるということである。

女性は、婚家から追い出される形で子どもと会えなくなる。私から言わせればそれが普通の人間だと思う範囲のヒステリーだったり、ワガママだったり、要領の悪さだったりということで主として姑から嫌われて追い出されてしまう。

夫から受けた暴力が影響してあるいは出産後のホルモンバランスの変化によってうつ病やパニック障害等になった結果の場合もある。

多くの事例で子どもとの面会を拒否されている。自分が命を懸けて産んだ我が子と会えないという不合理が実際に起きているのである。

まさに女性の権利の侵害である。

それにも関わらず、子どもに会えない母親たちに養育費の支払い義務を課せられる。

子どもに会えない母親たちの多くは非正規労働者であり介護職だったり、事務職だったりの低賃金という事情に加えて、いつ労働契約が終了するかもわからない。今年の源泉徴収票が原則5年後は通用しない社会なのである。それでも養育費の金額は放っておけば継続される。

元妻が元夫に養育費を支払うケースは元妻が追い出されて子どもと一緒に住めなくなったが夫が妻よりも収入が少ない場合である。

極端な話、夫が精神疾患などで就労できず、収入がないという場合もある。このようなケースでは福祉の手続きもとらないから、裁判所では源泉徴収票の額面で元妻の元夫に対して支払う養育費の額が決定されてしまう。

子どもに会えない母親は今でも子どものためにと言い聞かせて少ない賃金の中から自分の生活費を削って養育費を支払っている。その上、今回の改定で、さらに大きな金額の支払いを余儀なくされてしまうと裁判所由来の絶対的貧困が生まれてしまう恐れが出てくる。それだけ、母親は、子どもに会えなくても、自分が食べられなくても子どもには食べさせたいと行動してしまうのである。

シングルマザー保護の活動家などが今回の基準では生ぬるいから別居親にもっと大きな支出をさせろと声高に叫んでいる場合、実際に元夫に対して養育費を払っている女性は活動家の仲間である「女性」の中から排除されているのだ。活動家が憐みを授ける対象となる女性の中から排除されているのだ。

私は、女性の権利擁護の立場から今回の養育費改正には反対するが、男女平等を叫ぶ活動かなんて自分たちの都合の良い現実しか相手にしないという印象がある。目をつぶれば世界が無くなると言わんばかりである。

その人たちの一定部分の活動の目的は家族制度の解体なのだそうだ。家族制度とは、父親と母親と子どもと生活する家族のことである。家族制度こそが、女性を不当に拘束する元凶だというのだ。「あなたは悪くない。」
という言葉も、このような思想によって言われていることが多いかもしれない。「あなたは悪くない 家族制度とそれにあぐらをかく夫が悪いのだ」という意味だとすれば極めて単純明快ではある。

そういう人たちから見れば離婚後あなたがどのように経済的に、精神的に追い詰められようと気にならない。離婚を一件成立させることができれば、自分たちの理想である「家族のない世の中」に近づくのである。

活動家の中には一定割合の人間がこういうことを本気で考えている。しかし自分の本音を真正面から主張することは少ないのでわからないだけである。

子どもの貧困の多くは、そもそも労働者の低賃金が原因であり、離婚後は女性の低賃金が原因である。その上、無理やり需要を掘り起こされている。社会から取り残されるという脅迫観念の植え付けが原因である。

子どもや家族が豊かに生きていくための費用である賃金を支払うそういう職場が絶対的に足りないのである。離婚や別居は子どもの貧困を確実に助長する。

このような社会、特に大企業の問題は不問に付して全てを夫の責任として、負担を夫だけに押し付けるという現代のフェミニズムの姿が浮かび上がってくるコメントだった。

低賃金の企業に対して一切文句を言わずその上、スマホ代金などを男性から搾り取って大企業に差し出させようとするのである。

家族制度解体の活動家が既に離婚を成立させて、養育費を支払っている女性を無視できるということもわかりやすい。既に離婚をして家族解体を進めているのだからこれ以上保護を与える意味がないというのであれば実にわかりやすい。

子どもの利益よりも家族解体の促進に価値をおくのであれば離婚の影響で子どもの健全な成長が阻害されること等必要経費のようなものだから、無視できる。そもそも離婚が子どもに悪影響を与えないと頑張っているのかもしれない。

対人関係学は家族という最小の単位を充実させることによって複雑化して、利害対立が多発する現代社会の仲間でも幸せを感じて生きていくことを目指す学問なので、家族解体思想という非科学的な思い付きとは全く相いれないということが今日の考察でつくづく分かった。

4 これから離婚をしようと考えている女性の皆さんへ

以上、今回の養育費の改定のニュースに関する疑問を述べた。これから離婚を考えている女性たちには特に知識を増やしてほしい。

養育費の算定基準が改定されて養育費が上がったところで、そもそもない所からは取れない。女性の賃金の改定の方は一向に着手される気配はない。同一労働、同一賃金に過度の期待をするわけにはいかない。別居や離婚をすれば、確実に経済力は低下する。

バラ色の離婚後の人生はないと思うべきだ。この文章を書いているまさにその時、事務所の電話が鳴り、養育費地獄にあえぐ元夫の悲鳴を聞かされている。「これ以上養育費が上がれば生きていくことができない」という悲鳴だ。現実に支払えないので、賃金の差し押さえをされてしまうだろう差し押さえがなされたら会社から解雇されるだろうというのだ。極めて深刻なメンタル状態であり、自死の危険も否定できない。しかし、解雇されたり、自死されたりすれば養育費は入らないのだ。

都合の良い話ほど真に受けてはならない。あなたにとって都合の良いことを言っている人たちの一定割合は家族制度を解体しようという思想が何よりも優先されている。その思想を実現するためにあなたが離婚させようとしているのだ。

自分や家族の利益を第一に考えて行動するべきだと思う。

できることなら、現状に不満があっても、第三者機関を利用する等して夫をコントロールすることを考えるべきだ。現状を前提として少しでも快適な生活に進んで行こうとすることが最善の策かもしれないという選択肢を頭の片隅に必ず入れてほしい。

「離婚したけれど、こんなはずではなかった。」という電話は本当に悲しすぎる。

養育費、やっと拡充 算定表16年ぶり見直し ひとり親家庭を支援

出典:令和元年12月23日 毎日新聞

養育費、やっと拡充 算定表16年ぶり見直し ひとり親家庭を支援

 離婚した親の子が自立するまでの生活費として欠かせない養育費の算定表が16年ぶりに見直された。ひとり親家庭の貧困問題を受け、世相の変化を反映させた結果、増額傾向となった。一方、取り決められた養育費が支払われない例も多く、行政や弁護士が強制的な回収の手立てを模索している。【服部陽】
 離婚して別居しても、親は子の生活を保障し、成長する環境を確保する責任を負う。民法は養育費の額の算定に当たり、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と定める。

※以下、紙面参照。

最高裁が養育費の算定表を公表しましたが、幼児、高等教育の無償化が進んでいるにもかかわらず増額されています。最高裁が密室で策定し、その算定根拠も明確にしておらず、別居親への逆差別を助長する内容で算定の信頼性が疑われます。養育費を支払ってもその使途が明確でなく本当に子どものために使われているのかも確認できない制度不備の中、別居親の不信感は募るばかりでないでしょうか。また、養育費支払いだけ強制性を持たせていますが、子どもが両親の愛情を受け、自己肯定感を高め、健全な成長に重要な親子交流(面会交流)を置き去りにする最高裁は、子どもの最善の利益を軽視しており、子どもの権利条約を守ろうとする姿勢は全く感じられません。

離婚後の別居親と子 面会交流で両親に変化

出典:令和元年12月22日 東京新聞

離婚後の別居親と子 面会交流で両親に変化

 離婚しても子どもにとっては親は二人。そう分かっていても子どもと一緒に暮らす親にとって、別居する親が子どもと定期的に会う(面会交流)となれば複雑な思いもわいてくる。そんな葛藤を乗り越え、面会交流を続ける離婚経験者たちがいる。別居親と子どもの面会交流にはどんな意義があるのか。(佐藤直子)

「子どもと私は別人格。『お父さんはこんな人』という見方を、私から押しつけたくはなかった」。

※以下、紙面参照。

「共同親権」の導入 是非は?

出典:令和元年12月20日 日本経済新聞

「共同親権」の導入 是非は?

法務省は11月中旬、離婚した親と子の関係について検討する研究会を設置した。未成年の子を育てる親の権利や義務である「親権」がテーマだ。いまの民法は父と母が離婚すると、どちらか一方の親が子の親権を持つ「単独親権」を規定している。米欧諸国のように離婚後も父母の両方が子の親権を持つ「共同親権」が必要かどうかを議論する。
共同親権を扱うのは、国内外から現行制度の見直しを求める声が出ているからだ。
「子供は両親から愛される権利も自由も奪われてしまいます」。今年11月、離婚などで親権を持てず子に会えなくなったと主張する男女12人が集団訴訟を起こした。「共同親権を認めない現行法は養育権の侵害にあたり、違憲だ」と国に損害賠償を求めた。
2月には国連の「子どもの権利委員会」が離婚後の共同養育を認める法改正を日本に勧告した。国際結婚が増え、日本人女性が離婚後に海外から無断で子を連れて帰る事例が起き、共同親権の米欧諸国が問題視してきた。日本は米国などに迫られ、国境を越える子の扱いを定めたハーグ条約に加盟し、2014年に同条約は発効した。19年5月には改正ハーグ条約実施法も整備したが米欧には「問題は単独親権だ」との見方も残る。
日本の民法では、親権は父母が共同で行使するのが原則だ。だが離婚した場合は父母の一方しか親権者になれないとも定めている。同居して世話や養育をする身上監護のほか、教育や財産管理が親権の主な内容になる。
民法766条は「子の利益を優先して監護・面会交流の方法を協議で定める」と記している。親権を持たない親が子と会う「面会交流」に関しては、その頻度などの具体的な規定が法律には記されていない。父母の話し合いで決めることが前提になる。

■面会交流の調停増える
衝突が起きるのはこの「協議で定める」ところだ。父母の協議で決着しなければ家庭裁判所(家裁)に調停を申し立てる。家裁が家庭に関する事件を調停する「家事調停」の統計をみると、06年度から面会交流に関する調停の申立件数が急増している。06年度の約7千件から18年は3倍近い約2万件になった。20歳未満の子を持つ夫婦の離婚件数は同時期に減少傾向だったにもかかわらず増えていた。

離婚後に母親が親権を持つ事例は85%に上る。離婚事件を多く扱う弁護士は「日本の司法は『母親に監護させることが子の利益になる』と判断することが多い」と話す。親権を得られなかった父親が母親から子との面会を制限される例もある。
近年は共働き世帯が増え、父親の育児参画が進んでいる。この弁護士は「昔より父親が『子育てに参画したい』と思うようになってきた。母親を親権者とする司法判断に納得できないのだろう」と分析する。面会交流の協議がなかなか決着しないことへの不満が、いまの民法の単独親権の制度への不信につながっていると指摘する声もある。

■父母対立で子に不利益も
とはいっても共同親権を導入すれば様々な問題が解決する、というわけでもない。政府は12月17日、共同親権をもし導入した場合について答弁書を閣議決定した。
「父母が離婚後も子の養育に積極的に関わるようになることが期待される一方、子の養育について適時に適切な合意を形成することができないときは子の利益を害するおそれがある」。共同親権への懸念に答弁書は言及している。
法務省幹部は「民法を改正して共同親権に変えても、父母の合意がなければ面会交流は増えない」と話す。単独親権か共同親権かにかかわらず、面会交流の実施や頻度などは最終的には父母が協議して決めるからだ。「子と離れて暮らす親が『子に会う』という目的は、現行の単独親権の下での協議の枠組みで対応できる」とも強調する。
家庭内暴力や虐待で離婚した父母が共同親権になったとき、子の養育に関する話し合いをどこまでできるのかという指摘もある。子と同居する親が海外に移住したり、子の財産の扱いや進学などを決めたりする際にはその都度、もう片方の親の合意が必要になる。父母の関係が悪ければ、片方の親が幾度も拒否権を行使して様々な決定が滞る可能性も出てくる。

■各国研究から開始
法務省は外務省を通じて海外の親権の実態を調査している。担当者は「まずは論点を整理することが重要だ」と語る。設置した研究会も共同親権の導入を前提に議論を進めていくわけではない。
例えば共同親権を採用する米欧には日本が単独親権のままでも参考にできそうな事例がある。米国では面会交流を民間の第三者が支援する体制が整っており、フランスでは民法典に「面会場」を明記している。片方の親による暴力や虐待を防ぐためのインフラをつくっている。面会交流の実務に携わる弁護士からは、家裁で家事調停の内容を調べる調査官の人員増や、民間の支援施設の整備を求める声もある。共同親権を導入するか否かとは別に、まず米欧諸国を参考に面会交流の支援策を考えるべきだという意見だ。
研究会の議論は20年に本格化する。結論を出す時期は未定だが、民法改正が必要な共同親権を導入するか否かの判断はその後になる。立場によって利害が大きく食い違う問題だ。親が主張する権利で子が不利益を被らないよう、子の視点を意識した慎重な検討が必要になる。

離婚と親権

出典:令和元年12月12日 宮崎日日新聞

離婚と親権

◆子ども本位で制度見直しを◆

 離婚後も父母が共に子どもの親権を持つ「共同親権」の導入を求める声が広がり、法務省は民法学者や弁護士、最高裁と関係省庁の担当者らから成る「家族法研究会」を発足させ、議論を進めている。面会交流を促進したり、養育費の支払いを確実にしたりする方策も検討する。

 親権は親が子どもを監護・教育し、しつけのために戒める、住む場所を指定する、財産を管理する―などの義務と権利で、民法に規定が置かれる。欧米を中心に離婚後の共同親権を認めている国は多いが、日本では離婚したら、どちらか一方を親権者とする「単独親権」だ。

 単独親権は進学など子育ての意思決定がしやすいといわれるが、離婚の際に面会交流を決めても、親権者の意思次第で親権を失った親が養育に関われないこともある。一方で共同親権では、離婚の背景に児童虐待やドメスティックバイオレンス(DV)があると、子どもに望ましくない影響が及ぶ懸念がある。

 年間20万組以上が離婚し、子どもの奪い合いは絶えない。単独か共同か。どちらかを選択できるか。課題は多いが、研究会には、親の事情で争いに巻き込まれた子ども本位で制度見直しに取り組むことが求められる。

 40~60代の男女12人が先月下旬、単独親権制度は法の下の平等や幸福追求権を保障する憲法に反し、子育ての権利を侵害されたとして国に損害賠償を求め東京地裁に提訴。国に共同親権制度の立法を怠った責任があると主張する。離婚協議などで面会交流の内容が決められるが、原告で最も頻度の高い人は「月2回程度、2時間」。幼いころ会えなくなり、成人後の行方すら分からないケースもある。

 司法統計によると、離婚や別居をした父母が子どもの監護を巡って対立し、家庭裁判所に申し立てられた調停・審判は2018年に4万4千件余りに達し09年と比べて約1万1千件増えた。また厚生労働省の16年度全国ひとり親世帯等調査では、養育費について離婚した父親から「現在も受けている」は24・3%、母親からは3・2%。面会交流については「現在も行っている」が母子世帯で29・8%、父子世帯で45・5%だった。

 いずれも低調で、離婚時に子どもの養育計画策定を父母に義務付ける案もあるが、DVの被害者が加害者から離れるのを難しくする恐れも指摘される。共同親権でも、全てが解決するわけではない。DVや虐待、父母の対立が持ち越され、離婚後の子育てが不安定になることも考えられる。

 それぞれの制度の問題点の相談・支援体制の拡充で、どこまで対応できるかが今後の議論の焦点となろう。

「単独親権は違憲」 国を提訴 欧米は共同親権主流

出典:令和元年12月7日 中日新聞

「単独親権は違憲」 国を提訴 欧米は共同親権主流

離婚しても親なのに

 民法は離婚後、父母どちらか一方にしか子どもの親権を認めない。この「単独親権制度」を憲法違反として、親権を奪われた親たちが国を相手に集団訴訟を起こした。子を見守り、育てるという基本的人権(養育権)を侵害され、「一緒に過ごせたはずの時間を奪われた苦しみ」を訴える。離婚を親子の断絶につなげてしまう制度を温存してきたとして、国の姿勢を問うこの訴訟。見据えるのは、両親がともに子育てにかかわれる共同親権制度の実現だ。

※以下、紙面参照。

離婚後の子、どう守る

出典:令和元年12月2日 朝日新聞

離婚後の子、どう守る

 夫婦の3組に1組が離婚する時代。親が離婚した子は20万人を超え、1950年の約2.7倍に増えた。母親が引き取ることが多いが、母子家庭の7割超は養育費を受け取れず、立て替え払いを検討する自治体も出てきた。一方、父親の約半数は離別した子と交流したことがなく、面会を求める訴訟が相次ぐ。離婚後の子の養育を社会はどう支えるべきか。

 ■養育費不払い多発、個人の対応に限界 大阪社会部・長富由希子
 元夫の不倫が原因で3歳と7歳の子を連れ、約5年前に離婚した神奈川県の会社員女性(36)は嘆く。「出来ることは全てしたが、元夫が養育費を払わない。このままでは子どもを大学に行かせられない」
 2人で計月14万円。裁判所の調停で離婚した際、会社社長の元夫の収入などから養育費の額は決まったが、約1年で不払いになった。裁判所から「不払いになっても相手の財産を差し押さえる強制執行がある」との説明を受けていたが、手続きの大変さに驚いた。
 法律を調べ、裁判所が元夫に支払いを促す「履行勧告」をしたが、強制力がなく反応がない。元夫の預貯金の差し押さえを考えたが、口座がある銀行の支店名まで自分で探す必要がある。夫の行動範囲の銀行を探し、法務局などで銀行の代表者事項証明書などを取り、裁判所に強制執行を申し立てた。
 弁護士への依頼も考えたが、15万円と言われた着手金が払えない。自力で手続きを進めて三つの口座を差し押さえたが、離婚時に相当額あった残高は、10万円以下に激減していた。女性は「養育費から逃げるマニュアルがネットにあふれている。元夫が強制執行を恐れ、貯金を移したと思う」と肩を落とす。元夫は再婚した相手とも離婚し、今は新しい彼女がいて、海外旅行も楽しんでいると知人に聞いた。
 来春からは手続きが少し楽になる。改正民事執行法が施行され、不払いの親の勤務先や預貯金の情報提供を裁判所が市町村や銀行などに命じられる。養育費に詳しい榊原富士子弁護士は「前進だが、調停調書などの公の文書で養育費を決めた人だけが対象。手続きの時間や精神的余裕がない親が多い。そもそも、養育費を決めていない母子家庭が過半数。根本解決からほど遠い」と話す。
 労働政策研究・研修機構の調査では、子と別居する父の年収が500万円以上の74%もが不払いだ。養育費を受け取る母子家庭は厚生労働省の2016年度調査でわずか24%。OECDによると、子がいる大人が1人の現役世帯の相対的貧困率は先進国で最悪水準だ。小川富之福岡大教授(家族法)は「政策決定の場に女性が少なく、困窮した母子の政治的影響力も小さい中、国が放置してきた」と指摘する。
 この事態にしびれを切らしたのが兵庫県明石市だ。市が養育費を立て替えた上、親に市が請求する独自条例案の検討を始めた。子が市民の場合に限られる見込みで、泉房穂市長は「国が動いて」と訴える。
 子どもの権利条約は、扶養料の確保策をとるよう締約国に求め、欧米や韓国は不払いへの罰則や立て替え払いで積極介入する。「私人間の紛争に行政は介入すべきでない」との考えもあるが、同志社大の横田光平教授(行政法)は「建設工事の請負契約の紛争解決など、私人間の紛争への行政の関与はあり、ハードルではない」とみる。
 小川教授によると、豪州も1988年調査の「養育費支払率」は34%だが、「子の貧困の撲滅」をめざして養育費対策法を80年代後半に制定し、徴収する行政機関をつくった。父母の課税所得の情報を国税局から受けて額を毎年自動調整し、不払いには給与の強制的な天引きや出国禁止も実施。近年の徴収率は養育費支払総額の97%にのぼる。
 「離婚相手と関わりたくない」「相手からDVを受けていた」――。不払いには多様な事情もあり、元夫婦だけで解決するのは限界がある。その中で「離れて暮らす親は経済力があるのに、自分の食費や教育費を払ってくれず、生活が苦しい」という子どもたちがいる。安倍晋三首相は4年近く前の16年1月の参院決算委員会で「子どもの貧困対策は未来への投資であり、国を挙げて推進していく」と述べている。政府は、いつまで、多発する養育費の不払いから目をそらすのか。

 ■面会に強制力なし、共同親権求める声 専門記者(家族担当)・杉原里美
 11月の週末、都内のコンビニの駐車場で、NPO法人ウィーズの職員が40代の母親から小学生の男の子2人を預かり、父親が待つ近くの施設へ向かった。子どもたちは父親と2時間ボール投げなどをして遊び、別の場所で母親に返された。
 ウィーズは離婚や別居した親子の面会交流を支援する団体だ。顔を合わせたくない父母の間に入り、仲介する。
 母親は面会に消極的だったが、離婚への疑問が消えない子どもたちを見て「自分の目で判断してほしい」と父親に会わせている。「元夫に子どもを連れ去られないか不安だったので、第三者が見守ってくれるのはありがたい」
 ウィーズ理事の羽賀晃さん(47)は「親と会えば似ているところが分かったり、話を聞いて離婚を納得できたりする。子の自己肯定感を育てるためにも、面会交流は重要だ」と話す。
 だが、日本では離婚後も両親と子どもが交流を続けるケースは少ない。
 日本は離婚すると父母の片方しか親権を持てない「単独親権」を採用しており、母親が子を引き取るケースが約9割と圧倒的だ。「夫婦の離婚」が「親子の絶縁」につながっている。
 民法では、離婚時に親子の面会交流や養育費を取り決めると定めているが、強制力はない。厚生労働省の2016年度調査では、母子家庭の46%は父と子の面会交流の経験がなかった。
 一方、欧米では離婚後も子どもが双方の親から養育を受けられるよう、「共同親権」が主流だ。アジアにも広がっており、韓国は08年から、子がいる夫婦の離婚では、面会交流の日程や養育費の受取口座などを記した協議書の提出を義務づけた。家庭法院(家裁)で最長1年間、面会交流の支援を無料で受けられるところもある。
 日本への視線は厳しさを増す。今年2月には、国連子どもの権利委員会が離婚後も子どもの共同養育を認めるよう日本に法改正を勧告した。
 法務省は11月、家族法研究会を設け、ようやく共同親権の是非を含めた議論を始めた。ただ、「方向性は定めない」(発表当時の河井克行法相)としており、親権や面会交流のあり方が変わるかは不透明だ。
 政府の腰は重いが、現状を変えようとする動きは強まっている。
 離婚などで子に会えなくなった父母14人が18年、面会交流制度の不備を訴えて集団提訴。11月22日の東京地裁判決は「面会交流は憲法上保障された権利とはいえない」と退けたが、同じ日には離婚後の共同親権を求める集団訴訟も新たに東京地裁に起こされた。
 ただ、面会交流や共同親権を進めることに慎重な意見もある。ひとり親支援団体でつくる「シングルマザーサポート団体全国協議会」は、共同親権の導入に否定的だ。離婚訴訟で精神的なDVが認められにくいため、「DVから母子が逃げた後も夫による支配が続く」という懸念が念頭にある。
 DV防止は重要だが、親権を失い、子どもに会えなくなっているのはDV加害者ばかりではない。これまで取材で会った人たちの中には、育児に積極的に関わっていた父親や、DV加害者の夫に子どもを奪い取られた母親もいる。子どもの立場からみても、一方の親に急に会えなくなった経験を持つ子は、親密な人間関係を築くのが苦手になるという調査結果もある。
 離婚で子どもの親権をめぐって争いになるのを防ぎ、子どもの人格を尊重するためにも、養育費や面会交流の取り決めを義務化し、問題なければ共同親権も選べる制度が必要ではないか。
 韓国では、離婚制度改正時に民間のDVシェルターへの予算を増やし、加害者の処罰と被害者保護を強化した。米国・カリフォルニア州では、面会交流の部屋に危険があれば警察に通報できるボタンがあった。海外の事例も参考に、法整備を急いでほしい。

「単独親権は違憲」提訴 離婚後、親子断絶  面会の約束ほご

出典:令和元年12月1日 東京新聞

「単独親権は違憲」提訴 離婚後、親子断絶  面会の約束ほご

 民法は離婚後、父母のどちらか一方にしか子どもの親権を認めない。この「単独親権制度」を憲法違反として、親権を奪われた親たちが国を相手に集団訴訟を起こした。子を見守り、育てるという基本的人権(養育権)を侵害され、「一緒に過ごせたはずの時間を奪われた苦しみ」を訴える。離婚を親子の断絶にまでつなげてしまう制度を温存してきた国の姿勢を問うこの訴訟が見据えるのは、両親がともに子育てにかかわれる共同親権制度の実現だ。 (佐藤直子)

以下、記事参照。

子どもの人権尊重 欧州議会が決議 日本の現状には触れず

出典:令和元年11月28日 東京新聞

子どもの人権尊重 欧州議会が決議 日本の現状には触れず

 国連の「子どもの権利条約(CRC)」(1989年11月20日採択)の30周年を記念し、欧州議会は26日、フランス東部ストラスブールで本会議を開き、子どもの人権に関する決議を採択した。
世界中の子どもたちを守り、権利を推進するとするCRCの理念の尊重を確認する一方で、欧州連合(EU)が長く問題視する「日本の実子連れ去り問題」については明記されなかった。
 記念演説で、イタリア選出の議員は「(94年にCRCを批准した)日本では毎年、推定15万人もの子が一方の親に連れ去られている。裁判所の判決を無視しても制裁は科せられない」と批判し、日本在住のイタリア人とフランス人の被害ケースを実名で紹介した。決議の「対外的方針」では、離婚後単独親権制度を規定する日本の現状には触れなかった。
 CRCの締約国・地域は200近くに上る。日本は94年に批准、2014年には国際的な連れ去りに対処する「ハーグ条約」も批准している。(早川昌幸)

【記念演説の動画】

https://www.youtube.com/watch?v=-etEa_OJZMY

「海外では共同親権が主流、それなのに…」単独親権違憲訴訟提訴

出典:令和元年11月22日 毎日新聞

「海外では共同親権が主流、それなのに…」単独親権違憲訴訟提訴

単独親権制度は憲法に違反するとして、子どもの養育に関われなくなった親たちが22日に国家賠償訴訟を起こした。海外では共同親権が主流で、国内でも法務省が離婚後の養育の在り方の研究会を発足させた。子どもとの交流を断たれた親からは制度改正への期待が高まるが、慎重論も根強い。

※以下、紙面参照

「共同親権」求め、別居親ら初の集団提訴 東京地裁

出典:令和元年11月22日 産経新聞

「共同親権」求め、別居親ら初の集団提訴 東京地裁

 離婚すると父母の一方しか子供の親権を持てない「単独親権」制度は法の下の平等や幸福追求権を保障する憲法の規定に反し、子育てをする権利が侵害されて精神的苦痛を受けたとして、8都道府県の40~60代の男女12人が22日、国に計1200万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に提起した。
 原告側によると、単独親権制度を違憲だと主張する集団訴訟は初めて。これとは別に都内の男性1人が今年3月に同様の訴訟を起こし、東京地裁で係争中。

 訴状によると、原告らは離婚で親権を失うなどして子供と別居し、子育ての意思があるのに「司法に救済を求めてもわずかな面会交流しか認められない」などと主張。国には「共同親権」制度の立法を怠った責任があるとしている。
 中学2年の娘と月に1度しか会えないという原告でフリーライターの宗像(むなかた)充さん(44)は、提訴後に会見し「子供に会えないのは親の個人的な問題だといわれるが、社会や制度の問題だと訴えたい。親と会えない子供たちは、会えないことをあきらめないでほしいと伝えたい」と話した。
 法務省は「訴状を受け取っていないのでコメントできない」としている。

離婚後「子に関わりたい」 親権のあり方、議論広がる

出典:令和元年11月22日 日本経済新聞

離婚後「子に関わりたい」 親権のあり方、議論広がる

 離婚後に父母の一方しか子の親権を持てない「単独親権」の見直しを求める声が強まっている。親権を持たないため子どもに自由に会えなくなったという父母らが22日、現行制度は違憲として集団提訴した。単独親権を採用する国は先進国では珍しく、離婚後も子育てに関わり続けたいという人は増えるなか、共同親権導入の是非を巡る議論も進んでいる。

「離婚や別居をすると、なぜ愛する子どもと会えないのか」。離婚などで子の養育に関わるのが難しくなった8都道府県の男女12人が22日、国に計1200万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こし、都内で記者会見した。弁護団によると、単独親権制度を違憲として国に賠償を求める集団訴訟は初めてという。

訴状によると、12人は離婚や別居などを機に子と自由に会うことができなくなった。子を養育する権利は憲法が保障する基本的人権にあたり、離婚後の共同親権制度を整備しない国の対応は違法と訴えている。
原告の一人は子どもが1歳半の時に離婚し約11年がたつが「年3回の面会交流が一度も守られたことがない」と訴えた。
親権は親が子を保護・監督し、教育を受けさせたり財産を管理したりする義務と権利を指す。民法は婚姻中は父母が共同で親権を持ち、離婚の際はどちらか一方が持つと規定している。年間約20万組の夫婦が離婚するが、日常的に子の面倒を見ていることが重視され、母親が親権を持つケースが多い。
単独親権は、子育てで進学や医療などに関する意思決定がしやすい一方、親権を失った親は養育に関与しにくくなる面がある。調停や審判を通じて面会の頻度や時間を決めても、守られずに子との交流が絶たれるケースも少なくない。
離婚に際して子どもを巡る争いは増えている。司法統計などによると、子の監護を巡って父母が対立し、申し立てられた調停・審判は2018年に約4万4300件に上り、09年と比べ約1万1千件増加。別居する親が子との面会を求める調停申し立ては18年に約1万3千件あった。
専門家は背景として、共働き世帯や育児参加する父親の増加、少子化などを背景に、子と親の結びつきが強くなっていることを指摘する。
こうした状況を受け大学教授や裁判官らによる研究会が11月、離婚後の共同親権導入の是非について議論を始めた。虐待やドメスティックバイオレンス(DV)を理由に離婚するケースもあるため、導入を前提とした場合、どのようなケースで共同親権を認めるかや、父母がどのように養育に伴う決定に関わるかを整理する。そのうえで、導入が必要と法相が判断すれば、法制審議会に諮問することになる。
早稲田大の棚村政行教授(家族法)は「共同親権は世界的な流れだが、導入であらゆる問題が解決するわけではない」と指摘。「親権の見直しにあたっては子の権利を最優先に考え、虐待やDV被害への支援体制をどう整えるかといった包括的な議論が必要だ」と話している。

■「共同親権」欧米で主流
 法務省の委託調査などによると、米国や英国など離婚後の共同親権を認める国は多い。親との面会交流は「子の権利」として位置づけられ、子の意見を聴いた上で積極的に交流を認める傾向が強いという。
 家制度を色濃く反映した明治民法では、父の単独親権が原則で、母が親権者になるのは父の死亡など例外的な場合に限られていた。戦後の民法改正で現在の制度に改められたが、当時は欧米諸国も単独親権が主流だったため、大きく問題視されることはなかった。
 米カリフォルニア州では1970年代に「共同監護」の制度を導入。離婚後も親子が継続的に面会することが州の基本政策とされ、80年代以降に全米に広がった。監護権を持つ親が面会交流を妨害すれば、制裁金や拘禁などの処罰が科される。
 このほか、韓国は離婚後の親権について父を優先する原則があったが、90年の民法改正で単独親権か共同親権かを選択できるようになった。

「離婚後の親権、片方のみの制度は違憲」 国を集団提訴

出典:令和元年11月22日 朝日新聞

「離婚後の親権、片方のみの制度は違憲」 国を集団提訴

 離婚したら父母のどちらかしか子の親権を持てない民法の単独親権制度は、親の養育権を侵害し、法の下の平等などを定めた憲法に違反しているとして、東京、長野、兵庫など8都道府県の男女12人が22日、国を相手取り1人あたり100万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

 民法では、婚姻中は父母が共同で親権を持つが、離婚後は片方を親権者と定めなければならない。
 原告は離婚して親権を失ったり、離婚協議中で別居したりしている40代から60代の男女。訴状などによると、親が子を監護・養育する権利は憲法13条で保障される基本的人権であり、単独親権制度は、親権を失う親の養育権を侵害し、婚姻の有無で差別していると主張している。
 原告で長野県に住む小畑ちさほさん(57)は、元夫が親権を持っており、学校から子どもの様子を知らせてもらえなかった。「子どもを養育するということは、日常の喜びや悲しみを共有することであり、月に1、2回程度の面会交流では不十分だ。単独親権は問題だということを知ってほしい」と話した。(杉原里美)

離婚と子ども 法整備を、「面会交流」や「共同親権」

出典:令和元年11月22日 TBSニュース

離婚と子ども 法整備を、「面会交流」や「共同親権」

 離婚後の親と子どもの関係をめぐって、法制度の整備を求める裁判が相次いでいます。
 娘の写真を見て涙を流すのは、関東地方に住む30代の女性です。元夫のもとにいる2人の娘と思うように会えないつらさを訴えます。

 「いや、つらかったですね」(原告の30代女性)

 5年前、2人の娘は元夫が連れ去るように引き取りましたが、裁判の末、親権は元夫に認められました。次女は本人も望んでいるとして一定の制限のもとで面会ができてはいますが、長女は・・・
 「『きょうはパパといるから行かない』と言いだして。『どうしたの』と聞くと、泣いて答えられなくなったり、板挟みになったり」(原告の30代女性)

 会って確めることもできないまま、子どもが望んでいないとされ、およそ4年間、面会できていません。女性はこう訴えます。
 「夫婦としてうまくいかなくても、子どものために協力して、子育てできるのが一番いいのかなと」(原告の30代女性)

 そもそも離婚した親と子の「面会交流がきちんと行えるよう、法整備をしていないこと自体がおかしい」。女性は他の13人と、国に対し、あわせて900万円の損害賠償を求める裁判を去年3月に起こしました。

 しかし、22日、東京地裁は「立法措置が必要不可欠だとは認められない」として、女性らの請求を退ける判決を言い渡しました。

 一方、22日、もうひとつの裁判が起こされました。離婚した親のどちらかしか親権を持てないのは憲法違反だとして、「共同親権制度」を求めて男女12人が国を相手取り、初めて集団提訴をしたのです。

 「夫婦の別れが親子の別れにもつながっています。子ども目線で見ても単独親権は何のメリットもありません。子どもならば両方の親に甘えたいし、一緒に過ごしたいと思うのは当然です」(「共同親権制度」求めて提訴 原告の男性)

 3組に1組が離婚している現在の日本。法制度はどうあるべきか、裁判が続いています。

「単独親権は違憲」と集団提訴 子育ての権利侵害、国を相手に―東京地裁

出典:令和元年11月22日 時事通信

「単独親権は違憲」と集団提訴 子育ての権利侵害、国を相手に―東京地裁

 子どもの親権を父母一方に限る単独親権は親の権利侵害として東京地裁に提訴する原告団=22日午後、東京地裁
 離婚後は父母のどちらか一方にしか子どもの親権を認めない民法の「単独親権規定」は法の下の平等に反し違憲だなどとして、男女12人が22日、国に総額1200万円の賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。原告代理人によると、単独親権をめぐる集団訴訟は初。

 訴えたのは、東京、長野、兵庫など8都道府県の男女。訴状で、離婚や別居で子どもと自由に面会できなくなり、「通常の親子関係を奪われ、精神的苦痛を受けた」などとしている。
 提訴後、記者会見した原告らは「離婚を親子関係の断絶につなげてしまう制度は不合理だ」と主張。「親権を持つ親が拒めば子どもに会う手段がなくなる。愛する子を見守れる制度を整えてほしい」などと訴えた。

「面会交流」立法不作為訴訟 原告の請求棄却 東京地裁

出典:令和元年11月22日 毎日新聞

「面会交流」立法不作為訴訟 原告の請求棄却 東京地裁

 離婚や別居で面会交流の機会を確保するための立法措置が講じられていないのは違憲として、子どもと会えなくなった親が計900万円の国家賠償を求めた訴訟で、東京地裁は22日、請求を棄却した。

 原告は父母ら14人。離婚や別居した際に、家族間で子どもと面会する約束を交わしていたが、実現していないと訴えていた。前沢達朗裁判長は「別居している親の面会交流権が憲法上保障された権利であるということはできない」などと述べた。
 国は「主張が認められたと理解している」とのコメントした。【巽賢司】

続「共同親権の展望」(下)海外の厳しい目

出典:令和元年10月13日 中日新聞

続「共同親権の展望」(下)海外の厳しい目 早川昌幸(読者センター)

 フランスの人権派弁護士ジェシカ・フィナーリさんの法律事務所(パリ)は今年八月、国連の人権理事会(HRC)に対し、「日本の“実子誘拐”が重大な人権侵害に当たる」と申し立て、受理された、と発表した。
◆実子連れ去りを非難
 フィナーリ弁護士らは、NPO法人「絆・チャイルド・ペアレント・リユニオン」(東京)の推計データを基に「毎年十五万人の子どもたちが、片方の親によって不法に連れ去られ、子どもの最善の利益という基本的人権が尊重されていない」と非難した。九月二十日には、同じ事務所のフランソワ・ジムレ弁護士(元人権担当フランス大使)が、フランス人で当事者の一人、ビンセント・フィショーさんとともに参院法務委員会のメンバーを訪ね、連れ去りの“被害”を訴えた。
 フィショーさんは一年前、東京・世田谷の自宅に帰ってくると、日本人の妻と三歳の息子、十一カ月の娘が姿を消していた。フィショーさんによると、「離婚の示唆」はしたが、具体的な話し合いは何も進んでいなかった、という。
 ことし六月、来日中のマクロン大統領がフランス大使館で日本国内の当事者と面会。親としての悲痛な思いを共有し、後日、夕食を共にした安倍晋三首相にこの問題について述べた。今回の一行の国会訪問は、それを踏まえての行動という。
 欧米で主流の「共同親権」は、離婚後も父母の双方が養育・監護に責任を持つことが、子どもの利益につながるとの考えに基づく。日本は二〇一四年、国際結婚の破綻時に子どもの連れ去りを防ぐハーグ条約に加盟したが、面会交流の実情は先進国の標準とはほど遠い。その元凶が「単独親権」とみられているのだ。自らの意見を表明できない幼子の場合、誰かが代弁しなければならないという「世界の常識」をあらためて国内でも共有する必要があるだろう。
 愛知県内の大手メーカー社員の男性(43)は「試行的面会交流」でたった三十分間、四歳の長女と〇歳の長男と触れ合ったきり、会えない状況が続く。
 父親側の弁護士によると、家裁調査官から裁判官あてに「父子交流の機会を設けることが相当と考える」との調査報告書が出たが、妻側の代理人弁護士は裁判所で「面会交流はしない。離婚したら会わせる」との一点張りだった。その主張に裁判官も疑問を投げ掛けているという。男性にとって救いになった娘からの手紙には、こうつづられている。「みんなでいたいよ」「かくれて ごめんね」「パパ だいすきだよう」
 米国の事情に詳しい棚瀬孝雄弁護士(76)によると、カリフォルニア州では「離婚または別居後も、両方の親が子育ての責任と権限を共有することが州の公共政策である」と宣言。面会交流について「頻回かつ定期的」と踏み込んだ内容を規定している。改正民法七六六条は面会交流の取り決めを定めたが、明示的な指針は与えられていない。
 一六年三月、千葉家裁松戸支部が夫を親権者とした「松戸判決」。後に、高裁で同居親を重視する従来の「継続性の原則」を踏襲し、妻が逆転勝訴し、最高裁も夫の上告を受理しなかったが、面会交流を相手方に幅広く認めた方を親権者とする「寛容性の原則」を適用した一審は、日本では「異例」と注目を集めた。
 一審家裁支部は「(親権者になった場合)妻に娘を年間百日会わせる」「その約束を破った場合は親権者変更に応じる」との夫の提案を評価し、夫を親権者とする判決を下したのに対し、二審東京高裁は「面会の重要性は高くない。年間百日の面会は近所の友達との交流などに支障が生ずる恐れがあり、子の利益になるとは限らない。子は妻との同居で順調に成長しており、妻が親権者として適当」と判示した。その後、妻は娘を夫に面会させることもなく、娘は父親と九年以上会えないでいるという。
 離婚後単独親権違憲訴訟の原告代理人・作花知志(さっかともし)弁護士は、再婚相手からの児童虐待事件を例に「親権者が一人に減ることで、侵害される子どもたちの基本的人権をどう守っていくのか」と問題提起し、「共同親権の導入後を見据え、子どもを守る諸施策の議論は、もう始めていなければならない」と訴える。
◆両方の親で見守りを
 外国特派員協会での会見をきっかけに、関心を持ったという米有力紙ワシントン・ポストのサイモン・デニヤ東京支局長は、日本の現状をこう危惧する。「子どもには両方の親に見守られる権利があるし、(危険な状態が生じないという前提で)片方の親がそれを拒む権利はないと思う。すべての西洋人の考えを代弁することは、もちろんできないが、多くの人が日本の問題点を同じように感じているのではないか」

中日新聞まで記事の感想についてメール送信をお願いします。
genron@chunichi.co.jp

「娘が車のトランクに」日本で横行する実子誘拐 「連れ去り勝ち」にEU各国が抗議

出典:令和元年10月10日 PRESIDENT Online

「娘が車のトランクに」日本で横行する実子誘拐 「連れ去り勝ち」にEU各国が抗議

日本は離婚すると親権が父か母のどちらかにうつる。だが、こうした「単独親権」を採るのは、G20の中で日本とインド、トルコだけだ。ほかの国では離婚後も父母ともに親権がある「共同親権」のため、国際結婚ではトラブルが起きやすい。なかでも深刻なのが相手の了解なしに子どもを連れ去る「実子誘拐」だ——。

娘は車のトランクに入れられて「誘拐」された
2018年8月、東京・世田谷に住むフランス出身のヴィンセント・フィショ氏は、仕事から帰ると自宅が空っぽになっていたことに愕然とした。妻と3歳の息子、11カ月の娘が、忽然
こつぜんと姿を消していた。一体何があったのか……。
両親の離婚後、子どもの親権について父親か母親かのどちらかに帰属する「単独親権制度」を採る日本。「相手方に取られる前に子どもの親権を自分のものにしたい」と、ある日突然、実子を連れ去る「実子誘拐」が横行し、外交問題にまで発展しようとしている。
フィショ氏の場合、妻側の弁護士から後日「今後のご連絡等はすべて当職までいただきたい」とする紙切れ一枚が届き、以来、子どもと会うことはおろか、連絡を取ることもできず、何をしているのかもわからない状態だ。
後で防犯カメラの映像を確認すると、彼の娘は自宅のガレージから車のトランクに入れられて実の母親によって「誘拐」されたという。「実子誘拐は児童虐待で、深刻な人権侵害だ。日本はなぜこのようなことがまかり通るのか」と彼は憤る。

「子どもたちの権利のために闘いたい」
イタリア出身で東京在住のトッマーソ・ペリーナ氏は、妻が休暇で2人の子どもを連れて実家に帰った際、その数日後に妻から「離婚したい」と告げられたという。ペリーナ氏は、2017年8月から息子と娘に会えていない。
仙台家庭裁判所は、彼に子どもと会うことができる「面会交流権」を審判で認めたが、彼の妻はその命令の受け入れを拒否し、住所も変えてしまった。日本の警察は、彼の子どもたちの居場所を把握しているが、イタリア大使館が警察や外務省に問い合わせても回答はない。
ペリーナ氏は、子どもに会うために、さらに同家裁に「調停」を申立てることになる。このような家裁の手続きの慣習により、連れ去られてから再び会えるまで、さらに長い時間を要することになる。子どもに会えないまま、すでに2年がたっている。
「子どもたちには、父親、母親の両方と一緒にいるための権利がある。自分の権利のためではなく、子どもたちの権利のために自分は闘いたい」と彼は「宣戦布告」する。

世界でも珍しい「単独親権制度」の日本
フィショ氏もペリーナ氏も、それぞれの大使館を通して子どもたちの身の安全を確認するよう要請しており、各国大使は日本に滞在している本国の未成年者の住所や健康事情などを把握する責任があるが、これに対する協力を別居親自身も日本政府も、拒否している状況だ。これについての大使の権限はウィーン条約の取り決めのため、この条約を日本は守っていないことになる。
単独親権制度は、世界でも珍しくG20の中では日本とインド、トルコのみだ。ほかの国は離婚後も両親ともに親権がある「共同親権」制度となっている。
フィショ、トッマーソ両氏のようなケースは、日本人同士の夫婦においても横行しており、これまでに数十万人の子どもたちが一方の親から引き離されている。
近年の国際結婚の増加により、外国人がこうした「連れ去り」の被害者となり、日本政府や国連への抗議活動を行い、こうした問題を指摘し始めた。それによって、今、深刻な外交問題となりつつある。

26人のEU加盟国大使が日本に文書を提出
子どもたちが日本で誘拐されて以降、日本に住み続けているフィショ、ペリーナ両氏は、ヨーロッパで、この問題への関心を向ける政治的な働きかけも行う。昨年、26人のEU加盟国大使が親に会う子どもの権利を尊重するよう日本に訴えかける文書を出したが、その動きを後押ししたのも彼らだ。
今年6月には、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が、フィショ氏やほかのフランス人の父親と会談。安倍晋三首相に彼らの状況について問題提起した上で、「容認できない」と言及した。
イタリアのジュゼッペ・コンテ首相もまた、6月に大阪で開催されたG20のグループ会議でイタリアの両親の権利について安倍首相と話した。以来、フランスとイタリアのメディアは頻繁にこの問題を取り上げている。
8月、フィショとペリーナ両氏は、ほかの7人の父親と1人の母親とともに、米国、カナダ、フランス、イタリア、日本にいる14人の子どもの代理として、国連人権理事会に正式に告訴を申立てた。今の状況が、「子どもの権利条約」および「国際的な子の奪取に関するハーグ条約」に大きく違反しているためだ。

国連は法律の改正を日本政府に勧告した
日本は1994年に子どもの権利条約に批准しているが、「児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する(9条1項)」などとする条約内容に明確に違反する状態となっている。
このため、国連の子どもの権利委員会は今年2月、共同親権を認めるために離婚後の親子関係に関する法律を改正することを日本政府に勧告した。日本が「単独親権」の状態のまま問題を放置していることを、国際社会から公然と非難されているということだ。
この問題に取り組む上野晃弁護士は、日本人同士の夫婦で同じように事実上誘拐され、もう一方の親との接触を断たれる子どもたちは「年間数万人に上る」と話す。多くの場合、父親が連れ去りの「被害者」となるが、彼らが子どもに会おうとしても、政府や裁判所は助けてはくれない。
裁判所は、これまでの子どもの生活拠点を優先する「継続性の原則」を適用して、一方の親(たいていは母親)に親権を与える。また、刑法の未成年者誘拐の規定は「実の親はのぞく」といった規定は設けられていないにもかかわらず、実の親が子どもを連れ去った場合は、誘拐には当たらない慣習となっている。時間がたって子どもが新しい環境に馴染
なじめば、「誘拐」の事実はなかったことになり、連れ去った側のみに親権が与えられることになる。

「DVがあった」と主張すれば親権が奪える
上野弁護士は、「問題は日本文化に深く根差している」と言う。伝統的に、子どもは一人の人格を持った人間というより、「家の所有」と考えられている。子どもが新しい家に移されると、引き離された側の親は、新しい家に介入する権利のない「部外者」にされてしまう。「数え切れないほどの数の子どもを奪われた日本の親たちが沈黙を強いられている」と語ります。
また、日本では、ドメスティックバイオレンス(DV)の申立ての真偽を評価する仕組みがなく、その結果、DVの申立ては離婚の際に当たり前のようになされる。DVの申立てをすることで、相手方と子どもとの交流を拒否する根拠となり、「確実に親権を奪える」ことになる。
フィショとペリーナ両氏はどちらもDVの申立てがなされ、その主張を覆すことができた。フィショ氏は、妻が「家に閉じ込められていた」と主張した2週間の間に買い物と外食をしていたことを、領収書や銀行取引明細書、写真などで証明し、ペリーナ氏に対する申し立てについては、裁判所は「虚偽である」と判断した。

裁判所はフィショ氏の親権の主張を退けた
今年7月、DVの認定はされなかったものの、裁判所はフィショ氏の親権の主張を退けた。裁判官は、「妻は1年以上子どもの世話をしており、子どもたちの教育により深く関わり、より多くの愛情を持っていた」と判断したのだ。車のトランクに子どもを入れて連れ去ったことについては、「本人かどうか特定できない」。フィショ氏は、「家のガレージから連れ去られて、母親ではないなら誰なの? それこそ大事件でしょ」とその判断のおかしさを指摘する。もっともだ。
こうしている間にも、単純計算で数十人の子どもたちが国内で一方の親から引き離されているかもしれない。フィショ、ペリーナ両氏は、今後も国内外で訴えを強めていくという。
国内の政治家、行政、裁判所も、海外からの声にようやく、重い腰を上げる時が来た。実子誘拐が犯罪となり、子どもたちが親から引き離されなくなる制度が実現する日が、もう目の前に来ている

DV被害、追い出し離婚…、共同親権を望む母親たちの声

出典:令和元年10月8日 Yahooニュース

DV被害、追い出し離婚…、共同親権を望む母親たちの声

これまで日本における子どもの連れ去り被害や、共同親権を望む当事者の声は父親がほとんどでした。しかし、実際には母親の側も共同親権を望んでいるのです。特にDVの被害に遭い、しかも親権をとれなかった別居母親たちの声は全く社会には届いていません。
共同親権の説明についてはこちらの記事をご覧ください。
日本でも離婚後の「共同親権」導入を(親子が親子であることを当たり前の社会へ)
今回は、追い出し離婚によって子どもたちと引き離された母親と、DVの被害に遭い子どもたちと一緒に逃げ出した母親について取材しました。

現代にも残る「追い出し離婚」の実態
ジブリさん(仮名・40代)は「追い出し離婚」の被害者です。長男と長女の2人と無理矢理に引き離された後、元夫側から子どもたちに会いたいなら離婚届に署名しろと脅迫を受けました。今現在、子どもたちは徳島県の山間部に住んでいますが、限界集落での生活を余儀なくされています。子どもたちにはアレルギー疾患が判明していましたが、治療も受けられず医療虐待の疑いがあります。今年7月には子どもたちをジブリさんが引き取ることになっていましたが、元義父に妨害され音信不通です。警察にも介入してもらっていますが、向こうの元義父母から跡継ぎが出来たのでジブリさんはもう用済みだと言われています。
ジブリさんは「子どもたちに会えるという期待や希望が踏みにじられてからは、日常生活もまともに送れず涙が止まらない日々が続いています。何とかアレルギー疾患で命を落とす事が無いよう回避して欲しいと願っています。そして、必ず時間が掛かったとしても会えたときには二人の子どもたちを思いきり抱きしめたいです。共同親権であれば子どもたちの意志も尊重されるようになると思いますし、そう願っています。」と涙声で語っていました。

DV被害者が共同親権を望む理由
岡田 茜さん(仮名・40代)はDV被害者で二児の母親です。元夫によるDV被害から逃れるため子どもたちと一緒に警察に保護を求めてシェルターへ避難しました。保護命令1回目の期間中に元夫からの接触(脅迫行為)があり、2回目(延長)を申請して受理されています。判決では面会交流は「無し」となりましたが、離婚成立後に岡田さんの一存で数回子どもたちと面会させていました。
共同親権のことを岡田さんが知ったきっかけは児童福祉施設でのボランティア活動だったといいます。離れて暮らす実両親を恋しがる子どもたちに触れ、子どもの気持ち、親権の在り方について考えたのが始まりでした。あるお子さんに「新しいお家、嫌だ。本当のお父さんの所がいい。先生お願い、連れてって」と言われたときは本当に辛かったし、今でも思い出すと涙が出てくるそうです。
岡田さんは「子どもの連れ去り、虚偽DVという言葉はTwitterの書き込みを見て知りました。まさかこんな悲しみが潜んでいたのかと、かなり衝撃を受けましたね。子どもと引き離された親の悲しみと、親を求めた施設の子どもたちが重なって一気に引き込まれていきました。」と、そのときの想いを語ってくれました。

同じDV被害者からも理解されない悩み
岡田さんはDV被害者の中で「単独親権=同居親=DV被害者」と、「共同親権=別居親=連れ去り被害者」の構図があることに衝撃を受けたと言います。なぜなら、子どもの連れ去り被害者の中にもDVの被害に遭っている母親がいることを知っていたからです。親権を失ったDV被害者や、DVを立証できない被害者を救える手立ては共同親権しかないと考えていました。
「子どもと引き離された親の中にDV被害者がいるのに、なぜ共同親権に反対をしているのか?」と、いつしか岡田さんは共同親権に反対しているDV被害者へ理解を求めるようになりました。しかし、ようやく得た平穏な生活を脅かされる危惧があるのか、なかなか理解は得られない状況が続いています。Twitter上では「DV被害者のくせに」と共同親権を推進している岡田さんを批判する人たちまであらわれました。
共同親権に反対しているDV被害者のほとんどは親権を有する同居親です。係争中の方もいるかもしれませんが、深刻な事態からは脱し、救済された形となっています。その上で共同親権に反対するのはなぜか。岡田さんの目には、自分たちの安全・安心のために親権を失った別居親、DV被害者の犠牲から目を背けているように映っていました。

DVの被害に遭い、しかも親権をとれなかった別居母親たちを救いたい
諸外国の運用を見ると、離婚後共同親権制度には単独親権が含まれています。加害性があるなど、子どもに悪い影響を与える親には監護権は認められず、面会も制限されます。また、親権停止・剥奪と組み合わせれば完全に単独親権状態となります。共同親権が導入されてもDV支援の運用が見直されない限り虚偽DVでの連れ去りは後をたちません。虚偽DVが大きな問題となればシェルター運営に支障をきたし、真正のDV被害者までいわれのない疑いをうける可能性があります。そして付け焼き刃のような運用見直しが行われれば避難・保護の妨げになる可能性もあります。
岡田さんは最後に「同居DV被害者の皆さんも過去のトラウマなどで苦しんでおられると思います。ケアサポートが不十分ですからね。でも優先すべきは今現在、苦しんでおられる方々です。DV被害者を含む別居親のみなさんを救いたし、子どもたちの尊厳を守りたいと思っています。」と、強い決意を語ってくれました。
法務省は離婚後も父母の両方が親権を持つ「共同親権」の導入の是非について検討する研究会を年内に設置すると発表しました。結論を受けて導入が必要と判断すれば、法相が民法改正を法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する見通しです。ぜひとも、共同親権が実現し、被害者と子どもたちが断絶させられている今の日本の社会を変えて欲しいと願っています。

離婚後の共同親権は制度改定だけでは不十分

出典:令和元年10月8日 Newsweek

離婚後の共同親権は制度改定だけでは不十分

<両親の離婚後も、子どもが双方の家族から愛情を受けられるよう、制度とカルチャーの両面を変えていくことが必要>
日本の法務省は9月27日、離婚後も父母双方が子供の親権を待つ「共同親権」制度の是非をめぐる研究会を立ち上げ、議論を開始すると発表しました。河井克行法相は同日午前の記者会見で、この共同親権の問題について、「一定の方向性をあらかじめ定めているわけではない。実り多い議論が行われることを期待する」と述べたそうです。

この制度ですが、このコラムでも再三にわたって取り上げた「ハーグ条約」、つまり国際離婚における子どもの一方的な連れ去りを禁止し、連れ去りが発生した場合は子どもを元の居住国に戻すことなどを定めた条約を日本が批准したことで、改めて必要になってきた制度であると言えます。
現在の日本の民法では、この共同親権制度がありません。そのために、国際結婚が破綻した場合に、日本で離婚裁判を行うと単独親権という判決が出ることから、欧米圏出身の配偶者の場合は、そもそも日本での裁判に応じないという実情があります。その結果として、外国人の側の親は自分の国における離婚裁判を強硬に主張して、日本人の親に不利な結果を引き出す傾向があります。
共同親権制度が導入されれば、離婚後に母親が単独親権を獲得した場合に、父親の面会権が十分に保障されないとか、反対に父親が養育費の支払い義務を怠るといった問題が、改善されるケースも増える可能性があります。

制度への社会的な理解が必要
ですが、この問題、制度だけを用意してもダメだと思います。離婚と親権、面会権などを取り巻く、社会的な理解を変えていかなければ、制度だけを変えてもうまくいかないからです。
1つは、共同親権という制度への社会的理解をどう進めるかという問題です。共同親権というのは、離婚後の子どもについて、例えば平日は母親で、週末は父親であるとか、通常は父親だが夏休みは母親といった取り決めをして、子どもは双方の親の間を行き来するという制度です。
社会的理解というのは、ある子どもの家庭が、そのような選択をした場合に、学校や子どもの友人の家庭などが、そのことにしっかり理解を示すことが必要だということです。共同親権の下で育てられている子どもが差別されたり、誤解を受けたりするようなことがあってはなりません。

2つ目は、ルールを厳格に決めるということです。共同親権というのは、すでに夫婦ではなくなった、そして離婚の過程で利害衝突を調整してきた当事者達によって公正に運用されなくてはなりません。反対に、ルール違反が起きた際には厳格に対処する規定も必要です。例えば、自分が担当でない日に子供を連れ去るような問題には、厳重な罰則を設定しつつ、そのような事態を防止するために周囲の理解を進める仕掛けが必要です。

3つ目は、離婚後の新しい配偶者の問題です。日本でも、もちろん血の繋がらない親子関係を立派に築いてお子さんに愛情を注いでいる親御さんもたくさんいます。ですが、社会として「血の繋がりがない」場合に、愛情が注げないことへの「許容」がまだ残っているように見られます。

極端な例は、近年問題になっている「再婚カップルにおける連れ子への虐待」です。もちろん、明るみに出れば厳しいペナルティを課すようになっていますが、社会として防止策は十分とは言えないように思います。

連れ子に対して「冷淡な」カルチャー
例えば、現在の離婚後の運用においては、親権のない親に面会権があったとしても、「その親が再婚したら面会権を遠慮する」とか「再婚相手が、前の婚姻における子供と面会することに対して不快感を表明してもいい」あるいは「再婚相手の前の婚姻による子供については、自分は血の繋がりがないので親としての責任を尽くさないでいい」といったカルチャーが、まだまだ残っているようです。
共同親権がうまく機能しているケースでは、ほぼ100%「自分のところに子供が来る日には、再婚した新しい配偶者も一緒にその子に愛情を注ぐ」ということが実行されています。社会的にそのように誘導するようなカルチャーが必要ではないでしょうか。
いずれにしても、共同親権というのは、その制度を取り巻くカルチャーについても、アップデートを要求します。子どもを1つの家族に囲い込むのではなく、2つの家族を行き来する中で、それぞれの家族が愛情を注ぐ、そしてそれができないというウォーニングが出た時には、制度的に子どもが救済される仕掛けを、制度とカルチャーの両面で用意することが必要です。

続「共同親権の展望」(上)解けない対立

出典:令和元年10月6日 中日新聞

続「共同親権の展望」(上)解けない対立 早川昌幸(読者センター)

 「報道していただき、心から感謝しています。苦しんでいる人たちの実情を社会が認識し、支える土壌が出来上がっていくのではないか、と期待しています」
 「私も当事者で、いろいろな被害者と会い、苦しみを耐え抜いてきました。仲間たちも、この記事を見て涙しております」
 前回の特集(本欄七月七、十四日付)に、男女の当事者らからさまざまな意見が寄せられた。

◆世界の潮流に遅れ
 離婚後共同親権を認めていないのは、先進七カ国(G7)では日本だけであり、国連の子どもの権利委員会が今年、日本に「児童の共同親権を認めるため」の法改正を求める勧告を出した。国全体として、この問題に正面から取り組む必要がある。そんな流れの中で、一石を投じたつもりだ。
 一方で、主に子どもと同居する側の立場を代弁する複数の弁護士から「共同親権賛成に偏り一方的だ」という批判もあった。
 DV(家庭内暴力)問題を中心に実績のある弁護士は「裁判所で親権者や子どもの面会が否定される背景には、DVや児童虐待が存在しているケースも多い。DV、児童虐待は立証が難しく、安易に共同親権が適用されることにならないか懸念がある」と指摘。「共同親権制度でないから、親権や面会が認められないと訴えるのは、理論のすり替えに他ならない」と主張する。
 前回の特集では、メイン見出しに「子ども第一の目線で臨め」(上)「心のケア体制整備急げ」(下)とあるように、視点はあくまで子どもが最優先だという点にあることを、まずは確認しておきたいと思う。
 どちらか一方の側に立つのではなく、子どもの利益を優先すべきなのは言うまでもない。この国の現状が、最優先されるべき子どもの利益がないがしろにされているのではないか、という世界からの非難にさらされていることを忘れてはなるまい。
 離婚後のスムーズな面会交流が実現しない理由の一つは、激しい感情的な対立が続いているケースだ。
 調停に限界があれば、子どもへの影響を緩和する第三者機関などの対処手段が必要だろう。夫婦間の激しい対立やDVに共通するのは、当事者だけで解決するのが難しい、ということだ。家庭裁判所がその機能を十分に果たし切れているとは言いがたい。
 すでに社会人になっている遼さん(32)は子どものころ、父親の勤務先の会社の経営が傾いたことをきっかけに父親が母親に暴力を振るうようになり、それがトラウマ(心的外傷)になった。
 「あのころはどうしたらいいか分からず、パニックになった」
 引きこもり生活が続き、福祉系の大学を卒業して介護職に就いたものの、仕事上のトラブルで心の病に。利用者として通い始めた就労支援会社の女性経営者の励ましと、自らと同じような境遇の主人公を描いた映画「ママかパパか」を見たことが救いになったという。
 利用者から正社員である「職業指導員」に採用され、あるとき「昼食作りを手伝って」と、幼いころに親の離婚を経験した十七歳の利用者の少年に包丁を渡すと、少年は手際良く野菜を切ってみせた。「会いたい」と慕う父親は腕利きの板前だった、と聞かされた。遼さんの父親への思いと重なり「嫌いだった自分を肯定できるようになった」。
 最近、母親に内緒で父親に「どうしてる」と手紙を書いた。返事はまだ届かないが「僕にとって、たった一人の父親。今も会いたい」と思いを語る。
 十組の離婚には十のパターンがあり、一律に判断できる物差しはない。だが、子どもの「会いたい」と願う思いに寄り添う必要がある。現状では、裁判所が公平に仲裁したり、事実の真偽を判断したりできないまま、結論を下すケースが少なくない。時代に合っていないのではないか。

◆科学的知見も必要
 立命館大の二宮周平教授(家族法)は、子どもが別居親からも見守られていると確信できるとして「面会交流」の意義を認めた上で、こう指摘する。
 「DVが原因で離婚した場合、加害者には治療を含む更生プログラム、被害者にはエンパワーメント(励ましによる力づけ)のためのプログラムが必要。そういった仕組みやルールが日本では不十分だ。法曹界にも心理学など科学的知見が求められる」
 時代に合った調停・審判のシステムを確立しなければ、夫婦間の対立が激しいケースで子どもの利益を最優先にした解決への糸口は見えてこないだろう。

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genron@chunichi.co.jp

離婚後の「共同親権」導入の是非を検討へ 法務省

出典:令和元年9月27日 NHK

離婚後の「共同親権」導入の是非を検討へ 法務省

離婚したあとも父親と母親の双方が子どもの親権を持つ「共同親権」について、法務省は、新たに研究会を設け、導入の是非を検討することになりました。
離婚したあとの親権は、日本では父親か母親のどちらか一方しか持つことができない「単独親権」が民法で規定されていますが、海外の先進国では、両親がともに持つ「共同親権」が主流となっていて、法務省は、海外の制度や運用状況の調査を進めています。

こうした中、法務省は、離婚したあとの子どもの養育の在り方や、「普通養子縁組」の制度の見直しなどを議論するため、有識者や裁判官などからなる新たな研究会を年内をめどに設け、「共同親権」の導入の是非について検討することになりました。
河井法務大臣は記者会見で、「共同親権については、家族法の専門家や関係者、当事者からさまざまな意見があることは承知している。社会全体のいろいろな立場からぜひ丁寧に議論してほしい」と述べました。

「共同親権」導入の是非検討 法務省、研究会立ち上げ

出典:令和元年9月27日 日本経済新聞

「共同親権」導入の是非検討 法務省、研究会立ち上げ

法務省は27日、離婚した後も父母の双方に親権が残る「共同親権」導入の是非を議論する研究会を立ち上げると発表した。年内に研究者や裁判官、弁護士を中心に議論を始める。法制審議会(法相の諮問機関)への諮問も検討する。
河井克行法相は同日の閣議後の記者会見で「家族法制に見直しを求める様々な声がある。論点を整理する」と述べた。
現在の民法では父母のいずれか一方が離婚後の親権を持つ「単独親権」を規定している。法務省は共同親権によって、別居親と子どもとの面会交流を積極的に実現し、子どもの養育環境を整えることに資するかどうか議論する方針だ。
研究会では離婚要件の見直しに関しても話し合う。離婚後の子どもの養育計画づくりを義務化するかが論点となる。現行法では協議離婚について裁判所が関与していないため、養育計画の提出は義務付けられていない。
研究会では少なくても1年以上をかけて議論する見通しだ。

離婚後の子どもの「共同親権」 法務省が導入検討へ

出典:令和元年9月27日 テレビ朝日

離婚後の子どもの「共同親権」 法務省が導入検討へ

 離婚後の子どもの「共同親権」について、日本でも検討が始まります。

 法務省は夫婦が離婚した後の子どもの養育の在り方について、年内にも専門家による検討を始めることを明らかにしました。離婚した後も両親が親権をともに持つ共同親権の導入について、議論するとしています。現在、離婚後の親権は父親か母親のどちらかが持つことになっていますが、離婚の増加に伴うひとり親世帯の貧困などが問題となっています。法務省は離婚の要件の見直しや離婚後の面会交流の促進についても議論するとしています。

離婚後の「共同親権」是非を議論 法務省、年内に研究会

出典:令和元年9月27日 朝日新聞

離婚後の「共同親権」是非を議論 法務省、年内に研究会

 法務省は27日、離婚後も父母の両方が親権を持つ「共同親権」の導入の是非などを検討する研究会を年内に設置すると発表した。数年かけて議論する見通し。結論を受けて導入が必要と判断すれば、法相が民法改正を法制審議会(法相の諮問機関)に諮問することになる。
 研究会は公益社団法人「商事法務研究会」が主催し、裁判官や弁護士、有識者、法務省幹部がメンバーとなる。
 現在の民法は、離婚後は父母のどちらかを親権者とする「単独親権」を採用している。子育ての意思決定はしやすいが、親権を失った親が養育に関わりにくくなり、子と交流を絶たれるなどの問題点が指摘されてきた。研究会では、別居中の親と子の面会をどう促進するかや、離婚時にその後の子の養育計画を作ることを義務化すべきかなどについても検討する。
 河井克行法相は27日の会見で「家族法制の見直しを求める様々な声がある。議論の方向性は定めず論点を整理する」と述べた。

共同親権、年内に研究会設置=導入の是非を議論へ-法務省

出典:令和元年9月27日 時事通信

共同親権、年内に研究会設置=導入の是非を議論へ-法務省

 法務省は27日、離婚後も父母双方に子の親権が残る「共同親権」の導入の是非をめぐり、年内に研究会を立ち上げ、議論を開始すると発表した。現行の民法は、離婚した場合には父母の一方を親権者とする「単独親権」を定めている。研究会の議論は少なくとも1年以上を要する見通しだ。
 河井克行法相は同日午前の記者会見で、共同親権について、「一定の方向性をあらかじめ定めているわけではない。実り多い議論が行われることを期待する」と述べた。
 現行法の「単独親権」では、親権を持たない親は子との交流が少なくなるとの問題点が指摘されている。研究会が法改正の必要性を判断すれば、法相は法制審議会(法相の諮問機関)に諮問することになる。

司法は「家族」を取り戻せるか

出典:令和元年9月16日 産経新聞

司法は「家族」を取り戻せるか 日本大学教授・先崎彰容

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     筆者は現在、ワシントンDCに短期滞在している。自由と民主主義の理念が完全に崩壊し分断社会と化したアメリカで、筆者は強い衝撃を受けた。アメリカに対してではない。8月23日付のヤフージャパンのトップニュースが、わが日本が抱える病理を、鮮やかにえぐっていたからである。
     ≪「妻に子を連れ去られた」事件≫
     タイトルは「妻に子を連れ去られた夫の叫び」。夫を残して2人の子供を連れ出し、別居状態にある妻との確執を取材した記事である。筆者を刺激したのは、このインタビューが私たちにとって「家族とは何か」「男女平等とは何なのか」を深く考える格好の事例だったからだ。真実は細部に宿る。市井の事件を洞察すれば、わが国を脅かす生活文化の崩壊を指摘できる、そう直感したのである。
     ※続きは紙面を参照ください。

【子と親の離別~揺らぐ親権制度】(下)子に会えぬ、海外から批判 制度に隔たり 離婚後トラブル増加

出典:令和元年9月3日 産経新聞

【子と親の離別~揺らぐ親権制度】(下)子に会えぬ、海外から批判 制度に隔たり 離婚後トラブル増加

 欧州連合(EU)26カ国の駐日大使は昨年3月、日本で離婚した加盟国出身の親が子供と面会できないケースがあるとして、子供の権利に注意を払うよう求める書面を当時の上川陽子法相に出した。米国務省は同年5月、国際結婚破綻(はたん)時の子供の連れ去りに関する年次報告で、日本を、離婚などで国境を越えて連れ去られた子供の取り扱いを定めたハーグ条約の「不履行国」に認定。今年は撤回したものの、「引き続き強く懸念する」とした。
 離婚後の親子関係をめぐり、日本へ働きかけをしたのはEUや米国だけではない。
 国連の「子どもの権利委員会」は今年2月、日本政府に対し、外国籍の親も含め離婚後の共同養育を認める法改正や別居親との接触を続ける方策を実現するよう求めた。
 日本で生活中に子供を連れ去られたイタリア人とフランス人の父親は昨年12月、海外からの批判が高まっているのは「裁判官の責任」とする公開質問状を最高裁長官に提出。ハーグ条約などよりも、同居親を優先する「監護の継続性」を重視して連れ去りを実行した親に親権を与える判決は不当だと訴えた。

 国際結婚の増加に伴い、どちらかが外国籍を持つ父母間のトラブルも増加している。両親の離婚後、「単独親権」をとるのは先進国では日本のみで、「共同親権」を前提とする外国籍の親が子供に会えなくなった際の困惑が、近年こうした形で表面化してきている。
 米ワシントン州に住む米国人男性(52)は、2008年に日本人の元妻と米国で離婚。州の裁判所で、男性が当時4歳の息子と同居する監護者となることや、合意しない限り転居しないことなどを明記した養育計画を定めた。

 ところが元妻は10年、領事事務所に息子の旅券を紛失したとする虚偽の申請を行い、不正に旅券を取得して息子と日本に帰国。富山家裁に、息子が既に日本の生活になじんでいるとして自身を監護者に指定するよう求める審判を起こした。
 男性は突然の事態に驚き、息子の引き渡しを求める審判を家裁に提起。家裁は、元妻を監護者に認めなかったが、同時に「(息子の)現在の平穏な生活を奪う」などとして男性に引き渡すことも認めなかった。
 男性は「決定は、元妻の違法行為を支持していると言わざるを得ない」として名古屋高裁金沢支部に抗告したが、棄却された。
 息子に会えないままワシントンに暮らす男性は「日本の制度は子の発達よりも同居親の希望を最優先している」と嘆く。

 国境を越えた子供をめぐるトラブルが複雑化するのは日本人同士でも同様だ。
 元夫の仕事の都合で家族でタイで暮らしていた女性(39)は、離婚した15年に家を出るよう元夫に迫られ、2人の子供と引き離された。女性が養育するとの約束だったが、「親権者は便宜上、僕にする」などと言われて元夫にしていた。激高しがちな元夫に逆らえず、ひとりで日本に帰った。その時はまだ、子供と会う機会は設けてもらえるはずだと考えていた。

 しかし相手の住所が国内にない限り、日本の裁判所に救済を求めることはできない。弁護士を通じて交渉したり、タイの裁判所に調停を申し立てたりしても親権を変更することはできなかった。夫が帰国したのを受けて女性は日本で調停に踏み切ったが、既に子供との別居から約4年。親権はあきらめ、今は調停で得た年に2回の面会と電話での間接的面会交流の決定に自身を納得させている。

 女性が最後に子供と面会できたのは昨年末。幼かった2人は大人びていた。なぜ別居しているかは「大人同士の争いに巻き込みたくない」ため説明できていない。女性は「健康に成長していることが確認できて最低限よかったと思うようになった。これから『ママは2人を見捨てたんじゃない。ずっと愛していたよ』と伝えていきたい」と話す。
 単独親権制度の見直しを検討している法務省は現在、世界24カ国の親権制度の実態を調査している。担当者は「単独親権か共同親権かという形式だけでなく、制度の運用や制裁、それらのメリット・デメリットなどを幅広く調べたい」としており、日本での課題に、どのような制度が有効か検討する方針だ。
 離婚後の子供をめぐるトラブルは後を絶たない。子供の養育環境を最優先に、新たな制度の実現が求められている。

ハーグ条約 一方の親がもう一方の親の同意を得ることなく、子を国外へ連れ出すケースに対応するため1980年に制定された国際ルール。国際結婚の増加に伴う子供の連れ去り問題に対応するため日本も締結し、2014年4月に発効。16歳未満の子が対象で、原則として元の居住国へ返還するとしている。

【子と親の離別~揺らぐ親権制度】(中)父「何かできなかったか」別居の娘救えず 死後も親権の壁

出典:令和元年9月1日 産経新聞

【子と親の離別~揺らぐ親権制度】(中)父「何かできなかったか」別居の娘救えず 死後も親権の壁

 「もっとやれたのにね。バカだった。悪かった」
 広島市の公務員、江邑(えむら)幸一さん(46)は、離れて暮らしていた長女の命を守れなかったことを悔やみ続けている。長女は平成26年11月、自宅で首をつり自殺した。16歳だった。
 元妻が突然、長女と次女を連れて家を出た約半年後の18年3月、江邑さんは娘たちの親権を失い、元妻との離婚が決まった。以来、元妻と娘たちは山口県で暮らしていた。
 江邑さんによると、長女は家庭内で孤立。児童相談所の支援を受け、児童養護施設を経て一時保護所の入退所を繰り返した。県が開示した児相の記録によると、「自宅の生活は限界」などと訴えていたが、児相が親元に返す「家庭引き取り」を決定した。自殺はその2カ月後だった。
 江邑さんに全く予感がなかったわけではない。「お父さん、死にたい」。生前、長女から何度か電話があった。誰にも言わずに家出し、夜、広島に来たこともあった。長女を捜索する警察に「娘がこちらにいたいと言っているので、いさせてもいいか」と聞くと、「連れてこないと逮捕します。母親が悲しんでいる」と言われた。
 長女の死後、仕事が手につかなくなった。「何かできなかったか」と自分を責める一方、「親権を持つのは母親側。親権者や児相がなぜちゃんと娘と向き合えなかったのか」との疑問がくすぶる。

 離婚後、親権を持つ親の下で子供が虐待を受けるなどして事件に発展するケースも少なくない。
 東京都目黒区で昨年3月、船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5)=が死亡した事件では、結愛ちゃんは親権を持つ実母や再婚相手の父親から虐待を受け、「前のパパがいい」と訴えていた。23年の民法改正では、虐待した親の親権を一時停止できる制度が新設されたが、悲惨な事件は後を絶たない。実父との関係を続けられる道があれば、SOSを生かせた可能性はある。
 その一つが、法務省が導入を検討している離婚後も父母で親権を持つ「共同親権」制度だ。現行の父母いずれかを親権者と定める「単独親権」制度では、親権のない親と子供との関係性は親権を持つ親の意向に強く影響されるからだ。親権のない親と子供の面会交流も、親権者が拒否した場合はほとんど制限される。厚生労働省の28年度の調査では面会交流をしているのは母子家庭で3割、父子家庭で4割強。最悪、生き別れとなるケースもある。
 これに対し、共同親権が主流の欧米では、子供の利益のため離婚後も面会交流や養育費負担などのルールを決め、父母が共同で子育てを担う。

 日本の民法でも面会交流は子供の利益を優先すると定められており、重要なのは子供の意向だ。親の離婚に悩む子供を支援するNPO法人ウィーズ(千葉県船橋市)理事長の光本歩(あゆみ)さんは、共同親権について「『離婚しても父と母、両方の子供』というメッセージになる」と歓迎する一方、面会交流に関しては「基本的に実施した方がいいが、子供にとって負担になる場合もあるので成長に合わせて柔軟に検討すべきだ」とする。「子供は父母間の負の感情を敏感に感じ取る。父母の争いを低減させることや、子供が抱く不安や戸惑いをサポートすることも必要」と話した。
 《たぶん期待してたんだ。だれかが家にかえらなくていいなにかを提案してくれることを》。長女の26年の日記からは、自宅以外での生活を強く望む気持ちが読み取れる。《消えたい。児相だって母さんの味方やんか》《(母親と)まじで上手(うま)くいかない。いしそつうもはかれない》。言葉に葛藤(かっとう)がにじんでいた。
 江邑さんは長女の死後、自殺直前の時期に何があったか知りたいと考え、山口県に児相記録の開示を請求した。しかし県は「親権者ではない」などとして開示を拒否。娘の死後すら親権が壁になった。
 その後、開示を求めて提訴。山口地裁は昨年10月、県の非開示決定を取り消す判決を出した。県は部分開示に応じたが、江邑さんは家庭引き取りの決定の理由など重要部分が黒塗りだったとして今年7月、全部開示を求める訴えを改めて地裁に起こした。
 「僕にも親権があれば自殺するほど娘は追い詰められなかっただろうし、死後に県に対応を隠されることもなかった。そもそも共同親権の選択肢があれば親権争いの調停も必要なかったのではないか」。悲劇を繰り返さないため、江邑さんは制度のあり方にも考えをめぐらせている。
 親権の一時停止 児童虐待の深刻化を受け、平成23年の民法改正で新設された。親権が適切に行使されない場合、2年以内の期間に限って親権を止めることができる。子供自身や親族、検察官、児童相談所長などの申し立てに基づき、家庭裁判所が判断する。

【子と親の離別~揺らぐ親権制度】(上)まかり通る「連れ去り勝ち」 離婚後の単独親権、相次ぐトラブル

出典:令和元年9月1日 産経新聞

【子と親の離別~揺らぐ親権制度】(上)まかり通る「連れ去り勝ち」 離婚後の単独親権、相次ぐトラブル

 突然の出来事だった。
 「あなたとはもう一緒に住めません。しばらく別居します」。2年前、当時地方勤務だった東京都の会社員男性(47)は仕事中、妻から受けた電話に耳を疑った。それまで何の相談もなかった。当時7歳と4歳の息子と家族4人で幸せに暮らしていると思っていた。慌てて自宅に戻ると、妻と義父が引っ越しの荷出しをしていた。子供たちは義母がどこかに連れ出したようだった。
 「こんなやり方、ひどいじゃないですか」。義父に訴えたが、「娘が決めたことだから」と取り付く島もない。その後、子供との面会を求めると、妻側は「子供の精神状態が不安定」として弁護士を通じ拒否。役所や子供たちの学校に問い合わせても、転居先や転校先を教えてもらえない。住民票には、妻から閲覧制限が申請されていた。これは家庭内暴力(DV)が理由とされるケースが多いという。男性は妻や子供に手を上げたことは一度もない。
 子供たちとの面会を望む男性は嘆息まじりに吐露する。「妻や義父母はこんな卑劣な手段を使うような人たちではなかった。それがまかり通る今の法制度に問題があるのではないか」
            □ □ □
 近年、夫婦の一方が相手に黙って子供と家を出る「連れ去り」が頻発している。離婚や親権の問題に詳しい上野晃弁護士によれば、離婚時の親権争いで、家庭裁判所は育成環境が一変するのは子供に不利益になるとの考えから、同居している親を優先する「監護の継続性」を重視するため、連れ去りが親権を勝ち取るテクニックとして定着しているのだという。

 「連れ去った側は『DV被害を受けた』『夫婦不仲で子供の成長に悪影響』といった理由を主張すれば、裁判所は安易に容認してしまう。『連れ去った者勝ち』の状況だ」(上野弁護士)
 平成28年3月に千葉家裁松戸支部で判決が言い渡された親権訴訟は、こうした司法判断に一石を投じるものとして注目された。長女を不当に連れ去られたとする男性側と、男性からDV被害を受けたとする元妻側との訴訟で、男性側は「親権を得たら長女と元妻を年間100日程度、面会交流させる」、元妻側は「面会交流は月1回程度」と主張。判決は妻のDV主張を認めず、男性側の提案を「長女が両親の愛情を受け、健全に成長できる」と評価して男性側を勝訴とした。
 だが控訴審の東京高裁は29年1月、「面会交流が他の事情よりも重要度が高いとはいえない」として、監護の継続性などを重視し男性側を逆転敗訴とした。最高裁もこれを支持した。
 こうした現状に歯がゆさを覚え、連れ去りを犯罪だとして刑事告訴に踏み切る当事者も出てきた。連れ去られた側の関係者によると、昨年ごろから少なくとも全国約20カ所の警察署や地検に告訴状が出され、受理された。

 兵庫県の自営業男性(48)は、28年に当時5歳の長男と3歳の長女を連れ去ったとして営利目的略取誘拐罪で元妻と元妻の代理人弁護士を県警に告訴した。受理されたものの、後に不起訴となった。元妻は連れ去り時にDV被害を県警に訴えたが、これも不起訴に。それでも監護者争いでは元妻が勝訴した。男性は「虚偽のDV申告を盾にした連れ去りは誘拐だ」と憤る。
 司法統計によると、子供の引き渡しを求め、家裁に審判や調停を申し立てるケースは年々増加。昨年は約3700件で、この10年間で倍以上に増えている。
 親権争いが起きる背景には、日本の民法が離婚後の「単独親権」制度をとっていることがある。一方、欧米では離婚後も両親が親権を持つ「共同親権」制度を採用している国が多い。
 日本では親権のない親はほとんど子育てに関わることができず、面会交流も親権者の意向で制限される。親権者の再婚相手などによる児童虐待にもつながっているとの指摘もある。法務省は選択制などでの共同親権導入を含めた制度見直しの検討に乗り出している。
 上野弁護士は「昔と違って今は父親も育児に参加する。これからの時代に合った法制度や裁判所の運用が必要だ」と強調する。

 一方で慎重な意見もある。東北大の水野紀子教授(民法)は指摘する。「日本は他国と異なり、DVや虐待に対する支援が貧弱で、被害者に残されているのは逃げて別居する自由だけ。支援が整わないうちに共同親権を導入するのは危険だ」
            ◇
 親権制度が大きく揺らいでいる。親権をめぐるトラブルや訴訟が相次ぎ、親権を失った親が子供と会えず生き別れとなるケースも少なくない。傷ついた当事者の声をたどり、制度のあり方を考える。
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親権 未成年の子供に対して父母が持つ権利や義務。民法では、日常の世話をする監護や教育のほか財産管理などが定められている。結婚していれば原則、2人が親権者となるが、離婚した場合、日本は一方を親権者に定める「単独親権」をとっている。 

日本の公的機関が実子誘拐に役立つようなセミナーをしたというのは本当なのか?

出典:令和元年8月31日 YAHOOニュース

日本の公的機関が実子誘拐に役立つようなセミナーをしたというのは本当なのか?
プラド夏樹(パリ在住ライター)

前回、日本人パートナーによる実子連れ去りが、ハーグ条約に反していると大きな国際問題になっていることについて書いた。
(注)ハーグ条約:国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約。一人の親が、もう一方の親の同意なしに16歳未満の子どもを連れて加盟国間の国境を超えた場合、子どもは元の国に戻すということを定めた条約。日本については2014年から、フランスは1983年から発効
その中で、パリの弁護士事務所Zimeray-Finelleのジェシカ・フィネル弁護士が国際連合人権理事会に、日本に連れ去られた子どもの保護に介入するよう訴え出たことに関して言及した。同弁護士の発表を元にもう少し深く掘り下げてみたい。
日本では、両親の別離によって年間約15万人の子ども(日本国籍および日本と他国の二重国籍。子どもの人権保護に努めるNPO団体、絆・チャイルド・ペアレント・ユニオンの発表による数字)が片方の親によって連れ去られていることを挙げ、「日本政府は『児童の最善の利益』について明記している国連児童の権利条約第3条(注)を遵守していない。東京国際大学の小田切紀子教授が強調するように、このような子どもたちは酷いトラウマにさらされ、長期的には学校教育で落ちこぼれてしまったり、ハイパーセクシャリティーやそのほかの自己破壊的な行為など、自らを危険にさらすような行動をするようになることがある」としている。
(注)国連児童の権利条約第3条:「児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しく は私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする」

日本政府の責任は重大
続いて、日本政府は実子誘拐(注:フィネル弁護士の発表内では連れ去りではなく誘拐と言う言葉が使用されている)を容認しているとその責任を厳しく追求している。本文第3、4段落では、「日本では、実子誘拐は民事とみなされているため、被害届を出そうとしても、日本の警察は受理しない。それどころか、子どもを取り返しに行こうとすると、かえって刑事訴訟されることになると脅すことさえする。そして、家庭裁判所は子どもの精神安定のためと称して、実子を誘拐した親に親権を与える。もう一方の親が、裁判所が定めた場所で月に2時間から4時間というごくわずかな面会交流権利を得たとしても、親権をもつ親が了承しなければ、裁判所は何もしない。日本政府はこのような犯罪行為に対して見て見ぬ振りをし、最悪の場合でも奨励しているようなものだ。問題が起きていることを知りながら、実子誘拐を優遇するようなシステムを続け、子どもの権利、特に日本も署名した国連児童の権利条約第9条にある「児童が父母との接触を維持する権利」を侵害し続けている」としている。
日本の外交および文化公的機関が実子誘拐に役立つようなセミナーをしたのか?
また、第5段落では、2018年5月15日にパリ日本文化会館で外務省と日本弁護士連合会が共催して開いた日仏離婚・親権制度ハーグ条約の仕組みと内容に関するセミナーについても言及している。このセミナーの中で、フランスで生まれた実子の誘拐をして日本に連れ去るテクニックを暗に示唆したというのだ。
フランスで日本人パートナーが実子を誘拐し日本に連れ去るという事件が数件起きているにも関わらず、パリ日本文化会館は2018年5月、『国際結婚に伴う親権(監護権)とハーグ条約セミナー』開いた。アメリカのNPO団体Bac Homeは、このセミナー中に、どのようにしたらもう一方の親の同意なしに日本に子どもを連れ帰り、その後、子どもがフランスに送り返されるのを回避することができるか、より簡潔に言えば、どうすれば問題なく子どもを誘拐することができるかについての説明がなされたと発表している。これは、1980年に採択されたハーグ条約の侵害にあたる。」とし、フィネル弁護士は、「日本の外交および文化公的機関が実子誘拐に役立つようなセミナーをしたのが真実であるならば、非常に重大なスキャンダルだ。私たちは在仏日本大使館に説明を求める」と言っているということだ。
最後に、フィネル弁護士は、2005年から子どもに会うことができないでいる母親1人と、片方の親に会うことが全くできない、あるいはかなり限られた時間しか会うことができない子どもたち9人の名を挙げている。そして、このような状態に置かれている子どもたちのために、国際連合人権理事会に、次のような手段で介入することを求めている。
1. 国際連合人権理事会に上記のような状態について報告する独立した専門家、国連特別報告者の任命。
2. 日本政府に対して度重なる子どもの権利の侵害をやめるように勧告する決議の採択

子どもを連れ去る親のケーススタディーで学ぶスタイルのセミナー
ところで、アメリカのNPO団体Bac Homeは、上記のパリ日本文化会館で2018年5月に開かれた『国際結婚に伴う親権(監護権)とハーグ条約セミナー』の内容を録音したBac Home 音声資料をネット上で公開しているので、これを聞いてみた。子どもを連れ去る親のケーススタディーで学ぶスタイルのセミナーだ。
以下、講師の弁護士が次のようなことを言っている部分が問題視されているように思われる。
40分目:(フランスから日本に連れ去られた)子どもの意思が(フランスへの)返還拒否事由になることもあることを説明し、その上で「学校で例えば差別を受けているとか、そんな場合には子どもの異議って通るんです。あくまで子どもがフランスに返還されることを望んでいないことってところがポイントです」と言っている。
44分目:「(連れ去られた子どもをフランスに返還しなくてもいいということも例外的にはあるが、認められにくい。だから、日本に)戻って来る前にキチンとできることを、このフランスでできることをやってから戻ってくる」。そしてその「できること」とはDVの証拠を警察への被害届、病院の診断書、シェルター収滞在証明、パートナーの薬物・アルコール依存の証拠ですよと説明している。

外国で暮らす悩める日本人妻たち
子どもの連れ去りは国境を越えてであれ、日本国内でありしてはいけないことであることは確実だ。しかし、上記のセミナーには多くの日本人が集まったとの(70名が登録)こと、日本文化会館館長がはじめに「このハーグ条約関係、あとお子さんのですね問題ですね、あとDV、まぁその 辺の話の相談は非常に受けます」と6分目あたりで話していることを聞くと、国際結婚をして悩んでいる日本人がいかに多いことかと思い、胸が痛むのも事実だ。
外国で暮らすのはやはり難しいのだ。言葉の問題はもちろん、日本では後ろ盾となる実家などないし、そのうえパートナーとうまくいかなければ辛いものがある。男女平等は日本より浸透しているが、それゆえ「君は稼ぎが少なすぎるよ。いったいなんだって僕が君を養わなきゃいけないんだい?」と言って離婚に持ち込む男性など珍しくもない。夫婦でも銀行口座はそれぞれ個人口座というのが普通だ。男女の給料差は歴然として残る(男性の方が18.5%高い)うえ、おまけにこちらは外国人でどんな仕事にでもアクセスできる訳ではないのに「そこまで言うか?」と思うが……。
私自身がフランス人と結婚しているので、「うちの娘にもフランス人と結婚してほしいわー。そしたら私もパリに行けるし」などと冗談交じりに言う人もいるが、そういう人には「慎重にね」といつも答えることにしている。

◇プラド夏樹(パリ在住ライター)
慶応大学文学部卒業後、渡仏。在仏30年。共同通信デジタルEYE、駐日欧州連合代表部公式マガジンEUMAGなどに寄稿。著書に「フランス人の性 なぜ#MeTooへの反対が起きたのか」(光文社新書)。ご連絡はtwitterのDMへお願いします。

日本人パートナーによる実子連れ去りが国際問題に

出典:令和元年8月24日 YAHOOニュース

日本人パートナーによる実子連れ去りが国際問題に
プラド夏樹(パリ在住ライター)

子ども連れ去りイコール誘拐か?
この8月、実子を日本人パートナーに連れ去られた母親1人と父親9人(そのうち3人はフランス人)が、パリの弁護士事務所Zimeray-Finelleのジェシカ・フィネル弁護士を通して、日本において子どもの権利が侵害されているので介入するよう、国際連合人権理事会に申し立てた。
同弁護士が発表したところによると、日本では年間約15万人(子どもの人権保護に努めるNPO団体、絆・チャイルド・ペアレント・ユニオン発表の数字)の日本国籍および日本と他国の二重国籍の子どもが片方の親によって連れ去られている。もう一人の親は、時には何年間も子どもと会うことができない状況にあり、これは「子どもの権利に対する侵害」にあたるというのがその理由だ。
日本人妻に子どもを連れ去られたフランス人パパたち
フランスで日本での子どもの連れ去りが大きく報道されたのは、今年3月、国営テレビ局・フランス2の番組「日本、誘拐された子どもたち」によってだった。

日本人妻に子どもを連れ去られたフランス人男性2人(一人は日本在住、もう一人はフランス在住)が、日本で子どもを探す様子を追ったフィルムだ。
そのうちの一人であるステファンさんが、子どもにプレゼントを持って元妻の実家を訪れるが面会を許されず、権利を強く主張した挙句、警察に連行されてしまうシーンもあった。この番組のナレーションでは、「フランス人男性約100人近くが、日本人パートナーに子どもを誘拐された」、「2010年以来、子どもを誘拐されたフランス人男性2人が自殺した」などと語られている。
日本では子どもの教育はどちらかというと母親の役割と考えられており、夫婦仲が悪くなると、妻が子どもを連れて実家に帰るというのは珍しくないのかもしれない。連れ去りに関して警察や裁判所は「プライバシーだから」と介入しないし、単独親権制なので、結局は妻が親権を得る場合が多いらしい。
しかし、今、それは日本国内だけの問題ではなくなってきている。近年、国際結婚が増えており、フランスのように共同親権制の国では、子どもの「連れ去り」イコール「誘拐」とみなされる。もう一人の親が子どもと会うことを阻止するのも、「子どもに対する虐待」と判断されかねない。「国連子どもの権利条約9条」で、すべての子どもには親と引き離されない権利が、また何らかの理由で引き離されても会ったり連絡する権利が保障されているからだ。つまり、「日本では実子の誘拐と虐待が容認されている」と解釈されてしまう。

日本の単独親権制ゆえに子どもに会えなくなる外国人の親たち
8月17日のLe Parisien 紙には「日仏ダブルの子どもをもつ母マリーン、親権を得るための戦い」というタイトルの記事が出た。マリーンさんは日本人男性と結婚し日本で暮らしていた。最初はラブラブだったが、その後は夫からちょっとした言葉の暴力を受けるようになり、そしてルイ君(現在4歳)が生まれると、夫婦仲はさらに悪化。夫は身体的な暴力もふるうようになった。
2014年、マリーンさんは夫と話し合い、しばらく距離を取ることに決め、フランスに3ヶ月の予定でルイ君を連れて帰国した。ところが、フランスで医師の診療を受けた際に夫の暴力について話すと、「日本には戻らないほうがいい」と言われ離婚を決意。マリーンさんは離婚手続きを始めた。
しかし、夫も黙ってはいない。「子どもの誘拐」という理由でマリーンさんを訴えた。日本もフランスハーグ条約(注)に批准しているからだ。
(注)ハーグ条約:一人の親が、もう一方の親の同意なしに16歳未満の子どもを連れて加盟国間の国境を越えた場合、子どもは元の国に戻すということを定めた条約
そのため、マリーンさんの訴えに対して、フランスの裁判所では2度にわたって「子どもは日本に返すこと」との判決を下した。その後、最高裁はその判決を無効とし、再審されることに。そして今年の7月に、控訴院で再び「子どもは日本に返すこと」という判決を受けた。
しかし、日本は単独親権制なので、ルイ君が日本の父親の元に帰れば親権は父親のものになり、マリーンさんは2度と子どもに会うことができなくなる可能性もある。面会するにしても、日本に長期滞在するのにはビザが必要だ。取得できなかったらどうする? 以来、マリーンさんと友人たちは署名運動を始め、フランスの下院、上院、大統領官邸にも手紙を送った。マリーンさんは、今後、欧州連合司法裁判所に訴えることになるかもしれないと語っている。
2018年3月には、欧州連合加盟国26カ国の在日大使が日本の法務大臣に子どもの権利保護のために早急な措置を求めた。また、6月26日、G20大阪サミットに参加するために日本を訪れたフランスのマクロン大統領は安倍晋三首相に、日本人パートナーに子どもを連れ去られて苦しむフランス人の親たちの置かれた状況について語り、「受け入れがたいことだ」と話した。
もちろん、 子どもを連れ去る側には、パートナーとの不仲や暴力などそれなりの理由もあるのかもしれない。しかしそれでも、単独親権制は、人の移動が増えるこれからの国際社会には適応しないように思える。 親同士のパートナー関係は終わっても親子の関係は続く、そのように考えることはできないだろうか?

◇プラド夏樹(パリ在住ライター)
慶応大学文学部卒業後、渡仏。在仏30年。共同通信デジタルEYE、駐日欧州連合代表部公式マガジンEUMAGなどに寄稿。著書に「フランス人の性 なぜ#MeTooへの反対が起きたのか」(光文社新書)。ご連絡はtwitterのDMへお願いします。

離婚後も子育ては元配偶者と オンライン講座公開 欧米流「共同養育」への関心高まる

出典:令和元年8月23日 毎日新聞

離婚後も子育ては元配偶者と オンライン講座公開 欧米流「共同養育」への関心高まる

 離婚した後も、子育ては元配偶者と協力していきたい――。そうした人向けのオンライン教育プログラムが国内で公開され、約1年で300人超が受講した。日本では離婚すると子の親権は母か父のどちらかが持つことになるが、関係を絶たずに双方が子育てに関わる欧米流の「共同養育」への関心の高まりがうかがえる。
 <祝日は交代で娘と過ごす取り決めだったが、成長した娘が「両親と3人で会いたい」と言い出した。どう解決するか>
 これは、離婚家庭の子どもの支援に関わる東京国際大の小田切紀子教授(臨床心理学)が、ウェブサイト「リ…
※以下、紙面参照

5歳と3歳の子供を妻に連れ去られた父親の叫び

出典:令和元年8月23日 PRESIDENT Online

5歳と3歳の子供を妻に連れ去られた父親の叫び

■海外からみれば「日本は連れ去りを容認している国」

 子育て中心の人生を送っていた男性が去年12月、妻から5歳と3歳の子どもを連れ去られた。男性は子どもを連れ去られる理由はないとして、共同監護などを求める審判を申したてたものの、現在も子どもとの生活は戻っていない。今年6月には妻から単独親権を求める離婚裁判を起こされ、現在係争中だ。

 この男性のように、妻や元妻から子どもを連れ去られて、事実上の生き別れになってしまう父親は、日本では珍しくない。逆に、夫から子どもを連れ去られる母親もいる。その背景には、日本が「単独親権」を原則としている点がある。裁判所は「単独親権」を前提にしながら、多くは連れ去った親に有利な運用をしているのだ。

 しかし、「単独親権」を採用している国は先進国にはない。子どものために「共同親権」を認めるのが一般的で、日本は連れ去りを容認している国として国際的に非難されている。国連子どもの権利委員会は今年2月、「共同親権を認めるために、離婚後の親子関係に関する法律を改正する」ことなどを日本政府に勧告した。

 それでも法整備に向けた議論は、国内ではまだまだだ。「単独親権」の制度の下で、理不尽な苦しみを受けている男性に話を聞いた。
■同意なく子どもを連れて消えた妻

 「去年12月、妻に当時5歳の長男と当時3歳の長女を連れ去られました。子どもたちがどこにいるのか伝えるように求めても、知らされることはありません。子どもたちに私を会わせるかどうかは、妻の一存で決まります。

 私はDVや不倫をしたわけでもなく、子育ての大半も担ってきました。にもかかわらず、裁判所は連れ去りから8カ月以上がたっても、子どもたちと私が日常生活を過ごすことを認めないのです。このまま生き別れになるのかと思うと、胸が引き裂かれる思いです」

 こう話すのは、東京都港区在住で、パイロットとして航空会社に勤務しているAさん(47)だ。Aさんは同じ年齢の妻と8年前に結婚し、長男と長女が生まれた。

 しかし、去年12月、妻が2人の子どもを連れて出ていった。子どもたちの居場所は、Aさんにはわからなかった。これは夫婦生活の破綻によって起きる、いわゆる「子どもの連れ去り」だ。

■5年半、子育ての大部分を担ってきたのに

 Aさんはもともと別の航空会社のパイロットだったが、約15年前、空港に向かうバスにクルーの荷物を積む手伝いをした際に、椎間板を割る大けがをした。労災が認められたが、回復して仕事に戻るまで2年半かかった。このけがが理由で、のちに解雇されている。

 当時、前の妻と結婚生活を送っていたが、この大けがが原因で離婚。8年前に裁判が終わり、その直後に同じ高校の同級生だった現在の妻と知り合った。お互いバツイチで、交際が始まると、まもなく再婚した。

 再婚後、Aさんは最初は主夫として妻を支えた。約2年がたって長男を授かり、Aさんは子育てを担いながら、可能な時間で保育ルームの仕事をしていた。

 長男が2歳になると、今度は長女が生まれた。生活費も必要だったため、以前勤めていた会社の同僚の紹介で別の航空会社にパイロットとして復帰した。子育ての時間が必要だと会社に相談すると、会社は理解を示し、フライトを調整してくれた。

 「平日や週末を問わず、家を不在にしていた妻よりも、5年半もの間、子育ての大部分を担っていました」

 Aさんは子育てに重点を置いた生活を送っていたと話す。

■病院は「警察と児童相談所に通告する」と告げた

 問題が起きたのは去年6月だった。長男、長女ともに体調が悪く、病院に連れて行く必要があり、Aさんは妻に相談した。すると妻は仕事に行かなければならないという口ぶりだったが、実際は知人と旅行にいくつもりでいたことがわかった。

 Aさんが「いくらなんでもそれはないよ」ととがめると、妻は激怒し、子どもたちが見ている前でAさんの口のあたりをつかんだ。爪が食い込み、Aさんは流血したが、妻はそのまま家を出た。Aさんはそのまま港区内にある病院に子どもたちを連れていくと、「虐待対応チーム」を持つ病院は傷を負っていたAさんに事情を聞き、次のように告げたと言う。

 「夫婦であっても子どもの前で暴力を振るうことは、お子さんの心に傷を残します。面前暴力という子どもへの虐待にあたり、児童虐待防止法違反になります。私たちは警察と児童相談所に通告しなければなりません」

■妻の遊びをとがめると暴力、突然子どもを連れ去られる

 通告されれば妻はもっと怒るだろう、と思ったAさんは、何とか穏便にすませるように病院にお願いした。その結果、今後もAさんと病院が連絡を取り続けることを前提に、児童相談所への「報告」という処置が取られた。この時に病院は「虐待対応記録」の書面を発行している。

 Aさんはしばらく時間がたったあと、病院が児童相談所に「報告」したことを妻に話し、反省を求めようとした。すると妻は、「あなたに言われる筋合いはない」「出ていけ」と言い、離婚に向けて弁護士と相談していることを明かした。

 その後、妻の希望で双方の母親が同席して、話し合いの場がもたれた。妻はAさんに家から出ていくよう求めたが、Aさんは「子どもと離れて暮らすことは受け入れられない」と主張した。話し合いはまとまらず、妻は同居のまま離婚に向けて調停や裁判を進めることAさんに伝えた。

 しかし、同居のままという前提は約1カ月後に破られた。去年12月中旬の午後3時ごろ、Aさんが保育園に迎えに行くと、子どもたちはいなかった。妻がすでに迎えに来たという。普段、妻が迎えに来る時間は、仕事が終わった後の午後6時から8時の間だった。妻と子どもたちがどこにいるのか、Aさんには分からなくなった。子どもたちは妻に連れ去られてしまったのだ。

■警察は「民事不介入」、家裁は「問題なし」

 妻は事前に弁護士と相談し、子どもたちと暮らす場所を確保していたことをAさんは悟った。連れ去られる3日前に、義父の命日のため家族全員で妻の実家を訪れていたが、その時には何の話もなかった。子どもたちを連れ去ることを、義母も知っていた可能性がある。

 Aさんはすぐに警察署に届け出た。警察官は妻に電話して安否の確認をしたが、妻が弁護士を雇っていることが分かると、警察は「民事不介入」の旨をAさんに告げた。妻や子どもたちがいる住所を教えることはできない、ということだった。

 Aさんは司法の力を借りようと、今度は家庭裁判所に共同監護などを求める審判を申し立てた。自分は不倫もDVもしていないし、子育ての大半をやってきたとして、子どもたちを連れ去られる理由はないと主張した。

 しかし審判では、発端となった妻の暴力はまったく取り上げられず、病院やAさんへの聞き取りも行われなかった。その上で今年2月に出た調査結果は「妻と子どもたちが一緒に暮らすのは問題ない」というものだった。この結論により、連れ去りから8カ月がたった現在も、Aさんの元に子どもたちは戻っていない。

 Aさんが裁判所によって子どもと引き離されるのは、今回が初めてではなかった。前妻との離婚裁判でも、子どもの親権は前妻が持つことになり、結果的に子どもと8年以上会えない状態になっている。Aさんは2度も、子どもと引き裂かれる目に遭っているのだ。

■日本の「単独親権」制度は国際社会から批判

 Aさんが2度にわたり子どもと引き離された原因は、日本は離婚後の「共同親権」を民法で認めず、「単独親権」だけを認めている点にある。「単独親権」制度の下では、子どもの親権や監護権をめぐる裁判では、連れ去った側に有利な判決が出るケースが圧倒的に多いという。

 実は、「単独親権」しか認めていない国は、先進国では日本しかない。日本人女性と国際結婚した場合に、妻が子どもを日本に連れていき、父親が子どもと会えなくなるケースが問題となって、日本の「連れ去り」の実情が国際的に広く知られるようになった。

 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」、いわゆるハーグ条約は、国際結婚が破綻した際の子どもの扱いについて、親権や面会権を確定しないまま、無断で16歳未満の子どもを国外に連れ出す行為を不当とし、元の居住国への帰還を求めている。

 ハーグ条約は1980年に作成され、日本は2013年にようやく締結した。今年5月現在、100カ国が締結している。しかし、日本はハーグ条約を締結しながら「単独親権」の制度を変えていないため、状況が改善されているとは言えない。

 さらに日本は1994年に「子どもの権利条約」も批准しているが、条約が求める父母の共同養育責任も、「単独親権」制度によって果たすことができない状態だ。

 このため、国連の子どもの権利委員会は今年2月、共同親権を認めるために離婚後の親子関係に関する法律を改正することを日本政府に勧告した。日本が「単独親権」しか認めないことは、国際社会から公然と非難されているのだ。

■「単独親権」は虐待受けた子どもを守る制度ではない

 日本で離婚後の「共同親権」の法整備が進まないのは、根強い反対があるからでもある。その代表的な理由として挙げられるのが、「共同親権」だと引き続き夫と連絡を取らなければならず、夫から妻への暴力や、夫から子どもへの虐待があった場合に、妻や子どもを守ることができないというものだ。

 しかしAさんの場合は、子どもの面前で妻がAさんに暴力を振るったことで、妻による子どもへの虐待が病院によって指摘されている。「単独親権」だからといって、虐待を受けた子どもを守ることにはならないケースもあるのだ。

 「虐待から子どもを守るのは、親権とは別の機能です。共同親権であれば、私の妻も子どもを連れ去る必要はなかったでしょう。子どもを連れ去られることを望んでいる人などいません。むしろ単独親権制度によって、苦しむ人が生まれているのです」

■子どもたちと以前のように暮らせる可能性は限りなく低い

 Aさんは昨年末に共同監護などを求めて審判を申し立てたあと、妻が申し立てた離婚調停が不調に終わり、現在は離婚裁判で争っている。しかしAさんは、過去の経験からも、現状からも、裁判に勝訴して子どもたちと以前のように暮らせる可能性は限りなく低いと感じている。

 「私にとって子どもたちと一緒に暮らすことは、人生のすべてです。子育て以上に人生で大切なことはないと思って生きてきましたから、子どもたちとの日常生活が失われた状況は、自分の体が引き裂かれたような苦しみです。共同親権の実現について、もっと多くの方に考えていただきたいと思っています」

 海外では、親と切り離された子どもたちの心理を研究した結果、共同親権が普及していったという。Aさんは自分のケースを多くの人に知ってもらうとともに、日本で共同親権の法整備が実現するよう訴えていきたいと話している。


田中 圭太郎(たなか・けいたろう)
ジャーナリスト
1973年生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年4月からフリーランス。警察不祥事、労働問題、教育、政治、経済、パラリンピックなど幅広いテーマで執筆。

血縁を重視する中国人にとって理解し難い! 日本では離婚すると子に会えなくなるらしい=中国

出典:令和元年7月29日 サーチナ

血縁を重視する中国人にとって理解し難い! 日本では離婚すると子に会えなくなるらしい=中国

 日本では離婚した場合、母親が子どもの親権を持つことになるケースが多いと言われている。こうした現状について、中国メディアの今日頭条は25日、中国人から見た日本の親権、特に「離婚や別居をすると親であっても我が子に会うことが制限される」ことについて、「一方の親がまるで子供を誘拐しているかのようだ」と驚きを示す記事を掲載した。

 記事は、「日本では離婚の際に親権を巡って裁判が行われ、結果によっては親権を持つことができなかった親は我が子に全く会えないという事もある」と指摘。これは中国人からすると、親が子を平等に監護する権利がなく、「警察や司法が子の誘拐を容認している状態」ではないかと衝撃を受けた様子だ。

 誘拐というと犯罪のニュアンスが強く含まれるが、親双方が同意している状況であるため実際には誘拐ではなく、民法の条文にあるように「子どもの利益のため」に離婚後の親権が話し合われている事を伝えた。また、日本の伝統的な家庭の概念は「母親が子の世話をし、父親が働いて収入を得ると分担が別れているケースが多い」と紹介し、中国と違って離婚後に共同して子の監護をするという考え方はない」と説明した。

 続けて、日本ではたとえ親であっても、親権を持たない側の親が子どもを連れ去れば「警察が介入する」と伝えたほか、離れて住む親が「養育費を請求されても、我が子に会える時間はひと月に数時間しかない」という事例があることを紹介し、血縁を重視する中国人にとって理解し難い状況であることを強調した。(編集担当:村山健二)

親による「誘拐」が容認されている日本の異常~なぜ離婚後の共同親権が認められないのか

出典:令和元年7月22日 東洋経済ONLINE

親による「誘拐」が容認されている日本の異常~なぜ離婚後の共同親権が認められないのか

レジス・アルノー : 『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員

隠れた誘拐大国ニッポン――。近年、夫婦が別離した際などに、片方の親が子どもを連れ去り、もう片親が会えないという問題がメディアなどで取り上げられるようになっている。実際、配偶者と別れることを考えている相談者から、子どもの親権を確実に取るにはどうしたらよいかと聞かれたら、「日本では子どもを連れて家を出るのがいちばんだとアドバイスせざるをえない」とある弁護士は明かす。
日本の伝統的家族観は、母親が子どもの面倒を見て、父親が働いてお金を持ってくるというものだ。そのため、日本には両親の別離後も両親が子どもを共同で監護するという発想がなく、日本の警察や司法は片方の親による子どもの「連れ去り」を事実上容認している状態にある。その表向きの理由は、連れ去りを罰することは、それを容認するよりも、子どもに悪影響を与えるから、というものだ。
■妻との口論後に子どもを連れ去られた
日本で言うところの連れ去りは、英語では「abduction」といい、通常、誘拐、拉致と訳される。ところが、日本ではこの行為を誘拐や拉致とは別のことのように捉えている。「片親が他方の親の同意なく子どもを連れ去ることは『誘拐」と表現するべきです」と児童精神分析に詳しい東京国際大学教授の小田切紀子氏はいう。
片方の親が子どもを連れ去った場合、裁判所や警察は介入しない。しかし、連れ去られた側が子どもを取り戻した場合、介入が起こる。このシステムでは、子どもを最初に連れ去った親が有利となる。連れ去った期間が長ければ長いほど、連れ去られた側の立場は弱くなる。
馬場満氏は昨年11月5日、妻との口論後に2人の子どもが連れ去られたと主張する。それ以来、彼が子どもに会えたのは30分間だ。子どもたちは彼の家から2キロもない場所に住んでいるが、会うことは許されていない。
子どものうちの1人は慢性的な病気で、離れて以来、馬場氏の知らないうちに2度入院。不眠症に苦しむ馬場氏は仕事を辞め、現在は夜タクシー運転手の仕事をしている。目下、さいたま家庭裁判所に子どもを取り返す訴えを起こしているが、子どもに会える可能性についてはあまり楽観視していない。実は、馬場氏自身15歳のときに父親に連れ去られ、父親から母親を嫌うように教えられた。「母親に再会できるまでに36年かかった」と、彼は話す。

別の日本人の父親は5年前に妻がふさぎ込み、生後6カ月の子どもを連れて実家に帰ったという。彼は急いでそこへ向かったが、息子に会うことが許されたのはたったの4時間。そしてその後は1年7カ月もの間、息子に会うことができなかった。
父親は養育費を支払っているが、父親が子どもに会えるのは月に1回、2時間。父親は裁判所で親権を求めたが、裁判官は、母親の行った連れ去りは違法ではなく、母親に引き続き監護養育を継続させることが子の福祉に合致するとして、彼の求めを拒否した。妻が再婚した場合、彼女の新しい夫は、子の父親の同意なしに子の親権者となることができる。
この2人の父親のケースは、日本で何千件と生じていることの一例にすぎない。

■マクロン大統領に窮状を訴えたフランス
こうした連れ去りでは、多くの場合、別居を通じ、子どもを連れ去られた親は子へのアクセスを失う。連れ去った親は事実上、残された親への訪問をどの程度許可するか、あるいは、訪問を認めないかなども決めることができる。連れ去った親が面会を拒否した場合、残された親が面会権を得られたとしても、1カ月2、3時間、場合によっては連れ去った親の監視下など、とんでもなく厳しい条件下での面会となる。親権や面会をめぐって係争中の場合は、面会はさらに制限的にしか認められないことが多い。
一方、日本で事実上容認されている連れ去りは、海外でも大きな問題となっている。6月26日、G20に先駆けて東京のフランス大使館でスピーチを行ったフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、フランス人男性3人と面会した。いずれも、子どもが日本人妻に連れ去られたと主張している父親だ。1人は、元妻から送られてきた子どもの写真を持ってきていた。写真では子どもが両手を高くあげ、父親から送られた誕生日プレゼントを持っている。ただし、プレゼントの封は開けられていないままだ。
別の父親はマクロン大統領に、去年の夏のある夜に帰宅すると、家にはベッドと洗濯機、そして自分のパスポートしか残っていなかった、と話した。2人の子どもは妻に連れ去られてしまっていた。妻は家庭内暴力を訴えてシェルターに数週間避難していたのだ。もっとも父親はこれを否定している。
その父親は子どもたちが連れ去られたことを警察に報告した。そこで警察官に告げられたのは、それは「プライベート」な対立であり、警察の管轄外だということだった。だが仮に彼が子どもを取り戻そうと連れ去った場合、彼は誘拐で逮捕される。つまり彼はもう2度と子どもに会えないかもしれないということだ。
妻が昼間にひっそりと家に帰っていることに気づいた彼は、家とその周辺にくまなくカメラを仕掛けた。彼は録画された映像で、妻が7カ月の娘を車のトランクに閉じ込めているのを確認。だが、児童保護センターはそのビデオを受理するのを断った。

彼は子どもの連れ去りに関して、現在までに弁護士費用などに多額の費用を費やしてきた。家に帰る途中で妻と子どもに出くわして迷惑行為で訴えられないよう、子どもたちに会わないように迂回している。彼の件は現在、裁判中だ。
国際間の連れ去りの被害者はまだラッキーかもしれない。国境を越えた子どもの誘拐に対応する「ハーグ条約」があるからだ。同条約は子どもが国境を越えて連れ去られた場合、子どもを元の居住国に直ちに返還することを原則としている。もちろん母親による連れ去りも対象だ。日本もアメリカやヨーロッパ諸国からの圧力を受け、2014年に91番目の国として同条約に署名している。2014年以降多くのケースがこの条約のおかげで解決してきた。

■子どもから親を奪っていいのか
外務省が最近、ハーグ条約についてのシンポジウムを開催した際、参加者によれば、登壇した最高裁判所の家庭局の澤村智子課長は、日本のハーグ条約の実施状況に自信を見せていたという。とはいえ、ハーグ条約では日本国内で起こっている誘拐は解決できない。
「確かに連れ去りのほとんどは、母親が父親との関係で深刻な問題に直面しているときに起こる。だからといって、必ずしも子どもから親を奪ってよいことにはならない。国内でも、連れ去りは原則として違法であることが明確にされるべきだ」と、ある弁護士は言う。
こうした連れ去りが頻繁に起こる背景には、日本では離婚後の共同親権は認められていないことがあるだろう。そのため、子どもの養育に2人とも深くかかわってきたカップルでさえ、片方だけが100%親権を得るという以外の選択肢はない。
「日本では毎年、約20万件の離婚が起こっており、両親が離婚する子どもの数は離婚の数とほぼ同数です。その3分の2は、もう連れ去られた側の親と会うことはありません。これは、子どもにとって、このうえなくつらいことです」と、小田切教授は言う。
多くの日本人の父親は今でもこうした状況をしかたがないと思っている。しかし、多くの女性が働くようになり、3分の1のカップルが離婚している中で、単独親権制度は正当化されがたくなっている。家庭内暴力の被害者である親や子どもを守るためには単独親権が必要な場合もあるだろうが、子どもの両親が共同親権に同意しても認められないというのは、どう考えてもおかしくないだろうか。

片親が家庭内暴力を主張するケースもある。アーティストのミナコさんも元パートナーのそうした主張に苦しんできた1人だ。「前夫は、私が子どもたちに薬を与えすぎる、と言って私を子どもたちから引き離しました。彼はそう主張して医者からの証明を取ってきたのです。日本は家庭内暴力の虚偽の主張について適切に対応ができていません」と、彼女は話す。
民法第766条では、離婚後の監護を「子の利益」に基づいて決めることが要請されているが、「子どもの立場から見れば、共同親権が最良のシステムだ」と、専修大学の早川眞一郎教授は話す。ウェストミンスター大学のマリリン・フリーマン教授が、子どもの時に片親を奪われた成人34人を調べたところ、多くが「消えない不安感」や「生きているというよりも生き残っている」という気持ち、「繰り返される自殺未遂」といったトラウマを抱えていることがわかった。こうした研究は日本ではなされていない。

■マクロン大統領も連れ去りを嫌悪している
だが、変化は海外からの圧力によってもたらされるかもしれない。国籍や背景が異なる人々の離婚の増加によって単独親権システムが世界中の激しい非難にさらされている。日本と海外の父親が提携し、7月末には、国際連合人権理事会にこのシステムが子どもの権利条約に違反していると訴える予定だ。
6月末のG20でも、イタリアのジュゼッペ・コンテ首相が安倍晋三首相に子の連れ去りを巡る状況について不満を述べた。同首相は6月半ば、6歳の息子と4歳の娘を日本人妻によって連れ去られたイタリア人のトッマーソ・ペリーナ氏と電話で16分間話した。彼は2人の子どもたちに面会できない状態だ。「首相の私すら問題を解決できない」と、コンテ首相も頭を抱えている。

マクロン大統領も連れ去り問題には嫌悪感を持っている。6月26日に3人のフランス人の父親と対面した後、大統領は同日の夕食で安倍晋三・昭恵夫妻にこの問題を持ち掛けた。「到底受け入れられない、嘆かわしい状況がある。この状況に立たされているフランス人がいるのを放っておけない。彼らの子どもの基本的な権利と彼らの親としての権利は守られなければならない」とマクロン大統領は翌日、明らかに心を動かされた様子で語った。
日本の外交上の課題の1つは、北朝鮮による日本人の子どもの誘拐だ。それは確かに“普通の”誘拐よりおぞましい。「だが、フランスの子どもたちが日本で誘拐され、それが罰せられないままで、どうやって日本はわれわれのサポートを得ようというのか」と、あるフランス人外交官は話す。
「私は日本を守るためにここにいる。ドナルド・トランプ大統領が日本とアメリカの関係は一方的だと言っているけれど、それは正しい」と、米軍基地で働くマイク・ブレザー氏は言う。彼は妻との離婚手続き中で、14歳の息子に面会することができない。8歳の娘とは、かなり限られた形でまだ面会できるものの、離婚が成立してしまえば娘との面会も打ち切られるのではないかと不安に思っている。
アメリカには、昔は奴隷制度があった。でも日本の単独親権システムはある意味でそれよりも悪い。親と子という、最も基本的な人間関係を壊すことを許しているからだ」

「自己肯定感が低く、死にたいと言う子も多い」親が離婚した子どもたちの喪失感

出典:令和元年7月21日(2019年7月30日号) 週刊女性

「自己肯定感が低く、死にたいと言う子も多い」親が離婚した子どもたちの喪失感

 「離婚するなら、どうして結婚したの?」「何で私を産んだんだ」「私はもう生きている意味がない」
 親が離婚した子どもたちから「ウィーズ」に寄せられた声だ。ウィーズは親の離婚を経験した子どもをサポートするNPO法人で、理事長の光本歩さんが2009年に個人事業としてスタート、'16年に創設した団体だ。

■親の離婚は一種の喪失体験
「相談も受けていますが、メールで“死にたい”と書いてくる子が多いです。“アンタさえいなければ”と親から暴言を吐かれたりして、愛されている実感が持てない。自己肯定感が低い子が多いと感じます。ただ、個人差がすごくあって、例えばDVをしている親を殺してやりたいと憎む子もいれば、そんな親でも好きだという子もいる。本当にケースバイケースですね」
 相談を寄せるのは中学生から大学生まで幅広い。リストカットを繰り返し自傷行為に走るなど、年に4、5人は大変なケースがある。光本さんは頻繁にメールやLINEでやりとりを続けて信頼関係を築き、夜中でも対応しているそうだ。
「両親がケンカする姿をずっと見続けたり、離婚後も片方の親の悪口を延々と聞かされたりして結婚願望を持てなくなって“こんな自分はおかしいですか”と聞く子もいます。一方で親の離婚を機に、しっかりしなきゃと精神的に自立。親を反面教師にして早く結婚する子もいますし、どちらも半々くらいですかね」
 ウィーズのスタッフは、ボランティアの大学生を含めて42人。ほぼ全員が親の離婚を経験している。
 光本さん自身、13歳のときに両親が離婚している。借金をした母親から離れ、父と妹と3人で夜逃げしたため、経済的にも困窮し進学に苦労した。その経験から、10年前にひとり親家庭の子どもの学習支援塾を立ち上げたことが、今の活動につながった。
「子どもにとって、親の離婚は一種の喪失体験なんですよね。片方の親に会えない寂しさがあるけど、自分の家庭は普通じゃないから、周りの人にはわかってもらえないと思っている。胸の内を吐ける場所もないので、喪失感を埋めることができないまま大人になる。私の場合、高校の担任が親の離婚を経験していて、話を聞いてもらえたので、運がよかったんです」
 '12年からは面会交流の支援も始めた。離婚後に離れて暮らす親と子どもを面会させるため間に入って調整。1歳から高校生までの子どもに付き添ったり、送迎したりしている。昨年度は延べ630件の利用があった。
 面会をして等身大の親を知ることは、子どもにとって大事だと考えているからだ。

 光本さんの父は借金をした母を憎んでいたので、「お母さんに会いたい」とは口が裂けても言えなかった。だが、そのぶん思いは募った。高校に入り、会いたい一心で貯金をし、母のもとを訪ねると、母は悪びれもせず彼氏を伴って現れた。
「ごめんね、のひと言もなく“エー!”って思ったけど、母はこういう人間なんだ、だから離婚したんだ、と納得できた。現実の母を知ったから次に進めたんです」

■離婚の裏で傷ついている子どももいる
 '11年度からは年に1度、2泊3日でキャンプを行っている。対象はひとり親の小学4年生から中学3年生。みんなでカレー作りなどの自炊をし、親の離婚について話し合うワーク活動も行う。
「あの先生、変な顔だね」「ほんと、キモイ~」
 初対面の子ども同士が顔を合わせると、まず悪口で盛り上がることが多い。
「自己肯定感の低い子は、褒められるとか認めてもらった経験が少ないから、最初に否定から入る。両親が否定しあう様子を見てきたことも大きいと思います。
 でも、それは健全じゃない。ポジティブな言い方に変えるため、小さなことでも褒めるようにします。ボランティアの大学生たちも子どもたちを見ていて、自分もそうだったと気がつく。親の離婚に傷ついた自分を客観的に見られるようになるんですね」
 毎回20~30人が集まるキャンプの参加費用は無料。面会交流支援も、今年3月から遠方を除き無料にした。費用は助成金や寄付でまかなっている。光本さんが何年もかけて行政や民間団体にアプローチした成果だ。
「私もこの支援を通じて救われたし、自己肯定感を育ませてもらった。親が離婚して大変だった経験も、いま困っている子どもを助ける役に立っていると思えば、プラスに感じられますから」
 設立以来、ウィーズの活動は忙しくなる一方だ。軽い気持ちで離婚する最近の風潮について、光本さんはどう見ているのか。
「離婚がダメではない。でも、その裏で傷ついている子どもがいることを忘れないでほしい。子どもの目線に立って考えることを忘れている親御さんが多いので、もう少し冷静に考えてもらいたいです」

光本歩 ◎NPO法人「ウィーズ」代表理事。第三次静岡県ひとり親家庭自立促進計画策定委員。1988年生まれ。13歳で親が離婚。東京福祉大学教育学部中退後、離婚した子どもたちのトータルサポートをスタート。テレビ、新聞、ラジオなどメディア出演多数

「共同親権」の展望(下)出遅れた研究 早川昌幸(新城通信局)

出典:令和元年7月14日 中日新聞

「共同親権」の展望(下)出遅れた研究 早川昌幸(新城通信局)

「共同親権」問題を含む親子の心理の追跡研究は、欧米で古くから進む。子どもの「人格発展権」を尊重するドイツでは、連邦憲法裁判所が一九八二年に「離婚後の例外なき単独親権は違憲」と判示した。
 米国の研究では、離婚は子どもに心理的不適応を引き起こし「重大なリスクになる」との報告がある一方で、共同監護で世話をした子どもと親の離婚を経験しなかった子どもとの間で、精神疾患の割合に大きな差異はない、とも報告されている。

 棚瀬一代さん(二〇一四年、七十一歳で死去)は、大学教授、臨床心理士として米国カリフォルニア州などで共同監護の実態に接し、傷ついた子どもの心の深層をつぶさに見てきた。その経験を日本に戻って実践した。「心のよりどころだった」と振り返る当事者も多い。

◆子に与える傷を浅く
 「離婚そのものが、子どもに心的外傷(トラウマ)を与えるわけではない。その後に両親がわが子のために賢明な選択をしていけば、子に与える傷を小さくできる」
 一代さんと十代で出会った夫の孝雄弁護士(76)も、「共同親権」実現をライフワークにした。「日本は欧米に比べ、この問題で完全に出遅れた。取り組みを進める人材を育成し、少しでもグローバルスタンダードに近づけなければ」という亡き妻の主張を代弁する。幾多の反対意見をものともせず活動を続けた二人の存在は国内では希少だという。
 東京都港区に住む国際・国内線パイロットの男性(47)も当事者の一人。妻は昨年暮れ、保育園児の長男(5つ)と長女(3つ)を連れて家を出て行き、現在は共同監護などを求め、東京家裁で審判中。離婚訴訟も近く始まる。男性は勤め先の理解もあり、フライトを減らして子育てや園への送迎、通院に積極的に関わってきた。そのためか二人の父親への愛着は強い。録音とともに家庭裁判所に提出した陳述書に目を通すと、男性の切ない思いが伝わってくる。
 四月の夕刻、同居していたころに遊ばせていた公園で母子と出くわした際の記録だ。駆け寄ってきた子どもたちは「パパの家に帰って一緒に過ごしたい、一緒に泊まりたい、朝はパパと保育園へ行きたい」と、母親である男性の妻に泣き叫びながら、必死に訴え続けたという。妻の激しい文句が始まった。
 妻「こんな強行するような!」
 男性「強行なんかしない、強行したのは、あなたでしょ」
 妻「違う」
 男性「連れ去ったんでしょ」
 妻「今一緒に暮らしてるのは私でしょ」
 男性「連れ去ってね」
 妻「どうしたらいいの、じゃ!」
 子煩悩な男性は「週三日でも面倒をみたい。子どもを元の環境に戻したい」と願い、「子どもと人生を過ごすために生きている」と話す。子どもが通う区立保育園が保護者への行事案内を男性に送ってこなくなり、園内での接触も制限されたため、「妻と同等に扱われていない」と区に訴え、ある程度改善された。
 代理人弁護士は「これほど父親を慕うのはレアなケース」と驚く。同じ立場の男性の知人は「子煩悩な親ほど心のバランスを崩すことが多い。家裁に抗議して自殺を図ったケースも聞く」と気遣う。

◆腰が重い政治、行政
 男性による支配・差別が問題視された「家父長制」を乗り越えて女性の社会進出が当たり前になったことで、子どもの監護を巡る紛争が激増したのは、時代の流れかもしれない。上川陽子前法相は「家族の在り方が変化している」として共同親権の導入に一定の理解を示した。各国から批判が相次いでも事態が進展しない背景には、反対意見やしがらみへの配慮、行政事務の作業が煩雑になることへの警戒など、政治や行政の消極姿勢があるのではないか。
 一方で、司法の世界でも日本の後進性を危惧する声があった。最高裁家庭局の元調査員は、論文で「困難な事件の解決について、米国の実践から学ぶ点は少なくない」と指摘。夫婦の対立が激しいケースでこそ、第三者が子どもの立場に立って共同監護に導く必要性を説くが、日本の家裁はそんな先進国の標準にほど遠いのが実情だ。
 孝雄弁護士が「私のバイブルです」と語る国連の「子どもの権利条約」(一九八九年十一月二十日署名、九〇年九月二日効力発生)の九条三項に、こうある。
 「締約国は、児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する」
 子どもの立場になれば当たり前のこと。これ以上、放置すべきではない。

<当会からのお願い>
7月7日及び7月14日に掲載された中日新聞の記事について、感想あるいは今後の掲載要望などご意見を下記の中日新聞編集局宛に送信頂けましたら幸いです。
genron@chunichi.co.jp

「離婚をしても親はふたり」子どもを私物化しない共同養育のススメ

出典:令和元年7月13日 AERA

「離婚をしても親はふたり」子どもを私物化しない共同養育のススメ

 ひとり親という言葉があるが、亡くなったのではなく離婚をした場合の表現としては、実はおかしい。離婚をしても、子どもにとって親はふたり。子どもはどちらの親からも愛されて育つ権利があるはずだ。

 しかし、現状では両親の離婚後、一緒に暮らしていないほうの親と子どもが定期的に面会をしているのは、母子家庭で約3割、父子家庭で約4.5割(厚生労働省 平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告より)。面会交流をしていない理由は様々だが、母子家庭の場合はとくに「相手とかかわりたくない」という答えが目立つ。そう、多くの子どもたちが、親同士の感情のもつれから、片親との交流を奪われているのである。

 しばはし聡子さんも、以前は「元夫とかかわりたくない」ために、子どもと父親との面会交流に消極的な親だった。

「4年前に離婚したとき、息子は10歳。息子から父親を奪うつもりはありませんでしたが、まだ小学生だったので、親同士が連絡を取り合わないと会わせることができません。でも私は、離婚時に揉めたトラウマから元夫とかかわるのが苦痛で、あまり積極的にはなれませんでした。息子に『パパに会いたい?』と聞き、いま思えば私に気を使って『別に』と答えたのをいいことに、『とくに会いたくないみたいですけど』と、元夫に伝えたりもしていました」

 しかし、離婚という辛い経験を無駄にしたくないと始めた勉強会で、離婚後の子どもの面会交流についての知識を深めるうちに、離婚をしても子どもは両親のどちらともかかわるべきだと考えるようになった。「両親のどちらからも愛されている」と実感できることが、子どもの気持ちを安定させる。そこで振り返ってわが子を見てみると、父親に会いたいと言えない子どもにしてしまっていた。

「このままではいけないと思い、自分から元夫に『来週、息子をごはんに連れて行ってあげてください』とメールしました。何をいまさらと言われることも覚悟しましたが、元夫は『喜んで!』と返してくれました。そこからするすると気持ちがほぐれ、息子をはさんだ親同士として元夫と連絡を取り合うことに、まったく抵抗がなくなりました」

 そんな親の変化を感じてか、息子は父親に会いたいという気持ちを隠さなくなった。会った後は「こんなものを食べたよ」「こんな話をしたよ」などと、うれしそうに父親の話をしてくれるようにもなった。

「私との間で父親の存在がタブーではなくなり、家の中が明るくなりました」
  
 中学生になってからは、自分が会いたいときに自由に父親に会いに行くようになり、泊まってくることも増えた。しばはしさんももちろん、快く送り出している。男親ならではのかかわりは、思春期真っ只中の子育てにはむしろありがたい。

「離婚をしても親はふたり。離婚後も両親が子育てにかかわる『共同養育』は、息子にとってはもちろん、私にとっても元夫にとっても、よいことだと実感しました」

 この経験を踏まえ、しばはしさんは「共同養育」普及を目指し、一般社団法人りむすびを設立。離婚相談や面会交流支援などを行なっている。

■離婚によるダメージを最低限にできる「共同養育」

「私が考える共同養育とは、子どもが両親の顔色を見ずに素直な気持ちで『お父さんに会いたい』『お母さんに会いたい』と言えたり、自由に行き来したりできる環境を、親同士が協力し合ってつくっていくことです。その環境さえあれば、たとえ親同士が直接顔を会わせることができなくても、共同で養育していると言えると思います」

 共同養育のメリットは、子どもがどちらの親からの愛情も変わらず受けられることで、離婚によるダメージを最低限にできることだ。

 子どもがいるならできれば離婚は避けたいけれど、夫婦が破綻してしまったのなら仕方がない。離婚をしても共同養育者として子どもをはさんで新しい関係を築き、子どもが両親のどちらからも愛されていると感じられるようにできるなら、仲が悪い夫婦の姿を見せるよりむしろよいだろう。

「なかには、離婚は自分のせいだと思って苦しむ子どももいます。共同養育を行うことで、離婚はあなたのせいじゃないよ、と伝えることにもなるんです」

 共同養育は、子どもだけではなく親にもメリットがある。子どもと同居している側の親にとっては、ワンオペ育児からの解放。子どもが元夫(妻)と会っている間、自由な時間がもてるし、何か買ってもらったり食べさせてもらったりすれば、家計も助かる。

「離婚をしたからといって一人で子育てを背負おうとはせず、相手のマンパワーも活用することで、時間にもお金にも精神的にも余裕が生まれます」

 自分に万が一のことがあったときの、リスクマネジメントとしても有効だ。いざというとき、これまでほとんど会っていなかった元夫(妻)に子どもを託すのは不安でしかないが、交流していたのであれば少しは気が楽だ。

「子どもと別居している側の親にとっても、血のつながった子どもとかかわれることはうれしいはず。また、会っている、会っていないに関係なく養育費は当然の義務ですが、子どもの成長を目にしていれば、責任感は高まるでしょう」

 さらに「共同養育」は、社会的な課題を解決する糸口にもなる。最近、親のパートナーによる連れ子に対する虐待などの事件が頻発しているが、それを避けるためにも子どもの実親というもう一つの目が入ることは大切だ。

■「共同養育」があたりまえの社会に

 しばはしさんの願いは、「共同養育」があたりまえのこととして広まることだ。

「『離婚をしても親はふたり』と伝えると、たいていの人は『そりゃあそうだよね』って言うんです。でも、自分が当事者になった途端に忘れてしまう。相手に対する嫌悪感や憎悪感から『私の子どもをなんであんな奴に会わせないといけないの』と」

 しかし、そうして子どもを私物化し、ひとりで抱え込むことには弊害しかない。「ひどい親だから」と会わせなければ、子どもはひどい親だと思い込んで育つ。ひどい親かどうかを判断するチャンスも与えられないのは、子どもにとってどうなのか。子どもに対する暴力などの場合を除いては、どんな親でも子どもにかかわり続けていくべきだ。

「どうしても離婚が避けられないなら、子どもが不幸にならないようにしてほしい。そのためにも『共同養育』があたりまえの社会になってほしいと思っています」

(文/上條まゆみ)

「共同親権」の展望(上)迷走する議論 早川昌幸(新城通信局)

出典:令和元年7月7日 中日新聞

「共同親権」の展望(上)迷走する議論 早川昌幸(新城通信局)

離婚したことで、わが子と会えない親が「面会交流」を求め、家庭裁判所に調停や審判を申し立てる件数が、増加の一途をたどっている。日本は離婚後、両親のどちらかが子どもの親権者となる、先進国で数少ない「単独親権」制度。子どもの利益を優先する観点で「共同親権」制度を立法化する動きはあるが、なかなか進まない。
 妻による子の「連れ去り」の当事者で、「共同親権」実現を目指す市民団体「チルドレン・ファースト」の会社員の男性(53)は「一番の被害者は子ども。これまでの議論には“子ども目線”が欠けていた」と訴える。「会えないことで愛情を受けられないと情緒が安定せず、その子どもだけでなく、次の世代にも負の連鎖をもたらしかねない」と、他のメンバーと警鐘を鳴らし続けてきた。

◆「単独親権」は少数派
 東アジアの中で、現時点で単独親権を規定し、父母双方でケアする共同親権を選択できないのは、モンゴル、北朝鮮、日本の三カ国だけ。今年は、親子不分離などを定めた国連の「子どもの権利条約」が生まれて三十年、日本が批准して二十五年の節目。結婚の破綻で子どもを国外へ連れ去った場合のルールを定めた「ハーグ条約」を、日本は二〇一三年にようやく批准し、関連法も翌年から施行されたが、共同親権の導入はいまだに実現していない。
 今年二月に国連から再度、法改正を勧告され、昨年三月には欧州連合(EU)の二十六カ国からも書面で抗議を受けた。海外メディアは、片方の親による子の「連れ去り」や「引き離し」に対し、「日本は拉致大国」と報道してきた。馳浩衆院議員(自民)らを中心とする超党派の国会議員連盟が共同親権の立法化を目指してきたが「親子断絶防止法案」「共同養育支援法案」など、法案の名称の段階で迷走し、法制化のめどが立っていない。
 家裁で子どもとの面会が取り決められたのに、回数が制限されたり、守られなかったりするケースは多いが、法的な罰則はない。別居する子どもが面会を拒むケースも少なくない。
 愛知県三河地方で和食店を営む男性(40)は、家裁の調停員に「面会は月一回程度。会い方は双方で話し合って」と促された。ところが、現在は中学二年の長女と小学二年の長男に会えたのは、入学式直後の一回だけ。元妻の言い分は「二人とも新生活が始まったばかりなので、そっとしておいて」だった。養育費を支払い、連絡を取りたいと長女にスマートフォンを買い与えたが発信に全く出ず、会員制交流サイト(SNS)はブロックされた。
 子どもが同居して世話をする親の影響を受けて顔色をうかがい、片方の別居親との交流を拒絶する状態を「片親疎外」という。正当な理由なく、片方の別居親との交流を拒絶するケースもこれと同じだ。児童心理学の専門家は「子どもの思いへの共感力の欠如から、親が子どもを自分の思いで支配し、服従させてしまう行為で、心理的虐待に該当する」と指摘する。
 子ども自身の考えのように見える面会拒否も、実際には同居親に気を使っていることも少なくない。「月一回だけでも会って元気であることを確かめたいし、店の料理を食べさせたい。とにかく親権が欲しい」。男性だけでなく、子の祖父母らも面会を望んでいるという。
 法務省は、安倍晋三首相の指示を受け、共同親権の導入可否の検討に入った。依然として異論も根強いが、外務省を通じて七月末までに二十四カ国の制度を調査し、問題点を整理する。
 二月の衆院予算委員会での論戦で、安倍首相は「もっともだという気もする。子どもはお父さん、お母さんに会いたい気持ちだろうと理解できる」と述べた。首相としては初めての見解。その談話を引き出した串田誠一議員(日本維新の会)は「超党派連盟は全く応援してくれなかったが、ターニングポイント(転換点)になる」と確信する。

◆面会交流で元気戻る
 長年、夫婦でこの問題に取り組んできた棚瀬孝雄弁護士(75)は、五年前に七十一歳で他界した臨床心理士の妻一代さんが「ほとんどの子は離婚してほしくなかったと思う。別れて住む親への思慕の念を抱き続けている」と語った言葉を心に刻む。一代さんは、東京・新宿に開設したカウンセリングルームで、悲しみと無力感にうちひしがれていた子どもが、面会と面接を組み合わせるセラピーで元気になり、子どもらしさを取り戻していく様子を見守った。
 家族法の専門家は「別居後の継続的な面会交流が子どものために必要という認識を社会が共有し、面会実現を義務付けるルールが求められる」と話す。もともと他人同士である夫婦の問題と、血のつながった親子の問題は切り離して考えなければいけないのは、当然のことだ。子どもの将来を最優先にした社会に一日も早く、と願う。

注目集める共同親権 親権求める父親増加 共同なら離婚後も交流続く G7、「単独」日本だけ”

出典:令和元年6月24日 東京新聞

注目集める共同親権 親権求める父親増加 共同なら離婚後も交流続く G7、「単独」日本だけ”

※本文は記事を参照ください。

共同親権 生き別れ防げ 国際的には「単独」が例外

出典:令和元年6月23日 東京新聞

共同親権 生き別れ防げ 国際的には「単独」が例外” [#t6aaf62a]

年間二十一万人余の子が親の離婚を経験する日本。未成年の子を巡る両親の親権争いはしばしばドラマなどになってきた。そんな状況が変わるかもしれない。離婚後も父母で親権を持つ「共同親権」の導入を法務省が検討し始めた。離婚後に親の一方が親権を失う現行の制度は、離れて暮らす親と子が生き別れる原因になっているからだ。配偶者から家庭内暴力(DV)を受けた被害者を支援する人などから異論はあるものの、見直しを求める声は強い。 (佐藤直子)

※以下、記事を参照ください。

秋田女児殺人事件 娘を母親に殺害された父親が行政を訴えた理由 「助けられたのではないか…」

出典:令和元年6月10日 TABLO

秋田女児殺人事件 娘を母親に殺害された父親が行政を訴えた理由 「助けられたのではないか…」”

愛実ちゃんが小学校に入学したとき

2016年6月秋田市で9歳の女の子、千葉愛実ちゃんが母親の祐子(43)によって首を絞められて殺害された。
児童養護施設から母親の住むアパートに一時帰宅していたときのことだ。2泊後の夕方、愛実ちゃんが施設に戻るはずだった。しかし確認が遅れ、警察ががアパートに踏み込んだとき、祐子は意識不明、愛実ちゃんはすでに息絶えていた。2018年3月に最高裁で祐子は、殺人の罪で懲役四年の判決が確定。現在、服役中である。

この事件に関して父親である阿部康祐さん(46)は、6月7日、秋田県や秋田市を相手取り、損害賠償を求め、秋田地裁に提訴した。
母親が娘を巻き添えにして心中しようとしたことで、なぜ父親が行政側を提訴したのか。養育能力に欠ける母親に代わってなぜ父親が子供を引き取らなかったのか。母親に養育能力がなければ子供を引き渡さないのではないか。
この事件を取材し、今も阿部さんと連絡を取り合っている筆者、西牟田靖が、事件の概要や提訴の意味について、記してみたい。

わが子に会えずじまい

阿部康祐さんと祐子は、今から10年前の2009年、愛実ちゃんが2歳のときに離婚している。それから亡くなるまでの7年間、阿部さんと愛実ちゃんはほぼ会えずじまいであった。
離婚前のことだ。夫婦関係が破綻し、一人となった阿部さんが離婚調停を起こした。もめたのは愛実ちゃんの親権だった。というのも日本では諸外国のスタンダードである離婚後も共同親権ではなく、離婚後単独親権となるからだ。
調停の場で阿部さんは主張した。
「(精神疾患があり、家族との縁をほぼ絶って暮らす)妻に愛実は育てられないだろう。こちらには面倒を見る人はたくさんいる。それに私自身、回復次第働ける』と」
しかし親権は祐子側に認められてしまう。というのも日本の調停や裁判では、一緒に暮らしている方が有利という「継続性の原則」があったり、「母性優先」という考えがとても強かったりするのだ。
親権を諦めざるを得なかった阿部さんは、祐子側が提案してきた「月一回の面会交流」を呑んで調停を泣く泣く決着させる。
ところがその後、その取り決めは完全に反故にされた。「インフルエンザが流行っているから」などと、その都度もっともらしい理由を出され、会わせてもらえなかったのだ。
3人で住んでいた家に荷物を取りに行く名目で訪ねるも、祐子に警戒され、引っ越しされてしまう。心配した彼は元義父に頼んで新しい住所を教えてもらい、手段を講じる。
引っ越し先である大仙市役所へ行ったり、探偵社へ捜索をお願いしたり、幼稚園や地域の民生委員に見守りをお願いして回ったり……。さらには元義父にお願いして教えてもらった住所に「面会させて欲しい」と記した手紙を送ったりもした。

手紙を出したことが祐子の被害妄想を刺激したのか、対抗措置をとられてしまう。「家庭内で暴力を受けていた」という虚偽の申出を大仙市役所に出され、住所にブロックがかけられてしまう(DV等支援措置)。さらには「ストーカー被害に悩まされている」と警察に被害届を出されてしまう。こうしたことにより、阿部さんは愛実ちゃんとの縁を完全に絶たれてしまった。
一方、祐子は精神疾患を悪化させたことから、当時移転していた秋田市の児童相談所に「娘を預かって欲しい」と連絡。その結果、愛実ちゃんが4歳のとき、児童養護施設に預けられることになった。
このとき児童相談所は祐子の「夫はDV加害者でストーカーなのでくれぐれも連絡しないで」という話を精査せず鵜呑みにした。
施設の人たちは愛実ちゃんを大切に育てたようだ。入所した当時はコミュニケーションが下手で感情をあらわにすることがあったが、次第に落ち着き、女の子らしいかわいい少女へと成長していきつつあった。
ところが愛実ちゃんが9歳になった2016年の6月の一時帰宅の際、愛実ちゃんの人生はそこで終わりを迎えてしまう。事件が起こってしまったからだ。

失われなかった命ではないか

愛実ちゃんが亡くなってしまった原因はもちろん祐子が殺してしまったからだ。ただその途中で歯止めがきいていれば、失われなかった命だったのではないか。
もし日本がほかの大多数の国のように、離婚後単独親権で離婚しても共同で子育てをすることが当たり前の国ならば、事件は起こらなかったかも知れない。

とはいえ制度は簡単には変えられない。しかしそれでも途中で行政側の取り扱いがもう少し丁寧ならば、、、と思えてならない。
もし、面会交流が無事に行われていれば、
もし、大仙市役所が住所のブロックに慎重になっていれば、
もし、大仙市と秋田市の児童相談所が連携できていれば、
もし、秋田市の児童相談所が父親に話を聞き、児童養護施設に事情を伝えていれば、もし、一時帰宅の際、施設へ帰らなかった後、翌日の夕方ではなく、すぐに安全を確認できていれば、
いくつもの「もし」が頭に浮かぶ。
しかし実際のところは、本来もっとも弱い子どもたちを守るべき、児童福祉法やDV防止法、DV等支援措置といった仕組みが行政側をがんじがらめにしてしまい、愛実ちゃんの命を奪う遠因となってしまった。こんな皮肉なことはない。
「児童相談所が母親に養育能力が欠けていたと認識しながら、親権の停止を申し立てず、月1回の愛実さんとの面会をさせなかったなどとしている。阿部さんは、7日児童相談所を所管する県と秋田市、それに大仙市を相手取り8000万円余りの損害賠償を求め、秋田地裁に提訴した」(秋田テレビ)https://www.akt.co.jp/news?sel=20190607-00000005-AKT-1
阿部さんは話す。
「娘が殺されてしまって私にはもう失うものは何もありません。しかし私は世の中を変えたいんです。会わせてもらえずに辛い思いをしている人を一人でも減らしたいですし、みなさんには私のようになってほしくないんです。このままでいいのかということを裁判を起こすことで世の中に問いかけたいと思っているんです」

千葉愛実ちゃんが父親である阿部康祐さんとの縁を絶ち切られていなかったらこんなことは起こらなかったに違いない。嘘のDV主張を鵜呑みにし、阿部さんを遠ざけた行政側によってこの殺人は引き起こされてしまったとも言える。
この事件に関わってきた私も、この裁判が、制度が変わるきっかけになればと強く思っている。何の非もない女の子が無残にも殺されてしまう。それを助長するような法律は変えるべきだし制度も変えるべきだ。(写真・文◎西牟田靖)

妻のDVに苦しむ夫は意外と多い。殴られて救急搬送された夫が語った“恐怖”

出典:令和元年5月31日 女子SPA¡

妻のDVに苦しむ夫は意外と多い。殴られて救急搬送された夫が語った“恐怖”

 昨年、“エリート銀行員が妻を殺害し、母親が死体遺棄を手伝った事件”が前代未聞だと話題になったのを覚えているでしょうか?

 この事件の裁判での夫に対する被告人質問で語られたのは、妻からの家庭内暴力です。「顔面殴られたり、髪をつかまれたり、引きずり回されたり、100回以上ありました。土下座するわたしの頭を蹴りました。もう限界だと思いました」と証言した夫。

 もちろん夫側だけの証言だし、それで殺人が許されるわけはないのですが…。

 男女関係や不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんが、妻によるDV事例についてレポートします。(以下、亀山さんの寄稿)

妻の暴力に苦しむ男は少なくない?

 千葉県柏市で妻を殺害し、遺体を母親とともに実家の庭に埋めた罪に問われている元銀行員の男が、29日の裁判で「家庭内での妻の暴力や暴言がひどかった」と証言している。

 離婚を切り出したら、幼い娘とともにマンションの屋上へ駆け上がり、飛び降りて死ぬと脅したりもしたようだ。強迫神経症を患っていたらしいが、妻も夫も追いつめられていたのだろう。

 平成29年度の内閣府「男女間における暴力に関する調査」によれば、配偶者から身体的暴行、心理的攻撃、経済的圧迫、性的強要の4つのうち、ひとつでも受けたことがあると答えたのは女性で4割強、男性はほぼ2割(*)。

 あまり問題視されないが、女性から男性への暴力も決して少なくないのだ。

(*)配偶者からの身体的暴行、心理的攻撃、経済的圧迫、性的強要のいずれかの被害

参考 内閣府男女共同参画局「男女間における暴力に関する調査 配偶者からの暴力の被害経験」(平成29年度調査)

 実際に、妻からの暴力がひどくて離婚したと語ってくれた男性がいる。サトシさん(47歳)は、調停や裁判を経て4年前、ようやく離婚できた。結婚前から神経質な女性ではあったが、妊娠をめぐってそれが加速した。

「私が30歳、妻が28歳で結婚しました。なかなか子どもができず、妻は思い悩んでいました。私は子どもがいなければいないでもいいと思っていたんですが、どうしても子どもがほしい、と。

 ようやく妊娠したのは4年後。今思えば、あのころから彼女はかなり神経過敏になっていましたね。流産するのではないかと恐怖にかられ、家の中のことはほとんどしなかった」

 サトシさんは外資系企業に勤めていて海外とのやりとりが多く、帰宅が遅くなることもあった。なるべく早く帰って家事をやるよう心がけていたが、どうにもならないときは妻の母に応援を頼んだ。

「ある日、どうしても仕事で会社に泊まらなくてはならないことがあったんです。疲れ果てて、朝やっと家の玄関を開けたらいきなりグーパンチが飛んできた。脳しんとうを起こして救急搬送されました」

 妻はどうやら浮気を疑っていたらしい。一晩、悶々とした結果がグーパンチだった。妻の不安はわかるが、いくらなんでもやりすぎだろうとサトシさんは将来に不安を覚えたという。

子どもが生まれた後も妻は神経過敏

 息子が生まれてからも妻の神経過敏は続いた。もちろん病院に連れていったこともあるが、結局は、「子育てのストレスですから、手伝ってあげてください」と言われるだけ。

 サトシさんは自分ができることは何でもやった。たとえ睡眠不足になっても子どものことに関しては手を抜かなかったという。

「妻の母親もよくうちに来て手伝ってくれていましたから、今でいうワンオペではなかった。それでも妻にとってはストレスがあったんでしょう」

 家に帰ると、出前でとった鮨桶(すしおけ)や取り寄せたらしい高級メロンの箱などがよく台所にあった。

 サトシさんはまったく食べていない。おそらく妻が母親と食べたのだろう。だがそれで少しでもリラックスできるならそれでもいいかと思い、彼は言及しなかった。

子どもの身体にアザを見つけた

 時間があればサトシさんは息子と遊ぶようにしていた。だが、平日はなかなか早くは帰れない。

 週末、彼が息子を風呂に入れようとすると、「今日は風邪気味だから入れないで」とか、「さっきあなたがちょっと出かけているときにもう入れた」などと言う。

 おかしいなと思い、ある日、早く帰れたので妻の制止を振り切って息子を風呂に入れた。背中に生々しいアザがあった。息子が2歳のころだ。

「ママにぶたれたの?と聞いたら、息子の表情が固まったんです。あんなに小さいのに言っていいかどうか考えている様子なんですよね。不憫(ふびん)でたまらなかった」

 妻に尋ねると、「昨日、外で遊んでいて背中から転んだ」という。背中から転ぶ状況を説明してもらったが彼には納得できなかった。

何もかもがおかしくなっていた

 その間も、何か気にくわないことがあると妻はサトシさんに暴力をふるった。多くは彼が妻の手をつかんでやめさせたが、そうすると今度は大声で怒鳴り続ける。息子はおびえて泣いた。

「家に帰る時間が5分遅れると、妻は『死んでやる』と脅す。謝ると土下座しろという。息子のためにも平穏な時間がほしいから、土下座するしかなかった」

 もちろん、話し合おうとしたことも何度もある。

「何が不満があったら言ってほしいと何度も言いましたが、妻はとにかくすべてがイヤだと。こんな生活はしたくないというから、じゃあ離婚しようというと『あなたは私を捨てるのね』と号泣する。

 お義母さんとも話しましたが、お義母さんはまったく彼女のおかしさに気づいていない」

 あとからわかったことだが、義母は娘からお金をもらって妙な新興宗教に貢いでいたらしい。何もかもがおかしくなっていた。

家の中に隠しカメラをつけて

 その後、サトシさんは家の中に隠しカメラをつけた。妻はやはり息子に暴力をふるっていた。

 彼は即座に3歳の息子を連れて家を出ることを決意した。妻に預けていた預金通帳を探し出すと、預金はほとんどなかったという。

「それなりに稼いでいたんですよ。だけどほぼゼロ。妻のクローゼットを見たらブランドもののバッグが使った様子もなく、値札がついたまま並んでいる。

 それを売り払うしかないと思って全部車に積んで、とりあえず友人宅に避難しました」

 翌日、妻が友人宅へやってきて、大騒動になったという。彼はすぐにマンションを借り、子どもは昼間、近くに住む妹宅に預けた。

 オートロックの妹宅のマンションに妻が入り込んで騒ぎになったこともある。

「妹夫婦が身体を張ってうちの息子を守ってくれた。それは感謝しています」

「いちばん怖かったのは、子どもを人質にとられていること」

 彼が息子を迎えに妹宅へ行ったとき、隠れて待っていた妻から襲撃を受けたこともある。それでも彼が警察沙汰にしなかったのは、「息子の母親を犯罪者にしたくなかったから」だという。

 彼は弁護士をつけ、離婚を模索したが話し合いは決裂。調停、裁判と進んで、ようやく親権をかちとって離婚した。

「妻が暴力をふるうと言っても、あまり周囲に信じてもらえないんですよね。精神科医の医者も頼りにならなかった。

 私がいちばん怖かったのは、子どもを人質にとられていること。だから妻を怒らせるようなことはしたくなかった」

 今は息子とふたり暮らし。忙しかった外資系企業を辞めて、友人と起業した。家でできる仕事も増えたが、12歳になった息子のほうが最近多忙だと笑う。

「でも時間があると息子とふたり旅をしています。この夏もふたりで自転車の旅をするつもり」

 サトシさんは、「過去のあの日々を思い返すだけで今も怖い」と最後にぼそっとつぶやいた。

<文/亀山早苗>

「友人にも妻にも話したことはない」離婚家庭の息子たちが明かす親子の関係

出典:令和元年5月30日 HUFFPOST

「友人にも妻にも話したことはない」離婚家庭の息子たちが明かす親子の関係

15万3600件。これは1988年、今から30年前の日本の離婚件数だ。婚姻件数が70万7716件なので、単純計算すると約21.7%の離婚率ということになる。
しかし、「親は二人」がまだまだ一般的な日本では、ひとり親家庭の親子関係はちょっと特殊とされる。もちろん、“親”なる存在がひとりきりだからである。
ひとり親家庭で育った子どもたちは、親とどんな関係を築くのだろうか。その当事者として、これまであまり語られることのなかった「母と子どもの関係」に注目し、女性編に続いて3人の男性に話を聞いた。
「こんなこと、友人にも妻にも話したことありませんよ。話したいことでもないし、話す機会もない」と、ある男性は語った。母との距離に人知れず悩む彼らの本音とはーー?

母との適切な距離は、最後までわからなかった

「結局、最後まで適切な距離感はわからないままでした」
7年前に亡くなった母親について、鈴本真二さん(仮名)はこう回顧する。
鈴本さんは、島根県生まれの41歳だ。両親が離婚したのは、小学校に上がる直前。母は、鈴本さんと3歳年上の姉きょうだいを連れて、実家に身を寄せた。
「よくある貧困母子家庭ですよ。母の帰宅は毎日夜中で、祖父母が親代わりでした」
「姉は中学に入って早々に非行の道へ走り、それを横目に見て育った僕は、小学校高学年からラジオや音楽、映画、雑誌、ゲームなどのカルチャーにどっぷりハマっていきました。放課後や休日は自宅に友だちを呼んで、自分にあてがわれていた家(母屋)の離れでたむろしていました」
中学時代は、街にある5軒のレンタル屋をめぐって映画のビデオをどっさり借り、それらを観て過ごすのが週末の楽しみだった。
「土曜日はもう一つ、大切にしていた時間がありました。深夜の12時半とか1時まで起きていて、仕事から帰宅した母親と、録画した『平成教育委員会』を観るんですよ。それが唯一の母との時間でしたね」
母は深夜まで働き、姉は不良仲間と外で遊び、鈴本さんは友人と濃密な時間を過ごす。それぞれが異なる世界で生きる鈴本さん家族が共有するのは、週に1度、1時間の『平成教育委員会』を一緒に観る時間だけだった。
しかし、そのつながりはあまりに危うく頼りなかった。鈴本さんは、ある些細なきっかけで家族との距離感を見失ってしまったのだ。
「ある夜、離れから母屋に戻ろうとしたときに、カギが締められていたんです。なぜだかすごくショックで、それから家族には心を閉ざすようになりました。誰がどんな意図でそうしたのかはわかりませんが、あの瞬間に家族とのつながりが切れてしまった」
暗闇でひとり立ち尽くした鈴本さんは同時に、「僕たち3人はやっぱりそれぞれが別々の人生を歩むんだな」と悟ったという。
「家族との関係をどうにかしなきゃとは思っていませんでした。当時はもう、血縁関係が嫌になっていて、友だちとの関係のほうがよっぽど濃いと考えてもいました」
高校卒業後は、18歳で上京。母親のことを憎いと思ったことはないが、母親とどう接するのがいいのか、何を話せばいいのかは、ずっとわからなかったと明かす。
「いつも『これをやっとけば喜ぶんだろうな』って他人事みたいな理由しか見つけられないんですよ。30歳で今の勤務先に入社したときも、『母でも知っている大手企業だし、息子が就職したら喜ぶだろうな』と思って報告しましたし」
事実、母は喜んでいた。とはいえ、鈴本さんが直接言葉をかけられたのではない。母の死後に、元同僚からそう聞かされたのだ。
「母にステージ4のすい臓がんが見つかったのは、僕が34歳のとき。当時は2週間に1回、田舎に帰っていました。それでも、僕はゆがんでいるんです。『顔を見せることがいいんじゃないか』と思ってきたくせに、弱った母の姿を見たくないから『行ったって仕方ないし』と地元の友だちと遊んでみたりしましたね」
母の闘病中は、『ワクチン治療に一縷の望みを託すべきだ』と母を説得し、治療費を出したりしたという。当時の彼女を連れて、結婚相手として紹介したりもした。すべては、そうしたいと望んだからだ。
「それでも、どこかで『息子だったらそうすべきなんじゃないか』『結婚という一般的な幸せを見せたらいいんじゃないか』と考える自分がいました」
一つひとつの言動は、彼を孝行息子に見せただろう。しかし内実は、彼は母との距離を最後まではかりかねていたのだ。
現在は、妻と二人で暮らしている鈴本さん。妻との関係は「家族というより個と個のつながり」だと話す。
鈴本さんは故郷を離れた地で、「血縁よりも濃い関係」が結べるかけがえのない相手を見つけた。

思春期、母親を「おばさん」と呼び始めた

田端弘さん(仮名)は、福岡県出身の44歳。両親が小学校低学年で別居し、10歳のときに離婚。思春期、彼は母親を「おばさん」と呼びはじめた。
「母ひとり、子ひとりの母子家庭だったので、精神的な部分での母子密着がすごかったんでしょうね。離婚のドタバタもあって小六まで一緒に寝ていましたし、小学生の頃は母親に強く依存していたと思います。でも思春期になって、そんな自分がすごく嫌になって……」
結果、自分と母親とを引き剥がすかのように使い始めたのが、「おばさん」という呼称だった。一方で、母親を理解したいという気持ちも強かった。
「母は、大手電機メーカーの正社員として勤務しながらも、高卒の一般職ゆえに会社では嫌な思いをすることが多かったのでしょう。会社から帰宅して、『悔しい』と泣くこともありました」
「そんな様子を見ていたからか、中学生ながらに社会学やフェミニズムに目覚め、宮台真司や上野千鶴子を読むように。『なぜ女性は女性だというだけで差別されなければならないのか』と考えたかったんだと思います。母親の苦労を言語化したい気持ちがあったんでしょう」
中学、高校に上がっても、家庭内に二人きりの密接な関係は続く。そのため、十分に心の距離が取れないまま、田端さんは相反するアンビバレントな思いを抱き続けた。
「何かと干渉してくる母親をウザいと感じながらも、“母親は自分だけに奉仕するもの”みたいな感覚は、ずっと持ち続けていたような気がします」
それは、いまだに続いている。
「いまでも、母親に相対すると思春期男子に戻ってしまうんですよね。素直になれなくて、『なんだよウザいな』みたいな接し方しかできない。一方で甘えも断ち切れていなくて、親は自分のことを愛していて当然だというような感覚もあるんです」
田端さんは、大学進学と同時に上京。故郷を離れてから今まで、母親との微妙な距離感は変わらないままだ。
たびたび電話をして『振り込め詐欺に気をつけろ』と忠告する一方で、年に1〜2回、一緒に行くと決めている国内旅行では、旅行代金をかなり多めに出してもらえるようせがんだりもする。
「でも、けんかばっかりしてるんですよ。いまだに、福岡にいたころのお互いの態度の問題で言い合いになって、電話を切ったりして。たまにオレは40にもなって何をやっているのだと思ったりもしますね(苦笑)」
「父親もいる家庭に育っていたら、思春期にもう少し母親と距離が取れて、今の関係も変わっていたのかもしれませんね。妻の方が、ときに受け流して、ときにおだてて、よっぽど僕の母親とうまくやっていますよ」と田端さんは話す。
彼は、いまも母親を「おばさん」と呼ぶ。
「事情を知らない周りの人には引かれるけど、特別な意味はないんですよ。急に『お母さん』とか呼んだら、母親ですら『何ね、あんた気持ち悪い』みたいなことを言うと思う」
母親との距離を取ろうと使い始めた「おばさん」。その呼称は、二人が積み重ねてきた不器用な愛情を示すようにも映った。

言えない本音は、すべて姉に打ち明けていた

東郷大地さんが遅れた反抗期を迎えたのは、大学生のことだ。
「高校時代まで、母は“唯一神”でした。逆らうことはもちろんなかったし、母の考えに違和感を抱いても『母が正しいはずだ』と自分に言い聞かせていた。母との関係が変わったのは、大学時代です。家を出て距離を置いたことで初めて母を相対化でき、母も1人の人間なんだと気がついた」
東郷さんは、山口県出身の25歳。3歳で両親が離婚。10歳年上の姉とともに母親に引き取られ、三人暮らしに。中学進学のタイミングで姉が家を出たため、思春期は母との二人暮らしだったという。父の記憶はほとんどない。
「中学校までは、無理をしてでも“いい息子”であろうと努めていました。母に金銭的、時間的負担をかけないようにと、いつも気を遣っていましたね。『勉強だけはしておきなさい』と言われていたので、真面目に学校に通っていて、成績も上位をキープしていました」
周囲は塾に通ったり、流行りのゲームで遊んだりしていたが、それらを母にねだることはなかった。ときに、さみしい気持ちを抑えることもあった。
そんな東郷さんを支えたのは、姉の存在だ。
「人に言えない本音は、すべて姉に打ち明けていました。さみしい気持ちも全部。姉とは、ずっとお互いに何でも話す関係なんですよ。中学までは週末に勉強を見てもらったりもしましたし、今でも頭が上がりません」
高校に進学してからも、母に報いたい、母を喜ばせたいという思いは途絶えなかった。それゆえ、自己主張はせず周囲と波風立てずに協調することをよしとする母の性格を、東郷さんは知らず知らずのうちに内面化していた。
「きっかけは、大学のゼミやサークル活動のなかで、自分には考えを伝えて人を動かすスキルが欠けているなと感じはじめたことでした」。東郷さんは転機を振り返る。
「例えば、アカペラサークルでライブを仕切る担当になったとき、僕は人の顔色ばかりうかがっていたんです。こうしたいという思いはあったけれど、それをどう伝えて、どうやって人を動かせばいいのかがわからなかったんですよね」

なぜだろう? その理由を考えた結果、はっと思い当たる。
絶対視していた母の考えは、ここでは通用しない。母が間違うこともある一人の人間なのだとわかったとき、東郷さんはあまりのギャップに苦しんだ。
だって、大好きな母が間違っているなんて思いたくない。
「以来、母をロジカルに詰めるようになりました。母に逆らったのは人生で初めてでしたね。単純に母親が間違っていることを指摘したい気持ちもあったけれど、とにかく母親を好きでいたいという気持ちで……」
母親が大好きだから、正しくいてほしい、好きでいられる母親でいてほしい。だからこそ、熱がこもりすぎることもあった。
「顔を合わせたときは、特に熱を帯びて。母も頑固なので、二人で何時間も議論することになるんですよ。帰省の際に夜中の3時ぐらいまで延々と話して、結局、あんまり理解してもらえずに『もういい!』って二階に上がる、みたいなことがあったり……」
母と本音でぶつかり合うようになった東郷さんは、今度は正論で母を言い負かした罪悪感に陥ったり、母親をストレスのはけ口にしているのではと悩んだりするようになった。
そんなときの相談相手は、やはり姉だった。
東郷さんは、「悩みを打ち明け合える姉という存在がなく、母親とずっと一対一だったら、どこかのタイミングで”モヤつき”をため込んでいたと思います」と回想する。
「過去を振り返ると、自分でもこじれそうな生育環境だよなと思うんです。でも、僕自身はいい育ち方をしたなと感じている。それは、僕たちが三人だったからかもしれませんよね。僕も姉も、互いを巻き込むことで、うまくガス抜きができていたのかもしれません」
東郷さんは、家族三人で暮らしていた時代、姉と母が言い合いをしている場面をよく覚えている。
「二人が口論になると、よく『大地はどう思う?』って話を振られたんですよ。その繰り返しで、僕たちは関係を良好に保ってきたのかもしれない」
東郷さんは、姉という相談相手がいたからこそ、真正面から母親と向き合うことができた。
昨年、姉の結婚式では、パートナーとの幸せそうな姿を見て、誰より号泣したそうだ。また一方で、「父に会ってみたい」という長年思い描いていた希望も実現させている。もちろん、母を大切に思う気持ちは変わりない。
同じひとり親家庭の親子関係でも、親と子の関わり合いの深さ、きょうだいやコミットする親戚の有無などによって、その家族のかたちはさまざまだ。
ただし、緩衝材になりうる人物がいるかいないかで、一対一の親子関係の風通しはかなり変わってくるのかもしれない。

一般的に、男性は家族のことをあまり語りたがらない。今回、インタビューに答えてくれる離婚家庭育ちの男性にめぐりあうまでは、長い道のりだった。
「人と深い関係を築くのが苦手なんでしょうね。普通はそういうのを家庭の中で学ぶんでしょうけど……」
取材中、鈴本さんが何気なく漏らしたこの言葉を、たびたび思い出す。
事実、家庭とは人間関係のトライアルアンドエラーの場なのだろう。しかし、男性からこんな言葉を聞いたのは初めてのことだった。
どこか心が満たされない“欠け”のようなものは、どんな人にもある。ただ、寡黙に強くたくましくあることを強いられがちな男性にとって、自らの“欠け”を抱いたまま生きる痛みは、女性のそれとは少し違うのかもしれない。
取材に応じてくれた3人の話を聞き、彼らが人知れず抱えてきた過去に、もう少し耳を傾けてみたいと感じた。
(取材・文:有馬ゆえ、編集:笹川かおり)

「国際結婚の離婚」が「親子関係の破綻」となってしまった理由

出典:令和元年5月24日 現代ビジネス

「国際結婚の離婚」が「親子関係の破綻」となってしまった理由

 結婚や離婚の取材を長年続けているライターの上條まゆみさん。「子どもがいる」ことで離婚に踏み切れなかったり、つらさを抱えていたりする人の多さに直面し、そこからどうやったら光が見えるのかを探るために、具体的な例をルポしていく。

 今回はアメリカ人男性と数年前に離婚した赤沢奈央さん(仮名・50歳)。アメリカ人の夫との離婚のあと、子どもに会えなくなっている女性の体験をご紹介しよう。

国際結婚件数が桁違いに増えていることに比例して、国際離婚件数も増加している。

国際結婚は増加の一途
 グローバル化の流れのなかで、国際結婚が増加している。1960年代は年間4~5千件、婚姻数全体に占める割合は1%前後であったのが、1980年代後半から増え始め、現在は年間2~3万件、3%前後で推移している。

 愛の前に、国籍の違いなど関係ない。それはそのとおりだが、夫婦関係が破綻し、いざ離婚となった場合、国際結婚ならではの問題に直面することもある。その一つが、子どもをめぐる争いだ。

 どちらの親が親権をもつか、面会交流はどうするか。国内結婚でも揉めるケースは多いが、国際結婚の場合は、より深刻な事態になりかねない。親権を得た外国籍の親が、国外へ子どもを連れて行ってしまう恐れがあるからだ。そうすると、日本に残された親は、思うように子どもに会えなくなる。しかし、単独親権、共同親権の問題は簡単に「黒か白」と言い切れる話ではない。

アメリカ人の夫と3年前に離婚
 50歳の赤沢奈央さんは、まさにその問題の渦中にいる。3年前にアメリカ人の元夫と離婚した奈央さんには、中学生になる娘が2人いるが、その親権は父親だ。

 上の娘は、いまは奈央さんと会おうとしない。発達障害の診断を受けており、考えが白か黒かの極端に偏りがちな特性から、「片親疎外(注)」の状態にあるのではないかと奈央さんは推測している。

 一方、下の娘は週に数回、交流している。奈央さん宅にごはんを食べに来たり、買い物に出かけたりなど、関係は良好だ。
しかし、元夫はまもなく娘2人を連れて、アメリカへ引っ越す予定だという。

 「元夫は、アメリカでの仕事が見つかりしだい、娘を連れて日本から引き上げると言っています。親権をめぐる裁判中は、『高校を卒業するまでは日本にいる』と約束したのに、です。でも、親権をもたない私には、それを止める術がない。それがいつなのか、もしかしたら既に仕事は決まっていて、明日にでも日本を発ってしまうのか。私は、その恐怖と闘いながら毎日を過ごしているのです」

注)片親疎外:両親の別居・離婚などにより、子どもと暮らしているほうの親が、もう一方の親に対するマイナスなイメージを子どもに吹き込み、結果として正当な理由もなく片親に会えなくさせている状況

国際結婚とハーグ条約
 こうした切ない状況の裏には、日本の親権制度と国際結婚ならではの問題がある。
アメリカなど欧米諸国では、一方の親が不当に子どもを連れ去ることは犯罪である。また、離婚後の子どもの親権は双方の親がもつ「共同親権」が原則なので、一方の親の了解を得ずに国外に連れて出ることはできない。「ハーグ条約」によって禁止されている。

 たとえば、アメリカで国際結婚をした日本人の妻が、離婚して子どもを日本に連れ帰ろうと思っても、子どもの共同親権者である夫がNO! と言えば、それはかなわない。

 一方で、日本国内での子どもの連れ去りは、あまり問題視されていない。結婚が破綻した際、妻が子どもを連れて実家に帰ってしまうなどというケースはいくらでもある。子どもを連れ去った側の親が「監護の継続性」の名のもとに親権を得るケースが多いことから、裁判所によって半ば容認されているとすら言える。 

 実は、先進国において、離婚後の子どもの親権をどちらか一方の親だけがもつ「単独親権」なのは日本だけだ。欧米諸国をはじめ韓国、中国などでも、離婚後の子どもの親権は「共同親権」、あるいは「単独親権」との選択制を採用している。

 つまり、日本も欧米諸国同様、「共同親権」であったなら、奈央さんの元夫は娘を連れて海外移住できない。「ハーグ条約」に引っかかる。

 子どもの居住地を決めるのは親権者だから、日本国内においても遠く引っ越してしまう可能性はあるが、日本の法に基づいて居住先を探すこともできるし、その気になれば追いかけて近くに住むこともできる。しかし、国外となると、ハードルは格段に高くなる。実際、昨年子の親権を同様に片親疎外で奪われて、相手親と子の海外移住を止められなかったもう一人の女性は、現在その子との連絡が全くとれず、安否さえもわからない状態に陥っている。海外に探しに行く予定だが、そうしても見つかる保証もない。
正社員になる約束を守らなかった
 奈央さんが元夫と知り合ったのは、20代前半。エンジニアとして会社勤めをしていた。3つ年上の元夫は外資系金融会社の契約社員で、日本に働きに来ていた。3年間の交際後、日本で結婚、そのまま日本に住んだ。

 しばらくは、それぞれの仕事に没頭して過ごした。30代後半になり、「子どもを産むならタイムリミットだ」と子どもをつくった。2歳違いで、2人の娘に恵まれた。

 「保育園に預けても、子どもは熱を出したりしますよね。それで夫婦で話し合い、私が在宅勤務に切り替えて子どものケアをすること、彼は一家の大黒柱として正社員の職を探すことを約束しました」

 しかし、元夫はその約束を守らなかった。奈央さんは不満が募り、苛立ち、そして口論が増えた。2人の仲は、みるみる崩れていった。

 「私は地方出身で、まわりに男尊女卑的な考え方をする人が多かったので、男女平等に徹する元夫がはじめは新鮮でした。でも、それは裏を返せば、頼り甲斐がないということ。子どもが生まれたというのに、自分が家庭を支えるという意識がないと感じてしまったんです」

 ある日、何度目かの大げんかをきっかけに、元夫は1人で家を出ていった。それでもほぼ毎日、家に来て朝ごはんを食べ、娘たちを保育園に送って行った。 

 子どもを真ん中に、両親それぞれが子育てにかかわる。娘たちが小学生になっても、こうしたゆるやかな別居生活は続いた。奈央さんは、子育てが終わるまではこのままでいい、と思っていた。ところが。

 「夏休みに10日ほど娘を預けたら、それっきり返してくれなかったんです。娘たちによれば、『ママと住んだら、もうパパには会えなくなる』と言われたそうです。幼かった娘たちはその言葉を信じてしまい、『ママにもパパにも会い続けるために、パパの家に住む』と。そんなことはないよと説得しても聞かず、会っても夜には元夫の家に帰ってしまうようになりました。そのうち、上の娘は私を避けるようになりました」

 性格の不一致を理由に、離婚裁判をおこされた。奈央さんは、離婚まではしたくなかった。子どものために、なんとか修復したかった。しかし、元夫は離婚を譲らない。
原審では、「子の真の望みは両親との近居である」として、離婚判決とともに、奈央さんが親権を得た。しかし、親権を求めて控訴された。その時点で娘たちが父親とともに暮らしていることから「監護の継続性」を主張され、杓子定規の判決しか出さないことで有名な高裁で親権はあちらに渡ってしまった。

 元夫は、離婚成立から数カ月後に、海外在住の女性と再婚した。

会えるのは、近くに住んでいるからなのに
 「親権がどちらであっても、下の娘とはこうして会えている。上の娘とも、時間をかけて関係を紡いでいくつもり。でも、それができるのは、近くに住んでいるから。そもそも高裁の判決は、『子どもが高校を卒業するまでは日本にいる』ことを前提に出されたものなのですから、そこは子のために守るのが親としての務めであるはずです」

 そこで、奈央さんはいま、親権者変更調停を裁判所に申し立てている。しかし、いったん決まった親権者を裁判所が覆すことは、命の危険でもない限り難しい。

 ただ、覆る可能性があるとすれば、海外からの動きだ。2018年、EU各国から日本の法務大臣宛に、子どもの連れ去りに抗議する書簡が出された。それを受けて、日本でも子どもの連れ去りに対する目がきびしくなれば、もしかしたら奈央さんの判決にも影響があるかもしれない。

 実はいま、日本でも「共同親権」を取り入れるべきだとの動きがある。法務省では、共同親権の導入について、すでに本格的な検討を始めている。ただし、虐待親から子どもを守るにはどうするのかなど繊細な問題は多い。

「親権は子どもを守り育てるための権利であるはずだが、現在の単独親権では一人の親のエゴを行使する権利として濫用されかねない。子どもには両方の親の愛を受けて育つ権利がある。親の離婚によって、子どもが片方の親との関係を失うなどということがあってよいのでしょうか」 奈央さんの問いは、元夫との関係性を超えて、国の法制度に向けられている。

親の離婚後も、子どもが 日仏の文化を享受できるように。

出典:令和元年5月19日 Ovni

親の離婚後も、子どもが 日仏の文化を享受できるように。

リシャール・ユングさん
日仏間「夫婦間のこどもの連れ去り」に取り組むフランス上院議員

 今年3月、国営テレビ局・フランス2は「Japon, les enfants kidnappés/日本、誘拐された子どもたち」というドキュメンタリーを放映した。そこでは、フランスで一緒に暮らしていた日本人パートナーが娘と日本に行ったきり戻ってこなくなったため、日本へ赴くフランス人男性を追っていた。彼は日本で元パートナーに娘との面会を拒否される。フランス法廷では2週間に1回の面会とバカンス期間の半分を子と過ごすことが認められたのに、日本ではその判決が効力を持たず、なす術がない状態だ。
 もう一人のフランス人は日本在住だ。予告なしに日本人パートナーが息子といなくなった。息子の居場所はわからないが、誕生日には息子の祖母の家にプレゼントを届けに行く。しかし受け取ってもらえない。裁判では月に4時間の面会が認められているが、それさえ拒否され、玄関先で面会の権利を主張し続けた挙句、警察に連行されてしまう…。
 日本は2014年に「ハーグ条約」を批准した。これは、一方の親がもう片方の親の同意なしに加盟国間の国境を越えて16歳未満の子どもを連れ去った場合は、子どもが元いた国に戻すことを定めた条約だ。例えばフランスに住む日仏カップルの片親が、もう片方の親の同意なく日本に子どもを連れ去った場合、子はフランスに返されなければならない。ところが日本では、それが必ずしも実行されていないことが、長い間、外国から問題視されてきた。
 フランスでこの問題に取り組んでいるのが、リシャール・ユング上院議員だ。フランス国外に居住するフランス人の代表として議員に就任した2004年に「子どもの連れ去り」の被害者団体から手紙を受け取った。それから15年間、毎年日本の国会や外務省、法務省などに赴いている。
「日本文化に根ざした問題なので、解決には時間がかかります。例えば日本では母親が子どもを育て、父親は口を出さない慣習があります」。フランスでは家庭内暴力(DV)などの場合を除いては夫婦が別れた後も共同親権となるが、日本は単独親権制(母親に親権が与えられるケースが8割)をとってきたこともあり、一人の親がもう片方の親の同意なく子どもを連れて出て行っても罪の意識は薄い。しかしながらフランスでは「誘拐」とみなされるなど、認識にズレがある。さらに、連れ去った親でも時間稼ぎをすれば「継続性の原則」が認められることが多いという。つまり、母親が子どもを連れ去り、子どもがその生活に慣れたら、その生活から子どもを引き離さず「継続させる」ことが優先されるのだ。また偽装DVで相手を子どもに近付かせないケースも見られるという。
 現在、子どもを日本人のパートナーに連れ去られたフランス人は50~60人ほど。しかし、これは日仏間の連れ去りで、日本国内での連れ去りは数に入っていない。今後は、日本国内の実情も把握できるようにしたい、とユングさん。子どもの連れ去りに関して日仏の司法が協力しやすくなるよう、フランス大使館に司法官を配置したり、日仏諮問委員会を作ることなども、フランスの法務・外務大臣に提案している。連れ去りで子どもに会えないアメリカ人は400人という数字には程遠いが、連れ去りはフランス以外の欧州の国からも問題視されていたため、欧州26カ国の大使は、昨年、上川陽子前法務大臣に対して状況改善の誓願書を送っている。
 日本のハーグ条約批准5年を機に、3月8日、子を連れ去られた親数名、仏外務省、法務省、国会議員、プレスなどを上院に招いて会議を行なった。子どもを連れ去られた人たちの状況は5年前とさほど変わっていないが、仏司法関係者との対話の機会を作るために日本の民法の専門家をフランスに招請することに日本が好意的だったり、今月になって日本の法務省が共同親権制度の導入を検討する意向であると報じられるなど、進展もみられるようだ。
 「日仏ふたつの文化や言語に触れられるのは子どもにとって豊かな経験です。親は、相手との別れによる傷を乗り越えて、子どもたちが日仏ふたりの親と彼らの文化を享受できるようにしてほしい。自分の子に会えないでいる日本の父親たちが抗議するようになったら、状況は変わってゆくのではないでしょうか」。(六)
 

離婚後も父母双方が「共同親権」導入 時間かけ検討へ 法務省

出典:令和元年5月19日 NHK

離婚後も父母双方が「共同親権」導入 時間かけ検討へ 法務省

離婚したあとも父母の双方が子どもの親権を持つ「共同親権」について、法務省は夏以降、海外の制度を参考にして導入の是非を時間をかけて検討していく方針です。
離婚したあとの親権は、日本では父母のいずれかが持つ「単独親権」が民法に規定されている一方、海外の先進国では父母の双方が持つ「共同親権」が主流となっています。

法務省はアメリカフランスなど欧米を中心とした24か国を対象に、親権制度の仕組みや運用の状況などの調査を進めています。

調査は7月ごろまで行い、その後、結果を参考にして共同親権の導入の是非を検討していくことにしています。

共同親権をめぐっては、導入されれば親子間の完全な断絶を防いで養育環境を作ることで子どもの心理的な負担を減らすことができるという指摘や、養育費の支払いが円滑化されるといった期待があります。

一方で父母の関係が良好でない場合には進学先などを決める際に対立して合意が得られず、結果的に子どもの利益を害するおそれがあるなど、課題も少なくありません。

夏以降の検討でもこうした点が議論になることが予想され、法務省は時間をかけて検討を進める方針です。

「共同親権」導入の是非検討 米仏など海外での制度調査

出典:令和元年5月17日 NHK

「共同親権」導入の是非検討 米仏など海外での制度調査
離婚したあとも父母の双方が子どもの親権を持つ「共同親権」について、法務省は導入の是非を検討するため、アメリカフランスなど海外の親権制度の調査を始めました。
離婚したあとの親権について、日本では父母のいずれかが親権を持つ「単独親権」が民法に規定されている一方、海外の先進国では父母の双方が親権を持つ「共同親権」が主流になっています。

こうした中で、法務省はアメリカフランスドイツなど欧米を中心とした24か国を対象に、親権制度の調査を始めました。

調査は7月ごろまで行われ、各国の制度の仕組みや「共同親権」を導入している国でのメリットやデメリットなど、具体的な運用状況も調べて、「共同親権」の導入の是非を検討していくということです。

山下法務大臣は「調査で得られた海外の運用状況も参考にしながら、離婚後の親権制度の在り方について、引き続き検討していきたい」と述べました。

離婚での子引き渡し手続き明確に 改正民事執行法が成立

出典:令和元年5月10日 共同通信

離婚での子引き渡し手続き明確に 改正民事執行法が成立
 離婚に伴う子どもの引き渡し手続きを明確化した改正民事執行法が10日、参院本会議で全会一致により可決、成立した。裁判所に引き渡しを命じられた親が現場にいなくても、引き取る側の親がいれば、執行官が強制的に子どもを引き渡せるようになる。改正法は一部を除き、公布から1年以内に施行される。
 国境を越えて連れ去られた子どもの取り扱いを定めた「ハーグ条約」に基づく国内ルール、ハーグ条約実施法も同様に改正。一方の親が母国などに子どもを連れ帰った際の迅速な問題解決につながることが期待される。
 改正前は差し押さえなどの規定で運用し、子どもを物扱いしていると批判があった。
 

共同親権制度の導入可否検討へ 法務省、7月末までに各国調査

出典:令和元年5月9日 共同通信

共同親権制度の導入可否検討へ 法務省、7月末までに各国調査

 法務省が、離婚後も父母の双方が子どもの親権を持つ「共同親権制度」導入可否の検討に入ることが9日、同省への取材で分かった。現行民法の規定は父母の一方を親権者に定める「単独親権」だが、双方が養育に責任を持つ共同親権を選べるようにすべきだとの意見がある。ただ異論も根強く、検討に先立ち、法務省は外務省を通じて7月末までに24カ国の制度を調査し、問題点を整理する方針だ。
 民法は親権について「婚姻中は父母が共同して行う」と規定。協議離婚の場合は協議で、裁判を経た離婚では裁判所が、父母の一方を親権者と定めるとしている。

子の連れ戻し迅速化/親不在でも可能に ハーグ条約対応、法案が衆院通過 居場所特定なお課題

出典:平成31年4月17日 日経新聞

子の連れ戻し迅速化/親不在でも可能に ハーグ条約対応、法案が衆院通過 居場所特定なお課題

国際結婚の破綻で一方の親が母国に連れ帰った子供を元の国に迅速に連れ戻せるようにする民事執行法改正案が16日の衆院本会議で全会一致で可決、参院に送付された。今国会成立は確実な情勢だ。子供の所在地がわからなくなっている場合、どのように特定するかなどの課題も残る。

子供を連れ戻すルールは、日本が2014年に加盟したハーグ条約に「強制執行」の手続きが定められている。強制執行は裁判所が引き渡しを命じた場合、家庭裁判所の執行官が代わりに子を保護する仕組みだ。
今回の改正案はこの手続きを迅速にする。引き渡しに応じない親に制裁金などを科して促しても応じないとみられる場合、一定期間を待たずに連れ戻しを認める。
保護する際、引き渡しを命じられた親が立ち会わなくても、申し立てた親がいればできるようにする規定もつくる。
制裁金などを科す「間接強制」の手続きを経なくても強制執行できるようになることから、子供を連れ戻す手続きの実効性は高まるといえる。
ハーグ条約への対応をめぐっては、米国務省が昨年5月に日本を「効果的な執行策がとられていない」とし、同条約の「不履行国」と認定していた。
課題は残る。その一つが子供の所在が特定できない場合への対応だ。連れ戻すのは容易ではない。国際離婚などが専門の本田正幸弁護士は「(今回の法改正は)子の所在が特定されていることが前提になっている」と指摘する。英国など欧米では捜査機関と連携している例もあるという。「制度のさらなる整備が必要不可欠だ」と語る。
子供の心身への配慮も欠かせない。衆院法務委員会での法案審議で、法務省は児童心理専門家が執行補助者として保護する場に立ち会えるとの見解を示した。
家族法が専門の早稲田大の棚村政行教授は「子の返還が実現しないケースが残れば再び米国に指摘されるだろう」と話す。
改正案は成立から1年以内に施行される。詳細な運用ルールにあたる最高裁判所規則を定める手続きも必要になる。

離婚後親権の運用実態、24カ国調査へ 法務省

出典:平成31年4月17日 産経新聞

離婚後親権の運用実態、24カ国調査へ 法務省

 離婚後も両親ともに子供の親権を持つ「共同親権」に関し、法務省は17日の衆院法務委員会で、外務省を通じ世界24カ国での離婚後親権制度の運用実態を調査すると明らかにした。7月末までをメドに調査を行い、共同親権を取った場合の問題点などを整理する。
 日本維新の会の串田誠一氏への答弁。法務省は平成26年度にも外部委託で制度調査を行ったが対象は9カ国だった。今回は共同親権の多い欧米だけでなく、インドなど単独親権国も含め東南アジアや中東、南米まで広く調べ、父母が対立して裁判所が調整を行う事例や、調整の平均所要日数なども調査するとした。
 日本は民法で単独親権を取っており、父母対立が子供の養育に影響するおそれがあるため、政府は共同親権は「慎重に検討する必要がある」(安倍晋三首相)との姿勢を崩していない。
 ただ近年、国際結婚の増加で離婚後に国境をまたいでトラブルになるケースがあるほか、離婚しても父母双方が養育に責任を負うようにするべきだとの声もあり、昨年7月には当時の上川陽子法相が「親子法制の諸課題について、単独親権制度の見直しも含めて広く検討していきたい」と述べ、共同親権との選択制などの検討を示唆していた。

子どもの権利条約 批准25年

出典:平成31年4月16日 毎日新聞

子どもの権利条約 批准25年
今年は、子どもの人権を国際的に保障する「子どもの権利条約」=1=が国連で採択されて30年、日本が条約を批准して25年になる。しかし、国内では虐待事件やいじめ自殺、貧困など、子どもを巡る問題が後を絶たない。国連子どもの権利委員会=2=で委員を務める大谷美紀子弁護士(54)に、日本の現状と課題を聞いた。【聞き手・永山悦子、写真・根岸基弘】
 
以下、記事を参照ください。

「離婚後の単独親権は違憲」 共同親権導入求め、男性が国賠提訴

出典:平成31年3月26日 弁護士ドットコム

「離婚後の単独親権は違憲」 共同親権導入求め、男性が国賠提訴

日本では、子どものいる夫婦が裁判離婚した場合、父親か母親のうちどちらかが親権を持つ「単独親権」を裁判所が定める、と規定されている(民法819条2項)。しかし、こうした離婚後の単独親権のあり方は、夫婦であった親の間で合理的な理由なく差別的な取り扱いをすることであり、憲法に違反するとして、都内の会社員男性(40代)が3月26日、東京地裁で国を相手取り164万円の損害賠償を求める訴訟を提訴した。

男性は2人の子どもの親権を最高裁まで元妻と争っていたが、認められず、親権を失った。男性は提訴後の会見で、「親権を持つことに不適格な方もいると思うが、どちらの親も親権者として適格であるケースが多いと思います。裁判所も調査はありますが、判断することが難しいので、子どもと同居している親に親権を与えているのではないか」と現在の単独親権のあり方に疑問を持ったことが、提訴の理由の一つだと語った。

この裁判は、離婚後も婚姻時と同様に両親で共同親権を持てるよう求めるもので、国会による立法不作為を指摘している。男性の代理人である作花知志弁護士によると、立法不作為による国家賠償請求訴訟で、単独親権を憲法に問う裁判は全国で初めてという。

●法務省で共同親権導入を検討、「後押ししたい」

訴状によると、離婚後単独親権を定めた民法819条2項は、法の下の平等を定めた憲法14条1項や、「離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」とする憲法24条2項に違反するとしている。

作花弁護士は会見で、共同親権の重要性を次のように語った。

「現在、法務省では離婚後も共同親権が持てるよう、法改正するべきではないかと動き始めています。この裁判では、その立法を後押ししたいと思っています。世界の国の中で、離婚後に単独親権をとっているのは日本と北朝鮮ぐらいです。他の国は共同親権が基本です。なぜなら、離婚は夫婦関係の解消であり、親子関係に関係するものではないという考え方です。

法務省のこうした動きの背景には、多発する児童虐待の問題があります。離婚して単独親権を持った親の新しい配偶者が子どもを虐待するケースが非常に多い。その場合、親権を失った親はその子どもを救う手段が持てない。共同親権によって児童虐待がすべてなくなるわけではありませんが、その手段の構築につながると思いました」

●「裁判所は子どもの味方になってほしい」

原告の男性は、元妻とは共働きで育児も積極的に行なっていたという。しかし、元妻と単独親権を裁判で争った際、子ども2人を連れて行った元妻に親権が与えられた。男性がその裁判を通じて感じたことは、子どもを現在監護している親が親権を取るケースが多いことだったという。その理由として、裁判所による調査には限界があることを指摘した。

また、男性は面会交流のあり方にも疑問を投げかけた。男性は月に2回、週末の場合は8時間、長期の休みには宿泊もするという条件で子どもたちと面会交流を続けている。「これが現在の裁判所で認めてくれる最大限だそうです。しかし、育児をしてきた自分にとって、頻度が少ないと感じています。また、面会交流は強制力がなく、親権がない自分にとって、確実に子どもと会えるという保障がない」という。

男性の子どもは、裁判所の調査官に対して『毎週、パパに会いたい』と訴えたといい、男性は「子どもが親に会いたいというのは、お腹がすいたとか、眠いとか、そういう基本的な欲求であり、かなえてあげるのが大人の役割ではないでしょうか」と訴えた。

「裁判所は、子どもの味方になってほしいと思います。単独親権は親同士の争いが生じやすい制度だと感じています。子どもが犠牲者になる可能性があります。そういうことを考えて判決を出してほしいです」

父親求める共同親権…国、法改正の検討始める

出典:平成31年3月19日 読売新聞

父親求める共同親権…国、法改正の検討始める

 離婚訴訟で父親側が、離婚後も子供の親権を父母双方に残す「共同親権」を求めるケースが相次いでいる。男性の育児参加が進んだことなどを背景に親権争いが増えているのが理由とみられるが、現行の民法は片方を親権者とする単独親権制度のため、裁判で認められた例はない。一方、欧米では共同親権が主流で、国は導入に向けて法改正の検討を始めている。
◆「成長に責任」
 「親として子供の成長に責任を持ちたい」
 神戸市に住む整備士の男性(34)は、別居中の妻のもとにいる長男(11)、長女(9)のきょうだいに2年以上会えていない。
 男性は2007年に結婚し、間もなく子供に恵まれたが、育児方針などで口論するようになり、夫婦関係が悪化。14年10月、妻は1人で自宅を飛び出し、8日後には男性に知らせないまま、小学校と保育園からきょうだいを連れ出した。
 妻は15年1月、離婚を求める調停を神戸家裁に申し立て、話し合いがまとまらず訴訟に発展。昨年8月の2審・大阪高裁判決は1審判決に続き、母子での生活が安定しているとして妻を親権者とする離婚を認めた。男性側は、離婚後に親権が片方にしか認められないのは憲法が保障する法の下の平等に反するとして、最高裁に上告している。
 男性が最後にきょうだいと会ったのは16年秋。その際、長女が描いた家族4人がほほ笑む絵をもらった。今も大切にしているという。
 同種訴訟は他にも複数あり、東京都の男性も共同親権を主張。しかし、最高裁は今年2月、憲法判断を示さないまま、男性側の上告を退けている。
◆「母親へ」多く
 厚生労働省の人口動態統計では、17年に離婚したのは約21万組。1990年代後半から3組に1組が離婚する流れが定着する中、親権争いが激化している。
 司法統計によると、どちらが子供を育てるかを争う「監護者の指定」の調停・審判申し立ては2007年の約1700件から増加を続け、17年は約4600件に上った。別居中や離婚後に、片方の親が子供との面会交流を求める申し立ても17年は約1万5000件に上り、10年前から倍増した。
 男性の育児休業取得率が1996年度の0・12%から2017年度は5・14%に上昇するなど育児を巡る環境も近年変化しつつある。
 家事事件に詳しい谷英樹弁護士(大阪弁護士会)によると、育児参加した男性は離婚後も親権を持って子育てに関与したいと考える傾向にあるが、裁判所が親権者と認めるのは、母親が圧倒的に多い。谷弁護士は「共働き世帯でも母親の方が子育てへの関わりが強く、親権者を母とする方が成育環境に適していると判断しやすい」と分析する。
◆両親の視点
 海外では欧米諸国に加え、中国、韓国なども共同親権を認めている。離婚後、親権を共同にするか単独にするか選べる国もある。ドイツでは、裁判所が共同親権を認めないのは違憲と判断し、1997年に法律化された。
 上川法相(当時)は昨年7月、共同親権を求める親らの意見を踏まえ、単独親権制度の見直しに言及。選択制とする方向性も示唆しており、法制審議会(法相の諮問機関)で議論される模様だ。
 共同親権は父母それぞれの視点を子供の発育に生かせる長所がある。一方で、育児方針などで父母が対立すると意思決定がしにくかったり、子供が両親の間を行き来して生活が不安定になったりとデメリットもある。また、父母のどちらかがDVや虐待の加害者の場合、もう片方の親による単独親権が望ましい。
親権 身の回りの世話や教育、財産管理、しつけなど、未成年の子供に対して親が持つ権利や義務。民法は「子の利益のためのもの」と定義する。離婚後の親権者の割合は戦後、男性が高かったが、1970年に逆転。2000年代から女性が約8割で推移し、17年は84%だった。

探偵が辿り着いた「児童虐待の方程式」

出典:平成31年3月16日 プレジデントオンライン

探偵が辿り着いた「児童虐待の方程式」

■なぜ児童相談所は動けないのか

 2018年3月、東京都目黒区で船戸結愛ちゃん(5歳)の虐待死事件が起きた。「もうおねがい ゆるして ゆるしてください」。結愛ちゃんが書いた反省文を読むたびに、何かしてあげられなかったのかとやるせない気持ちになる。

 私の探偵社では、児童虐待が確認された場合は、無償枠で対応をしている。依頼者の多くは、離婚で親権を失った実父や、実父側の祖父母だ。実父が会ったときに子供の体の不自然な痣に気づく、それを子や同居する母親に問い質した途端、子供と会えなくなるというパターンが多い。親権を持たない親が子と会う権利は、親権を持つ親に簡単に切られてしまう。転居すれば、居場所もわからなくなる。

 そこで我々が依頼を受けて調査するのだが、虐待の事実をつかんでも、そこから先が難しい。証拠を揃えて児童相談所(以下「児相」)に通報しても、動いてくれることは稀だからだ。

 児相はなぜ動けないのか。最大の原因は、親権の強さだ。児相の職員が通報を受けて現場に駆けつけても、親権を持つ親から逆に、「転んで怪我しただけだ」「どこに証拠がある」と責め立てられる。

 もちろん児相には、立ち入り調査したり、子供を一時保護したりする権限がある。しかし、親権者から「子を親から引き離すのか」と抵抗されると、手を出しにくい。

■日本独自の“制度”が、虐待をつくっている

 こうした状況を変えるには、児相の職員を増員する対策も必要だろう。しかし、高度なスキルが必要な職務であり、即効性は期待できない。

 個人的には、ほかにも打つべき手はあると思う。特に、離婚後に片方の親だけが親権を持つという、日本独特の仕組みについて、疑問に感じている。虐待親が単独親権という独裁的な権利を持つと、第三者が子供を救うことが難しくなるからだ。

 そのうえ、単独親権を持つ親が再婚・養子縁組をすると、血のつながらない親へ簡単に“空き”になっていた2つ目の親権が与えられる。その新たな親が虐待に加担するのは、現場を見る私からすればまさに「児童虐待の方程式」だ。

 夫婦間はこじれてダメになったとしても、実の子供は子供。子供が血のつながった両方の親と関係を続ければ、片方の親が他方の親の虐待を防げるかもしれない。しかし日本では、離婚で別居する親と子の縁を切り、法的な権利も切ってしまう。海外の探偵と情報交換する際など、そんな日本の現状を説明すると、「なぜそんな仕組みなんだ」と聞かれる。でも私は答えられないし、なぜだかわからない。

 諸外国のように、離婚後も、血のつながった2人の親が共同親権を持てば、虐待のリスクは減るだろう。私たち探偵も、共同親権者からの依頼というお墨付きがあれば、虐待阻止のために動きやすくなる。これ以上悲劇を繰り返さないために、離婚後の親権制度の早急な改革を望みたい。
ジャーナリスト 村上 敬 答えていただいた人=T.I.U.総合探偵社代表 阿部泰尚

「共同親権」最高裁は憲法判断せず 作花弁護士「残念だが、将来への大きな一歩」

出典:平成31年3月1日 弁護士ドットコム

「共同親権」最高裁は憲法判断せず 作花弁護士「残念だが、将来への大きな一歩」

離婚後は、子どもの親権を父親か母親のどちらかが持つ「単独親権」となることは、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するなどとして、40代男性が子どもの共同親権を求めている訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は2月28日、男性の上告を棄却する決定を出した。

男性の代理人である作花知志弁護士によると、最高裁は「上告理由に当たらない」として、憲法判断は示さなかったという。作花弁護士は「結果としてはとても残念なものでしたが、でも私個人としては、今回の訴訟は小さな一歩であったと同時に、将来の大きな一歩へとつながるものであったと感じています」と語った。

●作花弁護士「現在の単独親権制度が完全なものだとは思えない」

日本では、子どものいる夫婦が離婚した場合、父親か母親のうちどちらかが親権を持つ「単独親権」となることが、民法819条によって定められている。この裁判で、男性は2人の子どもの親権を求めて提訴するも、一審の東京家裁、二審の東京高裁で敗訴。二審からは、離婚後の共同親権を求めて争い、単独親権のあり方を違憲だとして、昨年10月、最高裁に上告していた。

最高裁の決定を受けて、作花弁護士は「結果は残念」として、「ちょうど訴訟が行われている際、全国各地で悲惨な児童虐待事件が続きました。今この瞬間でも、全国で泣いている子供たちがいることを考えると、現在の離婚後単独親権制度が完全なものだとは、私にはやはり思えないのです」とあらためてコメントした。

一方で、今回の訴訟で共同親権について社会的な議論が広がったという実感もあったといい、次のように語っている。

「1日も早く、子どもたちが両親と同じように触れ合いながら成長できることが確保される法制度が実現されてほしいと願っています。そしてそれはきっと、児童虐待事件などで辛い思いをされている子供たちを1人でも救えるような法制度となることを信じています。この度の訴訟には、多くの方々から大きな応援をいただきました。ありがとうございました」
弁護士ドットコムニュース編集部

「単独親権」憲法判断示さず  最高裁、夫側の上告棄却決定

出典:平成31年2月28日 毎日新聞

「単独親権」憲法判断示さず  最高裁、夫側の上告棄却決定

 離婚後に父母の一方しか子の親権者になれない民法の「単独親権制度」について、妻と子の親権を争う夫が「一方の親から子の親権を奪うのは法の下の平等を定めた憲法14条に違反する」と訴えた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は26日付で夫側の上告を棄却する決定を出した。決定は「上告理由に当たらない」とし、憲法判断は示さなかった。裁判官5人全員一致の意見。

 2審・東京高裁判決(2018年9月)などによると、夫は妻と2人の子と別居し、離婚訴訟で子の親権を争ったが、1、2審とも敗訴し上告していた。夫側は控訴審から、民法の単独親権制度は違憲で無効だとして「父母双方を共同親権者とすべきである」とも主張したが、高裁は「単純に共同親権ではないという理由で違憲とは言えない」と退けていた。

 小法廷は決定で「(夫の)上告理由は違憲を言うが、実質は事実誤認や法令違反を主張するもので、上告理由に該当しない」と結論付けた。【伊藤直孝】

親権を巡る子の連れ去り

出典:平成31年2月26日 Viewpoint

親権を巡る子の連れ去り

 今月19日、離婚した夫婦間の子供を親権者に引き渡す際のルールを明記した、民事執行法の改正案が閣議決定された。
 夫婦が離婚した場合、欧米では共同親権が一般的だが、日本は片方の親が親権を有する単独親権を取っている。基本的に夫婦間の話し合いで親権を決めるわけだが、親権を失った同居親が子供だけは渡したくないと、司法判断に従わないケースが少なくない。
 ハーグ条約では国境を越えた子の連れ去りは、子の利益に反する等の理由で、原則子を元の居住国に返還することを義務付けている。ハーグ条約締結以前には、海外で居住していた母親が日本に子供を連れ去るケースが頻発し、日本に批判の目が向けられてきた。
 もちろん虐待やDV(ドメスティックバイオレンス)等の恐れから、一時関係を断つというのは分かる。ただ親権をめぐって、妻が子供を連れて、家出したまま、一度も、わが子に会えない。あるいは父と子の関係が一方的に断絶されるといった、子供の意に反した親子引き離しも頻繁に起こっている。
 これは極端な事例だが、2013年に離婚調停中の父親が息子を巻き添えに小学校の校庭で焼身自殺を図った事件があった。17年に面会交流中の父親が自宅マンションで娘と無理心中を図るという痛ましい事件も起きている。こうした親権をめぐるトラブルに子供が巻き込まれるのは、子供に二重の精神的痛手を与える最悪の行為である。
 改正案では、同居親が不在でも親権親が立ち会えば引き渡しができるようになる。また養育費などの支払いに応じない親に対する財産開示制度も強化される。
 離婚したとしても、子供にとって親であることに変わりはない。子供の意思に反して、片方の親が、わが子を連れ去る、あるいは親との面会交流ができないといった状況は改善されなければならない。(光)

子どもの気持ち理解」 首相、共同親権めぐり

出典:平成31年2月25日 日本経済新聞

「子どもの気持ち理解」 首相、共同親権めぐり

安倍晋三首相は25日の衆院予算委員会で、現在の民法は認めていない離婚後に父母の双方に親権が残る「共同親権」について「もっともだという気もする。子どもはお父さんにもお母さんにも会いたい気持ちだろうと理解できる」と語った。「民法を所管する法務省で引き続き検討させたい」と述べた。日本維新の会の串田誠一氏への答弁。
共同親権を巡っては法務省が選択制による導入の可能性を検討している。現在の民法は父母のいずれか一方が離婚後の親権を持つ「単独親権」を規定している。
別居親と子どもの面会交流を積極的に実現して子どもの養育環境を整えるため、共同親権を選べるようにすべきだとの意見が出ている。

父母双方に親権 選択制を検討 法務省 離婚後、別居親も面会交流 子の養育環境整備

出典:平成31年2月17日 日本経済新聞

父母双方に親権 選択制を検討 法務省 離婚後、別居親も面会交流 子の養育環境整備

法務省は離婚後に父母の双方に親権が残る「共同親権」制度の導入の本格的な検討に入った。現在の民法は父母のいずれか一方が離婚後の親権を持つ「単独親権」を規定しているが、共同親権も選べるようにし、両方の親が子育てに関わりやすくするのが狙い。欧米の多くで採用している選択制による共同親権の導入を検討する方向だ。

欧米諸国が採用
日本は先進国でも例外的に単独親権を採用している。現行制度では親権を持たない親は戸籍上の他人となり、子どもとの面会交流が大きく制限される。ただ、近年の離婚の増加による親権争いで、子どもを相手親に知らせず連れ去ったり、相手親による虚偽のドメスティックバイオレンス(DV)を弁護士や行政機関に訴えるなどの事例が社会問題化している。
こうした問題を踏まえ、法務省は別居親と子どもとの面会交流を積極的に実現し、親子間の完全な断絶を防ぐことで子どもの養育環境を整えるため、共同親権の本格導入の検討に入った。
共同親権の考え方は、「子の利益」を重視する点にある。日本では養育費や面会交流の方法などを合意せずに離婚することができるため、「子どもの福祉に反する」との意見がある。離婚後も父母の双方が子どもの監護・教育の責任を追うべきだとの考えで、欧米などの国々ではこうした価値観に基づき、父母の双方が離婚後も共同で親権を持つのが主流だ。
日本では親権は「親の子どもに対する権利」と考えられがちだが、欧米では「子どもを監護・養育する義務」と捉えており、両親が親権を持つのは当然との考え方が支配的だ。離婚後も、一方の親が面会交流や養育費の支払いを拒むと違法行為に問われる。

裁判所どう関与
ただ父母の関係が良好でない場合、親権の行使をめぐって双方が激しく対立し、子どもの利益を害することもある。配偶者からの暴力から逃げるため「一刻も早く離婚したい」という深刻なケースもあり、両親の間を行き来することで、子供が逆に精神的に不安定になるなどの症例も報告されている。
このため、共同親権を導入した場合でも、養育環境を慎重に考慮し、ケースによっては単独親権を選択することもできるよう検討する。欧米では親権選択にあたり、裁判所などを介して子どもの養育環境を熟慮して決定する場合が多いという。
法務省によると、日本では協議離婚が中心で、親権の決定に裁判所が介入していないケースが大半だ。選択的な共同親権を導入するには、親権の決定に裁判所が深く関与する手続きをどう構築するかが課題となる。

国連 日本の虐待状況に懸念 政府に対応強化を勧告

出典:平成31年2月8日 テレビ朝日

国連 日本の虐待状況に懸念 政府に対応強化を勧告

 国連の子どもの権利委員会は日本で子どもへの虐待が頻発している状況に懸念を示し、日本政府に対応を強化するよう勧告しました。

 勧告では虐待への対応について、加害者に対する厳しい刑罰や子どもが虐待被害を訴えやすいシステムが必要だと指摘しました。子どもの権利委員会の委員の一人は記者会見で、千葉県野田市で10歳の女の子が死亡した事件について「残念な事件だった。子どもから助けを求める声が出ているなら誰か大人が反応するべきだ」と述べました。また、勧告は学校や家庭での体罰が十分に防ぎきれていないと指摘し、特にしつけにおいて暴力が一定程度、許容されていることを問題視しています。子どもの権利委員会で日本の状況が審査されたのは2010年以来で、勧告に法的な拘束力はありません。

国連が「日本は虐待後進国」 政府は緊急安全確認

出典:平成31年2月8日 FNN

国連が「日本は虐待後進国」 政府は緊急安全確認

相次ぐ子どもへの虐待事件。
国連は、日本政府に法改正を含む対策強化を勧告した。

「お父さんに暴力を受けています」

千葉・野田市で、小学4年生の栗原心愛(みあ)さんがSOSを発していたにもかかわらず、両親から虐待を受けたあとに死亡した事件。

これを受け、8日に開かれた児童虐待に関する関係閣僚会議では。

安倍首相
「子どもの命を守ることを最優先に、あらゆる手段を尽くし、やれることはすべてやるという強い決意で...」

安倍首相が、虐待事案に関する緊急の安全確認、また、通告した側や資料などの情報保護を徹底するよう、関係省庁に指示した。

大人に向けられた精いっぱいのSOSは、2018年も。

「ママ もうパパとママにいわれなくてもしっかりとじぶんから きょうよりか もっとあしたは できるようにするから もうおねがいゆるして ゆるしてください おねがいします」

2018年3月、東京・目黒区のアパートで虐待を受け、死亡した5歳の船戸結愛(ゆあ)ちゃんが残していたメモ。

この時も政府は、全国に配置されている児童福祉司を、2018年度からおよそ1,000人増員して体制を強化するなどの対策を決めていた。

しかし。

沖縄大学・山野良一教授
「日本は、実を言うと、虐待に対する対策というのは、世界各国から見ると非常に遅れてきた国なんです」

日本における児童虐待の通告数は、14年連続で増加。

2018年の1年間に児童相談所に通告があった子どもの数は8万人を超え、過去最多を更新した。

国連の子どもの権利委員会は7日、日本で子どもの虐待などの暴力が高い頻度で報告されていることに、懸念を表明。

日本政府に、法改正を含む対策強化を勧告した。

山野教授
「世界で50カ国以上が、何らかの形で体罰を禁止するような法律を制定。そういう意味では(体罰の禁止は)世界的な流れだと思う。日本でも考えていかないといけない時代に来ている気がする」

虐待の連鎖を断ち切り、同じ悲劇を繰り返さないために、さらなる取り組みが求められている。

子どもに会いたい…離婚や別居で親が求める面会調停、過去最多 背景に高まる父親の育児意識

出典:平成31年2月3日 沖縄タイムス

子どもに会いたい…離婚や別居で親が求める面会調停、過去最多 背景に高まる父親の育児意識

 離婚や別居などで子どもと離れて暮らす親が、子どもと定期的に会うことを求めて家庭裁判所に申し立てる面会交流の調停件数が県内で増えている。那覇家裁によると、2008年に78件だったのが、10年後の17年は約3・2倍の258件となり、過去最多となった。同家裁の担当者は、父親の育児意識の高まりなどから今後も増える可能性を指摘。「県内には面会交流を支援する第三者機関がなく、調停後の面会がスムーズにいかない場合も見受けられる」と課題を述べた。(社会部・下里潤)
 面会交流は、子どもと離れて暮らす親が、子どもと直接会う「直接的交流」のほか、電話や手紙などによる「間接的交流」もある。面会時間など具体的な内容や方法を父母が話し合って決めるが、まとまらない場合などに家庭裁判所が間に入り、調停で解決を目指す。
 調停が不調になれば審判手続きが開始され、裁判所が判断することになる。
 那覇家裁によると、県内の面会交流の調停は15~20年前はほとんどなかったが、男性の育児意識の高まりや調停制度の認知度向上などで申し立て件数が増加。全国的にも同様の傾向にあり、当事者間の対立も先鋭化しているという。
 同家裁の萱間(かやま)友道次席調査官は「どのような親でも子にとっては唯一無二の存在。健やかな成長のためにも面会交流は欠かせない」と意義を強調する。
 ただ、県内には父母間の連絡調整や子の受け渡しなどを担うNPOなどの第三者機関がないのが現状だ。
 萱間さんは「調停後、親同士が顔を合わせなかったり、決まり事を守らなかったりして、問題が振り出しに戻るケースがある。第三者の橋渡しさえあれば、円滑に進む可能性も高い」と強調。「子の視点に立ち、面会交流が当たり前になる社会が望ましい。地域で相互に支援していく体制が大切だ」と話した。

「我が子に会えない親」切望の「共同親権」

出典:平成30年12月27日 週刊新潮

「我が子に会えない親」切望の「共同親権」
 入管法の改正で大揺れとなったこの臨時国会。矢面に立ったのは所管官庁の法務省であるが、この冬、家族制度に興味のある向きは、これとは別の観点で、同省の”動き”に気を揉んでいる。
※以下、掲載誌面こちら参照。

<クリスマスの悲劇>隠れた課題、断絶された親子たちについて考える。

出典:平成30年12月25日 Yahooニュース

<クリスマスの悲劇>隠れた課題、断絶された親子たちについて考える。
明智カイト 『NPO法人 市民アドボカシー連盟』代表理事

クリスマスにも悲劇が起きました。今日、12月25日に母親とその交際相手などに虐待を受け続けていた可能性がある4歳の男の子が、その短い生涯を終えました。
https://this.kiji.is/317959034954876001?c=113147194022725109
被害にあった男児には心からご冥福をお祈り申し上げます。二度とこのような悲劇が起こらない取り組みが必要です。
ちょうど、このニュースが流れている頃に私は我が子を連れ去られ断絶されている父親と話をしていました。その父親は自分の息子と同じ歳の男の子が虐待で死亡したニュースを自宅で見たそうです。
日本にはクリスマスが苦手な親たちがいます。幸せそうな家庭の風景を直視できずに引き篭もったり、子どもの声を聞くと自然と涙がこぼれたりするそうです。それは誰かというと突然、我が子を連れ去られて断絶されている親たちのことです。
昔より日本では「追い出し離婚」、今は「連れ去り離婚」が有利に扱われ、子どもが片親を奪われる慣習が長く定着しているのです。
一時代前の「追い出し離婚」は家父長制の名残りであり、母親と子どもは泣く泣く引き離されました。現在の「連れ去り離婚」ではDV避難者を装って連れ去り、そこで片親と断絶すればDVや虐待の事実など無くても親子を引き離せるという司法行政の運用が発生しています。
その為、東京近郊の当事者団体だけでも毎月10件位の新規被害者が発生しているペースだといいます。DVや虐待と無縁の親たちまで加害者かのような扱いを受けて、愛する我が子と生き別れを強要されています。DV支援措置には何の証拠も要らず申請すればよいという問題点があるようです。
そして前述したように、我が子と似た年齢の子どもや幸せな家庭のクリスマスを直視できずに泣き暮らすような事態になっています。
引き離された親たちはDVや虐待が無くても、第三者機関の監視付きでなければ我が子と再会させてもらえないといいます。また今年には面会交流中に父親が子どもと無理心中をした事件があったことから、親子が自由に会うことは一層と困難になってしまったようです。
しかし、面会交流だけを危険視することは、DVや虐待とは無関係の片親に対する差別でしかありません。
昨年末には子どもを連れ去られた母親がセルフネグレクトによって自宅で変死していました。彼女の胸には子どもの写真が抱かれていたといいます。
昨日12月24日には、イタリアのメジャー報道誌ラ・スタンパにおいて日本で起きている子の連れ去り断絶問題が信じ難い野蛮な慣習であると報道されていました。国外ではこのように報道されていますが、国内ではあまりこのような悲劇が起きていることは報道されていません。
http://www.lastampa.it/2017/12/24/cultura/opinioni/larispostadelcuore/la-battaglia-di-pap-in-giappone-cancellati-i-nostri-diritti-sui-figli-wU0rcqTwRHIo7sUy7ymD8N/pagina.html
私はLGBTなど性的マイノリティの人権問題に関わってきた経緯から、さまざまな差別や偏見などを解決したいと考えています。子どもを連れていったほうの親が子どもを育てる資格があるとか、連れていかれたほうの親が悪者といった考え方を変えていく必要があると思います。
引き離された親たちも生き別れを強要される時代を終わらせようと頑張っているようです。来年のクリスマスには、そのような親たちが引き離された我が子と再び笑顔でクリスマスを過ごせるようになることを願っています。

目黒女児虐待死の衝撃 「連れ子」に対する虐待はなぜ起こるのか、専門家が実例で解説

出典:平成30年12月15日 ニュースパス

目黒女児虐待死の衝撃 「連れ子」に対する虐待はなぜ起こるのか、専門家が実例で解説

 元千葉県警上席少年補導専門員として青少年の非行問題に数多く携わってきた、少年問題アナリストの上條理恵さんが、犯罪に巻き込まれた子どもたちの事情や悩みなど、その実態を解説します。今回のテーマは「連れ子の虐待」です。
盾になれない母親、我慢する子ども
 東京都目黒区のアパートで今年3月、船戸結愛ちゃん(当時5歳)が、父親の船戸雄大被告の暴行により死亡しました。この事件では、結愛ちゃんが「パパ、ママ、もうおねがい ゆるして ゆるしてください」といった手書きの文章を残していたことがたびたび報道されたので、強く記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。
 結愛ちゃんは母親の連れ子で、船戸雄大被告は継父でした。悲しいことですが、再婚家庭における「連れ子の虐待」は、統計的に多いというわけではありませんが、私も何度か扱ったことがありました。
 母親はどうしても「子どもがいる私と結婚してくれた」という負い目があることが多く、「また結婚に失敗したくない」「夫に嫌われたくない」という理由から、子どもの盾になれないことが多いのです。同時に、子どもは「母親を悲しませたくない」「母親が好きになった相手を悪く言ってはいけない」と我慢してしまうことが多いように感じます。
 捜査関係者によると、結愛ちゃんの部屋からは、「はをみがく/かおをあらう/べんきょうする」など、10項目以上の「決まり事」を書いた段ボール紙が見つかったようです。雄大被告は5歳の結愛ちゃんに、朝4時前に目覚ましをかけて、平仮名や算数などの勉強をするよう強制していたといいます。
 5歳児にその環境を強制させていることだけでも悲しすぎますが、雄大被告は結愛ちゃんにこうした厳しいしつけをする一方で、自分は無職の上、自宅で大麻を吸っていたのですから、あきれたものです。
 しかし、実は、雄大被告に限らず、継父は子どもへのしつけが厳しくなってしまう傾向があるように感じます。
 多くの場合、当初から子どもを憎らしく思っているわけではなく、「好きで一緒になった相手の子どもの父親としてしっかりしなければ」「一家と主としての威厳を見せなければ」「子どもになめられたらダメだ」という、「母親とは逆の気負い」がエスカレートしてしまうのかもしれません。
 虐待をした親からよく聞く、「しつけのつもりだ。何が悪い」という言葉も、子どもにとっては迷惑な話です。
「止めたくても止められなかった」
 マキ(13歳・仮名)も、母親の再婚相手から厳しい「しつけ」という名の虐待を受けていました。
 部活から帰宅し、疲れて居眠りしてしまうと、「勉強をサボるな!」とたたき起こされ、殴られていたといいます。
 勉強ではなく、友達とメールをしたり、漫画を読んだりしているところを見つかると、「言いつけを守らなかった」と、いつも以上に殴られたり蹴られたりしたそうです。
 顔を殴られ、傷だらけで登校してきたマキの姿を見た校長先生によって通報され、マキは児童相談所に保護されました。継父は「父親として認められたかった」「自分は家族のために頑張っているのに言うことを聞いてもらえず腹が立った」と話していました。
「同じ家の中にいる母親は何をしているのか」「なぜ自分の娘を守ってあげないのだ」と思う人も多いことでしょう。
 たいていの母親は、「止めたくても止められなかった」と泣いてしまいます。
 母親の負い目と継父の気負いに加え、「もう結婚に失敗したくない」という思いなども重なり合ってしまうと、夫に強く出ることができなくなってしまうのです。
 再婚後、血のつながっている母親の方が、積極的に虐待を行ってしまうケースもあります。
 タイガ(6歳・仮名)は、4歳の妹と一緒に深夜のコンビニで万引きをしようとしているところを保護されました。
 おなかを空かせ、薄汚れた洋服を着ていることなどからネグレクト(育児放棄)を受けていることは明らかでした。
 警察の取り調べに対し、母親が語った虐待の理由は、「子どもの顔が前の夫に似てきたから」。
 正直、私も同僚も「やっぱり」と感じました。
 再婚家庭で、実の母親が主導となって虐待を行っている場合、「新しい男性との生活で、元夫に似た子どもの存在が疎ましくなる」というパターンは珍しくないのです。
 タイガの母親は元夫にDVを受けていました。離婚後、新しい男性に出会い、幸せな家庭を築こうとしているところに、憎き元夫の面影を感じる子どもがご飯をこぼしたり、いたずらをしたりして、自分の手をわずらわせる…。そうすると、イライラして「子どもさえいなければ」という思いが募り、久しぶりに与えるご飯にせっけんの粉を振りかけて食べさせようとしたこともあったそうです。
 そんな母親のことも、タイガはかばい続けていました。
 私たちが「お母さんは?」「ご飯食べた?」などと問いかけても、「うん」と首を縦に振って、精いっぱいのうそをつこうとするのです。
 虐待されている子どもは、虐待されていることを自ら話そうとはしません。年齢のわりに妙に大人びたところがあり、警察や児童相談所の職員に、ピタッとくっついてきたり、話をとりなそうとしたり、ごまかそうとしたりします。
 幼いなりに、母親や新しい家庭を必死で守ろうとしているのです。その姿はけなげではありますが、とても哀れで痛ましく、涙が出てしまいます。
虐待を疑ったら、まず児相に通報を
 虐待の中でも、タイガが受けたようなネグレクトだけでなく、おなかを空かせた子どもが街を徘かいすることによって早期に発見し、保護できるケースもあります。
 しかし、ほとんどの虐待の場合、家庭という密室の中で起こっているため、発見が困難なのです。また、余計なことに関わりたくない、といった風潮があることも否めません。結愛ちゃんのように、取り返しのつかない事態に陥って、ようやく明るみに出るケースも後を絶ちません。
 虐待から子どもを救うために欠かせないのが、周囲の人の通報です。「近所の子どもが虐待されているかも?」と思ったら、迷わず「189」に通報してください。児童相談所につながり、専門家が対応します。また、緊急の場合は警察に通報してください。
 実は、最初に紹介したマキのケースでは、マキ本人が担任の先生に何度か相談しており、先生は「何かあったらいつでも連絡して」と自分の携帯番号を教えていました。
 しかし、実際にマキが父親から執拗(しつよう)な暴力を受け、何とか父親の目を盗んで携帯に電話をしたとき、電話はつながりませんでした。電源が切れていたのです。
 あのとき、先生が「電話が通じなかったら110番通報するんだぞ」とご指導くださっていたら、あんなに暴力は振るわれずに済んだのではないかと思うのです。
 今回は、再婚家庭の虐待についてでしたが、虐待は、一歩間違えばどこの家庭にも存在します。ただ、子どもは自分の口から「親にやられた」と言わないことがほとんどなので、第三者の介入がとても重要なのです。結愛ちゃんのケースのように、関係機関がその状況を認識していたのにうまく連携できなかった結果、死亡事例が発生してしまうケースもあります。
 平成16年に児童虐待防止法が改正され、地方公共団体の責務、児童虐待に係る通告義務、被虐待児童に対する支援などが整備され、関係機関の会議において、要保護児童の共通理解や対応についての話し合いが定期的に行われるようになりました。にもかかわらず、今回の事件が起きてしまったことは、子どもに携わる私としても残念でなりません。
文/構成・オトナンサー編集部

離婚後、離れて暮らす「もう1人の親に会いたい」 子ども自身にできることは

出典:平成30年10月17日 弁護士ドットコム

離婚後、離れて暮らす「もう1人の親に会いたい」 子ども自身にできることは

「親に会いたいんですが、どうしたらいいですか?」。離婚家庭の子どもたちから、支援団体にこんな相談が多数寄せられている。自分の親なら好きに会えばいいじゃないか、と思われるかもしれないが、そうはいかない事情があるようだ。
同居する親の希望で「会わせてもらえない」ケースもあれば、離れて暮らす親が「会いたくない」と考えているケースもある。「親に会いたくない」と思っている子どももいる。いずれの場合も、できる限り子どもの意志が尊重されるべきだ。私たち大人は、子どもが親に会いたいのに会えないような状況も、会いたくないのに無理に会わされるような状況も、どちらもない社会にしていく必要がある。
今回は、離れて暮らす親に会うことを望みながら、会えずにいる子どもたちの背景、そしてその解決策を探った。(ライター/大塚玲子)

●子どもから「離れて暮らす親に会いたい」
「『親に会いたい』という相談が、最近特に増えていますね。今年の夏は、ひと月に70、80件のメール相談が寄せられましたが、このうち約4割が『親に会いたい』というものでした。小学校高学年から高校生くらいの女の子がとても多いです」
NPO法人「ウィーズ」(千葉県習志野市)理事長・光本歩さん(30)の話だ。自身も親が離婚して父子家庭に育った光本さんは、2年半前に理事の羽賀晃さんとともにウィーズを立ち上げ、子どもたちの面会交流や学習支援などを行ってきた。
これまでも離婚した親からの相談を多数受けてきたが、最近は「子ども本人」からの相談も増えており、なかでも「離れて暮らす親に会いたい」という内容が目立つという。
寄せられた相談をいくつか見せてもらったので、抜粋して紹介しよう。
「3歳の時に両親が離婚し、しばらくの間、母と2人で暮らしていました。小学校の低学年くらいまでは毎週土曜か日曜に父親に会っていました。しかし高学年になると、母がほかの男の人と暮らすことになり、その後弟が2人生まれました。あれから数年間、父に会っていません。どこにいるかも分からないのですが、1度でいいので会いたいです」(愛知県・高3・Aさん)
「私が2歳の時に両親が離婚しました。私は、お父さんの方にひきとられたのですが、お父さんも仕事が忙しいため、ずっとおばあちゃんとおじいちゃんと暮らしてます。おばあちゃんに聞いたら、お母さんは好きな人ができて私を置いて出ていったとのこと。子どももいるみたいで、私が会いに行くと迷惑なんじゃないかって思います。でも、私は寂しいんです。怖いんです。お母さんは、私のことを忘れてるのでしょうか」(岡山県・中1・Cさん)
「親が5年前に離婚しました。離れた父に会いたいです。父は私に中3になったら会いにおいでと言いました。しかし、住所だけでなく連絡先もわからなくなってしまいました。母には何度も聞きましたが、今は忙しいと言われたり、探しとくねと言われたりして、何もしてくれません。どうしたらいいでしょうか」(中3・Dさん)
ほかにも、様々な相談が寄せられていた。

●同居する親への遠慮
なぜ離婚家庭の子どもたちは、自分の親に会えなくなるのか。会いたいなら、いっしょに暮らす親に相談して、連絡をとれば済む話ではないか、と思う人が多いだろう。
しかし、それが難しい現実がある。離れて暮らす側の親が、子どもとの面会を望まないことがあるほか、子どもが同居する親に遠慮して、もう1人の親に会いたいと言い出せないこともよくあるのだ。光本さんは「自分も同様だった」と振り返る。
「私も13歳のときに親が離婚して、その後は父のもとで育ちました。離れて暮らすことになった母に『会いたい』という気持ちはありましたが、子どもながらに気を遣って、父には言い出せなかった。子どもたちは、自分が『会いたい』と思っている(別居)親のことを、いっしょに暮らす親が嫌っていることを察しているので、『会いたい』とは言えないことが多いんです」

●離れて暮らす親の住所地を探す方法
では、どうしたら会うことができるのか? 別居親に会ってみたいが、居所や連絡先がわからず、且つ同居する親にも聞けない子どもは、どうしようもないのか。
そこで今回、戸籍を遡って別居親の居場所を探す方法を取材してきた。協力・アドバイスをしてくれたのは、千葉県市川市・市民部(市民課)の皆さんだ。
ただし先に言っておくと、手続きはなかなかややこしい(難易度はケースによる)。お金もある程度かかるし(戸籍を取る手数料や、役所に行く交通費など、金額はケースによる)、もし別居親が住所を正しく届け出ていなければ、実際には会えない可能性もある。
また、離れて暮らす親に連絡を取ってよかった、というケースばかりではないことも念のため添えておく。別居親が知らないうちに再婚しているなど、思いがけない事実を知る可能性もあり、ショックを受ける子どももいる。
だから、誰にでもおすすめするわけではないが、もしそれでも「やってみたい」と思う方は、以下を参考にしてほしい。

●STEP 1・自分の戸籍謄本を取り、別居親の離婚時の本籍地を知る
「戸籍謄本(全部事項証明書)」というのは、戸籍に入っている全員の情報を記載したものだ。戸籍謄本を取るためには、申請書に自分の本籍地を書かなければいけない。もし本籍地がわからない場合は、同居親に聞くか、または先に本籍地入りの住民票を取ろう。住民票を取ると、現在の本籍地を知ることができる。なお標準的な申請手数料は、戸籍謄本が450円、住民票が300円前後だ(窓口・郵送の場合)。
なお戸籍謄本を取る際は、「本人確認書類」が必要となる。もしあればパスポート、免許証、マイナンバーカード(※通知カードと間違えないこと)等の公的身分証明書か、ない場合は健康保険証と学生証(写真付き)などを持参しよう(詳細は自治体のホームページで確認)。
戸籍謄本が取れたら、どこかに親が離婚した時点の本籍地が記載されているはずなので、それを見つけよう。どの欄に記載があるかは、それぞれケースによって異なるが、必ずどこかには記載されているはずだ。

●STEP 2・離婚時の本籍地で、別居親の戸籍謄本を申請する
親が離婚したときの本籍地がわかったら、その住所地を管轄する自治体の窓口に直接行って、別居親の戸籍謄本を申請する(遠くて直接行けない場合については、最後に説明する)。もし別居親が現在も本籍地を変えていなければ、ここで戸籍謄本が取れる。(→STEP3へ)
しかし、もし別居親が本籍地を変更していた場合、戸籍謄本は存在しないので、代わりに「除籍謄本」というものを取ることになる。除籍謄本を取るのには、戸籍謄本より300円前後手数料が多くかかるので注意しよう。
除籍謄本には、本籍地がその後どこに移ったか記載されているので、今度はその移転先を管轄する自治体の窓口に行き、戸籍謄本を申請する。ここで戸籍謄本が取れれば、STEP 3に進めるが、もしここで再び除籍謄本が出た場合は、また移転先の窓口に行って、戸籍謄本を申請する。
めんどうだが、これを繰り返していけば、必ずどこかで現在の戸籍謄本を取ることができる(そういう仕組みになっている)。

●STEP 3・別居親の戸籍の「附票」を申請する
別居親の戸籍謄本をゲットできたら、今度は同じ窓口に「戸籍の附票」を申請しよう。手数料は300円程度だ。附票というのは、住所の移転履歴を記録したものだ。
附票には、別居親が現在届け出ている住所地も記載されているので、現地を訪れるか、手紙を送るかすれば、連絡を取れる可能性が高い。

●役所が遠くて直接取りに行けない場合は、郵送申請を
戸籍謄本や附票は、本籍地を管轄する役所の窓口でしか取ることができない。直接行くのが一番確実だが、遠くて行けない場合もあるのだろう。そのときは、郵送で取り寄せることもできる。詳しい方法は、該当する自治体のホームページなどで確認してほしい。おそらく、本人確認書類(STEP1参照)のコピーや、手数料分の「定額小為替」(郵便局で簡単に買える)を添えて郵送申請することになる。
ただし、STEP2でも触れたように、別居親の戸籍謄本を取る場合は、戸籍謄本か、除籍謄本になるかは、申請してみないとわからない。ここがややこしい。
だから別居親の戸籍謄本(または除籍謄本)を郵送で取り寄せる際は、先に一度自治体の窓口に電話をして、どのように申請すればいいか相談してみてほしい。除籍謄本の手数料(戸籍謄本より高い)分の定額小為替を同封のうえ請求するなど(もし余ったらその分は返送)、何か方法を教えてくれるはずだ。
戸籍をたどって別居親の居所を探す方法は、以上の通りだ。
なお、これはあくまで「子どもが自分の親を探す場合」のやり方だ。基本的に戸籍や附票を申請できるのは、配偶者や直系卑属(子どもや孫など)等であり、元配偶者は含まれない。
ただし例外もある。打越さく良弁護士は、「住民基本台帳法20条第3項に、自己の権利を行使、または自己の義務を履行するために必要があれば附票を取れるとあるので、養育費請求や面会交流調停の申立てなど正当な理由があれば、元配偶者も申請できるのでは」と話す。養育費の不払いに悩む同居親は、試してみる価値があるだろう。
この原稿では、面会交流を中心に書いた。しかし離婚後の養育をめぐっては、面会交流だけでなく、養育費の未払いという問題も指摘しなければいけない。
離婚家庭の子どもたちのなかには、養育費の受け取りや増額のために面会交流を望んでいるケースもある。親の離婚後も、子どもたちが健やかに成長するために何が必要なのか。離婚時はもちろんのこと、離婚後もずっと考えていかなければいけない課題だ。

【プロフィール】大塚玲子(おおつか・れいこ)
ライター・編集者。主なテーマは多様な家族、PTAや学校問題。著書は『オトナ婚です、わたしたち』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』等。共著は『子どもの人権をまもるために』『ブラック校則』など。

「子供400人が94年以降、米国から日本に拉致された」共同親権でハーグ条約違反常習国の汚名返上を

出典:平成30年8月29日 Yahooニュース

「子供400人が94年以降、米国から日本に拉致された」共同親権でハーグ条約違反常習国の汚名返上を
木村正人 在英国際ジャーナリスト

米国務省が日本を名指しで非難
[ロンドン発]日経新聞が「ハーグ条約『日本は不履行』子供連れ去り対応迫る」と報じました。 背景にはドナルド・トランプ米政権からの強烈なプレッシャーがあります。ハーグ条約とは国境を越えて不法に連れ去られた子供の返還や面会交流を確保するための条約です。
今春、米共和党のクリス・スミス連邦下院議員は議会の証言で「1994年以降、国際結婚で生まれた300~400人の子供が米国から日本に連れ去られた。今なお日本にいる35人以上の子供が米国の親たちと再会できる日を今か今かと待っている」と訴えました。
5月には米国務省が「国際的な子供の拉致」年次報告書で、日本、中国、インド、ブラジル、アルゼンチン、バハマ、ドミニカ、エクアドル、ペルー、ヨルダン、モロッコ、アラブ首長国連邦(UAE)の12カ国を「ハーグ条約違反の常習国」と認定しました。先進7カ国(G7)の中では日本だけという不名誉です。
年次報告書によると、日本でハーグ条約が発効した2014年以降、連れ去り報告件数は年平均で44%ずつ減っていますが、それでも16年時点で「連れ去られた」と訴えのあった子供は計23人(うち14人が解決)にのぼり、17年では計14人(同4人)となっています。
日本でハーグ条約が発効する前の連れ去り21件について米国務省は日本政府に対し、解決するよう求めています。しかし、ハーグ条約に基づき返還命令が確定しても子供を連れ去った親が拒んだ場合、日本では有効な執行手段がないため、ハーグ条約違反が繰り返されていると報告書は指摘しています。

「連れ去り」は「拉致」と同じ
わが国では国際結婚が破綻したため母親が子供を嫁ぎ先の国から日本に連れ帰ることはそれほど珍しいことではありませんでした。しかし米国では「連れ去り」には、北朝鮮の日本人拉致と同じ「拉致(abduction)」という言葉が使われています。それだけ重大事案だということです。
ハーグ条約についてはご存知の方も多いと思いますが、簡単におさらいしておきましょう。「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」は1980年にオランダ・ハーグで採択されたことから「ハーグ条約」と呼ばれています。加盟国は現在98カ国です。
片方の親が16歳未満の子供を無断で国外に連れ去った場合、子供をいったん元の居住国に戻して、その国の裁判で養育者(監護者)を決めるという国際的な取り決めです。
国際結婚の破綻に限らず、同じ国籍同士の結婚にも適用されます。ロシアを含めたG8では日本だけが未加盟だったため、欧米から強く加盟を迫られ、日本でも14年に発効しました。
外務省によると、条約発効後、180件の返還援助申請があり、うち158件の援助を決定。面会交流援助申請は127件で、うち援助が決定されたのは109件です。
日本から外国への返還援助申請は99件、援助が決定したのは85件。このうち解決したのは60件、子供の返還が確定したり実現したりしたのは32件でした。子供の返還がいかに困難を伴うかがうかがえます。
今年3月には、米国在住の夫が13歳の息子の返還命令を拒む妻に子供の引き渡しを求めていた裁判で、最高裁はハーグ条約に基づき確定した子供の返還命令に従わない場合、「違法な拘束にあたる」との初判断を示しました。
子供の引き渡しの強制執行については子供と債務者(多くの場合は母親)が一緒にいる場合でなければすることができないとされていますが、両親の板挟みになった子供に葛藤が生じる恐れがあることから、一定の要件下で子供と債務者が一緒でなくても強制執行を可能とする方向で議論が進められています。

「日本の家族法は『人さらい憲章だ』」
子供の連れ去りについて、日本に厳しいのは米国だけではありません。
英国の市民団体「チルドレン・アンド・ファミリーズ・アクロス・ボーダーズ(CFAB)」は、英国人男性と離婚した日本人女性が無断で子供を日本に連れ去った事案を取り扱ってきました。
責任者のアンディ・エルビン氏は10年、日本の政府と政治家にハーグ条約への加盟を説得するため日本を訪れたことがあります。日本でのハーグ条約発効時にエルビン氏にお話をうかがうと、厳しい言葉が返ってきました。
「以前は連れ去られた子供を英国に連れ戻す手段がなかった。英国人の親は日本の裁判所に提訴することもできなかった」「英国人の多くは日本の家族法を、夫婦間に葛藤が生じたとき連れ去りや面会拒否を促す悪名高き『人さらい憲章』とみなしてきた」
エルビン氏は日本でのハーグ条約発効について「とてもうれしい。両親が離婚したとしても、子供には両方の親と建設的な関係を保ちながら育つ権利がある。連れ去りや面会拒否は子供を含めた当事者全員を苦しめる」と語りました。
14年7月には、ハーグ条約は英国で母親と暮らす日本人の子供に初めて適用されました。日本人夫婦間の争いで、母親が子供を連れて渡英。日本で暮らす父親の申請に対して、英国の裁判所が子供を日本に戻すよう命じました。

米国では7億円の支払い命令、テロリスト扱いも
日本人と外国人の国際結婚は1970年には年間5000件程度でしたが、80年代後半から急増し、2005年には年間4万件を超えました。一方、日本国内での日本人と外国人夫婦の離婚は1992年に7716件(離婚全体の4.3%)でしたが、2010年には1万8968件(同7.5%)に膨らんでいます。
増加する国際結婚の破綻に伴って、日本人が外国から無断で子供を日本に連れ帰ったり、逆に外国人の親が日本から子供を国外に連れ去ったりする事例が増えました。
11年、米国のテネシー州では、離婚後に子供を無断で日本に連れ帰った日本人の元妻を相手に米国人男性が損害賠償を求めた裁判で、元妻は610万ドル(6億7800万円)という巨額の支払いを命じられました。
米連邦捜査局(FBI)の最重要指名手配犯リストでは、米国人の元夫に無断で子供を連れて日本に帰国した日本人女性の名前がテロリストと同様に扱われていました。海外で離婚した母親が子供と一緒に帰国しようとしても、連れ去り防止のため出国を許可されない事態も発生していました。

連れ去りはDV対策になり得るか
日本では「外国でのDV(家庭内暴力)被害や生活苦から避難するため、日本への連れ去りは最後の手段として必要」という反対論があります。しかしハーグ条約でも、DVが明らかであれば裁判所は子供を元の居住国に戻す必要はありません。
ハーグ条約で返還が拒否できる事例を見ておきましょう。
(1)連れ去りから1年以上経過した後に裁判所に申し立てられ、子供が新しい環境に適応している場合
(2)申請者が連れ去り時に現実に監護の権利を行使していない場合
(3)申請者が事前の同意または事後の黙認をしていた場合
(4)返還により子供が心身に害悪を受け、または他の耐え難い状態に置かれることとなる重大な危険がある場合
(5)子供が返還を拒み、かつ該当する子供が、その意見を考慮するに足る十分な年齢・成熟度に達している場合
(6)返還の要請を受けた国における人権および基本的自由の保護に関する基本原則により返還が認められない場合

日本にも共同親権を
子供には母親だけではなく父親の愛情も欠かせません。母親にとっても父親にとっても子供はかけがえのない存在です。国際結婚が破綻する理由は、性格の不一致、言葉や生活、文化、習慣の違い、家庭内暴力(DV)などさまざまです。
単独親権制度を採用している日本では、犯罪や禁治産宣告などの問題でもない限り、親権は母親に認められています。英国では離婚後も親権は両方の親にある共同親権を認めており、裁判で監護者や面会の条件などを決める仕組みになっています。
男女平等が徹底しているように見える英国でも、家庭裁判所の判断で父親の面会が制限されたり、母親が無断で子供を連れ去ったりする事例が少なくありません。
英市民団体「ファーザーズ・フォー・ジャスティス」はバットマンに扮装してバッキンガム宮殿に 登ったり、下院で首相に小麦粉を投げつけたりする過激パフォーマンスで離婚した父親の親権強化を訴えています。
日本でも上川陽子法相が単独親権制度の見直しを検討する考えを表明しました。何かの事情で離婚に至っても、子供を父親から取り上げるのは「拉致」と同じです。父親と母親の2人で子供を育てていく姿勢を示すことが大切だと思います。

<木村正人氏 在英国際ジャーナリスト>
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

ハーグ条約「日本は不履行」 子供連れ去り対応迫る

出典:平成30年8月28日 日本経済新聞

ハーグ条約「日本は不履行」 子供連れ去り対応迫る

日本が「国際的な約束を守っていない」と批判されている。国境を越えて連れ去られた子どもの扱いを定めたハーグ条約への対応だ。人権に関わる問題で日本に瑕疵(かし)があるのだろうか。背景を調べると、日本と欧米の家族観の違いなどが浮き彫りになる。

米国務省のハーグ条約に関する2018年の報告書は初めて日本を不履行国に認定した
発端は米国務省が5月に発表したハーグ条約に関する年次報告書だ。中国、インド、ブラジル、アルゼンチンなど、アジア、中南米、中東の12カ国を名指しで「条約の不履行国」と批判した。
列挙したのはいずれも非欧米諸国だ。日本は主要7カ国(G7)で唯一、名前が挙がった。「親が裁判所の返還命令に従うのを拒んだ場合に、効果的な執行策がとられていない」と指摘された。
ハーグ条約は1983年に発効し98カ国が加盟する。一方の親が子を無断で国外に連れ去った場合に原則として元の居住国に戻す、と定める。
日本は長く未加盟だったが国際結婚が増えて状況が変わった。国際結婚した日本人女性が離婚後、海外から無断で子を連れて帰国する事態が増えたからだ。海外での離婚訴訟で親権をとられることを恐れ、日本に連れ帰るケースがある。米国などが問題視して条約加盟を迫り、日本は2014年にようやく発効した。
連れ去りがあるとハーグ条約ではまず当事国の当局(日本は外務省)間で話し合う。解決しなければ次は子が連れていかれた国の裁判所の判断だ。外務省関係者は「日本の裁判所は帰国後に子が不利益を被らないよう慎重に判断して返還命令を出している」と話す。米国務省が問題視したのは、返還命令が出ても執行に時間がかかる例だ。
なぜ命令が出ても執行できないことがあるのか。条約を実行に移す日本の国内法では、執行官が親から物理的に子を取り戻す強制執行で「子に威力を用いることはできない」と規定するためだ。日本の親や子が反対すれば執行は難しい。現行制度での子の返還には、日本側の親が同席して承認する必要がある。
こうした国内法には日本の家族観が反映されている。日本では離婚後も片方の親、特に母が子を育てるべきだとの考えが強い。民法は離婚後の親権は片方の親が持つ「単独親権」と規定している。欧米は違う。離婚後も両親が親権を持つ「共同親権」だ。外務省によると、米国が批判したブラジルやアルゼンチンも「離婚後は母が子を育てるべきだ」との慣習があるという。家族観の違いが条約を巡る対立を生む。
とはいえ「文化の違いだ」と放置はできない。ハーグ条約では子の「連れ去り」は“abduction"と表現するからだ。北朝鮮による日本人拉致問題で使う「拉致」の英訳と同じ単語だ。子の返還が滞れば、欧米は深刻な人権侵害と批判する。外務省関係者は「北朝鮮の拉致問題と全く性質が異なるが、国際社会での日本のイメージが傷つきかねない」と話す。
3月、注目される最高裁判決があった。ハーグ条約に基づく子の返還命令を拒否する母親に、米国在住の父親が引き渡しを求めた上告審だ。父親はハーグ条約の一般的な裁判プロセスと異なる手段をとった。より強制力がある人身保護請求だ。
最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は、子の返還命令に従わない場合は「違法な拘束にあたる」とし、子を父親に引き渡すよう母親に求めた。母親は7月、差し戻し審での上告を断念した。判決に従わなければ、2年以下の懲役や罰金を受ける可能性があった。返還命令を放置すれば重い人身保護請求に発展する先例が生まれた。政府内には「親が返還命令を受け入れる契機になる」との期待がある。
法務省も対応を急ぐ。強制執行の際に、連れ去った親がその場にいなければ子を取り戻せない規定を変える方針だ。申し立てをした親や代理人がいれば子を保護できる制度を検討する。連れ去った親が自宅以外に子をかくまい、連れ戻しに同意しないよう頼んだ場合も同様の措置をとれる。法制審議会(法相の諮問機関)で詰め、19年にも国内法を改正する予定だ。
上川陽子法相は離婚後に父母共に親権が残る「共同親権」の導入を検討することも表明した。グローバル化に伴い、昔からの日本の家族観も再考が迫られている。(地曳航也、白岩ひおな)

「共同親権持てないのは違憲」親権裁判で新たな動き、憲法訴訟手がける作花弁護士が支援

出典:平成30年8月24日 弁護士ドットコム

「共同親権持てないのは違憲」親権裁判で新たな動き、憲法訴訟手がける作花弁護士が支援

政府が共同親権の導入を検討していると報じられている。日本では、子どものいる夫婦が離婚した場合、夫か妻、どちらかが親権を持つ「単独親権」となることが、民法819条によって定められている。しかし、この親権をめぐって、離婚訴訟では「子どもの奪い合い」の修羅場に発展するケースも少なくない。離婚後に親権を持てなければ、子育てに関わる機会が多く失われるとの恐れからだ。

多くの親権をめぐる裁判がある中で、最近、注目すべき動きが出てきた。ある裁判で、単独親権が憲法違反だとして、離婚訴訟中の夫が共同親権を主張しているのだ。助言しているのは、2015年12月に最高裁で女性の再婚禁止期間の違憲判決を勝ち取った岡山市の作花知志弁護士。今年1月にはソフトウェア企業「サイボウズ」の社長、青野慶久氏らを原告に、東京地裁で夫婦別姓を求める訴訟を起こすなど、憲法に問う訴訟の数々を手がけていることで知られる。

作花弁護士は裁判を通じて、親権のあり方についても、新たな問題提起をしようとしている。 (弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)

●「離婚はあくまで夫婦間の問題なのに、いきなり子どもの親権も失う」

この裁判では、妻と離婚訴訟中の男性が、子ども2人の親権を主張して提訴するも、一審の東京家裁で敗訴。現在、東京高裁に控訴している。

男性が東京高裁に提出した控訴理由書では、「裁判離婚において、親の一方のみを親権者とし、もう一方の親の子に対する親権を失わせる民法819条2項は、法の下の平等を定めた憲法14条1項や憲法24条2項に違反し、無効である」と訴える。「親の子に対する親権は人権である」とした上で、「そもそも、裁判離婚で当事者の一方の親権を失わせる必要性は存在しない」としている。

かつて、明治憲法下では戸主である夫が親権者だったが、現行の家族法に改正された際に、男女平等の観点から「夫または妻が親権者となる」ことが定められた。しかし、親権を持てなかった側は、「離婚はあくまで夫婦間の問題であるのに、いきなり子どもについての親としての権利を全面的に失うことになる」と指摘した。

作花弁護士によると、参考になるのが、自身が手がけた女性の再婚禁止期間違憲判決だという。2015年に最高裁で下された判決では、再婚禁止期間を「子の福祉や保護のためのものであり、家族の迷惑を考慮して長くすることは許されない」とした。親権についても同様で、現在の単独親権は、離婚後の親の都合(離婚した元配偶者と関わることの不都合)を予防するための制度であるとして、親権を持たない親に会えなくなるなど、子どもに生じる不都合を考慮していないと主張している。

作花弁護士は、「東京都目黒区でも継父によって5歳児が虐待死する事件がありましたが、シングル家庭や継父、継母による児童虐待防止という面からも、共同親権は有効だと思います」と話す。実際に目黒区の事件を防げたかどうかはわからないが、少なくとも共同親権となることで、親による子どもへの関与が強化されることが想定され、子どもの孤立を防げるかもしれないという指摘がされている。

また、離婚裁判が親権争いによって長期化する傾向があり、共同親権が導入されれば、両親の離婚による子どもへの影響も減り、「子の福祉や保護にも資する」という。

「日本民法の母法たるドイツでも、かつて日本と同じように裁判離婚後は単独親権制度が採用されていましたが、1982年にこれを違憲とする判決が連邦憲法裁判所で出され、その後、1998年には共同親権が法制度化されました。また、欧米やアジアでも共同親権が導入され、先進国では日本だけが単独親権です」

●単独親権争い、「相手がいかに親として不適格か」不毛なバトルに展開

現在、離婚した夫婦のうち、単独親権を持つのは妻側が8割といわれている。共同親権導入に根強い反対があるのは、夫からのDVや児童虐待などがあるケースについての懸念が少なくないからだ。こうした意見に対し、作花弁護士はこう説明する。

「確かに共同親権による弊害は生じることがありますが、親権を持つ親がトラブルを起こした場合、現在では民法によって親権を一時的に停止する制度がありますし、再発する場合は、親権を喪失することになります。共同親権をケアする制度はあります」

また、親権の中には、大きく分けて、「財産管理権」(民法824条)と「子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う」と定めた「身上監護権」(民法820条)がある。これらを元夫と元妻で分けて持ちたいというケースもあるが、「現在の裁判所は、基本的に別々に持つことを認めておらず、現実的には監護権が機能していない」と作花弁護士は指摘する。

「実際に共同親権が導入されれば、両者の合意の上で、どちらの家に住むかを決定し、子どもと居住する方を監護者とする。監護者に問題が生じた場合は、一方の親権者がすぐに居住変更などの対応を取れるようにするなど、外国での事例を参考にしながら、運用していくことになると思います」

訴えを起こした男性も親権争いを「不毛なバトル」という。「これまで、妻と裁判で争ってきましたが、共同親権だったらここまでする必要はなかったはずです。単独親権の場合、裁判は相手がいかに親として不適格かの言い争いになり、子供は負けた親とは全く、あるいはわずかしか会えなくなるので、裁判の争いは激しくならざるを得ません。親権は子どもをもののように奪い合う権利ではなく、子どもが幸せになるように親が分かち合う共同責任にしなければならないと思います」

この訴訟は、9月27日に判決が出る予定だ。もしも、上告審に至るようなことがあれば、単独親権の違憲性をめぐって初の最高裁判断が下される可能性もある。
弁護士ドットコムニュース編集部

目黒5歳女児を継父と実母で虐待死 結愛ちゃんの実父が語った胸の内

出典:平成30年8月21日・28日号 週刊女性

目黒女児虐待死、実父の親族「雄大も優里も殺してやりたい」結愛ちゃんの遺骨は今

「自分でお腹を痛めて産んだ子なのに、なんで助けんかったんか。結愛もきっと最後の力を振り絞って書いたんや。
 私らも報道を見るたびに何もできんかった自分を恥じよる。優里ちゃんの実家を訪ねたり、ちゃんと面倒をみているのか、知る努力をするべきやった。結愛に謝っても謝りきれん」
 と、打ちひしがれるのは香川県内に住む結愛ちゃんの実父方の曾祖母(71)。曾祖父(72)も「報道で結愛が出るたびに泣いとった」と力なく話した。

「雄大も優里も殺してやりたい」
 東京都目黒区の船戸結愛ちゃん(5)に対する、保護責任者遺棄致死の疑いで、警視庁が継父の雄大容疑者(33)と実母の優里容疑者(25)を逮捕したのは6月6日のこと。
 3月に傷害で逮捕されていた雄大容疑者は2月末ごろ結愛ちゃんの顔面を殴るなどし、結愛ちゃんは寝たきりの状態に。嘔吐なども繰り返していたという。
 優里容疑者は結愛ちゃんを病院へ連れて行かなかった理由について「虐待がばれ、立場が危うくなると思った」などと供述したという。
 まだ外も暗い朝の4時。結愛ちゃんは毎朝その時間に起き、ひらがなの練習をさせられていたという。
《もっとあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるしてください ゆるしてください お願いします》
 その小さな手で両親に許しを請う言葉を綴ったノートを残し、結愛ちゃんは3月2日に息を引き取った。
 この事件を受け、政府は7月20日、児童虐待の緊急総合対策をまとめた。社会が変わろうとしているが、
「政治家は票集めにもっともらしいことを言う。法律や制度ができたら虐待死が減るかもしれん。ただ、申し訳ないが、俺らからしたら終わったこと。結愛は帰ってこんきに」
 そう話すのは、結愛ちゃんの実父方の祖父(43)だ。
「児童相談所が強制的に結愛を確認していれば死ななかった。様子を見に行って確認できませんでしたと帰ってくることがおかしい。
 新聞の勧誘やないんやけ。新しく法律や制度が変わっても建前にしか思えん。すでに児相というシステムがあるのに、なんで助けられんかったんや」
 と祖父は吐き捨てる。さらに両容疑者について、
「雄大も優里も殺してやりたい。殺せるもんなら殺してやりたいよ。結愛が感じたのと同じか、それ以上の恐怖を与えてやりたい。どれだけ怖かったんやろうか。毎日そんな恐怖が続いていたなんて……」
 体格のいい祖父は、肩を震わせ、顔を真っ赤にし、詰まりながらも言葉を絞り出す。
 事件後に息子(結愛ちゃんの実父)と食事をしたという。
「息子はな、気を遣ってかなんも言いよらん。俺も思い出させるのはかわいそうやけ、あえて触れんようにしとる。ずっと抱えて生きるのはあまりにかわいそうやけ」(祖父)
 ただ、実父がずっと胸に秘める思いがあるのだという。
「離婚後にな、息子が小さい子どもの面倒を見よったときがあった。そしたら“オレ、別れてから(結愛のことを思い)涙が出よった”ってポツリと言ったんや。大事に思っていたし、会いたかったと思うよ。でも、優里に男ができたら会いにいけんやろう……」
 結愛ちゃんは“前のパパがよかった”ともこぼしていた。実父はどのような思いで報道を見ていたのか。
「もうそっとしておいてほしいんや。何をしたって結愛は帰ってこんきに」
 と祖父は涙をぬぐった。
 実母である優里容疑者の父親は、
「結愛を最後に見たのは東京へ送り出したときです。もしおかしなことがあれば止めていた。優里がどういう状況に置かれていたかわかりませんし、これ以上、お話しすることはありません。後は裁判で明らかになると思います」
 結愛ちゃんの遺骨が納められた墓石には、“行年7才”と刻まれていた。それはあまりにも短い生涯であり、同時につらく長い時間だった。

『共同親権』の導入で“親都合の離婚”に苦しむ子どもは救われる? 当事者の声を聞く

出典:平成30年8月14日号 週刊女性

『共同親権』の導入で“親都合の離婚”に苦しむ子どもは救われる? 当事者の声を聞く

《離婚後も双方に親権残る「共同親権」検討…法相》
 7月中旬、読売新聞の朝刊一面に、政府が共同親権の導入を検討していることが報じられた。
 離婚後、親権の奪い合いの裁判でもめたり、誘拐にも似た強引な引き離しが行われるなど、子どもが親の争いの犠牲になるケースが後を絶たない。政府は2019年にも、親権制度を見直す民法改正について法制審議会に諮問する見通しだ。
『共同親権』の導入で何が変わる?
『共同親権』について、離婚後の家族問題に詳しい大正大学の青木聡教授は、『親権』という言葉を『親責任』と置き換えるとわかりやすいとし、次のように説明する。
「『共同親責任』は、離婚しても父母が共同で親としての責任を果たしていきましょうという意味です。メリットは、離婚後も子どもが心理的・経済的に安定し、子どもに与えるさまざまな悪影響を減らせる点です。離婚しても父母が争わずに養育していれば、子どもは両親のそろった子どもと変わりなく育っていきます」
 現在の民法は、離婚後の親権はどちらかの親が持つ単独親権。そのため、強引な手法がとられることもあるという。
 都内在住の熊田南海子さん(34)は、強制的に子どもと引き離された経験がある。現在は、長男の有希くん(9)と次男の祥希くん(6)と暮らす熊田さんだが、離婚劇は夫側の一方的な手口で口火が切られた。
「'13年10月15日に、子ども2人を連れ去られたんです」という熊田さん。夫とその両親、兄夫婦が一緒に来て、義母と熊田さんが口論している間に、義兄夫婦が子どもを連れ去ったという。
「警察も呼んだのですが、義母と元夫が、3日後に子どもは帰る予定と説明して、警察が連れ去りを止めることはありませんでした。3日後には戻ってきませんでした。後からわかりましたが、連れ去りの翌日には別の幼稚園に通う手はずになっていました。
 夫の実家から、何度もお金を無心されたことなどが原因で離婚したいと伝えたとき、“有利な離婚の仕方を知っているから”と。何を言っているのかなと思っていたのですが……」
子どもの引き渡しを求めた審判を申し立て、熊田さんが2人の息子に面会できたのは、連れ去り後から3か月後のこと。
「裁判所の試行面会でやっと会えたのですが、私のことを警戒した様子でした」
 会えなかった間、父親は母親にまつわるエピソードを捏造し子どもに刷り込んだ。
 連れ去りから約1年後に離婚が確定し、親権は熊田さんのもとに。連れ去られた側に親権が認められるのは珍しいケースだ。
「共同親権になれば、私のように、子どもを連れ去って親権を獲得する“有利な離婚”ができなくなると思います」と法改正に期待する。同時に、
「面会交流権は親が子どもに会う権利だけではなく、子どもが親に会う権利でもあるんです。新しい家族を大切にしてほしいと思いますが、この子たちにも会ってほしいと思います」
 熊田さんがそう訴えるのは、離婚後、週に2~3回会いに来ていた元夫が再婚後、だんだんと子どもに会いに来なくなり、息子が送るLINEにも既読スルー……。
 2人の子どもは無邪気で「お父さん大好き!」と声をそろえる。昨年の11月、有希くんの誕生日のお祝い以来、会えていないという。
「パパに会いたいよ」
 遠慮がちに有希くんが伝えた言葉が切なかった。
 再婚後の親権選択について前出・青木教授が説明する。
「欧米では、共同親権を持つ父母が子どもの意見を聞きながら、再婚後の養育についてどうするかを話し合い、親権のあり方を再度、選択することになります」

親同士の関係構築が必須
 元夫への恐怖感、拒絶感が強く「離婚後も連絡をとる必要があるとは思いもしなかった」と話すのは一般社団法人『りむすび』の、しばはし聡子代表。別居・離婚後に子育てする親をサポートする共同養育コンサルタントを務めているが、ご自身も何の知識もなく離婚に踏み切り、憂うつな思いをしたことがあったという。
「離婚はできましたが、調停で面会交流が月に1~4回という取り決めがなされた。息子に会いに来るたび、頭を抱えていました。元夫に息子を会わせるのが嫌でした」
 と振り返る。
 離婚したのに元夫と関わりたくない。だが、息子は父親と会うことを喜んでいる……。
 そこで、しばはしさんは夫婦問題カウンセラーの資格を取ることを決意。面会交流を見学するなどした結果、自分自身が変わって、子どもの父親である元夫に向き合わなければいけないと思ったという。
「子どもの情報を夫に伝えようと連絡をとることにしたのです。劇的に関係は改善しました。元夫も憤りが静まり、“ありがとう”と言ってくれる。“ありがとう”ともっと言わせたいと思ったら、苦しかった気持ちがスッと楽になったんです」
 現在は月に2回、子どもは元夫の家に泊まりに行く。しばはしさんが仕事で忙しいときは預かってもらい、学校の保護者会に行けないときは出席してほしいと伝え、学校から子どものことを注意されたら、それを父親から伝えてもらうなど、
「育児のいいところだけでなく、たいへんなところも分担してもらうようにしています」
 共同親権には賛成の立場だ。
「共同養育するために離婚後の親同士の関係構築は必須です。公的な支援も、ひとり親支援は充実していますが、共同親権になれば支援体制も変わってくると考えています。
 子どもは離婚後も共同で育てていくのが当たり前だと認知され、社会に浸透すれば、離婚すると親はひとりという固定概念が払拭されていく」

「パパとママの離婚は私が原因でしょう」
 都内の出版社に勤める水戸耀司さん(仮名、50)は現在、小学6年生になった娘(11)と暮らすが、彼女が2歳半のときに、夫婦のいさかいは始まった。離婚裁判や面会交流調停など長い不毛な戦いを余儀なくされた水戸さんは、
「共同親権であれば、裁判をすることだってなかった。今まで裁判費用で500万円ほど使いました。バカげたお金ですよ」
 と精根使い果たした長期戦を回想。娘はのびのびと元気に過ごしているが、最近言われたことが心に刺さっている。
「“パパとママが離婚したのは、私の取り合いが原因なんでしょう”と自分を責めることを言うんです。違うよと伝えてはいるのですが……」
 2歳半の娘を連れ去った元妻は、夫からDV被害を受けていると警察に通報し、DVを理由に離婚裁判を申し立てた。結果、DVがでっち上げだと証明され、離婚は認められなかった。判決まで2年の月日を要した。水戸さんが、可愛い盛りの娘に会うことができたのは、娘が連れ去られてから1年2か月後だった。
「私と会わせて大丈夫か確認をする試行面会で会えました。最初、きょとんとした顔をしていました。肩車をすると、“パパ”って言ってくれたんです。娘は肩車が好きでいつもせがまれていましたから」
 面会交流も、“病気だ”“運動会がある”などと嘘の言い訳をでっち上げられ、8か月間も会えなかったことも。
 妻が申し立てた2度目の離婚裁判で、離婚が認められ、娘の親権は母親が持つことに。
「娘に対して、私の悪口をひどく吹き込んでいたようなのです。娘はそのたびに“パパはそんな人じゃない”と、嫌な気持ちになったと話していました。
 面会交流が終わり引き渡すときに娘は、毎回帰るのを渋るのです。泣きじゃくったこともありました」
 娘を妻に引き渡した際、妻の手を振り払い水戸さんの車に乗り込んできた。そして“パパ、早く車を動かして”と叫ぶ娘の声を聞き、水戸さんはとっさの判断で車を発進させ、娘を家に連れ帰った。
 それから1年以上、父親のもとで暮らしていたが、親権のある妻は引き渡しを求める。引き渡しをしない親が引き渡すまでの間、1日ごとに裁判所に定められた金額を支払わなければならなかった。
「子どもを返還しない場合は1日3万円の罰金が科せられるのです。致し方なく、娘を妻のもとへ連れて行きました」
 娘はその3日後、再び自分の意思で、父親と祖母が住む家に帰ってきたという。
 その後、元妻とは和解。そのかわり、子どもには会わせることを条件としていた。
「娘が母親に会いたくないと言っているんです。私としては母親を嫌いにならない方向にもっていきたいと思っています。子どもには、パパもママも大好きでいてほしいんです。パパとママは娘のことを愛している、宝物だと思っていることを知ってほしい」
 そう胸の内の葛藤を明かしてくれた。
夫婦と親子の関係は別もの
 青木教授によれば、ノルウェーでは離婚裁判になると子どもは父母から引き離され、里親委託養育になる。そのため、子どもと離れたくない父母は、裁判にならないように離婚を進めていくという。
 離婚経験があり、“離婚後子育て応援弁護士”として活動する稲坂将成法律事務所の古賀礼子弁護士も、元夫と元妻、元夫と子どもの関係は別ものと訴える。
 すでに元夫とは離婚が成立していたが、養育費の見直しの提案をすると“小学校は義務教育だからお金はかからない”と元夫は渋りはじめた。
「話が平行線だったため、元夫に養育費の支払いの調停を申し立て、調停の場に携わったのが、私の弁護士としての初仕事でした」
 息子は、“養育費はいらないからパパとの時間が大切”と訴え、古賀弁護士は板挟みに。
 結局、以前と変わらぬ金額で合意したが、調停では父母は今後一切、連絡をとらないこと、面会は父子が直接やりとりをする決まりに。
 父子の関係は良好で、
「私は見ていませんが、面会の別れ際には親子で熱い抱擁があったりと、血のつながった親子の絆というのは深いものなのだなと感じています」
 共同親権については、
「私のように父母は決して仲はよくないが、父子の仲は非常にいいケースがあることを知ってほしい。必ずしも離婚した夫婦が仲よく協力しなければならないわけではない。
 離婚後も親という意識を持つことで、適正な分担のもとで育児が行われ、社会の意識も変わり、男性の育児休暇取得率も上がると思います」
 前夫との間にできた妻の子を虐待死させた東京・目黒区女児虐待死についても、親権の問題が関係していると分析し、
「親権という重荷を背負わされ、本当の父親にとって代わって行動したのですが、それが間違った方向に向かってしまった」
 そのうえで、
「母になるための支援機関は多く存在するが、継父などへの支援はほとんどない。この点も問題かなと思っています」
 都内在住の40代女性は、成長した娘と父親を会わせようと元夫を訪ねたことがある。
「お前は母親として何をしたんだって、文句を言われましたからね。養育費は月2万円しか払っていない男にですよ! 月々2万円で子どもが育つかよ、って逆に腹が立ちました。娘には、父親のことは忘れなさいと伝えました」
 腹立たしい気持ちが、思い出すたび今も消えないそうだ。
 '16年度に厚生労働省が行った全国ひとり親世帯等調査では、母子家庭で父親から養育費の支払いを受けているのは約2割。共同親権の導入に期待がかかる。

子どもは一方のものじゃない――離婚親の「共同親権」への期待

出典:平成30年8月13日 Yahoo!ニュース

子どもは一方のものじゃない――離婚親の「共同親権」への期待

会いたいのに会えない──。離婚後、子どもと暮らしていない親の多くが口にする言葉だ。日本では結婚時は「共同親権」だが、離婚後は「単独親権」となる。親権を持てなかった親は自由に子どもに面会できず、苦しむ。苦悩する離婚後の当事者と親権の問題を追った。(ライター・すずきまゆみ/Yahoo!ニュース 特集編集部)

思うように長女と会えない
「結婚した時は、いまのような苦しみは想像もしていませんでした」
東京郊外に暮らす高地侑子さん(仮名・50)は涙ながらに振り返る。2000年、32歳でアメリカ人男性と結婚。2人の間にできた長女は、いま彼女の元にはいない。
高地さんの夫は3年前、当時10歳の長女を連れて強引に別居。今年3月、長女の親権を夫(父親)とする離婚訴訟の判決が下された。判決に納得できない高地さんは、現在控訴中である。

2005年、37歳で長女を出産。2011年に東日本大震災が起きた頃から、次第に夫婦関係が悪化する。放射能の影響を恐れての避難をめぐる考え方の違いや、震災の被害を目のあたりにした高地さんがキリスト教に傾倒したことなどがきっかけとなり、価値観の違いが浮き彫りとなったためだ。高地さんが以前からの夢を叶えるために、夫の反対を押し切って大学の夜学に通ったことも夫婦の溝を深くしたという。
高地さんに離婚の意思はなかったため、カウンセリングに通うなど夫婦関係修復の道を探っていた。しかし、夫は協力的ではなかった。
「夫婦でもめていた当時、相談していた弁護士さんには『このままお嬢さんを連れて逃げてください』と言われたんです。でも、私は娘と夫の仲を裂くようなこと、したくなかった。そうしたら2015年6月、私からしてみたら突然、彼が娘を連れて出ていってしまったのです。親権をめぐる司法の判断は『現状維持』を重んじる傾向があるため、連れ去った者勝ちだとよく言われますが、本当にそうだと思いました」

別居以降、娘との面会交流は月1回程度、許された。しかし、面会の日程や時間、場所などはすべて夫の意向に沿わなければ実現できなかった。「本当はもっとたくさん、もっと長い時間、一緒に過ごしたかった」。
そして今年6月、夫は長女を連れてハワイへと転居。面会の機会は遠のいた。結局、この3年間、高地さんは長女と思うように会えていない。

半数以上の別居親が子どもと日常的に交流できず
親権をめぐる離婚後の親たちの苦悩は深い。親権とは、未成年の子どもを育てるために認められた親の権利と義務である。日本においては、結婚時は共同親権、離婚後は単独親権となることが民法で定められている。
厚生労働省の調査によると、2016年の離婚件数21万6798組のうち、親権の対象となる未成年の子がいるのは約58%。そのうちの約84%が子どもの親権を母親がもつ。
一方で、子どもの親権や面会交流など、子どもをめぐる家事事件は増加している。最近は、父親側が子の親権・監護権(監督し保護する権利・義務)や面会交流を強く求めるケースが増えた。男性の子育てへの参加意識が高まってきたことによる流れだ。
しかし、現実には、子どもと離れて暮らす別居親が離婚後も面会交流を行っているのは、母子家庭で29.8%、父子家庭で45.5%にすぎない(2016年)。男女どちらにしても、半数以上の別居親が子どもとの日常的な交流ができていない現状がある。

子どもにとっては何が最善か
「離婚するほどの仲なのだから、面会交流がうまく実施できないのは当然です」
そう話すのは、千葉県の寺院の僧で、離婚後の親子の面会交流支援を行う一般社団法人びじっと代表・古市理奈さん(46)だ。
「たとえ面会交流について取り決めをしていても、両親の感情的な理由から反故にされることも多い。でも面会交流は、親ではなく子どもの権利。少しでも子どもが親に会いやすくするためには、第三者の介入が必要です」
びじっとは「子ども優先」をモットーに、親子の面会の「連絡調整」「受け渡し」「付き添い」などの支援を行っている。子どもが幼い場合、面会交流を行うには当然、親同士の協力が必要だが、「互いに顔を見たくもない相手との歩み寄りは無理」だと考え、面会支援団体を立ち上げた。親同士の感情のもつれによって面会がかなわず、交流のもてない親子を1組でも救いたいという思いからだ。
離婚後も、別居親が子どもに定期的にかかわることで、同居親の子育ての負担が軽減され、親子の孤立を防ぐ効果も期待できる。
「離婚して子どもの親権をもつ同居親は、別居親に会わせることによって『子どもが別居親のほうが好きだと言ったらどうしよう』などと考えて面会を躊躇しがちです。でも、子どもは親の所有物ではありません。子どもにとって何が最善か、ぜひ考えてほしい」

できれば定期的に会ってやってほしい
裁判離婚でない場合、細かい取り決めがなく面会交流が実現しないことが多い。親権を持つ親が、持たない親に面会交流を働きかけても、実現しないケースもある。
埼玉県草加市在住の安藤一浩さん(44)は、4歳11カ月の長女を育てるシングルファーザーだ。長女の母親である元妻は、当時生後2カ月の長女の親権を安藤さんに渡して家を出ていった。
「精神的に不安定だったのかもしれません。僕自身は父親になれたことが嬉しかったので、子育てを担うことに躊躇はありませんでした」
乳飲み子を託された安藤さんは、子育てがしやすいように、当時住んでいた静岡県から埼玉県の実家に引っ越した。同時に、勤めていた会社は退職し、定時に帰れる職に就いた。粉ミルクで育て、抱っこひもで連れ歩いた長女は2020年に小学生になる。
「元妻には毎年母の日に、娘の名前でメッセージを送っています。返事はあったり、なかったり……。面会交流が子にとって必要だと考え、離婚したときから面会交流を相手に勧めましたが、今のところ元妻が応じたことはありません」
一時期は元妻を憎む気持ちもあったが、この5年間でそうした気持ちは減ったという。
「子どもには父親、母親両方の存在が必要と思っているので、元妻が応じてくれたら子どもにとっていいのに、と思うことはあります。でも、相手を憎む気持ちはもうありません。子どもが幸せに育つことを優先に考えています」

日本だけが単独親権
子どもにとって、離婚した親との幸せな関係はどこにあるのか。
「離婚した父母両方が親としての責任を継続する『共同親権(共同監護)』が世界の潮流となっています。欧米はもちろん、アジアでもその選択が広がっています。しかし、日本の制度は、今でも『単独親権』以外の選択肢がない。その点でガラパゴス化しているとも言えそうです」
そう指摘するのは、家族社会学を専門とする明治学院大学社会学部の野沢慎司教授だ。
明治期に制定された旧民法下では、結婚している夫婦の場合でも子どもは父親の家に属していた(単独親権制)。それが、戦後、男女平等をうたう新憲法下となって、婚姻中の父母が共同で子どもの親権を行使できるようになった。ただし、離婚した場合には、父母のどちらかが親権を失う単独親権制が採用された。
この単独親権という制度が残されたことが、親側のさまざまな問題につながっているという見方もある。
「親権をめぐる苦悩や葛藤、養育費や面会交流をめぐる諍い。あるいは、親権をもつ親がひとりで責任を抱え込んで起こす虐待……。こうした問題の背景には、『単独親権制』の前提にある『離婚したら子どもは一方の親だけのもの』とみなす考え方がある」
そこには、子ども側に立った視点が不足している。親が離婚しようと再婚しようと、子どもにとってはふたりとも親であることに変わりはないからだ。
「そう考えると、子どもが父母のどちらかから切り離されやすい『単独親権制』には、大きな欠陥があることに気づくはずです」

「共同親権」を待ち望む人々
2018年7月15日、読売新聞東京本社版朝刊の1面に「離婚後も『共同親権』検討」という大見出しが躍った。記事によれば、政府は親権制度を見直す民法改正について、2019年にも法制審議会に諮問する見通しだという。
親子の面会交流を実現する全国ネットワーク「親子ネット」の会員が参加するSNSグループは、共同親権を待ち望む親たちの喜びの声で沸き立った。
「早く実現するといい」
「離婚している場合も、申し立てれば共同親権にできるようにしてほしい」
会員の多くは、離婚によって子どもと別れた親たちだ。同会では、離婚した父母が協力して子育てができるようにする「共同養育支援法」の制定を目指して活動している。政府による「共同親権」の検討は、それを「大きく後押しする」と会員たちは期待している。
ただ、DVや虐待がある場合に安易に面会交流を認めると、被害が深刻化するという指摘もある。今後の法整備には慎重な議論が求められている。

子どもにとって最善の選択を
「共同親権」の実現を前に現時点で、親権にこだわらず、共同で子育てをしている「元夫婦」はいる。
広島県在住の石田まりさん(仮名・45)は親権をもたない母親だ。
石田さんが離婚したのは2015年。長女は当時7歳だった。長女はそのまま地元の小学校に通い続けたいと希望。本人の意思を尊重し、親権は元夫がもち、石田さんが家を出た。
しばらく一人暮らしをしていたが、2017年3月、石田さんは離婚した状態のまま元夫と長女が住む家に同居することにした。子どものためには父母のどちらの存在も必要と考え、元夫婦で話し合ったうえでの選択だ。家計は別々。食事は交代で子どもと食べる。3人での外出はする。夫婦の時間はもたない。
籍を抜いて他人になったことで遠慮が生まれ、けんかはなくなったと石田さんは言う。
「娘は離婚したことを理解しており、『お母さんとお父さん、仲良しじゃないよね』などと言いますが、さっぱりしたこの関係に大きなストレスはないようです。先のことは分かりませんが、父母として協力し合って暮らすこのやり方は、いまの私たちには合っていると思います」

すずきまゆみ
1966年、東京都生まれ。大学卒業後、会社員を経てライターとして活動。教育・保育・女性のライフスタイルなど、幅広いテーマでインタビューやルポを手がける。

目黒5歳女児虐待事件に潜む、親子制度の問題

出典:平成30年7月27日 アゴラ

目黒5歳女児虐待事件に潜む、親子制度の問題

山本ひろこ 目黒区議会議員

 記憶に新しい目黒区の幼児虐待事件。その後、目黒区議会でも「虐待のない目黒区を目指す決議」が採択されました。結愛ちゃんの残したあまりにも切ないノートの内容が涙を誘い、社会問題化したこの事件ですが、本当に問題なのは行政対応だけなのでしょうか?児童相談所間や警察との連携不足が大きく問題視され、厚労省は児童相談所に警察との連携強化を求めました。
近年、東京都23区では児童相談所の都から区への移管が話題になっています。2016年6月の児童福祉法改正により、特別区に児童相談所を設置することが可能となりましたが、人材・財源・場所など様々な課題があることから、区によって設置予定時期が異なります。
1300万人を抱える東京都が、基礎自治体レベルの細やかな住民ケアができるわけがなく、東京都からすれば、「何町の何丁目」がリアルではありませんが、基礎自治体からすれば、リアルにその地域を把握しているわけです。
それゆえに、地域の子どものセンシティブな問題を取り扱う児童相談所などは基礎自治体が所管するのが妥当で、東京都からの移管は望ましいことだと考えます。目黒区では移管の具体的時期がまだ未確定の状態ですが、早期移管を求めて区議会からも決議文を出しました。
ただ、今回の事件で母親として一番気になるのは、連れ子にだけ虐待を行ったという点です。実父かそうでないかによって、子供へ対応レベルが異なりやすいというリスクについては、米国の研究などでも証明されています。
もちろん児童相談所対応が至らなかったのは致命的ですが、被疑者の父親には実子もいて、その子は虐待されることなく育てられており、連れ子の結愛ちゃんだけが虐待されていた今回のケースなどは、日本の親子制度のありかたそのものにも焦点があたるべきところを、幼児虐待に対する児童相談所対応だけの問題にすり替えられてしまっています。
連れ子も実子も同じように虐待をしているのであれば、幼児虐待だけが問題となりますし、もちろん、ハイリスクだと言っても、一般的には連れ子も実子も同様に接している円満ケースが大半です。一方で、今回のケースでは連れ子にだけ虐待を行っている点からして、虐待の原因として、実子かどうかが大きく影響していることがわかります。
現在の日本は、単独親権制度を採用しており、離婚して親権を失えば親の責任がなくなるどころか、懇願しても会えなという断絶状態が散見されています。共同親権制度により、実夫に離婚後も子供の養育の義務があれば、結愛ちゃんのSOSが伝わり、虐待死に至る前に救えたかもしれません。
欧米諸国では、共同親権が採用されています。もちろん、別れても住所が追跡されるなどのデメリットもありますが、子どもの権利や利益を中心に考えると、共同親権が妥当ではないでしょうか。日本でも共同親権化に向けて、動き出しました。
子どもにとって一番大切なことは、たくさんの選択肢があることです。親の都合で離婚したとしても、子どもには両方の親に世話をしてもらえる権利があります。幼いうちに、どちらかを選ぶことなんてできません。大きくなっても、どちらかを選ぶというのは、究極の選択にしか過ぎません。離婚により親権を失えば、子どもに対する義務も責任も無くなる、というのは大人都合のルールです。子どもは自立するまで両親に育ててもらう権利を持っているという、子ども中心のルール作りが必要ではないでしょうか。

親子を引き離し、関係をこじれさせることで儲ける“離婚ビジネス”の実態

出典:平成30年7月21日 ハーバー・ビジネス・オンライン

親子を引き離し、関係をこじれさせることで儲ける“離婚ビジネス”の実態

「親から子どもを引き離したほうが弁護士はカネになります」

 そう断言するのは「男の離婚相談」を掲げる五領田有信弁護士。受け持った事件の中で特に理不尽に感じるのは、妻が浮気して出ていった場合の妻側弁護士の対応だという。この場合、妻のほうに原因があるので、夫が拒否すれば普通は離婚できない。

「しかし『子どもの養育をともに担えるなら』と、妻に愛想をつかした夫も離婚に同意しようとします。その場合、養育を等分に分け合うなら養育費は当然発生しません」(五領田弁護士)

◆弁護士は、離婚時の養育費算定が多いほど利益を得られる

 政府は現在、日本以外では朝鮮(いわゆる「北朝鮮」)やイスラム諸国、アフリカ諸国に残存する単独親権制度を転換。離婚後も両親が養育にかかわる共同親権制度に向けて、民法改正の検討を始めた。共同親権の国では珍しくなく、単独親権の日本でも制度上は否定されているわけではない。しかし、子どもが手元にいる妻側の弁護士は「そんなことは聞いたことがない」と強く出る。

 そうなると、夫の側は子どもとの絆が断たれることを恐れて親権を手放さず、離婚に同意しない。

「関係を壊した妻側が、婚姻費用を請求してくる。離婚しないならカネを払え……と。妻側の弁護士はまるで暴力団です」(同)

 さらに五領田さんが疑問視するのは、法律サービスを身近なものにするために政府が設けた日本司法支援センター(「法テラス」)の成功報酬基準だ。

 離婚時に起こした養育費請求調停で、夫から毎月10万円の養育費を受け取る約束ができたとする。法テラスの算定基準では養育費の2年分が「受けた利益」として報酬算定される。たとえば月額養育費が10万円であれば、「10万円×24か月=240万円の10%+税」が報酬になる。

「子どものためのお金なのに、弁護士がやっていることはピンハネ。月々10万円をとれるクライアントを10人見つければ、月10万円が固定収入になる。顧問契約の2件分です。国が作った機関が、養育費から報酬を得られるようにするなんて、離婚を奨励しているようなものです」

◆弁護士が「事件を作っている」という批判も

 法テラスを利用すると、30分の相談が3回まで無料だ。一方、弁護士は1回の相談につき5000円を法テラスから受け取る。相談者が法テラスの弁護士に依頼すると事件の種類に応じて決まった額の着手金が弁護士に支払われ、依頼者は分割で法テラスに償還する。中でも扶養料や慰謝料の請求は成功報酬の対象になる。

 母親が主婦のまま子連れで別居して、生活保護を受けていれば法テラスへの支払いも免除される。「クライアントは金銭負担を感じることなく、弁護士をつけて調停・裁判を起こせる」と解説するのは、親子関係回復のための面会交流事件を多く手がける古賀礼子弁護士だ。

 例えば生活保護を15万円受けている母子家庭で、婚姻費用を請求して月々10万円を受け取ることができたとする。「実際は回収した婚姻費用は収入に認定され、生活保護費からの国庫への返還になるので、母親が得る生活費は変わりません」(古賀弁護士)。

 しかし父親からの婚姻費用の支払い先は母親側の弁護士の口座が指定され、そこで1万円が差し引かれ。残りの9万円分が生活保護費から返還されることになる。

「父親からしてみれば婚姻費用を支払っているのに、子どもには会えず、妻も子どもも全然生活水準が上がらないということになります」(同)

 それなのに、なぜ婚姻費用を申し立てるのだろうか。

「夫の側は、妻の扶養分を減額するために早く離婚しようと考える場合があるからです。本来婚姻費用の分担は、婚姻した夫婦がお互い協力しあうことが前提の制度なのに、離婚を促すために使われているのが現状です」(同)

 弁護士があえて「事件」を作り出し、売上を得る仕組みを「離婚ビジネス」と酷評するのは笹木孝一さん(仮名、50歳)。妻側の弁護士から、婚姻費用の支払い先を弁護士の口座に指定された。

 妻側の弁護士は家事事件について「国内トップレベル」を標榜する弁護士だった。笹木さんの場合、別居時に妻が5歳の息子名義の口座を持っていったので、婚姻費用はその口座に支払っていたのだ。

 笹木さん夫婦はもともと共働きで、生活に必要な諸経費は笹木さんが支払い、笹木さんの預金に余裕ができたら妻の口座に移動していた。摂食障害のある妻のために、食事も笹木さんが作っていたという。

 妻側に経済的な不満があるようには思えないが、「妻は精神的に不安定で離婚を口走り、子どもにも暴力を振るいました」という。困った笹木さんは円満調停を家庭裁判所に申し立てた。「有利な証拠を得るためか、妻はリビングに録音機を置きました」(笹木さん)。

◆子どもに会うために、毎回1万5000円を公益法人に払う

 2016年のある日、保育園に子どもを送り届けた後、妻と子どもがそのまま行方不明になった。すぐに妻側の代理人を名乗る弁護士から「妻子や親族に連絡を取ろうとするとあなたが不利になる」と連絡が入った。

 その後家庭裁判所で調停になり、担当の女性裁判官は「裁判所が関与すべきものではない」と事件性を否定。隔週で6時間という父子交流を取り決めた。ところが高裁では月に1回3時間の交流に短縮され、どちらかが望めば父子交流に付き添いを付けることが可能になった。「つきそいを望むのは母親しかいない。監視ですよね」と笹木さんが嘆息する。

 母親側が指定してきたのは、面会交流の支援を手がける家庭問題情報センター(FPIC=エフピック)だ。「FPICのスタッフには『私たちのところを利用するようにという審判書になったわね』と笑われました」。FPICは月に1回3時間までしか面会交流の支援をしない。

「妻側はエフピック以外では会わせないと言ってきましたから、選択の余地はありません。にもかかわらず、当初1回1万5000円の利用料は、相手方弁護士の主張で全額を私が払わされました」(笹木さん)

「子どもに会うのにその都度カネを払わないと会えないなんて屈辱そのもの」と憤るのは先の五領田弁護士。「司法によって利用が指示されるなら、それは裁判所や行政の仕事。なぜ公益社団法人がそれを肩代わりしているんでしょうか」

 FPICは家庭裁判所の調査官OBによる公益社団法人。2015年から3年間、養育費相談支援事業などに1億5400万円を国から得ている。「家庭裁判所職員の再雇用先確保のためのカモにされているとしか思えません」と笹木さんも指摘する。

 笹木さんとの交流場所はFPICが児童館を指定した。理由について笹木さんが聞くと、「子どもの安全のためという。これは私が危険だということですから、FPICに抗議したのです。そうすると『信頼関係がない』と援助を引きあげられました」。現在、笹木さんは息子さんに会えていない。離婚も裁判で決着した。

「営利目的で子どもを連れ去り、親同士の関係を壊して親子を引き離し、子どもの貧困を招く。そんな奴らが裁判所を闊歩しているなんて」

 共同親権は、離婚ビジネスが生み出す子どもの貧困を根絶できるだろうか。
<取材・文/宗像充>

ハーグ条約>子を返還するよう命じる判決 差し戻し審

出典:平成30年7月18日 毎日新聞

<ハーグ条約>子を返還するよう命じる判決 差し戻し審

 国境を越えた子の連れ去り防止を定めた「ハーグ条約」に基づく裁判所の返還命令に従わないのは違法として、米国在住の父親が息子(13)を連れて帰国した母親に息子の引き渡しを求めた人身保護請求の差し戻し審で、名古屋高裁は17日、父親の請求を認める判決を言い渡した。

 戸田久裁判長は、息子が「米国での生活に不安があり、日本に残りたい」と話しているとしつつも「来日以来、母親に大きく依存して生活せざるを得ない状況にあり、母親のもとにとどまるかどうか決めるための多面的な情報を十分に得るのは困難だった」と判断し、母親の不当な心理的影響も指摘した。

 その上で、母親が返還命令に従わず、息子を父親に引き渡さないのは明らかに違法と結論づけた。

 争っているのは米国で暮らしていた日本人夫婦。母親が2016年に息子を連れて帰国し、父親がハーグ条約の国内実施法に基づいて東京家裁に息子の返還を申し立てた。家裁は返還を命じたが母親は応じず、父親は息子の引き渡しを求め人身保護請求の裁判(2審制)を起こした。

 1審の名古屋高裁金沢支部は昨年11月、「息子は自らの意思で日本に残ることを選んだ」と請求を退けたが、最高裁は今年3月、母親の不当な心理的影響を受けていると言わざるを得ないとして破棄し、審理を名古屋高裁に差し戻した。

 ハーグ条約は、親の一方が断りなく16歳未満の子を国外に連れ出した場合、残された親の求めに応じ、原則として子を元の国に戻さなければならないとしている。【野村阿悠子】

「離婚で子供に会えない」を減らすための、ある弁護士の試み

出典:平成30年7月17日 週刊現代

「離婚で子供に会えない」を減らすための、ある弁護士の試み 新たな解決方法を模索して

 西牟田 靖

離婚を巡る夫婦の話し合い。円滑に進めばよいのだが、特に子供がいる場合は、親権を巡って夫と妻の間で激しい争いとなってしまうケースが多い。近年では、弁護士が依頼者に強く肩入れして、決して子供と夫婦のためにはならないような「助言」を行うこともあるのだという。
妻と離婚し、その後、子どもに会えなくなったというAさんの話と、「円満な離婚」を推進するため、新たな取り組みを行っている横粂勝仁弁護士の話から、いまの「離婚紛争の問題点」と改善策について考えてみたい。

■別れるつもりはなかったのに
「13年前、妻と息子二人と一緒に暮らしていたときのこと。ある日、妻が浮気をしているかもしれないことに気づきました。携帯を置いたまま外出した妻の携帯がチカチカ光っていて、画面には、知らない男の名前が表示されているんです。浮気じゃないかと疑った私は、本人に問いただしました。すると妻は男との一定の関係は認めたうえで、『一線は越えてない』と言い張りました。
同居している義父母を交えて話し合ったのですが、妻を叱ってくれるどころか逆にかばってしまい、なぜか私が悪者に……。結果、妻や義父母との仲がこじれてしまいました」
こう話すのは、離婚後、息子と会えなくなってしまったAさんだ。妻をかばう義父母らによって家に居づらくなったため、その日、Aさんはやむなく実家に泊まった。それ以来、妻の実家に戻ることはできず、別居状態となった。なんとか子供にだけは会いたいと、毎週末、妻の自宅へ戻ったが、そのうちわざと留守にされるなど、子供たちから遠ざけられたという。
別居して10ヵ月あまりが過ぎたある日、その関係に突然変化が訪れる。
「妻は離婚について弁護士に相談していました。ある日、妻側の弁護士から夫婦関係調整調停の申立書というものが届いたのです。そこには調停の日時や場所が記されていました。要は、家から荷物を全部移して、離婚をしてくれ、ということです。私は弁護士を雇い、指定された裁判所へ出向いて、こう主張しました。
『子供たち二人がまだ小さい。だから別れる気はありません。住んでいる家から荷物を移す必要も感じません』と。
するとその場にいた妻側の女性弁護士が突然怒りだし、私や私の担当弁護士に『あんた民法知ってんの? こうなったら訴訟だ!』と叫んで、話し合いが行われていた調停室から、調停委員会の許可なく退出してしまったのです。唖然とするほかありませんでした」
その後、妻側の弁護士は離婚等を求める訴訟の書面を出してきた。その文面を確認したAさんは目を疑った。
「一審の家庭裁判所での妻側の離婚訴訟の書面には、私が妻や子に振るったとする、DVの事例がいくつも記されていました。
例えば、離婚訴訟中に子供を連れて結婚式に行ったとき、前泊したホテルで子供がベッドから落ちたんですが、それを私のDVが原因だと主張されたんです。こうした事例が家庭裁判所にDVとして認められてしまい、その結果、私はDV夫と見なされ、親権を妻に取られてしまったんです。
納得できるはずもなく、私はすぐに東京高等裁判所に控訴しました。ところが審理は一度も行われず、なぜか裁判官から『裁判所に来るように』と呼び出されました。それを受け、私が裁判所の和解室に出向くと、裁判官が私に和解を勧めてきたんです」
以下は、その裁判官との和解室での会話を再現したものだ。
裁判官「旦那さん、あなたがDVするから奥さんが浮気したんでしょ。慰謝料、大幅減額してあげるから和解しなさいよ。いくらなら払えますか?」
Aさん「大幅減額って、(DV)やってないんですから減額も何もないじゃないですか。慰謝料なんて払う気はありません」
裁判官「家庭裁判所でそう決まりましたよ」
Aさん「だから控訴してるんじゃないですか。(裁判中の)今現在でさえ、私が子供に会いに行っても妻は子供に会わせないんですから、(離婚したら)ますます会わせなくしますよ」
裁判官「あ~あ、じゃあ、判決書くしかないかな……。旦那さん、お子さんに会えてないんでしょ。じゃあ会えるように(和解調書に)書いてあげるから、(和解に応じるかどうか)1週間考えてくださいよ」
Aさん「裁判官がそう仰るのでしたら考えます」
1週間後、Aさんは裁判所に再び向かう。そして同じ裁判官と和解室で、再び対峙する。裁判官はAさんに向かって、作成した和解調書を読み上げた。
そこには「(子供との面会交流は)1ヵ月に2回実施、ただし、熱が37℃以上あったり、子供が望まなかったりした場合は実施しない。また(子供に会えなかった場合)代替日は求めない」という条項が列挙されていた。月2回の面会を認めてはいるものの、これでは妻の気持ちひとつで、子どもに会えない可能性がある。この条件はとても飲めない、とAさんは思った。
以下はそのAさんと裁判官との2度目のやりとりである。
Aさん「こんな条項を入れていたら、これを理由に子供に会わせない事ができるじゃないですか。これ(熱があったり、子供が望まなかったりした場合は実施せず、代替日もない、という条項)は外してください」
裁判官「この条項の意味は、例えばお子さんだって、2週間に1度会っていても、たまには気分が乗らない事とか、友達と遊びたいという時だってあるでしょ。そういう意味で、普通、和解調書に入れるんですよ。これでお子さんに会えますよ」
Aさん「(裁判官がそういうのなら)そうですか。わかりました」
以上のやりとりを経て、結局Aさんは和解に応じた。早くわが子に会いたい、という気持ちが日増しに強くなっていたからだ。わが子に会えるなら、それ以上のことはない。だからこらえようと、Aさんは思ったという。

■子供とは会えないままで
その後の状況について、Aさんに詳しく話を聞いた。
――その後、お子さんとは会えたんですか。
「最初の6ヵ月は飛び飛びで面会できていました。しかしその後は『子供が熱を出した』『予定を入れた』『お腹が痛い』『会いたくない』などの理由で毎回キャンセルされるようになりました。
そこで私は、妻側の弁護士に抗議しました。『毎回、面会を休むのはヘンです。診断書を出してください』と。しかし、その提案は無視されてしまいました。私は『これでお子さんに会えますよ』という裁判官の甘言に釣られてしまいました。子供たちとはもう10年もの間会っていません」
――それで和解した後はどうされたのですか。
「『あんた民法知ってんの?』という暴言を吐いたりするなど、妻側の弁護士の言動に承服しがたいものがあった。そこでその弁護士が所属する弁護士会に懲戒請求(※)をかけたんです。しかし、その弁護士会に却下されてしまいました」
(※懲戒請求――弁護士法によると「何人も、弁護士又は弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは、その事由の説明を添えて、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会にこれを懲戒することを求めることができる」(第58条)とある。)
Aさんはその却下を不服とし、日本弁護士連合会(日弁連)に異議を申し出た。それを受け、後日、日弁連の懲戒委員会で審査が行われた。
「日弁連が、調停中の妻側弁護士の『民法知ってるの』などといった暴言を問題視したようです。その結果、懲戒請求が元の弁護士会に差し戻されまして、懲戒委員会が開かれました。それがこの議事録です」
そこには次のようなことが記されていた。括弧内に原文を要約してみよう。これは、妻側の弁護士が、懲戒委員会で発言したものだ。
「どうしても子供とAさんとの面会交流をさせたくないという強い希望が(依頼者であるAさんの妻から)ありました。和解の中で、面会の条項を定めることも彼女は嫌がっていた。当日、話し合いの場に彼女がいなかったので、裁判官が私の携帯電話を通じて、長い時間をかけて説得をし、『こういう条項を入れるからどうですか』みたいなご提案をされて、それでようやく決まった条項なのだと認識しています」
これをかみ砕いて、第三者の目で書くと次のように解釈できる。
「どうすればAさんと子供を会わせないで済むか、裁判所の和解室で妻側の弁護士と裁判官が協議した。その結果、『形式的には面会交流を認めるものの、条項を設けておくことで、Aさんと子供を会わせなくて済むようにする』という内容で話がまとまった。
妻側の弁護士は確認のため、自分の携帯電話を使い、依頼人であるAさんの妻に電話。ところが、面会交流自体を認めたくない妻を説得しきれなかった。
そこで、その妻側の弁護士は、裁判官に自分の携帯電話を渡し、Aさんの妻を直接説得してもらった。『面会交流は認めるものの、但し書き条項を入れることで、それを理由に会わせなくて済むんですよ』という言葉を裁判官から聞いたAさんの妻はようやく納得し、電話を切った。そうやって決まった条項だった」
その後、Aさんは、裁判官の和解提案に応じた。もちろんそのとき、Aさんは知らなかった。妻側弁護士と裁判官がこんな話し合いをしていたことを。
結局、Aさんは10年もの間、子供たちと会えないままだという。

■時間が経てば経つほど
日本では離婚した後に、片方の親が親権を持つという、単独親権制度がとられている。別居した後、親同士がもめてしまい、法廷での紛争(調停、審判、裁判)に持ち込まれた場合、子供と一緒に暮らしている親が引き続き、一緒に暮らしたり、親権をとることが通例となっている(継続性の原則)。
そのためなのだろう。子供の親権を持ち、子供と一緒に暮らしたい親が、片方の親を追い出したり、子供を連れて別居したり、という手段に出ることがよくある。紛争(調停や審判、裁判)で双方に弁護士がついたことから、状況が複雑化、あることないことがごちゃ混ぜの“泥沼の戦い”に突入してしまったりすることが珍しくない。
そうした現状を疑問視する弁護士もいる。その一人が、"離婚と親子の相談室らぽーる"でADR(裁判外紛争解決手続)に関わっており、離婚紛争において発生する親権問題に詳しい、横粂勝仁弁護士だ。
横粂弁護士に、諸々の問題について訊ねてみた。
――調停や裁判といった紛争の中で、親権獲得を有利にするために、弁護士が親と子供を引き離したり、連れ去ったりするという手法を示唆することは、実際にある話なのですか?
「引き離し罪や連れ去り罪といったものはありませんし、Aさんのケースのように、夫と子供が引き離されることも、それ自体は犯罪ではありません。弁護士は依頼者を勝たせることが何より大事ですから、よくあると言えるかは分かりませんが、そうした手法が採られることは、現実的にあります。
長く監護した親のほうに親権や監護権を認めるという『継続性の原則』がありまして、離婚時に、親権や監護権を得たいと依頼してきた方に、積極的に『連れ去れ』とは言わなくても、
『相手は子育てに積極的、しかも実家は近くですので、相手が子供の監護をすることが十分可能ですね。これはあくまで一般論ですが、連れ去っちゃった人が親権や監護権を認められるというケースはたくさんありますよ』
というふうに一般論として説明して、『先に連れ去ったほうが有利』ということをほのめかすことはあるかもしれません」
拙著『わが子に会えない』にも記したが、離婚紛争の途中で、相手側から身に覚えのない暴力を主張された、と話す人が実に多い。罰則がないので、虚偽だと判明しても、それを主張した側にはなんのお咎めもない。そうした“嘘”について反論しているうちに、別居状態がさらに長引くことになる。いわゆる、「虚偽DV」と呼ばれている問題だ。
もちろん、子供や配偶者に対するDVは許されるものではない。本人が否定していも、実際にはDVを行っているケースもあるだろう。しかし、現実に「虚偽DV」という問題は存在すると横粂弁護士は指摘する。
「まず、DVの問題は非常にセンシティブです。深刻なDVに悩んでいる方が多くいることは認識していますし、絶対に許されない行為です。また、おっしゃる通りDVを行ったにもかかわらず、加害者がそれを否定するというケースもあるので、とても難しい問題です。その判断は慎重になされるべきです。
しかしながら、恒常的な暴力はなかったにもかかわらず、裁判で『DVがあった』と認定されるケースも一部存在していることもまた事実です。
弁護士は依頼者の要望通りに事を進めるために、相談の中で、どういったことを主張すればいいのか提案していくわけですが、離婚がテーマの場合、特に重要となるのが、『相手が不利となるような証拠』です。つまり、浮気やDVの『証拠』があれば、依頼者に有利な形で離婚裁判を進めることができます。
しかし、証拠がないとなかなか認められない。そこで、
『暴言を吐いた様子の録音などといった証拠を集めてから、離婚を申し立てるのがいいんじゃないですか』
と弁護士が依頼者に伝えることもあるでしょう。その『助言』を受けて、依頼者が、それならわざと相手を怒らせて、その声を録音して証拠にしよう……と考えても不思議ではありません」
たった一度でも暴言や怒鳴り声をあげてしまい、それが証拠として提出された場合、裁判官の心証は大変悪くなる、という。
「どんなに温厚な人でも、罵倒され続けると腹が立ちますよね。罵倒を続けて、堪忍袋の緒が切れて『いいかげんにしろ』と怒鳴ったところを録音される。
そしてそれを証拠に、『DVを受けた』と主張されてしまったりすることがあります。こうした手法は法律で禁止されている訳ではないのです」
違法でなければ、テクニックとして、そうした方法を使うことも辞さない――そうした手法が採られることもある、ということを横粂弁護士は暗にほのめかした。
――親権を取られたとしても、子供と定期的に会い、育児に関わることが出来れば、まだ納得がいきます。しかし別居親の中には、育てることどころか、会うことすら出来ていない人が多くいる。これはなぜでしょうか。
「子供を連れ去られた、と主張する側が面会交流や離婚の調停中に定期的な面会を求めたとして