民法819条(単独親権制度)改正を求め共同親権・共同監護制度の導入・ハーグ条約締結の推進と活動を行っています

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離婚後の共同親権、超党派議連が法相に要望 「親として当然の責務」

出典:令和4年4月22日 毎日新聞

離婚後の共同親権、超党派議連が法相に要望 「親として当然の責務」

 父母の離婚後の子の養育を巡り、超党派の「共同養育支援議員連盟」(会長・柴山昌彦元文部科学相)は22日、離婚後の共同親権を認める制度の導入を求める提言書を古川禎久法相に提出した。

 現行民法は、父母が離婚した場合、いずれかが親権者となる「単独親権」を採用する。法制審議会(法相の諮問機関)は現在、父母の離婚に伴う子の養育や親権のあり方について見直しの議論をしている。

 議連は提言で、離婚後も父母双方が子の養育に関わって責任を果たすことは「親としての当然の責務で、国際的潮流だ」と指摘。離婚の原因にDV(家庭内暴力)があるような例外的な場合を除いて、離婚後も共同親権・共同養育を認める検討を進めるよう訴えている。

 また、父母が離婚した子の健全な成長のためには、確実な養育費の支払いと安全・安心な親子交流の実施が「車の両輪のように不可欠」とし、両者のいずれかを優先するのではなく、足並みをそろえて検討を進めることも求めた。

 古川法相は「何よりも子の利益の観点が一番大事。政府全体で取り組んでいく大きな課題だ」と述べた。【山本将克】

「共同親権の導入検討を」超党派議連が提言、連れ去り助言の弁護士敗訴判決も追い風

出典:令和4年4月14日 SAKISIRU

「共同親権の導入検討を」超党派議連が提言、連れ去り助言の弁護士敗訴判決も追い風

マスコミ各社黙殺の異様、当事者ネット発信活発化

SAKISIRU編集部

夫婦間の対立や離婚に際し、片方の親の同意なしに子どもの連れ去りが相次いでいる問題は、捜査機関や司法の対応に変化が生まれ、政治レベルでも親権制度の見直しに向けた機運が着実に強まっている。

超党派の国会議員有志でつくる「共同養育支援議員連盟」は12日、親子交流の推進や共同親権の導入などを求める緊急提言をまとめた。近く政府に提出する。

離婚後の単独親権見直し提言

親権制度のあり方を巡っては、法務省の諮問機関、法制審議会の家族法制部会が昨年3月から検討を進めており、中間取りまとめが近く行われる見通しだ。議連も同部会と並行し、これまでに月1回のペースで総会を開催。今回の緊急提言はこのスケジュールを見越したもので、法制審に対しては「離婚後の共同養育が当然であることの認識の下、養育費の支払いと親子交流のいずれを優先するのではなく、両者足並みを揃えて少しでも早く検討を進め、 答申すること」と要望した。

さらに、3月下旬には親権のある男性が、子どもを連れ去った元妻を訴えた裁判で「異例の判決」が出たことにも言及。この民事訴訟では、元妻とともに訴えられた代理人弁護士に対しても違法な連れ出しを教唆したとして東京地裁が損害賠償を命じる判決が出ている。

これを受け、提言では以下のように共同親権制導入に向けた検討も要請した。

代理人弁護士の不法行為責任が認められた地裁判決も出るに至っていることも踏まえるならば、海外の制度を調査し、日本の諸制度と比較検討した上で、離婚後に単独親権制度しか認められない現行制度を早急に見直し、DV などの例外的な事象を除き、離婚後においても共同親権が認められる制度の導入についての検討を進めること

このほか「親子交流支援の実態調査や現行の支援事業の抜本的拡充に加え、親子交流を支援する民間の団体を所管する官庁を明確に定め、民間の親子交流支援機関の展開・充実に早急に取り組むこと」も必要だと主張している。

議連の2月の総会では、警察庁の担当者が同意のない片親の連れ去りについて「正当な理由のない限り未成年者略取罪に当たる」と明言したことが注目され(関連記事)、その後、正式な通達が全国の警察本部に周知された。

幹事長を務める牧原秀樹衆院議員は12日夜のツイッターで「新たな流れができつつあります」と手応えを述べた。

共同養育議員連盟にて決議書を採択。審議会における親子交流と養育費の並行議論の要請、共同親権導入の検討、親子交流促進支援が柱です。
親子断絶を唆した弁護士にも損害賠償命令が出た判決、未成年者略取誘拐罪に該当しうる警察の通知発出など新たな流れができつつあります。

維新の石井苗子参院議員は総会後、DVなどの「特別な配慮が必要な別離にも十二分な配慮を」という但し書きをしながらも、「悲しむ親子を減らすためにも、共同養育へと舵を切ることに躊躇してはいけません」と強調した。

共同親権に関する議連へ参加。
現在日本では単独親権しか認められておらず、離婚で引き裂かれる親子が多くいます。
悲しむ親子を減らすためにも、共同養育へと舵を切ることに躊躇してはいけません。
ただしDVで苦しむなど、特別な配慮が必要な別離にも十二分な配慮を。
選択的共同養育へ向けて。

議連会長の柴山昌彦元文科相は連れ去り被害者からの相談が続出し、心が痛むと綴った。ただ「政府への要請や立法が国会議員の仕事なので、この欄の記載などをご参考に是非弁護士に相談して下さい」と投稿し、当面の対策に役立ててもらう意向を示した。

(補足)多くの方から連日「子供が連れ去られましたがどうしたらいいでしょうか?」という個別相談を山ほどいただいています。深刻な案件ばかりで心が痛みますが、政府への要請や立法が国会議員の仕事なので、この欄の記載などをご参考に是非弁護士に相談して下さい。

圧力にビビる報道、当事者はネットで抗戦

「面会交流調停をやっても、相手側が虚偽の主張であっても、子どもとは会えない」。数年前に2歳と5歳の子どもを元妻に連れ去られたという男性は現在の裁判所の対応や制度面の限界に憤る。他方、この問題が新聞やテレビ局などの記者クラブメディアでほとんど報道されず、世間の関心が高まらないために事態が進展しないことにも不信感を募らせている。

実際、昨年もある大手メディアの言論サイトで連れ去り被害者側のインタビュー記事が掲載直後に削除された「事件」があったが、事情通によれば編集部に対し、猛烈な圧力がかかったと言われる。

それでも当事者はゲリラ的にSNSで積極的に想いを伝え続けている。柴山氏や牧原氏らのツイッター投稿に対し、連れ去り被害者と見られるアカウントから取り組みへの謝意とともに「将来の日本を背負うこどもの為に1日でも早く助けて下さい」などの要望が相次いだ。彼らは時に共同親権反対派の左派系アカウントとの論戦も辞さない。

日本が「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」(ハーグ条約)に批准して10年近く。それでも単独親権制度を継続し、同意なき連れ去りが止まないことから、EU議会が日本に対し「子の連れ去りに関する国際的なルールを遵守していないように見受けられる」と決議するなど国際的な圧力もかかっている。反対派は、法制審の議論での巻き返しを図っているが、参院選に向けて当事者の尊厳をかけた政治闘争はさらに続きそうだ。

子を連れて別居、代理人の弁護士にも賠償命令 「違法な助言」

出典:令和4年3月30日 朝日新聞

子を連れて別居、代理人の弁護士にも賠償命令 「違法な助言」

 親権を持つ男性から2人の子どもを連れて別居したのは違法だとして、男性の元妻と、元妻に連れ出しを助言した代理人弁護士2人に110万円の損害賠償を命じる判決が東京地裁で25日にあった。市川多美子裁判長は「子どもを守るために必要だった」とする元妻側の主張を退けた。

 判決によると、原告である名古屋市の男性は2015年、長男(17)と次男(11)の親権者は男性と決めて元妻と協議離婚をした。男性と元妻はその後、子どもとともに再び名古屋市内で同居したが、元妻は16年に子どもを連れて別居した。弁護士は元妻に対し、連れ出すことに肯定的な助言をした。

■元妻側、精神的虐待があったと主張

 これに対し男性は、精神的苦痛を負ったとして元妻や弁護士らに1100万円の損害賠償を求めて訴訟を起こした。

 元妻側は裁判で、子どもを連れ出した理由について、男性による自分自身への精神的な虐待があったことに加えて、子どもにも虐待が及ぶ可能性があったと説明。離婚後も復縁を予定した内縁状態だったと主張し、「離婚前の共同親権の状態と同じで不法行為にあたらない」と訴えた。

 しかし判決は、男性を親権者と定めた離婚を「有効」と判断し、元妻が子どもを連れ出した時点の子どもの親権は男性にあったと認めた。そのうえで、親権のない元妻の行動について「子どもと不法に引き離されることがないという親権者の利益を侵害した。男性のもとに子どもを残すことが子どもの幸福に反するとは認められない」と結論付けた。

■「弁護士がアドバイスしづらくなる」

 さらに判決は、元妻の代理人弁護士2人が子どもの連れ出しを肯定したのは人身保護に関する過去の判決にそぐわず、「独自の見解に基づく違法な実力行使を(元妻に)助言した」として賠償責任を認定した。子どもの親権をめぐって代理人弁護士の賠償責任を認めたのは異例だ。

 判決で賠償を命じられた弁護士は取材に、「子どもが虐待の被害を受ける可能性がある場合、親権の有無にかかわらず子どもを連れて逃げたほうがいいというアドバイスを弁護士がしづらくなる。弁護活動の萎縮につながらないかが心配だ」と語った。(村上友里)

子どもの連れ去り、警察庁が都道府県警に「適切な対応に遺漏なきを期する」通達

出典:令和4年3月11日 SAKISIRU

子どもの連れ去り、警察庁が都道府県警に「適切な対応に遺漏なきを期する」通達 [#feec962e]

自民・柴山元文科相がツイッターで公表

夫婦間のトラブルにより、片方の親の同意なく子どもを連れ去って別居する行為が横行している問題で、警察庁刑事局が都道府県警本部に対し、「近年の国会でも取り上げられており、重大な被害に発展するおそれもある」として、連れ去られた側のパートナーから被害を届け出られた場合などに「適切な対応に遺漏なきを期する必要がある」と通達していたことが明らかになった。

通達は2月21日付。自民党の柴山昌彦元文科相が10日、ツイッターで通達内容を公表した。

警察庁から各都道府県警本部刑事部局に宛てた2月21日事務連絡の文書を入手しました。私がツィートしたとおり
①連れ去り
②連れ戻し
それぞれの訴えがあることを明示し、「この種事案については…被害の届出等への適切な対応に遺漏なきを期する必要がある」として参考に2つの判決理論を添付してます。
※Tweetについては、原文を参照ください。https://sakisiru.jp/22855

柴山氏は2月3日、会長を務める超党派の共同養育支援議員連盟の総会で、警察庁側から、一方の親による連れ去り行為が「正当な理由のない限り未成年者略取罪に当たる」と明言し、現場に徹底するとの意向を報告されていたことを明らかにしていた。この時は警察庁が従来より踏み込んだ姿勢を見せたことが注目されたが、共同親権導入の反対派や一部野党議員が警察庁の見解が本当だったのか疑義を示していた。

しかし、同連盟の3月8日の総会で、警察庁が各都道府県に対し、改めて連れ去り行為が犯罪の可能性があるとみて対応する姿勢を示し、都道府県警に通達したことを報告。この日公表された文書は一連の警察庁の変化の裏付けとなる。

「柴山発言」があって以降もネットでは、連れ去り被害の親などからは「警察に相談に行っても動いてくれない」などの訴えがしばしば見受けられたが、柴山氏は8日のツイートで「私から現場に徹底されていないのでないかと指摘したところ、被害受付担当に周知されるようにすること、また不十分な対応をされたことを含め、各都道府県警本部に相談電話窓口を添付のとおり設置する旨の答弁をいただいた」と報告。警察庁は同通達で、最高裁が過去の連れ去り事案で同罪で有罪判決を下した判例も参考に添えており、今後は捜査現場が周知した通りに動けるか問われることになる。

(承前)私から現場に徹底されていないのでないかと指摘したところ、被害受付担当に周知されるようにすること、また不十分な対応をされたことを含め、各都道府県警本部に相談電話窓口を添付のとおり設置する旨の答弁をいただいた。(続く)
※Tweetについては、原文を参照ください。https://sakisiru.jp/22855

子どもを連れ去った親は「未成年者略取誘拐罪」になる? 警察発表が広げた波紋

出典:令和4年3月9日 AERA

子どもを連れ去った親は「未成年者略取誘拐罪」になる? 警察発表が広げた波紋

筆者:上条まゆみ

「離婚話でもめていたある日、夫は5歳の子どもを自分の実家に無理やり連れて行ってしまいました。私が元夫の実家に行っても、ドアを開けてくれません。数カ月たった今も子どもに会えず、つらい思いをしています」

涙ながらに語るのは、神奈川県在住の長原映美さん(仮名・38歳)。

 夫の母親からの過干渉が原因で、夫婦仲が悪くなった。夫婦げんかになったある日、人格を否定されるような発言をされ、映美さんは思わず泣いてしまったという。そうすると、夫にいきなり警察を呼ばれた。夫は「妻は精神疾患で、今、暴れて子どもを殺そうとした」と、大うそをついた。

「それを信じた警察は、その場にいた夫の母親が私を羽交い締めにしている間に夫が車に子どもを乗せて出て行ってしまうのを、そのまま見ていました。私がどんなに『止めてください!』と言っても聞いてくれず、『数日して、あなたの気持ちが落ち着いたら帰ってくると言っているんだから、それを待ちましょう』と。私が『もし、夫と子どもが帰ってこなかったら、責任取ってくれますね?』と念を押したら、『大丈夫です』と言ったので、私はそれを信じたんです。でも、結局、夫も子どもも帰ってこなかった……」

 数日後、映美さんは警察を訪ねた。「帰ってこなかったら、責任を取ってくれる」と言ったからには、警察が夫を説得して、家に帰してくれると思ったからだ。

 映美さんが「夫も子どもも帰ってこない」と言うと、警察は驚いたようだった。そして、「あなたの夫の言葉を信じてしまったことは申し訳ない」としながらも、こう言った。

「民事不介入の原則があるので、残念ですが、あなたを助けることはできません」

 親子が同居している状態から、一方の親がもう1人の親の同意を得ずに子どもを連れて家を出ていく行為は後を絶たない。子どもや配偶者へのDVから逃れる緊急避難的な措置ではなく、映美さんのような夫婦げんかの延長で、そうした行為に及ぶ「子どもの連れ去り」は、ずっと問題視されてきた。連れ去られた親にしてみれば、子どもを誘拐されたような状態だが、警察は家庭内で起こった「民事」だとして積極的に動くことはない。

 一方、連れ去りの結果、別居している状態から子どもを「連れ戻す」行為は、刑法224条で規定される「未成年者略取誘拐罪」に当たるとされ、連れ戻そうとした親が警察に逮捕されることが多い。

 連れ去られた親は警察に訴えても何もしてくれないのに、子どもを連れ戻そうとすると逮捕される――こうした不条理な状況が常態化していたのだ。

 だが、ここにきてその状況が変わりつつある。

 2月4日、衆議院議員で、共同養育支援議員連盟の会長を務める柴山昌彦氏は、自身のツイッターでこう発信した。

<2月3日の共同養育支援議員連盟総会で政府と協議。片親による子の連れ去りについて警察庁はこれまで「法に基づき処理」一辺倒だったが、昨日ようやく、同居からの連れ去りか別居からの連れ戻しかを問わず、正当な理由がない限り未成年者略取誘拐罪にあたると明言。これを現場に徹底するとした>

 このツイートの重大なポイントは、警察庁が「同居からの連れ去りか別居からの連れ戻しかを問わず」「未成年者略取誘拐罪にあたると明言」したところにある。

 前述のように、これまで警察は、子どもの連れ去りについては「民事不介入」として、被害者の訴えを退けてきた。それが、柴山氏のツイートによれば、警察は今後、連れ去りであっても未成年者略取誘拐罪として扱う、というのだ。

 柴山氏のツイートに対しては、SNS上でもさまざまな意見が飛び交った。

 映美さんのように、配偶者に子どもを連れ去られた立場の人たちからは「連れ去りに対する大きな抑止力になる」と期待の声が上がった。

 逆に「これが現実になると、DVをされて子どもを連れて逃げた母親が罪に問われてしまう」という否定的な意見も少なくない。

 これに対し、柴山氏は次のように話す。

「DVについては『正当な理由』に当たりますので、DVをされて逃げた人が罪に問われることはありません。問題は、正当な理由がなく子どもを連れ去った人でも、それが罪に問われないばかりか、『監護の継続性』の原則によって連れ去りが正当化され、親権を獲得できてしまうということです」

 たとえば、映美さんのケースでも、子どもを連れ去られたままの状態で離婚になれば、子どもの親権はかなりの確率で連れ去った父親に渡るだろう。両親が親権を争う場合、家庭裁判所はその時点で子どもが居住している環境に特段問題がないと判断すれば、同居親に親権を認めることが多いからだ。これが「監護の継続性」と呼ばれ、親権を取るには子どもを連れ去ってでも同居すべきだと指南する弁護士もいたほどだ。

 これまでは、子どもを連れて家を出ていくのは圧倒的に母親が多く、世間の声もそれを前提としている。夫の暴力から命からがら逃げる母子は、たしかに法律で守られなければならない。しかし、目に入りやすい景色だけを見ていては、そこからこぼれ落ちた人の被害を見過ごすことになる。映美さんのように、母親であっても夫に子どもを連れ去られるケースも決して少なくないのだ。

「少なくとも、子連れ別居をしたら1カ月以内に調停の申し立てを義務づけ、保全処分などで急場の対応をしながら面会交流を進めるなど、親子が引き離されている状態を継続させないようにすべきです」(柴山氏)

 柴山氏が言うように、警察はこれから運用を改めるのだろうか。警察庁刑事局に「子どもの連れ去り」「連れ戻し」に対する見解と現場への周知について質問状を出すと、文書でこう回答した。

「子の連れ去り、連れ戻しについて、刑罰法令に触れるものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処していきます」

「警察活動に資する情報等の都道府県警察への周知については、必要に応じ適宜適切に行っています」

 映美さんは淡い期待を込めてこう話す。

「もしかして、今、改めて訴えれば、警察は守ってくれるのでしょうか」

 子どもの連れ去りについて、警察は本腰を入れるのか。今後も注目したい。(上條まゆみ)

離婚が子どもに与える影響「親と子どもで違う喪失感」

出典:令和4年2月15日 CHANTO WEB

離婚が子どもに与える影響「親と子どもで違う喪失感」

3組に1組が離婚する時代。親の離婚を経験する子どもも少なくありません。親の離婚が子どもの心理に及ぼす影響について、臨床心理学者・野口康彦さんにお話を伺いました。

離婚よりも両親の不和がダメージは大きい

── 離婚したいと思っても、子どもへの影響を気にして踏みとどまる人は多いように思います。実際、親の離婚は子どもにどのような影響があるのでしょうか。

野口さん:
子どもにとって、両親の離婚はけっして不幸なできごとではありません。

インタビュー調査のなかで、ある青年が、「親が離婚して、うちは不和家庭じゃなくなった」と話してくれたことがあります。

子どもにとって、両親の紛争や葛藤といった不和状態は、大きなストレスになります。とくに思春期に両親の不和を目の当たりにすると、結婚に対するポジティブなイメージを持てなくなってしまうこともある。

親の離婚によって不和家庭から解放され、子どものストレスが軽減されるケースも多いんです。

離婚直後の子どものメンタル

── 離婚後に子どもと同居する親が、心がけるべきことはありますか。

野口さん:
離婚における親の体験と子の体験は違うということを忘れないでほしいです。たとえば、母親にとって元夫は離婚によって断ち切りたい相手かもしれませんが、子どもにとって父親は、離れていても愛着のある存在であり続ける場合があります。父親だけでなく、父方の祖父母との別れや、転居や転校による友達との別れも、子どもにとっては大きな喪失体験になります。

大人は新しい出会いを求めたり、ときにはうさばらしをすることもできますが、子どもはその喪失感を抱え込んでしまうことが多い。

また、住む家が狭くなったり、母親が仕事を始めたりと、環境も大きく変わりますから、離婚後に同居する親子は、関係の再構築をすることになります。

年齢にもよりますが、しっかりした子ほど、親の苦労を引き受けてしまう傾向がありますね。

ひとり親の子育てで大事なこと

── 離婚後子どもと暮らすのは、多くの場合、母親というのが実情です。母親は、子どもの父親と交流を持ち続けたほうがいいのでしょうか。

野口さん:
基本的には交流を持ったほうがいいと思います。

面会交流は養育費とセットになっているケースが多いこともあり、別れた父親と面会交流ができるような関係であるほうが、子どもにとっては望ましいといえますね。

DVなどが原因で離婚した元夫とどうしたら会わずに済むかと悩んでいる人も多いので、そうした場合はもちろん例外です。

── 離婚後も、子育ての面ではパートナーとして協力している人が増えている印象があります。

野口さん:
離婚する前から積極的に子育てに関わってきた父親が増えたことも理由のひとつでしょう。家庭裁判所の発表によれば、父親からの面会交流親権を求める相談は、2005年から2019年の十数年で3倍になっています。

とくに子どもの年齢が低いほど、その傾向が強いようです。

ただ、日本の民法は単独親権を定めているので、共同養育の責務はありません。

── ひとり親への支援制度も増えてきていますね。

野口さん:
ひとり親の子育てで、何よりたいせつなのは親がラクになることなんです。ツラいのに「だいじょうぶだよ」と言っても、子どもには伝わってしまいますから。

親自身が、経済的にも精神的にも支援してもらえて、楽しく過ごしていれば、子どもは安心して過ごせます。だからこそ、親へのサポートシステムは必要不可欠だと考えています。

たとえば兵庫県明石市では、離婚届を提出した人には、離婚後の生活相談に乗るシステムがあるそうですが、興味深い試みですね。このあたりはやはり行政が主導しないとなかなか変わらないのではないでしょうか。

PROFILE 野口康彦さん
茨城大学 人文社会学部 人間文化学科教授。スクールカウンセラーとしての実績を生かして、親の離婚・再婚を経験した子どもの心理を研究している。著書に『家族の心理 新しい家族のかたち』(共著、金剛出版)ほか。

「子どもの連れ去りは未成年者略取罪」 警察庁が明言、共同養育支援議連で 警察の現場対応、円滑化に期待

出典:令和4年2月5日 SAKISIRU

「子どもの連れ去りは未成年者略取罪」 警察庁が明言、共同養育支援議連で 警察の現場対応、円滑化に期待

牧野 佐千子 ジャーナリスト

親の離婚後の子どもの養育に関する問題の解消に取り組む超党派の共同養育支援議員連盟(柴山昌彦会長、三谷英弘事務局長)の総会が3日、東京・永田町の衆議院第2議員会館で開かれ、20名以上の議員が参加した。法務省、警察庁、最高裁、内閣府、厚労省、総務省、文科省、外務省の担当者が出席し、各省庁での取り組みを報告した。(これまでの議連については、アゴラ拙稿「共同養育・共同親権に向けて、超党派で動きが活発に」参照)

総会は非公開で行われたが、柴山会長は終了後、報道陣への説明で、「一方の親の子どもの連れ去りについて、これまで『法に基づき処理』の一辺倒だった警察庁が『正当な理由のない限り未成年者略取罪に当たる』と明言し、それを現場に徹底すると答えた」と会の成果を語った。

「連れ去り」現場の警察官が対応しやすく

日本は両親の離婚の際に、子どもの親権がどちらか一方の親のみに決められる単独親権制で、親権の獲得を有利に進めようと、一方の親の同意なく子どもを連れ去り別居する行為が横行している。これまでは、こうした「連れ去り」の行為については、刑法で有罪とした例は公刊物の中では見当たらないと最高裁は回答していた。ところが、連れ去られた側の親が連れ去られた子どもを「連れ戻す」場合には未成年者略取罪として逮捕される例も多く、アンバランスな状態が続いてきた。

「連れ去り」行為には、子どもも知らない第三者が介入して、まさに誘拐のように突然連れ去られる例などもあり問題となっているが、現場の警察署員もこれまでに判例もなく、「助けたくても手が出せない状況もあった」という声も届いていた。

しかし今回、警察庁が「未成年者略取罪に当たる」と踏み込んだことで、「連れ去り」に対する現場での警察の対応がしやすくなり、抑止力が働くようになるのではと期待が寄せられる。

(柴山氏のTwitterでも議連の報告がされている↓)

2月3日の共同養育支援議員連盟総会で政府と協議。片親による子の連れ去りについて警察庁はこれまで「法に基づき処理」一辺倒だったが、昨日ようやく、同居からの連れ去りか別居からの連れ戻しかを問わず、正当な理由がない限り未成年者略取誘拐罪にあたると明言。これを現場に徹底するとした。(続く)

日仏当局の協議も開催へ

議連ではほかにも、DV防止法の改正に伴い、「精神的DVの要件を明確にする必要がある」ことと「加害者とされた者の手続きの保障の必要性」の確認が度々なされたという。これについては、親子の面会交流を実現する全国ネットワーク(親子ネット)が、子どもを連れ去り、長期に及び子どもと引き離す行為も「精神的DV」と定義することを要望している。

また、子どもの連れ去り問題の日本政府の対応はEUからの非難決議など、国際社会からも批判を受けてきた。

(関連アゴラ拙稿「EUが日本非難!『子ども連れ去り』を止める法改正を」

先般、フランスの大使館員の子どもが「連れ去り」にあったことや、マクロン大統領からの要望があったことを踏まえ、外務省は近日中に日仏当局間で協議することになったと明かした。

法務省の法制審議会の家族法制部会(関連拙稿:「共同親権」導入も議論:離婚後の養育をめぐる課題解消に向け、上川法相が法制審に諮問)の会議が11回目まで終了しているが、同省の担当者は、次回から2巡目の検討に入り、今年中に中間とりまとめを行い、その後最終答申に入るといったスケジュールを表明したという。柴山会長は「意欲を示してもらったのは前進だと思う」と述べた。

柴山会長は、議連の働きかけに手ごたえを感じている様子で、「議連として今後、申し入れなど積極的に行っていく」と意欲を示していた。

ミツカン父子引き離し事件、「子どもを連れ去った者勝ち」の日本は、子供の権利条約違反だ

出典:令和4年1月15日 SAKISIRU

ミツカン父子引き離し事件、「子どもを連れ去った者勝ち」の日本は、子供の権利条約違反だ

牧野千佐子 ジャーナリスト

ミツカン創業家の「娘婿」中埜大輔さんが、「ミツカン社とその創業家によって、組織ぐるみで生まれたばかりの長男と引き離されたことは、国際法違反の児童虐待である」として、同社の会長・副会長夫妻を相手に損害賠償請求訴訟を起こしている。13日には東京地裁でその第1回口頭弁論が開かれ、その後大輔さん(被告との混乱防止のため以下「大輔さん」)と代理人の河合弘之弁護士が記者会見を行った。

親子引き離し」信じがたい“手口”

訴状などによると、ミツカングループは日本のほか、アメリカイギリスなど世界各地に支店や生産拠点をもつ大企業。江戸後期の1804年、初代中野又左衛門が創業して以来、中埜一族の「一子相伝」による支配的な経営がなされている。

同社の株式や同家の財産は、その「一子相伝」の中埜家の当主と次代の当主が保有しており、中埜家の当主が代々、ミツカンの代表者となってきた。そして、中埜家による経営・支配を次代以降の血族に引き継いでいくことを”至上命題” としているという。
大輔さんとミツカンの跡取りである妻・Sさん(会長・副会長夫妻の娘)は、2012年に知人を介して知り合い、2013年5月に婚姻届けを提出。大輔さんは外資系金融機関の仕事をしていたが、Sさんが跡取りであることから、“婿入り婚” をして、ミツカンに入社した。2014年6月には、大輔さんは長男を妊娠中のSさんと渡英、ミツカン英国支店での勤務となった。

同年、Sさんは無事に長男を出産。ところが生後4日、ロンドンに来た会長・副会長夫妻は、大輔さんの目の前に養子縁組の書類を広げ、産まれたばかりの長男を夫妻の養子にするよう迫ってきたという。大輔さんは「まだ(赤ちゃんの)名前も決まっていないのに、一晩考えさせてください」と答えた。それが夫妻の逆鱗に触れたのだという。

その時は、会長夫妻は大輔さんに対し、「養子縁組は税金対策のためであって、親子を引き離すための書類ではない」と言っていたが、裏ではその前から弁護士らと「親権を奪え」と合議していたのだという(録音データあり)。「子どもをだまし取ろうとしていたのが明らか」と大輔さんは憤る。

そこから大輔さんは、当時のロンドンの自宅から追い出され、大阪に配転させられるなど、社内の人事権も使った異常なまでの嫌がらせによって、親子・夫婦関係をともに引き裂かれた。会見では「息子と生き別れて3年、どこにいるのか、生きているかどうかもわからない」と明かした。

単独親権制の日本と共同親権制の英国

日本は、1994年に「子どもの権利条約」を批准しており、その第9条には「親と引き離されない権利」として、 子どもには、親と引き離されない権利があり、子どもにとって良い状況の場合は引き離されることも認められるものの、その場合は、親と会ったり連絡したりすることができると明記されている。

2017年、大輔さんは日本の家庭裁判所に、イギリスにいる息子との面会交流を申し立てたが、「半年に1回1時間、第三者の監視付きで」会うことができるとの判断が下された。単独親権制の日本の家庭裁判所では、非親権者である別居親の子供との面会は「月1回、3~4時間程度」が相場である。

離婚しても両親ともに子供の親権が持てる共同親権制のイギリスでも、同じ条件で裁判所に面会交流の申し立てを行った。すると、日本とイギリスの距離も考慮され「年に7回以上、宿泊を伴って会うことができる。テレビ電話を使って交流ができる。子供の学校のイベントなどにも参加できる」といった判断が下された。担当したイギリスの弁護士は、「もし仮に(大輔さんが)イギリスに移住すれば、隔週で週末に会える。バカンスの半分は一緒に過ごせる。子どもにとって両親はともに大事な存在だからです」と話していたという。

大輔さんは、「日本は子どもの権利を粗末にしている状況であると言わざるを得ない。先に連れ去った側が子どもを人質のように扱い、裁判などで交渉の材料に使うような状況。我が国は子どもの権利条約を守っていない状況であると言わざるを得ない」と嘆く。

イギリスでは、この「ミツカン父子引き離し事件」について大手タイムズ紙が報道するなどしており、フランス人の夫との間の子供を連れ去った日本人母にフランス当局が逮捕状が出した事件と同様(詳しくはこちら)、「子供の連れ去り」問題に対策を講じない日本に対して厳しい視線が注がれている。

大輔さんの裁判では、被告である会長・副会長側は「子供の引き離しは故意ではない。配転は正当な人事権の行使である」と主張している。

ミツカンの公式サイトには、初代又左衛門の「八か条の言置(いいおき)」が掲示されている。「夫婦は仲睦まじくせよ」「他人や召使いには無慈悲なことはけっしてしてはならぬ」…。初代又左衛門は、現・会長、副会長による夫婦・親子引き離しの所業を見れば、果たしてどう思うだろうか。

ミツカン社に聞いてみた

当事件についてミツカン社の担当窓口に聞いてみた。以下、一問一答。

Q:中野大輔さんの父子引き離しについて、社内ではどの程度共有されているのでしょう?また社としての見解はいかがでしょう?
A:その件につきましては、こちらからお答えすることはありません。

Q:ミツカンはポン酢など、「家族団らん」のイメージで売り出している商品が多いので、「親子引き離し」のイメージはまずいのでは?社内で(ブランドイメージの)対策はされていますか?
A:こちらからお答えすることはありません。

Q:係争中の案件だからということですよね。
A:そうですね。ただ、こういったご意見があったということにつきましては社内で共有させていただきます。

Q:お互いにとって良い結果になるように望んでいますので、頑張ってください、と言ったらおかしいですけど、頑張ってください。
A:ありがとうございます。

文字にしてしまうと冷たい対応にとられてしまうかもしれないが、とてもゆっくりと丁寧に答える担当者の口調に、言外の思いが滲んでいた気がした。

共同親権 日本に圧力 子連れ去り 外交問題化

出典:令和3年12月16日 読売新聞

記事PDF

 日本人との国際結婚などの破綻に伴い、子どもを不当に連れ去られたと訴える外国人が後を絶たない。子どもを一方の親に会わせない状態は、欧米主要国などで犯罪行為とみなされる。日本に法改正を求める外交問題にも発展している。(国際部 佐藤友紀)

※以下、記事参照

仏当局、日本人女性に逮捕状 フランス人の夫が「子供の連れ去り」訴え

出典:令和3年12月1日 BBC

仏当局、日本人女性に逮捕状 フランス人の夫が「子供の連れ去り」訴え

フランスの司法当局は、子供2人をフランス人の父親から引き離したとされる日本人の妻に対し、親による誘拐などの容疑で国際逮捕状を発行した。AFP通信が30日に報じた。

この事案は、結婚生活が破綻した場合の共同親権という概念がない日本において、「親による誘拐」をめぐる議論を再燃させた。

フランス人のヴァンサン・フィショ氏は、日本人の妻が3年前に2人の子供を連れて東京の自宅から姿を消して以来、子供に会えていないと訴えている。

フィショ氏は今年夏に東京オリンピックが開催される中、3週間のハンガーストライキを行い国際的注目を集めた。

日本の法律には、結婚生活が破綻した場合に夫婦が親権を共有することについての規定がない。

日本の当局は、一方の親が、もう一方の親と子供の接触を妨害しても見て見ぬふりしていると批判されている。人権団体の推計によると、日本では毎年約15万人の18歳未満の子供たちが親と強制的に引き離されているという。

フランス当局の逮捕状は、フィショ氏の妻が未成年者を危険にさらしたともしている。

フィショ氏の妻の弁護人はAFP通信に対し、「離婚手続きが進行中であり、法廷外で争うつもりはない」と述べた。

(英語記事 France issues warrant over Japan 'parental kidnap'

仏・日本人妻に逮捕状「子供連れ去った疑い」

出典:令和3年12月1日 TBSNEWS

仏・日本人妻に逮捕状「子供連れ去った疑い」

 フランス・パリの裁判所は、フランス人男性との結婚生活が破綻した日本人の妻が子供2人を男性に会わせないのは未成年者略取の疑いがあるとして、妻の逮捕状を出しました。

 東京に住むフランス人ヴァンサン・フィショさんは、日本人の妻との結婚生活が破綻し、妻が息子と娘を連れ去ったため、子供と3年以上会えていないと訴えています。フィショさんはおととし告訴、パリの裁判所は11月30日までに、未成年者略取容疑などで妻の逮捕状を出しました。2人は現在、日本で離婚手続き中だということです。

ヴァンサン・フィショさん
 「未成年者略取容疑で逮捕状が出ている母親に、裁判官が親権を与えるようなことがあれば、おかしいと思います」

 一方、妻の弁護士はAFP通信の取材に対し、「法廷外で争うつもりはない」と話したということです。

仏当局が日本人女性に逮捕状 フランス人の夫が子の「連れ去り」訴え

出典:令和3年12月1日 朝日新聞DIGITL

仏当局が日本人女性に逮捕状 フランス人の夫が子の「連れ去り」訴え
記事PDF

 フランス人の夫に子どもを会わせていないとして、フランスの司法当局が妻の日本人女性に対し、子どもを連れ去った疑いがあるなどとして逮捕状を出したことがわかった。30日、AFP通信が報じた。

 同通信によると、夫は日本に暮らすバンサン・フィショさん(39)で、2019年に仏当局に告訴していた。この夏には、東京五輪が開催されるのにあわせ、3週間のハンガーストライキを決行。6歳と4歳の子どもへの面会を求めている。逮捕状の発行で、女性がフランスに入国すれば、逮捕される恐れがある。

 AFP通信によると、フィショさんは女性が日本で逮捕されることを望んでいるわけではなく、日本の裁判所の離婚手続きで親権を決める際、逮捕状が妻に出ていることを考慮してもらうことを期待しているという。

 離婚後の子どもの養育をめぐっては、欧米では父母の双方が親権を持つ「共同親権」が主流だが、日本で父母のどちらかしか親権を持てない「単独親権」だ。国際結婚が破綻(はたん)して子どもを日本に連れ帰ることで、子どもを連れ去ったとして犯罪とみなされるケースも起きている。(パリ=疋田多揚)

仏裁判所が日本人女性に逮捕状…国際結婚が破綻、子供の面会許さない「連れ去り」容疑

出典:令和3年11月30日 読売新聞

仏裁判所が日本人女性に逮捕状…国際結婚が破綻、子供の面会許さない「連れ去り」容疑

  【パリ=山田真也】AFP通信は30日、フランスの裁判所が、日本に住んでいる仏男性と日本人の妻との結婚生活が破綻した後、妻が子供2人を連れ去って男性に面会させないのは略取容疑などにあたるとして、逮捕状を出したと報じた。

 仏男性は子供と会えない状況が続いているといい、2019年にフランスで刑事告訴していた。両親は離婚に向けた手続きを進めているという。

 日本では、父母双方が離婚後に親権を持つ「共同親権」が認められていない。日本人が国際結婚の破綻に伴い、相手の子供との面会を拒否することが、欧米などでは「連れ去り」として問題視されるケースがある。

日本人女性に逮捕状 「子連れ去り」容疑―仏

出典:令和3年11月30日 時事通信

日本人女性に逮捕状 「子連れ去り」容疑―仏

 【パリ時事】フランスの司法当局は、日本に住むフランス人のバンサン・フィショさん(39)の妻が、夫婦関係破綻後に子供を連れ去ってフィショさんに会わせないのは未成年略取容疑などに当たるとして、日本人の妻に逮捕状を出した。AFP通信が30日、報じた。
 AFPによると、フィショさんは息子(6)と娘(4)と3年以上会っておらず、連絡も取れない状況だという。フィショさんは2019年、パリで刑事告訴。20年末に捜査が開始された。
 妻の弁護士はAFPに対し、「離婚手続きが進行中であり、法廷外で争うつもりはない」と説明。逮捕状に関するコメントは避けた。

仏当局、日本女性に逮捕状 両国籍の子連れ去り容疑

出典:令和3年11月30日 東京新聞

仏当局、日本女性に逮捕状 両国籍の子連れ去り容疑」
記事PDF

 パリの裁判所は30日までに、東京在住のフランス人男性(39)と日本人の妻の結婚生活破綻後、妻が子どもたちを連れ去って男性に会わせないのは略取容疑などに当たるとして、妻の逮捕状を出した。関係者が明らかにした。日本人の片方の親が子を連れ去り、欧州連合(EU)市民の親に会わせないケースの多発は日欧間の主要外交問題だが、逮捕状発付は異例。

 事件は男性が2019年に告訴。連れ去られた長男(6)と長女(4)は日仏両国籍を持つため、フランス当局に捜査権限があるという。男性は警視庁にも立件するよう求めたが、妻が子どもを連れて別居するのは普通のことだとして退けられた。

仏当局、日本女性に逮捕状 両国籍の子連れ去り容疑

出典:令和3年11月30日 共同通信

仏当局、日本女性に逮捕状 両国籍の子連れ去り容疑」

 パリの裁判所は30日までに、東京在住のフランス人男性(39)と日本人の妻の結婚生活破綻後、妻が子どもたちを連れ去って男性に会わせないのは略取容疑などに当たるとして、妻の逮捕状を出した。関係者が明らかにした。日本人の片方の親が子を連れ去り、欧州連合(EU)市民の親に会わせないケースの多発は日欧間の主要外交問題だが、逮捕状発付は異例。

 事件は男性が2019年に告訴。連れ去られた長男(6)と長女(4)は日仏両国籍を持つため、フランス当局に捜査権限があるという。男性は警視庁にも立件するよう求めたが、妻が子どもを連れて別居するのは普通のことだとして退けられた。

「子供とって最適な形で」日本でも“共同親権”導入の是非検討…単独親権との違いと課題

出典:令和3年11月9日 FNNプライムオンライン

「子供とって最適な形で」日本でも“共同親権”導入の是非検討…単独親権との違いと課題

現在日本においても導入の是非が検討されている共同親権。

それは「子に対する親権を父母の双方が持っていること」又は「父母が共同し、合意に基づいて子に対し親権を行うこと」を指します。

一方、現在の日本で認められている単独親権は、離婚の際に父母のどちらかに親権を与える制度(民法819条1項)です。

日本の民法は時代の波に対応できていない

すでに共同親権制度は先進国のほとんどで採用されていますが、日本では、今のところ、離婚すると単独親権の一択しかなく、熾烈な親権争いが繰り広げられる原因となっています。

現在の民法はそもそも1896年(明治29年)に制定されたものであり、何度か改正はされたものの、いまだ女性が家事や育児をやるのは当然だという旧態依然の男女の役割分担の意識が強く反映されたままです。

つまり、少子化や共働き世帯の増加、父親の育児参加などの子供を取り巻く状況の変化や時代の波に対応しきれていないのです。

いまや、時代の風潮にあった法律の改正が必要であることは明らかであり、その大きな議題として、共同親権制度への移行が議論されているのです。

世界で認められている「共同親権制度」とは

ここで、共同親権について世界の情勢を見てみましょう。

法務省の調査によると、日本以外ではインド及びトルコが単独親権制度を採用していますが、その他多くの先進国は離婚後の共同親権も認めています。つまり先進国では、単独親権制度を採用しているのは日本くらいなのです。

運用は国ごとに差異があるものの、裁判所の判断等がない限り、原則として共同親権とする国(ドイツオーストラリア等)、父母の協議により単独親権とすることもできる国(カナダのブリティッシュコロンビア州、スペイン等)、父母のいずれもがそれぞれの親権を単独で行使できる国(イギリスのイングランド及びウェールズ、南アフリカ等)があります。

日本で繰り広げられる離婚時の「親権」をめぐる大変さ

単独親権を採用する日本では、夫と妻がともに親権を希望した場合は容易ではない道のりが待っています。

まず、日本では離婚時には必ず子供の親権を父母のどちらかに決めないと離婚することができません。したがって、父と母がともに親権を希望すると、“親権争い”をしなければなりません。

父母間の協議で話がつかない場合、裁判所に調停を申し立てることになりますが、調停も所詮は話し合いの場です。決着がつかない場合には、最終的に離婚訴訟までもつれこむことになります。お互いに相手が「親権者にふさわしくない」と言った激しい攻撃や相手からの攻撃に対する防御を繰り返した挙句、裁判所の判決により親権者が指定されることになります。

家庭裁判所の調査官が子供の養育環境を調査するため家庭訪問をしたり、関係各所に話を聞いたり、子供の意向を確認したりすることも必要となってきます。本格的に争った場合、1年以上の時間がかかることも珍しいことではありません。もちろん、弁護士を依頼した場合は少なからず弁護士費用もかかることになります。

また、判決が出て親権者がどちらかに決まったとしても、すべてがうまくいくわけではありません。訴訟で攻撃や防御を繰り返したことで、父母間の感情的な対立は非常に悪化しています。

親権を取った側は、子供の親権を争った相手には子供と面会交流させたくないと思いがちですし、子供と面会交流をさせてもらえない相手は、養育費なんて支払いたくないと思うことが多いです。

つまり、どちらが勝っても負けても、面会交流を実施してもらえなかったり、養育費を支払ってもらえないなど、お互いに禍根を残すことになってしまうのです。加えて、板挟みになった子供にも大きな精神的な負担がかかることは言うまでもありません。

共同親権の課題

2011年(平成23年)に民法が改正された際に、「親権は子供の利益のためのもの」であることが確認されました。

日本の法律で共同親権が採用された場合は、非親権者が子供の個人情報すら教えてもらえないといった現在の状況は大幅に改善されるでしょうし、父母ともに子供に対する責任感が生じてきやすいと思われます。

ただ、共同親権にも課題がないわけではありません。

おおよそ次の問題があるとされています。

1つ目は子供の教育方針です。父母の対立は根本的に緩和されず残存しています。そもそも離婚するくらいですからお互い相入れない意見を持っている可能性が高いため、子供をめぐる意思決定に時間がかかると思われます。特に、子供の教育方針について意見が対立した場合など、意思決定が遅れることで子供への悪影響も懸念されます。

2つ目はDVや児童虐待です。DVや児童虐待等の問題があった配偶者の場合、共同親権では離婚しても縁が切れず、関係が継続することになります。DVや児童虐待の問題の解決は難しく、共同親権制度を採用することで被害の継続・拡大が危惧されます。

3つ目は負担が子供にもかかることです。父母の共同親権のもと、子供が頻繁に父母の家を行き来するようになると、子供の負担が大きくなります。子供が父母の家のどちらが自分の家かわからなくなり、精神的な安心感を得られなくなることもあるでしょう。また父母間の家の移動に時間がかかるなど、子供の時間を奪うことにもなり、体力的にも精神的にも疲弊することが懸念されます。

今後、こうした課題を解決するためには、「子供の利益」という観点から、個別具体的に対応策を議論すべきだと思われます。共同親権を導入するか否かという法改正の是非のみならず、共同親権を採用したとして、どのように運営していくのかを行政機関の対応も含めて慎重に議論する必要があるでしょう。

2021年(令和3年)2月には上川陽子法相(当時)が法制審議会に諮問をしており、「共同親権を含む家族法制の見直し」については法制審が議論を開始しています。

日本で共同親権制度を導入するのか、導入するとしてどのような形で施行するのかについては、日本の家族制度のあり方自体を大きく変えることになります。共同親権制度を採用するのであれば、子供とって最適な形で実施することが望まれます。

特に、離婚原因がDVや児童虐待などであった場合は、被害を受けていた側は二度と接点を持ちたくないと考えるのは当然のことです。離婚後も積極的に自分の子供に関わっていきたいと「共同親権」を望む声もありますが、今後日本において共同親権制度を導入する際には、共同親権者として明らかにふさわしくないと客観的に判断されるような親については例外規定を設けることも慎重に検討する必要があるものと考えます。

後藤千絵
京都生まれ。大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に入社するも、5年で退職。大手予備校での講師職を経て、30歳を過ぎてから法律の道に進むことを決意。派遣社員やアルバイトなどさまざまな職業に就きながら勉強を続け、2008年に弁護士になる。荒木法律事務所を経て、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所設立。離婚・DV・慰謝料・財産分与・親権・養育費・面会交流・相続問題など、家族の事案をもっとも得意とする。なかでも、離婚は女性を中心に、年間300件、のべ3,000人の相談に乗っている。

フェリーチェ法律事務所:https://felice-houritsu.jp/

DV不認定、面会指示も息子に会えず 小牧の男性「元妻が制度悪用」

出典:令和3年11月4日 中日新聞

DV不認定、面会指示も息子に会えず 小牧の男性「元妻が制度悪用」
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 ドメスティックバイオレンス(DV)被害者からの申請に基づき、元配偶者らへの住民票の写し交付などを自治体が制限できる「支援措置」。加害者が被害者を捜すのを防ぐ目的だが、裁判でDVが否定されても措置は解除されない。愛知県小牧市の自営業の男性(53)は、実の息子と十五年以上も会えておらず「制度が悪用されたらどうすることもできないのはおかしい」と訴える。 (水谷元海)
 男性は二〇〇五年、職場で知り合った元妻と結婚した。しかし元妻は翌年、一歳になったばかりの息子を連れて突然姿を消し、間もなく、弁護士を通じて調停を申し立てた。理由には身に覚えのない「暴力」とあった。
 息子の居場所を探ろうと、半年ほどしてから市役所に住民票の写しの交付を求めたが拒否された。「支援措置」で、住民基本台帳の閲覧が制限されていた。元妻が転居先の自治体に申請し、小牧市も情報共有して対応したとみられる。
 〇九年、元妻が離婚を求めて裁判を起こしたが、判決は「被告(男性)に身体的暴力などの有責行為は認められない」と訴えを棄却。さらに、元妻の側に不貞行為を認め、元妻が慰謝料を払う形で一九年に離婚が成立した。
 
続きは記事を参照ください。

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離婚後の「単独親権」規定 2審も憲法違反認めず 東京高裁

出典:令和3年10月28日 NHK

離婚後の「単独親権」規定 2審も憲法違反認めず 東京高裁

裁判で離婚が成立する際に、裁判所が父親か母親の一方を子どもの親権者と決める民法の規定が憲法違反かどうかが争われた裁判で、東京高等裁判所は憲法違反にはあたらないと判断し、親権を持てなかった父親の訴えを退けました。

離婚後に2人の子どもの親権を失った都内の50代の男性は、裁判で離婚が成立した場合に裁判所が父親か母親のどちらか一方を親権者と決める民法の「単独親権」の規定は法の下の平等などを定めた憲法に違反するとして国を訴えました。

28日の2審の判決で、東京高等裁判所の石井浩裁判長は、「規定は、子どもの世話や教育について適切に決められない事態を避けるために、裁判所がふさわしい方を親権者に指定するもので、子どもの利益を守るという立法目的から考えても合理的だ」と指摘しました。

そのうえで、「離婚後も両方の親が親権を持つ『共同親権』を認めるかどうかは国会の裁量に委ねる段階にとどまっていると言わざるを得ない」と述べ、いまの規定は憲法違反にはあたらないと判断し、1審に続いて男性の訴えを退けました。

親権のあり方など離婚後の子どもの養育をめぐっては法制審議会で法制度に関する議論が行われています。

米前駐日大使、日本の人質司法を批判 「ケリー被告を守る必要」

出典:令和3年10月21日 毎日新聞

米前駐日大使、日本の人質司法を批判 「ケリー被告を守る必要」

 米国のハガティ上院議員(前駐日大使)が20日の上院外交委員会の公聴会で、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)に問われている日産自動車元代表取締役のグレッグ・ケリー被告について「弁護人は無罪を確信している。不当な扱いを受けるケリー氏を守る必要がある。懸念は日本の閣僚レベルにも伝えてきた」と訴える一幕があった。
 ハガティ氏は、次期駐日大使に指名されたエマニュエル前シカゴ市長の公聴会で、刑事事件の容疑者や被告が長期間拘束されやすい日本の司法制度が「人質司法とも呼ばれ、時代遅れだ」と批判。日産前会長のカルロス・ゴーン被告が主導したとされる役員報酬の虚偽記載についても「仏ルノーとの統合への反対派によるクーデターだった」とのゴーン前会長側の主張を紹介し、「米国は日本への最大の投資国だ。米国の経営者たちが日本でのビジネスを再考し出すことを懸念している」と述べた。

 ケリー元代表取締役の事件への対応を求められたエマニュエル氏は「既に調べ始めている。大使として承認されれば、最優先事項にする」と述べた。ハガティ氏は南部テネシー州選出で、ケリー元代表取締役もテネシーに居住していたという。
 公聴会ではメネンデス外交委員長が、国境を越えた子の連れ去り防止を定めた「ハーグ条約」に関しても、日本の取り組みが不十分だと不満を表明した。エマニュエル氏は「条約は履行されるべきだ」と述べた。【ワシントン秋山信一】

共同親権「中部の会」100回目定例会を開催 名古屋

中日新聞名古屋本社から第100回定例会の取材を受け、10月13日(水)朝刊に掲載されました。
第100回定例会取材記事pdf

記事に関する意見、お子さまと交流出来ない現状、家族法制度の問題点など中日新聞までお寄せください。

メール送信先>
中日新聞社名古屋本社編集局 読者センター 宛
center@chunichi.co.jp

子を巡る裁判 親権・監護者 母親が9割 状況応じた判断課題

出典:令和3年10月13日 読売新聞

子を巡る裁判 親権・監護者 母親が9割 状況応じた判断課題

 夫婦が争った子を巡る裁判で、親権者・監護者を母親とする司法判断が大半を占めている。福岡市では育児に問題のなかった父親に対し、別居中の母親に子を引き渡すよう命じたケースもある。専門家は「裁判所には母親優先の考えが根強い」と指摘。社会状況の変化も踏まえ、法制審議会(法相の諮問機関)では親権のあり方などについて議論が進んでいる。

 司法統計によると、離婚時の家裁での調停や審判で2020年度、「親権者」を母親とした割合は93・8%。このうち、身の回りの世話や教育を行う「監護者」も母親としたのは99・8%にのぼる。00年度もそれぞれ89・9%、99・9%と、20年間にわたりほぼ同じ状況だ。

 かつては父親が外で働き、家事・育児を担う母親が子と長い時間を過ごすケースが多かったため、裁判所は離婚後も現状を変えないことが子の福祉にかなうと考え、母親寄りの判断を下してきた。ある元裁判官は「裁判所には『子は母に』の考え方が浸透していた」、別の元裁判官も「本来はケースに応じて判断するべきだが、そうではなかった恐れはある」と言う。

 厚生労働省によると育児に参加する父親は増えているとみられ、20年度の育児休業取得率は12・65%と過去最高になった。こうした中、法制審は今年3月から、離婚後の子の適切な養育を目的に、離婚制度の見直しなどを議論。法務省によるときっかけの一つは「親権者や監護者が母親に偏重している」との批判で、離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」の導入などが検討課題となっている。

 立命館大の二宮周平教授(家族法)は「男性の育児参加が一般的である現在、父親が養育に関わっている場合は、親権の有無や親の性別にとらわれず、家庭環境や子の希望などに配慮したうえで、子の福祉にかなった判断をすべきだ」と指摘する。

◇問題ない父でも引き渡し命令

 福岡市のケースでは、父親(38)が今年3月、一緒に暮らす娘(7)を母親に引き渡すよう命じられた。

 娘を巡っては父親は監護者指定を、母親は引き渡しを求めて昨年11月、福岡家裁に裁判を起こした。

 家裁の認定では、夫婦は事実婚だった2014年に娘が生まれ、親権は母親が持った。父親は不仲から16年に家を出た。娘は父親宅に泊まる日数が増え、19年8月から父娘で暮らした。娘が通った保育園職員は「父親は育児熱心だった」と話す。

 一方、母親は前夫との間に生まれた長男、長女と暮らし、娘との関係に問題はなかった。昨年8月の長男の事故死後に体調を崩し、無職に。生活保護を受給し、心療内科に通院している。

 家裁は「父親の監護状況に問題はない」と認定したうえで「母親は日常生活におおむね問題はなく、娘を引き渡しても子の福祉に反しない」と判断した。福岡高裁も今年7月、同様の判断で父親の即時抗告を棄却。現在は最高裁で争われている。

夫が子供を「連れ去り」 面会交流でしか我が子に会えない母親の「月1回4時間の子育て」

出典:令和3年10月8日 デイリー新潮

夫が子供を「連れ去り」 面会交流でしか我が子に会えない母親の「月1回4時間の子育て」

 ある日突然、妻や夫が子供を連れて家を出て行ってしまう「実子連れ去り」。一方の親だけが家から締め出される「追い出し」も多発している。引き裂かれた親子は、どのように親子関係を維持していくべきなのか。日常的に子供に接する機会を奪われ、月1回4時間しか会うことしか許されなくなった母親の話を聞いた。(ライター・上條まゆみ)

 ***

思わず熱く語ってしまう

「お母さん、人気ユーチューバーのエッセイが欲しいんだけど」
「じゃあ、本屋さんに行こうか」

 ある土曜日の昼下がり、佐藤佳寿子さん(仮名・46歳)は、長男(14歳)と次男(11歳)を車に乗せて、郊外の大型書店に向かった。聞いたことがないユーチューバーの本を探して、店内をウロウロと歩き回る長男。漫画本のコーナーに張り付く、まだ幼い次男。

「本、なかった、もういいや」
「え、ちゃんと探したの?」

 あっさりと諦めてしまう長男が不甲斐なくて、佳寿子さんは店内の検索機に連れていった。彼が欲しかった本は簡単に見つかった。

「何でもすぐに諦めたらいけないよ。欲しいって言ったら、空から降ってくるわけじゃないんだよ。欲しいものは、自分の手で掴み取らないと!」

 思わず熱く語ってしまう自分がいた。

義母との同居から始まった夫婦関係の破綻

 一見すると、ごく普通の親子にありがちな日常の一コマだ。だが、佳寿子さんと子供たちにとって特別な時間である。今日は月に1回だけ許された面会交流日。彼女は月にたった4時間しか、我が子に向き合うことができないのだ。

 夫婦関係の破綻は、義母との同居がきっかけだった。義母の意向を優先して家のことを何でも決めてしまう夫。しまいには、佳寿子さん抜きで大事なことが二人で決められてしまうようになってしまった。改善を求めても一向に直そうとしない夫に勘忍袋が切れた佳寿子さんは、8年前に家の近くにアパートを借り、子供を連れて家を出た。あくまで一時的な措置だった。佳寿子さんは離婚することになっても、夫と子供を引き裂く気などなかった。

 だが、2日後、夫は強引に子供たちを連れ戻してしまう。そして、それからはいくら頼んでも、子供に会わせてくれなくなったのだ。最終的には家庭裁判所に訴え出たが、5年後、家裁が認めたのは、月1回、たった4時間の面会交流のみ。理不尽な状況に納得できていないが、現時点で佳寿子さんになす術はない。

親としてどうしても伝えたいこと

「わずかな時間の中で、母親として何を伝えられるかをいつも考えています」

 子供たちと会う日は、ファミリーレストランで食事をしながら話をしたり、一緒に買い物をしたりと、ありきたりな時間を過ごす。だが、その中で、佳寿子さんは意識して、生きていく上で大切だと思うことを真剣に語りかける時間を設けている。書店での一コマは、自分の力で人生を切り開いていってほしいという佳寿子さんの思いが溢れ出たシーンだった。

 長男が14歳になったときはこう諭した。「これからは悪いことをしたら刑事責任能力があると見なされ、処罰されるのよ。そういう年齢になったのよ。だから、自分の行動に責任をもつように」。

 コロナ禍で、長男の部活動の大会が軒並み中止となり、先輩が部活を辞めてしまったという話を聞いたときは、「たぶん来年も同じような状況だろうね。そのとき君はどんな選択をする? 自分がどんな気持ちで、どんな目的で部活を始めたのかよく考えてごらん」と、継続することの大切さを伝えた。

「学校に好きな子いるの? という話から、LGBTについて話し合ったこともあります。君が誰を好きになっても堂々とママのところに連れてきなさい、と言いました」

 次第に制限された子育てならではのメリットも感じられるようになってきた。一緒に暮らしていたら、互いに照れ臭かったり、反抗期で反発されたりして話しにくいようなことも、特別な時間だからこそ話しやすくなる。子供たちも素直に聞いてくれている。

子供に誇れる生き方をしたい

 母親として子供に誇れる生き方がしたいとも思い始めた。

「調停や裁判の情報を集めるためにネットで検索するうち、こんな理不尽な経験をしているのは私だけじゃないんだと知りました。そして、一方の親に子供を連れ去られたり、自分が家から追い出されたりして子供に会えなくなる背景には、法律やその運用の問題があることにも気づいた。そして、それは親が子供に会えなくて悲しいという以前に、子供の権利を損ねていることにも思い至りました」

 子供は、双方の親に愛されて育つ権利がある。それを一方の親が勝手に奪ってはいけないし、司法はそんな親の勝手を止めるべきだ。佳寿子さんは、まずはこの問題を広く世間に知ってもらうことから始めたいと考え、同じような境遇の仲間と一緒に市議会に陳情したりする啓蒙活動を始めた。

「少しでも社会を変えることができるなら。子供にも『ママ、頑張っているよ』と胸を張って会うことができると思って」

母親とは何なのか

 それでも、離れている時間の方が長いため、気持ちが落ちることもある。

「今はまだ子供たちも、月1回の面会交流を楽しみにしてくれている。でも、高校生、大学生になったらどうなるのだろう。私なんか死んでしまっても、子供は別になんとも思わないんだろうな、なんて悲観的な考えに襲われてしまうこともありました」

 体調を崩したことがあり、それを面会のときにポロッと言ったら、長男がボソッと「ママ、死なないでね」とこぼした。佳寿子さんはハッとした。

「そんな言葉が返ってくるとは思わなかったんです。子供の気持ちが信じきれなくて、すぐに疑心暗鬼になってしまう自分を反省しました」

 衣食住の世話という日常のふれあいなくして、母親として自信を持ち続けていくのはなかなか難しい。揺れ動く気持ちを必死で抑え込み、「大丈夫、子供を信じるんだよ」と自分に言い聞かせる日々。

「子供にとって母親って何なのかな。どう生きていけば、子供の母親であり続けられるのかな」

 これからも、この問いから逃げ出さずに向き合っていくつもりだ。

上條まゆみ(かみじょう・まゆみ)
ライター。東京都生まれ。大学卒業後、会社員を経てライターとして活動。教育・保育・女性のライフスタイル等、幅広いテーマでインタビューやルポを手がける。近年は、結婚・離婚・再婚・子育て等、家族の問題にフォーカス。現代ビジネスで『子どものいる離婚』、サイゾーウーマンで『2回目だからこそのしあわせ~わたしたちの再婚物語』を連載中。

デイリー新潮取材班編集

子の連れ去りで新法案準備 日本に厳しい措置も 米下院

出典:令和3年9月30日 時事通信社

子の連れ去りで新法案準備 日本に厳しい措置も 米下院

 【ワシントン時事】国際結婚破綻時の子供連れ去りに関する公聴会が29日、米下院外交委人権小委員会で開かれた。

 長年この問題に取り組むスミス共同委員長(共和党)は「日本は共同親権の概念を認識していない」と述べ、子供を取り戻すため日本に対し国務省が厳しい措置を取りやすくする新たな法案を準備していると明らかにした。

 公聴会に出席した米国人の父親は、連邦政府が適切な措置を取らない国に制裁を科す法律があるにもかかわらず、国務省は依然として制裁に踏み切らないと批判。日本政府についても「恥知らずな共謀者だ」と糾弾した。

親子の面会交流制限は「立法不作為」、国賠提訴

出典:令和3年9月28日 産経新聞

親子の面会交流制限は「立法不作為」、国賠提訴

離婚や別居を機に面会交流を制限された親子8人が28日、交流の権利が十分に保障されていないのは国の立法不作為で違法などとして、150万円の国家賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。原告側によると、埼玉や栃木、千葉県などでも同種訴訟が提訴されるという。

日本が平成6年に批准した「子どもの権利条約」では、虐待などのケースを除き「児童が父母の意思に反して父母から分離されないことを確保する」と規定されている。

訴状によると、単独親権制度を採用する日本では、夫婦の別居後に子供と一緒に暮らす親が親権者とされるケースが多く、一方の親が無断で子供を連れ去る「連れ去り行為」が頻発。別居親の監護権や子供と交流する権利が侵害されている現状は同条約や憲法に違反している、と主張する。

提訴後に東京都内で会見した原告の女性(40)は「月に3時間ほどしか子供と会えず、母親として生きる権利を失った。私のような親が増えてほしくない」。原告の一人で、7月に都内でハンガーストライキを行ったフランス国籍のヴィンセント・フィショさん(39)は「今は子供がどこにいるのか、何もわからない。子供が一番かわいそうだ」と訴えた。

共同親権に向けて:国賠の原告とハンストのフランス人男性ら院内集会

出典:令和3年9月14日 SAKISIRU

共同親権に向けて:国賠の原告とハンストのフランス人男性ら院内集会

「明らかに日本社会のシステム、社会の問題」

牧野 佐千子 ジャーナリスト

離婚後の単独親権によって自分の子どもに会えない別居親らが構成する市民団体「共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会」は14日、東京・永田町の衆議院議員会館で院内集会を開き、関連する国賠訴訟の進捗報告等を行った。問題を訴えるために7月に東京都の千駄ヶ谷駅前でハンガーストライキを行ったフランス人男性、ヴァンサン・フィショさんもパネリストとして参加(ハンストについてはこちら)。ハンストの報告やEUで採択された非難決議の現状報告などを行った。

集会でははじめに、「『パパかママか』の単独親権制度は時代にあっていない」として共同親権を求め、国を相手どって係争中の国賠訴訟の進捗状況を報告。弁護団の一人、古賀礼子弁護士は、これまでは被告の国からの具体的な回答がなかったが、今回、親権については「両性の本質的平等」のもと、子どものことを「慎重熟慮のうえに判断する」との文言を使った回答があり、「裁判所も真剣に審議してくれているなと手ごたえを感じている」と語った。

単独親権の問題について取り組む嘉田由紀子参議院議員も集会に参加。「戦後憲法が改正された時に、両性の本質的平等の観点から半年間ほど共同親権を正規の方針にしていた時期があった。現在詳細を調べているところで、進捗をまた報告したい」と話し、離婚の際に子どもを連れ去る行為が、刑法224条の未成年者誘拐略取の対象になるとの答弁が、上川陽子法務大臣からあったことについても報告。その保護法益は「子どもの自由と片方の親の監護権」であると、国会での進捗状況を語った。

また、串田誠一・衆議院議員は「通常国会で諮問になったが、まだまだ共同親権は具体化はされていない。国会議員の一人として本当に申し訳ないと思っている。子どもに会えない祖母の方からも相談受け、この問題は当事者にかかわらず、おじいしゃん、おばあちゃん、いとこまで、一方の親に関わる人間関係がすべて断絶されるとんでもない問題。そのような断絶のない国にしましょう」と訴えた。

ハンストの現場に多くの母親が

続いて、ハンストを行ったヴィンセント・フィショさんが、「この問題について闘う親は、自分たちのためではなく子どもたちのために戦っている」と今回の行動の趣旨について説明。「ハンストの間、たくさんのことを学んだ。多くの(単独親権制によって子どもと会えなくなった当事者の)母親がハンストの現場である千駄ヶ谷駅に来てくれた。あれほどたくさんのお母さんたちも、連れ去りに遭っているとは知らなかった。国内でも被害に遭っている人の数は驚くべきものだ。それなのに最高裁も議会も政府も、『個人的な問題』と言っている。これは明らかに日本社会のシステム、社会の問題だ」と訴えた。

日本の家族法制度の改革について日本政府に長年働きかけてきたフランスの国会議員で、在外フランス人議会議員のティエリ・コンシニさんは、この1年間のEUでの動きを説明。EU議会からの決議案について、ほぼ全議員の賛成票があったことや、フランスのマクロン大統領が東京オリンピック開幕に合わせて来日した際に菅首相と会談し、子どもの権利について話し合いを続けていくとの共同声明を出したことについて報告した。

コンシニ氏は、今後、欧州と日本のフェミニストを招いて子どもの権利のための制度について議論することも検討しているとし、「これからも話し合いの場を作って、一日も早く日本で共同親権が実現するよう戦っていきます」と決意を述べた。

子の連れ去りトラブル相次ぐ 妻がDV口実に支援制度“利用” 対応巡り行政提訴の事態も 背景に「単独親権」

出典:令和3年9月8日 上毛新聞社

子の連れ去りトラブル相次ぐ 妻がDV口実に支援制度“利用” 対応巡り行政提訴の事態も 背景に「単独親権」

 夫婦間の不和などを背景に、配偶者のどちらかが一方的に子どもを連れて別居する「子の連れ去り」を巡るトラブルが、全国で相次いでいる。引き離された側が親権を得るハードルは高いとされ、「連れ去り勝ち」との指摘も上がる。ドメスティックバイオレンス(DV)の支援制度が、本来の趣旨から外れて連れ去りの口実に利用されているとして、当事者が群馬県内の自治体を提訴する事態も起きている。(真下達也)

 埼玉県の40代男性は、小学生の子ども3人と2年余り会えていない。2019年8月、妻が子どもを連れて自宅を出て行った。当初は実家のある前橋市で数日過ごすだけだと思っていたが、音信不通が続き、実家を訪ねても「知らない」と門前払いされた。警察には捜索願を受け付けてもらえず、「何が起きているのか分からなかった」。

 埼玉県の40代男性は、小学生の子ども3人と2年余り会えていない。2019年8月、妻が子どもを連れて自宅を出て行った。当初は実家のある前橋市で数日過ごすだけだと思っていたが、音信不通が続き、実家を訪ねても「知らない」と門前払いされた。警察には捜索願を受け付けてもらえず、「何が起きているのか分からなかった」。

 経緯は徐々に明らかになった。男性によると、妻は実母の勧めで、「夫がDVや、子どもへの虐待をしている」と同市に相談。市はDV防止法に基づく措置として被害保護証明書を作成し、警察への相談を促したり、民間シェルターに一時保護したりしたという。

 これに対し男性は、夫婦関係は悪化していたものの「妻の訴えは虚偽」と主張する。相談に適切に対応すべき注意義務に違反したなどとして、市に300万円の損害賠償を求め5月、前橋地裁へ提訴した。

 男性は「市への相談をきっかけに、半ば自動的に子どもとも引き離されてしまった。最も被害を受けているのは子ども」と強調する。8月25日に開かれた第1回口頭弁論で、市側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。

 子どもを巡る係争は増加し、2020年度に前橋家裁(支部を含む)が受理した子の引き渡しに関する審判の申し立ては、過去10年で最多の66件(速報値)に上った。男性のように「子の連れ去り」被害を訴える声は全国で相次ぎ、名乗り出る著名人もいる。

 「子どものための共同養育支援法をつくる会」の猪熊篤史代表(渋川市)は、離婚すると一方の親だけが親権を持つ民法の「単独親権制度」が、トラブル増加の背景にあると指摘。離婚後も子どもに父母との交流を認める法整備を求める。「DV被害を主張することや、配偶者に子どもを会わせないことが、離婚を有利に進める戦術として成り立っている面がある」とし、行政は相談内容を慎重に確かめる必要があるとした。

一方、DVに関しては当事者同士の主張が食い違うケースがほとんどのため、相談を受けた行政はDV対応を優先せざるを得ないとの指摘もある。県内のあるDV被害者支援団体は「被害に遭ったかは、被害者の認識に基づいて判断されるのが大前提。今の運用を見直すべきではない」と主張する。

海外は「共同親権」主流

 法務省が昨年4月に公表した親権に関する24カ国の調査によると、日本と同様に、離婚後は父母の一方を親権者と定める単独親権のみを認める国はインドとトルコだけで、欧米などは共同親権を導入していた。

 子の連れ去りは国際問題になっている面もある。欧州連合(EU)の議会は国際結婚が破綻した場合などに、日本人の親が国内で子どもを一方的に連れ去ることを禁じるよう日本政府に求める決議案を採択している。

 単独親権制度により親子関係が断絶したとして、群馬県在住の男性を含む6人が同年10月、東京地裁に国家賠償請求訴訟を提訴。共同親権制度を認めるよう民法改正を求めている。国の法制審議会は今年2月から、共同親権制度の是非を含め、離婚や関連制度の在り方を議論している。

離婚後の子育てについて考える。日米でこんなに違う親権制度

出典:令和3年9月7日 NewsCrunch

離婚後の子育てについて考える。日米でこんなに違う親権制度

実子誘拐

親による「子どもの連れ去り」問題。日本とアメリカでの親権制度の違いを、メディアでの歯に衣着せぬコメントでお馴染み、弁護士でもあるケント・ギルバート氏が解説。

夫婦間でのいざこざが原因で、一方の親が無断で子どもを連れて行方をくらましたり、実家に帰って連絡を遮断する親による「子どもの連れ去り」問題。そもそも海外では犯罪となってしまう親による「子どもの連れ去り」が、日本で行われる背景には、日本とアメリカでの親権制度の違いが少なからず影響を与えているという。メディアでの歯に衣着せぬコメントでお馴染み、弁護士でもあるケント・ギルバート氏が解説する。

※本記事は、はすみとしこ:編著『実子誘拐 -「子どもの連れ去り問題」日本は世界から拉致大国と呼ばれている-』(ワニ・プラス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

海外から厳しい目を向けられている日本

国際結婚や国際離婚も増えた今日、子どもの連れ去り問題について、日本は世界中から厳しい目を向けられています。すでに海外メディアは、この問題を大きく取り上げています。

フランスのマクロン大統領までもが、この日本の親による「子どもの連れ去り問題」に不快感を表しました。にも関わらず、日本人の多くが問題の深刻さを理解していません。それどころか、その存在さえも知らない人がたくさんいます。不思議なことに、日本のメディアは、この問題を大きく取り上げません。国会でも、救済法の議論がずっと足踏みしています。

こうした状況に、子どもと会えない多くの親が不安と不満を募らせています。この問題が抜本的な解決に向かわない理由の1つに、DV(ドメスティック バイオレンス = 家庭内暴力)の問題があります。

つまり、一方の親による「子どもの連れ去り」を禁止すれば、DV被害者が子どもを連れて加害者から逃げることができなくなってしまうではないか、という反対意見があるのです。たしかにDVに苦しむ人も多くいます。そうした方々を強力に救済する必要はあります。

しかし、一方で「子どもの連れ去り」問題の多くのケースにおいて「虚偽DV申告」という事態が発生しているのもまた事実です。自らの子どもの連れ去りの正当化のため、DV被害者であると嘘の申告をするのです。こうした場合、連れ去られた親は、いわば虚偽DV被害者という立場に追いやられます。DV被害者の救済と同時に「虚偽DV被害者」もまた救済されるべきなのです。

どちらか一方に偏ることなく、どちらも救済しうるよう、国は勇気と知恵を絞って対策を講じるべきです。それこそが、最大の被害者となる子どもの救済に資する唯一の道です。

今日、子育ては男女が協力すべきとの認識が高まっています。3組に1組が離婚をする離婚大国となった日本。これほどまでに離婚が当たり前となった社会において、離婚後の子育ての「男女共同参画」は強い社会的要請です。

にも関わらず「子どもの連れ去り」という蛮行が、未だに横行している事実は看過できません。この事実は、私達が子どもを所有物のように扱ってきた証拠なのではないでしょうか。私たちは今一度、子どもの幸せについて深く考えてみる必要があると考えます。

日本は「単独親権」、米国は「共同親権」

私は米国カリフォルニア州の弁護士でもあり、日本に長年住んでいる米国人として、米国での離婚後の親権の問題に関して少し記しておこうと思います。 日本では、この連れ去り問題の当事者や団体の多くが「共同親権」にすれば、日本の子どもの連れ去り問題が解決すると考えているようです。

しかし、これは大きな誤解に基づいていると言わざるを得ません。 日本では離婚後の子どもの親権に関しては「単独親権」(父親か母親の一方が親権を持つ)なのですが、米国では「共同親権」といい、離婚後も両親が親権を持ちます。

この問題は複雑で、米国での例をそのまま日本に当てはめれば解決するのかと言えば、国の生い立ちや文化などの違いを考えたときに、解決策になり得るとは思えませんが、“参考にはなる”とは思っています。

子どもの連れ去り問題での犠牲者は誰なのか? ですが、まず一番の影響を受けるのが、 連れ去られた「子どもたち」です。今まで毎日、仲良く遊んでもらったり、さまざまな事を教えてもらったり、面倒を見てもらっていた片方の親から、もう一方の親のエゴによって強制的に引き離されるわけです。

そして、このことによって、子どもの精神状態は大変不安定になります。なかには、そのことだけで、精神疾患に陥った子どもたちも少なくありません。登校拒否をしたり、薬物に手を染めたりするのも、片親の子どもの場合が多いのは、各調査でも明らかになっています。

もう1人の被害者は、連れ去られた側の親です。 ある日突然、配偶者と子どもが消えてしまいます。その背後には「婦人相談所」などの機関が関わっているという話もあります。

その連れ去られた親も、仕事が手につかずに精神疾患に陥ったり、自殺したりと悲惨な状況にあります。何ヶ月も、何年もかけて子どもの居場所を見つけて、取り戻しに行って逮捕された親も多くいます。驚くことに、連れ去られた被害者には、裁判官や弁護士もいるということです。

共同親権は権利であると同時に義務でもある

米国では離婚後、どのような制度になっているのかを簡単に説明します。州によって若干の違いはありますが、ここでは、カリフォルニア州の場合に限定してご説明いたします。米国では離婚後は「共同親権」の制度を採っています。

米国が「共同親権」だから、日本でもそうするべきだというのではありません。日本と米国では、国そのものの生い立ちも違います。日本人が考える方法が日本には最善と考えますので、私の話は参考程度にしていただきたいと思います。

「共同親権」は、米国では“Shared Parental Authority” (シェアード・ペアレンタル・オーソリティ) と言います。この他に「共同養育」を “Shared Parental Custody” (シェアード・ペアレンタル・カス ティディ)と言います。

離婚後でも、双方が親権を持つわけですが、この親権は「権利」だけではなく「義務」も付随します。子どもが成人になるまでは、その監護義務があります。そして、その費用に関しても、双方の収入の合計を半分にして、収入の多いほうが少ないほうに基準に沿った差額を支払う義務があります。

この義務を怠ると、給料の差し押さえ・ローンを組めない・公務員になれない・公の仕事を受けられない、・自動車運転免許証を持てない。自動車を購入できないなど、さまざまな制裁があります。 しかし同時に、子どもに会う時間も、お互いの親が最大限に努力し、多くの時間を子どもと過ごせるようにする義務があります。これを怠ると、ともすれば、児童虐待になる場合もあります。円満な婚姻関係の解消であれば、当然、これらの問題は起きません。

しかし、片方の浮気が原因や、その他の原因で夫婦が憎しみあった場合には、子どもを盾にした訴訟合戦に発展します。米国の訴訟には多額の弁護士費用が必要になります。この多額の弁護士費用が、ある意味、訴訟への進展を思いとどまらせる効果がある場合もありますが、逆に相手を脅す材料にも使われます(ここは日本には当てはまらない部分です)。

金銭的に余裕がない側は、訴訟になることを避けるために相手の出す条件を泣く泣く飲まなければならない場合もあります。訴訟になる原因の多くは、お互いが同等に持っている「親権」を理由に争いますので、ある意味、決着が付かない長期戦になり、双方が大金を投じて消耗し、子どもがその影響を大きく受けて、貧困に陥ったりするのです。

この親権の問題は、日本では子どもが成人する20歳までの問題です。逆に言えば、20歳までは、自分たちの意思で結婚し子どもを作った親としての責任を感じ、子どもが成人するまでは我慢するというのが、日本だけではなく世界の親が行うべきことだと私は思います。

実子誘拐を黙殺する日本のメディア|上條まゆみ

出典:令和3年8月27日 月刊Hanadaプラス

実子誘拐を黙殺する日本のメディア|上條まゆみ [#jb133de5]

「私の子供たちは日本で誘拐されています」。メダルラッシュに沸いた東京オリンピックの陰で、命がけのハンストを行っていたフランス人男性、ヴィンセント・フィショ氏。BBCをはじめ、海外メディアが続々とこの問題を報道するなか、日本のメディアは「報道しない自由」を行使。日本の司法は腐っているが、日本のメディアも腐っている――。

私の子どもたちが日本で誘拐された

日本在住のフランス人男性、ヴィンセント・フィショ氏は、2021年7月10日から30日まで21日間にわたり、オリンピックスタジアム近くのJR千駄ヶ谷の駅前でハンガーストライキを行った。

ヴィンセント氏が命を賭けて訴えたのは、妻に連れ去られた子どもとの再会である。ヴィンセント氏によると、彼の妻は2018年8月、彼に無断で、当時3歳と1歳の子どもを連れて家を出て行った。

ヴィンセント氏が来日したのは15年前、24歳のとき。金融機関の駐在員として東京にやってきて、同い年の日本人女性と知り合った。意気投合して結婚し、2015年には長男が誕生。ヴィンセント氏が公開しているHPによれば、出産後、妻は家事や育児を放棄するようになり、夫婦仲が悪くなった。その後、妻はヴィンセント氏に無断で、不妊治療の際に冷凍保存してあった精子を利用して2人目を出産。ヴィンセント氏は妻に離婚をもちかけたが、妻は拒否した。

そんなある日、ヴィンセント氏が仕事から帰ると、家の中はもぬけのから。家財道具も車も、妻子の姿も消えていた。

「警察に行き、子どもの誘拐を訴えましたが、何の協力も得られませんでした。それどころか、私が子どもを連れ戻そうとすれば、誘拐罪で逮捕するとまで言われてしまいました。弁護士にも相談しましたが、いったん連れ去られてしまえば子どもに会えなくなってしまうのが日本の現実だ、と……」

その後、ヴィンセント氏の弁護士と妻側の弁護士が協議した。「子どもに会わせてほしい」という彼の訴えに、妻側の弁護士は「自身のDVを認めれば会わせるが、認めなければ会わせない」と言ってきた。

ヴィンセント氏は、DVなどしていない。だから、DVを認めなかった。実際、その後の調停でヴィンセント氏のDVはなかったとされ、妻側も主張を撤回している。

調停では、子どもの監護者指定をめぐる話し合いがもたれた。連れ去りによって妻が子どもの監護を行っている現状があることから、「継続性の原則」が適用され、子どもの監護者は妻に指定された。妻はヴィンセント氏に子どもを会わせることを拒否しており、司法もそれを許している。現在は離婚裁判中である。

今日までおよそ3年間、ヴィンセント氏は子どもに会えていない。

実子誘拐を容認する日本の司法

なぜヴィンセント氏は子どもに会えないのか。

家事事件にくわしい栗原務弁護士は、
「その背景には、日本における法制度の不備と裁判所の不適切な運用実務がある」と言う。

日本は、離婚をした際に片方の親だけが親権をもつ単独親権制度を採用している。しかし、離婚後、どちらの親が親権を得るのかについての基準は法制化されていない。また、離婚前に子どもの監護者の指定が問題となる場合も、どちらの親を監護者として指定すべきかについての基準は法制化されていない。

その法の不備を裁判所の裁量的判断が埋めているが、裁判所における親権者または監護者の判定においては「現在、どちらの親が子どもと暮らしているか」という点が重視され、子どもが片親と暮らさなくなった経緯(同意に基づく別居か、連れ去りによる別居か等)の当否や、子どもと暮らしている親の都合により他方の親と子どもの関係が断絶されていることの当否等が軽視されている。

つまり、先に子どもを連れ去り、子どもを引き離した側が有利となる。

そもそも、片方の親の同意なく一方的に子どもを連れ去る行為は未成年者誘拐罪にあたる。しかし、なぜかそれは不問に付され、連れ去られた子どもを連れ戻す行為は未成年者誘拐罪として逮捕されてしまう。

子どもと引き離された親が、子どもと交流し続けることを担保する手続きがないという問題もある。裁判所が面会交流を認めても、強制力がないため、引き離されている親と子どもは子どもと同居している親の都合により簡単に断絶される。

「結婚生活で揉めて、妻が『実家に帰らせていただきます』と子どもを連れて出て行ってしまうのは、日本では昔からよくあることだった。出て行かれる側は相当ひどいことをしたんじゃないの、それならまあ仕方がないよね、といったような偏見が未だ根強い。しかし、一方の親が他方の親の同意なく子どもを連れて家を出ていくことは、未成年者誘拐罪にあたる。それにもかかわらず、警察も弁護士も裁判官も調査官までもが、原則論を無視し、また、例外的に正当化される事由の有無を一切検討することなく、法的な正当化根拠を曖昧にしたまま、連れ去りや親子の引き離しを容認しているんです」(栗原弁護士)

日本は子どもの拉致国家

親子が片方の親によって一方的に引き離されている状態は、子どもの権利を侵害している。1989年に国連総会で採択され、1990年に国際条約として発効した「児童の権利条約(子どもの権利条約)」に、日本は1994年に批准しているが、その9条1項には「児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する」と定められている。

また、9条3項は「児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する」と定めている。子どもの連れ去り、そしてその後の親子の断絶は、明らかに国際条約違反だ。

「子どもの権利を守ってほしい」

これまでヴィンセント氏は、さまざまな法的行為を試してきた。日本の警察や司法には頼れないと知ると、EUや欧州議会に訴えるほか、2019年にはフランスのマクロン大統領にも面会し、支援を求めた。マクロン大統領は、ヴィンセント氏の訴えを受理し、日本に抗議した。しかし、事態はいっこうに改善しない。
 
その間にも、妻側が提起した離婚裁判は粛々と進み、年内には判決が出る見通しとなった。ヴィンセント氏は、今は子どもの親権者だが、裁判で離婚が成立すると、監護権をもつ妻が子どもの単独親権者となってしまう。

婚姻中で共同親権の状態にある今でさえ夫に子どもを会わせない妻が、単独親権者となってから、子どもを会わせるようになるとは思えない。ヴィンセント氏は危機感を募らせた。

そこで始めたハンガーストライキ。

ヴィンセント氏を支えるハンガーストライキ支援事務局によれば、このプロジェクトの立ち上がりは今年4月。オリンピックのタイミングに合わせてハンガーストライキを行うことで注目を集め、日本における子どもの権利侵害を広く訴えようと考えた。

マクロン大統領にもコンタクトをとっていた

ヴィンセント氏自身は、実際に子どもに会えるまでハンガーストライキを続ける覚悟だった。ふらついて倒れた際にけがをした手の手術を余儀なくされたことで、30日をもってハンガーストライキは中断している。

「子どもに会いたい」というヴィンセント氏の望みはかなわなかったものの、ハンガーストライキは事態の改善に向けて一定の効果があったと支援事務局では見ている。

「ヴィンセント氏の訴えが重大な子どもの人権侵害だということが理解されたのだと思います。初日から海外のメディアの取材が入り、フランスやイタリア、アメリカなど欧米諸国では大きく報道されました。最終的には、BBC(英国公共放送)で放映され、日本でも配信されました。ヴィンセント氏と同じように親子断絶に苦しむ当事者がたくさん現地に訪れ、これが個人の問題ではなく社会の問題であること、男女問わず誰にでも起こりうる問題であることを世間に示してくれました」(支援事務局)

日本のメディアは消極的だったが、これは想定内。日本にはこれまでの経緯から、日本のメディアが子どもの連れ去りや親権がからむ報道に、必要以上に慎重であることはわかっていた。実際、一度、記事になったものの、ヴィンセント氏の主張だけで相手方の主張が併記されていないとの理由で削除されたWeb記事もあった。

ヴィンセント氏は、フランス大使館を通じてマクロン大統領にもコンタクトをとっていた。マクロン大統領が現地を訪問し、直訴の機会が得られるのではないかとも期待された。結論として訪問は実現しなかったが、マクロン大統領は7月24日に行われた菅義偉首相との会談で、ヴィンセント氏が訴える子どもの連れ去り問題に言及。その結果、日仏共同声明のなかに領事協力として「両国は、子の利益を最優先として、対話を強化することをコミットする」との文言が盛り込まれた。

さらに7月30日には、パトリシア・フロアEU駐日大使をはじめフランスドイツ、イタリア、スペインなど欧州連合(EU)加盟国の駐日大使ら9人がヴィンセント氏を訪問し、連帯の意向を示した。

「これらのことは、ヴィンセント氏にとってはもちろん、日本人当事者、共同親権・共同養育支持者にとって決して小さくない成果だと思っています」(支援事務局)

子どもに会うことはできるのか

さて、今後だが、ヴィンセント氏は子どもに会えるのか。ヴィンセント氏が望んでいるのは、離婚をしても子どもの養育に半分携わる、欧米では当たり前のスタイル。はたして、それは実現するのか。

「正直、見通しは甘くないと思っています」と言うのは、ヴィンセント氏の代理人を務める上野晃弁護士。たしかにハンガーストライキには、一定の効果があった。終盤を迎えていた離婚訴訟に和解のテーブルが設けられる可能性が出てきたのも、ハンガーストライキが与えたインパクトのおかげだ。しかし、形式的に和解協議の機会が与えられただけでは、結局、双方の意見が一致せず、和解は決裂する未来が見えている。

「家事事件にせよその他の訴訟にせよ、裁判官は、当事者が抱く、『自分に不利な判決が出るのではないか』という不安を利用して和解を引き出します。例えば100万円を返してほしいという訴訟の場合、訴えた側が、『判決だと50万円くらいしか返ってこないかもしれない』と不安を抱く一方、訴えられた側が、『判決だと100万円を全額返せという判決が出るかもしれない』と不安を抱く。その両者が抱く不安を利用して『80万円でどうですか』と和解に導くことができるのです。しかしながら、今回の件を含めて日本の家事司法のように、子どもを連れ去った側に、確実に親権が得られる仕組みになっており、さらに連れ去られた親に子どもを会わせるか否かも連れ去った親に多大な決定権が事実上与えられている現状では、子どもと同居する相手側に、たとえば『ヴィンセントさんと子どもたちとの交流を年の半分くらい確保する』といった和解に応じる心理的動機付けが極めて乏しいと言わざるを得ません」
 
要するに、連れ去り勝ちを容認する法の運用実務がある限り、ヴィンセント氏の現状は好転しない。子どもの権利は守られない。

上野弁護士は、裁判所に法の運用実務を改める努力をしてほしいと言う。
「具体的には、フレンドリーペアレントルールの導入です。フレンドリーペアレントルールとは、子どもの親としての関係で、片方の親と友好的な関係を築くことのできる親のほうが親権者にふさわしいとするもの。このルールの導入によって、子どもの連れ去りや親子の引き離しは減るはずです」

個々の案件の積み重ねによって法の運用実務は変わる。弁護士や裁判官、調査官など家事事件に携わる人たちみんなが子どもの連れ去りや親子の引き離しに厳しい目をもつことで、少しずつ運用実務は変わっていく。

「当事者ではない、まったく利害関係がない人に子どもの連れ去りや親子の引き離しについて話すと、たいていは『それは酷いね』『おかしいね』といった反応です。それがふつうの感覚なんです。この問題を広く世間に知らせ、まわりの声を大きくしていくことが大切なのだと思います」(前出・栗原弁護士)

ヴィンセント氏の起こしたアクションは、その一助となったと思われる。それにしても、日本のメディアがヴィンセント氏のハンガーストライキをほとんど報道しないのはなぜなのだろうか。

 
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更新 2022-04-23 (土) 09:20:51
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