民法819条(単独親権制度)改正を求め共同親権・共同監護制度の導入・ハーグ条約締結の推進と活動を行っています

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「子供とって最適な形で」日本でも“共同親権”導入の是非検討…単独親権との違いと課題

出典:令和3年11月9日 FNNプライムオンライン

「子供とって最適な形で」日本でも“共同親権”導入の是非検討…単独親権との違いと課題

現在日本においても導入の是非が検討されている共同親権。

それは「子に対する親権を父母の双方が持っていること」又は「父母が共同し、合意に基づいて子に対し親権を行うこと」を指します。

一方、現在の日本で認められている単独親権は、離婚の際に父母のどちらかに親権を与える制度(民法819条1項)です。

日本の民法は時代の波に対応できていない

すでに共同親権制度は先進国のほとんどで採用されていますが、日本では、今のところ、離婚すると単独親権の一択しかなく、熾烈な親権争いが繰り広げられる原因となっています。

現在の民法はそもそも1896年(明治29年)に制定されたものであり、何度か改正はされたものの、いまだ女性が家事や育児をやるのは当然だという旧態依然の男女の役割分担の意識が強く反映されたままです。

つまり、少子化や共働き世帯の増加、父親の育児参加などの子供を取り巻く状況の変化や時代の波に対応しきれていないのです。

いまや、時代の風潮にあった法律の改正が必要であることは明らかであり、その大きな議題として、共同親権制度への移行が議論されているのです。

世界で認められている「共同親権制度」とは

ここで、共同親権について世界の情勢を見てみましょう。

法務省の調査によると、日本以外ではインド及びトルコが単独親権制度を採用していますが、その他多くの先進国は離婚後の共同親権も認めています。つまり先進国では、単独親権制度を採用しているのは日本くらいなのです。

運用は国ごとに差異があるものの、裁判所の判断等がない限り、原則として共同親権とする国(ドイツオーストラリア等)、父母の協議により単独親権とすることもできる国(カナダのブリティッシュコロンビア州、スペイン等)、父母のいずれもがそれぞれの親権を単独で行使できる国(イギリスのイングランド及びウェールズ、南アフリカ等)があります。

日本で繰り広げられる離婚時の「親権」をめぐる大変さ

単独親権を採用する日本では、夫と妻がともに親権を希望した場合は容易ではない道のりが待っています。

まず、日本では離婚時には必ず子供の親権を父母のどちらかに決めないと離婚することができません。したがって、父と母がともに親権を希望すると、“親権争い”をしなければなりません。

父母間の協議で話がつかない場合、裁判所に調停を申し立てることになりますが、調停も所詮は話し合いの場です。決着がつかない場合には、最終的に離婚訴訟までもつれこむことになります。お互いに相手が「親権者にふさわしくない」と言った激しい攻撃や相手からの攻撃に対する防御を繰り返した挙句、裁判所の判決により親権者が指定されることになります。

家庭裁判所の調査官が子供の養育環境を調査するため家庭訪問をしたり、関係各所に話を聞いたり、子供の意向を確認したりすることも必要となってきます。本格的に争った場合、1年以上の時間がかかることも珍しいことではありません。もちろん、弁護士を依頼した場合は少なからず弁護士費用もかかることになります。

また、判決が出て親権者がどちらかに決まったとしても、すべてがうまくいくわけではありません。訴訟で攻撃や防御を繰り返したことで、父母間の感情的な対立は非常に悪化しています。

親権を取った側は、子供の親権を争った相手には子供と面会交流させたくないと思いがちですし、子供と面会交流をさせてもらえない相手は、養育費なんて支払いたくないと思うことが多いです。

つまり、どちらが勝っても負けても、面会交流を実施してもらえなかったり、養育費を支払ってもらえないなど、お互いに禍根を残すことになってしまうのです。加えて、板挟みになった子供にも大きな精神的な負担がかかることは言うまでもありません。

共同親権の課題

2011年(平成23年)に民法が改正された際に、「親権は子供の利益のためのもの」であることが確認されました。

日本の法律で共同親権が採用された場合は、非親権者が子供の個人情報すら教えてもらえないといった現在の状況は大幅に改善されるでしょうし、父母ともに子供に対する責任感が生じてきやすいと思われます。

ただ、共同親権にも課題がないわけではありません。

おおよそ次の問題があるとされています。

1つ目は子供の教育方針です。父母の対立は根本的に緩和されず残存しています。そもそも離婚するくらいですからお互い相入れない意見を持っている可能性が高いため、子供をめぐる意思決定に時間がかかると思われます。特に、子供の教育方針について意見が対立した場合など、意思決定が遅れることで子供への悪影響も懸念されます。

2つ目はDVや児童虐待です。DVや児童虐待等の問題があった配偶者の場合、共同親権では離婚しても縁が切れず、関係が継続することになります。DVや児童虐待の問題の解決は難しく、共同親権制度を採用することで被害の継続・拡大が危惧されます。

3つ目は負担が子供にもかかることです。父母の共同親権のもと、子供が頻繁に父母の家を行き来するようになると、子供の負担が大きくなります。子供が父母の家のどちらが自分の家かわからなくなり、精神的な安心感を得られなくなることもあるでしょう。また父母間の家の移動に時間がかかるなど、子供の時間を奪うことにもなり、体力的にも精神的にも疲弊することが懸念されます。

今後、こうした課題を解決するためには、「子供の利益」という観点から、個別具体的に対応策を議論すべきだと思われます。共同親権を導入するか否かという法改正の是非のみならず、共同親権を採用したとして、どのように運営していくのかを行政機関の対応も含めて慎重に議論する必要があるでしょう。

2021年(令和3年)2月には上川陽子法相(当時)が法制審議会に諮問をしており、「共同親権を含む家族法制の見直し」については法制審が議論を開始しています。

日本で共同親権制度を導入するのか、導入するとしてどのような形で施行するのかについては、日本の家族制度のあり方自体を大きく変えることになります。共同親権制度を採用するのであれば、子供とって最適な形で実施することが望まれます。

特に、離婚原因がDVや児童虐待などであった場合は、被害を受けていた側は二度と接点を持ちたくないと考えるのは当然のことです。離婚後も積極的に自分の子供に関わっていきたいと「共同親権」を望む声もありますが、今後日本において共同親権制度を導入する際には、共同親権者として明らかにふさわしくないと客観的に判断されるような親については例外規定を設けることも慎重に検討する必要があるものと考えます。

後藤千絵
京都生まれ。大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に入社するも、5年で退職。大手予備校での講師職を経て、30歳を過ぎてから法律の道に進むことを決意。派遣社員やアルバイトなどさまざまな職業に就きながら勉強を続け、2008年に弁護士になる。荒木法律事務所を経て、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所設立。離婚・DV・慰謝料・財産分与・親権・養育費・面会交流・相続問題など、家族の事案をもっとも得意とする。なかでも、離婚は女性を中心に、年間300件、のべ3,000人の相談に乗っている。

フェリーチェ法律事務所:https://felice-houritsu.jp/

DV不認定、面会指示も息子に会えず 小牧の男性「元妻が制度悪用」

出典:令和3年11月4日 中日新聞

DV不認定、面会指示も息子に会えず 小牧の男性「元妻が制度悪用」
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 ドメスティックバイオレンス(DV)被害者からの申請に基づき、元配偶者らへの住民票の写し交付などを自治体が制限できる「支援措置」。加害者が被害者を捜すのを防ぐ目的だが、裁判でDVが否定されても措置は解除されない。愛知県小牧市の自営業の男性(53)は、実の息子と十五年以上も会えておらず「制度が悪用されたらどうすることもできないのはおかしい」と訴える。 (水谷元海)
 男性は二〇〇五年、職場で知り合った元妻と結婚した。しかし元妻は翌年、一歳になったばかりの息子を連れて突然姿を消し、間もなく、弁護士を通じて調停を申し立てた。理由には身に覚えのない「暴力」とあった。
 息子の居場所を探ろうと、半年ほどしてから市役所に住民票の写しの交付を求めたが拒否された。「支援措置」で、住民基本台帳の閲覧が制限されていた。元妻が転居先の自治体に申請し、小牧市も情報共有して対応したとみられる。
 〇九年、元妻が離婚を求めて裁判を起こしたが、判決は「被告(男性)に身体的暴力などの有責行為は認められない」と訴えを棄却。さらに、元妻の側に不貞行為を認め、元妻が慰謝料を払う形で一九年に離婚が成立した。
 
続きは記事を参照ください。

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離婚後の「単独親権」規定 2審も憲法違反認めず 東京高裁

出典:令和3年10月28日 NHK

離婚後の「単独親権」規定 2審も憲法違反認めず 東京高裁

裁判で離婚が成立する際に、裁判所が父親か母親の一方を子どもの親権者と決める民法の規定が憲法違反かどうかが争われた裁判で、東京高等裁判所は憲法違反にはあたらないと判断し、親権を持てなかった父親の訴えを退けました。

離婚後に2人の子どもの親権を失った都内の50代の男性は、裁判で離婚が成立した場合に裁判所が父親か母親のどちらか一方を親権者と決める民法の「単独親権」の規定は法の下の平等などを定めた憲法に違反するとして国を訴えました。

28日の2審の判決で、東京高等裁判所の石井浩裁判長は、「規定は、子どもの世話や教育について適切に決められない事態を避けるために、裁判所がふさわしい方を親権者に指定するもので、子どもの利益を守るという立法目的から考えても合理的だ」と指摘しました。

そのうえで、「離婚後も両方の親が親権を持つ『共同親権』を認めるかどうかは国会の裁量に委ねる段階にとどまっていると言わざるを得ない」と述べ、いまの規定は憲法違反にはあたらないと判断し、1審に続いて男性の訴えを退けました。

親権のあり方など離婚後の子どもの養育をめぐっては法制審議会で法制度に関する議論が行われています。

米前駐日大使、日本の人質司法を批判 「ケリー被告を守る必要」

出典:令和3年10月21日 毎日新聞

米前駐日大使、日本の人質司法を批判 「ケリー被告を守る必要」

 米国のハガティ上院議員(前駐日大使)が20日の上院外交委員会の公聴会で、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)に問われている日産自動車元代表取締役のグレッグ・ケリー被告について「弁護人は無罪を確信している。不当な扱いを受けるケリー氏を守る必要がある。懸念は日本の閣僚レベルにも伝えてきた」と訴える一幕があった。
 ハガティ氏は、次期駐日大使に指名されたエマニュエル前シカゴ市長の公聴会で、刑事事件の容疑者や被告が長期間拘束されやすい日本の司法制度が「人質司法とも呼ばれ、時代遅れだ」と批判。日産前会長のカルロス・ゴーン被告が主導したとされる役員報酬の虚偽記載についても「仏ルノーとの統合への反対派によるクーデターだった」とのゴーン前会長側の主張を紹介し、「米国は日本への最大の投資国だ。米国の経営者たちが日本でのビジネスを再考し出すことを懸念している」と述べた。

 ケリー元代表取締役の事件への対応を求められたエマニュエル氏は「既に調べ始めている。大使として承認されれば、最優先事項にする」と述べた。ハガティ氏は南部テネシー州選出で、ケリー元代表取締役もテネシーに居住していたという。
 公聴会ではメネンデス外交委員長が、国境を越えた子の連れ去り防止を定めた「ハーグ条約」に関しても、日本の取り組みが不十分だと不満を表明した。エマニュエル氏は「条約は履行されるべきだ」と述べた。【ワシントン秋山信一】

共同親権「中部の会」100回目定例会を開催 名古屋

中日新聞名古屋本社から第100回定例会の取材を受け、10月13日(水)朝刊に掲載されました。
第100回定例会取材記事pdf

記事に関する意見、お子さまと交流出来ない現状、家族法制度の問題点など中日新聞までお寄せください。

メール送信先>
中日新聞社名古屋本社編集局 読者センター 宛
center@chunichi.co.jp

子を巡る裁判 親権・監護者 母親が9割 状況応じた判断課題

出典:令和3年10月13日 読売新聞

子を巡る裁判 親権・監護者 母親が9割 状況応じた判断課題

 夫婦が争った子を巡る裁判で、親権者・監護者を母親とする司法判断が大半を占めている。福岡市では育児に問題のなかった父親に対し、別居中の母親に子を引き渡すよう命じたケースもある。専門家は「裁判所には母親優先の考えが根強い」と指摘。社会状況の変化も踏まえ、法制審議会(法相の諮問機関)では親権のあり方などについて議論が進んでいる。

 司法統計によると、離婚時の家裁での調停や審判で2020年度、「親権者」を母親とした割合は93・8%。このうち、身の回りの世話や教育を行う「監護者」も母親としたのは99・8%にのぼる。00年度もそれぞれ89・9%、99・9%と、20年間にわたりほぼ同じ状況だ。

 かつては父親が外で働き、家事・育児を担う母親が子と長い時間を過ごすケースが多かったため、裁判所は離婚後も現状を変えないことが子の福祉にかなうと考え、母親寄りの判断を下してきた。ある元裁判官は「裁判所には『子は母に』の考え方が浸透していた」、別の元裁判官も「本来はケースに応じて判断するべきだが、そうではなかった恐れはある」と言う。

 厚生労働省によると育児に参加する父親は増えているとみられ、20年度の育児休業取得率は12・65%と過去最高になった。こうした中、法制審は今年3月から、離婚後の子の適切な養育を目的に、離婚制度の見直しなどを議論。法務省によるときっかけの一つは「親権者や監護者が母親に偏重している」との批判で、離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」の導入などが検討課題となっている。

 立命館大の二宮周平教授(家族法)は「男性の育児参加が一般的である現在、父親が養育に関わっている場合は、親権の有無や親の性別にとらわれず、家庭環境や子の希望などに配慮したうえで、子の福祉にかなった判断をすべきだ」と指摘する。

◇問題ない父でも引き渡し命令

 福岡市のケースでは、父親(38)が今年3月、一緒に暮らす娘(7)を母親に引き渡すよう命じられた。

 娘を巡っては父親は監護者指定を、母親は引き渡しを求めて昨年11月、福岡家裁に裁判を起こした。

 家裁の認定では、夫婦は事実婚だった2014年に娘が生まれ、親権は母親が持った。父親は不仲から16年に家を出た。娘は父親宅に泊まる日数が増え、19年8月から父娘で暮らした。娘が通った保育園職員は「父親は育児熱心だった」と話す。

 一方、母親は前夫との間に生まれた長男、長女と暮らし、娘との関係に問題はなかった。昨年8月の長男の事故死後に体調を崩し、無職に。生活保護を受給し、心療内科に通院している。

 家裁は「父親の監護状況に問題はない」と認定したうえで「母親は日常生活におおむね問題はなく、娘を引き渡しても子の福祉に反しない」と判断した。福岡高裁も今年7月、同様の判断で父親の即時抗告を棄却。現在は最高裁で争われている。

夫が子供を「連れ去り」 面会交流でしか我が子に会えない母親の「月1回4時間の子育て」

出典:令和3年10月8日 デイリー新潮

夫が子供を「連れ去り」 面会交流でしか我が子に会えない母親の「月1回4時間の子育て」

 ある日突然、妻や夫が子供を連れて家を出て行ってしまう「実子連れ去り」。一方の親だけが家から締め出される「追い出し」も多発している。引き裂かれた親子は、どのように親子関係を維持していくべきなのか。日常的に子供に接する機会を奪われ、月1回4時間しか会うことしか許されなくなった母親の話を聞いた。(ライター・上條まゆみ)

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思わず熱く語ってしまう

「お母さん、人気ユーチューバーのエッセイが欲しいんだけど」
「じゃあ、本屋さんに行こうか」

 ある土曜日の昼下がり、佐藤佳寿子さん(仮名・46歳)は、長男(14歳)と次男(11歳)を車に乗せて、郊外の大型書店に向かった。聞いたことがないユーチューバーの本を探して、店内をウロウロと歩き回る長男。漫画本のコーナーに張り付く、まだ幼い次男。

「本、なかった、もういいや」
「え、ちゃんと探したの?」

 あっさりと諦めてしまう長男が不甲斐なくて、佳寿子さんは店内の検索機に連れていった。彼が欲しかった本は簡単に見つかった。

「何でもすぐに諦めたらいけないよ。欲しいって言ったら、空から降ってくるわけじゃないんだよ。欲しいものは、自分の手で掴み取らないと!」

 思わず熱く語ってしまう自分がいた。

義母との同居から始まった夫婦関係の破綻

 一見すると、ごく普通の親子にありがちな日常の一コマだ。だが、佳寿子さんと子供たちにとって特別な時間である。今日は月に1回だけ許された面会交流日。彼女は月にたった4時間しか、我が子に向き合うことができないのだ。

 夫婦関係の破綻は、義母との同居がきっかけだった。義母の意向を優先して家のことを何でも決めてしまう夫。しまいには、佳寿子さん抜きで大事なことが二人で決められてしまうようになってしまった。改善を求めても一向に直そうとしない夫に勘忍袋が切れた佳寿子さんは、8年前に家の近くにアパートを借り、子供を連れて家を出た。あくまで一時的な措置だった。佳寿子さんは離婚することになっても、夫と子供を引き裂く気などなかった。

 だが、2日後、夫は強引に子供たちを連れ戻してしまう。そして、それからはいくら頼んでも、子供に会わせてくれなくなったのだ。最終的には家庭裁判所に訴え出たが、5年後、家裁が認めたのは、月1回、たった4時間の面会交流のみ。理不尽な状況に納得できていないが、現時点で佳寿子さんになす術はない。

親としてどうしても伝えたいこと

「わずかな時間の中で、母親として何を伝えられるかをいつも考えています」

 子供たちと会う日は、ファミリーレストランで食事をしながら話をしたり、一緒に買い物をしたりと、ありきたりな時間を過ごす。だが、その中で、佳寿子さんは意識して、生きていく上で大切だと思うことを真剣に語りかける時間を設けている。書店での一コマは、自分の力で人生を切り開いていってほしいという佳寿子さんの思いが溢れ出たシーンだった。

 長男が14歳になったときはこう諭した。「これからは悪いことをしたら刑事責任能力があると見なされ、処罰されるのよ。そういう年齢になったのよ。だから、自分の行動に責任をもつように」。

 コロナ禍で、長男の部活動の大会が軒並み中止となり、先輩が部活を辞めてしまったという話を聞いたときは、「たぶん来年も同じような状況だろうね。そのとき君はどんな選択をする? 自分がどんな気持ちで、どんな目的で部活を始めたのかよく考えてごらん」と、継続することの大切さを伝えた。

「学校に好きな子いるの? という話から、LGBTについて話し合ったこともあります。君が誰を好きになっても堂々とママのところに連れてきなさい、と言いました」

 次第に制限された子育てならではのメリットも感じられるようになってきた。一緒に暮らしていたら、互いに照れ臭かったり、反抗期で反発されたりして話しにくいようなことも、特別な時間だからこそ話しやすくなる。子供たちも素直に聞いてくれている。

子供に誇れる生き方をしたい

 母親として子供に誇れる生き方がしたいとも思い始めた。

「調停や裁判の情報を集めるためにネットで検索するうち、こんな理不尽な経験をしているのは私だけじゃないんだと知りました。そして、一方の親に子供を連れ去られたり、自分が家から追い出されたりして子供に会えなくなる背景には、法律やその運用の問題があることにも気づいた。そして、それは親が子供に会えなくて悲しいという以前に、子供の権利を損ねていることにも思い至りました」

 子供は、双方の親に愛されて育つ権利がある。それを一方の親が勝手に奪ってはいけないし、司法はそんな親の勝手を止めるべきだ。佳寿子さんは、まずはこの問題を広く世間に知ってもらうことから始めたいと考え、同じような境遇の仲間と一緒に市議会に陳情したりする啓蒙活動を始めた。

「少しでも社会を変えることができるなら。子供にも『ママ、頑張っているよ』と胸を張って会うことができると思って」

母親とは何なのか

 それでも、離れている時間の方が長いため、気持ちが落ちることもある。

「今はまだ子供たちも、月1回の面会交流を楽しみにしてくれている。でも、高校生、大学生になったらどうなるのだろう。私なんか死んでしまっても、子供は別になんとも思わないんだろうな、なんて悲観的な考えに襲われてしまうこともありました」

 体調を崩したことがあり、それを面会のときにポロッと言ったら、長男がボソッと「ママ、死なないでね」とこぼした。佳寿子さんはハッとした。

「そんな言葉が返ってくるとは思わなかったんです。子供の気持ちが信じきれなくて、すぐに疑心暗鬼になってしまう自分を反省しました」

 衣食住の世話という日常のふれあいなくして、母親として自信を持ち続けていくのはなかなか難しい。揺れ動く気持ちを必死で抑え込み、「大丈夫、子供を信じるんだよ」と自分に言い聞かせる日々。

「子供にとって母親って何なのかな。どう生きていけば、子供の母親であり続けられるのかな」

 これからも、この問いから逃げ出さずに向き合っていくつもりだ。

上條まゆみ(かみじょう・まゆみ)
ライター。東京都生まれ。大学卒業後、会社員を経てライターとして活動。教育・保育・女性のライフスタイル等、幅広いテーマでインタビューやルポを手がける。近年は、結婚・離婚・再婚・子育て等、家族の問題にフォーカス。現代ビジネスで『子どものいる離婚』、サイゾーウーマンで『2回目だからこそのしあわせ~わたしたちの再婚物語』を連載中。

デイリー新潮取材班編集

子の連れ去りで新法案準備 日本に厳しい措置も 米下院

出典:令和3年9月30日 時事通信社

子の連れ去りで新法案準備 日本に厳しい措置も 米下院

 【ワシントン時事】国際結婚破綻時の子供連れ去りに関する公聴会が29日、米下院外交委人権小委員会で開かれた。

 長年この問題に取り組むスミス共同委員長(共和党)は「日本は共同親権の概念を認識していない」と述べ、子供を取り戻すため日本に対し国務省が厳しい措置を取りやすくする新たな法案を準備していると明らかにした。

 公聴会に出席した米国人の父親は、連邦政府が適切な措置を取らない国に制裁を科す法律があるにもかかわらず、国務省は依然として制裁に踏み切らないと批判。日本政府についても「恥知らずな共謀者だ」と糾弾した。

親子の面会交流制限は「立法不作為」、国賠提訴

出典:令和3年9月28日 産経新聞

親子の面会交流制限は「立法不作為」、国賠提訴

離婚や別居を機に面会交流を制限された親子8人が28日、交流の権利が十分に保障されていないのは国の立法不作為で違法などとして、150万円の国家賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。原告側によると、埼玉や栃木、千葉県などでも同種訴訟が提訴されるという。

日本が平成6年に批准した「子どもの権利条約」では、虐待などのケースを除き「児童が父母の意思に反して父母から分離されないことを確保する」と規定されている。

訴状によると、単独親権制度を採用する日本では、夫婦の別居後に子供と一緒に暮らす親が親権者とされるケースが多く、一方の親が無断で子供を連れ去る「連れ去り行為」が頻発。別居親の監護権や子供と交流する権利が侵害されている現状は同条約や憲法に違反している、と主張する。

提訴後に東京都内で会見した原告の女性(40)は「月に3時間ほどしか子供と会えず、母親として生きる権利を失った。私のような親が増えてほしくない」。原告の一人で、7月に都内でハンガーストライキを行ったフランス国籍のヴィンセント・フィショさん(39)は「今は子供がどこにいるのか、何もわからない。子供が一番かわいそうだ」と訴えた。

共同親権に向けて:国賠の原告とハンストのフランス人男性ら院内集会

出典:令和3年9月14日 SAKISIRU

共同親権に向けて:国賠の原告とハンストのフランス人男性ら院内集会

「明らかに日本社会のシステム、社会の問題」

牧野 佐千子 ジャーナリスト

離婚後の単独親権によって自分の子どもに会えない別居親らが構成する市民団体「共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会」は14日、東京・永田町の衆議院議員会館で院内集会を開き、関連する国賠訴訟の進捗報告等を行った。問題を訴えるために7月に東京都の千駄ヶ谷駅前でハンガーストライキを行ったフランス人男性、ヴァンサン・フィショさんもパネリストとして参加(ハンストについてはこちら)。ハンストの報告やEUで採択された非難決議の現状報告などを行った。

集会でははじめに、「『パパかママか』の単独親権制度は時代にあっていない」として共同親権を求め、国を相手どって係争中の国賠訴訟の進捗状況を報告。弁護団の一人、古賀礼子弁護士は、これまでは被告の国からの具体的な回答がなかったが、今回、親権については「両性の本質的平等」のもと、子どものことを「慎重熟慮のうえに判断する」との文言を使った回答があり、「裁判所も真剣に審議してくれているなと手ごたえを感じている」と語った。

単独親権の問題について取り組む嘉田由紀子参議院議員も集会に参加。「戦後憲法が改正された時に、両性の本質的平等の観点から半年間ほど共同親権を正規の方針にしていた時期があった。現在詳細を調べているところで、進捗をまた報告したい」と話し、離婚の際に子どもを連れ去る行為が、刑法224条の未成年者誘拐略取の対象になるとの答弁が、上川陽子法務大臣からあったことについても報告。その保護法益は「子どもの自由と片方の親の監護権」であると、国会での進捗状況を語った。

また、串田誠一・衆議院議員は「通常国会で諮問になったが、まだまだ共同親権は具体化はされていない。国会議員の一人として本当に申し訳ないと思っている。子どもに会えない祖母の方からも相談受け、この問題は当事者にかかわらず、おじいしゃん、おばあちゃん、いとこまで、一方の親に関わる人間関係がすべて断絶されるとんでもない問題。そのような断絶のない国にしましょう」と訴えた。

ハンストの現場に多くの母親が

続いて、ハンストを行ったヴィンセント・フィショさんが、「この問題について闘う親は、自分たちのためではなく子どもたちのために戦っている」と今回の行動の趣旨について説明。「ハンストの間、たくさんのことを学んだ。多くの(単独親権制によって子どもと会えなくなった当事者の)母親がハンストの現場である千駄ヶ谷駅に来てくれた。あれほどたくさんのお母さんたちも、連れ去りに遭っているとは知らなかった。国内でも被害に遭っている人の数は驚くべきものだ。それなのに最高裁も議会も政府も、『個人的な問題』と言っている。これは明らかに日本社会のシステム、社会の問題だ」と訴えた。

日本の家族法制度の改革について日本政府に長年働きかけてきたフランスの国会議員で、在外フランス人議会議員のティエリ・コンシニさんは、この1年間のEUでの動きを説明。EU議会からの決議案について、ほぼ全議員の賛成票があったことや、フランスのマクロン大統領が東京オリンピック開幕に合わせて来日した際に菅首相と会談し、子どもの権利について話し合いを続けていくとの共同声明を出したことについて報告した。

コンシニ氏は、今後、欧州と日本のフェミニストを招いて子どもの権利のための制度について議論することも検討しているとし、「これからも話し合いの場を作って、一日も早く日本で共同親権が実現するよう戦っていきます」と決意を述べた。

子の連れ去りトラブル相次ぐ 妻がDV口実に支援制度“利用” 対応巡り行政提訴の事態も 背景に「単独親権」

出典:令和3年9月8日 上毛新聞社

子の連れ去りトラブル相次ぐ 妻がDV口実に支援制度“利用” 対応巡り行政提訴の事態も 背景に「単独親権」

 夫婦間の不和などを背景に、配偶者のどちらかが一方的に子どもを連れて別居する「子の連れ去り」を巡るトラブルが、全国で相次いでいる。引き離された側が親権を得るハードルは高いとされ、「連れ去り勝ち」との指摘も上がる。ドメスティックバイオレンス(DV)の支援制度が、本来の趣旨から外れて連れ去りの口実に利用されているとして、当事者が群馬県内の自治体を提訴する事態も起きている。(真下達也)

 埼玉県の40代男性は、小学生の子ども3人と2年余り会えていない。2019年8月、妻が子どもを連れて自宅を出て行った。当初は実家のある前橋市で数日過ごすだけだと思っていたが、音信不通が続き、実家を訪ねても「知らない」と門前払いされた。警察には捜索願を受け付けてもらえず、「何が起きているのか分からなかった」。

 埼玉県の40代男性は、小学生の子ども3人と2年余り会えていない。2019年8月、妻が子どもを連れて自宅を出て行った。当初は実家のある前橋市で数日過ごすだけだと思っていたが、音信不通が続き、実家を訪ねても「知らない」と門前払いされた。警察には捜索願を受け付けてもらえず、「何が起きているのか分からなかった」。

 経緯は徐々に明らかになった。男性によると、妻は実母の勧めで、「夫がDVや、子どもへの虐待をしている」と同市に相談。市はDV防止法に基づく措置として被害保護証明書を作成し、警察への相談を促したり、民間シェルターに一時保護したりしたという。

 これに対し男性は、夫婦関係は悪化していたものの「妻の訴えは虚偽」と主張する。相談に適切に対応すべき注意義務に違反したなどとして、市に300万円の損害賠償を求め5月、前橋地裁へ提訴した。

 男性は「市への相談をきっかけに、半ば自動的に子どもとも引き離されてしまった。最も被害を受けているのは子ども」と強調する。8月25日に開かれた第1回口頭弁論で、市側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。

 子どもを巡る係争は増加し、2020年度に前橋家裁(支部を含む)が受理した子の引き渡しに関する審判の申し立ては、過去10年で最多の66件(速報値)に上った。男性のように「子の連れ去り」被害を訴える声は全国で相次ぎ、名乗り出る著名人もいる。

 「子どものための共同養育支援法をつくる会」の猪熊篤史代表(渋川市)は、離婚すると一方の親だけが親権を持つ民法の「単独親権制度」が、トラブル増加の背景にあると指摘。離婚後も子どもに父母との交流を認める法整備を求める。「DV被害を主張することや、配偶者に子どもを会わせないことが、離婚を有利に進める戦術として成り立っている面がある」とし、行政は相談内容を慎重に確かめる必要があるとした。

一方、DVに関しては当事者同士の主張が食い違うケースがほとんどのため、相談を受けた行政はDV対応を優先せざるを得ないとの指摘もある。県内のあるDV被害者支援団体は「被害に遭ったかは、被害者の認識に基づいて判断されるのが大前提。今の運用を見直すべきではない」と主張する。

海外は「共同親権」主流

 法務省が昨年4月に公表した親権に関する24カ国の調査によると、日本と同様に、離婚後は父母の一方を親権者と定める単独親権のみを認める国はインドとトルコだけで、欧米などは共同親権を導入していた。

 子の連れ去りは国際問題になっている面もある。欧州連合(EU)の議会は国際結婚が破綻した場合などに、日本人の親が国内で子どもを一方的に連れ去ることを禁じるよう日本政府に求める決議案を採択している。

 単独親権制度により親子関係が断絶したとして、群馬県在住の男性を含む6人が同年10月、東京地裁に国家賠償請求訴訟を提訴。共同親権制度を認めるよう民法改正を求めている。国の法制審議会は今年2月から、共同親権制度の是非を含め、離婚や関連制度の在り方を議論している。

離婚後の子育てについて考える。日米でこんなに違う親権制度

出典:令和3年9月7日 NewsCrunch

離婚後の子育てについて考える。日米でこんなに違う親権制度

実子誘拐

親による「子どもの連れ去り」問題。日本とアメリカでの親権制度の違いを、メディアでの歯に衣着せぬコメントでお馴染み、弁護士でもあるケント・ギルバート氏が解説。

夫婦間でのいざこざが原因で、一方の親が無断で子どもを連れて行方をくらましたり、実家に帰って連絡を遮断する親による「子どもの連れ去り」問題。そもそも海外では犯罪となってしまう親による「子どもの連れ去り」が、日本で行われる背景には、日本とアメリカでの親権制度の違いが少なからず影響を与えているという。メディアでの歯に衣着せぬコメントでお馴染み、弁護士でもあるケント・ギルバート氏が解説する。

※本記事は、はすみとしこ:編著『実子誘拐 -「子どもの連れ去り問題」日本は世界から拉致大国と呼ばれている-』(ワニ・プラス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

海外から厳しい目を向けられている日本

国際結婚や国際離婚も増えた今日、子どもの連れ去り問題について、日本は世界中から厳しい目を向けられています。すでに海外メディアは、この問題を大きく取り上げています。

フランスのマクロン大統領までもが、この日本の親による「子どもの連れ去り問題」に不快感を表しました。にも関わらず、日本人の多くが問題の深刻さを理解していません。それどころか、その存在さえも知らない人がたくさんいます。不思議なことに、日本のメディアは、この問題を大きく取り上げません。国会でも、救済法の議論がずっと足踏みしています。

こうした状況に、子どもと会えない多くの親が不安と不満を募らせています。この問題が抜本的な解決に向かわない理由の1つに、DV(ドメスティック バイオレンス = 家庭内暴力)の問題があります。

つまり、一方の親による「子どもの連れ去り」を禁止すれば、DV被害者が子どもを連れて加害者から逃げることができなくなってしまうではないか、という反対意見があるのです。たしかにDVに苦しむ人も多くいます。そうした方々を強力に救済する必要はあります。

しかし、一方で「子どもの連れ去り」問題の多くのケースにおいて「虚偽DV申告」という事態が発生しているのもまた事実です。自らの子どもの連れ去りの正当化のため、DV被害者であると嘘の申告をするのです。こうした場合、連れ去られた親は、いわば虚偽DV被害者という立場に追いやられます。DV被害者の救済と同時に「虚偽DV被害者」もまた救済されるべきなのです。

どちらか一方に偏ることなく、どちらも救済しうるよう、国は勇気と知恵を絞って対策を講じるべきです。それこそが、最大の被害者となる子どもの救済に資する唯一の道です。

今日、子育ては男女が協力すべきとの認識が高まっています。3組に1組が離婚をする離婚大国となった日本。これほどまでに離婚が当たり前となった社会において、離婚後の子育ての「男女共同参画」は強い社会的要請です。

にも関わらず「子どもの連れ去り」という蛮行が、未だに横行している事実は看過できません。この事実は、私達が子どもを所有物のように扱ってきた証拠なのではないでしょうか。私たちは今一度、子どもの幸せについて深く考えてみる必要があると考えます。

日本は「単独親権」、米国は「共同親権」

私は米国カリフォルニア州の弁護士でもあり、日本に長年住んでいる米国人として、米国での離婚後の親権の問題に関して少し記しておこうと思います。 日本では、この連れ去り問題の当事者や団体の多くが「共同親権」にすれば、日本の子どもの連れ去り問題が解決すると考えているようです。

しかし、これは大きな誤解に基づいていると言わざるを得ません。 日本では離婚後の子どもの親権に関しては「単独親権」(父親か母親の一方が親権を持つ)なのですが、米国では「共同親権」といい、離婚後も両親が親権を持ちます。

この問題は複雑で、米国での例をそのまま日本に当てはめれば解決するのかと言えば、国の生い立ちや文化などの違いを考えたときに、解決策になり得るとは思えませんが、“参考にはなる”とは思っています。

子どもの連れ去り問題での犠牲者は誰なのか? ですが、まず一番の影響を受けるのが、 連れ去られた「子どもたち」です。今まで毎日、仲良く遊んでもらったり、さまざまな事を教えてもらったり、面倒を見てもらっていた片方の親から、もう一方の親のエゴによって強制的に引き離されるわけです。

そして、このことによって、子どもの精神状態は大変不安定になります。なかには、そのことだけで、精神疾患に陥った子どもたちも少なくありません。登校拒否をしたり、薬物に手を染めたりするのも、片親の子どもの場合が多いのは、各調査でも明らかになっています。

もう1人の被害者は、連れ去られた側の親です。 ある日突然、配偶者と子どもが消えてしまいます。その背後には「婦人相談所」などの機関が関わっているという話もあります。

その連れ去られた親も、仕事が手につかずに精神疾患に陥ったり、自殺したりと悲惨な状況にあります。何ヶ月も、何年もかけて子どもの居場所を見つけて、取り戻しに行って逮捕された親も多くいます。驚くことに、連れ去られた被害者には、裁判官や弁護士もいるということです。

共同親権は権利であると同時に義務でもある

米国では離婚後、どのような制度になっているのかを簡単に説明します。州によって若干の違いはありますが、ここでは、カリフォルニア州の場合に限定してご説明いたします。米国では離婚後は「共同親権」の制度を採っています。

米国が「共同親権」だから、日本でもそうするべきだというのではありません。日本と米国では、国そのものの生い立ちも違います。日本人が考える方法が日本には最善と考えますので、私の話は参考程度にしていただきたいと思います。

「共同親権」は、米国では“Shared Parental Authority” (シェアード・ペアレンタル・オーソリティ) と言います。この他に「共同養育」を “Shared Parental Custody” (シェアード・ペアレンタル・カス ティディ)と言います。

離婚後でも、双方が親権を持つわけですが、この親権は「権利」だけではなく「義務」も付随します。子どもが成人になるまでは、その監護義務があります。そして、その費用に関しても、双方の収入の合計を半分にして、収入の多いほうが少ないほうに基準に沿った差額を支払う義務があります。

この義務を怠ると、給料の差し押さえ・ローンを組めない・公務員になれない・公の仕事を受けられない、・自動車運転免許証を持てない。自動車を購入できないなど、さまざまな制裁があります。 しかし同時に、子どもに会う時間も、お互いの親が最大限に努力し、多くの時間を子どもと過ごせるようにする義務があります。これを怠ると、ともすれば、児童虐待になる場合もあります。円満な婚姻関係の解消であれば、当然、これらの問題は起きません。

しかし、片方の浮気が原因や、その他の原因で夫婦が憎しみあった場合には、子どもを盾にした訴訟合戦に発展します。米国の訴訟には多額の弁護士費用が必要になります。この多額の弁護士費用が、ある意味、訴訟への進展を思いとどまらせる効果がある場合もありますが、逆に相手を脅す材料にも使われます(ここは日本には当てはまらない部分です)。

金銭的に余裕がない側は、訴訟になることを避けるために相手の出す条件を泣く泣く飲まなければならない場合もあります。訴訟になる原因の多くは、お互いが同等に持っている「親権」を理由に争いますので、ある意味、決着が付かない長期戦になり、双方が大金を投じて消耗し、子どもがその影響を大きく受けて、貧困に陥ったりするのです。

この親権の問題は、日本では子どもが成人する20歳までの問題です。逆に言えば、20歳までは、自分たちの意思で結婚し子どもを作った親としての責任を感じ、子どもが成人するまでは我慢するというのが、日本だけではなく世界の親が行うべきことだと私は思います。

実子誘拐を黙殺する日本のメディア|上條まゆみ

出典:令和3年8月27日 月刊Hanadaプラス

実子誘拐を黙殺する日本のメディア|上條まゆみ [#jb133de5]

「私の子供たちは日本で誘拐されています」。メダルラッシュに沸いた東京オリンピックの陰で、命がけのハンストを行っていたフランス人男性、ヴィンセント・フィショ氏。BBCをはじめ、海外メディアが続々とこの問題を報道するなか、日本のメディアは「報道しない自由」を行使。日本の司法は腐っているが、日本のメディアも腐っている――。

私の子どもたちが日本で誘拐された

日本在住のフランス人男性、ヴィンセント・フィショ氏は、2021年7月10日から30日まで21日間にわたり、オリンピックスタジアム近くのJR千駄ヶ谷の駅前でハンガーストライキを行った。

ヴィンセント氏が命を賭けて訴えたのは、妻に連れ去られた子どもとの再会である。ヴィンセント氏によると、彼の妻は2018年8月、彼に無断で、当時3歳と1歳の子どもを連れて家を出て行った。

ヴィンセント氏が来日したのは15年前、24歳のとき。金融機関の駐在員として東京にやってきて、同い年の日本人女性と知り合った。意気投合して結婚し、2015年には長男が誕生。ヴィンセント氏が公開しているHPによれば、出産後、妻は家事や育児を放棄するようになり、夫婦仲が悪くなった。その後、妻はヴィンセント氏に無断で、不妊治療の際に冷凍保存してあった精子を利用して2人目を出産。ヴィンセント氏は妻に離婚をもちかけたが、妻は拒否した。

そんなある日、ヴィンセント氏が仕事から帰ると、家の中はもぬけのから。家財道具も車も、妻子の姿も消えていた。

「警察に行き、子どもの誘拐を訴えましたが、何の協力も得られませんでした。それどころか、私が子どもを連れ戻そうとすれば、誘拐罪で逮捕するとまで言われてしまいました。弁護士にも相談しましたが、いったん連れ去られてしまえば子どもに会えなくなってしまうのが日本の現実だ、と……」

その後、ヴィンセント氏の弁護士と妻側の弁護士が協議した。「子どもに会わせてほしい」という彼の訴えに、妻側の弁護士は「自身のDVを認めれば会わせるが、認めなければ会わせない」と言ってきた。

ヴィンセント氏は、DVなどしていない。だから、DVを認めなかった。実際、その後の調停でヴィンセント氏のDVはなかったとされ、妻側も主張を撤回している。

調停では、子どもの監護者指定をめぐる話し合いがもたれた。連れ去りによって妻が子どもの監護を行っている現状があることから、「継続性の原則」が適用され、子どもの監護者は妻に指定された。妻はヴィンセント氏に子どもを会わせることを拒否しており、司法もそれを許している。現在は離婚裁判中である。

今日までおよそ3年間、ヴィンセント氏は子どもに会えていない。

実子誘拐を容認する日本の司法

なぜヴィンセント氏は子どもに会えないのか。

家事事件にくわしい栗原務弁護士は、
「その背景には、日本における法制度の不備と裁判所の不適切な運用実務がある」と言う。

日本は、離婚をした際に片方の親だけが親権をもつ単独親権制度を採用している。しかし、離婚後、どちらの親が親権を得るのかについての基準は法制化されていない。また、離婚前に子どもの監護者の指定が問題となる場合も、どちらの親を監護者として指定すべきかについての基準は法制化されていない。

その法の不備を裁判所の裁量的判断が埋めているが、裁判所における親権者または監護者の判定においては「現在、どちらの親が子どもと暮らしているか」という点が重視され、子どもが片親と暮らさなくなった経緯(同意に基づく別居か、連れ去りによる別居か等)の当否や、子どもと暮らしている親の都合により他方の親と子どもの関係が断絶されていることの当否等が軽視されている。

つまり、先に子どもを連れ去り、子どもを引き離した側が有利となる。

そもそも、片方の親の同意なく一方的に子どもを連れ去る行為は未成年者誘拐罪にあたる。しかし、なぜかそれは不問に付され、連れ去られた子どもを連れ戻す行為は未成年者誘拐罪として逮捕されてしまう。

子どもと引き離された親が、子どもと交流し続けることを担保する手続きがないという問題もある。裁判所が面会交流を認めても、強制力がないため、引き離されている親と子どもは子どもと同居している親の都合により簡単に断絶される。

「結婚生活で揉めて、妻が『実家に帰らせていただきます』と子どもを連れて出て行ってしまうのは、日本では昔からよくあることだった。出て行かれる側は相当ひどいことをしたんじゃないの、それならまあ仕方がないよね、といったような偏見が未だ根強い。しかし、一方の親が他方の親の同意なく子どもを連れて家を出ていくことは、未成年者誘拐罪にあたる。それにもかかわらず、警察も弁護士も裁判官も調査官までもが、原則論を無視し、また、例外的に正当化される事由の有無を一切検討することなく、法的な正当化根拠を曖昧にしたまま、連れ去りや親子の引き離しを容認しているんです」(栗原弁護士)

日本は子どもの拉致国家

親子が片方の親によって一方的に引き離されている状態は、子どもの権利を侵害している。1989年に国連総会で採択され、1990年に国際条約として発効した「児童の権利条約(子どもの権利条約)」に、日本は1994年に批准しているが、その9条1項には「児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する」と定められている。

また、9条3項は「児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する」と定めている。子どもの連れ去り、そしてその後の親子の断絶は、明らかに国際条約違反だ。

「子どもの権利を守ってほしい」

これまでヴィンセント氏は、さまざまな法的行為を試してきた。日本の警察や司法には頼れないと知ると、EUや欧州議会に訴えるほか、2019年にはフランスのマクロン大統領にも面会し、支援を求めた。マクロン大統領は、ヴィンセント氏の訴えを受理し、日本に抗議した。しかし、事態はいっこうに改善しない。
 
その間にも、妻側が提起した離婚裁判は粛々と進み、年内には判決が出る見通しとなった。ヴィンセント氏は、今は子どもの親権者だが、裁判で離婚が成立すると、監護権をもつ妻が子どもの単独親権者となってしまう。

婚姻中で共同親権の状態にある今でさえ夫に子どもを会わせない妻が、単独親権者となってから、子どもを会わせるようになるとは思えない。ヴィンセント氏は危機感を募らせた。

そこで始めたハンガーストライキ。

ヴィンセント氏を支えるハンガーストライキ支援事務局によれば、このプロジェクトの立ち上がりは今年4月。オリンピックのタイミングに合わせてハンガーストライキを行うことで注目を集め、日本における子どもの権利侵害を広く訴えようと考えた。

マクロン大統領にもコンタクトをとっていた

ヴィンセント氏自身は、実際に子どもに会えるまでハンガーストライキを続ける覚悟だった。ふらついて倒れた際にけがをした手の手術を余儀なくされたことで、30日をもってハンガーストライキは中断している。

「子どもに会いたい」というヴィンセント氏の望みはかなわなかったものの、ハンガーストライキは事態の改善に向けて一定の効果があったと支援事務局では見ている。

「ヴィンセント氏の訴えが重大な子どもの人権侵害だということが理解されたのだと思います。初日から海外のメディアの取材が入り、フランスやイタリア、アメリカなど欧米諸国では大きく報道されました。最終的には、BBC(英国公共放送)で放映され、日本でも配信されました。ヴィンセント氏と同じように親子断絶に苦しむ当事者がたくさん現地に訪れ、これが個人の問題ではなく社会の問題であること、男女問わず誰にでも起こりうる問題であることを世間に示してくれました」(支援事務局)

日本のメディアは消極的だったが、これは想定内。日本にはこれまでの経緯から、日本のメディアが子どもの連れ去りや親権がからむ報道に、必要以上に慎重であることはわかっていた。実際、一度、記事になったものの、ヴィンセント氏の主張だけで相手方の主張が併記されていないとの理由で削除されたWeb記事もあった。

ヴィンセント氏は、フランス大使館を通じてマクロン大統領にもコンタクトをとっていた。マクロン大統領が現地を訪問し、直訴の機会が得られるのではないかとも期待された。結論として訪問は実現しなかったが、マクロン大統領は7月24日に行われた菅義偉首相との会談で、ヴィンセント氏が訴える子どもの連れ去り問題に言及。その結果、日仏共同声明のなかに領事協力として「両国は、子の利益を最優先として、対話を強化することをコミットする」との文言が盛り込まれた。

さらに7月30日には、パトリシア・フロアEU駐日大使をはじめフランスドイツ、イタリア、スペインなど欧州連合(EU)加盟国の駐日大使ら9人がヴィンセント氏を訪問し、連帯の意向を示した。

「これらのことは、ヴィンセント氏にとってはもちろん、日本人当事者、共同親権・共同養育支持者にとって決して小さくない成果だと思っています」(支援事務局)

子どもに会うことはできるのか

さて、今後だが、ヴィンセント氏は子どもに会えるのか。ヴィンセント氏が望んでいるのは、離婚をしても子どもの養育に半分携わる、欧米では当たり前のスタイル。はたして、それは実現するのか。

「正直、見通しは甘くないと思っています」と言うのは、ヴィンセント氏の代理人を務める上野晃弁護士。たしかにハンガーストライキには、一定の効果があった。終盤を迎えていた離婚訴訟に和解のテーブルが設けられる可能性が出てきたのも、ハンガーストライキが与えたインパクトのおかげだ。しかし、形式的に和解協議の機会が与えられただけでは、結局、双方の意見が一致せず、和解は決裂する未来が見えている。

「家事事件にせよその他の訴訟にせよ、裁判官は、当事者が抱く、『自分に不利な判決が出るのではないか』という不安を利用して和解を引き出します。例えば100万円を返してほしいという訴訟の場合、訴えた側が、『判決だと50万円くらいしか返ってこないかもしれない』と不安を抱く一方、訴えられた側が、『判決だと100万円を全額返せという判決が出るかもしれない』と不安を抱く。その両者が抱く不安を利用して『80万円でどうですか』と和解に導くことができるのです。しかしながら、今回の件を含めて日本の家事司法のように、子どもを連れ去った側に、確実に親権が得られる仕組みになっており、さらに連れ去られた親に子どもを会わせるか否かも連れ去った親に多大な決定権が事実上与えられている現状では、子どもと同居する相手側に、たとえば『ヴィンセントさんと子どもたちとの交流を年の半分くらい確保する』といった和解に応じる心理的動機付けが極めて乏しいと言わざるを得ません」
 
要するに、連れ去り勝ちを容認する法の運用実務がある限り、ヴィンセント氏の現状は好転しない。子どもの権利は守られない。

上野弁護士は、裁判所に法の運用実務を改める努力をしてほしいと言う。
「具体的には、フレンドリーペアレントルールの導入です。フレンドリーペアレントルールとは、子どもの親としての関係で、片方の親と友好的な関係を築くことのできる親のほうが親権者にふさわしいとするもの。このルールの導入によって、子どもの連れ去りや親子の引き離しは減るはずです」

個々の案件の積み重ねによって法の運用実務は変わる。弁護士や裁判官、調査官など家事事件に携わる人たちみんなが子どもの連れ去りや親子の引き離しに厳しい目をもつことで、少しずつ運用実務は変わっていく。

「当事者ではない、まったく利害関係がない人に子どもの連れ去りや親子の引き離しについて話すと、たいていは『それは酷いね』『おかしいね』といった反応です。それがふつうの感覚なんです。この問題を広く世間に知らせ、まわりの声を大きくしていくことが大切なのだと思います」(前出・栗原弁護士)

ヴィンセント氏の起こしたアクションは、その一助となったと思われる。それにしても、日本のメディアがヴィンセント氏のハンガーストライキをほとんど報道しないのはなぜなのだろうか。

 
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更新 2021-11-13 (土) 16:18:35
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