民法819条(単独親権制度)改正を求め共同親権・共同監護制度の導入・ハーグ条約締結の推進と活動を行っています

トピック

アクセス数
総計:83024 今日:2 昨日:3

共同親権に向けて:国賠の原告とハンストのフランス人男性ら院内集会

出典:令和3年9月14日 SAKISIRU

共同親権に向けて:国賠の原告とハンストのフランス人男性ら院内集会

「明らかに日本社会のシステム、社会の問題」

牧野 佐千子 ジャーナリスト

離婚後の単独親権によって自分の子どもに会えない別居親らが構成する市民団体「共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会」は14日、東京・永田町の衆議院議員会館で院内集会を開き、関連する国賠訴訟の進捗報告等を行った。問題を訴えるために7月に東京都の千駄ヶ谷駅前でハンガーストライキを行ったフランス人男性、ヴァンサン・フィショさんもパネリストとして参加(ハンストについてはこちら)。ハンストの報告やEUで採択された非難決議の現状報告などを行った。

集会でははじめに、「『パパかママか』の単独親権制度は時代にあっていない」として共同親権を求め、国を相手どって係争中の国賠訴訟の進捗状況を報告。弁護団の一人、古賀礼子弁護士は、これまでは被告の国からの具体的な回答がなかったが、今回、親権については「両性の本質的平等」のもと、子どものことを「慎重熟慮のうえに判断する」との文言を使った回答があり、「裁判所も真剣に審議してくれているなと手ごたえを感じている」と語った。

単独親権の問題について取り組む嘉田由紀子参議院議員も集会に参加。「戦後憲法が改正された時に、両性の本質的平等の観点から半年間ほど共同親権を正規の方針にしていた時期があった。現在詳細を調べているところで、進捗をまた報告したい」と話し、離婚の際に子どもを連れ去る行為が、刑法224条の未成年者誘拐略取の対象になるとの答弁が、上川陽子法務大臣からあったことについても報告。その保護法益は「子どもの自由と片方の親の監護権」であると、国会での進捗状況を語った。

また、串田誠一・衆議院議員は「通常国会で諮問になったが、まだまだ共同親権は具体化はされていない。国会議員の一人として本当に申し訳ないと思っている。子どもに会えない祖母の方からも相談受け、この問題は当事者にかかわらず、おじいしゃん、おばあちゃん、いとこまで、一方の親に関わる人間関係がすべて断絶されるとんでもない問題。そのような断絶のない国にしましょう」と訴えた。

ハンストの現場に多くの母親が

続いて、ハンストを行ったヴィンセント・フィショさんが、「この問題について闘う親は、自分たちのためではなく子どもたちのために戦っている」と今回の行動の趣旨について説明。「ハンストの間、たくさんのことを学んだ。多くの(単独親権制によって子どもと会えなくなった当事者の)母親がハンストの現場である千駄ヶ谷駅に来てくれた。あれほどたくさんのお母さんたちも、連れ去りに遭っているとは知らなかった。国内でも被害に遭っている人の数は驚くべきものだ。それなのに最高裁も議会も政府も、『個人的な問題』と言っている。これは明らかに日本社会のシステム、社会の問題だ」と訴えた。

日本の家族法制度の改革について日本政府に長年働きかけてきたフランスの国会議員で、在外フランス人議会議員のティエリ・コンシニさんは、この1年間のEUでの動きを説明。EU議会からの決議案について、ほぼ全議員の賛成票があったことや、フランスのマクロン大統領が東京オリンピック開幕に合わせて来日した際に菅首相と会談し、子どもの権利について話し合いを続けていくとの共同声明を出したことについて報告した。

コンシニ氏は、今後、欧州と日本のフェミニストを招いて子どもの権利のための制度について議論することも検討しているとし、「これからも話し合いの場を作って、一日も早く日本で共同親権が実現するよう戦っていきます」と決意を述べた。

子の連れ去りトラブル相次ぐ 妻がDV口実に支援制度“利用” 対応巡り行政提訴の事態も 背景に「単独親権」

出典:令和3年9月8日 上毛新聞社

子の連れ去りトラブル相次ぐ 妻がDV口実に支援制度“利用” 対応巡り行政提訴の事態も 背景に「単独親権」

 夫婦間の不和などを背景に、配偶者のどちらかが一方的に子どもを連れて別居する「子の連れ去り」を巡るトラブルが、全国で相次いでいる。引き離された側が親権を得るハードルは高いとされ、「連れ去り勝ち」との指摘も上がる。ドメスティックバイオレンス(DV)の支援制度が、本来の趣旨から外れて連れ去りの口実に利用されているとして、当事者が群馬県内の自治体を提訴する事態も起きている。(真下達也)

 埼玉県の40代男性は、小学生の子ども3人と2年余り会えていない。2019年8月、妻が子どもを連れて自宅を出て行った。当初は実家のある前橋市で数日過ごすだけだと思っていたが、音信不通が続き、実家を訪ねても「知らない」と門前払いされた。警察には捜索願を受け付けてもらえず、「何が起きているのか分からなかった」。

 埼玉県の40代男性は、小学生の子ども3人と2年余り会えていない。2019年8月、妻が子どもを連れて自宅を出て行った。当初は実家のある前橋市で数日過ごすだけだと思っていたが、音信不通が続き、実家を訪ねても「知らない」と門前払いされた。警察には捜索願を受け付けてもらえず、「何が起きているのか分からなかった」。

 経緯は徐々に明らかになった。男性によると、妻は実母の勧めで、「夫がDVや、子どもへの虐待をしている」と同市に相談。市はDV防止法に基づく措置として被害保護証明書を作成し、警察への相談を促したり、民間シェルターに一時保護したりしたという。

 これに対し男性は、夫婦関係は悪化していたものの「妻の訴えは虚偽」と主張する。相談に適切に対応すべき注意義務に違反したなどとして、市に300万円の損害賠償を求め5月、前橋地裁へ提訴した。

 男性は「市への相談をきっかけに、半ば自動的に子どもとも引き離されてしまった。最も被害を受けているのは子ども」と強調する。8月25日に開かれた第1回口頭弁論で、市側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。

 子どもを巡る係争は増加し、2020年度に前橋家裁(支部を含む)が受理した子の引き渡しに関する審判の申し立ては、過去10年で最多の66件(速報値)に上った。男性のように「子の連れ去り」被害を訴える声は全国で相次ぎ、名乗り出る著名人もいる。

 「子どものための共同養育支援法をつくる会」の猪熊篤史代表(渋川市)は、離婚すると一方の親だけが親権を持つ民法の「単独親権制度」が、トラブル増加の背景にあると指摘。離婚後も子どもに父母との交流を認める法整備を求める。「DV被害を主張することや、配偶者に子どもを会わせないことが、離婚を有利に進める戦術として成り立っている面がある」とし、行政は相談内容を慎重に確かめる必要があるとした。

一方、DVに関しては当事者同士の主張が食い違うケースがほとんどのため、相談を受けた行政はDV対応を優先せざるを得ないとの指摘もある。県内のあるDV被害者支援団体は「被害に遭ったかは、被害者の認識に基づいて判断されるのが大前提。今の運用を見直すべきではない」と主張する。

海外は「共同親権」主流

 法務省が昨年4月に公表した親権に関する24カ国の調査によると、日本と同様に、離婚後は父母の一方を親権者と定める単独親権のみを認める国はインドとトルコだけで、欧米などは共同親権を導入していた。

 子の連れ去りは国際問題になっている面もある。欧州連合(EU)の議会は国際結婚が破綻した場合などに、日本人の親が国内で子どもを一方的に連れ去ることを禁じるよう日本政府に求める決議案を採択している。

 単独親権制度により親子関係が断絶したとして、群馬県在住の男性を含む6人が同年10月、東京地裁に国家賠償請求訴訟を提訴。共同親権制度を認めるよう民法改正を求めている。国の法制審議会は今年2月から、共同親権制度の是非を含め、離婚や関連制度の在り方を議論している。

離婚後の子育てについて考える。日米でこんなに違う親権制度

出典:令和3年9月7日 NewsCrunch

離婚後の子育てについて考える。日米でこんなに違う親権制度

実子誘拐

親による「子どもの連れ去り」問題。日本とアメリカでの親権制度の違いを、メディアでの歯に衣着せぬコメントでお馴染み、弁護士でもあるケント・ギルバート氏が解説。

夫婦間でのいざこざが原因で、一方の親が無断で子どもを連れて行方をくらましたり、実家に帰って連絡を遮断する親による「子どもの連れ去り」問題。そもそも海外では犯罪となってしまう親による「子どもの連れ去り」が、日本で行われる背景には、日本とアメリカでの親権制度の違いが少なからず影響を与えているという。メディアでの歯に衣着せぬコメントでお馴染み、弁護士でもあるケント・ギルバート氏が解説する。

※本記事は、はすみとしこ:編著『実子誘拐 -「子どもの連れ去り問題」日本は世界から拉致大国と呼ばれている-』(ワニ・プラス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

海外から厳しい目を向けられている日本

国際結婚や国際離婚も増えた今日、子どもの連れ去り問題について、日本は世界中から厳しい目を向けられています。すでに海外メディアは、この問題を大きく取り上げています。

フランスのマクロン大統領までもが、この日本の親による「子どもの連れ去り問題」に不快感を表しました。にも関わらず、日本人の多くが問題の深刻さを理解していません。それどころか、その存在さえも知らない人がたくさんいます。不思議なことに、日本のメディアは、この問題を大きく取り上げません。国会でも、救済法の議論がずっと足踏みしています。

こうした状況に、子どもと会えない多くの親が不安と不満を募らせています。この問題が抜本的な解決に向かわない理由の1つに、DV(ドメスティック バイオレンス = 家庭内暴力)の問題があります。

つまり、一方の親による「子どもの連れ去り」を禁止すれば、DV被害者が子どもを連れて加害者から逃げることができなくなってしまうではないか、という反対意見があるのです。たしかにDVに苦しむ人も多くいます。そうした方々を強力に救済する必要はあります。

しかし、一方で「子どもの連れ去り」問題の多くのケースにおいて「虚偽DV申告」という事態が発生しているのもまた事実です。自らの子どもの連れ去りの正当化のため、DV被害者であると嘘の申告をするのです。こうした場合、連れ去られた親は、いわば虚偽DV被害者という立場に追いやられます。DV被害者の救済と同時に「虚偽DV被害者」もまた救済されるべきなのです。

どちらか一方に偏ることなく、どちらも救済しうるよう、国は勇気と知恵を絞って対策を講じるべきです。それこそが、最大の被害者となる子どもの救済に資する唯一の道です。

今日、子育ては男女が協力すべきとの認識が高まっています。3組に1組が離婚をする離婚大国となった日本。これほどまでに離婚が当たり前となった社会において、離婚後の子育ての「男女共同参画」は強い社会的要請です。

にも関わらず「子どもの連れ去り」という蛮行が、未だに横行している事実は看過できません。この事実は、私達が子どもを所有物のように扱ってきた証拠なのではないでしょうか。私たちは今一度、子どもの幸せについて深く考えてみる必要があると考えます。

日本は「単独親権」、米国は「共同親権」

私は米国カリフォルニア州の弁護士でもあり、日本に長年住んでいる米国人として、米国での離婚後の親権の問題に関して少し記しておこうと思います。 日本では、この連れ去り問題の当事者や団体の多くが「共同親権」にすれば、日本の子どもの連れ去り問題が解決すると考えているようです。

しかし、これは大きな誤解に基づいていると言わざるを得ません。 日本では離婚後の子どもの親権に関しては「単独親権」(父親か母親の一方が親権を持つ)なのですが、米国では「共同親権」といい、離婚後も両親が親権を持ちます。

この問題は複雑で、米国での例をそのまま日本に当てはめれば解決するのかと言えば、国の生い立ちや文化などの違いを考えたときに、解決策になり得るとは思えませんが、“参考にはなる”とは思っています。

子どもの連れ去り問題での犠牲者は誰なのか? ですが、まず一番の影響を受けるのが、 連れ去られた「子どもたち」です。今まで毎日、仲良く遊んでもらったり、さまざまな事を教えてもらったり、面倒を見てもらっていた片方の親から、もう一方の親のエゴによって強制的に引き離されるわけです。

そして、このことによって、子どもの精神状態は大変不安定になります。なかには、そのことだけで、精神疾患に陥った子どもたちも少なくありません。登校拒否をしたり、薬物に手を染めたりするのも、片親の子どもの場合が多いのは、各調査でも明らかになっています。

もう1人の被害者は、連れ去られた側の親です。 ある日突然、配偶者と子どもが消えてしまいます。その背後には「婦人相談所」などの機関が関わっているという話もあります。

その連れ去られた親も、仕事が手につかずに精神疾患に陥ったり、自殺したりと悲惨な状況にあります。何ヶ月も、何年もかけて子どもの居場所を見つけて、取り戻しに行って逮捕された親も多くいます。驚くことに、連れ去られた被害者には、裁判官や弁護士もいるということです。

共同親権は権利であると同時に義務でもある

米国では離婚後、どのような制度になっているのかを簡単に説明します。州によって若干の違いはありますが、ここでは、カリフォルニア州の場合に限定してご説明いたします。米国では離婚後は「共同親権」の制度を採っています。

米国が「共同親権」だから、日本でもそうするべきだというのではありません。日本と米国では、国そのものの生い立ちも違います。日本人が考える方法が日本には最善と考えますので、私の話は参考程度にしていただきたいと思います。

「共同親権」は、米国では“Shared Parental Authority” (シェアード・ペアレンタル・オーソリティ) と言います。この他に「共同養育」を “Shared Parental Custody” (シェアード・ペアレンタル・カス ティディ)と言います。

離婚後でも、双方が親権を持つわけですが、この親権は「権利」だけではなく「義務」も付随します。子どもが成人になるまでは、その監護義務があります。そして、その費用に関しても、双方の収入の合計を半分にして、収入の多いほうが少ないほうに基準に沿った差額を支払う義務があります。

この義務を怠ると、給料の差し押さえ・ローンを組めない・公務員になれない・公の仕事を受けられない、・自動車運転免許証を持てない。自動車を購入できないなど、さまざまな制裁があります。 しかし同時に、子どもに会う時間も、お互いの親が最大限に努力し、多くの時間を子どもと過ごせるようにする義務があります。これを怠ると、ともすれば、児童虐待になる場合もあります。円満な婚姻関係の解消であれば、当然、これらの問題は起きません。

しかし、片方の浮気が原因や、その他の原因で夫婦が憎しみあった場合には、子どもを盾にした訴訟合戦に発展します。米国の訴訟には多額の弁護士費用が必要になります。この多額の弁護士費用が、ある意味、訴訟への進展を思いとどまらせる効果がある場合もありますが、逆に相手を脅す材料にも使われます(ここは日本には当てはまらない部分です)。

金銭的に余裕がない側は、訴訟になることを避けるために相手の出す条件を泣く泣く飲まなければならない場合もあります。訴訟になる原因の多くは、お互いが同等に持っている「親権」を理由に争いますので、ある意味、決着が付かない長期戦になり、双方が大金を投じて消耗し、子どもがその影響を大きく受けて、貧困に陥ったりするのです。

この親権の問題は、日本では子どもが成人する20歳までの問題です。逆に言えば、20歳までは、自分たちの意思で結婚し子どもを作った親としての責任を感じ、子どもが成人するまでは我慢するというのが、日本だけではなく世界の親が行うべきことだと私は思います。

実子誘拐を黙殺する日本のメディア|上條まゆみ

出典:令和3年8月27日 月刊Hanadaプラス

実子誘拐を黙殺する日本のメディア|上條まゆみ [#jb133de5]

「私の子供たちは日本で誘拐されています」。メダルラッシュに沸いた東京オリンピックの陰で、命がけのハンストを行っていたフランス人男性、ヴィンセント・フィショ氏。BBCをはじめ、海外メディアが続々とこの問題を報道するなか、日本のメディアは「報道しない自由」を行使。日本の司法は腐っているが、日本のメディアも腐っている――。

私の子どもたちが日本で誘拐された

日本在住のフランス人男性、ヴィンセント・フィショ氏は、2021年7月10日から30日まで21日間にわたり、オリンピックスタジアム近くのJR千駄ヶ谷の駅前でハンガーストライキを行った。

ヴィンセント氏が命を賭けて訴えたのは、妻に連れ去られた子どもとの再会である。ヴィンセント氏によると、彼の妻は2018年8月、彼に無断で、当時3歳と1歳の子どもを連れて家を出て行った。

ヴィンセント氏が来日したのは15年前、24歳のとき。金融機関の駐在員として東京にやってきて、同い年の日本人女性と知り合った。意気投合して結婚し、2015年には長男が誕生。ヴィンセント氏が公開しているHPによれば、出産後、妻は家事や育児を放棄するようになり、夫婦仲が悪くなった。その後、妻はヴィンセント氏に無断で、不妊治療の際に冷凍保存してあった精子を利用して2人目を出産。ヴィンセント氏は妻に離婚をもちかけたが、妻は拒否した。

そんなある日、ヴィンセント氏が仕事から帰ると、家の中はもぬけのから。家財道具も車も、妻子の姿も消えていた。

「警察に行き、子どもの誘拐を訴えましたが、何の協力も得られませんでした。それどころか、私が子どもを連れ戻そうとすれば、誘拐罪で逮捕するとまで言われてしまいました。弁護士にも相談しましたが、いったん連れ去られてしまえば子どもに会えなくなってしまうのが日本の現実だ、と……」

その後、ヴィンセント氏の弁護士と妻側の弁護士が協議した。「子どもに会わせてほしい」という彼の訴えに、妻側の弁護士は「自身のDVを認めれば会わせるが、認めなければ会わせない」と言ってきた。

ヴィンセント氏は、DVなどしていない。だから、DVを認めなかった。実際、その後の調停でヴィンセント氏のDVはなかったとされ、妻側も主張を撤回している。

調停では、子どもの監護者指定をめぐる話し合いがもたれた。連れ去りによって妻が子どもの監護を行っている現状があることから、「継続性の原則」が適用され、子どもの監護者は妻に指定された。妻はヴィンセント氏に子どもを会わせることを拒否しており、司法もそれを許している。現在は離婚裁判中である。

今日までおよそ3年間、ヴィンセント氏は子どもに会えていない。

実子誘拐を容認する日本の司法

なぜヴィンセント氏は子どもに会えないのか。

家事事件にくわしい栗原務弁護士は、
「その背景には、日本における法制度の不備と裁判所の不適切な運用実務がある」と言う。

日本は、離婚をした際に片方の親だけが親権をもつ単独親権制度を採用している。しかし、離婚後、どちらの親が親権を得るのかについての基準は法制化されていない。また、離婚前に子どもの監護者の指定が問題となる場合も、どちらの親を監護者として指定すべきかについての基準は法制化されていない。

その法の不備を裁判所の裁量的判断が埋めているが、裁判所における親権者または監護者の判定においては「現在、どちらの親が子どもと暮らしているか」という点が重視され、子どもが片親と暮らさなくなった経緯(同意に基づく別居か、連れ去りによる別居か等)の当否や、子どもと暮らしている親の都合により他方の親と子どもの関係が断絶されていることの当否等が軽視されている。

つまり、先に子どもを連れ去り、子どもを引き離した側が有利となる。

そもそも、片方の親の同意なく一方的に子どもを連れ去る行為は未成年者誘拐罪にあたる。しかし、なぜかそれは不問に付され、連れ去られた子どもを連れ戻す行為は未成年者誘拐罪として逮捕されてしまう。

子どもと引き離された親が、子どもと交流し続けることを担保する手続きがないという問題もある。裁判所が面会交流を認めても、強制力がないため、引き離されている親と子どもは子どもと同居している親の都合により簡単に断絶される。

「結婚生活で揉めて、妻が『実家に帰らせていただきます』と子どもを連れて出て行ってしまうのは、日本では昔からよくあることだった。出て行かれる側は相当ひどいことをしたんじゃないの、それならまあ仕方がないよね、といったような偏見が未だ根強い。しかし、一方の親が他方の親の同意なく子どもを連れて家を出ていくことは、未成年者誘拐罪にあたる。それにもかかわらず、警察も弁護士も裁判官も調査官までもが、原則論を無視し、また、例外的に正当化される事由の有無を一切検討することなく、法的な正当化根拠を曖昧にしたまま、連れ去りや親子の引き離しを容認しているんです」(栗原弁護士)

日本は子どもの拉致国家

親子が片方の親によって一方的に引き離されている状態は、子どもの権利を侵害している。1989年に国連総会で採択され、1990年に国際条約として発効した「児童の権利条約(子どもの権利条約)」に、日本は1994年に批准しているが、その9条1項には「児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する」と定められている。

また、9条3項は「児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する」と定めている。子どもの連れ去り、そしてその後の親子の断絶は、明らかに国際条約違反だ。

「子どもの権利を守ってほしい」

これまでヴィンセント氏は、さまざまな法的行為を試してきた。日本の警察や司法には頼れないと知ると、EUや欧州議会に訴えるほか、2019年にはフランスのマクロン大統領にも面会し、支援を求めた。マクロン大統領は、ヴィンセント氏の訴えを受理し、日本に抗議した。しかし、事態はいっこうに改善しない。
 
その間にも、妻側が提起した離婚裁判は粛々と進み、年内には判決が出る見通しとなった。ヴィンセント氏は、今は子どもの親権者だが、裁判で離婚が成立すると、監護権をもつ妻が子どもの単独親権者となってしまう。

婚姻中で共同親権の状態にある今でさえ夫に子どもを会わせない妻が、単独親権者となってから、子どもを会わせるようになるとは思えない。ヴィンセント氏は危機感を募らせた。

そこで始めたハンガーストライキ。

ヴィンセント氏を支えるハンガーストライキ支援事務局によれば、このプロジェクトの立ち上がりは今年4月。オリンピックのタイミングに合わせてハンガーストライキを行うことで注目を集め、日本における子どもの権利侵害を広く訴えようと考えた。

マクロン大統領にもコンタクトをとっていた

ヴィンセント氏自身は、実際に子どもに会えるまでハンガーストライキを続ける覚悟だった。ふらついて倒れた際にけがをした手の手術を余儀なくされたことで、30日をもってハンガーストライキは中断している。

「子どもに会いたい」というヴィンセント氏の望みはかなわなかったものの、ハンガーストライキは事態の改善に向けて一定の効果があったと支援事務局では見ている。

「ヴィンセント氏の訴えが重大な子どもの人権侵害だということが理解されたのだと思います。初日から海外のメディアの取材が入り、フランスやイタリア、アメリカなど欧米諸国では大きく報道されました。最終的には、BBC(英国公共放送)で放映され、日本でも配信されました。ヴィンセント氏と同じように親子断絶に苦しむ当事者がたくさん現地に訪れ、これが個人の問題ではなく社会の問題であること、男女問わず誰にでも起こりうる問題であることを世間に示してくれました」(支援事務局)

日本のメディアは消極的だったが、これは想定内。日本にはこれまでの経緯から、日本のメディアが子どもの連れ去りや親権がからむ報道に、必要以上に慎重であることはわかっていた。実際、一度、記事になったものの、ヴィンセント氏の主張だけで相手方の主張が併記されていないとの理由で削除されたWeb記事もあった。

ヴィンセント氏は、フランス大使館を通じてマクロン大統領にもコンタクトをとっていた。マクロン大統領が現地を訪問し、直訴の機会が得られるのではないかとも期待された。結論として訪問は実現しなかったが、マクロン大統領は7月24日に行われた菅義偉首相との会談で、ヴィンセント氏が訴える子どもの連れ去り問題に言及。その結果、日仏共同声明のなかに領事協力として「両国は、子の利益を最優先として、対話を強化することをコミットする」との文言が盛り込まれた。

さらに7月30日には、パトリシア・フロアEU駐日大使をはじめフランスドイツ、イタリア、スペインなど欧州連合(EU)加盟国の駐日大使ら9人がヴィンセント氏を訪問し、連帯の意向を示した。

「これらのことは、ヴィンセント氏にとってはもちろん、日本人当事者、共同親権・共同養育支持者にとって決して小さくない成果だと思っています」(支援事務局)

子どもに会うことはできるのか

さて、今後だが、ヴィンセント氏は子どもに会えるのか。ヴィンセント氏が望んでいるのは、離婚をしても子どもの養育に半分携わる、欧米では当たり前のスタイル。はたして、それは実現するのか。

「正直、見通しは甘くないと思っています」と言うのは、ヴィンセント氏の代理人を務める上野晃弁護士。たしかにハンガーストライキには、一定の効果があった。終盤を迎えていた離婚訴訟に和解のテーブルが設けられる可能性が出てきたのも、ハンガーストライキが与えたインパクトのおかげだ。しかし、形式的に和解協議の機会が与えられただけでは、結局、双方の意見が一致せず、和解は決裂する未来が見えている。

「家事事件にせよその他の訴訟にせよ、裁判官は、当事者が抱く、『自分に不利な判決が出るのではないか』という不安を利用して和解を引き出します。例えば100万円を返してほしいという訴訟の場合、訴えた側が、『判決だと50万円くらいしか返ってこないかもしれない』と不安を抱く一方、訴えられた側が、『判決だと100万円を全額返せという判決が出るかもしれない』と不安を抱く。その両者が抱く不安を利用して『80万円でどうですか』と和解に導くことができるのです。しかしながら、今回の件を含めて日本の家事司法のように、子どもを連れ去った側に、確実に親権が得られる仕組みになっており、さらに連れ去られた親に子どもを会わせるか否かも連れ去った親に多大な決定権が事実上与えられている現状では、子どもと同居する相手側に、たとえば『ヴィンセントさんと子どもたちとの交流を年の半分くらい確保する』といった和解に応じる心理的動機付けが極めて乏しいと言わざるを得ません」
 
要するに、連れ去り勝ちを容認する法の運用実務がある限り、ヴィンセント氏の現状は好転しない。子どもの権利は守られない。

上野弁護士は、裁判所に法の運用実務を改める努力をしてほしいと言う。
「具体的には、フレンドリーペアレントルールの導入です。フレンドリーペアレントルールとは、子どもの親としての関係で、片方の親と友好的な関係を築くことのできる親のほうが親権者にふさわしいとするもの。このルールの導入によって、子どもの連れ去りや親子の引き離しは減るはずです」

個々の案件の積み重ねによって法の運用実務は変わる。弁護士や裁判官、調査官など家事事件に携わる人たちみんなが子どもの連れ去りや親子の引き離しに厳しい目をもつことで、少しずつ運用実務は変わっていく。

「当事者ではない、まったく利害関係がない人に子どもの連れ去りや親子の引き離しについて話すと、たいていは『それは酷いね』『おかしいね』といった反応です。それがふつうの感覚なんです。この問題を広く世間に知らせ、まわりの声を大きくしていくことが大切なのだと思います」(前出・栗原弁護士)

ヴィンセント氏の起こしたアクションは、その一助となったと思われる。それにしても、日本のメディアがヴィンセント氏のハンガーストライキをほとんど報道しないのはなぜなのだろうか。

国際離婚で「子供と会えなくなる」 日本特有の問題、解決を

出典:令和3年8月15日 毎日新聞

「子どもの立場で親権制度議論を」嘉田由紀子参議院議員

 東京に駐在する外国メディア特派員の目に、私たちの社会はどう映っているのだろうか。韓国、フランス、米国、バングラデシュ、シンガポールの個性豊かな記者たちがつづるコラム「私が思う日本」。第17回はルモンド紙(フランス)のフィリップ・メスメール東京特派員が、離婚に伴い片方の親が子供を連れ去り、もう片方の親と子供が会えなくなる問題について語る。

  ◇   ◇   ◇

 バンサン・フィショさん(39)は東京・千駄ケ谷の駅前で3週間持ちこたえた。だが今年7月末、ハンガーストライキを中断せざるを得なかった。彼の日本人の妻が連れ去った(彼は「拉致した」という言葉を使う)我が子たちにもう一度会うためのハンストだった。けがをして緊急の外科的措置のために断念したが、それがなければ続けていただろう。

 彼を決意させたのは絶望だった。フランス出身の元トレーダーで日本に15年間住むフィショさんは2018年以降、6歳の息子と4歳の娘と会うことができない。「18年8月10日の朝が最後でした。息子は私が出かけるのを嫌がりました。私は彼に、仕事に行くけど、夜帰ったら遊ぼうと約束しました。仕事から帰ると、…

※以下、紙面を参照ください。

「子どもの立場で親権制度議論を」嘉田由紀子参議院議員

出典:令和3年8月4日 Japan In-depth

「子どもの立場で親権制度議論を」嘉田由紀子参議院議員

安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・離婚後単独親権という構造を変えなければ、子どもの幸せは確保できない。

・単独親権派のロビイングパワーは強大。

・法務省に親権制度改革は大きく期待できない。政治が動くしかない。

離婚後の親権について日本は、父母のどちらか一方に行使を認める「単独親権」制度をとっている。120年以上前の明治民法の規定だ。これに対して欧米の多くの国では、離婚後も両親が共同で親権を行使する「共同親権」制度をとる。主要先進国のうち「単独親権」制度のみをとるのは日本のみ。国連の「児童の権利委員会」や欧州議会をはじめとして国際的な非難を浴びている。毎年約80万人しか生まれない日本の子どもの約4人に一人が毎年片親ロスになり経済的貧困やなどに追い込まれる。

共同養育支援議員連盟」に所属する嘉田由紀子・参議院議員は、単独親権を定めた民法819条を「親子の分断」と非難する。

■ 単独親権派のロビイングパワー

大人も子どもも、「日本の単独親権が当たり前だと思っているが、親が離婚しても父子、母子の情愛的つながりは変わらないはずだ」と嘉田氏は指摘する。

「ロビイストたちが世論を徹底的に、共同親権は駄目だということを広めている。マスコミを使って。SNS を使って」

嘉田氏は、共同親権に反対する人物は様々な分野に存在し、彼らのロビイングパワーが極めて強力であることを指摘した。嘉田氏自身も、単独親権派のネットワークの強さを体感した経験がある。2019年度の参議院選挙に出馬したとき、いわゆる「落選運動」が嘉田氏に向けられたことを明かした。

■ 法制審議会家族法制部会に失望。政治が動かなくては変わらない。

法制審議会家族法制部会」は、2021年3月30日、子どもの利益確保などの観点から離婚に関する制度を見直すため設けられた。審議会の内容について、嘉田氏は厳しい意見を述べた。

「(審議会の)議事録を丁寧に見ても、法律専門家の技術論や共同親権反対派の手続き的議論に終始し、本当に共同親権の必要性を求めている離婚後の子どもの声を代弁するような意見がほとんどない」

「問題は離婚後放置され、まさに無法地帯に置かれている子どもが毎年20万人ずつも増えていることは日本の未来社会の脆弱性を招く事」だと述べた。

さらに嘉田氏は、審議会のメンバー構成について言及。

「誰が(委員を)選ぶか。それは法務省の官僚です。法務省の官僚も共同親権は本心はやりたくないのではないか?過去2年間に参議院法務委員会で31回、共同親権問題で質問してきました。法務省の答弁は前向きではありませんでした」

嘉田氏は、その理由を「判検交流」と説明する。「判検交流」とは、裁判官と検察官の人事交流制度のことで、裁判官は検事として法務行政職に従事することができる。

「裁判官が検事になって法務省を支配しています。法務省の担当者はもともと裁判官ですから、既存の法律を変えたくないのです」

嘉田氏によると上川法務大臣は、本来法務大臣の指揮下にある法務省の担当者が法制審議会メンバーであることは合理的であり、彼らは法務大臣の指揮監督下にないことを説明したという。法制審議会は法務省官僚の「お手盛り」と言われかねない。

裁判官の人事権は、最高裁判所にある。

「最高裁判所の管理下に法務省があります。だから法制審議会が共同親権を主張するとは思いません。せいぜい「選択的共同親権」でしょう。それでは単独親権とほとんどかわりません。(変えるのは)政治しかないのです」

■ ヴィンセント・フィショ氏の事例について

親権制度をめぐる日本の司法制度は、ヴィンセント・フィショ氏の抗議行動によって、再び諸外国の注目を集めている。フィショ氏が提起するのは、「子どもの連れ去り」の問題だ。彼は、3年前、妻と一緒に家を出た2人の子どもたちとの再会を求めて、7月10日から3週間ハンガーストライキを行った。

フィショ氏のハンガーストライキについて嘉田氏の考えを聞いた。

「フィショ氏のハンガーストライキ、大変つらいです。日本を愛し、日本に長年住んで、家族を持ってくれている人が日本の民法の仕組みの中で、愛する子どもさんに会えないという状況を作り出してしまっている 。日本の立法府を担う国会議員の一人として大変申し訳ないと思っています。フィショ氏のように苦しんでいる日本の父親、母親、子ども達の為に立法府を担う国会議員として法律改正に向けて力を入れたいと思っています」

「(フィショ氏に向けて言いたいのは、)あなたが死んだらだめよってそれだけです。言いたいのは。あなたが命を守らなかったら子どもさんが何よりも寂しがるでしょう?と」

(編集部注:フィショ氏は転倒して小指を複雑骨折し、その手術の為、7月31日にハンストを中止した)

7月24日の日仏首脳会談では、「領事協力」として「両国は、子の利益を最優先として、対話を強化することをコミットする」と明記した共同声明が発出された。これについて嘉田氏は、「評価はするが、本当にこれで政府が動くのかと言うと、ちょっと期待はずれかもしれない」と懸念を示した。

「(共同養育支援議員連盟の)柴山(昌彦)幹事長と牧原(秀樹)事務局長がフィショ氏のところに慰問に行ってくれていました。これは大変心強い行動です。できるだけ早い段階でフランス政府との約束が守れるよう菅(義偉)総理大臣と上川(陽子)法務大臣に要望を出す必要があるだろうと、これはお二人にもお伝えしています」

「日本政府にも、何が国民を守るための法律なのか、民法改正に向けて本気で努力してほしい」

■ 「子どもの連れ去り」は刑法違反

嘉田氏は、今年4月13日の参議院法務委員会で「子どもの連れ去り」について質問し、上川陽子法務大臣と川原隆司法務省刑事局長から回答を得た。

実子連れ去りは、「未成年者の自由と安全」「監護側の監護権」を保護法益とする刑法224条の「未成年者略取・誘拐罪」に問えるということが明らかになった。(動画:参議院法務委員会2021年4月13日。3:53:10ころから)

離婚成立してない場合は婚姻中であるから、「子ども連れ去り」は、この刑法224条の未成年者略取・誘拐にあたることを政府が公式に認めたことになる。

「子どもの連れ去り」には、司法の内部に要因があるとも指摘される。そのひとつは、裁判所が親権者を定める判断基準、「継続性の原則」だ。「継続性の原則」とは、現在の子どもの監護環境に問題がなければそれを維持するべきとする考え方だ。親権を確保するため、弁護士が「子どもの連れ去り」を勧めることもあるとされる。また、「連れ去り」を正当化するため、虚偽にDV被害を主張するケースもあるという。

嘉田氏は、「DV防止法が甘い。言った者勝ちになっています。DV 防止法も警察がきちんと入るべきでしょう」と主張する。

「もちろん虐待や DV(が実際にある可能性) がある場合は、共同親権を義務化しても親権を外したらいい。今の民法だって親権停止・喪失の条文はあります 」

■ 単独親権という構造的問題

「議論を加速させるためには、単独親権の一番の被害者である離婚後、経済的貧困に放置され片親疎外にあっていて自己肯定感などを失ってしまっている子どもの立場からの議論が最も必要です。そこを私自身、法務委員会、議連の場、そして特にマスコミの皆さんに訴えたい」

嘉田氏は、フィショ氏の抗議行動を取り上げることに関して、日本のマスコミが及び腰であることに疑問を呈した。

「(親権制度について)マスコミも触れたくない。官僚も触りたくない。法務省も触りたくない。法律を変えて自分たちには得はないからという逃げでしょう。本当にこの国の未来が心配です。誰が子どものことを考えるんですか」

「日本の警察や司法は家族問題には介入しない。法務省はずっと家族の個別事案には入り込まないと言って逃げています。でも(民法は)離婚後片親親権(単独親権)と決めている。すでに家族のあり方を司法が構造的に決めている 。明らかに構造的に介入しています。この構造を変えることが子どもの幸せ確保の第一歩です。これが私の一番の言いたいことです」

(了)

日本人妻に「連れ去られた」子供に会いたい……仏男性が東京でハンガーストライキ

出典:令和3年8月4日 BBC NEWS JAPAN

日本人妻に「連れ去られた」子供に会いたい……仏男性が東京でハンガーストライキ

東京のオリンピックスタジアム近くで、フランス人男性が7月10日にハンガーストライキを始めた。実の親による子供の連れ去りに抗議するために。

フランス人のヴァンサン・フィショさんは、日本人の妻が3年前に2人の子供を連れて自宅から姿を消して以来、子供に会えていないと訴えている。

日本では結婚生活が破綻した場合、片方の親だけが子供全員の単独親権を得ることができる。そのため、フィショさんに起きた出来事は日本では珍しいことではない。

ハンガーストライキは世界中の注目を集めており、同様の経験を持つ人たちが活動に加わった。

フィショさんは転倒して手を骨折し、手術のため抗議を中断せざるを得なくなったが、今後も継続する意向という。

リポーター:ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズ

プロデューサー:中山千佳

EU加盟国大使ら連帯示す ヴィンセント・フィショ氏ハンストは終了

出典:令和3年7月31日 Japan In-depth

EU加盟国大使ら連帯示す ヴィンセント・フィショ氏ハンストは終了

安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
Japan In-depth編集部

【まとめ】
ヴィンセント・フィショ氏、骨折した指の手術でハンスト中止。
欧州連合(EU)加盟国の駐日大使ら9人がフィショ氏を訪問
駐日仏大使「日本当局に領事保護の支援をお願いしており、これからも当局にコンタクト続ける」
 
仏人男性ヴィンセント・フィショ氏の命をかけたハンガーストライキが21日目の今日終わった。昨日29日に倒れた時に小指を複雑骨折し、その手術が今日行われたからだ。
フィショ氏は、3年前妻が子どもと家を出てから会えていない2人の子どもとの再会を求めて、国立競技場側の千駄ヶ谷駅(JR東日本総武線:東京都渋谷区)構内で 3週間にわたりハンストを続けていた。
フィショ氏は30日夕方、Facebookにこう投稿した。
「21日前にハンガーストライキを開始したとき、私の目的は、(私が)危篤状態になって、子供たちがどれだけ苦しんでいるかを当局に示し、楓(かえで)と翼(つばさ)を家に戻すきっかけを作ることでした。あと数日だったと思っています。水曜日に失神して指を骨折したときは、簡単に治せると思っていました。2日間努力しました。しかし、残念ながら今日のニュースでは、完全に麻酔をかけて手術をし、チタン製のプレートを指に挿入する必要があると言われてしまいました。私は非常にがっかりしています。しかし、子供たちを失望させたという気持ち以上に、子供たちを支援してくれる多くの人たちと出会い、日本政府による子供たちの権利侵害を一緒に終わらせることができると確信しています。(欧州各国の大使9名が朝から応援に駆けつけてくれました)」
それに先立ち、30日午前11時過ぎ、パトリシア・フロアEU駐日大使を始め、フランスドイツ、イタリア、スペインなど欧州連合(EU)加盟国の駐日大使ら9人がフィショ氏を訪問し、連帯を示した。現場には欧米メディアだけでなく、時事通信、共同通信、テレビ朝日など、一部の日本のメディアも集まった。

駐日欧州連合代表部は以下のTweetを投稿した。

EU大使と複数のEU加盟国大使は本日、日本にいる自身の子どもへのアクセス を求めているフランス人、フィショ氏と面会した。大使たちは、全ての子どもたちが両親との絆を保てるよう、#子どもの権利条約 を順守することへの連帯を示した #EUinJapan

また、フィリップ・セトン駐日フランス大使は、「(フィショ氏を含め)EU市民に関わっているこのような問題について、EUレベルでもEU加盟国の大使レベルでも、日本の様々な機関と何度も話しあっています。ただ、日本国内の司法に関することに干渉することは考えていません。私たちは、(自国民を)領事保護(注)できるよう、日本当局の支援をお願いしており、これからも当局にコンタクトを続けていきます」と述べた。

EU大使らの訪問を受け、フィショ氏は、Japan In-depthの取材の取材に対し、「私の戦いは始まったばかりだ。まだ子ども達は家に戻っていない。日本の政治家が行動を起こし、日本の裁判所が法律を尊重すべきだ。既に法律はあるのだから。(今日のEU大使らの訪問で)事態は動くかもしれないが、私の戦いは終わらない」と話し、ハンストを続ける意志を示していた。
緊急手術により、まだ続くと思われたフィショ氏のハンストは終わった。結婚破綻後の片方の親が子どもを連れて出た後、子どもに会えなくなる、いわゆる「子どもの連れ去り問題」で苦しむ人は多い。子どもの権利を守るためにはどうしたらよいのか、政府・司法が解を見いだせないのなら、国会が動くべきではないのか。政治家の覚悟が問われる。
(編集部注:領事保護=在外公館が自国民の利益を保護すること。安否確認することなどを含む)

必死のフランス人父親 怪我で21日間のハンスト終了を余儀なくされる

出典:令和3年7月31日 ARAB NEWS

必死のフランス人父親 怪我で21日間のハンスト終了を余儀なくされる

東京:連れ去られた子供たちに会いたいと3週間にわたってハンガーストライキを行なっているヴィンセント・フィショ氏は、指の骨折手術のためオリンピックスタジアム近くの千駄ヶ谷駅を離れることとなった。
フィショ氏は28日水曜日、およそ20日間の絶食により気絶、負傷した。
フィショ氏はフェイスブックに「水曜日に気を失って指を骨折した時は、簡単に治せると思っていた。残念ながら今日、手術が必要であり、全身麻酔でチタンプレートを入れると聞いた。非常に残念だ」と投稿した。
フィショ氏は子供たちと再会するためのあらゆる手段を使い果たし、大々的にハンストに突入することにした。彼の妻は3年前、突然子供たちを連れ去り、それ以来会っていない。まだ婚姻状態にあり、日本の法律では父親としての権利はあるものの、日本の裁判所は妻に対し、フィショ氏が子どもに会うことを強制しなかった。
日本では、突然親子が引き離されることがしばしばあり、取り戻せないように見える。毎年約15万人の子供が親から引き離されていると推定されている。フィショ氏は、父親としての権利を行使すれば起訴される可能性があると聞かされた。
当面ハンストは終わったが、彼は闘いを続けると誓っている。
フィショ氏は「21日前にハンストを始めた時、子どもたちがどれほど苦痛を受けているかを当局に示し、カエデとツバサが戻るきっかけとして深刻な健康状態に入ることが私の目標だった」と話した。「私の子どもたちには申し訳ないが、子どもを支援する本当にたくさんの人々に会ってきて、日本の当局が犯した子どもの権利侵害を共に終わらせることができると確信している」
ハンスト終了前の30日金曜日、駐日仏大使を含む9人の欧州連合(EU)加盟国駐日大使がフィショ氏を訪ねて支持を表明した。フィショ氏はまた、マクロン仏大統領の側近と会い、菅首相に問題提起が行なわれたとのことであるが、仏政府は自国民であるフィショ氏や子供たちを支援する行動をとっていない。

“子供の連れ去り問題”ハンスト現場に、マクロン仏大統領のブレーン現る

出典:令和3年7月31日 SAKISIRU

“子供の連れ去り問題”ハンスト現場に、マクロン仏大統領のブレーン現る

西牟田 靖 ノンフィクション作家/フリーライター

7月23日正午すぎ、千駄ヶ谷駅を再訪した。これまでと違って、駅前広場は足の踏み場もないほどの人でごった返していた。スマートフォンを手に皆が同じ方向を見上げ、ブルーインパルスが青空に五輪を描く様子に夢中になっていた。そんな中、フランス人、ヴィンセント・フィショさん(39歳)は、これまでと同様にキャンプ用の薄いマットに座り、視線を下に向けて座っていた。
目まいでもしているのか、時々目を閉じている。体力の限界かもしれない。

人は飲食をしなければ死ぬ。何も飲まないと3日間で、水分を補給していても1か月が限界だろう。真夏の酷暑下で肌はかさつき、体つきもひとまわり小さくなっているように見えた。「医師のすすめにより、塩分とビタミン剤を服用するようになった」(支援事務局スタッフ)とはいえ、人の身体はそう長く持つものではない。
今年3月、法務省は法制審議会で、共同親権の導入についての議論をはじめたが、改正には時間がかかる。ハンスト中にどう考えても間に合わない。かといってハンストという手段を選ぼうとする彼の気持ちをむげにしてまで、行動を中止するよう、説得することはできない。

ブルーインパルスの飛行にどよめく中、私はヴィンセントさんの命がけの行動に対し、なにも力になれないことの無力感に苛まれた。日本の制度が遅れているからこそ、彼の苦労に対して、申し訳ない気でいっぱいになった。
ハンストの目的は、次の通り。

  • 2人の子どもたちを取り戻す
  • 日本政府や裁判所に法の支配を求める
  • フランス政府が日本政府に対し、問題解決をはかるよう促す
  • フランス政府が彼の子どもたちを保護するなどの行動をとる

報道によると、23日正午の時点でマクロン大統領はすでに日本に到着し、40時間滞在するという。オリンピック開会式が始まる午後8時までの間、あるいは菅首相と会談する24日午前11時前。そのどちらかのタイミングで、ヴィンセントさんの元を訪れるかもしれない。

仏大使が大統領の右腕と訪問

午後2時すぎ、フランス高官と思われるスーツやドレス姿の男女5~6人が現場に現れた。ヴィンセントさんは力を振り絞って立ちあがり、熱っぽく語り始めた。在外議員のコンシニ・ティエリ氏によると、フィリップ・セトン駐日フランス大使、エマニュエル・ボンヌ外交顧問、アリス・ルフォ副外交顧問。外交顧問とは、マクロン大統領の右腕だという。
マクロン大統領訪問の下見なのか、あるいは代理訪問なのか。詳しくは分からなかったが、フランス政府が問題解決を真剣に考えていることは伝わった。
翌24日朝、私はマクロン大統領の訪問を待った。前日とは一転して、駅前は閑散としていた。
日仏首脳会談では、親権問題についてマクロン大統領が取り上げることが予定されていた。会談直前に数分でも立ち寄って彼を見舞い、その上で会談に臨むかもしれないと考えた。

しかし、会談開始10分前の10時50分になっても大統領は現れなかった。
ヴィンセントさんは諦めたのか。支援者に抱きかかえられるようにして立ちあがり、支えられ、100メートルあまり先にある公衆トイレへとむかっていった。トイレが終わり、戻ってくると、彼はキャンプマットに横になり、目を閉じて眠り始めた――。
報道によると、会談では国際結婚が破綻した後に起きる子どもの親権問題についても話し合い、共同声明で「子の利益を最優先として対話を強化する」と盛り込んだ。


7月30日午後2時ごろ、ヴィンセントさんのハンストは中断された。21日目のことだった。理由はドクターストップ。数日前に転倒して手を骨折し、手術のため入院が必要となったのだ。ハンスト開始前に比べて体重は約15キロ減少した。
今後、日本政府が「子供の連れ去り問題」にどこまで取り組むのかは、分からない。日本政府は、親子の別れにいつまで見て見ぬ振りを続けるのだろうか。(連載おわり)

橋下徹氏 共同親権を原則にすべきと持論「つい先日も福原愛さんが離婚された時も」

出典:令和3年7月31日 デイリー

橋下徹氏 共同親権を原則にすべきと持論「つい先日も福原愛さんが離婚された時も」
 元大阪市長で弁護士の橋下徹氏が30日、フジテレビ系「バイキングMORE」に出演。映画コメンテーターの有村昆(45)とフリーキャスター・丸岡いずみ(49)が29日に離婚したことに関連し、日本も共同親権を原則にすべきだと持論を語った。

 番組では事務所関係者の話として慰謝料や財産分与については公表せず、長男(3)の親権は有村が持つと報じたが、橋下氏は「お二方の話からちょっと外れて一般論で言わさせてもらうと」と前置きし「日本だけがある意味特殊な国で…日本だけというかごく少数の国で…離婚した時に父親か母親かどちらかが単独でしか親権を持てないってのは日本が特殊。世界の流れは共同親権で」と持論。

 「つい先日も福原愛さんが離婚された時も共同親権、離婚はしたけれども子どもはお父さん、お母さんが両方で親権持って育てる。これが当たり前なんですけども、日本の民法が単独親権ってなってるので、お父さんかお母さんかどちらかに決めなきゃいけない。お二方がもし話し合いをされて、本当は2人で親権持ちたいのにっていうんであれば日本の民法が遅れ過ぎ」と問題視した。

 ただ、これには理由もあるとし「特殊な夫婦関係、DVなんかで離婚した場合には奥さんは二度と旦那さんに会いたくない。だから共同親権やるとどうしても顔合わさなきゃいけないので、それはダメだということでそういう特殊事例をもって」単独親権を主張する声が強いのだと解説。そういう事情があるにしても「もう共同親権を原則にして、共同親権がダメな場合には単独親権っていうような法律にすべきじゃないですかね」と自説を述べた。

“子供の連れ去り”問題 フランス人男性が千駄ヶ谷でハンストする理由

出典:令和3年7月30日 SAKISIRU

“子供の連れ去り”問題 フランス人男性が千駄ヶ谷でハンストする理由

西牟田 靖 ノンフィクション作家/フリーライター

東京オリンピックのメインスタジアム、国立競技場。その最寄り駅であるJR千駄ヶ谷駅の改札外で英語と日本語のメッセージが書かれたのぼりをたて、座りこんでいる外国人男性がいる。のぼりには、こう書かれている。
「ハンガーストライキ 拉致  私の子供たちは誘拐されています」
男性はキャンプ用の薄いマットに座り、静かに過ごしている。差し入れのペットボトルの水が10本以上置かれ、外国人や日本人の支援者が入れ替わりやってくる。なぜハンストを始めたのか。7月17日、男性に話を聞いた。

子供に会いたい

ハンストを始めたのは私の子供たちに会うためです。6歳の息子と4歳の娘が、今どこにいるのかさえわからない。子供に会えるまではやめません
気丈な様子で男性は言う。絶食して1週間も経とうしているのに、口調は元気そうだ。
男性の名はヴィンセント・フィショ。「ハンガー・ストライキ支援事務局」によると、フランス・マルセイユ出身の39歳で、15年前に来日。日本人女性と結婚して2人の子供をもうけた。大手証券会社で専門職に就き、自由が丘に家を建てて家族と共に不自由のない生活を送ってきた。
だが、現在はマイホームを売却し、会社を辞めた上で、7月10日からハンストを開始した。
2018年6月、家事や育児に協力しない妻に対し、別居を提案しました。その時、平等に分担するよう養育計画も提案しましたが、拒否されました。その後、8月10日夕方に帰宅すると、家はもぬけのからでした。家財道具や車が一切なく、妻や子供たちもいなくなっていました
ヴィンセントさんは警察に相談した。母国フランスでは誘拐罪にあたるからだ。
警察は相手にしてくれませんでした。次に弁護士に相談したんです。すると、『そういうふうになっちゃったら子供に会えないんだよ』と言われれました。ショックでした。当時、私は日本の連れ去り問題について、何も知らなかったんです
日本では離婚後、配偶者のどちらか一方が親権を持つ「単独親権」を採用している。そのため、離婚後の配偶者に子供との面会交流をさせず、親子関係を切ろうとするケースもある。
一方、諸外国では離婚後も「共同親権」を採用し、配偶者それぞれが対等に親権を持つ場合が多い。
フランスでは離婚後も共同養育で育てるのが一般的です。共同親権の下、片方の親が協力的でなければ、裁判所が是正命令を出す。子供を連れ去った場合、5日以内に合理的な理由を示せなければ逮捕され、監護権を失います
ヴィンセントさんは、G7のひとつである日本も同様と考えていた。だが、実際は大きく違った。

完全な親権を有している

その後、ヴィンセントさんと妻の双方の弁護士が協議した。ヴィンセントさんの弁護士が、「子供に会いたい」と妻側に伝えたところ、相手の弁護士は次のように条件を出した。
「『自身のDVを認める手紙を書けば、会わせてもいい。そうしない限り、決して子供に会うことはできない』と妻の弁護士が言ってきました。脅迫だと思います。私はDVなんてしていないので、そんな手紙は書きません
その後、両者は裁判所での正式な話し合いである「調停」を行った。
調停では、暴力を振るわれたと主張する書類を出されたのですが、根拠のない嘘ばかり。彼女のSNSには『遊び過ぎて疲れた』など、DVを受けているとは思えない投稿が多く、DVの主張は裁判所に認められなかったんです
だが、子供たちが戻ってくることはなかった。『継続性の原則』が適用されたのだ。子供の現在の生活に特段の問題がなければ、同じ状況を続けることが子供の利益になるという考え方だ。

「『子供が新たな生活に慣れているから、子供を戻すことができない』と裁判所は結論を出しました。私は子供に会いたと繰り返し主張したのですが、無理でした
離婚後のプロセスで気になったことがある。「面会交流の申し立て」をしたのかということだ。申立てをして、少しでも会えた方がいいのではないか。
面会交流の申し立てはしていません。離婚前なので、僕は完全な親権を持っているんです。誘拐した人に対して、会わせてくれとお願いするのはおかしいと思う。申し立てをしても、約束が守られずに結局会えなくなるケースもあります。ハンスト現場に来てくれたある日本人女性は、面会交流の合意があるのに果たされず、7年間も子供に会えていないと言っていました
ヴィンセントさんについて、国際的な家事事件に詳しい松野絵里子弁護士はこう語る。
日本では連れ去りされた親は、離婚前の共同親権の状態であっても子供の居所(住所)を知ることすら阻まれます。ヴィンセントさんは、親としての監護責任を果たすことができない状況です

外圧に期待

日本の司法や警察を頼れないと知り、フランス政府やEUに助けをもとめた。子供たちはフランス国籍も有している。フランス大使館が『子供のことを確認したいので訪問したい』と妻に提案したが、拒否された。
2019年6月、ヴィンセントさんは来日中のマクロン大統領を訪問し、日本での連れ去り問題を伝えた。2020年にはEU本会議で、日本の子供連れ去り問題について、非難決議が出された。

欧州で日本の連れ去り問題が提起され、日本では3月、法制審議会で共同親権導入の検討をようやくはじめた。だが、法改正にはまだ時間がかかりそうだ。
日本政府や裁判所には、法の支配が欠けています。人権を尊重していないし、子供の権利条約を守っていない。私には日本政府を変える力はないし、日本政府がハンガーストライキを気にして行動を起こすとは思っていない。私は、フランス政府に期待しています。フランス政府の制裁によって、日本政府が子供の権利条約を守るよう動いて欲しい
ヴィンセントさんの一連の言動について、妻側の代理人弁護士は次のようにコメントした。
どちらも私人で、公人でも芸能人でもありません。それに今、離婚裁判中です。マスコミを利用して争うというやり方は望んでいません。本人はプライバシーを尊重されたい、個人情報を保護していただきたい。そういう気持ちでおります。あまりにも目に余るような状況ですし、納得できないことが多々あります。本人としては離婚判決が出た段階で公表も考えますが、現状では裁判外で戦うつもりはありません

ハンスト男性に連帯表明 「子連れ去り」で、EU加盟国大使ら

出典:令和3年7月30日 時事通信

ハンスト男性に連帯表明 「子連れ去り」で、EU加盟国大使ら

 フランスドイツなど欧州連合(EU)加盟国の駐日大使らが30日、日本人妻に子供を連れ去られたとして都内でハンガーストライキをしているフランス人男性バンサン・フィショさんを訪問した。パトリシア・フロアEU駐日大使は「日本側と議論を続ける」と述べ、フィショさんに連帯を示した。

 今月10日からハンストを続けているフィショさんは、今回の大使訪問により「(日本での)注目が集まり、変化への第一歩となる」と期待を寄せた。

 ただ、担当の弁護士によると、フィショさんは病院で指の手術を受けるためハンストを中断する。治療後も本人はハンストを続ける意向があるが、健康状態などへの不安から継続するかは不明だという。
 単独親権の考え方を取る日本に対し、フランスは共同親権を基本とする。制度の違いから、国際結婚破綻後に起きる日本人の親による「子供連れ去り」が欧米などで問題となっている。欧州議会は昨年7月、子供連れ去り行為を禁止するよう日本政府に求める決議案を採択した。

実子連れ去り:マクロン大統領が直談判も、日本は政権とメディアが淡白

出典:令和3年7月25日 SAKISIRU編集部

実子連れ去り:マクロン大統領が直談判も、日本は政権とメディアが淡白

東京オリンピック開催に合わせた来日したフランスのマクロン大統領が24日、東京・赤坂の迎賓館で菅首相と会談した。この会談に際し、注目されていたのが、在日フランス人男性が離婚係争中の日本人妻に実子を連れ去られたと訴えている案件で、マクロン氏が日本側に善処するように求める方針だったことだ。この男性は、野村証券に最近まで勤めていたヴィンセント・フィショ氏。国立競技場近くのJR千駄ヶ谷駅まで2週間あまりハンガーストライキをしており、フランス政府の関係者も現場で男性に面会している。

首脳会談後に外務省はホームページで共同声明の日本語訳文を公開。「1. 特別なパートナーシップ」「2.オリンピック・パラリンピック」「3. 感染症・ワクチン」「4. インド太平洋」「5. 開発金融」「6. 気候変動・環境・生物多様性」「7. 経済」と記述がきて最後に盛り込まれた「8. 領事協力」に、以下のように盛り込まれた。

両国は、子の利益を最優先として、対話を強化することにコミットする。

この一文だけをみるとフランス側の訴えを日本側が考慮しているように見えるが、句読点を入れてもわずか33文字の記載のみ。他は「3. 感染症・ワクチン」の574文字、「7. 経済」の723文字などと比べても“熱量”の相違は明白な状態だ。記者クラブに加盟する日本の大手メディアも何かに規制されたかのように口が重い。この問題を大手紙で珍しく事前に報じていた日経新聞は「フランスなどは離婚後も父母両方が親権を持つ『共同親権』が一般的になっている一方、日本は認めていない。首相はマクロン氏に日本の制度を説明し、理解を求めた」とやりとりの概要のみを記載しているが、25日未明時点で読売新聞や朝日新聞など大半のメディアは記載が見当たらず、「なかった」ことになっている。

これに対し、フランス側はメディアも含めて関心が高い。AFP通信は日本語サイトの速報では概要の経緯にとどまったが、フランス語版では、日仏首脳会談の記事のおよそ半分が、フィショ氏の問題について記述を割いており、菅首相がマクロン氏に対して「対話を再開する」などと述べたことが紹介されている。

それでも前述したように、他の外交問題に比べても取り組みへの落差が目立っており、メディアも含めた日本側の反応が総じて「淡白」であるのは確かで、「人権国家」フランスを含めたEUから見たときにどのように映るのか気がかりなところだ。というのも、すでに昨年7月、EU議会は、日本国籍とEU加盟国の国籍を持つ子どもを日本人の親が連れ去ることを禁止するよう求める決議をしている。EU籍の人と日本人の婚姻関係が破綻した際に、EU圏内から日本人の片親が実家のある日本に連れ去る事案が多発していたためだ。マクロン大統領は安倍首相の時代から日本側に善処するように求めてきたが、大きな動きはなかった。菅政権になり、上川陽子法相の下で法制審議会で親権制度のあり方を見直すかどうかの議論を始めたが、まだ審議中の段階だ。

とはいえ、日本側もSNSでの関心を反映するように、週刊誌やネットメディアでは露出も増えてきた。朝日新聞系のウェブ論座がフィショ氏のレポートを掲載後に削除される事件があった際には、この問題が日本の大手メディアで「タブー」扱いされている壁を感じさせたが、日仏首脳会談当日朝には、ビジネス系のネットメディアで最多の2億超のページビュー数を誇る東洋経済オンラインが仏フィガロ東京特派員の長文レポート記事を掲載。大手週刊誌、週刊新潮系のデイリー新潮もここまでの経緯を取り上げる記事を配信するなど変化の兆しもある。

日仏首脳、インド太平洋で協力深化 香港「深刻な懸念」

出典:令和3年7月24日 日本経済新聞

日仏首脳、インド太平洋で協力深化 香港「深刻な懸念」

菅義偉首相は24日、東京・元赤坂の迎賓館でフランスのマクロン大統領と会談した。「自由で開かれたインド太平洋」の重要性を確認し、防衛協力を深化させると申し合わせた。中国による香港や新疆ウイグル自治区での人権弾圧に「深刻な懸念」を共有した。

マクロン氏は23日の東京五輪の開会式に出席するため来日した。両首脳は15分ほど協議した後、80分間程度1対1の昼食会に臨んだ。その後、共同声明を発表した。

首相は「日仏間で『自由で開かれたインド太平洋』に向けた具体的協力が進んでおり喜ばしい」と伝え、協力強化を呼びかけた。マクロン氏は「インド太平洋地域で引き続き日本と緊密に連携していきたい」と話した。

フランスはインド太平洋地域にも領土を持つ。5月にはフランスの練習艦隊「ジャンヌ・ダルク」が日本に寄港した。陸上自衛隊と米海兵隊、仏陸軍が九州で離島防衛訓練も実施した。

両首脳は国際結婚が破綻した後に起きる子どもの親権問題も話し合った。共同声明に「子の利益を最優先として対話を強化する」と盛り込んだ。

日本は原則として離婚後の親権は片方の親が持つ「単独親権」の考え方を取る。フランスでは国際結婚が破綻した後に子どもの連れ去りが起きる背景に日本の制度の存在を指摘する声がある。

フランスなどは離婚後も父母両方が親権を持つ「共同親権」が一般的になっている一方、日本は認めていない。首相はマクロン氏に日本の制度を説明し、理解を求めた。

フランスは2024年のパリ五輪の開催国になる。マクロン氏は開会式について「素晴らしかった。東京大会の成功を確信している」と述べた。

新型コロナウイルス対策では、ワクチンの公平な確保が重要だとの認識で一致した。共同声明でビジネス目的などの人的交流の早期再開を期待すると記した。

両首脳の対面会談は6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて英国で開いて以来、2度目となった。マクロン氏は会談後、ツイッターに「日仏のパートナーシップは特別なものだ」と書き込んだ。

首相は24日、マクロン氏に先立ちポーランドのドゥダ大統領、アルメニアのサルキシャン大統領らと個別に会談した。

フランス人男性が「子の連れ去り」被害を訴えハンスト中 日仏首脳会談でマクロン大統領が議題に

出典:令和3年7月24日 デイリー新潮

フランス人男性が「子の連れ去り」被害を訴えハンスト中 日仏首脳会談でマクロン大統領が議題に

「子の連れ去り」被害を訴えるフランス人男性が、国立競技場前でハンガーストライキに入ってから2週間が経過した。「死んでも構わない。五輪中も成果が得られるまで続行する」と男性は語るが、体力は限界に近づきつつある。

14日目に迎えた開会式

 7月23日午後。東京・渋谷区のJR千駄ヶ谷駅前には、立錐の余地がないほど大勢の人々が詰め掛けていた。東京五輪の開会を祝うブルーインパルスが空を舞い出すと、群衆から一斉に大歓声が上がった。

 そんなお祭り騒ぎの中、人だかりの影に隠れるように、ヴィンセント・フィショさん(39)は、しゃがみ込んでいた。

「とても五輪を祝う気になんかなれないよ。今の僕が考えていることはただ一つ。子供たちに会いたい。それだけです」

 7月10日から水以外は口にしないハンガーストライキを続けてきた彼は痩せ細り、憔悴しきっていた。

頭がぼうっとする

 ヴィンセントさんは3年間、我が子と会えていない。2006年に外資系金融機関の駐在員として来日した彼は、15年に日本人女性と結婚。二人の子宝に恵まれたが、3年前に夫婦関係が破綻してしまい、妻は子供たちを連れて家を出て行った。その後、子供たちがどこにいるかわからなくなってしまったのだ。

「警察、裁判所、役所にいくら掛け合ってもダメだった」。妻がヴィンセントさんからDVを受けたと訴えていることなどが原因で、子供たちの住所が秘匿されてしまったという。

「私は誓ってDVなどしていない。日本の当局は証拠もなしに、妻の一方的な訴えのみを信じて、私と子供たちを引き裂いたのです。フランス政府、国連、メディアに掛け合っても全部ダメ。もう私の体を投げ出す最終手段しか残されていない」

 ヴィンセントさんの行動がSNSなどを通して知れ渡ると、連日、多くの支援者が駆けつけた。ほとんどが、同じような事情で子供たちと会えない“同志”たちだ。19日、20日には超党派で結成されている「共同養育支援議員連盟」の国会議員メンバーも来訪。その度、ヴィンセントさんは立ち上がり、一緒に写真に収まるなど元気な様子を見せていたが、五輪開会式を迎えた23日は一日中、座り込んだままだった。

「足が痛く、立ち上がるのがしんどい。頭もぼうっとする」

 支援者によると、医師の勧めで、1週間くらい前から最低限の塩分やビタミンを取ってはいるものの、体力の限界は近づきつつあるという。

フランスでは連日ニュースに

 日本でこのような「連れ去り」が多発している要因として挙げられるのが、離婚後の単独親権制度だ。一方、共同親権が一般的な欧米などの先進諸国は、日本に対し「連れ去りは子供への重大な虐待」と批判してきた。20年7月に欧州議会は、日本人の親が日本国内で子供を一方的に連れ去り、別れた相手に面会させないことを禁じる措置を迅速に講じるよう、日本政府に要請する決議案を採択している。

 ヴィンセントさんは2年前に、母国フランスのマクロン大統領が来日した際に面会し、支援を訴えている。「あの時、大統領は『善処する』と約束した」。しかし、状況は何も変わっていない。五輪開会式出席のため来日するマクロン大統領に再会し、直訴したい。そんな思いのもと、彼はこの2週間、ハンストを続けてきた。

 ヨーロッパ在住のジャーナリスト・栗田路子氏によれば、フランスでは彼の行動は連日大きく報じられているという。

「『ル・フィガロ』『ル・モンド』などの大手紙を始め、国営放送のニュース番組でも特集が組まれており、広く市民に共感されています。フランスのみならず欧州圏では、どんなにいがみあって別れても、子供の最善のために協力して育てる『共同親権』が広く実行されているので、みな信じられないといった思いです。24日、マクロン大統領が菅首相との首脳会談でこの問題を取り上げることも大統領府から発表されており、大きな関心が寄せられています」

マクロンは来たのか……

 マクロン大統領が来日した23日の午後2時過ぎ、突如、大統領顧問とフランス大使がヴィンセントさんの前に現れ、現場には緊張が走った。マクロンがやってくるのではないかーー。だが、彼らは大統領の代理として訪れただけだった。この時ばかりはヴィンセントさんは体を振り絞るように立ち上がり、フランスから日本に外圧をかけ、この状況を打開してほしいと訴えた。翌24日昼、日仏首脳会談が開かれ、マクロン大統領は菅首相に対策を講じるよう要望したとみられるが、千駄ヶ谷駅前に現れることはなかった。

 ヴィンセントさんはこう訴える。

「マクロンがここに来ることが重要だったわけではない。それなら2年前と変わらない。僕が要求しているのは、子供たちと会わせてくれること。そのために、母国がちゃんと動いてくれること。それが確約されるまで、僕は続けます。死んでも構わない。二人の子供たちはパパに会いたがっている。彼らのためにも戦い続けます」

日仏首脳が会談 共同声明で「子の連れ去り問題」言及

出典:令和3年7月24日 AFP

日仏首脳が会談 共同声明で「子の連れ去り問題」言及

【7月24日 AFP】東京五輪開会式出席のため来日したフランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は24日、東京・元赤坂の迎賓館で菅義偉(Yoshihide Suga)首相と会談した。両首脳は会談後に共同声明を発表し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現の重要性を強調したほか、国際結婚の破綻に伴ういわゆる「子どもの連れ去り問題」にも言及した。

 マクロン氏は会談終了後、「私たちが一丸となって新型コロナウイルスと闘い、回復を目指している時、このパートナーシップは強みになる」とツイッター(Twitter)に投稿。日仏関係を「特別なもの」と評価した。

 またマクロン・菅両氏は、会談で気候変動対策についても協議したと明らかにした。

 共同声明は、日本におけるいわゆる「子どもの連れ去り問題」にも言及。日本では両親が離婚・別居した際の共同親権は認められていない。両氏は日仏が「子どもの利益を最優先して対話を強化していく」としている。

 子どもの問題をめぐっては、わが子を日本人妻に「誘拐された」と主張する日本在住歴15年のフランス人、ヴィンセント・フィショ(Vincent Fichot)氏(39)が今月、子どもとの面会を求めて東京都内でハンガーストライキを行った。

 フィショ氏は実子2人と3年近く会えずにいると訴えており、今週、マクロン氏の顧問らと面会している。(c)AFP

日本の「子ども連れ去り」に海外が注目する理由

出典:令和3年7月24日 東洋経済ONLINE

日本の「子ども連れ去り」に海外が注目する理由 「共同親権」をめぐる日本と海外の大きな溝

レジス・アルノー : 『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員

 7月10日、フランス人のヴィンセント・フィショ氏がオリンピックスタジアムの近く、千駄ケ谷駅前でハンガーストライキを始めた。オリンピック期間中に自らが直面している問題に世界の注目を集めるためだ。2018年8月10日に妻が2人の子どもを連れて去ってから、フィショ氏は子どもたちに会えていない。

目下、離婚裁判が進んでいるが、フィショ氏と妻はまだ婚姻状態にあるため、法律では2人は今も共同親権者だ。もっとも、離婚までの監護権者は裁判所で妻に指定されている。この件で、妻はフィショ氏による家庭内暴力を主張し、フィショ氏は全面的に否定した。村松多香子判事は、ドメスティック・バイオレンス(DV)があったかについては判断しないまま、監護権者として母親を指定した。

マクロン大統領が菅首相に協議を要請

フィショ氏はハンガーストライキの場所と時間を慎重に選んだ。そして、日本の中で世界の注目を集めている場所のそばで、オリンピックの13日前に行動を起こしたのである。

同氏はこれによって、フランスのエマニュエル・マクロン大統領がこの問題に対して何らかの行動を取ることを望んでいる。フィショ氏は2019年に同大統領と在日フランス大使館で会い、この件について問題提起をした。同大統領は同情し、その日の夕食会で当時の安倍晋三首相にこのことを話している。

「だが、それ以来、何の進展もない」と、フィショ氏。フランス大統領府が明らかにしたところによれば、マクロン大統領はオリンピックで来日の際、この問題を協議することを菅義偉首相に求めている。大統領は、数少ない重要な国家元首の1人がはるばるフランスから訪れるのだから、自分の立場は強いと見ているようだ。

マクロン大統領はまた、菅首相が安倍前首相よりも一個人としてこの種の社会問題に柔軟であると信じている。ただし、フィショ氏のもとを訪れることは逆効果だろうと考えているのか、現段階で大統領はフィショ氏を訪れることは予定していない。

 フィショ氏の行動は世界の注目を集めている。フランスのAFP、アメリカのワシントン・ポスト、イギリスのフィナンシャル・タイムズなどがこの件を報じている。しかし、マクロン大統領が子の連れ去り問題を来日時に取り上げることを明らかにしたことから、ようやく少し取り上げられるようになったものの、日本のメディアはほとんど沈黙したままだ。

千駄ケ谷駅の改札口には外国人と日本人の何十人もの親(男性の方が多いものの、女性も少なくない)がフィショ氏のもとを日々訪れている。水筒を持ち寄り、同氏を支えている。お互いに自分の物語を語り、泣いている。毎日通っている人もいる。自分の結婚相手と連絡が取れなくなった人もいれば、パートナーとの関係が緊張状態にあり、子どもが連れ去られるのではないか、とおそれている人もいる。

「大阪からバスで会いにきてくれた日本人の父親もいます」とフィショ氏は話す。

「子の連れ去り問題」日本と海外で認識の差

国際結婚をしたカップルの片方が、子どもとともに姿を消して連絡を絶つ、という問題は双方が日本人同士であるより複雑だ。それは、日本と他国の制度や考え方に大きな違いがあるからだ。

例えば日本とフランスの制度を比較した場合、どちらの国も、「子どもの最善の利益」を原則としている。しかし、「何が子どもの最善の利益か」という点において、両者は大きく異なっているように見える。日本の裁判所は、継続性の原則、つまり、子どもの現在の生活状況に特段の問題がなければ、その状況を維持することが子どもの最善の利益にとって重要であると考えている。

他方で、フランスでは両親の相互への愛が冷めたとしても、子どもとそれぞれの親との関係を維持することこそが子どもの最善の利益である、という信念がある。このため、フランスでは両親が離婚しでも双方の親が親権を持つ。

フランスの家族法に詳しいセリーヌ・ケダール=ボーフール弁護士は過去30年間、繊細な事例を扱ってきた。同弁護士によると、「子どもたちは主に同居する親としてどちらかの親を指定されるが、もう一方の親もどうどうと子どもに会うことができる。一般的には隔週の週末とすべての祝祭日の半分だ」と話す。

判事は子どもの「主な住居」としてどちらがふさわしいかを判断する際、いくつかの基準を検討するーー子どもと過ごす時間を持てるかどうか、教育面での世話ができるかどうか、どれくらいの収入があるかなどだ。

「例えば夫が教師で、家で過ごす時間が多い一方、妻が弁護士で極めて多忙という場合は、判事は子どもの家として夫の家を選ぶ」とケダール=ボーフール弁護士は話す。結果的に、フランスでは、両方の親が子どもと十分に過ごすことが認められている。

また、日本の制度と比較した場合大きく違うのは、子どもとの面会を求めることができる人の範囲が驚くほど広いということだ。フランス民法典第371条第4項は次のように説明している。

「家庭裁判所は、子どもの利益のために、親かどうかにかかわらず、特に、その第三者が基本的に安定して子どもおよび親の一方と一緒に住んでおり、子どもの成長、養育費、安定的な生活を提供し、子どもと永続的な感情の結びつきを築いている場合には、子どもと第三者の関係性に関する条件を決定しなければならない」

これが実際に意味することは、祖父母や義理の親、さらには乳母であっても、長い間子どもたちと一緒にいた人なら、両親の離婚後も面会を求めることができるということだ。当然、子どもたちが望んでいる場合だが。

DV被害者を守る制度

共同親権問題を語るときに重要となってくるのが、ドメスティック・バイオレンス(DV)である。カップルのどちらかが伴侶から暴力を受けていて、妻あるいは夫が子どもを連れて去る、というケースも考えられるからだ。この場合、逃げた側が自身と子どもの安全のため身を隠していることもあるだろう。

フランスでもDVは大きな問題だ。フランスでは女性がDVから逃れたいと思ったときの仕組みはこうだ。

「DVの疑いがある場合、裁判所はヒアリングが設定された日から最大6日以内に、被害者に対する緊急保護命令を出すことができる。請求してから数日でヒアリングの日程が決まる。一般的に、例えば女性が木曜日に申請した場合、翌週の火曜日に裁判所でヒアリングが行われ、翌週に決定が下される」(ケダール=ボーフール弁護士)。命令では、加害者を家から退去させることもできる。期間は6月だが、延長も可能である。

これに対し、日本では、DV被害者は逃げるのが基本だ。退去命令を求めることも可能だが、その期間は2カ月であり、その間にDV被害者は自分が住んでいる家から逃げ出さなければならない。このように効果的なDV対策制度がないため、被害者の親は子どもと一緒に逃げて自己防衛しようとするほかない、と子を連れ去る親への偏重を是とする日本の弁護士や非政府組織は説明する。

もっとも、フランスでは、こうしたDVが問題になる場合でも、両親のうち一方が子どもとまったく会えなくなることは通常ない。ケダール=ボーフール弁護士によれば、「子どもを連れ去られた親が暴力的であることが判明した場合でも、心理学者が同席し、判事の監督の下、『面会センター』で子どもと会うことができる。後に、父親が暴力的でなくなったと判事が判断すれば、元夫は段階的に子どもたちと会うことができるようになる」。

 一方、日本では両親がそろって同意したとしても、離婚後の共同親権は認められていない。すなわち、両親の別離があった場合、子どもは2つの家庭に属するのではなく、完全な親権を持つ親と一緒に、もう一方の親から離れるべきだという考え方が基本となっている。

「日本では、別離後の面会はイベントであり、日常生活の一部ではなく、面会というイベントは子どもの日常生活を害さない限りで認められる。反対にフランスでは、面会は子どもの日常生活の一部だ」と家族問題を専門とする、ある日本人弁護士は説明する。日本では、残された方の親が判事から面会を認められても、その頻度や時間は申し訳程度のものとなるだけでなく、親権を持つ親によって拒否されれば実現はほとんど不可能だ。

離婚したら子どもの人生から「切り離される」

子どもの連れ去りが容認され、その後は、継続性の原則にしたがって、どちらかだけの親にすべてが与えられる。日本の制度が今後もこうした考えに基づくのであれば、伝統的に主に育児をする側との認識がある妻側だけが主に親権を持つという状況は変わらないだろう。

それどころか、日本人は離婚後に、基本的に親権を持たない親(多くは夫)が子どもの人生から自分が切り離されるという事実や、妻が再婚した場合、夫は完全に子どもの人生から消し去られるという事実を難なく受け入れてきている。

が、一方で若い父親たちはこうした法律を徐々に受け入れないようになってきている。「育児に関して、30代、40代の多くの父親はそれ以前の世代と考え方がまったく違う。育児に関わり続けたいと考えている」と、家族問題を専門とする大畑敦子弁護士は話す。「面会を要求する父親の数はますます増えている」と別の弁護士は付け加える。

実はフランスでも、もともと共同親権が認められていたわけではない。「私が30年前にこの仕事を始めた時には、制度的に母親が親権を持っていた。子どもの近くにいるためだけに妻と一緒にいる、と告白する父親はめずらしくなかった」と、ケダール=ボーフール弁護士は話す。

「2002年に共同親権が法律上の基本原則となった。それ以来、男女間の関係性はまったく違うものになった。もちろん、別れた後のふたりの関係はつねに複雑だ。しかし、双方がお互いに子どもと会い続ける権利を持つことに同意はしている」

今回、フィショ氏の妻と弁護士にも取材を申し込んだが、「繊細な段階」として取材を受けてもらうことはできなかった。

「必要なのは約束よりも結果」ハンスト12日目 ヴィンセント・フィショ氏

出典:令和3年7月22日 Japan In-depth

「必要なのは約束よりも結果」ハンスト12日目 ヴィンセント・フィショ氏

安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
Japan In-depth編集部
【まとめ】
ヴィンセント・フィショ氏は7月21日、日本外国特派員協会が主催したオンラインで会見に出席した。
親権をめぐる日本の問題は、法ではなくその適用にある。
日本の司法システムが、子供の連れ去りを助長している。
ヴィンセント・フィショ氏は7月21日、日本外国特派員協会(FCCJ)にて行われた会見にオンラインで出席した。(「Press Conference: A hunger strike with diplomatic implications by Vincent Fichot(記者会見:ヴィンセント・フィショ氏による外交問題を提起するハンスト)」フィショ氏は、3年前、妻が2人の子どもを連れて家を出て以来会えていない。現在、子どもたちとの再会を求め、国立競技場近くの千駄ヶ谷駅(東京都・渋谷区JR東日本総武線)構内でハンガーストライキを行っている。 7月21日は、その12日目。自身の健康状態に不安のある中、子どもの権利尊重を訴えた。(前記事:「日本の司法制度は子どもの権利を守ってくれない」ハンスト続けるヴィンセント・フィショ氏
司会を務めカカリン・ニシムラ氏(仏「リベラシオン」と「ラジオ・フランス」の特派員)は、会見開催の意図を次のように説明した。「私たちがこの会見を設ける必要があると考えたのは、フィショ氏と同じ境遇にある人が多くいること、そして、フィショ氏が彼の子どもだけでなく同じ境遇にある多くの子どもたちの権利のために戦っていることを知っているからです」。

共同司会を務めたピオ・デミリア氏(イタリア人ジャーナリスト)によれば、FCCJはこの会見を開催するにあたり、フィショ氏の妻の担当弁護士から手紙を受け取っている。手紙は、フィショ氏の妻の名誉を棄損しないこと、彼女に言及しないことを求める内容だという。
これに対してフィショ氏は、「私は、妻を貶めるためにここにいるのではありません。日本の全ての国家機関、警察、司法、政府によって侵害されている、私の子どもたちの利益を守るためにここにいるのです」と述べた。
フィショ氏は、続けて自身の現状を説明した。
「私がハンストを行うのは、日本で行いうる全ての法的行為を試しても、日本にはこの状況を変える気がないと分かったからです」
「私は、EUや、欧州議会、2019年にはマクロン大統領にも、訴えを持っていきました。しかし3年間の後に、日本での子どもの誘拐を訴える私の試みは全て退けられました」
「私はフランス政府に圧力をかけることにしました。私の子どもたちはフランス国籍も持っていて、居所に関わらず、保護や人権保障はフランス政府にかかっています。私はハンストを通して、この非難すべき状況をフランス政府に理解してもらいたい。そして日本当局に対して、人権侵害を改善し、子どもたちを東京の家に返し、二度と同じことがないよう約束するように求めてほしい。日本が断った場合には、国際法の侵害として、フランス政府が強い制裁を科すと信じています」

フィショ氏は、日本が自発的に制度改革をする可能性はほとんどないと見ている。
「政府は、共同親権についての審議会を設立すると発表しましたが、これは彼らにとって初めての試みではなく、10年以上何の結果もないまま紛糾しています」

「私たちが必要なのは約束よりも結果です」

「自国領域内の自国民に会いたいという要求を3年間も無視し続けてきた政府が、明日になったら約束を守るようになるとは期待していません」
また、日本の親権制度については、次のように述べた。
「単独親権は問題ですが、最大の問題は司法にあると考えます。裁判官は法を重んじていません」
2011年の民法改正を例に挙げ、さらに訴えた。2011年の民法改正は、児童虐待から子どもを守ることを目的とし、親権が子どもの利益のために行われることを初めて明記した。(参考:「児童虐待から子どもを守るための民法の「親権制限制度」」政府広報オンライン
「2011年に改正された民法では、親権を獲得するために子どもを誘拐するような凶悪な犯罪を犯す親には親権を与えず、子どもの成長と両親との健全な関係構築のために友好的な計画を提示する親に親権を与えるという点が、改正の原則であり、改善点でした。しかしこれは日本の裁判所では一切顧みられませんでした。問題は法自体にあるのではなく、その適用にあるのです」
さらにフィショ氏は、ハンストの現場を訪れた自身の支持者について言及し、日本政府を批判した。
「7月10日以来、フランス人だけでなく多くの人がたずねてくれました。支持者や、子ども誘拐の被害者たち、それも親だけでなく子の立場の人々もいました。12日の間、先進国で起こっていることと思えないような話を聞きました」
「全ての証言は問題の重大さを示しています。法務省や外務省は、国会議員の質問を受けるといつも『個々の場合に応じて』というけれど、もし彼らが私と一緒にここで12日間座っていれば、これが「個々」の問題でなく組織的な問題だとわかるでしょう。私の事例は特別ではなく、日本人・外国人・母親・父親あらゆる人に起こることです。最終的には子どもたちがこの犯罪・人権侵害に立ち向かうことになるのです」

子ども誘拐の被害者が父親である場合と、母親である場合の違いについての質問に対しては、次のように述べた。
「区別なく誰にでも起こります。しかし、父親が「妻が子どもを連れ去った」と言えば初期反応は「きっとそうするだけの正当な理由があったんだろう」というもので、突然DVや会話の中のことが持ち上がる。一方母親が暴力をふるった可能性となれば、すぐさま決めつけられることはないようです」
「被害者には、母親が多いように感じます。そしてその大きな理由は競争にあると思います。父親は、母親が子どもを連れ去ってしまえばもう二度と子どもに会えないと知っているので、より早く子どもを連れ去って親権を確保することを考えるでしょう。システムが、このドラスティックな行為を助長しているのです」
「私が子どもたちを取り戻したい理由は、日本が私の子どもたちの権利を守ってくれないことが現在明らかだからです。彼らの権利を尊重するために私ができる唯一のことは、私が彼らと共に東京の家に戻り、彼らの利益と両親との健全な関係を保障することです。私は、子どもたちと妻との関係がどうあるべきか決めようとはしていない。彼らが自分で決められる年になるまで、健全な関係を支えようとしているだけです」
マクロン大統領への直訴の実現可能性については、「50-50(五分五分)」と予想した。そのうえで、「約束よりも結果」を求める姿勢を強調した。
「ハンストの目的はマクロン大統領に会うことではありません」
「もし握手をして『最大限努力する』と言うだけなら、私は既に2年前に聞きましたし、それで私の子どもたちの境遇が改善されることはありませんでした」
妻に対して伝えたいメッセージを問われると、フィショ氏は「ありません」と否定した。「ここでの私の戦いは、私の子どもたちを保護すべき日本当局との戦いなのです」。
「短期的にはどんな結果になろうとも、日本当局による子どもの権利侵害を止めることは、過去のすべての抗議行動の結果だと言えるでしょう。過去20年もの間、メディアがこの問題を議論し、政府が目を向ける水準には達していませんでした。私以前に行動を起こした人全てに感謝しています」。
会見に質問を寄せたメディアは、Reutersなど外国メディア、フリージャーナリストが中心。会場で質問した日本のマス・メディアは読売新聞一社のみだった。
マクロン大統領は、23日に東京五輪開会式出席の為に来日する予定だが、フィショ氏と面会するかどうかはまだわからない。マクロン大統領が菅首相と面会した時に「子どもの連れ去り」問題について提起するかも未定だ。開会式まで後2日。東京は連日最高気温30度超の猛暑だ。フィショ氏の健康が懸念される。

ヴィンセント・フィショ氏 FCCJ会見動画
https://youtu.be/jithMFYFJfA

【以下追記:2021年7月22日21時】
 
Japan In-depthはフランス大使館に対し、フィショ氏の問題に関する見解を独自に問い合わせた。
 
会見と同日(7月21日)、フランス大使館より公式のコメントが得られた。内容は、以下の通り。
 
「Fichot氏の状況はこの大使館でも約3年前から注意深く追っており、私たちはこの家族の状況について日本の当局(外務、司法、警察)に繰り返し注意喚起してきました。
 
Fichot氏の子どもたちの居場所については、これまで何の情報も一切提供されておらず、私たちの再三の働きかけにもかかわらず、Fichot氏が子どもたちに会える保証も、またこの大使館が領事訪問することを認められるということも、何の約束もとりつけられていません。
 
フランス当局は、最も高いレベルにおいても、またこの大使館においても、この件について引き続き注力し、また子どもの最善の利益のために解決策を見出す必要性について、日本当局に訴えかけ続けます。」

マクロン大統領が来日、東京五輪開会式に出席 日仏首脳会談で共同親権問題も協議へ

出典:令和3年7月21日 東京新聞

マクロン大統領が来日、東京五輪開会式に出席 日仏首脳会談で共同親権問題も協議へ

【パリ=谷悠己】フランス大統領府は20日、マクロン大統領が次回2024年パリ五輪開催国の首脳として23日の東京五輪開会式に出席するため来日すると発表した。24日に菅義偉首相との会談が予定されている。
 大統領府は、首脳会談ではフランスの海外領土があるインド太平洋地域の安定が主要議題の一つになると説明。同地域での中国の軍事的、経済的な台頭を背景に、日本との連携を確認する目的があるという。
 大統領府はまた、マクロン氏が、日本人配偶者との離婚後も子どもの親権を主張する在日フランス人を支援するため、日本側当局者と協議する意向だと明らかにした。日本と違って共同親権を認めているフランスなど他国出身の外国人が来日後、日本の裁判所の決定で離婚後に子どもに会えないことを不当だと訴えるケースが相次いでおり、仏国内でも注目を集めている。

仏マクロン氏、来日時に子供の「連れ去り」問題を討議へ

出典:令和3年7月21日 日本経済新聞

仏マクロン氏、来日時に子供の「連れ去り」問題を討議へ

【パリ=白石透冴】フランスのマクロン大統領は23日の来日時に、国際結婚が破綻した後に起きる子供の親権問題について日本側と討議する。フランスでは日本の制度は子供の連れ去りを容認しているとの指摘があり、問題意識を共有する。
仏大統領府関係者が明かした。東京五輪開会式出席のため来日し菅義偉首相とも会談する予定だが「日本が決めるべき事柄だが、日本当局と解決策を探る」(大統領府)という。配偶者に子供を連れ去られたとしてフランス人男性が10日から都内でハンガーストライキをしており、仏政府も関心を高めている。
日本の民法は原則、離婚後の親権は片方の親が持つという「単独親権」の考え方を取る。ただ片方の親が無断で子供を連れ去って親権を主張し、他方の親が泣き寝入りするという問題につながっている。フランスでは離婚後も両方の親が親権を持つ共同親権が基本となっている。

「子連れ去り」協議へ 東京五輪で訪日時―仏大統領

出典:令和3年7月21日 時事通信

「子連れ去り」協議へ 東京五輪で訪日時―仏大統領

 【パリ時事】東京五輪の開会式に出席するため訪日するフランスのマクロン大統領が、国際結婚の破綻に伴う、いわゆる「子供の連れ去り問題」に関し、日本政府側に協議を求めることが分かった。仏大統領府が20日、明らかにした。

 フランスは共同親権が認められ、夫婦の関係が破綻しても、いずれも子供に会う権利を持つ。離婚後は子供が平日を母親と過ごし、週末を父親と過ごすなど、双方が均等に子供を養育するよう工夫している。また、親の一方が他方に無断で子供を連れて引っ越すのは禁止されている。

 日本は単独親権で、離婚した場合は親のどちらかが子供と暮らし、他方の親が面会交流を認められない場合もある。子供の進学や居住地などは親権者が決定する。こうした日仏両国の制度の違いから、子供の親権や面会交流をめぐる争いが多く報告されてきた。
 日本に暮らすフランス人のバンサン・フィショさん(39)は、日本人の妻が子供を連れて突然家を出たと訴え、今月10日からハンガーストライキを行っている。仏大統領府は「大統領はフィショさんの状況に注意している。日本当局との解決策を引き続き模索している」と説明した。
 これに関して茂木敏充外相は13日、「個別の民事事案にコメントする立場にない。(日本)国内における事案は、国内法にのっとり、当事者間で解決されるべきだ」との認識を示した。

「日本の司法制度は子どもの権利を守ってくれない」ハンスト続けるヴィンセント・フィショ氏

出典:令和3年7月17日 Japan In-depth

「日本の司法制度は子どもの権利を守ってくれない」ハンスト続けるヴィンセント・フィショ氏

安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

Japan In-depth編集部(石田桃子、菅泰亮)

【まとめ】

・フィショ氏、子どもとの再会のためハンスト継続、7日目迎える。

・離婚・親権をめぐる日本の法制度に疑問を呈する。

フランス政府による日本政府に対する圧力を望む。

炎天下の千駄ヶ谷駅前(東京都渋谷区)。「拉致」の文字がはためくのぼりの下に、横たわる男性の姿がある。フランス人、ヴィンセント・フィショ氏。息子と娘との再会を果たすため、ハンガーストライキを続けている。今日で7日目だ。気温30度を越す猛暑の中、体力の消耗が激しいように見える。

■ ハンストのわけ

なぜ、フィショ氏はハンストを始めたのか。ことの発端は、2018年8月10日にさかのぼる。フィショ氏の妻が当時3歳と11か月の子供を連れて家を出たのだ。

妻の弁護士を通じて知らされた理由は、彼のDVだった。DVの事実は、後の裁判で否定され、妻もその主張を撤回している。にも関わらず、妻や裁判所は、彼と子供との面会を拒否し続けている。

「私は警察に4回行って、子供の誘拐を訴えたが、警察は私の訴えを拒否した。その代わりに、もし私が子供に会おうとすれば、誘拐未遂罪で逮捕すると言った。私はまだ親権を持っているのに」

そうフィショ氏は訴える。
3年近くもの間、彼は子供に会えていない。
「今では子供たちが生きているかどうかもわからない」
フィショ氏の決意は固い。
「子供たちを家へ連れて帰る」

そのためにフィショ氏は、ハンストを選んだ。

■ ハンストのメッセージ

私たちはフィショ氏に彼が最終的に何を望んでいるのか聞いた。

「私の望みは、フランス政府が、日本に対して子供の権利保護をするように求めること。そして日本がそれを断った時には強い制裁を課すことだ」

フィショ氏は、「日本の司法制度は子供の権利を守ってくれない」と非難する。

「日本は『児童の権利に関する条約』に1994年に批准した。27年も前だ。なのにそれを尊重しないことを続けている。クレイジーだ」

「児童の権利条約(児童の権利に関する条約)」は、子供の基本的人権を国際的に保障するため、 1989年に国連総会で採択された条約(1990年発効)。「子どもの最善の利益(子どもに関することが行われる時は、「その子どもにとって最もよいこと」を第一に考えます)」を原則の一つとしているほか、「児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する(9条1項)」などを定めている。

フィショ氏はこれまでも、似た境遇にある親たちと共に、日本における子供の権利侵害を国際社会に繰り返し訴えてきた。国連人権理事会、欧州議会、フランス・マクロン大統領は、彼らの訴えを受理し日本に対する抗議を行った。

フィショ氏によれば、2019年6月の面会時、マクロン大統領は「私たちの状況を「受け入れられない」と言って、支援すると表明してくれた」という。

このほか、日本に対する国際的な抗議は、参議院の調査報告(『立法と調査 2020. 9 No. 427)に、以下のように紹介されている。

「2019(平成31)年2月、国連の「児童の権利委員会」が、日本の第4回・第5回政府報告に関する総括所見において、「児童の最善の利益である場合に、外国籍の親も含めて児童の共同養育を認めるため、離婚後の親子関係について定めた法令を改正し、また、非同居親との人的な関係及び直接の接触を維持するための児童の権利が定期的に行使できることを確保する」ため、十分な人的資源、技術的資源及び財源に裏付けられたあらゆる必要な措置をとるよう日本に勧告した。これに対し政府は、勧告については真摯に受け止めているとしている。」

「2020(令和2)年7月、欧州議会は、加盟国の国籍をもつ人と日本人の結婚が破綻した場合などに、日本人の親が日本国内で子を一方的に連れ去るケースが相次いでいるとして、連れ去りを禁止する措置や共同親権を認める法整備などを求める決議を採択した。これに対し森法務大臣は、離婚に伴う子の連れ去りや親権制度をどうするかという問題は複雑だが、子の利益を最優先として、様々な意見に耳を傾けながら検討を進める旨発言している」

■ 日本の親権制度

「一方の親による子どもの連れ去り」の問題において、海外から非難を浴びる日本の法制度には、次のことが挙げられる。(参考:コリン・ジョーンズ「日本の法制度における離婚と親権の問題

1.「一方の親による子どもの連れ去り」の多くが犯罪と認定されないこと。

ある事例が、刑法224条に定められた「未成年者略取及び誘拐」の罪に当たるか否かの判断が警察によって行われる可能性がある。日本の警察には「民事」不介入の原則、特定の紛争が民事か否かを決める幅広い裁量権がある。

2.単独親権制度

婚姻中の父母は未成年の子に対して共同して親権を行使するが(民法第818条第1項、第3項)、離婚後は父母のどちらか一方が親権を行使することとなる(民法第819条第1項)。このように、離婚後に単独親権制度のみを認める国は、インドとトルコ。ほか主要先進国は、共同親権を認めている。

3.両親の離婚後の子どもの扱いについて法律がほとんど規定していないこと。

離婚の際の子どもに関する親権、監護権、面接交渉権の決定に関して、裁判所に課される法定の指針はない。日本の家庭裁判所の裁判官は非常に大きな裁量権を有しており、親権に関する外国の判決からは考えられないような決定を下す可能性がある。

4.調停の段階では、裁判所が「子どもの引き渡し命令」など暫定的な救済措置に消極的な場合があること。

離婚や親権について裁判所に持ち込む場合、まずは家庭裁判所の「調停」に参加する。調停では、裁判所は補助的な役割しか担うべきでないとされており、子どもにとって最善の利益であることが明らかな場合を除き、暫定的な救済措置(子どもの引き渡し命令など)の実施に消極的なこともある。

5.離婚調停が失敗し両親が提訴しない場合、監護権が裁判所の判断により決定されること。

親権に関する司法判断は一般的に、裁判離婚の成立時に裁判所が下す。離婚調停が失敗し、当事者のどちらも提訴しない場合、法律上は結婚したまま親権は双方が持ち続ける。ただし親権の監護権の部分(誰が子どもと同居し養育するか、面接交渉、養育費の支払い、一方の親に連れ去られた子どもを返還させるべきか)に関しては、調停が失敗すると、当事者が訴訟を起さなくても裁判所が自動的に審判の手続きに入る。

■ 日本への失望感

国際的な抗議にも関わらず、日本には改善の気配がない。フィショ氏は失望感を露わにした。

「日本の機関や日本政府が誠意を持って行動しているとは思えない。日本の司法制度や日本政府には全く期待していないし、信用もしていない」

「日本は人権を理解せず、「法の支配」を尊重していないのは明らかだ。なぜなら、日本は国際条約に調印していて、フランスが礼儀正しく外交的に、日本にそれを尊重するよう要請しても日本は協力を拒んでいる」

フィショ氏によれば、フランス当局は、彼の妻の弁護士を通して子供たちとの接触を試みたが、拒否されたという。さらにフランス当局は、日本当局に対して、子供たちの安否を確認するよう求める要請も行ったが、拒否された、と述べた。

「私は、フランスの法律を日本に押し付けようとしているわけではない。日本の司法に求めることは、日本の法律と、国際法と法の支配を尊重するようになってほしいということだ」

「子供たちを取り戻すか、さもなくばここで死ぬ。父として、私の責任 は、持てるものすべてを子供たちに与えること。子供を守ることは、親の権利ではなくて義務なのだ」

「私は最後までここにいるつもりだ」

■ 支援キャンペーン

オンライン署名サイトのChange.orgはフィショ氏の賛同者を求めるキャンペーン「【賛同者募集】 ヴィンセント[ヴァンサン]・フィショと2018年8月10日に日本で不当に誘拐された彼の子供たちとの再会のために)」を実施中だ。

同サイトにおける要求は以下の通り。(翻訳ソフトDeePLによる。正確には上記サイトの原文:仏語を参照のこと)

・私たちは、フランス共和国大統領および政府に対し、人権および国際条約の尊重を定めた日欧戦略的パートナーシップ協定の第2条に違反しているとして、フランスの同協定への加盟を直ちに停止するよう要請します。

・また、日本の親に拉致された子供たちの事件を、フランスが国際司法裁判所に直ちに提訴することを求めます。

・最後に、私たちは、フランスがこの問題に関して同意していないことを証明するために、駐日大使を呼び戻すことを求めます。

「子の連れ去り」被害を訴えるフランス人男性 国立競技場前でハンガーストライキを開始

出典:令和3年7月12日 デイリー新潮

「子の連れ去り」被害を訴えるフランス人男性 国立競技場前でハンガーストライキを開始

 いよいよ開幕が近づく東京五輪。その開会式の会場となる東京・千駄ヶ谷の国立競技場前で、フランス人男性が「子の連れ去り被害」を訴え、ハンガーストライキを開始した。「死んでも構わない。国際社会を動かし、我が子に再会できるまで続ける」と語る男性の覚悟とは――。

オムレツとアボカドだけ

 7月10日正午過ぎ。東京渋谷区のJR千駄ヶ谷駅前に、大きなリュックを背負った外国人男性が現れた。改札近くの柱の前に座布団を敷き、腰掛ける。同行する支援者が設置した幟には、日本語と英語でこう書かれていた。

〈ハンガーストライキ 拉致 私の子供たちは日本で誘拐されています〉

「今日のために1カ月間かけて準備をしてきました。最初の2週間は炭水化物なしの食生活。その後の2週間は1日1食、オムレツとアボカドだけで過ごしました」

 こう語るのは、フランス国籍を持つヴィンセント・フィショさん(39)。これから彼は、水以外は一切口にせず、ここで野宿して過ごすという。彼はつい先日まで、日本の大手証券会社に勤務する金融マンだったが、決起のため仕事も辞めた。なぜ、そこまでしてこのストライキに賭けるかというと、

「子供に会いたいからです。私の子供たちは母親によって“拉致”されてしまったのです。日本の裁判所や警察に訴え続けてきましたが、まったく進展がないままもう3年が経ちます。フランス政府、国連、メディアに掛け合っても全部ダメ。もう私の体を投げ出す最終手段しか残されていないのです」

ある日、突然連れ去られた

 ヴィンセントさんが来日したのは15年前、24歳の時。外資系金融機関の駐在員として東京にやってきた彼は、都内でのちに妻となる同い年の日本人女性と知り合ったという。意気投合した二人はやがて結婚。2015年には長男が誕生し、日本に永住する決意を固め自宅も購入した。だが、次第に夫婦仲は険悪になってしまったという。

「17年には長女も誕生したのですが、子育てや家事を巡って言い争いが絶えず、いつしか家庭内別居状態になっていました。妻とこのまま生活が続けられないと考えた私は、弁護士に相談し、離婚に向けた話し合いを始めました。ただ、あの時はまさか、こんな未来が待ち受けているとは思いもよりませんでした」

 離婚問題について話し合いが始まって、数週間が経ったある日のこと。仕事から帰宅すると、家の中はもぬけの殻となっていたという。家財道具、車、そして二人の子供まで。

「彼女は子供を連れてDVシェルターに駆け込んでしまったのです。そして、そのまま行方をくらましてしまった。もちろん私は、言葉も含めて、彼女に一切暴力をふるったことはありません」

 彼はすぐさま弁護士に相談し、警察に「妻が子供を誘拐した」と訴え出たが、まったく相手にされなかったという。

日本特有の親権制度

 このような実子の「連れ去り」は国内ばかりでなく、国際社会でも長らく問題視されてきた。日本は1994年に国連の「子供の権利条約」に批准、2014年にハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)に加盟しているが、国際結婚した日本人妻による連れ去り被害が絶えないため、EU諸国は条約不履行だと日本を批判してきた。20年7月に、欧州議会は、日本で横行する連れ去りに対して「子どもへの重大な虐待」と厳しく非難。日本人の親が日本国内で子供を一方的に連れ去り、別れた相手に面会させないことを禁じる措置を迅速に講じるよう日本政府に要請する決議案を採択した。だが、一向に事態は改善されないまま今日に至っている。

 日本社会では、妻が子供を連れて家を出てしまったという話をよく耳にするが、欧米では考えられないことだという。連れ去りは「誘拐」とみなされ、すぐさま警察が介入し、子供は連れ戻されるのが常識だ。

 なぜこのような違いが生じるのか。欧米では離婚した後も父母両方が共同で親権を持つのが一般的だが、日本では「単独親権制度」が採られているからである。離婚すると必ずどちらか一方が親権を破棄しなければならないため、離婚裁判で親権が争われる。その際、裁判官が「監護の継続性」を重視するため、先に子供を連れ去り、相手方と引き離してしまう手法が横行していると言われている。

 そして、連れ去る側がよく持ち出すと言われているのが、DV被害のでっちあげだ。もっとも、実際にDV被害にあっている配偶者もいるため、実態はわからない。だが、日本では、一方がDV被害を主張すれば、行政が事実の検証なしに住所秘匿の支援措置を出してしまう慣例がある。諸外国のように警察が司法介入してDVの有無を捜査することも滅多にない。そのため、子供を連れ去られた側は「連れ去り勝ち」だと訴え、「単独親権制度撤廃」を求める声が国内でも高まっているのである。

マクロン大統領に訴えたい

 妻が子供を連れて出ていった直後、ヴィンセントさんは家庭裁判所に子供の引き渡しと監護者を自分と定めるよう求める訴えを起こしたが、退けられた。現在は、妻から起こされた離婚訴訟が継続中だ。日本の裁判所に掛け合っても難しいと考えた彼は、母国フランスに対して強く働きかけてきた。

「2019年6月に、私は日本で同じような被害にあっているフランス人たちとともに、訪日中だったマクロン大統領と面会し、日本政府に働きかけてくれるよう頼みました。大統領は『受け入れがたいことだ』と言い、当時の安倍晋三首相に抗議してくれた。けれど、2年経っても進展しないままです。マクロン大統領は東京五輪のために来日する予定です。このハンストは、彼に対するメッセージでもあります」

 ハンスト中も常に頭から離れないのは、二人の子供たちのことだ。

「長男はパパが大好きで、毎朝私に『仕事に行かないで』とすがってきました。帰宅すると、靴を脱ぐ間もないくらいの勢いで玄関に駆け寄って、『一緒に遊ぼう』って。長女は母親に連れ去られた時は11ヶ月。まだ歩くこともできない状態でしたが、私に頬ずりされるのが大好きでした。彼らに会えない寂しさはもちろんあります。でも、私がこのような行動を起こすのは自分のためではない。父親を奪われ、寂しい思いをしている彼らのためなのです。もちろん、同じような思いをしている『連れ去り』被害者たちのためでもあります」

 こう語り、国立競技場を見据えるヴィンセントさん。決死の覚悟のハンストが実を結び、子供たちと再会できる日は来るのだろうか。

デイリー新潮取材班

日本人妻に「子供誘拐された」、仏男性が再会求めハンスト

出典:令和3年7月11日 AFP 

日本人妻に「子供誘拐された」、仏男性が再会求めハンスト

【7月11日 AFP】わが子を日本人妻に「誘拐された」と訴える在日フランス人男性が10日、東京都内でハンガーストライキを開始した。男性は、子供たちと再会するための自身の闘いに国際的な関心が集まってほしいと願っている。

 ハンストに入ったのはヴィンセント・フィショ(Vincent Fichot)氏(39)。駅の改札前で座り込みを続けるフィショ氏は「すべてをささげてきた。この3年間で仕事も、家も、貯金も失った」と語る。

 日本在住歴15年のフィショ氏は息子(6)と娘(4)が戻ってくるまでハンストをやめないと述べ、再会がかなわなければ「フランス当局が真剣に、私の子供たちを守る意向であることを示してほしい。そして、日本が子供の権利保護に同意しない場合には、日本に制裁を科す方針を示してほしい」と訴えた。

 フィショ氏によると、妻は裁判でフィショ氏からドメスティックバイオレンス(DV)を受けたと訴えたが、後にその主張を「撤回」。日本の司法から非難されるべきものは何もないと話す。

「あらゆる手を尽くしてきた、子供たちにとって良くないことだと妻を説得しようともした」

「今は子供たちが生きているかどうかも分からない」

 日本では、両親が離婚、あるいは別居した場合の共同親権は法的に認められていない。また、片方の親が他方の親の同意なく子を連れ去ることはよくあり、公式な統計はないが、人権団体の推計によると毎年約15万人の未成年者が強制的にどちらかの親から引き離されている。

 その中には、フィショ氏の子供たちのように国際結婚した両親の子も含まれる。日本の当局とのやり取りで障害に直面したフィショ氏は現在、フランス政府と国際機関に救済を求めている。

 フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は今月下旬、東京五輪の開会式に出席するため来日する。マクロン氏は前回来日時、日本で実子と引き離されたフランス人を支援すると表明し、「この苦境はまったく受け入れられない」と非難した。(c)AFP

福原愛さん離婚で「共同親権」認知度が日本でも上昇か

出典:令和3年7月11日 SAKISIRU編集部

福原愛さん離婚で「共同親権」認知度が日本でも上昇か

卓球元日本代表でロンドン五輪銀メダリストの福原愛さん(32)が、台湾の卓球選手・江宏傑さん(32)との離婚に際して、子どもの養育について「共同親権」を選んだことで、離婚報道直後には「共同親権」がツイッターのトレンドワード入りするなど、「単独親権」制の日本国内での注目度が著しくあがろうとしている。

日本国内での「共同親権」問題を巡ってはその認知度が低いばかりか、左派系の有識者などがDV問題の横行を名目に共同親権導入に反対。推進側は、DV対策とは分けて考えるべきとの見解を示して反論するものの、左派系有識者らがメディアへの影響力の強みを生かし、言論封殺に近いことも行われてきた。しかし今回、台湾の法制度に基づくとはいえ、日本の著名人が共同親権の当事者になったことで、世界の親権制度においては日本の単独親権がむしろ少数になっていることに社会的認知度が広がりつつある。

福原さんのケースでは、福原さんの不倫疑惑や江さんのモラハラ疑惑が週刊誌報道で浮上し、江さん側が今年4月に台湾・高雄の裁判所に離婚を申し立てた。2人の間には2017年に長女、19年に長男が生まれており、裁判所の審理では親権の取り扱いもポイントになっていたようだ。台湾はかつては日本と同じく、離婚後は単独親権制だったが、1996年の民法改正により、単独か共同かの選択制に変更(※)。共同親権を選ぶ割合は2005年に10%ほどだったのが、その後の10年間で倍増するなど、増える傾向にはあったようだ(※)。福原さん、江さんのケースでは、子どもたちがすでに台湾で生まれ育ってきた経緯から、江さんとともに引き続き台湾で暮らしつつ、福原さんも親権を持つことになった。

「単独親権のみ」G20で3か国のみ

我が国ではこの10年ほど、親権制度のあり方を見直す論議が高まり、2011年には国会で民法の一部改正が成立した際の附帯決議で、親権制度については、今日の家族を取り巻く状況、本法施行後の状況等を踏まえ、協議離婚制度の在り方、親権の一部制限制度の創設や懲戒権の在り方、離婚後の共同親権・共同監護の可能性を含め、その在り方全般について検討すること」といった要請が盛り込まれた。これに対し日本共産党などが「共同親権の拙速な導入に反対」を掲げるなどしてきたが、世界的には共同親権への流れが圧倒的だ。

法務省がG20を含む海外24か国の法制度を調査し、昨年4月に発表した「父母の離婚後の子の養育に関する海外法制について」の調査では、日本と同じく単独親権のみを採用するのはいまやインドとトルコだけであることが明らかになった。フランスやイタリア、ドイツなどは原則として共同親権を採用。スペインなどは父母の協議により選択制にしているという。離婚後の共同親権の行使で、元夫婦が対立した場合には、イギリスや米ワシントンD.C.などは裁判所での判断に委ねることが多く、タイは行政機関が助言や勧告するという。

こうした流れを受け、日本では3月から、法相の諮問機関である法制審議会の家族法制部会の討議に、共同親権の是非が入って議論される予定だ。ここまで当事者や有識者、メディアなどの間では、約束が守られないことが多い養育費や面会交流、DVがある場合の対策などの問題が挙げられているが、世論の関心の高まりがどう影響するか、上川法相は今年1月ツイッターで「私自身強い思いをもって臨んできた離婚に伴う子の養育のあり方について、法改正に向けた検討を行って頂くため、#法制審議会 に諮問することとしました。離婚に伴う養育費の不払いや交流の断絶は子の養育に深刻な影響を及ぼします。#チルドレン・ファースト の観点でスピード感ある議論を期待します。」と意欲を見せており、議論の行方が注目される。

妻に連れ去られた子どもに会いたい!フランス人男性が五輪開会式場近くで抗議のハンスト

出典:令和3年7月10日 SPEAKUP OVERSEAS

妻に連れ去られた子どもに会いたい!フランス人男性が五輪開会式場近くで抗議のハンスト

2021年7月10日、梅雨の晴れ間のこの日、東京の都心は最高気温が33度を超え、朝までの雨もあって蒸し風呂のような暑さ。間近に迫った東京オリンピックの開会式場となる国立競技場のすぐ前、JR千駄ヶ谷駅の広場で、抗議のハンガーストライキを始めたフランス人がいた。39歳のヴィンセント・フィショ氏である。

日本人女性と結婚し、2人の子どもと家庭を育んでいたが、3年前に突然、妻に子どもを連れ去られたという。八方手をつくしたが、未だに居場所もわからず、子どもに会えていない。

ハンガーストライキの目的は、オリンピックで来日するフランスのマクロン大統領に「子どもに会いたい」との訴えを届け、日本政府に善処を申し入れてくれることだという。というのは、フィショ氏は2019年にマクロン大統領が来日した際に、事態を重く見たフランス大使のはからいで、大統領に直接会って窮状を訴え、当時の安倍首相に進言してもらった経緯があるからだ。

フランスという国は、たとえ国外であっても、フランス市民でもある子どもの基本的人権を擁護することは国の責務との判例もある。

フランス政府が、日本政府にこの件について申し入れをする根拠となるのは、国連の「児童の権利に関する条約」で、子どもは両方の親と親しい関係を築きながら育つ権利を持つという規定である。この条約は1994年に日本も批准している。フィショ氏は、連れ去った親に一方的に監護権を与え、連れ去られた親を完全に遮断するのは、この条約に違反すると主張している。

ハンガーストライキ「私の子供たちは拉致されています」

「私の子供たちは拉致されています」--日本語で書かれた立て看板。JR千駄ヶ谷駅前の広場には、フィショ氏だけでなく、数人の支援者も集まっていた。フィショ氏と同じように実子をもう一方の親(子の母親)に連れ去られた人たちであった。

日本では、どちらかの親が子どもを連れて行った場合、「犯罪」にはならない。家庭内の問題として扱われるため、警察に居所捜査を依頼しても、よほどの事情がなければ協力してくれない。

監護権の問題は裁判所の判断に委ねるしかないが、欧米では片親の一方的な子どもの連れ去りは、「拉致・誘拐」(abduction)として大きな問題になる。日本では家族間の問題との認識が一般的で、裁判所の判断もこうした状況を反映せざるをえない。だが批准している国際条約との齟齬をどうすればよいのか。

「千駄ヶ谷駅を抗議の場所としたのは、マクロン大統領が国立競技場のオリンピック開会式に出席するからで、子どもに会えるまでここで頑張ります」とフィショ氏は話した。

ハンガーストライキの初日だったので、取材に来るメディアも少なかったが、今回のフィショ氏の抗議行動が、日本国内のメディアにも取り上げられ、国連の「児童の権利に関する条約」や、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」(日本も批准している、いわゆるハーグ条約)について一般市民の認知を高め、考えるきっかけになるかもしれない。

一人のフランス人の命がけの戦いの結果として。

櫻井よしこ 「家族」壊す保守政治家

出典:令和3年7月6日 産経新聞

記事PDF

 政権中枢の保守政治家に何が起きているのか。次世代の星とされていた人々の意外な言動で家族が壊されつつある。

戦慄の書、『実子誘拐ビジネスの闇』(池田良子、飛鳥新社)によると、卒田譲司氏(仮名)の妻は平成22年、夫の留守中に幼い娘を連れて家を出て、夫婦は離婚した。親権をめぐる裁判で、元妻は卒田氏をドメスティックバイオレンス(家庭内暴力、DV)夫と非難したが、卒田氏は幼い娘の食事の世話、絵本の読み聞かせ、夜、寝かしつけるところまでこまやかな愛情を注いでいた。足かけ6年の審理で千葉家裁松戸支部は卒田氏のDVを認めなかった。元妻の娘に対する単独親権も認めず、娘は両親による共同養育を受けるべしとの判断を下した。共同養育を認めた点で画期的判決だった。

だが、東京高裁で異常事態が起きた。普通の夫婦の離婚話に31人もの左翼系弁護団が元妻擁護で結成されたのだ。高裁も卒田氏のDVは認めなかったが、親権を元妻に認める大逆転判決となった。

※以下、記事PDFを参照ください。

子の連れ去り 規制賛否 現行法 明確な規定なく

出典:令和3年7月5日 北海道新聞

子の連れ去り 規制賛否 現行法 明確な規定なく

夫婦の一方が同意なく子どもを連れて家を出る「連れ去り」が問題になっている。家庭内暴力(DV)からやむを得ず避難する例がある一方、連れ去られた側からは「欧米の多くの国では誘拐行為。緊急性が高い場合を除き、日本でも違法化すべきだ」との声も上がる。背景には、日本では連れ去りであっても、「子と同居中である」ことが親権を得るのに有利とされる現状がある。当事者の思いや識者の見方を紹介する。

■当事者の女性「共同親権を」

 道央の30代女性、慶子さん(仮名)は1年ほど前、西日本に住んでいた時に幼い子どもを義父母と夫に連れ去られた。離婚を拒んでおり親権はあるが子とは月1回、数時間の面会交流でしか会えない。「私に育児放棄や浮気などはないのに、なぜ子どもと一緒に過ごせないのか。毎日がつらい」と話す。

■離婚せず耐える

 夫の故郷で結婚・出産。近くに住む義父母は頻繁に訪ねてきた。義母は「(嫁いだのだから)独身時代の家具は捨てて」「子ども用品は一番高くて良い物を実家に買わせて」など干渉が激しかった。要求を拒むたびに非難され、夫は義父母の肩を持った。慶子さんは「子どものために離婚したくない」と耐えていた。

 ある日、慶子さんが義母への不満を口にすると、激怒した夫からたたかれた。夫は義父母宅で暮らし始め別居状態に。直後に子どもが無断で連れ去られた。

 義父母宅に駆けつけた。「ママ」と呼ぶわが子の前で、義母は「他人の家に入らないで。うちらの孫だ。母親とか関係ない」と怒鳴った。夫は「おまえは必要ない」と言った。罵倒に耐えながら数時間交渉したが、引き返すしかなかった。

 その後も子を返すよう求めたが拒否された。連れ去りから数日後、夫から腕をつかまれ、子の親権者を夫とする離婚届に署名するよう強要された。「(拒否するなら)覚悟しとけよ」とすごむ義父。抵抗しきれず署名した。離婚届の不受理を役所に事前に申請していたため、無効となった。

 地元の警察にも相談した。「夫らが子の面倒を見てるんでしょ」と相手にされなかった。慶子さんは親戚を頼って道内に避難。子の日常の世話をする「監護者」の指定を求める調停や審判を家裁に申し立てた。録音していた暴言の一部も証拠として提出した。

 家裁が監護者に指定したのは夫だった。「妻の意に反し子の監護から切り離された。夫らに非難されるべき点はある」としつつも「違法な連れ去りではない」と結論づけた。高裁まで争ったが「夫らの方法は強引だが身の危険を感じさせる暴力や脅迫はなかった」と決定は覆らなかった。

■正義なんてない

 慶子さんは「私は精神・身体的暴力の被害者で夫らの行為は誘拐のはずなのに、裁判所は夫側を守った。正義なんてない」と憤る。

 月1回の面会交流は夫側の提案だ。ホテルの一室で手料理を食べさせたり、塗り絵をしたり。「一緒に暮らしていた時と同じようなことをしたい」。夫側は「離婚に同意すれば面会交流時間を延ばす」と持ちかけてきた。慶子さんは応じず、面会交流の回数増を求めて調停を行っている。

 自分1人だけで養育したいとは思わない、と慶子さんは言う。日本は離婚後、父母のどちらかが親権者となる単独親権制度の国だ。慶子さんは共同親権なら、夫らが強引に子どもを奪わなかったのではと考える。「両親から愛されるのは子どもの権利で、それを軽視する日本はおかしい」

 親に子の奪い合いをさせる単独親権は、もう終わりにしてほしい。切に願っている。

■法規制求め仲間と団体設立へ
 SNSで体験発信する元プロ棋士・橋本崇載さん

 将棋の元プロ棋士(八段)で4月に引退した橋本崇載(たかのり)さん(38)=東京=は、自身が体験し引退理由にもなった「連れ去り被害」を会員制交流サイト(SNS)で実名で発信している。「同じ目にあう人をなくしたい」と国に法規制を求める団体をつくる考えだ。

 2年前の7月、橋本さんが東京での対局を終え滋賀県内の自宅に戻ると、生後4カ月の一人息子と妻の姿がなかった。それ以来、息子とは会えていない。妻が家を出る前日、橋本さんが「自転車で転びケガをした」と連絡したところ妻に「自業自得」と返され、ケンカになっていた。妻に話し合いを呼びかけると、弁護士から離婚や慰謝料を求める書類が届いた。

 息子の監護者指定を巡る裁判や審判で、妻は橋本さんから日常的に暴言を受けたと主張。裁判所は妻の監護権を認めた。橋本さんは「暴言も暴力も浮気もない。対局がない時は毎日息子を風呂に入れた。なぜ息子と会えなくなるのか」。いまも離婚はせず親権を争い続ける。

 対局では集中力を欠き勝てなくなった。街で親子を見かけると立ちくらみし、鬱(うつ)の診断を受け昨年10月から公式戦を休場していた。

 「連れ去り容認の現状はおかしい。世間に問いかけ国と戦おう」と決め、引退直後から動画共有サイトのユーチューブで体験談を配信。短文投稿サイトのツイッターにも投稿した。反響が広がり、ユーチューブは一時2万人以上が登録しツイッターは約1万2千人がフォロー。メディア取材が続き、国会の委員会では議員が、橋本さんの例を挙げ法相の見解を求めた。

 投稿動画は20本を超し、同様の体験をした人から相談を受けるようになった。「子どもと会えず絶望して自殺した人もいると聞いた。これは命に関わる問題なんです」と強調する。橋本さんは近く、連れ去りの違法化や共同親権を目指す法人を仲間と設立する。連れ去りの主な理由とされるDV被害については、捜査の義務付けを求めるという。

■調停・審判 10年で倍増 国の責任問う訴訟も

 2020年の司法統計(速報)によると、全国の家庭裁判所で新たに受けた子の引き渡しに関する調停は1578件、審判は2462件で、いずれも10年前の約2倍に。昨年2月には、連れ去りを国が規制しないのは違法として、子と別居中の親14人が計約150万円の国家賠償を求める裁判を東京地裁に起こした。14人のうち2人は母親だ。

 訴状によると、原告は裁判所が子を連れ去った親に監護権を認めたため子に会えなくなったり、会えても月数時間だったりして、親が子を育てる権利を侵害されたと主張。両親双方から監護を受ける子どもの権利も侵害したとしている。

 原告代理人の作花(さっか)知志弁護士は問題点として《1》裁判所は今の育児に支障がないとみなせば同居親に親権を認める《2》日本は連れ去りに刑事・民事とも罰則がなく、別居親が子を連れ戻すと逮捕される《3》面会交流について誰が誰に求めるか規定がない―の3点を挙げる。

 作花さんは「父親による連れ去りも約2割あるとされる」とし「日本は、国境を越えて連れ去られた子の返還を定めるハーグ条約に加盟し、国連子どもの権利委員会からハーグ条約に合わせ国内法を改正するよう勧告も出ている。国会には連れ去りを防ぐ立法義務がある」と強調する。

 被告側の法務省担当者は取材に「国の主張は裁判の中で尽くしたい」とした。

■DV判断 基準が必要
 小田切紀子・東京国際大教授(臨床心理学)

 連れ去りは欧米の多くで誘拐とされ刑事罰の対象になる。日本では、まずDVの有無について判断基準を作るべきだ。これがないことが、連れ去りが起きる大きな要因となっている。

 私がかかわった事例で、別居中の父親に「絶対会わない」と拒んでいた小学生の男児がいた。心理ケアの一環で一緒に卓球をしたら「やり方はパパに習った。卓球もテニスも上手なんだよ」と話した。本当に嫌いなら、そんな発言はしない。児童心理の専門家が、別居直後に子の気持ちをじっくりと聞く制度が必要だ。

 各種研究によると、別居親に会えない子どもは自己肯定感が低い傾向にある。米国のほぼ全ての州は離婚する夫婦に、子への影響を学ぶ研修の受講と、面会交流や養育費について定める養育計画書の作成を義務づけている。日本でも、それらに予算を割くべきだ。

■親権のあり方 柔軟に
 清末愛砂・室蘭工大教授(憲法学、家族法)

 DVは本当に多いのに、被害者が最終手段として子連れで逃げても「連れ去り」と批判する論調がある。DVの訴えを虚偽とみなす人がいるのは極めて残念。DV被害者にとって「うそ」との主張は言葉の暴力であり、即刻やめるべきだ。

 共同親権か単独親権かの二者択一の議論には疑問を感じている。個々のケースに合わせた柔軟な親権のあり方が求められる。

 面会交流は子どもの権利で子の意思が最優先。親子の別居後に面会交流を一律前提とする考え方は問題だ。ただ、争いが激しい離婚だと同居親に配慮し本音を言えない子もいる。意思表明を手助けする子どもの手続き代理人制度の充実や、成長とともに変わりうる子の意思を継続的にフォローする仕組みが欠かせない。

 そうした議論がない段階で共同親権について考えるのは時期尚早ではないか。

■違法化 DV被害者に命の危険
 札幌の支援団体「女のスペース・おん」・山崎菊乃代表理事

 「連れ去り」の違法化には反対も根強い。DVの被害女性を支援する札幌のNPO法人「女のスペース・おん」代表理事の山崎菊乃さん(63)は「子どもを置いていけないDV被害者は逃げられず、命の危険にさらされる」と懸念する。

 自身も子連れ避難の経験者だ。かつて元夫と埼玉県で暮らしていた。山崎さんが実家からコメをもらうと、「稼ぎが悪いとばかにしてるのか」と殴られた。翌日、元夫は土下座し謝ってきた。その後も暴力は続いたが「母子家庭は大変だから」と離婚しないでいた。

 その後、元夫の実家がある旭川へ。ある日、弁当のコロッケ用ソースがなくケチャップにしたら、元夫は「ばかにしてる」と殴ってきた。中学生の娘が元夫に包丁を向け「やめて!」と叫んだ。「私の我慢が子どもを傷つけた」。山崎さんは避難を決意、3人の子と札幌の女性シェルターに入った。元夫は警察に捜索願を出し「妻が子を連れ去った」と主張したと聞いた。

 自身の体験やDV被害者の支援を通し山崎さんは「子連れの避難は誰もが必死。子どもの環境を変えてでも逃げざるを得ない理由がある」と確信している。

 DVの捜査義務化を求める声について山崎さんは「加害者の報復が怖かったり、子の親を犯罪者にしたくなかったりで、警察に通報せず逃げる人は少なくない」と有効性に疑問を持つ。

 DV防止法で加害者への処罰が保護命令違反しかないのは不十分だとも指摘。「加害者の多くは『自分は何もしていない。子と会えない自分こそ被害者』との意識を持ち続ける。諸外国のように、悪いことをしたと気づかせる更生プログラムが必要だ」と訴える。

 山崎さんは元夫と子の面会交流を認めていた。元夫は子との会話で住所を絞り込み、山崎さん宅まで来た。ただ、山崎さんが毅然(きぜん)と対応すると高圧的な態度が変わった。「面会交流はDV被害者の恐怖が消えてから始めるべきで、子の意思が最優先。同居親の下で安心できる場を設け、初めて自由に意見を言える。子の思いをくみ取る専門家の育成が重要」と強調する。(編集委員 町田誠)

パパとママ どっちがいい?

出典:令和3年6月9日 NHK

パパとママ どっちがいい?

20万8496組…離婚した夫婦の数(2019年)
20万5972人…親の離婚を経験した未成年の子どもの数(2019年)

夫婦の3組に1組が離婚する時代。今、離婚に際し、子どもをめぐって夫婦が争うケースが増えている。背景には社会情勢の変化があるとされ、国の法制審議会でも「親権」について議論が始まることになった。
離婚する夫婦の間で何が起きているのか。当事者の声に耳を傾け、実情を取材した。
(社会部記者 長井孝太、山田宏茂)

ある夫婦のケース

都内に住む40代の会社員の自宅。「家族でのびのび暮らし、ゆくゆくは夫婦のついの住みかに」とローンを組んで買った住宅のリビングは静まり返り、隅には子どものおもちゃが並ぶ。

妻と共働きで家計を支えながら、結婚3年後に長男を授かった。育児や家事を2人で分担することに喜びを感じていた男性。近くに住む両親も育児に協力してくれ、長男を預けて妻と出かけることもあったという。

「こんな状況になるなんて想像もしていませんでした」
男性によると、きっかけは、おととしの口論。子育てや家計のことで意見が食い違ったという。

「いずれ帰ってくるだろう」
妻と幼い長男は、男性も納得のうえで自宅を離れた。しかし、音信不通に。男性は「1か月後、妻の母親から『娘が離婚を望んでいる』と伝えられた」と話す。

長男との再会は別居から3か月余り後。長男の好きな電車を2人で見に行った。「このまま長男を連れ帰ってしまいたい」。そんな考えも浮かんだが思いとどまった。

その後、月2回の面会などを定めた調停が成立したが、去年夏、面会を終えて妻に長男を引き渡す場面でトラブルが起きたという。

男性によると、調停で取り決めた内容に反するとして妻側が審判を申し立て、妻が長男を育てることが認められたという。

男性は今、これを不服として再び裁判所で争う手続きを取っている。「最良の養育環境は私と暮らすこと。親権を取りたい」と話す。

増える子どもをめぐる争い

近年、離婚に際し、子どもをめぐって夫婦が争うケースが増えている。司法統計によると、「子の引き渡し」を求めて家庭裁判所に申し立てが行われるケースは年々増加。去年は4000件と15年前に比べ約3倍に達した。

また、別居中などに子どもと一緒に住んで世話や教育をする「監護者」になることを求める申し立ては去年、5000件に上った。これは15年前の3.3倍で、このほかにも養育費や子どもとの面会をめぐる争いも増えている。

子どもの数は減っているのに申し立ての件数が増えているのはなぜか。専門家は、社会情勢の変化と密接に関係していると分析する。

「共働きが一般化し、男性の育児参加や経済的に自立した女性が増えたことで、離婚後も子育てを望む人が多くなった。少子化によって子どもへの愛着が強まっていることも、争いが激しくなる背景にある」。こう指摘するのは、家族法が専門の早稲田大学法学学術院の棚村政行教授。

また、家族心理学が専門の東京国際大学の小田切紀子教授は「高齢化が進み、祖父母自身が離婚をめぐる話し合いに参加するケースが見られる。少子化に伴い、祖父母の孫への愛着も一層強まっており、3世代を巻き込んだ争いに発展している」と話す。

「親権」って?

「親権」とは、未成年の子どもの身の回りの世話や教育、財産の管理などのために、父母に認められた義務及び権利の総称。

日本では、夫婦は共に親権を持つが、離婚後はどちらか一方が親権者になる「単独親権」制度が採用されている。

親権者を決めることが離婚の実質的要件になっており、話し合いでまとまらない場合は調停や審判を通じて決めることになる。

明治期に民法の法体系が確立した日本。家父長制の影響で戦前は父親だけが親権を持っていたが、戦後、母親にも認められた。

厚生労働省の統計によると、母親が親権者になった割合は、戦後間もない1950年は40%だった。しかし、60年代半ばに父母が逆転。親権者が母親である割合は84%(2019年時点)に達している。

国も議論始める

海外ではどうなのか。去年、法務省が公表した調査では、日本以外の主要20か国(G20)を含む24か国のうち22か国が、離婚後も父母の双方が親権を持つ「共同親権」制度を採用。

「単独親権」制度だけを採るのはインドとトルコの2か国だった。

ことし2月、「単独親権の規定は法の下の平等を定めた憲法に違反する」と、親権を失った父親が国を訴えた裁判で、東京地裁は「単独親権は、別居後の父と母が養育に関して適切に合意できず、子の利益を損なうことを避けるための規定で、合理的だ。離婚した父と母が共同で親権を持つことを認めるかどうかは国会の裁量に委ねるべきだ」と指摘。「合憲」との判断を示している。

一方、社会情勢の変化を受け、ことし3月、国の法制審議会は、離婚後の親権のあり方など、子どもの養育をめぐる課題の解消に向けた議論をスタートさせた。

同審議会の家族法制部会は、裁判官や心理学の専門家ら20人余りを委員に選出。4月に開かれた第2回会合では、離婚を経験した人などからヒアリングを行った。

今後、共同親権の導入の是非も含め幅広い議論が行われることになっている。

“共同親権”の導入を主張する人たちは

子どもと別れて暮らす親たちでつくる団体「親子の面会交流を実現する全国ネットワーク」の武田典久代表は、共同親権の導入を訴えている。

武田代表
「親権を失った親は、親権を持つ方の言うことに従う形となり、子どもとの面会も制限される。私たちは月1回、2時間、近所の公園で遊ぶだけの親戚のおじさんみたいになりたいわけじゃないんです。うれしいことも悲しいことも含めて育ちに関わりたい。それが親の役割ですから」
武田代表は「単独親権制度の下、親権をめぐる争いが激しくなった結果、一方の親による“子どもの連れ去り”が多発している」と主張する。

最近は、父親だけでなく、母親からの相談も急増していて、母親の会員数も3年前の3倍に上っているという。

「実際に子どもと一緒にいる親の方が親権を取りやすい傾向があるため、“子を連れ去ったらお父さんでも親権を取れる”とネット上で流布されているのも大きい」。武田代表はこう分析している。

裁判所の親権の決め方にも武田代表は注文をつける。

武田代表
「それまで誰が主に子育てを担っていたかは考慮されず、“連れ去り”の追認のような判断が機械的に行われている。単独親権が生み出す『離婚は親子の別れ』という日本の文化を変えるために共同親権が必要だ」

“単独親権”の維持を主張する人たちは

一方、単独親権制度の維持を求める声も根強い。

共同親権下で対立が続けば、子どもが不安定な状況に置かれるうえ、進学や医療など子どもに関する重要な決定のたびに争いが起こる、という立場だ。

そればかりではない。母子家庭を支援するNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子理事長は、DVや虐待行為への懸念から共同親権の導入に強く反対している。

団体によると、相談を受けたシングルマザーの中には「夫に伝えず子どもを連れて家を出た」と話す人もいて、このうち「夫に伝えれば暴力や精神的暴力などを振るわれると思った」と訴える人が目立ったという。

赤石理事長
「離婚後に、子どもが望み、父母両方と安全な環境で会えるのであれば、それがいい。ただ、共同親権を認めると、相手がDVの加害者でも縁を切れず、被害が継続するおそれがある。争いが続くなか被害が激化する危険性もある」
母親が父親の同意なく子どもと家を出ることについても、次のように主張する。

赤石理事長
「それは“連れ去り”ではなく、子連れ別居という避難です。夫から暴力やハラスメントを受けた妻が、子どもや自分の命を守るために緊急的に身を潜めた結果で、共同親権について議論を進めることは大きな揺り戻しに見える」

“単独か共同か”専門家も意見分かれる

専門家はどう見ているのか。家族法に詳しい立命館大学の二宮周平教授は、1989年に国連で採択された「子どもの権利条約」に「子はできる限り父母両方の養育を受ける権利がある」と明記されていることに着目する。

二宮教授
「子どもの権利条約は日本も1994年に批准しており、子の権利の保障を最優先に考えるなら、原則、共同親権が望ましい。共同親権を選択できれば、今のように父母が親権を激しく争って勝ち負けを決める場がなくなり、離婚後の子どもの生活をどう支えるか話し合う場に発想を転換できる。国際化に対応した基準を尊重して法制を作り上げるべきだ」
共同親権の導入でDV被害が続くことを懸念する声については、こう話す。

二宮教授
「DVはDVの問題として対応し、親権の問題はあくまで『子どもの利益は何か』という観点で考えるべき。共同親権を採用している国でも、DVや虐待があれば例外として単独親権とする制度が大半だ。日本は、DV被害者の保護や、加害者の矯正・治療プログラムの整備が不十分で、親権の問題とは切り離して制度設計する必要がある」

一方、欧米の家族法制に詳しい大阪経済法科大学の小川富之教授は、海外の先例を教訓に、「日本は四半世紀前に欧米が大失敗し見直してきていることに取り組もうとしている」と警鐘を鳴らし、「現在の単独親権で十分対応できる」と主張する。

例えば、2006年の法改正をきっかけに、離婚後も父母による均等な養育の権利を明記したオーストラリアは、その間に養育の分担をめぐって父母の対立が激化し、子どもの命が奪われる事件にまで発展。

その後、2011年に「共同監護(養育)」より子の安全を優先することを明記する改正が行われた。

小川教授
「現在の日本では協議離婚が88%を占め、争いなく離婚が成立している。親権に固執した議論をするのではなく、諸外国の先例も踏まえ、日本の家族事情に合った子どもの養育環境の整備や、父母の対立が続く場合の国の支援制度の充実を優先すべきだ」

子どもたちの本音は

親の離婚に巻き込まれる子どもたちの本音はどこにあるのか。

法務省は、ことし3月、未成年時に親の別居・離婚を経験した20代~30代の男女1000人を対象にした調査結果を公表した。

それによると、別居前に父母の不仲を「知っていた」「うすうす感じていた」と答えたのは合わせて80.8%に上った。

父母が別居した当時の気持ちを尋ねると、
「悲しかった」が37.4%、
「ショックだった」が29.9%を占めたが、
「ホッとした」(14.3%)、
「状況が変わるのがうれしかった」(11%)と感じた子もいて、
子どもたちの受け止めは決して単純ではない。

では、子どもたちは別居時に自分の考えや本心を伝えることができたのだろうか。

法務省の調査では21.5%が「伝えたいことはあったが、伝えられなかった」と回答した。

自身も両親の離婚を経験し、同じような境遇の子どもたちの支援を続けているNPO法人「ウィーズ」の光本歩 理事長は「子どもの声が置き去りにされている」と指摘する。

光本理事長
法務省は、この調査で「今後、離婚または別居を経験する子どもに望む支援は何か」についても尋ねている。

44.3%が「精神面や健康面をチェックする制度」と答え、42.9%が「身近な相談窓口の設置」、37.4%が「子どもの権利を尊重する法律の整備」と回答した。これらの支援が現在、不十分であることを示している。

議論が始まった国の法制審議会に対して、光本理事長はこう指摘する。

光本理事長
「相談場所や経済支援に関する情報提供など、子どもへの直接の支援を同時に検討すべきだ。子どもが求める支援の形は1人1人異なるので、さまざまな視点で子どもの思いを知ることが大切。大人の意識が変わらないと、子どもが真に望む親子の形は実現しない」

子ども目線の議論を

時代の変化とともに「子どもの人権を重んじるべきだ」という声は大きくなっている。今回の取材を通して、「親権」の問題も“子ども目線”で考えていかねばならないのではという多くの声を聞いた。

ことし2月、民法の家族法制の見直しを議論していた有識者らの研究会は、「親権」を別の用語に置き換えるよう提案し、候補として「(親の)責務」や「責任」を挙げた。

親権の性質を、一方的な権利ではなく“親が子に対し負っているもの”と強調する狙いがある。結論は国の法制審に委ねられた形だが、民法の「親権」という用語が消える日が来るかもしれない。

そのあり方をめぐり大きく意見が分かれる「親権」の問題。名称も含め、どのようなものと位置づけていくのか。子どもにとってあるべき姿とは何か。社会の変容に適した答えを導き出すのは、まさに親世代の「責務」だ。

今後の法制審でも、支援の充実を含め、子どもの存在を真ん中に置いた議論を期待したい。

「子どもに会いたければ正論はダメ」実子誘拐被害者を追い込む、裁判所実務

出典:令和3年5月25日 SAKISIRU

「子どもに会いたければ正論はダメ」実子誘拐被害者を追い込む、裁判所実務

「疎外」された末の残酷な選択とは

牧野 佐千子 ジャーナリスト

(編集部より)注目度が上がっている「実子誘拐」の問題。子どもを連れ去られた親を待ち受けるのは裁判所の理不尽な慣習もあるのだという。今回は司法の狭間で苦境に立つ当事者を直撃する。

一方の配偶者にある日突然子どもを連れ去られ、離婚を申し立てられ、大切に育ててきた子どもとの関係を絶たれてしまう実子の連れ去り問題。現在の日本は「単独親権制度」で、離婚後は父母の「どちらか」が親権者となる。その際に親権獲得に有利になるよう相手方を問題のある親に仕立て上げる「でっちあげDV」が横行していることは前々回の記事で述べたとおり。

2018年夏に連れ去られ、現在5歳になった子どもと会えなくなってしまった父親・吉川弘大さん(仮)は、連れ去られた当時、同じような目に遭った当事者が集まる団体の交流会で、「子どもに会いたければ、どんなに理不尽でも、相手方の言い分に決して反論してはいけない」とアドバイスされたのだそうだ。

おかしいところを指摘したり、「正論」を通そうとすればするほど、「攻撃的で問題のある親」とされて、余計に子どもと会えなくなってしまうからだという。「それでも、おかしいものはおかしい」と主張することにした吉川さんのケースを元に、裁判所の理不尽と言わざるを得ない実務慣習を紹介したい。

「連れ去りは容認、連れ戻しは違法」の裁判所

吉川さんの場合、2018年7月に理不尽な連れ去りにあうも、離婚調停が始まる前までは、お互い連絡を取り合い、仲介役をはさんで子どもに会うことができていた。

母子の別居先である妻の妹の自宅は、台所や風呂場が使用できない状態で、当時1歳半の息子に対して母親側は、食事はほとんどすべてコンビニで済ませ、おでんの汁をそのまま飲ませていたという。また、風呂も2日に1回、部屋の床には猫の毛が溜まっているなどといった不衛生で劣悪な生活環境だった。吉川さんはこれを心配し、「こんなところに子どもを置いていたら大変だ」と指摘すると、それ以降、相手方から「もう会いに来ないでください」と言われてしまった。

離婚後、どちらか一方の親に親権を定める「単独親権制」を取る日本の裁判所では、たとえ連れ去りであっても、子どもと一緒にいるほうの親が、親権を得るのに有利となる「継続性の原則」という慣習がある。

一方で、連れ去られた子どもを取り戻すために、連れ戻しを行う場合、未成年者略取罪などに問われることがあることが、最高裁の判例(2005年12月6日)として示されている。はじめの「連れ去り」は容認し、それを「連れ戻す」行為は違法とするアンバランスな状況なのだ。

このため、子どもと一緒にいる側の親が優位な立場となって、別居親側がその問題を指摘すると、「攻撃的」「言いがかり」などとされ、子どもとの面会にも不利な要素になってしまう。

冒頭の「相手方の言い分に決して反論してはいけない」という当事者交流会の先人のアドバイスに対し、「自分の性格上、おかしいことはおかしいと言わなくては居られない」という通り、吉川さんはこのアドバイスを到底受け入れられず、相手方に対して、「なぜ理由なく子どもに会えないのか」「納得できない」「子どものことが心配だ」と自身の主張を率直に表し続けた。

「もう会いに来ないで」と言われた後も、子どもが心配で別居先に会いに行くと、警察を呼ばれた。離婚は成立しておらず、双方に親権がある状態にもかかわらずだ。その時に、一目でも子どもの姿を確認できればと、外から子どもの名前を大きな声で叫んだことなどから、「危害を加える恐れがある」とされ、母子はDVシェルターに入ることに。吉川さんは、母子の居所もわからなくなってしまった。

ツイッターでの問題提起が裏目に

こうして「問題のある親」とされた別居親が、裁判所を通して子どもと会う「面会交流」の取り決めをした場合、公益社団法人「家庭問題情報センター(通称:エフピック)」を利用することになるケースが多い。

実際に、エフピックを利用する場合、ケースにもよるが、面会交流は第三者の立会いの下「月に1回2~3時間」、費用は「15,000 ~ 25,000円」でたいていは別居親が負担するなど、自然な親子の対面交流とは言い難いものだ(参照:エフピック公式サイト)。

吉川さんの場合も、横浜家裁でエフピックを使っての「月1回2時間」の面会交流が取り決められた。4回目の交流の際に、子どもが父親の顔を見るなりうずくまって泣き出した。その画像をTwitterにアップしたところ、それが「ルール違反」と第三者からエフピックに指摘が入り、相手方に知らされ、それが元で面会交流が停止されてしまった。

画像は、息子の様子がおかしいと気づいた吉川さんが心配し、片親疎外の証拠として問題提起のために公開したものだった。片親疎外とは、子どもと同居している親が別居親の誹謗中傷や悪口といったマイナスのイメージを子どもに吹き込むことで、別居親と子どもとの関係が不当に破壊されたり、それによって子どもが情緒不安定になることなどを指す。

「ルール違反なのは認めるが、そこでしか息子に会えないのに、息子に起きた異常事態をどう外部に伝えればいいのか」と吉川さんは訴える。そうした訴えも裁判所の実務ではすべて裏目に出てしまい、今年3月の横浜家裁の審判では、この「ツイッターに画像をアップしたこと」が、「ルール違反をする親」の証拠として、子どもの面会を取り消しする判断が下された。子どもが父親の顔を見て泣き出すという片親疎外については、一切考慮されなかった。

「ツイッターに画像をあげる行為は、完全に子どもに会えなくなるほどの重大なルール違反なのだろうか」と吉川さんが語る通り、実の子に会えなくなる理由としては、あまりにも不釣り合いではないだろうか。この点、相手方の弁護士にも取材を試みるも、応じてもらえなかった。

強いられる酷な選択

はじめの「連れ去り」を容認し、連れ去ってから一緒にいる時間を「継続性の原則」として親権獲得に有利に判断する。起点がそこにあるので、それに対して正当な反論をすればするほど「同居親を非難する攻撃的な別居親」と認定され、子どもと遠ざけられてしまう。正論を通そうとするほど、子どもに会えない。

吉川さんは、同じように連れ去りに遭った人には「正論を言うとどんな目に遭うのか、反面教師として見ていただければ」と苦笑いする。だが、自身は、「このような子どもの利益を最優先にしているとは考えられないおかしな実務がまかり通る裁判所とは、徹底的に戦っていく」と高裁での争いを準備中だ。

子どもに会いたければ正論を言ってはいけない。おかしな状況を「おかしい」と言えば、子どもに会えない。実の子を連れていかれた別居親が、そのどちらかを選択しなければならないとしたら、あまりにも酷な状況ではないだろうか。

日本が参加しない「消えた子供の日」国際デー

出典:令和3年5月24日 NewSphere

日本が参加しない「消えた子供の日」国際デー

 5月25日は、国際行方不明児童の日だ。シンボルは「私を忘れないで」の花言葉を持つワスレナグサ。2001年から存在する国際記念日だが、日本ではほとんど語られることがない。

◆レーガン米大統領が最初に提唱
 なぜ5月25日なのか。理由は1979年に遡る。この日ニューヨークで起きた6歳の男児誘拐事件は、全米に情報の公開と捜索ネットワークの重要性を認識させた。4年後の1983年、当時のロナルド・レーガン米大統領が「行方不明児童の日」を制定するにあたり、この日を選んだのだのはそのためだ。その後、1998年には、グローバル・ミッシング・チルドレンズ・ネットワーク(GMCN)が立ち上がり、行方不明となった子供たちの捜索に関する支援を始める。この運動に賛同する国はその後増え、いまでは4大陸の31ヶ国が加盟している。アジアの加盟国には韓国や台湾があるが、日本は非加盟である。また、1999年にはベルギー・ブリュッセルに児童失踪・児童虐待国際センター(ICMEC)が公式に設定され、「行方不明児童の日」は、2001年から国際的な記念日となった。

◆世界で年間100万人が行方不明に
 では、実際、行方不明になる子供はどのくらいいるのだろうか。ICMECによれば、行方不明となる子供は年間100万人以上に上る。アメリカで約46万人、イギリスで約11万人、ドイツで約10万人、インドで約9万6000人、カナダやロシアでは約4万5千人、オーストラリアとスペインで約2万人、ジャマイカで約2000人という見積もりをICMECは挙げているが、付記にある通り「これは大雑把な把握でしかない。行方不明になった子供の統計データすら手に入らない国は多い」ことも忘れてはならない。

 次に、行方不明になる理由はなんだろうか。フランスの「行方不明者の支援と捜索」協会(ARPD)によれば、最も数が多いのは家出だ。ARPDは、EU内では毎年約25万人の子供が行方不明になっていると記すが、家出を理由とするものは、そのうち50%以上を占める。そのほかの理由としては、犯罪に巻き込まれた可能性のほか、親による実子誘拐などが挙げられる。

◆実子誘拐とは?
 日本では馴染みの薄い概念だが、実子誘拐とは、文字通り、自分の子供を誘拐(拉致)するケースを指す。一番わかりやすいのが、別離状態にあるカップル間で生ずる問題だ。離婚カップルのケースで説明してみよう。欧州では、大抵の場合、離婚カップルの子供たちは、両親の間を行ったり来たりする生活をしている。週日と週末、あるいは、通学期間中と休暇期間中などのように父親と母親の話し合いで、監護期間をシェアしているわけだ。そういう状況にあって、他方の親に子供を任せるのを拒否したり、自分の監護担当期間を過ぎても子供を留め置いたり、あるいは他方の親に知らせず住所変更を行った場合は「実子誘拐」とみなされる。また、別離前のカップルであっても、他方の親の承諾なく子供を連れ去れば、それは「実子誘拐」となる。

 実子誘拐の刑罰は厳しく、フランスでは、5日までの誘拐で1年以下の拘禁刑または1万5000ユーロ(約200万円)以下の罰金、5日を超える実子誘拐および外国への拉致の場合、3年以下の拘禁刑または4万5000ユーロ(約600万円)以下の罰金に処せられる可能性がある。

◆ヨーロッパには子供の失踪無料ホットラインも
 フランスの例を続けると、2019年フランス国内で届け出のあった子供の行方不明者は5万1287人。そのうち4万9846件が家出、918件が不穏な失踪、523件が親による誘拐であった。幸い同国では、全体の「3分の1は72時間以内に、もう3分の1も失踪から3ヶ月以内に見つかる。(中略)しかし、残りの3分の1、つまり1万7000人ほどは完全に姿を消してしまう」という。(ウェスト・フランス紙)

 ちなみに、ヨーロッパには年中24時間機能する無料相談ダイヤル116 000があり、子供の失踪に関する相談を受け付け、「残された家族への社会的心理的サポート」を行っている(同上)。

◆日本では何人が行方不明に?
 では、GMCN非加盟の日本の状況はどうだろうか? 警察庁が昨年7月にまとめた「令和元年における行方不明者の状況」によれば、平成27年から令和元年の5年間で、行方不明者として警察に届け出があった未成年者の数は、毎年平均1万7000人以上を数える。諸外国と比べると少ないかもしれないが、無視できる数ではない。

 一方で、日本では、別居時一方の親に無断で子供を連れ去っても、通常実子誘拐とみなされないので、その数は上の統計には入っていない。ちなみに、連れ去られた側の親が子供を連れ戻した場合は、罪に問われることが稀ではない。また、監護権を持つ親が、面会権をもつ他方の親との子供の面会を拒否しても、フランスのように直ちに「実子誘拐」とみなされることはない。これは、日本が、離婚後、父母のいずれか一方にのみ親権を認める単独親権制度をとっていることと無関係ではないだろう。日本以外の先進国では、離婚後も父母双方が共同親権を持つのが通常だ。この日本の「特異さ」は、すでに国際問題にも発展している。国際結婚の破綻にあたり、日本の論理で実子を誘拐する日本人親が絶えないからだ。

◆毎年15万人の子が失う親との縁
 だがもちろん、問題は国際離婚に限られるわけではない。厚生労働省がまとめた人口動態統計によれば、2016年の日本の離婚件数は21万6798組。そのうち12万5946組が未成年の子がいる離婚件数であった。親が離婚した未成年の子は、21万8454人を数えた。東京国際大学の小田切紀子教授は、これらの子供のうち「3分の2は、もう連れ去られた側の親と会うことはない」(東洋経済)としており、絆を絶たれた側からみれば、毎年15万人近くの子供が「消えて」いることになる。

 5月25日、「消えた」子供たちのさまざまな事情や背景を思い起こし、残された家族をケアする日。日本にも必要ではないだろうか。

親子を断絶する「DV支援措置」謎ルールが生む3つの“バグ”

出典:令和3年5月11日 SAKISIRU

親子を断絶する「DV支援措置」謎ルールが生む3つの“バグ”

冷蔵庫のプリンを勝手に食べたらDV !?

牧野 佐千子 ジャーナリスト

夫婦の離婚時に子どもと一緒に家を出る「連れ去り別居」で、ある日突然、配偶者と子どもがいなくなる。そこから、相手方から身に覚えのないDVを申し立てられ、行政から住民票の写しなどの交付に制限がかけられ、相手方と子どもの居所がわからなくなってしまう。暴力や不貞などしていないのに、自分の子どもに何年も会えない。数多くある「実子誘拐」のパターンだ。
前回の「『実子誘拐』解決を阻む『でっちあげDV』の深層」でも述べたが、その中で、本来、深刻なDVの被害者を守るため、加害者に被害者の住民票の写しや戸籍の交付を制限する「DV支援措置制度」が、実子誘拐や親子の断絶を支援してしまっている構造がある。

DV支援措置制度では、その「被害」を捜査、検証する仕組みがない。一方的に「加害者」とされた人たちからは、「いくらでも悪用できるザル制度」と指摘されている。その理由といえるいくつかの制度上の疑問点を紹介したい。

被害を受けたと主張すればDVに

東京都内に住む40歳代のKさんは、妻が子どもを連れて別居し、子どもの行方も分からなくなったため、市役所で相手の住民票を請求したが、窓口で「(DV支援措置の)加害者として制限がかけられているため、出すことはできない」と言われた。いつのまにか身に覚えのないDVの加害者にされ、「いったい何を根拠に請求を拒否できるのか」と首をかしげる。
Kさんの離婚訴訟では、相手方の陳述書に「取っておいた冷蔵庫のプリンを許可なく食べた」、「インスタント食品を買ってきて、目の前で『おいしい』と食べた」(自分の手料理はおいしくないと遠回しに伝えている精神的DVに当たるという主張)などと書き込まれていた。

「支援措置がかけられた根拠もこのようなことなのだろう」とKさんは推測する。第三者から見れば「そんなことでDVになるの !?」と驚くようなことも、認められてしまう。
支援措置に携わる、某市の職員によると、今の制度では、本当に被害に遭っている人を緊急で守るために、「自分が被害を受けた」と主張する人を守ることを優先しており、本人の主張が本当であれ嘘であれ、その住民票を守ることになっているという。「被害者」が被害を主張すれば、その真偽が確かめられることなく、相手方を加害者に仕立て上げられるその運用で、「加害者」にされた側にとっては、周囲から犯罪者のような目で見られたり、子どもに会えなくなったりするなどの深刻な「被害」を産んでしまっている。

弁護士に依頼すれば取得できる

さらに、制度の実効性に疑問が生じるおかしな点がある。
総務省の公式ページには、「加害者からの依頼を受けた第三者からの住民票の写し等の交付等の申出に対し交付・閲覧をさせることを防ぐため、請求事由についてもより厳格な審査を行います」とある。
しかし、たとえばKさんの場合、弁護士に依頼して住民票の交付請求を行った場合、弁護士は依頼者の氏名を明らかにしなくても良いことが住民基本台帳法で保障されており、Kさんは弁護士を通じて住民票の写しを入手することができるのだ。

DV支援措置で子どもの居場所が分からなくなるなどした当事者が、支援措置制度の改善を目指して各自治体を訴える訴訟も、約10件が数か月に1件ずつ連続して提訴される予定で、動き出している。
その中でも、弁護士に依頼すれば住民票を取得できるのであれば「行政が住民票を不交付処分にする意味がない」ものとして、この不交付処分自体が住民基本台帳法に違反する違法なものだ、という主張もなされている。この点も、裁判所がどのように判断するのか注目したい。

自分の子どもも「加害者」に

そのDV支援措置訴訟リレーのうち1件では、高校生の女の子も原告となっている。両親の離婚後、少女は母親と一緒に住んでいたが、母親からの心理的な虐待を受けて、父親の元へ逃げた。
母親は、父親の元に逃げた少女に会おうとすることはなく、母親と少女との接点がほとんどないままで2年が過ぎていった。

2年が経過し母親は裁判所に少女との面会交流調停を申し立てたが、皮肉にもその調停の調査報告書や審判書に、母親による虐待的行為が詳細に記載されたことで、母親の虐待行為が裁判所に認められる形となった。
その調停の申立書には、母親の住所が記載されたまま父親と少女の手元に届いた。この時点では、支援措置はかけられていなかったということになるが、その後、父親が別の調停を申し立てるために母親側の住民票を交付を申請したところ、支援措置がかけられていることが判明。同時に、「加害者」として少女にも支援措置がかけられていた。
父親は、「(娘が)主張する虐待行為を裁判所が全面的に認めており、(母親側は)とにかく被害者側になるため支援措置をしたのだろうと思います」という。

もし、母親側がDVからの緊急避難的に、住所を知られないように支援措置をかける必要があるのだとすれば、少なくとももっと早い段階でかけていたはずである。また、「会わせてくれ」と面会交流を申し立てた相手である少女を加害者として支援措置をかけていること自体、「DV被害者を守る」という本来の意味で制度が使われているとは考えられない。
きちんと捜査されたわけではない「加害行為」を根拠に、配偶者だけでなく子どもや祖父母も「加害者」扱いし、役所での住民票交付申請も拒否されてしまうDV等支援措置制度。こうした制度的な“バグ”が放置されたままでは、本当に緊急性のあるDV被害者も救えないのではないか。おかしいと思うのは、「加害者」にされてしまった人だけではないはずだ。

離婚しても一緒に子育て?「共同養育」は子どもの成長にもプラス

出典:令和3年5月6日 Benesse たまひよ

離婚しても一緒に子育て?「共同養育」は子どもの成長にもプラス

パートナーとの離婚を考えたことがありますか?日本の離婚率は35%前後、3組に1組が離婚している現状です。今は幸せでも、ちょっとした気持ちのすれ違いはどの夫婦にも起こりうるもの。でも離婚して子どもを1人で育てるのも心配…。共同養育実践に向けたサポートをする一般社団法人「りむすび」の代表しばはし聡子さんに、離婚後の子育てについて話を聞きました。

別居・離婚をしても子どもが両親の愛情を感じられることが大事

――平成28年度の調査(※1)によると、母子家庭になった(死別以外)ときの一番下の子どもの年齢は、0~2才のときが39.6%と最も多く、出産後から幼児期の親が離婚の危機を迎えやすいようです。離婚は、子どもが小さいうちにはどんな影響があるでしょうか。

しばはしさん(以下敬称略) 産後クライシスやワンオペ育児など、育児に大変な時期はお互いに余裕がなく、夫婦の気持ちのすれ違いから離婚を考えてしまうこともあるでしょう。
0〜2才くらいの小さい子は、パパとママがけんかするなどの夫婦仲の悪さは、不安として五感で受け取ります。3才〜未就学児くらいになると、離婚という言葉もわかりはじめてくる。ママやパパに会えなくなると「自分が悪い子だから離婚しちゃったんだ」と自分を責めてしまう子もいます。だけど、いちばん近くにいるはずの親に、不安な気持ちを話せず、小さな胸を痛めているかもしれません。

――小さな子どもがいる親が離婚を考えるとき、どのようなかかわりを考えればいいでしょうか。

しばはし 離婚は、子どもにとっては必ずダメージになります。それ以上に傷つけないためには、子どもの環境を変えないこと、子どもから親を奪わないことが大事です。
つまり、離婚をして別居しても、きちんと親子が会う時間を作り、親同士として子育てにかかわること。元パートナーの話題をタブーにしないこと。子どもが親の顔色をうかがわずに、なんでも聞ける、話せる状態にしておくことが必要です。このように、離婚をしても親同士として子育てにかかわることを「共同養育」といいます。

離婚後に子どもに会えない人は7割。共同養育は子どもの成長にもプラスに

――日本では離婚したら「ひとり親」というイメージが強い気がします。

しばはし 日本では、離婚後は父母どちらかが親権を持つ単独親権であり、子と離れて暮らす親が交流する「面会交流」の実施率は約3割。離婚後に親に会えない子どもは7割もいます。養育費の不払いやひとり親家庭の貧困も社会問題になっています。

一方、欧米諸国の多くは「共同親権」で離婚後も両親がともに子育てすることが珍しくありません。面会交流やカウンセリングなどの公的な支援機関もあります。離婚後も両親が子どもとかかわることは当然のことであり、子どもは両親からの愛情を受けることで、心身ともに健康に育つとの考え方です。

――「共同養育」するとなると、どのくらいの頻度で交流するのですか?

しばはし 面会交流の頻度は、家族の形態や子どもの年齢によりさまざまです。一般的に裁判所で決められる面会交流は、月1回、2〜3時間が相場ですが、とても少ないですよね。実際に共同養育している例では、平日は同居親と一緒に過ごし、休日は別居親と過ごすパターンが多いですが、曜日交代、1週間交代といったケースなどもあります。
遠方に住んでいる場合は直接会う頻度は減りますが、オンラインでの交流を取り入れるなど多岐に亘ります。

子どもの立場で、親同士としてかかわり続けることが大事

――とはいえ、離婚したいと思う相手と、親同士としてかかわろうと気持ちを切り替えることも難しい気がします。

しばはし そうですよね。私自身も6年前に離婚を経験しましたが、1年間ほどは「子どもを父親に会わせたくない」と後ろ向きな気持ちでいました。元夫から届くメールも自分を責めている気がして、怖くて見られないことも。けれど、そのうち子どもが精神的に不安定になってしまい、その後悔から元夫と前向きにかかわるように。私から元夫に連絡してみたら、みるみる関係がよくなり、子どもの表情も明るくなったんです。

夫婦が別れても「親子」は続きます。自分にとっては嫌いなパートナーでも、子どもにとっては大事な親。離婚を考えるなら、まず子どもの実母・実父はずっと1人だ、ということを知ってほしいです。
相手と縁を切りたいという感情だけで離婚に臨むと、関係が悪化してもめてしまいがち。ですが、共同養育者としてかかわることを前提に離婚を考えるのであれば、円満にとはならずとも、争わずに済むと思います。
もちろん原則として、元パートナーが子どもに暴力や危害を与える可能性がある場合は、先に適切な対応が必要です。

――両親が争っていなければ、子どもへの負担も少なくなるのでしょうか。

しばはし 離れて暮らしていても、両親が争わずに共同養育ができると、子どもは両親の愛情を感じ、自分を責めずに済みます。お友だちにも別居している親の話ができるし、別居している親が保育園行事にも参加すれば「自分にはパパ(ママ)がいない」と悲しい思いをしなくて済みますよね。

子どもの年齢に関係なく、離婚しても親は2人、ということを多くの人に知っておいてほしいと思います。

――共同養育が広まることでひとり親家庭の貧困などにも影響すると考えられますか?

しばはし 現状として、母子家庭で養育費を「継続して受けている」人の割合は24.3%で、平均月額は4万3707円(※1)、ひとり親世帯の貧困率は50%を超えています(※2)。シングルマザーの場合は、元夫と共同養育して親同士の育児分担ができれば、仕事をして収入を上げる機会も増えるでしょう。
また、元夫側も子どもとの交流が増えることで、養育費を支払うモチベーションにもつながります。
離婚はしないに越したことはありませんが、もし離婚するなら、子どもを中心に考え、親同士で分担して育てるほうが、子どもにも親にも社会的にもメリットが大きいと思います。

お話・監修/しばはし聡子さん 取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

パートナーとの関係がうまくいかないとき、感情のままに離婚に踏み切ってしまう前に、一度立ち止まって考えてみましょう。子どもの気持ちや将来などを踏まえ、パートナーと協力して子育てすることが、家族の幸せにつながるのかもしれません。

(※1)厚生労働省 平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11920000-Kodomokateikyoku/0000190327.pdf

(※2)厚生労働省 国民生活基礎調査(平成28年)の結果から グラフで見る世帯の状況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20-21-h28_rev2.pdf

諸悪の根源は「単独親権」|三谷英弘

出典:令和3年4月30日 月刊Hanadaプラス

諸悪の根源は「単独親権」|三谷英弘

「実子誘拐」は人権侵害だ

月刊『Hanada』2020年5、6月号で報じられたが、国境を越えた「子どもの拉致」(チャイルド・アブダクション)だけではなく、実は日本国内でも「拉致」が行われていることを知っている人は多くはないだろう。

なぜ、私がこの問題に関心を持ったのか。
きっかけは弁護士時代に遡る。

「家に帰ったら誰もいない──」
女性の側に子どもを連れ去られた男性の声を聞いたのがきっかけである。私は企業法務の仕事がメインだったが、クライアントの身内でこのようなことが起こったことを聞いて衝撃を受けた。

日本は単独親権の国であるということすら、当時はあまり意識していなかった。
「子どもを連れて実家に帰らせていただきます」というような話は、日本では当たり前のように耳にする。いわゆる「三行半」という文化だ。だがこのカルチャーは、日本では「常識」かもしれないが、世界では「非常識」なのである。

「実子誘拐」は人権侵害であり、海外から子どもを連れ帰った母親が、国際指名手配を受けている例も少なくない。これは国外だけの問題ではない。実は、国内においてもこのようなケースは数多く存在する。

私が実際にかかわったなかにも、ある日突然、女性が子どもを連れて出て行ってしまった、そんなケースがあった。女性は子どもを連れ去ったあと、ワンルームの部屋を借り母子2人で生活し、飲食店での接客業を行うため、夜は子どもをひとりにして放置。

他方、男性には快適な住居があり、普段から愛情を注いでくれていた祖父母も近くに住んでいる。そして何より、父子の関係は良好そのもの。離婚したあとも、子どもを監護するうえではまったく問題のない環境であった。客観的な状況判断をすると、男性の側で子どもの面倒を見たほうがいいのは火を見るよりも明らかだ。

だが、実際はそうはならなかった。基本的に日本の裁判官は「継続性の原則」「母親優先の原則」で動いており、そこに虚偽のDVが加われば男性に勝ち目はない。

手を上げたことなど一度もないにもかかわらず、妻子に暴力を振るうだとか、インターネットに夢中で家庭を顧みないだとか、母親の勝手な言い分ばかりが通り、結果的に男性から子どもを奪う形となってしまったのだ。

「金だけ出せ」という不義

子どもを育てる資格を奪われたうえに、裁判所に言われたのは「金を出せ」。
つまり、「裕福なあなたがお金を出せば、母親も働かなくて済む。そうすれば、1人でも子どもの面倒はちゃんと見られる」。

しかし男性側から見れば、それはあまりにも納得しかねる結論だった。親権を奪われ、子どもにも会わせてもらえない、そのうえ、金だけ払え。これで納得する父親がいるだろうか。普通に考えれば、いるわけがないだろう。

しかし、家裁がこのような結論を出せば、男性は泣く泣く従うしかないというのが現状だ。父親が戦える場所は、日本にはほとんど残されていないからである。

面会交流を求める調停件数は近年、増加傾向にある。司法統計平成28年度版によると、その調停件数は、全国で1万2,341件にのぼる。この数は氷山の一角であり、おそらくその件数の何十倍もの「実子誘拐」が行われていることは想像に難くない。

常識的に判断をすれば父親の側にいたほうが良いというケースは多々あるのだが、不思議なことに、日本ではそうなるケースは少ない。

「子どもは母親が育てるべき」というカルチャーが、日本には根強く残っているからだろう。先のケースでは、調査官は母親と子どもがどのような関係にあるのかの確認を行ったが、他方で父親と連れ去られた子どもの関係性は確認すら行われなかった。母親と子どもの関係に問題がなければそれでよし、と判断するからだ。

見捨てられた子への虐待

子どもの意見は聞かないのか。

もちろん、裁判の段階で一定の年齢に達していれば子どもの意見を聞くことも多い。しかし、連れ去られた子どもたちは一緒にいる親の顔色を窺う。その子が何歳であろうと、「お父さんはひどい」「お父さんはひどい」と言って育てられると、次第に子どもも「お父さんはひどい」と思うようになる。その結果、不幸なことだが、「お父さんに会いたい?」と訊かれても、「会いたくない」という子どもに育ってしまう。

連れ去られた直後ならば「お父さんに会いたい」という子どももいるだろうが、半年、1年の間、お父さんの悪口を吹き込まれた子どもが「お父さんに会いたい」という気持ちを正直に吐露することなどできるだろうか。これを子どもへの虐待と言わずして何というのだろうか。

先のケースではまだ子どもが小さかったからか、子どもの意見は聞かれなかった。自分の意見を話す能力さえ認められない、そんな小さな子どもが、母親が仕事をしている夜の間、ずっと1人で放置されている。結果として、それを裁判所が追認するのは常識的に考えておかしくないだろうか。

裁判官も弁護士も、子どもの権利など実際には黙殺しているというのがいまの日本の姿だ。
裁判所は機能不全を起こしているといっても過言ではない。裁判官自身もこの手の案件はあまり積極的ではないのか、親子の関係性などの専門的な知見だけではなく、離婚に至る経緯や現在の境遇などについても調査官の報告を鵜呑みにする傾向が強い。事実認定は裁判官の職責であるにもかかわらず、事実上、調査官が行っているのだ。

いろいろ調べていくうちに、多くの方がこの問題で苦しんでいることがわかった。女性が虚偽のDVで男性を訴えるケースも多く、母親の言い分ばかりが通ってしまう。
これでは世の男性たちは報われない。

日本はなぜ単独親権なのか

なぜ、このようなことが罷り通るのか。

単独親権こそが諸悪の根源だ。

現在、先進国で単独親権なのは日本のみ。かつては米国も欧州もすべて単独親権だったが、いずれもここ半世紀の間に共同親権になった。日本だけがおかしかったのではないのだが、いつのまにか、日本だけが世界の潮流から取り残されてしまった。

単独親権から共同親権へ。
この法整備をするにあたっては、いまの日本と同様、どの国も苦労した。だが、子どもの権利をどう守るのかを考えつくし、その結果、共同親権が導入されたのである。

共同親権の導入に反対する人たちは、髪を切る、歯医者に行く、このような些細なことでも共同親権者の許可が必要になると主張している。共同親権では子育てがまったく進まないという理屈であるが、意味不明な主張と言わざるを得ない。

その証拠に、離婚を協議している間はまだ共同親権であるはずだが、実際は子どもを連れ去った側がすべて、子どもの進路すら決定している。先の言い分は、まさにためにする議論だ。

では、単独親権のメリットはどこにあるのか。
「見当たらない」というのが私の正直な感想だ。

単独親権の最大のデメリットは、子どもと一方の親との関係を断ち切ってしまうことにある。法的に親であるということを否定しておきながら、親なんだから養育費だけはしっかり払えというのは、そもそも議論として矛盾していないだろうか。

養育費を支払うということは、親として当然担うべき役割の一部である。そうであるならば、正面から養育費の支払い義務を含め、共同親権という形で親権を認めるべきだ。子どもに会えないだけでなく、支払った養育費が本当に子どものために使われているのか、現状ではそれを確認する機会すら与えられない。これではあまりに不公平だ。

よくある夫婦喧嘩もすべてDV?

2014年、ハーグ条約(国際的な子どもの奪取の民事上の側面に関する条約)に日本も加盟。夫のDVから逃げてきた女性を元の国に戻すのはおかしいといった反対意見も根強くあったが、DVに関しては除外するという項目を国内法に明記したことによって、すべての政党がこの条約に賛成をした。

ハーグ条約の狙いは「連れ去り勝ちを認めない」ということであり、まずは子どもを元の居住国に戻してから裁判をしましょうということなのだが、残念ながら日本では実効性に欠け、現実的に元の居住国に戻すようなことは行われない。

しかも連れ去られたら最後、子どもがどこに住んでいるのかも教えられなければ、子どもに会うチャンスすら認められない。これでは、日本が「子どもの拉致国家」と言われても仕方がないだろう。

DVは絶対に許してはいけないし、DVの被害者を保護することは当然のことだが、問題はこのDVという言葉にある。いまはDVという言葉が独り歩きしているが、DVとはなにか、もっと明確に定義づける必要がある。

たとえば、最近はモラハラがDVと言われることも多い。「きつい言い方をされた」「威圧的な態度を取られた」という理由でDVとして扱われるケースが多々あるが、しかし、本当にそれで良いものだろうか。

ただでさえ、現状においてDVの境界線は曖昧であり、よくある夫婦喧嘩も言い方次第ですべてDVとして認められかねない。夫婦円満でないがゆえに別れるのだから、夫婦間で言い争いが起きるのはむしろ当然だ。第三者の目が行き届かない家庭内においては、あらゆる意味において「DVをしていない」という証明は悪魔の証明以上に困難である。

虚偽のDVなど自分には関係ないと思っている男性も多いが、その被害を受ける可能性がすべての男性に存在することは知っておくべきだ。

さらに、離婚したからといって子どもにもう一方の親と会わせなくていいというのは、親と子の双方にとって極めて残酷である。父親のほうが連れ去るケースもあるが、多くは女性だ。

過去の関係をリセットしたいという女性の気持ちも理解できる。しかし、このままでいいわけはないだろう。「日本では養育費の支払いが少ない、これが問題だ」などと非難される方もいるが、実際のところは、離婚をすれば縁が切れる、相手の顔も見なくて済む、だから養育費も求めない、というケースは極めて多い。

言い換えると、相手の権利をすべて奪える現状の単独親権の制度では、子どもは私が育てるからあなたは一切かかわらないでほしいということになる。だが、そこにはあまりに子どもの視点が欠けていやしないだろうか。

共同親権に変わればどうなるのかといえば、いまと違って、離婚しても相手との関係は切れない。切れないことを前提に、ではどうすればうまく子育てをしていくことができるのか、このような発想に立てば、そもそも養育費が要求すらされないという問題は解消していくことになる。原則を変えれば、子育ての仕方も変わるのである。

共同親権に反対する面々

日本で共同親権の導入に向けた議論は進んでいるのか、いないのか。
残念ながら、ほとんど進んでいない。

どこの党が賛成で、どこの党が反対か。そのような状況ではなく、党内で意見が分かれているというのが現状だ。

では、誰が反対をしているのか。
多くは女性議員である(もちろん、賛成してくれる女性議員もいるが)。

「か弱い女性は守らなければならない」

それ自体を否定するつもりはないが、女性やその支援者からの訴えだけに耳を傾け、他方からの話を聞かないまま「男はひどい」という見方に偏り反対されてしまうと、制度としての議論がなかなか深まらない。

加えて、議員立法では各党、各会派で賛成を得なければならないので、なかなか事が進まないというのが現状である。逆に、立憲民主党であっても賛成する議員は少なからずいるので、イデオロギーの壁は思った以上に高くない。

過去には紆余曲折がありながらも、「親子断絶防止法案」については様々な政党に所属する議員が努力を重ねて各党賛成になった。しかし残念ながら、民主党が解党したことによって各党の議論がゼロベースに戻ってしまったという苦い過去もある。いくら話がまとまっても、野党がバラバラになる、つまり党の名前が変わるたびに議論はゼロに戻ってしまう。

ちなみに、共同親権の導入に対しては、日弁連、特にそのなかでも男女共同参画を推進する弁護士グループが大反対をしている。彼らは、男女共同というよりも女性の権利ばかりを主張しているという印象が強い。

実は、世のなかには男性だけではなく、子どもを奪われた女性も少なからずいる。でも彼らはなぜか、その女性たちにはシンパシーを示さない。男性が悪い、女性を守るためには単独親権しかない、といった不毛な論を展開している。

連れ去り勝ちを生む土壌

「実子誘拐」を飯のタネにしている悪徳弁護士もなかにはいるかもしれないが、個人的には多くの弁護士はそうではないと信じている。

ただ、語弊があるが、有能な弁護士ほど「実子誘拐」に手を貸している状況になっている。離婚を成立させ、なおかつ子どもを確保したいというお客さんの意向を最大限に尊重しようとすれば、「連れ去り勝ち」が最も有効な手段だからである。

わざわざお客さんの意向に反してまで、法制度を変え、共同親権を導入すべきだとまで考える弁護士は少ない。「実子誘拐ビジネス」で儲けようと最初から目論んでいたわけではないだろうが、これでは結果的に「実子誘拐ビジネス」に手を貸していると批判されても仕方がないだろう。

加えて「女性は弱い」、だから守らなければいけないというドグマが、政治家にも、弁護士にも強い。男性が虐げられている状況が広がっているにもかかわらず、DVは男性がするもの、だから女性を守らなければいけないというストーリーのほうがわかりやすく、結果的に男女共同参画を主張する一部の声の大きい弁護士たちに流されてしまっている。

日本の弁護士が見るのは国内法だが、世界からどう見られているかをもっと考えるべきだ。弁護士自身がこういった発想を転換しなければ被害はますます増えてしまう。まずは、弁護士自身が変わっていくことを期待したい。

それにしても、男女共同参画を推し進める人たちは、共同親権をやらない理由はたくさん述べるのだが、単独親権の下で行われている悲劇にはまったく目を向けない。子どもを連れ去った母親が再婚し、元夫の目の届かないところで、子どもが再婚した男性から虐待を受けるケースは少なくない。この点をどう考えているのだろうか。

裁判官と弁護士が癒着しているというのは一般的には考え難いことだが、月刊『Hanada』5月号の「実子誘拐ビジネスの闇 人権派弁護士らのあくどい手口」を読むと、裁判官が母親側の弁護士事務所に「天下り」をしたという。これは司法の外形的な公平性・中立性を損なっており、禁じ手である。自ら担当した大きな事件の一方当事者の法律事務所に就職するなどいままで聞いたことがない。裁判官の倫理としてあってはならないことだ。

いわゆる「人権派」からの猛攻撃

日本国内の「実子誘拐」があまりメディアで報じられないのはなぜかというと、報じると批判が殺到するからである。皆さんが思っている以上に、すごい。

「実子誘拐」に関する問題を取り上げるメディアもあるが、そのたびに当該メディアが、名誉毀損で訴えるといった脅迫まがいの言説で攻撃に晒されていると聞く。現場の記者が熱い想いで取材をし記事にしても、事なかれ主義のメディアであれば、恐れをなして削除に応じてしまう。それでは物事は前に進まない。

私も、とある著名なNPO法人の代表から執拗な落選運動を展開されたことがある。ツイッターの匿名アカウントによる攻撃も多数受けてきた。

このような男は政治家にしてはいけない、女性の敵だ、DV男の味方だといった趣旨の批判をツイッター等で展開、拡散され、ものすごい被害を被った。子どもの利益に繫がる政策を語ることで、なぜ女性の敵だと罵られなければならないのか。

可哀想なことだが、いま最も攻撃されているのは、この問題を国会で追及している日本維新の会の串田誠一衆議院議員だ。執拗な嫌がらせや落選運動を展開されるくらいなら、彼らが望むような形で「か弱き女性」の権利のために活動していたほうがどれだけ楽かわからない。

しかし政治家である以上、自分のことよりも、救うべき人のために不利を覚悟で論陣を張らなければならない。彼を含め、この問題を取り上げる国会議員はみな、子どもを守るために必死である。

それでも、突破口はある!

では、「実子誘拐」を減らす突破口はどこにあるのか。実は、養育費の未払いをゼロにする、というのがひとつの突破口になると考えている。

「金は払わせるが子どもには会わせない」という制度では、養育費の未払いは減らしようがない。法律で支払いを強制することもひとつの手段だが、いくら法的に支払いを強制しても、払いたくない人は様々な方法で法の網をかいくぐる。

より大事なことは、子どもを一方の親が囲い込むのではなく、離婚後も父母双方に子どもとの縁を切らせないこと。離婚した以上はもうあなたの顔なんて見たくないというわがままも、離婚したからこれ以上子どもの面倒なんて見ないというわがままも許されない。

離婚しても親なのだから養育費を払え、ちゃんと子どもの面倒を見ろ、と国および社会が、離婚したあとも親子の交流を継続するように仕向けていくことで、必然的に養育費の未払いは減っていく。

単独から共同へ。制度を変えると同時に、親の意識(カルチャー)そのものを変えること。これがもっとも重要である。

離婚は大人同士の都合であり、親が離婚をしても、双方の親に大切にされていると実感できる境遇を維持することは、子どもの健全な発育にとって極めて重要なことだ。離婚をすることが、一方の親と子どもとの今生の別れであるがごとき原則を変えていく必要がある。

共同養育支援法(旧親子断絶防止法)も重要だが、やはり本丸は共同親権だ。共同親権を認めない限り、日本は永遠に「子どもの拉致国家」との汚名を返上することはできないだろう。

「実子誘拐」解決を阻む「でっちあげDV」の深層

出典:令和3年4月27日 SAKISIRU

「実子誘拐」解決を阻む「でっちあげDV」の深層

「孫に会いたい…」行政の壁、祖父母が大田区相手に訴訟、来月スタート
ジャーナリスト 牧野 佐千子

一方の配偶者にある日突然子どもを連れ去られ、離婚を申し立てられ、大切に育ててきた子どもとの関係を絶たれてしまう実子の連れ去り問題。「実子誘拐」とも呼ばれ、実子誘拐被害者は毎年数万人、増え続けていると言われる。悪化する要因の一つが、裁判所や法曹界、行政やマスコミなどで加害者と“グル”になっている人たちの存在だ。ある被害者らは、彼らについて「実子誘拐ビジネスネットワーク」と呼んでいる。

ただ、ここにきて風向きが変わり始めた。この問題を追い続けているジャーナリスト・池田良子さんによる告発本『実子誘拐ビジネスの闇』(飛鳥新社)が先週出版。さらに先日は、「ハッシー」の愛称で人気のプロ棋士・橋本崇載(たかのり)八段が、子どもの連れ去りを理由に精神的に追い詰められ、今月、将棋界からの引退を表明して将棋ファンに衝撃を与えた。以前は関心を示さなかったメディアでもこの問題が取り上げられるようになり、大きな注目が集まりつつある。

「でっちあげDV」と「継続性の原則」で親権をモノに

現在の日本は「単独親権制度」で、離婚後は父母の「どちらか」が親権者となる。その際に親権獲得に有利になるよう相手方を問題のある親に仕立て上げる「でっちあげDV」が横行し、これも実子誘拐ビジネスの大きな一翼を担っている。

池田さんが同書で指摘しているように、実子誘拐ビジネスで儲ける彼らは、この制度に異議を唱える親たちを徹底的に「問題のある親」「DV加害者」などと印象付け、裁判を有利に進め、世論も誘導してきた。「こんな問題のある親だから、子どもに会えないのは当然でしょ。子どもに悪影響でしょ」といった「雰囲気づくり」である。

また、「どちらか」の親権者を決める際に、裁判所の慣習として「継続性の原則」というルールがあり、たとえ連れ去りであっても、子どもと一緒にいる側の親が親権獲得に有利となる。調停や裁判の手続きが長引くほど、連れ去った側の親と子が一緒にいる時間が長くなり、その「継続性」を覆すことが難しくなってしまう。これが「相手より先に連れ去れ」が成り立つ要因だ。

実子誘拐を “支援”する「DV支援措置制度」

DVなどの被害者を保護することを目的として、加害者に、被害者の住民票の写しや戸籍の交付を制限する「DV支援措置制度」。支援措置に携わる、某市の職員によると、今の制度では、「自分が被害を受けた」と主張する人を守ることを優先しており、本人の主張が本当であれ嘘であれ、その住民票を守ることになっているという。

深刻なDVを受けて安全な場所へ緊急避難した被害者にとっては、居場所が加害者に知られることは恐ろしい。だが、実際の運用では、「被害者」が被害を主張すれば、その真偽が確かめられることなく、相手方を加害者に仕立て上げ、さらに連れ去った子どもの居所を相手方に知られないようにできるのだ。

前出の市職員は、本当に被害に遭っている人を緊急で守るために、「嘘か本当か確かめるのに時間を使うことはできず、今の制度が続いてしまっている」と苦悩を明かす。子どもを連れ去られた別居親で、一方的に身に覚えのないDVの加害者に仕立て上げられ、子どもの居場所が分からず、姿を見ることもできず、手紙を送ることもできない。元気なのか、生きているのか知ることもできないという親も多い。

孫を連れ去られた祖父母が区を訴えた事情

この「でっちあげDV」に加担してしまっている各自治体を、当事者が司法で訴える動きがでてきた。今後全国に展開して、おおきなムーブメントになりそうだ。

そのさきがけとなったのが、わが子のようにかわいがり同居して育てていた孫を、その母親である長男の嫁に突然連れ去られた祖父母、Tさん夫婦。その「連れ去り」を正当化するために、Tさん夫婦は母親によって、一方的にDV加害者に仕立て上げられ、DV支援措置によって孫の住所も知ることができなくなった。

こうした事情を考慮せず、Tさん夫婦が住む東京都・大田区役所の窓口では、「DV支援措置」がかかっているから出せない、と、孫の戸籍の附票を交付しなかった。「戸籍の附票は、孫の居所を知ることができる唯一の手段。最後の望みの綱です。いつまた移動してしまうかわからない。そうなった時に、孫がどこにいるのか、本当にわからなくなってしまう」。

Tさん夫婦は、この大田区の対応を不当な支援措置を根拠とした違法行為だとして、大田区長を相手取り、不交付決定の取り消しを求めて東京地裁に提訴した。「裁判を起こすのは、この制度によってもう二度と、ほかのひとが同じような目に遭ってほしくないからです」という。

母親は、孫の通う幼稚園の先生に対して「おまえ」と呼びトラブルを起こしたり、孫を抱いたまま家の前の路上でわめき散らしたりなど、問題行動が多かったという。そして2015年8月、サンダル履きのまま、荷物も持たずに孫と一緒にふらっと家から出て行ったまま、行方知れずとなってしまった。

Tさん夫婦は、これまでにも附票の不交付について審査請求を起こし、母親が孫に怪我をさせたことなど、その問題行動の証拠を丹念に集めて提出してきた。証拠書類は分厚いファイルに収められている。だが、裁判や行政の審査ではTさん夫婦の主張は一切採用されることなく、母親が警察に安全相談に行った一方的な話の記録のみを採用。Tさん夫婦は連れ去られてから一度も孫に会えていない。

「実子誘拐」根絶へ、うねりとなるか

Tさん夫婦の代理人の作花知志弁護士は、「DV支援措置により家族との分断を強いられている別居親、祖父母の方々の関係回復のためにも、良い判決を得たいと思う。大きなうねりとなれば…」と話している。第1回口頭弁論は5月19日、東京地裁で開かれる。また、同様にDV支援措置で子どもの居場所が分からなくなるなどした当事者が、「支援措置制度の廃止」を目指して各自治体を訴える訴訟も、今後約10件が数か月に1件ずつ連続して提訴される予定だ。

実子誘拐問題については、論点が非常に多岐にわたる。国会でも各党の議員がこの問題を取り上げるようになってきた。問題意識を持つ人々がそれぞれの場でアクションを起こし、今の大きな流れを引き寄せ、長年多くの親子を苦しめてきた実子誘拐を根絶できるか。引き続き、注視していきたい。

離れた子どもと面会しやすく NPOがネットサービス

出典:令和3年4月20日 産経新聞

画像の説明

養育費の公正証書化、確認追加へ 離婚届見直し、有無をチェック

出典:令和3年4月16日 共同通信

養育費の公正証書化、確認追加へ 離婚届見直し、有無をチェック

 上川陽子法相は16日、離婚届の様式を近く見直し、取り決めた子どもの養育費支払いに関する内容を、公正証書にしたかどうかを尋ねるチェック欄を追加すると明らかにした。
 離婚後も親には子の養育費を負担する義務があるが、父母間の金額などの取り決め率は低調だ。改善を図るため、離婚届には取り決めの有無を問うチェック欄を設けているが、より確実な支払いに向け、公正証書化の有無についても加える。
 離婚に関する情報が掲載されている法務省のホームページにアクセスできるQRコードも記載。「離婚を考える人に必要な情報が届くようにしたい」(担当者)としている。

「共同親権は『子の利益』を第一に、養育費や面会交流の取り決め必要」 二宮周平・立命館大教授

出典:令和3年4月1日 東京新聞

「共同親権は『子の利益』を第一に、養育費や面会交流の取り決め必要」 二宮周平・立命館大教授

 法制審議会(法相の諮問機関)は3月30日、家族法制部会の初会合を開いた。今後、離婚後に父母の双方が子の親権を持つ「共同親権」の導入の是非も議論される。共同親権は子に対する責任が明確になるメリットの一方、父母間の対立が長引いたり、進学など子に関する意思決定が難しくなったりするといった指摘もある。家族法に詳しい立命館大の二宮周平教授に親権を巡る論点を聞いた。(木谷孝洋)

 ―親権に関する法律の規定はどうなっているのか。
 「民法では子を監護・教育し、子の財産を管理する親の権利と義務が定められている。子どもには成長、発達する権利があり、それを支えるための親の権利であり、義務という理解だ」

 ―日本は民法で、離婚した夫婦の一方を子の親権者とする単独親権制度を定めるが、海外の状況は。
 「欧米や中国、韓国などの東アジアでは共同親権を原則としたり、選択できるようになっていたりする。日本も1994年に批准した『子どもの権利条約』では、子はできる限り父母の養育を受ける権利があると明記されている。父母の婚姻関係の有無とは関係がないため、多くの国が法改正し、離婚後の共同親権を認めるようになってきた」

 ―背景にあるのは。
 「一つは男女の役割分業の変化だ。女性の職場進出に伴い、男性が家事や育児を積極的に担うケースも増えてきた。子育てに関わる以上、離婚後も子に関わりたいという希望を持つことは当然だ。父親たちの運動もあって海外では共同親権が広がってきたが、日本は男女の役割分業の意識が根強く、単独親権のままだ」

 ―日本では養育費の支払い率が低く、離婚時に子と別居親の面会交流の取り決めをする割合も少ない。
 「無責任な協議離婚制度が原因の一つだ。日本では面会交流や養育費の分担などを相談したり、合意したりしなくても役所に書類を1枚出せば離婚できてしまう。海外では裁判離婚が主流で、子の養育に関する取り決めについて裁判所がチェックする仕組みになっている。日本も共同親権を導入する場合は、父母が子の養育について話し合い、計画を立てる必要がある。家庭裁判所などが当事者にガイダンスや情報提供を行うなど支援も欠かせない」

 ―共同親権を認めると、相手がドメスティックバイオレンス(DV)加害者でも縁を切れず、被害が継続するなどの指摘もある。
 「今の制度だから、DV被害者は自分の生活を守れるという主張はある。だが海外に比べ、日本には被害者の保護や加害者の更生プログラムが乏しいことも原因だ。DVはDVの問題として対応しなくてはいけない。親権の問題は、子どもの利益は何かという観点から考えるべきだ」

親の離婚、年間20万人の子が経験親権見直し、法制審が議論開始
 共同親権を含む家族法制の見直しは、上川陽子法相が2月に法制審に諮問。親が離婚しても子が健全に成長できる環境を整えるため、養育費の不払い解消など多様な論点が議論される。
 厚生労働省の統計によると、2019年の離婚件数は約20万8000件で、親の離婚を経験する子どもは年間約20万6000人だった。当事者同士の話し合いで離婚する協議離婚が88%を占め、母親が親権を持つケースが84%に上る。
 離婚後、子と同居しない親が支払う養育費の受給率は母子世帯で24%にとどまり、ひとり親世帯の貧困の要因になっている。また、同居しない親と子の面会交流の取り決めをする割合も低く、父親が疎外感を持つ原因となっている。
 法務省が未成年時に両親の離婚・別居を経験した20~30代の1000人を対象とした調査では、40.5%が両親の別居後に経済的に苦しくなったと答えた。

離婚後の子どもの養育めぐる課題解消に向け法制審で議論始まる

出典:令和3年3月30日 NHK

離婚後の子どもの養育めぐる課題解消に向け法制審で議論始まる

親が離婚したあとの養育費の不払いや親権の在り方など、子どもの養育をめぐる課題の解消に向けて、30日から法制審議会の部会で制度の見直しに向けた議論が始まりました。

離婚後の子どもの養育をめぐって、上川法務大臣は、2月に子どもの利益を図る観点から養育費の不払いや親権の在り方などに関連する制度の見直しを法制審議会に諮問しました。

これを受けて、法制審議会の家族法制部会は30日に初会合を開き、法務省の堂薗幹一郎官房審議官が「離婚に伴う子どもの養育への深刻な影響や養育の在り方の多様化などの社会情勢に鑑み、幅広い観点から検討をお願いしたい」と述べました。

30日の会議には裁判官や心理学の専門家、それに、ひとり親の支援団体の代表など、およそ40人が参加し、ことし1月に法務省が親の離婚や別居を経験した人を対象に行ったアンケート調査の結果や、海外の法制度の実例などが示されました。

部会では今後、養育費を適切に確保するための取り決めや、父親と母親の双方が子どもの親権を持つ「共同親権」の導入の是非なども含め、離婚したあとの子どもの養育の在り方について幅広く議論される見通しです。

離婚しても子育てに関わりたい 共同親権、議論の行方は

出典:令和3年3月28日 日本経済新聞

離婚しても子育てに関わりたい 共同親権、議論の行方は

配偶者と別れても子育てに関与し続けたい。そう考える親にとって、離婚後は父母のいずれかしか親権が持てない「単独親権」制度が壁となる場合がある。親権者によって面会などが制限され、最近は新型コロナウイルスも影を落とす。一方で「共同親権」には慎重論も根強い。子ども第一の視点でどうあるべきか。国も議論を始めた。(榎本行浩)
「親としての責任を果たさせてください」。2月10日、東京・霞が関の法務省前に全国から約150人が集まり、次々とマイクを握っては離れて暮らす子どもへの思いを訴えた。手には「子どもと会いたい」などと書かれたカード。参加者の大半が離婚などの事情で別居する親たちだった。
4歳と1歳の子どもがいる千葉県の30代女性は1年ほど前に突然、夫から離婚を切り出された。子どもと一緒に住んで養育する「監護者」として、裁判所は義理の両親とともに家事を積極的に担っていた夫を指定した。女性は現在、親権を巡って離婚訴訟中だが、子どもと会えるのは月1回、1時間に限られる。
さらにコロナ下での外出自粛などを理由に、面会中止を告げられることもある。「子どもに自分が忘れられてしまいそうで、気がおかしくなる」。境遇が似た人たちが多数いることをSNS(交流サイト)で知り、集会に参加するようになった。
この日、法務省では法制審議会(法相の諮問機関)の総会が開かれていた。上川陽子法相は、離婚に伴う養育のあり方に関する法制度の見直しについて諮問。「子どもを第一に考える視点で幅広く、実態に即した検討をしてほしい」と求めた。離婚後も父母双方が親権を持つ共同親権導入の是非もテーマに含まれる。
未成年の子どもを育てる親の権利や義務である親権。明治期に民法の法体系が確立した日本では家父長制の影響で戦前は父親に、戦後は父母どちらかに認める単独親権を採用してきた。2011年の民法改正で面会交流は子の利益を最優先する内容が盛り込まれたが、両親の確執から守られないケースも多い。
海外はどうか。かつては単独親権が主流だったが、子育ては父母が平等に担うものとの考え方が浸透し、共同親権が定着するようになった。法務省が20年に公表した調査では主要20カ国(G20)を含む24カ国中22カ国で法的に認めていた。近年は日本の制度への批判も強まっている。
ただ、共同親権下で父母の離婚を巡る対立が続けば子どもが混乱し、不安定になるとの懸念も根強い。共同親権が導入されるかどうかは見通せない。ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待への懸念から、面会交流の促進にも慎重な意見がある。
2月には単独親権は憲法違反として男性が損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁が「父母のうち、より適格な者を親権者に指定する規定に合理性はある」と合憲との判断を示している。
年間約20万人もの未成年の子どもが両親の離婚を経験している。こうした中、離婚前後の家庭を助けるため、面会交流の支援団体が相次ぎ発足している。
自治体が後押しする動きもあり、静岡県藤枝市は20年度から面会交流のために市内の保育園や小中学校で放課後などに部屋を開放した。東京都港区も面会交流の事前面談や日程調整を手掛ける事業を始めた。
家族法制に詳しい立命館大の二宮周平教授は、夫婦が等しく子育てに参画するのが常識となりつつある現状を踏まえ、「制度が社会の変容に対応しきれていない」と話す。
一方で海外では離婚時に養育方針を話し合う制度が充実していると指摘し、「法改正ありきではなく、親の養育を受ける子どもの権利擁護の視点に立った制度設計の検討が大切だ」としている。

養育費受け取ったことなし」56% 困窮するひとり親世帯

家族法制の見直しを巡る議論が動き出した背景には、離婚後に養育費が支払われないために貧困に苦しむひとり親世帯の存在がある。2016年度の厚生労働省の調査によると、離婚後、養育費を受け取っている母子世帯は24%にとどまった。「受けたことがない」のは56%に上っている。
民法は離婚時に養育費などを夫婦の合意で取り決めると規定しているが、強制力はない。厚労省調査では取り決めをしていたのは母子世帯で4割あまり、父子世帯で2割だった。
兵庫県明石市は20年7月、ひとり親家庭の困窮対策として子ども1人につき養育費を1カ月分、5万円を上限に立て替える全国初の制度を始めた。新型コロナウイルス禍で収入面で苦境に立たされたひとり親を支えるのが狙いで、これまで計22件の申し込みがあった。同市は「子ども支援を最優先に、行政としてできることをしたい」(市民相談室)と説明する。

親権をもてなかった母親への冷たい視線――子どもと別居する苦しさと葛藤

出典:令和3年3月27日 Yahoo ニュース!

親権をもてなかった母親への冷たい視線――子どもと別居する苦しさと葛藤

毎年、20万から25万件で推移する離婚件数。子どもの親権はたいてい母親がもつが、父親のケースもある。この場合、親権をもたなかった母親に対してさまざまな憶測が飛び交う。「子どもがなつかなかったのでは」「何か悪いことをしたのでは」……。親権をもたない父親に比べて手厳しい。なぜ「別居母親」は批判的な目で見られがちなのか。2人の当事者から話を聞き、実態を探った。(取材・文:上條まゆみ/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)

「別居母親」は少数派

中部地方に住む西川千佳さん(仮名、47)は、16歳と13歳の娘の母親だ。11年前に離婚し、子どもたちとは別居している。

「本当は子どもの親権をもち、一緒に暮らしたかったのですが、無知と不運が重なって、親権を元夫にとられてしまいました」

厚生労働省の調査によると、令和元年の離婚件数は20万8496組。そのうち未成年の子どもがいるのは11万8664組で、20万5972人の子どもが親の離婚に巻き込まれている。

日本の法律では、離婚後の子どもの親権は父親か母親のどちらかがもつことになるが、調停で母親が親権をとる割合は90%以上。離婚後、ほとんどの子どもが母親に引き取られている。

千佳さんは30歳のとき、社会人サークルで出会った一つ年上の男性と結婚した。おだやかで友だちを大事にしていて、信頼できる人だと感じた。

元夫は、父や妹とともに家族で工場を経営していた。母親は離婚して、家を出ていた。
自営業の家に嫁ぐことに千佳さんはある程度の覚悟をしていたが、実際は想像以上に息苦しかった。

「財布は義父が握っており、私は食費を渡されるだけ。それも月何万とかじゃなく、はい1万、はい3万みたいにその都度もらっていました。『なくなったら言えよ』と言われていましたけど、やっぱり言いにくいんですよね。買い物に行く店も決められていたし、主婦として家庭を切り盛りする自由はまったくありませんでした」

子どもが生まれてからも、義父の支配は続いた。

「今日は散歩に行けとか、いまから公園に行けとかタイムスケジュールまで決めてくる。その一方で、工場の事務の仕事も変わらずこなせ、と。私が子どもを保育園に預けたいと言ったら、『母親失格だ』と責められました」

たまの休みに、どこに遊びに行くかも義父の指示。家族4人、水入らずで出かけたことはほとんどない。「実家と縁を切れ」とも言われた。次女の出産のあと、正月に実家に帰ることも許してくれなかった。

娘を連れて家を出る

義父と離れて家族4人で暮らしたい。元夫に訴えたが、「考えてみるね」と言うだけだった。千佳さんはたまりかねて、実家に子どもを連れて帰った。

「長女の(幼稚園が)春休み中のことでした。家出という強硬手段に出れば、元夫も真剣に向き合ってくれると思ったんです」

しかし、元夫からは何の連絡もない。千佳さんは、新学期の始まりに合わせ、とりあえず子どもだけ家に帰した。次女の入園式には夫婦そろって参列したが、翌日から元夫と連絡がとれなくなった。

メールをしても電話をかけても無反応。焦った千佳さんは、慌てて家に戻った。家の中に入ろうとすると、義父と義妹に「もう帰ってくるな!」と追い返された。元夫は見て見ぬふりをしていた。

千佳さんはしばらく実家で呆然と過ごした。子どもに会えない状況を変えるため、弁護士に相談した。そして、家庭裁判所に夫婦円満調停(夫婦関係調整調停)と、子どもの引き渡しおよび監護者の指定を申し立てた。監護者とは、子どもを引き取り、生活をともにし、身のまわりの世話をする人のことだ。

それらの手続きと並行して仕事を探し、総合病院の事務職として働き始めた。子どもを引き取るつもりだったので、時間に融通のきく職場を選んだ。しかし、千佳さんの思いとは裏腹に、娘2人を引き取ることはできなかった。

知らなかった調停のルール

家庭裁判所が親権者や監護権者を決めるときの基準の一つに「母性優先の原則」がある。その一方で、「監護の継続性の原則」も重視される。これは、これまでに子どもが育ってきた環境を継続したほうがいいという考え方だ。

そのほか、経済状況を含めた監護態勢や、兄弟・姉妹は一緒に育てたほうが子どもにとっては利益があるという事情(兄弟姉妹不分離の原則)も勘案される。

千佳さんが子どもを引き取れなかったのは、「監護の継続性の原則」などが適用されたからだ。2人の娘は祖父、叔母、父親と安定して暮らしている。どちらか1人を千佳さんが引き取るのも望ましくない。

千佳さんは自分が調停を起こすまで、そのような原則があることを知らなかった。

※以下、掲載記事を参照ください。

離婚後の共同親権制度は、子ども独自の人格を認めて子どもを親の付属物と見ない日本に変えるための制度

出典:令和3年3月23日 土井法律事務所ブログ

離婚後の共同親権制度は、子ども独自の人格を認めて子どもを親の付属物と見ない日本に変えるための制度

共同親権反対派の人たちの実質的反対理由として
「離婚後の単独親権制度がDV被害者の防波堤になっている、それにも関わらず共同親権にしたなら防波堤が無くなりDVが継続する。」という論理に触れました。

これが単独親権制度から共同親権制度に変更するか否かの立法論、政策論を議論しているときの理由とはならないのではないかということを検討していきます。

1 防波堤とは何か
2 具体化されず、立証されない「DV」
3 面会交流時の事件が理由となるか
4 封建的な排除を擁護しているに過ぎないこと
5 子ども利益の視点の欠落(子どもは親の所有物ではない)
6 問題の所在をどのように子どもたちのために活かすか。

※以下、土井法律事務所のブログを参照ください。

土井法律事務所ブログ

親が離婚・別居 4割が「金銭面で苦しくなった」法務省調査

出典:令和3年3月12日 NHK

親が離婚・別居 4割が「金銭面で苦しくなった」法務省調査

親の離婚や別居を経験した20代と30代の人を対象にした法務省の調査が行われ、4割の人が、親の離婚などによって金銭面で苦しくなったと答えました。
離婚後の子どもの養育をめぐって上川法務大臣は先月、子どもの利益を図る観点から、養育費の不払いや親権の在り方などに関連する制度の見直しを法制審議会に諮問しました。

法務省は、未成年のときに親の離婚や別居を経験した20代と30代の合わせて1000人を対象に、ことし1月に調査を行い、その結果を公表しました。

親が別居したあと、父親と母親のどちらと一緒に暮らしたか聞いたところ、母親が79%、父親が21%でした。

離婚などによる金銭面での影響を聞いたところ、「苦しくなった」が20%、「若干苦しくなった」が20%、「ほとんど変わらなかった」が24%、「むしろ好転した」が7%などとなり、4割の人が苦しくなったと答えました。

同居していた親の再婚をどう感じたか複数回答で聞いたところ、「新しい環境になじめなかった」が34%で最も多く、次いで、「親をとられたような気がした」が17%、「再婚相手と合わなかった」が16%、「家族が増えてうれしかった」「家族が増えて困惑した」「親が自分に気をつかっていた」がいずれも15%でした。

そして、親が離婚したり別居したりしている子どもに必要な支援策を複数回答で聞いたところ、「精神面や健康面をチェックする制度」が44%、「身近な相談窓口の設置」が43%、「子どもの権利を尊重する法律の整備」が37%などとなっています。

上川法相「子どもの目線に立った制度の見直しに大変貴重な資料」

上川法務大臣は、閣議のあとの記者会見で「離婚や別居が子どもの生活や心身に大きな影響を及ぼすことを改めて実感した。子どもの目線に立った制度の見直しを検討するうえで、大変貴重な資料であり、専門家はもちろん、多くの方に活用されることを期待している」と述べました。

【参考:法務省ホームページ】
未成年期に父母の離婚を経験した子の養育に関する実態についての調査・分析業務報告書の公表について
・未成年時に親の別居・離婚を経験した子に対する調査 【簡易版】PDF
• 未成年期に父母の離婚を経験した子の養育に関する実態についての調査・分析業務報告書 PDF

不仲に気づいていたけど…父母の別離問題、抱え込む傾向

出典:令和3年3月12日 朝日新聞

不仲に気づいていたけど…父母の別離問題、抱え込む傾向

 両親の不仲に気づいていながら、両親からは何の説明もなく、周囲にも相談できない――。未成年時に両親の離婚・別居を経験した20~30代の1千人を対象に法務省が実施した調査から、父母の別離の問題を一人で抱え込む傾向が強い実態が浮かんだ。調査では、子どものための身近な相談窓口の設置を求める声が多く上がった。

 調査は1月にネット上で行われ、法務省が12日に結果をホームページで公表した。同省は、法制審議会(法相の諮問機関)での離婚後の子どもの養育に関する議論や、今後の政策に生かしたい考えだ。
 調査結果によると、両親が別居を始めた年齢は「3歳未満」から「中学卒業後」以降までまんべんなく広がり、母親と同居した人が786人と圧倒的に多かった。ただ、別居した親とも関係は悪くない人が多く、「非常に良い」「良い」「まあまあ良い」「普通」の回答の合計が約7割を占めた。

 別居前の家庭内の状況を覚えていると答えたのは672人。このうち、両親の不仲について「知っていた」「薄々気づいていた」のは543人(80.8%)だった。また、235人(35.0%)は両親からの説明が「なかった」といい、周囲に相談したのは63人(9.4%)にとどまっていた。相談しなかった理由は、「人に言いたくなかった」が129人(19.2%)、「相談したかったが適切な人がいなかった」が128人(19.0%)、「相談できる人はいたが自分で抱え込んだ」が56人(8.3%)だった。

 両親の離婚・別居が自身の恋愛や結婚にどう影響したかについては、プラスの影響があったとする回答が21・2%、マイナスの影響が24・0%だった。これに対し、自身の子どもとの親子関係に及ぼした影響ではプラスの影響が30・4%で、マイナスの影響の12・5%を大きく上回った。
 上川陽子法相は12日の記者会見で「子どもの視点に立って検討を進める観点から子どもの経験の実態把握は重要」とし、「問題の難しさや重要性について認識を新たにした」と語った。(伊藤和也)

令和3年3月5日 中日新聞 「親子面会や親権巡り参加者が意見交換」

中日新聞名古屋本社から第95回定例会の取材を受け、3月5日(金)朝刊に掲載されました。
第95回定例会取材記事pdf

記事に関する意見、お子さまと交流出来ない現状、家族法制度の問題点など中日新聞までお寄せください。

メール送信先>
中日新聞社名古屋本社編集局 読者センター 宛
center@chunichi.co.jp

[[共同養育・共同親権に向けて、超党派で動きが活発に

出典:令和3年3月5日 アゴラ

共同養育・共同親権に向けて、超党派で動きが活発に [#zb6e3628]

親の離婚後の子どもの養育に関する問題の解消に向けて、上川陽子法務大臣は2月10日、法制審議会総会で家族法制の見直しを諮問した(拙稿:「共同親権」導入も議論:離婚後の養育をめぐる課題解消に向け、上川法相が法制審に諮問)。これを受けて3月4日、超党派の国会議員らで構成する「共同養育支援議員連盟」の総会が衆議院第二議員会館で行われ、法制審議会への諮問の報告と、別居している側の親と子の面会交流支援の取り組み状況について、法務省や厚生労働省の担当者が説明。総会は非公開で行われ、各党から20人以上の議員が参加した。

また、議連は、「面会交流」という用語について、「刑事施設等に収容されている者が想起されやすく、親と子が継続的に会うことを表す用語として必ずしもふさわしくない」として、「親子交流」と表すことや、法制審において、養育費の支払い確保だけを検討するのではなく、「車の両輪」である親子交流についても足並みをそろえて検討、答申することなどを盛り込んだ政府に対する緊急提言について検討を行った。
国会でも、予算委員会で立憲民主党の真山勇一参議院議員が3日、共同親権への検討について菅首相に答弁を求めた。真山議員は、離婚の際に、女性が子どもを連れ去る問題があること、最近は男性が子どもを連れ去ることも増えていることなどを指摘。
外務省の24か国を対象にした親権問題に関する調査のデータを示し、単独親権しか選べないのは日本など3か国のみで、「子どもにとっては離婚してもお父さんでありお母さんであり、両親がいるのは大切なこと。共同親権か単独親権かどちらか選べる選択的親権制度があってもいいのでは」と提言した。
菅首相は「(連れ去り問題については)私自身も承知して、憂慮している。今後子どもの利益を始め、幅広い観点から検討したい。まずは法制審の検討を見守りたい」と答弁した。
離婚後の親権問題をめぐっては、国際結婚の増加に伴い、離婚後に自分の子どもに会えない外国人当事者も増えており、昨年7月にEU議会から日本政府に対し、非難決議が出されている(拙稿:EUが日本非難!「子ども連れ去り」を止める法改正を)。また、一方の親のみに親権が付与される単独親権制度による親子の引き離しで精神的苦痛を受けたなどとして国家賠償請求訴訟が起きており(拙稿:親子を引き離す「単独親権制度」を放置:父母6人が国を提訴)、親子の引き離しが起きないような制度の構築に向け、各省連携した抜本的な対応が求められている。

 
以前の記事(平成30年4月1日以降)はこちらまで

以前の記事(平成30年3月31日まで)はこちらまで

更新 2021-09-23 (木) 14:13:26
a:83024 t:2 y:3

powered by Quick Homepage Maker 5.2
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional