ハーグ条約動向
米国務次官補 ハーグ条約「日本の対応、課題多い」
出典:平成28年1月29日 毎日新聞
両親の離婚などで国境を越えて連れ去られた子供の扱いを定めたハーグ条約を担当する米国のボンド国務次官補は29日、日本では関連の裁判に1年以上かかっている事案があると指摘。「可能な限り司法プロセスを迅速にする」ことを日本に要求した。東京都内の米国大使館で毎日新聞の取材に応じた。
条約は2014年4月に日本で発効。外務省によると、昨年末時点で米国を含めた外国への帰還が13件、日本への帰還が7件実現している。この中には条約発効前に連れ去られたために本来は返還義務がないが、両親が話し合いで解決した事案も含まれるという。
ボンド次官補は「個々の成功例はたたえたい」としつつ、日本の取り組みについて「連れ去った親が話し合いに応じない場合への対応などで多くの課題が残されている」と指摘した。
外務省ハーグ条約室は「正当な司法プロセスで時間がかかっている事案もある」と話している。【大前仁】
外国の裁判官と連携強化 最高裁、ハーグ条約で2人登録
出典:平成27年8月8日 日本経済新聞
両親の離婚などで国境を越えて連れ去られた子供の取り扱いを定めたハーグ条約に関し、最高裁は、世界各国の裁判官が参加して意見交換する「ハーグ裁判官ネットワーク」に、日本の裁判官2人をこのほど登録した。各国の担当者との連携を強化し、法制度に関する情報を得やすくするのが狙い。
自国に連れ去られた子供の返還の可否は、各国とも裁判所が判断。日本では東京、大阪両家裁が担当している。
最高裁や外務省などによると、ネットワークには6月現在で74カ国の裁判官が参加。裁判官同士が主に電子メールで連絡を取り合い、それぞれの国の法制度や子供の支援態勢などの情報交換をしている。ネットワークの裁判官が集まる会議も数年に1回開かれる。
最高裁は昨年4月の条約発効を機に参加を検討したが、個別の案件を審理する立場の裁判官が第三者とやりとりすべきではないとの意見もあり見送った。その後、実際に子供の返還に関わった裁判官らから、一般的な内容に限り、海外の裁判官と情報交換できるよう求める声が上がり、6月に参加した。
ハーグ条約は93カ国が加盟。外務省によると、7月末時点で日本から海外に連れ去られた子の返還申請は25件、海外から日本に来た子の返還申請は31件、面会の実現を求める申請は85件あった。
ハーグ条約に詳しい本多広高弁護士は「相手の国に、ドメスティックバイオレンス(DV)の際の保護命令があるのかなど、返還後に適切な保護が受けられるのか不明なケースもあり得るので、情報交換は有益だ」と歓迎している。〔共同〕
子供の返還判断「ハーグ裁判官連携」に日本も
出典:平成27年6月9日 読売新聞
国際結婚の破綻に関するハーグ条約で、最高裁は、子供の返還について判断する家裁の裁判官が返還先の国の情報を得やすくなるよう、65か国が参加する「ハーグ裁判官ネットワーク」に日本の裁判官2人を近く登録することを決めた。
電子メールなどを活用し、各国の裁判官から情報を常時収集できるようにする。
条約に加盟する93か国では、自国に連れ去られた子供について裁判所が返還の可否を判断する。最高裁によると、同ネットワークは今年3月現在で65か国97人の裁判官が登録。返還先で家族を巡る法律がどうなっているかが判断のポイントになるため、裁判官同士が法制度について情報交換しているほか、個々の裁判の判断に関しても意見を交わしているという。
ハーグ条約発効から1年 子供返還申し立ては計16件 最高裁が発表
出典:平成27年4月10日 産経新聞
ハーグ条約発効から1年 子供返還申し立ては計16件 最高裁が発表
最高裁は10日、国際結婚の破綻などで国境を越えて連れ去られた子供の取り扱いを定めたハーグ条約に基づき、家裁へ申し立てられた子の返還申請が、昨年4月の条約発効から1年間で16件あったと発表した。
ハーグ条約は、16歳未満の子供が国外に連れ去られた際のルールを規定。海外から日本に連れ出された場合、外務省が親同士の話し合いの仲介をするが、協議がまとまらなければ親は東京家裁か大阪家裁へ申し立てができ、返還の可否が判断される。
最高裁によると、日本が条約に加盟した昨年4月1日から今年3月31日までの間、東京家裁に12件、大阪家裁に4件の申し立てがあった。うち11件は既に審理が終結し、9件が返還を命令、1件が申し立てを却下、もう1件が調停成立で取り下げ扱いとなった。
審理は非公開のため最高裁は各申し立ての内容を公表していない。
ハーグ条約1年 「子のため」を最優先
出典:平成27年4月8日 中日新聞(社説)
両親のどちらかが国外に連れ去った子どもの扱いを定めたハーグ条約に日本が加盟して一年。国際結婚だけでなく日本人夫婦にも適用されている。連れ去りは子どものためにならないと徹底したい。
外務省によると、日本が条約加盟した昨年四月から一年間で、裁判や話し合いなどで日本に連れ帰った子どもを外国へ戻したケースは三件、外国に連れ出した子どもを日本に帰したのは四件あった。
条約では子どもが育つ環境を変えないために、ドメスティックバイオレンスなどの返還拒否事由がない限り、原則として速やかに子どもを元の居住国に帰すのがルールだ。国際ルールの枠外にいた加盟前なら、子の返還を求めて申し立て、結論が出るまでに一年、二年かかったケースでも、この一年は一カ月でも返還命令が出るようになった。これは条約に加盟したメリットだろう。裁判で時間がかかっている間に子どもが新しい土地に定着するという問題も避けられる。子どもを連れ去られた親が養育から疎外される問題も少なくなるのではないか。
外務省には、返還や面会交流を求めた援助申請が百十三件あったが、約一割が日本人夫婦のケースだったのは目を引く。海外で勤務したり生活することが珍しくなくなった今、条約の対象になるのは国際結婚した夫婦に限らない。
昨年七月には日本人の子どもに初めて条約が適用された。日本人の父親が日本人の母親とともに英国に出国した子ども(当時七歳)の返還を求め、英国政府が支援を決定。ロンドンの裁判所は「ハーグ条約上、違法な状態」と判断し、子どもを日本に戻すよう命じた。子どもは日本に帰国後、家裁での調停で母親のいる英国に戻った。
国際ルールの下で、連れ去りはいけないと広く知らせた意義は大きい。離婚後も両親ともに親権を持つのが主流の欧米では、両親が子どもと関係を維持しようとする。それに対し、離婚後は一方の親しか親権を持てない日本では、両親で子育てに関わる視点が弱い。連れ去りが後を絶たない。
ハーグ条約は一方の親による子の連れ去りを、他方の親の権利を奪うだけではなく、子が親と関係を維持しながら育つ権利を阻む行為とみなす。
子どもは親に従属する存在ではない。日本も親権の共同化や、親子の面会交流権の保障など国内法を整えていくべきではないか。「子のために」という視点を守っていきたい。
ハーグ条約1年 子供を守る慎重な運用を
出典:平成27年4月3日 産経新聞
国際結婚の破綻などで、一方の親に国境を越えて無断で連れ去られた子供の扱いを定めたハーグ条約が日本で発効して1年が経過した。
この間、外務省が受け付けた子供の返還や面会を求める申請は100件を超えた。いまのところ大きな混乱もなく対処されている。
ただ、日本では親権制度の違いなどから加盟に慎重論を唱えた経緯があった。家庭の問題がからみ返還の可否を決める裁判なども原則非公開で行われるため、課題がみえにくい。引き続き子供を保護する条約の目的にかなうよう、注意深い運用を求めたい。
条約加盟国は、16歳未満の子供を一方の親が無断で国外に連れ去った場合、子供を捜し、元の居住国に戻す義務を負う。親の国籍を問わず、どちらが養育するかなどは、元の居住国で決められる。
この1年間の申請のうち、子供の返還を求めたものは44件で、親同士の合意に基づいた外国への返還が3件、日本への返還は裁判所の命令などで4件実現した。その他、裁判所での審理に入ったものもあり、そのすべてが子供の利益に結びつくのか、必ずしも楽観はできまい。
過去、日本人の場合は外国人の夫の家庭内暴力(DV)から逃れて子供とともに帰国したケースも少なくなかった。別の加盟国では、条約に沿って子供を戻した後、先方に養育能力がないことが発覚し問題化したこともある。
条約では、子供に危害などが及ぶ恐れがある場合、返還拒否が認められている。将来に禍根を残さないよう、話し合いや裁判の調停では十分な情報と証拠に基づいて慎重に吟味してほしい。
外務省は条約加盟に伴い、主要在外公館での邦人のDV被害者支援を強化した。子供を連れて帰国したものの、証拠の不備などで裁判で不利になることがないようにとの配慮だ。多くの相談が寄せられているという。
外務省が受け付けた返還と面会の申請113件の約1割は日本人同士のケースだった。海外での勤務や居住が珍しくなくなった現在、条約の対象となるのは国際結婚の夫婦とは限らない。
国際化が進む中、条約が適用されるケースは今後も増えよう。予想されるトラブルに備え、国は必要かつ適切な支援の手も差し伸べてもらいたい。
米特別顧問、6月に訪日=ハーグ条約加盟も「依然不満」
出典:平成27年3月25日 読売新聞
【ワシントン時事】米国務省のジェイコブス特別顧問(児童問題担当)は25日、国際結婚が破綻した夫婦の子供の扱いを定めたハーグ条約の履行状況について下院人権小委員会で証言した。昨年4月に条約に加盟した日本に対しては「依然不満が募る」と指摘し、6月に日本を訪問して一層の取り組みを促す意向を明らかにした。
ハーグ条約は片方の親が子供を無断で自国に連れ帰るなどした場合、元の居住国に戻し親権争いを決着させると定めている。ジェイコブス氏は、昨年、日本から戻った子供は皆無だったと説明。「ケネディ駐日大使も動きだす準備ができている」と述べ、在日大使館と一体となって日本に一層の努力を求めていく考えを強調した。
共和党のスミス小委員長は、日本の対応を「言語道断だ」と批判。「今こそ制裁を科すべきだ」と日本に対する制裁発動を訴えたが、ジェイコブス氏は「できることを全てやると約束する」と述べるにとどめた。
トルコ人の夫への男児返還、東京家裁認める
出典:平成27年3月25日 読売新聞
トルコ人の男性がハーグ条約に基づき、日本に連れ去られた男児の返還を日本人妻に求めた申し立てについて、東京家裁が返還を命じる決定を出したことが分かった。
決定は20日付。
男性の代理人によると、一家はトルコに住んでいたが、昨年12月上旬、妻と男児が日本へ渡航。男性側は外務省に返還援助を申請し、今年2月上旬、同家裁に返還を申し立てていた。
最高裁によると、昨年4月の条約発効から今年2月末までに、家裁への返還申し立ては17件あった。
ハーグ条約:国際結婚の子の返還命令…東京家裁が判断
出典:平成27年3月25日 毎日新聞
国境を越えて連れ去られた子の扱いを定めたハーグ条約に基づき、東京家裁がトルコに住むトルコ人の父親の申し立てを認め、日本人の母親と一緒に日本に帰国した長男をトルコに戻すよう命じる決定を出したことが関係者への取材で分かった。昨年4月に日本で条約が発効して以降、国際結婚の夫婦の争いで子の返還を命じる決定が明らかになったのは初めて。
父親の代理人の本田正幸弁護士によると、父親は母親とトルコで結婚し、長男が生まれて同国で生活していたが、昨年12月に母親が長男を連れて日本に帰国した。トルコに残された父親は、代理人弁護士に依頼してハーグ条約に基づいて日本の外務省に子の返還の援助を申請。今年2月初旬、東京家裁に裁判手続きによる子の返還を申し立てた。
同家裁では、調停や和解も模索されたが、成立せず、今月20日に同家裁がトルコに子を返還するよう命じる決定を出した。ハーグ条約に基づいて子を元いた国に戻すかどうかを判断する裁判は、国内では東京と大阪の2家裁だけで非公開で行われることになっている。
大阪家裁では昨年11月、スリランカに住む日本人の父親が、日本人の母親が日本に連れ帰った娘の返還を求めた裁判で、国内初の返還命令が出された。【伊藤一郎】
ハーグ条約、子供返還など海外調停機関と連携へ
出典:平成27年3月25日 読売新聞
国際結婚の破綻に関するハーグ条約を巡り、外務省は、外国の親から申し立てがあった子供の返還や面会について、日本と外国の調停機関が連携して協議する仕組みの導入を決めた。
両親それぞれの国の弁護士や専門家が協力して調停案を取りまとめることで、円満な解決を促す狙いがある。連携先はドイツや英国、米国、オーストラリアなどを想定しており、来年4月からの本格実施を目指す。
昨年4月に国内で発効したハーグ条約では、子を日本に連れ去られた外国の親は、〈1〉東京か大阪の家裁に対する返還命令の申し立て〈2〉日本の調停機関が話し合いを仲介する「裁判外紛争解決手続き(ADR)」の利用――などを選択できる。ADRは東京、大阪、沖縄の弁護士会など5機関が実施しており、弁護士や学者ら2人の「あっせん人」が双方から事情を聞き取って解決案を提示する。利用は4回まで無料だ。
ただ、外国の親から外務省に申請があった「返還」と「面会交流の援助」計80件のうち、ADRの選択はわずか12件。日本の調停機関に対し、外国人の側に「言葉の壁があって主張が通らないのでは」「文化や制度の違いを理解できるのか」といった不安があるためとみられる。
このため、外務省は外国の調停機関との連携を計画。外国の親から申請を受けた同省が、その国の調停機関を紹介した上で、インターネットを通じたテレビ電話「スカイプ」を使い、外国側と日本側それぞれの親とあっせん人が参加して協議することを想定している。ドイツや英国も他国との間で同様の仕組みを導入し、成果を上げているという。
娘の返還命令が確定 ハーグ条約審判 スリランカの父親が返還求め
出典:平成27年2月6日 産経新聞
娘の返還命令が確定 ハーグ条約審判 スリランカの父親が返還求め
国際結婚の破綻などで国外に連れ去られた子供の取り扱いを定めたハーグ条約に基づき、スリランカに住む父親が西日本で母親と暮らす娘(5)の返還を求めた審判は、返還を命じた1月30日の大阪高裁決定が確定したことが5日、分かった。母親側から不服申し立てがなかった。
大阪家裁は昨年11月、ハーグ条約に日本が加盟して以来、国内初となる司法判断を出した。大阪高裁も家裁決定を支持し、母親の即時抗告を退けた。
スリランカへ子供の返還命令 母親の即時抗告棄却 大阪高裁
出典:平成27年1月30日 産経新聞
国際結婚の破綻などで国外に連れ去られた子供の取り扱いを定めたハーグ条約に基づき、スリランカに住む40代の父親が、30代の母親と西日本で暮らす娘(5)の返還を求めた審判の即時抗告審で、大阪高裁(金子順一裁判長)は30日、娘をスリランカへ返還するよう母親に命じた大阪家裁決定を支持し、母親側の抗告を棄却した。
大阪家裁は昨年11月、ハーグ条約に日本が加盟して以来、国内初となる司法判断を出したが、母親が不服として即時抗告していた。
これまでの決定などによると、父母はいずれも日本人。3人は平成25年2月、父親の仕事の都合でスリランカへ渡航し、昨年6月に一時帰国した。再び3人でスリランカに戻る予定だったが、母親が父親に戻る意思がないと伝えたため、スリランカに戻った父親が娘の返還を申し立てた。
金子裁判長は決定理由で、娘が帰国後も現地のインターナショナルスクールに通学予定だったことなどから「居住国はスリランカ」と認定した家裁決定を相当と判断した。「娘がスリランカに行くことを拒んでいる」などとする母親側の主張も認めなかった。
ハーグ条約加盟8カ月、子供返還の審理迅速に
出典:平成26年12月24日 日本経済新聞
両親のどちらかに国境を越えて連れ去られた子供の扱いを定めたハーグ条約に日本が加盟した4月以降、裁判や話し合いで子供が外国から日本に戻ったり、日本からもとの居住国に返還されたりした例は5件に上る。支援者や弁護士からは「審理が早くなった」と評価の声があがる。外国当局と交渉できる専門性の高い弁護士を養成するため、日本弁護士連合会と外務省は来年から全国で研修を始める。
※以下、紙面参照
ハーグ条約:娘の返還命令受けた母 大阪高裁に即時抗告
出典:平成26年12月3日 毎日新聞
両親の離婚などで国境を越えて連れ去られた子どもの取り扱いを定めたハーグ条約に基づき、スリランカに住む父親が、日本で母親と暮らす娘(5)の返還を求めた審判で、スリランカへの返還を命じた大阪家裁の決定を不服とし、母親が3日、大阪高裁に即時抗告した。返還命令は国内初だった。
父親の代理人弁護士によると、父母はともに日本人で娘は日本生まれ。家族3人は昨年2月にスリランカに渡航し、今年6月に一時帰国した後、再びスリランカに戻る予定だった。しかし母親が7月、父親に娘を戻す意思がないと伝え、現在も西日本で暮らしている。(共同)
ハーグ条約:国内初判断、母親に返還命令 大阪家裁
出典:平成26年11月19日 毎日新聞
国境を越えて連れ去られた子の扱いを定めたハーグ条約に基づき、スリランカに住む父親が、母親と日本に帰国したまま戻らなかった娘の返還を求めた審判で、大阪家裁は19日、父親の主張を認めて娘を返すよう母親に命じる決定を出した。4月に日本で条約が発効して以降、子の返還を求めた国内の審判で決定が出されたのは初めてで、日本の裁判所が海外に住む親の元に子を返すよう命じた最初の事例となった。
代理人弁護士らによると、40代の父親、30代の母親、女児(4)の3人家族で、ともに日本国籍。家族は父親の仕事の都合でスリランカで暮らしていたが、6月に一家で一時帰国。父親は一旦スリランカに戻り、7月に再び日本に帰国。その際に父親に娘を引き渡す約束だったが、母親は引き渡しを拒んだ。当初は話し合いによる解決を図ったが、双方の主張が食い違い、父親が審判を申し立てた。
大阪家裁(大島真一裁判長)は、娘が学校に通っていたことなどからスリランカに生活拠点があったと認定。スリランカで暮らしても娘の成育に重大な悪影響はなく、母親に娘の引き渡しを拒否する正当な理由はないと判断した。母親は決定に納得できない場合、大阪高裁に即時抗告することができる。
4月のハーグ条約発効後、母親と一緒に英国に渡った子を父親のいる日本に戻すよう英国の裁判所が命令するなど、海外の裁判所が日本への返還を命じたケースはある。国内では、東京家裁でも海外に住む親が日本で暮らす子の返還を求める審判が進んでいる。【古屋敷尚子】
スリランカへ子の返還命じる=ハーグ条約で国内初-大阪家裁
出典:平成26年11月19日 時事通信
スリランカに住む日本人の40代の男性がハーグ条約に基づき、妻が無断で日本に連れ帰った4歳の子の返還を求めた審判で、大阪家裁(大島真一裁判長)は19日、申し立て通りスリランカに戻すよう命じた。
ハーグ条約は両親の一方が16歳未満の子を国外に連れ去った場合、原則として元の居住国に戻すと規定。国内での申し立てが明らかになった初めてのケースだった。
家裁は、両親と子が昨年2月からスリランカで生活し、子が現地で通学していたことを理由に、子の居住国はスリランカと判断した。妻は今年6月、一時帰国した際にそのまま子を留め置いていた。
ハーグ条約:初の国外返還…日本人母の5歳児、ドイツへ
出典:平成26年11月12日 毎日新聞
国境を越えて連れ去られた子の扱いを取り決めたハーグ条約に基づき、日本人の母親と日本で暮らしていた5歳児が先月、外国に戻されていたことが、外務省への取材で分かった。日本で4月に条約が発効して以降、子が外国から日本に返還されたケースは3件あったが、日本にいる子どもが海外へ返還されたのは初めて。
同省ハーグ条約室によると、この5歳児は父親がドイツ人で、日本とドイツの両方の国籍を持つ。親子はドイツで生活していたが、母親が今年6月、父親に無断で子を日本に連れ帰った。取り残された父親は8月下旬、ドイツ政府にハーグ条約に基づいて子の返還を求めた。
ドイツ政府から日本の外務省に援助要請があったため、外務省が国内の母親に接触して交渉。話し合いを経て母親が子の返還に同意し、10月中旬、子は母親に連れられドイツへ戻されたという。
ハーグ条約は、子を元いた国に返還するかどうかは連れ去られた側の申し立てによる裁判で決めるとするが、両国の政府の仲介で話し合いにより解決することも認めている。今回は、裁判によらないで返還された。
条約に基づく子の返還を巡っては、日本人夫婦の父親が5月、母親と共に英国に渡った7歳児の返還を求めて英国政府に直接援助を申請。英国の裁判所の命令で子が7月に日本に戻されたケースが初適用だった。
その後、やはり日本人夫婦の母親が3歳児を無断で米国に連れ出し、日本に残された父親が日本の外務省を通じて返還の援助を申請。話し合いを経て母親が9月下旬、日本に連れ帰った。
また、米国人の父親が日本人の母親に無断で8歳児をスイスに連れ出し、母親が日本の外務省を通じて子の返還を要請したケースでは、スイスの裁判所が返還命令を出し、9月下旬に子が日本に戻された。
同省によると4月以降、日本の外務省に「子の返還」を求める援助申請は23件あり、日本にいる子の返還申請は14件、海外にいる子の返還申請は9件。【伊藤一郎】
◇ハーグ条約◇
正式名称は「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」。一方の親が了解なしに子供を国外に連れ出した場合、もう一方の親の返還要求に基づき子供を元の国に戻す義務を規定している。国際結婚で破綻したケースが想定されているが、同じ国籍の夫婦にも適用される。日本では今年4月に発効し、7月には日本人の子の返還命令が初めて出された。加盟国は93カ国。
ハーグ条約で“子を日本から外国へ”初事例
出典:平成26年11月12日 NHK
国際結婚の破綻などで子どもが一方の親に国境を越えて連れ出された際、原則として子どもをもともと住んでいた国に戻すルールを定めた「ハーグ条約」に基づいて、日本にいる子どもが外国に初めて戻されたことが分かりました。
ハーグ条約に基づいて日本から外国に戻されたのは、日本人の母親とドイツ人の父親の間に生まれた5歳の男の子です。
外務省によりますと、男の子はもともとドイツで生活していましたが、ことし6月、父親の同意のないまま母親が日本に連れ帰っていたということです。これに対し、父親がハーグ条約に基づいて日本の外務省に支援を要請し、外務省の担当者を介して両親の話し合いが続けられてきたということです。その結果、母親が男の子をいったんドイツに戻すことに同意し、先月中旬、男の子は母親とともにドイツに戻ったということです。
ことし4月に日本で発効したハーグ条約に基づいて、これまで海外に連れ出された子どもが日本に戻されたケースはありましたが、日本に住む子どもが外国に返還されたのは初めてです。今回は両親の話し合いで解決しましたが、ハーグ条約では海外にいる親が日本の裁判所に対して子どもの返還を求めることも可能で、東京と大阪の家庭裁判所で少なくとも2件の申し立てが行われています。
日本への子ども返還はすでに複数実現
ハーグ条約は、世界的な人の移動や国際結婚の増加に伴って問題となってきた、一方の親による国境を越えた子どもの連れ出しを国際的に解決するためのルールを定めたもので、日本ではことし4月に発効しました。ハーグ条約の加盟国の間で一方の親が子どもを自分の母国など別の国に連れ出した場合、もう一方の親が連れ戻したいと希望すれば、現在子どもがいる国の政府機関が子どもの居場所を探したり、連れ出した親と交渉したりするなどの援助をします。また、その国の裁判所に返還を求める申し立てを行えば、裁判所は原則として子どもをもともと住んでいた国に戻すよう連れ出した親に命令を出します。原則として元の国に戻すのは、一方の親に国境を越えて連れ出された子どもは異なる言語や文化など生活環境が急変するうえ、もう一方の親との交流が断絶されるなど悪影響が大きく、いったんは元の状態に戻したうえで、その国の司法手続きに沿って子どもの養育環境を判断するのが望ましいと考えられているからです。
外務省によりますと、これまでに海外にいる親が日本にいる子どもを戻すよう援助を申請したケースは14件あるということです。また、東京と大阪の家庭裁判所に少なくとも2件の返還命令を求める申し立てが行われています。逆に日本にいる親が外国に連れ出された子どもを戻すよう求めたケースではすでに日本への子どもの返還が複数実現しています。
ハーグ条約:日本在住の子、返還求め審判申し立て
出典:平成26年10月16日 毎日新聞
国境を越えて連れ去られた子の扱いを取り決めたハーグ条約に基づき、海外に住む父親が、母親が日本に連れ帰った子の返還を求めて16日にも大阪家裁に審判を申し立てることが分かった。関係者によると、東京家裁でも海外に住む親が日本で暮らす子の返還を求める審判の申し立てが14日にあった。4月に条約が日本で発効して以降、子の返還を求める審判申し立ては国内ではこの2件が最初で、今後は増加が予想される。
大阪家裁のケースは、代理人弁護士によると、父母が共に日本国籍。アジアの国で暮らしていたが、母親は4月以降に子を連れて日本に帰国し、西日本で暮らしている。当初は話し合いによる解決を図ったが、双方の主張が食い違い、父親は返還を求めて審判を申し立てることを決めた。家裁は、審判で父母の主張を聞き、帰国について父親が事前に了解していたかや、返還によって子に悪影響が及ぶ恐れがないかなどを見極め、返還を命じるかどうかを判断する。
日本では今年4月にハーグ条約が発効。7月に日本人に初適用され、母親と一緒に英国に渡った子を父親のいる日本に戻す返還命令を英国の裁判所が出した。【古屋敷尚子】
ハーグ条約発効から半年、援助申請77件
出典:平成26年10月12日 日本経済新聞
外務省は国境を越えて連れ去られた子供の取り扱いを定めたハーグ条約に関して、4月1日に日本で発効してから10月3日までの約半年間で、同省への子どもの返還や面会の援助申請件数が77件あったと明らかにした。子どもの返還の援助申請では日本から外国へ連れ去りが8件で、2件では日本への返還が実現した。外国から日本への連れ去りは12件あった。
面会交流の実現を求めた援助申請は外国から日本への連れ去りで44件、日本から外国への連れ去りで13件だった。
父母とも日本人という申請例も少なくなかったという。
ハーグ条約発効から半年、20件の援助申請
出典:平成26年10月6日 TBS
夫婦のどちらかが子供を国外に連れ去った場合の取り扱いを定めたハーグ条約が日本で発効されて半年、これまでに20件の援助申請があり、うち2組の夫婦の子供が海外から日本に戻されたことが外務省のまとめでわかりました。
外務省によりますと、今年4月に日本でハーグ条約が発効してからの半年間に、外国から日本に連れ去られた子供の返還のための援助を受け付けたケースは12件、一方で、外国に連れ去られた子供の返還援助を受け付けたケースは8件でした。
このうち、外国に連れ去られたケースでは、アメリカとスイスの2つのケースで子供の返還が実現しました。また、返還までは求めない「面会交流」に関する援助申請は57件にのぼり、半年間に受け付けた申請件数はあわせて77件となりました。このうち、10件は、夫婦ともに日本人だということです。
外務省は条約の発効により、子供の連れ去りは誘拐罪になりうるといった認識が広まり一定の抑止効果が生まれていると分析しています。
海外連れ去りの子2人帰国 ハーグ条約に基づく援助申請受け
出典:平成26年10月3日 日本経済新聞
国境を越えて連れ去られた子供の取り扱いを定めたハーグ条約に基づき、スイスと米国に渡っていた2人の子供が、それぞれ9月に帰国していたことが3日、外務省への取材で分かった。
7月、母親と共に渡英していた子の返還命令が出たのが日本人への条約初適用だった。このケースでは日本の父親が外務省を通さず、直接英国当局に返還を求めていた。今回の2件は外務省に援助を申請し、帰国につながった。
外務省によると、スイスにいた子(8)は米国人の父親と共に渡航していた。日本人の母親が8月、外務省に援助を申請。スイスの当局を通じて居場所を特定し、スイスの裁判所が9月に返還命令を出した。
米国のケースでは日本人夫婦の子(3)が母親に連れられて渡米。父親が6月に外務省に援助を求めたが、話し合いを進め母子が任意で帰国したという。
4月に日本が条約に加盟した後、外務省には3日までに計77件の援助申請が寄せられた。日本から海外に連れ去られた子の返還の申請は8件、海外から日本に来た子の返還申請は12件。このほか面会の実現を求めた申請は計57件となっている。〔共同〕
ハーグ条約加盟半年:新たに2組の夫婦の子が日本に戻る
出典:平成26年10月3日 毎日新聞
◇外務省予想外の日本人夫婦のケースも
国境を越えて連れ去られた子の扱いを取り決めたハーグ条約に基づき、7月の初めての返還命令に続いて、新たに2組の夫婦の子が海外から日本に戻されたことが、外務省への取材で分かった。初適用は日本人夫婦だったが、今回の2組のうちの1組も日本人夫婦だった。日本人夫婦が援助を求めるケースは全体の1割を超えており、当初想定されていた国際結婚が破綻した夫婦のケース以外にも利用が広がっている。
今年4月に条約が日本で発効してから先月末までの半年で、子の扱いを巡る外務省への援助申請は73件。日本在住の親から海外の親への申請は、返還8件、面会13件。海外在住の親から日本の親への申請のほうが多く、返還9件、面会43件だった。国際結婚が破綻した例が大半だが、9件は日本人夫婦だった。
条約は7月に日本人に初適用され、英国にいた子が日本に戻された。その後新たに、日本人夫婦の子が米国から、米国人父と日本人母の子がスイスから、それぞれ日本に戻された。海外の親と子が、テレビ電話で面会できたケースも1件あった。
また、海外の親が日本にいる子との面会を求めて先月、日本の家裁に初めて審判を申し立てた。当初は裁判によらない友好的な解決が図られたが、不調に終わったという。
外務省の担当者は「条約発効後、不法に海外から日本へ子が連れ出されるケースが減っており、抑止効果も認められる」と話している。【伊藤一郎】
子の返還、外務省通じ初命令 ハーグ条約、米国人父に
出典:平成26年10月3日 朝日新聞
夫婦のどちらかが子どもを国外に連れ去った場合の扱いを定める「ハーグ条約」に基づき、日本人の母親が外務省を通じて男児(8)の返還を求めたところ、スイスの裁判所が日本に返還するよう命じたことが同省への取材でわかった。
外務省による子の返還支援は、日本が4月に条約に加盟したことで可能になった手続き。外務省の支援で返還命令が出たのは、今回のケースが初めてとなる。
同省によると、命令を受けたのはスイスに滞在する米国人の父親。母親が8月、外務省に支援を求めた。
同省から依頼を受けたスイス当局が父親と男児の居場所を調べ、裁判手続きに入った。9月下旬に裁判所が返還命令を出し、男児は日本に帰国したという。
ハーグ条約で米人父に子の返還命令…外務省通じ
出典:平成26年10月2日 読売新聞
米国人の夫に子供をスイスに連れ去られたとして、日本人の母親が外務省を通じてスイス側に男児(8)の返還を求め、9月下旬にスイスの裁判所が返還命令を出していたことが分かった。
4月に国内で発効したハーグ条約に基づき、同省を通じて子供の返還の支援を申請したケースは17件に上っているが、返還命令は初めて。男児はすでに帰国している。
国際結婚の破綻などによる子供の奪い合いを解決するための同条約は、親のどちらかが16歳未満の子を無断で国外に連れ去った場合、原則として元の居住国に戻すよう定めている。今回問題となったのは、米国人の父親と日本人の母親のケースで、一家は日本で生活していたが、条約が発効した4月以降、父親が男児を連れてスイスへ渡った。
8月、母親は条約に基づいて外務省に男児の返還の援助を申請し、同省はスイスの中央当局に支援を依頼。スイス側が男児の居場所を特定し、母親による裁判手続きを支援した結果、同国の裁判所は男児を日本に帰国させるよう命じた。
ハーグ条約発効3か月、子ども返還申請は4件
出典:平成26年7月5日 読売新聞
国際結婚が破綻した際の子どもの扱いを定めたハーグ条約が日本で4月に発効してから3か月間に、子どもを連れ去られた親が、日本の外務省に子どもの返還を求めたケースが4件あることがわかった。
当初は年間数十件に上るとみられていたが、これを下回るペースで、専門家らは「条約加盟が連れ去りの歯止めになっている」とみている。
外務省によると、子どもの返還を求める「返還援助申請」4件のうち1件は、海外から日本に子どもを連れ帰ったケースで、相手国の親が返還を求めている。日本にいる親が拒めば、相手側の申し立てで日本の裁判所が返還するかどうかを初めて判断することになる。
子の奪い合い、歯止めかかるか ハーグ条約に日本加盟
出典:平成26年4月1日 毎日新聞
結婚が破綻(はたん)した夫婦のどちらかが国外に子どもを連れ出し、相手から返還を求められた場合、原則、子を元の居住国に戻さなければならなくなった。日本が1日、ハーグ条約に加盟したためだ。国際結婚した日本人の離婚は年約2万件。国境を越えた子の奪い合いに、歯止めはかかるのか。
「日本は、ハーグ条約に加盟します。私には、娘に会う権利があります」。先月、千葉県の女性(34)は、娘(14)と暮らす米国人の元夫の両親に手紙を送った。「彼女は米国市民。二度と連絡しないで」。メールで返事が届いた。
元夫とは九州の米軍基地で出会い、妊娠して結婚したが、生活費を渡してくれなかった。紙おむつも買えず、基地内にある病院の乳児健診で「虐待している」と疑われた。元夫は2001年、女性に無断で当時8カ月の娘を米国に連れて行き、両親に託した。
2年後、女性は元夫の両親の家をつきとめ、娘に会いに渡米。その後、娘に会えたのは3回だけで、5年前、完全に拒まれた。
条約は、子どもの返還については今月1日以降の事例から適用されるが、それ以前の事例でも、子との面会について、国が居場所の特定などで支援できる。
「日本もハーグ条約加盟で、やっと米国と同じ土俵に立てる。対等な立場で交渉してほしい」。外務省を通じて、面会交流を求める書類を米国に送る予定だ。
一方、日本人の元妻に、娘3人を連れ去られたカナダ人男性(43)。11年に日本へ移住し、昨年は3回、娘たちに会えた。だが、事前に連絡すると拒まれる。面会はいつも「突撃」だ。「条約加盟で面会しやすくなると思う。法的に守られた状態で、子に会いたい」
日本に条約加盟を強く働きかけてきた米国。国務省が「子どもが日本に連れ去られた未解決事案」と認定しているのは58件、80人で、国別ではメキシコ、インドに次ぐ。米議会では、取り組みが不十分な加盟国に制裁などを科せるようにする法案が審議中だ。
■「国内」は対象外、法整備求める声
日本人の場合、海外で夫からの家庭内暴力を受けるなどし、逃げるように帰国した女性が多いとされる。この場合、外国の親からの申し立てで、外務省が子の居場所の捜索や、仲裁機関の紹介などの支援を担う。
連れ去った親が引き渡しに応じなければ、東京、大阪両家裁のいずれかが引き渡しの是非を判断。虐待などで「子の心身に重大な危険」があると認められれば、例外的に引き渡しを拒める。一方で、家裁が強制的に子の引き離しを命じることもできる。逆に、日本から子を連れ去られたケースでは、日本の親が外国の政府機関に支援を申請。その国の裁判で判断される。
日本人夫婦間でも、どちらかが子を海外に連れ去れば条約の対象だが、国籍にかかわらず、国内で起きた「連れ去り」は対象外だ。先月末、東京・渋谷では離婚して子と会えなくなった親たちが、「日本でも連れ去りを禁じる早期の法整備を」とデモ行進で訴えた。
日本の民法では離婚後、親権は片方の親のみに移る。面会交流は、離婚時に取り決めるが、強制力はない。子を連れ出し、養育の実績をつくった親が親権争いで有利になるため、子の奪い合いも起きている。
自民、民主、公明など超党派の国会議員約50人は3月、親子断絶防止議員連盟(会長=保岡興治元法相)を設立した。月1回、当事者や有識者から意見を聴き、法整備を模索する。(杉原里美、田村剛、ワシントン=大島隆)
◇
〈ハーグ条約〉正式な名称は「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」。16歳未満の子が無断で国外に連れ出された場合、子を元々住んでいた国に戻し、誰が面倒をみるかを裁判で決めるよう定めている。加盟国は、日本を含めて91カ国。子を連れて帰国した日本人の母親が、外国人の父親に子を会わせない事例が多いとして、欧米諸国が日本に早く加盟するよう強く求めていた。アジアは韓国、タイ、シンガポール、スリランカが加盟する。中国は香港、マカオのみで、本土には適用されない。
ハーグ条約:発効初日から我が子と面会求める動き
出典:平成26年4月1日 毎日新聞
国際結婚が破綻して子を外国に連れ去られた場合、残された親が子の返還や面会を求める手続きを定めた「ハーグ条約」が1日、日本で発効した。「息子たちが元気かどうかだけでも知りたい」。2009年6月に8歳と6歳の息子をロシア人の元妻に連れ去られた東京都内の自営業の男性(48)は、初日に書類が届くよう3月31日に弁護士を通じて外務省に面会交流援助を申請、海外でも面会を求める動きが出始めた。
男性は39歳の時に日本で結婚、2児をもうけたが徐々に子供の教育方針を巡って衝突が絶えなくなった。離婚調停を申し立てると、元妻は子供を連れてロシアに帰国。一時はインターネット電話で会話していたが、再び離婚の話し合いを始めると交流は途絶えた。
離婚裁判を申し立てた結果、今年2月に自身に親権が認められる形で離婚が成立した。条約発効前の連れ去りのため返還申請はできないが、男性は「面会交流の手続きがあると知り希望が見えた。会えるか不安だが、安否が分かれば」と話す。
外国在住の親が日本に住む子供への面会交流援助を申請した場合、外務省は援助の可否を審査した後、連絡を仲介したり、仲裁機関を紹介したりする。援助が決定すれば、外国の親は子供の居場所が分からなくても家裁に面会交流を求める審判や調停を起こせる。
米国では日本に子供を連れ去られたと主張する親ら約30人が3月31日、米国務省と在米日本大使館を訪れ、子供との面会などを求めた。03年から娘と会えずにいるポール・トランドさん(46)は「日本の裁判所はこれまで、我々と子供との接触を保証しないという結論を出してきた。同様の結果になることを恐れている」と語り、日本政府のさらなる取り組みを要求した。
日本に子供を連れ帰ってきた親を支援するため、東京の3弁護士会は弁護士を紹介する共通ダイヤル(0570・783・563)を設置した。磯谷(いそがえ)文明弁護士(東京弁護士会)は「返還申し立てや面会交流の請求を受けた親が駆け込むのは最寄りの弁護士会。親たちの不安に応えたい」と話す。【反橋希美、ワシントン西田進一郎】
ハーグ条約参加「前向きな一歩」=親は既存事案解決訴え-米
出典:平成26年4月1日 時事通信
ハーグ条約参加「前向きな一歩」=親は既存事案解決訴え-米
【ワシントン時事】国際結婚が破綻した夫婦の間の親権争いの解決ルールを定めたハーグ条約に日本が正式に加わったことを受け、米国務省は31日、「前向きな一歩だ」(ハーフ副報道官)と歓迎した。一方、日本人の親に子どもを日本に連れ去られたと主張する米国人の親らは同日、条約が適用されない過去のケースの解決を訴えた。
ハーグ条約は、一方の親が子どもを国外に無断で連れ去った場合、子どもを元の居住国に戻すことを原則として義務付ける内容。日本は米国の求めに応じて加盟を決めた経緯があり、ハーフ副報道官は31日の記者会見で「日本政府と協力して取り組むことを楽しみにしている」と語った。
日本大使館前で子ども返還訴え
出典:平成26年4月1日 NHK
国際結婚が破綻した際の子どもの扱いを定めたハーグ条約が1日から、日本で発効するのに合わせて、アメリカで子どもを日本に連れ去られたと主張する親などが日本大使館前に集まり、子どもを戻すよう訴えました。
ハーグ条約は国際結婚が破綻して、相手の承認を得ずに子どもを国外に連れ去った親が、もう一方の親から子どもを返すよう求められた場合、子どもをそれまでいた国に戻す手続きなどを定めたもので、日本でも1日から発効します。
これに合わせて31日、アメリカの首都ワシントンの日本大使館前で、子どもを日本に連れ去られたと主張する親など20人余りが集まり、子どもを戻すよう訴えました。
そして、大使館の担当者に対し、まず、子どもとの面会を実現させるよう申し入れました。
これに対し、大使館側は「子どもに会えないつらい心情は、よく理解している。最大限、努力したい」と伝えたということです。
参加した男性は、「子どもとは11年間会えていない。早く再会したい」と話していました。
集会を主催した団体によりますと、アメリカでは子どもを日本に連れ去られたというケースが400件以上に上るということで、議会下院では返還に応じない国に対し、制裁を科す法案が可決されるなど対応を促す動きが強まっています。
ハーグ条約:発効 「連れ去られた子供」返還制度整う
出典:平成26年4月1日 毎日新聞
◇過去の事案にも適用「面会交流援助申請」に国内外で動き
国際結婚が破綻した夫婦間の子供の扱いを定めた「ハーグ条約」が1日、日本でも発効した。条約に加盟する他国に子供を連れ去られた親が、子供との面会や返還の実現に向け国に援助を申請できる。一方で加盟各国の親からは日本にいる子供との面会や返還を求められるようになる。外務省は家庭紛争の専門家ら9人を採用し、当事者からの援助申請や相談に対応していく。
条約には1月末現在で91カ国が加盟。片方の親が16歳未満の子供を加盟国から別の加盟国に連れ去った場合、残された親が自国や相手国の援助を受けて子供と面会したり、連れ戻したりできる手続きを定めている。
各国の担当当局は残された親の申請に基づき援助をするか決定する。援助を決めた場合、自国内に連れ去られた子供がいる国の担当当局は、自治体などに情報提供を求めるなどして子の居場所を特定し、友好的解決を図ることが求められる。
日本で援助申請に対応する外務省は、専門スタッフとして現役の家庭裁判所裁判官や調査官、家庭内暴力(DV)や児童心理の専門家、家庭紛争事件に詳しい弁護士などを採用。裁判によらない解決を促す五つの仲裁機関や、面会が実現した場合に立ち会う二つの面会交流機関と業務委託契約を結んだ。
残された親が子供を元の国に戻すための「返還援助申請」は1日以降の連れ去りが対象だが、面会を求める「面会交流援助申請」は過去の事案にも適用されるため、条約発効直後から国内外で申請を出す動きがある。
日本弁護士連合会は面会や返還を求めてきた外国の親や、子供を連れ帰ってきた国内の親に弁護士を紹介する制度を開始。全国で約150人の弁護士が対応可能という。条約に詳しい大谷美紀子弁護士は「24時間相談を受け付ける民間ホットラインの開設や、弁護士のスキルアップが課題となる」と話している。【伊藤一郎】
ハーグ条約4月1日発効で“駆け込み組”も 米国で面会申請の動き続々
出典:平成26年3月31日 産経新聞
ハーグ条約4月1日発効で“駆け込み組”も 米国で面会申請の動き続々
結婚が破綻した夫婦の一方によって、国外に不法に連れ去られた子供を保護するため、元の居住国への返還などの手続きを定めた「ハーグ条約」が4月1日、日本で発効・運用開始される。米国内ではこれに合わせ、子供に会えない親らが面会実現の援助を求める申請書を米国務省に提出する動きも出ている。
■100件近く予測
日本に子供を連れ去られた親らが集まる米国のNPO「BACHOME」のホームページ(HP)には29日現在、子供との面会を望む35人近くの親らが31日午前、米国務省を訪れ、面会実現のための申請書類を提出する、と掲載されている。
日本の外務省や、子供を元の居住国に返す判断を出す裁判所、連れ去られた親らの代理人を務める弁護士を紹介する日本弁護士連合会などの関係者らからは「4月には100件近くの面会援助申請がくるかも」との予想も聞かれる。
■駆け込み組
子供の返還など条約に基づく解決手続きが利用できるのは、4月1日以降に起こった事案。ある法曹関係者は「昨年末から今月にかけ、欧州から、一方の親を残したまま子供を日本に連れ帰ったケースが複数あった。4月の条約施行の前に、連れ帰りを決めたと話していた」と、運用日程の間(かん)隙(げき)を突き、子供を日本に連れ帰る“駆け込み組”の存在を証言。「国際結婚したカップルは、部外者が思う以上に日本が条約締約国になったことを知っている」と話す。
■運用準備着々
関係機関は条約加盟が決まった昨年6月以降、運用準備を進めてきた。
最高裁では、子供を連れ去った親から引き離す強制執行に備え、全国の執行官らを集めて研修会を実施。親役が大声でわめいたり、親の親族役がゴルフクラブを持って執行官を脅したりする場面を職員が演じ、模擬演習を行った。
外務省は日弁連と連携し、裁判所の審理による返還手続きにせず、話し合いでの紛争解決(ADR)を目指すため、東京の3つの弁護士会や大阪弁護士会が構成員になっている総合紛争解決センターなどを利用できるようにした。最大約80万円の費用補助も受けられる。また、外務省は「ハーグ条約ってなんだろう?」と題したパンフレットを、在外日本大使館・総領事館や在京外国大使館、旅券発行窓口、入国管理局などに配布する。
◇
■ハーグ条約 一方の親が16歳未満の子供を国外に連れ去り、もう一方の親が返還を求めた場合、原則として子供を元の居住国に戻すことを義務付けた条約。国際結婚の破綻による離婚件数に比例し、一方の親が子供を連れ去る例が増える中、元の国で親権問題を協議することが「子供の利益」との考え方に立ち定められた。4月1日現在で日本が加わり、米国や欧州連合(EU)加盟の各国、タイなど91カ国が加盟する。
社説:ハーグ条約発効 子のため穏便な解決も
出典:平成26年3月31日 毎日新聞
国際結婚が破綻し、一方の親が無断で子供を連れて出国した場合、原則としていったん元の国に子供を戻す国際的なルールを定めたのがハーグ条約だ。日本が加盟を決めたこの条約が4月1日に発効し、昨年国会で成立した関連法が施行される。
日本人と外国人の国際結婚は年間4万件前後。結婚関係が破綻し、子供の監護権をめぐり争いになることも少なくない。「子供の連れ去り」に発展した場合、元の国から誘拐で指名手配されることさえある。
欧米の主だった国が条約に加盟し、既に91カ国に上る。日本の早期加盟を求める声は強かった。子供の利益を最優先に、国際社会の枠組みで紛争解決を図る第一歩としたい。
条約と関連法で決まった手続きはこうだ。無断で外国から子供を日本に連れ帰った場合、配偶者の申し立てがあれば、外務省が子供の所在調査をし、東京、大阪家裁のいずれかで返還の是非を決める。逆に、日本から無断で外国に子供を連れ去られた場合、外務省が相手国と交渉し、相手国で返還の是非を判断する。
子供は元の国に戻すのが原則だが、例えば連れ帰った理由に配偶者の暴力などがあれば、返還拒否ができる規定がある。ドメスティックバイオレンス(DV)については、各国で既に司法判断の実績が積み重ねられている。そうした事案も参考にしながら、子供にとってよりよい解決の道を探るべきだ。
子供の帰属をめぐる争いは、「返す」か「返さない」かの二者択一だ。「返す」となれば、母親と幼い子供を引き離すといった作業も伴う。親が子供を抱えて抵抗した場合、子供の精神的ダメージを考慮して、裁判所の執行官は無理強いしないといった対応も細かく規定されている。
できれば、穏便な解決が望ましい。実は、条約には裁判外の調停での話し合い解決が望ましいと書かれている。例えば、子供を連れ去った母親が、配偶者と子供の面会を認めれば、配偶者が返還請求を放棄するといった解決が現実には少なくない。
国内でも、東京や大阪の弁護士会が、紛争解決センターなど既にある裁判外の調停組織を活用して問題解決を図る準備を進めている。条約の運用実績の長い英国やドイツなど欧州では、児童心理士や精神科医といった専門家が、こうした話し合い解決の場に加わっている。
だが、日本では法律家以外の専門家が加わる体制はまだ不十分だ。例えば子供の返還命令が出た場合、当事者を落ち着かせたり、外国から子供を連れ戻した後に、日本での生活に早く慣れさせたりといった場合も、こうした専門家は不可欠だ。しっかり体制を整えたい。
政府が1日、ハーグ条約に加盟 子連れ去りで国際ルール
出典:平成26年3月31日 山陽新聞
政府は4月1日、国際結婚破綻後の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」に正式加盟する。一方の親が国境を越えて子どもを連れ去った際のトラブルを解決する国際ルールで、外務省は条約を所管する新組織として「中央当局」を1日付で設置して態勢を強化。条約に詳しい弁護士や専門家とも連携し、スムーズな運用を図りたい考えだ。
中央当局を担うのは外務省職員や弁護士、児童心理の専門家ら約15人。16歳未満の子どもを元に戻すよう求める海外在住の親からの申請を受け付け次第、地方自治体や警察と協力して日本国内の子どもの居場所を捜し出し、当事者間の円満解決へ「仲介役」を果たす。
ハーグ条約、沖縄などに紛争仲裁機関 外務省が指定
出典:平成26年3月30日 日本経済新聞
国際結婚が破綻した後の子供の扱いを定めた「ハーグ条約」に関し、訴訟によらず仲裁などでトラブルを解決するための「裁判外紛争解決手続き(ADR)」事業の委託先として、外務省が沖縄弁護士会など全国5機関を指定したことが29日分かった。日本が同条約に正式加盟する4月1日から業務を開始する。
沖縄弁護士会以外に委託先となった4機関は東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会、公益社団法人「総合紛争解決センター」(大阪市)。
ハーグ条約は、一方の親が国境を越えて子供を連れ去った際のトラブルを解決するための国際ルール。ADRは、裁判所に頼ることなく、弁護士などの専門家が当事者の間に入って紛争解決に当たる手続きで、訴訟に比べ短期間での解決が期待できるのが特徴だ。
米軍基地を抱え、米国人と国際結婚するケースが多い沖縄では、条約の対象になるような子供をめぐるトラブルが見込まれるため、ADRの必要性が指摘されていた。〔共同〕
ハーグ条約:沖縄にも仲裁機関 外務省、5カ所委託
出典:平成26年3月29日 毎日新聞
国際結婚が破綻した夫婦の子供の扱いを定めた「ハーグ条約」をめぐり、外務省10+件が当事者に和解などを勧める「裁判外紛争解決手続き」(ADR)事業を、沖縄弁護士会など全国五つの機関に委託したことが29日分かった。米国人との国際結婚が多い沖縄県で対策を求める声が強まっていた。日本ではハーグ条約は4月1日に発効する。
他の4機関は▽東京弁護士会▽第一東京弁護士会▽第二東京弁護士会▽公益社団法人「総合紛争解決センター」(大阪市)。外務省が昨年末からADR機関を公募したのに対して、5機関が応募していた。5機関は4月1日に業務を始める。国はADRの申し立て1件当たり、通訳・翻訳などの費用について上限80万円を負担する。
ハーグ条約の発効後は連れ去られた子供の返還を家裁に申し立てることができ、家裁が加盟国に返還命令を出すことができる。だが、審理するのは東京、大阪の2家裁のみで、国際結婚が多い沖縄からは「県民の負担が大きい」と沖縄での裁判を求める声が強まっていた。こうした経緯もあり、訴訟によらない解決を図るADR事業の委託先に沖縄弁護士会が選ばれたとみられる。
ADRは、あっせん人が当事者間に入り話し合いを進め、子供の任意の返還、離婚、親権(監護権)、養育費などさまざまな問題の解決を図る。ハーグ条約では、政府に訴訟によらない「(子供の)任意の返還」と「友好的な解決」の促進を求めている。
事業を委託するADR組織の選定は、家庭問題の解決の実績やテレビ電話などの設備、外国語が話せるあっせん人の存在などを基準に行われた。
国際結婚が破綻した夫婦の子供の扱いを定めた「ハーグ条約」をめぐり、外務省が当事者に和解などを勧める「裁判外紛争解決手続き」(ADR)事業を、沖縄弁護士会など全国五つの機関に委託したことが29日分かった。米国人との国際結婚が多い沖縄県で対策を求める声が強まっていた。日本ではハーグ条約は4月1日に発効する。
他の4機関は▽東京弁護士会▽第一東京弁護士会▽第二東京弁護士会▽公益社団法人「総合紛争解決センター」(大阪市)。外務省が昨年末からADR機関を公募したのに対して、5機関が応募していた。5機関は4月1日に業務を始める。国はADRの申し立て1件当たり、通訳・翻訳などの費用について上限80万円を負担する。
ハーグ条約の発効後は連れ去られた子供の返還を家裁に申し立てることができ、家裁が加盟国に返還命令を出すことができる。だが、審理するのは東京、大阪の2家裁のみで、国際結婚が多い沖縄からは「県民の負担が大きい」と沖縄での裁判を求める声が強まっていた。こうした経緯もあり、訴訟によらない解決を図るADR事業の委託先に沖縄弁護士会が選ばれたとみられる。
ADRは、あっせん人が当事者間に入り話し合いを進め、子供の任意の返還、離婚、親権(監護権)、養育費などさまざまな問題の解決を図る。ハーグ条約では、政府に訴訟によらない「(子供の)任意の返還」と「友好的な解決」の促進を求めている。
事業を委託するADR組織の選定は、家庭問題の解決の実績やテレビ電話などの設備、外国語が話せるあっせん人の存在などを基準に行われた。
外務省によると、ハーグ条約を巡って2012年5月から今年3月中旬までに国内から91件、国外から22件の電話相談があった。「子供を連れて帰国したが、ハーグ条約が発効すると返還されてしまうのか」「子供を外国に連れ去られたがどうすればいいのか」など不安の声が多かったという。【岡奈津希】
子ども全員の返還を=ハーグ条約加盟前の事案解決要求-米国務省
出典:平成26年2月28日 時事通信
子ども全員の返還を=ハーグ条約加盟前の事案解決要求-米国務省
【ワシントン時事】米国務省のジェイコブス特別顧問(児童問題担当)は27日、上院外交委員会の公聴会で証言し、米国人との結婚生活が破綻した日本人が子どもを日本に無断で連れ帰る例が相次いでいる問題について「すべての子どもが米国に戻ってくるまで、われわれは満足しない」と述べ、日本政府に改めて返還を要求した。
日本は4月、米国などの求めに応じ、連れ去られた子どもを元の居住国に返還することを原則として義務付けるハーグ条約に加盟する。ただ、加盟前に発生した事案には条約が適用されないため、米国では日本にさらなる対応を促す声が強い。
ジェイコブス氏は、米国人親が日本に返還を求めている子どもが80人に上ることを明らかにした上で、「われわれがこれらの事案を忘れたことはない」と強調。委員会に提出した書面には「日本政府が条約の精神に従って加盟前の事案の解決に向けて前進することを期待している」と記した。(
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)
出典:平成26年1月25日 外務省
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)
2013年の第183回通常国会において,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)の締結が承認され,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(条約実施法)が成立しました。
これを受け,1月24日,我が国は,条約の署名,締結,公布にかかる閣議決定を行うとともに,条約に署名を行った上で,オランダ外務省に受諾書を寄託しました。この結果,我が国においては,ハーグ条約は,4月1日に発効することになります。
ハーグ条約 署名を決定
出典:平成26年1月25日 産経新聞
ハーグ条約 署名を決定
政府は24日の閣議で、国際結婚破綻後の子供の扱いを定めた「ハーグ条約」に署名すると決定した。署名済みの関連文書をオランダ・ハーグの関係機関に提出後、正式加盟となる。加盟日は条約の規定で4月1日。
ハーグ条約は、一方の親が国境を越えて子供を連れ去った際のトラブルを解決する国際ルールを規定している。政府は加盟に合わせ4月1日に外務省内の一部局として条約を所管する「中央当局」を新設する。
政府は平成23年5月に加盟方針を閣議了解。国会が25年5月、条約締結を承認した。
ハーグ条約4月加盟 正式決定
出典:平成26年1月24日 NHK
政府は、24日の閣議で、国際結婚が破綻した際の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」に加盟することを正式に決め、条約は、ことし4月1日から発効することになりました。
「ハーグ条約」は、国際結婚が破綻して、相手の承認を得ずに、子どもを国外に連れ去った親が、もう一方の親から子どもを返すよう求められた場合、子どもをそれまでいた国に戻す手続きなどを定めたものです。
ただし、子どもが暴力を受けるおそれがある場合などは、子どもの引き渡しを拒否できるとしています。
条約は、去年の通常国会で衆参両院で承認され、政府は、24日の閣議で条約に加盟することを正式に決めました。
これにより、条約は、ことし4月1日から発効することになります。
条約の発効後は、子どもの返還を巡る国内での裁判は、東京と大阪の家庭裁判所で行われ、裁判所の命令に従わず、親が子どもを引き渡さない場合は、裁判所が、引き離すことができるようになります。
また、外務省は、相手国や裁判所との連絡・調整に当たる「中央当局」を設ける準備を進めています。
岸田外務大臣は、閣議のあと記者団に対し、「国際ルールであるハーグ条約の締結は、わが国にとって重要だ。条約の適切な実施に努めていきたい」と述べました。
ハーグ条約:4月1日発効 政府署名
出典:平成26年1月24日 毎日新聞
ハーグ条約:4月1日発効 政府署名
政府は24日、国際結婚が破綻した夫婦間の子の扱いを定めたハーグ条約に署名し、4月1日発効が決まった。片方の親が同意なく子を国外へ連れ去った場合、配偶者は日本に戻すよう請求できるようになる。日本人が同意なく子と帰国すれば元の国に戻すことを義務づけられる可能性もあり、政府は児童福祉の専門家を雇い支援に乗り出す。
ハーグ条約4月1日に発効=政府方針
出典:平成25年12月19日 時事通信
ハーグ条約4月1日に発効=政府方針
政府は19日、国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めたハーグ条約について、発効期日を来年4月1日とする方針を固めた。1月中に条約を締結することを閣議決定した上で、必要な政省令や対外窓口として外務省内に設ける「中央当局」を整備し、発効に備える。
ハーグ条約は、国際結婚した夫婦のどちらか一方が16歳未満の子どもを無断で国外に連れ去った場合、原則としていったん子を元の国に返すと規定。親権は元の国で争う。条約と国内手続きを定めた実施法は今年の通常国会で成立した。
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」に係る面会交流支援事業の委託業務公募
出典:平成25年12月18日 外務省HP
ハーグ条約に係る面会交流支援事業の委託業務公募
ハーグ条約実施における面会交流支援事業の委託業務が外務省から公募されました。
ハーグ条約:来年4月に正式加盟へ
出典:平成25年10月23日 毎日新聞
ハーグ条約:来年4月に正式加盟へ
政府は22日、国際結婚破綻後の子どもの扱いを定めたハーグ条約に来年4月に正式加盟する方針を固めた。政府筋が明らかにした。一方の親が国境を越え子どもを連れ去った際のトラブルを解決する国際ルールが日本で適用される。今年5月に条約が国会で承認されたのを受け年内加盟を目指してきたが、国内体制の整備に時間がかかり、ずれ込んだ。
政府は、外務省の一部局として条約を所管する15人規模の「中央当局」を新設する。子どもを連れ去られたと主張する海外在住の親が、子どもを自分の元に戻すよう求める申請の受付窓口となる。(共同)
子供連れ去り問題、消極的な国には制裁も 米下院外交委、法案可決
出典:平成25年10月11日 産経新聞
子供連れ去り問題、消極的な国には制裁も 米下院外交委、法案可決
国際結婚が破綻した夫婦の一方が子どもを連れ去る問題をめぐり、米下院外交委員会は10日、問題解決に積極的に取り組まない国に対し、政府が交流や貿易、経済援助の制限など幅広い制裁措置を取ることを可能にする法案を全会一致で可決した。
日本人の親が米国籍の子どもを連れ帰るケースも多数に上り、日米間の外交懸案に浮上。日本政府は今年6月に夫婦間で子どもの奪い合いが起きた際の国際的取り決めである「ハーグ条約」関連法を成立させ、条約加盟に向けた準備を急いでいる。
下院法案は本会議で可決後、上院で審議される。議会関係者は上院でも可決されるとの見通しを示している。(共同)
子の連れ去り、未解決なら制裁=日本標的の法案可決―米下院委
出典:平成25年10月11日 時事通信
子の連れ去り、未解決なら制裁=日本標的の法案可決―米下院委
【ワシントン時事】米下院外交委員会は10日、国際結婚の破綻に伴う子どもの連れ去り問題が未解決の国に対して制裁措置を発動する法案を全会一致で可決した。日本人の母親が米国籍を持つ子どもを米国人の夫に無断で日本に連れ帰る事案が相次いでおり、事実上、日本を主な標的にしたものだ。
法案は、連れ去り事案の存在が相手国の関係当局に通知されてから180日たっても解決されない場合、大統領は公的訪問、文化交流、軍事支援の停止や輸出制限などの措置を取らなければならないと規定。「米国の重大な国益」が懸かる場合は輸出制限などを撤回できるとしている。
ハーグ条約:国内手続き法成立 米「称賛する」
出典:平成25年6月13日 毎日新聞
ハーグ条約の国内手続き法成立を受け、在日米国大使館は12日、「加盟に向けた立法措置が取られたことを称賛する」との声明を出した。声明でルース駐日米大使は「双方の親の許可を得ず、子供たちが日本に連れてこられたこれまでの事案についても条約の精神に基づく進展を期待する」と述べた。
米国はこれまで、日本人の母親が無断で子を日本に連れ去るケースが相次いでいるとして、日本の条約加盟を強く求めていた。【伊藤一郎】
ハーグ関連法が成立 一連の国会手続き完了、年内にも条約加盟
出典:平成25年6月12日 産経新聞
国際結婚が破綻した夫婦間で子どもの奪い合いが起きた際のルールを定めた「ハーグ条約」加盟に向けた関連法は12日午前の参院本会議で全会一致により可決、成立した。条約自体は既に国会で承認されており、関連法成立により一連の国会手続きが完了した。政府は準備作業を急ぎ、早ければ年内にも加盟する。
主要国(G8)で条約未加盟は日本だけだったことから、安倍晋三首相は17日から英国で開かれるG8首脳会議で日本の取り組みをアピールしたい意向だ。
条約は16歳未満の子どもを一方の親が勝手に国外に連れ去った場合、残された親が求めれば原則として元の居住国に戻さなければならないとの内容。子どもが慣れ親しんだ元の居住国で養育や親権の問題を協議することが「子の利益」との考え方を前提としている。
関連法は子どもを返還するための法的手続きを定めた。中央当局が連れ去られた子どもの居場所を確認し当事者間の解決を促す。
ハーグ条約 日本が加盟しても米は実効性を疑問視
出典:平成25年5月10日 ANNニュース
国際結婚が破綻した場合の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」について、日本が加盟した後も条約の実効性を疑問視する声がアメリカ議会で上がっています。
スミス下院議員:「日本はハーグ条約加盟に向け、一歩進んできたが、加盟しても現在、問題となっているケースには(さかのぼって)対応できないだろう」
ハーグ条約では、国際結婚が破綻し、一方の親が子どもを連れて帰国した場合、原則として子どもをもともと住んでいた国に戻すことなどが定められています。日本では今国会中に加盟が承認される見通しです。9日、アメリカ議会の公聴会で、議員からは「日本の単独親権制度などが大きな障害になるのでは」などと、日本が加盟しても実効性を疑う声が上がりました。これに対して、国務省は、「日本は親権の在り方などについて、より国際的な解釈に変えつつある」とし、懸案事項の解決に向けて、あらゆる方策を立てていくと説明しました。
条約加盟前事案への対処要求=子の連れ去り問題―米議会
出典:平成25年5月10日 時事通信
【ワシントン時事】米下院外交委員会人権小委員会は9日、国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めたハーグ条約に未加盟の日本などへの対応を審議する公聴会を開いた。共和党のスミス小委員長は加盟前に起きた一方の親による子ども連れ去り事案にこの条約は適用されないことを強調。解決のため2国間協定を日本と結ぶよう政府に要求した。
また、民主党議員の一人は条約違反国に米国が制裁を科すことの是非について政府側に質問。この問題を手掛ける弁護士も出席し、返還を求める親に虐待の恐れがあるケースなどでは返還を拒否できるとした日本の実施法案は「条約の適用に重大な障害となる」と非難した。
ハーグ条約をめぐり、日本は今国会中に加盟承認案と実施法案を成立させる方針で、両案とも既に衆院を通過した。しかし、過去に起きた連れ去り事案が解決されないなど不満が米側に根強いことが改めて浮き彫りになった。
ハーグ条約実施法案、衆院を通過
出典:平成25年5月9日 日本経済新聞
国際結婚が破綻した夫婦間の子供の扱いを規定した「ハーグ条約」で、加盟する際の国内手続きを定めた実施法案が9日午後の衆院本会議で全会一致で可決された。すでに衆院を通過した条約の承認案とともに、今国会で成立する見通し。
ハーグ条約は国際結婚が破綻した夫婦の一方が無断で子供を国外に連れ去り、もう一方が返還を求めた場合、原則として子供を元の国に返したうえでどちらが育てるかを決めるとしている。主要8カ国(G8)の中で日本だけが未加盟で、米国をはじめとする主要国から早期加盟を求める声が出ていた。
条約に加盟した際の手続きを定めた実施法案は日本国内の子供の返還に関するルールを規定。外務省が子供の居場所を探し、当事者を援助する。調停が不調に終わった場合、東京と大阪の家庭裁判所が判断するとしている。
ハーグ条約の承認案、衆院本会議で可決
出典:平成25年4月23日 読売新聞
国際結婚が破綻した際の子どもの扱いを定めたハーグ条約の承認案は23日午後の衆院本会議で、全会一致で可決され、参院に送付された。
条約は、憲法の規定に基づき、衆院の承認から30日で自然成立する。
ハーグ条約は、国際結婚が破綻し、一方の親が16歳未満の子どもを無断で国外に連れ去った場合、原則として、いったん元の国に戻すことなどを定めている。返還先で虐待や家庭内暴力を受ける恐れがあると判断されれば、返還を拒否する例外規定もある。
加盟国は現在89か国だが、日本は主要8か国(G8)のうち唯一未加盟で、欧米から強く加盟を求められてきた。安倍首相は2月の日米首脳会談で、オバマ米大統領に今国会での条約承認を目指す考えを表明していた。
ハーグ条約承認案を可決=衆院委
出典:平成25年4月19日 時事通信
衆院外務委員会は19日、国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めたハーグ条約の加盟承認案を全会一致で可決した。来週の衆院本会議で可決、参院に送付される。ハーグ条約実施法案は来週中の法務委員会での採決を目指しており、同条約は今国会で承認される運びだ。
ハーグ条約国内担保法案 審議・参考人意見陳述(衆議院法務委員会)
出典:平成25年4月19日 衆議院TV
4月19日に衆議院法務委員会でのハーグ条約国内担保法案の審議の中で、当事者、専門家等の参考人意見陳述が行われ、国内外の子どもの連れ去りの実態が明らかにされました。
衆議院TVで全編を見ることができますので、是非ご覧ください。
衆議院TV ⇒ http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=42688&media_type=fp
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の締結について(衆議院外務委員会)
出典:平成25年4月19日 衆議院TV
19日の衆議院外務委員会でハーグ条約締結の審議が行われました。小熊慎司(日本維新の会)議員がハーグ条約の理念から共同親権・共同養育の必要性について質問しています(開始時間10時21分)。岸田外務大臣は、共同親権・共同養育の必要性について個人的に価値を共有すると答弁しました。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=42686&media_type=wb
国際結婚巡るハーグ条約関連法案 審議入り
出典:平成25年4月4日 NHK
国際結婚が破綻した際の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」の承認案と関連法案が衆議院で審議入りし、岸田外務大臣は、「条約を締結しない状態が続くと、国際社会での日本の姿勢も問われかねない」と述べ、条約の早期承認などに理解を求めました。
ハーグ条約は、国際結婚が破綻して、相手の承認を得ずに子どもを日本に連れ帰ってきた親が、もう一方の親から子どもを返すよう求められた場合、子どもをそれまでいた国に戻す手続きなどを定めたものです。
条約の承認案と関連法案は、4日の衆議院本会議で審議入りし、岸田外務大臣は、「国境を越えて不法に子どもを連れ去ることは、子どもに悪影響を及ぼす可能性がある。条約を締結しない状態が続くと、国際社会での日本の姿勢も問われかねない」と述べ、条約の早期承認などに理解を求めました。
また、谷垣法務大臣は、関連法案が、ハーグ条約に関する裁判などは東京家庭裁判所と大阪家庭裁判所だけで行われるとしていることについて、「裁判所が専門的知見やノウハウを蓄積する必要があり、管轄する裁判所を集中させた。電話会議システムの利用を可能にすることで、遠隔地に住む人の裁判への出頭の負担を軽減できるよう配慮している」と述べました。
「子の利益」保護で論戦=ハーグ条約、審議入り
出典:平成25年4月4日 時事通信
国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めたハーグ条約の加盟承認案と国内手続きに関する条約実施法案は4日の衆院本会議で審議入りし、外国人配偶者から虐待や家庭内暴力(DV)を受けた子どもや日本人女性をどう守るかが最大の論点となった。
ハーグ条約は原則、一方の親が子(16歳未満)を連れ帰った場合、元の居住国に戻して親権を決めるとしている。ただ、DVなどの恐れがあれば例外的に子の返還を拒否できると規定。審理は東京か大阪の家庭裁判所で行われる。
質疑で公明党の大口善徳氏は、子の返還手続きに関し「子どもの福祉に精通した専門家の配置が必要だ」と指摘。民主党の菊田真紀子氏は「(DVで)身の危険を感じ日本に逃げ帰ってくる女性は少なくない」として例外規定が機能するかをただした。
谷垣禎一法相は、家裁が「子の心身に害悪を及ぼす」などと判断した場合、「裁判所は返還を拒否することになる」と説明。岸田文雄外相は「条約は子の利益を最重要に考え、問題解決を図るものだ。(承認が遅れれば)国際社会でわが国の姿勢が問われかねない」と早期処理を求めた。
ハーグ条約承認案を閣議決定 政府
出典:平成25年3月15日 日本経済新聞
政府は15日の閣議で、国際結婚が破綻した夫婦間の子供の扱いを定めた「ハーグ条約」の加盟承認案と国内手続きを定める条約実施法案を決定した。自民、公明両党のほか、民主党も賛成する方向で、今国会で承認される見通しだ。岸田文雄外相は閣議後の記者会見で「子の利益を最重要に考えた国際ルールであり、国会での速やかな承認と条約実施法案の成立を期待する」と語った。
同条約は主要8カ国(G8)で未加盟なのは日本だけで、欧米諸国から日本国内の手続きの遅れに不満が出ていた。安倍晋三首相は2月の日米首脳会談で今国会での承認を目指す方針をオバマ大統領に伝えた。
【日米首脳会談】首相、ハーグ条約承認に「努力」
出典:平成25年2月23日 産経新聞
【ワシントン=阿比留瑠比】安倍晋三首相は22日夕(日本時間23日朝)、ワシントン市内で記者会見し、国際結婚が破綻した夫婦の子供の扱いを定めたハーグ条約について、今国会での条約承認を目指す考えを明らかにした。
首相は「子供の立場に立っても考えないといけない。国際的なルールがあることが大切だ。今国会で、承認が得られるよう努力をしていく。そのことはオバマ大統領にも申し上げた」と述べた。
ハーグ条約加盟を今国会で承認へ 首脳会談で米に伝達
出典:平成25年2月20日 日本経済新聞
国際結婚が破綻した夫婦間の子供の扱いを定めた「ハーグ条約」への加盟が今国会で承認されることが確実な情勢となった。自民、公明両党は19日の与党政策責任者会合で、条約承認案と関連法案を了承した。同条約は米国が強く加盟を求めており、日本国内の手続きの遅れに不満を募らせていた。安倍晋三首相は22日にワシントンで開かれる日米首脳会談で、締結方針を伝える考えだ。
自公 ハーグ条約承認と関連法案了承
出典:平成25年2月19日 NHK
今週行われる日米首脳会談を前にアメリカなどが早期加盟を求めている、国際結婚が破綻した際の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」について、自民・公明の両党の政務調査会長は、条約の承認と関連法案を了承し、政府は来月にも条約の承認案と法案を国会に提出する見通しになりました。
「ハーグ条約」は、国際結婚が破綻した場合などに、相手の承認を得ずに子どもを国外に連れ出すことを認めず、承認を得ずに出国した場合には、子どもをそれまでにいた国に戻す手続きを定めています。
現在89か国が加盟しており、アメリカなどが、日本に対して早期加盟を求めています。
これについて、自民党の外交・法務合同部会が開かれ、出席者からは「条約加盟後、離婚した親は、子どもの親権などを巡って海外で裁判に臨むケースが増えるので、支援態勢をしっかり整えるべきだ」などといった意見も出されましたが、反対意見はなく、条約の承認と関連法案が了承されました。
条約の承認案と関連法案は、このあと開かれた自民・公明両党の政務調査会長による会談で了承され、政府は、来月にも国会に提出する見通しになりました。
安倍総理大臣は、現地時間の22日にワシントンで行われるアメリカのオバマ大統領との首脳会談で、今の国会での条約の承認と関連法案の成立を目指す考えを伝えることにしています。
ハーグ条約対応で支援拠点を整備へ
出典:平成25年2月18日 NHK
安倍政権がアメリカの期待も踏まえ加盟を目指している、国際結婚が破綻した際の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」について、加盟が実現すれば、日本人が海外で裁判に臨む機会が増えるとみられることから、政府は、各国に日本語で弁護士のあっせんなどのサービスを受けられる拠点を整備していく方針です。
ハーグ条約は、国際結婚が破綻した際などに、相手の承認を得ないで子どもを国外に連れ出すことを認めず、承認を得ずに出国した場合は、子どもがそれまでいた国に戻す手続きを定めたものです。
この条約を巡っては、アメリカから日本人の親が子どもを連れ帰ってトラブルになるケースが相次いだことなどを背景にアメリカ政府が日本の早期加盟を求めていて、安倍総理大臣は、今週行われる日米首脳会談で、与党内の調整を進めて加盟に必要な法案の今の国会での成立を目指す考えを伝えることにしています。
加盟が実現すれば、相手の承認を得ずに子どもを連れ帰った日本人が、子どもの親権などを巡って海外で裁判に臨む機会が増えるとみられます。
このため政府は、各国に日本語で弁護士や通訳のあっせんや、その国の裁判制度を理解するためのカウンセリングなどのサービスを受けられる拠点を整備していく方針を固めました。
こうした拠点は、現在、アメリカのニューヨークとロサンゼルスにありますが、政府は、アメリカの拠点を増やしたうえで、アジアやヨーロッパにも順次設けていきたいとしています。
ハーグ条約、早期加盟の方針=安倍首相、日米首脳会談で伝達へ
出典:時事通信 平成25年2月1日
安倍晋三首相は1日、国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めたハーグ条約について、今月後半の訪米の際に、早期加盟を目指す方針をオバマ大統領に伝える意向を固めた。米国はかねて日本に条約加盟を要求。環太平洋連携協定(TPP)交渉や米軍普天間飛行場移設の問題で具体的な進展が見通せないため、加盟への決意を示して日米関係立て直しの足掛かりにしたい考えだ。
ハーグ条約加盟は民主党政権時代の2011年5月に閣議了解された。条約承認案と関連法案が国会に提出されたが、昨年11月の衆院解散で共に廃案になった。
自民党は当時、賛否を曖昧にしていたが、首相は1月31日の衆院本会議で「早期加盟を目指す」と、両案を速やかに再提出する方針を表明。政府高官は同日、再提出に必要な与党内手続きを、首相訪米前に決着させるよう与党側に要請した。首相は1日、平松賢司外務省総合外交政策局長と深山卓也法務省民事局長を首相官邸に呼び、今後の対応を協議した。
ハーグ条約は1983年発効の多国間条約。片方の親が子を国外に連れ出し、もう一方の親から申し立てがあった場合、加盟国政府は原則として元の国に子を返した上で親権争いを決着させる義務を負う。現在89カ国が加盟し、主要8カ国(G8)で未加盟は日本だけ。日本人に子を連れ去られたと主張する親が増えていることを受け、オバマ大統領らが再三、日本に加盟を求めてきた。
ただ、日本人の親の場合、妻が家庭内暴力から逃れるため子連れで帰国するケースが多いとされ、与党内には「訪米の手土産に使うなどとんでもない」(自民党政調幹部)と条約加盟に根強い異論がある。自民、公明両党は近く党内論議を始める見通しだが、難航する可能性もある。
国会代表質問:ハーグ条約批准にあたって国内も同様の基準にすべき(渡辺喜美・みんなの党代表)
出典:衆議院インターネット審議中継 平成25年1月31日
国会代表質問:ハーグ条約批准にあたって国内も同様の基準にすべき(渡辺喜美・みんなの党代表)
1月31日におこなわれた衆議院本会議の代表質問において、渡辺喜美みんなの党代表は、ハーグ条約締結にあたって、国内も諸外国と同様の基準にすべきではないかと安倍首相に対し、訴えました。
渡辺代表:国際的な子どもの拉致とも言える「連れ去り」について定めたハーグ条約はいつまでに批准するのか。
安倍総理:国境を越えた人の往来が飛躍的に増え、国際結婚も増加した現在、ハーグ条約はわが国にとっても重要だ。早期締結を目指す。
ハーグ条約の締結に向けたパイロット事業
出典:外務省 平成24年5月1日
子の連れ去り事案に関する電話相談を3か月間試行的に行います。
日本政府は「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」(以下,ハーグ条約)の締結に向け,中央当局の制度設計等をはじめ準備を進めているところです。
中央当局設置後は,中央当局に各種相談電話が寄せられることが想定されます。このたび,ハーグ条約締結準備の一環として,海外及び日本国内に居住する当事者に対し,日本の制度等について電話にて説明を行うパイロット事業を3か月間行います。外務省は,この事業を通じて得た経験を,中央当局立ち上げ後のハーグ条約の円滑な実施に役立てることを目的にしています。
海外在住の子の連れ去り事案の当事者の方向けご案内''
日本在住の子の連れ去り,連れ去られ事案の当事者の方向けご案内''
「子供の連れ去り」に強硬措置検討 米議会、制裁法案を可決 ハーグ条約未加盟の日本と亀裂も
出典:産経新聞 平成24年3月28日
「子供の連れ去り」に強硬措置検討 米議会、制裁法案を可決 ハーグ条約未加盟の日本と亀裂も
【ワシントン=佐々木類】米下院外交委人権問題小委員会は27日、国際結婚の破綻に伴う「子の連れ去り」問題の解決に取り組まない国に対し、制裁を求める法案を可決した。
法案は、米国籍を持つ子供の連れ去りに関し、未解決事案が10件以上ある国について、公的訪問や文化交流などの停止、貿易制限などを検討するよう大統領に求める内容。法案成立には、上下両院の可決と大統領の署名が必要だ。
国家間の不法な子供の連れ去りを防止することを目的としたハーグ条約に未加盟の日本は、最多の156件が未解決状態。日本政府は、条約加盟に向けて善処を求める米国側の度重なる要求を受け、今月、ハーグ条約加盟承認案と国内手続きを定める条約実施法案を閣議決定した。
問題の背景には、子供の親権に関する日米両国の国内法の違いがある。離婚した場合、米国州法では合意があれば双方に親権が認められるケースが多いとされる一方、日本では民法の規定で離婚後は片方の親にのみ親権が与えられる。
また、日本人女性が子供を連れ帰るのは、米国人男性の家庭内暴力(DV)から逃れるケースもあるとされるが、実態は不明だ。
日本に対するハーグ条約加盟要求は、クリントン米国務長官が旗振り役。昨年12月下旬、玄葉光一郎外相との日米外相会談でも取り上げるなど、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設、米国産牛肉輸入問題と並ぶ対日要求の3大柱だ。
米政府や議会内には、北朝鮮による日本人拉致問題と絡め、「ハーグ条約に加盟しなければ拉致問題を支持しにくい」(議会筋)との声もある。
今後、日本政府の取り組み方次第では、法案成立による米政府による制裁検討という事態も想定され、日米関係に亀裂が生じる可能性がある。
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律案
出典:法務省ホームページ 平成24年3月9日
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律案
国会提出日 | 法律案名 | 資料 |
---|---|---|
平成24年3月9日 | 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律案 ・可決成立日 未定・公布日 未定・官報掲載日 未定・施行日 未定 | ・法律案要綱[PDF]・法律案[PDF]・理由[PDF]・新旧対照条文[PDF] |
ハーグ条約加盟へ法案閣議決定
出典:NHK 平成24年3月9日
国際結婚が破綻した際の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」への加盟に向けて、政府は9日の閣議で、裁判所の返還命令に従わない親から子どもを強制的に引き離し、もう一方の親に引き渡すことができることなどを柱とした法案を決定しました。
政府は去年5月、「ハーグ条約」に加盟する方針を決め、法務省と外務省が中心となって加盟に必要な法案をまとめ、9日の閣議で決定しました。
それによりますと、子どもの返還を巡る裁判は東京家庭裁判所と大阪家庭裁判所で行い、審理は非公開とし、裁判所の命令に不服があれば、東京と大阪の高等裁判所や最高裁判所に申し立てることができるとしています。
そして、子どもを連れて日本に戻った親が返還を拒否できるケースとして、子どもがもう一方の親から暴力を受けるおそれがある場合や、親自身がもう一方の親から子どもに心理的外傷を与えることになるような暴力を受けるおそれがある場合などを挙げています。
一方で、返還命令に従わない場合は、裁判所の執行官が子どもを強制的に引き離し、返還を求めるもう一方の親に引き渡すことができるとしています。
また、他国から子どもを戻すよう申請があった場合、外務大臣が子どもの所在を把握するため、地方自治体などに必要な情報を提供するよう求めることができるなど、外務省の役割も定めています。
政府は、条約と共に、法案を今の国会に提出し、成立を目指すことにしています。
16歳未満は原則返還 ハーグ条約 加盟へ法案閣議決定
出典:東京新聞 平成24年3月9日
政府は九日午前の閣議で、国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」加盟に向けた関連法案と条約承認案を決定した。
一方の親が日本に連れ帰った十六歳未満の子どもについて、外国にいる親が返還を求めた場合は原則返還する内容だ。ただ虐待や家庭内暴力(DV)を受ける恐れがある場合は返還を拒否できると規定した。
政府は通常国会に法案と条約案を提出、今国会での成立を目指す。
外務省、ハーグ条約で官民の対応チーム
出典:日本経済新聞 平成24年1月27日
外務省は国際結婚破綻後の子供の法的扱いを定めたハーグ条約の締結をにらみ、今春以降に官民の専門家による「ハーグ条約中央当局室(仮称)」を設置する方針を固めた。連れ去られた子供の返還や面会の手続きを円滑に進める狙い。外務・法務両省職員のほか、弁護士、心理カウンセラー、ソーシャルワーカーなど10人前後で構成するチームになる見通しだ。
政府は今国会に同条約の承認案と条約締結に必要な関連法案を提出する。
法制審議会:ハーグ条約(子の返還手続関係)部会第12回会議開催
出典:法務省ホームページ 平成24年1月23日
○ 議題等
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する要綱案の取りまとめについて
○ 議事概要
「「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する要綱案」が取りまとめられた。
○ 議事録等
議事録(準備中)
資料
部会資料15 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する要綱案(案)[PDF]
参考資料21 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」(ハーグ条約)を実施するための中央当局の在り方 論点まとめ[PDF]
ハーグ条約加盟へ要綱案 子の返還で強制執行も
出典:日本経済新聞 平成24年1月23日
法務省は23日、国際結婚した夫婦が離婚した場合など国際的な親権問題解決のルールを定めた「ハーグ条約」加盟に向け、子供の返還手続きに関する要綱案をまとめた。日本に住む親が外国に住む親への返還に応じない場合、裁判所の職員が子供を親から強制的に離す権限を持つと規定した。政府は関連法案を24日召集の通常国会に提出する方針だ。
要綱案によると、外国にいる親が返還を日本の家庭裁判所に申し立てた場合、東京か大阪の家裁で審理し元の国に戻すかどうかを決める。三審制で、決定に不服があれば抗告できる。
裁判所が返還を決定しても日本に住む親が応じない場合は、まず制裁金を命じて引き渡しを促す。それでも子供を返さないときには強制執行に踏み切る。
強制執行では裁判所の職員が就く執行官が住居に立ち入り、子供を捜索する権限を持つ。抵抗した際は、警察の援助で強制措置をとることもでき、子供を解放して外国に住む親と面会できるようにする。
要綱案では日本に子供を連れ去った親が返還拒否を主張できる条件も示した。連れ去りから1年以上経過して子供が新しい環境に慣れていたり子供が返還を拒む場合や、外国に住む親が子供に暴力を振るう恐れがある場合を挙げた。
現在は日本がハーグ条約に加盟していないため、日本に住む親が加盟国に住む親に子供の引き渡しを望んでも、正式な国家間のルートで返還を請求できず、自分で相手と交渉しなければならない場合が多い。加盟後は、相手が住む国で担当する役所に請求し、裁判所が引き渡すように判断すれば日本側に子供が返還されるようになる。
ハーグ条約:子の所在、DV施設紹介 指針で外相に権限
出典:毎日新聞 平成24年1月22日
国際結婚が破綻した場合の子の扱いを定めたハーグ条約の加盟に向け、日本国内で子の所在特定などの実務を担う「中央当局」となる予定の外務省が、その任務や権限についての指針をまとめた。日本人の親が子を日本に連れ帰り、外国人の親が子の返還を請求した場合、子の所在特定のため、外相が自治体などのほか、ドメスティックバイオレンス(DV)の民間保護施設(シェルター)などにも個人情報の提供を求められるとした。
条約は子を連れ出された親からの返還申請を受け、子がいる国の政府は原則として子を元の国に戻すと定める。実際に子を返還するかどうかは、国内の裁判で決めるとしており、法制審議会(法相の諮問機関)が2月上旬に答申を出す見通し。
指針では、子がいるとみられる自治体や私立を含む学校、民間の保育施設のほか、通信会社などに対しても情報提供を求める権限を外相に与えた。照会を受けた団体は「遅滞なく情報提供する」と規定。見つからない場合は、外務省が警察に捜索願を出すことができるとした。一方、情報提供の範囲は政省令で厳格に定め、個人情報は、子を連れ出された親を含む第三者に渡すことを関連法で禁じる。
政府は指針と法制審の答申を基に条約加盟に伴う関連法案を作り、3月上旬にも国会に提出する。【横田愛】
【ことば】ハーグ条約
83年に発効した「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」の通称で、国際結婚が破綻した夫婦間の子(16歳未満)の扱いに関する国際的なルールを定めたもの。元々住んでいた国から子を連れ出された親が返還を求めた場合、相手方の国の政府は原則、元の国に戻すよう規定する。欧米を中心に87カ国が加盟しており、日本政府も昨年5月に加盟方針を閣議了解した。
法制審議会:ハーグ条約(子の返還手続関係)部会第11回会議開催
出典:法務省ホームページ 平成24年1月16日
○ 議題等
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する要綱案の取りまとめに向けた検討
○ 議事概要
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する要綱案の取りまとめに向けた検討について
部会資料13及び同14に基づき,検討を行った。
○ 議事録等
議事録(準備中)
資料
部会資料13 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する要綱案のたたき台(その2)[PDF]
部会資料14 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する要綱案のたたき台(その2)補足説明[PDF]
参考資料20 ハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会第5回会合[PDF]
キャンベル米国務次官補、平岡法務大臣とハーグ条約について協議
私は、法務省にも訪問しました。我々は、ハーグ条約加盟に取り組むとの日本の公約について、これまでの進展状況を確認しました。ご存知の通り、大統領はハワイにおいて総理とこの問題を議論しました。
法務大臣は、我々に次のステップについて話しました。我々は、法務大臣に対し立法措置に関する問題についてしっかりと注視していくと述べました。日本が子の福祉に関する問題について他国と密接に協力し世界のルールに従うためにも、この立法措置がなされることを非常に望んでいます。
我々は、日本が現在あるケースについても対処することがどれだけ重要であるかについても強調します。これは、我々にとって非常に意味があることであり重要なことです。
そして、我々は、面会交流を確実に保障するため、子どもと引き離された親に子どもとの交流の機会を確実に保障するために、しっかりと活動していく所存です。
我々は、法務省及びこの問題に影響ある人々に対して必要な措置をとるよう要求します。
アメリカ合衆国は、これまで大変な我慢をさせられ続けてきました。今後、我々はこの関係を非常に強く支えていきますが、さらなる進展が見られることを求め続けていくつもりです。
I also had a chance to visit the Justice Ministry. We reviewed the progress to date on the Japanese commitment to follow through on accession to the Hague Convention. The President, as you know, discussed this with the Prime Minister in Hawaii, and the Justice Minister spoke with us about next steps. We told him that we will be following closely issues associated with implementing legislation, and we want very much for that legislation to adhere to global norms in which Japan can work closely with other countries associated with issues associated with child welfare. We also underscored how important it will be for Japan to demonstrate progress on the existing cases. This is of enormous significance, importance, to us – and we want to work closely to ensure visitation, to ensure that the left-behind parents have the opportunity to interact with their children. We called on the Ministry and other key players to take the necessary steps. The United States has been very patient -- we support this relationship very strongly -- but we’re going to need to see some progress going forward.
(前略)
キャンベル氏は法務省で平岡秀夫法相とも会い、国際結婚が破綻した夫婦の子どもの扱いを定めたハーグ条約について協議した。会談後、外務省で記者団に「日本のハーグ条約の加盟準備について緊密に協力していく」と語った。
日米外相会談-ハーグ条約 玄葉外相、既存の個別案件につき何らかの前進が得られるよう努力したいと表明
出典:外務省 平成23年12月20日
19日午前11時45分(現地時間)から約110分間,訪米中の玄葉外務大臣は,クリントン国務長官との間で日米外相会談を行ったところ,概要以下の通り(先方:キャンベル国務次官補,シファー国防次官補代理,ヌーランド国務省報道官ほか,当方:藤崎駐米大使,鶴岡総合外交政策局長,八木経済局長,伊原北米局長,横井外務報道官ほか同席)。
1 アジア太平洋地域情勢
(中略)
2 グローバルな課題
(中略)
3 日米関係
(中略)
(4)子の親権
クリントン長官から,ハーグ条約締結に向けた日本の取組を評価する旨言及するとともに,既存の個別案件への対応についても要望があった。玄葉大臣からは,ハーグ条約は来年の通常国会に提出することを目指している旨説明するとともに,クリントン長官から要望があった個別案件についても,何らかの前進が得られるよう努力したいと述べた。
法制審議会:ハーグ条約(子の返還手続関係)部会第10回会議開催
出典:法務省ホームページ 平成23年12月19日
○ 議題等
1 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する個別論点の検討(6)
2 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する要綱案の取りまとめに向けた検討
○ 議事概要
1 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する個別論点の検討(6)について
部会資料12に基づき,子の返還手続に関する個別論点のうち,以下のものについて,審議がされた。
(1) 記録の閲覧等
(2) 子の返還を命ずる裁判の実現方法
(3) 予防的な措置及び保全処分
2 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する要綱案の取りまとめに向けた検討について
部会資料11(改訂版)に基づき,検討を行った。
○ 議事録等
議事録(準備中)
資料
部会資料11(改訂版) 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する要綱案のたたき台(その1・改訂版)[PDF]
部会資料12 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する個別論点の検討(6)[PDF]
「ハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会」第5回会合
出典:外務省 平成23年12月7日
7日,外務省において開催されたハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会第5回会合の概要は以下のとおり。
1.出席者
座長:小早川光郎・成蹊大学法科大学院教授
出席者:棚村政行・早稲田大学法科大学院教授
藤原靜雄・中央大学法科大学院教授
大谷美紀子弁護士(日弁連)
相原佳子弁護士(日弁連)
関係府省庁(法務省,内閣府,厚生労働省,総務省,
文部科学省,警察庁)等
2.議事要旨(議事録は,別途掲載予定)
(1)国内における子の所在の確知
(ア)民間の団体に対する情報提供の依頼
•民間団体に対し情報提供を求めるべきではあるが,一律に義務を課すべきではない。情報提供を義務づける民間の団体は,政令で団体のカテゴリー名を列記する形として限定することが適当。
•条約上中央当局は子の所在の確知のために可能な限りの措置を講じなければならないとされていることから,中央当局は民間団体との間で必要な情報(子の所在の確知や子の社会的背景の情報交換に係る情報等)の提供が受けられるよう連携体制を構築すべきである。
(イ)民間のDVシェルター及び私立学校に情報提供を求めることの適否
(内閣府から,別添の資料を配布しつつ,民間のシェルターでの滞在期間は,短期間であるため,民間のシェルターに照会しても既に転出している可能性が高い,そうした状況においてなお民間のシェルターに情報提供を求めることはDV被害者の不安を煽ることになり,得策とは思われない旨説明。)
•滞在の延長が可能な民間のDVシェルターでは所在情報を持っている可能性があること,また,民間のDVシェルターの数が民間の児童相談所や保育園に比べ極端に多いわけではないこと等の理由から, DVシェルターから情報提供を受ける必要がないとは言えない。情報提供に対する不安感はどの団体でも同じであり,中央当局からその先に漏洩されないことが重要で,そうした制度設計になっている。なお,問題としているのは民間のDVシェルターであって行政が設けるシェルターから情報を得ることは問題ないとの理解でよいか。(内閣府から,行政が設けるシェルターについては情報提供依頼の方式の問題にとどまる,民間DVシェルターが問題である旨発言。)
•条約上の義務を果たすため,私立学校に対し情報提供義務を課すことは必要であることは承知。他方,「各種学校」に当たらない無認可の学校やフリースクールといった地方自治体が把握していないようなものにまで情報提供を求めることは,その理由と必要性を慎重に判断する必要がある。また,実務上の問題として地域を特定せず全国一律に照会をかけることは非効率であり,照会の対象地域を限定した形とする必要がある。
(ウ)裁判手続のための相手方の氏名の開示
•申請者より訴訟を提起するために裁判の相手方氏名につき中央当局に照会があった場合,中央当局は相手方氏名を申請者に伝達した旨を相手方に伝えるという点に関し,申請者から申請書を受け取り,相手方と中央当局が接触する際に,今後の段取りについて説明する中で,申請者が訴訟を提起する際には相手方氏名を開示する旨を伝えれば十分であり,開示した旨を相手方に伝達する必要はないのではないか。
(2)子の任意の返還又は問題の友好的解決
(外務省から,内閣法制局と種々調整を進めている中で,中央当局が旅券の任意提出を促し及び保管することにつき規定を置くことは,法制上問題があるとの指摘を受けているとして,第2 6.(2)は削除することとしたい,他方,裁判所が旅券提出命令を出せないか法務省とも検討している旨説明。)
•内閣法制局との関係で外務省が困難な立場におかれていることは理解できる。他方,裁判所による出国禁止命令の発出もできないと子の再連れ去り防止のために実効的な措置を講ずることができず,問題がある。弁護士による旅券の保管も事実上難しいと考えられるところ,他の方策につき再度検討願いたい。
(3)子との接触に関する援助
•前回の懇談会で議論したとおり,子が国境を越えないケースについては,子との接触に関する援助の対象とはならないことを踏まえ,論点まとめの書き振りはより精査すべき。
(4)不服申立ての在り方
•返還援助申請又は接触申請の却下についてのみ不服申立てを行えるようにするとの立案する側としての考えについては異論はなし。他方,不服申立ての対象となる行政行為と不服申立てを行うことができる者については,説明振りはより詳細な検討が必要と思われる。
(5)その他
•懇談会という場はなくとも,今後の政令,省令,ガイドライン等の作成作業についても,アドバイスをしていきたい。
3.配布資料
(1)論点まとめ案(後日掲載予定)
(2)参考資料
•国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する中間取りまとめに関する意見募集の結果(法務省民事局作成資料)(概要(PDF)・結果(PDF))
•「公私の団体」に「DVシェルター」を含めることについて(内閣府男女共同参画局作成資料)(PDF)
法制審議会:ハーグ条約(子の返還手続関係)部会第9回会議開催
出典:法務省ホームページ 平成23年12月5日
○ 議題等
1 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する個別論点の検討(5)
2 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する要綱案の取りまとめに向けた検討
○ 議事概要
1 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する個別論点の検討(5)について
部会資料10に基づき,子の返還手続に関する個別論点のうち,以下のものについて,審議がされた。
(1) 利害関係参加
(2) 記録の閲覧等
(3) 子の即時抗告権
(4) 子の返還を命ずる裁判の実現方法
(5) 相手方及び子の所在が当初から不明である場合の手続と裁判の取消し又は変更
2 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する要綱案の取りまとめに向けた検討について
部会資料11に基づき,管轄等について検討を行った。 ○ 議事録等
議事録(準備中)
資料
部会資料10 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する個別論点の検討(5)[PDF]
部会資料11 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する要綱案のたたき台(その1)[PDF]
法制審議会:ハーグ条約(子の返還手続関係)部会第8回会議開催
出典:法務省ホームページ 平成23年11月28日
○ 議題等
1 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する中間取りまとめに関する意見募集の結果について
2 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する個別論点の検討(4)
○ 議事概要
1 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する中間取りまとめに関する意見募集の結果について
部会資料9に基づき,事務当局から,「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する中間取りまとめに関する意見募集の結果が報告された。
2 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する個別論点の検討(4)
部会資料8に基づき,子の返還手続に関する個別論点のうち,以下のものについて,審議がされた。
(1) 子の返還を求める申立ての法的性質
(2) 子の返還の裁判の主文
(3) 子の返還手続における調停及び和解
(4) 子の返還の裁判の効力
(5) 子の返還拒否事由
(6) 子の返還を命ずる裁判の実現方法
○ 議事録等
議事録(準備中)
資料
部会資料8 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する個別論点の検討(4)[PDF]
部会資料9 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する中間取りまとめに関する意見募集の結果について[PDF]
参考資料19 「ハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会」第4回会合[PDF]
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」(ハーグ条約)を実施するための中央当局の在り方に関する意見募集の取りまとめ結果について
出典:外務省 平成23年11月24日
ハーグ条約を実施するための中央当局の在り方に関する意見募集の取りまとめ結果
1.経緯
近年増加している国際結婚の破綻等により影響を受けている子の利益を保護する必要があるとの認識の下,政府は,5月20日付の閣議了解において,「ハーグ条約について,締結に向けた準備を進めることを決定。
今回,パブリックコメントの形で意見募集に付した内容は,ハーグ条約に関する関係閣僚会議における了解事項等及びこれまでに開催された計2回の「ハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会」での議論を踏まえ,中央当局部分の法案の作成に向け論点を整理したもの。
2.取りまとめ結果
(1)意見募集期間:平成23年9月30日~10月31日
(2)意見募集総数:168件(団体20件,個人148件)
(3)意見の主な内容は以下のとおり。
第1 中央当局の指定
第2 子の返還に関する援助
第3 子との接触に関する援助
第4 不服申立ての制限
取りまとめ結果の詳細は、外務省ホームページを参照ください。
パブリックコメントで寄せられた意見(現行の国内制度一般)
(1)国内法制度の改正の必要性 49件
①総論 4件
●政府は日本の単独親権制度,DV 防止法,家裁の不適切な運用により,離婚,別居(子の連れ去り)により「子の最善の利益」を損なっている実情を正確に把握して,法を整備すべき。子供の権利条約に規定される「児童が最善の利益に反する場合を除くほか,父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する」ことが「子の最善の利益である」との前提に立ち,国内担保法を整備するべきである。(個人)
●「連れ去りによる継続性の原則」,「母親優先の原則」「面会交流の制度」等の国内法を見直すべき。(個人)
●民法766 条が改正を経た日本の関連法の整備,国民の認識,家裁の運用姿勢は全く不十分。現在の国内法制度や家裁運用の下では,母子共生の理念を優先させ,非監護親が父親であるケースは,確定判決の前後を問わず,母親である監護親による実子との引き離しが常態化している。この国内法制度不備の状況下でハーグ条約を遵守すると,ハーグ事案での子の返還請求における国内裁判所審理と,国内事案での裁判所審理が矛盾する結果になるという懸念あり。(個人)
②子の連れ去りの罰則化 3件
●連れ去りには,刑罰を処するようにすること。ただし加害者による連れ去りに対してであり,DV 被害者が子の保護のために連れ去る場合は罰しない。(個人)
③共同親権の制度化 12件
●ハーグ条約を推進するならば,国内法律も国際的な法律と照らして同様な選択肢が取れる制度に変えるべきである。まずは日本の親権制度に共同親権も選択出来る制度にすることが必要。(個人)
●虐待やDV などがあり,夫に子を託した場合に,子の安全を守ることができないこともあるので,選択的共同親権制の導入を検討すべき。(個人)
④面会交流制度の改善 20件
●親権を持たない親には,子に害が及ぶことが証明された場合を除き,子が16歳になるまで1年のうち最低2~3ヶ月,自由に子との電話もしくはメールを通じた面会交流を受ける権利が与えられるべきである。また,親の国籍が異なる場合は,親権を持たない親の国での面会時間を最低2~4週間与えるべきである。親が子を虐待した場合や,親に重大な精神疾患がある場合は,それを証明した上で,親と子の接触禁止を判断する。(個人)
●日本において,別居・離婚後,非監護親と子の交流が極めて貧しい内容でしか行われず,社会問題化している実態を鑑みれば,今の日本の司法制度のままでは,ハーグ条約の趣旨は担保されない。(個人)
●欧米標準の面会交流が実現する法的な仕組み(隔週2泊3日,長期休暇には長期宿泊を認めるなど)を新たに構築する必要がある。さらに,監護権者が面会交流の取決めに違反した場合には罰則を科すなど面会交流の実効性を高めている。日本では面会交流の頻度も少なく(月1回,2時間程度)かつ,法的強制力もないため,監護親が拒否すれば,それも実現しない。欧米の法的な仕組みに比べると,日本の離婚後の面会交流,共同養育の法的な仕組みは「真に子の最善の利益」を考慮したものとはなっていない。(個人)
●ハーグ条約第21条の目的のため,時代遅れの国内法に基づく子への接し方の日本の概念は,極度に制限されていて,米国の重罪犯が有する自分の子との面接交流権と同程度である。取り残された親に与えられる面接交流権は可能な限り,自由で,監視されず,尊厳を傷つけないものにするという日本の保証を要望する。(BACHome)
●本来離婚等で別れ別れになった親子が人間的な関係及び接触を維持するために必須の権利であるにも関わらず,日本では,面会交流の実現が極めて困難な状況。その原因として①面会交流に関する法律が存在しない②裁判所が面会交流に対し,消極的であり,色々な理由をつけて面会交流を認めない,③裁判所での審議は時間がかかる,④裁判所で面会交流の実施を決めることができたとしても,監護親が拒否をすれば,強制力も罰則もないため,面会交流の実施は守られない,⑤面会交流を援助する社会的支援の不備等があげられる。(個人)
⑤国内の現行制度 6件
●ハーグ条約加盟及び共同親権は,先進国だけでなく,韓国や中国でも常識となりつつある。日本も国際社会の一員として相応しい法律の下で,健全な考え方をもった国民としての行動がとれるよう法律改正が必要。(個人)
●ハーグ条約は,個別の紛争案件を取り扱う実務条約であり,日本国内で法曹界が通用させてしまっている子の権利をないがしろにしても是とする民法の後進性が必ず障害になる。(個人)
●面会交流についてもきちんとしたルールの取決めができる法律がなければ海外からは批判されるだろう。(個人)
●国内での子の連れ去り案件の規制ができないままで,ハーグ条約に加盟して諸外国にどう説明するのか。(個人)
(2)DV 及び虐待問題
①DV 虐待対策 35件
●この条約を締結するのであれば,女性の安全を守るシステム,子の意見を聴くシステムを確立,整備が必須。(個人)
②DV 認定に係る問題点 20件
●国際離婚により連れ去られる理由は,大部分がDV の主張によるものであり,その大半が捏造DV である。家庭裁判所は従来から女性偏重主義を取っており,少しも公平な処置を行っていない。作るべき法案はDV を理由に連れ去った妻の親権を剥奪し,連れ去った子について成された養子縁組を無効にし,しかもこれまでのケースについても遡及的に同じ扱いを認め,DV に明白かつ客観的な証拠がない場合には全面的に子を元に戻すものでなければ条約の精神に沿ったものとは言えない。(個人)
●国内では,DV 冤罪ケースが多発している。特に精神的DV などは,本人がDV と言えばDVということになってしまうので,この理屈だと,ハーグ条約で返還を求められても,とりあえずDV を理由にすれば 返さなくてもよいということになり,何でもかんでもDV の訴えが出されるようになる可能性は否定できない。(個人)
●司法現場での証拠無きDV認定を禁止。DVに関する認定基準を厳格にし,冤罪による被害者を減らすとともに,真のDV被害者を埋没しないままに助け出せるようにするべき。(個人)
●相手のDV から逃れるためとしてDV をでっちあげ,弁護士指定のシェルターに半年ほど入居させ,一切相手方と会わせない。また,相手に連れ去られる前に子を連れ去りなさいといった弁護士の対応も問題がある。(個人)
(3)締結の方針
①条約加盟に賛成 28件
●ハーグ条約の批准は日本の大きな一歩。しかし,数十年外国より遅れをとっている国内法や日本人のおかしな習慣を改善し,他の批准国と合わせなければ外交問題になる。(個人)
●ハーグ条約未加盟による日本の対応全般に対する不信感から,正常に国際結婚を営んでいる人まで,子を連れての不合理な出国拒否に巻き込まれることは理不尽極まりない。法的なスクリーンを何も通さず,子を連れて帰国さえすれば事実上子との生活が確保できてしまえるというのは,事情はあれ法治国家のルールには馴染まない。日本に対する国際的な信用力の低下も加味して考えると,ハーグ条約の批准は世界的に不可避な流れであるので,日本としてもこの批准をした上で,子の利益を考慮して例外に該当すべき案件は断固子の返還の拒否ができるようしっかりと国内法及びその運用を整備していくことが大切である。万全の準備をして,賛成派の人も反対派の人も皆が納得できるような合理的な運用を図って欲しい。(個人)
●ハーグ条約の早期批准と国際基準に合わせた国内法の改正(共同親権・共同養育)を希望する。子を連れ去った経緯もそれぞれでDV 等の問題もあるかと思うが,子の利益を考えた場合にはハーグ条約に批准すべきである。(個人)
●ハーグ条約締結国が,虐待行為やDV 行為を見過ごしているとは思えず,国内にせよ国際間にせよ,連れ去り行為が行われる前の状態に戻して,話し合いが行われることが,最初にとるべき方法。(個人)
●日本がハーグ条約に未加盟であり,子の福祉への関心が薄い国家であると考えられていることにより,フランス国内ですら私と子の外での面会は認められていない(私が子を日本へ連れ去った場合に法的強制力をもって子をフランスに連れ戻す手段がないことを警戒しているものと思わるため)。(個人)
●「単独親権」,「母性優先」,「監護の継続性」という,厚い法律の壁があるため,離婚して元妻に連れ去られた子に,自由に会うことができない。(個人)
●現在の面会交流は,監護親の利己的な反対だけで,中身を貧弱にされる。ハーグ条約の最大の趣旨に照らし子の希望が最大限適うよう内容を充実してほしい。(個人)
●ハーグ条約未加入が障害になり,一方の親は子に会う事もできなくなっているケースもある。加入に当たり一番の問題は,関連する国内法の整備である。今のまま加入すれば,整合性が取れず,問題が大きくなってしまう可能性がある。(個人)
●両親の関わる子育ての有効性は,世界で証明されており,今回の日本の批准は,世界標準に追いつくチャンスである。(NPO 法人保育支援センター)
●現在日本でハーグ条約に反対している,連れ去ってきた側の女性たちの言い分が「日本の文化にそぐわない」「欧米型家族の強制」という言葉にすり替えられ,誘拐を正当化されているように思えて大変残念である。(個人)
●日本がハーグ条約に加盟する準備を進めると決定したことを称賛し,日本の取組への強い支持を表明する。日本に対し,ハーグ条約を実施するために同条約の目的と精神を認識した法律を制定し,不法に連れ去りまたは留置された子の常居所地への速やかな返還を促進し,他の条約締結国の法律に基づく監護の権利および接触の権利を効果的に保護するよう促す。裁判所命令が実効的となる体制が必要であるほか,返還拒否事由は限定的であるべきであると考える。(オーストラリア,カナダ,フランス,ニュージーランド,英国,米国政府)
②条約加盟に反対 14件
●日本女性を保護するためにも,絶対に欧米の圧力に負けることなく,国内世論では反対が多いということでハーグ条約には加盟しないでほしい。(個人)
③条約加盟に慎重 7件
●本来,どちらの国でどちらの親と生活するのが本人にとってベストなのか,子の立場から判断すべきであり,返還ありきではないはず。(個人)
●親の権利ということではなく,まず一番に子の福祉や子の権利という観点から,納得がいく説明がなされた上でハーグ条約の受け入れ,批准を考えていただきたい。条約を結べばどういうことが起こり得るかも含めて,もっと国民にわかりやすい説明を求めたい。(個人)
●簡単に締結するべきではなく,まずは自国で法律や専門機関をつくり,子のケアもふくめてもっと考えることが先決。(個人)
「ハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会」第4回会合
出典:外務省 平成23年11月22日
22日,外務省において開催されたハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会第4回会合の概要は以下のとおり。
1.出席者
座長:小早川光郎・成蹊大学法科大学院教授
出席者:棚村政行・早稲田大学法科大学院教授
藤原靜雄・中央大学法科大学院教授
相原佳子弁護士(日弁連)
杉田明子弁護士(日弁連)
関係府省庁(法務省,内閣府,厚生労働省,総務省,
文部科学省,警察庁)等
2.議事要旨(議事録は,別途掲載予定)
(1)パブリックコメントのとりまとめ結果の報告
事務局から,外務省として9月30日から1か月間実施した,ハーグ条約を実施するための中央当局の在り方に関するパブリックコメント(意見募集)の結果に関し,計168件の意見が寄せられ,中央当局の権限や中央当局としてとるべき措置等につき様々な立場からの意見が寄せられた旨報告を行った。(詳細については,3.(1)パブリックコメントのとりまとめ結果及び概要を参照)
(2)子の所在の確知のための情報提供義務
•中央当局が得た情報がLBP側に渡らないことが明確であれば,たとえば民間の団体たる私立学校と公立学校の間で情報提供義務に差をつける必要はなく,また差が出ることによる問題が生ずるのではないか。その一方で,情報提供義務を負う機関が広がることとのバランスで慎重な検討も必要。いずれにせよ,民間機関への情報の提供を求める場合,その範囲,方法については,政省令やガイドライン等で明確に定めることが必要。
•関係機関が中央当局に対して情報提供する際にDV被害のおそれがあるか否かについても併せて中央当局に通知することに関し,現場が何をどこまでやらねばならないのか,どう責任を取るのかが不明確なままでは,現場が委縮するので,そうならないように情報の流れが確保される具体的な通知の在り方について,今後関係機関内での実務的な検討が必要。他方,この点は,相手方の同意があった場合に情報を外部に提供するとの前提であったので中央当局としてDVのおそれの有無の情報が必要であったが,その必要がなくなったのであればそもそも中央当局にその情報を通知しなくても差支えないのではないか。
•情報提供を行う機関等が,「現に子を監護すると思われる者」か否かを判断することは難しく,外観上判断しやすい文言がより適当ではないか。なお,法制審で議論されている相手方適格の要件とは必ずしも同じ用語である必要はない。実態上,関係機関が,子を監護している者であるかどうかの判断を行うことは非常に困難であることからも,「監護する者」を「同居している者」としてはどうか。
•相手方となるべき「子を現に監護する者」の氏名(祖父母も含む)を申請者に開示後,相手方にその旨を知らせるべきか否かについては,さらに子が隠避されるといった事態を惹起するおそれもある一方で,DV被害者の居所の判明につながりかねないため,通知が必要とも考えられる。この点については,法律に明記せずとも対応できるのではないか。
•中央当局が集めた情報につき,行政機関個人情報保護法第8条第1項の「法令に基づく場合」により目的外提供できるとすることでは,弁護士法に基づく照会も該当することにならないか。その範囲が広くなりすぎるおそれもある。目的外提供の範囲につき絞ることも検討すべきではないか。
(3)子の任意の返還その他の問題の友好的な解決の促進
•条約に定める友好的な解決の促進のために,外務省として仲裁等の任意解決を外部団体に委託したいと考えるが,そのような団体の発掘・育成が検討課題。
•友好的な解決のために双方の合意があった場合に,返還手続の前後に関わらず中央当局が旅券を保管することは問題ない。ただし,返還に係る裁判手続が始まったら,合意がなくなったものとして保管を中止して,当事者に返付するケースもあるだろう。いずれにせよ,当事者の合意に基づく措置に過ぎず,合意の撤回があれば返付するということかと思われる。
•返還手続における保全的な処分との関連で,出国を差し止めるためにいかなる手段が可能かは今後の法制審にて引き続き検討。
(4)子の社会的背景に関する情報の提供
•当事者が自らの裁判に必要と判断する情報を提供されるべきとの観点から,我が国中央当局から他の条約締約国の中央当局に,子の社会的背景に関する情報の提供を求める際は,裁判所からの求めだけでなく,申立人及び相手方からの依頼による場合も認めるべきではないか。
•他方,上記については,我が国中央当局及び他の締約国中央当局の事務的負担との関係から困難がある他,我が国と他の締約国との間で片務的な関係とならざるを得ないこと,相手国中央当局がどこまで社会的背景に関する情報収集に協力するか不明であること,相手国中央当局の情報収集結果を待っていれば迅速な裁判を確保できないおそれがあること等,現実的な問題として限界があることも事実。
(5)接触の権利に関する中央当局の措置
•中央当局による援助の対象となる事案の範囲,及び中央当局がとるべき措置の範囲については,論点ペーパーの整理とすることで特段の意見なし。特に,援助の対象となる事案の範囲としては,他の締約国で認められた接触の権利を我が国において尊重されることを支援する(その逆も然り)と整理。
•ただ,接触の権利についての支援は,当事者の協力が前提となることから,接触の権利の実施体制の確立(中央当局から当事者に紹介する実施団体の発掘及び育成含む)は大きな課題。
•他の条約締約国は条約締結後20~30年の年月をかけ,接触の権利の実施体制を整えてきた経緯がある。我が国も締結後,直ちに十分な体制を確立するのは難しくとも,関係行政機関が連携しつつ,面会交流を支援する団体等の育成に努めて欲しい。
(6)事務局からの謝辞
鶴岡総合外交政策局長から,今回のパブリックコメントに意見を寄せていただいた方々に対する謝辞を述べた。
3.配布資料
(1)パブリックコメントのとりまとめ結果及び概要,パブリックコメントで寄せられた意見(PDF)
(2)論点ペーパー(PDF)
(3)参考資料
•法制審議会ハーグ条約(子の返還手続関係)部会概要報告(PDF)
•「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する中間とりまとめ(PDF)
首相「通常国会にハーグ条約関連法案提出」 日米首脳会談
出典:日本経済新聞 平成23年11月13日
【ホノルル=佐藤理】野田佳彦首相は12日昼(日本時間13日午前)、オバマ米大統領と会談した。首相は国際結婚が破綻した場合の子どもの親権を定めるハーグ条約について「関連法案と共に来年の通常国会提出に向けた作業を進めている」と説明。オバマ大統領は「日本の取り組みを評価する」と応じた。
法制審議会:ハーグ条約(子の返還手続関係)部会第7回会議開催
出典:法務省ホームページ 平成23年11月11日
○ 議題等
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する個別論点の検討(3)
○ 議事概要
部会資料7に基づき,子の返還手続に関する個別論点のうち,以下のものについて,審議がされた。
1 当事者適格,利害関係参加
2 即時抗告権者
3 相手方適格を有する者が複数ある場合の規律
4 記録の閲覧等
5 証拠調べにおける真実擬制の規律について
6 裁判の取消し等
7 審問の期日の立会い
○ 議事録等
議事録(準備中)
部会資料7 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する個別論点の検討(3)[PDF]
参考資料17 「ハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会」第3回会合[PDF]
参考資料18 ハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会 第3回会合 議事概要[PDF]
ハーグ条約加盟で意見書 米など6カ国が日本に
出典:U.S. FrontLine 平成23年11月8日
国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」加盟をめぐる日本政府のパブリックコメント(意見公募)に、米国やカナダなど6カ国の政府が共同で子どもを連れ出した側に有利にならないよう国内法整備を求める意見書を出していたことが8日、分かった。政府関係者が明らかにした。
意見公募で外国政府が見解表明するのは極めて異例で、日本の加盟に対する関心の高さをうかがわせる。
他は英国、フランス、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国。法務、外務両省が関連法案の中間案をまとめたのを受け、両省が9月末から1カ月間実施した意見公募に、在京のカナダ大使館が代表して提出した。(共同)
法制審議会:ハーグ条約(子の返還手続関係)部会第6回会議開催
出典:法務省ホームページ 平成23年10月28日
○ 議題等
1 参考人からのヒアリング
2 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する個別論点の検討(2)
○ 議事概要
1 参考人からのヒアリングについて
以下の2名の参考人から,「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関し,ヒアリングが行われた。
・ 長谷川京子 弁護士(兵庫弁護士会)
・ 山口惠美子 公益社団法人家庭問題情報センター常務理事
2 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する個別論点の検討(2)
部会資料5及び同6に基づき,子の返還手続に関する個別論点のうち,以下のものについて,審議がされた。
(1) 保全的な処分
(2) 調停・和解
(3) 子の返還拒否事由
○ 議事録等
議事録(準備中)
部会資料6 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する個別論点の検討(2)[PDF]
参考資料13 ハーグ返還手続きへの意見(長谷川京子参考人作成)[PDF]
参考資料14-1 DV FACT(長谷川京子参考人提供)[PDF]
参考資料14-2 「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」と「ドメスティック・バイオレンス」(長谷川京子参考人提供)[PDF]
参考資料14-3 「DVにさらされる子どもたち~加害者としての親が家族機能に及ぼす影響」(長谷川京子参考人提供)[PDF]
参考資料14-4 A Judicial Guide to Child Safety in Custody Cases (長谷川京子参考人提供)[PDF]
参考資料15 面会交流援助経験者としての意見(山口恵美子参考人作成)[PDF]
参考資料16 離婚訴訟における鑑定事例(山口恵美子参考人提供)[PDF]
「ハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会」第3回会合
出典:外務省ホームページ 平成23年10月24日
24日,外務省において開催されたハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会第3回会合の概要は以下のとおり。
1.出席者
座長:小早川光郎・成蹊大学法科大学院教授
ヒアリング対象者:池田崇志弁護士(大阪弁護士会)
鈴木雅子弁護士(東京弁護士会)
川島志保弁護士(横浜弁護士会)
谷英樹弁護士(大阪弁護士会)
出席者:棚村政行・早稲田大学法科大学院教授
藤原靜雄・中央大学法科大学院教授
大谷美紀子弁護士(日弁連)
相原佳子弁護士(日弁連)
杉田明子弁護士(日弁連)
関係府省庁(法務省,内閣府,厚生労働省,
文部科学省,警察庁)等
2.議事要旨(議事録は,別途掲載予定)
(1)ヒアリング
(ア)池田崇志弁護士
•実際に受任した国際的な子の連れ去り案件(外国から日本に連れ去ったケース)の概要及び外国と我が国のそれぞれの裁判所の判断の要旨について説明。
•一般的に言われている「DVの主張」は,きちんと事実関係を把握する必要がある。この事案では,母親から父親によるDVが主張されたが,我が国裁判所の審判は,そのような事実は無かったと認定。
•LBPは,子を常居所地国に返還することを求めたい場合であっても,子との面会交流が実効的に確保されるのであれば,TP側と合意できるケースも多数ある。中央当局として面会交流が実現できる支援をしてほしい。また,政府全体として,我が国における面会交流が実効的なものとなるよう制度構築を進めて欲しい。
(イ)鈴木雅子弁護士
•日本は出国を止める制度がない一方で,親権を争う仕組み及び保全措置についても時間がかかるため,国外に連れ去られ,打つ手がなくなる問題が生じやすい。連れ去られた後にハーグ事案として返還・接触申請を行うことは,物理的,精神的,経済的な負担が大きいため,出国を差し止める制度が必要。
•ハーグ条約を連れ去られ親が使うためには,監護権の侵害が認められることが必要であると理解しているが,日本民法では,(1)離婚後は共同親権制が取られず,(2)事実婚・認知の場合にも,母親のみが単独親権を有する制度となっているために,連れ去られ親が子を事実上監護している場合でも,法律上の監護権がないためにハーグ条約を使えないという事態が相当数生じることを懸念している。
•海外において日本がハーグ条約を未締結のため日本への帰国が認められないことから,最後の手段として連れ去ったケースや連れ去りが犯罪化されているために常居所地国に戻りLBP側と話し合えないケースもある。仮に我が国裁判所で返還拒否が確定すれば,ハーグ条約締結によってDVに苦しむ女性を助けやすくなるという側面もある。
•妥当な解決を図るため,ADRや調停制度の活用が必要。外国籍の調停委員が認められていない現状は改善の余地あり。調停を行う際に外国の生活・文化のバックグラウンドが必須であり,当事者の気持ちの面でも重要。また,日本の裁判が書面を含め全て日本語という制度が変わらないのであれば,より一層ADRや調停制度の活用が求められる。連れ去られ案件では,連れ去られ国での裁判のための支援も検討すべし。
(ウ)川島志保弁護士
•DV加害者は,一見DVをするように見えないタイプであることが多いほか,DVは再犯性が高いため,状況が改善されることは少ない。他方,DVが原因で夫の元から離れた妻は,居所を夫に知られる恐怖から,ひたすら逃げ回らざるを得ないケースが多い。このような事態は,子の福祉の観点からも問題。
•DV被害者の個人情報の取扱いにつき保護措置があるものの,行政のミスにより被害者の個人情報が漏洩するケースもある。ハーグ条約加盟にあたっては,個人情報の保秘のための公的機関による連携が重要。DVの被害者としては,DV加害者に居所が知られることが最も恐れる事態。情報を知るべき立場の者までは,確実に知る必要はあるが,そこから先への管理をしっかり行うことが重要であり,中央当局からDV加害者側に所在情報が渡らないことが極めて重要。
•ハーグ案件の場合には,証拠が海外にあることや,言葉の問題等から,被害者の証拠の収集が難しいことがあるため,在外公館への相談を証拠として活用できるような措置が必要。
(エ)谷英樹弁護士
•子の連れ去りによって生じる問題は,(1)それまでの環境(両親,家族,知人友人等)から子が引き離される,(2)それまでは両親の双方の監護に服していたり,別居中でも一定の枠組みの下での交流が認められていた状態が,一方的にルールなき状態に追いやられる,(3)連れ去る側は,種々の理由で他方が子と面会する機会を拒もうとするのが通例で,子との面会交流の可能性は連れ去り側の意志に左右されがち,(4)現行のDV保護制度は,DV保護命令の有無で,子との面会の機会の有無が決まる建て付け,が挙げられる
•子の所在の特定に関しては,本国で監護の権利を有するLBPにも連れ去り先の子の監護に関する情報を知るべき立場にあるとの考え方に立てば,パブコメ案では,申請者(LBP)に居所についての情報を提供する際に,一律にTP側の同意を要件としている点に強い疑問がある。また,子の社会的背景に関する情報の交換にも,同意を要件としているが,仮にTPが虐待をしている場合,その情報が児童相談所等に蓄積されていても,その情報は提供されないこととなるのは問題。
•子に対する更なる害の防止に関しては,居所変更の届出を義務づける必要がある他,国外への出国を防止する制度を創設すべし。接触の権利に関しては,子の居所をLBPが知ることは交流の第一歩であり,社会的背景に関する情報についてもLBPに提供すべし。
(2)質疑応答にて出された意見・質問等
(ア)出国禁止命令
•子の更なる害の防止の観点から,裁判所が保全命令の一環として出国停止を命じ,出入国管理での出国制限をとれる制度の構築が必要。このような措置がないために,面会交流が実現できないケースもある。
(イ)接触の権利(面会交流)
•DV被害者をきちんと保護し,更なるDV被害から確実に守ることによって心理的な安定が確保され,それがひいては子とLBPとの面会交流につながるケースもあり得る。
•調停員は,日本人に限るべきではなく,調停では日本語以外も使用できる制度にすべし。ADRのような制度を利用する必要がある。
(ウ)その他
•実務家として,国際離婚の事案において問題と感じる点は,(1)我が国が,共同親権制でないこと,(2)面会交流が法的な権利として認められていないこと,(3)家裁調停員には高齢者が多く,母親の下での養育が良いという伝統的な固定観念を持つ人が多いこと等が挙げられる。
•明らかにDVが証明できるのであれば,国内担保法において,具体的にDVや暴力を返還拒否事由に要件として規定しても良いが,現実には,DVを証明することが難しいケースも多い。子にとって悪影響があるかという視点から返還拒否事由を考えるべし。
3.配布資料
(1)池田崇志弁護士提出資料(PDF)
(2)川島志保弁護士提出資料(1(PDF),2(PDF),3(PDF))
(3)谷 英樹弁護士提出資料(PDF)
法制審議会:ハーグ条約(子の返還手続関係)部会第5回会議開催
出典:法務省ホームページ 平成23年10月17日
○ 議題等
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する個別論点の検討(1)
○ 議事概要
部会資料5に基づき,子の返還手続に関する個別論点のうち,以下のものについて,審議がされた。
1 土地管轄の集中
2 複数当事者等についての規律
3 参加
4 裁判記録の閲覧等
5 証拠調べの具体的な規律
6 裁判の取消し等
7 保全的な処分
○ 議事録等
議事録(準備中)
部会資料5 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する個別論点の検討(1)[PDF]
ハーグ条約国内担保法に関するパブリックコメント:意見募集が開始されました。
出典:電子政府総合窓口 平成23年9月30日
平成23年9月30日に募集が開始され、平成23年10月31日が締切となっています(法務省、外務省とも共通)。
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する中間取りまとめの意見募集(法務省)
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」(ハーグ条約)を実施するための中央当局の在り方に関するパブリックコメントの実施(外務省)
ベトナムもハーグ条約加盟へ
出典:VIET JO ベトナムニュース 平成23年9月28日
国連総会出席のため米ニューヨークに滞在中のファム・ビン・ミン外相は26日、ヒラリー・クリントン米国務長官と会談し、越米両国のパートナーシップの強化策について協議した。27日付ザンチー紙(電子版)が報じた。
両外相はアジア太平洋地域の構造変動について意見を交換したほか、科学と教育分野での協力強化策について話し合った。ミン外相はクリントン長官に対し、枯葉剤(エージェント・オレンジ)の浄化とHIV/AIDS問題について米国の継続的な人道的援助を要請した。
クリントン長官は、米ゼネラル・エレクトリック社(GE)がベトナムでのエネルギー供給案件の入札に参加できるよう配慮を求めた。同長官は、ベトナムの養子縁組手続きの改正とハーグ条約(国際的な子の奪取の民事面に関する条約)への参加に謝意を表した。また、米国が主導している大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)へのベトナムの参加を促した。
ロシアがハーグ条約に加盟、86番目の加盟国に 10月1日効力スタート
出典:HCCH 平成23年7月28日
On Thursday, 28 July 2011, the Russian Federation desposited its instrument of accession to the Hague Convention of 25 October 1980 on the Civil Aspects of International Child Abduction. The Convention will enter into force for the Russian Federation on 1 October 2011.
「ハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会」第二回会合の開催
出典:平成23年9月14日 外務省ホームページ
「ハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会」第二回会合の開催
13日,外務省において開催されたハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会第2回会合の概要は以下のとおり。
1.出席者
座長:小早川光郎・成蹊大学法科大学院教授
出席者:棚村政行・早稲田大学法科大学院教授
藤原靜雄・中央大学法科大学院教授
大谷美紀子弁護士(日弁連)
相原佳子弁護士(日弁連)
杉田明子弁護士(日弁連)
関係府省庁(法務省,内閣府,厚生労働省,総務省,文部科学省,警察庁)等
2.議事要旨(議事録は,別途掲載予定)
(1)総論,援助を求める申請
•中央当局に対する他の機関による協力の重要性は,締約国会議でも確認されているところであり,法律案においても種々の国内機関による中央当局への協力を明示すべし。
•援助の申請ができる者の範囲は,自らの監護権が侵害されたことを主張する者,団体,機関に限られるのか,それとも,監護権の侵害があったと主張する者一般にも援助の申請が認められるよう制度設計すべきか,条約の規定の解釈の再確認が必要である。
•援助の申請に必要な要件を明記すべし。
(2)子の所在特定,個人情報の保護,更なる害の防止等,任意の返還等
•子の所在特定のために他の行政機関等から提供を受けるとの点を法律上明記するとの方向性は妥当である。
•関係機関が中央当局に情報提供する際に,当該情報の中央当局への提供につき本人(子及び子を監護する者)の同意が必要との構成にすることは,条約の趣旨にも鑑み適当とは言えない。また,TPが子の所在を隠す手段となりかねない。
•中央当局による要請を受けた関係機関が保有する情報を中央当局に提供することにつき義務とすべきかについては,そうしないと中央当局が必要な情報を収集できないおそれがある一方で,個人情報の慎重な取扱いの要請という側面も考慮する必要がある。個人情報を中央当局に提供する側(地方公共団体等)からすれば,提供することについての根拠規定があることが重要である。行政機関同士の関係では相互に協力すべき関係にある。
•中央当局による子の所在情報の収集にあたっては,初めから全ての関係機関に情報提供を求めるのではなく,段階的に情報収集に当たることが適当である。
•中央当局が収集し,関係機関が提供すべき情報の種類や範囲を明確にする必要がある。
•中央当局が収集した子の所在情報は,原則として他国の中央当局や申請者に共有しないことは,DV保護等の観点から極めて重要である。さらに踏み込んで,中央当局から他国中央当局・申請者には全く共有しないとの制度設計もあり得る。
•子に対する更なる害の防止の観点から,現行法にはない再連れ去りの防止のために出国停止や旅券の一時保管といった強制力のある措置の創設を検討することが必要である。
(3)子の社会的背景に関する情報の交換,子の安全な返還の確保
•相手国中央当局がどういう目的で,社会的背景に関する情報の提供を要請するのか,例えば先方中央当局の裁量に基づくものなのか,相手国裁判所に当該情報の提供が求められているのか等の場合を分けた上で,対応ぶりを検討すべし。
•社会的背景に関する情報として最も必要とされる情報は,学校,健康状況,経済状況等であることが多いが,子の所在情報と同様,どの範囲・項目の情報を相手国中央当局に提供するのかを明らかにする必要がある。
•本人が知らない情報を我が国の行政機関が保有する場合もあるが,その場合への対応には,例えば中央当局への提供時に本人の了知・不知につき明記してもらう等の工夫が必要である。また第三者に関する情報が含まれる場合の取扱いに注意が必要である。
•相互主義的な観点から,嘱託事案についても相手国中央当局に内容の伴う必要十分な情報の提供を要請すべし。
•LBPの代理人を務める立場からすると,相手国中央当局から社会的背景に関する情報の提供がなされないとなると,実質的に弁護活動に支障が出る。
•子の返還に際し,在外公館を通じた支援を行う等の検討はできないか。
•子の安全な返還の観点に関し,逮捕状の発布の有無等の捜査関連情報は,どの国でも途中段階で他の機関と共有しないのが通常であり留意が必要である。
(4)接触の権利
•関係省庁・裁判所等と協力しつつ面会交流を支援する機関及び人材の養成が重要で,受け皿の仕組みの構築の推進が必要である。
•接触の権利の享受又は行使の支援を受けられる者についての要件,特に不法な連れ去り又は留置の要否や子の国境を越えた移動がない場合への対応の可否といった条約の解釈につき再確認が必要である。
(5)不服申立て等
•中央当局が外国にいる者からの申請を応諾した場合に,その応諾自体についてのTPによる不服申立ての可能性についても検討が必要である。他方で,迅速な返還の実現という条約の基本理念との関係で,途中段階での不服申立てが有益かという点も考慮が必要である。
(6)その他
•子の監護権,連れ去り,DV,児童虐待等に関する外国の法令,判例及び統計等に関する情報の収集について支援すべし。
•国際結婚する人へのハーグ条約に関する周知・広報をなるべく早い段階で始めるべし。
3.配布資料
(1)主要論点
•【子の所在特定に関するフローチャート案】(PDF)
(2)参考資料
•ハーグ条約(子の返還手続関係)に関する法制審議会用資料
(ハーグ条約の締結に当たっての具体的な検討課題)(PDF)
•日本弁護士連合会による国際的な子の連れ去りに関するアンケート結果報告(PDF)
議会から圧力、「結果」要求=日本の遅い対応にいら立ち-日米首脳会談・米大統領
出典:時事通信 平成23年9月22日
議会から圧力、「結果」要求=日本の遅い対応にいら立ち-日米首脳会談・米大統領
【ニューヨーク時事】オバマ米大統領は21日の日米首脳会談で、懸案の米軍普天間飛行場移設や環太平洋連携協定(TPP)参加、米国産牛肉の輸入制限緩和、国際離婚に伴う子の親権に関するハーグ条約加盟を取り上げ、野田佳彦首相に「結果」を出すよう迫った。いずれも議会サイドから圧力を受けているテーマ。相次ぐ政権交代で歩みの遅い日本側にいら立ちを示した格好だ。
「結果が必要だ」。会談冒頭の写真撮影が終わると直ちに本題に入った大統領は普天間問題について明確にこう要求。牛肉問題でも「進展を求めたい」と言い切った。
東日本大震災に関し「いかなる支援もする」と語り掛け、和やかな雰囲気だった会談冒頭と打って変わった口調に、同席した米政府高官も「驚いた」と振り返った。
普天間移設をめぐり、米上院は「目に見える進展」がないことを理由の一つに、セットとなっている在沖縄海兵隊グアム移転費を全額却下。政権サイドには計画頓挫の危機感が広がる。
ハーグ条約に関しては、日本が加盟してもさかのぼって適用されない既存の子供連れ去り事案の解決を求める声が議会に強く、身柄引き渡し要求など強硬手段まで取り沙汰される。これまでは主にクリントン国務長官が日本側に善処を求めてきたが、今回、初めて大統領が提起した。
首脳会談は、大統領が先に議題全般にわたり自らの主張を展開、その後に首相の回答を聞く形を取った。この日、大統領はイスラエルのネタニヤフ首相、パレスチナのアッバス自治政府議長と個別に会談。中東問題に頭を悩ます中、これ以上の火種はごめんだと言わんばかりだった。
日米首脳会談 大統領、ハーグ条約に関し日本の早期加盟を要請
出典:日本経済新聞 平成23年9月22日
【ニューヨーク=中山真】オバマ米大統領は21日午後(日本時間22日未明)の日米首脳会談で、日本による米国産牛肉の輸入制限について「これまでに長い時間が経過しており、進展させてほしい」と撤廃を要求した。野田佳彦首相は「日米双方が受け入れ可能な解決に向けて継続していく」と述べるにとどめた。
大統領は国際結婚が破綻した場合の子供の扱いを定めたハーグ条約に関しても日本の早期加盟を要請した。条約の対象とならない既存の事例への対応も求めた。首相は「可能な限り早く条約を締結するために準備を進めている」と答えた。
日本はBSE(牛海綿状脳症)問題に関連し、米国産牛肉の輸入を月齢20カ月以下の牛に限定。ハーグ条約については加盟するための国内法整備を急いでいる。
日米外相会談(概要)
出典:外務省ホームページ 平成23年9月20日
19日午後4時40分(現地時間)から約40分間,訪米中の玄葉外務大臣は,クリントン国務長官との間で日米外相会談を行ったところ,概要以下のとおり。
1 冒頭~日米関係総論~
冒頭,玄葉大臣より,東日本大震災での米国の多大な支援に改めて感謝するとともに,新内閣においても,日米同盟は日本外交の基軸であり,成長センターであるとともに不安定な要因が存在しているアジア太平洋地域の平和と安定のための公共財であるとの認識を説明した。また,日米関係を安全保障,経済,文化・人的交流の三本柱を中心に一層深化・発展させていきたい旨述べた。
これに対し,クリントン長官より,日米は地域の問題やグローバルな問題に取り組んでおり,米国としては,日米同盟を更に強化する取り組みにコミットしている旨応答があるとともに,日本が震災で苦しい状況にある中で,国際社会での役割にコミットしていることを評価する旨言及があった。
2 日米関係~各論~
(1)~(6)省略
(7)子の親権
玄葉大臣から,ハーグ条約を早期に締結できるよう国内担保法案の作成等国内での作業について説明したのに対し,クリントン長官から,謝意が表明されるとともに,本件は米国内で引き続き優先順位が高い課題である旨言及があった。
3 アジア太平洋地域情勢
省略
4 グローバルな課題
省略
日米外相会談で玄葉外相は「ハーグ条約加盟に向けた法案を現在作成中だ」と述べる
出典:産経新聞 平成23年9月20日
日米外相会談で玄葉外相は「ハーグ条約加盟に向けた法案を現在作成中だ」と述べる
【ニューヨーク=黒沢潤】米国を訪問中の玄葉光一郎外相は19日夕、ニューヨークでクリントン米国務長官と会談し、沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題について「日米合意に沿って進める」と語り、同県名護市辺野古への移設を推進する方針を確認した。また、騒音・環境問題など「沖縄の負担の軽減」も求めた。
外相は一方、福島原発事故を踏まえ、日本で来年後半、国際原子力機関(IAEA)と共同で原子力安全に関する国際会議を開催する意向も表明。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉参加問題については、「早期に結論を出したい」と述べるにとどまった。
双方は、探査・研究も含む宇宙の平和利用に関する協議を進めていくことで一致。今年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)を成功させるため、日米で協力していくことも確認した。
国際離婚に伴う子供の親権に関するハーグ条約に、日本の早期加盟を求める声が米国で強まる中、外相は「加盟に向けた法案を現在作成中だ」と述べた。
外相は野田新政権のもとで日中関係が改善されつつあるとの認識を伝え、北朝鮮問題で「日米韓3カ国の緊密な関係が重要であり、米国と連携したい」とも強調した。
外相は会談冒頭、松下政経塾時代の二十数年前に、長官の夫で当時アーカンソー州知事だったクリントン元大統領の宿舎を訪れ一緒に撮った写真を長官にプレゼント。長官は「(元大統領が立っているのは)暖炉の前。見覚えがある」と大いに喜んでいたという。
日米外相会談要旨~クリントン米国務長官「ハーグ条約の問題は米政府の関心事項」
出典:時事通信 平成23年9月20日
【ニューヨーク時事】19日午後(日本時間20日早朝)に行われた、玄葉光一郎外相とクリントン米国務長官の会談の要旨は次の通り。
【同盟深化】
外相 野田政権において日米同盟が外交の基軸だ。アジア・太平洋地域は不安定要因が存在しており、(日米同盟は)平和と安定のための公共財だ。一層の深化・発展に取り組んでいきたい。
長官 東日本大震災で大変苦しい状況にある中、日本がグローバルな問題に関与し、指導力を発揮していることを評価する。
外相 適切な時期にワシントンを訪問したい。
長官 歓迎する。
【普天間移設】
外相 普天間飛行場移設、在沖縄海兵隊グアム移転を含む在日米軍再編は引き続き日米合意に沿って着実に進めていきたい。ただ、沖縄の状況は依然厳しい。負担軽減へさらなる努力をお願いしたい。
長官 (グアム移転費の承認に厳しい米議会の現状に触れ)早期に具体的な進展を期待する。
【環太平洋連携協定(TPP)参加】
外相 しっかり検討し、できるだけ早期に結論を出したい。
長官 アジア・太平洋地域での経済統合の重要性を強調。
【福島第1原発事故】
外相 来年後半に国際原子力機関(IAEA)とともに原子力安全に関する閣僚級国際会議を日本で開催する。被災地で開催するのも一案だ。
【ハーグ条約】
外相 国内法の整備を進めている。
長官 この問題は米政府の関心事項だ。
【米国産牛肉輸入問題】
外相 双方が受け入れ可能な解決に向けて議論を続けたい。
長官 科学的見地や国際的基準に基づく解決を望む。
【北朝鮮】
両外相 北朝鮮から核放棄への具体的な行動を引き出すため、当面は米朝や南北など2者の対話を進めていくことが重要との認識で一致。
外相 拉致問題で引き続き支援してほしい。(2011/09/20-12:46)
法制審議会:ハーグ条約(子の返還手続関係)部会第3回会議開催
出典:法務省ホームページ 平成23年9月9日
○ 議題等
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する検討事項(2)
○ 議事概要
部会資料3に基づき,子の返還手続等に関する検討事項のうち,以下のものについて審議がされた。
1 裁判,裁判の効力の発生,裁判の取消し
2 取下げ
3 不服申立て
4 子の返還の実現方法
5 調停
6 保全的な処分
7 子の返還事由・返還拒否事由
8 面会交流
○ 議事録等
議事録(準備中)
部会資料3 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する検討事項(2)[PDF]
参考資料10 「ハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会」第1回会合[PDF]
参考資料11 国際的な子の連れ去りに関するアンケート結果報告[PDF]
子連れ去り問題で関係悪化も=日本の「認識不足」に懸念-米国務次官補が単独会見
出典:時事通信 平成23年9月4日
子連れ去り問題で関係悪化も=日本の「認識不足」に懸念-米国務次官補が単独会見
【ワシントン時事】キャンベル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は4日までに時事通信と単独会見し、国際結婚の破綻に絡む子の連れ去り問題について「日米関係の主要課題になっている」と表明、「日本で問題が広く認識されていない」と懸念を示すとともに、早期に進展がなければ、両国関係悪化につながる恐れがあると警告した。
米政府は、日本人の親が米国籍を持つ子を配偶者に無断で日本に連れ帰るケースが相次いでいることを重大視。事件解決の手続きを定めたハーグ条約への早期加盟を迫ってきた。日本政府は5月に条約加盟の方針を決めたが、これまでのケースへの対応では進展がない。
同次官補は、バイデン副大統領が8月の訪日時に菅直人首相(当時)との会談で、事態の緊急性を指摘したことを明らかにした上で、野田新政権とも「最も高いレベルで協議を行う」と述べ、首脳級で日本に対応を求めていく方針を示した。
また、米政府が北朝鮮拉致問題で日本を支持してきたことに触れ、「状況は非常に異なるが、最愛の人が家族から引き離された点は共通する」との見方を示し、「人間的視点」で責任ある検討を行うよう訴えた。
さらに「強固な日米同盟が両国にとって最善の利益」とした上で、米議会内で対日圧力強化の動きが出ていると警告。これまでのケースへの対応で進展がなければ「他の法的手段を検討する用意がある」と強硬措置も辞さない構えを示した。
日本国内ではハーグ条約に加盟した場合、配偶者暴力(DV)を逃れて帰国した女性が、子供を連れて元夫の国に戻らざるを得なくなることから、加盟には依然反対意見が根強い。このため条約批准に向けて整備中の国内法では、子の返還拒否事由にDVを明記することにしている。(2011/09/04-18:29)
米国務次官補の発言要旨
出典:時事通信 平成23年9月4日
【ワシントン時事】キャンベル米国務次官補の会見での発言要旨は次の通り。
日本のハーグ条約批准の方針表明は喜ばしいが、条約の原則を損なうような国内法は望ましくない。条約加盟だけでなくこれまでの事例の解決に向けた日米協力が重要だ。中には何年も子供との連絡を絶たれている痛ましい例もあり、家族の苦悩は筆舌に尽くし難い。
米国はこの問題を良き同盟国として処理しようと努めてきた。クリントン国務長官は外相会談のたびに問題を提起し、バイデン副大統領も訪日時の菅直人首相(当時)との会談で、親たちの苦悩に対処することが急務だと指摘した。
日本では問題が広く認識されておらず、啓発努力が必要だ。これは日本国内の離別家族にも関係する。(離婚後の親権は通常母親が持つ慣習があり)重要な法律問題をあいまいにしがちな文化的規範が存在する。条約加盟に際して注意深い検討が求められる。
人間的視点で見てほしい。米国は北朝鮮拉致問題を理解してほしいとの訴えに応じた。状況は非常に異なるが、最愛の人が家族から引き離され、面会や連絡が不可能になる点では共通する。東日本大震災や拉致問題など日本の友人に深刻な問題が起きたとき、米国は格段の支援に努めた。
日本政府にこれまでの事例への責任ある検討を求める。問題が長期化すれば、日本が米国人の子の福祉に関わる重要課題に対処していないと認識される恐れは高まる。
日本の政府や国会には、条約加盟や事件対応に反対するグループがあるが、大半は誤解や知識不足に基づく。配偶者暴力(DV)の主張は大抵、根拠なく使われている。子を失った上に虐待者扱いされるのは非常に痛ましい。
強固な日米同盟が両国にとって最善の利益であり、両国を分断する問題は望まない。米議会で公聴会が開かれたり、日米関係を損ないかねない請願や法案が出されたりしているのは警告のサインだ。行動すべき時が来ている。
進展がなければ、米政府は他の法的手段を検討する用意がある。日本の新政権と近くハイレベルで協議を行うが、この問題も俎上(そじょう)に上る。国務長官と副大統領が問題提起したことが事の重大性を示しており、その重大性は高まる一方だ。この問題は日米関係の主要課題になっている。(2011/09/04-18:04)
日米首脳会談控え当惑=子連れ去り問題、次官補要求に-政府
出典:時事通信 平成23年9月4日
日本政府は、キャンベル米国務次官補が日本のハーグ条約加盟に絡み、これまでに起きた子の連れ去り問題の解決を求めてきたことに当惑している。野田佳彦首相は9月下旬の国連総会出席の機会を利用し、オバマ米大統領と初の首脳会談を行う予定だが、日本側には「初顔合わせからぎくしゃくしたくない」(外務省幹部)と、ハーグ条約問題が影響することを危惧する声も出ている。
政府は今年5月に条約加盟方針を決定した。法務省は、条約加盟に必要な国内法を来年の通常国会で整備するため、法相の諮問機関である法制審議会での議論に着手。外務省も関係省庁と連携して制度設計を進めている。ハーグ条約加盟は、首相が平岡秀夫法相に指示した重点項目にも含まれている。
そうした中でのキャンベル次官補の要求に、外務省幹部は4日、「各省の意見を聞きながら粛々と進めるしかない。まずは加盟だ」と、困惑した様子でコメント。法務省幹部も「条約加盟には民主党内にも反対が強い。米国がどう言おうと、法案が通らなければ加盟自体無理だ」と指摘した。(2011/09/04-17:40)
日米、埋まらぬ溝=制度と価値観の違い背景に-子連れ去り問題
出典:時事通信 平成23年9月4日
【ワシントン時事】米政府が国際結婚の破綻に伴う子の連れ去り問題で強硬姿勢を鮮明にしたのは、双方の問題意識の隔たりが極めて大きく、このままでは同盟関係の障害になりかねないとの危機感があるためだ。隔たりの背景には、日米の親子関係をめぐる制度や価値観の違いがある。
問題になっているのは主に、米国人の夫と別れ、無断で子を日本に連れ帰る日本人女性のケース。米国では、離婚時に子の養育をめぐる義務や権利を裁判で細かく取り決める。両親との交流を保つのが子の利益という意識が強く、別居する親にも面接交渉権が保障される。
女性側が子連れ帰国を望んでも語学の壁や経済力の問題がある場合、単独親権を得た上での帰国は極めて難しく、「実力行使」に出る女性が後を絶たない。米国務省が把握している日本への子の連れ去り事例は計123件173人に上る。
離婚後は母親に単独親権が与えられる例が圧倒的に多い日本では女性の行為を問題視する空気は薄いが、米国では実子誘拐に当たる。連邦捜査局(FBI)に指名手配された日本人女性もいる。
配偶者暴力(DV)を逃れて帰国したとされる女性の存在も、日本のハーグ条約加盟慎重論の根拠になってきた。加盟後は不法に連れ去られた子をいったん元の居住国に戻すことが義務付けられるため、子に付き添う被害者の女性を保護できないという懸念がある。
一方、米国人の親は、日本に子を連れ去られればなすすべがない。「民事不介入」の原則もあって既存事件への対応に及び腰な日本側の姿勢は、一部のDV事例を口実にした「拉致支援」と映る。
日本政府は批准に向けて整備中の国内法に子の返還拒否事由としてDVを明記する方針。米側は返還拒否が乱発されたり条約適用対象外の既存事件が置き去りにされたりすることを警戒する。条約加盟という形式が整っても、実態が変わらなければ、双方の摩擦は続くことになる。(2011/09/04-17:23)
子の連れ去り問題、強硬手段も=日本の対応「極めて遅い」-米高官
出典:時事通信 平成23年7月29日
子の連れ去り問題、強硬手段も=日本の対応「極めて遅い」-米高官
【ワシントン時事】米下院外交委員会人権小委員会は28日、国際結婚の破綻に伴う親権争いを解決するルールを定めたハーグ条約に関する公聴会を開いた。出席したキャンベル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は、子供の連れ去り問題の解決に向けた日本政府の対応は「極めて遅い」と不満を表明。迅速な対処を促すため、何らかの強硬手段を取る可能性に触れた。
菅政権は5月にハーグ条約加盟の方針を決定、国内法の整備などについて検討を始めた。ただ、条約加盟前の連れ去り事案には適用されない。
キャンベル氏は、こうした問題を解決するための立法措置が重要との考えを日本側に伝えてきたと説明。加盟に向けた日本国内の準備作業を含め「スピードアップしてもらいたい」と強調するとともに、「米国人は忍耐強いが、限界があることも明確に示すことが大事だ」と語った。
その上で、「国家の尊厳や文化は尊重したいが、別の手段を考えないといけない」と日本側に警告を発した。また、日本側当局者らと連れ去り問題を協議した際、深刻さについての受け止め方の違いに何度もショックを受けたと述べた。
これに関し、一部の委員が身柄引き渡しや査証(ビザ)取り消しといった手段に言及。小委のスミス委員長は「同盟国であろうとなかろうと、ペナルティーを検討すべき段階だ」と訴えた。
米、子供連れ去り「最重要」 日本に働き掛け強化
出典:共同通信 平成23年7月29日
【ワシントン共同】キャンベル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は28日、下院外交委員会小委員会の公聴会で、国際結婚の破綻後に日本人配偶者が米国から子供を連れ去る問題は「日米関係で最も重要な問題の一つ」と指摘。子供の返還手続きなどを定めた「ハーグ条約」加盟方針を決めた日本政府に、早期加盟と関連法案整備を求める考えを示した。
キャンベル氏は、子供連れ去りの原因は米国人の配偶者による虐待だという「根深い誤解」が日本側に広がっていると言明。日本の世論に問題の実情を伝える「教育運動」が欠かせないと述べた。
ハーグ条約日本加盟、遅いと米国務次官補が批判
出典:読売新聞 平成23年7月29日
【ワシントン=中島健太郎】国際結婚が破綻した際の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」に日本が未加盟のため、離婚した日本人と米国人の間で親権トラブルが相次いでいる問題で、カート・キャンベル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は28日、下院外交委員会人権問題等小委員会で「(条約加盟への)手続きが遅すぎる」と日本政府の対応を非難した。
子連れで帰国した日本人に対し、犯罪者引き渡し手続きの適用を検討する考えも示した。
外務省:「ハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会」第1回会合開催
出典:外務省ホームページ 平成23年7月29日
27日,外務省において,ハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会第1回会合が開催されたところ,概要以下のとおりです。
この懇談会は,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する 条約(ハーグ条約)に関する関係閣僚会議における了解事項等を踏まえた同条約締結のための国内担保法案の作成に向け,外部の有識者等から広く意見を聴く場として立ち上げられました。
1.出席者
本日の会合には,座長を務めることとなった小早川光郎・成蹊大学法科大学院教授のほか,棚村政行・早稲田大学法科大学院教授,藤原靜雄・中央大学法科大学院教授,日弁連から大谷美紀子弁護士及び杉田明子弁護士,関係府省庁(法務省,内閣府,厚生労働省,総務省,文部科学省,警察庁)等の関係者が出席しました。
2.山花政務官ご挨拶要旨
本年5月にハーグ条約の締結に向けた準備を進めることが閣議了解されたことを受け,外務省は法務省とともに国内担保法の作成作業を進めている。法務省が司法手続部分につき法制審議会を開始したのに続き,外務省としても中央当局のあり方につき透明性を確保した議論を行うために本日懇談会を立ち上げることとした。子の福祉に資するような良い制度の策定に向け政府一体となり議論を進めていきたい。
3.議事要旨(詳細の概要については,別途掲載予定)
(1)総論・中央当局として必要な権限や体制整備
•中央当局は各締約国がハーグ条約の趣旨を実現するに際して極めて重要な機関であるともに,国際協力を行う役割も要求される。返還に関する司法判断と中央当局による対応は,ハーグ条約実施のための車の両輪。他方,種々の制約を踏まえ,実現可能な制度が必要。
•中央当局の制度設計に際しては,国内各機関との連絡調整及び各行政機関間での横の連携をいかに確保するかが極めて重要。中央当局の任務を全うするためには外務省にすべてを押し付けるのではなく,外務省が各府省庁の協力を得てこれらが有する知見を集めたオールジャパンの対応が必要。
(2) 子の所在の特定及び個人情報保護との関係
•中央当局が条約上の任務を遂行するにあたり,日本国内の各省庁や自治体から必要な情報を入手できないと,ハーグ条約締結に向けた制度設計は不可能。
•子の所在の特定につき措置を取ることは,返還にかかる司法手続を実効的なものとするための鍵。中央当局がもつべき情報が,中央当局にきちんと集まるよう,国内担保法に明確な権限規定を盛り込む必要がある。ハーグ条約実施のためという目的をはっきりとさせた上で根拠規定を置く必要がある。
•各行政機関等間の情報共有が必要となるが,実効的な情報共有の促進と個人情報の保護との両立につき十分議論する必要がある。子の所在特定等にかかる情報の入手といった中央当局の権限については,担保法において一般的な根拠規定を置きつつ,個人情報の慎重な取扱いの担保方法も十分考慮すべきである。
•中央当局が得た情報をどこまで残された親(LBP:Left Behind Parent)に開示するかにつき議論が必要。任意の解決の促進の向けた最低限の信頼関係の構築のために中央当局として何をすべきか検討すべき。
(3)在外公館による支援
•在留邦人への在外公館による支援という観点も関心が高い。また,常居所地国に返還した後の子のフォローアップも検討して欲しい。
(4)諸外国の法制度等調査等
•各国の監護権に関する最新の法令,判例,実務等やDV保護法制や子供の保護についての制度につき,中央当局で調査収集,翻訳の上,共通資料として実務家等の間で利用可能にすることを検討願いたい。このような知見の集約にあたっては,中央当局がすべて用意するということではなく,関係省庁,日弁連,研究者等のネットワークで対応にあたるべき。
(5)任意の解決の促進等
•条約の理念としては,返還にかかる司法判断に至る前段階で,任意の返還や友好的な解決を得ることが最も望ましいものであり,それにつき独立の条項で規定されたハーグ条約第10条は重い意味を持つ。他方,任意の解決を中央当局自身が行う義務を負うとの趣旨ではなく,最も適当な機関にそれを担ってもらうことが中央当局の任務。
•任意の解決の促進につき,外務省がノウハウを持つ立場にはないことは明らか。裁判所や調停協会等,これまでの調停の実務を担ってきた者が,ハーグ案件における和解を支援する組織を作っていき,これを中央当局が支援していく方が現実的ではないか。
4.配布資料
(1)主要論点
(2)参考資料
(ア)条約概要(PDF)
(イ)和英対訳(検討中の仮訳)(PDF)
(ウ)法律骨子案(PDF)
(エ)主要国におけるハーグ条約の国内実施方法(PDF)
(オ)各国の国内法(日弁連作成資料)(PDF)
法制審議会:ハーグ条約(子の返還手続関係)部会第2回会議開催
出典:法務省ホームページ 平成23年7月25日
○ 議題等
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する検討事項(1)
○ 議事概要
部会資料2に基づき,子の返還手続に関する検討事項のうち,以下のものについて審議がされた。
1 判断機関,採用する手続,管轄,移送
2 裁判所の構成,除斥及び忌避,当事者適格,当事者能力及び手続行為能力
3 参加,代理人
4 裁判費用,公開・非公開,裁判記録の閲覧等
5 送達,手続の併合・分離,手続の中断・受継,手続の中止
6 申立ての方式,証明責任,裁判資料の収集方法,審理手続
7 中央当局の協力・調査,裁判官ネットワーク,子の意見聴取
8 条約第11条,条約第14条,条約第15条,条約第16条,条約第17条に関する担保法の要否等
○ 議事録等
議事録(準備中)
部会資料2 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する検討事項(1)[PDF]
参考資料8 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」(ハーグ条約)(アンケート調査の結果について)[PDF]
参考資料9 国際的な子の奪取に関するハーグ条約関係裁判例についての委嘱調査報告書[PDF]
過去の連れ去りにも適用を 米下院、日米合意要求
出典:U.S.FrontLine 平成23年7月22日
国際結婚が破綻した夫婦の一方が無断で子どもを日本に連れ帰る事例を「拉致」と見なして問題視し、日本政府に解決を要求する法案を審議している米下院外交委員会は21日、既に連れ去られた子どもが米国に確実に戻れるよう日米両政府が合意覚書を作成することを求める修正案を全会一致で可決した。今後、下院本会議に上程される。
修正案を提出したクリス・スミス下院議員(共和党)は、国際的な親権問題に対処する「ハーグ条約」に日本政府が加盟する方針を示していることを歓迎。その上で同条約は、既に日本にいる150人以上の子どもに関してはさかのぼって適用されるべきだと指摘し、既存の係争事案を解決するために政府間の覚書が必要だと強調した。(共同)
米下院外交委員会で、日本のハーグ条約加盟に関する公聴会を7月28日に開催
出典:米下院外交委員会ホームページ 平成23年7月
Date: Thursday, July 28, 2011
Time: 2:00 PM
Location: Room 2172 of the Rayburn House Office Building
外務省:「ハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会」を開催
出典:外務省ホームページ 平成23年7月
「ハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会」第一回会合の開催
外務省は,「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)に関する関係閣僚会議」における了解事項等を踏まえた同条約締結のための国内担保法案の作成に向け,外部の有識者等の方々から広く意見を聴取する場として,懇談会を立ち上げる。
第一回会合は以下のとおり開催予定。
1.日時:7月27日(水曜日)
2.議題
(1)中央当局の任務と条約に基づき取るべき措置
(2)中央当局の権限と責任
3.学者(行政法,家族法等),日弁連,関係省庁等からの出席を予定しており,現在調整中。
4.議事概要,会議資料,出席者は,会議終了後速やかにHPにて公表予定。
法制審議会で、ハーグ条約の締結に当たっての具体的な検討が始まる
出典:法務省ホームページ 平成23年7月15日
平成23年7月13日から法制審議会で、ハーグ条約の締結に当たっての具体的な検討が始まりました。
法務省ホームページでは、委員等の名簿及び第1回会議の概要、資料が掲載されています。
◆議事概要
1 部会長の選出等について
事務当局から,諮問第93号「「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を締結するに当たって,同条約を実施するための子の返還手続等を整備する必要があると思われるので,その要綱を示されたい。」を調査・審議するために,本部会が設置されたことについて説明が行われた後,高橋宏志委員が部会長に互選され,法制審議会会長から部会長に指名された。
2 ハーグ条約の締結に当たっての具体的な検討課題について
辻阪幹事から,ハーグ条約の概要について,事務当局から,ハーグ条約の締結に当たっての具体的な検討課題についてそれぞれ説明が行われた後,委員・幹事相互間で意見交換が行われた。
【部会 第1回会議資料 法務省ホームページ】
部会資料1 ハーグ条約の締結に当たっての具体的な検討課題[PDF]
参考資料1 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約[PDF]
参考資料2 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)[PDF](外務省作成)
参考資料3 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の締結に向けた準備について[PDF]
参考資料4 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律骨子案[PDF]
(中央当局の任務と子の返還命令に係る手続)
参考資料5 「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」の調査研究報告書[PDF]
(九州大学大学院法学研究院・西谷祐子教授作成)
参考資料6 ハーグ条約「担保法」検討のための基本的視点[PDF]
(大谷美紀子委員,相原佳子委員,磯谷文明幹事作成)
参考資料7 各国担保法検討一覧[PDF]
(日本弁護士連合会ハーグ条約に関するワーキンググループ作成)
カレン弁護士(米国務省ハーグ条約に関する顧問弁護士)による山花外務大臣政務官表敬
出典:平成23年6月27日 外務省ホームページ
カレン弁護士(米国務省ハーグ条約に関する顧問弁護士)による山花外務大臣政務官表敬
1.6月27日(月曜日),山花政務官は,来日中のスティーブン・カレン米国弁護士による表敬を受けました。
2.冒頭,山花政務官から,子の親権問題に係る日米協議においてカレン弁護士から日本側関係者に対して,米国の司法制度等について説明していただいたことについて謝意を表しました。また,山花政務官から,我が国のハーグ条約締結の検討作業に深く関わってきている立場もあり,家庭内暴力(DV)の扱い等のハーグ条約に関連する米国の司法制度について高い関心を有している旨述べました。
3.カレン弁護士からは,これまでのハーグ条約に関する自らの経験等が日本のために役立つのであれば光栄であるとし,子の連れ去り事案は刑事手続と民事手続の狭間に置かれる難しい問題ではあるが,子の福祉のための民事手続を定めるハーグ条約にのっとり処理されることが望ましいこと等について述べました。その後,米国におけるDVに関する法解釈やDV被害者への対応等について,意見交換が行われました。
(注)ハーグ条約:国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約
米国下院第112議会付託法案【H.R.1940】(仮訳)
出典:平成23年5月23日 米国下院ホームページ
※この法案は日本に対する制裁法案です。国境を越えた連れ去りだけでなく、国内の連れ去りを禁止しなければ子の最善の利益は守られないし、もちろん整合性も図られません。
第112議会 H.R.1940
アメリカ合衆国が互恵的義務を享受している国々による、1980年ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事面に関する条約)の遵守を担保するため、他国に連れ去られた子供の迅速な返還の手続きを確立するため、およびその他の目的のために、
2011年5月23日 アメリカ合衆国下院において
ニュージャージー州選出Smith議員は(Wolf議員と共に)以下の法案を提出した。この法案は下院外交委員会のほか、同歳入委員会、金融委員会、司法委員会、監視・政府改革委員会にも付託された。下院議長が後日決定する期間の間、関係委員会の管轄下に入る条項は各委員会によって検討される。
法 案
アメリカ合衆国が互恵的義務を享受している国々による1980年ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事面に関する条約)の遵守を担保するため、他国に連れ去られた子供の迅速な返還のための手続きを確立するため、およびその他の目的のために、本法案が招集されるアメリカ合衆国上院および下院において法律となることを祈る。
第1項.略称
本法は「国際的な子の奪取の防止と返還に関する2011法」と略称することができる。
第2項.調査結果、議会の意見、目的
(a)調査結果 ― 議会は以下を知る
(1)1980年ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事面に関する条約)の
運営のための合衆国の担当機関である国務省の子供問題担当局は目下、親または法的保護者によって合衆国から他国に連れ去られた2,488人以上が関与する約1,793件の公になっている事例を取り扱っている。親による子の連れ去り事例の法的、現実的複雑性、および取り返す上での相当の障害を反映する多様な理由の故に、国務省にはすべての事例のうちほんのわずかしか報告されていない。
(2) 会計年度2010年において、合衆国の中央担当機関はハーグ条約のもと合衆国が互恵的義務を享受する国々へ合衆国から連れ去られた696人の事例に対応したが、その同一の期間においてわずか360人の子供たちがハーグ条約国から合衆国に返還されたに過ぎない。
(3) 合衆国の中央当局に報告されている国際的な子の奪取の継続中の事案の数は2006年以降約60%増加している。
(4)合衆国にいる親から連れ去られた子供を取り戻す上での障害を評
価する際、最初の困難はハーグ条約の締結国でありながら条約が規定する責任を遵守していない国々による。合衆国の中央当局によれば、St.KittsとNevisはハーグ条約の締結国として合意した条件を遵守していないし、バミューダ、ブラジル、ブルガリア、ブルキナファッソ、メキシコ、ホンジュラス、およびバハマは非遵守の姿勢を示してきた。これらの国々がその義務を果たしていないことは当該国の担当機関の行為、ハーグ条約を強制または満たすためになされた法的課程と決定に反映されている司法当局の措置、またはハーグ条約に準拠して宣告された命令の迅速な執行を担保する法執行機関の能力と意欲の中に見いだすことができる。アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、コスタリカ、フランス、ルーマニア、南アフリカ、スペイン、スイス、トルコはいずれも子供の返還および面会交流の命令の執行を2010年において為し得ていない。
(5) 合衆国とハーグ条約のほかの締結国は、条約を通じて、「子供たちの違法な連れ去りまたは拘留の有害な影響から国際的に子供たちを保護し、彼らが常居所である合衆国に速やかに帰れることを保証する手続きを確立し、加えて面会交流権を確保する」との願いを表明している。
(6) 合衆国からの子供連れ去りという問題を査定評価することにおいて、合衆国の中央当局は2010会計年度には523人の子供が合衆国から、親による子供連れ去り事件の取扱いに関し合衆国が合意を享受していないハーグ条約の締結国ではない国に、連れ去られた384の親による連れ去り事例につき警告した。連れ去りと面会交流の事例としては目下、積算合計として、日本で156人の子供が、インドで94人の子供が、ブラジルで60人の子供が、ロシアで29人の子供がいる。報告されている事例の数は、連れ去られた子供の居場所確認と連れ戻しの課程が国によって相当に異なり目下のところこのような事例に介入する正式な取り決めがないので、実際には該当している合衆国の子供の合計数よりもさらに小さな割合を示している可能性がある。
(7) 国務省の2010年4月の国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約の遵守に関する報告によれば、「親による子の連れ去りはその子を危険にさらし、その子と取り残された親の両方に対し相当な長期的影響を及ぼす。」
(8) 連れ去られた子供は深刻な情緒的、心理的問題の危険性にさらされていて、不安、食べることの問題、悪夢、感情起伏、睡眠障害、攻撃的な振る舞い、憤り、罪悪感、および恐怖感を体験することが分かってきている。ちょうど大人がアイデンティティ、自分個人の人間関係、養育に苦しむのと同様である。
(9) 取り残された親は相当な心理的、情緒的、金銭的問題に直面するかもしれないが、大多数は彼らの子供の取り戻しを試みる個人的な民事または刑事救済策を追求するのに必要な、巨額の財源を持たない。たとえ、このような救済策が外国の裁判所または政治システムにおいて活用できたか、または効果的であったとしてもである。
続きは、法案全文・日本語訳(仮訳)を参照ください。[クリックしてください]
ハーグ条約加盟へ、拒否規定を盛り込む方針 国内法整備を諮問
出典:平成23年6月7日 産経新聞
江田五月法相は6日、国際結婚が破綻した夫婦間の親権問題解決のルールを定めた「ハーグ条約」に政府が加盟方針を決めたことを受け、子供の返還に必要な司法手続きなど国内法の整備を法制審議会に諮問した。早ければ年明けにも答申される見通しで、来年の通常国会への法案提出を目指す。
条約は国際結婚が破綻した場合などに、相手の承認を得なければ子供を国外に連れ出すことを認めないもので、承認を得ずに出国した場合は子供を元の国に返還するのが原則。加盟すれば、ドメスティックバイオレンス(DV)などから逃れるために日本に帰国した妻子らが連れ戻されることが懸念されている。
政府は、子供を国外に連れ出す理由がDVだったり、連れ出した親が刑事訴追されたりした場合に拒否できる規定を国内法に盛り込む方針を示しており、法制審では拒否事項について具体的な検討を進める。また、子供の返還を求める国からの申請を受け、日本にいる親に対し、返還を命じるための裁判手続きを新設する。
江田法相は6日に開かれた法制審総会で諮問し、「できるだけ早期に答申いただけるようお願いしたい」と述べた。
ハーグ条約加盟に向け、法相が法整備を諮問
出典:平成23年6月7日 日テレニュース
国際結婚が破綻し、相手の同意なく子供を日本に連れ帰った場合に相手側から請求があれば子供を返還しなければならないハーグ条約への加盟に向け、江田法相は6日、法制審議会に対し、必要な法律の整備を諮問した。
政府が今年5月に加盟方針を明らかにしたハーグ条約では、国際結婚が破綻した場合、相手側の同意なく国外に子供を連れ出すことなどが原則禁止されている。そのため、相手側から請求があれば日本にいる親に子供を返還させる法律の整備などが必要となっており、江田法相は6日、必要な法律の検討を法制審に諮問した。
しかし、ハーグ条約をめぐっては、相手からの暴力を受ける子供や親が相手の同意なく帰国するケースも想定され、返還請求を拒否できる仕組みを設けるべきだという意見もあり、具体的な例外規定についても審議が行われる見通し。
また、法制審では刑事司法制度の見直しについても報告が行われ、近く設置する特別部会で司法取引を含めた新たな捜査手法の導入を含めた議論が行われる見通し。
ハーグ条約:加盟へ法整備を法制審に諮問 江田法相
出典:平成23年6月6日 毎日新聞
国際結婚が破綻した夫婦間の子供の扱いを定めたハーグ条約について、江田五月法相は6日、法制審議会(法相の諮問機関)に子供の返還を命令する司法手続きの法整備を諮問した。政府は5月に条約加盟の方針を閣議了解しており、答申を経て来年通常国会への条約承認案と関係法案の提出を目指す。
子供や離婚した妻への虐待が疑われる場合も想定され、返還拒否の例外規定を明確にする必要性が訴えられていた。条約は、子供の返還が身体的・精神的に被害を及ぼす恐れが認められれば、連れ帰った親は返還を拒否できると定めている。
一方、取り調べの可視化を含めた刑事司法制度の見直しも先月に諮問されており、同日の法制審総会に報告された。近く特別部会を設置して議論に入る。「検察の在り方検討会議」の3月の提言を受けた。可視化の法制化を中心に、おとり捜査や司法取引などといった新たな捜査手法の導入も議論する。【石川淳一】
ハーグ条約 国内法整備を諮問
出典:平成23年6月6日 NHK
江田法務大臣は、国際結婚が破綻した場合などに、相手の承認を得なければ子どもを国外に連れ出すことを認めない「ハーグ条約」の加盟に向け、必要な国内法の整備を検討するよう、法務大臣の諮問機関の法制審議会に諮問しました。
ハーグ条約は、国際結婚が破綻した場合などに、相手の承認を得なければ子どもを国外に連れ出すことを認めないとしたもので、承認を得ずに出国した場合には、元いた国に戻す手続きを定めています。政府は、このハーグ条約に加盟する方針を先月、閣議で了解しており、江田法務大臣は、6日に開かれた法制審議会の総会で、必要な国内法の整備を検討するよう諮問しました。法制審議会では、子どもの返還を求めるほかの国からの申請を受け、日本にいる親に対し、返還を命じるための裁判手続きを新設することや、親の暴力など子どもに危険が及ぶ場合に返還を拒否できるようにする規定などについて、具体的な検討が行われる見通しです。
G8ドーヴィル・サミット首脳会談でハーグ条約批准の国内準備状況を説明
出典:平成23年5月26日~27日 外務省ホームページ
- 日加首脳会談 5月26日
子の親権(ハーグ条約)
菅総理より,ハーグ条約については,20日の閣議で締結に向けた準備を進めることにつき政府として決定した旨述べたところ,ハーパー首相から,カナダとしても経験を共有していきたい旨述べた。
米国務省顧問「ハーグ条約、早期批准を」 日本などに呼びかけ
出典:平成23年5月26日 日本経済新聞
【ワシントン=中山真】米国務省のジェイコブス児童問題担当特別顧問は25日、世界失踪児童の日にあたって電話で会見に応じた。国際結婚の破綻などで子どもが親元から引き離された事件は米国では昨年だけで2千件以上報告されるなど、急増傾向にあると説明。日本などを念頭に国際結婚の破綻時の夫婦間の子どもの扱いを定めたハーグ条約の早期批准の必要性を訴えた。
ジェイコブス氏は国境を越えて子どもを引き離された親が被る影響について「外国の法的、文化的、言語的な壁に直面するだけでなく、長期的な金銭的な負担も強いられる」と指摘。国境を越えた子どもの連れ去りは重大な犯罪行為であり、解決した後も子どもや親に長期間にわたって被害を与えかねないと警告した。
日本が加入を検討しているハーグ条約については「奪取された子どもを子どもの定住地に迅速に連れ戻すルールを定めたもので、多くの国が参加する必要がある」と強調。一方で「誤解されることが多いが、ハーグ条約は親権そのものを決めるものではなく、親権の決定をどの国ですべきかということを定めるものだ」と理解を求めた。
ハーグ条約順守 日本を疑う声も 米下院公聴会
出典:平成23年5月26日 朝日新聞
米下院外交委員会小委員会で24日、国際結婚が破綻した夫婦の子どもの処遇を定めたハーグ条約に関する公聴会があった。菅政権は同条約加盟の方針を決めたが、日本にいる子の返還を求めている人からは「加盟後も日本は子どもを返還するつもりはないのでは」などの不信の声も出た。
スミス小委員長が「日本は条約批准のための国内法整備を発表したが、私は懸念している。条約を骨抜きにする例外や留保をつけるだろうからだ」と発言した。
海兵隊員だったとき日本人女性と知り合って結婚し、5歳の娘と3歳の息子の返還を求めて争っているマイケル・アライアスさんは「我が子の返還について、日本の在外公館は一切、協力してくれなかった」と訴えた。記者団に対して「日本と米国が交渉の席に着き、(子の返還に関する)手続きで合意する必要がある」と話し、多国間の枠組みである同条約に加え、二国間の合意の必要性を強調した。(ワシントン=勝田敏彦)
日本の条約履行に不安感 子供連れ去りで米公聴会
出典:平成23年5月25日 U.s. FrontLine
米下院外交委員会の小委員会で24日、国際結婚の破綻に伴い、日本人などの外国人配偶者が子どもを国外に連れ去る問題をめぐる公聴会が開かれた。日本政府は、国際的な親権問題に対処する「ハーグ条約」に加盟する方針だが、出席者からは条約加盟が実効性を伴うのか懸念する声が上がった。
「連れ去り」問題に長年取り組んでいる弁護士パトリシア・アピ氏は、配偶者が一方的に子どもを引き取ることが日本では犯罪と認識されていないと述べて懸念を表明し、日本国内での関連法案整備を見守る必要があると指摘。
日本の条約加盟後に、連れ去られた子どもの所在確認や元の国に戻す義務が確実に履行されるように、日米間で合意覚書を作成するよう提言した。(共同)
日本のハーグ条約加盟 米国人父親が公聴会で要求
出典:平成23年5月25日 テレビ朝日
国際結婚が破たんした場合の子供の扱いを定めたハーグ条約をめぐり、「日本人の母親が国に子供を連れ帰ったため会えなくなった」と訴える父親がアメリカ議会の公聴会で証言し、日本が条約に早く加盟するよう求めました。
証言した元海兵隊員、マイケル・エイリアス氏:「子供に両親が存在する権利があるはずだ。それを奪うのはやめるべきだ」「戦いをやめるつもりはない」
アメリカに住むエイリアス氏は24日、公聴会で、「去年の娘の4歳の誕生日にパソコンで顔を見て以来、日本にいる娘に会っていない」と涙ながらに証言しました。ハーグ条約は、一方の親が子供を勝手に自分の国に連れ帰ることを認めていません。日本政府はこれまで、「虐待などから子供を守るために連れ帰ることもあり、親子の保護が必要」などとして加盟を拒否してきました。しかし、欧米諸国から加盟を求める声が強まり、政府は方針を転換しました。菅総理大臣がフランスのG8サミットで、この方針を表明する見通しです。
日本への不信感噴出=子の連れ去りで公聴会-米下院
出典:平成23年5月25日 時事通信
【ワシントン時事】米下院外交委員会人権小委員会は24日、国際結婚の破綻後に外国人の妻に子供を連れ去られた米国人の夫らに意見を聞く公聴会を開いた。出席者は、この問題をめぐる日本人の対応は「不可解で不快」などと不信感をあらわにした。
元海兵隊員の男性は、日本人の元妻が2人の子供を日本に連れて帰った後、子供たちに一度も再会できていないと説明。男性の両親が訪日し、在京大使館を通じて接触を試みたものの無視され、「精神的に打ちのめされた」と語った。
男性はまた、日本が親権争いの解決ルールを定めたハーグ条約に加盟しても、事態は改善しないと指摘。日米両国は「法と人権に基づいて直接協議すべきだ」と強調した。
同じ公聴会に出席したこの男性の顧問弁護士は、ハーグ条約のような多国間の枠組みではなく、米政府は日本と2国間条約を締結するよう要請。小委のスミス委員長(共和党)は「素晴らしい提言だ」と評価し、引き続き当事者から意見聴取を続ける考えを示した。(2011/05/25-11:20)
ハーグ条約:一歩前進
出典:平成23年5月24日 英国外務省ブログ
ハーグ条約:一歩前進 トム・バーン英国大使館広報部長, 東京
今週、良いニュースがありそうです。日本の新聞は、管総理が、今週フランスで行われるG8サミットで、日本が、子供の奪取について定めるハーグ条約に加盟することを発表すると報じています。福山哲郎内閣官房副長官は、日本政府が同条約の発効に必要な法的手続きを推し進めることを確認しました。
何故、このことが重要なのでしょうか?
ハーグ条約とは、両親の一方が、もう片方の親の同意を得ずに、居住国から子供を連れ去る事件を取り扱うために国際的に使われる法的枠組みです。このような状況では、多くの場合、子供達のニーズが忘れられてしまいます。ハーグ条約の下では、 居住国の裁判所が、家庭が崩壊した状況下で見過ごされてしまいがちな子供の利益を保護する上で、極めて重要な役割を果たします。現在のところ、両親の一方が、もう片方の親の同意なしに子供を日本に連れ去った場合、子供がもう一方の親と二度と再会できない可能性があります。日本の国外に連れ去られた子供たちについても同じです。ハーグ条約に加盟していない日本の親は、自分の子供に面会する権利を保護するために、同条約を用いることができないのです。
今回の発表は、英国をはじめとする様々な日本のパートナー諸国が長きにわたりロビー活動を行った結果もたらされた前進であり、日本が国際的な最善の慣行に従うことによって、離婚や家庭崩壊により子供が親から永遠に引き離されることがないようにするためのものです。しかし、為すべきことがまだ残っており、私たちは、条約加盟に伴い整える必要のある国内法について、日本政府と引き続き連絡を取り合って行くつもりです。私達は、日本が条約の精神、文面共に組み込む努力をされると確信しております。このことは、条約が意図した通りに機能するために重要です。複雑で色々な感情に満ちたケースの多い家庭崩壊という状況下では、バランスの取れた公正な決定が行われることが必要不可欠です。その決定を行う最良の場所が居住国の裁判所なのです。
大使館の同僚達は、今後も、この問題について日本側との話し合いに参加いたします。また、ハーグ条約が遡及的に適用されないことから、英国人が関わる既存のケースの解決方法を探し出すよう日本側に求めてまいります。管総理が、今週、ハーグ条約加盟に伴う国内法整備について措置を講じることが広く期待されています。私たちは、このことを心から歓迎いたします。これは、公正でバランスの取れた、そして、何にもまして、巻き込まれた子供達の利益を中心に据える制度に向けて一歩前進することを意味するのです。
ハーグ条約 子どもの福祉最優先に
出典:平成23年5月22日 信州毎日新聞(社説)
国際結婚が破綻した夫婦の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」に、政府が加盟する方針を決めた。フランスで今週開かれる主要国(G8)首脳会議で、菅直人首相が表明する。
ハーグ条約は、国際結婚が破れて一方の親が無断で子どもを外国に連れ出した場合、もう一方の親の国にいったん戻す手続きを定めたもの。加盟国は返還を求められると、子どもの居場所を調べて元の在住国に戻す義務を負う。日本は先進7カ国のうちで唯一、加盟していなかった。
加盟に伴う国内法の整備がカギになる。親にドメスティックバイオレンス(DV)や児童虐待があった場合は返還を拒めるなど、子どもの福祉を第一とする仕組みを整えてもらいたい。
日本人がかかわる国際離婚の多くは、日本人女性が子どもを連れて帰国するケースだ。気になるのは、外国人の元夫からDVの被害を受けていた事例が少なくないこと。子どもの安全が脅かされる心配がある。国内に加盟への慎重論が根強いゆえんである。
一方で、現状を放置できない。子どもを連れて日本に帰国した女性が、元夫から「拉致だ」と訴えられて国際問題になっている。米国の裁判所は先ごろ、子どもを日本に連れ帰った元妻に4億8千万円の賠償を命じる判決を下した。
その逆もある。外国人の元配偶者に子どもを海外へ連れ去られるケースだ。居所を突き止めても、条約に加盟していないため返還を求めるルートがない。
こうしたトラブルの背景には、親権をめぐる欧米と日本の考え方の違いがある。欧米では離婚後も両方の親がそれぞれ親権を持つ「共同親権」が一般的だ。
日本は離婚の際、親権者を父母のどちらか一方に決める「単独親権」制度をとっている。このため親権の奪い合いがしばしば起き、親権がないために子どもと会えなくなる親も少なくない。ハーグ条約の加盟に伴い日本でも共同親権を認めるよう、民法改正を求める意見が出ている。
国連の「子どもの権利条約」は子どもが離れて暮らす親と会ったり連絡したりする権利を保障している。夫婦の関係が解消されても、子どもにとって両親には変わりない。本来は子どもが会いたいと願ったとき、自由に会える環境が望ましい。
虐待から子どもを守るため、親権制度の見直しが進んでいる。政府は離婚後の子どもの養育面からも、見直しを図ってもらいたい。
ハーグ条約加盟を閣議了解 国際結婚破綻時の子の扱いで
出典:平成23年5月20日 日本経済新聞
政府は20日の閣議で、国際結婚が破綻した場合の子どもの扱いを定めたハーグ条約に加盟する方針を了解した。加盟に必要な国内法案を策定し、今秋の臨時国会で承認を得たい考え。菅直人首相は26~27日に仏ドービルで開く主要国首脳会議(サミット)に出席し、オバマ大統領ら各国首脳に加盟方針を伝える。
閣議では法律案の骨子を了承。子を元の居住国に戻せば暴力などの「重大な危険」が想定される場合などは、返還を拒否できることも明記した。国内外の関係機関との調整窓口となり返還手続きを進める「中央当局」は外務省に設置する。
ハーグ条約は国際結婚が破綻した際に、一方の親が無断で国外に連れ出した子どもを、元の居住国に戻した上で親権争いを決着させる手続きを定める。主要国で加盟していないのは日本やロシアなど少数。米国など欧米各国は日本に早期加盟を求めていた。
ハーグ条約加盟へ 法整備閣議了解
出典:平成23年5月20日 NHKニュース
政府は、国際結婚が破綻した場合などに、相手の承認を得ないで子どもを国外に連れ出すことを認めない「ハーグ条約」への加盟に向け、必要な国内法の整備を急ぐことを、20日、閣議了解しました。
ハーグ条約は、国際結婚が破綻した場合などに、相手の承認を得ないで子どもを国外に連れ出すことを認めず、出国した場合には、元いた国に戻す手続きを定めたものです。政府は来週、フランスでG8=主要国首脳会議が開かれるのを前に、条約に加盟する方針を決め、加盟に必要な国内法の骨子案を基に法整備を進めることを20日に閣議了解しました。国内法の骨子案は、外務省に条約関連の事務を担う「中央当局」という名称の担当部局を新設し、この「中央当局」が子どもの返還を求める他国からの申請を受け、子どもの所在の調査と特定を行うなどとしています。また、親に返還を命じるための裁判手続きを新たに設け、子どもに危険が及ぶ場合など、返還を拒否できることも規定するとしています。ハーグ条約を巡る政府の対応について、枝野官房長官は「ケースごとに事情状況が異なる難しい問題だが、国際社会との交流が深まっているなか、国際社会の一定の基準に整合性を取ることが望ましい。同時に子どもの福祉の確保も担保できたと思っている」と述べました。
ハーグ条約:子の利益、十分検討を 返還拒否は限定的
出典:平成23年5月20日 毎日新聞
ハーグ条約への加盟方針が20日に閣議了解され、政府は必要な国内法整備に着手する。外務省によると、外国から子供を連れ去ったとして日本政府に寄せられた事例は今月現在で米英など4カ国で209件。条約に加盟していない現状では、連れ去った親は元の国に戻れば、誘拐罪などで訴追されるリスクを負う。世界では年約1300件が条約に沿って処理されているといい、国際結婚の増加を背景に、国際ルールへの参加は時代の要請とも言えるだろう。
だが、日本人母が子を日本に連れ帰るケースが目立ち、中には子供や母が父から虐待を受ける例も多いという。条約は、子供を肉体的・精神的危険にさらす場合には返還を拒否できると定めるが、世界的には裁判所による返還拒否決定は20%。拒否決定は限定的だと言わざるを得ない。
こうした実態から「条約加盟は子の利益につながらない」(ある法律家団体)との声がある。一方で、法務省幹部は「日本だけ例外規定を甘くすれば、国際世論の批判を浴びる」と懸念する。この間にも日米では、離婚後に日本に連れ帰られた子供を取り戻そうとした米国人夫が日本の警察に逮捕され、逆に米国の裁判所で日本人の元妻に5億円弱の支払いを命じる判決を得た例も出ている。
今回の加盟方針は、米欧主要国からの「外圧」を受けて、菅直人首相がG8(主要8カ国)首脳会議の「手みやげ」として準備を急がせたとの指摘が政府内で出ている。早期の立法化と条約加盟を楽観する見方もあるが、法整備に当たっては親の切実な声にも耳を傾け、子の利益を真に追求するための十分な検討が必要だ。【石川淳一】
ハーグ条約加盟閣議了解
出典:平成23年5月20日 東京新聞
政府は二十日午前、国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」への加盟に向け、関連法の整備を進める方針と法案の骨子を閣議了解した。菅直人首相は二十六、二十七両日にフランスで開かれる主要国(G8)首脳会議で加盟方針を表明する。政府は年内にも条約承認案と関係法案を国会に提出したい考えだ。
枝野幸男官房長官は二十日の記者会見でハーグ条約加盟について「国際社会との整合性をとることが望ましい。子どもの福祉に悪影響を及ぼさない手当て、配慮は十分にした」と述べた。
加盟後は、親が国外に連れ出した子どもへの親権を決着させるため、原則としていったん子どもをもともといた国に戻すことが義務付けられる。
法案の骨子には(1)外務省に国内外の関係機関との調整や実務を担う組織「中央当局」を新設(2)子どもを国外に連れ出す理由が親から子どもや配偶者への暴力だったり、連れ出した親が元いた国で刑事訴追される場合は子どもの返還を拒否できる-が盛り込まれた。
ハーグ条約加盟を閣議了解 菅内閣
出典:平成23年5月20日 朝日新聞
菅内閣は20日、国際結婚が破綻(はたん)した夫婦の子どもの処遇を定めたハーグ条約に加盟する基本方針と、日本国内に連れてこられた子どもの所在を政府が責任を持って特定することを柱とした国内法案の骨子を閣議了解した。
ハーグ条約は、一方の親が双方の合意なしに子どもを国境を越えて連れ出した場合、子どもの監護を元の居住国で決めるため、子どもを元の国に戻す手続きを定めている。
加盟に必要な国内法案の骨子では、条約関連の事務を執り行い、他国から返還を求められた子どもの所在を調査する「中央当局」を外務省に設置。子どもを連れている親に裁判所が返還を命じるための手続きも新たに設ける。また、配偶者や子どもが家庭内暴力(DV)被害を受けていた場合に配慮し、さらなる暴力を受ける恐れがある場合には返還を拒否できる、といった例外規定も盛り込んだ。
ハーグ条約の閣議了解要旨
出典:平成23年5月20日 時事通信
20日に閣議了解されたハーグ条約に関する方針の要旨は次の通り。
条約締結に向けた準備を進め、必要な法案を作成する。法案作成に当たっては、中央当局を外務省に設置し、以下のような事由がある場合に子の返還を拒否できる内容を盛り込む。
1.子が申立人から暴力を受けたことがあり、返還した場合にさらなる暴力を受ける恐れがある。
1.子を連れ去った親が申立人から暴力を受けたことがあり、子と共に帰国した場合にさらに暴力を受ける恐れがある。
1.子を連れ去った親が入国できない、刑事訴追の恐れがある、生計維持が困難などの事情があるため、元の居住国で子を監護できない。
1.その他、子に身体的・精神的な害を及ぼし、重大な危険がある。
ハーグ条約加盟を閣議了解 政府、関連法案整備へ
出典:平成23年5月20日 共同通信
政府は20日午前、国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約2 件」への加盟に向け、関連法の整備を進める方針と法案の骨子を閣議了解した。菅直人首相は26、27両日にフランスで開かれる主要国(G8)首脳会議で加盟方針を表明する。政府は年内にも条約承認案と関係法案を国会に提出したい考えだ。
枝野幸男官房長官は20日の記者会見でハーグ条約2 件加盟について「国際社会との整合性をとることが望ましい。子どもの福祉に悪影響を及ぼさない手当て、配慮は十分にした」と述べた。
ハーグ条約 加盟の方針を決定
出典:平成23年5月19日 NHKニュース
ハーグ条約 加盟の方針を決定
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国際結婚が破綻した場合などに、相手の承認を得ないで子どもを国外に連れ出すことを認めない「ハーグ条約」について、政府は19日に開いた関係閣僚会議で、条約に加盟する方針を決め、今後、担当部局を外務省に新設することなど、加盟に必要な国内法の整備を急ぐことを確認しました。
ハーグ条約は、国際結婚が破綻した場合などに、相手の承認を得ないで子どもを国外に連れ出すことを認めず、出国した場合には元の国に戻す手続きを定めたものです。政府は、アメリカやフランスなどから加盟を求められるなか、来週、G8=主要国首脳会議が開かれるのを前に、19日、枝野官房長官や江田法務大臣、それに松本外務大臣らによる関係閣僚会議を開き、最終的な対応を協議しました。その結果、ハーグ条約に加盟する方針を決め、今後、加盟に必要な国内法の整備を急ぐことを確認しました。また、国内法については、外務省に条約関連の事務を担う「中央当局」という名称の担当部局を新設する、さらに、親に返還を命じるための裁判手続きを新たに設け、子どもに危険が及ぶ場合など、返還を拒否できることも規定するなどとした骨子案が示され、了承されました。政府は20日の閣議で、「ハーグ条約」に加盟する方針を正式に了解することにしています。
ハーグ条約加盟方針、関係閣僚会議で決定 首相、サミットで米仏に伝達へ
出典:平成23年5月19日 日本経済新聞
ハーグ条約加盟方針、関係閣僚会議で決定 首相、サミットで米仏に伝達へ
政府は19日午前、国際結婚が破綻した場合の子どもの扱いを定めたハーグ条約に関する関係閣僚会議を開き、同条約に加盟する方針を決めた。20日に閣議了解し、早ければ次の臨時国会で承認を得たい考えだ。菅直人首相は26日から仏ドービルで開く主要国首脳会議(サミット)の際に、米国やフランスに加盟方針を伝える見通し。
福山哲郎官房副長官は記者団に「子どもの福祉を第一に考えたうえで、加盟してもいいのではないかという結論に至った」と述べた。
閣僚会議では、国内外の関係機関との調整窓口となる「中央当局」を外務省内に設置することを決定した。家庭内暴力などから逃れるために日本に帰国した妻子らが連れ戻される懸念があることに配慮し、返還を拒否できる条件を新たな国内法で定めることも確認した。
政府が検討している新法の骨子案では、片方の親が海外の定住国から16歳未満の子どもを日本に連れ去った場合、もう片方の親から申し立てがあれば、裁判所が子どもを元の居住国に返還するよう命じなければならないと規定した。
そのうえで(1)子どもが返還申立人から暴力を受けた(2)子を連れた親が申立人から暴力を受けた(3)子を連れた親が元の居住国に入国できない(4)返還が子どもに害を与える――ことを証明できれば返還拒否が可能だとしている。早ければ次の臨時国会に法案提出し、条約承認への環境を整えたい考えだ。
国内では邦人保護の観点からハーグ条約の加盟に慎重論も根強い。米テネシー州ウィリアムソン郡の裁判所は9日、離婚した日本人の妻が日本に連れ帰った子ども2人の返還を求めている米国人が元妻に損害賠償を求めた民事訴訟で、610万ドル(約4億9000万円)の支払いを命じた。
この米国人は離婚後の2009年に、子ども2人を取り戻そうとして未成年者略取容疑で福岡県警に逮捕され、起訴猶予となった経緯がある。国会での条約承認に向けては、返還拒否できる条件を、どこまで国内法に盛り込むかが焦点となりそうだ。
ハーグ条約に加盟方針 菅政権 19日に関係閣僚会議
出典:平成23年5月19日 朝日新聞
ハーグ条約に加盟方針 菅政権 19日に関係閣僚会議
菅政権は、国際結婚が破綻(はたん)した夫婦の子どもの処遇を定めたハーグ条約に加盟する方針を固めた。19日の関係閣僚会議で基本方針を確認し、20日には条約実施に必要な国内法骨子案とともに閣議了解する。欧米諸国から求められてきた条約加盟への意思を政権として明確にする。
ただ、実際に加盟するには「日本国内に連れてこられた子どもの所在を政府が責任を持って特定し、返還に向けた手続きも進める」という内容の国内法を新たに制定しなければならない。20日は国内法の骨子案を了解する段階にとどまる。さらに条約には国会承認も必要で、加盟に向けた具体的な手続きは今秋の臨時国会以降となる見通し。
政権は関係閣僚会議で「条約に加盟する」との基本的な姿勢と、国内法整備など「必要な作業を開始する」との言葉を盛り込んだ方針を確認する。
国内法の骨子案では、条約関連の事務を執り行う「中央当局」を外務省内に置く。他国から子どもの返還を求める申請を受けて所在を調査するほか、関係機関や自治体に情報提供を求める。また、裁判所が子どもの返還を命じた場合は元の国に戻す措置を講じる。
ハーグ条約は「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」が正式名称で、1980年に採択され、83年に発効。米、英、仏など欧米中心に84カ国が加盟している。日本はこれまで、日本人の元妻が外国人の元夫から家庭内暴力(DV)被害を受けて子を連れ帰った場合、母子を保護すべきだとの意見が根強いことなどから、加盟してこなかった。
菅直人首相は26、27両日に仏ドービルである主要国首脳会議(G8サミット)に出席するが、米国などとの首脳会談で政権の方針を伝える考えだ。
政府、ハーグ条約加盟を決定 窓口は外務省に
出典:平成23年5月19日 産経新聞
政府は19日午前、首相官邸で国際結婚が破綻した夫婦間の親権問題解決のルールを定めた「ハーグ条約」に関する関係閣僚会議(座長・枝野幸男官房長官)を開き、同条約に加盟する方針を決めた。
20日の閣議了解を経て、国内法策定作業に入る。菅直人首相が26、27両日に開かれる主要国首脳会議(仏ドービル・サミット)の際、オバマ米大統領など各国首脳に表明する見通し。政府は早ければ年内にも、条約承認案と関係法案を国会に提出したい考えだ。
この日の会議では関係法案の骨子も確認。各国との交渉窓口となる組織の外務省への設置や虐待が疑われる場合の子供の返還拒否-などを盛り込む。
福山哲郎官房副長官は会議後記者団に「子供の福祉を第一に考えた上で、加盟をしてもいいのではないかという結論に至った」と説明した。
条約は国際結婚が破綻して一方の親が無断で子供を国外へ連れ去った際、いったん元の居住国に戻して子供の親権問題を決着させることが原則。近年、日本人の母親が外国籍の子供を日本へ連れ帰る事例が増加、欧米諸国を中心に加盟を求める声が高まっていた。
ハーグ条約:法務省が来月にも国内法整備諮問
出典:平成23年5月19日 毎日新聞
国際結婚が破綻した夫婦間の子供の扱いを定めた「ハーグ条約」について、法務省は6月にも、司法手続きなどを定める国内法整備を法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する方向で最終調整に入った。20日に条約加盟の方針が閣議了解される見通しとなり、同省が必要な法案策定に着手する。早ければ年明けにも答申を得て、来年の通常国会への法案提出を見込んでいる。
条約加盟を巡っては、外交交渉に当たる中央当局を政府のどこに設置するかや条約を担保する国内法整備の論点整理などが今後の課題。民事の基本的な手続きを定める立法が必要となるため、法制審での議論が不可欠と判断した模様だ。条約加盟国同士では子供を元の国に返還するのが原則だが、児童虐待が疑われるケースなど、返還拒否が求められるケースも想定される。条約は、子供を肉体的・精神的危難にさらす場合に拒否できるとしているが、拒否の判断は厳しく行われている実情もあり、拒否規定制定が主な論点になるとみられる。【石川淳一】
「中央当局」は外務省=ハーグ条約
出典:平成23年5月18日 時事通信
政府は18日、国際結婚した夫婦が離婚した後の親権争いの解決ルールを定めたハーグ条約について、加盟の際に必要となる国内法案の骨子をまとめた。骨子には条約上の事務を統括する「中央当局」を外務省にすると明記。配偶者暴力(DV)から逃れるため日本人の親が子を連れて帰国した場合は、子の返還を拒否し得ることも記した。条約への加盟方針と併せて19日の関係閣僚会議で決定し、20日に閣議了解する運びだ。
同条約は一方の親が国外に子を連れ去った場合、親権争いを決着させるため、原則として子をいったん元の居住国に戻すことを加盟国に義務付けている。中央当局は外国人の親からの請求を受け付け、子の居場所を発見し、元の居住国に返還する役割を担う。(2011/05/18-19:12)
子の返還、暴力証明で拒否 ハーグ条約で新法骨子案
出典:平成23年5月15日 日本経済新聞
国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めたハーグ条約への加盟に向け、政府が検討している新法の骨子案が14日、分かった。家庭内暴力から逃れるために日本に帰国した妻子らが連れ戻される懸念があることを踏まえ、家庭内暴力が証明されれば子どもの返還を拒否できるようにする。政府は近く骨子案を閣議了解し、加盟を正式に表明する。早ければ次の臨時国会に法案を提出する見通しだ。
帰国した妻子らの連れ戻しを拒否できるケースについては
(1)子どもが申立人から暴力を受けた
(2)子を連れた親が申立人から暴力を受けた
(3)子を連れた親が元の居住国に入国できない
(4)返還することで子どもに害を与える
ことを証明できれば可能だとした。
同条約は国際結婚が破綻した際に、片方の親が無断で国外に連れ出した子どもを元の居住国に戻したうえで親権争いを決着させる手続きを定めている。骨子案は片方の親が海外の定住国から16歳未満の子どもを日本に連れ去った場合、もう片方の親から申請があれば裁判所が子どもを元の居住国に返還するよう命じなければならないと規定する。
ハーグ条約加盟へ国内法骨子案をまとめる
出典:平成23年5月14日 NHKニュース
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政府は、国際結婚が破綻した場合などに、相手の承認を得ないで子どもを国外に連れ出すことを認めない「ハーグ条約」に加盟する方針を固め、政府内に、この条約の担当部局を新設することなどを盛り込んだ、加盟に必要な国内法の骨子案をまとめました。
「ハーグ条約」は、国際結婚が破綻した場合などに、相手の承認を得ないで子どもを国外に連れ出すことを認めず、出国していた場合には元にいた国に戻す手続きを定めたもので、日本はアメリカやフランスなどから加盟を求められていました。こうしたなか、政府は今月下旬にフランスで主要国首脳会議が開かれるのを前に、条約に加盟する方針を固め、加盟に必要な国内法の骨子案をまとめました。それによりますと、政府内に「中央当局」という名称の担当部局を新たに設置し、条約関連の事務を担わせるとしたうえで、この「中央当局」が、子どもの返還を求める他国からの申請を受けて、子どもの所在の調査と特定を行うなどとしています。また、親に返還を命じるための裁判手続きを新設し、子どもの返還を求めた親が、その子どもに暴力をふるうおそれがある場合や、子どもを連れ帰った親が、元いた国に戻れば、逮捕・刑事訴追されるおそれがある場合は、返還を拒否できるとしています。政府は、この骨子案を、来週、閣議了解し、法案の作成と条約の加盟に向けた準備を進めることにしています。
国際結婚の子、政府が所在確認 ハーグ条約加盟へ法案
出典:平成23年5月13日 朝日新聞
国際結婚が破局した夫婦の子どもの処遇を定めたハーグ条約に加盟することを念頭に、菅政権が検討している国内法の骨子案が判明した。日本国内に連れてこられた子どもの所在を政府が責任を持って特定することが柱で、近く骨子案を閣議了解する方針だ。
菅直人首相は欧米の強い要請を受けて条約加盟を検討している。加盟するには子どもを連れ戻すための手続きを定める国内法を新たに制定する必要がある。
骨子案によると、条約関連の事務を執り行う「中央当局」として政府内に担当部局を新たに設置。他国から子どもの返還を求める申請を受け、所在を調査して特定する。その際、関係機関や自治体に情報提供を求めることができるようにする。条約発効前に発生した事案はさかのぼって適用されることはないとした。
子どもを連れている親に返還を命じるための手続きも設ける。返還を求めた親による子どもやもう片方の親への暴力の恐れがある場合や、子どもを連れている親が返還先の国で刑事訴追される恐れがある場合は、返還を拒否できるとした。
政府・立法の不作為により数百人の子どもたちが国内に連れ去られ、既に連れ去った子どもは返還しないという日本の姿勢は、国際社会から糾弾されるでしょう。
東日本大震災の海外からの支援の恩を仇で返すのでしょうか。日本人として恥ずかしい。
ハーグ条約加盟方針を了承=民主
出典:平成23年5月12日 時事通信
民主党は12日の政調拡大役員会で、国際結婚が破綻した後の親権争いの解決ルールを定めたハーグ条約に加盟する方針を了承した。政府は19日にも関係閣僚会議を開いて加盟方針を決定し、20日に閣議了解する見通し。
同条約は一方の親が国外に子を連れ去った場合、子をいったん元の居住国に戻し、その国の手続きで親権争いを決着させることを加盟国に義務付ける内容。(2011/05/12-20:27)
ハーグ条約加盟の方針固める
出典:平成23年5月12日 NHKニュース
ハーグ条約加盟の方針固める
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政府は、国際結婚が破綻した場合などに相手に無断で国外に連れ帰った子どもを元の国に戻す手続きを定めた「ハーグ条約」について、子どもの返還を拒否できる事由を明確にした国内法を制定したうえで、条約に加盟する方針を固めました。
「ハーグ条約」は、国際結婚が破綻した場合などに相手に無断で子どもを国外に連れ出すことを認めず、元の国に戻す手続きを定めた国際的な取り決めで、80か国以上が加盟しています。日本は、家庭内暴力が原因で離婚した場合は子どもに危険が及ぶおそれがあるなどとして、加盟していませんが、アメリカやフランスから離婚した日本人が子どもを無断で日本に連れ帰りトラブルが相次いでいるとして、加盟を求められています。こうしたなかで、政府はことし1月から外務省や法務省など関係省庁による検討を進めてきましたが、今月下旬にフランスでG8=主要国首脳会議が開かれるのを前に、子どもの返還を拒否できる事由を明確にした国内法を制定したうえで、条約に加盟する方針を固めました。返還を拒否できる事由としては、子ども自身が虐待されていた場合のほか、子どもの目の前で親が暴力を振るわれていた場合も盛り込む方向で調整が進められる見通しです。政府は、早ければことし秋にも法案を国会に提出したい考えです。
外相、国際結婚巡るハーグ条約加盟に前向きな姿勢示す
出典:平成23年5月10日 日本経済新聞
松本剛明外相は10日の記者会見で、国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めたハーグ条約について「加盟している国の数を考えると、一定の国際的ルールに乗るべきだ」と述べ、加盟に前向きな意向を示した。
日本に子供を連れ帰った日本人女性に対し、米国人の元夫に約4億8900万円を支払うよう命じた米国の民事訴訟については「法律的に違う土俵に乗っている中で出てきた」と指摘した。
政府、5月にハーグ条約加盟表明へ
出典: 日本経済新聞 平成23年4月28日
政府は27日、国際結婚が破綻した場合の親権争いの解決ルールを定めた「ハーグ条約」に加盟する方向で調整に入った。6月にも国際社会に加盟方針を表明し、今秋の臨時国会での条約承認と、国内関連法の成立を目指す。
同条約は国際結婚が破綻した際に、片方の親が無断で国外に連れ出した子どもを、元の居住国に戻して親権争いを決着させる手続きを定めたもの。主要国で加盟していないのはロシアや日本など少数で、米国やフランスなどが早期加盟を求めていた。
加盟にあたっては、家庭内暴力から逃れて帰国した親子が連れ戻されるという懸念もある。加盟の是非を検討している関係省庁の副大臣級会議では、子どもを元の国に戻すことを拒否できる条件を新たな国内法で定める方針。すでに法案の骨子をまとめて、与党に提示している。
更新 2016-02-03 (水) 22:53:17
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