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平成29年5月23日、産経新聞

離婚後の父が“復讐鬼”? 子供との「面会交流」で殺害の悲劇が止まらない

出典:平成29年5月23日 産経新聞

離婚後の父が“復讐鬼”? 子供との「面会交流」で殺害の悲劇が止まらない

 離婚後に子供を引き取った親が、元配偶者に子供を会わせる面会交流中に、悲惨な殺害事件が相次いでいる。米国でも同様の事件が毎年起こっており、寂しさを募らせた父親の「復讐(ふくしゅう)」とみなす見解もある。一方で、多額の“罰金”を科すことで親と子供の面会を義務付ける裁判命令や、同様の法案作りが進んでいることもあり、関係者は「事件の教訓をくみ取ってほしい。子供たちの安全が最優先だ」と訴えている。

■娘を殺して首つり自殺
 「子供と連絡が取れない」。元妻は悲痛な叫びで110番通報した。兵庫県伊丹市のマンションのリビングで4月23日、男性(40)が健康器具に巻いたネクタイで首をつった状態で、女児(4)の首にも巻かれたネクタイが器具とつながっていた姿が発見された。
 伊丹署によると、離婚した男性が長女と面会中に長女を絞殺後、首をつって自殺したとみられるという。昨年離婚してから、元妻が子供を引き取り、この日は月1回の初めての父親面会だったという。
 長崎市では1月、女性(28)が、子供を元夫(30)に面会交流のため送り届けた後、殺害された。元夫も殺害後に首をつって自殺。長崎県警によると、両親は昨年離婚後、定期的に子供を面会させる取り決めを交わしていたという。
 こうした離婚後の面会の義務付けは、平成23年の民法改正が拍車をかけた。改正後の民法766条では、父母が協議離婚する際の「子の監護について必要な事項」の具体例として、「父または母と子との面会及びその他の交流」(面会交流)と「子の監護に要する費用の分担」(養育費の分担)を明示した。
 民法改正に伴い、家庭裁判所も交流の原則実施に舵を切る。東京家裁は昨年10月、別居している長女との面会交流に夫が応じないとして、1回の拒否につき100万円を妻に支払う命令を出した。

■米国では年間70件の殺害
 超党派の国会議員は現在、離婚後の親子の面会を促す「親子断絶防止法案」の国会提出を目指している。法案は「子供の利益」を最優先に考え、夫婦が離婚後も適切な親子関係が維持されることが大切だという考えに基づいている。
 ただ、母子支援に携わる弁護士らは「児童虐待やDVのケースへの配慮が明確でない」として法案に反発。特に父母間で対立が激しい場合は、子供の心身に悪影響を及ぼすと危惧している。
 関係者によると、米国では面会交流で子供が殺される事件が年間平均約70件あり、父親の殺しの動機が「去っていった母親への復讐が、子の殺害だ」とする米国研究者の見解もある。
 オーストラリアでは2006年に親子断絶防止法が制定されたが、父親が面会中の子を殺害する事件が起きたため、その後、子の安全を重視する法改正が行われた経緯がある。
 武蔵大の千田有紀教授(社会学)は「裁判所がすべきことは面会を一律に押し付けることではない。面会交流を支援する民間機関を活用する方法もあるが、日本では数が少なく、利用者側の費用の負担も大きい。国の積極的支援が求められるほか、支援機関が専門家として、裁判所と協力して面会の結果を検証するなどの必要がある」と強調する。

■面会後に子供に悪影響
 面会交流による子供側への悪影響も懸念されている。
 ドメスティックバイオレンス(DV)の家庭にいて離別した子供が、離婚後に親と面会することで、ひきこもりや抑鬱状態になるなど情緒や行動に問題が増えることが、東京大院医学系研究科のキタ幸子助教らの研究グループの調査で判明した。
 調査は平成27年3月~28年12月に、全国のDV相談施設などの協力を得て、DV加害者と別居し、4~18歳の子供を持つ母親など38世帯51人に対し、子供と父親の面会の頻度、面会後の子供の反応などを尋ねた。
 調査結果では、DV被害の平均期間は約10年で、離別から平均7年の別居状態にあった。父親と子供の面会は、平均年間2・2回だった。
 面会後の子供の状況を尋ねたところ、2人に1人が抑鬱状態になったり、攻撃的な行動を取ったりする問題が生じたという。父親と「面会なし」と答えた人と比べると、問題は10倍以上になったという。研究は「DV加害者である父親との面会は、子供の健康や行動的発達に悪影響を及ぼす可能性がある」と結論付けた。
           ◇
 ■「ドメスティックバイオレンス(DV)」 夫から妻、親から子供など近い関係者間での暴力行為。生活の本拠をともにする交際相手や、離婚した者も含む。ドメスティックは「家庭内」という意味。肉体的暴力だけでなく、言葉の暴力や、物の破壊なども含む。

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