民法819条(単独親権制度)改正を求め共同親権・共同監護制度の導入・ハーグ条約締結の推進と活動を行っています

中日新聞社への抗議・質問書

中日新聞社への抗議・質問書

中部 共同親権法制化運動の会

                                平成29年6月1日
中日新聞社
代表取締役社長 小出宣昭 様
取締役 論説担当兼東京本社論説主幹 深田 実 様

        記事の疑義申し立て及び公正性に関する質問状

 私たちの会は、一方の親による別居時の違法な子の連れ去りとその後の別居親子の引き離しによる親子の断絶問題の解決に取り組んでおり、名古屋を中心に活動している別居親団体です。
 貴社の下記の記事は、同居親側の言い分だけを取り上げた一方的かつ偏向的な記事と指摘せざるを得ません。事実、別居親側の取材、記事化を怠るなど公平・公正な扱いがありませんでした。また、出典が示されないデータなどを用いて、別居親の人権を侵害するとともに、別居親に対する差別を著しく助長しています。その結果、親子断絶防止法の制定により、面会交流の機会拡大で親子の絆を守ろうとする別居親の尊厳を踏みにじっています。よって、書面にて抗議するとともに、疑義のある記述について質問させていただきます。
【該当記事】
①平成29年5月29日付 東京本社版朝刊 核心
「別居親との面会 法制定の動き 子の利益『慎重に判断を』 相次ぐ事件 義務化案に懸念」
②平成29年5月29日付 名古屋本社版朝刊
「義務化法制定の動き 別居親子面会 懸念も DV家庭の子など悪影響」

1.該当記事の問題部分について

 記事で取り上げられている3人の「専門家」がすべて、親子断絶防止法案の反対派で占められ、推進派の声が一切、記事化されておらず、公平・公正な扱いとは言い難い記事です。その結果、別居親側を不当に貶めています。以下、具体的にその問題点を指摘します。

1)同居親側の斉藤秀樹弁護士
 最初に取り上げた神奈川県弁護士会所属の斉藤秀樹弁護士は、同居親側の声を代弁する弁護士として知られています。事実、『週刊金曜日』2017年5月19日号で、別居親=DV加害者、同居親=DV被害者と短絡的に結びつける記事を寄稿しています。同居親と別居親が争う離婚訴訟などの家事事件において、主に同居親側の依頼を受任する弁護士の一方的な主張を社会の公器である貴紙が、今回掲載しました。記事では、子どもの最善の利益のために面会交流の重要性を肯定する有識者の意見や別居親側の主張は全く取り上げられていません。一方の当事者の主張のみを取りあげており、社会の公器たる新聞が公正・公平な扱いを無視したことを意味し、報道倫理上、許されることではありません。さらに貴紙は「面会交流は子どもにとって良いことだと言われるが、DVがあった別居親との面会では、子どもたちは長期にわたり悪影響を受けている」という斉藤弁護士の主張の裏付け取材をどのように行ったのでしょうか。

2) 法案反対派の千田有紀・武蔵大学教授
 千田有紀教授は法案反対派としてYahooニュースなどで積極的に意見を発信しています。最近は今年4月24日に「また起こってしまった伊丹市の面会交流殺人事件――離婚直後の面会交流のリスク」を執筆していますが、この内容が今回の貴紙の記事に酷似しています。「千田教授を取材したのだから似ているのは当然」という見方も成立するかもしれませんが、千田教授のコメント後の「子どもと別居する親に面会交流の権利が認められている米国では、面会交流中に子どもが殺される事件が年平均約七十件起きているという。その動機は元妻への復讐だとする米研究者の見方もある」という記述は、誰がそのように発言しているのか、さらに、その出典から導き出した数値など報道した内容が正確なものかどうか、貴紙は裏付け取材をされたのでしょうか。

3)臨床心理士の酒井道子氏も法案反対派
 この方も、法案反対派として知られ、貴紙でも面会交流や家庭裁判所の運用に否定的な見解を述べています。

 以上のように該当記事で取り上げられた3人の専門家はいずれも法案の反対派です。推進派の発言は皆無です。これは貴紙の「ニュースや評論に着色することがあってはならない」「友人の言と同様に反対者の言も聞かれねばならない。自己の信念に忠実であることは必要であるが、独善に陥ってはならない。広く聞いて公正に、深く聞いて寛容であることが必要である」などと定めた編集綱領に反しています。

2.法案反対派の世論操作に加担

 厚生労働省が昨年9月16日に公表した「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第12次報告)」5頁によると、平成26年度に心中で死亡した子は27人、心中以外で虐待死した子は44人と合わせて71人の子が虐待により犠牲となりました。心中による27人の虐待死の主たる加害者は、「実母」が23人(85.2%)、次いで「母方祖父」が1人(3.7%)です(第12次報告19頁)。この統計では心中による27人の虐待死の内、面会交流時の件数は集計されてはいませんが、日本では離婚時に母親が親権者となる割合は8割以上となっている事を考慮すると、記事で取り上げた「離婚前後の気持ちも生活も落ち着いていない時期に、面会交流を行うことことには危険が伴う」という千田教授の指摘は、こうしたデータと矛盾します。記事は、国内の実情と違う認識を恣意的に読者に作出しようとする「世論操作」に該当すると指摘せざるを得ません。
※「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第12次報告)」
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000137030.pdf

3.面会交流の必要性

 前述の「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第12次報告)」37頁によると、第3次報告から第12 次報告における心中による虐待死事例の推移をみると、養育者が「実父母」と「一人親(離婚)」である事例が継続して多く、また、心中以外の虐待死事例と比較すると、「一人親(離婚)」の割合が多い傾向にあるとしています。
 実母による子の虐待死が多くの割合を占める中、子どもと別居親の面会交流は、同居親やその交際相手などによる虐待死を防ぐセーフティネットになり得ると私たちは考えます。いずれにしても、記事は面会交流に積極的な別居親側の意見を代弁できる識者、専門家の声も掲載しバランスをとる必要があったのではないでしょうか。そもそも、『週刊女性PRIME』(5月17日11時半の記事)によると、母親側はこのような惨事にも関わらず、面会交流を否定していません。中日新聞の記事は面会交流の機会拡大を妨害するだけでなく、面会交流そのものを否定し、別居親の人権を侵害しています。
※『週刊女性PRIME』5月17日11時半の記事の該当箇所:
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170517-00009681-jprime-soci
「子どもが会いたいと言うのなら父親には会わせるつもりでしたし、その気持ちを酌むのが親の役割。子どもに会えないのは寂しいでしょうし、子どもにとっても面会交流は必要です。私がお話をすることで、2度と同じような事件が起きないように、何かが変わればと思っています」

4.謝罪と記事の訂正、さらにデータの開示を

 今回の記事は反対派の依頼を受けて、別居親=DV加害者とするストーリーを組み立てているのではないでしょうか。その内容は別居親をDV加害者と短絡視するもので、別居親の人権を侵害しています。
 日本は先進国では稀な離婚後の単独親権制度を採用しています。単独親権制度では、離婚に伴い別居親は、親権を放棄する意思がなくても裁判所などの国家権力により強制的に親権をはく奪されます。これこそ家庭を舞台にした人権侵害ですが、中日新聞はこうした実態を取材、記事化しないで、別居親に対する差別を助長しています。
 単独親権制度のもとで、そもそも別居親は同居親と対等でない関係で存在し、面会交流など関連する法制度が未整備の中、同居親の一方的な意思により別居親子の交流が差配され、著しく人権が侵害されています。その結果、最愛の子に会えない親が絶望し、人生の希望を失うことによる自殺者も相次いでいるのです。中日新聞では、こうした自殺を詳しく取材した記事は皆無です。
 4月の兵庫県伊丹市の事件後、別居親の間では、「この父親、知っているか。なぜ、支えてやれなかったのか」という意見が飛び交いました。我々、別居親は中日新聞や社会から差別的な扱いを受けているので、別居親同士で支えあっています。そして、別居親は父親ばかりではありません。子どもを奪われた母親も少なくありません。こうした母親の存在は、別居親=凶暴なDV加害者の父親という「法案」反対派のレッテルと矛盾することを指摘させて頂きます。
 「真実、公正、進歩的」という中日新聞の社是を私達は素晴らしいものと考えています。両親の離婚後も子どもが両親から愛情を等しく享受する権利、両親が子どもを愛し育てる権利は、基本的な人権のひとつです。この基本的な権利をはく奪するには、然るべきエビデンスが必要であり、別居親というだけでDV加害者であると印象づける記事は、罪のない別居親の人間としての尊厳を毀損しています。今回の記事は、貴社の社是を忘れてしまったずさんで偏向した記事と指摘せざるを得ません。
 いずれにしても、私たちは今回の偏向記事に抗議するとともに、以下の質問に対する回答および謝罪と離婚後の親子交流推進側の識者、専門家の意見を掲載した訂正記事を求めます。

(1)『同居親に子どもと別居親との面会を原則義務付ける「親子断絶防止法案」の議員提出も検討される。』の記述について。
同法は、各条文で父母、国、地方公共団体の「努力規定」を定めたものであり「面会交流の原則規程」ではありません。反対派の主張を鵜呑みにしたことから侵した明らかな誤りで、読者に事実誤認を与える記述であり、訂正を求めます。

(2)「ドメスティック(DV)加害者だった父親と面会している子どもは、していない子と比べ、抑うつや攻撃的な行動など問題を抱える割合が高い-。東京大学大学院の研究グループが面会交流による子供への影響などを初めて調査した結果」の記述について。
当該研究論文については、有識者が調査方法、サンプル数が不適切という研究論文の正当性について重大な疑義を指摘し、東京大学の不正行為に関する窓口に通報され、現在、東京大学で不正の有無の審議が行われていますが、著者らが調査結果の正当性の証明ができていないという状況です。
このような状況下において、面会交流をやるべきでないとの主張における記事において、このような調査結果を引用することは不適切であると考えます。
http://anond.hatelabo.jp/20170510081157 )
このような調査結果を引用したことに対する、貴紙の裏付けの明示を求めます。

(3)前述した「面会交流は子どもにとって良いことだと言われるが、DVがあった別居親との面会では、子どもたちは長期にわたり悪影響を受けている」「子どもと別居する親に面会交流の権利が認められている米国では、面会交流中に子どもが殺される事件が年平均約七十件起きているという。その動機は元妻への復讐だとする米研究者の見方もある」の記述について。
 そもそも、親族間の殺人事件以外でも、年間の殺人事件数が明らかに多い米国と日本を比較し、あたかも面会交流により、日本でも子どもを殺す事件が今後増加するかのように記述することは不適切です。前述したように、国内では、同居親(監護親)による虐待死事件の件数のほうが圧倒的に多いと政府の統計で示されており、記事は、国内の実情と違う認識を恣意的に読者に作出しようとする「世論操作」に該当すると指摘せざるを得ません。
 該当箇所の記述について、その出典から導き出した「面会交流中に子どもが殺される事件が年平均約七十件」の内容が正確なものかどうか、貴紙がどのように裏付け取材をされたか、データの出典及び根拠を明らかにし、同居親(監護親)、別居親による殺害の件数を併記したうえで、正しい情報を読者に伝えるべく訂正、謝罪を求めます。

 なお、同様の記事を掲載した他紙にも抗議しているとともに、記事の訂正を求めていることを申し添えておきます。
回答につきましては、6月15日必着で下記連絡先に書面で郵送をお願いします。

                                    以上
【連絡先】
中部 共同親権法制化運動の会

面会交流関連情報ファクトチェックチーム

中日新聞社 代表取締役社長 小出宣昭 様
取締役 論説担当兼東京本社論説主幹 深田 実 様

貴社の5月29日付け朝刊の記事を拝見いたしました。 http://chuplus.jp/paper/article/detail.php?comment_id=461798&comment_sub_id=0&category_id=144

私どもが、貴記事に記載があります事実関係について、ファクトチェックをさせていただきましたところ、重大な事実誤認を含めた不適切な点が複数あることがわかりました。

1. 「関係者によると、米国では面会交流で子供が殺される事件が年間平均約70件あり…」という記述についてこのデータは、赤石千衣子氏(NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」理事長)が各種勉強会などで配布されている「アメリカでの(法廷命令による)監護/面会交流絡みにおいて子などが「殺害」された事件数の推移」という資料、あるいは、武蔵大学・千田有紀教授のYahooブログ
https://news.yahoo.co.jp/byline/sendayuki/20170228-00068182/ https://news.yahoo.co.jp/byline/sendayuki/20170424-00070247/
が出典であるだろうと思われます。もしそうだとしますと、このデータの元のソースは、DastardlyDads というウェブサイト
http://dastardlydads.blogspot.jp/p/the-killer-dads-and-custody-list-usa.html
のリストであります。
 当会にて、そのリストを吟味し、再集計を行いましたところ、このリストで子どもが殺される事件には、面会交流の際に殺された事件だけでなく、監護親が子どもを殺した事件と、そのどちらかが不明な事件が多数含まれていました。2009年以降のデータですと、  
 面会交流時の事件:126件(31.6%)
 監護親による事件:202件(50.6%)
 監護状況が不明な事件:71件(17.8%)
となります。
「面会交流で子供が殺される事件が年間平均」にしますと、15.8件になりますので、貴記事の数値は明らかに誤報ということになります。また、面会交流時の事件の件数よりも、監護親による事件の件数のほうが大幅に多いということも重要な点です。加えて、監護状況が不明な事件の中には、別居親が監護 親宅に押し入って事件を起こした件数も相当数含まれていました。面会交流が監護親による事件を防止している側面もあるはずですので、この統計データから面会交流を促進することが子どもの危険を上昇されることは全く示唆されていませんし、むしろ低下させる可能性が高いと考えられます*1。

2. 「東京大院医学系研究科のキタ幸子助教らの研究グループ」について
 貴記事中では、東京大院医学系研究科のキタ幸子助教らの研究グループの研究論文を紹介し、「面会後に子供に悪影響」とされています。
しかしながら、当該論文につきましての貴記事には、2点ほど重大な問題があります。

i) 当該研究はその正当性に疑義が提出されているものであること
当該研究の論文については、ネット上
(http://anond.hatelabo.jp/20170510081157 )におきまして、
・僅かなサンプル数(N=19)で、混交要因が統制されていないどころか、記述もないこと、
・被験者が、極めて僅かな回数の面会交流であり、そのような僅かな回数の面会交流で、本当にうつや攻撃行動の増加のリスクが上がるのか疑わしいこと(平均が僅か年間2.2回で、0.5回の被験者もサンプルに組み込まれてしまっている)、
・回答者が子ども自身ではなく母親であり回答のバイアスが推測されるが、そのバイアスについて適切なコントロールがなされていないこと、
・恣意的な被験者抽出、いわゆる”p-hacking"の可能性があること、
などの深刻な問題点が指摘されています。ある有識者がこれらの点を疑問に思い、責任著者に生データの開示や、必要な情報のリクエストを行ったところ、何の返事もありませんでした。
著者らの所属大学の「不正行為の防止に関する規則」に
 「研究者は、研究活動の正当性の証明手段を確保するとともに、第三者による検 証可能性を担保するため、文書、数値データ、画像等の研究資料及び実験試料、標本等の有体物(以下「研究資料等」という。) を別に定めるところにより適切に 保存し、開示の必要性及び相当性が認められる場合には、これを開示するものとする。」
とあり、これに違反しているのではないか、という疑いがあったため、その有識者は4月11日付けで所属大学の「科学研究における行動規範に係る不正行為に関する窓口(本部)」に通報を行いました。
 その結果、春名准教授は、論文のページのディスカッション欄にのみ、とても十分とは言えない回答(生データは開示されないことなどを含む回答)を行ったようです(以下の2の論点を参照ください)。その有識者は現在、深まった疑義について、さらに著者らにデータのリクエストや質問を行う予定とのことです。

 つまり、当該論文については現在のところ、元のデータの正当性に疑義が提出され、正当性の証明を著者らができないという状況が長期的に続いている、という状況です。このような正当性が確認できない研究をあたかも明確な事実であるかのように報道されている点がまず不適切であります。なお、その「有識者」については、当チームではどなたかを把握しており、信頼できる研究者であること を確認しております(諸事情でその方が誰かを公開することはできません)。

ii) 年間あたり面会交流回数が多いと問題行動の差はなくなり、問題行動の出現頻度が減るというデータであること
 i)の問題点は、論文のページのディスカッション欄やPubPeer(STAP問題の際に注目された論文ディスカッションサイト)でも指摘されており、それに対して、春名准教授が一部回答を行っています。
(http://www.scirp.org/journal/PaperInformation.aspx?PaperID=74779&#abstract の下のほうを参照)。この回答によれば、面会交流の頻度と、何らかの問題行動を有する子どもの割合の表は、以下のようになります。
面会交流の頻度と、何らかの問題行動を有する子どもの割合

 このテーブルをご覧いただくと、面会交流なしの子どもと、面会交流が年2.2 回以上の子どもの間には、統計的な有意差は全く認められません(p=0.587)。
 つまり、問題行動のリスクが高まるのは、(このデータが仮に正しかったとして)面会交流が日本での標準的回数(月1〜2回;年間12〜24回)よりも極めて少ない場合(年間2.2回未満)の場合のみ、ということになります(当該の研究では、面会交流の最も多い頻度の子どもでも6.5回であり、日本での標準的回数を大きく下回っています)。
 以上を考えると、この回答からは、面会交流の頻度が極端に少ない場合、何らかの問題行動が生じやすくなること、頻度が多いと問題行動のリスクが低下する傾向にあること、が示唆されています。つまり、この著者らの回答による結果は、著者らの当初の主張のほぼ真逆のこと(面会交流頻度は多いほうが良い)を示唆しているわけです。面会交流は頻度が多いほど子どもにポジティブな効果を与えることを示す研究は複数あり(Fabricius et al., 2011など)、この解釈は、それらの先行研究に一致するものです。
 なお、この新しい春名准教授の回答から得られました面会交流ありの子どもの内訳にあります、問題行動あり・無しのそれぞれの人数(あり10名、なし9名)は、当初の論文の人数(あり11名、なし8名)と異なっています。この点においても、上記の1の論点での疑義はさらに深まったものとなっています。
 このデータの解釈として、次のような解釈もあることにご留意ください。通常、家庭裁判所で面会交流の頻度が決められる場合、年間1回、というような決まり方はほぼしません。通常、月x回x時間、というようなかたちで決められます。つまり、面会交流の頻度が年間2.2回未満の方々というのは、夫婦間葛藤が顕著である、別居親に非常に深刻なDVや精神疾患罹患がある、などの特殊事情により、面会交流が裁判所によって制限されてしまった可能性があります。つまり、この方々の子どもは、面会交流を行ったから問題行動が増えたのではなく、単に面会交流の制限がなされるような特殊事情があるから問題行動が多い、という可能性も高いのです。

iii) 相関関係にすぎないものを因果関係として記載していること
 貴記事では、
「離婚後に親と面会することで、ひきこもりや抑鬱状態になるなど情緒や行動に問題が増えること(中略)が判明した」
というように因果関係まで証明されているかのように記載されている点も問題です。当該の研究は、単に相関関係のみをしらべた調査であり、他の混交要因の可能性を排除するような研究デザインになっておりません。上記の論点ii)に記載したように、面会交流の制限がなされるような特殊事情があるから問題行動が多い、という可能性もあるわけです。当該研究は、因果関係については何ら証明するものではなく、これを因果関係のように記載されているのは明確に事実誤認と言えます。

  •  以上のように、貴記事中には、明らかな誤報と、プレリミナリーなデータの 「勇み足」的報道の2点が入っております。

 以下の2点についても十分ご留意いただいた上、上記2点についての訂正記事に加え、別の視点からの続報の記事を掲載していただけるよう、私どもとして強く希望いたします。
 また、1の点の誤情報については、赤石氏、千田教授、あるいは他の第三者(斉 藤秀樹弁護士や駒崎弘樹氏などの同様な情報を公に紹介されている方々)のうち、どなたが誤情報のソースであるのかについても、調査の上、ご教示くださることを期待いたします。  以上、よろしくお願いいたします。

※1子どもを巻き添えにした心中は、母子心中の件数が父子心中よりも多く、5倍程度あります。
http://www.crc-japan.net/contents/guidance/pdf_data/H23oyako.pdf
つまり、心中を起こすリスクは、面会交流時の別居親よりも、監護親によるもののほうがずっと高いと推測されます。面会交流の促進によって、それを事前に防ぐ効果が期待できます。

※面会交流が子どもの行動に好影響を及ぼすという研究はかなりあります。
例えば、以下の論文は、面会交流が子どもにプラスの影響を与えるという453名もの被験者を対象にした大規模研究であり、300回以上引用されている古典的論文です。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2239255/
片親疎外がマイナスの影響を及ぼすという論文も多数あります。
http://mc.vanderbilt.edu/pasg/citationmanager?combine=&field_type_of_citation_tid=All&field_language_tid=All&field_year_value_op=%3D&field_year_value%5Bvalue%5D%5Bdate%5D=&field_year_value%5Bmin%5D%5Bdate%5D=&field_year_value%5Bmax%5D%5Bdate%5D=&field_parameters_tid%5B%5D=91&sort_by=title&sort_order=ASC&items_per_page=40
 また、面会交流が子どもにポジティブな影響を及ぼすという研究については、 大正大学心理社会学部教授 青木 聡氏の論文・著作などもご参照ください。
http://oyakonet.org/documents/paper20110529.pdf

                    面会交流関連情報ファクトチェックチーム
                    代表・弁護士 杉山 程彦
                    他 7 名

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