民法819条(単独親権制度)改正を求め共同親権・共同監護制度の導入・ハーグ条約締結の推進と活動を行っています

産経新聞社への抗議・質問書

面会交流関連情報ファクトチェックチーム

産経新聞社 取締役 ⼩林 毅 様

貴社の5⽉23⽇付け記事を拝⾒いたしました。
http://www.sankei.com/premium/news/170523/prm1705230002-n3.html

私が、貴記事に記載があります事実関係について、ファクトチェックをさせていただきましたところ、重⼤な事実誤認を含めた不適切な点が複数あることがわかりました。

1. 「関係者によると、米国では面会交流で子供が殺される事件が年間平均約70 件あり…」という記述について
 このデータは、⾚⽯千⾐⼦⽒(NPO法⼈「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」理事⻑)が各種勉強会などで配布されている「アメリカでの(法廷命令による)監護/⾯会交流絡みにおいて⼦などが「殺害」された事件数の推移」という資料、あるいは、武蔵⼤学・千⽥有紀教授のYahooブログ
https://news.yahoo.co.jp/byline/sendayuki/20170228-00068182/
https://news.yahoo.co.jp/byline/sendayuki/20170424-00070247/
が出典であるだろうと思われます。もしそうだとしますと、このデータの元のソースは、DastardlyDads というウェブサイト
http://dastardlydads.blogspot.jp/p/the-killer-dads-and-custody-list-usa.html
のリストであると考えられます。
当⽅にて、そのリストを専⾨家の下、吟味し再集計を⾏いましたところ、以下のことがわかりました。

・このリストで⼦どもが殺される事件には、⾯会交流の際に殺された事件だけでなく、監護親が子どもを殺した事件と、そのどちらかが不明な事件が多数含まれていました。2009年以降のデータを例にすれば
 ⾯会交流時の事件:126件(31.6%)
 監護親による事件:202件(50.6%)
 監護状況が不明な事件:71件(17.8%)
となります。「⾯会交流で⼦供が殺される事件が年間平均」にしますと、15.8件になりますので、貴記事の数値は明らかに誤報ということになります。また、⾯会交流時の事件の件数よりも、監護親による事件数のほうが⼤幅に多いということも重要な点です。加えて、監護状況が不明な事件の中には、別居親が監護親宅に押し⼊って事件を起こした件数も相当数含まれていました。⾯会交流が監護親 による事件を防⽌している側⾯もあるはずですので、この統計データから⾯会交流を促進することが⼦どもの危険を上昇されることは全く⽰唆されていませんし、むしろ低下させる可能性が⾼いと考えられます*1。

2. 「東京大院医学系研究科のキタ幸子助教らの研究グループ」について
 貴記事中では、東京⼤院医学系研究科のキタ幸⼦助教らの研究グループの研究論⽂を紹介し、「⾯会後に⼦供に悪影響」とされています。
 しかしながら、当該論⽂につきましての貴記事には、2点ほど重⼤な問題があります。

i) 当該研究はその正当性に疑義が提出されているものであること
 当該研究の論⽂については、ネット上 (http://anond.hatelabo.jp/20170510081157 )におきまして、
・僅かなサンプル数(N=19)で、混交要因が統制されていないどころか、記述もないこと、
・被験者が、極めて僅かな回数の⾯会交流であり、そのような僅かな回数の⾯会交流で、本当にうつや攻撃⾏動の増加のリスクが上がるのか疑わしいこと (平均が僅か年間2.2回で、0.5回の被験者もサンプルに組み込まれてしまっている)、
・回答者が⼦ども⾃⾝ではなく⺟親であり回答のバイアスが推測されるが、そのバイアスについて適切なコントロールがなされていないこと、
・恣意的な被験者抽出、いわゆる”p-hacking"の可能性があること、
などの深刻な問題点が指摘されています。ある有識者がこれらの点を疑問に思い、責任著者に⽣データの開⽰や、必要な情報のリクエストを⾏ったところ、 何の返事もありませんでした。
著者らの所属⼤学の「不正⾏為の防⽌に関する規則」に 「研究者は、研究活動の正当性の証明⼿段を確保するとともに、第三者による 検証可能性を担保するため、⽂書、数値データ、画像等の研究資料及び実験試料、標本等の有体物(以下「研究資料等」という。) を別に定めるところにより適切に保存し、開⽰の必要性及び相当性が認められる場合には、これを開⽰するものとする。」
とあり、これに違反しているのではないか、という疑いがあったため、その有識者は4⽉11⽇付けで所属⼤学の「科学研究における⾏動規範に係る不正⾏為に関する窓⼝(本部)」に通報を⾏いました。責任著者が回答の準備を進め、回答する旨の連絡が所属⼤学の医学研究科よりあったが、5⽉26⽇現在、⽣データの開⽰や必要な情報についての連絡はない、とのことです。
 つまり、当該論⽂については、元のデータの正当性に疑義が提出され、正当性の証明を著者らができないという状況が長期的に続いている、という状況です。このような正当性が確認できない研究をあたかも明確な事実であるかのように報道されている点がまず不適切であります。なお、その「有識者」については、当会ではどなたかを把握しており、信頼できる研究者であることを確認しております(諸事情でその⽅が誰かを公開することはできません)。

ii) 相関関係にすぎないものを因果関係として記載していること
 貴記事では、
「離婚後に親と⾯会することで、ひきこもりや抑鬱状態になるなど情緒や⾏動に問題が増えること(中略)が判明した」
というように因果関係まで証明されているかのように記載されている点も問題です。当該の研究は、単に相関関係のみをしらべた調査であり、他の混交要因の可能性を排除するような研究デザインになっておりません。当該研究は、因果関係については何ら証明するものではなく、これを因果関係のように記載されているのは明確に事実誤認と⾔えます。

3. 「オーストラリアでは2006年に親子断絶防止法が制定されたが、父親が面会中の子を殺害する事件が起きたため、その後、子の安全を重視する法改正が行われた経緯がある。」という記載について
 オーストラリアの家族法は、日本と異なり、現在でも、「子どもが父母双方と「同じだけの時間」または「実質的に有意義な時間」を過ごす権利を擁護」、つまり別居親との面会交流を促進するような法になっています。そして、「子どもが父母と平等に面会する(時間を過ごす)という取り組みが実質的に」行われているのです。
 http://www.melbourne.au.emb-japan.go.jp/consular/familyACT.html
 貴記事の記載は、オーストラリアでは、事件後に、面会交流そのものがあたかも制限されているような誤解を招く表現となっています。DVを行った確実な証拠がある親に面会交流が制限されるべきであるのは当然であり、この部分が強化されたということにすぎません。現在、オーストラリアでは日本よりも遥かに充実した面会交流が行われる取り組みが行われていることも同時に報道していただくことがバランスのとれた報道であり、そのようにしていただく必要があると考え ます。
 なお、アメリカイギリスフランスドイツなどの欧⽶主要国は、共同親権の制度を有しており、また、監護親を決める際に別居親の⾯会交流により協⼒的である親を優先する「フレンドリーペアレントルール」も採⽤しています。その結果、これらの国は日本よりも遥かに充実した面会交流が行われているという事実にも十分ご留意いただきたいと思います。
参考: http://www.moj.go.jp/content/001130860.pdf
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9532035_po_0882.pdf?contentNo=1

  •  以上のように、貴記事中には、明らかな誤報と、プレリミナリーなデータの 「勇み足」的報道の3点の深刻な問題が含まれております。
     以下の2点についても⼗分ご留意いただいた上、上記3点についての訂正記事に加え、別の視点からの続報の記事を掲載していただけるよう、私どもとして強く希望いたします。
    また、1の点の誤情報については、赤石氏、千田教授、あるいは他の第三者(斉藤 秀樹弁護士や駒崎弘樹氏などの同様な情報を公に紹介されている方々)のうち、どなたが誤情報のソースであるのかについても、調査の上、ご教⽰くださることを期待いたします。

※1⼦どもを巻き添えにした⼼中は、⺟⼦⼼中の件数が⽗⼦⼼中よりも多く、5倍程度あります。
http://www.crc-japan.net/contents/guidance/pdf_data/H23oyako.pdf
つまり、⼼中を起こすリスクは、⾯会交流時の別居親よりも、監護親によるもののほうがずっと⾼いと推測されます。⾯会交流の促進によって、それを事前に防ぐ効果が期待できます。

※⾯会交流が⼦どもの⾏動に好影響を及ぼすという研究はかなりあります。
例えば、以下の論⽂は、⾯会交流が⼦どもにプラスの影響を与えるという453名もの被験者を対象にした⼤規模研究であり、300回以上引⽤されている古典的論⽂です。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2239255/
⽚親疎外がマイナスの影響を及ぼすという論⽂も多数あります。
http://mc.vanderbilt.edu/pasg/citationmanager?combine=&field_type_of_citation_tid=All&field_language_tid=All&field_year_value_op=%3D&field_year_value%5Bvalue%5D%5Bdate%5D=&field_year_value%5Bmin%5D%5Bdate%5D=&field_year_value%5Bmax%5D%5Bdate%5D=&field_parameters_tid%5B%5D=91&sort_by=title&sort_order=ASC&items_per_page=40
 また、⾯会交流が⼦どもにポジティブな影響を及ぼすという研究については、⼤正⼤学⼼理社会学部教授 ⻘⽊ 聡⽒の論⽂・著作などもご参照ください。
http://oyakonet.org/documents/paper20110529.pdf

                     ⾯会交流関連情報ファクトチェックチーム
                     代表・弁護⼠ 杉⼭ 程彦
                     他7名

親子の面会交流を実現する全国ネットワーク(親子ネット)

                                平成29年6月1日
産経新聞社
代表取締役社長 熊坂隆光様
読者サービス東京御中

             記事の妥当性についての審査のお願い

 貴社の5月23日付け記事「離婚後の父が復讐鬼?子供との「面会交流で」殺害が止まらない」を拝見いたしました。
 当会は、別居または離婚後の親子が自然に会える社会となるよう、別居・離婚後の親子交流を促進する民法の改正、その実効性を担保する関連法案の成立や公的支援制度の確立を目指し活動しております。http://oyakonet.org/oyakonet
上記の5/23付記事には重大な事実誤認があり、離婚後の親子の頻繁で継続的な関係構築に反対する方々の主張を検証することもなく掲載しており、公平・公正・妥当な記事となっていないと考えます。さらに、記事でその論拠として引用されているデータ、研究論文も、その客観性及び、解釈が極めて恣意的であることが指摘されているものです。
 以下、問題点を指摘させていただきますので、貴社内で、記事の妥当性を審査すること、及び離婚で傷つく子どもたちの「最善の利益」をいかに実現するかの観点で、公平・公正な記事を再度、掲載して頂くことをお願い申し上げます。
                   記
1.当該記事について見解
1)「・・・一方で、多額の罰金を科することで親と子供の面会を義務付ける裁判命令や、同様の法案作りが進んでいることもあり・・・」の記述について
・記事の中で「親子断絶防止法」の記述がありますが、同法は、各条文で父母、国、地方公共団体の「努力規定」を定めたものです。多額の罰金を科することにより、子供の面会を義務付ける条文はありません。「同様の法案」との記述は不適切であると考えます。

2) 「・・・関係者によると、米国では面会交流で子供が殺される事件が年間平均約70件あり、父親の殺しの動機が「去っていった母親への復讐が、この殺害だとする米国研究者の見解もある・・・」の記述について
・この記述については、斉藤秀樹弁護士、武蔵大学の千田有紀教授が引用、主張されていますが、出典はDastardlyDads というウェブサイトであると思われます。
http://dastardlydads.blogspot.jp/p/the-killer-dads-and-custody-list-usa.html
・当該サイトの内容を確認したところ、このリストで子どもが殺される事件には、面会交流の際に殺された事件だけでなく、監護親が子どもを殺した事件も含まれています。
・2009年以降のデータをさっと集計すると、面会交流時の事件:約120件(31%)、監護親による事件:約200件(51%)、監護状況が不明な事件:約70件(18%)となりました。面会交流時の事件は年間平均で約16件になります。
・よって、記事の「・・・年間平均約70件あり・・・」との記述は明らかな誤りであり、記者として出典の正確性を調査しないことは不適切な行為です。
・そもそも、親族間の殺人事件以外でも、年間の殺人事件数が明らかに多い米国と日本を比較し、今後、あたかも面会交流により、日本でも子どもを殺す事件が増加するかのように記述することは不適切です。
・さらに、上記のデータで、監護親による事件数のほうが大幅に多いことが重要です。日本でも単独親権(単独監護)下における児童虐待・虐待死が毎月のように報道されています。厚労省による「子ども虐待による、死亡事等の検証結果等について(第12次報告)」においても(p37、p16)平成26年度の虐待事例の養育環境は「一人親」が13例(30.2%)、実母加害者が28人(63.6%)とあります。私たちは、継続的で頻繁な面会交流が実施され、もう一方の親、祖父母が離れて暮らす子どもの日々の様子を知ることができていれば、このような事件を防止できた可能性は極めて高いと考えています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137028.html

3)「面会後に子供に悪影響・・・「東京大院医学系研究科のキタ幸子助教らの研究グループの調査で判明した・・・」との記述について
・ 当該研究論文については、現在、ネット上において、調査方法、サンプ数が不適切であり、研究論文の正当性が疑われている状況であり、かかる状況下において、記事で引用することは不適切であると考えます。( http://anond.hatelabo.jp/20170510081157 )
・僅かなサンプル数(N=19)であること。
・極めて少ない回数の面会交流で、本当にうつや攻撃行動の増加のリスクが上がるのか疑わしいこと。(平均が僅か年間2.2回)
・恣意的な被験者抽出の可能性があること等の指摘があげられています。
・さらに、下記の論文サイトに、当該論文への質疑への回答が記載されていますが、面会交流頻度で、トータルの問題行動の出現割合を見ると
年0回(面会交流なし): 13.3%、年1回未満: 80%、年2.2回未満: 72.7%、年2.2回以上: 25.0%となり、素直にみれば、面会交流を多くしたほうが、問題行動が少なくなるとの結果になっています。DVがある場合の面会交流(児童虐待ではない)の実施方法については、公的支援も含めて検討されるべき課題だとは考えますが、面会交流をやるべきでないとの主張におけるエビデンスとして当該研究論文を利用することは不適切であると考えます。
http://www.scirp.org/journal/PaperInformation.aspx?PaperID=74779&#abstract
・なお、面会交流が子どもにポジティブな影響を及ぼすという研究については、大正大学 心理社会学部教授 青木 聡氏の論文・著作などもご参照ください。
http://oyakonet.org/documents/paper20110529.pdf

2.我が国の現状
・日本は先進国で唯一離婚後の単独親権制度を採用しており、離婚に伴い、親権喪失事由もないのに親は親権をはく奪され、子どもはもう一方の親を失います。
・日本では離婚時、親権を獲得する為、先ず、子どもを連れ去り→監護の継続性の実績を積み→虚偽のDV等を申し立て→片親疎外で別居親に会いたくないと言わせ(表面的な意思表明で子どもに両親を選ばせる)→面会交流を拒否し→財産分与、養育費、単独親権を獲得することが、ある意味、制度化されています。離婚を扱う弁護士の書いた書籍やHPでは「親権を取りたければ、子どもを連れて別居して下さい」と堂々と記述さています。正当な理由のない、子どもの連れ去りは・引き離しは、重大な人権侵害です。
・昨今、あたかも、別居親=DV加害者の父親、同居親はその被害者の母親との反対派のレッテル張りが横行していますが、別居親には多くの母親がいること、また、別居親にも多くのDV被害者がいることを指摘させていただきます。

3.貴社へのお願い
・貴社の「記者指針」には「記事が客観的な事実なのか、あるいは記者個人の意見または推論・批評・期待なのか明確に読者に分からせる書き方をするよう心掛けねばならない。 事実に基づかない記事や裏付けを欠く記事は、いかに客観性を装っても露見するものであり、それは産経新聞社にとって読者の信頼を損ねる自殺的行為となる。見出しについても同様である。」との記述があります。
・上記の1)、2)、3)の記述に関して、極めて不適切であると私たちは考えており、その回答と、記事の訂正を求めます。
                                      以上
【連絡先】
親子の面会交流を実現する全国ネットワーク(親子ネット)

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